特許第6592076号(P6592076)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6592076ワークピース加工機械、相当する配列、並びにワークピース加工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6592076
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】ワークピース加工機械、相当する配列、並びにワークピース加工方法
(51)【国際特許分類】
   B23F 5/12 20060101AFI20191007BHJP
   B23Q 5/027 20060101ALI20191007BHJP
【FI】
   B23F5/12
   B23Q5/027
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-504004(P2017-504004)
(86)(22)【出願日】2015年7月16日
(65)【公表番号】特表2017-521272(P2017-521272A)
(43)【公表日】2017年8月3日
(86)【国際出願番号】EP2015001468
(87)【国際公開番号】WO2016012085
(87)【国際公開日】20160128
【審査請求日】2018年5月10日
(31)【優先権主張番号】102014011145.8
(32)【優先日】2014年7月25日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500120211
【氏名又は名称】グリーソン − プァウター マシネンファブリク ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マシアス フィリッピン
(72)【発明者】
【氏名】カート クラインバッハ
(72)【発明者】
【氏名】アリーゴ メッリーニ
(72)【発明者】
【氏名】ウゴ マッティオリ
【審査官】 中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−048920(JP,U)
【文献】 実開昭63−027220(JP,U)
【文献】 米国特許第01662109(US,A)
【文献】 米国特許第02364065(US,A)
【文献】 米国特許第03587384(US,A)
【文献】 実公昭48−039265(JP,Y1)
【文献】 実開昭56−116138(JP,U)
【文献】 特開平03−277442(JP,A)
【文献】 特開2012−179671(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第103769934(CN,A)
【文献】 国際公開第2015/146661(WO,A1)
【文献】 特開昭49−063095(JP,A)
【文献】 実開昭63−079104(JP,U)
【文献】 米国特許第4978263(US,A)
【文献】 特開2012−228774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 29/02
B23B 29/034
B23D 3/00
B23F 1/00−23/12
B23Q 5/00−5/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピースの歯切り加工する歯切り械であって、
加工用工具(60)を受入れるスピンドル(11,41)、及び
駆動部(40)であって、これによって、当該スピンドルがそのスピンドル軸線(C1)の回りに回転するように駆動され得る駆動部(40)を備え、
機械の作動時に、当該スピンドルのスピンドル軸線に対する軸方向の相対的位置が、当該駆動部により起こされる当該スピンドルの回転によって変えられる配列によって特徴付けられており、
当該配列は、作動時に共同の回転のために当該スピンドルに接続される第1の部分(1)を備え、
当該第1の部分(1)は、ピン(3)の形式の軸方向に可動の結合部分が案内される軸方向の切欠きを備え、その結合部分は共同の回転のために当該第1の部分に接続されており、共同の回転のために当該スピンドルへの当該第1の部分の接続が、油圧的又は空気圧的に作動可能な前記ピンの移動によって生成されることが可能である機械。
【請求項2】
当該配列は第2の部分(2)を備え、それの共同の回転のための第1の部分との接続は、作動時に解除されることを特徴とする請求項に記載の機械。
【請求項3】
第1及び/又は第2の部分は、ねじ山(5,6)を備え、且つ第2及び/又は第1の部分は当該ねじ山によって案内される片一方を備えることを特徴とする請求項に記載の機械。
【請求項4】
第1の部分(1)は雄ねじ(5)を備え、及び第2の部分(2)は、それと対の雌ねじ(6)を備えることを特徴とする請求項又はのいずれかに記載の機械。
【請求項5】
第1及び第2の部分間の圧力抵抗性の接続を解放する装置は、油圧的又は空気圧的方法で作動し、及び1つ以上の予め張力が付与されたねじ付クランプ(7)が装置から解放されることを特徴とする請求項ないしのいずれかに記載の機械。
【請求項6】
第1及び第2の部分は、装置の機能的な構成要素であり、これによってスピンドルが往復ストローク運動を実行するコネクティングロッドの配列であることを特徴とする請求項ないしのいずれかに記載の機械。
【請求項7】
ークピースの歯切り加工のための配列の第1のセッティングにおいて、スピンドルのスピンドル軸線回りに回転するようにモータによって駆動される前記スピンドルにマウントされた加工用工具によって遂行されるのが可能である、歯切り機械のための配列であって、
配列の第2のセッティングにおいてのスピンドルの電動の回転が、当該スピンドル軸線に対して軸方向にある構成要素を有する方向に関して、配列の第2の部分(2)に対する配列の第1の部分(1)の相対的位置を変更し、
当該第1の部分(1)は、作動時に共同の回転のために当該スピンドルに接続され、ピン(3)の形式の軸方向に可動の結合部分が案内される軸方向の切欠きを備え、その結合部分は共同の回転のために当該第1の部分に接続されており、共同の回転のために当該スピンドルへの当該第1の部分の接続が、油圧的又は空気圧的に作動可能な前記ピンの移動によって生成されることが可能であることを特徴とする配列。
【請求項8】
請求項2ないしにおいて加えられた特徴のいずれか1つ以上の特徴をさらに有し、配列の第1から第2のセッティングへの移行は、配列の作動に対応することを特徴とする請求項に記載の配列。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークピースの歯部を加工する機械、特に、加工用工具を受入れるスピンドルと、当該スピンドルがそのスピンドル軸線の回りに回転するように駆動され得る駆動部とを備える歯車形削り盤、さらに、このタイプの機械のための配列、及びワークピースの加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基本設計及び機械の軸と機能に関して、歯車形削り盤の形式のかかる機械の実施例は非特許文献1に示されている。歯車形削り中の主な切削運動は、工具、例えば、すぐば(straight-toothed)又ははすば(helical-toothed)の形削りカッターの線形振動によって生じ、かくて、加工は工具とワークピースの生成的な結合によって行われる。歯車形削り盤の原理的及び基本的な動作モードは当業者には知られており、本願はこれに関するさらなる説明は包含しないが、その代わり、上記した文献を参照する。
【0003】
歯車形削り盤は、切削されるべきワークピースの歯部の寸法に応じて適切に調節される。このための関連する調節機能は、ストローク位置調節及びストローク長さ調節である。このようにして、ストローク位置又はストローク長さを調節するために作業領域が開かれ、そして、往復動スピンドルが、往復動スピンドルの保持機構の固定用ねじが取外された後、シフトされ得る。これは、調節を実行する機械操作者の側のいくらかの経験及び習熟を必要とする。さらに、従来のこの種の機械は、ストローク位置及びストローク長さ調節のための最大値が、互いに制限しているという不都合を有している。
【0004】
このストローク位置及びストローク長さ調節の相互制限の問題は、形削りヘッド全体が作業領域内で移動され得る、形削りヘッドスライドを採用することによって、すなわち、Z方向における追加の直線の軸線を採用することによって、この技術分野において解決されている。ストローク位置及びストローク長さの調節は互いに独立であるので、この機械において、機械によりもたらされるストローク長さは移動領域の全体に亘って利用可能である。形削りヘッドスライドを備えるこの種の歯車形削り盤の実施例は、非特許文献1の289頁、図7.2-2 に示されている。
【0005】
提供された形削りヘッドスライドの追加の利点はまた、現在加工されているワークピースの一団がストローク長さ又はストローク位置における変更を要求しないものであったとしても、形削りカッターの軸方向寸法が当該形削りカッターの砥ぎ直しのせいで変更されたときは、ストローク位置はまたストローク長さに影響を与えることなく適合され得ることである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「Innovative Zahnradfertigung」(「Innovative Gear Manufacturing」)Thomas Bausch著、第3版の290/291頁、図7.2-3 及び図7.2-4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、まず、構造的な簡明性且つ高い加工品質の両者に関して満足できる機械が提供されるように、上述のタイプの機械を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、機械の作動時に、スピンドルのスピンドル軸線に対する軸方向の相対的位置が、駆動部により起こされるスピンドルの回転によって変えられる配列によって実質的に特徴付けられる機械の開発による、装置に関しての本発明によって達成される。
【0009】
かくて、本発明による機械は、例えば、新規なストローク位置の調節が、工具の砥ぎ直しの目的のために工具の交換がなされた後に、スピンドル駆動部それ自体によって起こされることを可能にする。ストローク位置の調節は、かくて、高程度の調節精度が達成されるように、モータによって、特に、CNCによって生じる。特に、これは、最早、機械の操作者の経験や手動の技能に依存しない。また、ストローク位置の調節における悪化をもたらすことなく、形削りヘッドスライドが省略されるのを可能にする。上に説明したストローク位置及びストローク長さの独立調節の有利な原理は放棄されるが、構造的に異なり、部位においてより簡素な機械が達成される。その結果、特に、形削りヘッドスライドを備えない機械が提供される。
【0010】
さらに、10cmを超えない、好ましくは7cmを超えない、特に4cmを超えない、及び、確実に3cmを超えない、本発明による方法で達成される相対的位置運動が、好ましくは提供される。このようにして、スピンドルは最後の位置決め点を必要以上に超えて形削りヘッドから突出しないので、システム全体の安定性が向上する。
【0011】
特に好ましい実施形態において、当該配列は、作動時に共同の回転のためにスピンドルに接続される第1の部分を備えている。当該配列は、それ故に、第1の部分が共同の回転のためにスピンドルに接続されない第1のセッティング、及び、共同の回転のためにこの接続が生成される第2のセッティングとの少なくとも2つのセッティングを取ることができる。かくて、当該配列が作動されるとき、第1から第2のセッティングへの移行が生ずる。
【0012】
特に好ましい実施形態において、第1の部分は、例えば、軸方向に移動可能なピンが案内される、軸方向の切欠き、すなわち、孔を備えており、そのピンは共同の回転のために第1の部分に結合され、そして、特に油圧又は空気圧で作動可能な移動によって、特にポジティブな接続によって、共同の回転のための第1の部分のスピンドルへの接続を生成することを可能にしている。このようにして、コンパクトな機械を維持しながら、デザインの観点からは特に簡単な方法で作動が達成される。
【0013】
特に好ましい実施形態において、当該配列は、作動時において、共同の回転のための第1の部分への接続が解除される第2の部分を備えている。配列の第1のセッティングにおいては、かくて、共同の回転のために接続が存するが、一方、第2のセッティングにおいては、第1及び第2の部分の間で相対的回転が可能である。仮に、追加的に、第1の部分及びスピンドルの間に共同の回転のための接続が存するなら、第2のセッティングにおいて、配列の第1の部分が配列の第2の部分に対してスピンドル駆動部よって相対的に回転されてもよい。
【0014】
特に好ましい実施形態において、第1及び/又は第2の部分はねじ山を備え、且つ第2及び/又は第1の部分は、当該ねじ山に案内される対応部分を備えている。このようにして、第1の部分の回転運動が第2の部分に対してのそれの軸方向の相対的運動に導き、及び、かくて、配列が第2のセッティングにあるときに、スピンドル軸線上の特定の固定点に対しての、軸方向の構成要素を有するスピンドルの相対的運動に導く。
【0015】
好ましい実施形態において、第1の部分は雄ねじを備え、及び第2の部分はそれに一致された雌ねじを備えている。これは、コンパクトなデザインを許容し、そして特に、上で述べた軸方向に移動可能なピンのための空間を創成する。これに関連して、油圧的又は空気圧的方法で作動させるために、第1及び第2の部分間の圧力抵抗性の接続を解除する装置が都合よく提供され得る。第1及び第2の部分間の圧力抵抗性の接続を生成する装置は、例えば、皿ばねを用いて予め張力が掛けられたねじ付クランプによって、例えば、提供されてもよい。
【0016】
かくて、好ましくは、2つの結合部が提供される。(第1の)結合部は、結合されたとき、共同の回転のために配列の第1及び第2の部分間の接続を生成し、及び、結合解除されたとき、これらの部分の互いの相対的回転を許容する。(第2の)結合部は、結合されたとき、共同の回転のためにスピンドル及び第1の部分間の接続を生成し、及び結合解除されたとき、第1の部分がスピンドルと別に回転するのを許容する。ワークピースの加工のために提供され、そして配列が作動されていない、設置物の第1の動作セッティングにおいて、第1の結合部は結合された状態にあり、及び第2の結合部は結合解除された状態にある。対照的に、配列が作動されたときには、第1の結合部は結合解除された状態にあり、及び第2の結合部は結合された状態にある。
【0017】
好ましい実施形態において、両第1及び第2の部分は、装置の機能的な構成要素、特に、コネクティングロッドの配列であって、これによって、スピンドルが往復ストローク運動を実行することができる。このようにして、当該配列は、往復運動を遂行するために機械のデザインにコンパクトな方法で統合されている。
【0018】
さらに、本発明はまた、装置に関して、本発明による配列を独自に保護している。本発明はかくてまた、工作機械、特に歯切り機械のための配列に関する。ここで、加工、特にワークピースの歯部の加工は、工作機械のスピンドルにマウントされる加工用工具を用いて、配列の第1のセッティングにおいて実行され得る。そのスピンドルは、そのスピンドル軸線の回りに回転するようにモータによって駆動される。その加工は、スピンドルの電動の回転が、配列の第2のセッティングにおいて、スピンドル軸線に対して軸方向である構成要素を有する方向に関して、配列の第2の部分に対する配列の第1の部分の相対的位置を変更するということによって、実質的に特徴付けられる。
【0019】
当該配列のさらなる特徴は、上に説明された態様に見出せる。特に,当該配列の第1から第2のセッティングへの移行は、 請求項1の意味内の配列の作動に対応する。加工用工具は、好ましくは、形削りカッターであり、及び当該機械は、好ましくは、歯車形削り盤であってもよい。
【0020】
方法に関して、目的は、ワークピースの歯部を加工する方法、特に、スピンドル軸線の回りに回転するように、モータによって駆動されるスピンドルがスピンドル軸線に対して軸方向に位置決めされている、歯車形削り方法によって達成され、この方法は、スピンドルの軸方向の位置決めが電動のスピンドル駆動部によって生ずることによって実質的に特徴付けられている。
【0021】
本発明による方法の利点は、上に述べられた機械及び配列の利点内に見出され得る。
【0022】
特に、以前にマウントされていた工具に比べて軸方向の寸法に関して変更されている工具をマウントした後に、軸方向の位置決めが生ずることが提供され得る。この変更された軸方向の寸法は、砥ぎ直される以前にマウントされていた工具、又は必要な砥ぎ直し作業のせいで、その間にスピンドルに結合される他の工具に由来し得る。加えて、ストローク位置の調節は、好ましくは、軸方向の位置決めと共に実行される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明のさらなる特徴、詳細及び利点は、添付の図面を参照しての以下の説明に見出される。
【0024】
図1図1は、本発明による配列の構成要素を軸方向断面で示す。
図2A図2Aは、当該配列の構成要素の説明的な断面図である。
図2B図2Bは、当該配列の構成要素の説明的な断面図である。
図3図3は、スピンドル/クランク機構の結合の概略的軸方向断面図である。
図4図4は、歯車形削り盤の可能なデザインを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明が理解されるのに関連性のある、本発明による配列領域の軸方向断面図である。それは歯車形削り盤のスピンドルへのコネクティングロッドの配列の結合を示しており、当該コネクティングロッドの配列はZ方向における往復ストローク運動を行わせるために用いられている。ボール付ピン1はコネクティングロッドの配列の1つの構成要素であり、ボール付ピン1はボールヘッド31によってボールソケット32内にマウントされ、前記ボールソケットは共同の回転のために(不完全に示されている)工具スピンドルに固定されているスピンドル端部11内に形成されている。円錐状のスリーブ13が、ボールソケット32に面しているスピンドル端部11の中央の切欠きに、非回転的に設置されている。スピンドル駆動部(図1には示されていない)が回転すると、スピンドル端部11、ボールソケット32及びスリーブ13もまたスピンドル軸線C1の回りに回転する。
【0026】
ボール付ピン1は中空であり、ボールヘッド31の領域内で移動可能に案内されるピン3を有している。ピン3の円錐状前端部は、スリーブ13のテーパ部に一致する。さらに、ピン3は、スリーブ13内に挿入されたとき、例えば、楔とスロットの原理により、積極的な方法でスリーブ13に回転可能に結合される。
【0027】
加工位置においては、ピン3は図1に示された位置、すなわち、スリーブ13から結合解除された位置にある。この位置では、ピン3は、デバイス33、例えば、スプリングデバイスによって、張力がかけられる前の状態で保持されている。
【0028】
しかしながら、例えば、ボール付ピン1の中心開口を通り後ろ側から油圧油によって圧力が印加されると、ピン3がスリーブ13内に押圧され、ボール付ピン1とスピンドル端部11との間で共同の回転のための連結が生み出される。スピンドル駆動部が回転するとき、ボール付ピン1もまた回転する。
【0029】
ボール付ピン1にはさらに、雄ねじ5が設けられており、これによってボール付ピン1はボール付ピン保持器2のそろいの雌ねじ6にねじ込まれ得る。これは、図2Aにおいてより明らかに見られる。しかしながら、歯車形削りのためにもたらされる加工位置においては、ねじ5,6が、複数、例えば3つ、のねじ付クランプ7によってクランプされているので、ボール付ピン1は、ボール付ピン保持器2内で回転することができない。この実施形態において、これは、皿ばねの影響下にある、例えば、ピン8によって達成される。しかしながら、ピン8はねじ付ピンではない。ねじ付クランプ7が、代わりに、油圧作動、すなわち、ねじ付クランプ7を圧力伝達部品28によってボール付ピン保持器2から離れてリフトさせるに十分な圧力が、ボール付ピン保持器2に作成された流路27を介して、油圧油に印加されることによって、解放される。これは、図2Bにおける断面図に見られる。
【0030】
図1及び2(2A,2B)に示される作動位置において、共同して回転するボール付ピン1及びボール付ピン保持器2はコネクティングロッドの配列の構成要素であるが、しかし、それらは、ストローク方向に力を伝達するために、ボールジョイント31,32によって工具スピンドルに回転自在に連結されている。この作動位置において、歯車形削りプロセスが別の従来の方法で実施される。
【0031】
上述の両油圧システムが、この作動位置から開始して作動された場合、工具スピンドル及びボール付ピンの共同の回転のための両者間の結合は、円錐状のピン3の円錐状のスリーブ13への結合によって達成され、且つ、共同の回転のためのボール付ピン1のボール付ピン保持器への連結は解放される。結果として、スピンドルの電動化された回転は、ボール付ピン1が回転するのを生じさせるのみならず、ねじ5,6の故にボール付ピン1が、例えば、ボール付ピン保持器2からねじられて外されることをもたらす。このセッティングにおいて、工具スピンドルのストローク位置が調節され得る。
【0032】
本発明による方法において、歯車形削り加工は、例えば、特定の作業時間の後に砥ぎ直しを必要とする形削りカッターを用いて行われる。工具スピンドルに結合される新品の工具(又は砥ぎ直し後の古い工具)は、以前に使用された工具よりも、例えば、ΔZだけ小さい軸方向寸法を有し、それ故に、今や形削りカッターが結合されたときに、ストローク位置がΔZだけ誤って設定される。
【0033】
この実施形態の歯車形削り盤は、かかるΔZのストローク位置誤差が容易に修正されるような形削りヘッドスライドを有していない。代わりに、油圧システムが今や起動される。すなわち、歯車形削り作動状態がストローク位置調節状態に切替えられる。ねじ5,6の既知のねじデータのせいで、コンピュータ数値制御(CNC)で制御される歯車形削り盤のコントローラは、ストローク位置がΔZだけ補償されるために、ボール付ピン1がボール付ピン保持器2内でどの程度回転すべきかを決定でき、及びそれに応じて、コンピュータ数値制御(CNC)で制御される、ボール付ピン1に結合されている工具スピンドルのスピンドル駆動部をこの作動位置において、スピンドル駆動部がストローク位置修正ΔZに相当する角度回転するように、起動させることができる。
【0034】
この実施形態において、達成可能なストローク位置変更の最大値は、この方法においては、安定性の理由により凡そ20mmに限られている。このことは、形削りカッターが数回砥ぎ直しされ、及びそれらが、ストローク位置に適切な方法で歯車形削り盤において用いられることを許容している。上述のように、歯車形削り盤がモータによって作動される形削りヘッドスライドを有していないにもかかわらず、ストローク位置は、CNCによって、すなわち、起動信号の入力後、自動的に、及び極めて高い精度で調節される。
【0035】
図3は、コネクティングロッドの配列1、2を経由するクランク機構(50)、及びスピンドル駆動部40によって駆動され、そして形削りカッター60を保持しているスピンドル41の、本発明による配列の関係を示し、作動位置における典型的なスナップショットにおいて、スピンドルの端部11がボール付ピン1に結合されている。対照的に、ボール付ピン1の軸線はストローク長さの調節のために作動位置においてスピンドル軸線に一致することが分かる。
【0036】
図4は、機械のベッド101に形削りヘッドを支持するタワー102を有している歯車形削り盤100の他の典型的なデザインを示し、形削りヘッドスライドは必要ではないが、本発明による配列が位置されてもよい。
【0037】
本発明は、図面に示された特徴に制限されない。むしろ、説明内に開示された個々の特徴及び後続の特許請求の範囲が、個々に又は組合わせて、種々の実施形態において本発明を実現するために必須であり得る。
図1
図2A
図2B
図3
図4