特許第6592079号(P6592079)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社メイク・ア・ボックスの特許一覧 ▶ シーアンドティ マトリックス リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6592079
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】カウンタープレート用の位置決め治具
(51)【国際特許分類】
   B26F 1/00 20060101AFI20191007BHJP
   B26D 7/20 20060101ALI20191007BHJP
   B26F 1/40 20060101ALI20191007BHJP
   B26F 1/44 20060101ALI20191007BHJP
【FI】
   B26F1/00 A
   B26D7/20
   B26F1/40 B
   B26F1/44 H
   B26F1/44 F
【請求項の数】11
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2017-505430(P2017-505430)
(86)(22)【出願日】2016年5月9日
(86)【国際出願番号】JP2016063747
(87)【国際公開番号】WO2016143916
(87)【国際公開日】20160915
【審査請求日】2018年3月22日
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2016/058578
(32)【優先日】2016年3月17日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】302065873
【氏名又は名称】株式会社メイク・ア・ボックス
(73)【特許権者】
【識別番号】318016799
【氏名又は名称】シーアンドティ マトリックス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105809
【弁理士】
【氏名又は名称】木森 有平
(72)【発明者】
【氏名】浅井 和明
【審査官】 飯田 義久
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−067900(JP,U)
【文献】 特開平07−171795(JP,A)
【文献】 特開2002−103289(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26F 1/00
B26D 7/20
B26F 1/40
B26F 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
打抜刃が備わっている抜型と当該打抜刃を下方で受けるカッティングプレートが向き合って配されているシートの打抜機であって、前記カッティングプレートにカウンタープレートを取り付けるために前記抜型の複数箇所に形成された取付穴にそれぞれ下向きで取り付けられる位置決め治具であり、カッティングプレートの上面に位置決めするスライド軸部材と、前記スライド軸部材を収納する収納用穴が形成されたハウジングを備え、前記スライド軸部材は前記ハウジング内を上下移動し、かつ前記ハウジング内の一定の位置に停止可能であり、前記スライド軸部材が前記ハウジングから落下しない構造であるとともに、
前記ハウジングの底面に弾力性を有する弾性部材を配して、その弾性力を利用して、抜型とカッティングプレートが離反するときに前記スライド軸部材の先端をカウンタープレートから取り外すことを特徴とするカウンタープレート用の位置決め治具。
【請求項2】
打抜刃が備わっている抜型と当該打抜刃を下方で受けるカッティングプレートが向き合って配されているシートの打抜機であって、前記カッティングプレートにカウンタープレートを取り付けるために前記抜型の複数箇所に形成された取付穴にそれぞれ下向きで取り付けられる位置決め治具であり、カッティングプレートの上面に位置決めするスライド軸部材と、スライド軸部材を収納する収納用穴が形成されたハウジングと、前記スライド軸部材と前記ハウジングの収納用穴に対応する形状の係止手段を備え、前記スライド軸部材を下向きに引き出したときに前記係止手段に係止され、前記スライド軸部材が前記ハウジングから落下しない構造であるとともに、
前記ハウジングの底面に弾力性を有する弾性部材を配して、その弾性力を利用して、抜型とカッティングプレートが離反するときに前記スライド軸部材の先端をカウンタープレートから取り外すことを特徴とするカウンタープレート用の位置決め治具。
【請求項3】
打抜刃が備わっている抜型と当該打抜刃を下方で受けるカッティングプレートが向き合って配されているシートの打抜機であって、前記カッティングプレートにカウンタープレートを取り付けるために前記抜型の複数箇所に形成された取付穴にそれぞれ下向きで取り付けられる位置決め治具であり、カッティングプレートの上面に位置決めするスライド軸部材と、スライド軸部材を収納する収納用穴が形成されたハウジングを備え、前記ハウジングの収納用穴に下方側に向かって傾斜する穴側傾斜部が係止手段として形成され、前記穴側傾斜部とはその傾斜方向が同じ方向の下方側傾斜部が前記スライド軸部材に形成されており、前記スライド軸部材を下向きに引き出すと下方側のロックがされた状態となることを特徴とするカウンタープレート用の位置決め治具。
【請求項4】
打抜刃が備わっている抜型と当該打抜刃を下方で受けるカッティングプレートが向き合って配されているシートの打抜機において、前記カッティングプレートにカウンタープレートを取り付けるために前記抜型の複数箇所に形成された取付穴にそれぞれ下向きで取り付けられる位置決め治具であり、スライド軸部材を収納する収納用穴が形成されているハウジングと、前記ハウジングに組付けられて位置決めするスライド軸部材と、前記スライド軸部材を係止する係止手段とを備え、前記係止手段が前記スライド軸部材の傾斜部と係止してロックするロック構造が設けられて、前記スライド軸部材を下向きに引き出すと下方側のロックがされた状態となり、前記スライド軸部材を上向きに押し込むと下方側のロックが外れて上方側に移動した後上方側のロックがされた状態となることを特徴とするカウンタープレート用の位置決め治具。
【請求項5】
前記ハウジングの収納用穴に下方側に向かって傾斜する穴側傾斜部が形成され、前記穴側傾斜部とはその傾斜方向が同じでその傾斜角度が異なる下方側テーパが前記スライド軸部材に形成されており、前記スライド軸部材を下向きに引き出すと下方側のロックがされた状態となることを特徴とする請求項3または4記載のカウンタープレート用の位置決め治具。
【請求項6】
前記ハウジングの収納用穴に下方側に向かって傾斜する穴側傾斜部が形成され、前記穴側傾斜部は前記収納用穴の下側の内径よりも上側の内径が大きく設定され、前記穴側傾斜部よりも上側に前記係止手段が配されており、前記スライド軸部材は、前記ハウジングの下に突き出る突出部よりも上側に配されて前記穴側傾斜部とはその傾斜方向が同じでその傾斜角度が異なる下方側傾斜部と、前記下方側傾斜部よりも上側に配されて前記穴側傾斜部とはその傾斜方向が逆の中間傾斜部とが一体的に形成されており、前記スライド軸部材を下向きに引き出すと下限位置で停止するとともに前記下方側のロックがされた状態となり、前記スライド軸部材を上向きに押し込むと上限位置で停止するとともに前記上方側のロックがされた状態となることを特徴とする請求項3または4記載のカウンタープレート用の位置決め治具。
【請求項7】
前記係止手段は、前記ハウジングに一体に設けられた弾性体の付勢力を利用して前記スライド軸部材を係止する構成であることを特徴とする請求項3または4記載のカウンタープレート用の位置決め治具。
【請求項8】
前記係止手段は、板ばね、ボールプランジャ、又は、ばねの付勢力を利用したC型同心止め輪であることを特徴とする請求項4または5記載のカウンタープレート用の位置決め治具。
【請求項9】
前記カウンタープレート用の位置決め治具は、さらに前記ハウジングの底面に弾力性を有する弾性部材を配して、その弾性力を利用して、抜型とカッティングプレートが離反するときに前記スライド軸部材の先端をカウンタープレートから取り外すことを特徴とする請求項4ないし8のいずれか一項記載のカウンタープレート用の位置決め治具。
【請求項10】
前記弾性部材は前記ハウジングと一体成形されていることを特徴とする請求項9記載のカウンタープレート用の位置決め治具。
【請求項11】
前記弾性部材は、前記スライド軸部材を挿通させる孔の内側面に突起部を備え、前記スライド軸部材の先端と前記ハウジングで挟み込まれることにより係止されることを特徴とする請求項9記載のカウンタープレート用の位置決め治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙器の外形となるようシートを打ち抜く打抜機に使用されるカウンタープレート用の位置決め治具に関する。
【背景技術】
【0002】
紙器は、包装容器や紙箱とも呼称される。紙器は、紙、ダンボール、コーティング紙に加えて、複数の紙類や紙類と樹脂や金属との複合材料等からなるシートを打ち抜き折り曲げて貼り合わすことで形成される。紙器は、軽量で持ち運びに便利であり、食品業界、電子部品業界、自動車関連業界など、多くの産業分野で普及している。
【0003】
図40は、打抜機19における、従来の抜型230、カウンタープレート270、及びカッティングプレート240の関係を側面側から模式的に示す構造図である。
打抜機19は、シート100が挿入されると、下定盤192を上昇させて次に降下させて打抜き加工するか、または、上定盤101を下降させて次に上昇させて打抜き加工する(図40)。
打抜機19は、例えば、上定盤191に抜型230が取付けられたチェース500が配され、下定盤192にカッティングプレート240が配される(図40)。カッティングプレート240には、カウンタープレート270が所定位置に貼り付けられる(図40)。
【0004】
抜型230は、帯状の打抜刃260と帯状の押罫部材250が基台210に配置される(図40)。抜型230は、シート100の外形ラインを押し切りするとともに所定位置に罫線102を形成する(図40)。基台210の材質としては、主に合板が用いられているが、プラスチックや硬質金属が用いられる場合もある。チェース500は、抜型230の高さ位置の基準面となる金属板に金属製の枠が付設されているものであり、抜型230の側面をチェース500の枠の内側の壁面に合わせることで抜型230の前後左右の位置の基準としている(図40)。
【0005】
カッティングプレート240は、抜型230に配された打抜刃260の刃先を受ける(図40)。カッティングプレート240の材質は、主に鋼やステンレスなどの硬質金属製である。
【0006】
カウンタープレート270は、面版とも呼称される。カウンタープレート270は、カッティングプレート240に貼り付けられて、シート100を受ける(図40)。カウンタープレート270は、板状やシート状やフィルム状の基板からなり、その下面に塗布された接着剤でカッティングプレート240に貼り付けられて接着される。最近では、カウンタープレート270の基板の裏面にリユース糊を塗布することで、貼ったり剥がしたりして再使用することが可能なカウンタープレートが市場に出回っている。
【0007】
カウンタープレート270は、例えば、抜型230を製作する為のCADデータからNC加工機により抜型230の押罫部材250に対応する位置に溝271を削り加工し、打抜刃260が当接する部位が外周となるよう切除して製作される(図40)。カウンタープレート270の材質は、ABS、PBT、PPS、フェノール樹脂等の合成樹脂製の場合や、鋼やステンレスなどの硬質金属製の場合がある。
【0008】
シート100において紙器となる外形ラインを符号101とすると、抜型230はシート100を外形ライン101で打ち抜くとともに折り筋102を付与するものであり、この打抜き加工の際は、抜型210に配されたゴム部材265によってシート100を動かないように押さえながら、切断しつつ、折り筋102を付与する(図40)。
つまり、シート100を打抜刃260で所定の形状に裁断するとともに(符号101の個所)、押罫部材250とカウンタープレート270の溝部271とで所要部に折り筋102を複数刻設し、ブランク100(打ち抜いたシート100)を形成する。そして、ブランク100をその折り筋102に沿って谷折りし糊代を貼り合わせるなどして紙器を組み立てる。
【0009】
前記打抜き加工においては、1回の動作で1つのブランク100を形成する場合と、1回の動作で複数のブランク100を同時に形成する場合とがある。
図41は、多数個取りの場合の従来の抜型22を、打抜刃260の刃先を手前側にした状態で例示する図である。また、図42は、多数個取りの場合の従来のカッティングプレート240を、カウンタープレート270を手前側にした状態で例示する図である。図41図42に示す例では、1回の動作で同時に4つのブランク100を形成する。
【0010】
カウンタープレートをカッティングプレートに取り付ける方法としては、特許文献1〜3に示す方法が従来技術として文献公知となっている。
【0011】
特許文献1〜3記載の方法においても、図40に示す方法のように、位置決め治具400を、抜型の基台200の複数箇所に形成された取付穴290にそれぞれ取り付け固定して使用する。
既知の位置決め治具400は、基台200の取付穴290に圧入され固定されている円筒形状のハウジング401と、ハウジング401に組付けられている軸部材402と、基台200の下面200aと軸部材402との間に挟まっている円環状の係止手段403とから構成される(図40)。
カウンタープレート270は、抜型230の基台210の取付穴290に一対一で対応する位置に複数の貫通穴272が形成されている(図40図42)。
位置合わせ用のマーク部材300は、円板状若しくは円環状の係止手段からなり、その下面に塗布された接着剤でカッティングプレート240に貼り付けられて接着される(図40図42)。場合によっては、マーク部材300に磁石を組み合わせて、その磁石の磁力でカッティングプレート240に貼り付けられることがある。
【0012】
従来、カウンタープレート270をカッティングプレート240に取り付ける手順は、位置合わせ用のマーク部材300を、位置決め治具400の軸部材402の下端に形成された窪み404に嵌め込んだ状態で、抜型230の打抜刃260をカッティングプレート240に当接させることでカッティングプレートの上面240aにマーク部材300を取り付け固定し、マーク部材300の位置を基準にしてカウンタープレート270をカッティングプレートの上面240aに取り付ける(図40図42)。すなわち、カウンタープレート270の貫通穴272の内周をマーク部材300の外周に合わせて位置決めし、カウンタープレート270をカッティングプレートの上面240aに取り付ける(図40図42)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第4772144号公報
【特許文献2】特許第5123276号公報
【特許文献3】米国特許第8,323,163B2号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
特許文献1〜3記載の従来技術は、多数回、シート100を打ち抜くなどすると、基台200の下面200aと軸部材402との間に挟まっている円環状の係止手段からなる弾性リング403の弾性力が低下して、ハウジング401と軸部材402との組み付けにガタが生じ易くなる(図40)。
【0015】
また、軸部材402は、マーク部材300をカッティングプレートの上面240aに確実に当接させるための高さを有しているので、軸部材402を取り付けたまま通常の打ち抜き作業を行うと、シート100をこの打ち抜き部に搬送するときに接触して正常な搬送の障害となることも多く、たとえ搬送の障害とはならなくとも、シート100の打ち抜き作業を行うとシート100にこの軸部材402の痕跡を残してしまい、打抜き不良となる。このため、従来はカッティングプレートの上面240aにマーク部材300を取り付けた後、再度打抜き機からチェース500とともに抜き型230を引き出して、すべての軸部材402を抜型230から取り外して、再度打抜き機にチェース500とともに抜き型230を装填してから、シート100を打ち抜く方法が採られている。
しかしながら、軸部材402を抜型230から取り外す作業は煩雑である。
【0016】
そこで、本願発明者は鋭意研究し、位置決め治具の構造を抜本的に見直すことで、抜型から軸部材を取り外す必要がなく、打抜き作業中も脱落することがなく抜き型作業に悪影響を与えないカウンタープレート用の位置決め治具を開発し商品化するに至った。
【0017】
本発明の目的は、カウンタープレートをカッティングプレートの所定位置に取り付けることを容易としつつ、打ち抜き作業のために軸部材を取り外す必要がなく、抜型から脱落することがなく、また、装着のままでもシートと当接することがない新規な構造のカウンタープレート用の位置決め治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明のカウンタープレート用の位置決め治具は、打抜刃が備わっている抜型と当該打抜刃を下方で受けるカッティングプレートが向き合って配されているシートの打抜機であって、前記カッティングプレートにカウンタープレートを取り付けるために前記抜型の複数箇所に形成された取付穴にそれぞれ下向きで取り付けられる位置決め治具であり、カッティングプレートの上面に位置決めするスライド軸部材と、前記スライド軸部材を収納する収納用穴が形成されたハウジングを備え、前記スライド軸部材は前記ハウジング内を上下移動し、かつ前記ハウジング内の一定の位置に停止可能であり、前記スライド軸部材が前記ハウジングから落下しない構造であるとともに、前記ハウジングの底面に弾力性を有する弾性部材を配して、その弾性力を利用して、抜型とカッティングプレートが離反するときに前記スライド軸部材の先端をカウンタープレートから取り外すことを特徴とする。
ここで「一定の位置に停止可能」とは、ハウジング内においてスライド軸部材を決まった位置に停止することが可能であるということであり、実施例においては、「一定の位置」とは、「上限位置」および「下限位置」である。
本発明によれば、スライド軸部材をハウジングから下方へ引き出して下限位置で停止させ、抜型とカッティングプレートを近づけてマーク部材をカッティングプレートに取り付けることや、カッティングプレート上にカウンタープレートを取り付けることが可能でかつマーク部材をカッティングプレートに取り付けた後もしくはカッティングプレート上にカウンタープレートを取り付けた後は、スライド軸部材がハウジング内上方へ押し込まれて上限位置で停止し、打ち抜き刃の先端の位置よりも上方位置まで押し込まれるため、スライド軸部材が装着されたままでも、通常の打ち抜き作業が可能となる。
また本発明によれば、スライド軸部材をハウジング内において一定の位置に停止可能であるため、抜型からスライド軸部材を取り外さなくても打抜機の他の部材に衝突することなく通常の打抜き作業を行うことができる。
また本発明によれば、前記スライド軸部材がハウジングの下方から外れない構造となっているため、抜型からスライド軸部材を取り外す必要がなく、打抜き作業中も脱落することがない。
また、本発明のカウンタープレート用の位置決め治具は、打抜刃が備わっている抜型と当該打抜刃を下方で受けるカッティングプレートが向き合って配されているシートの打抜機であって、前記カッティングプレートにカウンタープレートを取り付けるために前記抜型の複数箇所に形成された取付穴にそれぞれ下向きで取り付けられる位置決め治具であり、カッティングプレートの上面に位置決めするスライド軸部材と、スライド軸部材を収納する収納用穴が形成されたハウジングと、前記スライド軸部材と前記ハウジングの収納用穴に対応する形状の係止手段を備え、前記スライド軸部材を下向きに引き出したときに前記係止手段に係止され、前記スライド軸部材が前記ハウジングから落下しない構造であるとともに、前記ハウジングの底面に弾力性を有する弾性部材を配して、その弾性力を利用して、抜型とカッティングプレートが離反するときに前記スライド軸部材の先端をカウンタープレートから取り外すことを特徴とする。前記係止手段は、ハウジングのスライド軸部材を収納する収納用穴に沿うように突出して形成されていても良く、後述の係止手段材のような別部材が配置されるものでも良く、前記スライド軸部材と前記ハウジングの収納用穴に対応する形状の係止手段が設けられていれば、係止手段は、前記スライド軸部材に設けられるものでも良い。ここで、スライド軸部材は、カッティングプレートの上面にマーク部材を取り付けた後は上方に移動することが好ましい。
本発明によれば、例えば、前記スライド軸部材として、前記ハウジングに収納された状態で係止する外周部が前記ハウジングの収納用穴の径よりも大きな径の係止手段が設けることで、前記スライド軸部材がハウジングから外れない構造として、抜型からスライド軸部材を取り外す必要がなく、打抜き作業中も脱落することがないようにする。
【0019】
また、本発明のカウンタープレート用の位置決め治具は、打抜刃が備わっている抜型と当該打抜刃を下方で受けるカッティングプレートが向き合って配されているシートの打抜機であって、前記カッティングプレートにカウンタープレートを取り付けるために前記抜型の複数箇所に形成された取付穴にそれぞれ下向きで取り付けられる位置決め治具であり、カッティングプレートの上面に位置決めするスライド軸部材と、スライド軸部材を収納する収納用穴が形成されたハウジングを備え、前記ハウジングの収納用穴に下方側に向かって傾斜する穴側傾斜部が係止手段として形成され、前記穴側傾斜部とはその傾斜方向が同じ方向の下方側傾斜部が前記スライド軸部材に形成されており、前記スライド軸部材を下向きに引き出すと下方側のロックがされた状態となることを特徴とする。前記穴側傾斜部としては、テーパで形成することが好ましい。
本発明によれば、ハウジングの穴側傾斜部(係止手段)と、スライド軸部材の下方側傾斜部が隙間なく嵌合することで(穴側傾斜部が下方側傾斜部に当接する状態)、ハウジングの収納用穴とスライド軸部材の正確な同軸度を得られ、前記カッティングプレートに前記カウンタープレートを正確な位置で取り付けることが容易となる。
【0020】
また、本発明のカウンタープレート用の位置決め治具は、打抜刃が備わっている抜型と当該打抜刃を下方で受けるカッティングプレートが向き合って配されているシートの打抜機であって、前記カッティングプレートにカウンタープレートを取り付けるために前記抜型の複数箇所に形成された取付穴にそれぞれ下向きで取り付けられる位置決め治具であり、スライド軸部材を収納する収納用穴が形成されているハウジングと、前記ハウジングに組付けられて位置決めするスライド軸部材と、前記スライド軸部材を係止する係止手段とを備え、前記係止手段が前記スライド軸部材の傾斜部と係止してロックするロック構造が設けられて、前記スライド軸部材を下向きに引き出すと下方側のロックがされた状態となり、前記スライド軸部材を上向きに押し込むと下方側のロックが外れて上方側に移動した後上方側のロックがされた状態となることを特徴とする。ここで、前記係止手段としては、スライド軸部材を挟み込む挟持部材であったり、スライド軸部材の外周に弾性力(付勢力)を発揮させるものが好ましい。そしてこれらの係止手段の先端側は、スライド軸部材と接触しながら軸方向分力に打ち勝って下方側のロックが外れたり、前記係止手段が前記下方側傾斜部に当接する作用を発揮させることが好ましい。
本発明によれば、前記下方側のロックがされた状態で位置合わせ用のマーク部材をカッティングプレートに当接させるが、その後さらに前記打ち抜き刃がカッティングプレートに当接するまでに、前記軸方向分力に打ち勝って前記下方側のロックが外れ、前記係止手段が前記下方側傾斜部に当接することにより前記係止手段が軸中心方向へ向かう力の下方側傾斜部斜面に働く先の動作とは逆方向の軸方向分力によりスライド軸部材は上方へ移動し、この移動力によりスライド軸部材はハウジングの上端に押し当てられ、上方側のロックがされた状態となる。したがって、前記スライド軸部材が装着されたままでも打ち抜き作業にてスライド軸部材がシートに当接することがないので、スライド軸部材がハウジングに装着されたままでも支障はない。
【0021】
本発明としては、前記ハウジングの収納用穴に下方側に向かって傾斜する穴側傾斜部が形成され、前記穴側傾斜部とはその傾斜方向が同じでその傾斜角度が異なる下方側テーパが前記スライド軸部材に形成されており、前記スライド軸部材を下向きに引き出すと下方側のロックがされた状態となることを特徴とする。
本発明によれば、ハウジングの穴側傾斜部(係止手段)と、スライド軸部材の下方側テーパが隙間なく嵌合することで(穴側傾斜部が下方側テーパに当接する状態)、ハウジングの収納用穴とスライド軸部材の正確な同軸度を得られ、前記カッティングプレートに前記カウンタープレートを正確な位置で取り付けることが容易となる。
【0022】
本発明は、前記係止手段は、前記ハウジングに一体に設けられた弾性体の付勢力を利用して前記スライド軸部材を係止する構成であることを特徴とする。
本発明によれば、前記下方側のロックと前記上方側のロックを繰り返し行うことが容易となり、信頼性が向上する。また、前記係止手段と前記ハウジングを一体的に形成することで、部品点数が削減できる。
【0023】
本発明は、前記係止手段としては、ボールプランジャ、板ばね、ばねの付勢力を利用したC型同心止め輪であることを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、前記ハウジングの外径を変更せずに前記係止手段の動作範囲を大きくすることが容易となり、前記スライド軸部材をロックする力を調整し易い。
【0025】
本発明によれば、前記ハウジングの長さを変更せずに前記係止手段の動作範囲を大きくすることが容易となり、前記スライド軸部材をロックする力を調整し易い。
【0026】
ここで、本発明において、さらに前記ハウジングの底面に弾力性を有する弾性部材を配して、前記スライド軸部材の先端を押し戻して取り外すようにすることが好ましい。
本発明によれば、弾性部材がハウジングの底面に設けられていることによって、カウンタープレートをカッティングプレートに取り付ける際に、弾性部材の弾性力によって、カウンタープレートの穴からスライド軸部材の先端(第3の軸)を適切に取り外すことが可能となり、カウンタープレートはカッティングプレート上の正確な位置に取り付けることができる。
また本発明のカウンタープレート用の位置決め治具は、前記弾性部材は前記ハウジングと一体成形されていることを特徴とする。
本発明によれば、ハウジングと弾性部材を一体成形することが可能であるため、簡単かつ安価に位置決め治具を製造することが可能となる。
さらに本発明のカウンタープレート用の位置決め治具は、前記弾性部材が、孔の内側面に突起部を備え、前記スライド軸部材と前記ハウジングで前記突起部を挟み込むことにより前記弾性部材を係止することを特徴とする。
本発明によれば、スライド軸部材を下限位置まで引き出した場合は、ハウジングの底面と皿状部材の上面の間に弾性部材(突起部)が挟まれた状態となり弾性部材が位置決め治具から外れることがない。さらにスライド軸部材4が上限位置にある場合、ハウジングの底面と皿状部材の上面の間で弾性部材(突起部)が挟まれた状態となり弾性部材5が位置決め治具1から外れることがない。よって、ハウジングと一体成形せずに別の部材として形成しても弾性部材がハウジングの底面から外れることがない。
【0027】
本発明としては、前記ハウジングの収納用穴に下方側に向かって傾斜する穴側傾斜部が形成され、前記穴側傾斜部は前記収納用穴の下側の内径よりも上側の内径が大きく設定され、前記穴側傾斜部よりも上側に前記係止手段が配されており、前記スライド軸部材は、前記ハウジングの下に突き出る突出部よりも上側に配されて前記穴側傾斜部とはその傾斜方向が同じでその傾斜角度が異なる下方側傾斜部と、前記下方側傾斜部よりも上側に配されて前記穴側傾斜部とはその傾斜方向が逆の中間傾斜部とが一体的に形成されており、前記スライド軸部材を下向きに引き出すと下限位置で停止するとともに前記下方側のロックがされた状態となり、前記スライド軸部材を上向きに押し込むと上限位置で停止するとともに前記上方側のロックがされた状態となることが好ましい。
【0028】
本発明によれば、前記スライド軸部材を下向きに引き出すと前記穴側傾斜部に前記下方側傾斜部が当接して下限位置で停止するとともに前記係止手段が前記中間傾斜部(上方側のロック位置)に当接し、係止手段が軸中心方向へ向かう力の中間傾斜部斜面に働く軸方向分力によって前記穴側傾斜部に前記下方側傾斜部が押し当てられた状態で、前記下方側のロックがされた状態となる。この状態ではハウジングの穴側傾斜部と、軸の下方側傾斜部が隙間なく嵌合しているので、ハウジングと軸の正確な同軸度を得られ、前記カッティングプレートに前記カウンタープレートを正確な位置で取り付けることが容易となる。また、前記下方側のロックがされた状態で、前記スライド軸部材に前記カウンタープレートを取り付けるときの位置合わせ用のマーク部材を装着して、前記打抜機を操作すると、最初に前記マーク部材がカッティングプレートに当接し、その後さらに前記打ち抜き刃がカッティングプレートに当接するまでに、前記軸方向分力に打ち勝って前記下方側のロックが外れ、前記係止手段が前記下方側傾斜部に当接することにより前記係止手段が軸中心方向へ向かう力の下方側傾斜部斜面に働く先ほどとは逆方向の軸方向分力によりスライド軸部材は上方へ移動し、この移動力によりスライド軸部材はハウジングの上端に押し当てられ、上方側のロックがされた状態となる。なお、マーカ部材を用いないで、スライド軸部材を上下動させるタイプの位置決め部材があり、この場合は、カウンタープレートに対して上下動することとなる。
【0029】
本発明としては、前記スライド軸部材の下端を前記打抜刃の下端と同じかそれよりも下の位置となるように下向きに引き出すと下限位置で停止するとともに前記下方側のロックがされた状態となり、前記スライド軸部材の下端を前記打抜刃の下端よりも上の位置となるように上向きに押し込むと上限位置で停止するとともに前記上方側のロックがされた状態となることが好ましい。
本発明によれば、打ち抜き作業にて前記スライド軸部材が前記抜型から脱落することがなく、また、打ち抜き作業にて前記スライド軸部材がシートに当接することがない。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、前記カッティングプレートに前記カウンタープレートを正確な位置で取り付けることが容易となり、打ち抜き作業にて前記抜型から脱落することがなく、従来の治具を取り外す作用が必要なくなる。また、前記スライド軸部材が装着されたままでも打ち抜き作業にて前記スライド軸部材がシートに当接することがないので、打ち抜き作業に支障はない。
そして、本発明において、さらに前記ハウジングの底面に弾力性を有する弾性部材を配して、前記スライド軸部材の先端を押し戻して取り外すようにすることにより、カウンタープレートをカッティングプレートに取り付ける際に、弾性部材の弾性力によって、スライド軸部材の先端を適切に取り外すことが可能となり、カウンタープレートはカッティングプレート上の正確な位置に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の第1の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第1の例を示す正面図である。
図2】上記第1の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第1の例を示す右側面図である。
図3】上記第1の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第1の例を示す平面図である。
図4】上記第1の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第1の例を示す底面図である。
図5】上記第1の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第1の例を示す断面図であり、スライド軸部材を上向きに押し込んだ上限位置の状態を示す図である。
図6】上記第1の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第1の例を示す断面図であり、スライド軸部材を下向きに引き出している途中の状態を示す図である。
図7】上記第1の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第1の例を示す断面図であり、スライド軸部材を下向きに引き出した下限位置の状態を示す図である。
図8】上記第1の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第1の例に係るスライド軸部材を示す正面図である。
図9】上記第1の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第1の例に係るハウジングを示す断面図である。
図10】本発明の第1の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第2の例を示す断面図であり、スライド軸部材を上向きに押し込んだ上限位置の状態を示す図である。
図11】上記第1の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第2の例を示す断面図であり、スライド軸部材を下向きに引き出している途中の状態を示す図である。
図12】上記第1の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第2の例を示す断面図であり、スライド軸部材を下向きに引き出した下限位置の状態を示す図である。
図13】上記第1の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第2の例に係る係止手段を示す平面図である。
図14】上記第1の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第2の例に係る係止手段を示す正面図である。
図15】本発明の第1の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第3の例を示す断面図であり、スライド軸部材を上向きに押し込んだ上限位置の状態を示す図である。
図16】上記第1の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第3の例を示す断面図であり、スライド軸部材を下向きに引き出している途中の状態を示す図である。
図17】上記第1の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第3の例を示す断面図であり、スライド軸部材を下向きに引き出した下限位置の状態を示す図である。
図18】上記第1の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第3の例に係る係止手段を示す正面図である。
図19】上記第1の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第3の例に係る係止手段を示す左側面図である。
図20】本発明の第1の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第4の例を示す断面図であり、スライド軸部材を上向きに押し込んだ上限位置の状態を示す図である。
図21】本発明の第1の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具を打抜機の抜型に取り付けた場合の前記抜型とカッティングプレートとの関係を模式的に示す断面図であり、前記カウンタープレートを取り付けるときの位置合わせ用のマーク部材を前記位置決め治具のスライド軸部材の下側に取り付けた状態を示す図である。
図22】上記第1の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具を打抜機の抜型に取り付けた場合の前記抜型とカッティングプレートとの関係を模式的に示す断面図であり、前記カウンタープレートを取り付けるときの位置合わせ用のマーク部材を前記カッティングプレートに取り付けるときの状態を示す図である。
図23】上記第1の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具を打抜機の抜型に取り付けた場合の前記抜型とカッティングプレートとの関係を模式的に示す断面図であり、前記カウンタープレートを取り付けるときの位置合わせ用のマーク部材を前記カッティングプレートに取り付けた状態を示す図である。
図24】上記第1の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具を打抜機の抜型に取り付けた場合の前記抜型とカッティングプレートとの関係を模式的に示す断面図であり、前記カウンタープレートを前記カッティングプレートに取り付けた状態を示す図である。
図25】上記第1の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具を打抜機の抜型に取り付けた場合の前記抜型を、打抜刃の刃先を手前側にした状態で示す図である。
図26】本発明の第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第1の例を示す断面図であり、スライド軸部材を上向きに押し込んだ上限位置の状態を示す図である。
図27】上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第1の例を示す断面図であり、スライド軸部材を下向きに引き出している途中の状態を示す図である。
図28】上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第1の例を示す断面図であり、スライド軸部材を下向きに引き出した下限位置の状態を示す図である。
図29】上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第1の例に係るスライド軸部材を示す正面図である。
図30】上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第1の例に係るハウジングを示す断面図である。
図31】本発明の第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第2の例を示す断面図であり、スライド軸部材を上向きに押し込んだ上限位置の状態を示す図である。
図32】本発明の第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具を打抜機の抜型に取り付けた場合の前記抜型とカッティングプレートとの関係を模式的に示す断面図であり、前記カウンタープレートを前記位置決め治具のスライド軸部材の下側に取り付けた状態を示す図である。
図33】上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具を打抜機の抜型に取り付けた場合の前記抜型とカッティングプレートとの関係を模式的に示す断面図であり、前記カウンタープレートを前記カッティングプレートに取り付けるときの状態を示す図である。
図34】上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具を打抜機の抜型に取り付けた場合の前記抜型とカッティングプレートとの関係を模式的に示す断面図であり、前記カウンタープレートを前記カッティングプレートに取り付けた状態を示す図である。
図35】上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具を打抜機の抜型に取り付けた場合の前記抜型を、打抜刃の刃先を手前側にした状態で示す図である。
図36】本発明の第1の実施形態に係るカウンタープレート用の位置決め治具を示す平面図である。
図37】上記第1の実施形態に係るカウンタープレート用の位置決め治具を示す断面図である。
図38】本発明の第1の実施形態に係るカウンタープレート用の位置決め治具を示す平面図である。
図39】上記第1の実施形態に係るカウンタープレート用の位置決め治具の第2の例を示す断面図である。
図40】既知の打抜機における抜型、カウンタープレート及びカッティングプレートの関係を示す断面図である。
図41】既知の抜型を、打抜刃の刃先を手前側にした状態で示す図である。
図42】既知のカッティングプレートを、カウンタープレートを手前側にした状態で示す図である。
図43】上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第3の例を示す正面図である。
図44】上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第3の例を示す右側面図である。
図45】上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第3の例を示す平面図である。
図46】上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第3の例を示す底面図である。
図47】上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第3の例を示す断面図であり、スライド軸部材を下向きに引き出した下限位置の状態を示す図である。
図48】上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第3の例を示す断面図であり、スライド軸部材を上向きに押し込んだ上限位置の状態を示す図である。
図49】上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第3の例を打抜機の抜型に取り付けた場合の前記抜型とカッティングプレートとの関係を模式的に示す断面図であり、前記カウンタープレートを前記位置決め治具のスライド軸部材の下側に取り付けた状態を示す図である。
図50】上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第3の例を打抜機の抜型に取り付けた場合の前記抜型とカッティングプレートとの関係を模式的に示す断面図であり、前記カウンタープレートを前記カッティングプレートに取り付けるときの状態を示す図である。
図51】上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第3の例を打抜機の抜型に取り付けた場合の前記抜型とカッティングプレートとの関係を模式的に示す断面図であり、前記カウンタープレートを前記カッティングプレートに取り付けた状態を示す図である。
図52】上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第3の例に係るスライド軸部材を示す正面図である。
図53】上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第3の例に係るハウジングを示す断面図である。
図54】上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第3の例に係る弾性部材を示す斜視図である。
図55】上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第4の例を示す断面図であり、スライド軸部材を下向きに引き出した下限位置の状態を示す図である。
図56】上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第4の例に係る弾性部材を示す斜視図である。
図57】上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第4の例に係る弾性部材を示す平面図である。
図58】上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第4の例を示す断面図であり、スライド軸部材を上向きに押し込んだ上限位置の状態を示す図である。
図59】上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第5の例を示す正面図である。
図60】上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第5の例を示す右側面図であり、スライド軸部材を下向きに引き出した下限位置の状態を示す図である。
図61】上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第5の例に係る弾性部材を示す正面図である。
図62】上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第5の例を示す右側面図であり、スライド軸部材を上向きに押し込んだ上限位置の状態を示す図である。
図63】上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第6の例を示す右側面図である。
図64】上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第6の例を示す断面図であり、スライド軸部材を下向きに引き出した下限位置の状態を示す図である。
図65】上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第6の例を示す断面図であり、スライド軸部材を上向きに押し込んだ上限位置の状態を示す図である。
図66】上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第6の例に係る弾性部材を示す斜視図である。
図67】上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第6の例に係る弾性部材を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を実施する具体的な形態について図面を用いて説明する。
【0033】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具1は、打抜刃260が備わっている抜型205と当該打抜刃260を下方で受けるカッティングプレート240が向き合って配されているシートの打抜機19において、カッティングプレート240にカウンタープレート270を取り付けるために抜型205の複数箇所に形成された取付穴290にそれぞれ下向きで取り付けられて使用される(図24参照)。そして、スライド軸部材4を出し入れする収納用穴29が形成されているハウジング2と、前記ハウジング2に組付けられて位置決めのためのマーク部材300をカッティングプレート240の上側に前記マーク部材300を取り付けるスライド軸部材4と、前記ハウジング2内でスライド軸部材4を挟み込む力を調整する係止手段(挟持手段)3とを備え、カウンタープレート270を取り付けるときの位置合わせ用のマーク部材300をカッティングプレート240に取り付ける治具である(図21ないし図23参照)。
【0034】
図36は本実施形態に係る位置合わせ用のマーク部材300の第1の例を示す平面図であり、図37はその断面図である。位置合わせ用のマーク部材300は円板形状である。マーク部材300は、例えば、ウレタンフォームなどのスポンジからなる係止手段3であり、下面に両面テープなどのシート状の接着剤が配されている。
【0035】
(第1の例)
図1は、第1の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具1の第1の例を示す正面図である。図2は、本実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具1の第1の例を示す右側面図である。図3は、本実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具1の第1の例を示す平面図である。図4は、本実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具1の第1の例を示す底面図である。また、図5図7は、本実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具1の第1の例を示す断面図であり、図2のA−A線断面図と対応している。ここで、図5はスライド軸部材4を上向きに押し込んだ上限位置の状態を示す図である。図6はスライド軸部材4を下向きに引き出している途中の状態を示す図である。図7はスライド軸部材4を下向きに引き出した下限位置の状態を示す図である。そして、図8は本実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具1の第1の例に係るスライド軸部材4を示す正面図である。図9は本実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具1の第1の例に係るハウジング2を示す断面図である。
【0036】
本実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具1は、円筒形状のハウジング2と、ハウジング2に組付けられているスライド軸部材4と、ハウジング2内でスライド軸部材4に対して下方側のロックと上方側のロックを交互にする係止手段3から構成される(図1図9)。ここで、ハウジング2とスライド軸部材4は回転対称形状であり、いずれもP1−P1線を中心線としている(図5図7)。
【0037】
ハウジング2の円筒形状の本体の内側には係止手段3が配されている(図5図7図9)。第1の例では、係止手段3は片側固定されており、弾性体の付勢力を利用して、下端側の突起31がスライド軸部材4を係止する構成である(図5図7図9)。第1の例では、ハウジング2と、係止手段3は一体形成されている。係止手段3の先端は半球形状を呈しており、この半球形状の先端部が下方側傾斜部42等と接触する。ハウジング2は、例えば、硬質プラスチック、硬質金属、またはこれらの複合材料からなる。係止手段3は、前記スライド軸部材4の上下移動を許容しつつ下方側のロックと上方側のロックを交互にするロック手段として係止力を発揮し、また、この係止力に抗する力を利用してロック解除する手段である。第1の例では、ハウジング2の側面は、係止手段3の両側には窓部25が形成されており、窓部25の上下の長さを長くすることで係止手段3の可動範囲を大きく設定できる(図2)。
【0038】
ハウジング2は、円筒形状の本体に貫通穴29が形成されている(図9)。ハウジング2の穴側傾斜部21は下側の内径よりも上側の内径が大きく設定されている(図30)。前記貫通穴のハウジング2の下端面2a側の径は、下方側に向かって徐々に径が小さくなっている。
ハウジング2は下から上に向かって順に、穴側傾斜部21、窓部25が、貫通穴29に沿うようにして形成されている(図9)。ハウジング2の穴側傾斜部21は下側の内径よりも上側の内径が大きく設定され、穴側傾斜部21よりも上側に係止手段3が配されている(図9)。
【0039】
スライド軸部材4は、位置合わせ用のマーク部材300を取り付けるためのものであり、円柱形状の本体の下に皿状部材41が配されている(図5図7)。皿状部材41には、位置合わせ用のマーク部材300を取り付ける窪み414がある(図5図7)。皿状部材41の下端面は符号41aであり、皿状部材41の上端面は符号41bである。スライド軸部材4が上方に移動するとき、皿状部材41の上面がハウジング2の底面2aと接触して、その移動を停止する。
スライド軸部材4は下から上に向かって順に、皿状部材41、下方側軸45、下方側傾斜部42、中間傾斜部43、第2の軸47が一体形成されている。皿状部材41と下方側軸45は、スライド軸部材4の突出部を構成する。スライド軸部材4は、例えば、硬質プラスチック、硬質金属、またはこれらの複合材料からなる。なお、符号H1は皿状部材41の厚みを示す(図23)。
【0040】
スライド軸部材4の下方側傾斜部42は、ハウジング2の穴側傾斜部21とその傾斜方向が同じでその傾斜角度が近似しているが異なる(図5図7)。スライド軸部材4の中間傾斜部(上方側のロック位置)43は、ハウジング2の穴側傾斜部21とその傾斜方向が逆である。つまり、中間傾斜部(上方側のロック位置)43は、下方側傾斜部42とその傾斜方向が逆である(図8)。そして、スライド軸部材4の上下の長さ寸法は大きい順に、下方側軸(突出部)45の長さL5、下方側傾斜部42の長さL2、中間傾斜部43の長さL3の順となっている(図8)。つまり、L5>L2>L3の関係となっている(図8
【0041】
次に、本例を使用した位置決め治具1の使用方法を説明する。
前記スライド軸部材4の下端が前記打抜刃260の下端260aと同じかそれよりも下の位置となるまで前記スライド軸部材4を引き出す。なお、本発明の位置決め治具をカウンタープレート240を取り付けるために前記抜型の複数箇所に形成された取付穴290に圧入するときは、前記スライド軸部材4を引き出した状態で圧入させても、圧入させてからスライド軸部材を引き出しても良い。スライド軸部材を引き出すに際しては、手動で(指で)引き出すかペンチなどの工具で引き出す。また、ハウジング2に貫通穴29が形成されているので、その上方側から手動で(指で)引き出すかペンチなどの工具でスライド軸部材4を引き出した後に、この状態の位置決め治具1をカウンタープレート240を取り付けるため取付穴290に圧入しても良い。
前記下方側のロックがされた状態で前記カウンタープレート270を取り付けるときの位置合わせ用のマーク部材300を前記スライド軸部材4の下側に取り付けて、前記打抜刃260を前記カッティングプレート240に当接させることで前記カッティングプレート240の上側に前記マーク部材300を取り付けて、前記マーク部材300の取付位置に合わせて前記カウンタープレート270を取り付ける。または、前記スライド軸部材4の下端が前記打抜刃260の下端260aや或いは罫線部材250の先端と同じかそれよりも下の位置となるまで前記スライド軸部材4を引き出して、前記下方側のロックがされた状態で前記カウンタープレート270を前記スライド軸部材4の下側に取り付けて、前記打抜刃260を前記カッティングプレート240に当接させることで前記カッティングプレート240の上側に前記カウンタープレート270を取り付ける。なお、符号265は打抜刃260の外周に配されるラバーであり、その厚みを符号H3とする。また、スライド軸部材4の下方側への引き出した状態の位置を符号H5とすると、図21においてH5>H3になる。
マーカ部材300が取り付けられると、スライド軸部材4は更に前記係止手段3の係止力に抗しながら押し込んだ後今度は上方に移動するスライド動作をする。すなわち、前記カッティングプレート240の上方移動により、前記スライド軸部材4の下端を前記打抜刃260の下端よりも上の位置となるように上向きに押し込まれると、下方側傾斜部42がスライド軸部材4の先端半球状部分を超えて下方側傾斜部42の根元部分に前記半球状部分が位置して、上端部で停止するとともに上方側のロックがされた状態となる(図5)。このとき前記皿上部41の上面がハウジングの下端面と接触する。このときの位置は、打ち抜き刃260の先端260aの位置(或いは罫線部材25の下方先端よりも情報位置)よりも上方位置まで押し込まれる(図23)。したがって、前記スライド軸部材4が装着されたままでも打ち抜き作業にて前記スライド軸部材4の下方側先端が加工用のシート100に当接することがない。
ここで、係止手段3の先端半球状部分は、打ち抜き刃260がカッティングプレート270に当接するまでに、軸方向分力(図5中の符F参照)に打ち勝って前記下方側のロックが外れ(図7)、係止手段4が上方側に移動して、前記下方側傾斜部42に当接することにより係止手段3が軸中心方向へ向かう力の下方側傾斜部斜面21に働く力とは逆方向の軸方向分力によりスライド軸部材4は上方へ移動し、この移動力によりスライド軸部材4はハウジング2の上端に押し当てられる(図5)。
【0042】
(第2の例)
図10図12は、第1の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具1の第2の例を示す断面図である。図10はスライド軸部材4を上向きに押し込んだ上限位置の状態を示す図である。図11はスライド軸部材4を下向きに引き出している途中の状態を示す図である。図12はスライド軸部材4を下向きに引き出した下限位置の状態を示す図である。なお、スライド軸部材4は第1の例と同じものである。
【0043】
本実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具1は、円筒形状のハウジング2と、ハウジング2に組み付けられているスライド軸部材4と、ハウジング2内でスライド軸部材4に対して下方側のロックと上方側のロックを交互にする係止手段3から構成される(図10図12)。ここで、ハウジング2は回転対称であり、P1−P1線を中心線としている(図10図12
【0044】
ハウジング2の円筒形状の本体の内側には係止手段3が配されている(図10図12)。この係止手段3は図13に平面形状を表し、図14に正面形状を表している。この係止手段3は無負荷状態では内径がスライド軸部材4の下方側軸45及び軸部47よりも小さく、バネ材等の弾性力を有する材料で作られている。第2の例では係止手段33はハウジング内部の収納溝27に収納されその内部にスライド軸部材4が貫通しており、スライド軸部材4を締め付ける力が径方向に働いている(図10図12)。
【0045】
ハウジング2は、円筒形状の本体に貫通穴29が形成されている(図10図12)。ハウジング2は下から上に向かって順に、穴側傾斜部21、収納溝27、上方側傾斜部24が貫通穴29に沿うように形成されている(図10〜12)。ハウジング2の穴側傾斜部21は下側の内径よりも上側の内径が大きく設定されている(図10〜12)。したがって、下方側への移動よりも上方側への移動が移動しやすい構造になっている。
したがって、本実施の形態では、前記スライド軸部材4は、前記係止手段3の係止力(付勢力)に抗しながら、前記スライド軸部材4を下向きに引き出すと下方側のロックがされた状態となり、前記係止手段3の係止力(付勢力)に抗しながら、前記スライド軸部材4を上向きに押し込むと下方側のロックが外れて上方側に移動した後上方側のロックがされた状態となる。
【0046】
(第3の例)
図15図17は、第1の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具1の第3の例を示す断面図である。図15はスライド軸部材4を上向きに押し込んだ上限位置の状態を示す図である。図16はスライド軸部材4を下向きに引き出している途中の状態を示す図である。図17はスライド軸部材4を下向きに引き出した下限位置の状態を示す図である。なお、スライド軸部材4は第1の例と同じものである。
【0047】
本実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具1は、円筒形状のハウジング2と、ハウジング2に組み付けられているスライド軸部材4と、ハウジング2内でスライド軸部材4に対して下方側のロックと上方側のロックを交互にする係止手段3から構成される(図15図17)。ここで、ハウジング2は回転対称であり、P1−P1線を中心線としている(図15図17
【0048】
ハウジング2の円筒形状の本体の内側には係止手段3が配されている(図15図17)。この係止手段3は図18に正面形状を表し、図19に側面形状を表している。この係止手段3は無負荷状態ではスライド軸部材4の下方側軸45及び第2の軸47外周より、折り曲げ部31が軸中心に近い位置になるように配されていて、バネ材等の弾性力を有する材料で作られており、スライド軸部材4がハウジング2に組み込まれた状態では、常にスライド軸部材4を横から押さえる力(付勢力)が働いている。したがって、この付勢力に抗しながらスライド軸部材4が移動したり、付勢力を利用して移動して、この係止手段3の位置を基準にして、この位置を超えると、上方と下方側のロック状態に切り替えられる。
【0049】
ハウジング2は、円筒形状の本体に貫通穴29が形成されている(図15図17)。ハウジング2は下から上に向かって順に、穴側傾斜部21、側面窓26が貫通穴29に沿うようにテーパで形成されている(図15〜17)。係止手段3は、くの字形状を呈して、そのくの字の一辺がテーパ(傾斜部)43に接触して、その曲げ部31が曲げ部39を支点として軸外側に広がることができるように窓26が配されている。ハウジング2の穴側傾斜部21は下側の内径よりも上側の内径が大きく設定されて、両社の間には若干の隙間が生じるようになっている(図15〜17)。
【0050】
(第4の例)
図20は、第1の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具1の第4の例を示す断面図である。図20はスライド軸部材4を上向きに押し込んだ上限位置の状態を示す図である。これは係止手段3としてボールプランジャーを用いたものであり、その動作及び構造は第1の例〜第3の例に準ずる。なお、スライド軸部材4は第1の例と同じものである。
【0051】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具1は、打ち抜き刃260が備わっている抜き型205と当該打ち抜き刃260を下方で受けるカッティングプレート240が向き合って配されているシートの打抜機19において、カッティングプレート240にカウンタープレート270を取り付けるために抜き型205の複数箇所に形成された取付穴290にそれぞれ下向きで取り付けられて使用され、スライド軸部材4の下方先端でカウンタープレート270の上面に溝(円形溝)を形成する(図32参照)。
【0052】
図26〜28は、第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具1の第1の例の断面図である。図26(a)はスライド軸部材4を上向きに押し込んだ上限位置の状態を示す図である。図27はスライド軸部材4を下向きに引き出している途中の状態を示す図である。図28はスライド軸部材4を下向きに引き出した下限位置の状態を示す図である。図29は本実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具1の第1の例に係るスライド軸部材4を示す正面図である。図30は本実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具1の第1の例に係るハウジング2を示す断面図である。
ここで、図26(b)は、係止手段3を上下方向に複数個配置した例であり、このような構造にすることで、前記ハウジング2の収納用穴29に下方側に向かって傾斜する穴側傾斜部を形成することなく、前記スライド軸部材を下向きに引き出すと下方側のロックがされた状態となる。
【0053】
本実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具1は、円筒形状のハウジング2と、ハウジング2に組み付けられているスライド軸部材4と、ハウジング2内でスライド軸部材4に対して下方側のロックと上方側のロックを交互にする係止手段3から構成される(図26図28)。ここで、ハウジング2とスライド軸部材4は回転対称であり、いずれもP1−P1線を中心線としている(図26図30
【0054】
ハウジング2の円筒形状の本体の内側には係止手段3が配されている(図26図28)。この係止手段3は図13に平面形状を表し、図14に正面形状を表している。この係止手段3は無負荷状態では内径がスライド軸部材4の軸45及び軸47よりも小さく、バネ材等の弾性力を有する材料で作られている。第1の例では係止手段3はハウジング内部の収納溝27に収納されその内部にスライド軸部材4が貫通しており、常にスライド軸部材4を締め付ける力が働いている。
【0055】
ハウジング2は、円筒形状の本体に貫通穴が形成されている(図30)。ハウジング2の下端面は符号2aである。ハウジング2は下から上に向かって順に、穴側傾斜部21、収納溝27、上方側傾斜部24、貫通穴29が形成されている(図30)。ハウジング2の穴側傾斜部21は下側の内径よりも上側の内径が大きく設定されている(図30)。
【0056】
スライド軸部材4は、下方側軸45の下部に下方側軸45よりも細い第3の軸48が形成されている(図29)。この第3の軸48にカウンタープレート270が装着され、カウンタープレート270にはこの第3の軸を装着する穴277が形成されている(図32)。
スライド軸部材4は下から上に向かって順に、第3の軸48、下方側軸45、下方側傾斜部42、中間傾斜部43、第2の軸47が一体成形されている。第3の軸48と下方側軸45は、スライド軸部材4の突出部を構成する。スライド軸部材4は、例えば硬質プラスチック、硬質金属、またはこれらの複合材料からなる。
スライド軸部材4の下方側傾斜部42は、ハウジング2の穴側傾斜部21とその傾斜方向が同じでその傾斜角度が近似しているが異なる角度(隙間が生じ得る程度異なる)である(図26図30)。スライド軸部材4の中間傾斜部43は、ハウジング2の穴側傾斜部21とその傾斜方向が逆である。つまり中間傾斜部43は下方側傾斜部42とその傾斜方向が逆である(図29)。
そしてスライド軸部材4の上下の長さ寸法は大きい順に、下方側軸45の長さL5、下方側傾斜部42の長さL2、中間傾斜部L3の順となっている(図29)、つまりL5>L2>L3の関係となっている(図29)。
ここで、前記スライド軸部材4の下端が前記打抜刃260の下端260aや或いは罫線部材250の先端と同じかそれよりも下の位置となるまで前記スライド軸部材4を引き出した状態で、スライド軸部材4bの先端48をカンタープレート270の穴277に嵌合させた状態でカッティングプレート240に当接させることで、カッティングプレート240の上側に前記カウンタープレート270を取り付ける(図34)。なお、符号265は打抜刃260の外周に配されるラバーであり、その厚みを符号H3とし、スライド軸部材4の下方側への引き出した状態の位置を符号H5とし、スライド軸部材4bの先端48をカンタープレート270の穴277に嵌合させた状態でのスライド軸部材4bの先端48までの位置を符号H7とする(図34)と、図32においてH7>H3の関係になっている。
【0057】
本実施の形態では、カッティングプレート240にカウンタープレート270を取り付けるために抜き型205の複数箇所に形成された取付穴290にそれぞれ下向きで取り付けられて使用される(図32参照)が、前記マーカ部材300は使用せずに使用される。
【0058】
(第2の例)
図31は第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具1の第2の例の断面図である。第1の例とはスライド軸部材4の構成のみが異なるものであり、その違いは下方側軸45と第3の軸48の間に円盤41が付加されている点である。その他の構成は、上記実施の形態と同じである。
【0059】
(第3の例)
図43は、上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第3の例を示す正面図であり、図44は、上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第3の例を示す右側面図である。図45は、上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第3の例を示す平面図であり、図46は、上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第3の例を示す底面図である。図47は、上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第3の例を示す断面図であり、スライド軸部材を下向きに引き出した下限位置の状態を示す図であり、図48は、上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第3の例を示す断面図であり、スライド軸部材を上向きに押し込んだ上限位置の状態を示す図である。
【0060】
第2の実施形態の第3の例のカウンタープレート用の位置決め治具は、第1,第2の例のカウンタープレート用の位置決め治具に対して、ハウジング2の底面2aに弾性部材5を設けたものである。
第2の実施形態においては、カウンタープレート270の穴277にスライド軸部材4の先端48を取り付け、抜型205とカッティングプレート240を近づけることで、カウンタープレート270の底面に設けられた接着剤等の接着手段によりカッティングプレート240上にカウンタープレート270を正確に取り付けるものである。
しかし、カッティングプレート240上にカウンタープレート270を取り付ける際に、カウンタープレート270の穴277からスライド軸部材4の先端48がうまく抜けずに、カウンタープレート270がカッティングプレート240上に取り付けられないという問題が発生している。
よって、第3の例においては、ハウジング2の底面2aに弾性部材5を設け、弾性部材5の弾性力によりカウンタープレート270の穴277から適切にスライド軸部材4の先端48を取り外すことを目的としている。
【0061】
本実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具1は、円筒形状のハウジング2と、ハウジング2に組付けられているスライド軸部材4と、ハウジング2内でスライド軸部材4に対して下方側のロックと上方側のロックを交互にする係止手段3と、ハウジング2の底面2aに設けられた円筒形状の弾性部材5から構成される(図43図46)。ここで、ハウジング2とスライド軸部材4および弾性部材5は回転対称形状であり、いずれもP1−P1線を中心線としている(図47図48)。
【0062】
ハウジング2の円筒形状の本体の内側には係止手段3が配されている(図51)。第3の例では、係止手段3は片側固定されており、弾性体の付勢力を利用して、下端側の突起31がスライド軸部材4を係止する構成である(図47図48)。下端側の突起31は半球形状を呈しており、この下端側の突起31がスライド軸部材4の下方側傾斜部42および中間傾斜部43と接触することで、スライド軸部材4を上限位置(図48)および下限位置(図47)に係止することができる。ハウジング2は、例えば、樹脂単体材料または樹脂の複合材料からなる。係止手段3は、前記スライド軸部材4の上下移動を許容しつつ下方側のロックと上方側のロックを交互にするロック手段として係止力を発揮し、また、この係止力に抗する力を利用してロック解除する手段である。第3の例では、ハウジング2の側面は、係止手段3の両側には窓部25が形成されており、窓部25の上下の長さを長くすることで係止手段3の可動範囲を大きく設定できる(図44)。
【0063】
図53は、上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第3の例に係るハウジングを示す断面図である。
ハウジング2は、円筒形状の本体に貫通穴29が形成されている。ハウジング2の穴側傾斜部21は下側の内径よりも上側の内径が大きく設定されている。前記貫通穴のハウジング2の底面2a側の径は、下方側に向かって徐々に径が小さくなっている。
ハウジング2は下から上に向かって順に、穴側傾斜部21、窓部25が、貫通穴29に沿うようにして形成されている。ハウジング2の穴側傾斜部21は下側の内径よりも上側の内径が大きく設定され、穴側傾斜部21よりも上側に係止手段3が配されている。
【0064】
図54は、上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第3の例に係る弾性部材を示す斜視図である。
弾性部材5は、カッティングプレート240にカウンタープレート270を取り付ける工程において、カウンタープレート270の穴277からスライド軸部材4の先端48(第3の軸)が適切に取り外されるための部材であり、ハウジング2の底面2aに設けられる(図47図48)。
弾性部材5は、弾力性があり、例えば、樹脂単体材料または樹脂の複合材料からなる。
ハウジング2および弾性部材5は一体成形されているが、ハウジング2と弾性部材5は弾性率が異なり、弾性部材5はハウジング2よりも弾性率が小さい。
弾性部材5は円筒形状であり、弾性部材5の中心位置には弾性部材5の上面5bから底面5aにかけて貫通した円柱状の孔51が設けられている。孔51の径は、後述するスライド軸部材4の下方側軸45、皿状部材44および第3の軸48の径よりも大きく形成され、スライド軸部材4が上下に移動しても、その移動を妨げることがない。
【0065】
図52は、上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第3の例に係るスライド軸部材を示す正面図である。
スライド軸部材4はカウンタープレート270とカッティングプレート240を正確に位置決めするための部材であり、スライド軸部材4にカウンタープレート270を装着後、抜型205とカッティングプレート240を近づけてカウンタープレート270とカッティングプレート240を当接させることで、カウンタープレート270を正確にカッティングプレート240上に取り付ける。
スライド軸部材4は全体的に円柱形状であり、下から上に向かって順に、カウンタープレート270を取り付けるための第3の軸48、皿状部材44、下方側軸45、下方側傾斜部42、中間傾斜部43、第2の軸47が一体成形されている。第3の軸48、皿状部材44および下方側軸45は、スライド軸部材4の突出部4aを構成する。この突出部4aの高さは、弾性部材5の高さよりも高く形成されており、スライド軸部材4を下向きに下限位置まで引き出した状態(図43図47)では、第3の軸48は弾性部材5の孔51を通って底面5aから露出される。この第3の軸48をカウンタープレート270の穴277に取り付けることで、スライド軸部材4にカウンタープレート270を取り付けることができる。
スライド軸部材4は、例えば、樹脂単体材料または樹脂の複合材料、硬質プラスチック、硬質金属、またはこれらの複合材料からなる。
スライド軸部材4は、下方側軸45と第3の軸48の間に下方側軸45と第3の軸48よりも径が大きい皿状部材44が配され、スライド軸部材4が上方に移動するとき、皿状部材44の上面44bがハウジング2の底面2aと接触して、その移動を停止する。
また皿状部材44は、抜型205からカウンタープレート用の位置決め治具1を取り外すために抜型205を上下反転させた際に、ハウジング2の底面2aが皿状部材44の上面44bに接触することで、スライド軸部材4が下方に落下することを防ぐことが可能となる。
スライド軸部材4の下方側傾斜部42は、ハウジング2の穴側傾斜部21とその傾斜方向が同じでその傾斜角度が近似しているが異なる角度(隙間が生じ得る程度異なる)である(図47)。スライド軸部材4の中間傾斜部43は、ハウジング2の穴側傾斜部21とその傾斜方向が逆である。つまり中間傾斜部43は下方側傾斜部42とその傾斜方向が逆である。
【0066】
次に、本例を使用した位置決め治具1の使用方法を説明する。
図49は、上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第3の例を打抜機の抜型に取り付けた場合の前記抜型とカッティングプレートとの関係を模式的に示す断面図であり、前記カウンタープレートを前記位置決め治具のスライド軸部材の下側に取り付けた状態を示す図である。図50は、上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第3の例を打抜機の抜型に取り付けた場合の前記抜型とカッティングプレートとの関係を模式的に示す断面図であり、前記カウンタープレートを前記カッティングプレートに取り付けるときの状態を示す図である。図51は、上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第3の例を打抜機の抜型に取り付けた場合の前記抜型とカッティングプレートとの関係を模式的に示す断面図であり、前記カウンタープレートを前記カッティングプレートに取り付けた状態を示す図である。
【0067】
抜型205の複数箇所に形成された取付穴290に位置決め治具1を取り付け、ハウジング2からスライド軸部材4を下限位置まで引き出す。下限位置まで引き出すと、スライド軸部材4の中間傾斜部43と係止手段3の下端側の突起31が当接し、スライド軸部材4が下限位置でハウジング2内に係止された状態となり、また弾性部材5の底面5aからスライド軸部材4の先端48(第3の軸)が露出される(図47)。下限位置においては、スライド軸部材4の先端48(第3の軸)が前記打抜刃260の下端260aと同じかそれよりも下の位置となる。
次に、スライド軸部材4の先端48(第3の軸)をカウンタープレート270の穴277に嵌合させ、スライド軸部材4にカウンタープレート270を取り付ける(図49)。
そして、抜型205とカッティングプレート240を近づけてカウンタープレート270とカッティングプレート240を当接させる。その際に、ハウジング2とカウンタープレート270間にある弾性部材5は、抜型205とカウンタープレート270に挟まれて上面5bおよび底面5aに外力を受けて、高さ方向に縮んだ状態となる(図50)。また、抜型205とカッティングプレート240を当接することにより、スライド軸部材4は係止手段3の係止力に抗って弾性部材5およびハウジング2内部を押し込まれるようにスライド移動し、スライド軸部材4の皿状部材44の上面44bがハウジング2の底面2aと接触して、スライド移動が上限位置で停止される(図48)。上限位置まで押し込まれると、スライド軸部材4の下方側傾斜部42と係止手段3の下端側の突起31が当接し、スライド軸部材4が上限位置でハウジング2内に係止された状態となる。
その後、抜型205とカッティングプレート240が離反する方向に移動するが、その際に弾性部材5の元の寸法に戻る力(弾性力)がカウンタープレート270に働くため、カウンタープレートの穴277からスライド軸部材4の先端48(第3の軸)が適切に取り外され、カウンタープレート270はカッティングプレート240上の正確な位置に取り付けられる(図51)。
カッティングプレート240にカウンタープレート270を位置決めして取り付けた後、抜型205を上下反転させて位置決め治具1を取り外す。
【0068】
このように、弾性部材5がハウジング2の底面2aに設けられていることによって、カウンタープレート270をカッティングプレート240に取り付ける際に、弾性部材5の弾性力によって、カウンタープレート270の穴277からスライド軸部材4の先端48(第3の軸)を適切に取り外すことが可能となり、カウンタープレート270はカッティングプレート240上の正確な位置に取り付けることができる。
また、抜型205を上下反転させて位置決め治具1を取り外す場合でも、ハウジング2の底面2aがスライド軸部材4の皿状部材44の上面44bに接触することで、スライド軸部材4が下方に落下することを防ぐことが可能となる。
さらに、ハウジング2と弾性部材5を一体成形することが可能であるため、簡単かつ安価に位置決め治具を製造することが可能となる。
【0069】
(第4の例)
図55は、上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第4の例を示す断面図であり、スライド軸部材を下向きに引き出した下限位置の状態を示す図である。図56は、上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第4の例に係る弾性部材を示す斜視図である。図57は、上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第4の例に係る弾性部材を示す平面図である。図58は、上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第4の例を示す断面図であり、スライド軸部材を上向きに押し込んだ上限位置の状態を示す図である。
第2の実施形態の第4の例のカウンタープレート用の位置決め治具は、第3の例とは形状が異なる弾性部材を使用したものであり、その他の構成は第3の例と同様であるため、第3の例と同様の構成に関しては、重複する説明を省略する。
【0070】
弾性部材5は、上部円筒部52と下部円筒部53と複数の帯状部材54,54,・・・から構成される。
上部円筒部52は、その中心に孔52cが設けられた円筒形状をしており、スライド軸部材4が下向きに引き出された状態(下限位置)にある場合、上部円筒部52の下端面52aとスライド軸部材4の皿状部材44の下端面44aが接するように形成されている。上部円筒部52の孔52cは、スライド軸部材4の先端48(第3の軸)よりも大きくかつ皿状部材44よりも小さく形成され、スライド軸部材4の先端48は、上部円筒部52の孔52cを貫通し、上部円筒部52の上端面52bから露出している。スライド軸部材4の先端48は、カウンタープレート270の孔277に適切に取り付けられる程度に上部円筒部52の上端面52bから突出している(図55)。
上部円筒部52の外周には円周方向等間隔に複数の帯状部材54,54,・・・の一端が取り付けられている(図57)。
下部円筒部53は、その中心に孔53cが設けられた円筒形状をしており、下部円筒部53の下端面53aとハウジング2の底面2aが接合されている。下部円筒部53の孔53cは、スライド軸部材4の下方側軸45、皿状部材44および先端48(第3の軸)よりも大きく形成され、スライド軸部材4が下向きに引き出された状態(下限位置)にある場合、下方側軸45、皿状部材44および先端48は、下部円筒部53の孔53cを貫通し、下部円筒部53の上端面53bから露出している。スライド軸部材4が上向きに押し込まれた状態(上限位置)にある場合、上部円筒部52の下端面52aとスライド軸部材4の皿状部材44の下端面44aは離れ、皿状部材44の上面44bがハウジング2の底面2aと接触する(図58)。
下部円筒部53には円周方向等間隔に複数の帯状部材54,54,・・・の他端が取り付けられている(図57)。
複数の帯状部材54,54,・・・は長尺の長方形状であり、一端が上部円筒部52に他端が下部円筒部53に取り付けられ、上部円筒部52と下部円筒部53を掛け渡すように取り付けられている。帯状部材54の数は、第4の例では4つであるが、2つでも6つでもよく、適宜選択可能である。
弾性部材5は弾力性があり、ハウジング2と弾性部材5は一体成形されている。
【0071】
次に、本例を使用した位置決め治具1の使用方法を説明する。
抜型205の複数箇所に形成された取付穴290に位置決め治具1を取り付け、ハウジング2からスライド軸部材4を下限位置まで引き出す。下限位置まで引き出すと、弾性部材5の上部円筒部52の下端面52aとスライド軸部材4の皿状部材44の下端面44aが接した状態となる(図55)。
そして、抜型205とカッティングプレート240を近づけてカウンタープレート270とカッティングプレート240を当接させる。その際に、ハウジング2とカウンタープレート270間にある弾性部材5は、抜型205とカウンタープレート270に挟まれて上部円筒部52の上端面52bおよび下部円筒部53の下端面53aに外力を受けて、高さ方向に縮んだ状態となり、複数の帯状部材54,54,・・・は撓んだ状態となる。また、抜型205とカッティングプレート240を当接することにより、スライド軸部材4は係止手段3の係止力に抗って弾性部材5およびハウジング2内部を押し込まれるようにスライド移動し、スライド軸部材4の皿状部材44の上面44bがハウジング2の底面2aと接触して、スライド移動が上限位置で停止される(図58)。
その後、抜型205とカッティングプレート240が離反する方向に移動するが、その際に複数の帯状部材54,54,・・・の元の寸法に戻る力(弾性力)がカウンタープレート270に働くため、カウンタープレートの穴277からスライド軸部材4の先端48(第3の軸)が適切に取り外され、カウンタープレート270はカッティングプレート240上の正確な位置に取り付けられる。
【0072】
このように、弾性部材5を上部円筒部52と下部円筒部53と複数の帯状部材54,54,・・・から構成したことによって、より少ない材料で、カウンタープレート270の穴277からスライド軸部材4の先端48(第3の軸)を適切に取り外すことが可能となる。
【0073】
(第5の例)
図59は、上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第5の例を示す正面図である。図60は、上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第5の例を示す右側面図であり、スライド軸部材を下向きに引き出した下限位置の状態を示す図である。図61は、上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第5の例に係る弾性部材を示す正面図である。図62は、上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第5の例を示す右側面図であり、スライド軸部材を上向きに押し込んだ上限位置の状態を示す図である。
第2の実施形態の第5の例のカウンタープレート用の位置決め治具は、第3,第4の例とは形状が異なる弾性部材を使用したものであり、その他の構成は第3の例と同様であるため、第3の例と同様の構成に関しては、重複する説明を省略する。
【0074】
弾性部材5は、上部円筒部55と一対の脚部材56,56から構成される。
上部円筒部55は、その中心に孔55cが設けられた円筒形状をしており、スライド軸部材4が下向きに引き出された状態(下限位置)にある場合、上部円筒部55の下端面55aとスライド軸部材4の皿状部材44の下端面44aが接するように形成されている。上部円筒部55の孔55cは、スライド軸部材4の先端48(第3の軸)よりも大きくかつ皿状部材44よりも小さく形成され、スライド軸部材4の先端48は、上部円筒部55の孔55cを貫通し、上部円筒部55の上端面55bから露出している。スライド軸部材4の先端48は、カウンタープレート270の孔277に適切に取り付けられる程度に上部円筒部55の上端面55bから突出している(図59)。
上部円筒部55の外周には一対の脚部材56,56の一端が取り付けられている(図59)。
一対の脚部材56,56の形状は、側面視で長方形の両側面が中心部に向かって円弧状に凹んだ形状をしており(図59)、正面視で上部円筒部55から緩やかに円弧形状を成して、ハウジング2の底面2aに接合されている(図60図61)。
弾性部材5は弾力性があり、ハウジング2と弾性部材5は一体成形されている。
【0075】
次に、本例を使用した位置決め治具1の使用方法を説明する。
抜型205の複数箇所に形成された取付穴290に位置決め治具1を取り付け、ハウジング2からスライド軸部材4を下限位置まで引き出す。下限位置まで引き出すと、弾性部材5の上部円筒部55の下端面55aとスライド軸部材4の皿状部材44の下端面44aが接した状態となる(図60)。
そして、抜型205とカッティングプレート240を近づけてカウンタープレート270とカッティングプレート240を当接させる。その際に、ハウジング2とカウンタープレート270間にある弾性部材5は、抜型205とカウンタープレート270に挟まれて上部円筒部55の上端面55bおよび一対の脚部材56,56のハウジング2との接合面に外力を受けて、高さ方向に縮んだ状態となり、一対の脚部材56,56は撓んだ状態となる。また、抜型205とカッティングプレート240を当接することにより、スライド軸部材4は係止手段3の係止力に抗って弾性部材5およびハウジング2内部を押し込まれるようにスライド移動し、スライド軸部材4の皿状部材44の上面44bがハウジング2の底面2aと接触して、スライド移動が上限位置で停止される(図62)。
その後、抜型205とカッティングプレート240が離反する方向に移動するが、その際に弾性部材5の元の寸法に戻る力(弾性力)がカウンタープレート270に働くため、カウンタープレートの穴277からスライド軸部材4の先端48(第3の軸)が適切に取り外され、カウンタープレート270はカッティングプレート240上の正確な位置に取り付けられる。
【0076】
このように、弾性部材5を上部円筒部55と一対の脚部材56,56から構成したことによって、より少ない材料で、カウンタープレート270の穴277からスライド軸部材4の先端48(第3の軸)を適切に取り外すことが可能となる。
【0077】
(第6の例)
図63は、上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第6の例を示す右側面図である。図64は、上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第6の例を示す断面図であり、スライド軸部材を下向きに引き出した下限位置の状態を示す図である。図65は、上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第6の例を示す断面図であり、スライド軸部材を上向きに押し込んだ上限位置の状態を示す図である。
【0078】
第2の実施形態の第6の例のカウンタープレート用の位置決め治具は、第3,第4,第5の例の弾性部材がハウジングと一体成形されていたのに対して、第6の例の弾性部材はハウジングと一体成形せずに別の部材として形成したものであり、かつ弾性部材をハウジングの底面から外れることがないように弾性部材の形状に工夫をほどこしたものである。その他の構成は第3の例と同様であるため、第3の例と同様の構成に関しては、重複する説明を省略する。
【0079】
本実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具1は、円筒形状のハウジング2と、ハウジング2に組付けられているスライド軸部材4と、ハウジング2内でスライド軸部材4に対して下方側のロックと上方側のロックを交互にする係止手段3と、ハウジング2の底面2aに設けられた円筒形状の弾性部材5から構成される(図63図65)。ここで、ハウジング2とスライド軸部材4および弾性部材5は回転対称形状であり、いずれもP1−P1線を中心線としている(図64図65)。
【0080】
図66は、上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第6の例に係る弾性部材を示す斜視図である。図67は、上記第2の実施形態のカウンタープレート用の位置決め治具の第6の例に係る弾性部材を示す断面図である。
弾性部材5は、ハウジング2の底面2aに設けられる(図64図65)が、弾性部材5の上面5bとハウジング2の底面2aは接着剤等で接着されておらず、別々の部材として形成される。
弾性部材5は、弾力性のある材質で形成され、具体的にはウレタンフォームやゴムスポンジ等で形成される。
弾性部材5は円筒形状であり、弾性部材5の中心位置には弾性部材5の上面5bから底面5aにかけて円柱状の孔58b(第1の孔),57(第2の孔),58a(第3の孔)を有し、上面5bから第1の孔58b、第2の孔57、第3の孔58aの順に設けられ、上面5bから底面5aにかけて貫通した状態となっている。ここで第1の孔58bおよび第3の孔58aは、前記弾性部材5に設けられた第2の孔57から突出したドーナツ状の突起部58ba,58aaから形成される(図67)。
第1の孔58b、第3の孔58aの径は、スライド軸部材4の下方側軸45の径と同等かもしくは少し大きめに形成されており、かつ皿状部材44の径よりも小さく形成されている。
第2の孔57の径は、スライド軸部材4の下方側軸45、皿状部材44および第3の軸48の径よりも大きく形成され、スライド軸部材4が上下に移動しても、その移動を妨げることがない。
【0081】
次に、本例を使用した位置決め治具1の使用方法を説明する。
抜型205の複数箇所に形成された取付穴290に位置決め治具1を取り付け、ハウジング2からスライド軸部材4を下限位置まで引き出す。
スライド軸部材4を弾性部材5の孔58b(第1の孔),57(第2の孔),58a(第3の孔)に通す際に、スライド軸部材4の皿状部材44が弾性部材5の突起部58ba,58aaに衝突するが、弾性部材5の弾性の性質により第1の孔58bおよび第3の孔58aは押し広げられて、弾性部材5の底面5aからスライド軸部材4の先端48(第3の軸)および皿状部材44が露出される(図64)。
スライド軸部材4を下限位置まで引き出した場合は、ハウジング2の底面2aと皿状部材44の上面44bの間に弾性部材5(突起部58ba,58aa)が挟まれた状態となり、弾性部材5が位置決め治具1から外れることがない。
次に、スライド軸部材4の先端48(第3の軸)をカウンタープレート270の穴277に嵌合させ、スライド軸部材4にカウンタープレート270を取り付ける。
そして、抜型205とカッティングプレート240を近づけてカウンタープレート270とカッティングプレート240を当接させる。その際に、ハウジング2とカウンタープレート270間にある弾性部材5は、抜型205とカウンタープレート270に挟まれて上面5bおよび底面5aに外力を受けて、高さ方向に縮んだ状態となる。また、抜型205とカッティングプレート240を当接することにより、スライド軸部材4は係止手段3の係止力に抗い、弾性部材5の第3の孔58aを押し広げて、弾性部材5およびハウジング2内部を押し込まれるようにスライド移動し、スライド軸部材4の皿状部材44の上面44bが弾性部材5の第2の孔57の上面57bに接触し、スライド移動が上限位置で停止する。スライド軸部材4の皿状部材44の上面44bが弾性部材5の第2の孔57の上面57bに接触しているため、スライド軸部材4が上限位置にある場合、ハウジング2の底面2aと皿状部材44の上面44bの間で弾性部材5の突起部58baが挟まれた状態となり、弾性部材5が位置決め治具1から外れることがない。
その後、抜型205とカッティングプレート240が離反する方向に移動するが、その際に弾性部材5の元の寸法に戻る力(弾性力)がカウンタープレート270に働くため、カウンタープレートの穴277からスライド軸部材4の先端48(第3の軸)が適切に取り外され、カウンタープレート270はカッティングプレート240上の正確な位置に取り付けられる。
【0082】
このように、弾性部材5がハウジング2の底面2aに設けられていることによって、カウンタープレート270をカッティングプレート240に取り付ける際に、弾性部材5の弾性力によって、カウンタープレート270の穴277からスライド軸部材4の先端48(第3の軸)を適切に取り外すことが可能となり、カウンタープレート270はカッティングプレート240上の正確な位置に取り付けることができる。
また、スライド軸部材4を下限位置まで引き出した場合は、ハウジング2の底面2aと皿状部材44の上面44bの間に弾性部材5(突起部58ba,58aa)が挟まれた状態となり弾性部材5が位置決め治具1から外れることがなく、スライド軸部材4が上限位置にある場合、ハウジング2の底面2aと皿状部材44の上面44bの間で弾性部材5(突起部58ba)が挟まれた状態となり弾性部材5が位置決め治具1から外れることがない。よって、ハウジングと一体成形せずに別の部材として形成しても弾性部材がハウジングの底面から外れることがない。
【0083】
以上、本実施の形態では、ロック手段をテーパ形状を用いてロックするもので説明したが、前記スライド軸部材と前記ハウジングの収納用穴29に対応する形状の係止手段が設けられていればロック手段を構成でき、また、前記穴側傾斜部21、下方側傾斜部42等の形状はこれに限られるものではない。また、本実施の形態では、紙器を組み立てるシート部材を加工する場合のみならずダンボール等の厚紙等を組み立てるシート部材にも適用あることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0084】
1 カウンタープレート用の位置決め治具、
2 ハウジング、
21 穴側傾斜部、
29 収納用穴、
3 係止手段、
4 スライド軸部材、
42 下方側傾斜部(下方側のロック位置)、
43 中間傾斜部(上方側のロック位置)、
45 下方側軸(突出部)、
48 スライド軸部材の先端(第3の軸)、
5 弾性部材、
51,52c,53c,58a 孔、
58aa,58bb 突起部、
205 抜き型、
240 カッティングプレート、
270 カウンタープレート、
290 取付穴、
300 位置合わせ用のマーク部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
図49
図50
図51
図52
図53
図54
図55
図56
図57
図58
図59
図60
図61
図62
図63
図64
図65
図66
図67