特許第6592085号(P6592085)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6592085-レバプラザン塩酸塩の調製方法 図000005
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6592085
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】レバプラザン塩酸塩の調製方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/04 20060101AFI20191007BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20191007BHJP
   A61K 31/506 20060101ALN20191007BHJP
【FI】
   C07D401/04
   A61P1/04
   !A61K31/506
【請求項の数】12
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-524015(P2017-524015)
(86)(22)【出願日】2015年11月12日
(65)【公表番号】特表2017-534637(P2017-534637A)
(43)【公表日】2017年11月24日
(86)【国際出願番号】CN2015094462
(87)【国際公開番号】WO2016078542
(87)【国際公開日】20160526
【審査請求日】2018年10月12日
(31)【優先権主張番号】201410665839.7
(32)【優先日】2014年11月19日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516068974
【氏名又は名称】江蘇天士力帝益薬業有限公司
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU TASLY DIYI PHARMACEUTICAL CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100111109
【弁理士】
【氏名又は名称】城田 百合子
(72)【発明者】
【氏名】劉 文崢
(72)【発明者】
【氏名】王 国成
(72)【発明者】
【氏名】侯 慶偉
(72)【発明者】
【氏名】崔 巧平
(72)【発明者】
【氏名】朱 占元
(72)【発明者】
【氏名】劉 金平
(72)【発明者】
【氏名】楊 明波
(72)【発明者】
【氏名】孟 洪光
【審査官】 三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/060908(WO,A1)
【文献】 特表平11−509237(JP,A)
【文献】 国際公開第1998/018784(WO,A1)
【文献】 特表2000−513014(JP,A)
【文献】 Zhongguo Yiyao Gongye Zazhi,2008年,Vol.39(5),p.321-324
【文献】 Hescheng Huaxue,2008年,Vol.16(4),p.490-492
【文献】 Guangdong Yaoxueyuan Xuebao,2009年,Vol.25(2),p.173-174
【文献】 Zhongguo Xinyao Zazhi,2013年,Vol.22(14),p.1694-1696
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 401/04
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レバプラザン塩酸塩の調製方法であって、
(1)4−ヒドロキシ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジンの調製:4−フルオロベンゼングアニジン炭酸塩と2−メチルアセト酢酸エチルを反応器に加え、溶媒を加え、塩基又は強塩基塩を加えるか或いは塩基を加えずに原料の反応が完了するまで加熱して還流脱水し、降温、水を加えて攪拌、ろ過、水洗して得られるステップ、
(2)4−クロロ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジンの調製:4−ヒドロキシ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン(6)と塩化ホスホリルを原料の反応が完了するまで溶媒中で加熱還流し、冷却、水を加え、直接分液又は塩基でpHを調整した後に分液、水層を溶媒で抽出、有機層を合一、中性になるまで有機層を水洗し、有機層を濃縮して得られるステップ、及び、
(3)レバプラザン塩酸塩の調製:4−クロロ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン(7)と1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン又はその塩酸塩を原料の反応が完了するまで溶媒中で加熱し、冷却、エタノールと塩酸を加え、ろ過してレバプラザン塩酸塩が得られるステップを含み、
前記ステップ(1)において、溶媒はトルエン、キシレン、ベンゼン、クロロベンゼン及びシクロヘキサンから選択された1種又は1種以上であり、
前記ステップ(2)において、溶媒はトルエン、キシレン、ベンゼン、クロロベンゼン、シクロヘキサン、n−ヘキサン及びDMFから選択された1種又は1種以上であり、
前記ステップ(3)において、溶媒はエチレングリコール、グリセリン、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、DMF(ジメチルホルムアミド)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジオキサンの1種又は1種以上であることを特徴とする、レバプラザン塩酸塩の調製方法。
【請求項2】
レバプラザン塩酸塩の調製方法であって、
(1)4−ヒドロキシ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジンの調製:4−フルオロベンゼングアニジン炭酸塩と2−メチルアセト酢酸エチルを反応器に加え、溶媒を加え、塩基又は強塩基塩を加えるか或いは塩基を加えずに原料の反応が完了するまで加熱して還流脱水し、降温、水を加えて攪拌、ろ過、水洗して得られるステップ、
(2)4−クロロ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジンの調製:4−ヒドロキシ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン(6)と塩化ホスホリルを原料の反応が完了するまで溶媒中で加熱還流し、冷却、水を加え、直接分液又は塩基でpHを調整した後に分液、水層を溶媒で抽出、有機層を合一、中性になるまで有機層を水洗し、有機層を濃縮して得られるステップ、及び、
(3)レバプラザン塩酸塩の調製:4−クロロ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン(7)と1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンに塩基を加え、原料の反応が完了するまで溶媒中で加熱し、水とジクロロメタンを加え、水層を分離し、水層をジクロロメタンで抽出し、合一したジクロロメタン層を希塩酸と水で洗浄し、ジクロロメタン層を濃縮し、残留物をエタノールに溶解し、塩酸を加えてpH=1に調整し、攪拌晶析させ、レバプラザン塩酸塩が得られるステップを含み、
前記ステップ(1)において、溶媒はトルエン、キシレン、ベンゼン、クロロベンゼン及びシクロヘキサンから選択された1種又は1種以上であり、
前記ステップ(2)において、溶媒はトルエン、キシレン、ベンゼン、クロロベンゼン、シクロヘキサン、n−ヘキサン及びDMFから選択された1種又は1種以上であり、
前記ステップ(3)において、溶媒はエチレングリコール、グリセリン、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、DMF(ジメチルホルムアミド)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジオキサンの1種又は1種以上であることを特徴とする、レバプラザン塩酸塩の調製方法。
【請求項3】
前記ステップ(1)において、塩基又は強塩基塩を加える場合の塩基又は強塩基塩は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドの1種又は1種以上であり、4−フルオロベンゼングアニジン炭酸塩:2−メチルアセト酢酸エチル:塩基は、モル仕込み比=1:1〜2:0〜2であり、或いは前記ステップ(1)において塩基を加えない場合の、4−フルオロベンゼングアニジン炭酸塩と2−メチルアセト酢酸エチルは、モル仕込み比=1:1〜2であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の調製方法。
【請求項4】
前記ステップ(1)において、4−フルオロベンゼングアニジン炭酸塩はF-C6H4NHC(NH2)NH・H2CO3或いはF-C6H4NHC(NH2)NH・1/2H2CO3であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の調製方法。
【請求項5】
前記ステップ(2)において、4−ヒドロキシ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン(6):塩化ホスホリルは、モル仕込み比=1:0.5〜2であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の調製方法。
【請求項6】
前記ステップ(2)において、塩基でのpH値の調整において、塩基は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウムの1種又は1種以上であり、pH値が1〜10であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の調製方法。
【請求項7】
前記ステップ(3)において、4−クロロ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン(7):1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン又はその塩酸塩は、モル仕込み比=1:1〜2であることを特徴とする、請求項1に記載の調製方法。
【請求項8】
前記ステップ(3)において、4−クロロ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン(7):1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン又はその塩酸塩:塩基は、モル仕込み比=1:1〜2:0〜5であることを特徴とする、請求項2に記載の調製方法。
【請求項9】
前記ステップ(3)において、塩基はトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、N−メチルモルホリンの1種又は1種以上であることを特徴とする、請求項2又は8に記載の調製方法。
【請求項10】
前記エタノールは濃度が10%〜100%であることを特徴とする、請求項7又は8に記載の調製方法。
【請求項11】
前記1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン又はその塩酸塩は(R)−(+)−1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン又は(S)−(−)−1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン又はそれらの塩酸塩であってもよいことを特徴とする、請求項7又は8に記載の調製方法。
【請求項12】
前記ステップ(1)〜(3)において、反応は気体の保護下で行われてもよいことを特徴とする、請求項1又は2に記載の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬品の分野に関し、具体的にはレバプラザン塩酸塩の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レバプラザン塩酸塩(Revaprazan Hydrochloride)は、化学名が2−(4−フルオロアニリン)−4−(1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2−イル)−5,6−ジメチルピリミジン塩酸塩である。1995年に、韓国では該化合物が優れた抗分泌活性を有することを開示し、2007年に、レバプラザン塩酸塩は韓国FDAの承認を受け、十二指腸潰瘍及び胃炎の治療に使われるようになった。該薬は次世代の可逆的プロトンポンプ阻害剤であり、全世界で唯一市販されているカリウムイオン競合型アシッドブロッカーでもあるため、さらなる注目を集めている。該薬は市販されてから合成プロセスルートが相次いで報道されており、現在までのレバプラザン塩酸塩の合成プロセスルートは主に下記の3種類がある。
【0003】
方法1 特許WO9605177に開示されている方法であって、合成ルートは下記の通りである。
【化1】
ここで、2,4−ジヒドロキシ−5,6−ジメチルピリミジン(2)を原料として塩化ホスホリルと反応させ、2,4−ジクロロ−5,6−ジメチルピリミジン(3)を生成した後、1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンとアルキル化反応を行い、2−クロロ−4−(1−メチル1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2−イル)−5,6−ジメチルピリミジン(4)を生成し、最後にさらに4−フルオロアニリンを用いてアルキル化反応を行い、塩酸により塩とし、レバプラザン塩酸塩を得る方法であるが、該方法は、3と1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンとの反応過程において位置選択性の問題が存在するため、収率が低く、応用が制限されている。
【0004】
方法2 特許WO9818784に開示されている方法であって、合成ルートは下記の通りである。
【化2】
ここで、4−フルオロアニリンを出発原料とし、先ずシアナミドと反応させて4−フルオロベンゼングアニジン炭酸塩(5)を生成し、次いで2−メチルアセト酢酸エチルと環になり、4−ヒドロキシ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン(6)を得、6をさらに塩化ホスホリルと反応させて4−クロロ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン(7)を得、7を1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンと反応させてレバプラザンを得、最後に塩化水素を用いて塩とし、最終生成物のレバプラザン塩酸塩が得られる。
【0005】
方法3:中国新薬雑誌2013,22(14),1694−1696:合成ルートは下記の通りである。
【化3】
ここで、硝酸グアニジンを出発原料とし、ナトリウムメトキシドの存在下で2−メチルアセト酢酸エチルと環化を行い、2−アミノ−4−ヒドロキシ−5,6−ジメチルピリミジン(8)を生成し、塩化ホスホリルによる塩素化を行い、さらに1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンと反応させて2−アミノ−4−(1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−2−イル)−5,6−ジメチルピリミジン(10)を生成し、最後に4−ブロモフルオロベンゼンと反応させてレバプラザンを生成し、さらに塩化水素を通して塩とし、レバプラザン塩酸塩を得る方法であるが、該プロセスは塩化ホスホリル及び無水酢酸などの蒸発除去が必要とされるため、工業的生産が制限されている。
【0006】
3種類のプロセスルートを比較すると、特許WO9818784に開示されている方法の特異性がより一層強い。合成化学2008,16(4),490−2;中国医薬工業雑誌2008,39(5),321−324;中国広東薬学院の学術雑誌2009,25(2),173−174などはいずれも該プロセスルートを採用したうえ、それを最適化してきた。しかしながら、いずれも様々な不足が存在しており、例えば4−ヒドロキシ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン(6)の調製について、WO9818784と合成化学ではいずれもDMF中で還流反応させ、反応後、イソプロパノールを加え、収率は61.4%にすぎない。一方、中国医薬工業雑誌と中国広東薬学院の学術雑誌ではいずれも4−フルオロベンゼングアニジン炭酸塩をまずナトリウムメトキシド又はナトリウムエトキシドと反応させた後、ピリジンの存在下で2−メチルアセト酢酸エチルと環になり、反応後塩酸を加えてpH=7に調整して生成物6を得る。4−クロロ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン(7)の調製について、WO9818784、合成化学、及び中国医薬工業雑誌では、いずれも原料をDMFに加え、80〜85℃で塩化ホスホリルを滴下し、反応後氷水を加えると共に、水酸化ナトリウムを用いてpH=10以上に調整しており、生成物に多量のリン酸塩が含まれるため、中間体の品質に影響する。レバプラザン塩酸塩の調製過程において、文献ではいずれもエチレングリコールとn−ブチルアルコールを溶媒とし、トリエチルアミンの存在下で130℃で30時間程度反応させ、反応後アセトンを加え、次いでさらに水を加えて2時間攪拌し、ろ過して固形物を得、固形物をジクロロメタン中に溶解させ、酸で洗浄、アルカリで洗浄、乾燥、ジクロロメタン層を濃縮し、残留物にエタノールを加えて溶解させ、さらに塩化水素を通すか或いは塩酸を加えて塩としており、合成プロセスには反応時間が長く、後処理が煩雑などの問題が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は産業化しやすく、収率が高いレバプラザン塩酸塩の調製方法を提供する。
【0008】
本発明は以下の技術方案によって実現されるものである。
【0009】
本発明の特徴は、4−ヒドロキシ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン(6)の調製過程において、4−フルオロベンゼングアニジン炭酸塩と2−メチルアセト酢酸エチルを原料の反応が完了するまで溶媒中で加熱脱水するだけで得られることである。
【0010】
本発明の特徴は、4−クロロ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン(7)の調製過程において、4−ヒドロキシ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン(6)と塩化ホスホリルを原料の反応が完了するまで溶媒中で加熱して得られることである。
【0011】
本発明の特徴は、レバプラザン塩酸塩の調製過程において、4−クロロ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン(7)と1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンを塩基条件又は塩基を加えない条件下で原料の反応が完了するまで溶媒中で加熱して得られることである。
【0012】
具体的な方法は以下の通りである。
【0013】
本発明のレバプラザン塩酸塩の調製方法は、
(1)4−ヒドロキシ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジンの調製:4−フルオロベンゼングアニジン炭酸塩と2−メチルアセト酢酸エチルを反応器に加え、溶媒を加え、塩基(又は強塩基塩)を加えるか或いは塩基を加えずに原料の反応が完了するまで加熱して還流脱水し、降温、水を加えて攪拌、ろ過、水洗して得られるステップ、
(2)4−クロロ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジンの調製:4−ヒドロキシ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン(6)と塩化ホスホリルを原料の反応が完了するまで溶媒中で加熱還流し、冷却し、水を加え、直接分液するか或いは塩基でpHを調整した後に分液、水層を溶媒で抽出、有機層を合一、中性になるまで有機層を水洗、有機層を濃縮して得られるステップ、及び
(3)レバプラザン塩酸塩の調製:4−クロロ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン(7)と1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン又はその塩酸塩を原料の反応が完了するまで溶媒中で加熱し、エタノールと塩酸を加え、ろ過してレバプラザン塩酸塩が得られるか、或いは
4−クロロ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン(7)と1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンに塩基を加え、溶媒中で加熱反応させ、反応完了後、少し冷却し、反応液に水とジクロロメタンを加え、攪拌、水層を分離、水層をジクロロメタンで抽出、合一したジクロロメタン層を希塩酸と水で洗浄、ジクロロメタン層を濃縮、残留物をエタノールに溶解、塩酸を加えてpH=1に調整し、攪拌晶析させ、レバプラザン塩酸塩が得られるステップを含む。
【0014】
好ましくは、上記ステップ(1)〜(3)に記載の反応は気体の保護下で行われてもよく、上記気体はアルゴンガス又は窒素であり、窒素が好ましい。
【0015】
本発明のステップ(1)では塩基を加えて反応させることが好ましく、具体的には、4−フルオロベンゼングアニジン炭酸塩、2−メチルアセト酢酸エチル及び塩基は、モル仕込み比が1:1〜2:0〜2、好ましくは1:1.2〜1.6:0.5〜1である。
【0016】
本発明のステップ(1)では塩基を加えず反応させてもよく、具体的には、4−フルオロベンゼングアニジン炭酸塩及び2−メチルアセト酢酸エチルは、モル仕込み比が1:1〜2、好ましくは1:1.2〜1.6である。
【0017】
上記ステップ(1)に記載の塩基又は強塩基塩に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、ナトリウムメトキシド及びナトリウムエトキシドの1種又は1種以上が含まれるがそれに制限されず、好ましくは水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムである。
【0018】
上記ステップ(1)に記載の4−フルオロベンゼングアニジン炭酸塩は4−フルオロベンゼングアニジン炭酸塩(F-C6H4NHC(NH2)NH・H2CO3)(1:1)又は4−フルオロベンゼングアニジン炭酸塩(1:0.5)(F-C6H4NHC(NH2)NH・1/2H2CO3)であり、好ましくは、4−フルオロベンゼングアニジン炭酸塩が4−フルオロベンゼングアニジン炭酸塩(1:0.5)(F-C6H4NHC(NH2)NH・1/2H2CO3)であり、即ち4−フルオロベンゼングアニジン炭酸塩(5)である。
【0019】
上記ステップ(1)に記載の溶媒はトルエン、キシレン、ベンゼン、クロロベンゼン及びシクロヘキサンから選択された任意の1種又は1種以上であり、好ましくはトルエンである。重量仕込み比が1:2〜20、好ましくは1:4〜8である。前記重量仕込み比は、4−フルオロベンゼングアニジン炭酸塩と溶媒の重量比である。
【0020】
上記ステップ(2)に記載の4−ヒドロキシ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン(6)と塩化ホスホリルは、モル仕込み比が1:0.5〜2、好ましくは1:0.6〜1.0である。
【0021】
上記ステップ(2)の反応に記載の溶媒にトルエン、キシレン、ベンゼン、クロロベンゼン、シクロヘキサン、n−ヘキサン及びDMF(ジメチルホルムアミド)の1種又は1種以上が含まれるがそれに制限されず、好ましくはトルエン又はキシレンである。重量仕込み比が1:2〜20、好ましくは1:3〜8である。前記重量仕込み比は4−ヒドロキシ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン(6)と溶媒の重量比を指す。
【0022】
生成物をより分離しやすくするために、ステップ(2)では原料の反応が完了した後に、好ましくは塩基でpH調整した後に分液する。
【0023】
上記ステップ(2)に記載の塩基には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウムの1種又は1種以上が含まれるがそれらに制限されず、好ましくは水酸化ナトリウムであり、塩基でpHを1〜10、好ましくは2〜7に調整する。
【0024】
本発明のステップ(2)には、加熱反応中の溶媒が極性溶媒例えばDMFであるとき、反応完了後、非極性溶媒、例えばトルエンを加えることが必要とされ、次いで水を加え、塩基でpHを1〜10、好ましくは2〜7に調整する場合もある。
【0025】
本発明のステップ(3)のレバプラザン塩酸塩の調製は以下の2つの場合に分けられる。
方法1は、上記4−クロロ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン(7)と1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン又はその塩酸塩を溶媒で加熱反応させ、反応が完了した後にエタノールと塩酸を加えてレバプラザン塩酸塩が得られ、4−クロロ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン(7)と1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンは、モル仕込み比が1:1〜2、好ましくは1:1.1〜1.5であることである。
方法2は、上記4−クロロ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン(7)と1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン又はその塩酸塩に塩基を加え、溶媒中で加熱反応させ、反応が完了した後、反応液に水とジクロロメタンを加え、攪拌、水層を分離、水層をジクロロメタンで抽出、合一したジクロロメタン層を希塩酸と水で洗浄、ジクロロメタン層を濃縮、残留物をエタノールに溶解、塩酸を加えてpH=1に調整し、攪拌晶析させ、レバプラザン塩酸塩が得られ、4−クロロ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン(7)、1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン及び塩基は、モル仕込み比が1:1〜2:0〜5であってもよく、好ましくは1:1.1〜1.5:1〜3であることである。
【0026】
上記ステップ(3)に記載の1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン又はその塩酸塩は、その光学異性体(R)−(+)−1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン又は(S)−(−)−1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンであってもよく、それらの塩酸塩であってもよい。
【0027】
上記ステップ(3)に記載の溶媒にエチレングリコール、グリセリン、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、DMF(ジメチルホルムアミド)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジオキサンの1種又は1種以上が含まれるがそれに制限されず、溶媒はエチレングリコール、グリセリン及びDMFが好ましい。重量仕込み比が1:0.1〜10、好ましくは1:0.5〜3である。前記重量仕込み比は、4−クロロ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン(7)と溶媒の重量比を指す。反応温度は100〜180℃、好ましくは120〜140℃である。
【0028】
上記ステップ(3)に記載の塩基にトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、N−メチルモルホリンの1種又は1種以上が含まれるがそれに制限されず、好ましくはジイソプロピルエチルアミンである。
【0029】
上記ステップ(3)に記載のエタノールは濃度が10%〜100%、好ましくは50%〜80%である。
【0030】
有益な効果
【0031】
1.生産コストが低く、試薬が節約できる。
ステップ(1)の4−ヒドロキシ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン(6)の調製では、ナトリウムアルコキシド及びピリジンなどの有機塩基を加えて触媒する必要がなく、2−メチルアセト酢酸エチルをゆっくりと滴下する必要がなく、反応過程中で低沸点溶媒を蒸発させる必要がない。高価なDMFを溶媒と使用せず、水と混和されかつリサイクルが難しい溶媒(DMF、メタノール、エタノール)を使用せず、使用される溶媒は簡単な処理でもリサイクルができる。ステップ(2)の4−クロロ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン(7)の調製では、少量の塩化ホスホリルでも反応を完成することができ、使用される溶媒はリサイクルができる。ステップ(3)のレバプラザン塩酸塩の調製では、少量の単一溶媒を使用し、触媒を加えなくてもよい。
【0032】
2.調製方法が簡単で、ステップが少なく、高温で材料を滴下する必要がない。
ステップ(1)の4−ヒドロキシ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン(6)の調製では、反応して生成された水を分離するだけで、生成された塩を熱いうちにろ過する必要がなく、pH値を調整する必要もない。反応が完了すると、生成物をろ過するだけでよい。ステップ(2)の4−クロロ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン(7)の調製では、室温で材料を反応器に加え、高温85℃で塩化ホスホリルを滴下する必要がない。反応液のpH値を10以上に調整する必要がなく、リン酸塩が生成物に含まれることを防ぐ。ステップ(3)のレバプラザン塩酸塩の調製では、塩基を加えず触媒する場合、反応が完了すると、エタノールを加えて希釈した後にそのまま塩酸を加えて塩とし、プロセスを簡素化し、工業的生産により一層適合する。塩基を加える場合、過量の塩基を希酸で中和するだけで、さらに塩基でジクロロメタン溶液を洗浄する必要がなく、プロセスステップを簡素化した。
【0033】
3.反応時間が短い。
ステップ(3)のレバプラザン塩酸塩の調製では、混合溶媒と低沸点塩基を使用せず、反応時間が著しく短縮されるため、全反応時間もさらに短縮された。
【0034】
4.生成物の純度が高い。
ステップ(2)の4−クロロ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン(7)の調製では、生成物が有機溶媒に溶解されるため、塩化ホスホリルが反応して生じるリン酸塩が水に溶解されて分離され、生成物に大量のリン酸塩が含まれることを防ぐ。ステップ(1)の4−ヒドロキシ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン(6)の調製、ステップ(2)の4−クロロ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン(7)の調製、ステップ(3)のレバプラザン塩酸塩の調製での生成物の純度はいずれも99%以上に上り、最終生成物は性状が白色粉末である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】レバプラザン塩酸塩の合成ルート図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下は実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明をさらに制限するものではない。
【0037】
実施例1:レバプラザン塩酸塩の調製
1)4−ヒドロキシ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジンの調製
窒素の保護下で、反応器にトルエン368g、4−フルオロベンゼングアニジン炭酸塩(1:0.5)18.4g、及び2−メチルアセト酢酸エチル14.4gを順に加え、系内が還流するまで攪拌加熱、反応が完了するまで還流水分離状態を維持、降温、水を加えて30分間攪拌、ろ過、ろ過ケーキを水で洗浄、乾燥して、白色固体粉末20.1gを得る。生成物の収率が86.3%である。
2)4−クロロ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジンの調製
窒素の保護下で、反応器に4−ヒドロキシ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン18.6g、及びクロロベンゼン372gを順に加え、攪拌しながら塩化ホスホリル6.1gを加え、還流するまで加熱昇温させ、反応が完了するまで還流状態を維持、降温、氷水を加え、分液、水層をクロロベンゼンで2回抽出、有機層を合一、水で洗浄、乾固するまで減圧濃縮して、淡黄色固体粉末17.8gを得る。収率が88.6%である。
3)レバプラザン塩酸塩の調製
窒素の保護下で、反応器に4−クロロ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン15.1g、(S)−(−)−1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン8.9g、トリエチルアミン30.3g及びエチレングリコールモノメチルエーテル45gを順に加え、攪拌加熱して100〜110℃で反応させ、反応完了後、室温まで冷却し、ジクロロメタン及び水を加え、水層を分離、水層をジクロロメタンで抽出、ジクロロメタン層を希塩酸及び水で洗浄、ジクロロメタン層を濃縮し、残留物にエタノールを加えて溶解させ、塩酸を加えてpH=1に調整、攪拌、冷却、ろ過して、白色粉末20.4gを得、生成物の収率が85.4%である。
【0038】
実施例2:レバプラザン塩酸塩の調製
1)4−ヒドロキシ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジンの調製
窒素の保護下で、反応器にトルエン184g、4−フルオロベンゼングアニジン炭酸塩(1:0.5)36.8g、2−メチルアセト酢酸エチル34.6g及び水酸化ナトリウム7.6gを順に加え、系内が還流するまで攪拌加熱、反応が完了するまで還流水分離状態を維持、降温、水を加えて30分間攪拌、ろ過、ろ過ケーキを水で洗浄、乾燥して、白色固体粉末40.8gを得る。生成物の収率が87.6%である。
2)4−クロロ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジンの調製
窒素の保護下で、反応器に4−ヒドロキシ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン23.3g、及びトルエン117gを順に加え、攪拌しながら塩化ホスホリル10.7gを加え、還流するまで加熱昇温させ、反応が完了するまで還流状態を維持、降温、氷水を加え、次いで水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpH=4に調整、分液、水層をトルエンで2回抽出、有機層を合一、水で洗浄、乾固するまで減圧濃縮して、淡黄色固体粉末22.3gを得る。収率が88.6%である。
3)レバプラザン塩酸塩の調製
窒素の保護下で、反応器に4−クロロ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン20.1g、1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン14.1g、及びエチレングリコール16gを順に加え、攪拌加熱して120〜130℃で反応させ、反応が完了した後に降温、70%エタノールを加え、次いで塩酸を加えてpH=1に調整、攪拌して室温まで下げ、ろ過、ろ過ケーキを水で洗浄、70%エタノールで洗浄して、白色粉末28.7gを得、生成物の収率が89.9%である。
【0039】
実施例3:レバプラザン塩酸塩の調製
1)4−ヒドロキシ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジンの調製
窒素の保護下で、反応器にトルエン147g、4−フルオロベンゼングアニジン炭酸塩(1:0.5)36.8g、2−メチルアセト酢酸エチル40.4g及び水酸化カリウム11.2gを順に加え、系内が還流するまで攪拌加熱、反応が完了するまで還流水分離状態を維持、降温し、水を加えて30分間攪拌、ろ過、ろ過ケーキを水で洗浄、乾燥して、白色固体粉末40.6gを得る。生成物の収率が87.1%である。
2)4−クロロ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジンの調製
窒素の保護下で、反応器に4−ヒドロキシ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン35.0g、及びトルエン105gを順に加え、攪拌しながら塩化ホスホリル13.8gを加え、還流するまで加熱昇温させ、反応が完了するまで還流状態を維持、降温、氷水を加え、次いで水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpH=1に調整、分液、水層をトルエンで2回抽出、有機層を合一、水で洗浄、乾固するまで減圧濃縮して、淡黄色固体粉末33.9gを得る。収率が89.7%である。
3)レバプラザン塩酸塩の調製
窒素の保護下で、反応器に4−クロロ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン25.2g、(S)−(−)−1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン塩酸塩23.9g、及びグリセリン250gを順に加え、攪拌加熱して110〜120℃で反応させ、反応完了後、50%エタノールを加える。次いで塩酸を加えてpH=1に調整、攪拌して室温まで下げ、ろ過、ろ過ケーキを水で洗浄、50%エタノールで洗浄して、白色粉末35.9gを得、生成物の収率が90.0%である。
【0040】
実施例4:レバプラザン塩酸塩の調製
1)4−ヒドロキシ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジンの調製
窒素の保護下で、反応器にキシレン295g、4−フルオロベンゼングアニジン炭酸塩(1:0.5)36.8g、2−メチルアセト酢酸エチル43.2g及び水酸化バリウム17.2gを順に加え、系内が還流するまで攪拌加熱、反応が完了するまで還流水分離状態を維持、降温、水を加えて30分間攪拌、ろ過、ろ過ケーキを水で洗浄、乾燥して、白色固体粉末41.0gを得る。生成物の収率が88.0%である。
2)4−クロロ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジンの調製
窒素の保護下で、反応器に4−ヒドロキシ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン37.3g、及びDMF75gを順に加え、攪拌しながら塩化ホスホリル19.5gを加え、還流するまで加熱昇温させ、反応が完了するまで還流状態を維持、降温、トルエンを加え、氷水を加え、次いで水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpH=2に調整、分液、水層をトルエンで2回抽出、有機層を合一、水で洗浄、乾固するまで減圧濃縮して、淡黄色固体粉末35.8gを得る。収率が88.8%である。
3)レバプラザン塩酸塩の調製
窒素の保護下で、反応器に4−クロロ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン35.2g、1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン24.7g、ジイソプロピルエチルアミン27.1g及び1,2−プロパンジオール35gを順に加え、攪拌加熱して130〜140℃で反応させ、反応完了後、室温まで冷却し、ジクロロメタン及び水を加え、水層を分離、水層をジクロロメタンで抽出、ジクロロメタン層を希塩酸及び水で洗浄、ジクロロメタン層を濃縮し、残留物にエタノールを加えて溶解させ、塩酸を加えてpH=1に調整、攪拌、冷却、ろ過して、白色粉末47.8gを得、生成物の収率が85.7%である。
【0041】
実施例5:レバプラザン塩酸塩の調製
1)4−ヒドロキシ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジンの調製
窒素の保護下で、反応器にトルエン129g、4−フルオロベンゼングアニジン炭酸塩(1:1)64.5g、2−メチルアセト酢酸エチル56.1g及び水酸化リチウム7.2gを順に加え、系内が還流するまで攪拌加熱、反応が完了するまで還流水分離状態を維持、降温、水を加えて30分間攪拌、ろ過、ろ過ケーキを水で洗浄、乾燥して、白色固体粉末59.7gを得る。生成物の収率が85.3%である。
2)4−クロロ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジンの調製
窒素の保護下で、反応器に4−ヒドロキシ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン46.6g、及びキシレン186gを順に加え、攪拌しながら塩化ホスホリル27.6gを加え、還流するまで加熱昇温させ、反応が完了するまで還流状態を維持、降温、氷水を加え、次いで水酸化カリウム水溶液を滴下してpH=2に調整、分液、水層をキシレンで2回抽出、有機層を合一、水で洗浄、乾固するまで減圧濃縮して、淡黄色固体粉末44.2gを得る。収率が87.9%である。
3)レバプラザン塩酸塩の調製
窒素の保護下で、反応器に4−クロロ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン40.3g、1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン25.8g及び1,3−プロパンジオール40gを順に加え、攪拌加熱して140〜150℃で反応させ、反応完了後降温、エタノールを加える。次いで塩酸を加えてpH=1に調整、攪拌して室温まで下げ、ろ過、ろ過ケーキを水で洗浄、エタノールで洗浄して、白色粉末57.1gを得、生成物の収率が89.5%である。
【0042】
実施例6:レバプラザン塩酸塩の調製
1)4−ヒドロキシ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジンの調製
窒素の保護下で、反応器にベンゼン430g、4−フルオロベンゼングアニジン炭酸塩(1:1)43.0g、2−メチルアセト酢酸エチル46.2g及び炭酸ナトリウム42.4gを順に加え、系内が還流するまで攪拌加熱、反応が完了するまで還流水分離状態を維持、降温、水を加えて30分間攪拌、ろ過、ろ過ケーキを水で洗浄、乾燥して、白色固体粉末40.8gを得る。生成物の収率が87.6%である。
2)4−クロロ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジンの調製
窒素の保護下で、反応器に4−ヒドロキシ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン23.3g、及びベンゼン93gを順に加え、攪拌しながら塩化ホスホリル15.3gを加え、還流するまで加熱昇温させ、反応が完了するまで還流状態を維持、降温、氷水を加え、次いで水酸化カリウム水溶液を滴下してpH=5に調整、分液、水層をベンゼンで2回抽出、有機層を合一、水で洗浄、乾固するまで減圧濃縮して、淡黄色固体粉末21.9gを得る。収率が87.0%である。
3)レバプラザン塩酸塩の調製
窒素の保護下で、反応器に4−クロロ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン20.1g、(R)−(+)−1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン17.7g、及びDMF2gを順に加え、攪拌加熱して140〜150℃で反応させ、反応が完了した後に降温、10%エタノールを加える。次いで塩酸を加えてpH=1に調整、攪拌して室温まで下げ、ろ過、ろ過ケーキを水で洗浄、10%エタノールで洗浄して、白色粉末28.3gを得、生成物の収率が88.7%である。
【0043】
実施例7:レバプラザン塩酸塩の調製
1)4−ヒドロキシ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジンの調製
窒素の保護下で、反応器にクロロベンゼン516g、4−フルオロベンゼングアニジン炭酸塩(1:1)64.5g、2−メチルアセト酢酸エチル86.4g及びナトリウムメトキシド15.4gを順に加え、系内が還流するまで攪拌加熱し、反応が完了するまで還流水分離状態を維持、降温、水を加えて30分間攪拌、ろ過、ろ過ケーキを水で洗浄、乾燥して、白色固体粉末61.9gを得る。生成物の収率が88.5%である。
2)4−クロロ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジンの調製
窒素の保護下で、反応器に4−ヒドロキシ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン46.6g、及びシクロヘキサン233gを順に加え、攪拌しながら塩化ホスホリル36.6gを加え、還流するまで加熱昇温させ、反応が完了するまで還流状態を維持、降温、氷水を加え、次いで水酸化バリウム水溶液を滴下してpH=7に調整、分液、水層をシクロヘキサンで2回抽出、有機層を合一、水で洗浄、乾固するまで減圧濃縮して、淡黄色固体粉末45.0gを得る。収率が89.5%である。
3)レバプラザン塩酸塩の調製
窒素の保護下で、反応器に4−クロロ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン40.3g、1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン塩酸塩35.3g、及びDMSO20gを順に加え、攪拌加熱して150〜160℃で反応させ、反応が完了した後に降温、80%エタノールを加える。次いで塩酸を加えてpH=1に調整し、攪拌して室温まで下げ、ろ過、ろ過ケーキを水で洗浄、80%エタノールで洗浄して、白色粉末57.2gを得、生成物の収率が89.7%である。
【0044】
実施例8:レバプラザン塩酸塩の調製
1)4−ヒドロキシ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジンの調製
反応器にシクロヘキサン150g、4−フルオロベンゼングアニジン炭酸塩(1:1)21.5g、2−メチルアセト酢酸エチル18.7g及びナトリウムエトキシド3.4gを順に加え、系内が還流するまで攪拌加熱し、反応が完了するまで還流水分離状態を維持、降温、水を加えて30分間攪拌、ろ過、ろ過ケーキを水で洗浄、乾燥して、白色固体粉末20.2gを得る。生成物の収率が86.7%である。
2)4−クロロ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジンの調製
反応器に4−ヒドロキシ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン11.6g、及びn−ヘキサン116gを順に加え、攪拌しながら塩化ホスホリル15.3gを加え、還流するまで加熱昇温させ、反応が完了するまで還流状態を維持、降温、氷水を加え、次いで水酸化バリウム水溶液を滴下してpH=10に調整、分液し、水層をn−ヘキサンで2回抽出、有機層を合一、水で洗浄、乾固するまで減圧濃縮して、淡黄色固体粉末11.0gを得る。収率が87.3%である。
3)レバプラザン塩酸塩の調製
反応器に4−クロロ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン10.1g、(R)−(+)−1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン14.7g、ピリジン9.48g及び1,4−ジオキサン10gを順に加え、攪拌加熱して100〜110℃で反応させ、反応完了後、室温まで冷却、ジクロロメタン及び水を加え、水層を分離、水層をジクロロメタンで抽出、ジクロロメタン層を希塩酸及び水で洗浄、ジクロロメタン層を濃縮し、残留物にエタノールを加えて溶解させ、塩酸を加えてpH=1に調整、攪拌、冷却、ろ過して、白色粉末13.6gを得、生成物の収率が85.1%である。
【0045】
実施例9:レバプラザン塩酸塩の調製
1)4−ヒドロキシ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジンの調製
反応器にトルエン184g、4−フルオロベンゼングアニジン炭酸塩(1:0.5)18.4g、2−メチルアセト酢酸エチル18.7g及び炭酸カリウム13.8gを順に加え、系内が還流するまで攪拌加熱、反応が完了するまで還流水分離状態を維持、降温、水を加えて30分間攪拌、ろ過、ろ過ケーキを水で洗浄、乾燥して、白色固体粉末19.8gを得る。生成物の収率が85.0%である。
2)4−クロロ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジンの調製
反応器に4−ヒドロキシ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン18.6g、及びトルエン93gを順に加え、攪拌しながら塩化ホスホリル8.6gを加え、還流するまで加熱昇温させ、反応が完了するまで還流状態を維持、降温、氷水を加え、次いで水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpH=4に調整、分液、水層をトルエンで2回抽出、有機層を合一、水で洗浄、乾固するまで減圧濃縮して、淡黄色固体粉末17.8gを得る。収率が88.6%である。
3)レバプラザン塩酸塩の調製
反応器に4−クロロ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン15.1g、1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン10.4g、4−ジメチルアミノピリジン10.3g及びジメチルアセトアミド10.6gを順に加え、攪拌加熱して115〜125℃で反応させ、反応完了後、室温まで冷却、ジクロロメタン及び水を加え、水層を分離、水層をジクロロメタンで抽出、ジクロロメタン層を希塩酸及び水で洗浄、ジクロロメタン層を濃縮し、残留物にエタノールを加えて溶解させ、塩酸を加えてpH=1に調整、攪拌、冷却、ろ過して、白色粉末20.3gを得、生成物の収率が84.9%である。
【0046】
実施例10:レバプラザン塩酸塩の調製
1)4−ヒドロキシ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジンの調製
窒素の保護下で、反応器にトルエン147g、4−フルオロベンゼングアニジン炭酸塩(1:0.5)18.4g、2−メチルアセト酢酸エチル20.2g及び炭酸リチウム7.4gを順に加え、系内が還流するまで攪拌加熱、反応が完了するまで還流水分離状態を維持、降温、水を加えて30分間攪拌、ろ過、ろ過ケーキを水で洗浄、乾燥して、白色固体粉末19.7gを得る。生成物の収率が84.5%である。
2)4−クロロ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジンの調製
窒素の保護下で、反応器に4−ヒドロキシ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン18.6g、及びトルエン112gを順に加え、攪拌しながら塩化ホスホリル9.8gを加え、還流するまで加熱昇温させ、反応が完了するまで還流状態を維持、降温、氷水を加え、次いで水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpH=5に調整、分液、水層をトルエンで2回抽出、有機層を合一、水で洗浄、乾固するまで減圧濃縮して、淡黄色固体粉末17.9gを得る。収率が89.0%である。
3)レバプラザン塩酸塩の調製
反応器に4−クロロ−2−(4−フルオロアニリン)−5,6−ジメチルピリミジン15.1g、1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン11.3g、N−メチルモルホリン7.9g及びN−メチルピロリドン10gを順に加え、攪拌加熱して120〜130℃で反応させ、反応完了後、室温まで冷却し、ジクロロメタン及び水を加え、水層を分離、水層をジクロロメタンで抽出、ジクロロメタン層を希塩酸及び水で洗浄、ジクロロメタン層を濃縮し、残留物にエタノールを加えて溶解させ、塩酸を加えてpH=1に調整、攪拌、冷却、ろ過して、白色粉末20.4gを得、生成物の収率が85.4%である。
図1