(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
MOS(Metal Oxide Semiconductor)型およびCCD(Charge Coupled Devices)型など様々な方式の撮像装置が提案され、かつ実用化されている。MOS型の撮像装置として、APS(Active Pixel Sensor)構成の画素を備えた(C)MOS型撮像装置がある。APS構成の画素は、光電変換部で生成された信号電荷に応じた画素信号を増幅し、かつ増幅された画素信号を出力する。
【0003】
例えば、(C)MOS型撮像装置は、特許文献1に開示されている。従来技術の(C)MOS型撮像装置の構成について説明する。
図9は、従来技術の撮像装置1001の構成を示している。
図9に示すように、撮像装置1001は、撮像部1002と、垂直選択部1004と、スイッチ部1005と、水平選択部1006と、出力部1007とを有する。
【0004】
撮像部1002は、行列状に配置された複数の画素1003を有する。複数の画素1003は、m行かつn列の配列を構成する。mとnとは、2以上の整数である。複数の画素1003の各々は、光電変換部PDと、転送トランジスタTxと、電荷蓄積部FDと、リセットトランジスタRstと、増幅トランジスタDrvと、選択トランジスタSelとを有する。
【0005】
例えば、光電変換部PDは、フォトダイオードである。転送トランジスタTxは、垂直選択部1004から出力される転送パルスφTxにより制御される。リセットトランジスタRstは、垂直選択部1004から出力されるリセットパルスφRstにより制御される。選択トランジスタSelは、垂直選択部1004から出力される選択パルスφSelにより制御される。
【0006】
光電変換部PDは、入射光の大きさに応じた信号電荷を生成する。転送トランジスタTxは、光電変換部PDで生成された信号電荷を電荷蓄積部FDに転送する。例えば、電荷蓄積部FDは、フローティングディフュージョンである。電荷蓄積部FDは、転送トランジスタTxによって転送された信号電荷を蓄積する。リセットトランジスタRstは、電荷蓄積部FDを所定の電圧にリセットする。増幅トランジスタDrvは、電荷蓄積部FDの電圧に応じた信号を増幅することにより、画素信号を生成する。選択トランジスタSelは、垂直信号線1030に画素信号を出力する。垂直信号線1030は、複数の画素1003の配列における列毎に配置されている。画素信号としてリセットレベルと信号レベルとが画素1003から出力される。
【0007】
垂直選択部1004は、複数の画素1003の配列における行方向に配置された複数の画素1003を選択する。垂直選択部1004は、選択された画素1003の動作を制御する。垂直選択部1004は、複数の画素1003を制御するための制御信号を複数の画素1003の配列における行毎に出力する。垂直選択部1004から出力される制御信号は、転送パルスφTxと、リセットパルスφRstと、選択パルスφSelとを含む。
【0008】
スイッチ部1005は、複数の画素1003の配列における列毎に配置されたスイッチトランジスタSWを有する。スイッチトランジスタSWは、垂直信号線1030と水平信号線1031とに接続されている。水平信号線1031は、複数の画素1003の配列における行方向に配置されている。スイッチトランジスタSWは、垂直信号線1030に出力された画素信号を水平信号線1031に出力する。i列目のスイッチトランジスタSWは、水平選択部1006から出力される選択パルスHSR[i]により制御される。iは、1以上かつn以下の整数である。
【0009】
水平信号線1031は、出力部1007に接続されている。水平選択部1006は、選択パルスHSR[1]から選択パルスHSR[n]によりスイッチトランジスタSWを順次選択し、かつ画素信号を出力部1007に転送する。この画素信号は電流として出力部1007に入力される。出力部1007は、画素信号を出力電圧に変換し、かつ出力電圧を出力信号Aoutとして後段回路1200(
図11)に出力する。
【0010】
図10は、出力部1007の構成を示している。
図10に示すように、出力部1007は、カレントミラー部CM1と変換部I/V1とを有する。
【0011】
カレントミラー部CM1は、トランジスタN1とトランジスタN2とを有する。トランジスタN1とトランジスタN2とは、NMOSトランジスタである。トランジスタN1のドレイン端子は、水平信号線1031に接続されている。トランジスタN1のソース端子は、グランドに接続されている。トランジスタN1のゲート端子は、トランジスタN1のドレイン端子に接続されている。トランジスタN2のドレイン端子は、変換部I/V1に接続されている。トランジスタN2のソース端子は、グランドに接続されている。トランジスタN2のゲート端子は、トランジスタN1のゲート端子に接続されている。
【0012】
変換部I/V1は、電流を出力電圧に変換して出力するための電流電圧変換用アンプである。変換部I/V1は、抵抗R1とオペアンプOP1とを有する。抵抗R1の第1の端子は、トランジスタN2のドレイン端子とオペアンプOP1の反転入力端子とに接続されている。抵抗R1の第2の端子は、オペアンプOP1の出力端子に接続されている。オペアンプOP1の非反転入力端子は、基準電圧を出力する電源に接続されている。
【0013】
図10では、撮像部1002の一部の画素1003における増幅トランジスタDrvと選択トランジスタSelとが示されている。また、
図10では、スイッチ部1005の一部のスイッチトランジスタSWが示されている。
【0014】
画素1003から出力された画素信号に基づく電流がカレントミラー部CM1に入力される。カレントミラー部CM1は、トランジスタN1とトランジスタN2とにより電流を折り返す。つまり、ミラー比が1:1であれば、カレントミラー部CM1は、画素3から出力された電流と同一の電流を生成する。カレントミラー部CM1によって生成された電流は、変換部I/V1に出力される。変換部I/V1は、電流を出力電圧に変換し、かつ出力電圧を出力信号Aoutとして後段回路1200に出力する。
【0015】
式(1)は、変換部I/V1の出力信号Aoutの電圧値V
OUTを示している。
V
OUT=V
REF+R
1×I
PIX ・・・(1)
【0016】
式(1)において、電圧値V
REFは、基準電圧の値である。抵抗値R
1は、抵抗R1の値である。電流値I
PIXは、カレントミラー部CM1によって生成される電流の値である。式(1)に示すように、変換部I/V1は、電流(I
PIX)を、基準電圧(V
REF)を基準とする出力電圧(V
OUT)に変換する。
【0017】
後段回路1200は、減算(CDS処理)を行うことにより、リセットレベルと信号レベルとの差分である信号成分を取得する。
図11は、後段回路1200の構成を示している。
図11に示すように、後段回路1200は、AD変換回路1201と、ラインメモリ1202と、減算器1203とを有する。
【0018】
出力部1007からの出力信号AoutがAD変換回路1201に入力される。AD変換回路1201は、出力信号Aoutをデジタル値に変換する。ラインメモリ1202は、リセットレベルの出力電圧のデジタル値を保持する。減算器1203は、AD変換回路1201から出力された信号レベルの出力電圧のデジタル値から、ラインメモリ1202に保持されたリセットレベルの出力電圧のデジタル値を減算する。減算器1203は、信号成分のデジタル値Asubを出力する。
【0019】
従来技術の(C)MOS型撮像装置の動作について説明する。
図12は、撮像装置1001の動作を示している。以下では、撮像装置1001による画素信号の読み出し動作を説明する。
【0020】
図12では、選択パルスφSelと、リセットパルスφRstと、転送パルスφTxと、選択パルスHSR[1]から選択パルスHSR[n]と、出力信号Aoutとの波形が示されている。
図12における横方向は時間を示し、縦方向は電圧を示している。
【0021】
画素信号の読み出し動作が開始される前、選択パルスφSelと、リセットパルスφRstと、転送パルスφTxと、選択パルスHSR[1]から選択パルスHSR[n]とは、L(Low)状態である。画素信号の読み出し動作が開始される前、出力信号Aoutは、グランドレベル(GND)である。
【0022】
垂直選択部1004から所定の行の画素1003に出力される選択パルスφSelがL状態からH(High)状態になることにより選択トランジスタSelがオン(導通状態)になる。これによって、所定の行の画素1003が選択される。
【0023】
(リセットレベルの読み出し)
垂直選択部1004から所定の行の画素1003に出力されるリセットパルスφRstがL状態からH状態になることによりリセットトランジスタRstがオンになる。これによって、電荷蓄積部FDがリセットされ、かつリセットレベルの画素信号が垂直信号線1030に出力される。その後、リセットパルスφRstがH状態からL状態になることによりリセットトランジスタRstがオフになる。
【0024】
その後、水平選択部1006から1列目のスイッチトランジスタSWに出力される選択パルスHSR[1]がL状態からH状態になることによりスイッチトランジスタSWがオンになる。これによって、所定の行における1列目の画素1003のリセットレベルの画素信号が垂直信号線1030から水平信号線1031に出力される。このとき、リセットレベルの読み出しが開始される。水平信号線1031に出力されたリセットレベルの画素信号は、出力部1007に入力される。出力部1007は、電流として入力されるリセットレベルの画素信号を出力電圧に変換し、かつ出力電圧を出力信号Aoutとして後段回路1200に出力する。その後、選択パルスHSR[1]がH状態からL状態になることによりスイッチトランジスタSWがオフになる。
【0025】
同様に、選択パルスHSR[2]から選択パルスHSR[n]が順次H状態になることにより、所定の行における各々の列の画素1003から出力部1007にリセットレベルの画素信号が転送される。出力部1007は、順次入力されるリセットレベルの画素信号を出力電圧に変換し、かつ出力電圧を出力信号Aoutとして後段回路1200に出力する。選択パルスHSR[n]がL状態になることによりリセットレベルの読み出しが終了する。
【0026】
選択パルスHSR[1]から選択パルスHSR[n]がH状態である各々の期間において、後段回路1200のAD変換回路1201は、リセットレベルの出力電圧をデジタル値に変換する。ラインメモリ1202は、リセットレベルの出力電圧のデジタル値を保持する。
【0027】
(信号レベルの読み出し)
その後、垂直選択部1004から所定の行の画素1003に出力される転送パルスφTxがL状態からH状態になることにより転送トランジスタTxがオンになる。これによって、光電変換部PDの信号電荷が電荷蓄積部FDに転送され、かつ信号レベルの画素信号が垂直信号線1030に出力される。その後、転送パルスφTxがH状態からL状態になることにより転送トランジスタTxがオフになる。
【0028】
その後、水平選択部1006から1列目のスイッチトランジスタSWに出力される選択パルスHSR[1]がL状態からH状態になることによりスイッチトランジスタSWがオンになる。これによって、所定の行における1列目の画素1003の信号レベルの画素信号が垂直信号線1030から水平信号線1031に出力される。このとき、信号レベルの読み出しが開始される。水平信号線1031に出力された信号レベルの画素信号は、出力部1007に入力される。出力部1007は、電流として入力される信号レベルの画素信号を出力電圧に変換し、かつ出力電圧を出力信号Aoutとして後段回路1200に出力する。その後、選択パルスHSR[1]がH状態からL状態になることによりスイッチトランジスタSWがオフになる。
【0029】
同様に、選択パルスHSR[2]から選択パルスHSR[n]が順次H状態になることにより、所定の行における各々の列の画素1003から出力部1007に信号レベルの画素信号が転送される。出力部1007は、順次入力される信号レベルの画素信号を出力電圧に変換し、かつ出力電圧を出力信号Aoutとして後段回路1200に出力する。選択パルスHSR[n]がL状態になることにより信号レベルの読み出しが終了する。
【0030】
選択パルスHSR[1]から選択パルスHSR[n]がH状態である各々の期間において、後段回路1200のAD変換回路1201は、信号レベルの出力電圧をデジタル値に変換する。減算器1203は、信号レベルの出力電圧のデジタル値から、ラインメモリ1202に保持されたリセットレベルの出力電圧のデジタル値を減算する。
【0031】
上記の動作が行毎に行われることにより、全ての行の画素1003から画素信号が読み出される。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。
【0046】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態の撮像装置1の構成を示している。
図1に示すように、撮像装置1は、撮像部2と、垂直選択部4と、スイッチ部5と、水平選択部6と、出力部7と、基準電流生成部8(基準電流生成回路)と、基準電圧生成部9(基準電圧生成回路)とを有する。例えば、撮像部2と、垂直選択部4と、スイッチ部5と、水平選択部6と、出力部7と、基準電流生成部8と、基準電圧生成部9とは、同一の基板またはチップに配置されている。
【0047】
撮像部2は、行列状に配置された複数の画素3を有する。複数の画素3は、m行かつn列の配列を構成する。mとnとは、2以上の整数である。行数と列数とが同一でなくてもよい。複数の画素3の各々は、光電変換部PDと、転送トランジスタTx(電荷転送部)と、電荷蓄積部FDと、リセットトランジスタRstと、増幅トランジスタDrv(信号生成部)と、選択トランジスタSelとを有する。例えば、転送トランジスタTxと、リセットトランジスタRstと、増幅トランジスタDrvと、選択トランジスタSelとの各々は、NMOSトランジスタである。転送トランジスタTxと、リセットトランジスタRstと、増幅トランジスタDrvと、選択トランジスタSelとの各々は、ゲート端子と、ソース端子と、ドレイン端子とを有する。
【0048】
例えば、光電変換部PDは、フォトダイオードである。光電変換部PDの第1の端子はグランドに接続されている。光電変換部PDの第2の端子は転送トランジスタTxに接続されている。
【0049】
転送トランジスタTxのドレイン端子は、光電変換部PDの第2の端子に接続されている。転送トランジスタTxのソース端子は、電荷蓄積部FDに接続されている。転送トランジスタTxのゲート端子は、制御信号線34に接続されている。制御信号線34は、垂直選択部4から複数の画素3の配列における行方向に伸びる。制御信号線34は、転送パルスφTxを伝送する。
【0050】
リセットトランジスタRstのドレイン端子は、電源線32に接続されている。電源線32は、電源電圧VDDを出力する電源に接続されている。リセットトランジスタRstのソース端子は、電荷蓄積部FDに接続されている。リセットトランジスタRstのゲート端子は、制御信号線33に接続されている。制御信号線33は、垂直選択部4から複数の画素3の配列における行方向に伸びる。制御信号線33は、リセットパルスφRstを伝送する。
【0051】
増幅トランジスタDrvのドレイン端子は、電源線32に接続されている。増幅トランジスタDrvのソース端子は、選択トランジスタSelに接続されている。増幅トランジスタDrvのゲート端子は、電荷蓄積部FDに接続されている。
【0052】
選択トランジスタSelのドレイン端子は、増幅トランジスタDrvのソース端子に接続されている。選択トランジスタSelのソース端子は、垂直信号線30に接続されている。選択トランジスタSelのゲート端子は、制御信号線35に接続されている。制御信号線35は、垂直選択部4から複数の画素3の配列における行方向に伸びる。制御信号線35は、選択パルスφSelを伝送する。
【0053】
転送トランジスタTxは、垂直選択部4から出力される転送パルスφTxにより制御される。リセットトランジスタRstは、垂直選択部4から出力されるリセットパルスφRstにより制御される。選択トランジスタSelは、垂直選択部4から出力される選択パルスφSelにより制御される。
【0054】
光電変換部PDは、入射光の大きさに応じた信号電荷を生成する。転送トランジスタTxは、光電変換部PDで生成された信号電荷を電荷蓄積部FDに転送する。例えば、電荷蓄積部FDは、フローティングディフュージョンである。電荷蓄積部FDは、転送トランジスタTxによって転送された信号電荷を蓄積する。リセットトランジスタRstは、電荷蓄積部FDを所定の電圧にリセットする。増幅トランジスタDrvは、電荷蓄積部FDの電圧に応じた信号を増幅することにより、画素信号を生成する。選択トランジスタSelは、垂直信号線30に画素信号を出力する。垂直信号線30は、複数の画素3の配列における列毎に配置されている。画素信号としてリセットレベルと信号レベルとが画素3から出力される。
【0055】
上記の構成により、複数の画素3は、入射光に応じた画素信号(画素電流)を出力する。画素信号は、入射光に応じた電流値を有する。
【0056】
垂直選択部4は、複数の画素3の配列における行方向に配置された複数の画素3を選択する。垂直選択部4は、選択された画素3の動作を制御する。垂直選択部4は、複数の画素3を制御するための制御信号を複数の画素3の配列における行毎に出力する。垂直選択部4から出力される制御信号は、転送パルスφTxと、リセットパルスφRstと、選択パルスφSelとを含む。
【0057】
スイッチ部5は、複数の画素3の配列における列毎に配置されたスイッチトランジスタSWを有する。スイッチトランジスタSWは、垂直信号線30と水平信号線31とに接続されている。水平信号線31は、複数の画素3の配列における行方向に配置されている。例えば、スイッチトランジスタSWは、NMOSトランジスタである。スイッチトランジスタSWは、ゲート端子と、ソース端子と、ドレイン端子とを有する。スイッチトランジスタSWのドレイン端子は、垂直信号線30に接続されている。スイッチトランジスタSWのソース端子は、水平信号線31に接続されている。スイッチトランジスタSWのゲート端子は、制御信号線36に接続されている。制御信号線36は、水平選択部6から複数の画素3の配列における列方向に伸びる。制御信号線36は、選択パルスHSR[1]から選択パルスHSR[n]を伝送する。i列目のスイッチトランジスタSWは、水平選択部6から出力される選択パルスHSR[i]により制御される。iは、1以上かつn以下の整数である。スイッチトランジスタSWは、垂直信号線30に出力された画素信号を水平信号線31に出力する。
【0058】
水平信号線31は、出力部7に接続されている。水平選択部6は、選択パルスHSR[1]から選択パルスHSR[n]によりスイッチトランジスタSWを順次選択し、かつ画素信号を出力部7に転送する。この画素信号は電流として出力部7に入力される。出力部7は、画素信号を出力電圧に変換し、かつ出力電圧を出力信号Aoutとして後段回路200(
図3)に出力する。基準電流生成部8は、基準電流を生成し、かつ基準電流を出力部7に出力する。基準電圧生成部9は、基準電圧を生成し、かつ基準電圧を出力部7に出力する。
【0059】
図2は、出力部7と基準電流生成部8と基準電圧生成部9との構成を示している。
図2に示すように、基準電流生成部8は、トランジスタNref1と、選択トランジスタSel1とを有する。例えば、トランジスタNref1と選択トランジスタSel1とは、NMOSトランジスタである。トランジスタNref1と選択トランジスタSel1とは、ゲート端子と、ソース端子と、ドレイン端子とを有する。
【0060】
トランジスタNref1のドレイン端子は、電源電圧VDDを出力する電源に接続されている。トランジスタNref1のソース端子は、選択トランジスタSel1に接続されている。トランジスタNref1のゲート端子は、トランジスタNref1のドレイン端子に接続されている。トランジスタNref1は、基準電流をソース端子から出力する。例えば、基準電流の電流値は、入射光量がほぼゼロである暗時における画素信号の電流値と同一である。
【0061】
選択トランジスタSel1のドレイン端子は、トランジスタNref1のソース端子に接続されている。選択トランジスタSel1のソース端子は、スイッチ部5に接続されている。選択トランジスタSel1のゲート端子は、電源電圧VDDを出力する電源に接続されている。選択トランジスタSel1のドレイン端子と選択トランジスタSel1のソース端子との間に基準電流が流れる。選択トランジスタSel1は、トランジスタNref1から出力された基準電流をソース端子から出力する。
【0062】
基準電流生成部8の構成は、上記の構成に限らない。基準電流生成部8は、画素3と同様に構成されてもよい。例えば、トランジスタNref1は、増幅トランジスタDrvと同様に構成されてもよい。例えば、選択トランジスタSel1は、選択トランジスタSelと同様に構成されてもよい。
図2では、トランジスタNref1と選択トランジスタSel1とが撮像部2の一部である。しかし、トランジスタNref1と選択トランジスタSel1とは、撮像部2とは独立して構成されてもよい。トランジスタNref1と選択トランジスタSel1とは、PMOSトランジスタであってもよい。
【0063】
図2では、撮像部2の一部の画素3における増幅トランジスタDrvと選択トランジスタSelとが示されている。また、
図2では、スイッチ部5の一部のスイッチトランジスタSWが示されている。
【0064】
上記のように、複数の画素3の各々は、光電変換部PDと、転送トランジスタTx(電荷転送部)と、電荷蓄積部FDと、信号生成部とを有する。光電変換部PDは、入射光に応じた信号電荷を生成する。転送トランジスタTxは、光電変換部PDで生成された信号電荷を転送する。電荷蓄積部FDは、転送トランジスタTxによって転送された信号電荷を蓄積する。信号生成部は、電荷蓄積部FDの電圧に応じた画素電流を生成する。信号生成部は、増幅トランジスタDrv(第1のMOSトランジスタ)である。増幅トランジスタDrvは、ドレイン端子(第1のドレイン端子)とソース端子(第1のソース端子)とを有する。増幅トランジスタDrvのドレイン端子と増幅トランジスタDrvのソース端子との間に画素電流が流れる。
【0065】
上記のように、基準電流生成部8(基準電流生成回路)は、トランジスタNref1(第2のMOSトランジスタ)を有する。トランジスタNref1は、ゲート端子とドレイン端子(第2のドレイン端子)とソース端子(第2のソース端子)とを有する。トランジスタNref1のドレイン端子とトランジスタNref1のソース端子との間に基準電流が流れる。トランジスタNref1のゲート端子とトランジスタNref1のドレイン端子とは、電気的に接続されている。
【0066】
スイッチ部5は、複数のスイッチトランジスタSWに加えてスイッチトランジスタSW1を有する。例えば、スイッチトランジスタSW1は、NMOSトランジスタである。スイッチトランジスタSW1は、ゲート端子と、ソース端子と、ドレイン端子とを有する。スイッチトランジスタSW1のドレイン端子は、選択トランジスタSel1のソース端子に接続されている。スイッチトランジスタSW1のソース端子は、出力部7に接続されている。スイッチトランジスタSW1のゲート端子は、電源電圧VDDを出力する電源に接続されている。
図1では、スイッチトランジスタSW1は省略されている。
【0067】
図2に示すように、出力部7は、カレントミラー部CM1(差分電流生成回路)と、変換部I/V1と、出力回路OUTとを有する。
【0068】
カレントミラー部CM1は、トランジスタN1とトランジスタN2とを有する。トランジスタN1とトランジスタN2とは、NMOSトランジスタである。トランジスタN1とトランジスタN2との各々は、ゲート端子と、ソース端子と、ドレイン端子とを有する。トランジスタN1のドレイン端子は、水平信号線31に接続されている。トランジスタN1のソース端子は、グランドに接続されている。トランジスタN1のゲート端子は、トランジスタN1のドレイン端子に接続されている。トランジスタN2のドレイン端子は、スイッチトランジスタSW1のソース端子と変換部I/V1とに接続されている。トランジスタN2のソース端子は、グランドに接続されている。トランジスタN2のゲート端子とトランジスタN1のゲート端子とは、電気的に接続されている。
【0069】
変換部I/V1は、電流を出力電圧に変換して出力するための電流電圧変換用アンプである。変換部I/V1は、抵抗R1とオペアンプOP1とを有する。抵抗R1は、第1の端子と第2の端子とを有する。オペアンプOP1は、非反転入力端子と、反転入力端子と、出力端子とを有する。抵抗R1の第1の端子は、トランジスタN2のドレイン端子とオペアンプOP1の反転入力端子とに接続されている。抵抗R1の第2の端子は、オペアンプOP1の出力端子に接続されている。オペアンプOP1の非反転入力端子は、基準電圧生成部9に接続されている。基準電圧生成部9によって生成された第1の基準電圧がオペアンプOP1の非反転入力端子に入力される。
【0070】
画素3から出力された画素信号に基づく画素電流と、基準電流生成部8によって生成された基準電流とがカレントミラー部CM1に入力される。画素電流は、トランジスタN1に入力される。画素電流は、トランジスタN1のドレイン端子とトランジスタN1のソース端子との間に流れる。カレントミラー部CM1は、トランジスタN1とトランジスタN2とにより電流を折り返す。つまり、ミラー比が1:1であれば、カレントミラー部CM1は、画素電流と同一の電流を生成する。この電流は、トランジスタN2のドレイン端子とトランジスタN2のソース端子との間に流れる。基準電流生成部8からの基準電流と、トランジスタN2に流れる電流との差分がカレントミラー部CM1から出力される。これによって、カレントミラー部CM1は、画素電流と基準電流との差分に応じた差分電流を生成する。カレントミラー部CM1は、生成された差分電流を変換部I/V1に出力する。
【0071】
カレントミラー部CM1の構成は、上記の構成に限らない。例えば、カレントミラー部CM1は、画素3から出力された電流を所定の比率で増幅し、かつ折り返してもよい。
【0072】
カレントミラー部CM1によって生成された差分電流と、基準電圧生成部9によって生成された第1の基準電圧とが変換部I/V1に入力される。差分電流は、オペアンプOP1の反転入力端子に入力される。第1の基準電圧は、オペアンプOP1の非反転入力端子に入力される。変換部I/V1は、第1の基準電圧に基づいて差分電流を出力電圧に変換する。変換部I/V1は、生成された出力電圧を出力回路OUTに出力する。
【0073】
出力回路OUTは、選択回路MUXを有する。選択回路MUXは、選択信号SELによって制御される。変換部I/V1によって生成された出力電圧と、基準電圧生成部9によって生成された第2の基準電圧とが出力回路OUTすなわち選択回路MUXに入力される。出力回路OUTすなわち選択回路MUXは、出力電圧と第2の基準電圧とを出力信号Aoutとして交互に出力する。つまり、出力回路OUTすなわち選択回路MUXは、第1の期間において第2の基準電圧を出力し、かつ第2の期間において出力電圧を出力する。複数の画素3の配列における1列の画素信号が出力される期間は、第1の期間と第2の期間とを含む。第2の期間は、第1の期間よりも後である。出力信号Aoutは、後段回路200に出力される。
【0074】
出力回路OUTは、出力電圧と第2の基準電圧とを同時に出力してもよい。例えば、出力回路OUTは、出力電圧を出力する電極または端子と、第2の基準電圧を出力する電極または端子とを有していてもよい。したがって、出力回路OUTが選択回路MUXを有していなくてもよい。
【0075】
基準電圧生成部9は、抵抗R2と、抵抗R3と、スイッチSH1と、容量素子C1と、ソースフォロワ回路SF1とを有する。
【0076】
抵抗R2と抵抗R3との各々は、第1の端子と第2の端子とを有する。抵抗R2の第1の端子は、電源電圧VDDを出力する電源に接続されている。抵抗R3の第1の端子は、抵抗R2の第2の端子に接続されている。抵抗R3の第2の端子は、グランドに接続されている。
【0077】
スイッチSH1と容量素子C1との各々は、第1の端子と第2の端子とを有する。スイッチSH1の第1の端子は、抵抗R2の第2の端子と抵抗R3の第1の端子とに接続されている。容量素子C1の第1の端子は、スイッチSH1の第2の端子に接続されている。容量素子C1の第2の端子は、グランドに接続されている。
【0078】
スイッチSH1は、オンとオフとを切り替えることができる素子である。例えば、スイッチSH1は、トランジスタである。スイッチSH1がオンである場合、容量素子C1の第1の端子は抵抗R2の第2の端子と抵抗R3の第1の端子とに電気的に接続される。スイッチSH1がオフである場合、容量素子C1の第1の端子は、抵抗R2の第2の端子と抵抗R3の第1の端子とから電気的に絶縁される。
【0079】
スイッチSH1と容量素子C1とは、サンプルホールド回路を構成する。スイッチSH1は、電源電圧VDDの電圧値と、抵抗R2および抵抗R3の抵抗値とに応じた電圧をサンプリングする。容量素子C1は、スイッチSH1によってサンプリングされた電圧を保持する。つまり、容量素子C1は、サンプリング容量である。電源電圧VDDに応じた電圧がサンプリングされることによって、電源電圧VDDに重畳するノイズの影響が低減される。この結果、第1の基準電圧と第2の基準電圧との電圧値がほぼ一定になる。
【0080】
ソースフォロワ回路SF1は、トランジスタN3と、レベルシフト素子Z1と、定電流源S1とを有する。例えば、トランジスタN3は、NMOSトランジスタである。トランジスタN3は、ゲート端子と、ソース端子と、ドレイン端子とを有する。トランジスタN3のドレイン端子は、電源電圧VDDを出力する電源に接続されている。トランジスタN3のゲート端子は、容量素子C1の第1の端子に接続されている。
【0081】
例えば、レベルシフト素子Z1は、抵抗である。レベルシフト素子Z1は、第1の端子と第2の端子とを有する。レベルシフト素子Z1の第1の端子は、トランジスタN3のソース端子に接続されている。定電流源S1は、レベルシフト素子Z1の第2の端子とグランドとに接続されている。例えば、定電流源S1は、ゲート電圧が一定に制御されたトランジスタである。
【0082】
第1の基準電圧がレベルシフト素子Z1の第2の端子から出力され、かつ第2の基準電圧がレベルシフト素子Z1の第1の端子から出力される。これによって、基準電圧生成部9は、第1の基準電圧と、第1の基準電圧のレベルをシフトした第2の基準電圧とを生成する。レベルシフト量は、レベルシフト素子Z1の抵抗値と定電流源S1の電流値とに応じて設定できる。基準電圧生成部9は、電源電圧VDDに応じた電圧をサンプルホールドし、かつ保持された電圧に基づいて第1の基準電圧と第2の基準電圧とを生成する。
【0083】
基準電圧生成部9の構成は、上記の構成に限らない。基準電圧生成部9は、電源電圧VDDに応じた電圧をサンプルホールドすることなく第1の基準電圧と第2の基準電圧とを生成してもよい。
【0084】
式(2)は、差分電流の電流値I
DIFFを示している。
I
DIFF=I
REF−I
PIX ・・・(2)
【0085】
式(2)において、電流値I
REFは、基準電流生成部8によって生成される基準電流の値である。電流値I
PIXは、画素3によって生成される画素電流の値である。式(2)に示すように、カレントミラー部CM1は、画素電流(I
PIX)と基準電流(I
REF)との差分に応じた差分電流を生成する。
【0086】
式(3)は、変換部I/V1の出力信号Aoutの電圧値V
OUTを示している。
V
OUT=V
REF1−R
1×I
DIFF ・・・(3)
【0087】
式(3)において、電圧値V
REF1は、第1の基準電圧の値である。抵抗値R
1は、抵抗R1の値である。電流値I
DIFFは、カレントミラー部CM1によって生成される差分電流の値である。式(3)に示すように、変換部I/V1は、差分電流(I
DIFF)を、第1の基準電圧(V
REF1)を基準とする出力電圧(V
OUT)に変換する。
【0088】
例えば、入射光量がほぼゼロである暗時における画素電流と基準電流との電流値は同一である。このとき、式(2)により差分電流の電流値I
DIFFは、ほぼゼロである。式(4)は、第2の基準電圧と、暗時における出力電圧との差分の電圧値V
OFFSETを示している。
V
OFFSET=V
REF2−V
REF1 ・・・(4)
【0089】
式(4)において、電圧値V
REF2は、第2の基準電圧の値である。電圧値V
REF1は、第1の基準電圧の値である。式(4)に示すように、第2の基準電圧と、暗時における出力電圧との差分は、第1の基準電圧と第2の基準電圧とのみに基づく。このため、撮像装置1は、出力電圧と第2の基準電圧との差分の値V
OFFSETを精度良く確保することができる。
【0090】
撮像装置1は、ノイズ低減のための容量素子をカラム部に有していなくてよい。このため、カラム部の面積は増加しない。カラム部は、複数の画素3の配列における各列に対応する領域である。例えば、スイッチ部5はカラム部に配置されている。
【0091】
後段回路200は、減算(CDS処理)を行うことにより、リセットレベルと信号レベルとの差分である信号成分を取得する。
図3は、後段回路200の構成を示している。
図3に示すように、後段回路200は、AFE回路201と、ラインメモリ202と、減算器203とを有する。例えば、AFE回路201と、ラインメモリ202と、減算器203とは、撮像装置1が配置された基板またはチップとは異なる基板またはチップに配置されている。
【0092】
出力部7からの出力信号AoutがAFE回路201に入力される。つまり、出力電圧と第2の基準電圧とがAFE回路201に交互に入力される。AFE回路201は、出力信号Aoutをデジタル値に変換する。つまり、AFE回路201は、出力電圧と第2の基準電圧との差分信号をデジタル値に変換する。出力電圧は、リセットレベルまたは信号レベルの画素信号の電圧である。ラインメモリ202は、リセットレベルの出力電圧と第2の基準電圧との差分信号のデジタル値を保持する。減算器203は、AFE回路201から出力された信号レベルの出力電圧と第2の基準電圧との差分信号のデジタル値からラインメモリ202に保持されたリセットレベルの出力電圧と第2の基準電圧との差分信号のデジタル値を減算する。減算器205は、信号成分のデジタル値Asubを出力する。
【0093】
出力回路OUTが選択回路MUXを有していない場合、後段回路200が選択回路MUXを有してもよい。例えば、出力電圧と第2の基準電圧とが同時に選択回路MUXに入力され、かつ選択回路MUXは出力電圧と第2の基準電圧とを交互にAFE回路201に出力してもよい。
【0094】
撮像装置1の動作について説明する。
図4は、撮像装置1の動作を示している。以下では、撮像装置1による画素信号の読み出し動作を説明する。
【0095】
図4では、選択パルスφSelと、リセットパルスφRstと、転送パルスφTxと、選択パルスHSR[1]から選択パルスHSR[n]と、選択信号SELと、出力信号Aoutとの波形が示されている。
図4における横方向は時間を示し、縦方向は電圧を示している。
【0096】
画素信号の読み出し動作が開始される前、選択パルスφSelと、リセットパルスφRstと、転送パルスφTxと、選択信号SELと、選択パルスHSR[1]から選択パルスHSR[n]とは、L(Low)状態である。画素信号の読み出し動作が開始される前、出力信号Aoutは、グランドレベル(GND)である。
【0097】
垂直選択部4から所定の行の画素3に出力される選択パルスφSelがL状態からH(High)状態になることにより選択トランジスタSelがオン(導通状態)になる。これによって、所定の行の画素3が選択される。
【0098】
(リセットレベルの読み出し)
垂直選択部4から所定の行の画素3に出力されるリセットパルスφRstがL状態からH状態になることによりリセットトランジスタRstがオンになる。これによって、電荷蓄積部FDがリセットされ、かつリセットレベルの画素信号が垂直信号線30に出力される。その後、リセットパルスφRstがH状態からL状態になることによりリセットトランジスタRstがオフになる。
【0099】
その後、水平選択部6から1列目のスイッチトランジスタSWに出力される選択パルスHSR[1]がL状態からH状態になることによりスイッチトランジスタSWがオンになる。これによって、所定の行における1列目の画素3のリセットレベルの画素信号が垂直信号線30から水平信号線31に出力される。このとき、リセットレベルの読み出しが開始される。水平信号線31に出力されたリセットレベルの画素信号は、出力部7に入力される。出力部7は、電流として入力されるリセットレベルの画素信号を出力電圧に変換する。選択信号SELがL状態であるとき、出力部7は第2の基準電圧を出力信号Aoutとして後段回路200に出力する。選択信号SELがL状態からH状態になることにより、出力部7は出力電圧を出力信号Aoutとして後段回路200に出力する。その後、選択パルスHSR[1]がH状態からL状態になることによりスイッチトランジスタSWがオフになる。同時に、選択信号SELがH状態からL状態になる。
【0100】
選択パルスHSR[1]がH状態である期間において、後段回路200のAFE回路201は、第2の基準電圧とリセットレベルの出力電圧との差分電圧をデジタル値に変換する。ラインメモリ202は、デジタル値を保持する。
【0101】
同様に、選択パルスHSR[2]から選択パルスHSR[n]が順次H状態になることにより、所定の行における各々の列の画素3から出力部7にリセットレベルの画素信号が転送される。出力部7は、順次入力されるリセットレベルの画素信号を出力電圧に変換し、かつ第2の基準電圧と出力電圧とを出力信号Aoutとして交互に後段回路200に出力する。選択パルスHSR[n]がL状態になることによりリセットレベルの読み出しが終了する。
【0102】
電源電圧VDDがスイッチトランジスタSW1のゲート端子に入力されるため、スイッチトランジスタSW1はオンである。これによって、基準電流生成部8から出力部7に基準電流が転送される。
【0103】
選択パルスHSR[2]から選択パルスHSR[n]がH状態である各々の期間において、後段回路200のAFE回路201は、第2の基準電圧とリセットレベルの出力電圧との差分電圧をデジタル値に変換する。ラインメモリ202は、デジタル値を保持する。
【0104】
(信号レベルの読み出し)
その後、垂直選択部4から所定の行の画素3に出力される転送パルスφTxがL状態からH状態になることにより転送トランジスタTxがオンになる。これによって、光電変換部PDの信号電荷が電荷蓄積部FDに転送され、かつ信号レベルの画素信号が垂直信号線30に出力される。その後、転送パルスφTxがH状態からL状態になることにより転送トランジスタTxがオフになる。
【0105】
その後、水平選択部6から1列目のスイッチトランジスタSWに出力される選択パルスHSR[1]がL状態からH状態になることによりスイッチトランジスタSWがオンになる。これによって、所定の行における1列目の画素3の信号レベルの画素信号が垂直信号線30から水平信号線31に出力される。このとき、信号レベルの読み出しが開始される。水平信号線31に出力された信号レベルの画素信号は、出力部7に入力される。出力部7は、電流として入力される信号レベルの画素信号を出力電圧に変換する。選択信号SELがL状態であるとき、出力部7は第2の基準電圧を出力信号Aoutとして後段回路200に出力する。選択信号SELがL状態からH状態になることにより、出力部7は出力電圧を出力信号Aoutとして後段回路200に出力する。その後、選択パルスHSR[1]がH状態からL状態になることによりスイッチトランジスタSWがオフになる。
【0106】
選択パルスHSR[1]がH状態である期間において、後段回路200のAFE回路201は、第2の基準電圧と信号レベルの出力電圧との差分電圧をデジタル値に変換する。減算器203は、第2の基準電圧と信号レベルの出力電圧との差分電圧のデジタル値から、ラインメモリ202に保持された第2の基準電圧とリセットレベルの出力電圧との差分電圧のデジタル値を減算する。
【0107】
同様に、選択パルスHSR[2]から選択パルスHSR[n]が順次H状態になることにより、所定の行における各々の列の画素3から出力部7に信号レベルの画素信号が転送される。出力部7は、順次入力される信号レベルの画素信号を出力電圧に変換し、かつ第2の基準電圧と出力電圧とを出力信号Aoutとして交互に後段回路200に出力する。選択パルスHSR[n]がL状態になることにより信号レベルの読み出しが終了する。
【0108】
電源電圧VDDがスイッチトランジスタSW1のゲート端子に入力されるため、スイッチトランジスタSW1はオンである。これによって、基準電流生成部8から出力部7に基準電流が転送される。
【0109】
選択パルスHSR[2]から選択パルスHSR[n]がH状態である各々の期間において、後段回路200のAFE回路201は、第2の基準電圧と信号レベルの出力電圧との差分電圧をデジタル値に変換する。減算器203は、第2の基準電圧と信号レベルの出力電圧との差分電圧のデジタル値から、ラインメモリ202に保持された第2の基準電圧とリセットレベルの出力電圧との差分電圧のデジタル値を減算する。
【0110】
上記の動作が行毎に行われることにより、全ての行の画素3から画素信号が読み出される。
【0111】
第1の基準電圧の電圧値V
REF1と、第2の基準電圧の電圧値V
REF2とが
図4に示されている。式(4)に示すように、第2の基準電圧と、暗時における出力電圧との差分の電圧値V
OFFSETは、第2の基準電圧の電圧値V
REF2と第1の基準電圧の電圧値V
REF1との差分である。
図4に示すように、複数の画素3のリセット時における出力電圧Vres1の電圧値は、V
REF1である。複数の画素3のリセット時における出力電圧Vres1は、複数の画素3の露光時における出力電圧Vsig1よりも大きい。第2の基準電圧(V
REF2)は、第1の基準電圧(V
REF1)よりも大きい電圧に設定される。第2の基準電圧が第1の基準電圧よりも大きいため、第2の基準電圧は出力電圧よりも常に大きいことが保証される。第2の基準電圧と出力電圧との差分は、暗時に最小である。式(4)に示すように、暗時であっても、第2の基準電圧と暗時における出力電圧との差分が高精度に確保される。
【0112】
図2に示す出力部7と
図10に示す出力部1007との違いを説明する。
図10に示す出力部1007において、出力信号Aoutの電圧値V
OUTは式(1)で示される。電流値I
PIXは、明時(飽和時)に最小であるが、ゼロではない。このため、出力信号Aoutの電圧値V
OUTは、電流値I
PIXの最小値に基づくオフセット成分を常に含む。この結果、出力部1007に含まれるオペアンプOP1の入力電圧と出力電圧との特性が線形である範囲がオフセット成分により制限される。一方、
図2に示す出力部7において、出力信号Aoutの電圧値V
OUTは式(3)で示される。暗時における差分電流の電流値I
DIFFは、ほぼゼロであるため、出力信号Aoutの電圧値V
OUTは、上記のオフセット成分を含まない。この結果、撮像装置1は、出力部7に含まれるオペアンプOP1の入力電圧と出力電圧との特性が線形である範囲を有効に利用することができる。
【0113】
画素3に含まれるトランジスタと、スイッチ部5に含まれるスイッチトランジスタSWとは、PMOSトランジスタであってもよい。トランジスタの導電型が変更される場合、差分電流の向きが変わる。画素3とスイッチ部5とにPMOSトランジスタが使用される場合の電圧について説明する。
【0114】
式(5)は、変換部I/V1の出力信号Aoutの電圧値V
OUTを示している。
V
OUT=V
REF1+R
1×I
DIFF ・・・(5)
【0115】
式(5)において、電圧値V
REF1は、第1の基準電圧の値である。抵抗値R
1は、抵抗R1の値である。電流値I
DIFFは、カレントミラー部CM1によって生成される差分電流の値である。
【0116】
例えば、入射光量がほぼゼロである暗時における画素電流と基準電流との電流値は同一である。このとき、式(5)により差分電流の電流値I
DIFFは、ほぼゼロである。式(6)は、第2の基準電圧と、暗時における出力電圧との差分の電圧値V
OFFSETを示している。
V
OFFSET=V
REF1−V
REF2 ・・・(6)
【0117】
式(6)において、電圧値V
REF1は、第1の基準電圧の値である。電圧値V
REF2は、第2の基準電圧の値である。式(6)に示すように、第2の基準電圧と、暗時における出力電圧との差分は、第1の基準電圧と第2の基準電圧とのみに基づく。このため、撮像装置1は、出力電圧と第2の基準電圧との差分の値V
OFFSETを精度良く確保することができる。
【0118】
図5は、撮像装置1の動作を示している。
図5では、選択パルスφSelと、リセットパルスφRstと、転送パルスφTxと、選択パルスHSR[1]から選択パルスHSR[n]と、選択信号SELと、出力信号Aoutとの波形が示されている。
図5における横方向は時間を示し、縦方向は電圧を示している。
【0119】
図5について、
図4と異なる点を説明する。
図5では、各々のパルスの状態が、
図4に示す各々のパルスの状態と逆である。選択パルスφSelがH状態であるとき、選択トランジスタSelはオフであり、かつ選択パルスφSelがL状態であるとき、選択トランジスタSelはオンである。リセットパルスφRstがH状態であるとき、リセットトランジスタRstはオフであり、かつリセットパルスφRstがL状態であるとき、リセットトランジスタRstはオンである。選択パルスHSR[i]がH状態であるとき、スイッチトランジスタSWはオフであり、かつ選択パルスHSR[i]がL状態であるとき、スイッチトランジスタSWはオンである。iは1からnの整数である。
【0120】
図5において、撮像装置1による画素信号の読み出し動作は、
図4に示す動作と同様である。第1の基準電圧の電圧値V
REF1と、第2の基準電圧の電圧値V
REF2とが
図5に示されている。式(6)に示すように、第2の基準電圧と、暗時における出力電圧との差分の電圧値V
OFFSETは、第1の基準電圧の電圧値V
REF1と第2の基準電圧の電圧値V
REF2との差分である。
図5に示すように、複数の画素3のリセット時における出力電圧Vres1の電圧値は、V
REF1である。複数の画素3のリセット時における出力電圧Vres1は、複数の画素3の露光時における出力電圧Vsig1よりも小さい。第2の基準電圧(V
REF2)は、第1の基準電圧(V
REF1)よりも小さい電圧に設定される。第2の基準電圧が第1の基準電圧よりも小さいため、第2の基準電圧は出力電圧よりも常に小さいことが保証される。第2の基準電圧と出力電圧との差分は、暗時に最小である。式(6)に示すように、暗時であっても、第2の基準電圧と暗時における出力電圧との差分が高精度に確保される。
【0121】
本発明の各態様の撮像装置は、垂直選択部4と、スイッチ部5と、水平選択部6との少なくとも1つに対応する構成を有していなくてもよい。本発明の各態様の撮像装置は、画素3の要素のうち選択トランジスタSelに対応する構成を有していなくてもよい。本発明の各態様の撮像装置は、基準電流生成部8の要素のうち選択トランジスタSel1に対応する構成を有していなくてもよい。
【0122】
上記のように、撮像装置1は、複数の画素3と、基準電流生成部8(基準電流生成回路)と、カレントミラー部CM1(差分電流生成回路)と、基準電圧生成部9(基準電圧生成回路)と、変換部I/V1(変換回路)と、出力回路OUTとを有する。複数の画素3は、入射光に応じた画素電流を出力する。基準電流生成部8は、基準電流を生成する。画素電流と基準電流とがカレントミラー部CM1に入力される。カレントミラー部CM1は、画素電流と基準電流との差分に応じた差分電流を生成する。基準電圧生成部9は、第1の基準電圧と第2の基準電圧とを生成する。差分電流と第1の基準電圧とが変換部I/V1に入力される。変換部I/V1は、第1の基準電圧に基づいて差分電流を出力電圧に変換する。出力電圧と第2の基準電圧とが出力回路OUTに入力される。出力回路OUTは、出力電圧と第2の基準電圧とを出力する。複数の画素3のリセット時における出力電圧が複数の画素3の露光時における出力電圧よりも大きい場合、第2の基準電圧は第1の基準電圧よりも大きい。複数の画素3のリセット時における出力電圧が複数の画素3の露光時における出力電圧よりも小さい場合、第2の基準電圧は第1の基準電圧よりも小さい。
【0123】
第1の実施形態では、第1の基準電圧と第2の基準電圧とが上記の関係を満たすことにより、電圧差の精度が向上する。このため、後段回路200は、信号処理を高精度に行うことができる。
【0124】
第1の実施形態では、出力回路OUTは、出力電圧と第2の基準電圧とを交互に出力する。減算器203は、出力部7から連続的に出力された出力電圧と第2の基準電圧との組み合わせについて減算を行う。長周期ノイズが信号に重畳する場合、連続的に出力された出力電圧と第2の基準電圧との各々に重畳する長周期ノイズの量は、ほぼ同一である。このため、基準電圧に長周期ノイズが重畳した場合であっても、減算によりノイズ成分が抑圧される。
【0125】
第1の実施形態では、基準電流生成部8は、ゲート端子とドレイン端子とが電気的に接続されたトランジスタNref1を有する。このため、基準電流生成部8は、簡単な構成で基準電流を生成することができる。
【0126】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態では、第1の実施形態における基準電流生成部8が、
図6に示す基準電流生成部8aに変更される。
【0127】
図6は、出力部7と基準電流生成部8aと基準電圧生成部9との構成を示している。
図6に示す構成について、
図2に示す構成と異なる点を説明する。
図6に示すように、基準電流生成部8aは、トランジスタNref1と、選択トランジスタSel1と、スイッチSW2と、容量素子Crefとを有する。例えば、トランジスタNref1と選択トランジスタSel1とは、NMOSトランジスタである。トランジスタNref1と選択トランジスタSel1とは、ゲート端子と、ソース端子と、ドレイン端子とを有する。スイッチSW2は、トランジスタであってもよい。
【0128】
トランジスタNref1のドレイン端子は、電源電圧VDDを出力する電源に接続されている。トランジスタNref1のソース端子は、選択トランジスタSel1に接続されている。トランジスタNref1は、基準電流をソース端子から出力する。例えば、基準電流の電流値は、入射光量がほぼゼロである暗時における画素信号の電流値と同一である。
【0129】
選択トランジスタSel1のドレイン端子は、トランジスタNref1のソース端子に接続されている。選択トランジスタSel1のソース端子は、スイッチ部5に接続されている。選択トランジスタSel1のゲート端子は、電源電圧VDDを出力する電源に接続されている。選択トランジスタSel1のドレイン端子と選択トランジスタSel1のソース端子との間に基準電流が流れる。選択トランジスタSel1は、トランジスタNref1から出力された基準電流をソース端子から出力する。
【0130】
スイッチSW2は、第1の端子と第2の端子とを有する。スイッチSW2の第1の端子は、トランジスタNref1のゲート端子に接続されている。スイッチSW2の第2の端子は、電源電圧VDDを出力する電源に接続されている。
【0131】
容量素子Crefは、第1の端子と第2の端子とを有する。容量素子Crefの第1の端子は、トランジスタNref1のゲート端子とスイッチSW2の第1の端子とに接続されている。容量素子Crefの第2の端子は、グランドに接続されている。
【0132】
スイッチSW2は、オンとオフとを切り替えることができる素子である。スイッチSW2がオンである場合、容量素子Crefの第1の端子は電源に電気的に接続される。スイッチSW2がオフである場合、容量素子Crefの第1の端子は、電源から電気的に絶縁される。
【0133】
スイッチSW2と容量素子Crefとは、サンプルホールド回路を構成する。スイッチSW2は、電源電圧VDDをサンプリングする。容量素子Crefは、スイッチSW2によってサンプリングされた電圧を保持する。つまり、容量素子Crefは、サンプリング容量である。電源電圧VDDがサンプリングされることによって、電源電圧VDDに重畳するノイズの影響が低減される。この結果、基準電流の電流値I
REFがほぼ一定になる。
【0134】
基準電流生成部8aの構成は、上記の構成に限らない。基準電流生成部8aの一部は、画素3と同様に構成されてもよい。例えば、トランジスタNref1は、増幅トランジスタDrvと同様に構成されてもよい。例えば、選択トランジスタSel1は、選択トランジスタSelと同様に構成されてもよい。
図6では、トランジスタNref1と選択トランジスタSel1とスイッチSW2とが撮像部2の一部である。しかし、トランジスタNref1と選択トランジスタSel1とスイッチSW2とは、撮像部2とは独立して構成されてもよい。トランジスタNref1と選択トランジスタSel1とは、PMOSトランジスタであってもよい。
【0135】
上記以外の点については、
図6に示す構成は
図2に示す構成と同様である。
【0136】
上記のように、複数の画素3の各々は、光電変換部PDと、転送トランジスタTx(電荷転送部)と、電荷蓄積部FDと、信号生成部とを有する。光電変換部PDは、入射光に応じた信号電荷を生成する。転送トランジスタTxは、光電変換部PDで生成された信号電荷を転送する。電荷蓄積部FDは、転送トランジスタTxによって転送された信号電荷を蓄積する。信号生成部は、電荷蓄積部FDの電圧に応じた画素電流を生成する。信号生成部は、増幅トランジスタDrv(第1のMOSトランジスタ)である。増幅トランジスタDrvは、ドレイン端子(第1のドレイン端子)とソース端子(第1のソース端子)とを有する。増幅トランジスタDrvのドレイン端子と増幅トランジスタDrvのソース端子との間に画素電流が流れる。
【0137】
上記のように、基準電流生成部8aは、トランジスタNref1(第2のMOSトランジスタ)と、スイッチSW2と、容量素子Crefとを有する。トランジスタNref1は、ゲート端子とドレイン端子(第2のドレイン端子)とソース端子(第2のソース端子)とを有する。トランジスタNref1のドレイン端子とトランジスタNref1のソース端子との間に基準電流が流れる。スイッチSW2は、トランジスタNref1のゲート端子に接続された第1の端子と、トランジスタNref1のドレイン端子に接続された第2の端子とを有する。容量素子Crefは、トランジスタNref1のゲート端子に接続されている。
【0138】
本発明の各態様の撮像装置は、基準電流生成部8aの要素のうち選択トランジスタSel1に対応する構成を有していなくてもよい。
【0139】
第2の実施形態では、第1の基準電圧と第2の基準電圧との関係により、電圧差の精度が向上する。このため、後段回路200は、信号処理を高精度に行うことができる。
【0140】
第2の実施形態では、基準電流生成部8aはスイッチSW2と容量素子Crefとを有する。このため、基準電流生成部8aは、電源電圧VDDの揺れに対する耐性が高い基準電流を生成することができる。この結果、基準電流生成部8aのPSRR(電源電圧変動除去比)が向上する。
【0141】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態では、第1の実施形態における基準電流生成部8が、
図7に示す基準電流生成部8bに変更される。
【0142】
図7は、撮像部2とスイッチ部5と基準電流生成部8bとの構成を示している。基準電流生成部8bについて、
図2に示す基準電流生成部8と異なる点を説明する。
図7では、撮像部2が有する複数の画素3のうち2行の画素3が示され、かつ他の行の画素3は省略されている。
図7に示すように、基準電流生成部8bは、複数の転送トランジスタTx1と、複数の電荷蓄積部FD1と、複数のリセットトランジスタRst1と、複数の増幅トランジスタDrv1と、複数の選択トランジスタSel1とを有する。
図7では、基準電流生成部8bは、2つの転送トランジスタTx1と、2つの電荷蓄積部FD1と、2つのリセットトランジスタRst1と、2つの増幅トランジスタDrv1と、2つの選択トランジスタSel1とを有する。例えば、転送トランジスタTx1と、リセットトランジスタRst1と、増幅トランジスタDrv1と、選択トランジスタSel1との各々は、NMOSトランジスタである。転送トランジスタTx1と、リセットトランジスタRst1と、増幅トランジスタDrv1と、選択トランジスタSel1との各々は、ゲート端子と、ソース端子と、ドレイン端子とを有する。
【0143】
転送トランジスタTx1のドレイン端子は、電源線32に接続されている。転送トランジスタTx1のソース端子は、電荷蓄積部FD1に接続されている。転送トランジスタTx1のゲート端子は、グランドに接続されている。
【0144】
リセットトランジスタRst1のドレイン端子は、電源線32に接続されている。リセットトランジスタRst1のソース端子は、電荷蓄積部FD1に接続されている。リセットトランジスタRst1のゲート端子は、制御信号線33に接続されている。
【0145】
増幅トランジスタDrv1のドレイン端子は、電源線32に接続されている。増幅トランジスタDrv1のソース端子は、選択トランジスタSel1に接続されている。増幅トランジスタDrv1のゲート端子は、電荷蓄積部FD1に接続されている。増幅トランジスタDrv1は、基準電流をソース端子から出力する。例えば、基準電流の電流値は、入射光量がほぼゼロである暗時における画素信号の電流値と同一である。
【0146】
複数の電荷蓄積部FD1の各々は、信号線38に接続されている。信号線38は、複数の増幅トランジスタDrv1の各々のゲート端子に接続されている。これによって、複数の増幅トランジスタDrv1の各々のゲート端子は互いに接続されている。
図7では、2つの増幅トランジスタDrv1の各々のゲート端子が互いに接続されている。上記の構成により、複数の電荷蓄積部FD1の各々は、互いに電気的に接続されている。つまり、複数の電荷蓄積部FD1により容量素子が構成される。
【0147】
選択トランジスタSel1のドレイン端子は、増幅トランジスタDrv1のソース端子に接続されている。選択トランジスタSel1のソース端子は、垂直信号線37に接続されている。複数の選択トランジスタSel1のうちの1つのゲート端子は、電源線32に接続されている。残りの選択トランジスタSel1のゲート端子は、グランドに接続されている。垂直信号線37は、スイッチトランジスタSW1に接続されている。ゲート端子が電源線32に接続された選択トランジスタSel1のドレイン端子とその選択トランジスタSel1のソース端子との間に基準電流が流れる。ゲート端子が電源線32に接続された選択トランジスタSel1は、増幅トランジスタDrv1から出力された基準電流をソース端子から出力する。
【0148】
転送トランジスタTx1は、ゲート端子に印加されるグランド電圧により、オフである。リセットトランジスタRst1は、垂直選択部4から出力されるリセットパルスφRstにより制御される。複数の選択トランジスタSel1のうちの1つは、ゲート端子に印加される電源電圧VDDにより、オンである。残りの選択トランジスタSel1は、ゲート端子に印加されるグランド電圧により、オフである。
【0149】
画素3における電荷蓄積部FDがリセットされたとき、電荷蓄積部FD1がリセットされる。このとき、電荷蓄積部FD1の電圧に基づく信号が垂直信号線37に出力される。つまり、基準電流が垂直信号線37に出力される。電荷蓄積部FD1の容量が大きい場合、電荷蓄積部FD1の電圧に重畳するノイズの影響が低減される。2つの電荷蓄積部FD1により容量素子が構成されるため、電荷蓄積部FD1の電圧に重畳するノイズの影響が低減される。
【0150】
基準電流生成部8bは、光電変換部を有していない。このため、基準電流生成部8bの面積が低減される。
【0151】
基準電流生成部8bの構成は、上記の構成に限らない。
図7では、転送トランジスタTx1と電荷蓄積部FD1とリセットトランジスタRst1と増幅トランジスタDrv1と選択トランジスタSel1とが撮像部2の一部である。しかし、転送トランジスタTx1と電荷蓄積部FD1とリセットトランジスタRst1と増幅トランジスタDrv1と選択トランジスタSel1とは、撮像部2とは独立して構成されてもよい。転送トランジスタTx1とリセットトランジスタRst1と増幅トランジスタDrv1と選択トランジスタSel1とは、PMOSトランジスタであってもよい。3つ以上の電荷蓄積部FD1の各々が3つ以上の増幅トランジスタDrv1の各々のゲート端子に接続され、かつ3つ以上の増幅トランジスタDrv1の各々のゲート端子が互いに接続されてもよい。
【0152】
上記のように、複数の画素3の各々は、光電変換部PDと、転送トランジスタTx(電荷転送部)と、電荷蓄積部FD(第1の電荷蓄積部)と、信号生成部とを有する。光電変換部PDは、入射光に応じた第1の信号電荷を生成する。転送トランジスタTxは、光電変換部PDで生成された第1の信号電荷を転送する。電荷蓄積部FDは、転送トランジスタTxによって転送された第1の信号電荷を蓄積する。信号生成部は、電荷蓄積部FDの電圧に応じた画素電流を生成する。信号生成部は、増幅トランジスタDrv(第1のMOSトランジスタ)である。増幅トランジスタDrvは、ドレイン端子(第1のドレイン端子)とソース端子(第1のソース端子)とを有する。増幅トランジスタDrvのドレイン端子と増幅トランジスタDrvのソース端子との間に画素電流が流れる。
【0153】
上記のように、基準電流生成部8b(基準電流生成回路)は、第2の信号電荷を蓄積する複数の電荷蓄積部FD1(第2の電荷蓄積部)と、複数の増幅トランジスタDrv1(第2のMOSトランジスタ)とを有する。複数の増幅トランジスタDrv1の各々は、ゲート端子とドレイン端子(第2のドレイン端子)とソース端子(第2のソース端子)とを有する。増幅トランジスタDrv1のドレイン端子と増幅トランジスタDrv1のソース端子との間に基準電流が流れる。複数の電荷蓄積部FD1の各々は、複数の増幅トランジスタDrv1の各々のゲート端子に接続されている。複数の増幅トランジスタDrv1の各々のゲート端子は互いに接続されている。
【0154】
本発明の各態様の撮像装置は、基準電流生成部8bの要素のうち転送トランジスタTx1とリセットトランジスタRst1と選択トランジスタSel1との少なくとも1つに対応する構成を有していなくてもよい。
【0155】
第3の実施形態では、第1の基準電圧と第2の基準電圧との関係により、電圧差の精度が向上する。このため、後段回路200は、信号処理を高精度に行うことができる。
【0156】
第3の実施形態では、複数の電荷蓄積部FD1により容量素子が構成されるため、複数の電荷蓄積部FD1の電圧に重畳するノイズの影響が低減される。つまり、基準電流に対するノイズの影響が低減される。
【0157】
(第4の実施形態)
図8は、本発明の第4の実施形態の内視鏡システム100の構成を示している。内視鏡システム100は、第1から第3の実施形態のいずれか1つの撮像装置1を有する。
図8に示すように、内視鏡システム100は、スコープ102と、筐体107とを有する。スコープ102は、撮像装置1と、レンズ103と、レンズ104と、ファイバー106とを有する。筐体107は、画像処理部108と、光源装置109と、設定部110とを有する。
【0158】
撮像装置1は、第1から第3の実施形態のいずれか1つの撮像装置1である。レンズ103は、被写体120からの反射光を撮像装置1に結像する。ファイバー106は、被写体120に照射される照明光を伝送する。レンズ104は、ファイバー106によって伝送された照明光を被写体120に照射する。光源装置109は、被写体120に照射される照明光を生成する光源を有する。画像処理部108は、撮像装置1から出力される信号に所定の処理を行うことにより撮影画像を生成する。画像処理部108は、後段回路200に対応する回路を含む。設定部110は、内視鏡システム100の撮影モードを制御する。
【0159】
内視鏡システム100の構成は、上記の構成に限らない。本発明の各態様の内視鏡システムは、レンズ103と、レンズ104と、ファイバー106と、画像処理部108と、光源装置109と、設定部110との少なくとも1つに対応する構成を有していなくてもよい。
【0160】
第4の実施形態では、第1から第3の実施形態のいずれか1つの撮像装置1が適用されることにより、電圧差の精度が向上する。このため、画像処理部108は、信号処理を高精度に行うことができる。
【0161】
撮像装置1におけるカラム部の面積の増加が回避されるので、スコープ102を細く構成することが可能である。
【0162】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態およびその変形例に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付のクレームの範囲によってのみ限定される。