(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基体は、ベースプレート(13a)を有し、前記ベースプレート(13a)に、それぞれ1つの傾斜部(14a)を有する2つのフィンガプレート(14)が設けられ、前記2つのフィンガプレート(14)は、前記拡開装置を形成していることを特徴とする、請求項1記載の取り付け工具(13)。
前記ガイド装置は、それぞれ1つの傾斜面(15a)を有する2つのフィンガ(15)を有し、前記2つのフィンガ(15)は、前記2つのフィンガプレート(14)の上方で前記ベースプレート(13a)に配置されていることを特徴とする、請求項2記載の取り付け工具(13)。
前記保持装置は、それぞれ1つの収容部(13d)を有するそれぞれ1つの長手方向内壁(13b)および長手方向外壁(13c)を有することを特徴とする、請求項5記載の取り付け工具(13)。
前記それぞれ1つの長手方向内壁(13b)と前記それぞれ1つの長手方向外壁(13c)とは、前記ベースプレート(13a)の各長手方向辺にそれぞれ互いに平行に所定の間隔を置いて配置されており、前記それぞれ1つの収容部(13d)は、前記それぞれ1つの長手方向内壁(13b)と前記それぞれ1つの長手方向外壁(13c)との間に配置されていることを特徴とする、請求項6記載の取り付け工具(13)。
前記基体は、クロスメンバ(18a,18’a,18’’a)を有し、前記クロスメンバ(18a,18’a,18’’a)には、それぞれ1つの傾斜部(18c,25)を有する2つのプレート部分(18b,18’b)が設けられ、前記2つのプレート部分(18b,18’b)は、前記拡開装置を形成していることを特徴とする、請求項1記載の取り付け工具(18,18’)。
前記ガイド装置は、それぞれ1つのプレート部分(18b)に設けられた、ガイド部分(19a,19c,19f)を有するそれぞれ1つの側壁(19)を有することを特徴とする、請求項8記載の取り付け工具(18)。
前記ガイド装置は、それぞれ1つのプレート部分(18’b)にそれぞれ1つの水平のガイド(27)を有することを特徴とする、請求項8記載の取り付け工具(18’)。
前記保持装置は、ガイド部分(19a,19c,19f)を有する前記側壁(19)を有するガイド装置から形成されていることを特徴とする、請求項11記載の取り付け工具(18)。
前記取り付け工具(18,18’)は、請求項8から13いずれか1項記載の取り付け工具(18,18’)であることを特徴とする、請求項14記載のディスクブレーキ(1)。
前記取り付け工具(13,18,18’)は、請求項1から13いずれか1項記載の取り付け工具(13,18,18’)であることを特徴とする、請求項16記載のブレーキパッドセット(100)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の根底にある課題は、取り扱い性のよい取り付け兼取り外し工具を提供することである。
【0008】
別の課題は、付属のリテーニング要素を備えるパッドセットを、輸送時、ハンドリング時および運転中に保護することである。特に工具は、リテーニング要素が塑性変形してしまうことを防止すべきである。別の課題は、改良されたディスクブレーキを提供することである。
【0009】
さらに別の課題は、ディスクブレーキ用の改良されたブレーキパッドセットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を請求項1に係る発明により解決する。
【0011】
別の課題は、請求項12および14に係る発明により解決される。
【0012】
これに応じて、ディスクブレーキのリテーニング装置においてパッド保持ヨークを取り付けるかつ/または取り外す取り付け工具であって、リテーニング装置は、対応するディスクブレーキの背側のブレーキパッドの背側のパッド支持プレートに堅固に結合されるリテーニング要素を有し、リテーニング要素は、少なくとも2つのばね腕を有する、本発明に係る取り付け工具が提供される。取り付け工具は、基体、拡開装置およびガイド装置を備える。
【0013】
これにより、リテーニング装置におけるパッド保持ヨークの簡単かつ迅速な取り付けが可能となる。取り付け工具は、拡開装置およびガイド装置が設けられた基体を有するコンパクトな構造を呈する。而して取り付け工具は、有利には、リテーニング装置のばね腕の拡開プロセス時に同時に案内されることができ、これにより、簡単かつ迅速な取り付けあるいは取り外しが得られる。
【0014】
取り付けおよび取り外し時、工具は、リテーニング要素がどの程度拡開されるべきか、あるいは拡開され得るかを決める所定の間隔を有している。この工具なしには、リテーニング要素は、取り付けおよび取り外しの際に、過度に大きく拡開されてしまい、ひいては塑性変形してしまうことがある。
【0015】
一形態において、基体は、ベースプレートを有し、ベースプレートに、それぞれ1つの傾斜部を有する2つのフィンガプレートが設けられ、2つのフィンガプレートは、拡開装置を形成している。この構造は、有利にはコンパクトに構成されている。付加的な工具または補助手段は必要とされない。
【0016】
別の一形態において、ガイド装置は、それぞれ1つの傾斜面を有する2つのフィンガを有し、2つのフィンガは、2つのフィンガプレートの上方でベースプレートに配置されている。こうして、拡開装置による拡開プロセス時、取り付け工具を同時にガイド装置により、取り付けたいパッド保持ヨークの端部区域に沿って案内することが、有利には可能である。さらに同時に、案内に用いられる傾斜面により、取り付け工具の正確な保持が達成される。
【0017】
これに加え、傾斜面が、2つのフィンガプレートに面していると有利である。これにより、コンパクトかつ合目的な構造が得られる。
【0018】
代替的な一形態において、ガイド装置は、それぞれ1つのプレート部分にそれぞれ1つの水平のガイドを有する。これにより、有利には簡単かつ有効なガイドが形成されている。
【0019】
さらに別の一形態において、取り付け工具は、さらに保持装置を備える。この保持装置により取り付け工具の機能性は、有利には拡張されている。これにより取り付け工具は、ブレーキパッドに設けられたリテーニング装置のリテーニング要素に保護位置で保管、輸送および発送用の保護要素として被せることができる。これにより、リテーニング要素が取り付けられたブレーキパッドの積み重ねは、大幅に容易になる。リテーニング要素の損傷と、これによる損害とは、大幅に削減可能である。
【0020】
これに加え、一形態において、保持装置は、それぞれ1つの収容部を有するそれぞれ1つの長手方向内壁および長手方向外壁を有する。而して取り付け工具は、保護要素として簡単にリテーニング要素のばね腕に被嵌することができる。
【0021】
この場合、それぞれ1つの長手方向内壁とそれぞれ1つの長手方向外壁とは、ベースプレートの各長手方向辺にそれぞれ互いに平行に所定の間隔を置いて配置されており、それぞれ1つの収容部は、それぞれ1つの長手方向内壁とそれぞれ1つの長手方向外壁との間に配置されている。この構造は、機能性が高められると同時に、取り付け工具の補強が達成されるという利点を提供する。
【0022】
代替的な一形態において、基体は、クロスメンバを有し、クロスメンバには、それぞれ1つの傾斜部を有する2つのプレート部分が設けられ、2つのプレート部分は、拡開装置を形成している。この構造は、有利にはコンパクトかつ簡単である。
【0023】
コンパクトな構造の特別な利点は、ガイド装置が、それぞれ1つのプレート部分に設けられた、ガイド部分を有するそれぞれ1つの側壁を有することで得られる。
【0024】
別の一形態において、取り付け工具は、さらに保持装置を備え、保持装置により、有利には簡単にリテーニング要素に取り付け可能である。
【0025】
保持装置が、ガイド部分を有する側壁を有するガイド装置から形成されていると、多重機能性の特別な利点が得られる。
【0026】
あるいは保持装置は、ストッパと軸方向のガイドとを有していてもよく、ストッパおよび軸方向のガイドは、特に簡単に取り付け工具に形成することができ、効果的な機能を実現する。
【0027】
車両、特に商用車用の本発明に係るディスクブレーキは、ブレーキディスク回転軸線を有するブレーキディスクと、作動部および背部を有するブレーキキャリパ、特に摺動キャリパと、パッド保持ばねが設けられたそれぞれ1つのパッドバックプレートを有する少なくとも2つのブレーキパッドであって、ブレーキパッドは、それぞれ、プリロード下で、ブレーキキャリパに着脱自在に取り付けられたパッド保持ヨークにより支持されており、ブレーキパッドのうちの作動側のブレーキパッドは、作動部に配設され、背側のブレーキパッドは、背部に配設されている、ブレーキパッドと、パッド保持ヨークの位置を留めるリテーニング装置であって、リテーニング装置は、背側のブレーキパッドの背側のパッド支持プレートに堅固に結合されるリテーニング要素を有し、リテーニング要素は、2つのばね腕を有し、2つのばね腕は、パッド保持ヨークのそれぞれ1つの端部区域と係合する、リテーニング装置と、を備える。リテーニング装置のリテーニング要素には、上述の代替的な取り付け工具が設けられている。
【0028】
この取り付け工具は、取り付け工具としても、保護要素としても、リテーニング装置にとどまることができるので、紛失のおそれがない。取り付けは、特に有利には、取り除く必要がなく、引き出したり、押し戻したりするだけでよいため、簡単である。
【0029】
車両、特に商用車用のディスクブレーキ用のブレーキパッドセットであって、ディスクブレーキは、ブレーキディスク回転軸線を有するブレーキディスクと、作動部および背部を有するブレーキキャリパ、特に摺動キャリパと、パッド保持ばねが設けられたそれぞれ1つのパッドバックプレートを有する少なくとも2つのブレーキパッドであって、ブレーキパッドは、それぞれ、プリロード下で、ブレーキキャリパに着脱自在に取り付けられたパッド保持ヨークにより支持されており、ブレーキパッドのうちの作動側のブレーキパッドは、作動部に配設され、背側のブレーキパッドは、背部に配設されている、ブレーキパッドと、パッド保持ヨークの位置を留めるリテーニング装置であって、リテーニング装置は、背側のブレーキパッドの背側のパッド支持プレートに堅固に結合されるリテーニング要素を有し、リテーニング要素は、2つのばね腕を有し、2つのばね腕は、パッド保持ヨークのそれぞれ1つの端部区域と係合する、リテーニング装置と、を有する、本発明に係るブレーキパッドセットは、それぞれのパッドバックプレートに設けられた両ブレーキパッドと、対応するパッド保持ばねと、パッド保持ヨークと、リテーニング装置と、少なくとも1つの上述の取り付け工具とを備える。
【0030】
本発明に係る取り付け工具、本発明に係るディスクブレーキおよび本発明に係るブレーキパッドセットの実施例を図面に示し、以下に詳しく説明する。本発明のように構成したことで得られるその他の利点についても、説明する。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に、「上」、「下」、「右」、「左」等の概念を使用するが、これらの概念は、図中での方向に関する。図中の座標x,y,zは、方向を別途規定するために利用する。
【0033】
図1は、ディスクブレーキ1、例えば空気圧式のディスクブレーキ1の概略斜視図であり、ディスクブレーキ1は、パッド保持ヨーク8のロック用のリテーニング装置10を備えている。
【0034】
ディスクブレーキ1は、例えば車両、特に商用車に配設されており、
図1で見てy方向で延びるブレーキディスク回転軸線2aを有するブレーキディスク2と、ブレーキキャリパ3と、符号を付して詳しく説明することはしないブレーキ支持体と、パッドバックプレート4a,5aにそれぞれ被着された少なくとも2つのブレーキパッド4および5とを備える。ブレーキパッド4および5は、ブレーキ支持体に設けられた「パッドチャネル」内に収容され、パッド保持ヨーク8によって保持されている。パッド保持ヨーク8については、下でさらに説明する。
【0035】
ブレーキキャリパ3は、本実施の形態では、摺動キャリパとして形成され、不動に固定されたブレーキ支持体に詳しくは説明しない形式で保持されており、作動部3aと背部3bとを有する。作動部3aと背部3bとは、y方向で両端部において結合部3cを介してy方向で互いに結合されている。その際、作動部3aおよび背部3bは、ブレーキディスク2のそれぞれ一方の側にブレーキディスク2に対して平行に配置されており、結合部3cは、y方向でブレーキディスク回転軸線2aに対して平行に延在している。作動部3aおよび背部3bは、結合部3cとともに開口をブレーキディスク2ならびにブレーキパッド4および5の上方に形成しており、組み立て時、交換時および保守作業時にブレーキパッド4および5にアクセスできるようになっている。
【0036】
ブレーキキャリパ3の作動部3aは、ディスクブレーキ1の作動機構を収容している。作動機構は、ディスクブレーキ1を操作するために用いられ、作動機構の例は、圧縮空気シリンダを有するブレーキ旋回レバーである。しかし、作動機構についての詳細な説明は、本明細書では割愛する。
【0037】
ディスクブレーキ1の一方の側には、ブレーキキャリパ3の、作動機構を有する作動部3aが配置されており、作動部3aが配置されている側を、以下では、作動側Zと称する。ディスクブレーキ1の他方の側には、ブレーキキャリパ3の背部3bが配置されており、背部3bが配置されている側を、以下では、背側Rと称する。背側Rは、リアクション側ともいう。これらの概念「作動側」および「背側」ならびにこれに関連するその他の称呼は、一般的であり、方向をより良好に規定するために用いられる。
【0038】
而して、作動側Zに存在する、パッドバックプレート4aを有するブレーキパッド4は、作動側のブレーキパッド4といい、作動側のブレーキパッド4に対向するブレーキパッドは、背側のブレーキパッド5といい、パッドバックプレート5aを有する。
【0039】
作動側のブレーキパッド4には、制動プロセス時、作動機構によりy方向の作動力が加えられる。背側のブレーキパッド5は、ブレーキキャリパ3の背部3b内に収容されており、摺動キャリパとして構成されたブレーキキャリパ3を備えるこのディスクブレーキ1にあっては、背部3bに対して相対運動しない。
【0040】
ブレーキパッド4および5は、それぞれのパッドバックプレート4a,5aの上面に、それぞれ、パッド保持ばね6,7を有し、パッド保持ばね6,7は、パッド保持ヨーク8と協働する。パッド保持ヨーク8は、作動部3aと背部3bと結合部3cとによりブレーキディスク2の上方に形成された開口にわたってy方向で延在しており、組み込まれたブレーキパッド4,5の上方にあって、パッド保持ばね6,7の上面を押圧するように配置されている。而してパッド保持ヨーク8は、ブレーキパッド4,5をブレーキ支持体内に留めるために用いられる。その際、パッド保持ヨーク8は、作動側の端部区域8aでもってブレーキキャリパ3の作動部3aの支持部9に受けられ、パッド保持ヨーク8の反対側の端部区域8bは、ブレーキキャリパ3の背部3bの保持部9aに結合されている。
【0041】
パッド保持ヨーク8は、支持部9および保持部9aに結合されており、リテーニング装置10を有している。リテーニング装置10は、パッド保持ヨーク8が、例えば横方向力の発生により、一方では、組み込まれた位置で移動しないように、他方では、取り付けられたり、取り外されたりすることができるように形成されている。リテーニング装置10は、本実施の形態では、背側のブレーキパッド5の領域に配置されており、リテーニング要素11を有している。リテーニング要素11については、下でさらに説明する。
【0042】
符号100は、ブレーキパッドセットを示している。ブレーキパッドセット100は、それぞれのパッドバックプレート4a,5aに設けられた両ブレーキパッド4,5と、対応するパッド保持ばね6,7と、パッド保持ヨーク8と、リテーニング装置10とを備える。
【0043】
図2は、ブレーキディスク回転軸線2aのyz平面でリテーニング装置10を切断した概略断面図である。
【0044】
リテーニング装置10は、リテーニング要素11を有し、リテーニング要素11は、鞘形の本体11aでもってパッドバックプレート5aの上側の縁部を取り巻くように配置されている。本体11aの一部分11bは、パッドバックプレート5aの開口5bを通して延在し、部分11bの端部区域は、開口5bを通して外方にパッドバックプレート5aの背面5cから突出し、本体11aの、外側に位置する一部分、具体的には、フェースプレート11’aと、結合部11cにおいて堅固に結合、例えば溶接されている。
【0045】
本体11aおよびフェースプレート11’aは、パッドバックプレート5aの上側の縁部領域を取り囲んでいる。パッドバックプレート5aの縁部に配置されるパッド保持ばね7は、一緒に囲繞されている。パッド保持ばね7は、符号7により略示したが、他の図面(
図3ないし6)との関連で理解できよう。
【0046】
リテーニング要素11のフェースプレート11’aの両側には、それぞれ1つのばね腕12が一体形成されており、ばね腕12は、舌片部分12aを有している。
図2には、これらの対向する舌片部分12aのうちの一方のみを示してあり、他方の舌片部分12aは、
図1および
図3との関連で容易に想像できよう。これにより以下の説明は、両舌片部分12aに当てはまる。
【0047】
それぞれの舌片部分12aの各自由端部には、90゜曲げられたそれぞれ1つの舌片12bが一体形成されている。これらの舌片12bは、舌片12bが
図2のyz断面に関して鏡面対称に配置されているように、それぞれ、ブレーキディスク回転軸線2aに向かって曲げられている。このことは、
図1および3からも看取可能である。
【0048】
舌片部分12aは、yz平面内で延びていて、正のy方向で延在している。舌片部分12aは、パッド保持ヨーク8の端部区域8bの一部分に当接している。舌片12bは、xz平面内に位置し、端部区域8bの角隅を取り囲んでいる。
【0049】
舌片部分12aは、上側の長手方向縁12fと、上側の長手方向縁12fに対して平行な下側の長手方向縁12gとを有する。舌片12bは、傾斜部12cを有し、傾斜部12cは、丸み付けられていてもよい。最後に舌片12bは、z方向で延びる端縁12dを有する。両舌片12bの端縁12dは、他の図面から看取可能であるように鏡面対称に対向している。
【0050】
パッド保持ヨーク8の取り付け時、リテーニング要素11のばね腕12は、取り付け工具13,18によりxy平面内で、ばね要素あるいはばね腕12が塑性変形しない程度に互いに離間、すなわち所定の間隔に拡開され、その結果、パッド保持ヨーク8は、ブレーキキャリパ3に装着可能である。ばね腕12は、取り付け工具13,18によって拡開位置に、予圧がかけられた状態でとどまる。パッド保持ヨーク8がその最終的な位置に装着された後、取り付け工具13,18は、再び取り除かれる。このとき、ばね腕12は、当初の位置に再び弾性復帰する。ばね腕12は、今や付勢されていない状態にあり、運転中、付勢されない。これにより、ばね腕の(例えば温度影響による)へたりは回避可能である。パッド保持ヨークの端部区域8bの角隅を抱持する舌片12bを有する舌片部分12aは、ブレーキディスク回転軸線2a方向、すなわちy方向でのパッド保持ヨーク8の移動を防止する。これによりパッド保持ヨークは、留められている。
【0051】
取り外しのために、ばね腕12は、再び取り付け工具13,18により、パッド保持ヨーク8の端部区域8bを抱持している舌片12bが端部区域8bを解放するまで改めて拡開される。ばね腕12は、パッド保持ヨーク8が取り外し時に十分離れるまで、付勢位置に保持されねばならない。
【0052】
ばね腕12は、それぞれの取り付け工具13,18により拡開される。その際、舌片12bの端縁12dは、それぞれの取り付け工具13,18と接触し、協働する。付加的に取り付け工具13,18は、好適な形式で案内される。
【0053】
加えて取り付け工具13,18は、保護要素として保護位置で使用されてもよい。
【0054】
取り付け工具13,18は、基体と、拡開装置と、ガイド装置と、保持装置とを備える。基体は、拡開装置、ガイド装置および保持装置の支持体として用いられる。拡開装置は、ばね腕を拡開させるために使用され、ガイド装置は、取り付け/取り外し時に取り付け工具を案内するガイドを形成している。保持装置により取り付け工具は、保護位置に保持され得る。
【0055】
以下に、取り付け工具13,18の2つの実施例について説明する。
【0056】
説明のために
図3は、
図2に示したリテーニング要素11と協働する取り付け工具13の第1の実施例の概略斜視図を示している。
図4は、保護位置にある
図3に示した取り付け工具13の第1の実施例の概略斜視図である。
【0057】
図3は、リテーニング装置10を備えるブレーキパッドセット100の例示的なブレーキパッド5のバックプレート5aを示している。リテーニング要素11は、上述したように、パッドバックプレート5aに取り付けられている。
【0058】
取り付け工具13は、2つの機能を担っている。第1の機能は、取り付け工具13が、保護位置でリテーニング要素11のばね腕12に被嵌され、保護を形成することにある。この状態は、
図4に示してある。この保護位置で取り付け工具13は、リテーニング要素11のばね腕12を確実に保持し、一方では、例えば梱包、輸送、解梱および保管時にばね腕12が変形してしまわないようにばね腕12を保護している。他方、この保護機能により、背側のブレーキパッド5の望ましい積み重ね性が得られる。
【0059】
第2の機能は、取り付け工具13が、リテーニング装置10およびパッド保持ヨーク8の取り付けおよび取り外しに利用可能であることにある。
【0060】
取り付け工具13を取り付けのために使用するには、取り付け工具13を保護位置(
図4)から外し、以下に説明するように使用する。
【0061】
取り付け工具13は、1つのベースプレート13aと、2つの長手方向内壁13bと、2つの長手方向外壁13cと、長手方向内壁13bと長手方向外壁13cとの間に設けられたそれぞれ1つの収容部13dと、2つのフィンガプレート14と、2つのフィンガ15とを備える。
【0062】
ベースプレート13aは、長方形に形成されており、
図3ではxy平面内に位置する。ベースプレート13aは、基体を形成している。ベースプレート13aの、y方向で延びる長手方向辺には、それぞれ、1つの長手方向内壁13bが、1つの長手方向外壁13cとともに一体形成されている。長手方向内壁13bおよび長手方向外壁13cは、ベースプレート13aに対して直角にyz平面内に位置し、ベースプレート13aの一方の面からz方向に突出している。ベースプレート13aの他方の面は、外面13g(
図4参照)を形成している。
【0063】
長手方向内壁13bと長手方向外壁13cとは、互いに平行に所定の間隔を置いて配置され、長手方向内壁13bおよび長手方向外壁13cの下側の長手方向辺で互いに結合されている。その際、それぞれの収容部13dは、長手方向内壁13bと長手方向外壁13cとの間に形成されている。収容部13dは、上向きに開口しており、この開口に長手方向で延びる傾斜部を有している。
【0064】
長手方向内壁13bと長手方向外壁13cとは、収容部13dと相俟って保持装置を形成している。
【0065】
各長手方向内壁13bは、各端部で舌片状の支柱13e,13fに結合されており、舌片状の支柱13e,13fとともにU字形の壁を形成している。支柱13e,13fは、それぞれ、ベースプレート13aの横方向辺に、長手方向辺に対して直角になるように一体形成されており、それぞれx方向で所定の幅をもって延在している。この幅は、本実施の形態では、それぞれ、横方向辺の長さの約4分の1に相当する。支柱のz方向の高さは、長手方向内壁13bおよび長手方向外壁13cのz方向の高さに相当する。この高さ自体は、リテーニング要素11の舌片部分12aのz方向の寸法と少なくとも同じ寸法となっている。
【0066】
支柱13eの下側の端部間には、ベースプレート13aの一方の横方向辺の空いた端縁16が延びている。同様に他方の支柱13fの下側の端部間にも、ベースプレート13aの他方の横方向辺の空いた端縁17が配置されている。
【0067】
ベースプレート13aは、それぞれの支柱13fの下側の端部のところでそれぞれy方向に延長され、フィンガプレート14を形成している。フィンガプレート14のx方向の幅は、支柱13fの幅に相当する。フィンガプレート14のy方向の長さは、ベースプレート13aのy方向の長さの約3分の1に相当する。フィンガプレート14の厚さは、ベースプレート13aの厚さに相当する。フィンガプレート14は、フィンガプレート14の側方の外縁にそれぞれ1つの傾斜部14aを有する。各傾斜部14aは、フィンガプレート14のそれぞれの自由端部から、ベースプレート13aに取り付けられている他方の端部まで延在している。
【0068】
傾斜部14aを有するフィンガプレート14は、拡開装置を形成している。
【0069】
支柱13fの外面には、支柱13fの高さの約3分の1のところに、y方向で延在するそれぞれ1つのフィンガ15が一体形成されている。各フィンガ15は、正方形の横断面を有し、フィンガ15のそれぞれの自由端部に傾斜面15aを有する。傾斜面15aは、フィンガプレート14に面している。各フィンガ15は、それぞれのフィンガ15に割り当てられたフィンガプレート14に対して平行にy方向で延在し、このフィンガプレート14のy方向の長さと同じ長さを有している。
【0070】
傾斜面15aを有するフィンガ15は、ガイド装置を形成している。
【0071】
支柱13e,13fは、補強に用いられ、支柱13fは、ガイド装置のフィンガ15用の支持体を形成している。
【0072】
図3は、取り付け工具13を取り付け位置で示している。このとき、長手方向内壁13bおよび長手方向外壁13cは、上を向いている。フィンガプレート14の狭い自由端部は、リテーニング要素11のばね腕12の舌片12b間に、フィンガ15が舌片12bの上にくるように宛がわれる。その際、取り付け工具13は、若干傾けられている。すなわちベースプレート13aの平面は、リテーニング要素11のxy平面に対して角度をなして位置している。このためにフィンガ15の傾斜面15aは、パッド保持ヨーク8の端部区域8bの表面に沿って取り付け工具13のガイドとして用いられ、取り付け工具13を保持しなければならない角度を決めている。舌片12bの端縁12dは、それぞれ、フィンガプレート14の自由端部に設けられた傾斜部14aの始端と接触する。
【0073】
取り付け工具13をy方向でリテーニング要素11に向かって動かすと、フィンガプレート14の傾斜部14aは、傾斜部14aと接触している端縁12d、ひいては舌片12bを押し拡げ、これに伴いリテーニング要素11のばね腕12を、
図2に示したパッド保持ヨーク8の端部区域8bが挿入できるように押し拡げる。取り付け工具13を引き戻せば、ばね腕12は再びその初期位置に弾性復帰する。このとき、パッド保持ヨーク8の端部区域8bの角隅は、
図2に示したように抱持される。
【0074】
取り外すときは、
図1と合わせて見れば明白であるが、フィンガ15が、パッド保持ヨーク8bに上から係合する。フィンガプレート14は、パッド保持ヨーク8bに下から係合する。傾斜部14aは、リテーニング要素を所定の寸法まで開く(加えて
図4も参照、係止面13h)。その後、パッド保持ヨーク8は、工具により除去される。
【0075】
図4は、取り付け工具13の保護位置を示している。保護位置で取り付け工具13は、リテーニング要素11のばね腕12に被せられており、ばね腕12のそれぞれの舌片部分12aは、長手方向内壁13bと長手方向外壁13cとの間のそれぞれ1つの収容部13d内に収容されており、舌片部分12aの上側の長手方向縁12fでもって収容部13dの底に当接している。各収容部13dの底は、長手方向内壁13bと長手方向外壁13cとの間の結合部により形成されている。収容部13dの開口に設けられた傾斜部は、舌片部分12aをそれぞれの収容部13dに挿入し易くするために用いられる。
【0076】
舌片12bは、取り付け工具13の保護位置において、舌片12bの内面でもって支柱13fの外面と接触する。
【0077】
保護位置で取り付け工具13は、フィンガプレート14およびフィンガ15がパッドバックプレート5aの背面5cから突出するように配置されている。このとき、ベースプレート13aの外面13gは、上向きに位置する。すなわち、リテーニング要素11のばね腕12と、ばね腕12間の中間室とは、完全に取り付け工具13によって覆われ、保護されている。
【0078】
パッドが地面に落下したとき、または他の何らかの形で圧迫を受けたとき、その力は、フィンガ15により受けられ、支柱を通して直接本体11aに導入されることができる。本体11aは、他方、パッドバックプレート5aに当接している。
【0079】
図5は、
図2に示したリテーニング要素11と組み立て時に協働する取り付け工具18の第2の実施例の概略斜視図である。
図6は、保護位置にある
図5に示した取り付け工具18の第2の実施例の概略斜視図である。
【0080】
この取り付け工具18の第2の実施例も、上述の両機能、すなわち取り付け工具13の第1の実施例の保護機能と、取り付け工具としての機能とを担っている。
【0081】
取り付け工具18は、第1の実施例とは異なって構成されており、1つのクロスメンバ18aと、2つのストリップ状のプレート部分18bとを備える。プレート部分18bは、プレート部分18bに直角に一体形成されたそれぞれ1つの側壁19を有する。側壁19は、それぞれのガイド部分19a,19cおよび19fを有する。
【0082】
クロスメンバ18aは、長方形の横断面を有するバーとして形成されている。クロスメンバ18aは、クロスメンバ18aの下面中央に縦長の凹所18dを有する。クロスメンバ18aの端部には、それぞれ1つのストリップ状のプレート部分18bが設けられている。各プレート部分18bは、xy平面内で縦長の長方形としてy方向に延在し、プレート部分18bの、クロスメンバ18aに取り付けられた端部に、それぞれ、傾斜部18cをプレート部分18bの外面に有している。両傾斜部18cは、それぞれ、外から内に、クロスメンバ18aにおけるプレート部分18bのそれぞれの結合端部に向かって延びている。その際、クロスメンバ18aの各端部には、間隔18eが、各端部から、それぞれの結合端部が始まるところまで設けられている。
【0083】
この取り付け工具18の場合、クロスメンバ18aが基体を形成している。
【0084】
プレート部分18bの各外側の長手方向辺には、それぞれ1つの側壁19が設けられており、側壁19は、プレート部分18bから垂直にz方向上向きに突出している。このとき、各側壁19は、それぞれの端部が端縁19dでもってクロスメンバ18aの当接面20から傾斜部18cの長さの分だけ間隔を置いているように取り付けられている。換言すれば、各側壁19は、プレート部分18bの真っ直ぐな外縁に取り付けられている。このとき、側壁19の内面と、プレート部分18bの真っ直ぐな外縁との間の結合部は、側壁19の長手方向の長さの約半分にわたって延在している。
【0085】
各側壁19の上縁には、2つのガイド部分19aおよび19cが配置されている。ガイド部分19aおよび19cに対して平行に、各側壁19の下縁には、別のガイド部分19fが一体形成されている。ガイド部分19a,19cおよび19fは、側壁19に対して垂直にxy平面内に位置している。このとき、ガイド部分19aおよび19cは、ガイド部分19fのxy平面に対して平行に配置された1つの共通のxy平面内で延びている。ガイド部分19aは、それぞれ1つの傾斜部19bを有し、傾斜部19bは、それぞれの端縁19dから外向きに延びている。ガイド部分19cは、それぞれ、側壁19の自由端部に配置されており、ガイド部分19aからy方向で間隔を置いている。下側のガイド部分19fは、y方向で上側のガイド部分19aと上側のガイド部分19cとの間の略中央に位置している。
【0086】
ガイド部分19a,19cおよび19fを有する側壁19は、本実施の形態では、ガイド装置を形成している。同時にガイド部分19a,19cおよび19fは、保持装置も形成している。
【0087】
拡開装置は、本実施の形態でも、プレート部分18bを有する側壁19と、傾斜部18cとにより形成される。
【0088】
取り付け時、取り付け工具18は、側壁19でもってばね腕12間に、舌片12bの端縁12dが、側壁19の外面と接触し、互いに押し拡げられるように挿入される。傾斜部18cは、リテーニング要素を所定の抵抗まで開く(
図5、係止面19g参照)。取り付け工具18の側壁19は、リテーニング要素11のばね腕12の舌片部分12aに沿ってガイド部分19a,19c,19fにより案内される。パッド保持ヨーク8は挿入可能である。
【0089】
しかし、この取り付け工具18は、パッド保持ヨーク8の端部区域8bを妨げることがないので、この取り付け工具18をその挿入位置に残すことも可能である。それというのも、取り付け工具18をばね腕12間に挿入したこの挿入位置で、ばね腕12は、その初期位置に弾性復帰可能であるからである。このことは、ばね腕12の舌片12bが、側壁19の端縁19dを越えたところで、対応するプレート部分18bのそれぞれの傾斜部18c内に係合可能であることにより実現可能である。その後、クロスメンバ18aの当接面20は、舌片12bに当接する(
図6)。
【0090】
これにより、取り付け工具18のこの挿入位置は、
図6に示す保護位置でもある。側壁19およびプレート部分18bは、ばね腕が輸送時、ハンドリング時および運転中に変形してしまわないようにばね腕を保護している。圧迫に対しては、その力を端縁19eを介してフェースプレート11’aおよびパッドバックプレートへと逃すクロスメンバ18aが保護している。換言すれば、ブレーキパッド5における取り付け工具の保護位置は、パッド保持ヨーク8を取り付ける際、取り付け工具18を引き出すことで取り付け位置に切り換えられる。パッド保持ヨーク8は挿入される。その後、取り付け工具18は、再び、以前保護位置であったその初期位置に押し戻される。パッド保持ヨーク8は、今やロックされている。すなわちリテーニング装置10により留められている。
【0091】
これにより取り付け工具18は、始めに、その保護位置から、ばね腕12が拡開される程度引き出されるだけでよい。このことは、引き出す際に舌片12bの端縁12dがプレート部分18bのそれぞれの傾斜部18cと接触し、その後、外向きに押され、引き続き側壁19に沿って拡開された状態にとどまることにより実施される。その後、パッド保持ヨーク8は、通常通り挿入される。取り付け工具18は、再びその初期位置、すなわち保護位置に押し戻される。これにより取り付け工具18は、常にリテーニング要素11にとどまり、紛失することがないように保持されている。
【0092】
取り付け工具13,18は、好適なプラスチックから製造されていることができる。例えばDuPont社のVespel(登録商標)を使用することで、500℃まででの使用が実現可能である。当然のことながら、金属の素材または異種の素材の組み合わせも可能である。
【0093】
好ましい一実施例において、取り付け工具13は、プラスチックから、そして取り付け工具18は、金属の素材から製造されている。取り付け工具18は、パッドにとどまるため、より高温に曝されており、使用される素材の選択肢は、限られる。
【0094】
ブレーキパッドセット100は、それぞれのパッドバックプレート4a,5aに設けられた両ブレーキパッド4,5と、対応するパッド保持ばね6,7と、パッド保持ヨーク8と、リテーニング装置10と、少なくとも1つの取り付け工具13,18とを備える。ブレーキパッドセット100は、摺動キャリパを備えるすべてのディスクブレーキ1、特に商用車用のディスクブレーキ1に使用可能である。
【0095】
図7は、保護位置にある取り付け工具18’の第3の実施例の概略斜視図である。
【0096】
図8は、取り付け/取り外し状態にある取り付け工具18’の第3の実施例の概略斜視図である。
【0097】
図9は、リテーニング装置11と、取り付け/取り外し工具としての取り付け工具18’の第3の実施例とを備えるディスクブレーキ1の概略斜視図である。
【0098】
図10は、リテーニング装置11を、保護位置にある
図9に示した取り付け/取り外し工具としての取り付け工具18’の第3の実施例とともに示す概略斜視図である。
【0099】
図11は、
図9および
図10に示した取り付け兼取り外し工具18の概略斜視図である。取り付け兼取り外し工具は、金具として構成されている。而して工具18は、金属薄板から製造されていることができる。工具18は、対称に構成されている。
【0100】
取り付け工具18’の第3の実施例は、クロスメンバ18’aを有し、クロスメンバ18’aには、第2の実施例と類似の形式で両端部にそれぞれ1つのプレート部分18’bが一体形成されている。
【0101】
クロスメンバ18’aの手前には、別のクロスメンバ18’’aが取り付けられており、この別のクロスメンバ18’’aの端部には、後ろ向き(負のy方向)に延在するそれぞれ1つのフック部分23が設けられている。
【0102】
第2のクロスメンバ18’’aの中央には、切欠き21が作り込まれており、切欠き21の手前には、舌片22が上向きに起曲され、設けられている。
【0103】
舌片22は、補助工具、例えばねじ回しを用いた取り外しを容易にする。
【0104】
取り外しのために補助工具(図示せず)は、取り付け工具18’内に設けられた切欠き21に差し込み可能である。補助工具として例えばドライバ、特にマイナスドライバが利用可能である。取り外し時、ドライバの刃は、舌片22と、パッド保持ヨーク8の端部区域8bの縁との間から切欠き21に差し込まれ、取り付け工具18’は、てこ運動によりy方向で(
図7参照)解離される。
【0105】
ストッパ23aは、リテーニング要素11が輸送時、ハンドリング時および運転中に変形してしまわないようにしている。
【0106】
付加的なストッパ23bは、リテーニング要素11が輸送時、ハンドリング時および運転中に拡開してしまわないようにしている。
【0107】
軸方向のストッパ23cは、取り付け/取り外し時、リテーニング要素11のそれぞれの舌片部分12aに設けられたガイドスリット26aに当接する。
【0108】
始動傾斜部24は、取り付け/取り外し時、所定の初期抵抗を提供する。さらに始動傾斜部24は、運転中の意図しない開放を防止する。
【0109】
横方向部分18’aへの各プレート部分18’bの移行部の外縁には、それぞれ、開放傾斜部25が設けられており、これにより、リテーニング要素11を取り外しのために拡開させることができる。
【0110】
プレート部分18’bの、互いに反対側に位置する2つの外面には、リテーニング要素11を所定の間隔に拡開させる部分26が設けられている。
【0111】
取り付け工具18’のプレート部分18’bに設けられた水平のガイド27は、それぞれ、リテーニング要素11のそれぞれの舌片部分12aに設けられたガイドスリット26aにより水平に案内される(
図10参照)。
【0112】
軸方向のガイド28は、この舌片を折り返すことで形成されている。こうして取り付け工具18’は、傾動したり、回動したりしない。
【0113】
さらに、圧迫されたときにその力をパッドバックプレート5aに逃すために、プレート部分18’bの後方の各端部には、それぞれ1つのストッパ29が設けられている。
【0114】
上述の実施例は、本発明を限定するものではない。本発明は、添付の特許請求の範囲内で変更可能である。