特許第6592198号(P6592198)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6592198
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】断熱構造体
(51)【国際特許分類】
   F01N 13/14 20100101AFI20191007BHJP
   F01N 13/16 20100101ALI20191007BHJP
【FI】
   F01N13/14
   F01N13/16
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-524772(P2018-524772)
(86)(22)【出願日】2015年11月18日
(65)【公表番号】特表2019-500535(P2019-500535A)
(43)【公表日】2019年1月10日
(86)【国際出願番号】FI2015050801
(87)【国際公開番号】WO2017085353
(87)【国際公開日】20170526
【審査請求日】2018年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】503129903
【氏名又は名称】ワルトシラ フィンランド オサケユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】レフトネン,パシ
(72)【発明者】
【氏名】ニュガルド,クリステル
(72)【発明者】
【氏名】ルンドストロン,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】スールホルマ,ヘイッキ
(72)【発明者】
【氏名】ハカラ,ユハ
(72)【発明者】
【氏名】ニエミ,ユハ
(72)【発明者】
【氏名】アホ,アルト
(72)【発明者】
【氏名】エリクッソン,ゲオルグ
(72)【発明者】
【氏名】スオミヴィルタ,オスモ
【審査官】 小笠原 恵理
(56)【参考文献】
【文献】 英国特許出願公開第02045859(GB,A)
【文献】 特開2004−183651(JP,A)
【文献】 特開平09−177550(JP,A)
【文献】 特開2010−031718(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 13/14−13/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストンエンジンの排気システムの構成要素のための断熱構造体であって、前記断熱構造体は、空気空間が前記構成要素と前記断熱構造体の間に形成可能であるように前記排気システムの構成要素の周囲に配置可能であり、前記断熱構造体は、
-外側シェル層と、
-前記外側シェル層の内側に配置される中間シェル層と、
-前記中間シェル層の内側に配置される第1内側シェル層を有し、
-前記外側シェル層と前記中間シェル層の間に第1エアギャップが設けられ、
-断熱材料からなる第1断熱層が前記中間シェル層と前記第1内側シェル層の間に設けられ、
-前記外側シェル層は、前記第1エアギャップ(14)の自然換気を行うための通気孔が設けられ、
-前記通気孔は、前記第1エアギャップからの通気を解放するために前記外側シェル層の上部に配置された空気出口を有し、
-前記外側シェル層の空気出口を覆うように、前記外側シェル層の上に通気孔を備えたカバー構造体が配置され、
-前記カバー構造体の通気孔は、前記外側シェル層の空気出口の上方に鉛直方向に配置された空気出口を有し、
前記カバー構造体の通気孔は、カバー構造体の空気出口の下方に垂直方向に配置された空気入口を有することを特徴とする、
断熱構造体。
【請求項2】
前記外側シェル層の前記通気孔は、前記第1エアギャップに通気を導入するための前記外側シェル層の下部に配置される少なくとも1つの空気入口を有する、請求項1に記載の断熱構造体。
【請求項3】
前記外側シェル層の前記通気孔は、前記下部の空気入口と前記空気出口との間に追加的空気入口を有する、請求項2に記載の断熱構造体。
【請求項4】
前記カバー構造体の空気出口は、換気用のラビリンス構造が形成されるように、前記外側シェル層の空気出口に対して水平方向に配置される、請求項1乃至3のいずれかの断熱構造体。
【請求項5】
前記断熱構造体は、更に、
-前記第1内側シェル層の内側に配置された第2内側シェル層と、
-前記第2内側シェル層の内側に配置された第3内側シェル層と、
-前記第1内側シェル層と前記第2内側シェル層との間に配置された第2エアギャップと、
-前記第2内側シェル層と前記第3内側シェル層との間に配置される断熱材の第2の断熱層を備える、請求項1乃至4いずれかに記載の断熱構造体。
【請求項6】
前記第2エアギャップは、前記第2エアギャップに空気を導入するための少なくとも1つの空気入口が設けられ、前記第2エアギャップから空気が排出されるように構成された流路に連結されている、請求項5に記載の断熱構造体。
【請求項7】
前記断熱材が、ロックウールなどのミネラルウールである、請求項5又は6に記載の断熱構造体。
【請求項8】
ピストンエンジンの排気システムであって、前記排気システムが、前記排気システムの構成要素の周りに配置された請求項1乃至7のいずれかに記載の断熱構造体を備える、排気システム。
【請求項9】
前記排気システムの構成要素が排気ガス受器である、請求項に記載の排気システム。
【請求項10】
前記排気システムの構成要素がターボチャージャのタービンである、請求項8に記載の排気システム。
【請求項11】
排ガスシステムと請求項1乃至7のいずれか1項に記載の断熱構造体を備えるピストンエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載のピストンエンジンの排気システムの構成要素の断熱構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
海洋における安全のための国際条約(SOLAS)のような多くの異なる条約は、船舶の建設、設備および運営に最低限の安全基準を設定している。基準の多くは、船舶で使用されるエンジンの建設に関係している。
主要条約によって設定された要件は、従来の構造で達成することができるが、場合によっては、船舶の使用条件または運転条件が満たすことがはるかに困難な要件を設定している。SOLASによって規制され、エンジンに関わる1つの側面は、排気システムの表面温度である。SOLASの要件は、排気ガスレ受器とターボチャージャーの周りに配置された単一の断熱層で満たすことができるが、場合によってはより低い表面温度を達成する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、ピストンエンジンの排気システムの構成要素のための改良された断熱構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明による断熱構造体の特徴が請求項1に示される。
【0005】
本発明に係る断熱構造体は、排気システムの構成要素の周囲に、構成要素と断熱構造体との間に空気空間が形成されるように配置可能であり、外側シェル層と、前記外側シェル層の内側に配置された中間シェル層と、前記中間シェル層の内側に配置された第1内側シェル層とを備え、前記外側シェル層と前記中間シェル層との間に第1エアギャップが配置され、前記中間シェル層と前記第1内側シェル層との間に断熱材料の第1断熱層が配置され、前記外側シェル層には前記第1エアギャップの自然換気を行うための通気孔が設けられている。
本発明による断熱構造体では、断熱構造体の表面温度は、ピストンエンジンの排気システムに使用される従来の断熱構造に比べて著しく低減される。外側シェル層の外側にファンまたは追加の断熱層を設けることなく、低い表面温度を達成することができる。
【0006】
本発明の一実施形態によれば、外側シェル層の下部には、通気を第1エアギャップに導入するための少なくとも1つの空気入口が設けられている。外側シェル層の上部には、前記第1エアギャップから通気を放出するための空気出口を設けることができる。外側シェル層の下部の空気流入口および上部の空気出口は、第1エアギャップを通る有効な通気空気流を生成して外側シェル層の表面温度を低く保つ。
【0007】
本発明の一実施形態によれば、外側シェル層には、下部の空気入口と空気出口との間に追加の空気入口が設けられる。この追加的空気入口は、前記第1エアギャップの換気を向上させる。
【0008】
本発明の一実施形態によれば、通気孔が設けられたカバー構造体が、外側シェル層の上に配置されて、外側シェル層の空気出口を覆う。このカバー構造体は、高温な表面上の燃料漏出を防止する。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、カバー構造体には、外側シェル層の空気出口の上に垂直方向に配置された空気出口が設けられている。このカバー構造体の空気出口により、通気空気は断熱構造体のまわりの空気の中に直ちに放出される。外側シェル層の空気出口の上方のカバー構造体の空気出口の位置は、第1エアギャップを通る空気流が確実に発生するようにする。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、カバー構造体の空気出口は、外側シェル層の空気出口に対して水平方向に配置され、換気空気のためのラビリンス構造が形成される。このラビリンス構造は、第1エアギャップを通るより良好な空気流を生成する。また、そのラビリンス構造は、カバー構造体上の可能な燃料漏れが、空気出口を介して断熱構造体の内部のより高温の表面に直接到達しないようにする。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、カバー構造体は、カバー構造体の空気出口の下に垂直方向に配置された空気入口を備えている。このカバー構造体の空気入口は、断熱構造体内の空気流を改善する。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、断熱構造体は、更に、第1内側シェル層の内側に配置された第2内側シェル層と、第2内側シェル層の内側に配置された第3内側シェル層と、前記第1内側シェル層と前記第2内側シェル層の間に配置された第2エアギャップと、前記第2内側シェル層と前記第3内側シェル層との間に配置された断熱材料の第2断熱層とを備える。この更なるエアギャップと断熱層を設けることにより、断熱性が向上する。この断熱構造体は、特にターボチャージャのタービンに適している。エンジンに2段ターボチャージが設けられている場合、特に高圧ターボチャージャーは2つのエアギャップと断熱層を備えた改良された断熱構造体を必要とすることがある。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、第2エアギャップには、第2エアギャップに空気を導入するための少なくとも1つの空気入口が設けられ、第2エアギャップから空気を排出するように配置された流路に接続される。第2エアギャップ内の温度は高くてもよく、したがって、空気は第2エアギャップから可燃性流体のスプレーに曝される可能性のない場所に搬送されることが好ましい。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、断熱構造体は、外側シェル層の上に配置されて外側シェル層の空気出口を覆うカバー構造体を備え、前記流路は、第2エアギャップを外側シェル層とカバー構造体の間のスペースに連結する。したがって、両方のエアギャップからの空気を同じ場所に搬送することができる。
【0015】
断熱材は、例えばロックウールのようなミネラルウールとすることができる。
【0016】
本発明による排気システムは、排気システムの構成要素の周りに配置された上記の断熱構造体を含む。排気システムの構成要素は、排気ガス受器またはターボチャージャのタービンとすることができる。
【0017】
本発明によるピストンエンジンは、上記で定義した排気システムおよび断熱構造体を備える。

以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】ピストンエンジン及び排気システムの概略図である。
図2】本発明の一実施形態による排気ガス受器のための断熱構造体の簡略化した断面図である。
図3図2の断熱構造体の上面図を示す図である。
図4】ターボチャージャのタービンのための断熱構造体の断面図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1には、吸入システムおよび排気システムと共にピストンエンジン1が概略的に示されている。エンジン1は、例えば船舶の主機関または補助機関のような、大型の内燃機関である。エンジン1の定格出力は1気筒当たり少なくとも150kWであり、シリンダボアは少なくとも150mmである。図1の実施形態では、エンジン1は6つのシリンダ2を備えるが、エンジン1は、4~24シリンダ2のような任意の妥当な数のシリンダ2を備えることができる。図1の実施形態では、シリンダ2は一直線上に配置されているが、シリンダ2は、例えばV字形であってもよい。
【0020】
エンジン1には、タービン3aとコンプレッサ3bとからなるターボチャージャ3が設けられている。エンジン1には、2つ以上のターボチャージャ3を設けることもできる。ターボチャージャ3は、直列および/または並列に配置することができる。例えば、Vエンジンは、エンジンの各バンクに対して1つまたは2つのターボチャージャを備えることができる。ターボチャージャ3のタービン3aは、エンジン1の排気系の一部を構成し、ターボチャージャ3のコンプレッサ3bは、エンジン1の吸気系の一部を構成する。ターボチャージャ3の圧縮機3bからは、加圧された吸気が吸気ダクト4に導入され、吸気ダクト4はエンジン1のシリンダ2内に吸気を運ぶ。エンジン1の排気系は、排気ガス受器5を備えている。排気ガス受器5は、多数の分岐部5aを有する。排気ガス受器5の各分岐部5aは、排気ガスを受け取るためのエンジン1のシリンダ2に接続されている。排気ガス受器5は、ターボチャージャ3のタービン3aに接続され、排気ガスをタービン3aに導入する。
【0021】
排気ガスの高温のために、エンジン1には、エンジン1の排気システムの周囲に配置された断熱装置が設けられている。断熱装置は、排気ガス受器5の周囲に配置された第1断熱構造体6と、ターボチャージャ3のタービン3aの周囲に配置された第2断熱構造体7とを含む。
【0022】
図2は、第1断熱構造体6の断面図を示し、図3は、第1断熱構造体6の上面図を示す。第1断熱構造体6は、排気ガス受器5と第1断熱構造体6との間に空気空間8が形成されるように、排気ガス受器5の周囲に配置される。第1断熱構造体6は、外側シェル層9と、外側シェル層9の内側に配置された中間シェル層10と、中間シェル層10の内側に配置された第1内側シェル層11とを含む。中間シェル層10は、外側シェル層9と中間シェル層10との間に第1エアギャップ14が形成されるように、外側シェル層9から離れている。第1内側シェル層11は、中間シェル層10と第1内側シェル層9との間に第1の断熱層15を配置することができるように、中間シェル層10から離れている。第1断熱層15は、非液体及び非ガスの断熱材料からなる。断熱材は、例えば、ロックウールのようなミネラルウールとすることができる。外側シェル層9、中間シェル層10及び第1内側シェル層11は、例えばシートメタルで造ることができる。
【0023】
第1エアギャップ14は、自然換気される。したがって、換気は空気の密度の差に基づいており、第1エアギャップ14内の空気を循環させるファンは不要である。第1エアギャップ14の換気のために、外側シェル層9には通気孔18a、18b、19が設けられている。第1断熱構造体6の下部には空気入口18aが配置され、第1断熱構造体6の上部には空気出口19が配置されている。追加的な空気入口18bが、外側シェル層9の側壁21に配置されている。したがって、追加的入口18bは、空気出口19と第1断熱構造体6の下部の空気入口18aとの間にある。空気は、空気入口18a、18bを介して第1の空気ギャップ14に導入される。空気は、第1断熱構造体6の直ぐ近くの機関室から取り出される。図2の実施形態では、第1断熱構造体6は、断熱構造体6の側壁21を断熱構造体6の底22に接続する傾斜部分20を含む。第1断熱構造体6の下部の空気入口18は、断熱構造体6の両側の傾斜部分20に配置されている。第1断熱構造体6の各側面は、構造に沿って配置された複数の空気入口18a、18bを含む。
【0024】
図2の実施形態では、空気出口19は、第1断熱構造体6の天板23に配置されている。空気出口19は、断熱装置の長手方向の中心線から離れて配置されている。
図2の断熱構造体6は、2つの空気出口19の列を含み、その一つの列は、断熱構造体6の長手方向中心線の各側に配置されている。第1の断熱構造体6には、更に、第1のエアギャップ14を断熱構造体6の長手方向の区画に区画する隔壁24が設けられている。隔壁24には、区画間の空気の流れを可能にする開口25が設けられている。しかしながら、空気口18a,18b及び空気出口19は第1断熱構造体6の長手方向に沿って等間隔に配置されているので、第1エアギャップ14内の空気の流れ方向は、主に、第1断熱構造体6の底部から第1の断熱構造体6の頂部に向かって延びている。このことは、外側シェル層9の表面温度を一定に保つのに役立つ。
【0025】
第1断熱構造体6にはさらにカバー構造体26が設けられている。カバー構造体26は、外側シェル層9の上に配置され、外側シェル層9の空気出口19を覆う。また、カバー構造体26には通気孔27,28が設けられている。空気出口27は、カバー構造体26の上に配置される。カバー構造体体26の空気出口27は、外側シェル層9の空気出口19の上方に鉛直方向に配置されている。カバー構造体26の空気出口27は、外側シェル層9の空気出口19に対して、換気用のラビリンス構造が形成されるように水平方向に配置される。カバー構造体26の構造は、第1エアギャップ14を通る空気の流れを強化し、また、高温で表面上の燃料の漏れを防止する。
【0026】
空気入口28は、カバー構造体26の両側に配置されている。空気入口28は、カバー構造体26の空気出口27の下に垂直方向にある。また、カバー構造体26の空気入口28は、第1断熱構造体6内の空気流を強化する。図2の実施形態では、第1エアギャップ14からの空気は、第1断熱構造体6の直ぐ近くで空気中に放出される。
【0027】
図4には、ターボチャージャ3のタービン3aの周りに配置された第2の断熱構造体7の断面図が示されている。この第2断熱構造体7は、第1断熱構造体6に接続されている。第2の断熱構造体7の構造は、第1断熱構造体6の構造に類似している。しかしながら、ターボチャージャ3のタービン3aの高温により、第2断熱構造体7には追加の層が設けられている。また、第2断熱構造体7は、外側シェル層9と、外側シェル層9の内側に配置された中間シェル層10と、中間シェル層10の内側に配置された第1内側シェル層11とを含んでいる。
【0028】
中間シェル層10は、外側シェル層9と中間シェル層10との間に第1エアギャップ14が形成されるように、外側シェル層9から離れている。第1内側シェル層11は、中間シェル層10と第1内側シェル層11との間に第1の断熱層15を配置することができるように、中間シェル層10から離れている。第1の断熱層15は、非液体及び非ガス断熱材料からなる。断熱材は、例えば、ロックウールのようなミネラルウールとすることができる。
【0029】
第1内側シェル層11の内側に第2内側シェル層12が配置され、第2内側シェル層12の内側に第3内側シェル層13が配置されている。第2内側シェル層12は第1内側シェル層11から離れており、第3内側シェル層13は第2内側シェル層12から離れている。第1内側シェル層11と第2内側シェル層12との間に第2エアギャップ16が形成されている。第2内側シェル層12と第3内側シェル層13との間には、第2断熱層17が形成されている。
【0030】
第2の断熱層17に用いられる断熱材料は、第1の断熱層15に用いられる材料と同じとすることができる。外側シェル層9、中間シェル層10及び内側シェル層11,12,13は、例えばシートメタルで造ることができる。
【0031】
図4の実施形態では、第2の断熱構造体7は、ターボチャージャ3のタービン3aを完全に包囲しない。ターボチャージャ3はターボチャージャブラケット32上に配置されているので、タービン3aの下側の断熱は、タービン3aの他の側ほど効果的である必要はない。タービン3aの下方には、単層の断熱材で十分である。しかしがら、第2断熱構造体7は、ターボチャージャ3のタービン3aを全面に取り囲むことができる。
【0032】
図4の実施形態では、第2断熱構造体7の外側シェル層9の底部が開放されている。このようにして、第2断熱構造体7の底部には、第1のエアギャップ14に空気を導入するための空気入口18が形成されている。第2断熱構造体7の底部の空気入口18の代わりに、またはそれに加えて、空気入口を第2断熱構造体7の下部の外側シェル層9の側壁に配置することもできる。また、外側シェル層9には、第2断熱構造体7の上部に空気出口19が設けられている。また、第2断熱構造体7の第1のエアギャップ14も自然に換気される。
【0033】
第2断熱構造体7は、外側シェル層9の上に配置されたカバー構造体31をさらに含む。カバー構造体31体は、外側シェル層9の空気出口19を覆う。第1断熱構造体6のカバー構造体26とは対照的に、第2断熱構造体7のカバー構造体31体は、空気入口及び空気出口を備えていない。その代わりに、第2断熱構造体7のカバー構造体31は、外側シェル層9とカバー構造体31との間の空間から空気を運ぶ流路に接続されている。したがって、高温空気は、第2断熱構造体7の近傍で空気に放出されるのではなく、空気が可燃性流体に曝されない場所に運ばれる。
【0034】
また、第2のエアギャップ16には、第2断熱構造体7の底部に配置された少なくとも1つの空気入口30が設けられている。第2エアギャップ16の上部は、第2エアギャップ16から空気を搬送することができる流路29に接続されている。また、第2エアギャップ16も自然換気される。流路29は、外側シェル層9とカバー構造体31との間の空間に接続されている。したがって、第2エアギャップ16からの空気は、第1エアギャップ14からの空気と混合され、断熱装置の近傍から離れて搬送される。
【0035】
当業者であれば、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲内で変更可能であることが理解されよう。
図1
図2
図3
図4