(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
qが、0.80から0.95(これらの数値を含む)の範囲であり;rが、0.04から0.10(これらの数値を含む)の範囲であり;sが、0.34から0.65(これらの数値を含む)の範囲であり;tが、0.20から0.35(これらの数値を含む)の範囲であり;1−q−rが、0.04から0.10(これらの数値を含む)の範囲であり;1−s−tが、0.20から0.35(これらの数値を含む)の範囲であり;xが、0.80から0.95(これらの数値を含む)の範囲であり;aが、0.02から0.05(これらの数値を含む)の範囲である、請求項1から2のいずれか一項に記載の組成物。
コアを有する前記複数の粒子が、8マイクロメートルから12マイクロメートルの間の平均コアサイズおよび/または0.05マイクロメートルから1.1マイクロメートルの間の平均シェル厚を有する、請求項17に記載の組成物。
前記第1の溶液が、硫酸ニッケル、酢酸ニッケル、塩化ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸マンガン、酢酸マンガン、塩化マンガン、硝酸マンガン、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸コバルト、酢酸コバルト、塩化コバルト、および/または硝酸コバルトのうちの1つまたは1つより多くを含み、
前記第2の溶液が、硫酸ニッケル、酢酸ニッケル、塩化ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸マンガン、酢酸マンガン、塩化マンガン、硝酸マンガン、硫酸コバルト、酢酸コバルト、塩化コバルト、および/または硝酸コバルトのうちの1つまたは1つより多くを含む、
請求項21から29のいずれか一項に記載の方法。
第1の溶液からニッケル、マンガンおよび/またはアルミニウム、ならびにコバルトを沈殿させるステップが、50℃から80℃の間の温度で第1の溶液からニッケル、マンガンおよび/またはアルミニウム、ならびにコバルトを沈殿させるステップを含み、そして、第2の溶液からニッケル、マンガン、およびコバルトを沈殿させるステップが、50℃から80℃の間の温度で第2の溶液からニッケル、マンガン、およびコバルトを沈殿させるステップを含む、
請求項21から31のいずれか一項に記載の方法。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
要旨
本発明は、概して、例えばリチウムイオン電池等の電池、および他の用途における使用のための電気化学セル用の物質に関する。本発明の主題は、一部の場合において、相互に関連した生成物、特定の問題に対する代替の解決策、ならびに/または1つもしくは1つより多くの系および/もしくは物品の複数の異なる使用を含む。
【0006】
一態様では、本発明は、概して組成物に関する。1組の実施形態では、組成物は、式(Li
1+a(Ni
qM
rCo
1−q−r)O
2)
x(Li
1+a(Ni
sMn
tCo
1−s−t)O
2)
1−xを有する物質を含み、式中、Mは、Mnおよび/またはAlであり;xは、0.70から0.95(これらの数値を含む)の範囲の数値であり;aは、0.01から0.07(これらの数値を含む)の範囲の数値であり;qは、0.80から0.96(これらの数値を含む)の範囲の数値であり;rは、0.01から0.10(これらの数値を含む)の範囲の数値であり;sは、0.34から0.70(これらの数値を含む)の範囲の数値であり;tは、0.20から0.40(これらの数値を含む)の範囲の数値であり;1−q−rは、0より大きく;1−s−tは、0より大きい。
【0007】
別の組の実施形態によれば、組成物は、複数の粒子を含み、複数の粒子の少なくともいくつかは、コアと、コアを少なくとも部分的に取り囲むシェルとを含み、コアは、式Li
1+a(Ni
qM
rCo
1−q−r)O
2を有し、シェルは、式Li
1+a(Ni
sMn
tCo
1−s−t)O
2を有し、式中、Mは、Mnおよび/またはAlであり;xは、0.70から0.95(これらの数値を含む)の範囲の数値であり;aは、0.01から0.07(これらの数値を含む)の範囲の数値であり;qは、0.80から0.96(これらの数値を含む)の範囲の数値であり;rは、0.01から0.10(これらの数値を含む)の範囲の数値であり;sは、0.34から0.70(これらの数値を含む)の範囲の数値であり;tは、0.20から0.40(これらの数値を含む)の範囲の数値であり;1−q−rは、0より大きく;1−s−tは、0より大きい。
【0008】
別の組の実施形態では、組成物は、複数の粒子を含み、複数の粒子の少なくともいくつかは、コアと、コアを少なくとも部分的に取り囲むシェルとを含む。一部の場合において、粒子の少なくともいくつかは、反応器内で、第1の溶液からニッケル、マンガンおよび/またはアルミニウム、ならびにコバルトを沈殿させて粒子を生成するステップと、反応器内で、粒子上に第2の溶液からニッケル、マンガンおよび/またはアルミニウム、ならびにコバルトを沈殿させて、コアシェル粒子を形成するステップとを含む方法により形成される。
【0009】
さらに別の組の実施形態では、組成物は、複数の粒子を含み、複数の粒子の少なくともいくつかは、コアと、コアを少なくとも部分的に取り囲むシェルとを含む。一部の実施形態では、粒子の少なくともいくつかは、第1のpHで、第1の溶液からニッケル、マンガンおよび/またはアルミニウム、ならびにコバルトを沈殿させて粒子を生成するステップと、第2のpHで、粒子上に第2の溶液からニッケル、マンガンおよび/またはアルミニウム、ならびにコバルトを沈殿させて、コアシェル粒子を形成するステップとを含む方法により形成される。
【0010】
さらに別の組の実施形態では、組成物は、複数の粒子を含み、複数の粒子の少なくともいくつかは、コアと、コアを少なくとも部分的に取り囲むシェルとを含む。一部の実施形態では、粒子の少なくともいくつかは、第1の温度で、第1の溶液からニッケル、マンガンおよび/またはアルミニウム、ならびにコバルトを沈殿させて粒子を生成するステップと、第2の温度で、粒子上に第2の溶液からニッケル、マンガンおよび/またはアルミニウム、ならびにコバルトを沈殿させて、コアシェル粒子を形成するステップとを含む方法により形成される。
【0011】
別の態様では、本発明は、方法に関する。1組の実施形態では、方法は、反応器内で、第1の溶液からニッケル、マンガンおよび/またはアルミニウム、ならびにコバルトを沈殿させて粒子を生成するステップと;反応器内で、粒子上に第2の溶液からニッケル、マンガン、およびコバルトを沈殿させて、コアシェル粒子を形成するステップとを含む。
【0012】
別の組の実施形態によれば、方法は、第1のpHで、第1の溶液からニッケル、マンガンおよび/またはアルミニウム、ならびにコバルトを沈殿させて粒子を生成するステップと;第2のpHで、粒子上に第2の溶液からニッケル、マンガン、およびコバルトを沈殿させてコアシェル粒子を形成するステップとを含む。
【0013】
さらに別の組の実施形態では、方法は、第1の温度で、第1の溶液からニッケル、マンガンおよび/またはアルミニウム、ならびにコバルトを沈殿させて粒子を生成するステップと;第2の温度で、粒子上に第2の溶液からニッケル、マンガン、およびコバルトを沈殿させてコアシェル粒子を形成するステップとを含む。
【0014】
さらに別の組の実施形態では、方法は、第1の撹拌速度で、第1の溶液からニッケル、マンガンおよび/またはアルミニウム、ならびにコバルトを沈殿させて粒子を生成するステップと;第2の撹拌速度で、粒子上に第2の溶液からニッケル、マンガン、およびコバルトを沈殿させてコアシェル粒子を形成するステップとを含む。
【0015】
さらに、一部の態様では、本発明は、概して、例えばリチウムイオン電池または他の用途のためのある特定の電気活性物質に関する。例えば、ある特定の実施形態は、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物化合物またはリチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物化合物を含む正電気活性物質を提供する。一部の場合において、物質は、式(Li
1+a[Ni
qM
rCo
1−q−r]O
2)
x・(Li
1+a[Ni
sMn
tCo
1−s−t]O
2)
1−xを有するコアシェル構造を有してもよく、式中、Mは、Mnおよび/またはAlであってもよい。一部の実施形態では、xは、0.70から0.95(これらの数値を含む)の範囲の数値であり、aは、0.01から0.07(これらの数値を含む)の範囲の数値であり、qは、0.80から0.96(これらの数値を含む)の範囲の数値であり、rは、0.01から0.10(これらの数値を含む)の範囲の数値であり、sは、0.34から0.70(これらの数値を含む)の範囲の数値であり、tは、0.20から0.40(これらの数値を含む)の範囲の数値であり、1−q−rは、0より大きく、1−s−tは、0より大きい。
【0016】
ある特定の実施形態において、正電気活性物質は、コアとして(Li
1+a[Ni
qM
rCo
1−q−r]O
2)
x、およびシェルとして(Li
1+a[Ni
sMn
tCo
1−s−t]O
2)
1−xを有するコアシェル構造を有する。Mは、Mn、Al、またはこれらの組合せであってもよい。一部の実施形態では、xは、0.70から0.95(これらの数値を含む)の範囲の数値であり、aは、0.01から0.07(これらの数値を含む)の範囲の数値であり、qは、0.80から0.96(これらの数値を含む)の範囲の数値であり、rは、0.01から0.10(これらの数値を含む)の範囲の数値であり、sは、0.34から0.70(これらの数値を含む)の範囲の数値であり、tは、0.20から0.40(これらの数値を含む)の範囲の数値であり、1−q−rは、0より大きく、1−s−tは、0より大きい。さらに、ある特定の実施形態において、正電気活性物質は、コアとしてLi
1+a[Ni
qM
rCo
1−q−r]O
2、およびシェルとしてLi
1+a[Ni
sMn
tCo
1−s−t]O
2を有するコアシェル構造を有する。Mは、Mn、Al、またはこれらの組合せであってもよい。一部の実施形態では、aは、0.01から0.07(これらの数値を含む)の範囲の数値であり、qは、0.80から0.96(これらの数値を含む)の範囲の数値であり、rは、0.01から0.10(これらの数値を含む)の範囲の数値であり、sは、0.34から0.70(これらの数値を含む)の範囲の数値であり、tは、0.20から0.40(これらの数値を含む)の範囲の数値であり、1−q−rは、0より大きく、1−s−tは、0より大きい。
【0017】
一部の場合において、粒子のサイズは、D50として表現することができ、D50は、存在する全粒子の50%(数で)を超える粒子サイズ直径(中央値としても公知である)である。粒子の典型的なサイズ分布は、(D90−D10)/D50として定義されるスパンで表現することができ、D90およびD10は、それぞれ、全ての粒子の90%および10%(数で)を超える粒子直径を意味する。ある特定の実施形態において、正電気活性物質は、スパンで約0.55から約1.00の粒子サイズ分布を有する。他のスパンは、以下で詳細に論じられる。
【0018】
一部の実施形態は、本明細書に記載のもの等の物質を調製するための合成方法を提供する。例えば、物質は、任意選択でコアシェル構造を有するリチウムニッケルマンガンコバルト酸化物正電気活性物質であってもよい。ある特定の実施形態によれば、方法は、(i)コアとしてニッケル、マンガンおよびコバルトを含む金属前駆体を調製するステップと;(ii)コア上にニッケル、マンガンおよびコバルトを含むシェル金属前駆体を成長させて、ニッケル、マンガンおよびコバルトを含むコアシェル金属前駆体を形成するステップと;(iii)コアシェル金属前駆体をリチウム含有塩と混合して、リチウム金属前駆体混合物を形成するステップと;(iv)リチウム金属前駆体混合物をか焼して、正電気活性物質を得るステップとを含む。混合物は、高濃度酸素雰囲気下で、約680℃から約880℃の範囲内の温度でか焼され得る。この合成方法は、ある特定の場合において大規模に実行され得る単純な1つである。さらなる方法は、本明細書において詳細に論じられる。
【0019】
ある特定の実施形態では、ニッケル、マンガン、およびコバルトを含むコアおよびシェル金属前駆体は両方とも、ニッケル、マンガン、およびコバルトの塩を蒸留水、メタノール、エタノール、またはそれらの混合物等の溶媒に溶解して、溶液から金属前駆体を沈殿させることにより調製され得る。
【0020】
ある特定の実施形態では、ニッケル、マンガンおよび/またはアルミニウム、ならびにコバルトを含むコア金属前駆体は、(i)ニッケル、マンガンおよび/またはアルミニウム、ならびにコバルトの塩を、蒸留水、メタノール、エタノール、またはそれらの混合物等の溶媒に溶解し;(ii)窒素雰囲気下で反応器内に溶液をポンピングすると同時に、所望量の水酸化ナトリウムおよび水酸化アンモニアを別個にポンピングし;(iii)pHを約10.2から約11.2の範囲内に、および温度を約50℃から約80℃の範囲内に維持し;(iv)溶液から金属前駆体を沈殿させることにより調製され得る。
【0021】
ある特定の実施形態では、ニッケル、マンガンおよびコバルトを含むシェル金属前駆体は、(i)ニッケル、マンガンおよびコバルトの塩を、蒸留水、メタノール、エタノール、またはそれらの混合物等の溶媒に溶解し;(ii)窒素雰囲気下でコア金属前駆体を含有する反応器内に溶液をポンピングすると同時に、所望量の水酸化ナトリウムおよび水酸化アンモニアを別個にポンピングし;(iii)pHを約10.8から約12.0の範囲内に、および温度を約50℃から約80℃の範囲内に維持し;(iv)コア金属前駆体上に溶液からシェル金属前駆体を沈殿させることにより調製され得る。
【0022】
ある特定の実施形態では、ニッケル、マンガンおよび/またはアルミニウム、ならびにコバルトを含むコアシェル金属前駆体は、(i)溶液からコア金属前駆体を調製し;(ii)コア金属前駆体上にシェル金属前駆体を形成し;(iii)溶液からコアシェル金属前駆体を形成することにより調製され得る。
【0023】
また、ある特定の実施形態は、前述の正電気活性物質を含む正電極、リチウムインターカレーション負電気活性物質、好適な非水性電解質、および負電気活性物質と正電気活性物質との間のセパレータで構成される、リチウムイオン電気化学セルを提供する。
【0024】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の実施形態の1つまたは1つより多く、例えばリチウムイオン電池用の物質を作製する方法を包含する。さらに別の態様では、本発明は、本明細書に記載の実施形態の1つまたは1つより多く、例えばリチウムイオン電池用の物質を使用する方法を包含する。本発明のさらに他の態様は、以下でより詳細に説明される。
【0025】
本発明の他の利点および新規な特徴は、付随する図面と併せて考慮すれば、以下の本発明の様々な限定されない実施形態の詳細な説明から明らかとなる。
【0026】
付随する図面を参照しながら、本発明の限定されない実施形態を例として説明するが、図面は概略であり、縮尺通りに描かれることを意図しない。図中、示されるそれぞれの同一またはほぼ同一の構成要素は、典型的には単一の番号で表される。明確性を目的として、当業者が本発明を理解できるように、全ての図面において全ての構成要素が標示されているわけではなく、また図示が不要である場合、本発明の各実施形態の全ての構成要素が示されているわけではない。
【発明を実施するための形態】
【0029】
詳細な説明
本発明は、概して、例えばリチウムイオン電池等の電池、および他の用途における使用のための電気化学セル用の物質に関する。例えば、本発明のある特定の実施形態は、コアシェル構造を有し得る正電気活性物質を提供する。ある特定の実施形態では、物質は、式(Li
1+a[Ni
qM
rCo
1−q−r]O
2)
x・(Li
1+a[Ni
sMn
tCo
1−s−t]O
2)
1−xを有し、式中、Mは、Mnおよび/またはAlであってもよい。一部の場合において、第1の部分はコアシェル粒子におけるコアを表し得、一方第2の部分はシェルを表し得る。ある特定の実施形態では、xは、0.70から0.95(これらの数値を含む)の範囲の数値であり、aは、0.01から0.07(これらの数値を含む)の範囲の数値であり、qは、0.80から0.96(これらの数値を含む)の範囲の数値であり、rは、0.01から0.10(これらの数値を含む)の範囲の数値であり、sは、0.34から0.70(これらの数値を含む)の範囲の数値であり、tは、0.20から0.40(これらの数値を含む)の範囲の数値である。さらに、一部の実施形態は、同じ反応器内でコアおよびシェルを形成することにより、ならびに/またはpHを変更してコアおよびシェルを生成することにより、ならびに/または撹拌速度を変更してコアおよびシェルを生成することにより、ならびに/または供給速度を変更してコアおよびシェルを生成することにより、粒子、例えばコアシェル粒子を形成する方法に関する。一部の実施形態では、これらのような反応パラメータを制御することにより、物質は、例えばスパンまたは他の好適な技術により測定されたときに、驚くほど狭く一様な粒子サイズ分布を有することができる。
【0030】
本発明のある特定の態様は、概して、例えばリチウムイオン電池等の電池、および他の用途における使用のための電気化学セル用の物質に、そのような物質を作製するための技術として関する。一部の実施形態では、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物等の物質を生成する方法が論じられる。一部の場合において、そのような物質は、粒子として形成されてもよく、また一部の場合において、粒子は2つの区別可能な領域を含有してもよい。例えば、一部の場合において、粒子は、コアシェル粒子として存在してもよく、例えば、粒子のコアおよびシェルは、容易に区別可能な組成を有する。一部の場合において、本明細書において論じられるように、そのような物質は、例えば複数の粒子として反応器内で物質を形成し、次いで、粒子が組成の変化を示すように、例えばコアシェル構造を形成するように反応器の条件を改変することによって形成され得る。一部の場合において、これは、例えば、複数のシェルを形成するように1回より多く繰り返されてもよい。さらに、一部の場合において、コアシェル構造を形成するプロセスは、反応器から粒子を除去することなく、または別様に反応を中断することなく行うことができ、その理由は、さもなくばそのような中断が反応をより制御困難とし得るためであることが理解されるべきである。しかしながら、一部の実施形態では、粒子のコアおよびシェルは、例えば異なる反応器を使用して、または別様に反応を中断することにより、別個に調製され得る。
【0031】
ある特定の実施形態では、粒子は、ニッケル、マンガンおよび/またはアルミニウム、コバルト、ならびに酸素を含んでもよい。粒子はまた、一部の場合において、リチウムを含んでもよい。例えば、これらに加えて、および/またはこれらの代わりに、ナトリウム、塩化物、硫黄等の他の元素(またはイオン)、例えば本明細書において論じられるものが存在してもよい。
【0032】
粒子のコアおよびシェル部分は、異なる組成を有してもよく、または同じ組成を有するが異なる濃度であってもよい。コアおよびシェル粒子は、顕微鏡下で(例えば顕微鏡写真におけるコア部分とシェル部分との間の視覚的変化として)、および またはエネルギー分散型X線分光法(EDX)技術等の組成分析技術を使用することにより区別可能であってもよい。コア部分とシェル部分との間に急な遷移があってもよく、または、組成は、より急でない遷移を示し、代わりに、例えば約500nm未満、約300nm未満、約100nm未満、約50nm未満、約30nm未満、または約10nm未満の距離にわたり、徐々に変動してもよい。一部の場合において、コアとシェルとの間(またはその逆)の原子の相対的モル量は、少なくとも0.05、少なくとも0.10、少なくとも0.15、少なくとも0.20、少なくとも0.25、少なくとも0.30、少なくとも0.35、少なくとも0.40、少なくとも0.45、または少なくとも0.50だけ変動してもよい。
【0033】
例示的な限定されない例として、コアは、0.80から0.96(例えば、式(Li
1+a(Ni
qM
rCo
1−q−r)O
2)におけるq)の範囲のモル量のNiを含有してもよく、一方シェルは、0.34から0.70(例えば、式Li
1+a(Ni
sMn
tCo
1−s−t)O
2)におけるs)の範囲のモル量のNiを含有してもよく、qとsとの間の差は、上述の量であってもよい。Mは、Mnおよび/またはAlであってもよい。
【0034】
いかなる特定の理論にも束縛されないが、本明細書に記載の物質のいくつかは、物質中の遷移金属イオン ニッケル、マンガンおよび/またはアルミニウム、ならびにコバルトの比のため、物質中のニッケルの百分率のため、ならびに/または物質を調製するための沈殿方法が例えばコアシェル粒子としての物質の形態のより正確な制御を可能にするために、優れた容量を提供し得ると考えられる。一部の場合において、物質は、リチウムイオン電池における使用のための高容量、優れた速度能力、および長いサイクル寿命を有する、高性能リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物正電気活性物質を調製するために使用され得る。
【0035】
一態様では、本発明は、概して、例えばリチウムイオン電池または他の用途における使用のための、ニッケル−マンガン−コバルト酸化物(NMC)物質等の正電気活性物質に関する。NMC正電気活性物質は、様々な基準にわたるそのバランスの取れた性能に起因して、電気自動車等の様々な用途に有利である。上述のように、一部の実施形態では、物質は、粒子として存在してもよく(例えば本明細書においてより詳細に論じられるように)、また一部の場合においては、粒子は、例えばコアシェル構造のように、組成的に区別可能である2つの領域を有してもよい。
【0036】
したがって、様々な実施形態は、概して、ある特定の型のNMCまたはニッケルマンガンコバルト酸化物物質に関する。そのようなニッケルマンガンコバルト酸化物物質はそれぞれ、それらの構造内に存在する様々な量の範囲のニッケル、マンガン、およびコバルトのそれぞれを有してもよく、それらは固定された整数比で存在する必要はないことが理解されるべきである。さらに、一部の実施形態では、例えばニッケル、マンガン、またはコバルトのうちの1つまたは1つより多くに加えて、またはその代わりに、他の元素が存在してもよいことが理解されるべきである。限定されない例は、例えば、参照により本明細書にその全体が組み込まれる、Renらによる米国特許出願第62/435,669号、発明の名称「Electroactive Materials for Lithium-Ion Batteries and Other Applications」において論じられているように、サマリウム、ランタン、または亜鉛を含む。
【0037】
例えば、1組の実施形態では、正電気活性物質は、第1の領域および第2の領域を有してもよく(例えばコアシェル粒子の場合のように)、第1の領域(例えばコア)は、式Li
1+a(Ni
qM
rCo
1−q−r)O
2(式中、Mは、Mnおよび/またはAlである)を有してもよく、第2の領域(例えばシェル)は、式Li
1+a(Ni
sMn
tCo
1−s−t)O
2を有してもよい。一部の場合では、2つの領域は、例えば式(Li
1+a(Ni
qM
rCo
1−q−r)O
2)
x(Li
1+a(Ni
sMn
tCo
1−s−t)O
2)
1−x(式中、Mは、Mnおよび/またはAlである)で表現されるように、粒子全体を構成してもよい。一部の場合において、0.70≦x≦0.95、0.01≦a≦0.07、0.80≦q≦0.96、0.01≦r≦0.10、0.34≦s≦0.70、0.20≦t≦0.40(これらは全て、それ未満またはそれに等しい)であり、すなわち、xは、0.70から0.95の範囲の数値であり、aは、0.01から0.07の範囲の数値であり、qは、0.80から0.96の範囲の数値であり、rは、0.01から0.10の範囲の数値であり、sは、0.34から0.70の範囲の数値であり、tは、0.20から0.40の範囲の数値であり、1−q−rは、0より大きく、1−s−tは、0より大きい。
【0038】
正電気活性物質の例は、これに限定されないが、x=0.70、a=0.02、q=0.80、r=0.10、s=0.50、t=0.30;またはx=0.90、a=0.05、q=0.90、r=0.05、s=0.60、t=0.20である組成物を含む。
【0039】
一部の場合において、物質は、リチウムを含んでもよく、すなわち、物質は、リチウムNMC物質である。しかしながら、ある特定の場合において、例えばリチウムに加えて、および/またはその代わりに、他のアルカリ金属イオン、例えばナトリウムもまた存在してもよい。一部の場合において、NMC組成物中の少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%(モル)のアルカリ金属イオンが、リチウムである。
【0040】
物質はまた、様々な量のニッケル、マンガンおよび/またはアルミニウム、ならびにコバルトを含有してもよい。これらは、例えば式Ni
qM
rCo
jまたはNi
sMn
tCo
kにおいて、互いに独立して変動してもよい。一部の場合において、q、r、およびj(またはs、t、およびk)の合計は1であり、すなわち、組成物中にこれらの3種を除く(アルカリ金属イオン以外の)他のイオンは存在しない。したがって、jは、(1−q−r)に等しくてもよく、または、kは、(1−s−t)に等しくてもよい。しかしながら、他の場合において、q、r、およびj(またはs、t、およびk)の合計は、実際には1より小さくてもよく、または1より大きくてもよく、例えば、0.8から1.2、0.9から1.1、0.95から1.05、または0.98から1.02であってもよい。したがって、組成物は、オーバードープもしくはアンダードープであってもよく、ならびに/または、ニッケル、マンガンおよびコバルトに加えて存在する他のイオンを含有してもよい。1つより多くの区別可能な領域が存在する場合、各領域は、独立して、これらの基準の1つまたは1つより多くを満たしてもよいことが理解されるべきである。
【0041】
1組の実施形態では、組成物の一部分(例えばコアまたはシェル内)に存在するニッケルの量(すなわちqまたはs)は、少なくとも0.34、少なくとも0.35、少なくとも0.4、少なくとも0.45、少なくとも0.5、少なくとも0.55、少なくとも0.6、少なくとも0.65、少なくとも0.7、少なくとも0.75、少なくとも0.8、少なくとも0.85、または少なくとも0.9であってもよい。一部の場合において、qまたはsは、独立して、0.99以下、0.96以下、0.95以下、0.9以下、0.85以下、0.8以下、0.75以下、0.7以下、0.65以下、0.6以下、0.58以下、0.55以下、0.5以下、0.45以下、0.4以下、0.35以下、または0.34以下であってもよい。様々な実施形態において、これらのいずれかの組合せもまた可能であり、例えば、qまたはsは、独立して、0.34から0.70の間、または0.80から0.96の間等(これらの値は全て包含される)の範囲であってもよい。上述のように、一部の実施形態では、組成物の異なる部分(例えば粒子のコアおよびシェル)は、それぞれ上記の値から採用される異なる組成を有してもよい。一部の場合において、コアは、シェルに存在する量より多くのニッケルを有してもよく、すなわち、qは、sより大きくてもよい。さらに、一部の場合において、qは、sよりも少なくとも0.05、少なくとも0.10、少なくとも0.15、少なくとも0.20、少なくとも0.25、少なくとも0.30、少なくとも0.35、少なくとも0.40、少なくとも0.45、または少なくとも0.50大きくてもよい。
【0042】
ある特定の実施形態によれば、組成物の一部分(例えばコアまたはシェル内)に存在するマンガンの量(すなわちrまたはt)は、少なくとも0.01、少なくとも0.02、少なくとも0.03、少なくとも0.05、少なくとも0.1、少なくとも0.2、少なくとも0.21、少なくとも0.25、少なくとも0.3、少なくとも0.35、少なくとも0.4、少なくとも0.45、または少なくとも0.5であってもよい。一部の実施形態では、rまたはtは、独立して、0.5以下、0.45以下、0.4以下、0.38以下、0.35以下、0.3以下、0.25以下、0.2以下、0.1以下、0.05以下、0.03以下、または0.02以下であってもよい。様々な実施形態において、これらのいずれかの組合せもまた可能であり、例えば、rまたはtは、独立して、0.01から0.10の間、0.02から0.10の間、0.04から0.10の間、または0.1から0.4の間等(これらの値は全て包含される)の範囲であってもよい。上述のように、一部の実施形態では、組成物の異なる部分(例えば粒子のコアおよびシェル)は、それぞれ上記の値から採用される異なる組成を有してもよい。一部の場合において、コアは、シェルに存在する量より少ないマンガンを有してもよく、すなわち、rは、tより小さくてもよい。さらに、一部の場合において、tは、rよりも少なくとも0.05、少なくとも0.10、少なくとも0.15、少なくとも0.20、少なくとも0.25、少なくとも0.30、少なくとも0.35、少なくとも0.40、少なくとも0.45、または少なくとも0.50大きくてもよい。
【0043】
一部の実施形態では、組成物の一部分(例えばコアまたはシェル内)に存在するアルミニウムの量(すなわちrまたはt)は、少なくとも0.01、少なくとも0.02、少なくとも0.03、少なくとも0.05、少なくとも0.1、少なくとも0.2、少なくとも0.21、少なくとも0.25、少なくとも0.3、少なくとも0.35、少なくとも0.4、少なくとも0.45、または少なくとも0.5であってもよい。一部の実施形態では、rまたはtは、独立して、0.5以下、0.45以下、0.4以下、0.38以下、0.35以下、0.3以下、0.25以下、0.2以下、0.1以下、0.05以下、0.03以下、または0.02以下であってもよい。様々な実施形態において、これらのいずれかの組合せもまた可能であり、例えば、rまたはtは、独立して、0.01から0.10の間、0.02から0.10の間、0.04から0.10の間、または0.1から0.4の間等(これらの値は全て包含される)の範囲であってもよい。上述のように、一部の実施形態では、組成物の異なる部分(例えば粒子のコアおよびシェル)は、それぞれ上記の値から採用される異なる組成を有してもよい。一部の場合において、コアは、シェルに存在する量より少ないマンガンを有してもよく、すなわち、rは、tより小さくてもよい。さらに、一部の場合において、tは、rよりも少なくとも0.05、少なくとも0.10、少なくとも0.15、少なくとも0.20、少なくとも0.25、少なくとも0.30、少なくとも0.35、少なくとも0.40、少なくとも0.45、または少なくとも0.50大きくてもよい。
【0044】
さらに、一部の実施形態では、マンガンおよびアルミニウムの両方が存在してもよいことが理解されるべきである。例えば、本明細書において論じられる(例えば、Li
1+a(Ni
qM
rCo
1−q−r)O
2等の式中の)Mは、マンガンおよび/またはアルミニウムであってもよい。例えば、Mは、100%のMn、100%のAl、またはMnとAlの任意の組合せであってもよい。例えば、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%(モル)のMnが存在し、残りがAlであってもよい。一部の場合において、95%以下、90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、または5%以下(モル)のMnが存在し、残りがAlであってもよい。
【0045】
同様に、ある特定の実施形態では、組成物の一部分(例えばコアまたはシェル内)に存在するコバルトの量(すなわちjまたはk)は、少なくとも0.2、少なくとも0.21、少なくとも0.25、少なくとも0.3、または少なくとも0.35であってもよい。一部の実施形態では、jまたはkは、独立して、0.38以下、0.35以下、0.3以下、または0.25以下であってもよい。様々な実施形態において、これらのいずれかの組合せもまた可能であり、例えば、jまたはkは、独立して、0.21から0.38の間(これらの値は全て包含される)の範囲であってもよい。上述のように、一部の実施形態では、組成物の異なる部分(例えば粒子のコアおよびシェル)は、それぞれ上記の値から採用される異なる組成を有してもよい。さらに、一部の場合において、q、r、およびj、ならびに/またはkが、s、t、およびkが1であるように、もしくは1近傍、例えば0.8から1.2、0.9から1.1、0.95から1.05、もしくは0.98から1.02等となり得るように選択され得るように、jは選択され得る。一態様では、そのような物質は、例えば本明細書において論じられるもの等の方法を使用して、粒子として形成され得る。いかなる理論にも束縛されることを望まないが、例えばコア/シェル粒子、または組成的に区別可能である部分を有する他の粒子を形成するためのそのような粒子の組成の制御は、以前は達成可能ではなかったと考えられる。ほとんどの場合において、NMC物質は、以前は、しばしば異なる反応器を使用して、複数ステッププロセスで電気活性物質に形成された。しかしながら、本明細書において論じられるように、NMC粒子を形成するためのプロセスの制御、例えばpHまたは反応温度の制御は、例えば粒子の異なる部分を形成するように反応条件を制御すること等によって、本明細書に記載の特質を有する粒子の創出を促進することができる。したがって、1組の実施形態は、概して、組成的に区別可能である2つまたはそれより多い部分を含み得る、例えばコアシェル配置を有する粒子として形成された電気活性物質に関する。物質は、本明細書に記載のようなリチウムNMC物質等のNMC物質を含み得る。粒子は、比較的単分散性であってもよく、または、粒子は、あるサイズ範囲内で存在してもよい。粒子はまた、球状または非球状であってもよい。
【0046】
ある特定の場合において、粒子サイズ(またはサイズ分布)は、D50を使用して決定され得る。複数の粒子のD50は、全粒子の50パーセントを超える粒子直径(しばしば、例えば対数正規分布における粒子の中央値または質量中央直径と呼ばれる)である。したがって、D50は、質量により決定される平均粒子直径の尺度である。試料のD50を決定するための機器は、商業的に容易に入手可能であり、篩い分けまたはレーザー光散乱等の技術を含み得る。本明細書において論じられるように、粒子は、粒子の形成中のpHまたは温度を制御することにより制御され得る。D50は概して平均粒子直径を指すが、これは必ずしも粒子が完全に球状でなければならないことを暗に意味するわけではなく、粒子はまた非球状であってもよいことが留意されるべきである。
【0047】
ある特定の場合において、D50は、少なくとも約3マイクロメートル、少なくとも約3.5マイクロメートル、少なくとも約4マイクロメートル、少なくとも約4.5マイクロメートル、少なくとも約5マイクロメートル、少なくとも約5.5マイクロメートル、少なくとも約6マイクロメートル、少なくとも約6.5マイクロメートル、少なくとも約7マイクロメートル、少なくとも約7.5マイクロメートル、少なくとも約7.8マイクロメートル、少なくとも約8マイクロメートル、少なくとも約9マイクロメートル、少なくとも約10マイクロメートル、少なくとも約11マイクロメートル、少なくとも約12マイクロメートル、少なくとも約13マイクロメートル、少なくとも約14マイクロメートル、または少なくとも約15マイクロメートルであってもよい。さらに、D50は、約15マイクロメートル以下、約14マイクロメートル以下、約13マイクロメートル以下、約12マイクロメートル以下、約11マイクロメートル以下、約10マイクロメートル以下、約9マイクロメートル、約8.5マイクロメートル以下、約8マイクロメートル以下、約7.8マイクロメートル以下、約7.5マイクロメートル以下、約7マイクロメートル以下、約6.5マイクロメートル以下、約6マイクロメートル以下、約5.5マイクロメートル以下、約5マイクロメートル以下、約4.5マイクロメートル以下、または約4マイクロメートル以下であってもよい。さらなる環境においてはこれらのいずれかの組合せもまた可能であり、例えば、D50は、約4.0マイクロメートルから約7.8マイクロメートルであってもよい。
【0048】
さらに、一部の実施形態では、粒子は、比較的狭い粒子サイズ分布を示してもよい。そのような分布は、例えば、(D90−D10)/D50として定義されるスパンを使用して決定されてもよく、D90およびD10は上記のD50と同じように定義されるが、ただし50%ではなくそれぞれ90%および10%が使用される。例えば、一実施形態では、物質は、約0.60から約1.10の粒子サイズ分布(D90−D10)/D50またはスパンを有してもよい。一部の場合において、スパンは、少なくとも約0.5、少なくとも約0.55、少なくとも約0.6、少なくとも約0.65、少なくとも約0.7、少なくとも約0.75、少なくとも約0.8、少なくとも約0.85、少なくとも約0.9、少なくとも約0.95、または少なくとも約1であってもよい。一部の場合において、スパンは、約1.3以下、約1.25以下、約1.2以下、約1.15以下、約1.1以下、約1.05以下、約1以下、約0.95以下、約0.9以下、約0.85以下、約0.8以下、約0.75以下、または約0.7以下であってもよい。様々な実施形態において、これらのいずれかの組合せもまた可能であり、例えば、スパンは、0.5から1の間、0.6から0.8の間、0.8から1.1の間等であってもよい。
【0049】
ある特定の実施形態によれば、粒子の形状/サイズは、それらのタップ密度を測定することにより決定され得る。タップ密度は、典型的には粒子を落ち着かせるための試料のタッピング(例えば3,000回)を伴う圧密プロセス後の試料の質量/体積に等しい。したがって、タップ密度は、粒子の形状(形状のいかなる不規則性にもかかわらず粒子がどれほど良好に圧密試料にまとまるか)および粒子のサイズ(より大きい粒子は、典型的には容易には互いに密に充填することができず、より低いタップ密度をもたらす)の両方の関数である。
【0050】
したがって、タップ密度は、粒子の相対的サイズ、形状、および/または均一性の実際的な一般的尺度であり、粒子の綿密な、または微視的な分析を必ずしも必要としない。タップ密度は、(例えば一様な塊となるまでの)粒子の圧縮または破砕を伴う技術とは区別されるべきであり(そうすることよって粒子の形状が保存されないため)、そのような技術は、個々の粒子の密度ではなく物質のかさ密度の尺度となることが理解されるべきである。さらに、タップ密度は、粒子のサイズの単純な関数ではなく、タップ密度は、その平均直径またはD50測定値を使用して(例えば、粒子が面心立方充填における完全な球であると仮定することにより)計算することができないことが理解されるべきであるが、これは、そうすることが、粒子の形状分布および均一性を無視することになるためである。
【0051】
タップ密度を決定するためには、典型的には、例えば物質を含有する容器を繰り返し上昇させてその自重下で指定された比較的短い距離だけ落下させることによる、機械的タッピングが使用される。これは、複数回、例えば数百もしくは数千回、または、(例えば、粒子を試料内で最大限に落ち着かせてから)体積のさらなる大きな変化が観察されなくなるまで行われてもよい。一部の場合において、タッピングの代わりに、物質を回転させるデバイスが使用されてもよい。タップ密度を決定する標準的方法は、例えば、ASTM法B527またはD4781を含む。試料のタップ密度を決定するため(例えば自動タッピングのため)の機器は、商業的供給源から容易に入手可能である。いかなる理論にも束縛されることを望まないが、タップ密度がより大きいと、より多量の正電気活性物質が限定または特定体積内に貯蔵され得、それによってより高い体積容量または改善された体積エネルギー密度がもたらされると考えられる。
【0052】
1組の実施形態では、粒子は、少なくとも2.0g/cm
3、少なくとも2.1g/cm
3、少なくとも2.2g/cm
3、少なくとも2.3g/cm
3、または少なくとも2.4g/cm
3のタップ密度を有する。さらに、タップ密度は、約2.5g/cm
3以下、約2.4g/cm
3以下、約2.3g/cm
3以下、約2.2g/cm
3以下、または約2.1g/cm
3以下であってもよい。様々な実施形態において、これらのいずれかの組合せも可能であり、例えば、本発明の粒子は、2.00から2.40g/cm
3のタップ密度を有してもよい。
【0053】
上述のように、ある特定の実施形態では、粒子は、例えばコアおよび区別可能なシェルを有するコアシェル粒子である。1組の実施形態では、粒子は、約1.5マイクロメートル未満、一部の場合においては1.4マイクロメートル未満、1.3マイクロメートル未満、1.2マイクロメートル未満、1.1マイクロメートル未満、1.0マイクロメートル未満、0.9マイクロメートル未満、0.8マイクロメートル未満、0.7マイクロメートル未満、0.6マイクロメートル未満、0.5マイクロメートル未満、0.4マイクロメートル未満、0.3マイクロメートル未満、0.2マイクロメートル未満、または0.1マイクロメートル未満の平均シェル厚を有してもよい。一部の場合において、平均シェル厚は、少なくとも0.01マイクロメートル、少なくとも0.03マイクロメートル、少なくとも0.05マイクロメートル、少なくとも0.1マイクロメートル、少なくとも0.2マイクロメートル、少なくとも0.3マイクロメートル、少なくとも0.4マイクロメートル、少なくとも0.5マイクロメートル、少なくとも0.6マイクロメートル、少なくとも0.7マイクロメートル、少なくとも0.8マイクロメートル、少なくとも0.9マイクロメートル、少なくとも1マイクロメートル等であってもよい。様々な実施形態において、これらのいずれかの組合せもまた可能であり、例えば、平均シェル厚は、0.05マイクロメートルから1.1マイクロメートルの間であってもよい。さらに、シェルは、コアの周囲に均一に、または不均一に分布してもよいことが理解されるべきである。シェルはまた、一部の場合において、球対称または非球対称であってもよい。
【0054】
1組の実施形態では、粒子は、少なくとも1マイクロメートル、少なくとも2マイクロメートル、少なくとも3マイクロメートル、少なくとも4マイクロメートル、少なくとも5マイクロメートル、少なくとも6マイクロメートル、少なくとも7マイクロメートル、少なくとも8マイクロメートル、少なくとも9マイクロメートル、少なくとも10マイクロメートル、少なくとも12マイクロメートル、少なくとも15マイクロメートル等の平均コアサイズを有してもよい。一部の場合において、平均コアサイズは、20マイクロメートル以下、18マイクロメートル以下、16マイクロメートル以下、15マイクロメートル以下、14マイクロメートル以下、13マイクロメートル以下、12マイクロメートル以下、11マイクロメートル以下、10マイクロメートル以下、9マイクロメートル以下、8マイクロメートル以下、7マイクロメートル以下、6マイクロメートル以下、5マイクロメートル以下等であってもよい。様々な実施形態において、これらのいずれかの組合せもまた可能である。例えば、限定されない例として、粒子は、8マイクロメートルから12マイクロメートルの平均コアサイズを有してもよい。
【0055】
1組の実施形態では、平均して粒子の体積の少なくとも50%がコアであってもよく、一部の場合において、粒子の体積の少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%がコアであってもよい。一部の場合において、粒子の体積の95%以下、90%以下、85%以下、80%以下、75%以下、70%以下、65%以下、60%以下、55%以下、または50%以下がコアであってもよい。これらのいずれかの組合せもまた可能であり、例えば、コアは、一実施形態では、粒子の平均体積の60%から80%を占めてもよい。
【0056】
また、本発明のある特定の態様は、概して、本明細書に記載のもの等の物質を作製するための技術に関する。物質は、当業者に公知である任意の方法により合成され得る。一例では、物質は、コアとしてニッケル、マンガンおよび/またはアルミニウム、ならびにコバルトを含む金属前駆体を調製するステップと、コア上にニッケル、マンガンおよびコバルトを含むシェル金属前駆体を成長させて、コアシェル金属前駆体を形成するステップと、コアシェル金属前駆体をリチウム含有塩と混合して、リチウム−金属前駆体混合物を形成するステップと、リチウム−金属前駆体混合物をか焼して、正電気活性物質を得るステップとを含む方法により合成され得る。リチウム−金属前駆体混合物は、高濃度酸素雰囲気下で、約680℃から約880℃の範囲の温度でか焼され得る。
【0057】
ニッケル、マンガンおよび/またはアルミニウム、ならびにコバルトを含むコア金属前駆体は、ニッケル、マンガンおよび/またはアルミニウム、ならびにコバルトを混合することにより、例えばニッケル、マンガンおよび/またはアルミニウム、ならびにコバルトの好適な塩を混合することにより調製され得る。例えば、コア金属前駆体は、ニッケル、マンガンおよび/またはアルミニウム、ならびにコバルトを含有する溶液を調製し、溶液からコア金属前駆体を共沈させることにより調製され得る。一部の場合において、溶液は、ニッケル、マンガンおよび/またはアルミニウム、ならびにコバルトの塩を溶媒に溶解することにより調製され得る。
【0058】
一部の実施形態では、コア金属前駆体は、まずニッケル塩、マンガン塩および/またはアルミニウム塩、ならびにコバルト塩を溶媒に溶解することにより調製され得る。様々な実施形態において、多種多様なそのような塩が使用され得る。例えば、ニッケル塩の例は、これらに限定されないが、硫酸ニッケル(NiSO
4もしくはNiSO
4・6H
2O)、酢酸ニッケル(Ni(CH
3COO)
2)、塩化ニッケル(NiCl
2)、または硝酸ニッケル(Ni(NO
3)
2もしくはNi(NO
3)
2・6H
2O)を含む。また、一部の場合において、1種より多くのニッケル塩が使用され得る。同様に、マンガン塩の限定されない例は、硫酸マンガン(MnSO
4もしくはMnSO
4・H
2O)、酢酸マンガン(Mn(CH
3COO)
2)、塩化マンガン(MnCl
2)、または硝酸マンガン(Mn(NO
3)
2もしくはMn(NO
3)
2・4H
2O)を含む。また、ある特定の場合において、1種より多くのマンガン塩が使用され得る。アルミニウム塩の限定されない例は、硫酸アルミニウム(Al
2(SO
4)
3)、硝酸アルミニウム(Al(NO
3)
3)、アルミン酸ナトリウム(NaAlO
2)、アルミン酸カリウム(KAlO
2)、アルミニウムアルコキシド(Al(OR)
3)(式中、Rは、アルキル、例えばメチル、エチル、イソプロピル等である)、または塩化アルミニウム(AlCl
3)を含む。コバルト塩の例は、これらに限定されないが、硫酸コバルト(CoSO
4もしくはCoSO
4・7H
2O)、酢酸コバルト(Co(CH
3COO)
2)、塩化コバルト(CoCl
2)、または硝酸コバルト(Co(NO
3)
2もしくはCo(NO
3)
2・6H
2O)を含む。また、一部の場合において、1種より多くのコバルト塩が使用され得る。他の実施形態では、塩化物、シュウ酸塩、硫酸塩、硝酸塩、または酢酸塩を含む、他の金属の他の塩が存在してもよく、他の金属の限定されない例は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Renらにより米国特許出願第62/435,669号、発明の名称「Electroactive Materials for Lithium-Ion Batteries and Other Applications」において論じられているように、サマリウム、ランタン、または亜鉛を含む。様々な実施形態において、これらの塩および/または他の塩のいずれかの任意の組合せが使用されてもよい。塩は、例えば0.1モル/lからそのそれぞれの最大溶解度レベルまでの任意の好適な濃度で使用され得、正確な濃度は重要ではない。一部の実施形態では、金属溶液の濃度は、Ni:Mn:CoまたはNi:Al:Coの所望のモル比に基づいて選択され得る。
【0059】
さらに、塩は、様々な溶媒のいずれに溶解されてもよい。溶液を調製するために使用される溶媒は、例えば、蒸留水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール等であってもよい。一部の場合において、これらの溶媒のいずれかの組合せもまた使用され得る。
【0060】
ある特定の場合において、塩は、水酸化物と反応して金属前駆体を形成し得る。一部の場合において、金属前駆体は、ニッケル、マンガンおよび/またはアルミニウム、ならびにコバルトを、例えば水酸化物と相互作用させて共沈させることにより調製され得る。使用され得る水酸化物の例は、これらに限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、または水酸化アンモニウムを含む。さらに、ある特定の場合において、1種より多くの水酸化物が使用されてもよい。
【0061】
ある特定の実施形態によれば、この反応中のpHが重要となり得る。いかなる理論にも束縛されることを望まないが、pHを使用して、例えば粒子の成長スピードを制御することによりその創出を制御することができると考えられる。したがって、一部の場合において、少なくとも10のpHが使用されてもよく、一部の場合において、pHは、少なくとも10.2、少なくとも10.5、少なくとも10.8、少なくとも11、または少なくとも11.5であってもよい。また、一部の場合において、pHは、ある特定の限度内に、例えば12以下、11.5以下、11以下、10.8以下、または10.5以下に維持されてもよい。また、pHは、これらの組合せの範囲内に維持されてもよく、例えば、pHは、反応中、10.8から12の間に維持されてもよい。pHは、例えば反応に添加される水酸化物の量を制御することにより制御され得る。
【0062】
さらに、1組の実施形態では、例えば成長を制御するために温度が制御され得る。一部の場合において、例えば、反応の温度は、少なくとも50℃、少なくとも55℃、少なくとも60℃、少なくとも65℃、少なくとも70℃、少なくとも75℃、少なくとも80℃、少なくとも85℃等であってもよい。さらに、温度は、90℃以下、85℃以下、80℃以下、75℃以下、70℃以下、75℃以下、60℃以下、55℃以下等に制御されてもよい。さらに、他の実施形態では、これらのいずれかの組合せもまた可能であり、例えば、反応の温度は、55℃から85℃の間に維持されてもよい。
【0063】
一部の実施形態では、成長を制御するために期間もまた制御され得る。例えば、反応の期間は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも5、もしくは少なくとも10時間、および/または30時間以内、25時間以内、24時間以内、20時間以内、もしくは18時間以内の滞留時間を提供するように制御され得る。
【0064】
ある特定の実施形態では、反応は、酸素(O
2)にほとんど、または全く接触させずに行われてもよい。したがって、例えば、反応は、窒素雰囲気、不活性ガス雰囲気(例えばアルゴン)等、およびこれらの組合せ、ならびに/または、酸素を含有しない他の好適なガスを含有する反応器内で行われてもよい。
【0065】
ある特定の実施形態では、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニア等の反応成分の量および/または供給速度、pH値、温度等は、金属前駆体のサイズを制御するために正確に監視されてもよい。例えば、限定されない例示的な例として、約10.2から約11.2のpH、および約50℃から約80℃の範囲の温度で共沈が行われてもよい。これは、例えば、溶液を窒素雰囲気下で反応器内にポンピングすることにより行われてもよい。pHを約10.2から約11.2の範囲に、および温度を約50℃から約80℃の範囲に維持しながら、所望量の水酸化ナトリウム(所望のpHを維持するように機能する)および水酸化アンモニアが反応器内にポンピングされてもよい。
【0066】
上述のように、コア金属前駆体を形成するための上で論じられた反応は、成長を制御するために制御され得る。pH、温度、撹拌速度および反応期間等の因子の制御は、形成されるコア粒子のサイズおよび/またはサイズ分布を制御するために制御され得る。しかしながら、本発明の様々な態様では、コア粒子の形成後、コア粒子上に区別可能なシェルが堆積され、それによりコアシェル粒子が形成されてもよい。
【0067】
1組の実施形態では、シェルは、コア金属前駆体を除去することなく反応器の条件を変更することにより形成され得る。したがって、シェル金属前駆体は、反応器から粒子を除去することなく添加され得る。例えば、供給、pH、温度、および/または撹拌速度のうちの1つまたは1つより多くの変化を使用して組成の変化に影響を与え、それによりコアの周囲にシェルを形成させることができる。しかしながら、他の実施形態では、コアを反応器から除去し、別個に反応させてシェルを形成してもよい。一部の場合において、コア金属前駆体およびシェル金属前駆体を生成するための反応は、コア金属前駆体反応からシェル金属前駆体反応に向かって連続的に、例えば中断することなく行われてもよい。
【0068】
ある特定の実施形態によれば、例えばコア金属前駆体の代わりに、シェル金属前駆体が反応器に添加される。シェル金属前駆体は、コア金属前駆体と同様に、例えば上で論じられたように形成され得る。例えば、シェル金属前駆体は、上で論じられたように、まずニッケル塩、マンガン塩、およびコバルト塩を溶媒に溶解することにより調製され得る。しかしながら、一部の場合において、これらの1つまたは1つより多くの濃度は、コア金属前駆体と異なってもよく、それによりコア組成物と比較して区別可能なシェル組成物を生成してもよい。例えば、一部の場合において、シェルは、異なるモル量のニッケル、マンガン、コバルト等の元素を有する最終組成を有してもよい。一部の場合において、シェルおよびコアはまた、異なる元素、例えばサマリウム、ランタン、または亜鉛等を含有してもよいが、他の場合において、シェルおよびコアは、同じ元素のみを含有するが区別可能な量または濃度で含有してもよい。シェル金属前駆体およびこれらを形成するためのプロセスは、コア金属前駆体に関して上述された通りであるが、コア金属前駆体ではなくシェル金属前駆体に適用される通りである。
【0069】
さらに、コアへのシェル金属前駆体の添加は、コア金属前駆体に関して上述されたものと同様であるが、コア金属前駆体ではなくシェル金属前駆体に適用される通りの反応条件下で生じ得る。例えば、反応成分の量および/または供給速度は、金属前駆体のサイズを制御するために正確に監視されてもよく、または、反応は、酸素(O
2)にほとんど、もしくは全く接触させずに行われてもよい。pH、温度、および/または撹拌速度等の他の条件もまた制御され得る。
【0070】
一部の場合において、これら等の条件は、コアを生成するために使用される条件とは区別可能であってもよい。例えば、シェル金属前駆体を添加するための反応のpHは、コア金属前駆体に対するpHより高くても、または低くてもよく、また少なくとも0.5、少なくとも1、または少なくとも1.5のpH単位異なっていてもよい。同様に、シェル金属前駆体を添加するための温度は、コア金属前駆体に対する温度より高くても、または低くてもよく、また少なくとも10℃、少なくとも20℃、少なくとも30℃、少なくとも40℃、または少なくとも50℃異なっていてもよい。
【0071】
撹拌速度(または撹拌スピード)は、羽根または他の撹拌装置が特定の場所を通過する頻度、例えば回数として測定され得る。これは、例えば、羽根が反応器内の特定の場所をある特定の頻度で通過するように、軸の回りに羽根をスピンさせることにより達成され得る。(しかしながら、羽根は反応器内のあらゆる点を通過する必要はなく、および/または、反応器のいくつかの点が全体もしくは平均撹拌速度とは異なる撹拌速度を経験してもよいことが理解されるべきである。)一部の場合において、撹拌速度は、毎分回転数(略してrpm)として定量化され得るが、例えば、撹拌装置が反応器内の特定の場所をどれほど頻繁に通過するかを決定する上で、撹拌速度または頻度の他の尺度もまた可能である(例えばヘルツで測定される)。一部の場合において、例えば、撹拌速度は、撹拌装置が届く部分の平均として、少なくとも50rpm(もしくはHz)、少なくとも100rpm(もしくはHz)、少なくとも150rpm(もしくはHz)、少なくとも200rpm(もしくはHz)、少なくとも250rpm(もしくはHz)、少なくとも300rpm(もしくはHz)、少なくとも350rpm(もしくはHz)、少なくとも400rpm(もしくはHz)、少なくとも500rpm(もしくはHz)、少なくとも600rpm(もしくはHz)、少なくとも700rpm(もしくはHz)、少なくとも800rpm(もしくはHz)、少なくとも900rpm(もしくはHz)、少なくとも1000rpm(もしくはHz)、少なくとも1100rpm(もしくはHz)、少なくとも1200rpm(もしくはHz)、少なくとも1300rpm(もしくはHz)、または少なくとも1400rpm(もしくはHz)であってもよい。さらに、一部の場合において、速度は、1500rpm(もしくはHz)未満、1400rpm(もしくはHz)未満、1300rpm(もしくはHz)未満、1200rpm(もしくはHz)未満、1100rpm(もしくはHz)未満、1000rpm(もしくはHz)未満、900rpm(もしくはHz)未満、800rpm(もしくはHz)未満、700rpm(もしくはHz)未満、650rpm(もしくはHz)未満、600rpm(もしくはHz)未満、550rpm(もしくはHz)未満、500rpm(もしくはHz)未満、450rpm(もしくはHz)未満、400rpm(もしくはHz)未満、350rpm(もしくはHz)未満、300rpm(もしくはHz)未満、250rpm(もしくはHz)未満、または200rpm(もしくはHz)未満であってもよい。一部の場合において、これらの組合せも可能となり得、例えば、速度は、150rpmから500rpmの間、または300Hzから400Hzの間等であってもよい。
【0072】
したがって、ある特定の実施形態では、コア粒子上へのシェル金属前駆体の沈殿は、形成されるシェルのサイズまたは厚さを制御するために正確に制御され得る。例えば、ニッケル、マンガン、およびコバルトを含むシェル金属前駆体が、コア金属前駆体上に成長または沈殿されて、コアシェル粒子を形成し得る。
【0073】
したがって、限定されない例として、コアシェル金属前駆体は、ニッケル、マンガンおよび/またはアルミニウム、ならびにコバルトを含有する溶液を調製し(例えば、コアを調製するために使用される溶液と区別可能である)、シェル金属前駆体をコア金属前駆体上に共沈させて溶液からコアシェル金属前駆体を形成することにより調製され得る。一部の場合において、シェル金属前駆体は、ニッケル、マンガンおよびコバルトの塩を溶媒に溶解することにより調製され得る。共沈は、約10.8から約12.0のpH、および約50℃から約80℃の範囲の温度で行われてもよい。溶液は、窒素雰囲気下で、コア金属前駆体を含有する反応器内にポンピングされてもよい。同時に、pHを約10.8から約12.0の範囲に、および温度を約50℃から約80℃の範囲に維持しながら、所望量の水酸化ナトリウム(所望のpHを維持するように機能する)および水酸化アンモニアが反応器内にポンピングされて、コアシェル金属前駆体組成物を形成してもよい。
【0074】
さらに、金属前駆体は、リチウム含有塩、または他の好適なリチウム源と混合されて、リチウム金属前駆体混合物を形成してもよい。使用されるリチウム源、そしてニッケル、マンガンおよび/またはアルミニウム、ならびにコバルトの塩の量は、所望の正電気活性物質の化学式に依存し得る。量は、反応中に生じる浪費分を埋め合わせる必要がある。例えば、金属前駆体は、沈殿後、除去および乾燥され(例えば過剰の溶媒を除去するために)、次いで好適なリチウム源に曝露されてもよい。リチウム源の例は、これらに限定されないが、水酸化リチウム(LiOHもしくはLiOH・H
2O)または炭酸リチウム(Li
2CO
3)を含む。また、一部の場合において、1種より多くのリチウム源が使用され得る。一部の場合において、リチウム源および金属前駆体は、機械的に互いに混合される。添加されるリチウムの量は、物質の所望の化学式により決定され得る。しかしながら、一部の場合において、例えば形成中に生じ得る浪費分または他の無効分を埋め合わせるために、過剰量のリチウムおよび/または金属前駆体が使用されてもよい。
【0075】
リチウム−金属前駆体混合物は、次いで、加熱またはか焼され得る。か焼温度は、例えば、異なる温度で調製された物質の電気化学的性能に従って選択され得る。そのような加熱は、混合物から水および/または様々な不純物を除去して、最終組成物を形成するために使用され得る。例えば、か焼によって、例えば水酸化物が水(H
2O)として除去され、炭酸塩がCO
2として除去され、硫酸塩がSO
xとして除去され、硝酸塩がNO
xとして除去され得る。一部の実施形態では、例えば少なくとも700℃、少なくとも720℃、少なくとも740℃、少なくとも760℃、少なくとも800℃、少なくとも820℃、少なくとも840℃、少なくとも860℃、少なくとも880℃、少なくとも900℃の温度等の比較的高い温度が使用され得る。さらに、一部の実施形態では、温度は、1000℃以下、980℃以下、960℃以下、940℃以下、920℃以下、900℃以下等に維持され得る。ある特定の実施形態では、これらのいずれかの組合せ、例えば820℃から960℃の間もまた可能である。一部の場合において、加熱またはか焼の期間は、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも5時間、もしくは少なくとも10時間、および/または30時間以内、25時間以内、24時間以内、20時間以内、もしくは18時間以内であってもよい。1組の実施形態では、例えば、か焼は、約820℃から約960℃の範囲の温度で、10から18時間の範囲の期間行われてもよい。したがって、限定されない例として、リチウム−コアシェル金属前駆体混合物は、約680℃から約880℃の範囲の温度でか焼されてもよい。一部の場合において、物質の所望の電気化学的性能が、か焼温度および/またはその調製期間を決定付け得る。か焼または加熱後、組成物は、例えば本明細書において論じられるように粒子を形成し得る。
【0076】
一部の態様では、電気化学セルは、本明細書に記載のような物質を使用して生成され得る。例えば、リチウムイオン電気化学セルは、リチウムインターカレーション負電気活性物質、本明細書に記載のような物質を含むカソード、好適な電解質(例えば非水性電解質)、および負電気活性物質と正電気活性物質との間のセパレータを使用して調製され得る。
【0077】
電気化学セルにおいて、例えば本明細書に記載の電気活性物質と併せて様々なカソード物質が使用され得る。多くのそのようなカソード物質が当業者に公知であり、いくつかは商業的に容易に入手可能である。例えば、本明細書に記載の電気活性物質は、カーボンブラックおよび好適な結合剤と組み合わされて、電気化学セルにおける使用のためのカソードを形成し得る。
【0078】
限定されない例として、一実施形態では、カソードは、以下のステップ:(i)N−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に2〜3wt%のポリフッ化ビニリデン(PVDF)結合剤を混合して、NMP−結合剤混合物を形成するステップと;(ii)NMP−結合剤混合物を正電気活性物質およびカーボンブラックと混合して、80wt%の正電気活性物質、10wt%のカーボンブラックおよび10wt%のNMP−結合剤混合物を含有する混合物(「80:10:10混合物」)を形成するステップと;(iii)80:10:10混合物をボールミル内に移し、混合物を800rpmで30分間、10個の5mm径ジルコニアボールを用いて粉砕してスラリーを形成するステップと(ジルコニアボールはより効果的な混合のための媒体として機能する);(iv)アルミニウム箔をガラス板の上に広げ、アセトンを噴霧して箔とガラス板との間に確実に気泡が存在しないようにすることによって、集電体を調製するステップと;(v)スラリーをアルミニウム箔上に塗布し、剃刀の刃を使用して箔上に均一に広げて、コーティングフィルムを形成するステップと;(vi)コーティングを真空中110℃で12時間乾燥させて、正電気活性物質を形成するステップとを使用して調製され得る。
【0079】
同様に、様々な負電気活性物質が使用されてもよく、その多くは、商業的に入手可能である。例えば、グラファイトまたはリチウム箔は、電気化学セルにおいてリチウムインターカレーション負電気活性物質として使用され得る。
【0080】
また、様々な実施形態において、様々な電解質が使用され得る。電解質は、水性または非水性であってもよい。好適な非水性電解質の限定されない例は、エチレンカーボネート(EC)およびジメチルカーボネート(DMC)中の六フッ化リン酸リチウム(LiPF
6)、エチレンカーボネート(EC)およびジエチルカーボネート(DEC)中の六フッ化リン酸リチウム(LiPF
6)、またはエチレンカーボネート(EC)およびエチルメチルカーボネート(EMC)中の六フッ化リン酸リチウム(LiPF
6)を含む。好適な非水性電解質の特定の限定されない例は、1モル/Lのエチレンカーボネート(EC)およびジメチルカーボネート(DMC)中の六フッ化リン酸リチウム(LiPF
6)、1モル/Lのエチレンカーボネート(EC)およびジエチルカーボネート(DEC)中の六フッ化リン酸リチウム(LiPF
6)、ならびに1モル/Lのエチレンカーボネート(EC)およびエチルメチルカーボネート(EMC)中の六フッ化リン酸リチウム(LiPF
6)である。
【0081】
また、様々な実施形態において、様々なセパレートが使用され得る。セパレータの例は、これらに限定されないが、Celgard 2400、2500、2340、および2320モデルを含む。
【0082】
2016年9月20日に出願された国際特許出願第PCT/US16/52627号、発明の名称「Nickel-Based Positive Electrode Materials」は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。さらに、2016年12月16日に出願された米国特許出願第62/435,669号、発明の名称「Electroactive Materials for Lithium-Ion Batteries and Other Applications」、および2017年12月14日に出願された国際特許出願第PCT/US2017/066381号、発明の名称「Electroactive Materials for Lithium-Ion Batteries and Other Applications」もまた、それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。2017年2月22日に出願された米国仮特許出願第62/461,890号、発明の名称「Core-Shell Electroactive Materials」は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0083】
以下の実施例は、本発明のある特定の実施形態を例示することを意図するが、本発明の全範囲を例証するわけではない。
【実施例】
【0084】
(実施例1)
【0085】
正電気活性物質の4つの試料を、以下のように調製した。各試料のコア部分に関して表1に列挙された量で、NiSO
4・6H
2O、MnSO
4・H
2OおよびCoSO
4・7H
2Oを蒸留水に溶解して、2モル/Lの混合金属硫酸塩溶液を形成した。次いで、混合金属硫酸塩溶液を、窒素雰囲気下で55℃の温度で反応器内に徐々にポンピングした。同時に、23%のNaOH溶液および18%のNH
4OH溶液を別個に反応器内にポンピングし、コア金属前駆体を沈殿させた。溶液を反応器内にポンピングする前およびポンピングした後のpHは、10.6で一定に維持した。プロセスの間、溶液の濃度、pH、温度、および反応混合物の撹拌スピードを慎重に監視および制御した。pHは、pHメーターを使用して監視し、NaOHの供給速度を調節することにより制御した。温度は、温度コントローラおよび熱交換器を使用して制御した。撹拌は、PIDコントローラを使用して制御した。供給速度は、デジタル薬注ポンプにより制御した。
【0086】
各試料のシェル部分に関して表1に列挙された量で、NiSO
4・6H
2O、MnSO
4・H
2OおよびCoSO
4・7H
2Oを蒸留水に溶解して、別の2モル/Lの混合金属硫酸塩溶液を形成した。次いで、混合金属硫酸塩溶液を、窒素雰囲気下で65℃の温度で、上で論じられたコア金属前駆体を含有する同じ反応器内に徐々にポンピングした。同時に、23%のNaOH溶液および18%のNH
4OH溶液もまた別個に反応器内にポンピングし、コア金属前駆体上にシェルを沈殿させた。溶液を反応器内にポンピングする前およびポンピングした後のpHは、11.4で一定に維持した。プロセスの間、例えば上で論じられたように、溶液の濃度、供給速度、pH、温度、および反応混合物の撹拌速度を慎重に監視および制御した。次いで、コアシェル金属前駆体を形成した。撹拌速度は、毎分回転数(略してrpm)として定量化され得るが、これは、回転の頻度の尺度、具体的には1分間での撹拌軸の回りの回転数である。撹拌速度は、150rpmから500rpmの範囲であった。
【0087】
コアシェル金属前駆体を濾過し、洗浄して、Na
+およびSO
42−等の残留イオンを除去し、次いで真空オーブン中で110℃で12時間乾燥させた。次いで、コアシェル金属複合水酸化物前駆体を、表1に列挙されるモル比を得るのに必要な量のLiOHと、混合機内で完全に混合した。最後に、混合物を、各試料に対して表1に列挙される温度で酸素中でか焼して、正電気活性物質を生成した。表1は、ニッケル、マンガン、およびコバルトのモル百分率、ならびに得られる正電気活性物質中のLi/(Ni+Mn+Co)のモル比、試料1〜4を調製するために使用されるか焼温度(℃)、ならびに各試料のスパンを列挙している。
【表1】
【0088】
(実施例2)
【0089】
正電気活性物質の形態を例示するために、実施例1において調製された試料1電気活性物質のLEO 1550 電界放射型走査電子顕微鏡法(Field Emission Scanning Electron Microscopy)(FESEM)画像を撮影した。SEM画像は、
図2に示されている。
【0090】
(実施例3)
【0091】
Bettersize BT−9300STレーザー粒径分析器(Laser Particle Size Analyzer)を使用して、実施例1において調製された試料1から4のそれぞれのスパン(D90−D10)/D50を測定した。機器パラメータおよび試料情報を設定し、好適な量の試料を試験用の分散プールに添加した。試験が終了した後、式(D90−D10)/D50を用いて各試料のスパンを計算した。表1は、試料1〜4のスパンを列挙している。データは、正電気活性物質が均一であり、比較的狭いサイズ分布を有していたことを示している。
【0092】
(実施例4)
【0093】
実施例1においてカソードとして調製された試料1〜4の正電気活性物質を使用して、電気化学セルを以下のように構築した。しかしながら、電気化学セルの他の構築方法もまた可能である。これらの実施例において使用されるカソードは、以下の通り:(i)N−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に2〜3wt%のポリフッ化ビニリデン(PVDF)結合剤を混合して、NMP−結合剤混合物を形成し;(ii)NMP−結合剤混合物を正電気活性物質およびカーボンブラックと混合して、80wt%の正電気活性物質、10wt%のカーボンブラックおよび10wt%のNMP−結合剤混合物を含有する混合物(「80:10:10混合物」)を形成し;(iii)80:10:10混合物をボールミル内に移し、混合物を800rpmで30分間、10個の5mm径ジルコニアボールを用いて粉砕してスラリーを形成し(ジルコニアボールはより効果的な混合のための媒体として機能する);(iv)アルミニウム箔をガラス板の上に広げ、アセトンを噴霧して箔とガラス板との間に確実に気泡が存在しないようにすることによって、集電体を調製し;(v)スラリーをアルミニウム箔上に塗布し、剃刀の刃を使用して箔上に均一に広げて、コーティングフィルムを形成し;(vi)コーティングを真空中で110℃で12時間乾燥させて、正電気活性物質を形成することで調製した。次いで、リチウムインターカレーション負電気活性物質、カーボネート非水性電解質、セパレータ、および試料1〜4のそれぞれの正電気活性物質を組み合わせることにより、4つのリチウムイオン電気化学セルの組を調製した。
【0094】
本明細書において、本発明の一部の実施形態を説明および例示したが、機能を行うため、ならびに/または結果および/もしくは本明細書に記載の利点の1つもしくは1つより多くを得るための様々な他の手段および/または構造が、当業者に容易に想定され、そのような変形および/または改変のそれぞれが、本発明の範囲内であるとみなされる。より一般的には、本明細書に記載の全てのパラメータ、寸法、物質、および構成は、例示的であることを意図すること、ならびにその実際のパラメータ、寸法、物質、および/または構成は、本発明の教示(複数可)が使用される特定の用途(複数可)に依存することが、当業者に容易に理解される。当業者は、本明細書に記載の本発明の特定の実施形態の多くの均等物を認識し、または慣例的にすぎない実験を使用して確認することができる。したがって、上記実施形態は、例示のみを目的として示されること、ならびに、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内で、本発明は、具体的に説明および特許請求されるのとは別様に実践されてもよいことを理解されたい。本発明は、本明細書に記載のそれぞれの個々の特徴、系、物品、物質、キット、および/または方法に関連する。さらに、2つまたは2つより多くのそのような特徴、系、物品、物質、キット、および/または方法の任意の組合せは、そのような特徴、系、物品、物質、キット、および/または方法が互いに矛盾しない限り、本発明の範囲内に含まれる。
【0095】
本明細書および参照により組み込まれる文献が、相反する、および/または矛盾する開示を含む場合、本明細書が優先されるものとする。参照により組み込まれる2つまたは2つより多くの文献が、互いに対して相反する、および/または矛盾する開示を含む場合、より最近の発効日を有する文献が優先されるものとする。
【0096】
本明細書において定義および使用される全ての定義は、辞書の定義、参照により組み込まれる文献における定義、および/または定義される用語の通常の意味よりも優先されることが理解されるべきである。
不定冠詞「a」および「an」は、本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、反対の意味が明示されない限り、「少なくとも1つ」を意味することが理解されるべきである。
【0097】
「および/または」という語句は、本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、そのように結合された要素の「いずれかまたは両方」、すなわち、一部の場合においては連言的に存在し、他の場合においては選言的に存在する要素を意味することが理解されるべきである。「および/または」で列挙される複数の要素も、同様に、すなわちそのように結合される要素の「1つまたは1つより多く(one or more)」と解釈されるべきである。「および/または」節により具体的に特定される要素以外の他の要素が、それらの具体的に特定される要素と関連しているかまたは関連していないかにかかわらず、任意選択で存在してもよい。したがって、限定されない例として、「Aおよび/またはB」の言及は、「含む」等の非制限的言語と併せて使用される場合、一実施形態において、Aのみ(B以外の要素を任意選択で含む)を指してもよく、別の実施形態において、Bのみ(A以外の要素を任意選択で含む)を指してもよく、さらに別の実施形態において、AおよびBの両方(他の要素を任意選択で含む)、等を指してもよい。
【0098】
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、「または」は、上で定義されるような「および/または」と同じ意味を有することが理解されるべきである。例えば、列挙において項目を分離する際に、「または」または「および/または」は、包含的である、すなわち、複数または列挙される要素の少なくとも1つを含むが、1つより多くも含み、および任意選択で追加的な列挙されていない項目を含むと解釈されるものとする。反対の意味が明示されている用語のみ、例えば「〜の1つのみ」もしくは「〜のただ1つ」、または、特許請求の範囲内において使用される場合には「〜からなる」が、複数または列挙される要素のただ1つの要素の包含を指す。概して、「または」という用語は、本明細書において使用される場合、「いずれか」、「〜の1つ」、「〜の1つのみ」、または「〜のただ1つ」等の排他性の用語が先行する場合には、排他的代替(すなわち、「一方または他方であるが、両方ではない」)を示すものとしてのみ解釈されるものとする。
【0099】
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、1つまたは1つより多くの要素の列挙に関連する「少なくとも1つ」という語句は、要素の列挙内の要素のいずれか1つまたは1つより多くから選択される、少なくとも1つの要素を意味するが、要素の列挙内に具体的に列挙されたありとあらゆる要素の少なくとも1つを含むとは限らず、要素の列挙における要素の任意の組合せを除外しないことが理解されるべきである。この定義はまた、「少なくとも1つ」という語句が指す要素の列挙内に具体的に特定される要素以外の要素が、それらの具体的に特定される要素と関連しているかまたは関連していないかにかかわらず、任意選択で存在してもよいことを許容する。したがって、限定されない例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(または、同等に、「AまたはBの少なくとも1つ」、または、同等に、「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、Bが存在しない、任意選択で1つより多くを含む少なくとも1つのA(および任意選択でB以外の要素を含む)、別の実施形態では、Aが存在しない、任意選択で1つより多くを含む少なくとも1つのB(および任意選択でA以外の要素を含む)、さらに別の実施形態では、任意選択で1つより多くを含む少なくとも1つのA、および任意選択で1つより多くを含む少なくとも1つのB(および任意選択で他の要素を含む)、等を指してもよい。
【0100】
本明細書において数に関連して「約」という単語が使用されている場合、本発明のさらに別の実施形態は、「約」という単語の存在により修飾されない数を含むことが理解されるべきである。
【0101】
また、反対の意味が明示されない限り、1つより多くのステップまたは行為を含む本明細書において請求される任意の方法において、方法のステップまたは行為の順番は、方法のステップまたは行為が列挙される順番に限定されるとは限らないことが理解されるべきである。
【0102】
特許請求の範囲において、および上記明細書において、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「保持する」、「有する」、「含有する」、「伴う」、「保有する」、「〜で構成される」等の移行句は全て、非制限的である、すなわち、含むがそれに限定されないことを意味すると理解されたい。「〜からなる」および「から本質的になる」という移行句のみが、それぞれ、United States Patent Office Manual of Patent Examining Procedures、セクション2111.03に規定されるように、制限的または半制限的移行句であるとする。
一実施形態において、例えば、以下の項目が提供される。
(項目1)
式(Li1+a(NiqMrCo1−q−r)O2)x(Li1+a(NisMntCo1−s−t)O2)1−xを有する物質
を含む組成物であって、式中、
Mは、Mnおよび/またはAlであり;
xは、0.70から0.95(これらの数値を含む)の範囲の数値であり;
aは、0.01から0.07(これらの数値を含む)の範囲の数値であり;
qは、0.80から0.96(これらの数値を含む)の範囲の数値であり;
rは、0.01から0.10(これらの数値を含む)の範囲の数値であり;
sは、0.34から0.70(これらの数値を含む)の範囲の数値であり;
tは、0.20から0.40(これらの数値を含む)の範囲の数値であり;
1−q−rは、0より大きく;
1−s−tは、0より大きい、
組成物。
(項目2)
Mが、Mnを含む、項目1に記載の組成物。
(項目3)
Mが、Alを含む、項目1または2のいずれか一項に記載の組成物。
(項目4)
前記物質が、複数の粒子を含む、項目1から3のいずれか一項に記載の組成物。
(項目5)
前記物質が、Li1+a(NiqMrCo1−q−r)O2を含む第1の相、およびLi1+a(NisMntCo1−s−t)O2を含む第2の相を含む、項目1から4のいずれか一項に記載の組成物。
(項目6)
前記第2の相が、前記第1の相を取り囲んでいる、項目1から5のいずれか一項に記載の組成物。
(項目7)
qが、0.80から0.95(これらの数値を含む)の範囲である、項目1から6のいずれか一項に記載の組成物。
(項目8)
rが、0.04から0.10(これらの数値を含む)の範囲である、項目1から7のいずれか一項に記載の組成物。
(項目9)
sが、0.34から0.65(これらの数値を含む)の範囲である、項目1から8のいずれか一項に記載の組成物。
(項目10)
tが、0.20から0.35(これらの数値を含む)の範囲である、項目1から9のいずれか一項に記載の組成物。
(項目11)
1−q−rが、少なくとも0.04である、項目1から10のいずれか一項に記載の組成物。
(項目12)
1−q−rが、0.04から0.10(これらの数値を含む)の範囲である、項目1から11のいずれか一項に記載の組成物。
(項目13)
1−s−tが、少なくとも0.20である、項目1から12のいずれか一項に記載の組成物。
(項目14)
1−s−tが、0.20から0.35(これらの数値を含む)の範囲である、項目1から13のいずれか一項に記載の組成物。
(項目15)
xが、0.80から0.95(これらの数値を含む)の範囲である、項目1から14のいずれか一項に記載の組成物。
(項目16)
aが、0.02から0.05(これらの数値を含む)の範囲である、項目1から15のいずれか一項に記載の組成物。
(項目17)
前記物質が、14マイクロメートル未満の平均D50粒子サイズを有する、項目1から16のいずれか一項に記載の組成物。
(項目18)
項目1から17のいずれか一項に記載の組成物を含む正電気活性物質と;
負電気活性物質と;
前記正電気活性物質と前記負電気活性物質とを分離するセパレータと
を含む、電気化学セル。
(項目19)
電池で使用される、項目18に記載の電気化学セル。
(項目20)
前記物質が、
第1の溶液からニッケル、マンガン、およびコバルトを沈殿させて粒子を生成するステップと;
前記粒子上に第2の溶液からニッケル、マンガン、およびコバルトを沈殿させてコアシェル粒子を形成するステップと
を含むプロセスにより形成される、項目1から19のいずれか一項に記載の組成物。
(項目21)
前記第1および第2の沈殿させるステップが、同じ反応器内で行われる、項目20に記載の組成物。
(項目22)
前記第1の溶液が、第1のpHを有し、前記第2の溶液が、第2のpHを有し、前記第2のpHが前記第1のpHより大きい、項目20または21のいずれか一項に記載の組成物。
(項目23)
前記第2のpHが、前記第1のpHよりも少なくとも1pH単位大きい、項目20から22のいずれか一項に記載の組成物。
(項目24)
前記第1のpHが、少なくとも10である、項目20から23のいずれか一項に記載の組成物。
(項目25)
前記第2のpHが、少なくとも11である、項目20から24のいずれか一項に記載の組成物。
(項目26)
前記第1の沈殿させるステップが、第1の温度で行われ、前記第2の沈殿させるステップが、第2の温度で行われる、項目20から25のいずれか一項に記載の組成物。
(項目27)
前記第2の温度が、前記第1の温度よりも少なくとも10℃高い、項目26のいずれか一項に記載の組成物。
(項目28)
前記第1の温度が、少なくとも50℃である、項目26または27のいずれか一項に記載の組成物。
(項目29)
前記第1の温度が、少なくとも60℃である、項目26から28のいずれか一項に記載の組成物。
(項目30)
前記第1の沈殿させるステップが、第1の撹拌スピードで行われ、前記第2の沈殿させるステップが、第2の撹拌スピードで行われる、項目26から29のいずれか一項に記載の組成物。
(項目31)
複数の粒子を含む組成物であって、前記複数の粒子の少なくともいくつかは、コアと、前記コアを少なくとも部分的に取り囲むシェルとを含み、前記コアは、式Li1+a(NiqMrCo1−q−r)O2を有し、前記シェルは、式Li1+a(NisMntCo1−s−t)O2を有し、式中、
Mは、Mnおよび/またはAlであり;
xは、0.70から0.95(これらの数値を含む)の範囲の数値であり;
aは、0.01から0.07(これらの数値を含む)の範囲の数値であり;
qは、0.80から0.96(これらの数値を含む)の範囲の数値であり;
rは、0.01から0.10(これらの数値を含む)の範囲の数値であり;
sは、0.34から0.70(これらの数値を含む)の範囲の数値であり;
tは、0.20から0.40(これらの数値を含む)の範囲の数値であり;
1−q−rは、0より大きく;
1−s−tは、0より大きい、
組成物。
(項目32)
Mが、Mnを含む、項目31に記載の組成物。
(項目33)
Mが、Alを含む、項目31または32のいずれか一項に記載の組成物。
(項目34)
コアを有する前記複数の粒子が、8マイクロメートルから12マイクロメートルの間の平均コアサイズを有する、項目31から33のいずれか一項に記載の組成物。
(項目35)
コアを有する前記複数の粒子が、0.05マイクロメートルから1.1マイクロメートルの間の平均シェル厚を有する、項目31から34のいずれか一項に記載の組成物。
(項目36)
前記複数の粒子が、0.5から1の間のスパンを有する、項目31から35のいずれか一項に記載の組成物。
(項目37)
前記複数の粒子が、0.9未満のスパンを有する、項目31から36のいずれか一項に記載の組成物。
(項目38)
前記複数の粒子が、0.8未満のスパンを有する、項目31から37のいずれか一項に記載の組成物。
(項目39)
前記複数の粒子が、0.6から0.8の間のスパンを有する、項目31からのいずれか一項に記載の組成物。
(項目40)
反応器内で、第1の溶液からニッケル、マンガンおよび/またはアルミニウム、ならびにコバルトを沈殿させて粒子を生成するステップと;
前記反応器内で、前記粒子上に第2の溶液からニッケル、マンガン、およびコバルトを沈殿させて、コアシェル粒子を形成するステップと
を含む方法。
(項目41)
前記第2の溶液からニッケル、マンガン、およびコバルト塩を沈殿させる前に前記反応器から前記粒子が除去されない、項目40に記載の方法。
(項目42)
前記第1の溶液が、第1のpHを有し、前記第2の溶液が、第2のpHを有し、前記第2のpHは、前記第1のpHより大きい、項目40または41のいずれか一項に記載の方法。
(項目43)
前記第2のpHが、前記第1のpHよりも少なくとも1pH単位大きい、項目42に記載の方法。
(項目44)
前記第1のpHが、少なくとも10である、項目42または43のいずれか一項に記載の方法。
(項目45)
前記第1のpHが、10.2から11.2の間である、項目42から44のいずれか一項に記載の方法。
(項目46)
前記第2のpHが、少なくとも11である、項目4245のいずれか一項に記載の方法。
(項目47)
前記第2のpHが、11から12の間である、項目42から46のいずれか一項に記載の方法。
(項目48)
前記コアシェル粒子をリチウム含有塩と混合して、リチウム金属前駆体混合物を形成するステップをさらに含む、項目40から47のいずれか一項に記載の方法。
(項目49)
前記リチウム金属前駆体混合物をか焼するステップをさらに含む、項目48に記載の方法。
(項目50)
前記リチウム金属前駆体混合物を、680℃から880℃の間の温度でか焼するステップを含む、項目49に記載の方法。
(項目51)
前記リチウム含有塩が、炭酸リチウムを含む、項目48から50のいずれか一項に記載の方法。
(項目52)
前記リチウム含有塩が、水酸化リチウムを含む、項目48から51のいずれか一項に記載の方法。
(項目53)
前記第1の溶液が、硫酸ニッケル、酢酸ニッケル、塩化ニッケル、および/または硝酸ニッケルのうちの1つまたは1つより多くを含む、項目40から52のいずれか一項に記載の方法。
(項目54)
前記第1の溶液が、硫酸マンガン、酢酸マンガン、塩化マンガン、および/または硝酸マンガンのうちの1つまたは1つより多くを含む、項目40から53のいずれか一項に記載の方法。
(項目55)
前記第1の溶液が、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、および/または硝酸アルミニウムのうちの1つまたは1つより多くを含む、項目40から54のいずれか一項に記載の方法。
(項目56)
前記第1の溶液が、硫酸コバルト、酢酸コバルト、塩化コバルト、および/または硝酸コバルトを含む、項目40から55のいずれか一項に記載の方法。
(項目57)
前記第2の溶液が、硫酸ニッケル、酢酸ニッケル、塩化ニッケル、および/または硝酸ニッケルのうちの1つまたは1つより多くを含む、項目40から56のいずれか一項に記載の方法。
(項目58)
前記第2の溶液が、硫酸マンガン、酢酸マンガン、塩化マンガン、および/または硝酸マンガンのうちの1つまたは1つより多くを含む、項目40から57のいずれか一項に記載の方法。
(項目59)
前記第2の溶液が、硫酸コバルト、酢酸コバルト、塩化コバルト、および/または硝酸コバルトを含む、項目40から58のいずれか一項に記載の方法。
(項目60)
前記第1の溶液が、メタノールを含む、項目40から59のいずれか一項に記載の方法。
(項目61)
前記第2の溶液が、メタノールを含む、項目40から60のいずれか一項に記載の方法。
(項目62)
前記第1の溶液が、エタノールを含む、項目40から61のいずれか一項に記載の方法。
(項目63)
前記第2の溶液が、エタノールを含む、項目40から62のいずれか一項に記載の方法。
(項目64)
第1の溶液からニッケル、マンガンおよび/またはアルミニウム、ならびにコバルトを沈殿させるステップが、50℃から80℃の間の温度で第1の溶液からニッケル、マンガンおよび/またはアルミニウム、ならびにコバルトを沈殿させるステップを含む、項目40から63のいずれか一項に記載の方法。
(項目65)
第2の溶液からニッケル、マンガン、およびコバルトを沈殿させるステップが、50℃から80℃の間の温度で第2の溶液からニッケル、マンガン、およびコバルトを沈殿させるステップを含む、項目40から64のいずれか一項に記載の方法。
(項目66)
第1のpHで、第1の溶液からニッケル、マンガンおよび/またはアルミニウム、ならびにコバルトを沈殿させて粒子を生成するステップと;
第2のpHで、前記粒子上に第2の溶液からニッケル、マンガン、およびコバルトを沈殿させてコアシェル粒子を形成するステップと
を含む方法。
(項目67)
第1の温度で、第1の溶液からニッケル、マンガンおよび/またはアルミニウム、ならびにコバルトを沈殿させて粒子を生成するステップと;
第2の温度で、前記粒子上に第2の溶液からニッケル、マンガン、およびコバルトを沈殿させてコアシェル粒子を形成するステップと
を含む方法。
(項目68)
第1の撹拌速度で、第1の溶液からニッケル、マンガンおよび/またはアルミニウム、ならびにコバルトを沈殿させて粒子を生成するステップと;
第2の撹拌速度で、前記粒子上に第2の溶液からニッケル、マンガン、およびコバルトを沈殿させてコアシェル粒子を形成するステップと
を含む方法。