【文献】
Hum. Gene Ther., 2012, Vol. 23, pp. 492-507
【文献】
Nat. Biotechnol., 2003, Vol. 21, No. 9, pp. 1040-1046
【文献】
J. Gene Med., 2006, Vol. 8, pp. 1307-1319
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
変異アデノ関連ウイルス(AAV)キャプシドタンパク質であって、対応する親AAVキャプシドタンパク質に対してキャプシドタンパク質のGHループにペプチド挿入を含み、前記ペプチド挿入が、アミノ酸配列LAISDQTKHA(配列番号28)またはアミノ酸配列LGISDQTKHA(配列番号29)からなり、前記キャプシドタンパク質が、感染性組換えAAV(rAAV)ビリオンに、対応する親AAVキャプシドタンパク質を含むAAVビリオンによる網膜細胞の感染性と比較して、網膜細胞の増加した感染性を付与し、前記挿入の部位が、AAV2のVP1(配列番号2)のアミノ酸587および588に対応するアミノ酸の間に位置しているか、または別のAAV血清型のキャプシドタンパク質における対応する位置である、変異AAVキャプシドタンパク質。
前記キャプシドタンパク質が、AAV2のVP1(配列番号2)に対する1つ以上のアミノ酸置換または他のAAV血清型のキャプシドタンパク質に対する1つ以上の対応する置換を含む、請求項1〜2のいずれか1項に記載の変異AAVキャプシドタンパク質。
前記キャプシドタンパク質が、AAV2のVP1(配列番号2)に対する以下のアミノ酸置換:M1L、L15P、P34A、N57D、N66K、R81Q、Q101R、S109T、R144K、R144M、Q164K、T176P、L188I、S196Y、G226E、G236V、I240T、P250S、N312K、P363L、D368H、N449D、T456K、S463Y、D472N、R484C、A524T、P535S、N551S、A593E、I698V、V708I、V719M、S721L、およびL735Qのうちの1つ以上、または他のAAV血清型のキャプシドタンパク質に対する対応する置換を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の変異AAVキャプシドタンパク質。
前記キャプシドタンパク質が、AAV2のVP1(配列番号2)に対するP34Aアミノ酸置換、または他のAAV血清型のキャプシドタンパク質に対する対応する置換を含む、請求項4に記載の変異AAVキャプシドタンパク質。
前記キャプシドタンパク質が、感染性組換えAAV(rAAV)ビリオンに、対応する親AAVキャプシドタンパク質を含むAAVビリオンによる網膜細胞の感染性と比較して、網膜細胞の少なくとも2倍の増加した感染性を付与する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の変異AAVキャプシドタンパク質。
前記変異AAVキャプシドタンパク質が、配列番号42で示されるアミノ酸配列からなり、Rabエスコートタンパク質1タンパク質をコードする前記ヌクレオチド配列が、CAGプロモーターに作動可能に連結される、請求項12に記載のrAAVビリオン。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の方法および組成物を記載する前に、本発明は記載される特定の方法または組成物に限定されず、そのため、変化し得ることが理解されるべきである。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、本発明の範囲が添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、限定することを意図するものではないことも理解されたい。
【0029】
本明細書に開示される発明は、図面および説明に例示されている。しかしながら、特定の実施形態が図面に例示されているものの、本発明を、例示および/または開示された特定の実施形態(単数または複数)に限定する意図はない。むしろ、本明細書で開示される発明は、本発明の趣旨および範囲内に入る全ての修正、代替構成、および均等物を網羅することが意図されている。このように、図面は例示的なものであり、限定的なものではない。
【0030】
ある範囲の値が提供される場合、その範囲の上限と下限との間に、文脈上明確に指示されない限り、下限の単位の10分の1までの各介在値も具体的に開示されることが理解される。記載された範囲内の任意の記載された値または介在値と、その記載された範囲内の任意の他の記載された値または介在値との間のより小さい各範囲は、本発明に包含される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、独立して範囲内に含まれても除外されてもよく、より小さい範囲に限界のいずれかが含まれる、限界のいずれも含まれない、または限界の両方が含まれる各範囲もまた、記載された範囲内の任意の具体的に除外された限界次第で、本発明に包含される。記載された範囲が限界の一方または両方を含む場合、これらの含まれる限界の一方または両方を除く範囲も本発明に含まれる。
【0031】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載される方法および材料と類似または等価の任意の方法および材料を本発明の実施または試験に使用することができるが、いくつかの可能性のあるかつ好ましい方法および材料をここで説明する。本明細書で言及される全ての刊行物は、刊行物が引用される方法および/または材料を開示および記載するために、参照により本明細書に組み込まれる。本開示は、矛盾が存在する限り、組み込まれた刊行物のいずれの開示にも優先することが理解される。
【0032】
本開示を読むと当業者には明らかとなるように、本明細書に記載され図示される個々の実施形態の各々は、個別の構成要素および特徴を有し、これらは、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく他のいくつかの実施形態のうちのいずれかの特徴と容易に分離させるかまたは組み合わせてもよい。いずれの列挙される方法も、列挙された事象の順序で、または論理的に可能な他の順序で実施することができる。
【0033】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上別途明確に指示されない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。したがって、例えば、「組換えAAVビリオン」への言及は、複数のそのようなビリオンを含み、「光受容細胞」への言及は、1つ以上の光受容細胞および当業者に既知のその等価物への言及を含む。特許請求の範囲は、いずれの任意選択の要素も排除するように作成され得ることにさらに留意されたい。このため、この記述は、特許請求の要素の列挙に関連した「専ら」、「のみ」などのような排他的な用語の使用、または「否定的」制限の使用に対する先行詞として機能することが意図される。
【0034】
本明細書で考察される刊行物は、専ら本出願の出願日前のそれらの開示のために提供される。本明細書中のいかなるものも、本発明が先行発明によりそのような刊行物に先行する資格を有さないことを認めるものとして解釈されるべきではない。さらに、提供される公開日は、実際の公開日とは異なってもよく、これは自主的に確認する必要があり得る。
【0035】
定義
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての科学用語および技術用語は、この技術が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0036】
アデノ関連ウイルスは、エンベロープを有しない20面体キャプシド内の4.7kbの一本鎖DNAゲノムからなる非病原性パルボウイルスである。このゲノムは、複製およびパッケージングシグナルのウイルス起源として機能する逆位末端反復配列(ITR)に隣接する3つのオープンリーディングフレーム(ORF)を含む。rep ORFは、ウイルス複製、転写調節、部位特異的組込み、およびビリオンアセンブリにおいて役割を果たす4つの非構造タンパク質をコードする。cap ORFは、アセンブルされて60merのウイルスキャプシドを形成する3つの構造タンパク質(VP1〜3)をコードする。最後に、cap遺伝子内の代替リーディングフレームとして存在するORFは、AAVキャプシドタンパク質を核小体に局在させ、キャプシドアセンブリプロセスにおいて機能するウイルスタンパク質であるアセンブリ活性化タンパク質(AAP)を産生する。
【0037】
天然に存在する(「野生型」)血清型はいくつかあり、AAVの既知の変異体は100種類以上あり、それぞれ、アミノ酸配列、特にキャプシドタンパク質の超可変領域内、したがってその遺伝子送達特性が異なる。AAVはいずれのヒト疾患にも関連していないため、組換えAAVは臨床用途に魅力的である。
【0038】
本明細書の開示の目的のために、「AAV」という用語は、アデノ関連ウイルスの略称であり、限定されないが、ウイルス自体およびその誘導体を含む。別途明記されない限り、この用語は、全てのサブタイプまたは血清型ならびに複製可能型および組換え型の両方を指す。「AAV」という用語には、限定されないが、1型AAV(AAV−1またはAAV1)、2型AAV(AAV−2またはAAV2)、3A型AAV(AAV−3AまたはAAV3A)、3B型AAV(AAV−3BまたはAAV3B)、4型AAV(AAV−4またはAAV4)、5型AAV(AAV−5またはAAV5)、6型AAV(AAV−6またはAAV6)、7型AAV(AAV−7またはAAV7)、8型AAV(AAV−8またはAAV8)、9型AAV(AAV−9またはAAV9)、10型AAV(AAV−10またはAAV10またはAAVrh10)、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ヤギAAV、ウマAAV、霊長類AAV、非霊長類AAV、およびヒツジAAVが含まれる。「霊長類AAV」は霊長類に感染するAAVを指し、「非霊長類AAV」は非霊長類哺乳動物に感染するAAVを指し、「ウシAAV」はウシ哺乳動物に感染するAAVを指す。
【0039】
AAVの様々な血清型のゲノム配列、ならびに天然末端反復配列(TR)、Repタンパク質、およびキャプシドサブユニットの配列は、当該技術分野で既知である。このような配列は、文献またはGenBankなどの公開データベースにおいて見出され得る。例えば、GenBank受託番号NC_002077.1(AAV1)、AF063497.1(AAV1)、NC_001401.2(AAV2)、AF043303.1(AAV2)、J01901.1(AAV2)、U48704.1(AAV3A)、NC_001729.1(AAV3A)、AF028705.1(AAV3B)、NC_001829.1(AAV4)、U89790.1(AAV4)、NC_006152.1(AA5)、AF085716.1(AAV−5)、AF028704.1(AAV6)、NC_006260.1(AAV7)、AF513851.1(AAV7)、AF513852.1(AAV8)NC_006261.1(AAV−8)、AY530579.1(AAV9)、AAT46337(AAV10)、およびAAO88208(AAVrh10)を参照されたい。これらの開示は、AAV核酸およびアミノ酸配列の教示のために参照により本明細書に組み込まれる。また、例えば、Srivistava et al.(1983)J.Virology 45:555、Chiorini et al.(1998)J.Virology 71:6823、Chiorini et al.(1999)J.Virology 73:1309、Bantel−Schaal et al.(1999)J.Virology 73:939、Xiao et al.(1999)J.Virology 73:3994、Muramatsu et al.(1996)Virology 221:208、Shade et.al.(1986)J.Virol.58:921、Gao et al.(2002)Proc.Nat.Acad.Sci.USA 99:11854、Moris et al.(2004)Virology 33:375−383、国際特許公開第WO00/28061号、同第WO99/61601号、同第WO98/11244号、および米国特許第6,156,303号を参照されたい。
【0040】
AAV血清型に関連する天然に存在するcap(キャプシド)タンパク質の配列は、当該技術分野で既知であり、AAV1(配列番号1)、AAV2(配列番号2)、AAV3A(配列番号3)、AAV3B(配列番号4)、AAV4(配列番号5)、AAV5(配列番号6)、AAV6(配列番号7)、AAV7(配列番号8)、AAV8(配列番号9)、AAV9(配列番号10)、AAV10(配列番号11)、およびAAVrh10(配列番号12)として本明細書で開示されるものを含む。「変異AAVキャプシドタンパク質」または「AAV変異体」という用語は、天然に存在するまたは「野生型」AAVキャプシドタンパク質配列、例えば、本明細書において配列番号l〜12に示されるものに対して、少なくとも1つの修飾または置換(欠失、挿入、点変異などを含む)を含むアミノ酸配列を含むAAVキャプシドタンパク質を指す。変異AAVキャプシドタンパク質は、野生型キャプシドタンパク質のアミノ酸配列に対して約80%の同一性、例えば、野生型キャプシドタンパク質のアミノ酸配列に対して85%以上の同一性、90%以上の同一性、または95%以上の同一性、例えば、野生型キャプシドタンパク質に対して98%または99%の同一性を有し得る。変異AAVキャプシドタンパク質は、野生型キャプシドタンパク質ではない場合がある。
【0041】
本明細書の開示の目的のために、「AAVビリオン」または「AAVウイルス粒子」は、少なくとも1つのAAVキャプシドタンパク質およびキャプシド形成したAAVポリヌクレオチドからなるウイルス粒子を指す。
【0042】
本明細書の開示の目的のために、「rAAV」という用語は、組換えアデノ関連ウイルスを指す略称である。ポリヌクレオチドに適用される「組換え」は、ポリヌクレオチドが、クローニング、制限、またはライゲーションステップ、および天然に見られるポリヌクレオチドとは異なる構築物をもたらす他の手順の様々な組み合わせの産物であることを意味する。組換えウイルスは、組換えポリヌクレオチドを含むウイルス粒子である。これらの用語は、それぞれ、元のポリヌクレオチド構築物の複製物および元のウイルス構築物の子孫を含む。
【0043】
「rAAVベクター」という用語は、定義上rAAVポリヌクレオチドを含むrAAVビリオン(すなわち、rAAVウイルス粒子)(例えば、感染性rAAVビリオン)を包含し、また、rAAVをコードするポリヌクレオチド(例えば、rAAVをコードする一本鎖ポリヌクレオチド(ss−rAAV)、rAAVをコードする二本鎖ポリヌクレオチド(ds−rAAV)、例えばrAAVをコードするプラスミドなど)も包含する。
【0044】
AAVビリオンは、異種ポリヌクレオチド(すなわち、野生型AAVゲノム以外のポリヌクレオチド、例えば、標的細胞に送達される導入遺伝子、標的細胞に送達されるRNAi剤またはCRISPR剤など)を含む場合、典型的には、「組換えAAV(rAAV)ビリオン」または「rAAVウイルス粒子」と称される。一般に、異種ポリヌクレオチドは、少なくとも1つ、一般には2つのAAV逆方向末端反復配列(ITR)に隣接している。
【0045】
「パッケージング」という用語は、AAV粒子のアセンブリおよびキャプシド形成をもたらす一連の細胞内事象を指す。AAV「rep」および「cap」遺伝子は、アデノ関連ウイルスの複製およびキャプシド形成タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を指す。AAV repおよびcapは、本明細書ではAAV「パッケージング遺伝子」と称される。
【0046】
AAVに関する「ヘルパーウイルス」という用語は、AAV(例えば、野生型AAV)の哺乳動物細胞による複製およびパッケージングを可能にするウイルスを指す。アデノウイルス、ヘルペスウイルス、およびワクシニアなどのポックスウイルスを含む、多様なAAVに関するそのようなヘルパーウイルスが当該技術分野で既知である。サブグループCのアデノウイルス5型が最も一般的に使用されるが、アデノウイルスはある数の異なるサブグループを包含する。ヒト、非ヒト哺乳動物、およびトリ由来の多数のアデノウイルスが知られており、ATCCなどの預託機関から入手可能である。ヘルペスファミリーのウイルスには、例えば、単純ヘルペスウイルス(HSV)およびエプスタイン・バーウイルス(EBV)、ならびにサイトメガロウイルス(CMV)および仮性狂犬病ウイルス(PRV)が挙げられ、これらもATCCなどの預託機関から入手可能である。
【0047】
「ヘルパーウイルス機能(複数可)」という用語は、(本明細書に記載の複製およびパッケージングのための他の要件と併せて)AAVの複製およびパッケージングを可能にするヘルパーウイルスゲノムにコードされた機能(複数可)を指す。本明細書に記載されるように、「ヘルパーウイルス機能」は、トランスの産生細胞に、ヘルパーウイルスを提供すること、または例えば必要な機能(複数可)をコードするポリヌクレオチド配列を提供することを含むある数の方法で提供され得る。例えば、1つ以上のアデノウイルスタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むプラスミドまたは他の発現ベクターを、rAAVベクターとともに産生細胞にトランスフェクトする。
【0048】
「感染性」ウイルスまたはウイルス粒子という用語は、コンピテントにアセンブルされたキャプシドを含み、そのウイルス種が向性である細胞にポリヌクレオチド成分を送達することができるものである。この用語は、いずれかのウイルスの複製能力を必ずしも意味するものではない。感染性ウイルス粒子を計数するためのアッセイは、本開示の他箇所および当該技術分野において説明されている。ウイルス感染性は、感染性ウイルス粒子対全ウイルス粒子の比として表すことができる。感染性ウイルス粒子対全ウイルス粒子の比を決定する方法は、当該技術分野で既知である。例えば、Grainger et al.(2005)Mol.Ther.11:S337(TCID50感染力価アッセイを説明する)、およびZolotukhin et al.(1999)Gene Ther.6:973を参照されたい。実施例も参照されたい。
【0049】
本明細書で使用される「向性」という用語は、特定の宿主種の細胞または宿主種内の特定の細胞型のウイルス(例えば、AAV)による優先的な標的化を指す。例えば、心臓、肺、肝臓、および筋肉の細胞に感染することができるウイルスは、肺細胞および筋肉細胞のみに感染することができるウイルスと比較して、より広い(すなわち、増大した)向性を有する。向性はまた、宿主の特定の種類の細胞表面分子に対するウイルスの依存性を含み得る。例えば、いくつかのウイルスは表面グリコサミノグリカンを有する細胞のみに感染することができる一方、他のウイルスはシアル酸を有する細胞のみに感染することができる(そのような依存性はウイルス感染の可能性のある宿主細胞として特定のクラスの分子を欠く様々な細胞株を用いて試験することができる)。いくつかの事例では、ウイルスの向性は、ウイルスの相対的選好を示す。例えば、第1のウイルスは、全ての細胞型に感染することができてもよいが、表面グリコサミノグリカンを有する細胞を感染させる上ではるかに大きな成功を収める。第2のウイルスも同じ特徴を好む場合(例えば、第2のウイルスも、表面グリコサミノグリカンを有する細胞を感染させる上でより大きな成功を収める場合)、絶対的形質導入効率は類似していないとしても、第2のウイルスは第1のウイルスと類似の(または同一の)向性を有するとみなすことができる。例えば、第2のウイルスは、試験した全ての所定の細胞型を感染させる際に、第1のウイルスよりも効率的である可能性があるが、相対的選好が類似している(または同一である)場合、第2のウイルスは、依然として第1のウイルスと類似の(または同一の)向性を有するとみなすことができる。いくつかの実施形態では、主題の変異AAVキャプシドタンパク質を含むビリオンの向性は、天然に存在するビリオンと比べて改変されていない。いくつかの実施形態では、主題の変異AAVキャプシドタンパク質を含むビリオンの向性は、天然に存在するビリオンと比べて拡大されている(すなわち、広げられている)。いくつかの実施形態では、主題の変異AAVキャプシドタンパク質を含むビリオンの向性は、天然に存在するビリオンと比べて低下している。
【0050】
「複製コンピテントな」ウイルス(例えば、複製コンピテントなAAV)という用語は、感染性であり、また感染した細胞中で(すなわち、ヘルパーウイルスまたはヘルパーウイルス機能の存在下で)複製されることができる、表現型的に野生型のウイルスを指す。AAVの場合、複製能力は、一般に、機能的AAVパッケージング遺伝子の存在を必要とする。一般に、本明細書に記載のrAAVベクターは、1つ以上のAAVパッケージング遺伝子の欠如のために、哺乳動物細胞(特にヒト細胞)において複製不能である。典型的には、そのようなrAAVベクターは、AAVパッケージング遺伝子と移入されるrAAVベクターとの間の組換えによって複製コンピテントなAAVが生成される可能性を最小限に抑えるために、一切のAAVパッケージング遺伝子配列を欠いている。多くの実施形態では、本明細書に記載のrAAVベクター調製物は、あったとしてもわずかな複製コンピテントなAAV(rcAAV、RCAとも称される)をほとんど含まないものである(例えば、rAAV粒子10
2個当たり約1個未満のrcAAV、rAAV粒子10
4個当たり約1個未満のrcAAV、rAAV粒子10個当たり約1個未満のrcAAV、rAAV粒子10
12個当たり約1個未満のrcAAV、またはrcAAVなし)。
【0051】
「ポリヌクレオチド」という用語は、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドまたはその類似体を含む、任意の長さのヌクレオチドの多量体型を指す。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチドおよびヌクレオチド類似体などの修飾されたヌクレオチドを含んでもよく、非ヌクレオチド成分によって妨害され得る。存在する場合、ヌクレオチド構造の修飾は、ポリマーのアセンブリの前または後に付与され得る。ポリヌクレオチドという用語は、本明細書で使用される場合、二本鎖および一本鎖分子を同義に指す。別途指定されない限り、または必要とされない限り、ポリヌクレオチドを含む本明細書の任意の実施形態は、二本鎖形態と、二本鎖形態を構成することが分かっているかまたは予測される2つの相補的一本鎖形態の各々との両方を包含する。
【0052】
ポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、別のポリヌクレオチドまたはポリペプチドに対してある特定の率の「配列同一性」を有する。すなわち、整列したときに、これらの2つの配列を比較すると、塩基またはアミノ酸の率が同じである。配列の類似性は、ある数の異なる様式で決定することができる。配列同一性を決定するために、配列は、ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/のウェブ上で入手可能なBLASTを含む方法およびコンピュータープログラムを使用して整列させることができる。他のアラインメントアルゴリズムは、FASTAであり、これは、Oxford Molecular Group,Inc.の完全所有子会社であるMadison,Wisconsin,USAのGenetics Computing Group(GCG)パッケージにおいて利用可能である。アラインメントのための他の技法は、Methods in Enzymology,vol.266:Computer Methods for Macromolecular Sequence Analysis(1996),ed.Doolittle,Academic Press,Inc.,a division of Harcourt Brace&Co.,San Diego,California,USAに記載されている。特に興味深いのは、配列中のギャップを許容するアライメントプログラムである。Smith−Watermanは、配列アライメントのギャップを許容するアルゴリズムの一種である。Meth.Mol.Biol.70:173−187(1997)を参照されたい。また、Needleman−Wunschアラインメント法を用いるGAPプログラムを利用して配列のアラインメントを行うことができる。J.Mol.Biol.48:443−453(1970)を参照されたい。
【0053】
「遺伝子」という用語は、細胞内で何らかの機能を果たすポリヌクレオチドを指す。例えば、遺伝子は、遺伝子産物をコードすることができるオープンリーディングフレームを含み得る。遺伝子産物の一例は、遺伝子から転写され翻訳されるタンパク質である。遺伝子産物の別の例は、転写されているが翻訳されていないRNA、例えば、機能的RNA産物、例えばアプタマー、干渉RNA、リボソームRNA(rRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、非コードRNA(ncRNA)、ヌクレアーゼのためのガイドRNAなどである。
【0054】
「遺伝子発現産物」または「遺伝子産物」という用語は、上で定義した特定の遺伝子の発現から生じる分子である。遺伝子発現産物には、例えば、ポリペプチド、アプタマー、干渉RNA、メッセンジャーRNA(mRNA)、rRNA、tRNA、非コードRNA(ncRNA)などが含まれる。
【0055】
「siRNA剤」(「低分子干渉」または「短鎖干渉RNA」(siRNA))は、遺伝子関心対象(「標的遺伝子」)に標的化されるヌクレオチドのRNA二重鎖である。「RNA二重鎖」は、RNA分子の2つの領域間の相補的対形成によって形成され、二本鎖RNA(dsRNA)の領域を形成する構造を指す。siRNAの二重鎖部分のヌクレオチド配列が標的遺伝子のヌクレオチド配列に相補的であるという点で、siRNAは遺伝子に「標的化」される。いくつかの実施形態では、siRNAの二本鎖の長さは30ヌクレオチド未満である。いくつかの実施形態では、二重鎖は、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、または10ヌクレオチド長であり得る。いくつかの実施形態では、二本鎖の長さは、19〜25ヌクレオチド長である。いくつかの実施形態では、siRNA媒介性遺伝子標的化は、動物細胞の内因性RNA干渉(RNAi)経路を活性化するためにDNA構築物を利用する遺伝子サイレンシング技術であるDNA指向性RNA干渉(ddRNAi)の使用によって達成される。そのようなDNA構築物は、処理されると、標的遺伝子(単数または複数)のサイレンシングを引き起こす、自己相補的な二本鎖RNA、典型的には短鎖ヘアピンRNA(shRNA)を発現するように設計される。内因性mRNAまたはウイルスRNAを含むいずれのRNAも、所望のmRNA標的に相補的な二本鎖RNAを発現する構築物を設計することによってサイレンシングされ得る。このように、siRNA剤のRNA二本鎖部分は、shRNAと呼ばれる短鎖ヘアピン構造の一部であり得る。二重鎖部分に加えて、ヘアピン構造は、二本鎖を形成する2つの配列の間に位置するループ部分を含んでもよい。ループの長さは様々であり得る。いくつかの実施形態では、ループは、5、6、7、8、9、10、11、12、または13ヌクレオチド長である。ヘアピン構造は、3’突出部または5’突出部も含み得る。いくつかの実施形態では、突出部は、0、1、2、3、4、または5ヌクレオチド長の3’または5’突出である。一般に、標的遺伝子の発現産物(例えば、mRNA、ポリペプチドなど)のレベルは、5’非翻訳(UT)領域、ORF、または3’UT領域を含む、標的遺伝子転写産物の少なくとも19〜25ヌクレオチド長のセグメント(例えば、20〜21ヌクレオチド配列)に相補的である特定の二本鎖ヌクレオチド配列を含むsiRNA剤(例えば、siRNA、shRNAなど)によって低下する。いくつかの実施形態では、短鎖干渉RNAは、長さが約19〜25ntである。例えば、siRNA技術の説明については、PCT出願第WOO/44895号、同第W099/32619号、同第WO01/75164号、同第WO01/92513号、同第WO01/29058号、同第WO01/89304号、WO02/16620号、および同第WO02/29858号、ならびに米国特許公開第20040023390号を参照されたい。siRNAおよび/またはshRNAは核酸配列によってコードされ得、この核酸配列はプロモーターも含み得る。核酸配列はポリアデニル化シグナルも含み得る。いくつかの実施形態では、ポリアデニル化シグナルは、合成最小ポリアデニル化シグナルである。
【0056】
「アンチセンスRNA」という用語は、遺伝子発現産物に相補的なRNAを包含する。例えば、特定のmRNAを標的とするアンチセンスRNAは、アンチセンスRNAのmRNAへのハイブリダイゼーションがmRNAの発現を変化させる(例えば、RNAの安定性を改変すること、RNAの翻訳を改変することなどを介して)、mRNAに相補的なRNA系薬剤である(または修飾RNAであり得る)。「アンチセンスRNA」には、アンチセンスRNAをコードする核酸も含まれる。
【0057】
「CRISPR/Cas9剤」に関して、「CRISPR」という用語は、CRISPR RNA(crRNA)を使用して侵入してくる核酸のサイレンシングを誘導することにより、ウイルスおよびプラスミドに対する適応免疫を細菌および古細菌に提供するように進化した、クラスター化され規則的に間隔が空いた短い回文構造の繰り返し/CRISPR関連(Cas)システムを包含する。Cas9タンパク質(またはその機能的同等物および/または変異体、すなわち、Cas9様タンパク質)は、crRNAおよびtracrRNAと呼ばれる2つの天然に存在するまたは合成のRNA分子(ガイドRNAとも呼ばれる)とのタンパク質の会合に依存するDNAエンドヌクレアーゼ活性を天然に含む。いくつかの場合には、2つの分子が共有結合して、単一分子(単一ガイドRNA(「sgRNA」)とも呼ばれる)を形成する。このため、Cas9またはCas9様タンパク質は、Cas9またはCas9様タンパク質を活性化し、タンパク質を標的核酸配列に誘導するDNA標的化RNA(本用語は、2分子ガイドRNA構成と単一分子ガイドRNA構成との両方を包含する)と会合する。
【0058】
Cas9またはCas9様タンパク質は、その天然の酵素機能を保持する場合、標的DNAを切断して、ゲノムの改変(すなわち、編集:欠失、挿入(ドナーポリヌクレオチドが存在する場合)、置換など)をもたらすことができる二本鎖破断を創出し、それによって遺伝子発現を改変する。Cas9のいくつかの変異体(変異体はCas9様の用語に包含される)は、DNA切断活性が低下するように改変されている(いくつかの場合には、標的DNAの両方の鎖の代わりに単一の鎖を切断するが、他の場合には、DNA切断活性がなくなるまでに著しく減少した)。DNA切断活性が減少した(さらにはDNA切断活性がない)Cas9様タンパク質は、それでも標的DNAに誘導されて、RNAポリメラーゼ活性を阻止し得る。あるいは、Cas9またはCas9様タンパク質は、VP64転写活性化ドメインをCas9タンパク質に融合させ、融合タンパク質をテトラループおよびステムループでMS2−P65−HSF1ヘルパータンパク質およびMS2 RNAアプタマーを含む単一ガイドRNAと共に共同輸送して、転写を活性化する細胞内にSynergistic Activation Mediator(Cas9−SAM)複合体を形成させることによって、修飾されてもよい。このため、酵素的に不活性なCas9様タンパク質は、標的DNAの転写を阻止または活性化するために、DNA標的化RNAによって標的DNA中の特定の場所を標的とすることができる。本明細書で使用される「CRISPR/Cas9剤」という用語は、上記のような、または当該技術分野で既知であるCRISPR/Cas9の全ての形態を包含する。
【0059】
CRISPR剤に関する詳細な情報は、例えば、(a)Jinek et.al.,Science.2012 Aug 17;337(6096):816−21:”A programmable dual−RNA−guided DNA endonuclease in adaptive bacterial immunity”;(b)Qi et al.,Cell.2013 Feb 28;152(5):1173−83:”Repurposing CRISPR as an RNA− guided platform for sequence−specific control of gene expression”、ならびに(c)米国特許出願第13/842,859号およびPCT出願第PCT/US13/32589に見い出すことができ、これらの全ては、全体が参照により本明細書に組み込まれる。このため、本明細書で使用される「CRISPR剤」という用語は、Cas9系システム(例えば、Cas9またはCas9様タンパク質;DNA標的化RNAの任意の成分、例えば、crRNA様RNA、tracrRNA様RNA、単一ガイドRNAなど;ドナーポリヌクレオチド;および同様のもの)において使用され得る、天然に存在するおよび/または合成の配列を含む任意の作用物質(またはそのような作用物質をコードする核酸)を包含する。
【0060】
「ジンクフィンガーヌクレアーゼ」(ZFN)は、ジンクフィンガーDNA結合ドメインをDNA切断ドメインに融合することによって生成される人工DNAエンドヌクレアーゼを意味する。ZFNは、所望のDNA配列を標的とするように操作することができ、これによりジンクフィンガーヌクレアーゼが固有の標的配列を切断することが可能になる。細胞に導入された場合、ZFNを用いて、二本鎖破断を誘導することにより、細胞(例えば、細胞のゲノム)中の標的DNAを編集することができる。ZFNの使用に関するさらなる詳細については、例えば、Asuri et al.,Mol Ther.2012 Feb;20(2):329−38;Bibikova et al.Science.2003May 2;300(5620):764;Wood et al.Science.2011 Jul 15;333(6040):307;Ochiai et al.Genes Cells.2010 Aug;15(8):875−85;Takasu et.al.,Insect Biochem Mol Biol.2010 Oct;40(10):759−65;Ekker et al,Zebrafish 2008 Summer;5(2):121−3;Young et al,Proc Natl Acad Sci U S A.2011 Apr 26;108(17):7052−7;Goldberg et al,Cell.2010 Mar 5;140(5):678−91;Geurts et al,Science.2009 Jul 24;325(5939):433;Flisikowska et al,PLoS One.2011;6(6):e21045.doi:10.1371/journal.pone.0021045.Epub 2011 Jun 13;Hauschild et al,Proc Natl Acad Sci U S A.2011 Jul 19;108(29):12013−7;およびYu et al,Cell Res.2011 Nov;21(l 1):1638−40を参照されたい。これらの全ては、ZFNに関連するこれらの教示について、参照により本明細書に組み込まれる。「ZFN剤」という用語は、ジンクフィンガーヌクレアーゼおよび/またはジンクフィンガーヌクレアーゼをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを包含する。
【0061】
「転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ」または「TALEN」は、TAL(転写活性化因子様)エフェクターDNA結合ドメインをDNA切断ドメインに融合させることによって生成される人工DNAエンドヌクレアーゼである転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)を指す。TALENは、事実上いずれの所望のDNA配列にも結合するように迅速に操作することができ、細胞に導入した場合、TALENを使用して、二本鎖破断を誘導することによって細胞内の標的DNA(例えば、細胞のゲノム)を編集することができる。TALENの使用に関するさらなる情報については、例えば、Hockemeyer et al.Nat Biotechnol.2011 Jul 7;29(8):731−4;Wood et al.Science.2011 Jul 15;333(6040):307;Tesson et al.Nat Biotechnol.2011 Aug 5;29(8):695−6;およびHuang et.al.,Nat Biotechnol.2011 Aug 5;29(8):699−700を参照されたい。これらの全ては、TALENに関連するこれらの教示について、参照により本明細書に組み込まれる。「TALEN剤」という用語は、TALENおよび/またはTALENをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを包含する。
【0062】
「制御要素」または「制御配列」という用語は、ポリヌクレオチドの複製、重複、転写、スプライシング、翻訳、または分解を含む、ポリヌクレオチドの機能的調節に寄与する分子の相互作用に関与するヌクレオチド配列を指す。この調節は、プロセスの頻度、速度、または特異性に影響を及ぼし得、本来は増強性または阻害性であり得る。当該技術分野で既知の制御要素には、例えば、プロモーターおよびエンハンサーなどの転写調節配列が含まれる。プロモーターは、ある特定の条件下では、RNAポリメラーゼに結合し、通常はプロモーターの下流(3’方向)に位置するコード領域の転写を開始することができるDNA領域である。プロモーターは、普遍的作用性、すなわち、多くの細胞型、例えば、CAGまたはCMVプロモーターにおいて活性であってもよく、または組織もしくは細胞特異性、例えば、桿体で活性なrhoプロモーター、または錐体で活性なオプシンプロモーターであってもよい。
【0063】
「作動的に連結された」または「作動可能に連結された」という用語は、遺伝的要素の並置を指し、要素は、それらが予想される様式で作動することを可能にする関係にある。例えば、プロモーターがコード配列の転写の開始を助ける場合、プロモーターはコード領域に作動可能に連結される。この機能的関係が維持される限り、プロモーターとコード領域との間に介在残基が存在し得る。
【0064】
「発現ベクター」という用語は、目的のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド領域を含むベクターを包含し、意図された標的細胞におけるタンパク質の発現をもたらすために使用される。発現ベクターはまた、標的中のタンパク質の発現を促進するために、コード領域に作動可能に連結された制御要素を含んでもよい。制御要素と、それらが発現のために作動可能に連結されている遺伝子(単数または複数)との組み合わせは、「発現カセット」と呼ばれることもあり、その多くは当該技術分野で公知であり入手可能であるか、または当該技術分野で入手可能な構成要素から容易に構築することができる。
【0065】
「異種」という用語は、それが比較されている残りの実体とは遺伝子型的に異なる実体に由来することを意味する。例えば、遺伝子工学技法によって異なる種に由来するプラスミドまたはベクターに導入されたポリヌクレオチドは、異種ポリヌクレオチドである。天然コード配列から除去され、天然には結合していないコード配列に作動可能に連結されたプロモーターは、異種プロモーターである。このため、例えば、異種遺伝子産物をコードする異種核酸配列を含むrAAVは、天然に存在する野生型AAVに通常は含まれないポリヌクレオチドを含むrAAVであり、コードされた異種遺伝子産物は、天然に存在する野生型AAVによって通常はコードされない遺伝子産物である。
【0066】
「遺伝子改変」および「遺伝子修飾」(およびその文法上の変化)は、本明細書では同義に用いられ、遺伝子要素(例えば、ポリヌクレオチド)が有糸分裂または減数分裂以外によって細胞に導入されるプロセスを指す。要素は、細胞に対して異種であってもよく、または細胞に既に存在する要素の追加のコピーまたは改良版であってもよい。遺伝子改変は、例えば、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、またはポリヌクレオチド−リポソーム複合体との接触など、当該技術分野で既知である任意のプロセスによって、細胞を組換えプラスミドまたは他のポリヌクレオチドでトランスフェクトすることによって行われ得る。遺伝子改変はまた、例えば、DNAまたはRNAウイルスまたはウイルスベクターを用いる形質導入または感染によって行われてもよい。一般に、遺伝子要素は、細胞内の染色体またはミニ染色体に導入されるが、この用語には、細胞およびその子孫の表現型および/または遺伝子型を変化させる任意の改変が含まれる。
【0067】
細胞修飾に関して、外因性DNAによって(例えば、組換えウイルスを介して)「遺伝子修飾された」または「形質転換された」または「トランスフェクトされた」または「形質導入された」という用語は、そのようなDNAが細胞の内部に導入されたときを指す。外因性DNAの存在により、永続的または一時的な遺伝的変化がもたらされる。形質転換DNAは、細胞のゲノムに組み込まれる(共有結合している)場合もそうでない場合もある。「クローン」は、有糸分裂によって単一細胞または共通の祖先から誘導された細胞の集団である。「細胞株」は、多くの世代にわたってインビトロで安定して増殖することができる初代細胞のクローンである。
【0068】
本明細書で使用される場合、配列がインビトロでの延長した細胞培養中および/またはインビボでの長期間にその機能を果たすために利用可能である場合、細胞は遺伝子配列によって「安定して」改変、形質導入、遺伝子修飾、または形質転換されると言われる。一般に、そのような細胞は、遺伝子改変が導入され、改変された細胞の子孫によっても継承可能であるため、「遺伝的に」改変(遺伝子修飾)される。
【0069】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」という用語は、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指すように本明細書では同義に使用される。これらの用語は、修飾されたアミノ酸ポリマー、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、リン酸化、または標識化成分との抱合も包含する。哺乳動物対象に遺伝子産物を送達する状況において考察される場合、抗血管新生ポリペプチド、神経保護ポリペプチド、および同様のものなどのポリペプチド、ならびにそのための組成物は、それぞれのインタクトなポリペプチド、またはインタクトなタンパク質の所望の生化学的機能を保持するその任意の断片もしくは遺伝子操作された誘導体を指す。同様に、抗血管新生ポリペプチドをコードする核酸、神経保護ポリペプチドをコードする核酸、および哺乳動物対象への遺伝子産物の送達に使用するための他のそのような核酸(レシピエント細胞に送達されることになる「導入遺伝子」と称されてもよい)への言及は、インタクトなポリペプチドまたは所望の生化学的機能を保有する任意の断片もしくは遺伝子操作された誘導体をコードするポリヌクレオチドを含む。
【0070】
本明細書で使用される場合、「単離された」プラスミド、核酸、ベクター、ウイルス、ビリオン、宿主細胞、タンパク質、または他の物質は、物質または類似の物質が自然発生するか、または最初に調製される、存在し得る他の構成成分の少なくともいくつかが欠如した物質の調製物を指す。このため、例えば、単離された物質は、精製技法を用いてそれを源混合物から濃縮することによって調製されてもよい。濃縮は、溶液の体積当たりの重量などの絶対的な基準で測定することができ、または源混合物中に存在する干渉する可能性のある第2の物質との関連で測定することができる。本開示の実施形態の増々の濃縮は、増々のさらなる単離である。単離されたプラスミド、核酸、ベクター、ウイルス、宿主細胞、または他の物質は、いくつかの実施形態では、例えば、約80%〜約90%純粋、少なくとも約90%純粋、少なくとも約95%純粋、少なくとも約98%純粋、または少なくとも約99%以上純粋に精製される。
【0071】
本明細書で使用される場合、「治療」、「治療する」などの用語は、所望の薬理学的および/または生理学的効果を得ることを指す。この効果は、疾患またはその症状を完全にまたは部分的に防止するという点で予防的であり得、かつ/あるいは疾患および/または疾患に起因する有害作用の部分的または完全な治癒という点で治療であり得る。本明細書で使用される「治療」は、哺乳動物、特にヒトにおける疾患の任意の治療を網羅し、(a)疾患(および/または疾患によって引き起こされる症状)が、疾患にかかりやすいかまたは疾患に罹患する危険性があるが、それを有するとまだ診断されていない対象において発生するのを防止すること、(b)疾患(および/または疾患によって引き起こされる症状)を阻害すること、すなわち、その発展を阻害すること、ならびに(c)疾患(および/または疾患によって引き起こされる症状)を軽減すること、すなわち、疾患(および/または疾患によって引き起こされる症状)の退行を引き起こすこと、すなわち、疾患および/または疾患の1以上の症状を緩和することを含む。例えば、主題の組成物および方法は、網膜疾患の治療を対象とし得る。網膜疾患およびその治療を評価するための非限定例には、網膜の機能およびその変化、例えば、視力(例えば、最良矯正視力[BCVA]、歩行、ナビゲーション、物体検知、および識別)の変化、視野(例えば、静的および動的視野計測)の変化、臨床検査(例えば、前眼部および後眼部の細隙灯検査)、明暗の全波長に対する電気生理学的応答(例えば、あらゆる形態の網膜電図写真(ERG)[全視野、多焦点、およびパターン]、あらゆる形態の視覚誘発電位(VEP)、電気眼球図記録(EOG)、色覚、暗順応、および/または対比感度)の測定;解剖学的測定および/または写真による測定、例えば、光コンヘレンス断層撮影映像(Optical Conherence Tomography)(OCT)、眼底撮影、補償光学走査レーザー検眼鏡、蛍光法、および/または自己蛍光法を使用する生体構造または健康の変化の測定;眼球運動および眼の動き(例えば、眼振、凝視、選択、および安定性)の測定、報告された結果(患者報告による視覚および非視覚誘導挙動および活動の変化、患者報告結果[PRO]、生活の質のアンケート評価、日常活動の測定、ならびに神経機能の測定(例えば、機能的磁気共鳴画像法(MRI))が挙げられる。
【0072】
「個体」、「宿主」、「対象」、および「患者」という用語は、本明細書では同義に使用され、ヒト;サルを含む非ヒト霊長類;哺乳動物の競技動物(例えば、ウマ);哺乳動物の家畜(例えば、ヒツジ、ヤギなど);哺乳動物の愛玩動物(イヌ、ネコなど)、および齧歯動物(例えば、マウス、ラットなど)を含むがこれらに限定されない、哺乳動物を指す。
【0073】
いくつかの実施形態では、個体は、以前に自然にAAVに曝露されており、その結果、抗AAV抗体(すなわち、AAV中和抗体)を有するヒトである。いくつかの実施形態では、個体は、以前にAAVベクターを投与されており(その結果、抗AAV抗体を保有し得る)、異なる状態の治療または同じ状態のさらなる治療のためにベクターの再投与を必要とするヒトである。このビヒクルに対する中和抗体によって影響される全ての組織、例えば、肝臓、筋肉、および網膜へのAAV遺伝子送達を伴う臨床試験における陽性結果に基づいて、そのような治療的用途/疾患標的が多数存在する。
【0074】
本明細書で使用される「有効量」という用語は、有益なまたは所望の臨床結果をもたらすのに十分な量である。有効量は1回以上の投与で投与することができる。本開示の目的のために、有効量の化合物(例えば、感染性rAAVビリオン)は、特定の病態(例えば、網膜疾患)(および/またはその病態と関連付けられる症状の進行を、軽減、緩和、安定化、逆転、防止、減速、または遅延するのに十分な量である。したがって、有効量の感染性rAAVビリオンは、異種核酸を個体の標的細胞(単数または複数)に効果的に送達することができる感染性rAAVビリオンの量である。有効量は、当該技術分野において十分に理解されている技法、例えば、RT−PCR、ウエスタンブロッティング、ELISA、蛍光法、または他のレポーター読出しなどを用いて異種核酸配列によってコードされる遺伝子産物(RNA、タンパク質)を細胞または組織中で検出することによって、臨床前に決定され得る。有効量は、本明細書に記載されているようにまたは当該技術分野で既知であるように、当該技術分野で既知の方法、例えば、眼底自己蛍光法、フルオレセイン血管造影法、OCT、マイクロペリトリー、補償光学などを使用して、疾患の発症または進行の変化を検出することによって臨床的に決定されてもよい。
【0075】
「網膜細胞」という用語は、網膜を構成する細胞型、例えば、限定するものではないが、網膜神経節(RG)細胞、アマクリン細胞、水平細胞、双極細胞、光受容細胞、ミュラーグリア細胞、ミクログリア細胞、および網膜色素上皮(RPE)などの任意のものを指す。「光受容細胞」という用語は、本明細書では、限定するものではないが、桿体細胞または「桿体」および錐体細胞または「錐体」を指す。「ミュラー細胞」または「ミュラーグリア」という用語は、脊椎動物網膜のニューロンを支持するグリア細胞を指す。
【0076】
「定向進化」という用語は、遺伝的多様化および選択プロセスの反復ラウンドを介して自然進化を模倣し、それによって生体分子の機能を漸進的に改善する有益な突然変異の蓄積する、インビトロおよび/またはインビボでのキャプシド操作方法論を指す。定向進化は、変異体が目的の細胞または組織型のより効率的なレベルの感染性を保有するライブラリーからAAV変異体を選択するための「バイオパニング」と呼ばれるインビボ法を伴うことが多い。
[発明を実施するための形態]
【0077】
アデノ関連ウイルス(AAV)は、エンベロープを有しないキャプシドの内部に含まれる4.7kbの一本鎖DNAゲノムを有するパルボウイルスのファミリーである。天然に存在するAAVのウイルスゲノムは、2つの主要なオープンリーディングフレーム(ORF)であるrep(ウイルス複製、転写制御、部位特異的組込み、およびビリオンアセンブリにおいて機能を果たすコードタンパク質)とcapとに隣接する、複製およびパッケージングシグナルのウイルス起源として機能する2つの逆方向末端反復配列(ITR)を有する。cap ORFは、アセンブルして60merのウイルスキャプシドを形成する3つの構造タンパク質をコードする。多くの天然に存在するAAV変異体および血清型が単離されており、いずれもヒト疾患に関連付けられていない。
【0078】
AAVの組換え型は遺伝子送達ベクターとして使用することができ、この場合、目的のマーカー遺伝子または治療用遺伝子をrepおよびcapの代わりにITRの間に挿入する。これらのベクターは、インビトロおよびインビボで分裂細胞および非分裂細胞の両方に形質導入することが示されており、有糸分裂後の組織において何年も安定した導入遺伝子発現をもたらすことができる。例えば、Knipe DM,Howley PM.Fields’ Virology.Lippincott Williams&Wilkins,Philadelphia,PA,USA,2007;Gao G−P,Alvira MR,Wang L,Calcedo R,Johnston J,Wilson JM.Novel adeno−associated viruses from rhesus monkeys as vectors for human gene therapy.Proc Natl Acad Sci U S A 2002;99:11854−9;Atchison RW,Casto BC,Hammon WM.Adenovirus−Associated Defective Virus Particles.Science 1965;149:754−6;Hoggan MD,Blacklow NR,Rowe WP.Studies of small DNA viruses found in various adenovirus preparations:physical,biological,and immunological characteristics.Proc Natl Acad Sci U S A 1966;55:1467−74;Blacklow NR,Hoggan MD,Rowe WP.Isolation of adenovirus−associated viruses from man.Proc Natl Acad Sci U S A 1967;58:1410−5;Bantel−Schaal U,zur Hausen H.Characterization of the DNA of a defective human parvovirus isolated from a genital site.Virology 1984;134:52−63;Mayor HD,Melnick JL.Small deoxyribonucleic acid−containing viruses(picodnavirus group).Nature 1966;210:331−2;Mori S,Wang L,Takeuchi T,Kanda T.Two novel adeno−associated viruses from cynomolgus monkey:pseudotyping characterization of capsid protein.Virology 2004;330:375−83;Flotte TR.Gene therapy progress and prospects:recombinant adeno−associated virus(rAAV)vectors.Gene Ther 2004;11:805−10を参照されたい。
【0079】
組換えAAV(本明細書では単に「AAV」と呼ぶ)は、増加する臨床試験において有望な結果を示している。しかし、抗キャプシド免疫応答、ある特定の組織の形質導入の低下、特定の細胞型への標的送達不能、および比較的低い運搬能など、AAVの有用性を制限し得る遺伝子送達の障害が存在する。多くの状況において、AAVを改善する能力を有する合理的設計を効果的に力づけるためには、機構的知識が十分ではない。代替として、定向進化が、特定の生物医学的ニーズを満たす新規のAAV変異体を創出する戦略として出現している。定向進化戦略は、生物分子の機能を漸進的に改善する有益な突然変異の蓄積を可能にする遺伝的多様化および選択プロセスを利用する。このプロセスでは、野生型AAV cap遺伝子をいくつかのアプローチによって多様化して、ウイルス粒子のライブラリーを生成するようにパッケージングされた大きな遺伝子ライブラリーを創出し、次に、遺伝子送達障壁を克服することができる単離された新規の変異体に選択圧を適用する。重要なことに、機能の定向進化のために、遺伝子送達問題の根底にある機構的原理が知られている必要はないため、増強されたベクターの開発を加速することができる。
【0080】
典型的には、本明細書に開示される変異体は、AAVライブラリー(単数および/または複数)の使用によって生成された。そのようなAAVライブラリー(単数または複数)は、AAVキャプシドの構造タンパク質をコードする遺伝子であるcap遺伝子を、ウイルスゲノム操作の分野における当業者には既知であり容易に利用可能であるよって知られており容易に利用可能である様々な定向進化技術によって突然変異させることで生成される。例えば、Bartel et al.Am.Soc.Gene Cell Ther.15
thAnnu.Meet.20,S140(2012);Bowles,D.et al.J.Virol.77,423−432(2003);Gray et al.Mol.Ther.18,570−578(2010);Grimm,D.et al.J.Virol.82,5887−5911;Koerber,J.T.et al.Mol.Ther.16,1703−1709(2008);Li W.et al.Mol.Ther.16,1252−1260(2008);Koerber,J.T.et al.Methods Mol.Biol.434,161−170(2008);Koerber,J.T.et al.Hum.Gene Ther.18,367−378(2007);およびKoerber,J.T.et al.Mol.Ther.17,2088−2095(2009)を参照されたい。そのような技法は、限定されるものではないが、以下の通りである:i)ランダム点突然変異をAAV capオープンリーディングフレーム(ORF)に所定の変更可能な速度で導入するためのエラープローンPCR;ii)複数のAAV血清型を有する遺伝子ライブラリーを得るために、AAV cap遺伝子のランダムキメラを生成するためのインビトロまたはインビボウイルス組換えまたは「DNAシャッフリング」;iii)cap ORF中の縮重オリゴヌクレオチドのライゲーションによるキャプシドの規定された部位におけるランダムペプチド挿入;iv)トランスポゾン突然変異誘発を用いたAAV cap ORFのランダムな位置へのペプチドコード配列の定義された挿入;v)「ループスワップ」ライブラリーを生成するための天然のAAV血清型および変異体の中の各アミノ酸位置の保存レベルに基づくバイオインフォマティクスによって設計されたペプチド配列のライブラリーによるAAVキャプシドの表面ループの代置;vi)祖先変異体のライブラリーを生成するためのAAV血清型間の縮重の位置におけるランダムなアミノ酸置換(Santiago−Ortizら、2015)、ならびにそのような技法の組み合わせ。
【0081】
DNAシャフリングは、親の特性を、独自かつ多くの場合に有益な方法で組み合わせるキメラを生成する。しかし、パッケージングができないものもあり、これは事実上ライブラリーの多様性を減少させる。ライブラリーの多様性の集中は、限定されないが、上記のiii)〜iv)のようなペプチド挿入技法によって達成される。ライブラリーの多様性も上記のv)のような技法に集中しており、このような集中は、AAVキャプシドの表面が露出したループ上にある複数の超可変領域に向けられる。多くの技法が、キャプシドの小さな領域のみが変異した変異キャプシドを生成するが、これらの技法は、完全なキャプシドを修飾するためのさらなる突然変異誘発戦略と対にされ得る。
【0082】
AAVライブラリー(単数または複数)が生成されると、各AAV粒子がキャプシドをコードするcap遺伝子を囲む突然変異キャプシドで構成され、精製されるように、ウイルスがパッケージされる。次いで、ライブラリーの変異体は、AAVの分野の当業者には既知であり、容易に入手可能であるインビトロおよび/またはインビボの選択圧技法に供される。例えば、Maheshri,N.et al.Nature Biotech.24,198−204(2006)、Dalkara,D.et al.Sci.Transl.”Med.”5,189ra76(2013)、Lisowski,L.et al.Nature.506,382−286(2013)、Yang,L.et al.PNAS.106,3946−3951(2009)、Gao,G.et al.Mol.Ther.13,77−87(2006)、およびBell,P.et al.Hum.Gene.Ther.22,985−997(2011)を参照されたい。例えば、限定されないが、AAV変異体は、i)異なる画分の溶出が変更された結合特性を有する変異体を生むアフィニティーカラム;ii)効率および/または組織特異性が増大したAAV変異体を生む、ヒト体内の細胞の挙動を模倣する組織試料または不死化細胞株から単離される一次細胞;iii)標的組織の感染に成功したAAV変異体を生む、臨床的遺伝子療法環境を模倣する動物モデル;iv)感染した移植されたヒト細胞を有するAAV変異体を生むヒト異種移植モデル;ならびに/またはそれらの選択技法の組み合わせを使用して選択され得る。
【0083】
ウイルスが選択されると、それらは、限定されないが、アデノウイルス媒介性複製、PCR増幅、次世代シークエンシングおよびクローニングなどのような既知の技法によって回収され得る。次いで、ウイルスクローンを選択技術の反復ラウンドにより濃縮し、AAV DNAを単離して、目的の選択された変異cap遺伝子を回収する。そのような選択された変異体は、さらなる修飾または突然変異に供され得るため、AAVウイルス適合性を反復的に増加させるさらなる選択ステップのための新たな出発点として働く。しかし、ある特定の事例では、追加の突然変異なしにキャプシドの生成が成功している。
【0084】
本明細書に開示されるAAV変異体は、少なくとも部分的に、硝子体内投与後の霊長類網膜スクリーンの使用を含む、上記の技法などのインビボ定向進化方法の使用によって生成された。このように、本明細書に開示されるAAV変異キャプシドは、対応する親AAVキャプシドタンパク質よりも効率的な霊長類網膜細胞の形質導入をもたらすアミノ酸配列における1つ以上の修飾を含む。本明細書で使用される場合、「対応する親AAVキャプシドタンパク質」は、対象の変異AAVキャプシドタンパク質と同じ野生型または変異AAV血清型であるが、対象の変異AAVキャプシドタンパク質の1つ以上のアミノ酸配列修飾を含まない、AAVキャプシドタンパク質を指す。
【0085】
いくつかの実施形態では、主題の変異AAVキャプシドタンパク質は、対応する親AAVキャプシドタンパク質に対してAAVキャプシドタンパク質のGHループまたはループIVに共有結合によって挿入された約5アミノ酸〜約20アミノ酸の異種ペプチドを含む。AAVキャプシドタンパク質の「GHループ」またはループIVは、当該技術分野では、AAVキャプシドタンパク質のGHループまたはループIVと称される溶媒露出部分を意味する。AAVキャプシドのGHループ/ループIVについては、例えば、van Vliet et al.(2006)Mol.Ther.14:809;Padron et al.(2005)J.Virol.79:5047;およびShen et al.(2007)Mol.Ther.15:1955を参照されたい。したがって、例えば、挿入部位は、AAV VP1キャプシドタンパク質のおよそアミノ酸411〜650内にあり得る。例えば、挿入部位は、AAV1 VP1のアミノ酸571〜612、AAV2 VP1のアミノ酸570〜611、AAV3A VP1のアミノ酸内571〜612、AAV3B VP1のアミノ酸571〜612内、AAV4 VP1のアミノ酸569〜610内、AAV5 VP1のアミノ酸560〜601内、AAV6 VP1のアミノ酸571〜612内、AAV7 VP1のアミノ酸572〜613内、AAV8 VP1のアミノ酸573〜614内、AAV9 VP1のアミノ酸571〜612内、もしくはAAV10 VP1のアミノ酸573〜614内、またはそれらの任意の変異体の対応するアミノ酸内にあり得る。当業者は、様々なAAV血清型のキャプシドタンパク質のアミノ酸配列の比較に基づいて、「AAV2のアミノ酸に対応する」挿入部位が任意の所与のAAV血清型のキャプシドタンパク質に存在するであろうことを理解するであろう。野生型(天然に存在する)血清型AAV1、AAV2、AAV3A、AAV3B、およびAAV4−10の間のおよびそれらに渡るアミノ酸位置を提供する野生型AAV配列番号1〜11のアラインメントについては、
図6も参照されたい。
【0086】
ある特定の実施形態では、挿入部位は、任意の野生型AAV血清型またはAAV変異体のVP1のアミノ酸570〜614の間に位置する2つの隣接アミノ酸間の単一の挿入部位であり、例えば、挿入部位は、任意のAAV血清型または変異体のVP1のアミノ酸570〜610、アミノ酸580〜600、アミノ酸570〜575、アミノ酸575〜580、アミノ酸580〜585、アミノ酸585〜590、アミノ酸590〜600、またはアミノ酸600〜614に位置する2つの隣接アミノ酸間にある。例えば、挿入部位は、アミノ酸580と581、アミノ酸581と582、アミノ酸583と584、アミノ酸584と585、アミノ酸585と586、アミノ酸586と587、アミノ酸587と588、アミノ酸588と589、またはアミノ酸589と590との間にあり得る。挿入部位は、アミノ酸575と576、アミノ酸576と577、アミノ酸577と578、アミノ酸578と579、またはアミノ酸579と580との間にあり得る。挿入部位は、アミノ酸590と591、アミノ酸591と592、アミノ酸592と593、アミノ酸593と594、アミノ酸594と595、アミノ酸595と596、アミノ酸596と597、アミノ酸597と598、アミノ酸598と599、またはアミノ酸599と600との間にあり得る。例えば、挿入部位は、AAV2のアミノ酸587と588との間、AAV1のアミノ酸590と591との間、AAV3Aのアミノ酸588と589との間、AAV3Bのアミノ酸588と589との間、AAV4のアミノ酸584と585との間、AAV5のアミノ酸575と576との間、AAV6のアミノ酸590と591との間、AAV7のアミノ酸589と590との間、AAV8のアミノ酸590と591との間、AAV9のアミノ酸588と589との間、またはAAV10のアミノ酸588と589との間にあり得る。
【0087】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるペプチド挿入は、長さが、5アミノ酸、6アミノ酸、7アミノ酸、8アミノ酸、9アミノ酸、10アミノ酸、11アミノ酸、12アミノ酸、13アミノ酸、14アミノ酸、15アミノ酸、16アミノ酸、17アミノ酸、18アミノ酸、19アミノ酸、または20アミノ酸である。別の実施形態では、本明細書に開示されるペプチド挿入は、本明細書に開示されるペプチド挿入のうちのいずれか1つのアミノ末端(N末端)および/またはカルボキシル末端(C末端)に1〜4個のスペーサーアミノ酸を含む。例示的なスペーサーアミノ酸には、ロイシン(L)、アラニン(A)、グリシン(G)、セリン(S)、トレオニン(T)、およびプロリン(P)が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、ペプチド挿入は、N末端に2個のスペーサーアミノ酸を含み、C末端に2個のスペーサーアミノ酸を含む。他の実施形態では、ペプチド挿入は、N末端に2個のスペーサーアミノ酸を含み、C末端に1個のスペーサーアミノ酸を含む。
【0088】
本明細書に開示されるペプチド挿入は、以前に説明されておらず、かつ/またはAAVキャプシドに挿入されていない。理論に束縛されることを意図するものではないが、開示されるペプチド挿入のうちのいずれかの存在は、霊長類網膜の前面の細胞外マトリックスへの結合を低下させる可能性のあるヘパリン硫酸に対する変異キャプシドの親和性を低下させるように作用し得る。加えて、本明細書に開示されるペプチド挿入モチーフは、細胞表面受容体結合ドメインの添加による霊長類網膜細胞の形質導入の増強をもたらし得る。
【0089】
いくつかの好ましい実施形態では、挿入ペプチドは、以下の式のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
【0090】
いくつかの態様では、挿入ペプチドは、式1aの長さ7〜10アミノ酸のペプチドであり得、
Y
1Y
2X
1X
2X
3X
4X
5X
6X
7Y
3
式中、Y
1〜Y
3の各々は、存在する場合、独立して、Ala、Leu、Gly、Ser、Thr、Proから選択され、
X
1は、Gln、Asn、His、Ile、およびAlaから選択され、
X
2は、Ala、Gln、Asp、Ser、Lys、およびProから選択され、
X
3は、Asp、Ile、Thr、およびAsnから選択され、
X
4は、Thr、Ser、Tyr、Gln、Glu、およびAlaから選択され、
X
5は、Thr、Lys、およびAsnから選択され、
X
6は、Lys、Asn、およびGluから選択され、
X
7は、Asn、Thr、Ile、His、Asp、およびAlaから選択される。
【0091】
ある特定の実施形態では、式1aの挿入ペプチドは、QADTTKN(配列番号13)、ISDQTKH(配列番号14)、ASDSTKA(配列番号15)、NQDYTKT(配列番号16)、HDITKNI(配列番号17)、HPDTTKN(配列番号18)、HQDTTKN(配列番号19)、NKTTNKD(配列番号20)、ISNENEH(配列番号21)、およびQANANEN(配列番号22)から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0092】
他の態様では、挿入ペプチドは、式1bの長さ7〜10アミノ酸のペプチドであり得、
Y
1Y
2X
1X
2X
3X
4X
5X
6X
7Y
3
式中、Y
1〜Y
3の各々は、存在する場合、独立して、Ala、Leu、Gly、Ser、Thr、Proから選択され、
X
1は、Gln、Asn、His、およびIleから選択され、
X
2は、Ala、Gln、Asp、およびSerから選択され、
X
3は、AspおよびIleから選択され、
X
4は、Thr、Tyr、およびGlnから選択され、
X
5は、ThrおよびLysから選択され、
X
6は、LysおよびAsnから選択され、
X
7は、Asn、Thr、Ile、およびHisから選択される。
【0093】
ある特定の実施形態では、式1bの挿入ペプチドは、QADTTKN(配列番号13)、ISDQTKH(配列番号14)、NQDYTKT(配列番号16)、HDITKNI(配列番号17)、およびHQDTTKN(配列番号19)から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0094】
他の態様では、挿入ペプチドは、式1cの長さ7〜10アミノ酸のペプチドであり得、
Y
1Y
2X
1X
2AspX
3ThrLysX
4Y
3
式中、Y
1〜Y
3の各々は、存在する場合、独立して、Ala、Leu、Gly、Ser、Thr、Proから選択され、
X
1は、Gln、Asn、His、およびIleから選択され、
X
2は、Ala、Gln、およびSerから選択され、
X
3は、Thr、Tyr、およびGlnから選択され、
X
4は、Asn、Thr、およびHisから選択される。
【0095】
ある特定の実施形態では、式1cの挿入ペプチドは、QADTTKN(配列番号13)、ISDQTKH(配列番号14)、NQDYTKT(配列番号16)、およびHQDTTKN(配列番号19)から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0096】
他の態様では、挿入ペプチドは、式1dの長さ7〜10アミノ酸のペプチドであり得、
Y
1Y
2X
1X
2AspX
3ThrThrX
4Y
3
式中、Y
1〜Y
3の各々は、存在する場合、独立して、Ala、Leu、Gly、Ser、Thr、Proから選択され、
X
1は、GlnおよびIleから選択され、
X
2は、AlaおよびSerから選択され、
X
3は、ThrおよびGlnから選択され、
X
4は、AsnおよびHisから選択される。
【0097】
ある特定の実施形態では、式1dの挿入ペプチドは、QADTTKN(配列番号13)およびISDQTKH(配列番号14)から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0098】
他の態様では、挿入ペプチドは、式Ieの長さ7〜11アミノ酸のペプチドであり得、
Y
1Y
2X
1X
2AsnX
3AsnGluX
4Y
3
式中、Y
1〜Y
3の各々は、存在する場合、独立して、Ala、Leu、Gly、Ser、Thr、Proから選択され、
X
1は、GlnおよびIleから選択され、
X
2は、AlaおよびSerから選択され、
X
3は、GluおよびAlaから選択され、
X
4は、AsnおよびHisから選択される。
【0099】
他の実施形態では、式1eの挿入ペプチドは、ISNENEH(配列番号21)およびQANANEN(配列番号22)から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0100】
さらに別の実施形態では、挿入ペプチドは、式IIaの長さ7〜11アミノ酸のペプチドであり得、
Y
1Y
2X
1X
2DX
3TKX
4Y
3
式中、Y
1〜Y
3の各々は、存在する場合、独立して、Ala、Leu、Gly、Ser、Thr、Proから選択され、
X
1は、Q、N、A、H、およびIから選択され、
X
2は、Q、A、P、およびSから選択され、
X
3は、T、Y、S、およびQから選択され、
X
4は、T、N、A、およびHから選択される。
【0101】
式X
1X
2DX
3TKX
4のアミノ酸配列のペプチド挿入のさらなる実施形態では、ペプチド挿入は、QADTTKN(配列番号13)、ISDQTKH(配列番号14)、ASDSTKA、NQDYTKT(配列番号16)、HQDTTKN(配列番号19)、およびHPDTTKN(配列番号18)からなる群から選択される。
【0102】
いくつかのそのような実施形態では、挿入ペプチドは、式IIbの長さ7〜11アミノ酸のペプチドであり得、
Y
1Y
2X
1X
2DX
3TKX
4Y
3
【0103】
式中、Y
1〜Y
3の各々は、存在する場合、独立して、Ala、Leu、Gly、Ser、Thr、Proから選択され、
X
1は、N、A、およびHから選択され、
X
2は、Q、P、およびSから選択され、
X
3は、T、Y、およびSから選択され、
X
4は、T、N、およびAから選択される。
【0104】
式X
1X
2DX
3TKX
4のアミノ酸配列のペプチド挿入のさらなる実施形態では、ペプチド挿入は、ASDSTKA、NQDYTKT(配列番号16)、HQDTTKN(配列番号19)、およびHPDTTKN(配列番号18)からなる群から選択される。
【0105】
他の実施形態では、挿入ペプチドは、KDRAPST(配列番号26)、TNRTSPD(配列番号24)、PNSTHGS(配列番号25)、およびGKSKVID(配列番号23)から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0106】
いくつかの実施形態では、挿入ペプチドは、ASDSTKA(配列番号15)、QANANEN(配列番号22)、QADTTKN(配列番号13)、ISDQTKH(配列番号14)、NQDYTKT(配列番号16)、HDITKNI(配列番号17)、HPDTTKN(配列番号18)、HQDTTKN(配列番号19)、NKTTNKD(配列番号20)、ISNENEH(配列番号21)、GKSKVID(配列番号23)、TNRTSPD(配列番号24)、PNSTHGS(配列番号25)、およびKDRAPST(配列番号26)から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0107】
他の好ましい実施形態では、挿入ペプチドは、QADTTKN(配列番号13)、ISDQTKH(配列番号14)、ASDSTKA(配列番号15)、NQDYTKT(配列番号16)、HDITKNI(配列番号17)、HPDTTKN(配列番号18)、HQDTTKN(配列番号19)、NKTTNKD(配列番号20)、ISNENEH(配列番号21)、QANANEN(配列番号22)、GKSKVID(配列番号23)、TNRTSPD(配列番号24)、PNSTHGS(配列番号25)、およびKDRAPST(配列番号26)から選択されるアミノ酸配列のアミノ末端および/またはカルボキシル末端に1〜3個のスペーサーアミノ酸(Y
1〜Y
3)を有する。ある特定のそのような実施形態では、挿入ペプチドは、LAQADTTKNA(配列番号27)、LAISDQTKHA(配列番号28)、LGISDQTKHA(配列番号29)、LAASDSTKAA(配列番号30)、LANQDYTKTA(配列番号31)、LAHDITKNIA(配列番号32)、LAHPDTTKNA(配列番号33)、LAHQDTTKNA(配列番号34)、LANKTTNKDA(配列番号35)、LPISNENEHA(配列番号36)、LPQANANENA(配列番号37)、LAGKSKVIDA(配列番号38)、LATNRTSPDA(配列番号39)、LAPNSTHGSA(配列番号40)、およびLAKDRAPSTA(配列番号41)からなる群から選択される。
【0108】
いくつかの実施形態では、主題の変異AAVキャプシドタンパク質は、GHループまたはループIVにおける約5アミノ酸〜約20アミノ酸のペプチド挿入以外、いずれの他のアミノ酸配列修飾も含まない。例えば、いくつかの実施形態では、主題の変異AAVキャプシドタンパク質は、QADTTKN(配列番号13)、ISDQTKH(配列番号14)、ASDSTKA(配列番号15)、NQDYTKT(配列番号16)、HDITKNI(配列番号17)、HPDTTKN(配列番号18)、HQDTTKN(配列番号19)、NKTTNKD(配列番号20)、ISNENEH(配列番号21)、QANANEN(配列番号22)、GKSKVID(配列番号23)、TNRTSPD(配列番号24)、PNSTHGS(配列番号25)、KDRAPST(配列番号26)、LAQADTTKNA(配列番号27)、LAISDQTKHA(配列番号28)、LGISDQTKHA(配列番号29)、LAASDSTKAA(配列番号30)、LANQDYTKTA(配列番号31)、LAHDITKNIA(配列番号32)、LAHPDTTKNA(配列番号33)、LAHQDTTKNA(配列番号34)、LANKTTNKDA(配列番号35)、LPISNENEHA(配列番号36)、LPQANANENA(配列番号37)、LAGKSKVIDA(配列番号38)、LATNRTSPDA(配列番号39)、LAPNSTHGSA(配列番号40)、およびLAKDRAPSTA(配列番号41)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むペプチド挿入を含み、いずれの他のアミノ酸置換、挿入、または欠失も含まない(すなわち、変異AAVキャプシドタンパク質は、該挿入部を含み、他の点では対応するAAVキャプシドタンパク質と同一である)。換言すれば、該挿入を含む変異AAVキャプシドタンパク質は、他の点では、ペプチドが挿入された親AAVキャプシドタンパク質と同一である。別の例として、主題の変異AAVキャプシドタンパク質は、QADTTKN(配列番号13)、ISDQTKH(配列番号14)、ASDSTKA(配列番号15)、NQDYTKT(配列番号16)、HDITKNI(配列番号17)、HPDTTKN(配列番号18)、HQDTTKN(配列番号19)、NKTTNKD(配列番号20)、ISNENEH(配列番号21)、QANANEN(配列番号22)、GKSKVID(配列番号23)、TNRTSPD(配列番号24)、PNSTHGS(配列番号25)、KDRAPST(配列番号26)、LAQADTTKNA(配列番号27)、LAISDQTKHA(配列番号28)、LGISDQTKHA(配列番号29)、LAASDSTKAA(配列番号30)、LANQDYTKTA(配列番号31)、LAHDITKNIA(配列番号32)、LAHPDTTKNA(配列番号33)、LAHQDTTKNA(配列番号34)、LANKTTNKDA(配列番号35)、LPISNENEHA(配列番号36)、LPQANANENA(配列番号37)、LAGKSKVIDA(配列番号38)、LATNRTSPDA(配列番号39)、LAPNSTHGSA(配列番号40)、およびLAKDRAPSTA(配列番号41)から選択されるアミノ酸配列を有するペプチド挿入を含み、ペプチド挿入は、AAV2キャプシドのVP1のアミノ酸587と588との間または別の親AAVのVP1の対応するアミノ酸間、例えば、AAV1、AAV3A、AAV3B、AAV6、またはAAV9のVP1のアミノ酸588と589との間、AAV4のVP1のアミノ酸586と587との間、AAV5のVP1のアミノ酸577と578との間、AAV7のVP1のアミノ酸589と590との間、AAV8またはAAV10のVP1のアミノ酸590と591との間などに位置し、変異AAVキャプシドタンパク質配列は、他の点では、対応する親AAVキャプシドタンパク質配列、例えば配列番号1〜12のうちのいずれかと同一である。
【0109】
他の実施形態では、本明細書に開示されているかまたは当該分野で既知であるようにペプチド挿入をGHループに含むことに加えて、主題の変異AAVキャプシドタンパク質は、親AAVキャプシドタンパク質と比較して、約1〜約100個のアミノ酸置換または欠失、例えば、1〜約5、約2〜約4、約2〜約5、約5〜約10、約10〜約15、約15〜約20、約20〜約25、約25〜50、約50〜100個のアミノ酸置換または欠失を含む。したがって、いくつかの実施形態では、主題の変異キャプシドタンパク質は、対応する親AAVキャプシド、例えば、配列番号1〜12に示される野生型キャプシドタンパク質に対して、85%以上、90%以上、95%以上、または98%以上、例えばまたは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0110】
さらなる実施形態では、1つ以上のアミノ酸置換は、ペプチドの挿入前の付番により、AAV2 VP1キャプシドタンパク質のアミノ酸残基(複数可)1、15、34、57、66、81、101、109、144、164、176、188、196、226、236、240、250、312、363、368、449、456、463、472、484、524、535、551、593、698、708、719、721、および/もしくは735、または別のAAVキャプシドタンパク質の対応するアミノ酸残基(複数可)にある。いくつかのそのような実施形態では、1つ以上のアミノ酸置換は、ペプチドの挿入前の付番により、AAV2 VP1キャプシドタンパク質のM1L、L15P、P34A、N57D、N66K、R81Q、Q101R、S109T、R144K、R144M、Q164K、T176P、L188I、S196Y、G226E、G236V、I240T、P250S、N312K、P363L、D368H、N449D、T456K、S463Y、D472N、R484C、A524T、P535S、N551S、A593E、I698V、V708I、V719M、S721L、およびL735Q、または別のAAVキャプシドタンパク質の対応するアミノ酸残基(複数可)からなる群から選択される。
【0111】
好ましい実施形態では、a)キャプシドタンパク質のGHループにおけるペプチド挿入であって、ISDQTKH(配列番号14)、LGISDQTKHA(配列番号14)、およびLAISDQTKHA(配列番号28)から選択されるアミノ酸配列を含む、ペプチド挿入と、b)AAV2(配列番号2)のアミノ酸配列と比較した以下のアミノ酸置換のうちの1つ以上、または別のAAV親血清型(すなわち、AAV2以外)における対応する置換であって、置換されたアミノ酸(複数可)が、対応する位置において天然に存在しない、置換と、を含む、変異AAVキャプシドタンパク質が提供される:M1L、L15P、P34A、N57D、N66K、R81Q、Q101R、S109T、R144K、R144M、Q164K、T176P、L188I、S196Y、G226E、G236V、I240T、P250S、N312K、P363L、D368H、N449D、T456K、S463Y、D472N、R484C、A524T、P535S、N551S、A593E、I698V、V708I、V719M、S721L、L735Q、およびそれらの組み合わせ。いくつかの実施形態では、1つ以上のアミノ酸置換は、M1L+L15P+P535S、P34A、P34A+S721L、N57D、N66K、R81Q、Q101R、S109T、R144K、R144M、Q164K、Q164K+V708I、T176P、L188I、S196Y、G226E、G236V、I240T、N312K、N312K+N449D+D472N+N551S+I698V+L735Q、P363L、R484C+V708I、T456K、およびV708Iからなる群から選択される。好ましくは、ペプチド挿入部位は、AAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間または別のAAV血清型のキャプシドタンパク質の対応する位置に位置する。
【0112】
特に好ましい実施形態では、変異AAVキャプシドは、アミノ酸配列ISDQTKH(配列番号14)を含むか、またはAAV2のVP1のアミノ酸587と588との間もしくは別のAAVキャプシドの対応するアミノ酸間のアミノ酸配列LAISDQTKHA(配列番号28)もしくはLGISDQTKHA(配列番号29)を含むか、本質的にそれらからなるか、もしくはそれらからなる、ペプチド挿入物を含み、さらに、AAV2キャプシドのアミノ酸配列(配列番号2)に対する残基34または別のAAVキャプシドの対応する残基にP34Aアミノ酸置換を含む。変異AAVキャプシドは、配列番号2に示されるアミノ酸配列または対応する親AAVキャプシドの全長に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%以上のアミノ酸配列同一性を有し得る。特に好ましい実施形態では、変異AAVキャプシドは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%の配列同一性を有するか、またはそれと100%同一である:
MAADGYLPDWLEDTLSEGIRQWWKLKPGPPPPK
AAERHKDDSRGLVLPGYKYLGPFNGLDKGEPVNEADAAALEHDKAYDRQLDSGDNPYLKYNHADAEFQERLKEDTSFGGNLGRAVFQAKKRVLEPLGLVEEPVKTAPGKKRPVEHSPVEPDSSSGTGKAGQQPARKRLNFGQTGDADSVPDPQPLGQPPAAPSGLGTNTMATGSGAPMADNNEGADGVGNSSGNWHCDSTWMGDRVITTSTRTWALPTYNNHLYKQISSQSGASNDNHYFGYSTPWGYFDFNRFHCHFSPRDWQRLINNNWGFRPKRLNFKLFNIQVKEVTQNDGTTTIANNLTSTVQVFTDSEYQLPYVLGSAHQGCLPPFPADVFMVPQYGYLTLNNGSQAVGRSSFYCLEYFPSQMLRTGNNFTFSYTFEDVPFHSSYAHSQSLDRLMNPLIDQYLYYLSRTNTPSGTTTQSRLQFSQAGASDIRDQSRNWLPGPCYRQQRVSKTSADNNNSEYSWTGATKYHLNGRDSLVNPGPAMASHKDDEEKFFPQSGVLIFGKQGSEKTNVDIEKVMITDEEEIRTTNPVATEQYGSVSTNLQRGN
LAISDQTKHARQAATADVNTQGVLPGMVWQDRDVYLQGPIWAKIPHTDGHFHPSPLMGGFGLKHPPPQILIKNTPVPANPSTTFSAAKFASFITQYSTGQVSVEIEWELQKENSKRWNPEIQYTSNYNKSVNVDFTVDTNGVYSEPRPIGTRYLTRNL(配列番号42)
【0113】
別の特に好ましい実施形態では、変異AAVキャプシドは、アミノ酸配列ISDQTKH(配列番号14)を含むか、またはAAV2キャプシドタンパク質のアミノ酸587と588との間、もしくは別のAAV血清型のキャプシドタンパク質の対応する位置のアミノ酸配列LAISDQTKHA(配列番号28)もしくはLGISDQTKHA(配列番号29)を含むか、本質的にそれからなるか、もしくはそれからなる、ペプチド挿入を含み、AAV2キャプシド(配列番号2)のアミノ酸配列と比較したN312Kアミノ酸置換、または別のAAV親血清型における対応する置換を含み、任意選択で、AAV2キャプシドのアミノ酸配列と比較したN449D、D472N、N551S、I698V、および/またはL735Qアミノ酸置換、または別のAAV親血清型における対応する置換をさらに含む。別の特に好ましい実施形態では、変異AAVキャプシドは、アミノ酸配列ISDQTKH(配列番号14)を含むか、またはAAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間、もしくは別のAAV血清型のキャプシドタンパク質における対応する位置のアミノ酸配列LAISDQTKHA(配列番号28)またはLGISDQTKHA(配列番号29)を含むか、本質的にそれからなるか、もしくはそれらからなる、ペプチド挿入物を含み、AAV2キャプシド(配列番号2)のアミノ酸配列と比較した、N312K、N449D、D472N、N551S、I698V、およびL735Qアミノ酸置換、または別のAAV親血清型の対応する残基における置換を含む。変異AAVキャプシドは、配列番号2に示されるアミノ酸配列の全長に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%以上のアミノ酸配列同一性を有し得る。特に好ましい実施形態では、変異AAVキャプシドは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%の配列同一性を有するか、またはそれと100%同一である:
MAADGYLPDWLEDTLSEGIRQWWKLKPGPPPPKPAERHKDDSRGLVLPGYKYLGPFNGLDKGEPVNEADAAALEHDKAYDRQLDSGDNPYLKYNHADAEFQERLKEDTSFGGNLGRAVFQAKKRVLEPLGLVEEPVKTAPGKKRPVEHSPVEPDSSSGTGKAGQQPARKRLNFGQTGDADSVPDPQPLGQPPAAPSGLGTNTMATGSGAPMADNNEGADGVGNSSGNWHCDSTWMGDRVITTSTRTWALPTYNNHLYKQISSQSGASNDNHYFGYSTPWGYFDFNRFHCHFSPRDWQRLINNNWGFRPKRL
KFKLFNIQVKEVTQNDGTTTIANNLTSTVQVFTDSEYQLPYVLGSAHQGCLPPFPADVFMVPQYGYLTLNNGSQAVGRSSFYCLEYFPSQMLRTGNNFTFSYTFEDVPFHSSYAHSQSLDRLMNPLIDQYLYYLSRT
DTPSGTTTQSRLQFSQAGASDIR
NQSRNWLPGPCYRQQRVSKTSADNNNSEYSWTGATKYHLNGRDSLVNPGPAMASHKDDEEKFFPQSGVLIFGKQGSEKT
SVDIEKVMITDEEEIRTTNPVATEQYGSVSTNLQRGN
LAISDQTKHARQAATADVNTQGVLPGMVWQDRDVYLQGPIWAKIPHTDGHFHPSPLMGGFGLKHPPPQILIKNTPVPANPSTTFSAAKFASFITQYSTGQVSVEIEWELQKENSKRWNPE
VQYTSNYNKSVNVDFTVDTNGVYSEPRPIGTRYLTRN
Q(配列番号43)
【0114】
別の実施形態では、a)AAV1、AAV3A、AAV3B、AAV6、またはAAV9のVP1のアミノ酸588と589、AAV4のアミノ酸586と587、AAV5のアミノ酸577と578、AAV7のアミノ酸589と590、またはAAV8もしくはAAV10のアミノ酸590と591との間に位置し、ISDQTKH(配列番号14)、LGISDQTKHA(配列番号29)、およびLAISDQTKHA(配列番号28)から選択されるアミノ酸配列を含む、ペプチド挿入と、b)AAV3AまたはAAV3Bのアミノ酸709におけるバリンからイソロイシンへの置換、AAV1またはAAV6の709位におけるアラニンからイソロイシンへの置換、AAV4のアミノ酸707またはAAV9のアミノ酸709におけるアスパラギンからイソロイシンへの置換、あるいはAAV7のアミノ酸710またはAAV8もしくはAAV10のアミノ酸711におけるトレオニンからイソロイシンへの置換、あるいはAAV5のアミノ酸697におけるグルタミンからイソロイシンへの置換と、を含み、任意選択で、他の点では、配列番号1および3〜12のうちのいずれか1つと同一である、変異AAVキャプシドタンパク質が提供される。好ましい実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、a)アミノ酸配列ISDQTKH(配列番号14)を含むか、またはAAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間のアミノ酸配列LAISDQTKHA(配列番号28)もしくはLGISDQTKHA(配列番号29)を含むか、本質的にそれからなるか、もしくはそれからなる、ペプチド挿入物と、b)AAV2のアミノ酸配列と比較したアミノ酸708におけるバリンからイソロイシンへのアミノ酸置換と、を含み、2〜5個、5〜10個、または10〜15個のアミノ酸置換を含む。
【0115】
さらに別の実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、a)アミノ酸配列ISDQTKH(配列番号14)を含むか、またはAAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間のアミノ酸配列LAISDQTKHA(配列番号28)もしくはLGISDQTKHA(配列番号29)を含むか、本質的にそれからなるか、もしくはそれからなる、ペプチド挿入物と、b)AAV2のアミノ酸配列と比較したアミノ酸708におけるバリンからイソロイシンへのアミノ酸置換と、を含み、他の点では、配列番号2のアミノ酸配列と同一である。
【0116】
さらに別の実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、a)アミノ酸配列ISDQTKH(配列番号14)を含むか、またはAAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間のアミノ酸配列LAISDQTKHA(配列番号28)もしくはLGISDQTKHA(配列番号29)を含むか、本質的にそれからなるか、もしくはそれからなる、ペプチド挿入物を含み、他の点では、配列番号2のアミノ酸配列と同一である。いくつかの実施形態では、変異AAVキャプシドは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%の配列同一性を有するか、またはそれと100%同一である:
MAADGYLPDWLEDTLSEGIRQWWKLKPGPPPPKPAERHKDDSRGLVLPGYKYLGPFNGLDKGEPVNEADAAALEHDKAYDRQLDSGDNPYLKYNHADAEFQERLKEDTSFGGNLGRAVFQAKKRVLEPLGLVEEPVKTAPGKKRPVEHSPVEPDSSSGTGKAGQQPARKRLNFGQTGDADSVPDPQPLGQPPAAPSGLGTNTMATGSGAPMADNNEGADGVGNSSGNWHCDSTWMGDRVITTSTRTWALPTYNNHLYKQISSQSGASNDNHYFGYSTPWGYFDFNRFHCHFSPRDWQRLINNNWGFRPKRLNFKLFNIQVKEVTQNDGTTTIANNLTSTVQVFTDSEYQLPYVLGSAHQGCLPPFPADVFMVPQYGYLTLNNGSQAVGRSSFYCLEYFPSQMLRTGNNFTFSYTFEDVPFHSSYAHSQSLDRLMNPLIDQYLYYLSRTNTPSGTTTQSRLQFSQAGASDIRDQSRNWLPGPCYRQQRVSKTSADNNNSEYSWTGATKYHLNGRDSLVNPGPAMASHKDDEEKFFPQSGVLIFGKQGSEKTNVDIEKVMITDEEEIRTTNPVATEQYGSVSTNLQRGN
LGISDQTKHARQAATADVNTQGVLPGMVWQDRDVYLQGPIWAKIPHTDGHFHPSPLMGGFGLKHPPPQILIKNTPVPANPSTTFSAAKFASFITQYSTGQVSVEIEWELQKENSKRWNPEIQYTSNYNKSVNVDFTVDTNGVYSEPRPIGTRYLTRNL(配列番号44)
【0117】
好ましい実施形態では、a)キャプシドタンパク質のGHループにおけるペプチド挿入であって、QADTTKN(配列番号13)およびLAQADTTKNA(配列番号27)から選択されるアミノ酸配列を含む、ペプチド挿入と、b)AAV2(配列番号2)のアミノ酸配列と比較した以下のアミノ酸置換のうちの1つ以上、または別のAAV親血清型(すなわち、AAV2以外)における対応する置換であって、置換されたアミノ酸(複数可)が、対応する位置において天然に存在しない、置換と、を含む、変異AAVキャプシドタンパク質が提供される:M1L、L15P、P34A、N57D、N66K、R81Q、Q101R、S109T、R144K、R144M、Q164K、T176P、L188I、S196Y、G226E、G236V、I240T、P250S、N312K、P363L、D368H、N449D、T456K、S463Y、D472N、R484C、A524T、P535S、N551S、A593E、I698V、V719M、S721L、L735Q、およびそれらの組み合わせ、好ましくはS109T、P250S、A524T、A593E、I698V、V708I、および/またはV719Mから選択される。ペプチド挿入部位は、好ましくは、AAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間または別のAAV血清型のキャプシドタンパク質の対応する位置に位置する。特に好ましい実施形態では、変異AAVキャプシドは、アミノ酸配列QADTTKN(配列番号13)を含むか、またはAAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間、もしくは別のAAV血清型のキャプシドタンパク質の対応する位置のアミノ酸配列LAQADTTKNA(配列番号27)を含むか、本質的にそれからなるか、もしくはそれからなる、ペプチド挿入を含み、AAV2キャプシドのアミノ酸配列と比較したI698Vアミノ酸置換、または別のAAV親血清型における対応する置換を含み、置換されたアミノ酸(複数可)は対応する位置において天然に存在しない。変異AAVキャプシドは、配列番号2に示されるアミノ酸配列の全長に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%以上のアミノ酸配列同一性を有し得る。いくつかの実施形態では、対応するアミノ酸置換は、AAV3A、AAV3B、またはAAV9キャプシドのアミノ酸配列と比較したI699Vアミノ酸置換、AAV5キャプシドのアミノ酸配列と比較したI687V置換、AAV7のアミノ酸配列と比較したI700V置換、AAV8またはAAV10のアミノ酸配列と比較したI701V置換である。特に好ましい実施形態では、変異AAVキャプシドは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%の配列同一性を有するか、またはそれと100%同一である:
MAADGYLPDWLEDTLSEGIRQWWKLKPGPPPPKPAERHKDDSRGLVLPGYKYLGPFNGLDKGEPVNEADAAALEHDKAYDRQLDSGDNPYLKYNHADAEFQERLKEDTSFGGNLGRAVFQAKKRVLEPLGLVEEPVKTAPGKKRPVEHSPVEPDSSSGTGKAGQQPARKRLNFGQTGDADSVPDPQPLGQPPAAPSGLGTNTMATGSGAPMADNNEGADGVGNSSGNWHCDSTWMGDRVITTSTRTWALPTYNNHLYKQISSQSGASNDNHYFGYSTPWGYFDFNRFHCHFSPRDWQRLINNNWGFRPKRLNFKLFNIQVKEVTQNDGTTTIANNLTSTVQVFTDSEYQLPYVLGSAHQGCLPPFPADVFMVPQYGYLTLNNGSQAVGRSSFYCLEYFPSQMLRTGNNFTFSYTFEDVPFHSSYAHSQSLDRLMNPLIDQYLYYLSRTNTPSGTTTQSRLQFSQAGASDIRDQSRNWLPGPCYRQQRVSKTSADNNNSEYSWTGATKYHLNGRDSLVNPGPAMASHKDDEEKFFPQSGVLIFGKQGSEKTNVDIEKVMITDEEEIRTTNPVATEQYGSVSTNLQRGN
LAQADTTKNARQAATADVNTQGVLPGMVWQDRDVYLQGPIWAKIPHTDGHFHPSPLMGGFGLKHPPPQILIKNTPVPANPSTTFSAAKFASFITQYSTGQVSVEIEWELQKENSKRWNPE
VQYTSNYNKSVNVDFTVDTNGVYSEPRPIGTRYLTRNL(配列番号45)
【0118】
他の好ましい実施形態では、変異AAVキャプシドは、アミノ酸配列QADTTKN(配列番号13)を含むか、またはAAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間、もしくは別のAAV血清型のキャプシドタンパク質の対応する位置のアミノ酸配列LAQADTTKNA(配列番号27)を含むか、本質的にそれからなるか、もしくはそれからなる、ペプチド挿入を含み、AAV2のアミノ酸配列と比較したV719Mアミノ酸置換および任意選択のV708I置換、または別のAAV親血清型における対応する置換を含み、置換されたアミノ酸(複数可)は対応する位置において天然に存在しない。
【0119】
別の実施形態では、a)AAV1、AAV3A、AAV3B、AAV6、またはAAV9のVP1のアミノ酸588と589、AAV4のアミノ酸586と587、AAV5のアミノ酸577と578、AAV7のアミノ酸589と590、またはAAV8もしくはAAV10のアミノ酸590と591との間に位置し、QADTTKN(配列番号13)およびLAQADTTKNA(配列番号27)から選択されるアミノ酸配列を含む、ペプチド挿入と、b)AAV3AまたはAAV3Bのアミノ酸709におけるバリンからイソロイシンへの置換、AAV1またはAAV6の709位におけるアラニンからイソロイシンへの置換、AAV4のアミノ酸707またはAAV9のアミノ酸709におけるアスパラギンからイソロイシンへの置換、あるいはAAV7のアミノ酸710またはAAV8もしくはAAV10のアミノ酸711におけるトレオニンからイソロイシンへの置換、あるいはAAV5のアミノ酸697におけるグルタミンからイソロイシンへの置換と、を含む、変異AAVキャプシドタンパク質が提供される。別の実施形態では、a)AAV1、AAV3A、AAV3B、AAV6、またはAAV9のVP1のアミノ酸588と589、AAV4のアミノ酸586と587、AAV5のアミノ酸577と578、AAV7のアミノ酸589と590、またはAAV8もしくはAAV10のアミノ酸590と591との間に位置し、QADTTKN(配列番号13)およびLAQADTTKNA(配列番号27)から選択されるアミノ酸配列を含む、ペプチド挿入と、b)AAV1、AAV3A、AAV3B、AAV4、AAV7、AAV8、AAV9、もしくはAAV10のアミノ酸配列と比較して109位における、またはAAV5もしくはAAV6のアミノ酸配列と比較して108位におけるセリンからトレオニンへのアミノ酸置換と、を含む、変異AAVキャプシドタンパク質が提供される。好ましい実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、アミノ酸配列QADTTKN(配列番号13)を含むか、またはAAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間のアミノ酸配列LAQADTTKNA(配列番号27)を含むか、本質的にそれからなるか、もしくはそれからなる、ペプチド挿入物を含み、b)AAV2のアミノ酸配列と比較した、アミノ酸109におけるセリンからトレオニンへの置換(S109T)またはアミノ酸708におけるバリンからイソロイシンへのアミノ酸置換(V708I)を含み、1〜5個、5〜10個、または10〜15個のアミノ酸置換を含み、好ましくは、配列番号2に示されるアミノ酸配列の全長に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%以上アミノ酸配列同一性である。他の好ましい実施形態では、変異AAVキャプシドは、アミノ酸配列QADTTKN(配列番号13)を含むか、またはAAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間、もしくは別のAAV血清型のキャプシドタンパク質の対応する位置のアミノ酸配列LAQADTTKNA(配列番号27)を含むか、本質的にそれからなるか、もしくはそれからなる、ペプチド挿入を含み、AAV2のアミノ酸配列と比較したアミノ酸109でのセリンからトレオニンへの置換およびアミノ酸708でのバリンからイソロイシンへのアミノ酸置換を含む。
【0120】
さらに別の実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、アミノ酸配列QADTTKN(配列番号13)を含むか、またはAAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間のアミノ酸配列LAQADTTKNA(配列番号27)を含むか、本質的にそれからなるか、もしくはそれからなる、ペプチド挿入と、b)少なくとも1つのアミノ酸置換と、を含み、変異キャプシドのアミノ酸配列は、AAV2のアミノ酸配列と比較したアミノ酸708でのバリンからイソロイシンへのアミノ酸置換を含まず、AAV2のアミノ酸配列と比較したアミノ酸109でのセリンからトレオニンへの置換を含まない。
【0121】
さらに別の実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、a)AAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間に、アミノ酸配列QADTTKN(配列番号13)を含むか、またはアミノ酸配列LAQADTTKNA(配列番号27)を含むか、本質的にそれからなるか、もしくはそれからなる、ペプチド挿入を含み、他の点では、配列番号2のアミノ酸配列と同一である。
【0122】
別の好ましい実施形態では、a)キャプシドタンパク質のGHループにおけるペプチド挿入であって、HDITKNI(配列番号17)、IAHDITKNIA(配列番号60)、LAHDITKNIA(配列番号32)から選択されるアミノ酸配列を含む、ペプチド挿入と、b)AAV2(配列番号2)のアミノ酸配列と比較した以下のアミノ酸置換のうちの1つ以上、または別のAAV親血清型(すなわち、AAV2以外)における対応する置換であって、置換されたアミノ酸(複数可)が、対応する位置において天然に存在しない、置換と、を含む、変異AAVキャプシドタンパク質が提供される:M1L、L15P、P34A、N57D、N66K、R81Q、Q101R、S109T、R144K、R144M、Q164K、T176P、L188I、S196Y、G226E、G236V、I240T、P250S、N312K、P363L、D368H、R389S、N449D、T456K、S463Y、D472N、R484C、A524T、P535S、N551S、A593E、I698V、V708I、V719M、S721L、L735Q、およびそれらの組み合わせ。いくつかの実施形態では、AAVキャプシドタンパク質は、S109T、R389S、A593E、および/またはV708Iから選択される1つ以上のアミノ酸置換を含む。好ましくは、ペプチド挿入部位は、AAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間または別のAAV血清型のキャプシドタンパク質の対応する位置に位置する。1つの好ましい実施形態では、変異AAVキャプシドは、アミノ酸配列HDITKNI(配列番号17)を含むか、またはAAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間のアミノ酸配列IAHDITKNIA(配列番号60)またはLAHDITKNIA(配列番号32)を含むか、本質的にそれからなるか、もしくはそれからなる、ペプチド挿入を含み、AAV2キャプシドのアミノ酸配列と比較したS109Tアミノ酸置換、または別のAAV親血清型における対応する置換を含む。変異AAVキャプシドは、配列番号2に示されるアミノ酸配列の全長に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%以上のアミノ酸配列同一性を有し得る。
【0123】
さらに別の実施形態では、変異キャプシドは、a)AAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間に、アミノ酸配列HDITKNI(配列番号17)を含むか、またはアミノ酸配列IAHDITKNIA(配列番号60)もしくはLAHDITKNIA(配列番号32)を含むか、本質的にそれからなるか、もしくはそれからなる、ペプチド挿入を含み、他の点では、配列番号2に示されるアミノ酸配列と同一である。いくつかの実施形態では、変異AAVキャプシドは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%の配列同一性を有するか、またはそれと100%同一である:
MAADGYLPDWLEDTLSEGIRQWWKLKPGPPPPKPAERHKDDSRGLVLPGYKYLGPFNGLDKGEPVNEADAAALEHDKAYDRQLDSGDNPYLKYNHADAEFQERLKEDTSFGGNLGRAVFQAKKRVLEPLGLVEEPVKTAPGKKRPVEHSPVEPDSSSGTGKAGQQPARKRLNFGQTGDADSVPDPQPLGQPPAAPSGLGTNTMATGSGAPMADNNEGADGVGNSSGNWHCDSTWMGDRVITTSTRTWALPTYNNHLYKQISSQSGASNDNHYFGYSTPWGYFDFNRFHCHFSPRDWQRLINNNWGFRPKRLNFKLFNIQVKEVTQNDGTTTIANNLTSTVQVFTDSEYQLPYVLGSAHQGCLPPFPADVFMVPQYGYLTLNNGSQAVGRSSFYCLEYFPSQMLRTGNNFTFSYTFEDVPFHSSYAHSQSLDRLMNPLIDQYLYYLSRTNTPSGTTTQSRLQFSQAGASDIRDQSRNWLPGPCYRQQRVSKTSADNNNSEYSWTGATKYHLNGRDSLVNPGPAMASHKDDEEKFFPQSGVLIFGKQGSEKTNVDIEKVMITDEEEIRTTNPVATEQYGSVSTNLQRGN
LAHDITKNIARQAATADVNTQGVLPGMVWQDRDVYLQGPIWAKIPHTDGHFHPSPLMGGFGLKHPPPQILIKNTPVPANPSTTFSAAKFASFITQYSTGQVSVEIEWELQKENSKRWNPEIQYTSNYNKSVNVDFTVDTNGVYSEPRPIGTRYLTRNL(配列番号46)
【0124】
他の実施形態では、変異キャプシドは、AAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間のアミノ酸配列LAHDITKNIAを含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる、ペプチド挿入と、b)少なくとも1つのアミノ酸置換と、を含み、変異キャプシドのアミノ酸配列は、AAV2のアミノ酸配列と比較したアミノ酸708でのバリンからイソロイシンへのアミノ酸置換を含まない。さらに他の実施形態では、変異キャプシドは、a)AAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間に、アミノ酸配列DITKNIA(配列番号61)を含むか、またはアミノ酸配列IAHDITKNIA(配列番号60)もしくはLAHDITKNIA(配列番号32)を含むか、本質的にそれからなるか、もしくはそれからなる、ペプチド挿入と、b)AAV2のアミノ酸配列と比較したV708Iと、を含む。他の実施形態では、変異キャプシドは、AAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間のアミノ酸配列LAHDITKNIA(配列番号32)を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる、ペプチド挿入と、b)2つ以上のアミノ酸置換と、を含み、変異キャプシドのアミノ酸配列は、AAV2のアミノ酸配列と比較したアミノ酸708でのバリンからイソロイシンへのアミノ酸置換を含む。
【0125】
別の好ましい実施形態では、a)キャプシドタンパク質のGHループにおけるペプチド挿入であって、NQDYTKT(配列番号16)およびLANQDYTKTA(配列番号31)から選択されるアミノ酸配列を含む、ペプチド挿入と、b)AAV2(配列番号2)のアミノ酸配列と比較した以下のアミノ酸置換のうちの1つ以上、または別のAAV親血清型(すなわち、AAV2以外)における対応する置換であって、置換されたアミノ酸(複数可)が、対応する位置において天然に存在しない、置換と、を含む、変異AAVキャプシドタンパク質が提供される:M1L、L15P、P34A、N57D、N66K、R81Q、Q101R、S109T、R144K、R144M、Q164K、T176P、L188I、S196Y、G226E、G236V、I240T、P250S、P363L、D368H、N449D、T456K、S463Y、D472N、R484C、A524T、P535S、N551S、A593E、I698V、V708I、V719M、S721L、L735Q、およびそれらの組み合わせ。いくつかの実施形態では、AAVキャプシドタンパク質は、S109T、S109T+S463Y、D368H、およびV708Iから選択される1つ以上のアミノ酸置換を含む。好ましくは、ペプチド挿入部位は、AAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間または別のAAV血清型のキャプシドタンパク質の対応する位置に位置する。1つの好ましい実施形態では、変異AAVキャプシドは、アミノ酸配列NQDYTKT(配列番号16)を含むか、またはAAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間のアミノ酸配列LANQDYTKTA(配列番号31)を含むか、本質的にそれからなるか、もしくはそれからなる、ペプチド挿入を含み、AAV2キャプシドのアミノ酸配列と比較したV708Iアミノ酸置換、または別のAAV親血清型における対応する置換を含む。変異AAVキャプシドは、配列番号2に示されるアミノ酸配列の全長に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%以上のアミノ酸配列同一性を有し得る。さらに別の実施形態では、変異キャプシドは、a)AAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間に、アミノ酸配列NQDYTKT(配列番号16)を含むか、またはアミノ酸配列LANQDYTKTA(配列番号31)を含むか、本質的にそれからなるか、もしくはそれからなる、ペプチド挿入を含み、他の点では、配列番号2に示されるアミノ酸配列と同一である。いくつかの実施形態では、変異AAVキャプシドは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%の配列同一性を有するか、またはそれと100%同一である:
MAADGYLPDWLEDTLSEGIRQWWKLKPGPPPPKPAERHKDDSRGLVLPGYKYLGPFNGLDKGEPVNEADAAALEHDKAYDRQLDSGDNPYLKYNHADAEFQERLKEDTSFGGNLGRAVFQAKKRVLEPLGLVEEPVKTAPGKKRPVEHSPVEPDSSSGTGKAGQQPARKRLNFGQTGDADSVPDPQPLGQPPAAPSGLGTNTMATGSGAPMADNNEGADGVGNSSGNWHCDSTWMGDRVITTSTRTWALPTYNNHLYKQISSQSGASNDNHYFGYSTPWGYFDFNRFHCHFSPRDWQRLINNNWGFRPKRLNFKLFNIQVKEVTQNDGTTTIANNLTSTVQVFTDSEYQLPYVLGSAHQGCLPPFPADVFMVPQYGYLTLNNGSQAVGRSSFYCLEYFPSQMLRTGNNFTFSYTFEDVPFHSSYAHSQSLDRLMNPLIDQYLYYLSRTNTPSGTTTQSRLQFSQAGASDIRDQSRNWLPGPCYRQQRVSKTSADNNNSEYSWTGATKYHLNGRDSLVNPGPAMASHKDDEEKFFPQSGVLIFGKQGSEKTNVDIEKVMITDEEEIRTTNPVATEQYGSVSTNLQRGN
LANQDYTKTARQAATADVNTQGVLPGMVWQDRDVYLQGPIWAKIPHTDGHFHPSPLMGGFGLKHPPPQILIKNTPVPANPSTTFSAAKFASFITQYSTGQVSVEIEWELQKENSKRWNPEIQYTSNYNKSVNVDFTVDTNGVYSEPRPIGTRYLTRNL(配列番号47)
【0126】
他の実施形態では、変異キャプシドは、a)AAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間に、アミノ酸配列NQDYTKT(配列番号16)を含むか、またはアミノ酸配列LANQDYTKTA(配列番号31)を含むか、本質的にそれからなるか、もしくはそれからなる、ペプチド挿入と、b)配列番号2の配列と比較したS109Tアミノ酸置換、および任意選択のS463Yアミノ酸置換と、を含み、配列番号2に示されるアミノ酸配列の全長と、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%同一である。関連する実施形態では、変異キャプシドは、a)AAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間に、アミノ酸配列NQDYTKT(配列番号16)を含むか、またはアミノ酸配列LANQDYTKTA(配列番号31)を含むか、本質的にそれからなるか、もしくはそれからなる、ペプチド挿入と、b)配列番号2のアミノ酸配列と比較したS109Tアミノ酸置換と、を含み、他の点では、配列番号2のアミノ酸配列と同一である。
【0127】
別の実施形態では、a)AAV1、AAV3A、AAV3B、AAV6、またはAAV9のVP1のアミノ酸588と589、AAV4のアミノ酸586と587、AAV5のアミノ酸577と578、AAV7のアミノ酸589と590、またはAAV8もしくはAAV10のアミノ酸590と591との間に位置し、NQDYTKT(配列番号16)およびLANQDYTKTA(配列番号31)から選択されるアミノ酸配列を含む、ペプチド挿入と、b)AAV1またはAAV6のアミノ酸配列と比較した313位もしくはAAV9のアミノ酸配列と比較した314位におけるアスパラギンからリジンへのアミノ酸置換、あるいはAAV3AもしくはAAV3Bの312位またはAAV8もしくはAAV10の315位におけるセリンからリジンへの置換、あるいはAAV4もしくはAAV5の303位またはAAV7の314位におけるアルギニンからリジンへの置換と、を含む、変異AAVキャプシドタンパク質が提供される。別の実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、a)NQDYTKT(配列番号16)を含むか、またはAAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間のアミノ酸配列LANQDYTKTA(配列番号31)を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる、ペプチド挿入物と、b)N312Kアミノ酸置換と、を含み、1〜5個、5〜10個、または10〜15個のアミノ酸置換を含む。
【0128】
別の実施形態では、a)キャプシドタンパク質のGHループにおけるペプチド挿入であって、PNSTHGS(配列番号25)およびLAPNSTHGSA(配列番号40)から選択されるアミノ酸配列を含む、ペプチド挿入と、b)AAV2(配列番号2)のアミノ酸配列と比較した以下のアミノ酸置換のうちの1つ以上、または別のAAV親血清型(すなわち、AAV2以外)における対応する置換であって、置換されたアミノ酸(複数可)が、対応する位置において天然に存在しない、置換と、を含む、変異AAVキャプシドタンパク質が提供される:M1L、L15P、P34A、N57D、N66K、R81Q、Q101R、S109T、R144K、R144M、Q164K、T176P、L188I、S196Y、G226E、G236V、I240T、P250S、N312K、P363L、D368H、N449D、T456K、S463Y、D472N、R484C、A524T、P535S、N551S、A593E、I698V、V708I、V719M、S721L、L735Q、およびそれらの組み合わせ。好ましくは、ペプチド挿入部位は、AAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間または別のAAV血清型のキャプシドタンパク質の対応する位置に位置する。1つの好ましい実施形態では、変異AAVキャプシドは、アミノ酸配列PNSTHGS(配列番号25)を含むか、またはAAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間のアミノ酸配列LAPNSTHGSA(配列番号40)を含むか、本質的にそれからなるか、もしくはそれからなる、ペプチド挿入を含み、AAV2キャプシドのアミノ酸配列と比較したV708Iアミノ酸置換、または別のAAV親血清型における対応する置換を含む。変異AAVキャプシドは、配列番号2に示されるアミノ酸配列の全長に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%以上のアミノ酸配列同一性を有し得る。さらに別の実施形態では、変異キャプシドは、a)AAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間に、アミノ酸配列PNSTHGS(配列番号25)を含むか、またはアミノ酸配列LAPNSTHGSA(配列番号40)を含むか、本質的にそれからなるか、もしくはそれからなる、ペプチド挿入を含み、他の点では、配列番号2に示されるアミノ酸配列と同一である。いくつかの実施形態では、変異AAVキャプシドは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%の配列同一性を有するか、またはそれと100%同一である:
MAADGYLPDWLEDTLSEGIRQWWKLKPGPPPPKPAERHKDDSRGLVLPGYKYLGPFNGLDKGEPVNEADAAALEHDKAYDRQLDSGDNPYLKYNHADAEFQERLKEDTSFGGNLGRAVFQAKKRVLEPLGLVEEPVKTAPGKKRPVEHSPVEPDSSSGTGKAGQQPARKRLNFGQTGDADSVPDPQPLGQPPAAPSGLGTNTMATGSGAPMADNNEGADGVGNSSGNWHCDSTWMGDRVITTSTRTWALPTYNNHLYKQISSQSGASNDNHYFGYSTPWGYFDFNRFHCHFSPRDWQRLINNNWGFRPKRLNFKLFNIQVKEVTQNDGTTTIANNLTSTVQVFTDSEYQLPYVLGSAHQGCLPPFPADVFMVPQYGYLTLNNGSQAVGRSSFYCLEYFPSQMLRTGNNFTFSYTFEDVPFHSSYAHSQSLDRLMNPLIDQYLYYLSRTNTPSGTTTQSRLQFSQAGASDIRDQSRNWLPGPCYRQQRVSKTSADNNNSEYSWTGATKYHLNGRDSLVNPGPAMASHKDDEEKFFPQSGVLIFGKQGSEKTNVDIEKVMITDEEEIRTTNPVATEQYGSVSTNLQRGN
LAPNSTHGSARQAATADVNTQGVLPGMVWQDRDVYLQGPIWAKIPHTDGHFHPSPLMGGFGLKHPPPQILIKNTPVPANPSTTFSAAKFASFITQYSTGQVSVEIEWELQKENSKRWNPEIQYTSNYNKSVNVDFTVDTNGVYSEPRPIGTRYLTRNL(配列番号48)
【0129】
別の実施形態では、a)キャプシドタンパク質のGHループにおけるペプチド挿入であって、NKTTNKDA(配列番号62)およびLANKTTNKDA(配列番号35)から選択されるアミノ酸配列を含む、ペプチド挿入と、b)AAV2(配列番号2)のアミノ酸配列と比較した以下のアミノ酸置換のうちの1つ以上、または別のAAV親血清型(すなわち、AAV2以外)における対応する置換であって、置換されたアミノ酸(複数可)が、対応する位置において天然に存在しない、置換と、を含む、変異AAVキャプシドタンパク質が提供される:M1L、L15P、P34A、N57D、N66K、R81Q、Q101R、S109T、R144K、R144M、Q164K、T176P、L188I、S196Y、G226E、G236V、I240T、P250S、N312K、P363L、D368H、N449D、T456K、S463Y、D472N、R484C、A524T、P535S、N551S、A593E、I698V、V708I、V719M、S721L、L735Q、およびそれらの組み合わせ。好ましくは、ペプチド挿入部位は、AAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間または別のAAV血清型のキャプシドタンパク質の対応する位置に位置する。1つの好ましい実施形態では、変異AAVキャプシドは、アミノ酸配列NKTTNKDA(配列番号62)を含むか、またはAAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間のアミノ酸配列LANKTTNKDA(配列番号35)を含むか、本質的にそれからなるか、もしくはそれからなる、ペプチド挿入を含み、AAV2キャプシドのアミノ酸配列と比較したN449Dアミノ酸置換、または別のAAV親血清型における対応する置換を含む。変異AAVキャプシドは、配列番号2に示されるアミノ酸配列の全長に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%以上のアミノ酸配列同一性を有し得る。さらに別の実施形態では、変異キャプシドは、a)AAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間に、アミノ酸配列NKTTNKDA(配列番号62)を含むか、またはアミノ酸配列LANKTTNKDA(配列番号35)を含むか、本質的にそれからなるか、もしくはそれからなる、ペプチド挿入を含み、他の点では、配列番号2に示されるアミノ酸配列と同一である。いくつかの実施形態では、変異AAVキャプシドは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%の配列同一性を有するか、またはそれと100%同一である:
MAADGYLPDWLEDTLSEGIRQWWKLKPGPPPPKPAERHKDDSRGLVLPGYKYLGPFNGLDKGEPVNEADAAALEHDKAYDRQLDSGDNPYLKYNHADAEFQERLKEDTSFGGNLGRAVFQAKKRVLEPLGLVEEPVKTAPGKKRPVEHSPVEPDSSSGTGKAGQQPARKRLNFGQTGDADSVPDPQPLGQPPAAPSGLGTNTMATGSGAPMADNNEGADGVGNSSGNWHCDSTWMGDRVITTSTRTWALPTYNNHLYKQISSQSGASNDNHYFGYSTPWGYFDFNRFHCHFSPRDWQRLINNNWGFRPKRLNFKLFNIQVKEVTQNDGTTTIANNLTSTVQVFTDSEYQLPYVLGSAHQGCLPPFPADVFMVPQYGYLTLNNGSQAVGRSSFYCLEYFPSQMLRTGNNFTFSYTFEDVPFHSSYAHSQSLDRLMNPLIDQYLYYLSRTNTPSGTTTQSRLQFSQAGASDIRDQSRNWLPGPCYRQQRVSKTSADNNNSEYSWTGATKYHLNGRDSLVNPGPAMASHKDDEEKFFPQSGVLIFGKQGSEKTNVDIEKVMITDEEEIRTTNPVATEQYGSVSTNLQRGN
LANKTTNKDARQAATADVNTQGVLPGMVWQDRDVYLQGPIWAKIPHTDGHFHPSPLMGGFGLKHPPPQILIKNTPVPANPSTTFSAAKFASFITQYSTGQVSVEIEWELQKENSKRWNPEIQYTSNYNKSVNVDFTVDTNGVYSEPRPIGTRYLTRNL(配列番号49)
【0130】
別の実施形態では、a)キャプシドタンパク質のGHループにおけるペプチド挿入であって、TNRTSPD(配列番号24)およびLATNRTSPDA(配列番号39)から選択されるアミノ酸配列を含む、ペプチド挿入と、b)AAV2(配列番号2)のアミノ酸配列と比較した以下のアミノ酸置換のうちの1つ以上、または別のAAV親血清型(すなわち、AAV2以外)における対応する置換であって、置換されたアミノ酸(複数可)が、対応する位置において天然に存在しない、置換と、を含む、変異AAVキャプシドタンパク質が提供される:M1L、L15P、P34A、N57D、N66K、R81Q、Q101R、S109T、R144K、R144M、Q164K、T176P、L188I、S196Y、G226E、G236V、I240T、P250S、N312K、P363L、D368H、N449D、T456K、S463Y、D472N、R484C、A524T、P535S、N551S、A593E、I698V、V719M、S721L、L735Q、およびそれらの組み合わせ。好ましくは、ペプチド挿入部位は、AAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間または別のAAV血清型のキャプシドタンパク質の対応する位置に位置する。関連する実施形態では、a)AAV1、AAV3A、AAV3B、AAV6、またはAAV9のVP1のアミノ酸588と589、AAV4のアミノ酸586と587、AAV5のアミノ酸577と578、AAV7のアミノ酸589と590、またはAAV8もしくはAAV10のアミノ酸590と591との間に位置し、TNRTSPD(配列番号24)およびLATNRTSPDA(配列番号39)から選択されるアミノ酸配列を含む、ペプチド挿入と、b)AAV3AまたはAAV3Bのアミノ酸709におけるバリンからイソロイシンへの置換、AAV1またはAAV6の709位におけるアラニンからイソロイシンへの置換、AAV4のアミノ酸707またはAAV9のアミノ酸709におけるアスパラギンからイソロイシンへの置換、あるいはAAV7のアミノ酸710またはAAV8もしくはAAV10のアミノ酸711におけるトレオニンからイソロイシンへの置換、あるいはAAV5のアミノ酸697におけるグルタミンからイソロイシンへの置換と、を含む、変異AAVキャプシドタンパク質が提供される。他の実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、a)AAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間のアミノ酸配列LATNRTSPDA(配列番号39)を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる、ペプチド挿入物と、b)AAV2のアミノ酸配列と比較したアミノ酸708におけるバリンからイソロイシンへのアミノ酸置換と、を含み、1〜5個、5〜10個、または10〜15個のアミノ酸置換を含む。さらに別の実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、a)AAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間のアミノ酸配列TNRTSPD(配列番号24)を含むペプチド挿入と、b)AAV2のアミノ酸配列と比較したアミノ酸708におけるバリンからイソロイシンへのアミノ酸置換と、を含む。変異AAVキャプシドは、配列番号2に示されるアミノ酸配列の全長に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%以上のアミノ酸配列同一性を有し得る。
【0131】
さらに別の実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、a)AAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間に、アミノ酸配列TNRTSPD(配列番号24)を含むか、またはアミノ酸配列LATNRTSPDA(配列番号39)を含むか、本質的にそれからなるか、もしくはそれからなる、ペプチド挿入を含み、他の点では、配列番号2のアミノ酸配列と同一である。いくつかの実施形態では、変異AAVキャプシドは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%の配列同一性を有するか、またはそれと100%同一である:
MAADGYLPDWLEDTLSEGIRQWWKLKPGPPPPKPAERHKDDSRGLVLPGYKYLGPFNGLDKGEPVNEADAAALEHDKAYDRQLDSGDNPYLKYNHADAEFQERLKEDTSFGGNLGRAVFQAKKRVLEPLGLVEEPVKTAPGKKRPVEHSPVEPDSSSGTGKAGQQPARKRLNFGQTGDADSVPDPQPLGQPPAAPSGLGTNTMATGSGAPMADNNEGADGVGNSSGNWHCDSTWMGDRVITTSTRTWALPTYNNHLYKQISSQSGASNDNHYFGYSTPWGYFDFNRFHCHFSPRDWQRLINNNWGFRPKRLNFKLFNIQVKEVTQNDGTTTIANNLTSTVQVFTDSEYQLPYVLGSAHQGCLPPFPADVFMVPQYGYLTLNNGSQAVGRSSFYCLEYFPSQMLRTGNNFTFSYTFEDVPFHSSYAHSQSLDRLMNPLIDQYLYYLSRTNTPSGTTTQSRLQFSQAGASDIRDQSRNWLPGPCYRQQRVSKTSADNNNSEYSWTGATKYHLNGRDSLVNPGPAMASHKDDEEKFFPQSGVLIFGKQGSEKTNVDIEKVMITDEEEIRTTNPVATEQYGSVSTNLQRGN
LATNRTSPDARQAATADVNTQGVLPGMVWQDRDVYLQGPIWAKIPHTDGHFHPSPLMGGFGLKHPPPQILIKNTPVPANPSTTFSAAKFASFITQYSTGQVSVEIEWELQKENSKRWNPEIQYTSNYNKSVNVDFTVDTNGVYSEPRPIGTRYLTRNL(配列番号50)
【0132】
別の実施形態では、a)キャプシドタンパク質のGHループにおけるペプチド挿入であって、GKSKVID(配列番号23)およびLAGKSKVIDA(配列番号38)から選択されるアミノ酸配列を含む、ペプチド挿入と、b)AAV2(配列番号2)のアミノ酸配列と比較した以下のアミノ酸置換のうちの1つ以上、または別のAAV親血清型(すなわち、AAV2以外)における対応する置換であって、置換されたアミノ酸(複数可)が、対応する位置において天然に存在しない、置換と、を含む、変異AAVキャプシドタンパク質が提供される:M1L、L15P、P34A、N57D、N66K、R81Q、Q101R、S109T、R144K、R144M、Q164K、T176P、L188I、S196Y、G226E、G236V、I240T、P250S、N312K、P363L、D368H、N449D、T456K、S463Y、D472N、R484C、A524T、P535S、N551S、A593E、I698V、V708I、V719M、S721L、L735Q、およびそれらの組み合わせ。好ましくは、ペプチド挿入部位は、AAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間または別のAAV血清型のキャプシドタンパク質の対応する位置に位置する。変異AAVキャプシドは、配列番号2に示されるアミノ酸配列の全長に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%以上のアミノ酸配列同一性を有し得る。いくつかの実施形態では、変異AAVキャプシドは、アミノ酸配列GKSKVID(配列番号23)を含むか、またはアミノ酸配列LAGKSKVIDA(配列番号38)を含むか、本質的にそれからなるか、もしくはそれからなる、AAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間に位置するペプチド挿入を含み、他の点では配列番号2のアミノ酸配列と同一である。他の実施形態では、変異AAVキャプシドは、a)AAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間のアミノ酸配列LAGKSKVIDA(配列番号38)を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなる、ペプチド挿入物を含み、かつ少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、変異AAVキャプシドは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%の配列同一性を有するか、またはそれと100%同一である:
MAADGYLPDWLEDTLSEGIRQWWKLKPGPPPPKPAERHKDDSRGLVLPGYKYLGPFNGLDKGEPVNEADAAALEHDKAYDRQLDSGDNPYLKYNHADAEFQERLKEDTSFGGNLGRAVFQAKKRVLEPLGLVEEPVKTAPGKKRPVEHSPVEPDSSSGTGKAGQQPARKRLNFGQTGDADSVPDPQPLGQPPAAPSGLGTNTMATGSGAPMADNNEGADGVGNSSGNWHCDSTWMGDRVITTSTRTWALPTYNNHLYKQISSQSGASNDNHYFGYSTPWGYFDFNRFHCHFSPRDWQRLINNNWGFRPKRLNFKLFNIQVKEVTQNDGTTTIANNLTSTVQVFTDSEYQLPYVLGSAHQGCLPPFPADVFMVPQYGYLTLNNGSQAVGRSSFYCLEYFPSQMLRTGNNFTFSYTFEDVPFHSSYAHSQSLDRLMNPLIDQYLYYLSRTNTPSGTTTQSRLQFSQAGASDIRDQSRNWLPGPCYRQQRVSKTSADNNNSEYSWTGATKYHLNGRDSLVNPGPAMASHKDDEEKFFPQSGVLIFGKQGSEKTNVDIEKVMITDEEEIRTTNPVATEQYGSVSTNLQRGN
LAGKSKVIDARQAATADVNTQGVLPGMVWQDRDVYLQGPIWAKIPHTDGHFHPSPLMGGFGLKHPPPQILIKNTPVPANPSTTFSAAKFASFITQYSTGQVSVEIEWELQKENSKRWNPEIQYTSNYNKSVNVDFTVDTNGVYSEPRPIGTRYLTRNL(配列番号51)
【0134】
別の実施形態では、a)キャプシドタンパク質のGHループにおけるペプチド挿入であって、ASDSTKA(配列番号15)およびLAASDSTKAA(配列番号30)から選択されるアミノ酸配列を含む、ペプチド挿入と、b)AAV2(配列番号2)のアミノ酸配列と比較した以下のアミノ酸置換のうちの1つ以上、または別のAAV親血清型(すなわち、AAV2以外)における対応する置換であって、置換されたアミノ酸(複数可)が、対応する位置において天然に存在しない、置換と、を含む、変異AAVキャプシドタンパク質が提供される:M1L、L15P、P34A、N57D、N66K、R81Q、Q101R、S109T、R144K、R144M、Q164K、T176P、L188I、S196Y、G226E、G236V、I240T、P250S、N312K、P363L、D368H、N449D、T456K、S463Y、D472N、R484C、A524T、P535S、N551S、A593E、I698V、V708I、V719M、S721L、L735Q、およびそれらの組み合わせ。好ましくは、ペプチド挿入部位は、AAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間または別のAAV血清型のキャプシドタンパク質の対応する位置に位置する。変異AAVキャプシドは、配列番号2に示されるアミノ酸配列の全長に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%以上のアミノ酸配列同一性を有し得る。さらに別の実施形態では、変異キャプシドは、AAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間に、アミノ酸配列ASDSTKA(配列番号15)を含むか、またはアミノ酸配列LAASDSTKAA(配列番号30)を含むか、本質的にそれからなるか、もしくはそれからなる、ペプチド挿入を含み、他の点では、配列番号2に示されるアミノ酸配列と同一である。いくつかの実施形態では、変異AAVキャプシドは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%の配列同一性を有するか、またはそれと100%同一である:
MAADGYLPDWLEDTLSEGIRQWWKLKPGPPPPKPAERHKDDSRGLVLPGYKYLGPFNGLDKGEPVNEADAAALEHDKAYDRQLDSGDNPYLKYNHADAEFQERLKEDTSFGGNLGRAVFQAKKRVLEPLGLVEEPVKTAPGKKRPVEHSPVEPDSSSGTGKAGQQPARKRLNFGQTGDADSVPDPQPLGQPPAAPSGLGTNTMATGSGAPMADNNEGADGVGNSSGNWHCDSTWMGDRVITTSTRTWALPTYNNHLYKQISSQSGASNDNHYFGYSTPWGYFDFNRFHCHFSPRDWQRLINNNWGFRPKRLNFKLFNIQVKEVTQNDGTTTIANNLTSTVQVFTDSEYQLPYVLGSAHQGCLPPFPADVFMVPQYGYLTLNNGSQAVGRSSFYCLEYFPSQMLRTGNNFTFSYTFEDVPFHSSYAHSQSLDRLMNPLIDQYLYYLSRTNTPSGTTTQSRLQFSQAGASDIRDQSRNWLPGPCYRQQRVSKTSADNNNSEYSWTGATKYHLNGRDSLVNPGPAMASHKDDEEKFFPQSGVLIFGKQGSEKTNVDIEKVMITDEEEIRTTNPVATEQYGSVSTNLQRGN
LAASDSTKAARQAATADVNTQGVLPGMVWQDRDVYLQGPIWAKIPHTDGHFHPSPLMGGFGLKHPPPQILIKNTPVPANPSTTFSAAKFASFITQYSTGQVSVEIEWELQKENSKRWNPEIQYTSNYNKSVNVDFTVDTNGVYSEPRPIGTRYLTRNL(配列番号52)
【0135】
別の実施形態では、a)キャプシドタンパク質のGHループにおけるペプチド挿入であって、KDRAPST(配列番号26)およびLAKDRAPTSA(配列番号41)から選択されるアミノ酸配列を含む、ペプチド挿入と、b)AAV2(配列番号2)のアミノ酸配列と比較した以下のアミノ酸置換のうちの1つ以上、または別のAAV親血清型(すなわち、AAV2以外)における対応する置換であって、置換されたアミノ酸(複数可)が、対応する位置において天然に存在しない、置換と、を含む、変異AAVキャプシドタンパク質が提供される:M1L、L15P、P34A、N57D、N66K、R81Q、Q101R、S109T、R144K、R144M、Q164K、T176P、L188I、S196Y、G226E、G236V、I240T、P250S、N312K、P363L、D368H、N449D、T456K、S463Y、D472N、R484C、A524T、P535S、N551S、A593E、I698V、V708I、V719M、S721L、L735Q、およびそれらの組み合わせ。好ましくは、ペプチド挿入部位は、AAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間または別のAAV血清型のキャプシドタンパク質の対応する位置に位置する。変異AAVキャプシドは、配列番号2に示されるアミノ酸配列の全長に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%以上のアミノ酸配列同一性を有し得る。さらに別の実施形態では、変異キャプシドは、AAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間に、アミノ酸配列KDRAPST(配列番号26)を含むか、またはアミノ酸配列LAKDRAPTSA(配列番号41)を含むか、本質的にそれからなるか、もしくはそれからなる、ペプチド挿入を含み、他の点では、配列番号2に示されるアミノ酸配列と同一である。いくつかの実施形態では、変異AAVキャプシドは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%の配列同一性を有するか、またはそれと100%同一である:
MAADGYLPDWLEDTLSEGIRQWWKLKPGPPPPKPAERHKDDSRGLVLPGYKYLGPFNGLDKGEPVNEADAAALEHDKAYDRQLDSGDNPYLKYNHADAEFQERLKEDTSFGGNLGRAVFQAKKRVLEPLGLVEEPVKTAPGKKRPVEHSPVEPDSSSGTGKAGQQPARKRLNFGQTGDADSVPDPQPLGQPPAAPSGLGTNTMATGSGAPMADNNEGADGVGNSSGNWHCDSTWMGDRVITTSTRTWALPTYNNHLYKQISSQSGASNDNHYFGYSTPWGYFDFNRFHCHFSPRDWQRLINNNWGFRPKRLNFKLFNIQVKEVTQNDGTTTIANNLTSTVQVFTDSEYQLPYVLGSAHQGCLPPFPADVFMVPQYGYLTLNNGSQAVGRSSFYCLEYFPSQMLRTGNNFTFSYTFEDVPFHSSYAHSQSLDRLMNPLIDQYLYYLSRTNTPSGTTTQSRLQFSQAGASDIRDQSRNWLPGPCYRQQRVSKTSADNNNSEYSWTGATKYHLNGRDSLVNPGPAMASHKDDEEKFFPQSGVLIFGKQGSEKTNVDIEKVMITDEEEIRTTNPVATEQYGSVSTNLQRGN
LAKDRAPSTARQAATADVNTQGVLPGMVWQDRDVYLQGPIWAKIPHTDGHFHPSPLMGGFGLKHPPPQILIKNTPVPANPSTTFSAAKFASFITQYSTGQVSVEIEWELQKENSKRWNPEIQYTSNYNKSVNVDFTVDTNGVYSEPRPIGTRYLTRNL(配列番号53)
【0136】
別の実施形態では、a)キャプシドタンパク質のGHループにおけるペプチド挿入であって、HQDTTKN(配列番号19)およびLAHQDTTKNA(配列番号34)から選択されるアミノ酸配列を含む、ペプチド挿入と、b)AAV2(配列番号2)のアミノ酸配列と比較した以下のアミノ酸置換のうちの1つ以上、または別のAAV親血清型(すなわち、AAV2以外)における対応する置換であって、置換されたアミノ酸(複数可)が、対応する位置のうちの1つ以上において天然に存在しない、置換と、を含む、変異AAVキャプシドタンパク質が提供される:M1L、L15P、P34A、N57D、N66K、R81Q、Q101R、S109T、R144K、R144M、Q164K、T176P、L188I、S196Y、G226E、G236V、I240T、P250S、N312K、P363L、D368H、N449D、T456K、S463Y、D472N、R484C、A524T、P535S、N551S、A593E、I698V、V708I、V719M、S721L、L735Q、およびそれらの組み合わせ。好ましくは、ペプチド挿入部位は、AAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間または別のAAV血清型のキャプシドタンパク質の対応する位置に位置する。変異AAVキャプシドは、配列番号2に示されるアミノ酸配列の全長に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%以上のアミノ酸配列同一性を有し得る。さらに別の実施形態では、変異キャプシドは、AAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間に、アミノ酸配列HQDTTKN(配列番号19)を含むか、またはアミノ酸配列LAHQDTTKNA(配列番号34)を含むか、本質的にそれからなるか、もしくはそれからなる、ペプチド挿入を含み、他の点では、配列番号2に示されるアミノ酸配列と同一である。いくつかの実施形態では、変異AAVキャプシドは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%の配列同一性を有するか、またはそれと100%同一である:
MAADGYLPDWLEDTLSEGIRQWWKLKPGPPPPKPAERHKDDSRGLVLPGYKYLGPFNGLDKGEPVNEADAAALEHDKAYDRQLDSGDNPYLKYNHADAEFQERLKEDTSFGGNLGRAVFQAKKRVLEPLGLVEEPVKTAPGKKRPVEHSPVEPDSSSGTGKAGQQPARKRLNFGQTGDADSVPDPQPLGQPPAAPSGLGTNTMATGSGAPMADNNEGADGVGNSSGNWHCDSTWMGDRVITTSTRTWALPTYNNHLYKQISSQSGASNDNHYFGYSTPWGYFDFNRFHCHFSPRDWQRLINNNWGFRPKRLNFKLFNIQVKEVTQNDGTTTIANNLTSTVQVFTDSEYQLPYVLGSAHQGCLPPFPADVFMVPQYGYLTLNNGSQAVGRSSFYCLEYFPSQMLRTGNNFTFSYTFEDVPFHSSYAHSQSLDRLMNPLIDQYLYYLSRTNTPSGTTTQSRLQFSQAGASDIRDQSRNWLPGPCYRQQRVSKTSADNNNSEYSWTGATKYHLNGRDSLVNPGPAMASHKDDEEKFFPQSGVLIFGKQGSEKTNVDIEKVMITDEEEIRTTNPVATEQYGSVSTNLQRGN
LAHQDTTKNARQAATADVNTQGVLPGMVWQDRDVYLQGPIWAKIPHTDGHFHPSPLMGGFGLKHPPPQILIKNTPVPANPSTTFSAAKFASFITQYSTGQVSVEIEWELQKENSKRWNPEIQYTSNYNKSVNVDFTVDTNGVYSEPRPIGTRYLTRNL(配列番号54)
【0137】
別の実施形態では、a)キャプシドタンパク質のGHループにおけるペプチド挿入であって、ISNENEH(配列番号21)およびLPISNENEHA(配列番号36)から選択されるアミノ酸配列を含む、ペプチド挿入と、b)AAV2(配列番号2)のアミノ酸配列と比較した以下のアミノ酸置換のうちの1つ以上、または別のAAV親血清型(すなわち、AAV2以外)における対応する置換であって、置換されたアミノ酸(複数可)が、対応する位置のうちの1つ以上において天然に存在しない、置換と、を含む、変異AAVキャプシドタンパク質が提供される:M1L、L15P、P34A、N57D、N66K、R81Q、Q101R、S109T、R144K、R144M、Q164K、T176P、L188I、S196Y、G226E、G236V、I240T、P250S、N312K、P363L、D368H、N449D、T456K、S463Y、D472N、R484C、A524T、P535S、N551S、A593E、I698V、V708I、V719M、S721L、L735Q、およびそれらの組み合わせ。好ましくは、ペプチド挿入部位は、AAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間または別のAAV血清型のキャプシドタンパク質の対応する位置に位置する。変異AAVキャプシドは、配列番号2に示されるアミノ酸配列の全長に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%以上のアミノ酸配列同一性を有し得る。さらに別の実施形態では、変異キャプシドは、AAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間に、アミノ酸配列ISNENEH(配列番号21)を含むか、またはアミノ酸配列LPISNENEHA(配列番号36)を含むか、本質的にそれからなるか、もしくはそれからなる、ペプチド挿入を含み、他の点では、配列番号2に示されるアミノ酸配列と同一である。いくつかの実施形態では、変異AAVキャプシドは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%の配列同一性を有するか、またはそれと100%同一である:
MAADGYLPDWLEDTLSEGIRQWWKLKPGPPPPKPAERHKDDSRGLVLPGYKYLGPFNGLDKGEPVNEADAAALEHDKAYDRQLDSGDNPYLKYNHADAEFQERLKEDTSFGGNLGRAVFQAKKRVLEPLGLVEEPVKTAPGKKRPVEHSPVEPDSSSGTGKAGQQPARKRLNFGQTGDADSVPDPQPLGQPPAAPSGLGTNTMATGSGAPMADNNEGADGVGNSSGNWHCDSTWMGDRVITTSTRTWALPTYNNHLYKQISSQSGASNDNHYFGYSTPWGYFDFNRFHCHFSPRDWQRLINNNWGFRPKRLNFKLFNIQVKEVTQNDGTTTIANNLTSTVQVFTDSEYQLPYVLGSAHQGCLPPFPADVFMVPQYGYLTLNNGSQAVGRSSFYCLEYFPSQMLRTGNNFTFSYTFEDVPFHSSYAHSQSLDRLMNPLIDQYLYYLSRTNTPSGTTTQSRLQFSQAGASDIRDQSRNWLPGPCYRQQRVSKTSADNNNSEYSWTGATKYHLNGRDSLVNPGPAMASHKDDEEKFFPQSGVLIFGKQGSEKTNVDIEKVMITDEEEIRTTNPVATEQYGSVSTNLQRGN
LPISNENEHARQAATADVNTQGVLPGMVWQDRDVYLQGPIWAKIPHTDGHFHPSPLMGGFGLKHPPPQILIKNTPVPANPSTTFSAAKFASFITQYSTGQVSVEIEWELQKENSKRWNPEIQYTSNYNKSVNVDFTVDTNGVYSEPRPIGTRYLTRNL(配列番号55)
【0138】
別の実施形態では、a)キャプシドタンパク質のGHループにおけるペプチド挿入であって、QANANEN(配列番号22)およびLPQANANENA(配列番号37)から選択されるアミノ酸配列を含む、ペプチド挿入と、b)AAV2(配列番号2)のアミノ酸配列と比較した以下のアミノ酸置換のうちの1つ以上、または別のAAV親血清型(すなわち、AAV2以外)における対応する置換であって、置換されたアミノ酸(複数可)が、対応する位置において天然に存在しない、置換と、を含む、変異AAVキャプシドタンパク質が提供される:M1L、L15P、P34A、N57D、N66K、R81Q、Q101R、S109T、R144K、R144M、Q164K、T176P、L188I、S196Y、G226E、G236V、I240T、P250S、N312K、P363L、D368H、N449D、T456K、S463Y、D472N、R484C、A524T、P535S、N551S、A593E、I698V、V708I、V719M、S721L、L735Q、およびそれらの組み合わせ。好ましくは、ペプチド挿入部位は、AAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間または別のAAV血清型のキャプシドタンパク質の対応する位置に位置する。変異AAVキャプシドは、配列番号2に示されるアミノ酸配列の全長に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%以上のアミノ酸配列同一性を有し得る。さらに別の実施形態では、変異キャプシドは、AAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間に、アミノ酸配列QANANEN(配列番号22)を含むか、またはアミノ酸配列LPQANANENA(配列番号37)を含むか、本質的にそれからなるか、もしくはそれからなる、ペプチド挿入を含み、他の点では、配列番号2に示されるアミノ酸配列と同一である。いくつかの実施形態では、変異AAVキャプシドは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%の配列同一性を有するか、またはそれと100%同一である:
MAADGYLPDWLEDTLSEGIRQWWKLKPGPPPPKPAERHKDDSRGLVLPGYKYLGPFNGLDKGEPVNEADAAALEHDKAYDRQLDSGDNPYLKYNHADAEFQERLKEDTSFGGNLGRAVFQAKKRVLEPLGLVEEPVKTAPGKKRPVEHSPVEPDSSSGTGKAGQQPARKRLNFGQTGDADSVPDPQPLGQPPAAPSGLGTNTMATGSGAPMADNNEGADGVGNSSGNWHCDSTWMGDRVITTSTRTWALPTYNNHLYKQISSQSGASNDNHYFGYSTPWGYFDFNRFHCHFSPRDWQRLINNNWGFRPKRLNFKLFNIQVKEVTQNDGTTTIANNLTSTVQVFTDSEYQLPYVLGSAHQGCLPPFPADVFMVPQYGYLTLNNGSQAVGRSSFYCLEYFPSQMLRTGNNFTFSYTFEDVPFHSSYAHSQSLDRLMNPLIDQYLYYLSRTNTPSGTTTQSRLQFSQAGASDIRDQSRNWLPGPCYRQQRVSKTSADNNNSEYSWTGATKYHLNGRDSLVNPGPAMASHKDDEEKFFPQSGVLIFGKQGSEKTNVDIEKVMITDEEEIRTTNPVATEQYGSVSTNLQRGN
LPQANANENARQAATADVNTQGVLPGMVWQDRDVYLQGPIWAKIPHTDGHFHPSPLMGGFGLKHPPPQILIKNTPVPANPSTTFSAAKFASFITQYSTGQVSVEIEWELQKENSKRWNPEIQYTSNYNKSVNVDFTVDTNGVYSEPRPIGTRYLTRNL(配列番号56)
【0139】
別の実施形態では、a)キャプシドタンパク質のGHループにおけるペプチド挿入であって、HPDTTKN(配列番号18)およびLAHPDTTKNA(配列番号33)から選択されるアミノ酸配列を含む、ペプチド挿入と、b)AAV2(配列番号2)のアミノ酸配列と比較した以下のアミノ酸置換のうちの1つ以上、または別のAAV親血清型(すなわち、AAV2以外)における対応する置換であって、置換されたアミノ酸(複数可)が、対応する位置において天然に存在しない、置換と、を含む、変異AAVキャプシドタンパク質が提供される:M1L、L15P、P34A、N57D、N66K、R81Q、Q101R、S109T、R144K、R144M、Q164K、T176P、L188I、S196Y、G226E、G236V、I240T、P250S、N312K、P363L、D368H、N449D、T456K、S463Y、D472N、R484C、A524T、P535S、N551S、A593E、I698V、V708I、V719M、S721L、L735Q、およびそれらの組み合わせ。好ましくは、ペプチド挿入部位は、AAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間または別のAAV血清型のキャプシドタンパク質の対応する位置に位置する。変異AAVキャプシドは、配列番号2に示されるアミノ酸配列の全長に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%以上のアミノ酸配列同一性を有し得る。さらに別の実施形態では、変異キャプシドは、AAV2キャプシドのアミノ酸587と588との間に、アミノ酸配列HPDTTKN(配列番号18)を含むか、またはアミノ酸配列LAHPDTTKNA(配列番号33)を含むか、本質的にそれからなるか、もしくはそれからなる、ペプチド挿入を含み、他の点では、配列番号2に示されるアミノ酸配列と同一である。いくつかの実施形態では、変異AAVキャプシドは、以下のアミノ酸配列に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%の配列同一性を有するか、またはそれと100%同一である:
【0140】
MAADGYLPDWLEDTLSEGIRQWWKLKPGPPPPKPAERHKDDSRGLVLPGYKYLGPFNGLDKGEPVNEADAAALEHDKAYDRQLDSGDNPYLKYNHADAEFQERLKEDTSFGGNLGRAVFQAKKRVLEPLGLVEEPVKTAPGKKRPVEHSPVEPDSSSGTGKAGQQPARKRLNFGQTGDADSVPDPQPLGQPPAAPSGLGTNTMATGSGAPMADNNEGADGVGNSSGNWHCDSTWMGDRVITTSTRTWALPTYNNHLYKQISSQSGASNDNHYFGYSTPWGYFDFNRFHCHFSPRDWQRLINNNWGFRPKRLNFKLFNIQVKEVTQNDGTTTIANNLTSTVQVFTDSEYQLPYVLGSAHQGCLPPFPADVFMVPQYGYLTLNNGSQAVGRSSFYCLEYFPSQMLRTGNNFTFSYTFEDVPFHSSYAHSQSLDRLMNPLIDQYLYYLSRTNTPSGTTTQSRLQFSQAGASDIRDQSRNWLPGPCYRQQRVSKTSADNNNSEYSWTGATKYHLNGRDSLVNPGPAMASHKDDEEKFFPQSGVLIFGKQGSEKTNVDIEKVMITDEEEIRTTNPVATEQYGSVSTNLQRGN
LAHPDTTKNARQAATADVNTQGVLPGMVWQDRDVYLQGPIWAKIPHTDGHFHPSPLMGGFGLKHPPPQILIKNTPVPANPSTTFSAAKFASFITQYSTGQVSVEIEWELQKENSKRWNPEIQYTSNYNKSVNVDFTVDTNGVYSEPRPIGTRYLTRNL(配列番号57)。
【0141】
いくつかの態様では、対応する親AAVキャプシドタンパク質に対して1つ以上のアミノ酸置換を含む変異AAVキャプシドタンパク質が提供され、本変異キャプシドタンパク質は、AAVビリオン中に存在する場合に、対応する親AAVキャプシドタンパク質を含むAAVビリオンによる網膜細胞の感染性と比較して、網膜細胞の増加した感染性を付与する。
【0142】
いくつかの実施形態では、変異AAVキャプシドタンパク質は、AAV2キャプシドのアミノ酸配列(配列番号2)と比較したP34Aアミノ酸置換、またはAAV5キャプシドのアミノ酸配列(配列番号6)と比較したP33Aアミノ酸置換を含む。いくつかの好ましい実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、配列番号2または配列番号6に示されるアミノ酸配列の全長に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%以上のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、それぞれAAV2またはAAV5キャプシドのアミノ酸配列と比較したP34AまたはP33Aアミノ酸置換を含む。いくつかの好ましい実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、配列番号2に示されるアミノ酸配列と比較したP34Aアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含み、他の点では配列番号2に示されるアミノ酸配列と同一である。関連する実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、配列番号2のアミノ酸配列と比較したP34Aアミノ酸置換を含み、配列番号2に示されるAAV2キャプシドタンパク質のアミノ酸配列と比較した、1〜5個、5〜10個、または10〜15個のアミノ酸置換を含む。
【0143】
他の実施形態では、変異AAVキャプシドタンパク質は、AAV2キャプシドのアミノ酸配列(配列番号2)と比較したアミノ酸164、または別のAAV親血清型(すなわち、AAV2以外)の対応する位置におけるアミノ酸置換を含み、置換されたアミノ酸は対応する位置において天然に存在しない。いくつかの好ましい実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、配列番号2に示されるアミノ酸配列の全長に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%以上のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、AAV2キャプシドのアミノ酸配列(配列番号2)と比較したアミノ酸164におけるアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、rAAVビリオンは、AAV1、AAV2、もしくはAAV6のアミノ酸配列と比較したアミノ酸164、またはAAV7、AAV8、もしくはAAV10のアミノ酸配列と比較したアミノ酸165におけるグルタミンからリジンへのアミノ酸置換を含むか、あるいはAAV5のアミノ酸160におけるセリンからリジンへの置換を含むか、あるいはAAV9のアミノ酸164におけるアラニンからリジンへの置換を含む。関連する実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、AAV2キャプシドのアミノ酸配列(配列番号2)と比較したアミノ酸164におけるアミノ酸置換(例えば、Q164K)を含み、配列番号2に示されるAAV2キャプシドタンパク質のアミノ酸配列と比較した、1〜5個、5〜10個、または10〜15個のアミノ酸置換を含む。いくつかの好ましい実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、配列番号2に示されるアミノ酸配列と比較したQ164Kアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含み、他の点では配列番号2に示されるアミノ酸配列と同一である。他の実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、AAV2キャプシドのアミノ酸配列(配列番号2)と比較したQ164KおよびV708Iアミノ酸置換、または別のAAV親血清型(すなわち、AAV2以外)中の対応する置換を含み、配列番号2に示されるアミノ酸配列の全長に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%以上のアミノ酸配列同一性である。
【0144】
他の実施形態では、変異AAVキャプシドタンパク質は、AAV2キャプシドのアミノ酸配列(配列番号2)と比較したアミノ酸698、または別のAAV親血清型(すなわち、AAV2以外)の対応する位置におけるアミノ酸置換を含み、置換されたアミノ酸は対応する位置において天然に存在しない。いくつかの好ましい実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、配列番号2に示されるアミノ酸配列の全長に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%以上のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、AAV2キャプシドのアミノ酸配列(配列番号2)と比較したアミノ酸698におけるアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、rAAVビリオンは、AAV2のアミノ酸配列と比較したアミノ酸698、またはAAV3A、AAV3B、もしくはAAV9のアミノ酸配列と比較したアミノ酸699、またはAAV5のアミノ酸687、またはAAV7のアミノ酸700、またはAAV8もしくはAAV10のアミノ酸701における、イソロイシンからバリンへのアミノ酸置換を含む。関連する実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、AAV2キャプシドのアミノ酸配列(配列番号2)と比較したアミノ酸699におけるアミノ酸置換(例えば、I698V)を含み、配列番号2に示されるAAV2キャプシドタンパク質のアミノ酸配列と比較した、1〜5個、5〜10個、または10〜15個のアミノ酸置換を含む。いくつかの好ましい実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、配列番号2に示されるアミノ酸配列と比較したI698Vアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含み、他の点では配列番号2に示されるアミノ酸配列と同一である。
【0145】
他の実施形態では、変異AAVキャプシドタンパク質は、AAV2キャプシドのアミノ酸配列(配列番号2)と比較したアミノ酸109、または別のAAV親血清型(すなわち、AAV2以外)の対応する位置におけるアミノ酸置換を含む。いくつかの好ましい実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、配列番号2に示されるアミノ酸配列の全長に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%以上のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、AAV2キャプシドのアミノ酸配列(配列番号2)と比較したアミノ酸109におけるアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、AAV1、AAV3A、AAV3B、AAV4、AAV7、AAV8、AAV9、もしくはAAV10のアミノ酸配列と比較した109位、またはAAV5もしくはAAV6のアミノ酸配列と比較した108位における、セリンからトレオニンへのアミノ酸置換を含む。関連する実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、アミノ酸配列AAV2と比較したS109Tアミノ酸置換を含み、1〜5個、5〜10個、または10〜15個のアミノ酸置換を含む。他の関連する実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、AAV2のアミノ酸配列と比較したS109Tアミノ酸置換およびA593Eアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、AAV2キャプシドのアミノ酸配列(配列番号2)と比較したS109TおよびA493Vならびに任意選択のA593Eおよび/もしくはV708Iアミノ酸置換、または別のAAV親血清型(すなわち、AAV2以外)中の対応する置換を含み、配列番号2に示されるアミノ酸配列の全長に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%以上のアミノ酸配列同一性を有する。いくつかの好ましい実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、AAV2キャプシドのアミノ酸配列(配列番号2)と比較したS109T、A493V、A593E、およびV708Iアミノ酸置換、または別のAAV親血清型(すなわち、AAV2以外)中の対応する置換を含み、配列番号2に示されるアミノ酸配列の全長に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%以上のアミノ酸配列同一性である。他の好ましい実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、AAV2キャプシドのアミノ酸配列と比較したS109TおよびV708Iアミノ酸置換を含み、配列番号2に示されるアミノ酸配列の全長に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%以上のアミノ酸配列同一性を有し、他の点では、配列番号2のアミノ酸配列と同一である。
【0146】
他の実施形態では、変異AAVキャプシドタンパク質は、AAV2キャプシドのアミノ酸配列(配列番号2)と比較したアミノ酸593、または別のAAV親血清型(すなわち、AAV2以外)の対応する位置におけるアミノ酸置換を含む。いくつかの好ましい実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、配列番号2に示されるアミノ酸配列の全長に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%以上のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、AAV2キャプシドのアミノ酸配列(配列番号2)と比較したアミノ酸593におけるアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、AAV1、AAV3A、AAV6、もしくはAAV9のアミノ酸配列と比較したアミノ酸594、またはAAV5のアミノ酸583、またはAAV8もしくはAAV10のアミノ酸596におけるグリシンからグルタミン酸塩へのアミノ酸置換、あるいはAAV3Bのアミノ酸594におけるアルギニンからグルタミン酸塩へのアミノ酸置換、あるいはAAV4のアミノ酸592におけるアスパラギン酸塩からグルタミン酸塩へのアミノ酸置換、あるいはAAV7の595位におけるグルタミンからグルタミン酸塩へのアミノ酸置換を含む。他の実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、AAV2のアミノ酸配列と比較したA593Eアミノ酸置換を含み、AAV2のアミノ酸配列と比較した以下のアミノ酸置換のうちの1つ以上を含まない:I19V、V369A、K26R、N215D、G355S、V46A、およびS196P。関連する実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、AAV2のアミノ酸配列と比較したA593EおよびN596Dアミノ酸置換を含み、配列番号2に示されるアミノ酸配列の全長に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の同一性を有する。他の実施形態では、変異キャプシドは、AAV2のアミノ酸配列と比較したA593EおよびN596Dアミノ酸置換を含み、他の点では、AAV2のアミノ酸配列と同一である。他の実施形態では、変異キャプシドは、AAV2のアミノ酸配列と比較したA593EおよびV708Iアミノ酸置換を含み、配列番号2に示されるアミノ酸配列の全長に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の同一性を有する。他の実施形態では、変異キャプシドは、AAV2のアミノ酸配列と比較したA593EおよびV708Iアミノ酸置換を含み、他の点では、AAV2のアミノ酸配列と同一である。
【0147】
他の実施形態では、変異AAVキャプシドタンパク質は、AAV2キャプシドのアミノ酸配列(配列番号2)と比較したアミノ酸708、または別のAAV親血清型(すなわち、AAV2以外)の対応する位置におけるアミノ酸置換を含み、置換されたアミノ酸は対応する位置において天然に存在しない。好ましくは、rAAVビリオンは、AAV2と比較したアミノ酸250、または別のAAV親血清型中の対応するアミノ酸におけるプロリンからセリンへの置換を含まない。いくつかの実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、配列番号2に示されるアミノ酸配列の全長に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%以上のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、AAV2キャプシドのアミノ酸配列(配列番号2)と比較したアミノ酸708におけるアミノ酸置換を含む。好ましい実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、AAV2キャプシドのアミノ酸配列と比較したアミノ酸708におけるバリンからイソロイシン(V708I)への置換を含み、配列番号2に示されるアミノ酸配列の全長に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%以上のアミノ酸配列同一性を有するか、あるいは配列番号2のアミノ酸配列と同一であり、P250Sアミノ酸置換を含まない。いくつかの実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、AAV3AまたはAAV3Bのアミノ酸709におけるバリンからイソロイシンへの置換、AAV1またはAAV6の709位におけるアラニンからイソロイシンへの置換、AAV4のアミノ酸707またはAAV9のアミノ酸709におけるアスパラギンからイソロイシンへの置換、あるいはAAV7のアミノ酸710またはAAV8もしくはAAV10のアミノ酸711におけるトレオニンからイソロイシンへの置換、あるいはAAV5のアミノ酸697におけるグルタミンからイソロイシンへの置換を含む。関連する実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、AAV2のアミノ酸配列と比較したV708Iアミノ酸置換を含み、2〜5個、5〜10個、または10〜15個のアミノ酸置換を含み、P250Sアミノ酸置換を含まない。他の実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、V708Iアミノ酸置換を含み、またAAV2のアミノ酸配列と比較したA593Eおよび/またはS109Tアミノ酸置換も含む。他の関連する実施形態では、変異キャプシドは、AAV2のアミノ酸配列と比較したV708IおよびA593Eアミノ酸置換を含み、他の点では、AAV2のアミノ酸配列と同一である。他の関連する実施形態では、変異キャプシドは、AAV2のアミノ酸配列と比較したV708IおよびS109Tアミノ酸置換を含み、他の点では、AAV2のアミノ酸配列と同一である。他の実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、AAV2キャプシドのアミノ酸配列と比較したV708IおよびV719Mアミノ酸置換を含み、配列番号2に示されるアミノ酸配列の全長に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%以上のアミノ酸配列同一性を有するか、あるいは配列番号2のアミノ酸配列と同一である。他の実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、AAV2キャプシドのアミノ酸配列と比較したV708IおよびR733Cアミノ酸置換を含み、配列番号2に示されるアミノ酸配列の全長に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%以上のアミノ酸配列同一性を有するか、あるいは配列番号2のアミノ酸配列と同一である。他の実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、AAV2キャプシドのアミノ酸配列と比較したV708IおよびG727Dアミノ酸置換を含み、配列番号2に示されるアミノ酸配列の全長に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%以上のアミノ酸配列同一性を有するか、あるいは配列番号2のアミノ酸配列と同一である。
【0148】
他の実施形態では、変異AAVキャプシドタンパク質は、AAV2キャプシドのアミノ酸配列(配列番号2)と比較したアミノ酸196、または別のAAV親血清型(すなわち、AAV2以外)の対応する位置におけるアミノ酸置換を含み、置換されたアミノ酸は対応する位置において天然に存在せず、任意選択でプロリン以外である。いくつかの好ましい実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、配列番号2に示されるアミノ酸配列の全長に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%以上のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、AAV2キャプシドのアミノ酸配列(配列番号2)と比較したアミノ酸196におけるアミノ酸置換を含み、任意選択でS196P置換以外である。好ましい実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、AAV2もしくはAAV9のアミノ酸196、またはAAV7、AAV8、もしくはAAV10のアミノ酸197、またはAAV5のアミノ酸186におけるセリンからチロシンへのアミノ酸置換、あるいはAAV1またはAAV6のアミノ酸196におけるアラニンからチロシンへの置換、あるいはAAV4のアミノ酸191におけるメチオニンからチロシンへの置換、あるいはAAV3AまたはAAV3Bのアミノ酸196におけるトレオニンからチロシン置換を含む。関連する実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、配列番号2に示されるアミノ酸配列と比較したS196Yアミノ酸置換を含むアミノ酸配列を含み、他の点では配列番号2に示されるアミノ酸配列と同一である。関連する実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、AAV2キャプシドのアミノ酸配列(配列番号2)と比較したS196P置換以外のアミノ酸196におけるアミノ酸置換を含み(例えば、S196Y置換を含み)、配列番号2に示されるAAV2キャプシドタンパク質のアミノ酸配列と比較した、1〜5個、5〜10個、または10〜15個のアミノ酸置換を含む。
【0149】
他の実施形態では、変異AAVキャプシドタンパク質は、AAV2キャプシドのアミノ酸配列(配列番号2)と比較したアミノ酸175、または別のAAV親血清型(すなわち、AAV2以外)の対応する位置におけるアミノ酸置換を含み、置換されたアミノ酸は対応する位置において天然に存在しない。いくつかの好ましい実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、配列番号2に示されるアミノ酸配列の全長に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%以上のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、AAV2キャプシドのアミノ酸配列(配列番号2)と比較したアミノ酸175におけるアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、変異キャプシドは、配列番号2に示されるAAV2のアミノ酸配列と比較したQ175Hアミノ酸置換、または別のAAV親血清型の対応する位置におけるグルタミンからヒスチジンへの置換を含む。関連する実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、AAV2キャプシドのアミノ酸配列(配列番号2)と比較したアミノ酸175におけるアミノ酸置換(例えば、Q175H)を含み、配列番号2に示されるAAV2キャプシドタンパク質のアミノ酸配列と比較した、1〜5個、5〜10個、または10〜15個のアミノ酸置換を含む。
【0150】
他の実施形態では、変異AAVキャプシドタンパク質は、AAV2キャプシドのアミノ酸配列(配列番号2)と比較したアミノ酸64、または別のAAV親血清型(すなわち、AAV2以外)の対応する位置におけるアミノ酸置換を含み、置換されたアミノ酸は対応する位置において天然に存在しない。いくつかの好ましい実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、配列番号2に示されるアミノ酸配列の全長に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%以上のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、AAV2キャプシドのアミノ酸配列(配列番号2)と比較したアミノ酸64におけるアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、rAAVビリオンは、配列番号2に示されるAAV2のアミノ酸配列と比較したP64Sアミノ酸置換、または別のAAV親血清型の対応する位置におけるプロリンからセリンへの置換を含む。関連する実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、AAV2キャプシドのアミノ酸配列(配列番号2)と比較したアミノ酸64におけるアミノ酸置換(例えば、P64S)を含み、配列番号2に示されるAAV2キャプシドタンパク質のアミノ酸配列と比較した、1〜5個、5〜10個、または10〜15個のアミノ酸置換を含む。
【0151】
他の実施形態では、変異AAVキャプシドタンパク質は、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、10、11、および12からなる群から選択される野生型AAVキャプシド配列と、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含み、かつi)P34A、S109T+V708I、A593E+N596D、V708I+V719M、V708I+G727D、S109T+A493V+A593E+V708I、V708I+R733C、Q164K、およびI698Vからなる群から選択される1つ以上のアミノ酸置換、ならびに/または(ii)QADTTKN(配列番号13)、ISDQTKH(配列番号14)、ASDSTKA(配列番号15)、NQDYTKT(配列番号16)、HDITKNI(配列番号17))、PQANANEN(配列番号63)、TNRTSPD(配列番号24)、PNSTHGS(配列番号25)、KDRAPST(配列番号26)、HQDTTKN(配列番号19)、HPDTTKN(配列番号18)、NKTTNKD(配列番号20)、GKSKVID(配列番号23)、PISNENEH(配列番号64)、LAQADTTKNA(配列番号27)、LAISDQTKHA(配列番号28)、LGISDQTKHA(配列番号29)、LAASDSTKAA(配列番号30)、LAHDITKNIA(配列番号32)、LPQANANENA(配列番号37)、LANQDYTKTA(配列番号31)、LATNRTSPDA(配列番号39)、LAPNSTHGSA(配列番号40)、LAKDRAPSTA(配列番号41)、LAHQDTTKNA(配列番号34)、LAHPDTTKNA(配列番号33)、LANKTTNKDA(配列番号35)、LAGKSKVIDA(配列番号38)、およびLPISNENEHA(配列番号36)からなる群から選択されるペプチド挿入も含む。いくつかの実施形態では、変異AAVキャプシドは、指定の1つ以上のアミノ酸置換および/またはペプチド挿入を含み、他の点では配列番号1〜12からなる群から選択される配列と同一である。
【0152】
いくつかの実施形態では、変異AAVキャプシドタンパク質は祖先キャプシドタンパク質である。先祖キャプシドタンパク質とは、今日自然に見い出されるキャプシドタンパク質の進化的祖先、例えば、今日自然に見い出されるAAVキャプシドタンパク質間の縮退の位置におけるランダムアミノ酸置換によってin silicoで生成される、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh10、AAV11、AAV12、AAV13を意味する。祖先キャプシドの1つの非限定的な例が以下に提供され、ここで、縮退の位置(残基264、266、268、448、459、460、467、470、471、474、495、516、533、547、551、555、557、561、563、577、583、593、596、661、662、664、665、710、717、718、719、723)が「X」としてマークされる:
【0153】
MAADGYLPDWLEDNLSEGIREWWDLKPGAPKPKANQQKQDDGRGLVLPGYKYLGPFNGLDKGEPVNAADAAALEHDKAYDQQLKAGDNPYLRYNHADAEFQERLQEDTSFGGNLGRAVFQAKKRVLEPLGLVEEGAKTAPGKKRPVEPSPQRSPDSSTGIGKKGQQPAKKRLNFGQTGDSESVPDPQPLGEPPAGPSGLGSGTMAAGGGAPMADNNEGADGVGNASGNWHCDSTWLGDRVITTSTRTWALPTYNNHLYKQISSXSXGXTNDNHYFGYSTPWGYFDFNRFHCHFSPRDWQRLINNNWGFRPKRLNFKLFNIQVKEVTTNDGVTTIANNLTSTVQVFSDSEYQLPYVLGSAHQGCLPPFPADVFMIPQYGYLTLNNGSQAVGRSSFYCLEYFPSQMLRTGNNFTFSYTFEDVPFHSSYAHSQSLDRLMNPLIDQYLYYLXRTQSTGGTAGXXELLFSQXGPXXMSXQAKNWLPGPCYRQQRVSKTLXQNNNSNFAWTGATKYHLNGRXSLVNPGVAMATHKDDEXRFFPSSGVLIFGKXGAGXNNTXLXNVMXTXEEEIKTTNPVATEXYGVVAXNLQSSNTAPXTGXVNSQGALPGMVWQNRDVYLQGPIWAKIPHTDGNFHPSPLMGGFGLKHPPPQILIKNTPVPANPPXXFXXAKFASFITQYSTGQVSVEIEWELQKENSKRWNPEIQYTSNYAKSXNVDFAVXXXGVYXEPRPIGTRYLTRNL(配列番号58)
【0154】
いくつかの実施形態では、祖先キャプシドタンパク質は、配列番号58に示されるアミノ酸配列の全長に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%以上のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、祖先キャプシドタンパク質は、例えば配列番号2に示されるAAV2のアミノ酸配列の全長に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%以上のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、祖先キャプシドタンパク質は、配列番号58または配列番号2に開示される祖先配列のアミノ酸配列の全長に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%以上のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、264のアラニン(A)、266のアラニン(A)、268のセリン(S)、448のアラニン(A)、459のトレオニン(T)、460のアルギニン(R)、467のアラニン(A)、470のセリン(S)、471のアスパラギン(N)、474のアラニン(A)、495のセリン(S)、516のアスパラギン(D)、533のアスパラギン(D)、547のグルタミン(Q)、551のアラニン(A)、555のアラニネト(Alaninet)(A)、557のグルタミン酸(E)、561のメチオニン(M)、563のセリン(S)、577のグルタミン(Q)、583のセリン(S)、593のバリン(V)、596のトレオニン(T)、661のアラニン(A)、662のバリン(V)、664のトレオニン(T)、665のプロリン(P)、710のトレオニン(T)、717のアスパラギン酸(D)、718のアスパラギン(N)、719のグルタミン酸(E)、および723のセリン(S)からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸残基を含む。いくつかの好ましい実施形態では、変異キャプシドタンパク質は、以下のアミノ酸配列の全長に対して、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%、いくつかの事例では100%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、264のアラニン(A)、266のアラニン(A)、268のセリン(S)、448のアラニン(A)、459のトレオニン(T)、460のアルギニン(R)、467のアラニン(A)、470のセリン(S)、471のアスパラギン(N)、474のアラニン(A)、495のセリン(S)、516のアスパラギン(D)、533のアスパラギン(D)、547のグルタミン(Q)、551のアラニン(A)、555のアラニン(A)、557のグルタミン酸(E)、561のメチオニン(M)、563のセリン(S)、577のグルタミン(Q)、583のセリン(S)、593のバリン(V)、596のトレオニン(T)、661のアラニン(A)、662のバリン(V)、664のトレオニン(T)、665のプロリン(P)、710のトレオニン(T)、717のアスパラギン酸(D)、718のアスパラギン(N)、719のグルタミン酸(E)、および723のセリン(S)からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸残基を含む:
【0155】
MAADGYLPDWLEDNLSEGIREWWDLKPGAPKPKANQQKQDDGRGLVLPGYKYLGPFNGLDKGEPVNAADAAALEHDKAYDQQLKAGDNPYLRYNHADAEFQERLQEDTSFGGNLGRAVFQAKKRVLEPLGLVEEGAKTAPGKKRPVEPSPQRSPDSSTGIGKKGQQPAKKRLNFGQTGDSESVPDPQPLGEPPAGPSGLGSGTMAAGGGAPMADNNEGADGVGNASGNWHCDSTWLGDRVITTSTRTWALPTYNNHLYKQISSASAGSTNDNHYFGYSTPWGYFDFNRFHCHFSPRDWQRLINNNWGFRPKRLNFKLFNIQVKEVTTNDGVTTIANNLTSTVQVFSDSEYQLPYVLGSAHQGCLPPFPADVFMIPQYGYLTLNNGSQAVGRSSFYCLEYFPSQMLRTGNNFTFSYTFEDVPFHSSYAHSQSLDRLMNPLIDQYLYYLARTQSTGGTAGTRELLFSQAGPSNMSAQAKNWLPGPCYRQQRVSKTLSQNNNSNFAWTGATKYHLNGRDSLVNPGVAMATHKDDEDRFFPSSGVLIFGKQGAGANNTALENVMMTSEEEIKTTNPVATEQYGVVASNLQSSNTAPVTGTVNSQGALPGMVWQNRDVYLQGPIWAKIPHTDGNFHPSPLMGGFGLKHPPPQILIKNTPVPANPPAVFTPAKFASFITQYSTGQVSVEIEWELQKENSKRWNPEIQYTSNYAKSTNVDFAVDNEGVYSEPRPIGTRYLTRNL(配列番号59)。
【0156】
他の実施形態では、変異AAVキャプシドタンパク質は、本明細書では配列番号58として開示される祖先変異体からなる群から選択される野生型AAVキャプシド配列と、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含み、264のアラニン(A)、266のアラニン(A)、268のセリン(S)、448のアラニン(A)、459のトレオニン(T)、460のアルギニン(R)、467のアラニン(A)、470のセリン(S)、471のアスパラギン(N)、474のアラニン(A)、495のセリン(S)、516のアスパラギン(D)、533のアスパラギン(D)、547のグルタミン(Q)、551のアラニン(A)、555のアラニン(A)、557のグルタミン酸(E)、561のメチオニン(M)、563のセリン(S)、577のグルタミン(Q)、583のセリン(S)、593のバリン(V)、596のトレオニン(T)、661のアラニン(A)、662のバリン(V)、664のトレオニン(T)、665のプロリン(P)、710のトレオニン(T)、717のアスパラギン酸(D)、718のアスパラギン(N)、719のグルタミン酸(E)、および723のセリン(S)からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸残基を含み、かつi)P34A、S109T+V708I、A593E+N596D、V708I+V719M、V708I+G727D、S109T+A493V+A593E+V708I、V708I+R733C、Q164K、およびI698Vからなる群から選択される1つ以上のアミノ酸置換、ならびに/または(ii)QADTTKN(配列番号13)、ISDQTKH(配列番号14)、ASDSTKA(配列番号15)、NQDYTKT(配列番号16)、HDITKNI(配列番号17)、PQANANEN(配列番号63)、TNRTSPD(配列番号24)、PNSTHGS(配列番号25)、KDRAPST(配列番号26)、HQDTTKN(配列番号19)、HPDTTKN(配列番号18)、NKTTNKD(配列番号20)、GKSKVID(配列番号23)、PISNENEH(配列番号64)、LAQADTTKNA(配列番号27)、LAISDQTKHA(配列番号28)、LGISDQTKHA(配列番号29)、LAASDSTKAA(配列番号30)、LAHDITKNIA(配列番号32)、LPQANANENA(配列番号37)、LANQDYTKTA(配列番号31)、LATNRTSPDA(配列番号39)、LAPNSTHGSA(配列番号40)、LAKDRAPSTA(配列番号41)、LAHQDTTKNA(配列番号34)、LAHPDTTKNA(配列番号33)、LANKTTNKDA(配列番号35)、LAGKSKVIDA(配列番号38)、およびLPISNENEHA(配列番号36)からなる群から選択されるペプチド挿入も含む。いくつかの実施形態では、変異AAVキャプシドは、指定の1つ以上のアミノ酸置換および/またはペプチド挿入を含み、他の点では配列番号59と同一である。
【0157】
本明細書に開示されるAAV変異体は、硝子体内投与後の霊長類網膜スクリーンの使用を伴うインビボの定向進化の使用によって生成された。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される変異キャプシドタンパク質は、AAVビリオンに存在する場合、対応する親AAVキャプシドタンパク質または野生型AAVを含むAAVビリオンによる網膜細胞の形質導入と比較して網膜細胞の形質導入の増加をもたらす。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に開示される変異キャプシドタンパク質は、AAVビリオンに存在する場合、対応する親AAVキャプシドタンパク質または野生型AAVキャプシドタンパク質を含むAAVビリオンよりも効率的な霊長類網膜細胞の形質導入、例えば、親AAVキャプシドタンパク質または野生型AAVを含むAAVビリオンよりも多い、主題の変異AAVキャプシドタンパク質を含むAAVビリオンの取り込みをもたらす。いくつかのそのような実施形態では、AAV変異ビリオンまたは変異rAAVは、対応する親AAVキャプシドタンパク質を含む野生型AAVビリオンまたはrAAVによる網膜細胞の形質導入と比較して、網膜細胞の形質導入が、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも50倍、または50倍超増加している。ある特定のそのような実施形態では、本明細書に開示される変異キャプシドタンパク質は、AAVビリオンに存在する場合、対応する親AAVキャプシドタンパク質または野生型AAVキャプシドタンパク質を含むAAVビリオンよりも広範な霊長類網膜細胞の形質導入をもたらす。換言すれば、変異AAVビリオンは、対応する親AAVキャプシドタンパク質を含むビリオンによって形質導入されない細胞型、したがって、対応する親AAVビリオンよりも網膜におけるより多くの型の細胞を形質導入する。いくつかの実施形態では、AAV変異ビリオンは、網膜細胞を優先的に形質導入し、例えば、主題のrAAVビリオンは、網膜細胞を、別の網膜細胞または非網膜細胞、例えば、目の外側の細胞と比較して、2倍、5倍、10倍、15倍、20倍、25倍、50倍、または50倍超の特異性で感染させる。いくつかの実施形態では、形質導入された網膜細胞は、光受容細胞(例えば、桿体、錐体)である。いくつかの実施形態では、網膜細胞は、網膜神経節細胞(RGC)である。いくつかの実施形態では、網膜細胞は、網膜上皮細胞(RPE細胞)である。いくつかの実施形態では、網膜細胞は、ミュラーグリア細胞である。いくつかの実施形態では、網膜細胞は、ミクログリア細胞である。いくつかの実施形態では、網膜細胞は、アマクリン細胞である。いくつかの実施形態では、網膜細胞は、双極細胞である。いくつかの実施形態では、網膜細胞は、水平細胞である。網膜細胞の形質導入の増加、例えば、形質導入の効率の上昇、より広い形質導入、より優先的な形質導入などは、遺伝子発現を測定するための当該技術分野における任意の数の方法によってインビトロまたはインビボで容易に評価され得る。例えば、AAVは、普遍的または組織特異的プロモーターの制御下で、レポーター遺伝子、例えば、蛍光タンパク質を含む発現カセットを含むゲノムと共にパッケージングされてもよく、形質導入の程度は、例えば蛍光顕微鏡法によって蛍光タンパク質を検出することによって評価される。別の例として、AAVは、バーコード核酸配列を含むゲノムと共にパッケージングされてもよく、形質導入の程度は、例えばPCRによって核酸配列を検出することによって評価される。別の例として、AAVは、網膜疾患の治療のための治療用遺伝子を含む発現カセットを含むゲノムと共にパッケージングされてもよく、形質導入の程度は、AAVを投与された罹患患者における網膜疾患の治療を検出することによって評価される。
【0158】
本明細書に開示される変異rAAVベクターもしくはビリオンおよび/または方法を使用して治療することができる眼疾患には、単一遺伝子疾患、複雑な遺伝病、後天性疾患、および外傷性損傷が挙げられるが、これらに限定されない。単一遺伝子疾患の例には、限定されないが、バルデー・ビードル症候;バッテン病;Biettiクリスタリン網膜症;先天性脈絡膜欠如;脈絡網膜萎縮;脈絡網膜変性;錐体または錐体桿体ジストロフィー(常染色体優性、常染色体劣性、およびX連鎖);先天性停止性夜盲(常染色体優性、常染色体劣性、およびX連鎖);色覚異常(ACHM2、ACHM3、ACHM4、およびACHM5を含む)、第一色覚異常、第二色覚異常、および第三色覚異常を含む色覚の障害;フリードライヒ運動失調症;LCA1、LCA2、LCA3、LCA4、LCA6、LCA7、LCA8、LCA12、およびLCA15を非限定的に含む、レーバー先天黒内障(常染色体優性および常染色体劣性);レーバー遺伝性視神経萎縮症;急性黄斑変性、ベスト病、パターンジストロフィー、ノースカロライナ黄斑ジストロフィー、遺伝性ドルーゼン、ソースビー眼底変性症、Malattia Levantanese、および遺伝子的に決定される未熟児網膜症を非限定的に含む、黄斑変性(常染色体優性および常染色体劣性);眼網膜発達障害;眼白子症;視覚萎縮(常染色体優性、常染色体劣性、およびX連鎖);網膜色素変性(常染色体優性、常染色体劣性、X連鎖、およびミトコンドリアによって継承される特徴)(その例には、RP1、RP2、RP3、RP10、RP20、RP38、RP40、およびRP43;X連鎖網膜分離症が挙げられる);シュタルガルト病;ならびにUSH1B、USH1C、USH1D、USH1F、USH1G、USH2A、USH2C、USH2D、およびUSH3を非限定的に含む、アッシャー症候群が挙げられる。複雑な遺伝病の例には、限定されないが、緑内障(開放隅角、閉塞隅角、低眼圧、正常眼圧、先天性、血管新生、色素性、偽落屑);急性黄斑変性、卵黄様黄斑変性などの滲出型および非滲出型(常染色体優性および常染色体劣性)両方の加齢性および他の型の黄斑変性;未熟児網膜症;フォークト・小柳・原田(VKH)症候群が挙げられる。後天性疾患の例には、限定されないが、急性黄斑神経網膜症;前部虚血性視神経症および後部虚血性視神経症;ベーチェット病;膜静脈分枝閉塞;脈絡膜血管新生;増殖性糖尿病性網膜症および関連する合併症を含む糖尿病性網膜症;糖尿病性ブドウ膜炎;黄斑浮腫、類嚢胞黄斑浮腫、および糖尿病性黄斑浮腫などの浮腫;網膜上膜疾患;黄斑毛細血管拡張症;多巣性脈絡膜炎;非網膜症糖尿病性網膜機能障害;眼の腫瘍;視神経萎縮;網膜剥離;網膜中心静脈閉塞、増殖性硝子体網膜症(PVR)、網膜動脈および静脈の閉塞性疾患、血管閉塞、ブドウ膜網膜疾患などの網膜障害;ブドウ膜浸出;網膜感染症および浸潤性疾患;後天性視神経萎縮などの視神経疾患が挙げられる。外傷性損傷の例には、ヒストプラスマ症;視神経外傷;後眼部または部位に影響を及ぼす眼の外傷;網膜外傷;目のウイルス感染;視神経のウイルス感染;眼科用レーザー治療によって引き起こされるか、またはその影響を受ける後眼病態;光線力学療法によって引き起こされるか、またはその影響を受ける後眼病態;光凝固、放射線網膜症;交感性眼炎が挙げられる。
【0159】
別の実施形態では、本明細書に開示される変異キャプシドは、遺伝子産物、例えば、限定するものではないが、干渉RNA、長鎖非コードRNA、短鎖非コードRNA、アンチセンスRNA、アプタマー、ポリペプチド、分泌型抗体、一本鎖抗体、VHHドメイン、可溶性受容体、アフィボディ、ノッチン、DARPin、センチュリン、シャペロン、遺伝子機能の部位特異的ノックダウンを提供する部位特異的ヌクレアーゼ、または転写の遺伝子特異的活性化を提供する修飾された部位特異的ヌクレアーゼをコードするヌクレオチド配列を含む異種核酸を含む。
【0160】
本明細書に開示されるrAAV変異ビリオンは、遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を含む異種核酸を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子産物は、干渉RNAである。いくつかの実施形態では、遺伝子産物は、長鎖非コードRNAである。いくつかの実施形態では、遺伝子産物は、短鎖非コードRNAである。いくつかの実施形態では、遺伝子産物は、アンチセンスRNAである。いくつかの実施形態では、遺伝子産物は、アプタマーである。いくつかの実施形態では、遺伝子産物は、ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、遺伝子産物は、分泌型抗体である。いくつかの実施形態では、遺伝子産物は、一本鎖抗体である。いくつかの実施形態では、遺伝子産物は、V
HHドメインである。いくつかの実施形態では、遺伝子産物は、可溶性受容体である。いくつかの実施形態では、遺伝子産物は、アフィボディ(affibody)である。いくつかの実施形態では、遺伝子産物はノッチン(knottin)である。いくつかの実施形態では、遺伝子産物は、DARPinである。いくつかの実施形態では、遺伝子産物は、センチュリン(centurin)である。いくつかの実施形態では、遺伝子産物は、シャペロンである。いくつかの実施形態では、遺伝子産物は、遺伝子機能の部位特異的ノックダウンを提供する部位特異的ヌクレアーゼである。
【0161】
遺伝子産物の使用には、細胞における因子のレベルの増強、因子の分泌による隣接細胞における因子のレベルの増強、細胞における因子のレベルの低下、または因子の分泌による隣接細胞における因子のレベルの低下が含まれる。遺伝子産物は、欠けている遺伝子産物の欠損のレベルの補充、欠けている遺伝子産物の欠損のレベルの低下、新しい支持遺伝子産物の導入、支持遺伝子産物のレベルの補充、妨げる遺伝子産物のレベルの低下、または妨げる遺伝子産物のレベルの低下と支持遺伝子産物のレベルの補充との両方を行うように設計され得る。
【0162】
主題のAAV変異体によって送達される遺伝子産物は、網膜疾患および外傷に直接的または間接的に関連する遺伝子産物または遺伝子産物活性のレベルを変化させるために使用され得る。遺伝子産物が遺伝的疾患に直接的または間接的に関連する遺伝子には、例えば、ADP−リボシル化因子様6(ARL6);BBSome相互作用タンパク質1(BBIP1);BBSomeタンパク質1(BBS1);BBSomeタンパク質2(BBS2);BBSomeタンパク質4(BBS4);BBSomeタンパク質5(BBS5);BBSomeタンパク質7(BBS7);BBSomeタンパク質9(BBS9);BBSomeタンパク質10(BBS10);BBSomeタンパク質12(BBS12);中心体タンパク質290kDa(CEP290);鞭毛内輸送タンパク質172(IFT172);鞭毛内輸送タンパク質27(IFT27);イノシトールポリホスフェート−5−ホスファターゼE(INPP5E);内向き整流性カリウムチャネルサブファミリーJメンバー13(KCNJ13);ロイシンジッパー転写因子様−1(LZTFL1);McKusick−Kaufman症候群タンパク質(MKKS);メッケル症候群1型タンパク質(MKS1);ネフロン癆3タンパク質(NPHP1);血清学的に定義された結腸癌抗原8(SDCCAG8);トリパタイトモチーフ含有タンパク質32(TRIM32);テトラトリコペプチド反復ドメイン8(TTC8);バッテン病タンパク質(CLN3);シトクロムP450 4V2(CYP4V2);Rabエスコートタンパク質1(CHM);PR(正の調節)ドメイン含有13タンパク質(PRDM13);RPE−網膜Gタンパク質共役型受容体(RGR);TEAドメインファミリーメンバー1(TEAD1);アリール炭化水素相互作用受容体タンパク質様1(AIPL1);錐体桿体otx様光受容体ホメオボックス転写因子(CRX);グアニル酸シクラーゼ活性化タンパク質1A(GUCA1A);網膜特異的グアニル酸シクラーゼ(GUCY2D);ホスファチジルイノシトール転写膜関連ファミリーメンバー3(PITPNM3);プロミニン1(PROM1);ペリフェリン(PRPH);ペリフェリン2(PRPH2);調節シナプス膜エキソサイトーシスタンパク質1(RIMS1);セマフォリン4A(SEMA4A);シー・エレガンスunc119タンパク質(UNC119)のヒト相同体;ATP結合カセットトランスポーター−レチナール(ABCA4);ADAMメタロペプチダーゼドメイン9(ADAM9);活性化転写因子6(ATF6);第21染色体オープンリーディングフレーム2(C21orf2);第8染色体オープンリーディングフレーム37(C8orf37);カルシウムチャネル;電圧依存性;アルファ2/デルタサブユニット4(CACNA2D4);カドヘリン関連ファミリーメンバー1(プロトカドヘリン21)(CDHR1);セラミドキナーゼ様タンパク質(CERKL);錐体光受容体cGMP依存性カチオンチャネルアルファサブユニット(CNGA3);錐体環状ヌクレオチド依存性カチオンチャネルベータ3サブユニット(CNGB3);サイクリンM4(CNNM4);グアニンヌクレオチド結合タンパク質(Gタンパク質);アルファ形質導入活性ポリペプチド2(GNAT2);カリウムチャネルサブファミリーVメンバー2(KCNV2);ホスホジエステラーゼ6C(PDE6C);ホスホジエステラーゼ6H(PDE6H);中心小体(centriole)1中心子(centriolar)タンパク質Bのプロテオーム(POC1B);RAS癌遺伝子ファミリーのRAB28メンバー(RAB28);網膜および前部神経ひだホメオボックス2転写因子(RAX2);11−cisレチノールデヒドロゲナーゼ5(RDH5);RP GTPase調節因子相互作用タンパク質1(RPGRIP1);チューブリンチロシンリガーゼ様ファミリーメンバー5(TTLL5);L型電位依存性カルシウムチャネルアルファ−1サブユニット(CACNA1F);網膜色素変性GTPase調節因子(RPGR);桿体トランスデューシンアルファサブユニット(GNAT1);桿体ロッドcGMPホスホジエステラーゼベータサブユニット(PDE6B);ロドプシン(RHO);カルシウム結合タンパク質4(CABP4);Gタンパク質共役型受容体179(GPR179);ロドプシンキナーゼ(GRK1);代謝調節型グルタミン酸受容体6(GRM6);ロイシンリッチリピート免疫グロブリン様膜貫通ドメインタンパク質3(LRIT3);アレスチン(s−抗原)(SAG);溶質キャリアファミリー24(SLC24A1);一時的受容体電位カチオンチャネル、サブファミリーM、メンバー1(TRPM1);ナイクタロピン(NYX);緑色錐体オプシン(OPN1LW);赤色錐体オプシン(OPN1MW);青色錐体オプシン(OPN1SW);フラタキシン(FXN);イノシン一リン酸デヒドロゲナーゼ1(IMPDH1);オルトデンティクル(orthodenticle)ホメオボックス2タンパク質(OTX2);クラムス(crumbs)相同体1(CRB1);タンパク質1を含むデスドメイン(DTHD1);成長分化因子6(GDF6);鞭毛内輸送140クラミドモナス相同タンパク質(IFT140);B1タンパク質(IQCB1)を含むIQモチーフ;レベルシリン(lebercilin)(LCA5);レシチンレチノールアシルトランスフェラーゼ(LRAT);ニコチンアミドヌクレオチドアデニリルトランスフェラーゼ1(NMNAT1);RD3タンパク質(RD3);レチノールデヒドロゲナーゼ12(RDH12);網膜色素上皮特異的65kDタンパク質(RPE65);精子形成関連タンパク質7(SPATA7);タビー(tubby)様タンパク質1(TULP1);ミトコンドリア遺伝子(KSS、LHON、MT−ATP6、MT−TH、MT−TL1、MT−TP、MT−TS2、ミトコンドリアでコードされたNADHデヒドロゲナーゼ[MT−ND]);ベストロフィン1(BEST1);C1qおよび腫瘍壊死関連タンパク質5コラーゲン(C1QTNF5);EGF含有フィブリリン様細胞外マトリックスタンパク質1(EFEMP1);非常に長い脂肪酸タンパク質の伸長(ELOVL4);網膜ファスシン相同体2、アクチン束化タンパク質(FSCN2);グアニル酸シクラーゼ活性化タンパク質1B(GUCA1B);ヘミセンチン1(HMCN1);光受容体間マトリックスプロテオグリカン1(IMPG1);網膜色素変性1様タンパク質1(RP1L1);メタロプロテイナーゼ−3の組織阻害剤(TIMP3);補体因子H(CFH);補体因子D(CFD);補体成分2(C2);補体成分3(C3);補体因子B(CFB);DNA損傷調節型オートファジーモジュレーター2(DRAM2);コンドロイチン硫酸プロテオグリカン2(VCAN);ミトフシン2(MFN2);核内受容体サブファミリー2グループFメンバー1(NR2F1);視神経萎縮1(OPA1);膜貫通タンパク質126A(TMEM126A);内部ミトコンドリア膜トランスロカーゼ8相同体A(TIMM8A);炭酸脱水酵素IV(CA4);ヘキソキナーゼ1(HK1);ケルチ様7タンパク質(KLHL7);核内受容体サブファミリー2グループE3(NR2E3);神経網膜ルシン(lucine)ジッパー(NRL);嗅覚受容体ファミリー2サブファミリーWメンバー3(OR2W3);プレmRNAプロセシング因子3(PRPF3);プレmRNAプロセシング因子4(PRPF4);プレmRNAプロセシング因子6(PRPF6);プレmRNAプロセシング因子8(PRPF8);プレmRNAプロセシング因子31(PRPF31);網膜外側セグメント膜タンパク質1(ROM1);網膜色素変性タンパク質1(RP1);PIM1−キナーゼ関連タンパク質1(RP9);核内低分子リボ核タンパク質200kDa(SNRNP200);分泌型リンタンパク質2(SPP2);トポイソメラーゼI結合アルギニン/セリンリッチタンパク質(TOPORS);ADP−リボシル化因子様2結合タンパク質(ARL2BP);第2染色体オープンリーディングフレーム71(C2orf71);クラリン−1(CLRN1);桿体cGMP依存性チャネルアルファサブユニット(CNGA1);桿体cGMP依存性チャネルベータサブユニット(CNGB1);シトクロムP450 4V2(CYP4V2);デヒドロドキリルジホスフェートシンテターゼ(DHDDS);DEAHボックスポリペプチド38(DHX38);ER膜タンパク質複合体サブユニット1(EMC1);アイシャット/スペースメーカー相同体(EYS);配列類似性を有するファミリー161メンバーA(FAM161A);Gタンパク質共役型受容体125(GPR125);ヘパラン−アルファ−グルコサミニドN−アセチルトランスフェラーゼ(HGSNAT);NAD(+)特異的イソクエン酸デヒドロゲナーゼ3ベータ(IDH3B);光受容体間マトリックスプロテオグリカン2(IMPG2);KIAA1549タンパク質(KIAA1549);キズナ中心体タンパク質(KIZ);雄性生殖細胞関連キナーゼ(MAK);c−merプロトオンコジーン受容体チロシンキナーゼ(MERTK);メバロン酸キナーゼ(MVK);NIMA(never in mitosis gene A)関連キナーゼ2(NEK2);ニューロン分化タンパク質1(NEUROD1);cGMPホスホジエステラーゼアルファサブユニット(PDE6A);ホスホジエステラーゼ6G cGMP特異的桿体ガンマ(PDE6G);プログレッシブ桿体錐体変性タンパク質(PRCD);レチノール結合タンパク質3(RBP3);レチニルアルデヒド結合タンパク質1(RLBP1);溶質キャリアファミリー7メンバー14(SLC7A14);ユーセリン(usherin)(USH2A);ジンクフィンガータンパク質408(ZNF408);ジンクフィンガータンパク質513(ZNF513);口顔指症候群1タンパク質(OFD1);網膜色素変性2(RP2);レチノスキシン(RS1);アブヒドロラーゼドメイン含有タンパク質12(ABHD12);カドヘリン様遺伝子23(CDH23);中心体タンパク質250kDa(CEP250);カルシウムおよびインテグリン結合ファミリーメンバー2(CIB2);ワーリン(whirlin)(DFNB31);単性聴覚原性痙攣感受性1相同体(GPR98);ヒスチジル−tRNAシンテターゼ(HARS);ミオシンVIIA(MYO7A);プロトカドヘリン15(PCDH15);ハーモニン(USH1C);アンキリン反復およびSAMドメインを含むマウス足場タンパク質のヒト相同体(USH1G);ジストロフィン(DMD);ノルリン(NDP);ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK1);カルパイン5(CAPN5);フリッツルド4Wnt受容体相同体(FZD4);内在性膜タンパク質2B(ITM2B);低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質5(LRP5);マイクロRNA204(MIR204);網膜芽腫タンパク質1(RB1);テトラスパニン12(TSPAN12);第12染色体オープンリーディングフレーム65(C12orf65);カドヘリン3(CDH3);膜型フリッツルド関連タンパク質(MFRP);オルニチンアミノトランスフェラーゼ(OAT);ホスホリパーゼA2グループV(PLA2G5);レチノール結合タンパク質4(RBP4);Gタンパク質シグナリング9の調節因子(RGS9);Gタンパク質シグナリング9結合タンパク質の調節因子(RGS9BP);ARMS2;除去修復交差相補性齧歯類修復欠乏相補グループ6タンパク質(ERCC6);フィブリン5(FBLN5);HtrAセリンペプチダーゼ1(HTRA1);トール様受容体3(TLR3);ならびにトール様受容体4(TLR4)が挙げられる。
【0163】
遺伝子産物がアポトーシスを誘導または促進する遺伝子は、本明細書では「アポトーシス促進遺伝子」と称され、これらの遺伝子の産物(mRNA、タンパク質)は「アポトーシス促進遺伝子産物」と称される。プロアポトーシス標的には、例えば、Bax遺伝子産物;Bid遺伝子産物;Bak遺伝子産物;Bad遺伝子産物;Bcl−2;Bcl−X1が含まれる。抗アポトーシス遺伝子産物には、アポトーシスのX連鎖阻害剤が含まれる。
【0164】
遺伝子産物が血管新生を誘導または促進する遺伝子は、本明細書では「血管新生促進遺伝子」と称され、これらの遺伝子の産物(mRNA、タンパク質)は、「血管新生促進遺伝子産物」と称される。血管新生促進標的には、例えば、血管内皮成長因子(VEGFa、VEGFb、VEGFc、VEGFd);血管内皮成長因子受容体1(VEGFR1);血管内皮成長因子受容体2(VEGFR2);Fms関連チロシンキナーゼ1(Flt1);胎盤成長因子(PGF);血小板由来成長因子(PDGF);アンジオポエチン;ソニックヘッジホッグが含まれる。遺伝子産物が血管新生を阻害する遺伝子は、本明細書では「抗血管新生遺伝子」と称され、これらの遺伝子の産物(mRNA、タンパク質)は、「抗血管新生遺伝子産物」と称される。抗血管新生遺伝子産物には、エンドスタチン;タムスタチン;アンジオスタチン;色素上皮由来因子(PEDF)、ならびに血管新生促進標的および/またはそれらの受容体に特異的な融合タンパク質または抗体、例えば、抗VEGF融合タンパク質sFLT1またはEylea、VEGF特異的抗体Lucentis(商標)、およびAvastin(商標)などが含まれる。
【0165】
遺伝子産物が免疫モジュレーター、例えば、補体因子、トール様受容体として機能する遺伝子は、「免疫調節遺伝子」と称される。例示的な免疫調節遺伝子には、サイトカイン、ケモカイン、およびそれらおよび/またはそれらの受容体に特異的な融合タンパク質または抗体、例えば、抗IL−6融合タンパク質Rilonacept(商標)、補体因子H特異的抗体ランパミズマブ(lampamizumab)などが含まれる。遺伝子産物が神経保護因子として機能する遺伝子には、例えば、血小板由来成長因子受容体(PDGFR);グリア由来神経栄養因子(GDNF);桿体由来錐体生存能力因子(RdCVF);線維芽細胞成長因子(FGF);ニュールツリン(NTN);毛様体神経栄養因子(CNTF);神経成長因子(NGF);ニューロトロフィン−4(NT4);脳由来神経栄養因子(BDNF);表皮成長因子が含まれる。遺伝子産物が光応答性オプシンとして機能する遺伝子には、例えば、オプシン;ロドプシン;チャネルロドプシン;ハロロドプシンが含まれる。
【0166】
いくつかの場合には、目的の遺伝子産物は、例えば、エンドヌクレアーゼが網膜疾患に関連する対立遺伝子をノックアウトする場合、遺伝子機能の部位特異的ノックダウンを提供する部位特異的エンドヌクレアーゼである。例えば、優性対立遺伝子が、野生型の場合に網膜構造タンパク質であり、かつ/または正常な網膜機能を提供する遺伝子の欠損コピーをコードする場合、部位特異的エンドヌクレアーゼは、欠損対立遺伝子を標的にし、欠損対立遺伝子をノックアウトすることができる。
【0167】
欠損対立遺伝子をノックアウトすることに加えて、部位特異的ヌクレアーゼを用いて、欠損対立遺伝子によってコードされるタンパク質の機能的コピーをコードするドナーDNAによる相同的組換えを刺激することもできる。このため、例えば、対象のrAAVビリオンは、欠損対立遺伝子をノックアウトする部位特異的エンドヌクレアーゼの両方を送達するために使用することができ、また欠損対立遺伝子の機能的コピーを送達して、欠損対立遺伝子の修復を生じさせることで、機能的網膜タンパク質(例えば、機能的レチノスキシン、機能的RPE65、機能的ペリフェリンなど)の産生をもたらすことができる。例えば、Li et al.(2011)Nature 475:217を参照されたい。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるrAAVビリオンは、部位特異的エンドヌクレアーゼをコードする異種ヌクレオチド配列と、機能的コピーが機能的レチナールタンパク質をコードする場合、欠損対立遺伝子の機能的コピーをコードする異種ヌクレオチド配列とを含む。機能的網膜タンパク質には、例えば、レチノスキシン、RPE65、網膜色素変性GTPaseレギュレーター(RGPR)相互作用タンパク質−1、ペリフェリン、ペリフェリン−2などが含まれる。
【0168】
使用に好適な部位特異的エンドヌクレアーゼには、例えば、メガヌクレアーゼ;ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN);転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN);およびそのような部位特異的エンドヌクレアーゼが天然に存在せず、特定の遺伝子を標的とするように修飾されている場合には、クラスター化され規則的に間隔が空いた短い回文構造の繰り返し/CRISPR関連(Cas)が含まれる。そのような部位特異的ヌクレアーゼは、ゲノム内のある特定の位置を切断するように操作することができ、その後、非相同末端接合により、いくつかのヌクレオチドを挿入または欠失させながら破断を修復することができる。そのような部位特異的エンドヌクレアーゼ(「INDEL」とも称される)は、その後、タンパク質を枠外に投げ出し、効果的に遺伝子をノックアウトする。例えば、米国特許崩壊第2011/0301073号を参照されたい。
【0169】
本明細書に開示される変異rAAVベクターのいくつかの実施形態では、目的の遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列は、構成的プロモーターに作動可能に連結される。好適な構成的プロモーターには、例えば、サイトメガロウイルスプロモーター(CMV)(Stinski et al.(1985)Journal of Virology 55(2):431−441)、CMV早期エンハンサー/ニワトリβ−アクチン(CBA)プロモーター/ウサギβ−グロビンイントロン(CAG)(Miyazaki et al.(1989)Gene 79(2):269−277,CB
SB(Jacobson et al.(2006)Molecular Therapy 13(6):1074−1084)、ヒト伸長因子1αプロモーター(EF1α)(Kim et al.(1990)Gene 91(2):217−223)、ヒトホスホグリセリン酸キナーゼプロモーター(PGK)(Singer−Sam et al.(1984)Gene 32(3):409−417)、ミトコンドリア重鎖プロモーター(Loderio et al.(2012)PNAS 109(17):6513−6518)、ユビキチンプロモーター(Wulff et al.(1990)FEBS Letters 261:101−105)が含まれる。他の実施形態では、目的の遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列は、誘導性プロモーターに作動可能に連結される。いくつかの事例では、目的の遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列は、組織特異的または細胞型特異的調節要素に作動可能に連結される。例えば、いくつかの事例では、目的の遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列は、光受容体特異的調節要素(例えば、光受容体特異的プロモーター)、例えば、光受容細胞における作動可能に連結された遺伝子の選択的発現をもたらす調節要素に作動可能に連結される。好適な光受容体特異的調節要素には、例えば、ロドプシンプロモーター;ロドプシンキナーゼプロモーター(Young et al.(2003)Ophthalmol.Vis.Sci.44:4076);ベータホスホジエステラーゼ遺伝子プロモーター(Nicoud et al.(2007)J.Gene Med.9:1015);網膜色素変性遺伝子プロモーター(Nicoud et al.(2007)、前出);光受容体間レチノイド結合タンパク質(IRBP)遺伝子エンハンサー(Nicoud et al.(2007)、前出);IRBP遺伝子プロモーター(Yokoyama et al.(1992)Exp Eye Res.55:225)、オプシン遺伝子プロモーター(Tuckerら(1994)PNAS 91:2611−2615)、レチノスキシン遺伝子プロモーター(Park et al.(2009)Gene Therapy 16(7):916−926)、CRXホメオドメインタンパク質遺伝子プロモーター(Furukawa et al.(2002)The Journal of Neuroscience 22(5):1640−1647)、グアニンヌクレオチド結合タンパク質アルファ形質導入活性ポリペプチド1(GNAT1)遺伝子プロモーター(Lee et al.(2010)Gene Therapy 17:1390−1399)、神経網膜特異的ロイシンジッパータンパク質(NRL)遺伝子プロモーター(Akimoto et al.(2006)PNAS 103(10):3890−3895)、ヒト錐体アレスチン(hCAR)プロモーター(Li et al.(2002)Biochemistry and Molecular Biology 43:1375−1383)、ならびにPR2.1、PR1.7、PR1.5、およびPR1.1プロモーター(Ye et al.(2016)Human Gene Therapy 27(1):72−82))が含まれる。いくつかの事例では、目的の遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列は、網膜色素上皮(RPE)細胞特異的調節要素(例えば、RPE特異的プロモーター)、例えば、RPEにおける作動可能に連結された遺伝子の選択的発現をもたらす調節要素に作動可能に連結される。好適なRPE特異的調節要素には、例えば、RPE65遺伝子プロモーター(Meur et al.(2007)Gene Therapy 14:292−303)、細胞レチンアルデヒド結合タンパク質(CRALBP)遺伝子プロモーター(Kennedy et al.(1998)Journal of Biological Chemistry 273:5591−5598)、色素上皮由来因子(PEDF、別名セルピンF1)遺伝子プロモーター(Kojima et al.(2006)Molecular and Cellular Biochemistry 293(1−2):63−69)、および卵黄様黄斑変性症(VMD2)プロモーター(Esumi et al.(2004)The Journal of Biological Chemistry 279(18):19064−19073)が含まれる。いくつかの事例では、目的の遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列は、ミュラーグリア細胞特異的調節要素(例えば、グリア特異的プロモーター)、例えば、網膜グリア細胞における作動可能に連結された遺伝子の選択的発現をもたらす調節要素に作動可能に連結される。好適なグリア特異的調節要素には、例えば、グリア細胞繊維性酸性タンパク質(GFAP)プロモーター(Besnard et al.(1991)Journal of Biological Chemistry 266(28):18877−18883)が含まれる。いくつかの事例では、目的の遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列は、双極細胞特異的調節要素(例えば、双極特異的プロモーター)、例えば、双極細胞における作動可能に連結された遺伝子の選択的発現をもたらす調節要素に作動可能に連結される。好適な双極特異的調節要素には、例えば、GRM6プロモーター(Cronin et al.(2014)EMBO Molecular Medicine 6(9):1175−1190)が含まれる。
【0170】
本発明の目的のために、本明細書の開示は、上記の変異AAVキャプシドタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸を提供する。単離された核酸は、AAVベクター、例えば、組換えAAVベクターであり得る。
【0171】
本明細書の開示はまた、網膜疾患を治療する方法を提供し、本方法は、上に記載されかつ本明細書に開示される目的の導入遺伝子を含む有効量のrAAV変異ビリオンの投与を、それを必要とする個体に行うことを含む。当業者は、主題のrAAVビリオンの有効量と、1つ以上の機能的または解剖学的パラメータ、例えば、視力、視野、明暗に対する電気生理学的応答、色覚、対照感受性、生体構造、網膜の健康および脈管構造、眼球運動、凝視選択、ならびに安定性における変化について試験することによって疾患が治療されたこととを容易に決定することができる。
【0172】
網膜機能およびその変化を評価するための非限定的な方法には、視力(例えば、最良矯正視力[BCVA]、歩行、ナビゲーション、物体検知、および識別)の評価、視野(例えば、静的および動的視野計測)の評価、臨床検査(例えば、前眼部および後眼部の細隙灯検査)の実施、明暗の全波長に対する電気生理学的応答(例えば、あらゆる形態の網膜電図写真(ERG)[全視野、多焦点、およびパターン]、あらゆる形態の視覚誘発電位(VEP)、電気眼球図記録(EOG)、色覚、暗順応、および/または対比感度)の評価が挙げられる。生体構造および網膜の健康ならびにその変化を評価するための非限定的な方法には、光コンヘレンス断層撮影映像(Optical Conherence Tomography)(OCT)、眼底撮影、補償光学走査レーザー検眼鏡(AO−SLO)、蛍光法、および/または自己蛍光法を使用する生体構造または健康の変化の測定;眼球運動および眼の動き(例えば、眼振、凝視、選択、および安定性)の測定、報告された結果(患者報告による視覚および非視覚誘導挙動および活動の変化、患者報告結果[PRO]、生活の質のアンケート評価、日常活動の測定、ならびに神経機能の測定(例えば、機能的磁気共鳴画像法(MRI))が挙げられる。
【0173】
いくつかの実施形態では、有効量の主題のrAAVビリオンにより、網膜機能、解剖学的一体性、または網膜の健康の喪失率の低下、例えば、2倍、3倍、4倍、または5倍以上の損失率の低下、およびそれに従う疾患の進行の減少、例えば、損失率の10倍以上の低下、およびそれに従う疾患の進行の減少が生じる。いくつかの実施形態では、有効量の主題のrAAVビリオンにより、視覚機能、網膜機能の増大、網膜の生体構造もしくは健康の改善、ならびに/または眼球運動の改善および/もしくは神経機能の改善、例えば、2倍、3倍、4倍、または5倍以上の網膜機能、網膜の生体構造もしくは健康の改善、および/または眼球運動の改善、例えば、10倍以上の網膜機能、網膜の生体構造もしくは健康の改善、および/または眼球運動の改善が生じる。当業者によって容易に理解されるように、所望の治療効果を達成するのに必要な用量は、典型的には、1×10
8〜約1×10
15の組換えビリオンとなり、これは、典型的には、1×10
8〜約1×10
15の「ベクターゲノム」と当業者によって称される。
【0174】
主題のrAAVビリオンは、眼内注射、例えば、硝子体内注射、網膜下注射、脈絡膜上注射、またはrAAVビリオンの眼への送達をもたらす任意の他の簡便な投与様式または投与経路によって、投与することができる。他の簡便な投与マンセストード(mancestode)または投与経路には、限定されないが、静脈内、動脈内、眼周囲、前房内、結膜下およびテノン下の注射、ならびに局所投与および鼻腔内が挙げられる。硝子体内注射によって投与される場合、主題のrAAVビリオンは、硝子体を通過して移動し、内境界膜(本明細書では内部境界膜、または「ILM」とも称され、アストロサイトとミュラー細胞のエンドフィートとによって形成される、網膜と硝子体との間の境界を形成する網膜の表面にある薄く透明な無細胞性の膜)を横断し、かつ/あるいは対応する親AAVキャプシドタンパク質を含むAAVビリオンの能力と比較してより効率的に網膜の層を通過して移動する。
【0175】
本明細書に開示される変異キャプシドタンパク質は、単離、例えば、精製される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される変異キャプシドタンパク質は、AAVベクターまたは組換えAAV(rAAV)ビリオンに含まれる。他の実施形態では、そのようなAAV変異体ベクターおよび/またはAAV変異体ビリオンは、霊長類網膜における眼疾患を治療するインビボまたはエクスビボの方法において使用される。
【0176】
本明細書の開示は、さらに、宿主細胞、例えば、限定するものではないが、主題の核酸を含む単離された(遺伝子修飾された)宿主細胞を提供する。本明細書に開示される本発明に従う宿主細胞は、インビトロ細胞培養由来の細胞などの単離された細胞であり得る。そのような宿主細胞は、本明細書に記載されるように、主題のrAAV変異ビリオンを産生するために有用である。一実施形態では、そのような宿主細胞は、核酸によって安定に遺伝子修飾される。他の実施形態では、宿主細胞は、核酸によって一過性に遺伝子修飾される。そのような核酸は、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、リポソーム媒介トランスフェクションなどを含むがこれらに限定されない確立された技術を用いて宿主細胞に安定にまたは一過性に導入される。安定な形質転換のために、核酸は、一般に、選択マーカー、例えば、ネオマイシン耐性などといったいくつかの周知の選択マーカーのいずれかをさらに含む。そのような宿主細胞は、多様な細胞、例えば、哺乳動物細胞(例えば、マウス細胞および霊長類細胞(例えば、ヒト細胞)を含む)のいずれかに核酸を導入することによって生成される。例示的な哺乳動物細胞には、限定されないが、初代細胞および細胞株が挙げられ、例示的な細胞株には、限定されないが、293細胞、COS細胞、HeLa細胞、Vero細胞、3T3マウス線維芽細胞、C3H10T1/2線維芽細胞、CHO細胞などが挙げられる。例示的な宿主細胞には、限定されないが、HeLa細胞(例えば、American Type Culture Collection (ATCC)番号CCL−2)、CHO細胞(例えば、ATCC番号CRL9618、CCL61、CRL9096)、293細胞(例えば、ATCC番号CRL−1573)、Vero細胞、NIH 3T3細胞(例えば、ATCC番号CRL−1658)、Huh−7細胞、BHK細胞(例えば、ATCC番号CCL10)、PC12細胞(ATCC番号CRL1721)、COS細胞、COS−7細胞(ATCC番号CRL1651)、RAT1細胞、マウスL細胞(ATCC番号CCLI.3)、ヒト胎児腎臓(HEK)細胞(ATCC番号CRL1573)、HLHepG2細胞などが挙げられる。宿主細胞は、AAVを産生するSf9細胞などの昆虫細胞を感染させるためにバキュロウイルスを使用して作製することもできる(例えば、米国特許第7,271,002号、米国特許出願第12/297,958号を参照されたい)。いくつかの実施形態では、遺伝子修飾された宿主細胞は、上記のような変異AAVキャプシドタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸に加えて、1つ以上のAAV repタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む。他の実施形態では、宿主細胞は、rAAV変異ベクターをさらに含む。そのような宿主細胞を用いてrAAV変異ビリオンを生成することができる。rAAVビリオンを生成する方法は、例えば、米国特許出願公開第2005/0053922号および米国特許公開第2009/0202490号に記載されている。
【0177】
本明細書の開示は、a)上に記載されかつ本明細書に開示されるrAAV変異ビリオンと、b)薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤、または緩衝剤とを含む薬学的組成物をさらに提供する。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤、または緩衝剤は、ヒトまたは非ヒト患者における使用に好適である。そのような賦形剤、担体、希釈剤、および緩衝剤には、過度の毒性を伴わずに投与することができる任意の医薬品が含まれる。薬学的に許容される賦形剤には、限定されないが、水、生理食塩水、グリセロール、およびエタノールなどの液体が挙げられる。薬学的に許容される塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩などの無機酸塩;および酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩、安息香酸塩などの有機酸の塩が含まれてもよい。加えて、補助物質、例えば、湿潤剤または乳化剤、界面活性剤、pH緩衝物質などが、そのようなビヒクル中に存在してもよい。多種多様な薬学的に許容される賦形剤が当該技術分野で既知であり、本明細書で詳細に考察する必要はない。薬学的に許容される賦形剤は、多様な刊行物、例えば、A.Gennaro(2000)“Remington:The Science and Practice of Pharmacy,”20th edition,Lippincott,Williams,&Wilkins;Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems(1999)H.C.Ansel et al.,eds.,7
th ed.,Lippincott,Williams,&Wilkins;およびHandbook of Pharmaceutical Excipients(2000)A.H.Kibbe et al.,eds.,3
rded.Amer.Pharmaceutical Assocにおいて十分に説明されている。本発明のいくつかの態様では、本発明は、約1×10
8〜約1×10
15の組換えウイルスまたは1×10
8〜約1×10
15のベクターゲノムを含む薬学的組成物を提供し、該組換えウイルスの各々は、1つ以上の遺伝子産物をコードするゲノムを含む。
【0178】
以下の実施例は、本明細書に開示される変異AAVキャプシドをどのように作製および使用するかについての指導に関する完全な開示および説明を当業者に提供するために示され、本明細書に開示される発明の範囲を限定することを意図するものではない。さらに、以下の実施例は、以下の実験が全てまたは唯一の実施された実験であることを示すことを意図するものではない。
【実施例】
【0179】
以下の実施例は、本発明を作製および使用する方法の完全な開示および説明を当業者に提供するために提示され、発明者が発明と見なすものの範囲を制限することを意図せず、また以下の実験が行われた全てまたは唯一の実験であると示すことを意図していない。使用される数(例えば、量、温度など)に関して正確性を確保するための努力がなされているが、いくつかの実験誤差および偏差が考慮されるべきである。別途指示がない限り、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏であり、圧力は大気圧またはそれに近い圧力である。
【0180】
分子生物学および細胞生化学における一般的な方法は、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd Ed.(Sambrook et al.,Harbor Laboratory Press 2001);Short Protocols in Molecular Biology,4th Ed.(Ausubel et al.eds.,John Wiley&Sons 1999);Protein Methods(Bollag et al.,John Wiley&Sons 1996);Nonviral Vectors for Gene Therapy(Wagner et al.eds.,Academic Press 1999);Viral Vectors(Kaplift&Loewy eds.,Academic Press 1995);Immunology Methods Manual(I.Lefkovits ed.,Academic Press 1997);およびCell and Tissue Culture:Laboratory Procedures in Biotechnology(Doyle&Griffiths,John Wiley&Sons 1998)などの標準的な教本に見い出すことができ、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。本開示において言及される遺伝子操作のための試薬、クローニングベクター、およびキットは、BioRad、Stratagene、Invitrogen、Sigma−Aldrich、およびClonTechなどの商用供給業者から入手可能である。
【0181】
実施例1
【0182】
硝子体内注射および組織採取。4〜10歳で体重が少なくとも4kgの単体の雄のカニクイザル(macaca fascicularis)に、強膜を介した(ヒトの使用に適した手順および送達装置を用いて輪部の約3mm後ろの)硝子体内注射によって投薬した。動物を麻酔し、局所麻酔剤を与え、100μLのライブラリーを各眼に投与した。
【0183】
安楽死は、14日目±3日に100mg/kgのペントバルビタールナトリウムの静脈内注射を用いて、訓練された獣医スタッフによって実施した。眼を核形成させ、解剖まで4℃で保存した。
【0184】
組織解剖。眼をメスで鋸状縁に沿って切断し、前部を除去した。網膜の平らな取付けを可能にするために、窩周囲の網膜にレリーフカットを作製し、硝子体を除去した。
図2に示すように、各四半部(上側、下側、鼻側、および側頭側)から網膜の6つの試料を採取し、RPE細胞、光受容体、バイオポーラー(biopolar)細胞、アマクリン細胞、水平細胞、および/または神経節細胞に対応する細胞物質を単離した。
【0185】
定向進化。定向進化過程を
図1A〜1Eに示す。端的には、DNA突然変異技法とcap遺伝子との20以上の独自の組み合わせを含むウイルスキャプシドライブラリーを創出する(
図1A)。次に、各粒子が、キャプシドをコードするcap遺伝子を取り囲む突然変異キャプシドから構成され、精製されるように、ウイルスをパッケージングする(
図1B)。キャプシドライブラリーをインビボの選択圧下に置く。目的の組織または細胞物質を採取し、その標的の感染に成功したAAV変異体の単離し、成功したウイルスを回収する。成功したクローンを反復選択により富化する(ステージI−
図1D)。次いで、選択されたcap遺伝子に独自の再多様化を行い、さらなる選択ステップによって富化して、反復的にウイルスの適合度を反復的に増加させる(ステージ2−
図1D)。ベクター選択ステージ1および2の最中に同定された変異体は、霊長類網膜細胞を形質導入する能力を示す(
図1E)。
【0186】
AAVキャプシドゲノムの回復の成功:ラウンド1〜6。各選択ラウンドから回収されたキャプシドを用いて、注入されたライブラリーをパッケージングして、その後の選択ラウンドを開始した。組織からのキャプシド遺伝子の回収は、目的の組織へのライブラリーベクターの内在化の成功を表す。ラウンド4に続いて、ラウンド5のライブラリーパッケージングおよび注入の前に、ライブラリーの追加の再多様化を組み込んだ。代表的な選択ラウンドからのRPE、PR、内顆粒層(INL)、および神経節細胞層(GCL)網膜組織由来のウイルスゲノムの回収を
図3に示す。ボックス内のバンドは、ウイルスゲノムの回収の成功を表す。
【0187】
シークエンシング分析:ラウンド3〜6。ラウンド3〜6では、ライブラリー内の個々のクローンについて配列決定を行い、集団内の変異体の頻度を決定した。変異体を、シークエンシングデータ内のモチーフの存在について評価した。変異体を、複数の配列で生じた統一的変異(例えば、キャプシド内の一貫した位置における特定の点突然変異または特異的なペプチド挿入配列)の存在に基づいてモチーフに分類した。2つ以上の選択ラウンドにおけるシークエンシングした集団の少なくとも5%、または1つ以上の選択ラウンドにおけるシークエンシングした集団の少なくとも10%を表すモチーフを、
図4A(ラウンド3シークエンシング分析)、4B(ラウンド4シークエンシング分析)、4C(ラウンド5シークエンシング分析)、および4D(ラウンド6シークエンシング分析)に表す。
【0188】
網膜細胞の感染性の増加をもたらすと同定されたいくつかの代表的なクローンを以下の表1に列挙する(各クローンは同定された置換(複数可)および/またはペプチド挿入を含み、他の点では配列番号2と同一であり、各クローンについて、選択ラウンド、配列番号、および頻度(括弧内)が列挙される)。
表1。網膜の1つ以上の細胞の感染性の増加をもたらすAAV VP1キャプシドタンパク質に対するアミノ酸配列修飾。第2欄に列挙される置換は、野生型AAV2のアミノ酸配列、すなわち、挿入されたペプチドの非存在下のアミノ酸配列に基づく。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【0189】
網膜の1つ以上の細胞の感染性が増加したキャプシドとして、以下の祖先VP1キャプシド配列を有するクローンも同定された:
【0190】
MAADGYLPDWLEDNLSEGIREWWDLKPGAPKPKANQQKQDDGRGLVLPGYKYLGPFNGLDKGEPVNAADAAALEHDKAYDQQLKAGDNPYLRYNHADAEFQERLQEDTSFGGNLGRAVFQAKKRVLEPLGLVEEGAKTAPGKKRPVEPSPQRSPDSSTGIGKKGQQPAKKRLNFGQTGDSESVPDPQPLGEPPAGPSGLGSGTMAAGGGAPMADNNEGADGVGNASGNWHCDSTWLGDRVITTSTRTWALPTYNNHLYKQISSASAGSTNDNHYFGYSTPWGYFDFNRFHCHFSPRDWQRLINNNWGFRPKRLNFKLFNIQVKEVTTNDGVTTIANNLTSTVQVFSDSEYQLPYVLGSAHQGCLPPFPADVFMIPQYGYLTLNNGSQAVGRSSFYCLEYFPSQMLRTGNNFTFSYTFEDVPFHSSYAHSQSLDRLMNPLIDQYLYYLARTQSTGGTAGTRELLFSQAGPSNMSAQAKNWLPGPCYRQQRVSKTLSQNNNSNFAWTGATKYHLNGRDSLVNPGVAMATHKDDEDRFFPSSGVLIFGKQGAGANNTALENVMMTSEEEIKTTNPVATEQYGVVASNLQSSNTAPVTGTVNSQGALPGMVWQNRDVYLQGPIWAKIPHTDGNFHPSPLMGGFGLKHPPPQILIKNTPVPANPPAVFTPAKFASFITQYSTGQVSVEIEWELQKENSKRWNPEIQYTSNYAKSTNVDFAVDNEGVYSEPRPIGTRYLTRNL。(配列番号59)
【0191】
この祖先のキャプシド変異体は、祖先キャプシド配列番号58から進化しており、ここでは、縮重の位置(残基264、266、268、448、459、460、467、470、471、474、495、516、533、547、551、555、557、561、563、577、583、593、596、661、662、664、665、710、717、718、719、723)が、264でアラニン(A)、266でアラニン(A)、268でセリン(S)、448でアラニン(A)、459でトレオニン(T)、460でアルギニン(R)、467でアラニン(A)、470でセリン(S)、471でアスパラギン(N)、474でアラニン(A)、495でセリン(S)、516でアスパラギン(D)、533でアスパラギン(D)、547でグルタミン(Q)、551でアラニン(A)、555でアラニネト(Alaninet)(A)、557でグルタミン酸(E)、561でメチオニン(M)、563でセリン(S)、577でグルタミン(Q)、583でセリン(S)、593でバリン(V)、596でトレオニン(T)、661でアラニン(A)、662でバリン(V)、664でトレオニン(T)、665でプロリン(P)、710でトレオニン(T)、717でアスパラギン酸(D)、718でアスパラギン(N)、719でグルタミン酸(E)、および723でセリン(S)を含むように進化した。
【0192】
本明細書に開示されるAAV変異ビリオンは、AAVウイルスベクター操作の技術分野の当業者には容易に明らかである、妥当な合理的設計パラメータ、特徴、修正、利点、および変形を組み込み得る。
【0193】
実施例2
【0194】
定向進化を用いて、ヒトの眼への遺伝子送達の他の方法(実施例1)よりも顕著な利点を有する投与経路である硝子体内(IVT)投与後の網膜細胞への優れた遺伝子送達を有する新規のアデノ関連ウイルス(AAV)変異体を発見した。P34A置換とアミノ酸588に挿入されたペプチドLAISDQTKHA(配列番号28)とを含む新規のAAV変異体(LAISDQTKHA+P34A)の硝子体内投与後の細胞向性を、ISDQTKH(配列番号14)含有AAV変異体が網膜細胞を形質導入する能力の代表例として、非ヒト霊長類(NHP)においてインビボで評価した。
【0195】
AAV2キャプシドまたは新規の変異キャプシドLAISDQTKHA+P34Aのいずれかと、CMVプロモーター(それぞれ、AAV2.CMV.GFPおよびLAISDQTKHA+P34A.CMV.GFP)またはCAGプロモーター(それぞれ、AAV2.CAG.EGFPおよびLAISDQTKHA+P34A.CAG.EGFP)に作動可能に連結された緑色蛍光タンパク質(GFP)導入遺伝子を含むゲノムとを含む組換えAAVビリオンを、標準的な方法を用いて製造した。アフリカミドリザル(
図7、8)またはカニクイザル(
図9)に、1眼当たり4×10
10vg〜1×10
121e12 vgの範囲の様々な用量のベクターを硝子体内注射し(詳細については図の凡例を参照)、網膜細胞の形質導入を、Heidelberg Spectralis(商標)を用いた眼底蛍光撮像により生存中に評価した。
【0196】
新規の変異LAISDQTKHA+P34Aを含むAAVの硝子体内送達により、AAV2と比べてより広範かつより強固なNHP網膜にわたる導入遺伝子発現がもたらされた(
図7〜9)。画像により、新規のAAV変異キャプシドが、注射後2週間の早さで、中心窩の中央(錐体が豊富な領域)、傍中心窩リング(網膜神経節細胞が豊富な領域)、および末梢部(桿体、ミュラーグリア、アマクリン細胞、双極細胞を含む多くの細胞型が豊富な領域)の中で強固な発現をもたらすことが明らかとなる。対照的に、また他者によって報告された結果と一致して、野生型AAV2は、主に傍中心窩リングで起き、後の時点でしか検出できないより弱い発現をもたらす。注射の3週間後に行われた網膜の様々な領域の免疫組織化学的分析により、網膜色素上皮細胞、桿体および錐体光受容体、ならびに網膜神経節細胞を含む多くの網膜細胞型が網膜全体に首尾よく形質導入されたことが確認された(
図10A〜10E)。
【0197】
この研究により、臨床的に意義のあるAAV2と比較して、臨床的に好ましい投与経路の後のISDQTKH含有変異体による優れた遺伝子送達が示される。類似の効力は、このペプチド挿入モチーフを含む他の変異体で達成可能である。同様に、同じ定向進化アプローチを用いて同定された本明細書に開示される他の変異体でも類似の効力が達成可能である。
【0198】
実施例3
【0199】
網膜色素上皮(RPE)細胞および光受容体(PR)細胞に対する新規のAAV変異LAISDQTKHA+P34Aの細胞向性を、線維芽細胞由来ヒト誘導多能性幹細胞(FB−iPSC)またはヒト胚性幹細胞(ESC)から生成したRPE細胞およびPR細胞を使用してインビトロで評価した。
【0200】
AAV2キャプシドまたは新規の変異キャプシドLAISDQTKHA+P34Aのいずれかと、CAGプロモーター(それぞれ、AAV2.CAG.EGFPおよびLAISDQTKHA+P34A.CAG.EGFP)に作動可能に連結された緑色蛍光タンパク質(EGFP)導入遺伝子を含むゲノムとを含む組換えAAVビリオンを、標準的な方法を用いて製造した。45日間の分化プロトコルを用いて、ヒト胚性幹細胞株ESI−017またはヒト線維芽細胞由来誘導多能性幹細胞(「FB−iPSC」)からヒトRPE細胞培養を生成した。RPE細胞への成熟は、RPE65およびBEST1を含む成熟RPEマーカーの発現、VEGFおよびPEDFの合成、ならびに桿体の外側部を貪食する能力を検出することによって確認した。PR培養は、多段階の眼杯形成パラダイムによって生成し、培養の179日後にRecoverinおよびS Opsinの発現を検出することによってPRを含むことが確認された。
【0201】
AAV2と比べて、LAISDQTKHA+P34Aは、免疫蛍光法(
図11A〜B)、フローサイトメトリー(2.7倍の増加、
図11C〜D)、およびウエスタンブロット分析(
図11E〜F)によって決定して、感染後7日のヒトRPE培養における導入遺伝子発現の顕著に高い形質導入効率をもたらした。強固な形質導入および発現が、感染後32日までに、ヒトPR培養中のLAISDQTKHA+P34A.CAG.EGFPを用いて同様に達成された。この研究により、網膜細胞に遺伝子を送達するISDQTKH(配列番号14)を含む変異体の優れた能力が示される。
【0202】
上記は、本発明の原理を例解するものでしかない。当業者であれば、本明細書に明示的に記載または図示されていないが、本発明の原理を具現化し、その趣旨および範囲内に含まれる様々な構成を考案できることが理解されよう。さらに、本明細書に記載されている全ての例および条件付き言語は、主として、本発明の原理および発明者らが当該技術を促進することに寄与する概念を理解する上で読者を助けることを意図しているものであり、そのような具体的に記載される例および条件に限定されないことが企図されるものである。
【0203】
さらに、本発明の原理、態様、および実施形態、ならびにそれらの具体例を記載する本明細書における全ての記述は、その構造的等価物および機能的等価物の両方を包含するように意図されている。さらに、そのような等価物は、現在知られている等価物および今後開発される等価物の両方、すなわち、構造にかかわらず同じ機能を果たす任意の開発されたいずれの要素も含むことが意図される。したがって、本発明の範囲が、本明細書に図示および記載される例示的な実施形態に限定されることは意図されない。むしろ、本発明の範囲および趣旨は、添付の特許請求の範囲によって具体化される。
本発明の実施形態の例として、以下の項目が挙げられる。
(項目1)
変異アデノ関連ウイルス(AAV)キャプシドタンパク質であって、前記キャプシドタンパク質のGHループにペプチド挿入を含み、前記挿入が、AAV2、またはAAV2以外の野生型AAV血清型もしくはAAV変異体のキャプシド部分の対応する位置にあり、前記ペプチド挿入が、ISDQTKH(配列番号14)、QADTTKN(配列番号13)、ASDSTKA(配列番号15)、NQDYTKT(配列番号16)、HDITKNI(配列番号17)、HPDTTKN(配列番号18)、HQDTTKN(配列番号19)、NKTTNKD(配列番号20)、ISNENEH(配列番号21)、QANANEN(配列番号22)、GKSKVID(配列番号23)、TNRTSPD(配列番号24)、PNSTHGS(配列番号25)、KDRAPST(配列番号26)、LAQADTTKNA(配列番号27)、LAISDQTKHA(配列番号28)、LGISDQTKHA(配列番号29)、LAASDSTKAA(配列番号30)、LANQDYTKTA(配列番号31)、LAHDITKNIA(配列番号32)、LAHPDTTKNA(配列番号33)、LAHQDTTKNA(配列番号34)、LANKTTNKDA(配列番号35)、LPISNENEHA(配列番号36)、LPQANANENA(配列番号37)、LAGKSKVIDA(配列番号38)、LATNRTSPDA(配列番号39)、LAPNSTHGSA(配列番号40)、およびLAKDRAPSTA(配列番号41)からなる群から選択される、変異アデノ関連ウイルス(AAV)キャプシドタンパク質。
(項目2)
前記キャプシドタンパク質が、AAV2に対する1つ以上の点変異または他の野生型AAV血清型もしくはAAV変異体に対する1つ以上の対応する点変異を含む、項目1に記載の変異AAV。
(項目3)
前記1つ以上の点変異が、M1L、L15P、P34A、N57D、N66K、R81Q、Q101R、S109T、R144K、R144M、Q164K、T176P、L188I、S196Y、G226E、G236V、I240T、P250S、N312K、P363L、D368H、N449D、T456K、S463Y、D472N、R484C、A524T、P535S、N551S、A593E、I698V、V708I、V719M、S721L、およびL735Qからなる群から選択される、項目2に記載の変異AAV。
(項目4)
前記ペプチド挿入が、AAV2のVP1の570〜671位のアミノ酸のうちのいずれか、または別の野生型AAV血清型もしくはAAV変異体の対応する位置の後に挿入される、項目1に記載の変異AAV。
(項目5)
前記ペプチド挿入が、AAV2のVP1のアミノ酸587、または別のAAV血清型の対応する位置の後に挿入される、項目4に記載の変異AAV。
(項目6)
(a)項目1に記載の変異AAVキャプシドタンパク質、および異種核酸を含む、感染性組換えアデノ関連ウイルス(rAAV)ビリオン。
(項目7)
前記異種核酸が、RNA干渉剤またはポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、項目6に記載のrAAV。
(項目8)
異種核酸を標的細胞に送達する方法であって、前記標的細胞を項目7に記載のrAAVビリオンと接触させることを含む、方法。
(項目9)
前記標的細胞が網膜細胞である、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記標的細胞がインビトロである、項目8に記載の方法。
(項目11)
前記標的細胞がインビボである、項目8に記載の方法。
(項目12)
変異アデノ関連ウイルス(AAV)キャプシドタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸であって、前記キャプシドタンパク質のGHループにペプチド挿入を含み、前記挿入が、AAV2、またはAAV2以外の野生型AAV血清型もしくはAAV変異体のキャプシド部分の対応する位置にあり、前記ペプチド挿入が、ISDQTKH(配列番号14)、QADTTKN(配列番号13)、ASDSTKA(配列番号15)、NQDYTKT(配列番号16)、HDITKNI(配列番号17)、HPDTTKN(配列番号18)、HQDTTKN(配列番号19)、NKTTNKD(配列番号20)、ISNENEH(配列番号21)、QANANEN(配列番号22)、GKSKVID(配列番号23)、TNRTSPD(配列番号24)、PNSTHGS(配列番号25)、KDRAPST(配列番号26)、LAQADTTKNA(配列番号27)、LAISDQTKHA(配列番号28)、LGISDQTKHA(配列番号29)、LAASDSTKAA(配列番号30)、LANQDYTKTA(配列番号31)、LAHDITKNIA(配列番号32)、LAHPDTTKNA(配列番号33)、LAHQDTTKNA(配列番号34)、LANKTTNKDA(配列番号35)、LPISNENEHA(配列番号36)、LPQANANENA(配列番号37)、LAGKSKVIDA(配列番号38)、LATNRTSPDA(配列番号39)、LAPNSTHGSA(配列番号40)、およびLAKDRAPSTA(配列番号41)からなる群から選択される、単離された核酸。
(項目13)
項目12に記載の核酸を含む、単離された宿主細胞。
(項目14)
AAV2のVP1のアミノ酸570と611との間の位置にある2つの隣接するアミノ酸に対応する親AAVキャプシドタンパク質に対してペプチド挿入を含む変異アデノ関連ウイルス(AAV)キャプシドタンパク質であって、前記挿入が、アミノ酸配列X1X2DX3TKX4を含み、X1が、N、A、およびHから選択され、X2が、Q、P、およびSから選択され、X3が、T、Y、およびSから選択され、X4が、T、N、およびAから選択される、変異アデノ関連ウイルス(AAV)キャプシドタンパク質。
(項目15)
前記ペプチド挿入が、ASDSTKA(配列番号15)、NQDYTKT(配列番号16)、HQDTTKN(配列番号19)、およびHPDTTKN(配列番号18)からなる群から選択される、項目14に記載の変異AAV。
(項目16)
前記ペプチド挿入が、N末端アミノ酸LAおよびC末端アミノ酸Aに隣接している、項目15に記載の変異AAV。
(項目17)
前記ペプチド挿入が、AAV2のVP1のアミノ酸587と588との間、または別の野生型AAV血清型もしくはAAV変異体の対応する位置にある、項目15に記載の変異AAV。
(項目18)
(a)項目15に記載の変異AAVキャプシドタンパク質、および異種核酸を含む、感染性組換えアデノ関連ウイルス(rAAV)ビリオン。
(項目19)
前記異種核酸が、RNA干渉剤またはポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、項目18に記載のrAAV。
(項目20)
異種核酸を標的細胞に送達する方法であって、前記標的細胞を項目18に記載のrAAVビリオンと接触させることを含む、方法。
(項目21)
前記標的細胞が網膜細胞である、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記標的細胞がインビトロまたはインビボである、項目21に記載の方法。
(項目23)
AAV2のVP1のアミノ酸570と611との間の位置にある2つの隣接するアミノ酸の間の親AAVキャプシドタンパク質に対してペプチド挿入を含む変異アデノ関連ウイルス(AAV)をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸であって、前記挿入が、アミノ酸配列X1X2DX3TKX4を含み、X1が、N、A、およびHから選択され、X2が、Q、P、およびSから選択され、X3が、T、Y、およびSから選択され、X4が、T、N、およびAから選択される、単離された核酸。
(項目24)
項目23に記載の核酸を含む、単離された宿主細胞。
(項目25)
AAV2のVP1のアミノ酸570と611との間の位置にある2つの隣接するアミノ酸に対応する親AAVキャプシドタンパク質に対してペプチド挿入を含む変異アデノ関連ウイルス(AAV)キャプシドタンパク質であって、前記挿入が、HDITKNI(配列番号17)、TNRTSPD(配列番号24)、PNSTHGS(配列番号25)、NKTTNKD(配列番号20)、PISNENEH(配列番号64)、およびPQANANEN(配列番号63)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、変異アデノ関連ウイルス(AAV)キャプシドタンパク質。
(項目26)
i)配列番号1〜10および11からなる群より選択される野生型AAVと少なくとも90%同一であるAAVアミノ酸配列と、(ii)P34A、S109T+V708I、P34A+R484S、A593E+N596D、V708I+V719M、S109T+A493V+A593E+V708I、V708I+R733C、Q164K、およびI698Vからなる群から選択される1つ以上のアミノ酸置換と、を含み、前記1つ以上の置換が、AAV2に対するものか、または他のAAV血清型に対する前記1つ以上の対応する置換である、変異アデノ関連ウイルス(AAV)キャプシドタンパク質。
(項目27)
前記キャプシドタンパク質がペプチド挿入を含む、項目26に記載の変異AAV。
(項目28)
前記ペプチド挿入が、ISDQTKH(配列番号14)、QADTTKN(配列番号13)、ASDSTKA(配列番号15)、NQDYTKT(配列番号16)、HDITKNI(配列番号17)、HPDTTKN(配列番号18)、HQDTTKN(配列番号19)、NKTTNKD(配列番号20)、ISNENEH(配列番号21)、QANANEN(配列番号22)、GKSKVID(配列番号23)、TNRTSPD(配列番号24)、PNSTHGS(配列番号25)、KDRAPST(配列番号26)、LAQADTTKNA(配列番号27)、LAISDQTKHA(配列番号28)、LGISDQTKHA(配列番号29)、LAASDSTKAA(配列番号30)、LANQDYTKTA(配列番号31)、LAHDITKNIA(配列番号32)、LAHPDTTKNA(配列番号33)、LAHQDTTKNA(配列番号34)、LANKTTNKDA(配列番号35)、LPISNENEHA(配列番号36)、LPQANANENA(配列番号37)、LAGKSKVIDA(配列番号38)、LATNRTSPDA(配列番号39)、LAPNSTHGSA(配列番号40)、およびLAKDRAPSTA(配列番号41)からなる群から選択される、項目27に記載の変異AAV。
(項目29)
前記AAVアミノ酸配列が、前記野生型AAVと少なくとも95%同一である、項目26に記載の変異AAV。
(項目30)
前記AAVアミノ酸配列が、前記野生型AAVと少なくとも99%同一である、項目26に記載の変異AAV。
(項目31)
前記キャプシドタンパク質が祖先キャプシドタンパク質である、項目26に記載の変異AAV。
(項目32)
(a)項目27に記載の変異AAVキャプシドタンパク質、および異種核酸を含む、感染性組換えアデノ関連ウイルス(rAAV)ビリオン。
(項目33)
前記異種核酸が、RNA干渉剤またはポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、項目32に記載のrAAV。
(項目34)
異種核酸を標的細胞に送達する方法であって、前記標的細胞を項目32に記載のrAAVビリオンと接触させることを含む、方法。
(項目35)
前記標的細胞が網膜細胞である、項目34に記載の方法。
(項目36)
前記網膜細胞が、網膜神経節細胞、アマクリン細胞、水平細胞、双極細胞、光受容細胞、ミュラーグリア細胞、ミクログリア細胞、および網膜色素上皮からなる群から選択される、項目35に記載の方法。
(項目37)
前記標的細胞がインビトロである、項目34に記載の方法。
(項目38)
前記標的細胞がインビボである、項目34に記載の方法。
(項目39)
配列番号1〜12からなる群から選択される野生型AAVまたはAAV変異体と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列と、(ii)P34A、S109T+V708I、P34A+R484S、A593E+V708I、A593E+N596D、V708I+V719M、V708I+G727D、S109T+A493V+A593E+V708I、V708I+R733C、Q164K、およびI698Vからなる群から選択される1つ以上のアミノ酸置換と、を含む、変異アデノ関連ウイルス(AAV)キャプシドタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む単離された核酸。
(項目40)
項目39に記載の核酸を含む、単離された宿主細胞。
(項目41)
変異アデノ関連ウイルス(AAV)キャプシドタンパク質であって、a)前記キャプシドタンパク質のGHループにおけるペプチド挿入と、b)1つ以上の点変異と、を含み、前記ペプチド挿入が、ISDQTKH(配列番号14)およびLAISDQTKHA(配列番号28)からなる群から選択され、前記1つ以上の点変異のうちの少なくとも1つが、P34Aである、変異AAVキャプシドタンパク質。
(項目42)
変異アデノ関連ウイルス(AAV)キャプシドタンパク質であって、a)前記キャプシドタンパク質のGHループにおけるペプチド挿入と、b)1つ以上の点変異と、を含み、前記ペプチド挿入が、ISDQTKH(配列番号14)およびLAISDQTKHA(配列番号28)からなる群から選択され、前記1つ以上の点変異が、M1L、L15P、P34A、N57D、N66K、R81Q、Q101R、S109T、R144K、R144M、Q164K、T176P、L188I、S196Y、G226E、G236V、I240T、P250S、N312K、P363L、D368H、N449D、T456K、S463Y、D472N、R484C、A524T、P535S、N551S、A593E、I698V、V719M、S721L、およびL735Qからなる群から選択される、変異AAVキャプシドタンパク質。
(項目43)
変異AAVキャプシドタンパク質であって、a)前記キャプシドタンパク質のGHループにおけるペプチド挿入と、b)2つ以上の点変異と、を含み、前記ペプチド挿入が、ISDQTKH(配列番号14)およびLAISDQTKHA(配列番号28)からなる群から選択される、変異AAVキャプシドタンパク質。
(項目44)
前記2つ以上の点変異の少なくとも1つが、V708Iである、項目43に記載の変異AAVキャプシド。
(項目45)
変異AAVキャプシドタンパク質であって、a)配列番号2のアミノ酸587と588との間のLAISDQTKHA(配列番号28)ペプチド挿入と、b)前記配列番号2のアミノ酸配列と比較したP34Aアミノ酸置換と、を有し、前記AAVキャプシドタンパク質の前記アミノ酸配列が、それ以外の点では配列番号2と同一である、変異AAVキャプシドタンパク質。
(項目46)
変異AAVキャプシドタンパク質であって、a)前記キャプシドタンパク質のGHループにおけるペプチド挿入と、b)1つ以上の点変異と、を含み、前記ペプチド挿入が、QADTTKN(配列番号13)およびLAQADTTKNA(配列番号27)からなる群から選択され、前記1つ以上の点変異が、M1L、L15P、P34A、N57D、N66K、R81Q、Q101R、R144K、R144M、Q164K、T176P、L188I、S196Y、G226E、G236V、I240T、P250S、N312K、P363L、D368H、N449D、T456K、S463Y、D472N、R484C、A524T、P535S、N551S、A593E、I698V、V719M、S721L、およびL735Qからなる群から選択される、変異AAVキャプシドタンパク質。
(項目47)
変異AAVキャプシドタンパク質であって、a)前記キャプシドタンパク質のGHループにおけるペプチド挿入と、b)2つ以上の点変異と、を含み、前記ペプチド挿入が、QADTTKN(配列番号13)およびLAQADTTKNA(配列番号27)からなる群から選択される、変異AAVキャプシドタンパク質。
(項目48)
前記2つ以上の点変異のうちの少なくとも1つが、S109TおよびV708Iからなる群から選択される、項目47に記載の変異AAVキャプシドタンパク質。
(項目49)
前記2つ以上の点変異のうちの少なくとも2つが、S109TおよびV708Iである、項目47に記載の変異AAVキャプシドタンパク質。
(項目50)
アミノ酸配列LAQADTTKNA(配列番号27)を含む、変異AAVキャプシドタンパク質。
(項目51)
変異AAVキャプシドタンパク質であって、a)前記キャプシドタンパク質のGHループにおけるペプチド挿入と、b)1つ以上の点変異と、を含み、前記ペプチド挿入が、LATNRTSPDA(配列番号39)およびTNRTSPD(配列番号24)からなる群から選択され、前記1つ以上の点変異が、M1L、L15P、P34A、N57D、N66K、R81Q、Q101R、R144K、R144M、Q164K、T176P、L188I、S196Y、G226E、G236V、I240T、P250S、N312K、P363L、D368H、N449D、T456K、S463Y、D472N、R484C、A524T、P535S、N551S、A593E、I698V、V719M、S721L、L735Q、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、変異AAVキャプシドタンパク質。
(項目52)
変異AAVキャプシドタンパク質であって、a)前記キャプシドタンパク質のGHループにおけるペプチド挿入と、b)2つ以上の点変異と、を含み、前記ペプチド挿入または突然変異が、AAV2、または前記AAV2以外のAAV血清型のキャプシド部分における対応する位置にあり、前記ペプチド挿入が、TNRTSPD(配列番号24)およびLATNRTSPDA(配列番号39)からなる群から選択される、変異AAVキャプシドタンパク質。
(項目53)
前記2つ以上の点変異のうちの少なくとも1つが、V708Iである、項目52に記載の変異AAVキャプシドタンパク質。
(項目54)
アミノ酸配列LATNRTSPDA(配列番号39)を含む、変異AAVキャプシドタンパク質。
(項目55)
変異AAVキャプシドタンパク質であって、a)前記キャプシドタンパク質のGHループにおけるペプチド挿入と、b)1つ以上の点変異と、を含み、前記ペプチド挿入が、GKSKVID(配列番号23)およびLAGKSKVIDA(配列番号38)からなる群から選択される、変異AAVキャプシドタンパク質。
(項目56)
前記1つ以上の点変異が、M1L、L15P、P34A、N57D、N66K、R81Q、Q101R、S109T、R144K、R144M、Q164K、T176P、L188I、S196Y、G226E、G236V、I240T、P250S、N312K、P363L、D368H、N449D、T456K、S463Y、D472N、R484C、A524T、P535S、N551S、A593E、I698V、V708I、V719M、S721L、およびL735Qからなる群から選択される、項目55に記載の変異AAVキャプシドタンパク質。
(項目57)
アミノ酸配列LAGKSKVIDA(配列番号38)を含む、変異AAVキャプシドタンパク質。
(項目58)
変異AAVキャプシドタンパク質であって、前記キャプシドタンパク質のGHループにおけるペプチド挿入を含み、前記ペプチド挿入が、NQDYTKT(配列番号16)およびLANQDYTKTA(配列番号31)からなる群から選択される、変異AAVキャプシドタンパク質。
(項目59)
前記タンパク質が、AAV2、またはAAV2以外のAAV血清型のキャプシド部分における対応する位置に対する、M1L、L15P、P34A、N57D、N66K、R81Q、Q101R、S109T、R144K、R144M、Q164K、T176P、L188I、S196Y、G226E、G236V、I240T、P250S、P363L、D368H、N449D、T456K、S463Y、D472N、R484C、A524T、P535S、N551S、A593E、I698V、V708I、V719M、S721L、およびL735Qからなる群から選択される1つ以上の点変異をさらに含む、項目58に記載の変異AAVキャプシドタンパク質。
(項目60)
前記タンパク質が、2つ以上の点変異をさらに含み、前記ペプチド挿入が、NQDYTKT(配列番号16)およびLANQDYTKTA(配列番号31)からなる群より選択される、項目58に記載の変異AAVキャプシドタンパク質。
(項目61)
前記2つ以上の点変異のうちの少なくとも1つが、N312Kである、項目60に記載の変異AAVキャプシドタンパク質。
(項目62)
変異AAVキャプシドタンパク質であって、前記キャプシドタンパク質のGHループにおけるペプチド挿入を含み、前記ペプチド挿入が、HDITKNI(配列番号17)およびLAHDITKNIA(配列番号32)からなる群から選択される、変異AAVキャプシドタンパク質。
(項目63)
前記タンパク質が、AAV2、またはAAV2以外のAAV血清型のキャプシド部分における対応する位置に対する、M1L、L15P、P34A、N57D、N66K、R81Q、Q101R、S109T、R144K、R144M、Q164K、T176P、L188I、S196Y、G226E、G236V、I240T、P250S、P363L、D368H、N449D、T456K、S463Y、D472N、R484C、A524T、P535S、N551S、A593E、I698V、V719M、S721L、およびL735Qからなる群から選択される1つ以上の点変異をさらに含む、項目62に記載の変異AAVキャプシドタンパク質。
(項目64)
前記タンパク質が、2つ以上の点変異を含み、前記挿入または突然変異が、AAV2、またはAAV2以外のAAV血清型のキャプシド部分の対応する位置にある、項目62に記載の変異AAVキャプシドタンパク質。
(項目65)
前記2つ以上の点変異のうちの少なくとも1つが、V708Iである、項目64に記載の変異AAVキャプシドタンパク質。
(項目66)
変異アデノ関連ウイルス(AAV)キャプシドタンパク質であって、配列番号58の配列と、264のアラニン(A)、266のアラニン(A)、268のセリン(S)、448のアラニン(A)、459のトレオニン(T)、460のアルギニン(R)、467のアラニン(A)、470のセリン(S)、471のアスパラギン(N)、474のアラニン(A)、495のセリン(S)、516のアスパラギン(D)、533のアスパラギン(D)、547のグルタミン(Q)、551のアラニン(A)、555のアラニン(A)、557のグルタミン酸(E)、561のメチオニン(M)、563のセリン(S)、577のグルタミン(Q)、583のセリン(S)、593のバリン(V)、596のトレオニン(T)、661のアラニン(A)、662のバリン(V)、664のトレオニン(T)、665のプロリン(P)、710のトレオニン(T)、717のアスパラギン酸(D)、718のアスパラギン(N)、719のグルタミン酸(E)、および723のセリン(S)からなる群から選択される、1つ以上のアミノ酸残基と、を含む、変異アデノ関連ウイルス(AAV)キャプシドタンパク質。