(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、流体の流れにより回転するタービンであって、この流れが低速であり、かつ、この流れの方向が時間の経過と共に変化する場合であっても、効率よく回転するタービンを提供することを目的とする。さらには、本発明は、このようなタービンを備える潮汐発電装置を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、流体の流れにより回転するタービンであって、回転軸と、当該回転軸と一体で回転する回転板と、前記回転軸の外周側において、当該回転軸の周方向に沿って前記回転板に固定された複数の案内板とを備え、前記複数の案内板それぞれは、前記回転軸の径方向において前記回転軸と離隔するように配置され、前記回転軸において、当該回転軸の軸方向に直交する断面が円形であり、前記流体は、前記断面の外周に接触しながら当該外周に沿って流れることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るタービンによれば、回転軸の横断面(回転軸の軸方向に直交する断面)が円形であるため、流体は当該横断面の外周に沿って回転軸の周方向に流れる。これにより、回転軸の周方向において当該外周に沿った流体の流れである、内周回流が発生する。また、この内周回流に遠心力が作用することで、この内周回流の一部が回転軸の径方向外側に向かって進行する。さらに、このように進行した内周回流は、「回転軸の周方向に案内板を押圧しながら流動する」外周回流を発生させる。そして、内周回流は、回転軸の周方向において、回転軸に摩擦力及び慣性力を付与することでタービンを回転させる。一方、外周回流は、回転軸の周方向において、案内板に押圧力を付与することでタービンを回転させる。つまり、本発明に係るタービンによれば、「タービンの回転に利用する流体の流れが低速であり」、かつ、「この流れの方向が時間の経過と共に変化する」場合であっても、内周回流及び外周回流の両方により効率よく回転することができる。
【0009】
また、上記タービンにおいて、前記案内板は、前記径方向に対して前記周方向に傾斜するように設けられることが好ましい。これにより、タービンに供給された流体は、案内板に沿って回転軸の径方向外側から内側に向かって流れることで、回転軸の周方向における速度成分を与えられる。このため、タービンに供給された流体から内周回流を効率よく発生させることができる。
【0010】
さらに、上記タービンにおいて、前記案内板は、前記径方向、又は当該径方向に対して前記周方向に傾斜する方向に延びる流体流入案内部と、当該流体流入案内部における前記径方向内側端部から延びる内周回流維持部とを有しており、前記内周回流維持部は、前記回転軸の軸方向に直交する面において、前記回転軸の前記径方向中心部分と前記流体流入案内部の前記径方向内側端部とを通過する前記径方向に対して直交する方向に延びていることが好ましい。これにより、内周回流の急速な分散(回転軸の径方向外側への分散)を内周回流維持部により抑制し、この内周回流として流動する流体の流量を高めることができる。このため、内周回流により、タービンをより効率よく回転させることができる。なお、「内周回流の急速な分散」とは、内周回流に遠心力が作用することによる分散である。
【0011】
また、上記タービンにおいて、前記案内板は、前記径方向、又は当該径方向に対して前記周方向に傾斜する方向に延びる流体流入案内部と、当該流体流入案内部における前記径方向外側端部から延びる外周回流維持部とを有しており、前記外周回流維持部は、前記回転軸の軸方向に直交する面において、前記回転軸の前記径方向中心部分と前記流体流入案内部の前記径方向外側端部とを通過する前記径方向に対して直交する方向に延びていることが好ましい。これにより、外周回流の急速な分散(回転軸の径方向外側への分散)を外周回流維持部により抑制し、この外周回流として流動する流体の流量を高めることができる。このため、回転軸の周方向において、外周回流により、タービンをより効率よく回転させることができる。なお、「外周回流の急速な分散」とは、外周回流に遠心力が作用することによる分散である。
【0012】
さらに、上記タービンにおいて、前記案内板は、前記径方向、又は当該径方向に対して前記周方向に傾斜する方向に延びる流体流入案内部と、当該流体流入案内部における前記径方向内側端部から延びる内周回流維持部と、前記流体流入案内部における前記径方向外側端部から延びる外周回流維持部とを有しており、前記内周回流維持部は、前記回転軸の軸方向に直交する面において、前記回転軸の前記径方向中心部分と前記流体流入案内部の前記径方向内側端部とを通過する前記径方向に対して直交する方向に延びており、前記外周回流維持部は、前記回転軸の軸方向に直交する面において、前記回転軸の前記径方向中心部分と前記流体流入案内部の前記径方向外側端部とを通過する前記径方向に対して直交する方向に延びていることが好ましい。これにより、外周回流の「径方向外側への分散」を外周回流維持部により抑制し、かつ、外周回流の「径方向内側への分散」を内周回流維持部により抑制することができる。このため、外周回流により案内板に効率よく押圧力を付与することができる。なお、外周回流の「径方向内側への分散」は、回転軸の径方向外側から内側へ供給される流体の流れにより引き起こされるものである。また、外周回流の「径方向外側への分散」は、外周回流に遠心力が作用することにより引き起こされるものである。
【0013】
また、上記タービンにおいて、前記複数の案内板には、内側案内板と、前記径方向において前記内側案内板の外側に配置される外側案内板とが含まれており、前記径方向において、前記外側案内板の内側端部と前記回転軸との距離は、前記内側案内板の外側端部と前記回転軸との距離に比較して長いことが好ましい。これにより、回転軸の周方向において、回転軸の外周に沿った上記内周回流とは別に、内側案内板と外側案内板との間を通過する内周回流をさらに発生させることができる。このため、回転軸の径方向における異なる位置に複数の内周回流を発生させることができ、これら複数の内周回流を利用してタービンをさらに効率よく回転させることができる。
【0014】
さらに、本発明は、潮汐により発生する潮流を利用して発電する潮汐発電装置であって、タービンと、当該タービンが内部に設置されたハウジングと、前記タービンの回転により発電を行う発電機とを備え、前記ハウジングは、天板と、底板と、一組の主流入板と、一組の主流出板と、側流入板と、側流出板とを有しており、前記ハウジングの内部には、主流入部と、主流出部と、側流入部と、側流出部とが形成されており、前記主流入部は、前記タービンの軸方向に直交する面における直線方向において、前記ハウジングの外部から内部へ前記潮流により水が流入する領域であり、かつ、前記面において前記直線方向に延びる第一直線を基準として互いに対称に形成された前記一組の主流入板の間における領域であり、前記主流出部は、前記直線方向において、前記ハウジングの内部から外部へ水が流出する領域であり、かつ、前記面において前記第一直線を基準として互いに対称に形成された前記一組の主流出板の間における領域であり、前記一組の主流入板と前記一組の主流出板とは、前記面において前記第一直線に対して直交する第二直線を基準として互いに対称に形成されており、前記側流入部は、前記面における前記直線方向に対して傾斜する方向において、前記ハウジングの外部から内部へ前記潮流により水が流入する領域であり、かつ、前記一組の主流入板の一方と前記側流入板との間における領域であり、前記側流出部は、前記面における前記直線方向に対して傾斜する方向において、前記ハウジングの内部から外部へ水が流出する領域であり、かつ、前記一組の主流出板の一方と前記側流出板との間における領域であり、前記側流入板と前記側流出板とは、前記面において前記第二直線を基準として互いに対称に形成されており、前記タービンは、上述したタービンのいずれか一つであることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る潮汐発電装置によれば、上述した側流入部を備えることで、主流入部における流体の流入方向とは別方向から流体がハウジング内部に流入することになる。これにより、互いに流れ方向が異なる潮流(主流入部から流入する流体の流れ、及び、側流入部から流入する流体の流れ)がハウジング内部で合流し、この合流によりハウジング内部で流体が様々な方向に分散されてタービンに力を伝達する。このため、側流入部を形成するだけの簡易な方法により、タービンにおいて潮流による力が伝達される箇所の範囲を広げることができる。それゆえ、低コストで製造可能であり、かつ、効率よくタービンを回転させて発電することが可能な発電装置とすることができる。
【0016】
その上で、上述した側流出部を備えることで、潮汐によりハウジング内部において流体の流れ方向が変化した場合であっても、上述した側流出部を上述した側流入部として機能させることができる。これにより、低コストで製造可能であり、かつ、効率よくタービンを回転させて発電することが可能な潮汐発電装置とすることができる。なお、潮汐によりハウジング内部において流体の流れ方向が変化した場合、上述した主流出部を上述した主流入部として機能させることができる。
【0017】
また、本発明に係る潮汐発電装置によれば、内周回流を効率よく発生させるように主流入部を設置し、かつ、外周回流を効率よく発生させるように側流入部を設置することができる。すなわち、タービンへの最適な流体供給方向は、タービンにおいて内周回流を効率よく発生させることを目的とするか、タービンにおいて外周回流を効率よく発生させることを目的とするかにより異なる。このため、従来は、これら2つの目的を同時に達成するように流体をタービンに供給することが困難であった。しかし、本発明に係る潮汐発電装置は、流体の流入方向が異なる主流入部及び側流入部の設置により、上記2つの目的を同時に達成することができ、本発明に係るタービンの機能を充分に発揮させることができる。よって、本発明に係る潮汐発電装置によれば、内周回流と外周回流との両方によりタービンを効率よく回転させることができ、効率よく発電を行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
以上により、本発明に係るタービンによれば、流体の流れにより回転するにあたり、この流れが低速であり、かつ、この流れの方向が時間の経過と共に変化する場合であっても、効率よく回転することができる。さらには、本発明に係る潮汐発電装置によれば、このようなタービンを備えることで効率よく発電を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
まず、本発明に係るタービンの第一実施形態について説明する。
図1は、本発明に係るタービンの第一実施形態を示す一部破断斜視図である。
図2は、
図1に示すタービンの概略横断面図である。
図1に示すように、タービン1は、回転軸2と、この回転軸2と一体で回転する回転板3(3A、3B)と、この回転軸2の外周側において回転軸2の周方向に沿って回転板3(3A、3B)に固定された複数の案内板4(4A〜4H)とを備えている。なお、
図1においては、回転板3Aの一部を破断させている。
【0022】
図1に示すように、回転軸2は、円柱状に形成されている。また、
図2に示すように、回転軸2は、回転軸2の軸方向に直交する断面Sが円形になるように配置されている。なお、以下において、「軸方向」は、回転軸2の軸方向を意味している。また、「径方向」は、回転軸2の径方向を意味している。さらに、「面方向」は、回転軸2の軸方向に直交する面方向を意味している。
【0023】
図1に示すように、回転板3(3A、3B)は、共に円板状に形成された平板部材である。また、回転板3(3A、3B)は、それぞれ回転軸2に固定されている。さらに、回転板3(3A、3B)は、共に面方向に配置されている。そして、回転板3Aは、回転軸2において軸方向一端(上端)に固定されている。一方、回転板3Bは、回転軸2において軸方向他端(下端)に固定されている。
【0024】
図1に示すように、案内板4(4A〜4H)は、長方形状に形成された平板部材である。また、案内板4(4A〜4H)は、回転板3Aの下端と回転板3Bの上端とに固定され、かつ、これら下端及び上端の間を軸方向に延びるように配置されている。また、
図2に示すように、案内板4(4A〜4H)は、径方向に対して周方向に傾斜するように設けられる。そして、複数の案内板4(4A〜4H)それぞれは、径方向において回転軸2と離隔するように配置されている。
【0025】
図1、2に示すタービン1の動作は次の通りである。まず、回転板3A、3Bの間において、面方向における任意の直線方向(
図2の紙面においては「下から上に向かう方向」)に流体Fが供給される。この流体Fは、案内板4Aに沿うように、回転軸2の径方向外側から内側に向かって流れる。これにより、案内板4Aに沿って案内流g1が発生する。さらに、案内流g1の一部は、周方向において、回転軸2の外周Cに接触しながら回転軸2の外周Cに沿って進行する。このため、回転軸2の外周Cに沿って周方向に内周回流i1が発生する。この内周回流i1は、周方向において回転軸2に摩擦力及び慣性力を付与する。
【0026】
さらに、この内周回流i1に遠心力が作用することで、この内周回流i1の一部が径方向外側に向かって進行する。これにより、この内周回流i1の一部は、「周方向において案内板4(4A〜4H)を押圧しながら流動する」外周回流e1を発生させる。そして、外周回流e1は、周方向において案内板4(4A〜4H)に押圧力を付与する。
【0027】
つまり、タービン1は、内周回流i1による回転軸2への摩擦力及び慣性力と、外周回流e1による案内板4(4A〜4H)への押圧力とにより回転する。そして、タービン1が回転方向Rに回転することで、新たにタービン1に供給される流体Fは案内板4Hに供給される(すなわち、
図2の紙面において、案内板4Aではなく案内板4Hが下側に位置するようになる。)。これにより、流体Fは、案内板4Hに沿って流れながら案内流g1を発生させる。さらに、タービン1が回転することで、流体Fは、案内板4G〜4Bの順に供給され、さらには、再度案内板4Aに供給される。
【0028】
ここで、内周回流i1が発生する流路を内周流路c1、外周回流e1が発生する流路を外周流路c2とすると、内周流路c1と外周流路c2は共に環状に形成される。さらに、外周流路c2は、径方向において内周流路c1の外側に形成される。そして、内周流路c1において、内周回流i1は周方向全体に発生する。一方、外周流路c2において、外周回流e1は周方向における案内板4(4A〜4H)の間に発生する。
【0029】
以上のように、本発明に係るタービンの第一実施形態によれば、回転軸2の断面S(回転軸2の軸方向に直交する断面)が円形であるため、流体Fは断面Sの外周Cに沿って回転軸2の周方向に流れる。これにより、回転軸2の周方向において外周Cに沿った流体Fの流れである、内周回流i1が発生する。また、この内周回流i1に遠心力が作用することで、この内周回流i1の一部が回転軸2の径方向外側に向かって進行する。さらに、このように進行した内周回流i1は、「回転軸2の周方向に案内板4(4A〜4H)を押圧しながら流動する」外周回流e1を発生させる。そして、内周回流i1は、回転軸2の周方向において、回転軸2に摩擦力及び慣性力を付与することでタービン1を回転させる。一方、外周回流e1は、回転軸2の周方向において、案内板4(4A〜4H)に押圧力を付与することでタービン1を回転させる。つまり、上記第一実施形態によれば、「タービン1の回転に利用する流体Fの流れが低速であり」、かつ、「この流れの方向が時間の経過と共に変化する」場合であっても、内周回流i1及び外周回流e1の両方により効率よく回転することができる。
【0030】
また、上記第一実施形態において、案内板4(4A〜4H)は、径方向に対して周方向に傾斜するように設けられている。これにより、タービン1に供給された流体Fは、案内板4(4A〜4H)に沿って回転軸2の径方向外側から内側に向かって流れることで、回転軸2の周方向における速度成分を与えられる。このため、タービン1に供給された流体Fから内周回流i1を効率よく発生させることができる。
【0031】
なお、上記第一実施形態において、回転軸2は円柱状に形成されているが、回転軸2において軸方向に直交する断面Sが円形であれば、回転軸2の形状を円柱状以外(例えば、円錐など)にすることもできる。また、上記第一実施形態において、回転板3(3A、3B)を2枚設置しているが、いずれか1枚のみ又は3枚以上設置してもよい。さらに、上記第一実施形態において、案内板4(4A〜4H)を8枚使用しているが、案内板4の設置枚数は特に限定されるものではない。また、上記第一実施形態において、回転板3(3A、3B)及び案内板4(4A〜4H)には、それぞれ平板部材を使用しているが、波形部材など平板部材以外の部材を使用することもできる。さらに、上記第一実施形態において、案内板4(4A〜4H)は、径方向に傾斜する方向に延びているが、径方向に延びていてもよい。
【0032】
次に、本発明に係るタービンの第二実施形態について説明する。なお、以下において、上記第二実施形態の構成のうち上記第一実施形態と共通する構成については、上記第一実施形態の構成と同様の符号を付して説明を省略する。
【0033】
図3は、本発明に係るタービンの第二実施形態を示す一部破断斜視図である。
図4は、
図3に示すタービンの概略横断面図である。
図3及び
図4に示すように、タービン11は、
図1に示すタービン1が備える案内板4(4A〜4H)に代えて案内板14(14A〜14H)を備えている。
図3及び
図4に示すように、案内板14(14A〜14H)は、「径方向に対して周方向に傾斜する方向」に延びるように形成された流体流入案内部14aと、流体流入案内部14aにおける径方向内側端部から延びる内周回流維持部14bと、流体流入案内部14aの径方向外側端部から延びる外周回流維持部14cとを有している。そして、内周回流維持部14bは、回転軸2の径方向中心部分と流体流入案内部14aの径方向内側端部とを通過する径方向に対して、面方向において直交する方向両側に延びている。外周回流維持部14cは、回転軸2の径方向中心部分と流体流入案内部14aの径方向外側端部とを通過する径方向に対して、面方向において直交する方向両側に延びている。
【0034】
また、各案内板14(14A〜14H)における流体流入案内部14aは、それぞれ
図1及び
図2に示す案内板4(4A〜4H)に相当する。なお、
図3及び
図4においては、案内板14Aについてのみ符号14a〜14cを付し、案内板14B〜14Hについては符号14a〜14cの記載を省略した。なお、
図4において、Rはタービン11の回転方向を示している。
【0035】
以上のように、上記第二実施形態によれば、内周回流i1の急速な分散(回転軸2の径方向外側への分散)を内周回流維持部14bにより抑制し、この内周回流i1として流動する流体Fの流量を高めることができる。このため、内周回流i1によりタービン11をより効率よく回転させることができる。なお、「内周回流i1の急速な分散」とは、内周回流i1に遠心力が作用することによる分散である。
【0036】
また、上記第二実施形態によれば、外周回流e1の急速な分散(回転軸2の径方向外側への分散)を外周回流維持部14cにより抑制し、この外周回流e1として流動する流体Fの流量を高めることができる。このため、回転軸2の周方向において、外周回流e1によりタービン11をより効率よく回転させることができる。なお、「外周回流e1の急速な分散」とは、外周回流e1に遠心力が作用することによる分散である。
【0037】
なお、上記第二実施形態においては、内周回流維持部14b及び外周回流維持部14cの両方を設けたが、これらのうちのいずれか一方のみを設けてもよい。また、上記第二実施形態においては、内周回流維持部14b及び外周回流維持部14cは、それぞれ流体流入案内部14aから両方向に延びているが、一方向にのみ延びていてもよい。
【0038】
しかし、上記第二実施形態のように、内周回流維持部14b及び外周回流維持部14cの両方を設けることで、外周回流e1の「径方向外側への分散」を外周回流維持部14cにより抑制し、かつ、外周回流e1の「径方向内側への分散」を内周回流維持部14bにより抑制することができる。このため、外周回流e1により「案内板14(14A〜14H)の流体流入案内部14a」に効率よく押圧力を付与することができる。なお、外周回流e1の「径方向内側への分散」は、回転軸2の径方向外側から内側へ供給される流体Fの流れ(案内流g1)により引き起こされるものである。また、外周回流e1の「径方向外側への分散」は、外周回流e1に遠心力が作用することにより引き起こされるものである。
【0039】
また、上記第二実施形態のように、内周回流維持部14b及び外周回流維持部14cがそれぞれ流体流入案内部14aから両方向に延びていることで、タービン11の回転方向にかかわらず両維持部14b、14cを機能させることができる。このため、タービン11への流体供給方向が時間の経過と共に異なる場合(
図4の紙面において、「下から上へ向かう方向」と「上から下へ向かう方向」とに、交互に流体Fが供給される場合)であっても、両維持部14b、14cを機能させることができる。よって、タービン11を「潮汐発電装置(時間の経過と共に異なる方向から流体が供給される装置)において好適に使用することができる回転体」とすることができる。
【0040】
次に、本発明に係るタービンの第三実施形態について説明する。なお、以下において、上記第三実施形態の構成のうち上記第二実施形態と共通する構成については、上記第二実施形態の構成と同様の符号を付して説明を省略する。
図5に示すように、タービン21は、
図3及び
図4に示す案内板14(14A〜14H)に代えて案内板24(24A〜24H)を備える。これら案内板24(24A〜24H)は、
図3及び
図4に示す流体流入案内部14aに代えて流体流入案内部24aを備えている。この流体流入案内部24aは、径方向に延びるように形成されている。
【0041】
ここで、
図5に示すように、流体Fは、「径方向に対して周方向に傾斜する方向」に供給される。また、このような供給方法には、例えば、「タービン21の径方向外側において、上記傾斜する方向に延びる固定案内板(不図示)を周方向に沿って複数配置し、これらの固定案内板の径方向外側から径方向内側に向かって流体Fを供給する」方法が挙げられる。また、
図5において、Rはタービン21の回転方向を示している。
【0042】
以上のように、上記第三実施形態によれば、流体流入案内部24aが(径方向に対して周方向に傾斜するのではなく)径方向に延びているため、流体Fの「タービン21への供給方向」にかかわらず、案内流g1が発生する方向を一定に(径方向で統一)することができる。これにより、「タービン21に流体Fが供給される方向」が時間の経過と共に変化しても、タービン21の内部における水流の状態(流体の流速及び流れ方向)をほぼ一定にすることができ、タービン21の回転速さをほぼ一定にすることができる。よって、時間の経過と共に流体の流れ方向が変化する発電装置(潮汐発電装置)において、タービン21を有効に利用することができる。
【0043】
次に、本発明に係るタービンの第四実施形態について説明する。
図6は、本発明に係るタービンの第四実施形態を示す概略横断面図である。
図6に示すように、タービン31は、
図1に示すタービン1が備える複数の案内板4(4A〜4H)に代えて複数の案内板34(34A〜34H)、35(35A〜35H)、36(36A〜36H)を備える。具体的には、タービン31は、複数の第一案内板34(34A〜34H)と、複数の第二案内板35(35A〜35H)と、複数の第三案内板36(36A〜36H)とを備えている。
【0044】
ここで、第一案内板34(34A〜34H)は、回転軸2の外周側において、周方向に沿って回転板3A、3B(
図6においては回転板3Bのみ図示)に固定されている。また、複数の第二案内板35(35A〜35H)は、複数の第一案内板34(34A〜34H)に比較して径方向外側において、周方向に沿って回転板3A、3B(
図6においては3Bのみ図示)に固定されている。さらに、複数の第三案内板36(36A〜36H)は、複数の第二案内板35(35A〜35H)に比較して径方向外側において、周方向に沿って回転板3A、3B(
図6においては3Bのみ図示)に固定されている。
【0045】
また、径方向において、複数の第二案内板35(35A〜35H)それぞれにおける内側端部と回転軸2との距離は、複数の第一案内板34(34A〜34H)それぞれにおける外側端部と回転軸2との距離に比較して長い。さらに、径方向において、複数の第三案内板36(36A〜36H)それぞれにおける内側端部と回転軸2との距離は、複数の第二案内板35(35A〜35H)それぞれにおける外側端部と回転軸2との距離に比較して長い。
【0046】
複数の案内板34(34A〜34H)、35(35A〜35H)、36(36A〜36H)は、内側案内板と外側案内板との一方又は両方として位置付けられる。なお、外側案内板とは、径方向において内側案内板より外側に配置された案内板である。そして、径方向において、外側案内板の内側端部と回転軸2との距離は、内側案内板の外側端部と回転軸2との距離に比較して長い。タービン31においては、第一案内板34(34A〜34H)は内側案内板に該当し、第三案内板36(36A〜36H)は外側案内板に該当する。また、第二案内板35(35A〜35H)は、第一案内板34(34A〜34H)との対比では外側案内板に該当し、第三案内板36(36A〜36H)との対比では内側案内板に該当する。
【0047】
さらに、複数の第二案内板35(35A〜35H)は、複数の第一案内板34(34A〜34H)に比較して、径方向に対して周方向に大きく傾斜するように配置されている。また、複数の第三案内板36(36A〜36H)は、複数の第二案内板35(35A〜35H)と同一方向に傾斜し、かつ、複数の第二案内板35(35A〜35H)に比較して、径方向に対して大きく傾斜するように配置されている。このように、外側案内板は、内側案内板に比較して、径方向に対して周方向に大きく傾斜するように配置される。
【0048】
図6に示すタービン31の動作は次の通りである。まず、回転板3A(
図6においては示さず)、3Bの間において、面方向における任意の直線方向(
図6の紙面においては「下から上に向かう方向」)に流体Fが供給される。この流体Fは、第三案内板36Aに沿うように、回転軸2の径方向外側から内側に向かって流れる。これにより、第三案内板36Aに沿って第三案内流g3が発生する。さらに、第三案内流g3の一部は、第二案内板35(35A〜35H)と第三案内板36(36A〜36H)との間を通過する周方向において、第三内周回流i3を発生させる。また、第三案内流g3の別の一部は、径方向内側に進行し、第二案内板35Aに沿って第二案内流g2を発生させる。
【0049】
また、第二案内流g2の一部は、第一案内板34(34A〜34H)と第二案内板35(35A〜35H)との間を通過する周方向において、第二内周回流i2を発生させる。また、第二案内流g2の別の一部は、径方向内側に進行し、第一案内板34(34A〜34H)に沿って第一案内流g1(
図2に示す「案内流g1」に相当)を発生させる。さらに、第一案内流g1の一部は、周方向において外周Cに沿って第一内周回流i1(
図2に示す「内周回流i1」に相当)を発生させる。
【0050】
さらに、第一内周回流i1〜第三内周回流i3それぞれに遠心力が作用することで、これら第一内周回流i1〜第三内周回流i3がそれぞれ径方向外側に向かって進行する。これにより、第一内周回流i1の一部から第一外周回流e1が発生し、第二内周回流i2の一部から第二外周回流e2が発生し、第三内周回流i3の一部から第三外周回流e3が発生する。そして、これら第一外周回流e1〜第三外周回流e3は、それぞれ第一案内板34(34A〜34H)〜第三案内板36(36A〜36H)を周方向に押圧する。なお、
図6において、第一外周回流e1〜第三外周回流e3は、第一外周回流e1〜第三外周回流e3の発生箇所における一部にのみ示されている。
【0051】
ここで、第一内周回流i1が発生する流路を第一内周流路c1(
図2に示す「内周流路c1」に相当)、第一外周回流e1が発生する流路を第一外周流路c2(
図2に示す「外周流路c2」に相当)、第二内周回流i2が発生する流路を第二内周流路c3、第二外周回流e2が発生する流路を第二外周流路c4、第三内周回流i3が発生する流路を第三内周流路c5、第三外周回流e3が発生する流路を第三外周流路c6とする。この場合、これらの流路c1〜c6は環状に形成されている。そして、回転軸2との離隔距離(径方向における距離)は、流路c1、c2、c3、c4、c5、c6の順に大きくなる。
【0052】
以上のように、本発明に係るタービンの第四実施形態によれば、回転軸2の周方向において、回転軸2の外周Cに沿った第一内周回流i1とは別に、第一案内板34(34A〜34H)と第二案内板35(35A〜35H)との間を通過する第二内周回流i2、及び、第二案内板35(35A〜35H)と第三案内板36(36A〜36H)との間を通過する第三内周回流i3をさらに発生させることができる。このため、「回転軸2の径方向における異なる位置」に複数の内周回流i1〜i3を発生させることができ、これら複数の内周回流i1〜i3を利用してタービン31をさらに効率よく回転させることができる。
【0053】
なお、上記第四実施形態においては、第一案内板34(34A〜34H)、第二案内板35(35A〜35H)及び第三案内板36(36A〜36H)を設置した。しかし、第三案内板36(36A〜36H)を設置せずに第一案内板34(34A〜34H)及び第二案内板35(35A〜35H)のみを設置することもでき、あるいは、第三案内板36(36A〜36H)の径方向外側にさらに案内板を設置することもできる。
【0054】
次に、本発明に係る潮汐発電装置の一実施形態について説明する。
図7は、本発明に係る潮汐発電装置の一実施形態を示す斜視図である。
図7に示す潮汐発電装置101は、潮汐により発生する潮流を利用して発電する発電装置である。
図7に示すように、潮汐発電装置101は、タービン1(1A、1B)と、タービン1(1A、1B)が内部に設置されたハウジング110と、タービン1(1A、1B)が回転することで発電する発電機(不図示)と、ハウジング110の外部から内部に向けて水W1が流入する空間である主流入部I1及び側流入部I2と、ハウジング110の内部から外部に向けて水W2が流出する空間である主流出部D1及び側流出部D2とを備える。
【0055】
ハウジング110は、天板120と底板130とを有している。また、天板120と底板130とは、互いに平行となるように配置されている。さらに、天板120と底板130とは、タービン1(1A、1B)の軸方向に直交する面方向に配置されている。そして、天板120は、タービン1(1A、1B)の軸方向一端においてタービン1(1A、1B)に取り付けられている。また、底板130は、タービン1(1A、1B)の軸方向他端においてタービン1(1A、1B)に取り付けられている。
【0056】
図8は、
図7に示す潮汐発電装置を示す概略横断面図である。
図8に示すように、主流入部I1において、第一直線d1(仮想線)が延びる直線方向に水W1が流入して本流M1が生じる。また、主流出部D1において、上記直線方向に水W2が流出して本流M2が生じる。なお、第一直線d1は、タービン1(1A、1B)の軸方向に直交する面(
図8に示すXY平面)において、潮汐発電装置101のX方向中央を通過し、かつ、Y方向に延びる直線である。また、側流入部I2において、「XY平面における第一直線d1に対して傾斜する方向」に水W1が流入して側流B1が生じる。さらに、側流出部D2において、「XY平面における第一直線d1に対して傾斜する方向」に水W2が流出して側流B2が生じる。
【0057】
また、
図8に示すように、主流入部I1は、XY平面において第一直線d1を基準として互いに対称に形成された一組の主流入板111(111A、111B)の間における領域である。さらに、主流出部D1は、XY平面において第一直線d1を基準として互いに対称に形成された一組の主流出板112(112A、112B)の間における領域である。また、一組の主流入板111(111A、111B)と一組の主流出板112(112A、112B)とは、XY平面において第二直線d2を基準として互いに対称に形成されている。さらに、側流入板113A(113B)と側流出板114A(114B)とは、XY平面において第二直線d2を基準として互いに対称に形成されている。なお、第二直線d2とは、XY平面において、潮汐発電装置101のY方向中央を通過し、かつ、第一直線d1に対して直交する直線である。
【0058】
さらに、
図8に示すように、側流入部I2は、一組の主流入板111(111A、111B)の一方111Aと側流入板113Aとの間における位置と、一組の主流入板111(111A、111B)の他方111Bと側流入板113Bとの間における位置とにそれぞれ形成されている。また、側流出部D2は、一組の主流出板112(112A、112B)の一方112Aと側流出板114Aとの間における位置と、一組の主流出板112(112A、112B)の他方112Bと側流出板114Bとの間における位置とにそれぞれ形成されている。
【0059】
また、
図8に示すように、一組の主流出板112(112A、112B)の間における距離(X方向における距離)は、本流M2の上流側から下流側に向かうにつれて徐々に長くなる。このため、本流M2は、ハウジング110の内部から外部において拡散するように排出される。すなわち、主流出部D1は、ディフューザとして機能する。さらに、主流出板112Aと側流出板114Aとの間における距離(「XY平面において、X方向に対して45°の角度を形成し、かつ、Y方向に対して45°の角度を形成する方向」における距離)は、側流B2の上流側から下流側に向かって徐々に長くなる。このため、側流B2は、ハウジング110の内部から外部において拡散するように排出される。すなわち、側流出部D2(主流出板112Aと側流出板114Aとの間における領域)は、ディフューザとして機能する。さらに、主流出板112Bと側流出板114Bとの間における側流出部D2も、同様にディフューザとして機能する。これらにより、主流出部D1及び側流出部D2は、タービン設置部Eからの水の吸い出し効果が高く、タービン設置部Eにおいて流れる水を効率よく吸い出して潮汐発電装置101の外部に排出する。
【0060】
また、
図8に示すように、潮汐発電装置101は、XY平面においてタービン1(1A、1B)の外周に沿って円弧状に形成された逆流防止板115(115A、115B)と、平板状に形成された外板116(116A、116B)とを備える。逆流防止板115A(115B)において、その一端が側流入板113A(113B)の先端に接続され、かつ、その他端が側流出板114A(114B)の先端に接続される。さらに、外板116A(116B)において、その一端が側流入板113A(113B)の先端に接続され、その他端が側流出板114A(114B)の先端に接続される。さらに、逆流防止板115Aとタービン1Aとの間には、タービン1Aの回転方向R1(又は回転方向R2)に沿って水が流れる流路が形成されている。
【0061】
また、主流入部I1と主流出部D1との間の空間は、複数のタービン1A、1Bが設置されるタービン設置部Eとされている。タービン設置部Eにおいて、タービン1A、1Bは、第二直線d2が延びる方向において互いに離隔するように設置されている。
【0062】
さらに、
図8に示すように、潮汐発電装置101は、一組の流れ調整柱117、118を備えている。流れ調整柱117は、主流入部I1に配置されている。また、流れ調整柱118は、主流出部D1に配置されている。さらに、流れ調整柱117において、第一直線d1が延びる方向における中心(流れ調整柱117における中心)から当該中心の両側に向かうにつれ、XY平面において第一直線d1に対する直交方向の距離が徐々に小さくなる。また、流れ調整柱118においても同様である。
【0063】
また、
図8に示すように、潮汐発電装置101には、潮汐発電装置101のバラストタンクとして機能するバラストタンク部T1〜T4が形成されている。バラストタンク部T1は、側流入板113A、側流出板114A、逆流防止板115A及び外板116Aにより囲まれた空間に空気が封入されて形成される。また、バラストタンク部T2は、側流入板113B、側流出板114B、逆流防止板115B及び外板116Bにより囲まれた空間に空気が封入されて形成される。また、バラストタンク部T3は、流れ調整柱117の内部空間に空気が封入されることで形成される。さらに、バラストタンク部T4は、流れ調整柱118の内部空間に空気が封入されることで形成される。
【0064】
次に、
図7及び
図8に示す潮汐発電装置101における動作について説明する。まず、
図7及び
図8に示す潮汐発電装置101を海中に設置する。次に、潮汐により海面が上昇することにより潮流が発生し、この潮流により水W1が潮汐発電装置101に供給される。
図7に示すように、潮汐発電装置101に供給される水W1は、主流入部I1からハウジング110(
図8も参照)内に流入することで本流M1を生じさせ、側流入部I2からハウジング110内に流入することで側流B1を生じさせる。
【0065】
ここで、本流M1は、主流入部I1において、第二直線d2が延びる方向両側に分かれるように発生する。そして、本流M1は、ハウジング110の内部において側流B1と合流する。この合流により、ハウジング110の内部において、水が分散してタービン1(1A、1B)に供給される。これにより、タービン1(1A、1B)が回転方向R1に回転することで、タービン1(1A、1B)に取り付けられた発電機(不図示)で発電がなされる。
【0066】
さらに、
図8に示すように、タービン1(1A、1B)を回転させた水において、その一部が主流出部D1からハウジング110の外部へ流出して本流M2を生じさせ、その別の一部が側流出部D2からハウジング110の外部へ流出して側流B2を生じさせ、その残部がタービン1(1A、1B)を回転させながら逆流防止板115(115A、115B)に沿ってハウジング110の内部を循環する。このような循環を行う水の流れは、側流入部I2に発生する側流B1をタービン1(1A、1B)の周方向に加速する。
【0067】
また、潮汐発電装置101の外部においては、水W1の一部が外板116(116A、116B)に沿って流れている。この流れ(外部流)は、タービン1(1A、1B)を回転させずに直進する流れであるため、本流M2や側流B2に比較して高速である。そして、側流B2は、XY平面(
図8参照)において第一直線d1に傾斜する方向に直進するため、ハウジング110の外部において上記外部流と合流して加速される。このため、側流出部D2においては、主流出部D1に比較して水が高速で潮汐発電装置101から排出される。
【0068】
さらに、潮汐により海面が下降することで、
図8において点線矢印で示すように、潮汐発電装置101において、水W2が主流出部D1及び側流出部D2からハウジング110の内部に流入し、水W1が主流入部I1及び側流入部I2からハウジング110の外部に流出する。この場合、タービン1(1A、1B)は、回転方向R1とは逆方向である回転方向R2に回転する。
【0069】
以上のように、本発明に係る潮汐発電装置の一実施形態によれば、側流入部I2を備えることで、主流入部I1における水W1の流入方向とは別方向から水W1がハウジング110内部に流入することになる。これにより、互いに流れ方向が異なる潮流(主流入部I1から流入する水W1の流れ、及び、側流入部I2から流入する水W1の流れ)がハウジング110内部で合流し、この合流によりハウジング110内部で水W1が様々な方向に分散されてタービン1(1A、1B)に力を伝達する。このため、側流入部I1を形成するだけの簡易な方法により、タービン1(1A、1B)において潮流による力が伝達される箇所の範囲を広げることができる。それゆえ、低コストで製造可能であり、かつ、効率よくタービン1(1A、1B)を回転させて発電することが可能な発電装置とすることができる。
【0070】
その上で、側流出部I2を備えることで、潮汐によりハウジング110内部において水W1の流れ方向が変化した場合であっても、側流出部D2を側流入部I2として機能させることができる。これにより、低コストで製造可能であり、かつ、効率よくタービン1(1A、1B)を回転させて発電することが可能な潮汐発電装置101とすることができる。なお、潮汐によりハウジング110内部において水W1の流れ方向が変化した場合、主流出部D1を主流入部I1として機能させることができる。
【0071】
また、本実施形態に係る潮汐発電装置101によれば、内周回流i1を効率よく発生させるように主流入部I1を設置し、かつ、外周回流e1を効率よく発生させるように側流入部I2を設置することができる。すなわち、タービン1(1A、1B)への最適な流体供給方向は、タービン1(1A、1B)において内周回流i1を効率よく発生させることを目的とするか、タービン1(1A、1B)において外周回流e1を効率よく発生させることを目的とするかにより異なる。このため、従来は、これら2つの目的を同時に達成するように流体Fをタービン1(1A、1B)に供給することが困難であった。しかし、本実施形態に係る潮汐発電装置101は、水W1の流入方向が異なる主流入部I1及び側流入部I2の設置により、上記2つの目的を同時に達成することができ、タービン1(1A、1B)の機能を充分に発揮させることができる。よって、本実施形態に係る潮汐発電装置101によれば、内周回流i1と外周回流e1との両方によりタービン1(1A、1B)を効率よく回転させることができ、効率よく発電を行うことができる。
【0072】
なお、本実施形態に係る潮汐発電装置101は、上述したように、潮汐に起因して発生した潮流により水W1が主流入部I1及び側流入部I2から流入する場合と、この潮流により水W2が主流出部D1及び側流出部D2から流入する場合との両方において発電を行うものである。しかし、本実施形態に係る潮汐発電装置101は、海流により海水が主流入部I1及び側流入部I2からのみ流入する場合であっても発電を行うことができる。また、潮汐発電装置101を、海以外の水域(川や湖)に設置することもできる。
【0073】
また、本実施形態に係る潮汐発電装置101においては、
図7及び
図8に示すように、側流入部I2をX方向両側にそれぞれ形成したが、いずれか一方のみに形成してもよい。また、同様に、側流出部D2もX方向一方側にのみ形成してもよい。さらに、タービンとして
図1に示すタービン1を設置したが、
図3に示すタービン11、
図5に示すタービン21及び
図6に示すタービン31を設置してもよい。
【0074】
特に、本実施形態に係る潮汐発電装置101において、タービン1(1A、1B)に代えて「
図5に示すタービン21」を備えることで、主流入部I1及び側流入部I2から水W1が流入する場合と、主流出部D1及び側流出部D2から水W2が流入する場合とにおいて、ハウジング内部110の各箇所における水流の状態(水の流れ方向など)を同一にすることができる。さらに、
図5に示すタービン21は、「タービン21の径方向に対して周方向に傾斜する方向」に水を供給しなければ作動しないという欠点を有する。しかし、本実施形態に係る潮汐発電装置101においては、「タービン21の径方向に対して周方向に傾斜する方向」に側流入部I2から水W1が流入する。このため、本実施形態に係る潮汐発電装置101は、「
図5に示すタービン21」を備えることで、タービン21の利点を活用すると共に欠点を解消した上で、タービン21を回転させることができる。
【課題】流体の流れにより回転するタービンであって、この流れが低速であり、かつ、この流れの方向が時間の経過と共に変化する場合であっても、効率よく回転するタービンを提供する。
【解決手段】回転軸2と、回転軸2と一体で回転する回転板3(3A、3B)と、回転軸2の外周側において、回転軸2の周方向に沿って回転板3(3A、3B)に固定された複数の案内板4(4A〜4H)とを備え、複数の案内板4(4A〜4H)それぞれは、回転軸2の径方向において回転軸2と離隔するように配置され、回転軸2において、回転軸2の軸方向に直交する断面Sが円形であり、流体Fは、断面Sの外周Cに接触しながら外周Cに沿って流れるタービン1。