(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
それらのいずれもがユーザによって生成されたものである、将来を予測するためのシミュレーションを実行するために必要とされる演算式を特定するデータである少なくとも1つの演算式データと、前記演算式にしたがって演算を行う場合に当該演算に使用される数値である演算対象数値を特定するデータである少なくとも1つの演算対象数値データと、を記録する第1記録部と、
前記第1記録部に記録されている前記演算対象数値データによって特定される前記演算対象数値を用いて、前記第1記録部に記録されている前記演算式データによって特定される前記演算式による演算を行うことによって、将来を予測するためのシミュレーションを実行して、将来の予測に関するデータである予測データを生成する演算部と、
を備えている将来予測シミュレーション装置であって、
ユーザによって生成されたものである、前記第1記録部に記録されている前記演算式データによって特定される前記演算式と、前記第1記録部に記録されている前記演算対象数値データによって特定される前記演算対象数値とを決定するためにユーザが用いた根拠を特定するものであり、テキストのデータである根拠データを記録する第2記録部と、
所定の探索対象から、前記根拠データによって特定される前記根拠と関連する情報である関連情報を収集する関連情報収集部と、
前記関連情報収集部によって収集された前記関連情報との関係で、前記根拠データの修正の必要性の有無を判定する判定部と、
前記判定部が、前記根拠データの修正の必要性が有ると判定した場合に、前記演算式データ、前記演算対象数値データ、及び前記根拠データのうちの少なくとも1つの修正をユーザに促すデータである警告データを生成する警告部と、
を備えてなる、
将来予測シミュレーション装置。
前記根拠データに基づき、前記根拠データによって特定される前記根拠の意味を解釈して前記根拠の意味に対応するデータである解釈データを生成する解釈部を備えており、
前記関連情報収集部は、前記解釈部が生成した前記解釈データに基いて、前記関連情報を収集するようになっている、
請求項1記載の将来予測シミュレーション装置。
前記警告画像は、前記根拠データのうちのどの部分に修正の必要があるかを特定して、前記根拠データに対して修正の必要性が有ることをユーザに視覚を通じて知らしめるものとなっている、
請求項7又は8記載の将来予測シミュレーション装置。
それらのいずれもがユーザによって生成されたものである、将来を予測するためのシミュレーションを実行するために必要とされる演算式を特定するデータである少なくとも1つの演算式データと、前記演算式にしたがって演算を行う場合に当該演算に使用される数値である演算対象数値を特定するデータである少なくとも1つの演算対象数値データと、を記録する第1記録部と、
前記第1記録部に記録されている前記演算対象数値データによって特定される前記演算対象数値を用いて、前記第1記録部に記録されている前記演算式データによって特定される前記演算式による演算を行うことによって、将来を予測するためのシミュレーションを実行して、将来の予測に関するデータである予測データを生成する演算部と、
を備えている将来予測シミュレーション装置で実行される方法であって、
ユーザによって生成されたものである、前記第1記録部に記録されている前記演算式データによって特定される前記演算式と、前記第1記録部に記録されている前記演算対象数値データによって特定される前記演算対象数値とを決定するためにユーザが用いた根拠を特定するものであり、テキストのデータである根拠データを第2記録部に記録する過程と、
所定の探索対象から、前記根拠データによって特定される前記根拠と関連する情報である関連情報を収集する関連情報収集過程と、
前記関連情報収集過程によって収集された前記関連情報との関係で、前記根拠データの修正の必要性の有無を判定する判定過程と、
前記判定過程で、前記根拠データの修正の必要性が有ると判定された場合に、前記演算式データ、前記演算対象数値データ、及び前記根拠データのうちの少なくとも1つの修正をユーザに促すデータである警告データを生成する警告過程と、
を含んでなる、
方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
とはいえ、将来予測シミュレーション装置によって得られるシミュレーションの結果が正確性を欠く場合がある。そのような事態は、例えば、将来予測シミュレーション装置によって予測すべき将来がある程度長期間に亘るとか、ある程度以上の期間をおいた将来である場合である場合に生じ易い。
例えば、外部環境に変化が生じた場合には、将来予測シミュレーション装置が用いるべき演算式や演算対象数値には本来修正が必要となる。例えば、将来予測シミュレーションを行う対象が、ある商品を製造販売するベンチャー企業への投資を行うべきか否かということに関するそのベンチャー企業の成長性であるとする。ほんの僅かであるが例を挙げるのであれば、かかるシミュレーションを行うには、そのベンチャー企業が扱う商品と同種の他社商品の存在や、他社商品の価格、他社商品と自社商品の市場におけるシェア、その商品を製造するための原材料の調達コスト、その商品を販売するための販売コスト、円ドル、円ユーロ等の為替レート等についての情報が必要となる。しかしながら、それら個々の事情は時間の経過に連れて変化していく。したがって、かかる変化に応じて、演算式と演算対象数値に修正を行うことが必要となる。
【0005】
しかしながら、実際の運用では、上述の如き演算式と演算対象数値の修正は殆ど行われていない。それは、将来予測シミュレーション装置で行う将来予測シミュレーションはそれなりに費用がかかるため、一度将来予測シミュレーションを行った後に再度の将来予測シミュレーションを行うのが嫌われるという事情があるからである。
もっとも、将来予測シミュレーション装置で一旦将来予測シミュレーションが行われた後でも、それにより得られた将来予測の結果と、実際に現れた現実との間の乖離が余りにも大きくなった場合には、演算式と演算対象数値との修正が行われ、再度の将来予測シミュレーションが実行されることもある。しかしながら、本願発明者の考えでは、かかる再度の将来予測シミュレーションは遅きに失する場合が多い。将来予測シミュレーションの結果と、実際に現れた現実との間の乖離が、将来予測シミュレーション装置を用いて将来予測シミュレーションを行う者が演算式と演算対象数値との修正が必要であると気づく程に既に顕著なものとなっている場合には、ビジネスを実行する者、投資を実行する者等には既に大きな損失が生じている場合が多いからであり、それでは将来予測シミュレーションの本来的な目的が損なわれていると本願発明者は考えるからである。
【0006】
本願発明は、将来予測シミュレーション技術を、演算式と演算対象数値とを適切に修正できるようにすることで、将来予測をより正確に行えるように改良することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために、本願発明者は研究を重ねた。その結果、以下のような知見を得た。
上述したように、演算式が現実の事象をどれだけ正確に表現しているか、また、演算対象数値が現実のパラメータをどれだけ正確に表現できているかということによって、将来予測シミュレーションの結果の正確性は影響を受ける。したがって、演算式と演算対象数値とをどのように作成するのか、より正確に言えばどれだけ現実の事象を正確に表現するように生成するのかということに、将来予測シミュレーション技術に関わる者は、心血を注ぐ。
もっとも、演算式と演算対象数値とは、所詮は、現実の事象をモデル化したものに過ぎない。そして、かかるモデルの元となるのは、モデルを作るための根拠(通常、「根拠」は複数であるから「根拠」は、根拠或いは小根拠の集合であるのが普通である。)であり、結果として演算式と演算対象数値とはかかる根拠に基いて作られることになる。なお、本願における「根拠」は、演算式と演算対象数値とを決定するための「仮説」とほぼ同義である。根拠は、モデルを作るための仮説或いはストーリーであり、それ故、テキストで表現される。したがって、将来予測シミュレーションを実行するために演算式と演算対象数値とを作る者は、正確な演算式と演算対象数値とを生成するために、それに先立って、正確な根拠を作ることに心血を注ぐことになる。
ところが、将来予測シミュレーション装置で将来予測のために直接的に用いられるもの、或いは将来予測に直接的な影響を与えるものは、演算式と演算対象数値のみであり、それらを決定するための根拠は含まれない。したがって、従来の将来予測シミュレーション装置では、上述の根拠は、非常に重要なものとは認識されてはいるものの、根拠が作られた後、特には根拠に基いて演算式と演算対象数値とが作られた後においては、その利用はされていない。ある演算式や演算対象数値がどのような根拠に基いて作られたかを後に検証できるように、演算式や演算対象数値を決定した者が備忘録的にそれを残せるようにすべく、そのような根拠についてのデータを記録するための機能を有する将来予測シミュレーション装置も存在しているものの、記録された根拠は単に記録されているのみである。
しかしながら、かかる根拠は、既に繰り返し述べたように、演算式と演算対象数値とを決定するための元となるものであり、それに変更が生じるのであれば当然に、演算式と演算対象数値との修正が多くの場合必要となる。とすれば、根拠のデータが仮に存在するとすれば、それを上手く活用することによって、適切なタイミングで演算式と演算対象数値との修正を行えるようにすることが可能となるはずである。
このような知見に基いて、本願発明者は本願発明をなした。
【0008】
本願発明は、以下のようなものである。
本願発明は、それらのいずれもがユーザによって生成されたものである、将来を予測するためのシミュレーションを実行するために必要とされる演算式を特定するデータである少なくとも1つの演算式データと、前記演算式にしたがって演算を行う場合に当該演算に使用される数値である演算対象数値を特定するデータである少なくとも1つの演算対象数値データと、を記録する第1記録部と、前記第1記録部に記録されている前記演算対象数値データによって特定される前記演算対象数値を用いて、前記第1記録部に記録されている前記演算式データによって特定される前記演算式による演算を行うことによって、将来を予測するためのシミュレーションを実行して、将来の予測に関するデータである予測データを生成する演算部と、を備えている将来予測シミュレーション装置である。かかる将来予測シミュレーション装置は、従来の将来予測シミュレーション装置と同じで良い。
そして、この将来予測シミュレーション装置は、ユーザによって生成されたものである、前記第1記録部に記録されている前記演算式データによって特定される前記演算式と、前記第1記録部に記録されている前記演算対象数値データによって特定される前記演算対象数値とを決定するためにユーザが用いた根拠を特定するものであり、テキストのデータである根拠データを記録する第2記録部と、所定の探索対象から、前記根拠データによって特定される前記根拠と関連する情報である関連情報を収集する関連情報収集部と、前記関連情報収集部によって収集された前記関連情報との関係で、前記根拠データの修正の必要性の有無を判定する判定部と、前記判定部が、前記根拠データの修正の必要性が有ると判定した場合に、前記演算式データ、前記演算対象数値データ、及び前記根拠データのうちの少なくとも1つの修正をユーザに促すデータである警告データを生成する警告部と、を備えてなる。
本願発明における将来予測シミュレーション装置が有する、第2記録部、関連情報収集部、判定部、警告部は、従来の将来予測シミュレーション装置には無かったものであり、特に関連情報収集部、判定部、警告部は、従来の将来予測シミュレーション装置には存在しない。
本願発明による将来予測シミュレーション装置は、演算式と演算対象数値とを決定するための根拠についてのテキストのデータである根拠データを記録する第2記録部を備えている。また、本願発明による将来予測シミュレーション装置は、所定の探索対象から、根拠データによって特定される根拠と関連する情報である関連情報を収集する関連情報収集部を備えている。関連情報収集部は、所定の時間間隔毎(等間隔の時間間隔毎とは限らない。)に関連情報を収集し、或いは常に関連情報を収集し続ける。本願発明による将来予測シミュレーション装置では、収集された関連情報は、関連情報との関係で根拠データに修正の必要性が有るか否かを、判定部で判定するために利用される。その結果本願発明による将来予測シミュレーション装置の判定部が根拠データの修正の必要性が有ると判定した場合には、警告部が、演算式データ、演算対象数値データ、及び根拠データのうちの少なくとも1つの修正をユーザに促すデータである警告データを生成する。根拠データによって特定される根拠は、演算式と演算対象数値を決定するための根拠となるものであり、根拠に修正の必要性が生じるのであれば、演算式及び演算対象数値の修正の必要性も生じうる。したがって、判定部が根拠データの修正の必要性があると判定したタイミングは、警告部が、演算式データ、演算対象数値データ、及び根拠データのうちの少なくとも1つの修正をユーザに促すデータである警告データを生成するタイミングとして適切である。
かかる警告データに基いて、ユーザは、演算式データ、演算対象数値データ、及び根拠データのうちの少なくとも1つの修正を促される。ユーザは、警告データに基づく警告を、五感のいずれかにより認識する。関連情報の収集が、少なくとも適切な時間間隔で行われていれば、判定部での判定と、警告部による警告データの生成とは、将来予測シミュレーションの結果と、実際に現れた現実との間の乖離が既に顕著なものとなる前に、行うことが可能となる。したがって、本願発明による将来予測シミュレーション装置を用いて将来予測シミュレーションを行う者(ユーザ)は、上述の如き大きな乖離が生じる前に、少々大げさに言えば、そのような乖離が生じる兆しが生じた時点で、警告データに基づく、演算式データ、演算対象数値データ、及び根拠データのうちの少なくとも1つの修正を行うべし、という警告をユーザの意思とは無関係に或いは自動的に受けることができる。
かかる警告を受けた時点でユーザが演算式データ、演算対象数値データ、及び根拠データのうちの少なくとも1つを、必要に応じて、修正することとすれば、上述の如き、将来予測シミュレーションの結果と現実との大きな乖離の発生を避けることが可能となり、将来予測の結果をより正確なものとすることが可能となる。
なお、本願発明の将来予測シミュレーション装置で、警告データによる警告をユーザが受けた場合に演算式データ、演算対象数値データ、及び根拠データのうちの少なくとも1つを修正するか否かの判断は、ユーザに委ねられる。つまり、本願発明の将来予測シミュレーション装置では、警告データが生成されたとしても、演算式データ、演算対象数値データ、及び根拠データのいずれもが修正されない場合がある。
【0009】
本願発明による将来予測シミュレーション装置は、上述したように、根拠データによって特定される根拠と関連する情報である関連情報を収集する関連情報収集部を備えている。
関連情報収集部がどのように関連情報を特定するかは自由である。例えば、本願発明における将来予測シミュレーション装置は、前記根拠データに基づき、前記根拠データによって特定される前記根拠の意味を解釈して前記根拠の意味に対応するデータである解釈データを生成する解釈部を備えていてもよく、その場合における前記関連情報収集部は、前記解釈部が生成した前記解釈データに基いて、前記関連情報を収集するようになっていてもよい。根拠データは上述のようにテキストのデータである。したがって、その意味を解釈して解釈データを生成することが可能である。そのようにして生成された解釈データに基づいて関連情報収集部が関連情報を収集することで、関連情報収集部によって収集された関連情報が、根拠データによって特定される根拠とよく関連したものとなる。
根拠データによって特定される根拠と「関連する」情報とは、例えば、根拠データに含まれる単語と共通の単語を含む情報、根拠データに含まれる単語と反対語の関係にある情報を含む情報等である。もっとも、これらはいずれも例示であり、上述の「関連する」と判定される範囲は、文書間関連分析の分野で用いられている公知、或いは周知の技術、例えば、「doc2vec」を用いて適当に規定することが可能である。
【0010】
前記関連情報収集部は、予め指定された特定の記録手段に記録された情報の中から、前記関連情報を収集するようになっていてもよい。この場合、特定の記録手段には、ユーザ或いはユーザから依頼を受けた者等が、例えば、予め選択した情報を記録しておく。そのようにして作られた特定の記録手段に記録された情報の中から、関連情報収集部は、関連情報を収集するようになっていても良い。
他方、前記関連情報収集部は、インターネット上に存在する情報の中から、前記関連情報を収集するようになっていてもよい。この場合、関連情報収集部は、インターネット上をいわゆるクローリングすることにより、関連情報を収集する。
【0011】
前記判定部は、所定のタイミングで自動的に、前記根拠データの修正の必要性の有無を判定するようになっていてもよい。例えば、1週間に一度とか1ヶ月に1度とか、適当なタイミングで判定部が上述のごとき判定を行うことによって、将来予測シミュレーション装置における将来予測シミュレーションの精度を高く保てるようになる。
所定のタイミングは例えば、ユーザが任意に設定可能としても良いし、ユーザが変更可能としてもよい。また、所定のタイミングは、一定間隔毎であってもよいがそうでなくても良い。また、判定部が判定を行うタイミングは、関連情報収集部が関連情報を収集するタイミングとは無関係に設定することが可能である。
前記警告部は、前記判定部が、前記根拠データの修正の必要が有ると判定した場合に直ちに、前記警告データを生成するようになっていてもよい。そうすることにより、演算式データ、演算対象数値データ、根拠データの少なくとも1つを修正すべき事情が生じたときにすばやく、ユーザに対して警告データによる警告を提供できるようになる。
【0012】
本願発明における将来予測シミュレーション装置は、画像を表示する機能を有する所定のディスプレイと接続されていてもよい。この場合将来予測シミュレーション装置は、前記警告部が生成した前記警告データに基づいて前記演算式データ、前記演算対象数値データ、及び前記根拠データのうちの少なくとも1つに対して修正の必要性が有ることをユーザに視覚を通じて知らしめる画像である警告画像についての画像データを生成する画像生成部を備えており、前記画像生成部が生成した前記画像データに基づく前記警告画像を前記ディスプレイに表示させることにより、ユーザに前記演算式データ、前記演算対象数値データ、及び前記根拠データのうちの少なくとも1つに対して修正の必要性が有ることを知らせるようになっていてもよい。このような将来予測シミュレーション装置は、典型的には、ユーザが所有する或いはユーザの比較的近くに設置されるパーソナルコンピュータである。
他方、本願発明における将来予測シミュレーション装置は、画像を表示する機能を有する所定のディスプレイと接続されている、ユーザが操作する所定のコンピュータと、所定のネットワークを介して通信を行う通信手段を備え、前記通信手段は、前記警告部が生成した前記警告データを、ユーザが操作する前記所定のコンピュータに送信するようになっているとともに、前記所定のコンピュータの前記ディスプレイに、前記警告データに基いて、前記演算式データ、前記演算対象数値データ、及び前記根拠データのうちの少なくとも1つに対して修正の必要性が有ることをユーザに視覚を通じて知らしめる画像である警告画像が表示されることで、ユーザに前記演算式データ、前記演算対象数値データ、及び前記根拠データのうちの少なくとも1つに対して修正の必要性が有ることを知らせるようになっていてもよい。この場合、ユーザが操作する所定のコンピュータは、典型的には、ユーザが所有する或いはユーザの比較的近くに設置されるパーソナルコンピュータである。そして、この場合における将来予測シミュレーション装置は、典型的には、クラウド上に存在するコンピュータ装置である。このように、本願発明における将来予測シミュレーション装置は、いわゆるクラウドの技術を応用したものとすることができる。
将来予測シミュレーション装置がどのようなものであっても、前記警告画像は、前記根拠データのうちのどの部分に修正の必要があるかを特定して、前記根拠データに対して修正の必要性が有ることをユーザに視覚を通じて知らしめるものとなっていてもよい。根拠データのどこに対して修正の必要があるかということをユーザに知得させることにより、ユーザがより正確に、根拠データ、演算式データ、演算対象数値データのどこを修正すべきかを理解することが可能となる。これは、将来予測シミュレーション装置によって得られる将来予測シミュレーションの結果の正確性を増すに寄与する。
【0013】
本願発明者は、将来予測シミュレーション装置で実行される方法をも本願発明の一態様として提案する。かかる方法による効果は、本願発明による将来予測シミュレーション装置の効果に等しい。
一例となるその方法は、それらのいずれもがユーザによって生成されたものである、将来を予測するためのシミュレーションを実行するために必要とされる演算式を特定するデータである少なくとも1つの演算式データと、前記演算式にしたがって演算を行う場合に当該演算に使用される数値である演算対象数値を特定するデータである少なくとも1つの演算対象数値データと、を記録する第1記録部と、前記第1記録部に記録されている前記演算対象数値データによって特定される前記演算対象数値を用いて、前記第1記録部に記録されている前記演算式データによって特定される前記演算式による演算を行うことによって、将来を予測するためのシミュレーションを実行して、将来の予測に関するデータである予測データを生成する演算部と、を備えている将来予測シミュレーション装置で実行される方法である。
そして、その方法は、ユーザによって生成されたものである、前記第1記録部に記録されている前記演算式データによって特定される前記演算式と、前記第1記録部に記録されている前記演算対象数値データによって特定される前記演算対象数値とを決定するためにユーザが用いた根拠を特定するものであり、テキストのデータである根拠データを第2記録部に記録する過程と、所定の探索対象から、前記根拠データによって特定される前記根拠と関連する情報である関連情報を収集する関連情報収集過程と、前記関連情報収集過程によって収集された前記関連情報との関係で、前記根拠データの修正の必要性の有無を判定する判定過程と、前記判定過程で、前記根拠データの修正の必要性が有ると判定された場合に、前記演算式データ、前記演算対象数値データ、及び前記根拠データのうちの少なくとも1つの修正をユーザに促すデータである警告データを生成する警告過程と、を含んでいる。
【0014】
本願発明者は、将来予測シミュレーション装置として所定の例えば汎用のコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムをも本願発明の一態様として提案する。かかるコンピュータプログラムによる効果は、本願発明による将来予測シミュレーション装置の効果に等しく、また、本願による将来予測シミュレーション装置として所定のコンピュータを機能させることが可能となることもその効果である。
一例となるそのコンピュータプログラムは、所定のコンピュータを将来予測シミュレーション装置として機能させるためのコンピュータプログラムである。
そして、そのコンピュータプログラムは、前記コンピュータを、それらのいずれもがユーザによって生成されたものである、将来を予測するためのシミュレーションを実行するために必要とされる演算式を特定するデータである少なくとも1つの演算式データと、前記演算式にしたがって演算を行う場合に当該演算に使用される数値である演算対象数値を特定するデータである少なくとも1つの演算対象数値データと、を記録する第1記録部と、前記第1記録部に記録されている前記演算対象数値データによって特定される前記演算対象数値を用いて、前記第1記録部に記録されている前記演算式データによって特定される前記演算式による演算を行うことによって、将来を予測するためのシミュレーションを実行して、将来の予測に関するデータである予測データを生成する演算部と、ユーザによって生成されたものである、前記第1記録部に記録されている前記演算式データによって特定される前記演算式と、前記第1記録部に記録されている前記演算対象数値データによって特定される前記演算対象数値とを決定するためにユーザが用いた根拠を特定するものであり、テキストのデータである根拠データを記録する第2記録部と、所定の探索対象から、前記根拠データによって特定される前記根拠と関連する情報である関連情報を収集する関連情報収集部と、前記関連情報収集部によって収集された前記関連情報との関係で、前記根拠データの修正の必要性の有無を判定する判定部と、前記判定部が、前記根拠データの修正の必要性が有ると判定した場合に、前記演算式データ、前記演算対象数値データ、及び前記根拠データのうちの少なくとも1つの修正をユーザに促すデータである警告データを生成する警告部と、として機能させるためのコンピュータプログラムである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明の好ましい一実施形態について説明する。
【0017】
図1に、本願発明の将来予測シミュレーション装置を含むシステムの好ましい一実施形態の全体構成を概略で示す。
実施形態によるシステムは、クライアント100、及びサーバ200を含んで構成されている。これらはいずれも、ネットワーク400に接続可能とされている。
ネットワーク400は、これには限られないが、この実施形態ではインターネットである。
この実施形態におけるクライアント100は、ユーザが操作するものであり、例えば、ユーザの私物や、ユーザが所属する会社の所有物である。また、この実施形態におけるサーバ200は本願でいう将来予測シミュレーション装置に相当する。
【0018】
クライアント100は、コンピュータを含んでいる。より詳細には、この実施形態におけるクライアント100は、汎用のコンピュータにより構成されている。
【0019】
次に、クライアント100の構成を説明する。
クライアント100は、上述のように汎用のコンピュータであり、スマートフォン、タブレット、ノート型パソコン、デスクトップ型パソコン等である。それらはすべて、ネットワーク400を介しての通信が可能なものである。クライアント100は、また、後述するコンピュータプログラムをインストールすることによって後述する機能ブロックをその内部に生成し、そして後述する処理を実行できるものであることが求められるが、それが可能であるのであればそれ以外の仕様は特に問わない。クライアント100は市販のコンピュータで十分である。
例えば、クライアント100がスマートフォンかタブレットなのであれば、スマートフォンとしてのクライアント100は例えば、Apple Japan合同会社が製造、販売を行うiPhoneで良いし、タブレットとしてのクライアント100は例えば、Apple Japan合同会社が製造、販売を行うiPadでよい。ノート型パソコン、デスクトップ型パソコン等によりクライアント100が構成されているのであれば、それらはいずれも市販のもので良い。以下、これには限られないが、クライアント100がスマートフォンであることとして話を進める。
【0020】
クライアント100の外観の一例を
図2に示す。
クライアント100は、ディスプレイ101を備えている。ディスプレイ101は、静止画又は動画を表示するためのものであり、公知、或いは周知のものを用いることができる。ディスプレイ101は例えば、液晶ディスプレイである。ディスプレイ101は、クライアント100に対して外付けされるものであっても良い。クライアント100がデスクトップ型パソコンなのであれば、ディスプレイ101は外付けタイプとなるであろう。
クライアント100は、また入力装置102を備えている。入力装置102は、ユーザが所望の入力をクライアント100に対して行うためのものである。入力装置102は、公知或いは周知のものを用いることができる。この実施形態におけるクライアント100の入力装置102はボタン式のものとなっているが、これには限られず、テンキー、キーボード、トラックボール、マウス、マイクロフォン端子を利用した周知の音声入力などを用いることも可能である。特に、クライアント100がノート型パソコン、デスクトップ型パソコンである場合には、入力装置102はキーボードや、マウス等になるであろう。また、ディスプレイ101がタッチパネルである場合、ディスプレイ101は入力装置102の機能を兼ねることになり、この実施形態ではそうされている。
【0021】
クライアント100のハードウェア構成を、
図3に示す。
ハードウェアには、CPU(central processing unit)111、ROM(read only memory)112、RAM(random access memory)113、インターフェイス114が含まれており、これらはバス116によって相互に接続されている。
CPU111は、演算を行う演算装置である。CPU111は、例えば、ROM112、或いはRAM113に記録されたコンピュータプログラムを実行することにより、後述する処理を実行する。図示をしていないが、ハードウェアはHDD(hard disk drive)その他の大容量記録装置を備えていてもよく、コンピュータプログラムは大容量記録装置に記録されていても構わない。
ここでいうコンピュータプログラムには、後述する処理(例えば、後述する画像をディスプレイ101に表示させるための処理)をクライアント100に実行させるためのコンピュータプログラムが少なくとも含まれる。このコンピュータプログラムは、クライアント100にプリインストールされていたものであっても良いし、事後的にインストールされたものであっても良い。このコンピュータプログラムのクライアント100へのインストールは、メモリカード等の所定の記録媒体を介して行なわれても良いし、LAN或いはインターネットなどのネットワークを介して行なわれても構わない。
ROM112は、CPU111が後述する処理を実行するために必要なコンピュータプログラムやデータを記録している。ROM112に記録されたコンピュータプログラムとしては、これに限られず、クライアント100がスマートフォンであれば、クライアント100をスマートフォンとして機能させるために必要な、例えば、通話や電子メールを実行するためのコンピュータプログラムやデータが記録されている。クライアント100は、また、ネットワーク400を介して受取ったデータに基づいて、ホームページを閲覧することも可能とされており、それを可能とするための公知のwebブラウザを実装している。
RAM113は、CPU111が処理を行うために必要なワーク領域を提供する。場合によっては、上述のコンピュータプログラムやデータ(の一部)が記録されていてもよい。
インターフェイス114は、バス116で接続されたCPU111やRAM113等と外部との間でデータのやり取りを行うものである。インターフェイス114には、上述のディスプレイ101と、入力装置102とが接続されている。入力装置102から入力された操作内容は、インターフェイス114からバス116に入力されるようになっている。また、周知のようにディスプレイ101に画像を表示するための画像データは、バス116からインターフェイス114に送られ、インターフェイス114からディスプレイ101に出力されるようになっている。インターフェイス114は、また、インターネットであるネットワーク400を介して外部と通信を行うための公知の手段である送受信機構(図示を省略)に接続されており、それにより、クライアント100は、ネットワーク400を介してデータを送信することと、ネットワーク400を介してデータを受信することとが可能になっている。かかるネットワーク400を介してのデータの送受信は、有線で行われる場合もあるが無線で行われる場合もある。例えば、クライアント100がスマートフォンである場合には、かかる通信は無線で行われるのが通常であろう。それが可能な限り、送受信機構の構成は、公知或いは周知のものとすることができる。送受信機構がネットワーク400から受取ったデータは、インターフェイス114により受取られるようになっており、インターフェイス114から送受信機構にわたされたデータは、送受信機構によって、ネットワーク400を介して外部、例えば、この実施形態との関係でいえばサーバ200に送られるようになっている。
【0022】
CPU111がコンピュータプログラムを実行することにより、クライアント100内部には、
図4で示されたような機能ブロックが生成される。なお、以下の機能ブロックは、クライアント100に以下に述べるような処理を実行させるための上述のコンピュータプログラム単体の機能により生成されていても良いが、上述のコンピュータプログラムと、クライアント100にインストールされたOSその他のコンピュータプログラムとの協働により生成されても良い。
クライアント100内には、本願発明の機能との関係で、入力部121、主制御部122、画像生成部123、出力部125が生成される。
【0023】
入力部121は、インターフェイス114からの入力を受取るものである。
インターフェイス114から入力部121への入力には、入力装置102からの入力がある。入力装置102からの入力には、いずれも詳細は追って説明するが、例えば、開始データ、設定選択データ、演算式データ、演算対象数値データ、根拠データが入力装置102から入力される。入力装置102からの上述の入力があった場合、それら入力によるデータはいずれも、入力部121から主制御部122へと送られるようになっている。
インターフェイス114から入力部121へ入力されるデータには、また、サーバ200から送られてきて送受信機構で受取られたデータがある。かかるデータには、例えば、後述する警告画像についての画像データや、将来予測シミュレーションの結果についての画像である後述する結果画像についての画像データが含まれる。送受信機構、インターフェイス114を経て画像データが入力部121に受け取られた場合、入力部121はそれらを主制御部122へと送るようになっている。
【0024】
主制御部122は、クライアント100内に生成された各機能ブロック全体の制御を行うものである。
主制御部122は、入力部121から開始データ、設定選択データ、及びシミュレーション実行データを受け取る場合がある。開始データ、設定選択データ、シミュレーション実行データを受取った場合、主制御部122は、それを出力部125と画像生成部123へと送るようになっている。同様に、主制御部122は、演算式データ、演算対象数値データ、根拠データを入力部121から受け取る場合がある。これらを受け取った場合、主制御部122は、それらをそれぞれ、出力部125と画像生成部123へと送るようになっている。
主制御部122は、また、サーバ200から送られてきた警告画像、結果画像を含む画像についての画像データを、入力部121を介して受け取る場合がある。かかる画像データを受け取った場合、主制御部122はそれを画像生成部123に送るようになっている。
【0025】
画像生成部123は、ディスプレイ101に画像を表示するためのデータである画像データを生成するか、或いはサーバ200から送られてきた画像データをディスプレイ101で表示できるように調整する(簡単のため、かかる処理も「画像データを生成する」という場合がある。)機能を有している。
画像生成部123は主制御部122から、開始データ、設定選択データ、シミュレーション実行データ、演算式データ、演算対象数値データ、根拠データを受け付ける場合がある。それらを受け付けた場合には、画像生成部123は、入力されたデータに応じた画像、例えば、それら各データの入力が行われていることをユーザが把握できるようにするための画像についての画像データを生成する。
画像生成部123は、サーバ200から送られてきた画像データを主制御部122から受け付ける場合がある。それらを受け付けた場合には、画像生成部123は、それら画像データに応じた画像データを生成する。
いずれにせよ、画像生成部123が生成した画像データは、画像生成部123から出力部125へと送られるようになっている。
【0026】
出力部125は、クライアント100内の機能ブロックで生成されたデータをインターフェイス114に出力するものである。
出力部125には、上述のように主制御部122から開始データ、設定選択データ、シミュレーション実行データ、演算式データ、演算対象数値データ、根拠データが送られてくることがある。これらを受取った出力部125は、それらデータをインターフェイス114を介して送受信機構へ送るようになっている。送受信機構はそれらデータをネットワーク400を介して、サーバ200へと送るようになっている。
出力部125には、上述のように画像生成部123から画像データが送られてくる場合がある。画像データは、出力部125からインターフェイス114を介してディスプレイ101へと送られる。それを受取ったディスプレイ101には画像データに基づく画像が表示されることになる。
【0027】
次に、サーバ200の構成について説明する。
サーバ200は、ハードウェアとして見た場合には、既存の公知又は周知のサーバ、特にはクラウドサーバで構わない。また、そのハードウェア構成も一般的なものでよく、大雑把に言えば、CPU111、ROM112、RAM113、インターフェイス114をバス116で接続するという、クライアント100のハードウェア構成を踏襲することができる。もっとも、サーバ200は通常、HDDその他の大容量記録装置を有するのが一般的であろう。
サーバ200が備えるCPU、ROM、RAM、インターフェイス、バス、及び大容量記録装置の構成、機能は、クライアント100におけるそれらの構成、機能と変わらない。また、サーバ200が備えるインターフェイスには、クライアント100が備えていたのと同様の、サーバ200外の機器とネットワーク400を介しての通信を行うための送受信機構が接続されている。バスからインターフェイスに送られた情報は送受信機構に送られ、送受信機構からネットワーク400を介して例えばクライアント100へと送られるようになっている。また、ネットワーク400を介してクライアント100から送られてきて送受信機構で受け取られたデータは、送受信機構からインターフェイスへ送られ、インターフェイスからバスへと送られるようになっている。
なお、サーバ200が備えるインターフェイスには、クライアント100が備えていたのと同様のディスプレイ、及び入力装置が接続されていても構わないが、本願とはあまり関係がないのでそれらの説明は省略する。
【0028】
サーバ200の内部におけるROM、大容量記録装置等に記録されていたサーバ200を本願発明の将来予測シミュレーション装置として機能させるためのコンピュータプログラムを実行することによって、サーバ200の内部には以下に説明するような機能ブロックが生成される。なお、以下の機能ブロックは、サーバ200を本願発明の将来予測シミュレーション装置として機能させるためのコンピュータプログラム単体の機能により生成されていても良いが、かかるコンピュータプログラムと、サーバ200にインストールされたOSその他のコンピュータプログラムとの協働により生成されても良い。また、上記コンピュータプログラムは、サーバ200にプリインストールされたものでもよいが、出荷後のサーバ200にインストールされたものでもあってもよい。その場合、上記コンピュータプログラムのサーバ200へのインストールは、メモリカード等の所定の記録媒体を介して行なわれても良いし、LAN或いはインターネットなどのネットワークを介して行なわれても構わない。これらの事情は、クライアント100の場合と同様である。
サーバ200内には、本願発明の機能との関係で、入力部221、主制御部222、サーバ記録部223、シミュレーション部224、解釈部225、関連情報収集部226、判定部227、画像生成部228、及び出力部229が生成される(
図5)。
【0029】
入力部221は、インターフェイスからの入力を受取るものである。
入力部221にインターフェイスから入力されるデータは、ネットワーク400を介してクライアント100から送られて来てサーバ200の送受信機構によって受け取られたデータである。
送受信機構には、クライアント100から、開始データ、設定選択データ、シミュレーション実行データ、演算式データ、演算対象数値データ、根拠データが送られてくることがある。これらを受け取った送受信機構は、それら各データを入力部221へと送るようになっており、それら各データを受け取った入力部221は、受取ったそれらデータを主制御部222へと送るようになっている。
【0030】
主制御部222は、サーバ200内に生成された各機能ブロック全体の制御を行うものである。
主制御部222は、入力部221から、開始データ、設定選択データ、シミュレーション実行データ、演算式データ、演算対象数値データ、根拠データを受け取る場合がある。これらのうち、開始データ、及び設定選択データを受け取った場合、主制御部222は、画像生成部228に対して、後述するような適切な画像データを生成するように指示を送る。また、シミュレーション実行データを受け取った場合、主制御部222は、シミュレーション部224に対して、将来予測シミュレーションを実行するように指示を送るようになっている。また、演算式データ、演算対象数値データ、根拠データを受け取った場合には、主制御部222は、それらをサーバ記録部223へと送るようになっている。
また、これには限られないがこの実施形態における主制御部222は、サーバ記録部223に記録されている根拠データに変更(最初の書込かその後の修正)があった場合には、その旨を解釈部225に伝えるようになっているとともに後述する関連情報を収集せよとの指示を、関連情報収集部226に対して出すようになっている。
【0031】
サーバ記録部223は、上述したように、主制御部222から演算式データ、演算対象数値データ、根拠データを受け付けるようになっている。サーバ記録部223は、主制御部222から演算式データ、演算対象数値データ、根拠データを受け取った場合、それらを記録するようになっている。
サーバ記録部223に記録されるデータのうち、演算式データは、ユーザによって生成されたデータであり、将来を予測するための将来予測シミュレーションを実行するにあたって必要となる演算式を特定するデータである。演算式は例えば、四則演算、論理演算であり、或いはそれらの適当な組み合わせである。勿論、演算式は1つとは限らず、実際は事実上複数である。
サーバ記録部223に記録されるデータのうち、演算対象数値データは、ユーザによって生成されたデータであり、将来を予測するための将来予測シミュレーションを実行するにあたって演算式を用いて演算を実行する際に用いられる数値である演算対象数値を特定するデータである。
演算式、演算対象数値、演算式データ、演算対象数値データはいずれも、公知、或いは周知であり、公知、或いは周知のそれらにそれぞれ倣ったものとすることができる。
サーバ記録部223に記録されるデータのうち、根拠データは、ユーザによって作成されたものであり、サーバ記録部223に記録される演算式データによって特定される演算式と、サーバ記録部223に記録される演算対象数値データによって特定される演算対象数値とを決定するためにユーザが用いた根拠を特定するデータである。かかる根拠は、例えば、将来予測シミュレーションを実行するための仮説であって、テキスト(文章)によって記述される。つまり、根拠データはユーザが理解可能な、テキストのデータである。
【0032】
この実施形態では、サーバ記録部223に記録される演算対象数値データは、その演算対象数値データによって特定される演算対象数値が演算に用いられる演算式を特定する演算式データと互いに紐づけた状態でサーバ記録部223に記録される。サーバ記録部223のうち、演算式データと演算対象数値データとが記録される領域が、本願発明でいう第1記録部である。
また、サーバ記録部223に記録される根拠データは、その根拠データに基づいて決定された演算式及び演算対象数値を特定するための、互いに紐付けられた演算式データ及び演算対象数値データと紐づけて記録される。サーバ記録部223のうち、根拠データが記録される領域が、本願発明でいう第2記録部である。
サーバ記録部223に記録されている演算式データ、演算対象数値データ、及び根拠データの一部の具体例を、概念的に
図6に示す。
図6中、一番左側の欄に示されるのが、演算式データによって特定される演算式である。その右隣に示されているのが、上述の演算式による演算を行うときに使用される、演算対象数値データによって特定される演算対象数値である。これらは、左右に並べられることで互いに紐付けられる。例えば、「X
1+X
2=1.0」という演算式を用いた演算において「X
1=0.60 X
2=0.40」という演算対象数値が用いられることになり、「Y
2=g(100)」という演算式を用いた演算において「X
6=100」という演算対象数値が用いられることになる。なお、「g」はある関数を示し、その下欄にある「h」も同様である。
図6中、一番右側の欄に示されているのが、根拠データによって特定される根拠である。根拠の左側に位置する演算式及び演算対象数値が、その根拠に基づいて決定された演算式と演算対象数値である。例えば、「X
1+X
2=1.0」という演算式と、「X
1=0.60 X
2=0.40」という演算対象数値とは、「製品αのシェアは現在、A社が60%で、B社が40%である。」という根拠に基づいて決定されている。なお、この実施形態では、すべての根拠が異なるものとされているが、ある共通の根拠から、複数の演算式及び演算対象数値の組が作り出されることもありうる。その場合には、根拠の欄に示されるテキストのうちの幾つかが、共通となる。
なお、
図6に示した演算式、演算対象数値、及び根拠はいずれも単なる例示であり、しかもそれらは、正確な将来予測シミュレーションを実行するにあたって役に立つようなものとはなっているとは限らない。それらは、演算式、演算対象数値、及び根拠が具体的にどのようなものであるかということについての理解を助けるための例に過ぎない。
【0033】
シミュレーション部224は、将来予測シミュレーションを実行する機能を有している。シミュレーション部224が実行する将来予測シミュレーションは、将来を予測することを目的としたシミュレーションであり、上述した演算式及び演算対象数値によって決定される。将来予測シミュレーションは、例えば、ある製品の売上を予測する、ある企業の成長性を予測する、或いは、あるビジネスの成長性を予測するといったものである。
シミュレーション部224は上述のように主制御部222から将来予測シミュレーションを実行せよとの指示を受ける場合がある。そのような指示を受け取ったらシミュレーション部224は、将来予測シミュレーションを実行する。将来予測シミュレーションを実行する場合、シミュレーション部224は、サーバ記録部223から、演算式データ及び演算対象数値データを読み出し、それらによって特定される演算式及び演算対象数値を用いて将来予測シミュレーションを実行する。演算式及び演算対象数値を用いて実行する将来予測シミュレーションの方法は、公知或いは周知のものと同様で構わない。
シミュレーション部224が将来予測シミュレーションを行うことによって生成される、将来を予測するデータが、結果データである。この実施形態では、結果データは、シミュレーション部224から画像生成部228へと送られるようになっている。
【0034】
解釈部225は、解釈データを生成するものである。
解釈データは、上述したサーバ記録部223に記録されている根拠データによって特定される根拠の意味に対応したデータである。
解釈部225は、サーバ記録部223に記録されている根拠データに変更があった場合に、主制御部222からその旨を伝えられる。その旨の通知を受け取った解釈部225は、サーバ記録部223に記録されている根拠データのすべてを読み出して、それら根拠データのそれぞれによって特定される根拠のそれぞれについて、解釈データを生成する。これには限られないがこの実施形態の解釈部225は、根拠データに変更がある毎に解釈データを生成するようになっているから、解釈部225が生成する解釈データは、サーバ記録部223に記録されている最新の根拠データに即したものとなるようになっている。なお、解釈部225は例えば、所定の時間間隔毎に自動的に解釈データを生成するようになっていてもよく、その場合には主制御部222から解釈部225への上述の通知は不要となる。
解釈データを生成したら、解釈部225はそれを関連情報収集部226へと送るようになっている。この実施形態では、これには限られないが、解釈部225は、解釈データとともにその元となった根拠データも関連情報収集部226へと送るようになっている。
【0035】
関連情報収集部226は、所定の探索対象から、根拠データによって特定される根拠と関連する情報である関連情報を収集する機能を有している。
この実施形態における関連情報収集部226は、解釈部225から受け取った解釈データを用いて、解釈データによって特定される根拠の意味と関連する情報として関連情報を収集するようになっている。
この実施形態では、これには限られないが、関連情報収集部226が関連情報を収集する検索対象は、インターネット上である。より具体的には、関連情報収集部226は、インターフェイス及び送受信機構を介してインターネット上のデータに対してアクセスできるようになっており、それにより関連情報を収集するようになっている。関連情報収集部226は、いわゆるクローリングによって、インターネット上に存在するデータから関連情報を収集する。クローリングの技術自体は公知或いは周知であり、関連情報収集部226はその公知或いは周知の技術によって関連情報を収集するものとすることができる。なお、関連情報収集部226が関連情報を収集する検索対象は、サーバ200内、或いはサーバ200外に存在する記録装置に記録されたデータとすることができる。例えば、サーバ200の管理者、クライアント100のユーザ、或いはサーバ200の管理者やクライアント100のユーザから委託を受けた者が予め、例えば定期的に、関連情報が含まれると目されるデータ(例えば、特定の新聞社のインターネットサイトのニュース記事等)を上述の記録装置に記録するようにしておき、関連情報収集部226はその記録装置に記録されているデータを関連情報を収集する対象とすることができる。
関連情報収集部226が「関連する」と判定する範囲は、文書間関連分析の分野で用いられている公知、或いは周知の技術、例えば、「doc2vec」を用いて適当に規定することが可能である。「関連する」情報とは、例えば、根拠データによって特定される根拠のテキストを構成する「単語」または根拠データから生成された解釈データに含まれる「単語」に対し、予め規定した関連性(上位、下位、反意、構成、包含、含意、近似、反対等の関係性)を持つ単語を含む、根拠データ或いは解釈データとは異なる内容の情報である。
関連情報収集部226は、関連情報を発見した場合には、それを判定部227へと送るようになっている。これには限られないが、この実施形態では、関連情報収集部226が判定部227へ関連情報を送る場合、その関連情報が関連する根拠についての根拠データまたはそれに基づいて生成された解釈データと紐づけた状態で、関連情報を判定部227へと送るようになっている。
【0036】
判定部227は、関連情報収集部226によって収集された上述の関連情報との関係で、根拠データの修正の必要性が有るか無いかを判定する機能を有する。
上述したように判定部227は、関連情報収集部226から関連情報及び根拠データ(各根拠データからそれぞれ生成された解釈データを含む。)を受け取る場合がある。この実施形態における判定部227は、この限りでないが、関連情報収集部226から、関連情報を受け取った場合には、その関連情報が関連する根拠を特定する根拠データに修正の必要性が有る、と判定するようになっている。もっとも、かかる判定部227の判定方法は他の方法とすることができ、関連情報を受け取った場合において、その関連情報が、根拠データの修正の必要性を生じる程の影響力があるか否かの判定を判定部227が改めて行うようになっていてもよい。このような判定は、公知或いは周知の手法、例えば、Doc2vecの関連度の変化の観測と呼ばれる手法によって実現することが可能である。
判定部227は、根拠データを修正する必要性があると判定した場合に、根拠データの少なくとも一部、或いはその根拠データにより特定される根拠に基づいて生成された演算式又は演算対象数値を特定する演算式データ又は演算対象数値データの修正をクライアント100のユーザに対して促すデータである警告データを生成する。判定部227は、警告データを生成したら、それを画像生成部228に送るようになっている。
【0037】
画像生成部228は、クライアント100のディスプレイ101に表示させる画像についてのデータである画像データを生成する機能を有している。
その他の画像データも画像生成部228は生成するが、画像生成部228が生成する画像データの代表的なものは、結果画像と、警告画像とについての画像データである。
上述したように、画像生成部228は、シミュレーション部224から結果データを受け取る場合がある。それを受け取った場合には、画像生成部228は、将来予測シミュレーションの結果を表示する画像である結果画像についての画像データを生成する。
上述したように、画像生成部228は、判定部227から警告データを受け取る場合がある。それを受け取った場合には、画像生成部228は、演算式データ、演算対象数値データ、根拠データの少なくとも1つの修正をユーザに促す画像である警告画像についての画像データを生成する。その画像データは、その画像データによって特定される警告画像により、根拠データのうちのどこに修正が必要かということをユーザが把握できるようなものとされる。
いずれにせよ、画像生成部228によって生成された画像データは、出力部229へと送られるようになっている。
【0038】
出力部229は、サーバ200内の機能ブロックで生成されたデータをインターフェイスに出力するものである。
出力部229には、上述のように画像生成部228から画像データが送られてくる場合がある。画像データを受取った場合、出力部229は画像データをインターフェイスを介して送受信機構に対して送るようになっている。画像データは、クライアント100に向けて、ネットワーク400を介して送受信機構から送信されるようになっている。
【0039】
次に、以上で説明したシステムの使用方法、及び動作、特には本願発明における将来予測シミュレーション装置としてのサーバ200の使用方法、動作について説明する。
【0040】
将来予測シミュレーション装置としてのサーバ200によるサービスを利用しようとするユーザは、まず、演算式データ、演算対象数値データ、根拠データの生成を行う。初期状態では、サーバ200のサーバ記録部223には、演算式データ、演算対象数値データ、根拠データのいずれもが記録されていない。
具体的には、ユーザはまず、クライアント100の入力装置102を操作して、開始データを入力する。開始データが入力されると、開始データは、インターフェイス114から入力部121へと送られ、入力部121から主制御部122へと送られる。主制御部122は、かかる開始データを出力部125へと送る。開始データは、出力部125からインターフェイス114を経て送受信機構へと送られ、送受信機構からネットワーク400を経てサーバ200に送られる。なお、クライアント100をサーバ200側で認証するために、各ユーザ毎にユニークなユーザIDとパスワード等の開始データ以外のデータを、クライアント100からサーバ200に送るようにしても勿論構わない。
サーバ200は、その送受信機構にて、開始データを受け取る。サーバ200で受け取られた開始データは、インターフェイスから入力部221を経て主制御部222へと送られる。開始データを受け取ると、主制御部222は、開始データが入力されたことに応じた画像であるトップ画像を生成せよとの指示を画像生成部228に対して送る。この指示を受けた画像生成部228は、トップ画像のデータである画像データを生成する。トップ画像の内容は後述する。かかる画像データは、画像生成部228から出力部229へと送られ、出力部229から送受信機構へと送られる。画像データは、送受信機構から、ネットワーク400を経て、クライアント100へと送られる。クライアント100は、その送受信機構で画像データを受け取る。
【0041】
クライアント100内で画像データは、送受信機構からインターフェイス114、入力部121を経て主制御部122へと至る。かかる画像データを受け取ったら主制御部122は、画像データを画像生成部123へと送る。画像生成部123は、トップ画像についての画像データを生成し、出力部125へと送る。出力部125はかかる画像データをディスプレイ101へと送る。
それにより、ディスプレイ101にはトップ画像が表示される。トップ画像は、例えば、
図7に示したようなものである。トップ画像には、「設定」と「シミュレーション実行」という文字がそれぞれ示された2つのボタンの画像が含まれる。ユーザが入力部121の操作により「設定」と記載のボタンの画像をクリックすると、クライアント100で実行されるコンピュータプログラムは、ユーザに、演算式データ、演算対象数値データ、及び根拠データの入力を行わせるモードに移行する。他方、ユーザが「シミュレーション実行」と記載されたボタンの画像をクリックすると、後述するようにしてサーバ200で将来予測シミュレーションが実行されることになる。つまり、トップ画像がディスプレイ101に表示されている状態で、ユーザは、上述の2つのボタンのいずれかを選択する入力を行う。ユーザが「設定」と記載のボタンの画像をクリックすると、設定選択データが生成され、ユーザが「シミュレーション実行」と記載のボタンの画像をクリックすると、シミュレーション実行データが生成される。
少なくともユーザがクライアント100で初めて上述のコンピュータプログラムを実行したときには、上述したようにサーバ200のサーバ記録部223には、演算式データ、演算対象数値データ、根拠データのいずれもが記録されていないので、ユーザは、シミュレーション実行データを生成してサーバ200に将来予測シミュレーションを実行させることができない。ユーザは、まず、設定と記載のボタンをクリックして、サーバ200のサーバ記録部223に、演算式データ、演算対象数値データ、根拠データが記録された状態を作り出すことが必要である。ユーザが設定と記載のボタンをクリックすることにより、設定選択データが生成される。
設定選択データは、開始データと同様の経路を辿り、クライアント100からサーバ200へと送られる。
【0042】
サーバ200では、開始データがクライアント100からサーバ200に送られたときと同様に、サーバ200内の主制御部222が、設定選択データが入力されたことに応じた画像である設定画像についての画像データを生成せよとの指示を画像生成部228に対して送る。この指示を受けた画像生成部228は、設定画像のデータである画像データを生成する。設定画像の内容は後述する。かかる画像データは、画像生成部228から出力部229へと送られ、出力部229から送受信機構へと送られる。画像データは、送受信機構から、ネットワーク400を経て、クライアント100へと送られる。クライアント100は、その送受信機構で画像データを受け取る。
【0043】
クライアント100内で画像データは、送受信機構からインターフェイス114、入力部121を経て主制御部122へと至る。かかる画像データを受け取ったら主制御部122は、画像データを画像生成部123へと送る。画像生成部123は、トップ画像についての画像データの場合と同様にして、設定画像についての画像データを生成する。画像データは、出力部125、インターフェイス114を経てディスプレイ101に送られる。
それにより、クライアント100のディスプレイ101には、サーバ200からクライアント100へトップ画像についての画像データが送られた場合と同様に、設定画像が表示されることになる。設定画像は、ユーザに、演算式データ、演算対象数値データ、及び根拠データの入力を促すための画像であり、例えば、
図8に示したようなものである。ユーザは、
図8の横並びの3つの欄にそれぞれ、演算式、演算対象数値、及び根拠の入力を行う。かかる入力はどの順序で行ってもよい。また、かかる入力は、入力装置102をユーザが操作することによって行う。横並びの3つの欄に記載された演算式、演算対象数値、及び根拠の関係は、
図6を用いて説明した、サーバ200のサーバ記録部223に記録された3種類のデータの関係、或いはそれら3種類のデータによって特定される演算式、演算対象数値、及び根拠の関係と同じである。
演算式の欄に入力された演算式を特定するデータが演算式データである。同様に、演算対象数値の欄に入力された演算対象数値を特定するデータが演算対象数値データであり、根拠の欄に入力された根拠を特定するデータが根拠データである。根拠データはテキストのデータである。
これらデータは、入力装置102からインターフェイス114を経て入力部121へと送られ、入力部121から主制御部122に送られ、更には主制御部122から画像生成部123へと送られる。このとき、主制御部122は、最新の演算式データ、演算対象数値データ、根拠データを保持する。画像生成部123は、入力中の演算式、演算対象数値、根拠をディスプレイ101に表示させるための画像データを生成し、出力部125へと送る。出力部125は、インターフェイス114を介して、かかる画像データをディスプレイ101に送る。それにより、ディスプレイ101には、入力中の演算式、演算対象数値、根拠が略実時間で表示されることになる。ユーザは、ディスプレイ101に表示された演算式、演算対象数値、根拠を確認しながら、演算式、演算対象数値、根拠の入力を行う。
図8に示したように、設定画像の例えば右上には、終了という文字が記載されたボタンが表示されている。かかるボタンは、ユーザがそれをクリックすることにより、演算式データ、演算対象数値データ、及び根拠データのすべての入力が終了したことを示すデータを入力するためのものである。ユーザは、それら3つのデータの入力が終わったら、入力装置102を操作して終了という文字の付されたボタンをクリックする。
そうすると、主制御部122に送られてきていた最新のすべての演算式データ、演算対象数値データ、及び根拠データが、主制御部122から出力部125に送られる。これら、演算式データ、演算対象数値データ、及び根拠データは、紐づけられた互いの状態が把握できるような状態で、出力部125から送受信機構に送られ、ネットワーク400を介してサーバ200に送られる。
【0044】
サーバ200はその送受信機構で、演算式データ、演算対象数値データ、及び根拠データを受け付ける。演算式データ、演算対象数値データ、及び根拠データは、送受信機構からインターフェイスを介して入力部221へと送られ、入力部221から主制御部222へと送られる。
主制御部222は、演算式データ、演算対象数値データ、及び根拠データをサーバ記録部223に送り、サーバ記録部223に記録する。これにて、サーバ記録部223には、
図6を用いて説明したような状態で、演算式データ、演算対象数値データ、及び根拠データが記録されることになる。
なお、この実施形態では、演算式データ、演算対象数値データ、及び根拠データは、クライアント100からサーバ200へ一括で送られ、また、サーバ200ではそれらデータが一括でサーバ記録部223へ記録されるものとしているが、これらはいずれもこの限りではない。例えば、演算式データ、演算対象数値データ、及び根拠データは、クライアント100で生成されたものから順にクライアント100からサーバ200へ送られるようになっていても良いし、また、サーバ200ではクライアント100から送られたものから順にサーバ記録部223へ記録されるようになっていても良い。
【0045】
いずれにせよ、演算式データ、演算対象数値データ、及び根拠データがサーバ記録部223に記録されると、サーバ200は、将来予測シミュレーションを実行できる状態となる。
ユーザは、将来予測シミュレーションを実行しようとする場合には、
図7に示したトップ画像がディスプレイ101に表示されているときに、「シミュレーション実行」という文字が示されたボタンをクリックする。そうすると、シミュレーション実行データが生成される。このシミュレーション実行データは、設定選択データと同様に、クライアント100からサーバ200へと送られる。
【0046】
シミュレーション実行データは、設定選択データと同様に、サーバ200内で主制御部222に送られる。主制御部222はかかるシミュレーション実行データを受け取ると、シミュレーション部224に将来予測シミュレーションを実行せよ、との指示を送る。
かかる指示を受け取ると、シミュレーション部224は、将来予測シミュレーションを実行する。将来予測シミュレーションの手法は、公知或いは周知のものでよい。より具体的には、シミュレーションを実行せよとの指示を受けたシミュレーション部224は、サーバ記録部223から、将来予測シミュレーションを実行するために必要な、これには限られないがこの実施形態ではサーバ記録部223に記録されたすべての演算式データ及び演算対象数値データを読み出す。そして、シミュレーション部224は、演算式データによって特定される演算式に、演算対象数値データによって特定される演算対象数値を当て嵌めて演算を行う。その演算の結果として、将来予測シミュレーションの結果、つまり将来の予測の内容を特定するデータである結果データが生成される。
シミュレーション部224は、生成した結果データを、画像生成部228に送る。結果データを受け取った画像生成部228は、将来予測シミュレーションの結果をユーザが把握することができるような画像である結果画像についての画像データを生成する。かかる画像データは、画像生成部228から出力部229へと送られ、出力部229から送受信機構へと送られる。画像データは、送受信機構から、ネットワーク400を経て、クライアント100へと送られる。クライアント100は、その送受信機構で画像データを受け取る。
【0047】
トップ画像についての画像データの場合と同様に、クライアント100内で画像データは、送受信機構からインターフェイス114、入力部121を経て主制御部122へと至る。かかる画像データを受け取ったら主制御部122は、画像データを画像生成部123へと送る。画像生成部123は、結果画像についての画像データを生成し、出力部125に送る。画像データは更に、出力部125から、インターフェイス114を介してディスプレイ101へと送られる。
それにより、クライアント100のディスプレイ101に表示されたブラウザには、結果画像が表示されることになる。結果画像を見ることにより、ユーザは、将来予測シミュレーションの結果を把握することが可能となる。
なお、この実施形態では、サーバ200において将来予測シミュレーションが実行された場合にサーバ200からクライアント100へ送られるのは結果画像についての画像データであったが、それに代えてサーバ200からクライアント100へ結果データそのものを送るようにすることも勿論可能である。そのようにするのであれば、結果画像についての画像データは、クライアント100内の所定の部分、例えば、主制御部122から結果データを受け取った画像生成部123が、受け取った結果データに基づいて生成するようにすれば良い。
【0048】
ユーザは、シミュレーション実行データをクライアント100からサーバ200に送れば、いつでもサーバ200に対して将来予測シミュレーションを実行させることができ、いつでも結果画像をディスプレイ101で確認することができる。勿論、将来予測シミュレーションをユーザがサーバ200に実行させる回数を制限すること、或いは、ユーザがサーバ200の管理者等に金銭の支払いを行うことを将来予測シミュレーションの実行の条件として定めることも可能である。
演算式データ、演算対象数値データに変化がなければ複数回行われても将来予測シミュレーションの結果は常に同じであるが、上述した設定画像において演算式データ、演算対象数値データ、及び根拠データをユーザはいつでも修正することができ、それによってサーバ200のサーバ記録部223に記録された演算式データ、演算対象数値データ、及び根拠データを、例えば、上書きすることにより修正することができるから、ユーザは、ユーザが生成した最新の演算式データ及び演算対象数値データに基づいた結果画像を、いつでもクライアント100のディスプレイ101に表示させることができる。
ユーザがその必要性を感じたときに自ら演算式データや演算対象数値データを修正するのは、サーバ200で実行される将来予測シミュレーションの精度を向上させるために勿論有用である。しかしながら、ユーザが必要性を感じたときには既に過去の演算式データ及び演算対象数値データに基づく過去の将来予測シミュレーションの結果(結果データ)の精度が現実から大きく乖離していることもあり得る。
そのような事態の発生を、この実施形態のサーバ200は以下のような仕組みで防いでいる。
【0049】
上述のように、クライアント100からサーバ200に演算式データ、演算対象数値データ、及び根拠データが送られて来ると、サーバ200内で、主制御部222が、サーバ記録部223にそれらデータを書き込む。主制御部222がサーバ記録部223内の根拠データに変更を加えた(根拠データが初めて生成された場合も含む。)場合、主制御部222はその旨を解釈部225に伝える。
かかるデータを受け取った解釈部225は、サーバ記録部223に記録されている最新の根拠データをすべて読みだし、解釈データを生成する。解釈データは、根拠データによって特定される根拠の意味に対応したデータである。解釈データを生成したら、解釈部225はそれを関連情報収集部226へと送る。この実施形態では、これには限られないが、解釈部225は、解釈データとともにその元となった根拠データも関連情報収集部226へと送る。
【0050】
関連情報収集部226は、解釈部225から解釈データと根拠データとを受け取る。それらを受け取った関連情報収集部226は、探索対象から関連情報を収集する。関連情報は、根拠データによって特定される根拠と関連する情報である。関連情報収集部226は、解釈部225から受け取った解釈データを用いて、解釈データによって特定される根拠の意味と関連する情報として関連情報を収集する。この実施形態では、関連情報収集部226はインターネットをクローリングすることにより、関連情報を収集する。
関連情報収集部226は、関連情報を発見した場合には、それを判定部227へと送るようになっている。これには限られないが、この実施形態では、関連情報収集部226が判定部227へ関連情報を送る場合、その関連情報が関連する根拠についての根拠データまたはそれから生成した解釈データと紐づけた状態で、関連情報を判定部227へと送るようになっている。
関連情報収集部226が発見した関連情報を判定部227に送るタイミングは、適当に決定することができる。関連情報収集部226は、例えば、関連情報を発見する都度、発見した関連情報を即時に判定部227に送るようになっていてもよい。また、関連情報収集部226は、発見した関連情報を溜めておき、所定の時間間隔で判定部227へと送るようになっていても良い。例えば、判定部227が判定の処理を所定の時間間隔で行うようになっているのであれば、関連情報収集部226は、判定部227で判定の処理が実行される幾らか前に、関連情報を判定部227に送るようになっていても良い。判定部227が判定の処理を所定の時間間隔で行うようになっているのであれば、例えば、判定部227が関連情報収集部226に対して関連情報収集部226が今持っている関連情報の判定部227への提供を促し、それに応じて関連情報収集部226が関連情報を判定部227に対して送るようにすることもできる。
【0051】
判定部227は、関連情報収集部226によって収集された上述の関連情報を受け取り、受け取った関連情報を用いて、根拠データの修正の必要性が有るか無いかについての判定を行う。
これには限られないが、この実施形態における判定部227は、関連情報収集部226から関連情報を受け取った場合には、その関連情報が関連する根拠を特定する根拠データに修正の必要性が有る、と判定する。つまり、この実施形態の判定部227は、関連情報が存在するという事実により、根拠データの修正の必要性が有る、と判定する。もっとも、判定部227は、関連情報収集部226から受け取った関連情報が、根拠データの修正の必要性を生じる程の影響力があるか否かの判定を判定部227が改めて行い、その判定の結果により根拠データの修正の必要性の有無を判定するようになっていてもよい。
判定部227は、根拠データを修正する必要性があると判定した場合に、根拠データの少なくとも一部、或いはその根拠データにより特定される根拠に基づいて生成された演算式又は演算対象数値を特定する演算式データ又は演算対象数値データの修正をクライアント100のユーザに対して促すデータである警告データを生成する。判定部227は、警告データを生成したら、それを画像生成部228に送る。
なお、判定部227が上述の如き判定の処理を行うタイミングは、所定の時間間隔おき、とすることができる。この時間間隔は例えば、ユーザが決定できるようにしても良い。また、判定部227は常時、上述のごとき判定を行うようになっていても良い。その場合、関連情報収集部226は、関連情報を発見したらその都度即時に判定部227へ関連情報を送るようにすべきである。
【0052】
画像生成部228は、判定部227から警告データを受け取る。それを受け取った画像生成部228は、警告データに基づいて、クライアント100のディスプレイ101に警告画像を表示させるための画像データを生成する。警告画像データは、その警告画像データによって特定される警告画像により、根拠データにより特定される根拠のうちのどこに、或いはその根拠データにより特定される根拠に基づいて生成された演算式又は演算対象数値のどこに修正が必要かということをユーザが把握できるような画像である。
いずれにせよ、画像生成部228によって生成された警告画像についての画像データは、出力部229へと送られるようになっている。
警告画像についての画像データは、出力部229から送受信機構に送られ、送受信機構からネットワーク400を介してクライアント100へと送られる。
【0053】
クライアント100は、その送受信機構で警告画像についての画像データを受け取る。その画像データは、送受信機構からインターフェイス114を介して入力部121へと送られ、入力部121から主制御部122へと送られ、更には主制御部122から画像生成部123へと送られる。
画像生成部123は警告画像についての画像データを生成し、それを出力部125、インターフェイス114を介してディスプレイ101に送る。ディスプレイ101には、警告画像が表示される。サーバ200の判定部227で警告データが生成されてから、ディスプレイ101に警告画像が表示されるまでに要する時間は、例えば数秒と極めて短く、判定部227で警告データが生成されてから直ちにクライアント100のディスプレイ101に警告画像が表示される。この場合、上述のコンピュータプログラムがクライアント100において例えばバックグラウンドで常時実行されていれば、送られてきた画像データに基づいて、そのディスプレイ101に警告画像を表示することができる。
ユーザは、警告画像を見ることにより、根拠データにより特定される根拠、或いはその根拠データにより特定される根拠に基づいて生成された演算式又は演算対象数値に修正の必要性が生じたということを理解することができる。根拠に修正が必要なのであれば多くの場合、演算式と演算対象数値にも修正が必要である。ユーザは、警告画像を見たら、自らの判断により必要に応じて根拠(根拠データ)の修正を行い、また、必要に応じて演算式(演算式データ)及び演算対象数値(演算対象数値データ)の修正を行うことができる。
これには限られないが、この実施形態における警告画像は、根拠データにより特定される根拠のうちのどこに修正が必要かということをユーザが把握できるような画像とされる。例えば、
図6の上から4つ目の「我社の販売する製品αを輸出する場合円安が有利だが、向こう半年間の為替レートは、1ドル100円±5円と予想される。」という根拠に対して、現実に「現在の為替レートが1ドル80円である」という事実が生じているのであれば、例えば、上述の根拠のうち「1ドル100円±5円」という部分に下線を付すとか太文字で表示するとかの目立つ表示を行うことができる。また、それに加えて、目立つ表示がされた部分に、「現在の為替レートが1ドル80円である」という、根拠の修正が必要となった理由を更に付加して表示することも可能である。
【0054】
なお、この実施形態では、上述のように、サーバ200の判定部227において警告データが生成された場合には、サーバ200の画像生成部228で生成された警告画像についての画像データがサーバ200からクライアント100へと送られるようになっていた。
もっとも、警告画像の役割は、ユーザに、根拠データにより特定される根拠に修正の必要性が生じたことを知らしめることであるから、サーバ200において警告データが生成された場合においてクライアント100に送られるべきは、画像データである必要はそもそもない。例えば、サーバ200からクライアント100には、上述の画像データに代えて、根拠データにより特定される根拠、或いはその根拠データにより特定される根拠に基づいて生成された演算式又は演算対象数値に修正の必要性が生じたことを知らしめるテキストのデータが送られるようになっていても構わない。また、かかるサーバ200からクライアント100へのデータの送信は、クライアント100が備える電子メールの機能や、Facebook(商標)、twitter(商標)等のSNSのメッセージ機能等を利用して行われてもよい。その場合、クライアント100でそれらデータを受け取ったことにより根拠データにより特定される根拠、或いはその根拠データにより特定される根拠に基づいて生成された演算式又は演算対象数値に修正の必要性が生じたことを知ったユーザが、例えば、上述したような手続きを踏んで設定画像をディスプレイ101に表示されたときに初めて、ディスプレイ101上に、上述の如き警告画像が表示されるようになっていても構わない。
【0055】
ユーザが根拠データ、演算式データ、演算対象数値データの少なくともいずれかを変更した場合のその後の処理は以下のようなものとなる。
演算式データ、演算対象数値データが変更された場合には、その後においてシミュレーション部224が実行した将来予測シミュレーションによって得られる結果は、それ以前のものと異なるものとなる可能性がある。
根拠データが変更された場合には、その後において解釈部225が生成する解釈データがそれ以前のものと異なるものとなる可能性があり、また、関連情報収集部226が収集する関連情報がそれ以前のものと異なるものとなる可能性がある。
【0056】
<変形例>
変形例による将来予測シミュレーション装置について説明する。
上述した実施形態における将来予測シミュレーション装置は、いわゆるクラウドサーバとしてのサーバ200として構成されていた。
他方、変形例における将来予測シミュレーション装置は、いわゆるオンプレミス型である。変形例では、実施形態において存在していたサーバ200が存在せず、実施形態におけるクライアント100が、それ単体で将来予測シミュレーション装置として機能する。大雑把にいえば、変形例におけるクライアント100は、上述の実施形態で説明したクライアント100とサーバ200を一体化したものであると言える。
変形例の説明では、上述の実施形態の説明と重複する説明は場合により省略する。
【0057】
変形例における将来予測シミュレーション装置としてのクライアント100は、そのハードウェア構成に関して言えば、ディスプレイ101、入力装置102まで含めて上述の実施形態の場合と変わらない。ただし、変形例のクライアント100は、上述の実施形態の場合と異なり、サーバ200と通信を行う必要がないので、送受信機構は存在しなくても良い。
【0058】
クライアント100内のCPU111がコンピュータプログラムを実行することにより、クライアント100内部には、
図9で示されたような機能ブロックが生成される。なお、以下の機能ブロックは、クライアント100に以下に述べるような処理を実行させるための上述のコンピュータプログラム単体の機能により生成されていても良いが、上述のコンピュータプログラムと、クライアント100にインストールされたOSその他のコンピュータプログラムとの協働により生成されても良い。
クライアント100内には、本願発明の機能との関係で、入力部141、主制御部142、クライアント記録部143、シミュレーション部144、解釈部145、関連情報収集部146、判定部147、画像生成部148、及び出力部149が生成される(
図9)。
【0059】
入力部141は、上述の実施形態のクライアント100における入力部121と同様に、インターフェイス114からの入力を受取るものである。
インターフェイス114から入力部141への入力には、入力装置102からの入力がある。入力装置102からの入力は、これには限られないが上述の場合と同じである。変形例でも、入力装置102からの入力には、例えば、開始データ、設定選択データ、演算式データ、演算対象数値データ、根拠データがある。入力装置102からの上述の入力があった場合、それら入力によるデータはいずれも、入力部141から主制御部142へと送られるようになっている。
【0060】
主制御部142は、上述の実施形態のクライアント100における主制御部122と同様に、クライアント100内に生成された各機能ブロック全体の制御を行うものである。
主制御部142は、入力部141から開始データ、設定選択データ、及びシミュレーション実行データを受け取る場合がある。開始データ、設定選択データを受取った場合、主制御部142は、受け取ったそれらデータに応じた画像についての画像データを生成せよとの指示を画像生成部148へと送るようになっている。これは、上述の実施形態のサーバ200における主制御部222が行う指示と同様である。シミュレーション実行データを受取った場合、主制御部142は、将来予測シミュレーションを実行せよとの指示をシミュレーション部144へと送るようになっている。これは、上述の実施形態のクライアント100における主制御部122には無かった機能である。
主制御部142は、演算式データ、演算対象数値データ、根拠データを入力部141から受け取る場合がある。これらを受け取った場合、主制御部142は、それらをそれぞれ、画像生成部148とクライアント記録部143へと送るようになっている。クライアント記録部143に送られた演算式データ、演算対象数値データ、根拠データはクライアント記録部143に記録される。これは、上述の実施形態のサーバ200において、主制御部222がサーバ記録部223に演算式データ、演算対象数値データ、根拠データを記録したことに相当する。
【0061】
クライアント記録部143は、上述の実施形態のサーバ200におけるサーバ記録部223に相当するものである。クライアント記録部143は、上述したように、主制御部142から演算式データ、演算対象数値データ、根拠データを受け付けるようになっている。クライアント記録部143は、主制御部142から受け付けた演算式データ、演算対象数値データ、根拠データを記録するようになっている。
クライアント記録部143に記録される演算式及び演算式データ、演算対象数値及び演算対象数値データ、根拠及び根拠データは、上述の実施形態においてサーバ記録部223に記録されたそれらと、演算式データ、演算対象数値データ、根拠データの紐づけ方も含めて異なるところはない。
【0062】
シミュレーション部144は、上述の実施形態のサーバ200におけるシミュレーション部224に相当するものである。シミュレーション部144は、将来予測シミュレーションを実行する機能を有している。シミュレーション部144が実行する将来予測シミュレーションは、上述の実施形態のサーバ200におけるシミュレーション部224が実行したものと同じでよい。
シミュレーション部144は上述のように主制御部142から将来予測シミュレーションを実行せよとの指示を受ける場合がある。そのような指示を受け取ったらシミュレーション部144は、将来予測シミュレーションを実行する。将来予測シミュレーションを実行する場合、シミュレーション部144は、クライアント記録部143から、演算式データ及び演算対象数値データを読み出し、それらによって特定される演算式及び演算対象数値を用いて将来予測シミュレーションを実行する。これは、上述の実施形態の場合と同様である。
変形例でもシミュレーション部144は、将来予測シミュレーションを行うことによって結果データを生成する。結果データは、シミュレーション部144から画像生成部148へと送られるようになっている。
【0063】
解釈部145は、上述の実施形態のサーバ200における解釈部225に相当するものである。解釈部145は、解釈データを生成する機能を有する。
変形例における解釈データは、上述した実施形態における解釈データと同じでよく、また、解釈部145が解釈データを生成する方法も、上述した実施形態のサーバ200における解釈部225が解釈データを生成するのに用いた方法と同じで良い。
解釈部145は、クライアント記録部143に記録されている根拠データに変更があった場合に、主制御部142からその旨を伝えられる。その旨の通知を受け取った解釈部145は、クライアント記録部143に記録されている根拠データのすべてを読み出して、それら根拠データのそれぞれによって特定される根拠のそれぞれについて、解釈データを生成する。解釈部145は例えば、所定の時間間隔毎に自動的に解釈データを生成するようになっていてもよく、その場合には主制御部142から解釈部145への上述の通知は不要となる。
解釈データを生成したら、解釈部145はそれを関連情報収集部146へと送るようになっている。この変形例では、これには限られないが、解釈部145は、解釈データとともにその元となった根拠データも関連情報収集部146へと送るようになっている。
【0064】
関連情報収集部146は、上述の実施形態のサーバ200における関連情報収集部226に相当するものである。関連情報収集部146は、所定の探索対象から、根拠データによって特定される根拠と関連する情報である関連情報を収集する機能を有している。
この変形例における関連情報収集部146は、解釈部145から受け取った解釈データを用いて、解釈データによって特定される根拠の意味と関連する情報として関連情報を収集するようになっている。
変形例における関連情報は、上述の実施形態における関連情報と同じもので良い。また、変形例における関連情報収集部146が関連情報を収集する方法、及び範囲も、上述の実施形態のサーバ200における関連情報収集部226が関連情報を収集した方法、及び範囲と同じで良い。これには限られないが、変形例では、関連情報収集部146は、インターネット上をクローリングすることにより、関連情報を収集する。
関連情報収集部146は、関連情報を発見した場合には、それを判定部147へと送るようになっている。これには限られないが、関連情報収集部146が判定部147へ関連情報を送る場合、その関連情報が関連する根拠についての根拠データまたはそれらから生成された解釈データと紐づけた状態で、関連情報を判定部147へと送るようになっている。
【0065】
判定部147は、上述の実施形態のサーバ200における判定部227に相当するものである。判定部147は、関連情報収集部146によって収集された上述の関連情報との関係で、根拠データの修正の必要性が有るか無いかを判定する機能を有する。
判定部147が実行する判定の方法は、上述の実施形態のサーバ200における判定部227が実行した判定の方法と同じで良い。上述したように判定部147は、関連情報収集部146から関連情報及び根拠データを受け取る場合がある。この変形例における判定部147は、この限りでないが、関連情報収集部146から、関連情報を受け取った場合には、その関連情報が関連する根拠を特定する根拠データに修正の必要性が有る、と判定するようになっている。
判定部147は、根拠データを修正する必要性があると判定した場合に、根拠データの少なくとも一部、或いはその根拠データにより特定される根拠に基づいて生成された演算式又は演算対象数値を特定する演算式データ又は演算対象数値データの修正をクライアント100のユーザに対して促すデータである警告データを生成する。判定部147は、警告データを生成したら、それを画像生成部148に送るようになっている。これも、上述の実施形態の場合と同様である。
【0066】
変形例における画像生成部148は、上述の実施形態のクライアント100における画像生成部123と、上述の実施形態のサーバ200における画像生成部228とを併せたような機能を有する。画像生成部148は、ディスプレイ101に表示させる画像についてのデータである画像データを生成する機能を有している。
その他の画像データも画像生成部148は生成するが、画像生成部148が生成する画像データの代表的なものは、結果画像と、警告画像とについての画像データである。結果画像と警告画像は、上述の実施形態の場合のそれらと同じで良い。
上述したように、画像生成部148は、シミュレーション部144から結果データを受け取る場合がある。それを受け取った場合には、画像生成部148は、結果画像についての画像データを生成する。
上述したように、画像生成部148は、判定部147から警告データを受け取る場合がある。それを受け取った場合には、画像生成部148は、警告画像についての画像データを生成する。その画像データは、その画像データによって特定される警告画像により、根拠データのうちのどこに、或いはその根拠データにより特定される根拠に基づいて生成された演算式又は演算対象数値のどこに修正が必要かということをユーザが把握できるようなものとされる。
いずれにせよ、画像生成部148によって生成された画像データは、出力部149へと送られるようになっている。
【0067】
出力部149は、クライアント100内の機能ブロックで生成されたデータをインターフェイス114に出力するものである。
出力部149には、上述のように画像生成部148から画像データが送られてくる場合がある。画像データを受取った場合、出力部149は画像データをインターフェイス114を介してディスプレイ101に送るようになっている。画像データを受け取ったディスプレイ101は、画像データに応じた画像を表示する。
【0068】
次に、以上で説明した将来予測シミュレーション装置としてのクライアント100の使用方法、動作について説明する。
【0069】
将来予測シミュレーション装置としてのクライアント100により、将来予測シミュレーションを実行しようとするユーザは、まず、上述の実施形態の場合と同じく、演算式データ、演算対象数値データ、根拠データの生成を行う。初期状態では、クライアント記録部143には、演算式データ、演算対象数値データ、根拠データのいずれもが記録されていない。
具体的には、ユーザはまず、クライアント100の入力装置102を操作して、開始データを入力する。開始データが入力されると、開始データは、インターフェイス114から入力部141へと送られ、入力部141から主制御部142へと送られる。開始データを受け取ると、主制御部142は、開始データが入力されたことに応じた画像であるトップ画像を生成せよとの指示を画像生成部148に対して送る。この指示を受けた画像生成部148は、トップ画像のデータである画像データを生成する。画像データは、画像生成部148から出力部149へと送られ、出力部149からインターフェイス114を介してディスプレイ101へ送られる。
それにより、ディスプレイ101にはトップ画像が表示される。変形例のトップ画像は、上述の実施形態の場合と同様であり、
図7に示したようなものである。ユーザは、「設定」と記載のボタンの画像をクリックすることにより、設定選択データを入力するか、「シミュレーション実行」と記載のボタンの画像をクリックすることにより、シミュレーション実行データを入力する。
少なくともユーザがクライアント100で初めて上述のコンピュータプログラムを実行したときには、ユーザは、設定選択データを入力しなければならない。
設定選択データは、開始データと同様の経路を辿り、入力装置102から、主制御部142に送られる。
【0070】
主制御部142は、設定選択データを受け取ると、設定選択データが入力されたことに応じた画像である設定画像についての画像データを生成せよとの指示を画像生成部148に対して送る。この指示を受けた画像生成部148は、設定画像のデータである画像データを生成する。かかる画像データは、画像生成部148から出力部149へと送られ、出力部149からインターフェイス114を経てディスプレイ101に送られる。
それにより、クライアント100のディスプレイ101には、設定画像が表示されることになる。変形例における設定画像は、上述の実施形態の場合のそれと同じでよく、例えば、
図8に示したようなものである。ユーザは、上述の実施形態の場合と同様に、
図8の横並びの3つの欄にそれぞれ、演算式、演算対象数値、及び根拠の入力を行う。
演算式データ、演算対象数値データ、根拠データは、入力装置102からインターフェイス114を経て入力部141へと送られ、入力部141から、主制御部142を経て画像生成部148へと送られる。演算式データ、演算対象数値データ、根拠データの最新のものは、一旦主制御部142が保持する。画像生成部148は、入力中の演算式、演算対象数値、根拠をディスプレイ101に表示させるための画像データを生成し、出力部149へと送る。出力部149は、インターフェイス114を介して、かかる画像データをディスプレイ101に送る。それにより、ディスプレイ101には、入力中の演算式、演算対象数値、根拠が略実時間で表示されることになる。これは、上述の実施形態とまったく同じである。ユーザは、ディスプレイ101に表示された演算式、演算対象数値、根拠を確認しながら、演算式、演算対象数値、根拠の入力を行う。
上述の実施形態の場合と同様に、設定画像中の、終了という文字が記載されたボタンをユーザがクリックすることにより、演算式データ、演算対象数値データ、及び根拠データのすべての入力が終了したことを示すデータが入力される。
そうすると、主制御部142に送られてきていた最新のすべての演算式データ、演算対象数値データ、及び根拠データが、主制御部142からクライアント記録部143に送られ、クライアント記録部143に記録される。これにて、クライアント記録部143には、上述の実施形態のサーバ200におけるサーバ記録部223に記録されたのと同じ状態で、演算式データ、演算対象数値データ、及び根拠データが記録されることになる。
なお、クライアント記録部143への演算式データ、演算対象数値データ、及び根拠データの記録のタイミングは、上述の実施形態の場合と同様に変更可能である。
【0071】
いずれにせよ、演算式データ、演算対象数値データ、及び根拠データがクライアント記録部143に記録されると、クライアント100は、将来予測シミュレーションを実行できる状態となる。
ユーザは、将来予測シミュレーションを実行しようとする場合には、トップ画像がディスプレイ101に表示されているときに、「シミュレーション実行」という文字が示されたボタンをクリックする。そうすると、シミュレーション実行データが生成される。このシミュレーション実行データは、設定選択データと同様に、入力装置102から主制御部142へと送られる。
【0072】
主制御部142はシミュレーション実行データを受け取ると、シミュレーション部144に将来予測シミュレーションを実行せよ、との指示を送る。
かかる指示を受け取ると、シミュレーション部144は、上述の実施形態の場合と同様に、将来予測シミュレーションを実行する。将来予測シミュレーションの手法は、上述の実施形態の場合と同じで良い。シミュレーションを実行せよとの指示を受けたシミュレーション部144は、クライアント記録部143から、将来予測シミュレーションを実行するために必要な、演算式データ及び演算対象数値データを読み出す。そして、シミュレーション部144は、演算式データによって特定される演算式に、演算対象数値データによって特定される演算対象数値を当て嵌めて演算を行う。その演算の結果として、将来予測シミュレーションの結果、つまり将来の予測の内容を特定するデータである結果データが生成される。
シミュレーション部144は、生成した結果データを、画像生成部148に送る。結果データを受け取った画像生成部148は、将来予測シミュレーションの結果をユーザが把握することができるような画像である結果画像についての画像データを生成する。かかる画像データは、画像生成部148から出力部149へと送られ、出力部149からインターフェイス114を介してディスプレイ101へと送られる。
それにより、クライアント100のディスプレイ101には、結果画像が表示されることになる。結果画像を見ることにより、ユーザは、将来予測シミュレーションの結果を把握することが可能となる。
【0073】
ユーザは、シミュレーション実行データを入力すれば、いつでもクライアント100に将来予測シミュレーションを実行させることができ、いつでも結果画像をディスプレイ101で確認することができる。もっとも、これに制限をつけることができるのは、上述の実施形態で述べた通りである。
ユーザは、上述の実施形態の場合と同様に、がその必要性を感じたときに自ら演算式データや演算対象数値データを修正することができる。
【0074】
他方、変形例では、主制御部142がクライアント記録部143内の根拠データに変更を加えた場合、主制御部142はその旨を解釈部145に伝える。かかるデータを受け取った解釈部145は、クライアント記録部143に記録されている最新の根拠データをすべて読みだし、解釈データを生成する。解釈データを生成したら、解釈部145はそれを関連情報収集部146へと送る。上述の実施形態の場合と同様に、変形例でも、これには限られないが、解釈部145は、解釈データとともにその元となった根拠データも関連情報収集部146へと送る。
【0075】
関連情報収集部146は、解釈部145から解釈データと根拠データとを受け取る。それらを受け取った関連情報収集部146は、上述の実施形態の場合と同様に、探索対象から関連情報を収集する。
関連情報収集部146は、関連情報を発見した場合には、それを判定部147へと送る。これには限られないが、この実施形態では、関連情報収集部146が判定部147へ関連情報を送る場合、その関連情報が関連する根拠についての根拠データまたはそれらから生成された解釈データと紐づけた状態で、関連情報を判定部147へと送る。
関連情報収集部146が発見した関連情報を判定部147に送るタイミングは、上述の実施形態の場合と同様とすることが可能であり、上述の実施形態の場合と同様に適宜決定することができる。
【0076】
判定部147は、関連情報収集部146によって収集された上述の関連情報を受け取り、受け取った関連情報用いて、根拠データの修正の必要性が有るか無いかについての判定を行う。かかる処理は、上述の実施形態の判定部227が行った判定の処理と同じである。
判定部147は、根拠データを修正する必要性があると判定した場合に、上述の実施形態の場合と同様の警告データを生成する。判定部147は、警告データを生成したら、それを画像生成部148に送る。
なお、判定部147が上述の如き判定の処理を行うタイミングは、上述の実施形態のサーバ200における判定部227が判定の処理を行ったタイミングと同じように決定することができる。
【0077】
画像生成部148は、判定部147から警告データを受け取る。それを受け取った画像生成部148は、警告データに基づいて、クライアント100のディスプレイ101に警告画像を表示させるための画像データを生成する。変形例における警告画像データは、上述の実施形態の場合と同じで良い。
いずれにせよ、画像生成部148によって生成された警告画像についての画像データは、出力部149へと送られ、更にはインターフェイス114を介してディスプレイ101に送られる。ディスプレイ101には、警告画像が表示される。判定部147で警告データが生成されてから、ディスプレイ101に警告画像が表示されるまでに要する時間は、上述の実施形態の場合と同様に、例えば数秒と極めて短い。
ユーザは、警告画像を見ることにより、根拠データにより特定される根拠、或いはその根拠データにより特定される根拠に基づいて生成された演算式又は演算対象数値に修正の必要性が生じたということを理解することができる。根拠に修正が必要なのであれば当然に、演算式と演算対象数値にも修正が必要である。ユーザは、警告画像を見たら、自らの判断により必要に応じて根拠(根拠データ)の修正を行い、また、必要に応じて演算式(演算式データ)及び演算対象数値(演算対象数値データ)の修正を行うことができる。
ユーザに警告画像以外の方法で、例えば電子メールを用いて、根拠データにより特定される根拠、或いはその根拠データにより特定される根拠に基づいて生成された演算式又は演算対象数値に修正の必要性が生じたということを理解させることができるのも、上述の実施形態の場合と同様である。
ユーザが根拠データ、演算式データ、演算対象数値データの少なくともいずれかを変更した場合のその後の処理は、上述の実施形態の場合と同様である。
将来予測シミュレーション装置としてのサーバ200は、サーバ記録部223に記録された、将来予測シミュレーションに用いられる演算式及び演算対象数値を特定する演算式データ及び演算対象数値データを用いて将来予測シミュレーションを実行する。サーバ200は、解釈部225、関連情報収集部226、判定部227を備える。解釈部225は、サーバ記録部223から演算式及び演算対象数値を決定するためにユーザが用いた根拠を特定するテキストのデータである根拠データを読み出して解釈データを生成し、関連情報収集部226は、解釈データを用いてインターネット上をクローリングして、根拠データに関連する関連情報を収集する。関連情報が発見されると、判定部227が警告データを生成する。