特許第6592234号(P6592234)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6592234
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】単相ブラシレスモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/16 20060101AFI20191007BHJP
   H02K 1/18 20060101ALI20191007BHJP
   H02K 21/14 20060101ALI20191007BHJP
   H02K 19/04 20060101ALI20191007BHJP
【FI】
   H02K1/16 C
   H02K1/18 D
   H02K21/14 M
   H02K19/04
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-161995(P2014-161995)
(22)【出願日】2014年8月8日
(65)【公開番号】特開2015-37379(P2015-37379A)
(43)【公開日】2015年2月23日
【審査請求日】2017年6月8日
(31)【優先権主張番号】201310348173.8
(32)【優先日】2013年8月9日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201310347200.X
(32)【優先日】2013年8月9日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518263944
【氏名又は名称】ジョンソン エレクトリック インターナショナル アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】ユー リ
(72)【発明者】
【氏名】バオ ティン リウ
(72)【発明者】
【氏名】チュイ ヨウ チョウ
(72)【発明者】
【氏名】ヨン ワン
(72)【発明者】
【氏名】ミン チェン
(72)【発明者】
【氏名】シャオ ニン ジュー
【審査官】 服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−209358(JP,A)
【文献】 特開2005−086978(JP,A)
【文献】 特開平08−047192(JP,A)
【文献】 特開2006−014575(JP,A)
【文献】 特開平02−007839(JP,A)
【文献】 実開昭61−185276(JP,U)
【文献】 特開昭60−144121(JP,A)
【文献】 特開2005−237136(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/16
H02K 1/18
H02K 19/04
H02K 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータ及び前記ステータに対して回転可能なロータを備える単相ブラシレスモータであって、
前記ロータは複数の永久磁極を有するロータコアを備え、
前記ステータはステータコア及び前記ステータコアに巻きつけられた巻き線を備え、
前記ステータコアは、外側環状部、内側環状部、及び前記内側環状部を前記外側環状部と接続する複数の接続部を備え、
前記巻き線は前記接続部の周りに巻きつけられ、
前記ロータは前記内側環状部内に収容され、
前記ステータの前記内側環状部及び前記ロータはそれらの間に実質的に均一な空隙を形成し、前記接続部内ではない前記接続部のうちのすべての2つの隣接した前記接続部の間の前記内側環状部の一部の内側表面であって前記ロータに面する内側表面は凹所と共に形成され、及び各凹所の中央は前記接続部のうちの対応する2つの隣接した前記接続部の間の中央線からオフセットされることを特徴とするモータ。
【請求項2】
前記凹所は、前記ロータが2つの方向に起動することができるように構成及び配置される、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記凹所の数は、前記接続部の数と同じであり、及び前記ロータの前記磁極の数と同じである、請求項1又は2に記載のモータ。
【請求項4】
前記凹所は、前記モータの軸方向に沿って前記内側環状部の前記内側表面を貫通する、請求項1から3のいずれか一つに記載のモータ。
【請求項5】
前記凹所は、前記モータの軸方向に沿って前記内側環状部の前記内側表面に間隔を空けて配置される、請求項1から4のいずれか一つに記載のモータ。
【請求項6】
前記各凹所の中央と、対応する2つの隣接した前記接続部の間にある中央線と、の間に作られるオフセット角は、電気角45度から135度の範囲内にある、請求項1から4のいずれか一つに記載のモータ。
【請求項7】
前記モータは、電気角60度から80度の範囲内にある起動角を有する、請求項1から6のいずれか一つに記載のモータ。
【請求項8】
前記内側環状部の前記内側表面は、前記ロータと同心円上に位置する、請求項1から7のいずれか一つに記載のモータ。
【請求項9】
磁気ブリッジは、前記接続部のうちのすべての2つの隣接した前記接続部の間の前記内側環状部の一部に作られる、請求項1から8のいずれか一つに記載のモータ。
【請求項10】
前記磁気ブリッジは、前記内側環状部の外側表面内に形成される溝を備える、請求項9に記載のモータ。
【請求項11】
前記磁気ブリッジは、前記内側環状部内に形成されるアパーチャ又は孔を備える、請求項9に記載のモータ。
【請求項12】
前記接続部は、前記内側環状部及び前記外側環状部のうちの1つ又は両方に対して別々に作られる、請求項1から11のいずれか一つに記載のモータ。
【請求項13】
前記ロータはロータコアをさらに備え、前記複数の永久磁極は、前記ロータコアの半径方向外側表面上に取り付けられた1つ以上の永久磁石によって作られる、請求項1から12のいずれか一つに記載のモータ。
【請求項14】
前記ロータは円弧外周表面を有するロータコアをさらに備え、前記複数の永久磁極は、前記ロータコアの前記円弧外周表面上に取り付けられた1つよりも多い永久磁石により形成され、前記ロータコアの前記円弧外周表面は、軸方向に延びる複数の溝とともに形成され、各溝は、2つの隣接した永久磁極の接合点の半径方向内側に配置される、請求項1から12のいずれか一つに記載したモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は単相ブラシレスモータ、より詳細には実質的に均一な空隙を有する単相ブラシレスモータに関する。
【背景技術】
【0002】
図8は、ステータ11及びステータに取り付けられたロータ19を備える従来型の単相ブラシレスモータ10を示す。ステータは、ステータコア12及びステータコアに巻きつけられた巻き線13を備える。ステータコアは、環状ヨーク14及びヨークから内側に伸びる複数の歯15を備える。スロット16は、巻き線13の受信コイルのために隣接した歯の間に作られる。ステータコアのヨーク14及び歯15は、単一の一体構造に一体的に形成される。各々の歯15は、歯の末端に作られる極片(ポールシュー)18を備えるステータポールを形成する。極片は、モータの円周方向に沿って伸びる。スロット開口部17は各極片の間に形成され、各々の歯の周りにコイルを巻きつけるためのアクセスを可能にする。それ故に、ステータ11とロータ19の間に不均一な空隙が形成される。上記の従来型の単相ブラシレスモータでは、スロット開口部17の存在によって、モータは過渡に大きなコギングトルクを作り出し、それによって振動及びノイズを引き起こす。さらに、ステータコアは一体構造であるので、往復シャトル巻き線機が巻きつける過程に必要であり、このことが低い巻線効率をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、モータ起動の改善された信頼性を有する、新しい単相ブラシレスモータが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
したがって、その1つの態様では、本発明はステータ及びステータに対して回転可能なロータを備える単相ブラシレスモータを提供し、ロータは複数の永久磁極を有するロータコアを備え、ステータはステータコア及びステータコアに巻きつけられた巻き線を備え、ステータコアは外側環状部、内側環状部、及び内側環状部を外側環状部と接続する複数の接続部を備え、巻き線は接続部の周りに巻きつけられ、ロータは内側環状部内に収容される。ステータ及びロータの内側環状部はそれらの間に実質的に均一な空隙を形成し、接続部のすべての2つの隣接した部分の間の内側環状部の一部の内側表面であってロータに接触する内側表面は凹部とともに形成され、及び各凹所の中央は接続部の対応する2つの隣接した部分の間の中央線(middle line)からオフセットされる。
【0005】
好ましくは、ロータが2つの方向に起動することができるように、凹所は構成され及び配置される。
【0006】
好ましくは、凹所の数は、接続部の数と同じであり、及びロータの磁極の数と同じである。
【0007】
好ましくは、凹所は、モータの軸方向に沿って内側環状部の内側表面を貫通する。
【0008】
好ましくは、凹所は、モータの軸方向に沿って内側環状部の内側表面に間隔を空けて配置される。
【0009】
好ましくは、各凹所の中央は、対応する2つの隣接した接続部の間の中央線からオフセットされる。
【0010】
好ましくは、各凹所の中央と、対応する2つの隣接した接続部の間の中央線と、の間に作られるオフセット角は、電気角45度から135度の範囲内にある。
【0011】
好ましくは、モータは、電気角60度から80度の範囲内にある起動角を有する。
【0012】
好ましくは、内側環状部の内側表面は、ロータと同心円上に位置する。
【0013】
好ましくは、磁気ブリッジ(magnetic bridge)は、接続部のすべての2つの隣接した部分の間の内側環状部の一部に作られる。
【0014】
好ましくは、磁気ブリッジは、内側環状部の外側表面内に形成される溝(groove)を備える。
【0015】
好ましくは、磁気ブリッジは、内側環状部内に形成されるアパーチャ又は孔を備える。
【0016】
好ましくは、接続部は、内側環状部及び外側環状部のうちの1つ又は両方に対して、別々に作られる。
【0017】
好ましくは、ロータはロータコアをさらに備え、複数の永久磁極は、ロータコアの半径方向外側の表面に取り付けられた1つ以上の永久磁石によって作られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の好ましい実施形態に従った単相ブラシレスモータの斜視図である。
図2図2は、図1の単相ブラシレスモータのステータコアの斜視図である。
図3図3は、図1の単相ブラシレスモータの平面図である。
図4図4は、ステータコアの一部の別の実施形態を説明する。
図5図5は、ステータコアの一部の別の実施形態を説明する。
図6図6は、本発明の他の実施形態に従った単相ブラシレスモータの平面図である。
図7図7は、本発明のさらなる他の実施形態に従った単相ブラシレスモータの平面図である。
図8図8は、従来(先行技術)の単相ブラシレスモータの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態をほんの一例として説明する。図面において、2つ以上の図面に現れる同一の構造、構成要素、又は部分は、一般的に、その図面が現れる全ての図面において同じ参照番号でラベルされる。図示されたコンポーネント及び特徴部の大きさは、一般的に、表現の便宜上及び明瞭化のために選択されたものであり、必ずしも一定の比率で示されていない。図面は以下に記載する。
【0020】
図1から図3を参照して、本発明の第1の好ましい実施形態に従った単相ブラシレスモータ20はステータ30及びステータ30に対して回転可能に取り付けられたロータ70を含む。
【0021】
ステータ30は、ステータコア40及びステータコア40に巻きつけられた巻き線50を含む。ステータコア40は、磁気伝導性材料(magnetically conductive material)で作られる。例えば、ステータコア40は、モータの軸方向に積み重ねられたシリコンスチールシートのような複数の磁気伝導性ラミネーションによって作られる。ステータコア40は、外側環状部42、内側環状部44、及び内側環状部44を外側環状部42と接続する複数の接続部46を含む。本明細書においては、用語「環状部」は円周方向に連続的に伸びる密閉構造についていう。好ましくは、接続部46はモータの円周方向に均等に間隔を空けられ、各接続部46は、内側環状部44から外側環状部42へ実質的に放射状に伸びる。説明された実施形態では、接続部46は、一体化した本体を作るために、内側環状部44と一体的に作られる。接続部46及び外側環状部42は分離構造である、すなわち外側環状部42及び接続部46は別々に作られ、一緒に組み立てられる。巻き線50は、接続部46の周りに巻きつけられる。ロータ70は、内側環状部44の中に収容される。各2つの隣接した接続部46の間の内側環状部44の一部であって、ロータ70に面する、半径方向内側表面は、凹所442と共に作られる。凹所442の中央は、本明細書内で中央線と言われる、対応する2つの隣接した接続部の中間の放射状の直線からオフセットされる。好ましくは、中央線は対応する2つの隣接した接続部の対称中心線(center line)である。すなわち、凹所442の中央及びロータ70の中央を通り抜ける直線L1は、図3に示すように、対応する2つの隣接した接続部46の対称中心線L2に対して傾いている。
【0022】
好ましくは、凹所442はモータの軸方向に沿ってステータコア40の内側環状部44の内側表面を貫通する。
【0023】
当然のことながら、凹所442は同様に、モータの軸方向に沿ってステータコアの内側環状部44の内側表面上に、間隔を空けて配置されうる。例えば、ステータコア40は、交互にモータの軸方向に積み重ねられた2種類のラミネーションによって作られ、凹所は1つの種類のラミネーション上に作られる。
【0024】
好ましくは、内側環状部44の内側表面は、ロータ70と同心である円に位置される。そのようにして、実質的に均一な空隙は、ステータとロータの間に、すなわち内側環状部44の内側表面とロータ70の外側表面の間に、作られる。
【0025】
好ましくは、磁気ブリッジ444は、隣接した接続部46間の内側環状部44の一部分に作られる。各磁気ブリッジ444は、内側環状部44の他方の部分の半径方向の幅より小さい半径方向の幅である一方の部分を少なくとも備える。好ましくは、各磁気ブリッジ444は、内側環状部44の外側表面内に作られる複数の溝446を備える。説明された実施形態では、各磁気ブリッジ444は、内側環状部44の外側表面内に作られる一対の溝446を備える。当然のことながら、溝446の数は図4に示すように1つであることができ、図5に示すように3つであることができ、又は設計上の要求次第で他の数であることができる。溝446は、図3及び図4に示すような円弧状又は図5に示すような角形のような様々な形状でありうる。
【0026】
当然のことながら、図6に示すように、磁気ブリッジ444は、内側環状部44内のアパーチャ/孔448によってもまた作られうる。
【0027】
同様に当然のことながら、各接続部46は、溶接することにより、又は例えば楔形の凹部にかみ合う楔形の突出部を有するインターロック(interlocking)構造などの様々な機械的接続方法により、外側環状部42に固定して取り付けられうる。
【0028】
巻き線50は、対応する接続部46の1つの周りに各々巻き付けられた複数のコイルを含む。そのようにして、コイルの数は、接続部46の数と同じである。コイルは、様々な接続方法で単相巻き線を作るように接続されうる。例えば、すべてのコイルは直列に接続されうるか、直列に接続された2つのコイルは直列に接続された他の2つのコイルと並列に接続されうるか、又はすべてのコイルは並列に接続されうる。
【0029】
同様に当然のことながら、図6に示すように、接続部46は、外側環状部42と一体的に作られ、内側環状部44に対して別々に作られうる。巻き線50のすべてのコイルが接続部46の周りにそれぞれ巻き付けられた後に、外側環状部42及びコイルが巻きつけられた接続部46は、内側環状部44に固定して連結される。
【0030】
同様に当然のことながら、図7に示すように、接続部46は外側環状部42及び内側環状部44の両方に対して別々に作られうる。巻き線50のすべてのコイルが接続部46の周りに巻き付けられた後に、接続部46は、外側環状部42及び内側環状部44に固定して連結される。
【0031】
ロータ70は、ロータコア72及びロータコア72の外側表面上に固定された少なくとも1つの永久磁石74を含む。当該少なくとも1つの永久磁石74は、円周上に間隔を空けた複数の永久磁極を作り、隣接した磁極は反対の極性を有する。好ましくは、当該少なくとも1つの永久磁石74によって作られる磁極の数は、ステータの接続部46の数と同じであり、ステータコアの内側環状部44の内側表面内に作られる凹部442の数と同じである。説明された実施形態では、ロータは4つの磁極を作る4つの磁石74を有する。当然のことながら、ロータは、2つ、6つ、又は8つの永久磁極のような、別の数の永久磁極を有しうる。
【0032】
モータが電源を投入されていないときは、ロータの隣接した磁極74の間の中立帯は、ステータの内側環状部44の凹所442とそれぞれ一直線になっている。すなわち、各ロータ磁極の中心線L4は、対応する隣接した2つの凹所442の対称中心線、すなわち隣接した凹所442の中間の放射状の直線、と一致する。したがって、各ロータ磁極の中心線L4は、ステータの接続部46(ステータ極部分とも呼ばれる)の隣接した1つの中心線L3からオフセットされる。中心線L4と中心線L3の間に作られるオフセット角は、起動角Qと呼ばれる。起動角Qの値は、放射状の直線L1及びL2の間に作られる角度の値と同じである。説明された実施形態では、起動角は電気角45度より大きく、電気角135度より小さい。モータのステータ巻き線50が一方向の電流で電圧を加えられるとき、ロータ70は一方向に容易に回転しうる。ステータ巻き線50が反対方向の電流で電圧を加えられるとき、ロータ70は反対方向に回転しうる。当然のことながら、起動角Qが電気角90度と同じであるとき、すなわち各ロータ磁極の中心線が隣接した接続部46の対称中心線と一致するとき、ロータ70は両方向に容易に起動しうる、そしてこのことはモータの両方向の起動を達成するために一番良い状況である。起動角Qは電気角90度からそれるので、一方向のロータの起動は反対方向よりも容易である。起動角Qが電気角60度から80度の範囲内にあるとき、ロータは非常に容易に一方向に起動することができる。起動角Qが電気角45度から135度の範囲内にあるとき、ロータは両方向に良い起動信頼性を有することが分かっている。
【0033】
上記の実施形態で説明された単相ブラシレスモータでは、実質的に均一な空隙が、凹所442及び隣接した永久磁極74の間の中立帯に対応する空隙の部分を除いて、ステータとロータの間に作られる。それゆえに、モータの起動に必要とされる起動角及びコギングトルクは実際の設計上の要求次第で容易に調整されうる。こうして、モータの信頼性のある起動を可能にする。例えば、モータ起動角は、内側環状部の内側表面内に作られる凹所442の位置を調整することによって、容易に調整されうる。起動角Qが電気角45度より大きく電気角135度より小さいとき、ロータは両方向に確実に起動しうる。モータ起動前のコギングトルクは、内側環状部内の凹所442の形状、大きさ、又は深さを調整することによって調整されうる。ステータコアの内側環状部44は連続的な構造であり、隣接した接続部の間の内側環状部の一部は磁気ブリッジによって相互に連結する。ここで磁気ブリッジは、従来型のモータにあるような隣接したステータ極部分の間に定められたスロット開口部による磁気抵抗の突然の変化を避け、それによってモータのコギングトルクを減少させる。ステータコアは一緒に組み立てられる別々の構造を含む。それゆえに、巻き線のコイルは、接続部及び外側環状部又は内側環状部の組み立てに先立って、ダブルフライ巻き線機(double fly winding machine)を使用して接続部に巻き付けられうる。こうして、巻き線過程の効率を高める。
【0034】
当然のことながら、巻き線効率が重要事項で無いならば、ステータコアは一体化した構造でありうる。すなわち、接続部は内側環状部及び外側環状部と一体的に作られうる。
【0035】
本出願の記載及び特許請求の範囲において、各動詞「備える」、「含む」、「収容する」、「有する」、及びそれらの派生語は、記載されたアイテムの存在を特定するために包括的な意味で使用され、追加的なアイテムの存在を排除するものではない。
【0036】
本発明は、1つ以上の好ましい実施形態を参照して説明されるが、当然のことながら、当業者であれば種々の変更が可能である。したがって、本発明の範囲は、請求項を参照して決定される。
【符号の説明】
【0037】
10 単相ブラシレスモータ
11 ステータ
12 ステータコア
13 巻き線
14 ヨーク
15 歯
16 スロット
17 スロット開口部
18 極片
19 ロータ
20 単相ブラシレスモータ
30 ステータ
40 ステータコア
42 外側環状部
44 内側環状部
46 接続部
70 ロータ
72 ロータコア
74 永久磁石
442 凹所
444 各磁気ブリッジ
446 溝
448 アパーチャ/孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8