【文献】
薄井 健介 他,薬剤師のためのドーピング防止データベースの構築,[online],医薬品情報学,一般社団法人 日本医薬品情報学会,2012年,Vol.13,No.4,第189〜193頁,[平成31年2月14日検索],インターネット<URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjdi/13/4/13_4_189/_pdf>
【文献】
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【文献】
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【文献】
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(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記サーバは、前記判定手段によって、前記禁止薬物検出要求における前記医薬品が前記禁止薬物に該当する物質と対応付けられていないと判定される場合以外において、前記医薬品データベースを検索し、当該医薬品と同様の効能を有する医薬品であって、禁止薬物でない医薬品を検索する医薬品検索手段を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の禁止薬物検出システム。
前記医薬品データベースは、前記医薬品を、当該医薬品の属性に基づいて、前記物質に対して固有に割り当てられたコードに対応させ、当該コードに対応する前記物質と対応付けられることによって構築されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の禁止薬物検出システム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
[禁止薬物検出システム1のシステム構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る禁止薬物検出システム1のシステム構成を示す図である。
図1に示すように、禁止薬物検出システム1は、端末装置10と、医薬品データベースサーバ(医薬品DBサーバ)20と、を含んで構成され、端末装置10と医薬品DBサーバ20とは、ネットワーク30によって通信可能に構成されている。
端末装置10は、スマートフォン、携帯電話機あるいはPC(Personal Computer)等の情報処理装置によって構成される。端末装置10は、一般用医薬品に関する禁止薬物の検出要求を受け付け、医薬品DBサーバ20に禁止薬物の検出要求を送信する。そして、端末装置10は、医薬品DBサーバ20から禁止薬物の検出結果を受信し、受信した検出結果を表示する。
ここで、禁止薬物とは、競技として行われるスポーツにおいて使用が禁止されている物質であり、具体的には、WADA(World Anti−Doping Agency)によって公表された禁止表に定義された物質である。
【0011】
医薬品DBサーバ20は、一般用医薬品の成分名(一般名)、一般用医薬品のラベルの画像、物質の分類名、物質名、効能、禁止薬物としての属性(以下、「禁止属性」と呼ぶ、)、物質名に固有のコード、禁止薬物を含む可能性を警告するための警告属性等が対応付けて格納された医薬品データベース(医薬品DB)を備えている。医薬品DBサーバ20は、端末装置10から禁止薬物の検出要求を受け付け、医薬品DBを検索する。そして、医薬品DBサーバ20は、検出結果を端末装置10に送信する。
ネットワーク30は、インターネットやVPN(Virtual Private Network)等の通信ネットワークによって構成され、端末装置10及び医薬品DBサーバ20によって送受信される情報を伝達する。
【0012】
[各装置の具体的構成]
次に、禁止薬物検出システム1における各装置の具体的構成について説明する。
図2は、禁止薬物検出システム1に含まれる各装置の具体的構成を示すブロック図である。
【0013】
[端末装置10の具体的構成]
図2に示すように、禁止薬物検出システム1において、端末装置10は、ハードウェア構成として、各種演算処理を行う制御部11と、各種情報を記憶する記憶部12と、タッチパネル等により実現される入力部13と、ディスプレイを含む表示部14と、ネットワークを介して他の装置との間で行う通信を制御する通信部15と、一般用医薬品のラベルの画像等を撮像する撮像部16とを備える。このような端末装置10は、各種プログラムが記憶部12にインストールされており、制御部11がこれらプログラムに従い動作することで、禁止薬物の検出要求機能を発揮する。
また、端末装置10は、このようなハードウェア構成において、後述する禁止薬物検出要求処理のためのプログラムが実行されることにより、制御部11に、検出要求受付部11aと、検出要求送信部11bと、検出結果受信部11cと、検出結果提示部11dとが実現される。
【0014】
検出要求受付部11aは、入力部13を介して入力される一般用医薬品に関する禁止薬物の検出要求を受け付ける。本実施形態においては、一般用医薬品に関する禁止薬物の検出要求として、一般用医薬品の成分名(一般名)またはラベルの画像と、スポーツの種目の指定とが含まれている。スポーツの種目の指定としては、陸上競技や競泳等の個別の種目の指定や、個別の種目の指定を含めないことによる全ての種目の指定等が可能である。
検出要求送信部11bは、検出要求受付部11aによって受け付けられた一般用医薬品に関する禁止薬物の検出要求を、ネットワーク30を介して医薬品DBサーバ20に送信する。
検出結果受信部11cは、一般用医薬品に関する禁止薬物の検出要求に応答して医薬品DBサーバ20から送信された検出結果を受信する。
検出結果提示部11dは、検出結果受信部11cによって受信された検出結果を表示する。
【0015】
[医薬品DBサーバ20の具体的構成]
図2に示すように、禁止薬物検出システム1において、医薬品DBサーバ20は、ハードウェア構成として、各種演算処理を行う制御部21と、各種情報を記憶する記憶部22と、キーボード等により実現される入力部23と、ディスプレイを含む表示部24と、ネットワークを介して他の装置との間で行う通信を制御する通信部25とを備える。このような医薬品DBサーバ20は、各種プログラムが記憶部22にインストールされており、制御部21がこれらプログラムに従い動作することで、禁止薬物の検出機能を発揮する。
また、医薬品DBサーバ20は、このようなハードウェア構成において、後述する禁止薬物検出処理のためのプログラムが実行されることにより、制御部21に、検出要求受信部21aと、データベース管理部21bと、類似医薬品検索部21cと、検出結果送信部21dとが実現される。また、医薬品DBサーバ20の記憶部22には、医薬品DB20Aが記憶されている。
【0016】
図3は、医薬品DBのデータ内容を示す模式図である。
図3に示すように、医薬品DBには、一般用医薬品の成分名(一般名)と、一般用医薬品のラベルの画像と、物質の分類名と、物質名に固有のコードと、物質名と、効能と、禁止属性と、禁止薬物を含む可能性を警告するための警告属性とが対応付けて記憶されている。本実施形態において、医薬品DBに格納されている物質名には、西洋医薬の物質名及び漢方薬の物質名が含まれている。
一般用医薬品の成分名(一般名)は、例えば総合感冒薬等の添付文書に記載されている各医薬品成分である。一般用医薬品の成分名(一般名)については、物質名としては同一のものに、異なる一般用医薬品の成分名が付されていることがあるため、このような場合、医薬品DBにおいては、複数の一般用医薬品の成分名が1つの物質名及び固有のコードに対応付けられる。例えば、「dl-メチルエフェドリン塩酸塩」は、メーカーによって異なる複数の名称(一般名)が付されているため、これらは全て、「メチルエフェドリン」という1つの物質名及びそのコードに対応付けられる。
【0017】
一般用医薬品のラベルの画像は、一般用医薬品の包装容器に付されているラベルの画像であり、一般用医薬品の成分名やロゴ等の画像が含まれている。
物質の分類名は、各物質の構造における上位の分類を表す名称である。例えば、物質名が、「メチルエフェドリン」、「塩酸エフェドリン」、「塩酸メチルエフェドリン」、「マオウ(麻黄)」等の物質については、物質の分類名として、「エフェドリン」と対応付けられている。物質の分類名は、同一または類似の効能を有する物質のカテゴリを表している。
物質名に固有のコードは、物質名を一意に識別可能な識別情報である。本実施形態において、物質名に固有のコードは、一般用医薬品の成分名及び物質名と対応付けられており、既存のコード体系または独自に設定したコード体系を利用することが可能である。
【0018】
物質名は、WADAによって公表された禁止表に定義されている禁止薬物の物質名である。ここで、物質名として、同一の物質が複数の呼称(物質名)を有する場合があるが、本実施形態においては、物質名はWADAによって公表された禁止表に定義されている禁止薬物の物質名を基準とし、実質的に同一の物質名は、基準となる物質名に集約して登録されている。例えば、総合感冒薬等に使用される「リン酸ジヒドロコデイン」は、「コデイン酸塩」とも呼ばれるため、この場合、禁止表に定義されている禁止薬物の物質名である「リン酸ジヒドロコデイン」を基準とし、その別称として「コデイン酸塩」が登録される。この場合、「リン酸ジヒドロコデイン」という物質名と、「コデイン酸塩」という物質名には、同一の固有のコードが付される。
効能は、各物質名の物質が有する医薬的効果である。例えば、「マオウ(麻黄)」、「塩酸エフェドリン」、「塩酸メチルエフェドリン」であれば、鎮咳作用、交感神経興奮作用等の医薬的効果が効能として登録されている。
【0019】
禁止属性は、禁止薬物としての各種属性を示し、使用が禁止されているスポーツの種目と、禁止されている使用形態(常時使用禁止、あるいは競技時の使用禁止等)とを含んでいる。例えば、「アルコール(エチルアルコール)」については、使用が禁止されている種目として、「アーチェリー」あるいは「空手」等が登録され、禁止されている使用形態として、「競技時の使用」が登録されている。
警告属性は、禁止薬物を含む可能性を警告するための情報であり、漢方薬等の成分が明確でない医薬品において、含有する可能性のある禁止薬物の物質名を含んでいる。例えば、一般用医薬品の成分名(一般名)が「海狗腎」という漢方薬は、オットセイの睾丸に由来するものであり、禁止薬物である「テストステロン(男性ホルモン)」を含有する可能性があるため、警告属性に、物質名「テストステロン(男性ホルモン)」が登録されている。
【0020】
図2に戻り、検出要求受信部21aは、端末装置10から送信された一般用医薬品に関する禁止薬物の検出要求を受信する。
データベース管理部21bは、一般用医薬品に関する禁止薬物の検出要求に基づいて、医薬品DB20Aを検索する。具体的には、データベース管理部21bは、検出要求受信部21aが受信した検出要求に含まれている一般用医薬品の成分名(一般名)またはラベルの画像と、スポーツの種目とをキーとして、医薬品DB20Aを検索する。そして、データベース管理部21bは、検出要求に含まれている一般用医薬品の成分名(一般名)またはラベルの画像が、検出要求に含まれているスポーツの種目と対応付けられて、禁止薬物として登録されている(即ち、禁止属性が設定されている)か否かを判定する。なお、検出要求に一般用医薬品のラベルの画像が含まれている場合、医薬品DB20Aに登録されている一般用医薬品のラベルの画像との類似度を判定することにより、禁止薬物として登録されているか否かの判定を行うことができる。禁止薬物として登録されていると判定した場合、データベース管理部21bは、検出要求が行われた一般用医薬品が使用禁止である旨の判定結果「NG」を出力する。このとき、データベース管理部21bは、禁止属性の内容を併せて出力する。一方、禁止薬物として登録されていない(即ち、禁止属性が設定されていない)と判定した場合、データベース管理部21bは、検出要求に含まれている一般用医薬品の成分名(一般名)またはラベルの画像に、警告属性が設定されているか否かを判定する。警告属性が設定されている場合、データベース管理部21bは、検出要求が行われた一般用医薬品が禁止薬物を含む可能性を有する旨の判定結果「警告」を出力する。このとき、データベース管理部21bは、警告属性の内容を併せて出力する。一方、警告属性が設定されていない場合、データベース管理部21bは、検出要求が行われた一般用医薬品が使用禁止でない旨の判定結果「OK」を出力する。
【0021】
類似医薬品検索部21cは、データベース管理部21bによって、検出要求が行われた一般用医薬品が使用禁止である(NG)または禁止薬物を含む可能性がある(警告)という判定結果が出力された場合に、効能をキーとして医薬品DB20Aを検索し、検出要求が行われた一般用医薬品と同様の効能を有する医薬品であって、禁止薬物でなく、禁止薬物を含む可能性もない一般用医薬品(以下、「類似医薬品」と呼ぶ。)を検索する。そして、類似医薬品検索部21cは、類似医薬品が検索された場合、検索された類似医薬品を検索結果として出力し、類似医薬品が検索されない場合、類似医薬品が存在しない旨を示す検索結果「類似医薬品なし」を出力する。このとき、類似医薬品検索部21cは、検索された類似医薬品の全てを検索結果として出力したり、薬局の在庫管理データベースと連携することにより、薬局に在庫がある類似医薬品に限定して検索結果として出力したりすることができる。なお、患者に処方された医薬品の履歴を管理する薬歴管理データベースと連携することにより、指定された患者が使用したことのある類似医薬品を選択して、検索結果として出力してもよい。
検出結果送信部21dは、データベース管理部21bによって出力された検出結果と、類似医薬品検索部21cによって出力された検索結果とを取得し、一般用医薬品に関する禁止薬物の検出要求に対する検出結果として、端末装置10に送信する。
【0022】
[動作]
次に、禁止薬物検出システム1の動作を説明する。
[端末装置10の処理]
図4は、端末装置10が実行する禁止薬物検出要求処理の流れを説明するフローチャートである。
禁止薬物検出要求処理は、入力部13を介して禁止薬物検出要求処理の実行が指示入力されることに対応して開始される。
禁止薬物検出要求処理が開始されると、ステップS1において、検出要求受付部11aは、入力部13を介して入力される一般用医薬品に関する禁止薬物の検出要求を受け付ける。このとき受け付けられる一般用医薬品に関する禁止薬物の検出要求には、一般用医薬品の成分名(一般名)またはラベルの画像と、スポーツの種目の指定とが含まれている。
【0023】
ステップS2において、検出要求送信部11bは、検出要求受付部11aによって受け付けられた一般用医薬品に関する禁止薬物の検出要求を、ネットワーク30を介して医薬品DBサーバ20に送信する。
ステップS3において、検出結果受信部11cは、一般用医薬品に関する禁止薬物の検出要求に応答して医薬品DBサーバ20から送信された検出結果を受信する。このとき受信される検出結果には、検出要求に含まれているスポーツの種目において、検出要求を行った一般用医薬品が禁止薬物として登録されているか否かを示す判定結果(OK、NGまたは警告)が含まれ、また、類似医薬品検索部21cによる検索が行われている場合、その検索結果が含まれている。
ステップS4において、検出結果提示部11dは、検出結果受信部11cによって受信された検出結果を表示する。即ち、検出結果提示部11dは、検出要求が行われた一般用医薬品が、所定のスポーツの種目において、禁止薬物に該当するか否か、あるいは、禁止薬物を含む可能性があるか否かを表示する。また、検出結果提示部11dは、検出要求が行われた一般用医薬品が、所定のスポーツの種目において、禁止薬物に該当する、または、禁止薬物を含む可能性があるという検出結果である場合、検出要求が行われた一般用医薬品を代替可能な類似医薬品を表示する。
ステップS4の後、禁止薬物検出要求処理は終了となる。
【0024】
[医薬品DBサーバ20の処理]
図5は、医薬品DBサーバ20が実行する禁止薬物検出処理の流れを説明するフローチャートである。
禁止薬物検出処理は、入力部23を介して禁止薬物検出処理の実行が指示入力されることに対応して開始される。
ステップS11において、検出要求受信部21aは、端末装置10から送信された一般用医薬品に関する禁止薬物の検出要求を受信する。このとき受信される一般用医薬品に関する禁止薬物の検出要求には、一般用医薬品の成分名(一般名)またはラベルの画像と、スポーツの種目の指定とが含まれている。
ステップS12において、データベース管理部21bは、一般用医薬品に関する禁止薬物の検出要求に基づいて、医薬品DB20Aを検索する。即ち、データベース管理部21bは、検出要求受信部21aが受信した検出要求に含まれている一般用医薬品の成分名(一般名)またはラベルの画像と、スポーツの種目とをキーとして、医薬品DB20Aを検索する。
【0025】
ステップS13において、データベース管理部21bは、検出要求に含まれている一般用医薬品の成分名(一般名)またはラベルの画像が、検出要求に含まれているスポーツの種目と対応付けられて、禁止薬物として登録されている(即ち、禁止属性が設定されている)か否かの判定を行う。
検出要求に含まれている一般用医薬品の成分名(一般名)またはラベルの画像が、検出要求に含まれているスポーツの種目と対応付けられて、禁止薬物として登録されていない場合、ステップS13においてNOと判定されて、処理はステップS15に移行する。
一方、検出要求に含まれている一般用医薬品の成分名(一般名)またはラベルの画像が、検出要求に含まれているスポーツの種目と対応付けられて、禁止薬物として登録されている場合、ステップS13においてYESと判定されて、処理はステップS14に移行する。
【0026】
ステップS14において、類似医薬品検索部21cは、効能をキーとして医薬品DB20Aを検索し、検出要求が行われた一般用医薬品と同様の効能を有する医薬品であって、禁止薬物でなく、禁止薬物を含む可能性もない一般用医薬品(類似医薬品)を検索する。
ステップS15において、検出結果送信部21dは、データベース管理部21bによって出力された検出結果と、類似医薬品検索部21cによって出力された検索結果とを取得し、一般用医薬品に関する禁止薬物の検出要求に対する検出結果として、端末装置10に送信する。
ステップS15の後、禁止薬物検出処理が繰り返される。
【0027】
このような処理により、一般用医薬品の成分名(一般名)またはラベルの画像を基に、その一般用医薬品に禁止薬物が含まれているか否かを検出することができるため、一般用医薬品に禁止薬物が含まれているか否かをより容易に確認することが可能となる。
また、種々の一般用医薬品の成分名で呼称される物質(禁止薬物)を一意に同定して、禁止薬物の検出を行うことができるため、より適確に、一般用医薬品に禁止薬物が含まれているか否かを確認することができる。
また、同一の物質が複数の呼称(物質名)を有する場合であっても、基準となる物質名に集約して検索を行うことができるため、より適確に、一般用医薬品に禁止薬物が含まれているか否かを確認することができる。
【0028】
また、一般用医薬品が使用禁止でない場合であっても、一般用医薬品が禁止薬物を含む可能性を有する場合には、警告が出力されるため、より確実に、禁止薬物の使用を抑制することができる。
また、一般用医薬品が使用禁止である場合、あるいは、一般用医薬品の使用に警告が出力された場合に、その一般用医薬品と同様の効能を有する医薬品であって、禁止薬物でなく、禁止薬物を含む可能性もない一般用医薬品(類似医薬品)を提示することができる。そのため、禁止薬物の使用に該当する可能性がより低い一般用医薬品を選択して、より適確に一般用医薬品を使用することができる。
【0029】
[変形例1]
上述の実施形態において、医薬品DB20Aを生成または更新する際に、物質に固有のコードを媒介することによって、医薬品DB20Aに効率的にデータを登録することができる。
具体的には、一般用医薬品の成分名(一般名)またはラベルの画像を登録する際に、医薬品の属性に対応して特定の規則の下で設定されるコードを付与する。一方、一般用医薬品に対応付けられる物質名(即ち、禁止薬物として登録される物質)に対しても、同様にコードを付与する。すると、同一のコードに対応する一意の物質名を、登録される一般用医薬品に対応付けることができる。このとき、同一の物質が複数の呼称(物質名)を有する場合には、基準となる物質名に予め集約しておくことができる。なお、このとき用いるコードとしては、既存のコード体系を利用することや、独自に設定したコード体系を利用することのいずれも可能である。
【0030】
例えば、所定桁数のコードにおいて、「作用部位」、「薬効・目的」、「用途」、「成分」の属性それぞれ示す桁を設定しておき、一般用医薬品が該当する「作用部位」、「薬効・目的」、「用途」、「成分」のコードをそれぞれ選択することにより、その一般用医薬品の属性に対応するコードを生成できる。そして、生成されたコードに対応する物質を選択することで、一般用医薬品を物質に対応付けることができる。
これにより、一般用医薬品とコードとの変換と、物質とコードとの変換という簡単な処理を行い、これらの結果をコードを媒介して統合することにより、医薬品DB20Aに効率的にデータを登録することができる。
なお、このような処理を医薬品DBサーバ20において実行することにより、医薬品DB20Aを新たに生成したり、医薬品DB20Aを随時更新したりすることができる。
【0031】
図6は、医薬品DB20Aを生成・更新するためのデータ登録処理の流れを説明するフローチャートである。
データ登録処理は、
図2の制御部21におけるデータベース管理部21bによって実行され、入力部23を介してデータ登録処理の実行が指示入力されることに対応して開始される。
ステップS21において、データベース管理部21bは、登録対象となる一般用医薬品の成分名(一般名)が入力されたか否かの判定を行う。
登録対象となる一般用医薬品の成分名(一般名)が入力された場合、ステップS21においてYESと判定されて、処理はステップS22に移行する。
一方、登録対象となる一般用医薬品の成分名(一般名)が入力されていない場合、ステップS21においてNOと判定されて、処理はステップS23に移行する。
【0032】
ステップS22において、データベース管理部21bは、登録対象となる一般用医薬品の「作用部位」、「薬効・目的」、「用途」、「成分」の属性それぞれのコードを設定し、登録対象となる一般用医薬品のコードを生成する。このとき、登録対象となる一般用医薬品の「作用部位」、「薬効・目的」、「用途」、「成分」の属性それぞれのコードは、一般用医薬品の添付書類のデータベースを参照することによって自動的に設定したり、薬剤師等のユーザによる登録を受け付けることで設定したりすることのいずれも可能である。
ステップS23において、データベース管理部21bは、登録対象となる物質名が入力されたか否かの判定を行う。
【0033】
登録対象となる物質名が入力された場合、ステップS23においてYESと判定されて、処理はステップS24に移行する。
一方、登録対象となる物質名が入力されていない場合、ステップS23においてNOと判定されて、データ登録処理は終了となる。
ステップS24において、データベース管理部21bは、登録対象となる物質のコードを設定する。このとき、登録対象となる物質のコードは、物質名とコードとを対応付ける予め用意されたデータベースを参照することによって自動的に設定することができる。なお、登録対象となる物質のコードを生成する場合、一般用医薬品と同様に、「作用部位」、「薬効・目的」、「用途」、「成分」の属性それぞれのコードをデータベースを参照して、または薬剤師等のユーザによる登録を受け付けて設定することとしてもよい。
ステップS24の後、データ登録処理は終了となる。
【0034】
[変形例2]
上述の実施形態において、禁止薬物検出システム1を端末装置10及び医薬品DBサーバ20を含んで構成するものとしたが、これに限られない。例えば、禁止薬物検出システム1の機能を単体の装置において実現することも可能である。
図7は、禁止薬物検出システム1を単体の端末装置によって構成する場合の構成を示す模式図である。
図7においては、
図2に示す医薬品DBサーバ20の主要な機能的構成を端末装置10に備えることにより、端末装置10単体で禁止薬物検出システム1の機能を実現している。
【0035】
具体的には、端末装置10は、
図2における各機能的構成のうち、検出要求受付部11aと、データベース管理部21bと、類似医薬品検索部21cと、検出結果提示部11dと、医薬品DB20Aとを備えている。
図7に示す構成とした場合、単体の装置によって禁止薬物の検出を行うことができるため、ネットワークを使用することなく、一般用医薬品が禁止薬物を含むか否かを簡単に確認することができる。
【0036】
以上のように構成される禁止薬物検出システム1は、端末装置10と、医薬品DBサーバ20とを備える。端末装置10は、検出要求送信部11bと、検出結果受信部11cと、検出結果提示部11dとを備える。医薬品DBサーバ20は、検出要求受信部21aと、医薬品DB20Aと、データベース管理部21bと、検出結果送信部21dとを備える。
端末装置10において、検出要求送信部11bは、一般用医薬品を示す情報を含む禁止薬物検出要求をサーバに送信する。
検出結果受信部11cは、禁止薬物検出要求に応答して医薬品DBサーバ20から送信された検出結果を受信する。
検出結果提示部11dは、検出結果受信部11cによって受信された検出結果を出力する。
医薬品DBサーバ20において、検出要求受信部21aは、端末装置10から禁止薬物検出要求を受信する。
医薬品DB20Aは、複数の一般用医薬品を示す情報と、当該一般用医薬品に含まれる禁止薬物に該当する物質とを対応付けて記憶している。
データベース管理部21bは、検出要求受信部21aによって受信された禁止薬物検出要求に含まれる一般用医薬品を示す情報に基づいて、医薬品DB20Aを検索し、当該一般用医薬品が禁止薬物に該当する物質と対応付けられているか否かの判定を行う。
検出結果送信部21dは、データベース管理部21bの判定結果に基づいて、禁止薬物検出要求に含まれる一般用医薬品に関する禁止薬物の検出結果を端末装置10に送信する。
これにより、一般用医薬品を示す情報(一般用医薬品の成分名(一般名)またはラベルの画像等)を基に、その一般用医薬品に禁止薬物が含まれているか否かを検出することができる。
したがって、医薬品に禁止薬物が含まれているか否かをより容易に確認することが可能となる。
【0037】
また、医薬品DB20Aには、同一の物質を表す複数の一般用医薬品の成分名と、当該同一の物質とが対応付けて記憶されている。
これにより、種々の一般用医薬品の成分名で呼称される物質(禁止薬物)を一意に同定して、禁止薬物の検出を行うことができるため、より適確に、一般用医薬品に禁止薬物が含まれているか否かを確認することができる。
【0038】
また、医薬品DB20Aには、同一の物質を表す複数の名称と、当該同一の物質とが対応付けて記憶されている。
これにより、同一の物質が複数の呼称(物質名)を有する場合であっても、より適確に、一般用医薬品に禁止薬物が含まれているか否かを確認することができる。
【0039】
また、医薬品DB20Aには、使用が禁止されるスポーツの種目と、物質とが対応付けて記憶されている。
禁止薬物検出要求には、スポーツの種目が含まれる。
データベース管理部21bは、禁止薬物検出要求に含まれる一般用医薬品を示す情報及びスポーツの種目に基づいて、医薬品DB20Aを検索し、当該スポーツの種目において、当該一般用医薬品が禁止薬物に該当する物質と対応付けられているか否かの判定を行う。
これにより、スポーツの種目毎に異なる禁止薬物の規定に応じて、より適切に一般用医薬品に禁止薬物が含まれているか否かを確認することが可能となる。
【0040】
また、医薬品DB20Aには、禁止薬物を含有する可能性と、物質とが対応付けて記憶されている。
また、データベース管理部21bは、禁止薬物検出要求に含まれる一般用医薬品を示す情報に基づいて、医薬品DB20Aを検索し、禁止薬物検出要求における一般用医薬品が禁止薬物に該当する物質と対応付けられているか否か、及び、禁止薬物検出要求に含まれる一般用医薬品が禁止薬物を含有する可能性と対応付けられているか否かの判定を行う。
これにより、一般用医薬品が使用禁止でない場合であっても、一般用医薬品が禁止薬物を含む可能性を有する場合には、警告が出力されるため、より確実に、禁止薬物の使用を抑制することができる。
【0041】
また、医薬品DBサーバ20は、類似医薬品検索部21cを備える。
類似医薬品検索部21cは、データベース管理部21bによって、禁止薬物検出要求における一般用医薬品が禁止薬物に該当する物質と対応付けられていないと判定される場合以外において、医薬品DB20Aを検索し、当該一般用医薬品と同様の効能を有する医薬品であって、禁止薬物でない一般用医薬品を検索する医薬品検索手段を備える。
これにより、一般用医薬品が使用禁止である場合に、その一般用医薬品と同様の効能を有する医薬品であって、禁止薬物でない一般用医薬品(類似医薬品)を提示することができる。そのため、禁止薬物でないものを選択して、より適確に一般用医薬品を使用することができる。
【0042】
また、医薬品DB20Aは、一般用医薬品を、当該一般用医薬品の属性に基づいて、物質に対して固有に割り当てられたコードに対応させ、当該コードに対応する物質と対応付けられることによって構築される。
これにより、一般用医薬品とコードとの変換と、物質とコードとの変換という簡単な処理を行い、これらの結果をコードを媒介して統合することにより、医薬品DB20Aに効率的にデータを登録することができる。
【0043】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、医薬品DB20Aにおいて、一般用医薬品の成分名(一般名)として、医薬品と共通する成分を含む種々の物質の名称を登録することができる。例えば、食材、飲料あるいはサプリメント等の物質の名称を一般名として登録することができる。
これにより、医薬品に加え、医薬品に類する食材、飲料あるいはサプリメント等、広範な対象について、禁止薬物が含まれているか否かを容易に確認できる。
【0044】
また、上述の実施形態において、一般用医薬品に関する禁止薬物の検出要求に一般用医薬品の成分名(一般名)を直接指定することとして説明したが、これに限られない。例えば、一般用医薬品に関する禁止薬物の検出要求に一般用医薬品の商品名を指定することができる。そして、一般用医薬品の添付文書を蓄積する添付文書データベース等を参照して、その商品名の医薬品に含まれる成分を検索することにより、一般用医薬品に関する禁止薬物の検出要求において、その商品が含む1または複数の成分名を指定することができる。
これにより、選手が服用しようとする商品にいずれかの禁止薬物が含まれているか否かを簡単に確認できる。
【0045】
また、上述の実施形態において、データベース管理部21bは、検出要求に一般用医薬品のラベルの画像が含まれている場合、医薬品DB20Aに登録されている一般用医薬品のラベルの画像との類似度を判定することにより、禁止薬物として登録されているか否かの判定を行うこととしたが、これに限られない。例えば、一般用医薬品のラベルの画像に対して文字認識を実行し、商品名や成分のテキストを抽出して、医薬品DB20Aを検索することとしてもよい。
これにより、一般用医薬品のラベルを撮像した画像から、簡単に一般用医薬品の商品名あるいは成分名を抽出して、禁止薬物が含まれているか否かを検出することができる。
【0046】
また、上述の実施形態では、一般用医薬品に本発明を適用する場合を例に挙げて説明したが、医療用医薬品についても、同様に医薬品DBを構築することで、本発明を適用することが可能である。この場合、効能がより強い医療用医薬品について、当該医薬品に禁止薬物が含まれているか否かを容易に確認することができる。
また、上述の各実施形態及び変形例を適宜組み合わせて、禁止薬物検出システム1を構成することが可能である。
【0047】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が禁止薬物検出システム1を構成するいずれかのコンピュータに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に示した例に限定されない。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0048】
また、上述した一連の処理を実行するためのプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布されるリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。
【0049】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限るものではない。また、本実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施形態に記載されたものに限定されるものではない。