【実施例1】
【0013】
本発明の
水車装置のプロペラロータ1は、
図1に示すように、ハブ2の後部周面に、放射方向へ向けてブレード取付部3が複数(図では5個)形成されている。
ブレード取付部3は、ブレード5を取付けてぐらつきがなく、ネジ留めできる程度の高さに突出させてあり、突端には
図2に示すように、揚力型ブレード5(以下単にブレードという)の基端部の取付部5Bを嵌装可能な嵌装孔4が、求心方向へ向かって深く、かつ軸心方向へ直交状に形成されている。
【0014】
ブレード5は、
図3に示すように、最大弦長部5Aは、回転半径の50%前後の長いものとしてあり、受水面積が大きく設定されている。
ブレード5の翼端部は、前記ブレード取付部3の嵌装孔4に嵌合可能のように、基端面から嵌装孔4の深さの長さの範囲内で、周囲を切り欠いて取付部5Bが形成されている。取付部5Bには、ブレード取付部3のネジ孔と合う位置に、ネジ孔5Gが形成されている。
【0015】
ブレード5は、取付部5Bを共通として、受水面積の異なった複種類を用意しておく。これによって、発電機とハブ2が単1であっても、嵌装孔4には、どの大きさのブレード5でも嵌合することができる。嵌装孔4にブレード5の取付部5Bを嵌合させた後にネジ3Aで固定する。
【0016】
水車を設置する水路が決まったら、その水路の流速でどのくらいの発電ができるかが判るので、必要な秒間の受水量から逆算して、流速が遅い場合には、受水面積の大きなブレード5を選択し、流速が早い場合には、受水面積の小さなブレード5を選択して、ハブ2に装着することによって、単1の発電機の単1のハブ2の水力発電装置を、条件の異なる水路に汎用することができる。
【0017】
ブレード5は、
図5に示すように、前面5Dが、回転方向線Tに対して後縁5Tが、後面方向へ6〜12度傾斜している。また最大弦長部5Aを起点として、上流方向へ傾斜する傾斜部5Cとされている。
ブレード5の前縁5Eにおける最大厚さは、翼根部分で弦長の25〜30%としてあり、コアンダ効果が大きく回転力として作用する。
【0018】
ハブ2のブレード取付部3は、嵌装孔4を示してあるが、平面コ字状とし、凹部にブレード5の取付部5Bを嵌合させるようにしてもよく、形式は限定されない。ブレード5には、回転力と遠心力がかかるので、グラツキがないように固定する。
【0019】
図6は、水車にロータ1を取付けた状態を示す側面図である。水車装置6は、柱体8と横枠体9A、9Bとで立方体に組まれた支持枠体7の上横枠体9Aに、軸筒10を介して水車筐体11が水平に吊設されている。
【0020】
下横枠体9Bには底板12が張設され、その先端部は前方へ突出して、水路底Gに接地するように傾斜されて、導水板13とされている。底板12と水車筐体11の底面との間は可及的に狭くされる。導水板13から底層流が底板12の上に導かれ、上層流と混合して圧力を高めて通過し、後部のロータ1を効率良く回転させる。
【0021】
水車筐体11内には、前後にロータ軸14、15が横架され、前部のロータ軸14の先端は、水車筐体11から突出されてロータ1が固定されている。後部のロータ軸15の後端は、水車筐体11から突出されてロータ1が固定されている。両ロータ軸14、15の内側端部には、伝動ギア14A、15Aが固定され、それぞれ伝動軸16、17の下端部における伝動ギア16A、17Aと連係されている。
【0022】
前記軸筒10は平面視で前後に長く、かつ前部の左右厚みは厚く、後部へ次第に薄く形成されている。内部にはロータ1の回転力を、出力軸18へ伝える伝動軸16、17が垂直に支持されている。各伝動軸16、17の上部には、出力軸18の伝動ギア18Aと噛合する伝動ギア16B、17Bが固定されている。
【0023】
軸筒10の上部には、軸受部10Aが支持板10Bに支持されて、軸受部10A内に出力軸18が支持されている。必要に応じて、軸受部10Aは上部に、図示しない補助軸受を継ぎ足すことができる。
【0024】
これによって、水流によってロータ1が回転すると、その回転力は両伝動軸16、17によって出力軸18に伝えられ、出力軸18は、前後のロータ1のトルクを同時に受けるので、図示しない発電機を効率良く回転させることができる。
【0025】
図6において、水車筐体11の上部に、水車筐体11の高さ以内の間隔をおいて、調整板19が水平に支持枠体7に張設されている。
図6において、水車筐体11の上に沿って流下する水流は、軸筒10の前面に当って上方へ移動するので、調整板19が張設されていると、上方への盛りあがりが抑制され、加圧され、高速となって流下して、後部のロータ1を効率良く回転させる。
【0026】
さて、前後のロータ1は、ブレード5の向きは上流方向へ向いている。しかし前後のハブ2、2はそれぞれ反対方向を向いている。すなわち、ハブ2にブレード5が作り付けのものでは、使用することが出来ない。
【0027】
図1、2におけるロータ1では、ハブ2は、それぞれ逆向きに取り付けられている。これに対して、前後のブレード5は、それぞれ前後面を逆にして取付けることになる。
【0028】
その点、ハブ2におけるブレード取付部3の嵌装孔4は、回転方向に対して長く形成されているので、ブレード5の取付部5Bは、前後面を反転させても、これに容易に取付けることができる。