(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1測光値と第2測光値を検出する手段は、前記各光源の光が投射される光透過拡散板と、前記各光源の光が投射される複数の領域にそれぞれ配設され、前記光透過拡散板を透過された第1波長領域と第2波長領域の各光を受光する光センサ対とを備える請求項1に記載の色度検査装置。
前記第1測光値と第2測光値を検出する手段は、前記各光源の光が投射される光透過拡散板と、当該光透過拡散板を透過された前記各光源の複数の領域の光を一括して撮像するカラー撮像素子を有する撮像装置を備える請求項1に記載の色度検査装置。
前記相対値演算手段は、前記各光源の色度値の最大値と最小値の差を演算する手段であり、前記判定手段は前記差が所定値以下のときに色度が適正であると判定する手段を備える請求項1ないし3のいずれかに記載の色度検査装置。
前記相対値演算手段は前記各光源の色度値の平均値を演算し、さらに当該平均値に対する各色度値の相対値を演算する手段であり、前記判定手段は前記各光源の各相対値が所定の第1範囲内に存在し、かつ前記平均値が所定の第2範囲内に存在するときに色度が適正であると判定する手段を備える請求項1ないし3のいずれかに記載の色度検査装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明の色度検査装置の検査対象となる発光装置としての自動車のフォグランプFLを示しており、
図1(a)は当該フォグランプFLの概略斜視構成図、
図1(b)はその縦断面図である。後述するように、この実施形態では、当該フォグランプFLの発光面における色度ばらつき、すなわち色むらを検査する検査装置として構成している。
【0016】
前記フォグランプFLは光源として4個の発光素子、ここでは4個の発光ダイオード(以下、LED)1a〜1dを備えている。各LED1a〜1dはそれぞれ所要の基板2a〜2dに搭載されており、当該基板2a〜2dを介して給電されて発光するLEDモジュール3a〜3dとして構成されている。これらのLEDモジュール3a〜3dは前記フォグランプFLのランプボディ4内に配設されたベース板5に固定支持されている。このベース板5はランプボディ4内の上下方向のほぼ中央位置において左右方向に延在された状態で固定支持されており、4つのLEDモジュール3a〜3dは当該ベース板5の上下の各面にそれぞれ2つずつ、左右方向に所要の間隔をおいた位置に固定支持されている。
【0017】
前記ランプボディ4の内面はリフレクタ面41として構成されており、前記4つのLED1a〜1dが発光されたときには、各LED1a〜1dから出射される光はそれぞれ前記リフレクタ面41で反射され、ランプハボディ4の前面開口に配設された透光性のある前面レンズ6を透過して前方領域に照射されることになる。
【0018】
このフォグランプFLでは、点灯時にフォグランプFLを正面方向、すなわち前方から視認したときには、
図1(c)に示すように、前記4つのLED1a〜1dから出射された光がそれぞれリフレクタ面41で反射され、前面レンズ6を透過して前方に照射される際には、前面レンズ6を上下左右に区画した4つの発光領域Aa〜Adが観察されることになる。したがって、フォグランプFLの全体としての発光面はこれら4つの発光領域Aa〜Adで構成されることになる。
【0019】
前記LEDモジュール3a〜3dに用いられているLED1a〜1dは、いわゆる疑似白色型のLEDで構成されている。この疑似白色型のLEDは、
図2(a)にLED1としてその概略断面構造を示すように、矩形凹皿状をしたパッケージケース11内に青色光を発光する青色LEDチップ12が搭載されるとともに、当該青色光で励起されて黄色光を発光する黄色蛍光体13を、前記青色LEDチップ12を覆うように前記パッケージケース11に配設した構成である。この疑似白色LEDの分光分布は、
図2(b)に示すように、青色LEDチップ12から出射されたほぼ波長450nmをピークとする青色光と、黄色蛍光体13で発生されたほぼ波長550nmを緩やかなピークとする黄色光が光混合された分光特性となる。
【0020】
この構成のLED1では、青色LEDチップ12から出射された青色光が黄色蛍光体13を透過して出射される際の光度と、黄色蛍光体13によって発生される黄色光の光度との相対関係により、当該LED1が発光した光の色度が決定されることになる。すなわち、
図2(b)における、第1波長領域(青色光波長領域:以下、B波長領域)の光度LBと、第2波長領域(緑色光波長領域:以下、G波長領域)の光度LGと、第3波長領域(赤色光波長領域:以下、R波長領域)の光度LRによって色度が決定される。したがって、これらの光度が相違されると、色度も相違されることになる。
【0021】
これら第1ないし第3波長領域の光度の相違により各LED1の色度が相違されると、前記フォグランプFLの4つのLED1a〜1dの色度にばらつきが生じ、4つの発光領域Aa〜Adの色度にばらつきが生じることになる。この色度のばらつきが肉眼で区別できない程度の違いであれば、前記4つの発光領域Aa〜Adにおける色度の違いによる色むらは観察されることがない。一方、4つのLED1a〜1dのうち、1つ又は2つのLEDの色度が他のLEDの色度と肉眼で観察できる程度に相違していると、4つの発光領域Aa〜Adの1つ又は2つの発光領域において色むらが観察されることになる。この色むらが観察されたときには、当該フォグランプFLの色度は適切でないと判定されることになる。
【0022】
本発明者の検討によれば、この種のLEDにおいては、3つの異なる色度形態のLEDとして区分けできることが判明した。すなわち、基準となる白色の色度で発光するLED(W−LED)と、青味がかった青系白色の色度で発光するLED(B−LED)と、黄味がかった黄緑系白色の色度で発光するLED(G−LED)である。
【0023】
図3(a)は、これら3つの色度のLEDの分光特性図である。これらのLEDについて、B波長領域での光度LB(LBw,LBb,LBg)、G波長領域での光度LG(LGw,LGb,LGg)、R波長領域での光度LR(LRw,LRb,LRg)を測定した。その上で、測定した各光度と各LEDの色度とを比較したところ、次のことが判明した。すなわち、各LEDにおいては、B波長領域の光度LBと、G波長領域の光度LGにおいて違いが生じている。その一方で、R波長領域の光度LRは各LEDにおいて大きな差は存在していない。
【0024】
このことから、本発明者はB波長領域とG波長領域の光度LB,LGを測定することで、各LEDにおける色度の違いを検査することが可能であることに想到した。特に、これらB波長領域とG波長領域の光度LB,LGの光度比が色度に相関を有していることを突き止め、これから光度比をそのまま色度値CVとして用いることが可能であることに想到した。この色度値(光度比)は、演算式CV=LB/LGで演算される。
【0025】
図3(a)に示した3種のLED、すなわちW−LED,B−LED,G−LEDについて前記した演算式で色度値CVを演算し、これを縦軸を色度とした座標にプロットすると、
図3(b)のようになる。色度値CVが所定の値のときに基準白色の色度であり、色度値CVがこれよりも大きくなると青味がかった青系の色度となり、反対に色度値CVが小さくなると黄味がかった黄緑系の色度となる。
【0026】
図4はこのような見解に基づいて構成した実施形態の色度検査装置CTのブロック構成図である。測光部110は検査対象としてのフォグランプFLから出射される光を測光するためのものであり、フォグランプFLの前に配置される乳白色の光透過拡散板110の前面側、すなわち前記フォグランプFLと反対側において、前記フォグランプFLの4つの発光領域Aa〜Adに対向するように配置される。この測光部110は4つの光センサ対112a〜112dを有しており、これら4つの光センサ対112a〜112dは、それぞれ第1波長領域としてのB波長領域の光を測光するBセンサSBと、第2波長領域としてのG波長領域の光を測光するGセンサSGで構成されている。前記BセンサSBは受光したB波長領域の光を光電変換して第1測光値(B測光値)LBを出力し、GセンサSGは受光したG波長領域の光を光電変換して第2測光値(G測光値)LGを出力する。
【0027】
また、前記色度検査装置CTは、測定されたB測光値LBとG測光値LGについて演算を行うための演算部100を有している。この演算部100は、B測光値LBとG測光値LGの相対比を演算してこれを色度値として算出する4つの色度値演算部101a〜101dと、これらの色度値演算部101a〜101dで得られた色度値の平均値を演算する平均値演算部102と、前記色度値演算部101a〜101dで得られた各色度値の相対差を相対値として演算する相対値演算部103で構成される。
【0028】
さらに、前記色度検査装置CTは、前記演算部100で演算された平均値や相対値に基づいて検査対象のフォグランプFLにおける色度の適否、すなわち色度のばらつきを判定するための判定部120を備えている。この判定部120は、詳細を後述するように、前記相対値が所定の基準値範囲内に存在しているか否かを判定する相対値判定部121と、前記平均値が所定の基準平均値範囲内に存在しているか否かを判定する平均値判定部122を備えている。
【0029】
この構成の色度検査装置CTを用いた色度検査方法について説明する。
図4に図示したように、検査対象としてのフォグランプFLを点灯し、その前側に所要寸法離して光透過拡散板111を配置する。そして、この光拡散板111の前面側、すなわちフォグンプFLの反対側において、当該フォグランプFLから出射された光が拡散状態で透過されることによって照明された光拡散板111の照明領域、すなわちフォグランプFLの4つの発光領域Aa〜Adにそれぞれ対応する4つの照明領域(以下これらの照明領域についても発光領域Aa〜Adと称する)をそれぞれ4つの光センサ対112a〜112dで測光する。
【0030】
各光センサ対112a〜112dのBセンサSBとGセンサSGで測光されたB測光値LBとG測光値LGは、それぞれ色度値演算部101a〜101dにおいて両測光値LB,LGの光度比が演算される。これは
図3(b)に示した通りであり、各色度演算部101a〜101dは、BセンサSBのB測光値をLB、GセンサSGのG測光値をLGについて、CV=LB/LGの演算を行なう。これを4つの発光領域Aa〜Adについて行い、それぞれの色度値CVa〜CVdを得る。
【0031】
これら4つの色度値CVa〜CVdを、
図5A(a)に示す色度チャートにプロットする。この色度チャートは、
図3(b)と同様に縦軸が色度値(相対比)であり、上側の色度値が大きくなると青味がかった青系の白色であり、色度値が小さくなると黄味がかった黄緑系の白色である。4つの色度値CVa〜CVdの値が異なるときには、各色度値のプロット位置は上下方向の座標位置が相違することになり、かつこの上下方向の座標位置が各発光領域Aa〜Adでの色度の違いを表すことになる。
【0032】
そして、本発明における第1の検査として、相対値演算部103においては、演算された色度値の最大値と最小値を検出し、両者の差を演算する。
図5A(a)においては、色度値CVbが最大値であり、色度値CVcが最小値である。これら色度値の差DxはCVb−CVcとなる。
【0033】
しかる上で、判定部120においては、相対値判定部121が前記色度差Dxを基準値Drと比較する。差Dxが基準値Dr以下であれば、4つの光源の色度値CVa〜CVdは全て基準値Drの範囲内にあるので、色度のばらつきによる色むらが生じていないと判定される。他方、差Dxが基準値Drよりも大きいときには、4つの光源の色度値CVa〜CVdのいずれかは基準値Drの範囲外にあるので、色度のばらつきによる色むらが生じていると判定される。
【0034】
例えば、
図5A(b)の場合には、色度値CVdが最大値で、色度値CVcが最小値であり、両者の差Dxは基準値Dr以下であるので色むらは生じていないと判定される。
図5A(c)の場合には、同様に色度値CVdが最大値で、色度値CVcが最小値であるが、両者の差Dxは基準値Drよりも大きいので色むらは生じていると判定される。
【0035】
この検査方法では、演算部100では演算された色度値CVa〜CVdに対して相対値演算部103での演算を行なうのみで良く、また判定部120では相対値判定部121での判定を行なうのみで良いので迅速な検査が実現できる。
【0036】
この第1の検査方法では、4つの色度値CVa〜CVdに偏りが生じている場合、例えば3つの色度値が青系に偏り、1つの色度値が黄緑系に偏っていたような場合には、当該黄緑系の光源が青系の光源に対して目立つようになり、色むらであると感じさせることもある。
【0037】
そこで、本発明においてはより信頼性の高い第2の検査を実行することが可能とされている。
図5B(a)に示すように、演算された4つの色度値CVa〜CVdを、色度チャートにプロットする。この色度チャートは、
図5A(a)と同じである。
【0038】
次いで、この第2の検査では、平均値演算部102において各色度値CVa〜CVdの平均値Mを演算する。この平均値Mは4つの発光領域Aa〜Adの色度の平均が青系白色と黄緑系白色の間のいずれの位置に存在するかを示すことになる。さらに、相対値演算部103において、この平均値Mに対する4つの色度値CVa〜CVdのそれぞれの相対値Da〜Ddを演算する。この相対値Da〜Ddは平均値Mと各色度値CVa〜CVdとの差をとり、各色度値が平均値Mに対してどの程度だけ青系側にあるか、黄緑系側にあるかを示すことになる。
【0039】
しかる上で、判定部120においては、相対値判定部121が、これら4つの相対値Da〜Ddが所定の基準相対値範囲REF1の上限と下限の間に存在しているか否かを判定する。この基準相対値範囲REF1は、予め予備実験を行った多数の計測結果に基づいて帰納的に設定した値であり、平均値Mに対して青色系と黄緑系のそれぞれの方向に色度が相違したときでも肉眼で色度の違いが確認できない上限と下限の範囲を示している。この基準相対値範囲REF1は本発明における第1範囲となる。なお、この上限と下限は必ずしも平均値Mに対して上下にそれぞれ等しい範囲の値であるとは限らない。
【0040】
この
図5B(a)のフォグランプの例では、4つの相対値Da〜Ddが全て第1範囲REF1の上限より小さく、下限よりも大きいので、フォグランプFLの4つの発光領域Aa〜Adの色度のばらつきは目立つことがなく、色むらが生じていないと判定される。また、
図5B(b)に示したフォグランプの場合も同様であり、4つの色度値CVa〜CVdの各相対値Da〜Ddはいずれも第1範囲REF1の上限よりも小さく、下限よりも大きく、フォグランプFLの4つの発光領域Aa〜Adの色度のばらつきは目立つことがなく、色むらが生じていないと判定される。
【0041】
一方、
図5B(c)のフォグランプの場合には、4つの色度値CVa〜CVdの各相対値Da〜Ddのうち、色度値CVcにおいて相対値Dcが第1範囲REF1の下限よりも小さい値となっている。すなわち、発光領域Acの色度は他の発光領域Aa,Ab,Adに対して黄緑系が強い白色となっており色度に顕著な違いが生じていることになる。したがって、このフォグランプにおいては4つの発光領域Aa〜Adのうちの一つの発光領域Acにおいて色度のばらつきによる色むらが生じていると判定される。
【0042】
このように、実施形態の色度検査装置CTを用いた検査によりフォグランプにおける4つの発光領域Aa〜Adにおける色むらが検査できる。この色度検査装置CTは、測光部110は、BセンサSBとGセンサSGからなる光センサ対112a〜112dで構成できるので、三原色の分光特性を検査するためのBGRの3つの光センサが必要とされる測光部よりも構成が簡易である。
【0043】
また、色むらの判定処理においては、複数の光センサ対についてそれぞれの光度比を求める演算処理を行い、第1の検査では得られた複数の光度比の差を演算して基準値と比較する演算処理を行なうだけでよく、第2の検査では得られた複数の光度比に基づく平均値演算処理、ならびに当該平均値に対する相対値演算処理を行うのみでよい。したがって、特許文献1のように、複数のLEDに対応してRGBの分光測光を行い、かつRGBの各測光値に基づいて色度を演算し、さらに得られた色度についてのばらつきを演算するという煩雑な処理が不要となる。これにより、検査装置の演算部の構成を簡易なものにできる。また、処理の簡略化により色むらの検査時間の短縮も可能となるので、フォグランプの製造ラインに実施形態の色むら検査装置を組み込むことも可能になる。
【0044】
以上の検査は、1つのフォグランプの4つの発光領域Aa〜Adにおける色度のばらつきを検査した例である。前記したように、4つの発光領域の色度のばらつきは、各発光領域の色度値の差、あるいは色度値の平均値に対する各発光領域の色度値の相対差(相対値)に基づくばらつきとして求めている。そのため、4つの発光領域の色度値が全て青系側あるいは黄緑系側のいずれかの方向に偏った場合でも、色度値の差Dxが基準値Dr以下であり、平均値に対する相対値のばらつきが第1範囲REF1、すなわち基準相対値範囲内に納まることがある。この場合には、それぞれのフォグランプにおいて色度のばらつきは検出されないことになる。
【0045】
しかし、複数のフォグランプに対して色度の検査を実行したときに、個々のフォグランプにおいては4つの発光領域の間における色度のばらつきは検出されないが、複数のフォグランプの相互間において色度にばらつきが生じることが考えられる。すなわち、1つのフォグランプでは4つの発光領域での色度のばらつきは検出されないが、複数の異なるフォグランプを比較したときに、各フォグランプの全体としての発光色が青系の色度となり、あるいは黄緑系の色度度になる。この色度のばらつきは、製造された複数のフォグランプのトータル的な品質の点で問題になることもある。
【0046】
このような色度のばらつきに鑑み、前記実施形態の検査装置CTでは、判定部120の平均値判定部122においては個々のフォグランプにおける色度値の平均値Mを相互比較している。
図6はこれを説明するための色度チャートであり、複数のフォグランプ、ここでは第1ないし第4の4つのフォグランプFL1〜FL4のそれぞれの4つの発光領域における色度値をプロットしている。この例では、第2のフォグランプFL2では、4つの発光領域の色度値の平均値M2は第1のフォグランプFL1の平均値M1よりも大きく、これから青系に偏った色度であることが分かる。反対に、第3のフォグランプFL3では4つの発光領域の色度値の平均値M3は第1のフォグランプFL1の平均値M1よりも小さく、これから黄緑系に偏った色度であることが分かる。第4のフォグランプFL4の平均値M4はさらに小さく、第3のフォグランプFL3よりも黄緑系に偏った色度であることが分かる。
【0047】
これら第1ないし第4のいずれのフォグランプFL1〜FL4は、いずれもそれぞれの4つの発光領域における色度値の相対値Da〜Ddが第1範囲REF1の上限と下限の範囲内に存在しているので、各フォグランプFL1〜FL4では色度のばらつきは判定されていない。しかし、これら4つのフォグランプFL1〜FL4は、各平均値M1〜M4を比較すると前記したように相違しており、そのため第2のフォグランプFL2は第1のフォグランプFL1よりも青系の色度であり、第3と第4のフォグランプFL3,FL4は第1のフォグランプFL1よりも黄緑系の色度となる。
【0048】
この検査装置CTでは、平均値判定部122において各フォグランプの平均値を予め設定した基準平均値範囲REF2と参照し、各フォグランプの平均値が当該基準平均値範囲REF2内に存在しているか否かを判定する。この基準平均値範囲REF2は本発明における第2範囲となる。
図6の例では、第1ないし第3のフォグランプFL1〜FL3については、各平均値M1〜M3が第2範囲REF2の範囲内に存在している。
【0049】
一方、第4のフォグランプFL4では平均値M4が第2範囲REF2を逸脱している。したがって、この場合には、第4のフォグランプFL4については、色度のばらつきが存在していると判定する。これにより、第1ないし第3のフォグランプFL1〜FL3に対して色度が顕著に黄緑側になっている第4のフォグランプFL4の色度のばらつきを検査することができ、複数のフォグランプを製造する場合においても、これら複数のフォグランプにおける色度のばらつきを回避することができる。
【0050】
図7は他の実施形態の色度検査装置の概念構成図であり、
図4と等価な部分には同一符号を付してある。この実施形態では、測光部110Aは1つの光センサ対112、すなわち1つのBセンサSBと1つのGセンサSGで構成されている。また、前記光センサ対112を光透過拡散板111に対して面方向にXY移動させるためのアクチュエータ113を備えており、このアクチュエータ113により光センサ対112を4つの発光領域Aa〜Adに対して順序的に対向位置することができるように構成されている。
【0051】
一方、演算部100は、B測光値LBとG測光値LGの相対比を演算する色度値演算部101は1つだけ設けられている。その代わりに、この色度値演算部101には記憶部104が設けられ、光センサ対112が4つの発光領域Aa〜Adにそれぞれ移動されて測光を行ったときに得られた測光値LB,LGと、これらの測光値LB,LGに基づいて演算した色度値CVをそれぞれ記憶部104に記憶することが可能とされている。これにより、演算部100は記憶部104に記憶された4つの発光領域Aa〜Adについての測光値LB,LGと色度値CVを順次読み出しながら平均値演算部102と相対値演算部103での演算を実行するようになっている。判定部120が演算された平均値と相対値から色度のばらつきの判定を行なうことは前記実施形態と同じである。
【0052】
この実施形態では、光センサ対112が1つでよいので、アクチュエータ113を除いた構成については、光センサ対112を含む測光部110Aの構成が簡易化できる。また、演算部100における色度値演算部101も1つでよいので、演算部100の構成も簡易化できる。これにより、は検査装置CTの全体の構成が簡易化できる。
【0053】
図8はさらに他の実施形態の色度検査装置CTの概念構成図であり、
図7と等価な部分には同一符号を付してある。この実施形態では、測光部110Bとして、撮像素子を用いた撮像装置を用いている。ここでは静止画を撮像するカラーデジタルカメラ114を用いており、当該カラーデジタルカメラ114によって光透過拡散板111における4つの発光領域Aa〜Adを一括して撮像するように構成している。このカラーデジタルカメラ114のカラー撮像素子115は、
図7に示した色度検査装置CTと同様な演算部100に接続されている。
【0054】
その上で、前記カラー撮像素子115を構成している多数の受光セル(受光素子)の一部がBセンサSBとGセンサSGとして設定され、これらで4つの光センサ対112が構成されている。これらの光センサ対112は、光透過拡散板111を撮像したときに、その4つの発光領域Aa〜Adのそれぞれを撮像する領域に設定される。したがって、4つの発光領域Aa〜Adを撮像したときには、4つの光センサ対112からそれぞれ4つの発光領域Aa〜Adの各B測光値とG測光値が得られることになる。
【0055】
演算部100は
図7の色度検査装置CTと同じ構成である。カラー撮像素子115に設定された4つの光センサ112で測光した各測光値は、時系列的に出力されるので、演算部100の色度演算部101は、順次検出された測光値と、演算した色度値を記憶部104に記憶することで、
図7の色度検査装置CTと同様に演算を実行し、かつ色度の判定が可能となる。
【0056】
この実施形態では、既存のカラーデジタルカメラやカラーデジタルムービカメラ等を利用することができるので、測光部の構成を簡易化できる。また、演算部や判定部をこれらのカメラに組み込むようにすれば、当該カメラに色度検査装置が構築できるので、色度検査装置を小型化する上でも有効である。
【0057】
実施形態では、検査対象としてのLEDに疑似白色LEDを用いた例について説明したので、本発明における第1波長領域として青色波長領域、第2波長領域として緑色波長領域の例を説明したが、LEDの発光特性の違いに応じて、これ以外の波長領域を利用しての色度のばらつきの検査も可能である。例えば、BGRの3つのLEDチップで構成される三原色白色LEDや、紫外線LEDチップとBGR蛍光体で構成されるLEDの場合には、第1波長領域として青色波長領域、第2波長領域として赤色波長領域を適用することも可能である。
【0058】
また、LEDの種類によっては、個々のLEDの色度がばらつく場合でも、各LEDの第2波長領域の測光値については、前記したような第3波長領域の測光値と同様に測光値が大きく変化しないものもある。このようなLEDに対して本発明を適用する場合には、事前に第2波長領域の測光値を測定しておけば、この第2波長領域の測光値を基準測光値として設定しておくことで、実際の検査時には第1波長領域の測光値のみを測光するだけで色度のばらつきを検査することができる。
【0059】
特に、一般的な疑似白色型のLEDは、
図3(a)に示したような分光特性で色度のばらつきが生じることが多いが、ある種のLEDにおいては、G波長領域とR波長領域の測光値LG,LRが大きく相違していないものもある。したがって、この場合には、G波長領域の測光値LGのみを事前に測光しておき、検査時にはB波長領域の測光値LBのみを測光するだけで、本発明を適用した色度のばらつき検査が実現できる。したがって、このような形態での検査を行う場合には、検査装置の測光部はBセンサのみで構成でき、さらなる構成の簡略化が可能になる。
【0060】
実施形態では各LEDにおける色度値として、B測光値とG測光値の相対比を用いているが、場合によってはB測光値とG測光値の相対差を演算し、これを色度値としてもよい。あるいは、肉眼で感じる色度差が対数的であることに鑑み、B測光値とG測光値の相対比の対数値(log値)を色度値としてもよい。これらについては、検査対象となるLEDの発光特性に対応して適宜に設定することができる。
【0061】
実施形態では、第2の検査において色度のばらつきを判定する際の平均値に対する相対値として、各色度値の平均値に対する相対差を用いているが、偏差値を利用してもよい。この場合には、複数の色度値とその平均値から標準偏差を求め、この標準偏差に対する各色度値の偏差値を求め、この偏差値に基づいて色度のばらつきを判定するようにしてもよい。
【0062】
実施形態では、4つのLEDを光源とするフォグランプの色度のばらつきを検査する色度検査装置として構成した例を説明したが、光源の数、すなわちLEDの個数に限られるものではなく、またフォグランプ以外のランプ、例えばヘッドランプ、クリアランスランプ等における色度のばらつきを検査する検査装置としても適用できる。さらに、車両用ランプ以外の発光装置、例えばデスプレイ装置のバックライト用照明装置やLED以外の発光素子を光源とする発光装置における色度ばらつきの検査装置としても適用できる。