特許第6592318号(P6592318)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6592318液体式マッサージ装置およびその支持部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6592318
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】液体式マッサージ装置およびその支持部材
(51)【国際特許分類】
   A61H 23/04 20060101AFI20191007BHJP
   A61H 9/00 20060101ALI20191007BHJP
【FI】
   A61H23/04
   A61H9/00
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-190657(P2015-190657)
(22)【出願日】2015年9月29日
(65)【公開番号】特開2017-63906(P2017-63906A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年8月7日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 刊行物による公開 公開日:2015年9月16日 刊行物:日刊工業新聞 公開者:日刊工業新聞社 住所:東京都中央区日本橋小網町14−1 公開された発明の内容:液体式マッサージ装置において、マッサージ用の噴射用液体を、下方向からに加えて横方向からも噴射できるようにして、肩をたたくような刺激を可能にしたこと。
(73)【特許権者】
【識別番号】000153041
【氏名又は名称】株式会社日本メディックス
(74)【代理人】
【識別番号】100080768
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100106644
【弁理士】
【氏名又は名称】戸塚 清貴
(72)【発明者】
【氏名】石塚 孝史
(72)【発明者】
【氏名】三宅 亮
【審査官】 胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5759041(JP,B1)
【文献】 特開平01−046460(JP,A)
【文献】 実開平05−041537(JP,U)
【文献】 特開2002−095717(JP,A)
【文献】 特開平04−361753(JP,A)
【文献】 米国特許第06186964(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 23/04
A61H 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ハウジングの上方開口が、弾性シートからなる支持シートにより施蓋され、
前記本体ハウジング内に、該本体ハウジング内の噴射用液体を噴射するための噴射ノズルが配設されてなる液体式マッサージ装置であって、
前記噴射ノズルとして、前記支持シート上に仰向けで支承された状態での患者の首部付近を挟む左右位置においてそれぞれ横噴射用ノズルが設けられ、
前記横噴射用ノズルからの噴射用液体が、前記支持シートのうち上方への突出部分を介して、患者の首部から肩部に対して横方向から噴射され、
前記支持シート上には、クッション体によって形成されて、少なくとも前記支持シート上に仰向けで支承された状態での患者の頭部を挟むように配設される左右一対の側方支持部を有する支持部材が設けられ、
前記各側方支持部は、前記上方への突出部分にまで伸びて、該突出部分を上方から覆っており、
前記支持部材が、前記支持シート上に仰向けで支承された状態での患者の頭頂部側に位置されて、左右一対の前記側方支持部同士を連結する後側支持部をさらに有しており、
前記左右一対の側方支持部と前記後側支持部とで囲まれる空間が、前記支持シート上に仰向けで支承された状態での患者の頭部が位置される収納凹部とされ、
前記後側支持部は、前記支持シート上に仰向けで支承された状態での患者が頭頂部側に向けて移動するのを規制するように高さ設定されている、
ことを特徴とする液体式マッサージ装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記側方支持部は、支持シート上に仰向けで支承された状態での患者の頭部が横方向へ移動するのを規制するように高さ設定され、
前記側方支持部のうち前記上方への突出部分が位置される部分の下面に、該上方への突出部分が収納される逃げ用凹部が形成されている、
ことを特徴とする液体式マッサージ装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記支持部材は、前記収納凹部の底面に位置する部分において、前記支持シート上に仰向けで支承された状態での患者の頭部が載置される支承部をさらに有している、ことを特徴とする液体式マッサージ装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
前記支持シートの左右側縁部に位置して該支持シートよりも高くなるように設定された左右一対の側方壁部と、前記支持シート上に仰向けで支承された状態での患者の頭頂部側に位置されて該支持シートよりも高くなるように設定された後側壁部とを有して、該後側壁部によって左右一対の側方壁部同士が連結されており、
前記支持部材は、前記左右の側方壁部と前記後側壁部との3つの内壁面に弾力的に当接されて、前記支持シートに対して横方向への移動と前記後側壁部に向けての移動とが規制されている、
ことを特徴とする液体式マッサージ装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記後側壁部の内壁面には、スピーカ孔が形成され、
前記支持部材の下面には、前記スピーカ孔と前記収納凹部とを連通させるガイド溝が形成されている、
ことを特徴とする液体式マッサージ装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、
前記本体ハウジングが、前記支持シートの左右側縁部に位置して該支持シートよりも高くなるように設定された左右一対の側方壁部と、前記支持シート上に仰向けで支承された状態での患者の頭頂部側に位置されて該支持シートよりも高くなるように設定された後側壁部とを有して、該後側壁部によって左右一対の側方壁部同士が連結されており、
前記左右側縁部のうち、前記上方への突出部分に対応した位置から前記後側壁部に渡っての所定長さ範囲が、手すりとなるように部分的に高くされた隆起部とされている、
ことを特徴とする液体式マッサージ装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記隆起部の外側面に、患者の指先が入り込めるように凹部が形成されている、ことを特徴とする液体式マッサージ装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか1項において、
前記噴射ノズルとして、上方へ向けて噴射用液体を噴射する上噴射用ノズルをさらに有している、ことを特徴とする液体式マッサージ装置。
【請求項9】
患者を仰向け状態で支承する支持シートの長手方向一端部に左右一対の上方への突出部分が形成されて、該上方への突出部分の下方に横方向に噴射用液体を噴射する横噴射用ノズルが配設されてなる液体式マッサージ装置に用いられる支持部材であって、
クッション体により形成されて、左右一対の側方支持部と該側方支持部の後端部同士を連結する後側支持部とを有して、該左右一対の側方支持部と該後側支持部とで囲まれた空間が、前記支持シート上に仰向けで支承された状態での患者の頭部が位置される収納凹部とされており、
前記左右一対の側方支持部と前記後側支持部とは、それぞれ、前記支持シート上に仰向けで支承された状態での患者の頭部の左右方向への移動と頭頂部側への移動とを規制するように高さ設定され、
前記左右一対の側方支持部の前端部下面には、前記上方への突出部分が収納される逃げ用凹部が形成されている、
ことを特徴とする液体式マッサージ装置用の支持部材。
【請求項10】
請求項9において、
前記支持部材は、前記収納凹部の底面に位置する部分において、前記支持シート上に仰向けで支承された状態での患者の頭部が載置される支承部をさらに有している、ことを特徴とする液体式マッサージ装置用の支持部材。
【請求項11】
請求項9または請求項10において、
前記支持部材の下面には、前記後側支持部の外側面に開口されると共に前記収納凹部内に開口されるガイド溝が形成されている、ことを特徴とする液体式マッサージ装置用の支持部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体式マッサージ装置およびその支持部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体式マッサージ装置は、本体ハウジングの上方開口が、患者支承用となる支持シートにより施蓋されて、この本体ハウジング内に配設された噴射ノズルから上方に向けて噴射用液体が噴射されるようになっている。噴射ノズルとして、上下方向軸線周りに回転される回転体を有して、この回転体に噴射口を形成したものがある。
【0003】
特許文献1には、回転体に形成された噴射口が曲げ形成されて、噴射口からの噴射用液体の噴射(の反力)を利用して、回転体を自転させるものが開示されている。特許文献2には、回転体を別途設けた駆動源により回転させると共に、本体ハウジングの長手方向に回転体(つまり噴射ノズル)を移動可能としたものが開示されている。
【0004】
さらに、特許文献3には、肩や首に向けて横方向から噴射用液体を噴射するための横噴射用ノズルを設けた液体式マッサージ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000ー325420号公報
【特許文献2】特開2004ー180696号公報
【特許文献3】特許第5759041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述した液体式マッサージ装置のうち、特許文献3に示すような横噴射用ノズルを有するものにあっては、横噴射用ノズルに対応して支持シートに左右一対の上方への突出部分が形成されて、この上方への突出部分の下方(下方空間)に横噴射用ノズルが配設されたものとなる。
【0007】
上記した上方への突出部分は、 その下方に横噴射用ノズルが位置することから相当に硬い部分として存在することになる。この一方、患者からすれば、支持シート上に仰向けになろうとしたときや仰向け状態から起き上がろうときに、上方への突出部分に対して体重をかけつつ手をつきやすい部位となる。上方への突出部分に手をついた患者にとっては、硬い異物ということで手触りの悪いものとなりかつ滑りやすいものとなる。また、支持シートからすると、繰り返し体重をかけつつ手をつかれることは、上方への突出部分が早期に損傷してしまう事態を引き起こしやすいものとなる。また、液体式マッサージ装置の周囲に存在したり患者が身につけている硬い物体が、上方への突出部分に不用意に当たってしまうと、この突出部分が一気に損傷されてしまうことにもなる。
【0008】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、横噴射用ノズルに対応して支持シートに形成される上方への突出部分に対して、患者や物体が不用意に接触されることのないようにした液体式マッサージ装置およびその支持部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明における液体式マッサージ装置にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、特許請求の範囲における請求項1に記載のように、
本体ハウジングの上方開口が、弾性シートからなる支持シートにより施蓋され、
前記本体ハウジング内に、該本体ハウジング内の噴射用液体を噴射するための噴射ノズルが配設されてなる液体式マッサージ装置であって、
前記噴射ノズルとして、前記支持シート上に仰向けで支承された状態での患者の首部付近を挟む左右位置においてそれぞれ横噴射用ノズルが設けられ、
前記横噴射用ノズルからの噴射用液体が、前記支持シートのうち上方への突出部分を介して、患者の首部から肩部に対して横方向から噴射され、
前記支持シート上には、クッション体によって形成されて、少なくとも前記支持シート上に仰向けで支承された状態での患者の頭部を挟むように配設される左右一対の側方支持部を有する支持部材が設けられ、
前記各側方支持部は、前記上方への突出部分にまで伸びて、該突出部分を上方から覆っており、
前記支持部材が、前記支持シート上に仰向けで支承された状態での患者の頭頂部側に位置されて、左右一対の前記側方支持部同士を連結する後側支持部をさらに有しており、
前記左右一対の側方支持部と前記後側支持部とで囲まれる空間が、前記支持シート上に仰向けで支承された状態での患者の頭部が位置される収納凹部とされ、
前記後側支持部は、前記支持シート上に仰向けで支承された状態での患者が頭頂部側に向けて移動するのを規制するように高さ設定されている、
ようにしてある。
【0010】
上記解決手法によれば、支持シートに形成された左右一対の上方への突出部分は、クッション体からなる左右一対の側方支持部によって上方から覆われているので、この突出部分に対して患者や周囲の物体が不用意に触れてしまう事態を防止することができる。また、側方支持部はクッション体であることから、患者が触れても手触りのよいものとなり、また特に硬い物体が当たっても、突出部分を確実に保護することができる。以上に加えて、後側支持部材によって、支持シート上に仰向けで支承された状態での患者の頭頂部側への移動を規制することができ、また左右一対の側方支持部の位置決めをも行う上で好ましいものとなる。
【0011】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、請求項2〜請求項8に記載のとおりである。すなわち、
前記側方支持部は、支持シート上に仰向けで支承された状態での患者の頭部が横方向へ移動するのを規制するように高さ設定され、
前記側方支持部のうち前記上方への突出部分が位置される部分の下面に、該上方への突出部分が収納される逃げ用凹部が形成されている、
ようにしてある(請求項2対応)。この場合、側方支持部によって、支持シート上に仰向けで支承された状態での患者の頭部が左右(横方向)に大きく動いてしまう事態を防止しつつ、上方への突出部分を保護することができる。
【0012】
【0013】
前記支持部材は、前記収納凹部の底面に位置する部分において、前記支持シート上に仰向けで支承された状態での患者の頭部が載置される支承部をさらに有している、ようにしてある(請求項3対応)。この場合、支承部を、患者の頭部を支承する枕として機能させることができる。
【0014】
前記支持シートの左右側縁部に位置して該支持シートよりも高くなるように設定された左右一対の側方壁部と、前記支持シート上に仰向けで支承された状態での患者の頭頂部側に位置されて該支持シートよりも高くなるように設定された後側壁部とを有して、該後側壁部によって左右一対の側方壁部同士が連結されており、
前記支持部材は、前記左右の側方壁部と前記後側壁部との3つの内壁面に弾力的に当接されて、前記支持シートに対して横方向への移動と前記後側壁部に向けての移動とが規制されている、
ようにしてある(請求項4対応)。この場合、支持シートの周囲に設けた壁部を有効に利用して支持部材の位置決めを行って、側方支持部によって上方への突出部分を覆った状態を確実に維持する上で好ましいものとなる。
【0015】
前記後側壁部の内壁面には、スピーカ孔が形成され、
前記支持部材の下面には、前記スピーカ孔と前記収納凹部とを連通させるガイド溝が形成されている、
ようにしてある(請求項5対応)。この場合、スピーカからの音を、支持シート上に仰向けで支承された状態での患者の耳元に良好に伝達することができる。
【0016】
前記本体ハウジングが、前記支持シートの左右側縁部に位置して該支持シートよりも高くなるように設定された左右一対の側方壁部と、前記支持シート上に仰向けで支承された状態での患者の頭頂部側に位置されて該支持シートよりも高くなるように設定された後側壁部とを有して、該後側壁部によって左右一対の側方壁部同士が連結されており、
前記左右側縁部のうち、前記上方への突出部分に対応した位置から前記後側壁部に渡っての所定長さ範囲が、手すりとなるように部分的に高くされた隆起部とされている、
ようにしてある(請求項6対応)。この場合、上方への突出部分の付近に手すりを構成して、上方への突出部分が存在する位置に対して患者が不用意に手をついてしまうような事態をより一層確実に防止する上で好ましいものとなる。
【0017】
前記隆起部の外側面に、患者の指先が入り込めるように凹部が形成されている、ようにしてある(請求項7対応)。この場合、請求項7での手すりの効果をより一層高めることができる。
【0018】
前記噴射ノズルとして、上方へ向けて噴射用液体を噴射する上噴射用ノズルをさらに有している、ようにしてある(請求項8対応)。この場合、従来一般的に行われている上噴射用ノズルによる刺激効果を合わせて得ることができる。
【0019】
前記目的を達成するため、本発明における支持部材にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、請求項9に記載のように、
患者を仰向け状態で支承する支持シートの長手方向一端部に左右一対の上方への突出部分が形成されて、該上方への突出部分の下方に横方向に噴射用液体を噴射する横噴射用ノズルが配設されてなる液体式マッサージ装置に用いられる支持部材であって、
クッション体により形成されて、左右一対の側方支持部と該側方支持部の後端部同士を連結する後側支持部とを有して、該左右一対の側方支持部と該後側支持部とで囲まれた空間が、前記支持シート上に仰向けで支承された状態での患者の頭部が位置される収納凹部とされており、
前記左右一対の側方支持部と前記後側支持部とは、それぞれ、前記支持シート上に仰向けで支承された状態での患者の頭部の左右方向への移動と頭頂部側への移動とを規制するように高さ設定され、
前記左右一対の側方支持部の前端部下面には、前記上方への突出部分が収納される逃げ用凹部が形成されている、
ようにしてある。上記解決手法によれば、請求項1、請求項2に対応した液体式マッサージ装置用の支持部材を提供することができる。
【0020】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、請求項10以下に記載のとおりである。すなわち、
前記支持部材は、前記収納凹部の底面に位置する部分において、前記支持シート上に仰向けで支承された状態での患者の頭部が載置される支承部をさらに有している、
ようにしてある(請求項10対応)。この場合、請求項3に対応した液体式マッサージ装置に使用される支持部材を提供することができる。
【0021】
前記支持部材の下面には、前記後側支持部の外側面に開口されると共に前記収納凹部内に開口されるガイド溝が形成されている、ようにしてある(請求項11対応)。この場合、請求項5に対応して液体式マッサージ装置に使用される支持部材を提供することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、横噴射用ノズルに対応して支持シートに形成される上方への突出部分に対して、患者や異物が不用意に接触してしまう事態を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明が適用された液体式マッサージ装置の全体斜視図。
図2図1の分解斜視図。
図3】横噴射用ノズル部分を仰向け状態とされた患者との位置関係と共に示す要部平面図。
図4】横噴射用ノズル部分の詳細を示すもので、図3X4・X4線相当断面図。
図5】上方への突出部分を有する支持シートの一例を示す側面図。
図6図5の左側面図。
図7図5の支持シートを斜め下方から見た斜視図。
図8】支持部材の全体斜視図。
図9】支持部材の正面図。
図10】支持部材の背面図。
図11】支持部材の平面図。
図12】支持部材の底面図。
図13】支持部材の右側面図。
図14図11のX14・X14線相当断面図。
図15図11のX15・X15線相当断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図4において、1は本体ハウジングで、前後方向(図3上下方向)に細長い浴槽型の形状とされている。本体ハウジング1の上方開口部1aが、大きく弾性変形可能な支持シート2によって施蓋されている。支持シート2の直下方には、編状の補助シート3が配設されている。患者Jの荷重(体重)は、もっぱら補助シート3によって支承される。本体ハウジング1内には、噴射用液体が貯溜されて、後述する噴射ノズルから噴射された噴射用液体は、自然落下して、再び噴射ノズルからの噴射用として用いられることになる。
【0025】
本体ハウジング1内には、上噴射用ノズル10と横噴射用ノズル20とが配設されている。上噴射用ノズル10は、左右一対の回転体11を有して、各回転体11には、上方に向けた開口された噴射口11a(図3参照)が形成されている。左右一対の回転体11は、図示を略す駆動源からの駆動力を受けて、互いに反対方向に回転されるようになっている。そして、左右一対の回転体11は、駆動源からの駆動力を受けて、本体ハウジング1の長手方向に移動可能(往復動可能)とされている。なお、このような移動式の回転体11を有する液体式マッサージ装置そのものは既知なので、これ以上の説明は省略する。
【0026】
支持シート2上に仰向けに支承された患者Jの肩部付近に位置させて、左右一対の横噴射用ノズル20が配設されている。横噴射用ノズル20が配設された部分においては、カバー部材5によって、支持シート2が上方へ大きく突出(膨出)するように弾性変形された突出部分とされ、この上方への突出部分が符号2aで示される。そして、この突出部分2a(つまりカバー部材5)の下方に、横噴射用ノズル20が配設されている。この横噴射用ノズル20は、本体ハウジング1に保持された保持ブラケット6に保持されている。図3に示すように、支持シート2上に仰向けで支承された状態での患者Kの肩部から首部に対して、横噴射用ノズル20からの噴射用液体が横方向から噴射される(実施形態では間欠的な噴射)。なお、上噴射用ノズル10、横噴射用ノズル20等は、特許文献3と同様の構造を採択してあるので、これ以上の説明は省略する。なお、図1図2では、支持シート2上に、弾性材からなる薄い衛生シート5を敷いて使用するようになっているが、この衛生シート5を用いないようにしてもよい。また、図1図2において、7は、支持シート2上に仰向けで支承された状態での患者Kの足に載せられる重りシートである。
【0027】
再び図4において、本体ハウジング1は、その周囲に配設されたフレーム40に保持されている。フレーム40における周縁部の上端部は、合成樹脂製のカバー部材41によって被覆されている。このカバー部材41は、支持シート2の周囲を取り巻くように配設されて、支持シート2よりも高い位置となるように設定されている。カバー部材41のうち、支持シート2の長手方向に沿う左右の側方壁部41aと、側方壁部41aの前側端部(上方への突出部分2aとは遠い側の端部)同士を連結する前側壁部41bと、側方壁部41aの後側端部同士を連結する後側壁部41cと、を有する。
【0028】
上記左右の側方壁部41aのうち、上方への突出部分2a付近から後側壁部41cに渡っての所定長さ範囲のみが、他の部分に比してより高くなる隆起部42とされている。そして、側方壁部41aのうち隆起部42の存在する部分の外側面に、凹部43が形成されている。この隆起部42が、患者Kが支持シート2上に仰向け状態になるとき、あるいは仰向け状態から起き上がるときに、手すりとして機能されるようになっている。凹部43を形成しておくことにより、患者Kは、隆起部42上に手をついた状態で、その指先を凹部43に入り込ませることによって、より安定してその身体を安定させることができ、手すりとしての機能がより向上される。
【0029】
支持シート2上に仰向けで支承された状態での患者Kに対して、その頭部の周囲付近に位置するようにして支持部材50が配設される(図1図2参照)。この支持部材50は、主として、上方への突出部分2aに対して患者Kや硬い物体が不用意に触れてしまうのを防止するもので、副次的に、支持シート2上に仰向けで支承された状態での患者Kの頭部が、横噴射用ノズル20から横方向に噴射用液体を噴射している状態で不用意に左右方向に大きく動く(移動する)のを防止するものとなっている。
【0030】
支持部材50の詳細について、図8図15を参照しつつ説明する。支持部材50は、全体的にクッション体(例えば発泡ウレタン)によって一体成形物として形成されている。支持部材50は、左右一対の側方支持部51と、側方支持部51の後側端部(図3上側端部)同士を連結する後側支持部52と、を有する。左右一対の側方支持部51と後側支持部52とによって、支持シート2上に仰向けで支承された状態での患者Kの頭部が収納される収納凹部53が画成(区画)されている。なお、支持部材50は、収納凹部53に連なる切欠部54を有して、この切欠部54に、支持シート2上に仰向けで支承された状態での患者Kの首部が位置される。そして、支持部材50には、収納凹部53の底面に位置するようにして、薄い支承部55(枕に相当)を一体的に有するものとなっている.すなわち、収納凹部53内に患者Kの頭部が位置された状態では、頭部が支承部55上に載置された状態とされる。
【0031】
側方支持部51および後側支持部52は、その高さが、支持シート2上に仰向けで支承された状態での患者Kの頭部の高さよりも若干低くなるように設定され、実施形態では106mmとされている。すなわち、支持シート2上に仰向けで支承された状態での患者Kは、側方支持部51で左右を囲まれた状態で、左右の斜め上方向を目視可能となっていて、窮屈感を感じない程度とされている。なお、側方支持部51の高さは、適宜設定できるが、患者Kの頭部の横方向移動の規制と窮屈感(圧迫感)抑制の観点から、90mm・150mm程度の範囲でもって選択するのが好ましく、特に支持シート2上に仰向けで支承された状態での患者Kの顔面(特に眼)が、側方支持部51の上面よりも高くなるような高さ設定とするのが好ましい。
【0032】
支持部材50は、その左右方向長さが、左右一対の側方壁部41aの内壁面の間隔よりも若干大きく設定されている。これにより、支持部材50は、その後側支持部52を後側壁部41cの内壁面に当接させた状態で配設したときに、左右の側方壁部41aの内壁面と後側壁部41cの内壁面とに対して弾力的に当接して、横方向(左右方向)および支持シート2上に仰向けで支承された状態での患者Kの頭頂部方向への移動が規制される。
【0033】
支持部材50は、その後側支持部52を後側壁部41cの内壁面に当接させた使用位置の状態において、左右一対の側方支持部51の先端部(前端部で、図3下方側端部)は、支持シート2における上方への突出部分2aを跨いで当該突出部分2a若干超える長さに設定されている。そして、側方支持部51の先端部下面には、上記突出部分2aが収納される逃げ用凹部56が形成されている。このように、側方支持部51によって、上方への突出部分2aは、上方から覆われた状態となる。これにより、患者Kや周囲の物体が、上方への突出部分2aに対して不用意に触れてしまう事態が防止される。すなわち、突出部分2aの上方部分に手をついたり物体が当たったとしても、そこには弾力のある側方支持部51が存在するため、手触りが悪くなることもなく、また突出部分2aが損傷されてしまう事態も防止されることになる。
【0034】
支持シート2上に仰向けで支承された状態での患者Kの頭部は、支持部材50における薄い支承部55上に載置されることになる。支承部55上に患者Kの頭部が載置された状態では、横噴射用ノズル20により横方向から噴射用液体が噴射された際に、高く設定された側方支持部51によって患者Kの頭部が大きく左右に移動してしまう事態が防止されることになる。なお、横方向から噴射用液体を受けた際に、頭部が左右方向に大きく動くと、患者Kによっては違和感や不快感を抱くこともあるが、このような事態が防止されることになる。なお、支承部55上に載置された患者Kの頭部が後側へ移動してしまうことは、後側支持部52(最終的には後側壁部41c)によって規制されることになる。
【0035】
ここで、カバー部材41のうち、後側壁部41内には、左右一対のスピーカ9が配設されて、このスピーカ9からの音を外部へ伝えるスピーカ孔が後側壁部41cの内壁面に開口されている。支持部材50における収納凹部53内に位置される患者Kの頭部(耳元)に、スピーカ9(スピーカ孔)からの音を良好に伝達するために、支持部材50の下面には、左右一対のガイド溝57が形成されている。このガイド溝57は、スピーカ9(スピーカ孔)と収納凹部53内(に位置される患者Kの耳元付近)とを連通するように形成されている。なお、ガイド溝57の前端部は、逃げ用凹部56に連なっている。
【0036】
以上実施形態について説明したが、本発明は実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能であり、例えば次のような場合をも含むものである。上噴射用ノズル10は、移動を行わない固定式であってもよく、固定式の上噴射用ノズル10を、例えば、患者の背中、腰、脚部等に対応させて多数設けるようにしてもよい。また、上噴射用ノズル10を有しないで、横噴射用ノズル20(20B)のみを有するものであってもよい。横噴射用ノズル20は、回転しない固定式であってもよ。この場合、横噴射用ノズル20の上面(支持シート2を接触する面)を極力大きな面積でかつ滑らかな面としておくことにより、別途カバー部材30を設けない構成とすることもできる。支持部材50は、支承部55を有しないものであってもよく、またガイド溝57を有しないものであってもよい。支持部材50は、後側支持部52を有しないで、左右一対の側方支持部51のみを有するものであってもよく、この場合、その移動を規制するために、例えばベルクロファスナ等を用いて、側方支持部51を液体式マッサージ装置側の部材(例えば支持シート2や側方壁部41a等)に着脱自在に固定するのが好ましい。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、液体式マッサージ装置として好適なものを提供できる。
【符号の説明】
【0038】
J:患者
1:本体ハウジング
2:支持シート
2a:上方への突出部分
10:上噴射用ノズル
20:横噴射用ノズル
40:フレーム
41:カバー部材
41a:側方壁部
41b:前側壁部
41c:後側壁部
42:隆起部
43:凹部
50:支持部材
51:側方支持部
52:後側支持部
53:収納凹部
54:切欠部
55:支承部
56:逃げ用凹部
57:ガイド溝
図1
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