(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6592324
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】血液浄化装置のフィードバック方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0481 20130101AFI20191007BHJP
G06F 3/14 20060101ALI20191007BHJP
A61M 1/14 20060101ALI20191007BHJP
【FI】
G06F3/0481 170
G06F3/14 320A
A61M1/14 110
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-200551(P2015-200551)
(22)【出願日】2015年10月8日
(65)【公開番号】特開2016-95839(P2016-95839A)
(43)【公開日】2016年5月26日
【審査請求日】2018年10月5日
(31)【優先権主張番号】14192494.4
(32)【優先日】2014年11月10日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515143739
【氏名又は名称】ビー.ブラウン アビタム アーゲー
【氏名又は名称原語表記】B. BRAUN AVITUM AG
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ボーツ
(72)【発明者】
【氏名】ジョーフィア ベーキ
【審査官】
岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−254250(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0138533(US,A1)
【文献】
特表2012−500699(JP,A)
【文献】
特開2004−102498(JP,A)
【文献】
特開2003−083960(JP,A)
【文献】
特開平01−131901(JP,A)
【文献】
特開2003−195947(JP,A)
【文献】
特開2004−309719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00− 1/38
G06F 3/01
G06F 3/048− 3/0489
G06F 3/14− 3/153
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液浄化装置のイベントの状態に関する動画によるフィードバックを提供する方法であって、
前記装置のグラフィカルユーザインタフェース上のアクティブエレメントが押された状態を検出するステップと、
前記アクティブエレメントが押された前記状態の前記検出に応答して、前記装置のイベントをトリガするステップと、
前記トリガされたイベントのステータスを追跡するステップであって、前記イベントの複数の状態を検出するステップを含み、検出されたイベントの状態の各々に前記アクティブエレメントでのフィードバック表現のバリアントが割り当てられるステップと、
前記アクティブエレメントでの前記フィードバック表現のバリアントを、前記検出されたイベントの状態にしたがってユーザフィードバック表示として設定するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
検出されたイベントの状態に割り当てられたフィードバック表現のバリアントの各々は、前記イベントがトリガされた前記アクティブエレメントで、前記アクティブエレメントを取り囲むように設定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
検出されたイベントの状態に割り当てられたフィードバック表現のバリアントの各々は、前記イベントがトリガされた前記アクティブエレメントで、前記アクティブエレメントを、色、太さ、および/または不透明性グラデーション角度が変化するように取り囲む方法で設定される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
フィードバック表現のバリアントが基本外観によって分類され、あるグループ内の前記基本外観の動画は、各イベント状態および前記基本外観の変更を検出したときに、動画パラメータの少なくとも1つを、変化したイベント状態の検出および設定された少なくとも1つの動画パラメータにしたがって設定することにより制御される、請求項1〜3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの動画パラメータは、アクティブエレメントを取り囲むフレームが出現するときの色、またはグラデーションが開始時並びに終了時のグラデーション色として使用する色ペアを定義する色パラメータ、フィードバック表現のバリアントの動画の速度を定義する速度パラメータ、前記アクティブエレメントを取り囲むフレームの太さを定義する罫線太さパラメータ、前記フィードバック表現のバリアントの動画の輪郭の大きさを設定する大きさパラメータ、および/または前記フィードバック表現のバリアントの動画の可視性を制御するイネーブルパラメータを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
複数のフィードバック表現のバリアントのグループは同じアクティブエレメントに設定可能である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
現在トリガされているイベントに割り当てられない予備の表現バリアントが、例外的なイベント状態が発生した場合に、前記設定されたフィードバック表現のバリアントを通常以上に強化するエスカレーションステップにおいて使用可能な状態に維持される、請求項1〜6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記トリガされたイベントが完了したという状態を検出したときに、前記アクティブエレメントでの前記フィードバック表現をリセットするステップを備える、請求項1〜7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
追跡可能なイベント状態を提供するコンポーネントと、グラフィカルユーザインタフェースであって、前記装置内の1以上のイベントをトリガし、且つ、前記1以上の追跡されたイベント状態の動画によるフィードバックを前記装置の使用者に提示するように構成された1以上のアクティブエレメントを含むグラフィカルユーザインタフェースと、を備える血液浄化装置において、請求項1〜8のいずれか一項による前記方法を実行するように構成されている血液浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、血液浄化および腎代替療法に関する。より詳しくは、本発明は、血液浄化および腎代替療法中の装置の状態をモニタすること、および装置の中の、現在トリガされているイベントの状態を利用者に知らせるフィードバックの生成に関する。
【背景技術】
【0002】
血液浄化装置は、ハードウェアとソフトウェアのコンポーネントの複合である、複雑なシステムである。このような機械のオペレータはこれらのコンポーネントのステータスを把握していないことが多く、それは、機械を見ていないこと、またはそれに気付かないこと等、様々な理由による。オペレータは、血液および流体ポンプが動作しており、設定された流速で搬送しているか否か、または抗凝血剤が患者に投与されているか否かを知る必要がある。装置はしばしば、グラフィカルユーザインタフェース上のソリューションを利用して、オペレータに装置の要素のステータスに関してフィードバックする。これらはアイコン、音声、動画、およびその他の形態とすることができる。
【0003】
既知の方法とシステムにおいて、装置は、使用者がグラフィカルユーザインタフェースを使って可変的なパラメータ値を素早く、容易に制御することを可能にし、また、使用者がこのような変数の制御を所望の精度で得ることを可能にするために、パラメータ値を制御するように設計されている場合がある。1つのこのようなシステムは、4つの制御機能、すなわちデータ入力機能、シングルステップ機能、スクロール機能、および変換機能を提供する。使用者は、実現する必要のある制御の特定量または制御の種類を考慮して、パラメータ値の制御に使用される特定の制御機能を選択できる。
【0004】
他の既知の医療機器は、パラメータを設定するためのユーザインタフェースを備えており、また、前記パラメータの値を可視化するスクリーンと、インタフェースに接続された主制御ユニットと、スクリーン上の画像に対応するデータを保存するための、どちらも主制御ユニットに接続されている第1のメモリおよびビデオメモリと、を備える。主制御ユニットは、パラメータに新たな値を設定でき、当該新しい値をスクリーン領域に表示させ、当該新しい値を第一のメモリに保存し、ビデオメモリから前記スクリーン領域を表すデータを捕捉し、前記表すデータから、表示された値が第1のメモリ内の値に対応するか否かを確認する。
【0005】
このような種類の既知の装置はしたがって、一般にパラメータの設定についてのものであり、使用者が入力するパラメータの安全チェック、ハードウェアボタンの点灯、およびその他に関しており、使用者の自信と有用性の向上を考慮して、血液浄化装置の状態とプロセスの把握と認識を高めるという何れの適当な概念も生み出そうとしていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のことから、本発明の目的は、あるユーザインタフェースのアクティブエレメント上で、そのアクティブエレメントに関連付けられたアクチュエータのステータスに関する、改良された明確なフィードバックを提供するように配置された血液浄化装置およびそのための方法を提供することにある。
【0007】
これに加えて、本発明は、グラフィカルユーザインタフェース上で、そのグラフィカルユーザインタフェースエレメントとのインタラクションの結果として装置のある部分がどのようになっているかについての使用者のためのフィードバックを増大させる方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、この目的は、特許請求の範囲の請求項1において定義される血液浄化装置においてフィードバックを提供する方法、また請求項9に記載の方法を実行するように構成された血液浄化装置により達成される。本発明の有利なさらなる改良は、付属従属項の主旨である。
【0009】
本発明のもとになる基本概念によれば、グラフィカルユーザインタフェースは、各種のエレメント、例えばボタン、アイコン、ボックス、値、テキスト等からなる。ボタンはアクティブエレメントであり、これは、オペレータがそれを押すことによって操作できることを意味する。このアクションは、装置内のイベントをトリガする。動画による特徴がボタンに追加されて、使用者の注意を引き、そのボタンへと誘導し、ボタンを押した結果としてフィードバックを提供し、使用者に対し、ボタンによりトリガされた装置のエレメントの状態を知らせる。ボタンと動画によるエレメントとは、動画がボタンの上に設置され(これは、動画が押されると、ボタンもまた押され、このようにして動画とボタンが統合されることを意味する)、ボタンと動画の両方が同じ装置機能に関係する(ボタンがこの機能のためのイベントをトリガし、動画がそのステータスに関するフィードバックを提供する)ように接続される。本明細書で説明される方法の主要な特徴は、機械の機能、イベント、および状態をリンクさせてユーザインタフェースのアクティブエレメント上でそれぞれのフィードバックを生成させる制御部に関し、主要機能は、必要なときに明確な情報を提供することである。
【0010】
本発明の利点の結果として、少なくとも、オペレータは輸液プロセスのステータスを把握し、使用者によるシステムのステータスの認識が高まり、装置を使用中の使用者の自信が増し、人間とコンピュータとのインタラクションの質が改善され、これらがまとまり、装置の有用性を向上させる。
【0011】
それゆえ、本発明の一つの態様によれば、この目的は、血液浄化装置のイベントの状態に関する動画によるフィードバックを提供する方法により達成され、これは、装置のグラフィカルユーザインタフェース上のアクティブエレメントが押された状態を検出するステップと、アクティブエレメントが押された状態を検出したことに応答して、装置のイベントをトリガするステップと、トリガされたイベントのステータスを追跡するステップであって、イベントの複数のステータスを検出することを含み、検出されたイベントの状態の各々にアクティブエレメントにおけるフィードバック表現のバリアントが割り当てられるステップと、検出されたイベントの状態にしたがって、アクティブエレメントにおけるフィードバック表現のバリアントをユーザフィードバック表示として設定するステップと、を備える。
【0012】
好ましくは、検出されたイベントの状態に割り当てられたフィードバック表現のバリアントの各々は、そのイベントがトリガされたアクティブエレメントで、そのアクティブエレメントを取り囲むような方法で設定される。これは、取り囲むフィードバックバリアントまたはその動画によって、例えば追加のデザイン、ラベリング、およびその他のための十分なボタンのスペースが残されるという点で有利である。しかしながら、当然のことながら、取り囲む配置は限定されることはなく、フィードバックバリアントはまた、ボタン領域自体の上に重ねることもできる。
【0013】
好ましくは、検出されたイベントの状態に割り当てられた各フィードバック表現のバリアントは、そのイベントがトリガされたアクティブエレメントで、そのアクティブエレメントを、色、太さ、および/または不透明性グラデーション角度が変化するように取り囲む方法で設定される。その外観および/または可変性の違いは、使用者の注意を引き付けるのに役立ち、同じボタンにフィードバックされる複数の状態を容易に区別できるようにする。
【0014】
さらに好ましくは、フィードバック表現のバリアントは基本的外観に応じて分類され、あるグループ内の基本的外観の動画は、各イベントの状態と前記基本外観の変更とを検出したときに、動画パラメータの少なくとも1つを、変化したイベントの状態の検出と設定された少なくとも1つの動画パラメータにしたがって設定することによって制御される。基本的外観、例えば同じ太さの色付きの輪郭、同じ色で太さの異なる輪郭、または同じ色と太さであるが、異なるグラテーション角度等によって分類することによって、及び、現在の外観を定義するそれぞれのパラメータを設定することで可変値および/または動画を制御することによって、いくつかのフィードバック表現のバリアントのグループを同じボタン上にまとめ、例えばこれらのオンとオフを切り替えて、それらを、場合、状態および/または用途に応じて変更することが可能である。一方で、このようにして同じボタン上で表現可能な状態の数を増やすことができ、他方で、ハードウェアとソフトウェアの両方によって基本的なグラフィカルユーザインタフェースをサポートしながら、装置間で異なって見えるようにすることが可能である。
【0015】
この点において、前記少なくとも1つの動画パラメータが、少なくとも、以下のパラメータ、即ち、アクティブエレメントを取り囲むフレームが現れるときの色、および/またはグラデーションが開始時並びに終了時のグラデーション色として使用する色のペアを定義する色パラメータ、フィードバック表現のバリアントの動画の速度を定義する速度パラメータ、アクティブエレメントを取り囲むフレームの太さを定義する罫線太さパラメータ、フィードバック表現のバリアントの動画の輪郭の大きさを設定する大きさパラメータ、および/またはフィードバック表現のバリアントの動画の可視性を制御するイネーブルパラメータを含んでいると有利である。
【0016】
前述のように、複数のフィードバック表現のバリアントのグループを同じアクティブエレメントに設定するステップを提供することは、いくつかの点で有利である。
【0017】
これに加えて、好ましくは、現在トリガされているイベントに割り当てられない予備の表現バリアントが、例外的なイベントの状態が発生した場合に、設定されているフィードバック表現のバリアントを通常以上にさらに強力にするエスカレーションステップにおいて使用可能に維持される。実際には、現在トリガされているイベントおよび/またはその状態に起因しない緊急停止状態、コンポーネントの不具合、制御の不安定化、および即時注意喚起の必要性といった予見しない例外が発生しうる。通常の制御およびフィードバック表現以上のことが可能であることは、このような場合に即座に使用者の注意を引くのを助けるために有利である。
【0018】
また、好ましくは、トリガされたイベントが完了したという状態を検出したときに、アクティブエレメントでのフィードバック表現をリセットする別のステップがある。これによって、フィードバック表現のすべての動画もまた停止され、使用者は容易に、そのイベントが終了または完了したことを知り、および/または現在イベントが処理されていないことを認識できる。
【0019】
本発明の他の態様によれば、追跡可能なイベントの状態を提供するコンポーネントと、グラフィカルユーザインタフェースであって、装置内の1以上のイベントをトリガし、且つ、1以上の追跡されたイベントの状態の動画によるフィードバックを装置の使用者に提示するように構成された1以上のアクティブエレメントを含むグラフィカルユーザインタフェースと、を備える血液浄化装置は、先行するステップの1つによる方法を実行するように構成される。有利な点として、方法は、サポートするハードウェアを備え、且つ、その方法を実行するように構成された何れの血液浄化または腎治療装置または機械でも実行できる。
【0020】
以下に本発明を、その好ましい実施形態に基づき、添付の図面を参照しながらより詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】好ましい実施形態において、血液浄化装置のグラフィカルユーザインタフェースにおけるアクティブエレメントでユーザフィードバックを制御する動作フローのフローチャートを概略的に示す。
【
図2】この実施形態において実行される制御による使用者へのフィードバック表現を概略的に例示する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
一般に、好ましい実施形態に関して、その構成は基本的に、具現化された血液浄化装置のフィードバック方法から恩恵を受ける血液浄化装置/機械または血液浄化関連装置に提供されるサポート用ハードウェアに依存する。したがって、このようなハードウェアは、特に、その状態またはステータスを問い合わせ、ポーリングし、サンプリングすることができ、または装置の動作中に特定の値を供給できるセンサ、検出器、ポンプ、フィルタ、および各種のその他のプロセスおよび測定手段、および、このように問い合わせが行われたステータスおよび/または値を処理して、その処理の結果に基づく出力を生成するように構成された適当な手段を備えることができる。
【0023】
図1は、好ましい実施形態において、血液浄化装置のグラフィカルユーザインタフェース上のアクティブエレメントでのユーザフィードバックを制御する血液浄化装置における動作フローのフローチャートを概略的に示す。
【0024】
ステップS10では、制御が開始された後で、血液浄化装置のグラフィカルユーザインタフェース上のアクティブエレメントが使用者によって押下される、又は触れられる。それに応じて、アクティブエレメントは、好ましくはボタンまたはキーの表現とすることができる。
【0025】
ステップS20では、血液浄化装置の中で、そのアクティブエレメントに関連付けられたイベントがトリガされる。トリガされたイベントは、アクティブエレメントを押すことによって制御可能な何れの機能とすることもできる。例えば、コンポーネントへの電源の供給および/またはコンポーネントの電源からの遮断、機械的に結合または連結されたコンポーネントおよび/またはアクチュエータの始動、停止、および/または移動、および/または、ソフトウェアルーティンの呼び出しであって、その後、制御を引き継ぎ、他のイベントをトリガし得るソフトウェアルーティンの呼び出し、等を含んでいてもよく、これらに限定されない。特に適用可能な装置の機能は、それがトリガされた後、それが終了するまで、いくつかの状態を取りうるようなものであってもよく、いくつかの状態はその後、使用者に対して、それに関連付けられたアクティブエレメントの異なるフィードバック状態として提示されてもよい。
【0026】
次のステップS30では、トリガされたイベントのステータスが装置の内部で追跡される。ステータスの追跡は、装置の中で提供される何れかの適当な処理環境によって行われ、それ自体は本開示の主旨ではない。
【0027】
追跡されたステータスは、次のステップS40に適当な形態で表示され、その中で、関連するアクティブエレメントでのユーザフィードバックは、追跡されたステータスに応じて制御される。血液浄化装置内で追跡されたステータスは、例えば輸液プロセスに関わるポンプの速度および/または量に関係していてもよいが、これらに限定されない。
【0028】
この例において、ポンプ速度は例えば、所定の下限、所定の上限、および下限と上限との間の中間速度、または所定の選択可能速度の数であってもよい。換言すれば、グラフィカルユーザインタフェースにおけるアクティブエレメントに割り当てられた機能、装置エレメントまたはアクチュエータは、N個の区別可能な状態を有していてもよい。この実施形態において、3つの状態A、B、Cが数Nの例示的な表現である。
【0029】
3つの状態A、B、およびCを例として、ステップS40は次にステップS50、ステップS60、およびステップS70に進み、そこで、現在追跡されているステータスが状態またはステータスAであるか、状態またはステータスBであるか、または状態またはステータスCであるかがチェックされる。ステップS50〜S70でのチェックの結果に応じて、アクティブエレメントは、ステップS80でユーザフィードバックのバリアントAに、ステップS90でユーザフィードバックのバリアントBに、またはステップS100でユーザフィードバックのバリアントCに設定される。
【0030】
一般に、アクティブエレメントで利用可能なフィードバックのバリアントの数は、割り当てられた装置エレメントが取りうる状態の数に対応する。しかしながら、いわば「予備」または「非常に重要」なバリアントを追加で提供することも可能であり、これは、例えば、以下の場合、即ち、予想しない、容認できない、および/または追跡できない状態を阻止しなければならない場合、または、追加で供給される何らかの入力、おそらく緊急または安全に関する信号またはイベントにより、それ自体が通常のフィードバックを素早くエスカレートさせて、使用者の注意を即時に引こうとする場合に有益でありうる。
【0031】
現在適用可能なフィードバックがステップS80〜S100の1つにおいてアクティブエレメントに設定された後、プロセスはステップS110へと進む。ステップS110では、当初トリガされたイベントが完了したか否かが確認される。完了したイベントは最終化されたとみなされ、それ以上、状態は追跡されず、アクティブエレメントの制御を当面停止できる。
【0032】
イベントが完了していれば、プロセスはステップS120に進み、そこで、アクティブエレメントとその表示されたフィードバックはそれぞれ標準構成にリセットされる。標準構成は特に、アクティブエレメントが押されていない状態に対応してもよく、これはアイドル状態と同様であり、使用者が再びアクティブエレメントを押すと、そこからフローが新たに始まり、ステップS10が実行される。
【0033】
ステップS110では、イベントが完了していないことがわかると、プロセスはステップS30に戻り、そこでトリガされたイベントのステータスの追跡が継続される。イベントが完了しないかぎり、ステップS50〜S110はその後繰り返されて、アクティブエレメントでのユーザフィードバックが最後の通過以降に発生した状態変化に合わせて調整される。このような状態の変化は、例えば装置の制御が不安定になり、何れかの箇所の偏差の原因となった場合にセルフトリガ式に発生してもよいし、またはイベントが完了する前にアクティブエレメントがトリガし直された場合にも発生してもよい点に留意されたい。後者の場合、当然のことながら、アクティブエレメントは、マニュアルリスタートおよび/または停止機能および/またはマルチステップ(上下)機能を含み、アクティブエレメントを、それを最初に押した後に操作することにより、イベント状態を能動的に変えられるようになっていてもよい。
【0034】
ステップS120に続くステップS130は、終了ステップまたは回帰ステップであり、当該ステップでは、プロセスは、グラフィカルユーザインタフェース上のアクティブエレメントを押すことにより再び実行できる状態に戻る。
【0035】
図2を参照すると、この実施形態において実行される制御による使用者に対するフィードバックの提示が、例として長方形に基づいて概略的に例示されている。しかしながら、当然のことながら、長方形以外の様々な表現が可能である。
【0036】
この好ましい実施形態において、動画はアクティブエレメントとしてのボタンの上または周囲に設置される。動画はボタンの輪郭を沿っていて、辺が色付けされ(図中、色自体は示されていない)、および/または動画とされ、中央は透明でボタンが見えるようになっている。
【0037】
図2によれば、この動画のための各種の考えうる形態、すなわちバリアントの例には例えば、罫線の太さが一定でグラデーション角度が回転するグラデーション色のフレーム、動画とボタンそのものの形状は同じであるが、動画が半透明で、その色および/またはそのパターンが変化する、動画とボタンそのものの形状は同じであるが、動画が半透明であり、ボタンが3Dで押され、解放されたかのような錯視を生じる、等が含まれる。
【0038】
動画を制御して各種の形態、すなわちバリアントを表現するために、動画パラメータの基本セットがステップS40で選択されてもよく、そのバリアントは、ステップS80〜S100において状態に応じて設定されてよい。換言すれば、ステップS40は動画の基本外観を選択してもよく、ステップS80〜S100は、判断された状態に応じて基本外観を変更してもよい。あるいは、ステップS40は準備機能を含んでいてもよく、ステップS80〜S100は、設定され、出力される動画を完全に制御できる状態にあってもよい。
【0039】
それによって、動画パラメータの例として、ただしこれに限定されないが、色パラメータは、フレームが出現するときの色、または、グラデーションが、開始時並びに終了時のグラレーション色としてどの色ペアを使用するかを定義する。速度パラメータは、動画の速度を定義できる。0に設定されるとフレームは静止し、0以外に設定されるとフレームはグラデーション角度を回転させるか、色の不透明性の値を0から100に、およびその反対に周期的に変化させて点滅効果を提供する。罫線太さパラメータは、フレームの太さの画素数を定義する。大きさパラメータは、動画の輪郭(例えば、長方形、円形、楕円形、またはその他)の大きさを設定する。イネーブルパラメータは、動画の可視性を制御するために使用される。イネーブルパラメータが1に設定されると、動画は動くと共に視認可能となり、0に設定されると、動画は見えなくなる。
【0040】
以下の項目は、本出願時の特許請求の範囲に記載の要素である。
[項目1]
血液浄化装置のイベントの状態に関する動画によるフィードバックを提供する方法であって、
前記装置のグラフィカルユーザインタフェース上のアクティブエレメントが押された状態を検出するステップと、
前記アクティブエレメントが押された前記状態の前記検出に応答して、前記装置のイベントをトリガするステップと、
前記トリガされたイベントのステータスを追跡するステップであって、前記イベントの複数の状態を検出するステップを含み、検出されたイベントの状態の各々に前記アクティブエレメントでのフィードバック表現のバリアントが割り当てられるステップと、
前記アクティブエレメントでの前記フィードバック表現のバリアントを、前記検出されたイベントの状態にしたがってユーザフィードバック表示として設定するステップと、
を含む方法。
[項目2]
検出されたイベントの状態に割り当てられたフィードバック表現のバリアントの各々は、前記イベントがトリガされた前記アクティブエレメントで、前記アクティブエレメントを取り囲むように設定される、項目1に記載の方法。
[項目3]
検出されたイベントの状態に割り当てられたフィードバック表現のバリアントの各々は、前記イベントがトリガされた前記アクティブエレメントで、前記アクティブエレメントを、色、太さ、および/または不透明性グラデーション角度が変化するように取り囲む方法で設定される、項目1または2に記載の方法。
[項目4]
フィードバック表現のバリアントが基本外観によって分類され、あるグループ内の前記基本外観の動画は、各イベント状態および前記基本外観の変更を検出したときに、動画パラメータの少なくとも1つを、変化したイベント状態の検出および設定された少なくとも1つの動画パラメータにしたがって設定することにより制御される、項目1〜3の何れか1項に記載の方法。
[項目5]
前記少なくとも1つの動画パラメータは、アクティブエレメントを取り囲むフレームが出現するときの色、またはグラデーションが開始時並びに終了時のグラデーション色として使用する色ペアを定義する色パラメータ、フィードバック表現のバリアントの動画の速度を定義する速度パラメータ、前記アクティブエレメントを取り囲むフレームの太さを定義する罫線太さパラメータ、前記フィードバック表現のバリアントの動画の輪郭の大きさを設定する大きさパラメータ、および/または前記フィードバック表現のバリアントの動画の可視性を制御するイネーブルパラメータを含む、項目4に記載の方法。
[項目6]
複数のフィードバック表現のバリアントのグループは同じアクティブエレメントに設定可能である、項目4に記載の方法。
[項目7]
現在トリガされているイベントに割り当てられない予備の表現バリアントが、例外的なイベント状態が発生した場合に、前記設定されたフィードバック表現のバリアントを通常以上に強化するエスカレーションステップにおいて使用可能な状態に維持される、項目1〜6の何れか1項に記載の方法。
[項目8]
前記トリガされたイベントが完了したという状態を検出したときに、前記アクティブエレメントでの前記フィードバック表現をリセットするステップを備える、項目1〜7の何れか1項に記載の方法。
[項目9]
追跡可能なイベント状態を提供するコンポーネントと、グラフィカルユーザインタフェースであって、前記装置内の1以上のイベントをトリガし、且つ、前記1以上の追跡されたイベント状態の動画によるフィードバックを前記装置の使用者に提示するように構成された1以上のアクティブエレメントを含むグラフィカルユーザインタフェースと、を備える血液浄化装置において、先行するステップの1つによる前記方法を実行するように構成されている血液浄化装置。
【0041】
本発明を好ましい実施形態と添付の図面に関して説明したが、当然のことながら、本発明はこの好ましい実施形態に関して開示された具体的な詳細にいかようにも限定されず、本明細書で提示された教示に基づいて当業者にとって容易に明らかとなる変更はすべて、添付の特許請求の範囲により定義される保護範囲の中に含まれるとみなされる。