(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6592351
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20191007BHJP
B08B 3/12 20060101ALI20191007BHJP
G03F 1/82 20120101ALI20191007BHJP
【FI】
H01L21/304 642E
H01L21/304 648K
B08B3/12 A
G03F1/82
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-243308(P2015-243308)
(22)【出願日】2015年12月14日
(65)【公開番号】特開2017-112140(P2017-112140A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2018年6月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(72)【発明者】
【氏名】長良 修治
(72)【発明者】
【氏名】福井 孝司
(72)【発明者】
【氏名】武知 圭
【審査官】
加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−209086(JP,A)
【文献】
特開平11−176781(JP,A)
【文献】
特表2009−536450(JP,A)
【文献】
特開2001−358108(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B08B 3/12
G03F 1/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理液で基板を処理する基板処理装置において、
処理液を貯留し、基板を浸漬させて基板に対して処理を行う処理槽と、
前記処理槽内の処理液に超音波振動を付与する超音波振動付与手段と、
を備え、
前記処理槽は、処理液に対して耐性を有する樹脂製の側壁部と、処理液に対して耐性を有するとともに、前記超音波振動付与手段の超音波振動の透過性を有するシリコン製の底板とで構成され、
前記超音波振動付与手段の超音波振動を伝播する伝播水を貯留している伝播槽をさらに備え、
前記処理槽は、少なくとも前記底板が前記伝播槽の伝播水に浸漬された状態で配置され、
前記超音波振動付与手段は、前記伝播槽の底面に付設され、
前記伝播槽は、前記底板を除く構成に対して前記超音波振動付与手段からの超音波振動が付与されることを抑制するシールドを備えていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記底板は、前記超音波振動付与手段の振動面に対して傾斜していることを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板処理装置において、
前記底板は、処理液に耐性を有するパッキンを介して前記側壁部に対して取り付けられていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記底板は、前記超音波振動付与手段から付与される超音波の波長の半分の厚さを有することを特徴とする基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ、液晶ディスプレイ用基板、プラズマディスプレイ用基板、有機EL用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスプレイ用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、太陽電池用基板(以下、単に基板と称する)に対して、超音波振動を付与して処理を行う基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置として、基板を洗浄するための処理液を貯留する洗浄槽と、洗浄槽内の処理液に対して超音波振動を付与する超音波振動部とを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。洗浄槽は、処理液に耐性を有するフッ素樹脂製の側壁部と、処理液に耐性を有するとともに、超音波振動の透過性に優れたアモルファスカーボンまたは炭化ケイ素系のカーボン系材料で形成された底板部とを有する。
【0003】
洗浄槽の処理液に基板が浸漬され、超音波振動部を作動させると、超音波振動が底板部を透過して処理液に付与され、処理液に浸漬された基板に対して処理液及び超音波振動による処理が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3948960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
【0006】
すなわち、従来の装置は、底板部が超音波振動によって振動されるので、底板部の素材の成分が処理液中に溶出して基板が汚染される恐れがあるという問題がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、基板の汚染を防止できる基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
【0009】
すなわち、請求項1に記載の発明は、処理液で基板を処理する基板処理装置において、処理液を貯留し、基板を浸漬させて基板に対して処理を行う処理槽と、前記処理槽内の処理液に超音波振動を付与する超音波振動付与手段と、を備え、前記処理槽は、処理液に対して耐性を有する樹脂製の側壁部と、処理液に対して耐性を有するとともに、前記超音波振動付与手段の超音波振動の透過性を有するシリコン製の底板とで構成され
、前記超音波振動付与手段の超音波振動を伝播する伝播水を貯留している伝播槽をさらに備え、前記処理槽は、少なくとも前記底板が前記伝播槽の伝播水に浸漬された状態で配置され、前記超音波振動付与手段は、前記伝播槽の底面に付設され、前記伝播槽は、前記底板を除く構成に対して前記超音波振動付与手段からの超音波振動が付与されることを抑制するシールドを備えていることを特徴とすることを特徴とするものである。
【0010】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、処理液に耐性を有する側壁部と、処理液に耐性を有するとともに、超音波振動の透過性を有するシリコン製の底板とで処理槽を構成している。したがって、超音波振動付与手段で振動を付与して底板から成分が処理液中に溶出しても、基板と同じシリコンであるので、基板が汚染されるのを防止できる。
また、伝播槽に取り付けた超音波振動付与手段の超音波振動が伝播水を介して処理槽内の処理液に対して付与されるので、処理槽への直接的な超音波振動付与手段の取り付けを考慮する必要がない。したがって、超音波振動付与手段を処理槽に直接的に取り付ける際の技術的な制限を受けずに、自由度を高く超音波振動付与手段を伝播槽に取り付けることができる。さらに、シールドは、超音波振動付与手段からの超音波振動が、処理槽に設けられたバルブや配管、底板の取り付け機構などに付与されることを抑制できる。したがって、それらに対して超音波振動が悪影響を与えることを防止できる。
【0011】
(削除)
【0012】
(削除)
【0013】
また、本発明において、前記底板は、前記超音波振動付与手段の振動面に対して傾斜していることが好ましい(請求項3)。
【0014】
底板が超音波振動付与手段の振動面に対して傾斜しているので、超音波振動付与手段の振動面から発生した超音波振動が底板で反射して、再び超音波振動付与手段に戻って悪影響を与えることを防止できる。
【0015】
また、本発明において、前記底板は、処理液に耐性を有するパッキンを介して前記側壁部に対して取り付けられていることが好ましい(請求項4)。
【0016】
側壁部と底板との連結箇所における液漏れを防止することができる。また、処理液による腐食等がパッキンによって防止できるので、長期にわたり底板を側壁部に安定的に取り付けることができる。
【0017】
また、本発明において、前記底板は、前記超音波振動付与手段から付与される超音波の波長の半分の厚さを有することが好ましい(請求項5)。
【0018】
超音波が底板を透過する際に減衰しないので、効率的に超音波振動を処理液に付与できる。
【0019】
(削除)
【0020】
(削除)
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る基板処理装置によれば、処理液に耐性を有する側壁部と、処理液に耐性を有するとともに、超音波振動の透過性を有するシリコン製の底板とで処理槽を構成している。したがって、超音波振動付与手段で振動を付与して底板から成分が処理液中に溶出しても、基板と同じシリコンであるので、基板が汚染されるのを防止できる。
また、伝播槽に取り付けた超音波振動付与手段の超音波振動が伝播水を介して処理槽内の処理液に対して付与されるので、処理槽への直接的な超音波振動付与手段の取り付けを考慮する必要がない。したがって、超音波振動付与手段を処理槽に直接的に取り付ける際の技術的な制限を受けずに、自由度を高く超音波振動付与手段を伝播槽に取り付けることができる。さらに、シールドは、超音波振動付与手段からの超音波振動が、処理槽に設けられたバルブや配管、底板の取り付け機構などに付与されることを抑制できる。したがって、それらに対して超音波振動が悪影響を与えることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図3】第1の変形例に係る基板処理装置の側面図である。
【
図4】第2の変形例に係る基板処理装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の一実施例について説明する。
【0024】
図1は、実施例に係る基板処理装置の正面図であり、
図2は、実施例に係る基板処理装置の側面図である。
【0025】
実施例に係る基板処理装置は、複数枚の基板Wに対して処理液による処理を行うものであって、その際に、超音波振動を付与することができるものである。本基板処理装置は、特に基板Wとしてシリコンを素材とするシリコンウエハを処理するのに好適なものである。
【0026】
基板処理装置は、処理槽1と、オーバフロー槽3とを備えている。処理槽1は、側壁部5と、底板7とを備え、処理液を貯留する。オーバフロー槽3は、処理槽1の上縁から溢れた処理液を回収する。
【0027】
処理槽1は、正面から見て両側の底部側に噴出管9が取り付けられている。この噴出管9は、処理槽1の底板7の中央部に向かって処理液を噴出する。噴出管9は、複数枚の基板Wの配列方向に沿って長軸を有する。
【0028】
処理槽1の側壁部5は、処理液に耐性を有するフッ素樹脂で構成されている。フッ素樹脂としては、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)が利用可能であるが、処理液に耐性があって一定以上の強度を有するものであれば、他のフッ素樹脂も利用可能である。
【0029】
底板7は、シリコン製である。底板7は、正面から見て中央部が最も低く、両端部に向かって底面が高い位置になるように傾斜している。この傾斜は、後述する超音波振動部33の振動面に対して傾いていればよい。この傾斜により、超音波振動部33の振動面33aから発生した超音波振動が底板7で反射したとしてもその反射波が斜め方向に向かうようにしている。これにより、反射波が直接的に再び超音波振動部33に戻って悪影響を与えることを防止できる。
【0030】
底板7は、シリコン製であるので、例えば、中央部の下面と両端部の上面との間隔の厚さを有するシリコン製の板材を切削して形成する。なお、強度を考慮すると、多結晶シリコンであることが好ましい。底板7は、後述する超音波振動部33を駆動するための周波数の半波長に相当する厚さにすることが好ましい。例えば、素材として使用するシリコン中の音速が8500m/sで、超音波振動部33の周波数が950KHzの場合には4.5mm程度、周波数が730KHzの場合には5.8mm程度である。このような周波数の半波長に相当する厚さとすることにより、超音波振動が底板7で減衰することを抑制できるので、効率的に超音波振動を処理液に付与できる。
【0031】
底板7は、例えば、取付部13により一部噴出管9を介して側壁部5の下部に取り付けられている。この取付部13は、底板7の上面に配置されたパッキン15と、底板7の下面に配置されたパッキン17と、パッキン17の下面に配置された第1のシールド19と、パッキン15,17、底板7、第1のシールド19を噴出管9または側壁部5に固定するネジ21とを備えている。パッキン15は、処理液に耐性を有し、噴出管9または側壁部5に対して底板7を液密にする。また、処理液による腐食等がパッキン15によって防止できるので、長期にわたり底板7を側壁部5に安定的に取り付けることができる。パッキン15は、例えば、フッ素樹脂製のゴム、あるいはパーフロロエラストマーよりなる。パッキン17は、後述する伝播水に耐性を有する。パッキン17も、フッ素樹脂製のゴム、あるいはパーフロロエラストマーよりなる。第1のシールド19は、例えば、ステンレス製であり、平面視でパッキン15,17を覆う大きさを有する。この第1のシールド19は、超音波振動がパッキン15,17に付与されることを抑制できるので、超音波振動による液密が破れるなどの悪影響を防止できる。なお、超音波振動は、直進性が強く、側方からは回り込みにくいので、第1のシールド19がパッキン15,17の側方を覆う必要はない。なお、取付部13のネジ21は、
図1および
図2にそれぞれ2本づつしか描いていないが、底板7の液密性と強度を維持できるよう、それぞれの辺に沿って必要数を適宜配置すればよい。
【0032】
処理槽1の前部(
図1の手前側、
図2の右側)には、急速排水機構23が設けられている。この急速排水機構23は、正面側の側壁部5に形成された排水孔(不図示)の開閉を制御する。急速排水機構23が非作動とされた状態では、処理槽1内に処理液が貯留されるが、急速排水機構23が作動された状態では、処理槽1内に貯留している処理液が急速に排水される。
【0033】
処理槽1には、リフタ25が設けられている。このリフタ25は、処理槽1の内部にあたる処理位置(
図1及び
図2にて実線で示す位置)と、処理槽1の上方にあたる待機位置(
図1及び
図2にて二点鎖線で示す位置)とにわたって昇降可能に構成されている。リフタ25は、処理槽1の内壁に沿って配置された背板27と、この背板27の下部にて水平方向に延出された支持部29とを備えている。支持部29は、基板Wの下縁中央部の端縁と、基板Wの下縁斜め下方部の両端縁との三点を当接して、基板Wを起立姿勢で支持する。
【0034】
処理槽1の下部には、伝播槽31が設けられている。伝播槽31の下面中央部には、超音波振動部33が取り付けられている。超音波振動部33は、伝播槽31の下面に形成された開口にはめ込まれ、超音波振動部33の上部周囲に形成されたフランジ33bと伝搬槽31の前記開口の周囲とを適宜のネジ等の締着機構(図示省略)によって固定して取り付けられ、その振動面33aが伝搬槽31内に位置した状態とされている。伝播槽31に超音波振動部33を取り付けるので、超音波振動部33を処理槽1に直接的に取り付ける際の技術的な制限を受けずに、自由度を高く超音波振動部33を伝播槽31に取り付けることができる。伝播槽31の手前側底部には、伝播水を伝播槽31に供給するための供給管35が設けられている。伝播槽31は、伝播水を貯留し、上述した処理槽1の少なくとも底板7が伝播水の液面より下方に位置する高さ位置となるように処理槽1の下部に配置されている。超音波振動部33は、その振動面33aが超音波振動を発生する。発生した超音波振動は伝搬槽31内の伝搬水を介して底板7に伝搬し、底板7を透過してさらに処理槽1内の処理液に伝搬する。処理液に伝搬した超音波振動は、その物理的作用と処理液の化学的作用とが相まって、リフタ25に保持されて処理液に浸漬されている基板に対して洗浄等の処理を施す。
【0035】
伝播槽31は、内壁に第2のシールド37が取り付けられている。その高さ位置は、処理槽1の第1のシールド19の下面より下である。第2のシールド37は、例えば、ステンレス製であり、鍔状のシールド部39と開口部41とからなり、平面視では額縁状を呈する。
【0036】
第2のシールド37のシールド部39は、伝播槽31の内壁面から伝播槽31の中央部に向かって先下がりとなっている。換言すると、開口部41に向かって下に傾斜した傾斜姿勢とされている。これにより、超音波振動部33からの超音波振動がシールド部39で反射したとしても、その反射波が斜め方向に向かうようにしている。これにより、反射波が直接的に超音波振動部33に反射して超音波振動部33に悪影響を与えることを防止できる。このシールド部39は、下方から見た場合に、取付部13と急速排水機構23が遮られるように構成されている。つまり、超音波振動部33からの超音波振動が取付部13や急速排水機構23に付与されないように第2のシールド35が配置されている。したがって、取付部13の取り付けが緩んだり、急送排水機構23の開閉部が緩んだりするような悪影響を防止できる。
【0037】
上述した噴出管9への処理液の供給や、供給管35への伝播水の供給は、供給部43によって行われる。噴出管9へ供給される処理液としては、例えば、アンモニアと過酸化水素水との混合液(APMまたはSC1とも呼ばれる)や、塩酸と過酸化水素水との混合液(HPMまたはSC2とも呼ばれる)、希釈されたフッ化水素酸(DHFとも呼ばれる)などがある。供給管35へ供給される伝播水としては、例えば、純水が挙げられる。
【0038】
上述したリフタ25は、モータなどの駆動手段を備えた昇降部45によって昇降される。上記の超音波振動部33と、供給部43と、昇降部45とは、制御部47によって統括的に制御される。制御部47は、図示しないCPUやメモリなどで構成されており、処理手順を規定したレシピに応じて各部を操作する。
【0039】
上述したように構成された基板処理装置は、例えば、次のようにして基板Wを処理する。
【0040】
まず、制御部47は、供給部43を操作して伝播槽31に伝播水を供給する。供給量は、少なくとも底板7が伝播槽31における伝播水の液面より下になるようにすればよい。次いで、制御部47は、供給部43を操作して処理槽1に処理液を供給し、処理液が処理槽1からオーバフロー槽3に溢れた後、支持部29に複数枚の基板Wを支持したリフタ25を、待機位置から
図1及び
図2に示す処理位置にまで下降させる。そして、超音波振動部33を所定の周波数で駆動させ、超音波振動を処理槽1内の処理液に付与する。これを所定時間だけ維持することにより、処理液と超音波振動による処理を基板Wに対して行わせる。
【0041】
本実施例によると、処理液に耐性を有する側壁部5と、処理液に耐性を有するとともに、超音波振動の透過性に優れたシリコン製の底板7とで処理槽1を構成している。したがって、超音波振動部33で振動を付与して底板7から成分が処理液中に溶出しても、基板Wと同じシリコンであるので、基板Wが汚染されるのを防止できる。その結果、基板Wを清浄に処理することができる。
【0042】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0043】
(1)上述した実施例では、底板7は、正面から見て中央部が最も低く、両端部に向かって底面が上昇するように傾斜して構成されている。しかしながら、本発明は、このような底板7の形状に限定されない。例えば、
図3に示すように構成してもよい。なお、
図3は、第1の変形例に係る基板処理装置の側面図である。
【0044】
この基板処理装置は、底板7が平板で構成されている。急速排水機構23側の取付部13におけるパッキン15を反対側の取付部13のパッキン15よりも厚くして、急速排水機構23側が低くなるように底板7が取り付けられている。このように構成しても、超音波振動部33の振動面から発生した超音波振動が底板7で反射して、再び超音波振動部33に戻って悪影響を与えることを防止できる。しかも、底板7が平板で構成されているので、加工が容易で製造コストを抑制できる。なお、このように平板の底板7を傾斜させて取り付ける変形例としては、
図3に示す構成に限らず、例えば、パッキン15として厚みの均一なものを用い、他方、噴出管19を構成する部材の高さ方向の厚みを
図3中の左側が小さく、右側が厚いものとして、底板7を傾斜させる構成としてもよい。あるいは、側壁部5の高さを変えることで底板7を傾斜させる構成としてもよい。
【0045】
(2)上述した実施例では、伝播槽31を介して処理槽1に超音波振動を付与しているが、本発明はこのような形態に限定されない。例えば、
図4に示すように構成してもよい。なお、
図4は、第2の変形例に係る基板処理装置の正面図である。
【0046】
この基板処理装置は、伝播槽31を備えず、処理槽1の底部に超音波振動部33からの振動を直接的に底板7に伝搬させている。シリコン製の底板7は、樹脂製に比較して脆いので、底板7に直接ネジ止めなどの手段により取り付け固定するのではなく、例えば、取付部13に取り付けられたステー51により超音波振動部33を底板7に押圧して密着するように取り付ける。このような構成であっても、上述した実施例と同様に基板Wの汚染を防止することができる。
【0047】
(3)上述した実施例では、伝播槽31に第2のシールド37を配置しているが、本発明はこの構成を必須とするものではない。例えば、超音波振動が加わっても悪影響が及ぶような構成がない場合には、省略することができる。
【0048】
(4)上述した実施例では、底板7の厚さが、超音波振動部33を駆動するための周波数の半波長に相当する厚さに設定されているが、本発明はこのような厚さにすることが必須ではない。例えば、底板7で超音波が減衰しても処理槽1に対して処理に十分な超音波振動が伝達する場合には、このような厚さに設定する必要はない。
【符号の説明】
【0049】
W … 基板
1 … 処理槽
3 … オーバフロー槽
5 … 側壁部
7 … 底板
9 … 噴出管
13 … 取付部
15,17 … パッキン
19 … 第1のシールド
21 … ネジ
23 … 急速排水機構
25 … リフタ
31 … 伝播槽
33 … 超音波振動部
33a … 振動面
37 … 第2のシールド
39 … シールド部
41 … 開口部
43 … 供給部
45 … 昇降部
47 … 制御部