(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の化合物が、極大吸収波長が300nm以上、550nm以下であるキノフタロン化合物、極大吸収波長が300nm以上、550nm以下であるペリレン化合物、及び極大吸収波長が300nm以上、550nm以下であるイソインドリノン化合物からなる群から選択された少なくとも1種である、請求項1に記載の合わせガラス用中間膜。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る合わせガラス用中間膜(以下、中間膜と略記することがある)は、熱可塑性樹脂と、黄色系色素及び赤色系色素から選ばれる少なくとも1種の第1の化合物と、青色系色素及び紫色系色素から選ばれる少なくとも1種の第2の化合物とを含む。さらに、本発明では、上記青色系色素及び上記紫色系色素はそれぞれ、極大吸収波長が550nm以上、750nm以下である色素である。本発明では、特定の上記第1の化合物と、特定の上記第2の化合物とを組み合わせて用いている。さらに、本発明では、上記第1の化合物の含有量の上記第2の化合物の含有量に対する比(第1の化合物の含有量/第2の化合物の含有量)は0.5以上である。
【0022】
本発明では、上述した構成が備えられているので、波長430nmの光線の透過率を低くすることができ、更に低い刺激純度を達成することができる。熱可塑性樹脂と上記第1の化合物と上記第2の化合物とを併用すること、かつ上記比(第1の化合物の含有量/第2の化合物の含有量)を0.5以上とすることで、波長430nmの光線の透過率を低くすることができ、更に、低い刺激純度を達成することができることが本発明者により見出された。また、熱可塑性樹脂と上記第1の化合物と上記第2の化合物とを併用するだけでなく、上記比(第1の化合物の含有量/第2の化合物の含有量)を0.5以上とすることで、上記比(第1の化合物の含有量/第2の化合物の含有量)が0.5未満である場合と比べて、波長430nmの光線の透過率、及び刺激純度を効果的に低くすることができる。
【0023】
波長430nmの光線の透過率を効果的に低くし、更に低い光線の透過率と低い刺激純度をバランス良く達成する観点からは、上記比(第1の化合物の含有量/第2の化合物の含有量)は好ましくは1.0以上、好ましくは50以下、より好ましくは25以下、更に好ましくは5.0以下である。
【0024】
以下、本発明に係る中間膜に用いることができる各材料を詳細に説明する。
【0025】
(熱可塑性樹脂)
上記中間膜に含まれている熱可塑性樹脂は特に限定されない。上記熱可塑性樹脂として、従来公知の熱可塑性樹脂を用いることが可能である。上記熱可塑性樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0026】
上記熱可塑性樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂及びポリビニルアルコール樹脂等が挙げられる。これら以外の熱可塑性樹脂を用いてもよい。
【0027】
上記熱可塑性樹脂は、ポリビニルアセタール樹脂であることが好ましい。ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との併用により、合わせガラス部材又は他の中間膜に対する本発明に係る中間膜の接着力がより一層高くなる。
【0028】
上記ポリビニルアセタール樹脂は、例えば、ポリビニルアルコールをアルデヒドによりアセタール化することにより製造できる。上記ポリビニルアルコールは、例えば、ポリ酢酸ビニルをけん化することにより製造できる。上記ポリビニルアルコールのけん化度は、一般に70〜99.9モル%の範囲内である。
【0029】
上記ポリビニルアルコールの平均重合度は、好ましくは200以上、より好ましくは500以上、好ましくは3500以下、より好ましくは3000以下、更に好ましくは2500以下である。上記平均重合度が上記下限以上であると、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。上記平均重合度が上記上限以下であると、中間膜の成形が容易になる。
【0030】
上記ポリビニルアルコールの平均重合度は、JIS K6726「ポリビニルアルコール試験方法」に準拠した方法により求められる。
【0031】
上記ポリビニルアセタール樹脂に含まれているアセタール基の炭素数は特に限定されない。上記ポリビニルアセタール樹脂を製造する際に用いるアルデヒドは特に限定されない。上記ポリビニルアセタール樹脂におけるアセタール基の炭素数は3又は4であることが好ましい。上記ポリビニルアセタール樹脂におけるアセタール基の炭素数が3以上であると、中間膜のガラス転移温度が充分に低くなる。
【0032】
上記アルデヒドは特に限定されない。上記アルデヒドとして、一般には、炭素数が1〜10のアルデヒドが好適に用いられる。上記炭素数が1〜10のアルデヒドとしては、例えば、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド及びベンズアルデヒド等が挙げられる。なかでも、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド又はn−バレルアルデヒドが好ましく、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド又はイソブチルアルデヒドがより好ましく、n−ブチルアルデヒドが更に好ましい。上記アルデヒドは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0033】
上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率(水酸基量)は、好ましくは15モル%以上、より好ましくは18モル%以上、好ましくは40モル%以下、より好ましくは35モル%以下である。上記水酸基の含有率が上記下限以上であると、中間膜の接着力がより一層高くなる。また、上記水酸基の含有率が上記上限以下であると、中間膜の柔軟性が高くなり、中間膜の取扱いが容易になる。
【0034】
上記ポリビニルアセタール樹脂の水酸基の含有率は、水酸基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。上記水酸基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6726「ポリビニルアルコール試験方法」に準拠して又はASTM D1396−92に準拠して、測定することにより求めることができる。
【0035】
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度(アセチル基量)は、好ましくは0.1モル%以上、より好ましくは0.3モル%以上、更に好ましくは0.5モル%以上、好ましくは30モル%以下、より好ましくは25モル%以下、更に好ましくは20モル%以下である。上記アセチル化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセチル化度が上記上限以下であると、中間膜及び合わせガラスの耐湿性が高くなる。
【0036】
上記アセチル化度は、主鎖の全エチレン基量から、アセタール基が結合しているエチレン基量と、水酸基が結合しているエチレン基量とを差し引いた値を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。上記アセタール基が結合しているエチレン基量は、例えば、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠して又はASTM D1396−92に準拠して測定できる。
【0037】
上記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度(ポリビニルブチラール樹脂の場合にはブチラール化度)は、好ましくは60モル%以上、より好ましくは63モル%以上、好ましくは85モル%以下、より好ましくは75モル%以下、更に好ましくは70モル%以下である。上記アセタール化度が上記下限以上であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が高くなる。上記アセタール化度が上記上限以下であると、ポリビニルアセタール樹脂を製造するために必要な反応時間が短くなる。
【0038】
上記アセタール化度は、アセタール基が結合しているエチレン基量を、主鎖の全エチレン基量で除算して求めたモル分率を百分率で示した値である。
【0039】
上記アセタール化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法又はASTM D1396−92に準拠した方法により、アセチル化度と水酸基の含有率とを測定し、得られた測定結果からモル分率を算出し、次いで、100モル%からアセチル化度と水酸基の含有率とを差し引くことにより算出され得る。
【0040】
なお、上記水酸基の含有率(水酸基量)、アセタール化度(ブチラール化度)及びアセチル化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定された結果から算出することが好ましい。ポリビニルアセタール樹脂がポリビニルブチラール樹脂である場合は、上記水酸基の含有率(水酸基量)、アセタール化度(ブチラール化度)及びアセチル化度は、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」に準拠した方法により測定された結果から算出することが好ましい。
【0041】
(可塑剤)
中間膜の接着力をより一層高める観点からは、本発明に係る中間膜は、可塑剤を含むことが好ましい。中間膜に含まれている熱可塑性樹脂が、ポリビニルアセタール樹脂である場合に、中間膜は、可塑剤を含むことが特に好ましい。
【0042】
上記可塑剤は特に限定されない。上記可塑剤として、従来公知の可塑剤を用いることができる。上記可塑剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0043】
上記可塑剤としては、例えば、一塩基性有機酸エステル及び多塩基性有機酸エステル等の有機エステル可塑剤、並びに有機リン酸可塑剤及び有機亜リン酸可塑剤などの有機リン酸可塑剤等が挙げられる。なかでも、有機エステル可塑剤が好ましい。上記可塑剤は液状可塑剤であることが好ましい。
【0044】
上記一塩基性有機酸エステルとしては、特に限定されず、例えば、グリコールと一塩基性有機酸との反応によって得られたグリコールエステル、並びにトリエチレングリコール又はトリプロピレングリコールと一塩基性有機酸とのエステル等が挙げられる。上記グリコールとしては、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びトリプロピレングリコール等が挙げられる。上記一塩基性有機酸としては、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプチル酸、n−オクチル酸、2−エチルヘキシル酸、n−ノニル酸及びデシル酸等が挙げられる。
【0045】
上記多塩基性有機酸エステルとしては、特に限定されず、例えば、多塩基性有機酸と、炭素数4〜8の直鎖又は分岐構造を有するアルコールとのエステル化合物が挙げられる。上記多塩基性有機酸としては、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸等が挙げられる。
【0046】
上記有機エステル可塑剤としては、特に限定されず、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジカプリレート、トリエチレングリコールジ−n−オクタノエート、トリエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ−n−ヘプタノエート、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルカルビトールアジペート、エチレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,3−プロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、1,4−ブチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート、ジプロピレングリコールジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコールジ−2−エチルペンタノエート、テトラエチレングリコールジ−2−エチルブチレート、ジエチレングリコールジカプリエート、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ヘキシルシクロヘキシル、アジピン酸ヘプチルとアジピン酸ノニルとの混合物、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ヘプチルノニル、セバシン酸ジブチル、油変性セバシン酸アルキド、及びリン酸エステルとアジピン酸エステルとの混合物等が挙げられる。これら以外の有機エステル可塑剤を用いてもよい。
【0047】
上記有機リン酸可塑剤としては、特に限定されず、例えば、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート及びトリイソプロピルホスフェート等が挙げられる。
【0048】
上記可塑剤は、下記式(1)で表されるジエステル可塑剤であることが好ましい。
【0050】
上記式(1)中、R1及びR2はそれぞれ、炭素数5〜10の有機基を表し、R3は、エチレン基、イソプロピレン基又はn−プロピレン基を表し、pは3〜10の整数を表す。上記式(1)中のR1及びR2はそれぞれ、炭素数6〜10の有機基であることが好ましい。
【0051】
上記可塑剤は、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)又はトリエチレングリコールジ−2−エチルブチレートを含むことが好ましく、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエートを含むことがより好ましい。
【0052】
上記可塑剤の含有量は特に限定されない。上記熱可塑性樹脂100重量部に対して、上記可塑剤の含有量は、好ましくは25重量部以上、より好ましくは30重量部以上、好ましくは60重量部以下、より好ましくは50重量部以下である。上記可塑剤の含有量が上記下限以上であると、合わせガラスの耐貫通性がより一層高くなる。上記可塑剤の含有量が上記上限以下であると、中間膜の透明性がより一層高くなる。
【0053】
(第1の化合物)
上記第1の化合物は、黄色系色素及び赤色系色素から選ばれる少なくとも1種である。上記黄色系色素及び上記赤色系色素はそれぞれ、極大吸収波長が300nm以上、550nm以下である色素であることが好ましい。上記極大吸収波長が300nm以上、550nm以下である色素は、極大吸収波長が300nm以上、550nm以下であるキノフタロン化合物、極大吸収波長が300nm以上、550nm以下であるペリレン化合物、及び極大吸収波長が300nm以上、550nm以下であるイソインドリノン化合物からなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。上記中間膜は、上記第1の化合物として、上記キノフタロン化合物を含んでいてもよく、上記ペリレン化合物を含んでいてもよく、上記イソインドリノン化合物を含んでいてもよい。上記中間膜は、上記第1の化合物として、上記キノフタロン化合物及び上記ペリレン化合物の内の少なくとも1種を含んでいてもよい。上記第1の化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0054】
本発明における第1の化合物及び第2の化合物の極大吸収波長は、例えば、以下の方法によって測定できる。クロロホルム100重量部に対して、第1の化合物又は第2の化合物0.002重量部を混合し、クロロホルム溶液を得る。得られるクロロホルム溶液を光路長1.0mmの分光光度計用石英セルへ入れる。自記分光光度計(日立製作所社製「U4100」)を用いて、波長300〜2500nmにおける透過率を測定し、極大吸収波長を求める。なお、本明細書において極大吸収波長とは、第1の化合物の場合は波長300〜550nmにおける透過率が極小値を示す波長であって、且つ、該極小値が最小である波長、すなわち最大吸収波長のことを指し、第2の化合物の場合は波長300〜2500nmにおける透過率が極小値を示す波長であって、且つ、該極小値が最小である波長、すなわち最大吸収波長のことを指す。
【0055】
上記キノフタロン化合物としては、キノフタロン及びキノフタロンの誘導体が挙げられる。上記キノフタロン化合物及び上記キノフタロンの誘導体はそれぞれ、キノフタロン骨格を有することが好ましい。上記ペリレン化合物としては、ペリレン及びペリレンの誘導体が挙げられる。上記ペリレン化合物及び上記ペリレンの誘導体はそれぞれ、ペリレン骨格を有することが好ましい。上記イソインドリノン化合物としては、イソインドリノン及びイソインドリノンの誘導体が挙げられる。上記イソインドリノン化合物及び上記イソインドリノンの誘導体はそれぞれ、イソインドリノン骨格を有することが好ましい。
【0056】
上記中間膜100重量%中、上記第1の化合物の含有量(全体の含有量)は好ましくは0.0003重量%以上、より好ましくは0.003重量%以上、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.05重量%以下である。また、上記中間膜100重量%中、上記キノフタロン化合物の含有量、上記ペリレン化合物の含有量及び上記イソインドリノン化合物の含有量はそれぞれ、好ましくは0.0003重量%以上、より好ましくは0.0006重量%以上、更に好ましくは0.003重量%以上、特に好ましくは0.006重量%以上、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.4重量%以下、更に好ましくは0.05重量%以下、特に好ましくは0.04重量%以下である。これらの各含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、波長430nmの光線の透過率を効果的に低くし、更に低い刺激純度をバランス良く達成することができる。
【0057】
(第2の化合物)
上記第2の化合物は、青色系色素及び紫色系色素から選ばれる少なくとも1種である。上記青色系色素及び上記紫色系色素はそれぞれ、極大吸収波長は550nm以上、750nm以下である色素である。上記極大吸収波長が550nm以上、750nm以下である色素としては、極大吸収波長が550nm以上、750nm以下であるフタロシアニン化合物、極大吸収波長が550nm以上、750nm以下であるナフタロシアニン化合物及び極大吸収波長が550nm以上、750nm以下であるテトラアザポルフィリン化合物からなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。上記中間膜は、上記第2の化合物として、上記フタロシアニン化合物を含んでいてもよく、上記ナフタロシアニン化合物を含んでいてもよく、上記テトラアザポルフィリン化合物を含んでいてもよい。上記中間膜は、上記第2の化合物として、上記フタロシアニン化合物及び上記テトラアザポルフィリン化合物の内の少なくとも1種を含んでいてもよい。上記第2の化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0058】
また、上記中間膜は、上記第2の化合物として、フタロシアニン化合物及びナフタロシアニン化合物の内の少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0059】
上記フタロシアニン化合物としては、フタロシアニン及びフタロシアニンの誘導体が挙げられる。上記ナフタロシアニン化合物としては、ナフタロシアニン及びナフタロシアニンの誘導体が挙げられる。上記フタロシアニン化合物及び上記フタロシアニンの誘導体はそれぞれ、フタロシアニン骨格を有することが好ましい。上記ナフタロシアニン化合物及び上記ナフタロシアニンの誘導体はそれぞれ、ナフタロシアニン骨格を有することが好ましい。
【0060】
上記フタロシアニン化合物及び上記ナフタロシアニン化合物はそれぞれ、バナジウム原子又は銅原子を含有することが好ましく、銅原子を含有することがより好ましい。上記フタロシアニン化合物及び上記ナフタロシアニン化合物はそれぞれ、バナジウム原子を含有していてもよい。上記フタロシアニン化合物は、バナジウム原子又は銅原子を含有するフタロシアニン及びバナジウム原子又は銅原子を含有するフタロシアニンの誘導体の内の少なくとも1種であることが好ましく、銅原子を含有するフタロシアニン及び銅原子を含有するフタロシアニンの誘導体の内の少なくとも1種であることがより好ましい。中間膜及び合わせガラスの遮熱性を更に一層高くする観点からは、上記フタロシアニン化合物及び上記ナフタロシアニン化合物はそれぞれ、銅原子に酸素原子が結合した構造単位を有することが好ましい。
【0061】
上記テトラアザポルフィリン化合物としては、テトラアザポルフィリン及びテトラアザポルフィリンの誘導体が挙げられる。上記テトラアザポルフィリン化合物及び上記テトラアザポルフィリンの誘導体はそれぞれ、テトラアザポルフィリン骨格を有することが好ましい。
【0062】
上記中間膜100重量%中、上記第2の化合物の含有量(全体の含有量)は好ましくは0.0001重量%以上、より好ましくは0.001重量%以上、好ましくは1.0重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下である。また、上記中間膜100重量%中、上記フタロシアニン化合物の含有量、上記ナフタロシアニン化合物の含有量、上記テトラアザポルフィリン化合物の含有量はそれぞれ、好ましくは0.0001重量%以上、より好ましくは0.001重量%以上、好ましくは1.0重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下である。また、上記フタロシアニン化合物及び上記ナフタロシアニン化合物の内の少なくとも1種の含有量(全体の含有量)は、それぞれ、好ましくは0.0001重量%以上、より好ましくは0.001重量%以上、好ましくは1.0重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下である。これらの各含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、波長430nmの光線の透過率を効果的に低くし、更に低い刺激純度をバランス良く達成することができる。
【0063】
上記中間膜100重量%中、上記第1の化合物と上記第2の化合物との合計の含有量は好ましくは0.001重量%以上、より好ましくは0.005重量%以上、より一層好ましくは0.01重量%以上、更に好ましくは0.02重量%以上、更に一層好ましくは0.03重量%以上、特に好ましくは0.04重量%以上である。上記第1の化合物と上記第2の化合物との合計の含有量が上記好ましい下限以上であれば、波長430nmの光線の透過率をより一層低くすることができる。上記中間膜100重量%中、上記第1の化合物と上記第2の化合物との合計の含有量は好ましくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下、より一層好ましくは0.1重量%以下、更に好ましくは0.05重量%以下、更に一層好ましくは0.04重量%以下、特に好ましくは0.026重量%以下、最も好ましくは0.02重量%以下である。上記第1の化合物と上記第2の化合物との合計の含有量が上記好ましい上限以下であれば、刺激純度をより一層低くすることができる。
【0064】
(紫外線遮蔽剤)
上記中間膜は、紫外線遮蔽剤を含むことが好ましい。紫外線遮蔽剤の使用により、中間膜及び合わせガラスが長期間使用されても、可視光線透過率がより一層低下し難くなる。なお、可視光線透過率は、例えば、380〜780nmの可視光線透過率であり、この範囲全体での可視光線透過率は高いことが望ましい。上記紫外線遮蔽剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0065】
上記紫外線遮蔽剤には、紫外線吸収剤が含まれる。上記紫外線遮蔽剤は、紫外線吸収剤であることが好ましい。
【0066】
上記紫外線遮蔽剤としては、例えば、金属系紫外線遮蔽剤、金属酸化物系紫外線遮蔽剤、ベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤、ベンゾフェノン系紫外線遮蔽剤、トリアジン系紫外線遮蔽剤、マロン酸エステル系紫外線遮蔽剤、シュウ酸アニリド系紫外線遮蔽剤及びベンゾエート系紫外線遮蔽剤等が挙げられる。
【0067】
上記金属系紫外線吸収剤としては、例えば、白金粒子、白金粒子の表面をシリカで被覆した粒子、パラジウム粒子及びパラジウム粒子の表面をシリカで被覆した粒子等が挙げられる。紫外線遮蔽剤は、遮熱粒子ではないことが好ましい。
【0068】
上記紫外線遮蔽剤は、好ましくはベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤、ベンゾフェノン系紫外線遮蔽剤、トリアジン系紫外線遮蔽剤又はベンゾエート系紫外線遮蔽剤であり、より好ましくはベンゾトリアゾール系紫外線遮蔽剤又はベンゾフェノン系紫外線遮蔽剤であり、更に好ましくはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤である。
【0069】
上記金属酸化物系紫外線吸収剤としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン及び酸化セリウム等が挙げられる。さらに、上記金属酸化物系紫外線吸収剤に関して、表面が被覆されていてもよい。上記金属酸化物系紫外線吸収剤の表面の被覆材料としては、絶縁性金属酸化物、加水分解性有機ケイ素化合物及びシリコーン化合物等が挙げられる。
【0070】
上記絶縁性金属酸化物としては、シリカ、アルミナ及びジルコニア等が挙げられる。上記絶縁性金属酸化物は、例えば5.0eV以上のバンドギャップエネルギーを有する。
【0071】
上記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「TinuvinP」)、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin320」)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin326」)、及び2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製「Tinuvin328」)等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が挙げられる。紫外線を吸収する性能に優れることから、上記紫外線遮蔽剤はハロゲン原子を含むベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であることが好ましく、塩素原子を含むベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であることがより好ましい。
【0072】
上記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、オクタベンゾン(BASF社製「Chimassorb81」)等が挙げられる。
【0073】
上記トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、ADEKA社製「LA−F70」及び2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール(BASF社製「Tinuvin1577FF」)等が挙げられる。
【0074】
上記マロン酸エステル系紫外線遮蔽剤としては、2−(p−メトキシベンジリデン)マロン酸ジメチル、テトラエチル−2,2−(1,4−フェニレンジメチリデン)ビスマロネート、2−(p−メトキシベンジリデン)−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル4−ピペリジニル)マロネート等が挙げられる。
【0075】
上記マロン酸エステル系紫外線遮蔽剤の市販品としては、Hostavin B−CAP、Hostavin PR−25、Hostavin PR−31(いずれもクラリアント社製)が挙げられる。
【0076】
上記シュウ酸アニリド系紫外線遮蔽剤としては、N−(2−エチルフェニル)−N’−(2−エトキシ−5−t−ブチルフェニル)シュウ酸ジアミド、N−(2−エチルフェニル)−N’−(2−エトキシ−フェニル)シュウ酸ジアミド、2−エチル−2’−エトキシ−オキシアニリド(クラリアント社製「SanduvorVSU」)などの窒素原子上に置換されたアリール基などを有するシュウ酸ジアミド類が挙げられる。
【0077】
上記ベンゾエート系紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート(BASF社製「Tinuvin120」)等が挙げられる。
【0078】
上記中間膜における上記紫外線遮蔽剤の含有量は特に限定されない。期間経過後の可視光線透過率の低下をより一層抑制する観点からは、上記中間膜100重量%中、上記紫外線遮蔽剤の含有量は、好ましくは0.07重量%以上、より好ましくは0.14重量%以上、更に好ましくは0.2重量%以上、特に好ましくは0.35重量%以上、好ましくは1.6重量%以下、より好ましくは1.3重量%以下、更に好ましくは0.7重量%以下、特に好ましくは0.6重量%以下である。特に、上記中間膜100重量%中、上記紫外線遮蔽剤の含有量が0.14重量%以上であることにより、中間膜及び合わせガラスの期間経過後の可視光線透過率の低下を顕著に抑制できる。同様に、期間経過後の可視光線透過率の低下をより一層抑制する観点からは、上記熱可塑性樹脂100重量部に対して、上記紫外線遮蔽剤の含有量は、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.2重量部以上、更に好ましくは0.3重量部以上、特に好ましくは0.5重量部以上、好ましくは2.5重量部以下、より好ましくは2重量部以下、更に好ましくは1重量部以下、特に好ましくは0.8重量部以下である。特に、上記熱可塑性樹脂100重量部に対して、上記紫外線遮蔽剤の含有量が0.2重量部以上であることにより、中間膜及び合わせガラスの期間経過後の可視光線透過率の低下を顕著に抑制できる。
【0079】
(酸化防止剤)
上記中間膜は酸化防止剤を含むことが好ましい。上記酸化防止剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0080】
上記酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤等が挙げられる。上記フェノール系酸化防止剤はフェノール骨格を有する酸化防止剤である。上記硫黄系酸化防止剤は硫黄原子を含有する酸化防止剤である。上記リン系酸化防止剤はリン原子を含有する酸化防止剤である。
【0081】
上記酸化防止剤は、フェノール系酸化防止剤又はリン系酸化防止剤であることが好ましい。
【0082】
上記フェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェノール)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス(3,3’−t−ブチルフェノール)ブチリックアッシドグリコールエステル及びビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンゼンプロパン酸)エチレンビス(オキシエチレン)等が挙げられる。これらの酸化防止剤の内の1種又は2種以上が好適に用いられる。
【0083】
上記リン系酸化防止剤としては、トリデシルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリノニルフェニルホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(デシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)エチルエステル亜リン酸、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、及び2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチル−1−フェニルオキシ)(2−エチルヘキシルオキシ)ホスホラス等が挙げられる。これらの酸化防止剤の内の1種又は2種以上が好適に用いられる。
【0084】
上記酸化防止剤の市販品としては、例えば住友化学工業社製「スミライザーBHT」、チバガイギー社製「イルガノックス1010」等が挙げられる。
【0085】
中間膜及び合わせガラスの高い可視光線透過率を長期間に渡り維持するために、上記中間膜100重量%中、上記酸化防止剤の含有量は0.07重量%以上であることが好ましい。また、酸化防止剤の影響による周辺部の色変化を抑制するために、上記中間膜100重量%中、上記酸化防止剤の含有量は1.5重量%以下であることが好ましく、1.3重量%以下であることがより好ましい。同様に、中間膜及び合わせガラスの高い可視光線透過率を長期間に渡り維持するために、上記熱可塑性樹脂100重量部に対する、上記酸化防止剤の含有量は0.1重量部以上であることが好ましい。また、酸化防止剤の影響による周辺部の色変化を抑制するために、上記熱可塑性樹脂100重量部に対する、上記酸化防止剤の含有量は2重量部以下であることが好ましく、1.8重量部以下であることがより好ましい。
【0086】
(他の成分)
上記中間膜は、必要に応じて、光安定剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料、染料、耐湿剤、接着力調整剤、蛍光増白剤及び赤外線吸収剤等の添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0087】
(合わせガラス用中間膜)
上記中間膜の厚みは特に限定されない。実用面の観点、並びに遮熱性を充分に高める観点からは、中間膜の厚みは、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.25mm以上、好ましくは3mm以下、より好ましくは1.5mm以下である。中間膜の厚みが上記下限以上であると、合わせガラスの耐貫通性が高くなる。
【0088】
上記中間膜の製造方法は特に限定されない。該中間膜の製造方法として、従来公知の方法を用いることができる。例えば、熱可塑性樹脂と上記第1の化合物と上記第2の化合物と必要に応じて配合される他の成分とを混練し、中間膜を成形する製造方法等が挙げられる。連続的な生産に適しているため、押出成形する製造方法が好ましい。
【0089】
上記混練の方法は特に限定されない。この方法として、例えば、押出機、プラストグラフ、ニーダー、バンバリーミキサー又はカレンダーロール等を用いる方法が挙げられる。なかでも、連続的な生産に適しているため、押出機を用いる方法が好適であり、二軸押出機を用いる方法がより好適である。
【0090】
(合わせガラス)
図1は、本発明の一実施形態に係る合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスの一例を断面図である。
【0091】
図1に示す合わせガラス1は、中間膜2と、第1の合わせガラス部材21と、第2の合わせガラス部材22とを備える。中間膜2は単層の中間膜である。中間膜2は、合わせガラスを得るために用いられる。中間膜2は、合わせガラス用中間膜である。
【0092】
中間膜2は、第1の合わせガラス部材21と第2の合わせガラス部材22との間に配置されており、挟み込まれている。中間膜2の第1の表面2a(一方の表面)に、第1の合わせガラス部材21が積層されている。中間膜2の第1の表面2aとは反対の第2の表面2b(他方の表面)に、第2の合わせガラス部材22が積層されている。
【0093】
図2は、本発明の一実施形態に係る合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスの変形例を断面図である。
【0094】
図2に示す合わせガラス11は、中間膜12と、第1の合わせガラス部材21と、第2の合わせガラス部材22とを備える。中間膜12は、多層の中間膜である。中間膜12は、合わせガラスを得るために用いられる。中間膜12は、合わせガラス用中間膜である。
【0095】
中間膜12は、第1の層13(中間膜)、第2の層14(中間膜)及び第3の層15(中間膜)の3つの中間膜がこの順で積層された構造を有する。本実施形態では、第2の層14は、遮音層である。第2の層14として、本発明の一実施形態に係る中間膜が用いられている。第1,第3の層13,15は、保護層である。第1,第3の層13,15も、本発明の実施形態に係る中間膜であってもよい。
【0096】
中間膜12は、第1の合わせガラス部材21と第2の合わせガラス部材22との間に配置されており、挟み込まれている。第2の層14(中間膜)が、第1,第3の層13,15を介して、第1の合わせガラス部材21と第2の合わせガラス部材22との間に配置されている。第1の層13の外側の表面13aに第1の合わせガラス部材21が積層されている。第3の層15の外側の表面15aに第2の合わせガラス部材22が積層されている。
【0097】
このように、本発明に係る合わせガラスは、第1の合わせガラス部材と、第2の合わせガラス部材と、本発明に係る合わせガラス用中間膜とを備えており、上記合わせガラス用中間膜が、上記第1の合わせガラス部材と上記第2の合わせガラス部材との間に配置されている。上記合わせガラスは、中間膜として、本発明に係る合わせガラス用中間膜のみを備えていてもよく、本発明に係る合わせガラス用中間膜と他の合わせガラス用中間膜とを備えていてもよい。上記合わせガラスは、本発明に係る合わせガラス用中間膜を少なくとも含む。
【0098】
上記合わせガラス部材としては、ガラス板及びPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等が挙げられる。合わせガラスには、2枚のガラス板の間に中間膜が挟み込まれている合わせガラスだけでなく、ガラス板とPETフィルム等との間に中間膜が挟み込まれている合わせガラスも含まれる。合わせガラスは、ガラス板を備えた積層体であり、少なくとも1枚のガラス板が用いられていることが好ましい。上記第1の合わせガラス部材及び上記第2の合わせガラス部材がそれぞれガラス板又はPETフィルムであり、上記第1の合わせガラス部材及び上記第2の合わせガラス部材の内の少なくとも一方が、ガラス板であることが好ましい。
【0099】
上記ガラス板としては、無機ガラス及び有機ガラスが挙げられる。上記無機ガラスとしては、フロート板ガラス、熱線吸収板ガラス、熱線反射板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、及び線入り板ガラス等が挙げられる。上記有機ガラスは、無機ガラスに代用される合成樹脂ガラスである。上記有機ガラスとしては、ポリカーボネート板及びポリ(メタ)アクリル樹脂板等が挙げられる。上記ポリ(メタ)アクリル樹脂板としては、ポリメチル(メタ)アクリレート板等が挙げられる。
【0100】
上記合わせガラス部材の厚みは、好ましくは1mm以上、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。また、上記合わせガラス部材がガラス板である場合に、該ガラス板の厚みは、好ましくは1mm以上、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。上記合わせガラス部材がPETフィルムである場合に、該PETフィルムの厚みは、好ましくは0.03mm以上、好ましくは0.5mm以下である。
【0101】
上記合わせガラスの製造方法は特に限定されない。例えば、上記第1の合わせガラス部材と上記第2の合わせガラス部材との間に、中間膜を挟んで、押圧ロールに通したり、又はゴムバッグに入れて減圧吸引したりして、第1の合わせガラス部材と中間膜との間及び上記第2の合わせガラス部材と中間膜との間に残留する空気を脱気する。その後、約70〜110℃で予備接着して積層体を得る。次に、積層体をオートクレーブに入れたり、又はプレスしたりして、約120〜150℃及び1〜1.5MPaの圧力で圧着する。このようにして、合わせガラスを得ることができる。
【0102】
上記中間膜及び上記合わせガラスは、自動車、鉄道車両、航空機、船舶及び建築物等に使用できる。上記中間膜及び上記合わせガラスは、これらの用途以外にも使用できる。上記中間膜及び上記合わせガラスは、車両用又は建築用の中間膜及び合わせガラスであることが好ましく、車両用の中間膜及び合わせガラスであることがより好ましい。上記中間膜及び上記合わせガラスは、自動車のフロントガラス、サイドガラス、リアガラス又はルーフガラス等に使用できる。
【0103】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明する。本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0104】
実施例及び比較例では、以下の材料を用いた。
【0105】
熱可塑性樹脂:
PVB1(n−ブチルアルデヒドによりアセタール化されているポリビニルブチラール樹脂、平均重合度1700、水酸基の含有率30.8モル%、アセチル化度0.7モル%、ブチラール化度68.5モル%)
【0106】
なお、上記ポリビニルブチラールの水酸基の含有率、アセチル化度及びブチラール化度(アセタール化度)はASTM D1396−92に準拠した方法により測定した。なお、JIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」により測定した場合も、ASTM D1396−92に準拠した方法と同様の数値を示した。
【0107】
可塑剤:
3GO(トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート)
【0108】
第1の化合物:
Paliotol Yellow K 0961(キノフタロン化合物、BASF社製「Paliotol Yellow K 0961」、極大吸収波長425nm)
RED SG−100(ペリレン化合物、住化カラー社製「RED SG−100」、極大吸収波長475nm)
【0109】
第2の化合物:
SG−5A1257(銅フタロシアニン化合物、住化カラー社製「BLUE SG−5A1257」、極大吸収波長715nm)
TAP CTB(テトラアザポルフィリン化合物、山田化学工業社製「TAP CTB」、極大吸収波長585nm)
【0110】
(第2の化合物ではない他の化合物)
FF−IRSORB 203(ナフタロシアニン化合物、富士フィルム社製「FF−IRSORB 203」、極大吸収波長842nm)
【0111】
紫外線遮蔽剤:
Tinuvin326(2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、BASF社製「Tinuvin326」)
【0112】
酸化防止剤:
H−BHT(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、堺化学工業社製「H−BHT」)
【0113】
(実施例1)
中間膜の作製:
ポリビニルブチラール樹脂(PVB1)100重量部に対して、トリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)40重量部と、Paliotol Yellow K 0961(キノフタロン化合物、BASF社製「Paliotol Yellow K 0961」、極大吸収波長425nm)を得られる中間膜中で0.003重量%となる量と、SG−5A1257(銅フタロシアニン系化合物、住化カラー社製「BLUE SG−5A1257」)を得られる中間膜中で0.0010重量%となる量と、Tinuvin326(2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、BASF社製「Tinuvin326」)0.2重量部と、H−BHT(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、堺化学工業社製「H−BHT」)0.2重量部とを添加し、ミキシングロールで充分に混練し、組成物を得た。
【0114】
得られた組成物を押出機により押出して、単層の中間膜(厚み0.76mm)を得た。
【0115】
合わせガラスの作製:
2枚の透明フロート板ガラス(厚み2.5mm)の間に、得られた中間膜(厚み0.76mm)を配置して、耐熱性のテープを用いてずれることがないように固定して、積層体を得た。
【0116】
得られた積層体を真空バッグに設置し、常温(23℃)で933.2hPaの減圧度にて真空バッグ内の脱気を行った。続いて、脱気状態を維持したままで、真空バッグを100℃まで昇温し、温度が100℃まで到達した後20分間保持した。その後、真空バッグを自然冷却により冷却し、温度が30℃まで低下したことを確認し、圧力を大気圧に開放した。
【0117】
上記真空バッグ法により仮圧着された合わせガラスを、オートクレーブを用いて、135℃、圧力1.2MPaの条件で20分間圧着し、合わせガラスを得た。
【0118】
なお、以下に示す評価試験を行うために、300mm×300mmの大きさの合わせガラス、並びに50mm×50mmの大きさの合わせガラスを作製した。
【0119】
(実施例2〜36及び比較例1〜30)
配合成分の種類及び含有量を下記の表1,2,3に示すように設定したこと以外は実施例1と同様にして、単層の中間膜を作製した。得られた中間膜を用いて、実施例1と同様にして、中間膜を備えた合わせガラスを作製した。
【0120】
(評価)
(1)極大吸収波長の測定方法
クロロホルム100重量部に対して、第1の化合物、第2の化合物又は第2の化合物ではない他の化合物0.002重量部を混合し、クロロホルム溶液を得た。得られたクロロホルム溶液を光路長1.0mmの分光光度計用石英セルへ入れた。自記分光光度計(日立製作所社製「U4100」)を用いて、300〜2500nm透過率を測定し、極大吸収波長を求めた。測定値は、上記の材料の欄に記載した。
【0121】
(2)波長430nmの光線の透過率
自記分光光度計(日立製作所社製「U4100」)を用いて、50mm×50mmの大きさの合わせガラスの波長300〜2500nmでの透過率を測定した。JIS R3211(1998)に準拠して、波長430nmの光線の透過率を算出した。
【0122】
(3)刺激純度
分光光度計(日立製作所製「U4100」)を用いて、合わせガラスの300〜2500nm透過率を測定した。JIS Z8701(1999)に準拠して、C光XYZ表色系刺激純度を算出した。
【0123】
結果を下記の表1,2,3に示す。下記の表1,2,3において、配合量の重量部は、熱可塑性樹脂100重量部に対する配合量を示し、配合量のwt%は、中間膜100重量%中での配合量を示す。