特許第6592392号(P6592392)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6592392
(24)【登録日】2019年9月27日
(45)【発行日】2019年10月16日
(54)【発明の名称】塗装金属帯製造設備
(51)【国際特許分類】
   B08B 1/04 20060101AFI20191007BHJP
【FI】
   B08B1/04
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-68341(P2016-68341)
(22)【出願日】2016年3月30日
(65)【公開番号】特開2017-177006(P2017-177006A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2018年7月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】714003416
【氏名又は名称】日鉄日新製鋼株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100179914
【弁理士】
【氏名又は名称】光永 和宏
(72)【発明者】
【氏名】岩弘 尚典
(72)【発明者】
【氏名】成松 紘史
【審査官】 山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−258951(JP,A)
【文献】 特開2000−334364(JP,A)
【文献】 特開2005−058071(JP,A)
【文献】 特開平06−304537(JP,A)
【文献】 特開平07−096320(JP,A)
【文献】 特開2007−269239(JP,A)
【文献】 特開平06−304538(JP,A)
【文献】 特開平02−227177(JP,A)
【文献】 特開2010−218018(JP,A)
【文献】 米国特許第05337767(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属帯に塗装を施して塗装金属帯を製造する塗装金属帯製造設備であって、
搬送ラインを搬送される前記金属帯の表面に対向して配置され、前記金属帯に近づく方向及び前記金属帯から離れる方向に変位可能に構成されたゴミ取りロールと、
金属帯の種類、塗膜の種類及び保証外観品質レベルの少なくとも1つに基づいて設定される前記塗装金属帯の品種を示す品種情報に基づいて前記金属帯の表面のゴミ取りを行うか否かを判定し、前記ゴミ取りを行うと判定した場合に前記金属帯の表面に前記ゴミ取りロールを押し当て、前記ゴミ取りを行わないと判定した場合に前記金属帯の表面から前記ゴミ取りロールを引き離す制御手段と
を備えていることを特徴とする塗装金属帯製造設備。
【請求項2】
前記ゴミ取りロールの洗浄を行う洗浄機構をさらに備え、
前記制御手段は、
前記金属帯の表面に前記ゴミ取りロールを押し当てた後に、前記金属帯の表面に押し当てられている前記ゴミ取りロールの使用距離が、前記品種情報に対応して設定された洗浄実施距離に達するか否かを判定し、
前記使用距離が前記洗浄実施距離に達したと判定した場合に、前記洗浄機構による前記ゴミ取りロールの洗浄を行う
ことを特徴とする請求項1記載の塗装金属帯製造設備。
【請求項3】
前記金属帯は、先行帯の尾端に後続帯の先端が溶接されたものであり、
前記制御手段は、
前記金属帯の表面に前記ゴミ取りロールを押し当てた後に、前記先行帯と前記後続帯との溶接点が前記ゴミ取りロールに接近しているか否かを判定し、
前記溶接点が前記ゴミ取りロールに接近していると判定した場合に、前記ゴミ取りロールを前記金属帯から引き離す
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の塗装金属帯製造設備。
【請求項4】
前記ゴミ取りロールは、前記金属帯に塗装を施すコータの前段に配置されている
ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の塗装金属帯製造設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属帯に塗装を施して塗装金属帯を製造する塗装金属帯製造設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来用いられていたこの種の塗装金属帯製造設備としては、例えば下記の特許文献1等に示されている塗装金属帯製造設備を挙げることができる。すなわち、従来設備では、塗料パンに貯められた塗料をピックアップロールにて汲み上げるとともに、ピックアップロールにて汲み上げられた塗料を、アプリケータロールを介して金属帯に塗布している。アプリケータロールの外周面にはブレードが押し当てられており、アプリケータロールの外周面に付着した異物がブレードによって除去されることで塗装金属帯の表面品質の向上が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−234404号公報
【特許文献2】特開2010−221196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来設備では、アプリケータロールの外周面に付着した異物を除去することで塗装金属帯の表面品質の向上を図っている。しかしながら、金属帯の表面にゴミが付着している場合にも塗装金属帯の表面品質が低下してしまう。金属帯の表面に付着したゴミを除去するために、例えば特許文献2等に示されているようなゴミ取りロールを採用することが考えられる。しかしながら、ゴミ取りロールによるゴミ取りを全品種の塗装金属帯に実施した場合、ゴミ取りロールのメンテナンスに大きなコストが生じ、塗装金属帯の製造コストを大きく増大させてしまう。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、塗装金属帯の製造コストの増大を抑えつつ、金属帯の表面に付着したゴミを除去することができる塗装金属帯製造設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る塗装金属帯製造設備は、金属帯に塗装を施して塗装金属帯を製造する塗装金属帯製造設備であって、金属帯の搬送ラインに設けられ、金属帯に近づく方向及び金属帯から離れる方向に変位可能に構成されたゴミ取りロールと、金属帯の種類、塗膜の種類及び保証外観品質レベルの少なくとも1つに基づいて設定される塗装金属帯の品種を示す品種情報に基づいて金属帯の表面のゴミ取りを行うか否かを判定し、ゴミ取りを行うと判定した場合に金属帯の表面にゴミ取りロールを押し当て、ゴミ取りを行わないと判定した場合に金属帯の表面からゴミ取りロールを引き離す制御手段とを備える。

【発明の効果】
【0007】
本発明の塗装金属帯製造設備によれば、制御手段が、塗装金属帯の品種を示す品種情報に基づいて金属帯の表面のゴミ取りを行うか否かを判定し、ゴミ取りを行うと判定した場合に金属帯の表面にゴミ取りロールを押し当て、ゴミ取りを行わないと判定した場合に金属帯の表面からゴミ取りロールを引き離すので、ゴミ取りが必要とされる金属帯のみにゴミ取りを実施でき、ゴミ取りロールのメンテナンス頻度を下げることができる。これにより、塗装金属帯の製造コストの増大を抑えつつ、金属帯の表面に付着したゴミを除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態1による塗装金属帯製造設備を示す構成図である。
図2図1のゴミ取り装置の構成を示す説明図である。
図3図2の制御手段が行うゴミ取り制御動作を示すフローチャートである。
図4図3のステップS8において行われる第1又は第2ゴミ取りロールの洗浄動作を示す説明図である。
図5図3のゴミ取り制御動作が終了される際の終了動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による塗装金属帯製造設備を示す構成図である。塗装金属帯製造設備は、金属帯1に塗装を施して塗装金属帯2を製造する設備である。金属帯1は、図示しないペイオフリールから送り出されて、図中の矢印で示す方向に沿って搬送ラインを搬送される。塗装金属帯2は、図示しない巻取ロールに巻き取られる。本実施の形態の金属帯1は、先行帯の尾端に後続帯の先端が溶接されたものであり、搬送ラインを途切れることなく搬送される。
【0010】
塗装金属帯製造設備には、コータ3、オーブン4、ウォータクエンチ5及びゴミ取り装置6が設けられている。
【0011】
コータ3は、金属帯1に塗装を施す設備である。詳細には示さないが、コータ3では、周面に塗料が付着されたロールが金属帯1に押し当てられることにより、金属帯1への塗装が行われる。
【0012】
オーブン4及びウォータクエンチ5は、コータ3にて下塗りが行われた金属帯1の塗膜を焼き付けて冷却する設備である。
【0013】
ゴミ取り装置6は、コータ3の前段(金属帯1の搬送方向に沿う上流側)に配置されている。ゴミ取り装置6は、コータ3による塗装の前に金属帯1の表面のゴミ取り(異物除去)を行う装置である。
【0014】
次に、図2は、図1のゴミ取り装置6の構成を示す説明図である。ゴミ取り装置6には、第1ゴミ取りロール61、第2ゴミ取りロール62、洗浄機構63及び制御手段64が設けられている。
【0015】
第1及び第2ゴミ取りロール61,62は、例えばゴム等の粘着性を有する素材により外周面が構成されたロール体であり、搬送ラインを搬送される金属帯1の表面に対向して配置されている。なお、第1及び第2ゴミ取りロール61,62の外周面の粘着性を向上させるほど、外周面がより柔らかくなる傾向にある。
【0016】
また、第1及び第2ゴミ取りロール61,62は、金属帯1に近づく方向及び金属帯1から離れる方向に変位可能に構成されている。詳細に説明すると、第1及び第2ゴミ取りロール61,62は、図示しない枠体に軸支されており、図示しないアクチュエータにより金属帯1に近づく方向及び金属帯から離れる方向に枠体とともに変位可能とされている。
【0017】
第1及び第2ゴミ取りロール61,62のいずれか一方が金属帯1の表面に押し当てられることにより、金属帯1の表面のゴミ取りが行われる。金属帯1の表面のゴミは、金属帯1の表面に押し当てられた第1又は第2ゴミ取りロール61,62の外周面に付着する。第1及び第2ゴミ取りロール61,62の外周面は、洗浄機構63によって洗浄され得る。
【0018】
洗浄機構63には、パッド630、送出ロール631、巻取ロール632及びパッドヘッド633が含まれている。パッド630は、例えば不織布等の帯状体であり、送出ロール631から送り出されるとともに巻取ロール632に巻き取られる。パッドヘッド633は、パッド630のうら面(反ロール面)に接して配置されている。また、パッドヘッド633は、第1及び第2ゴミ取りロール61,62の外周面にパッド630を押し当てるように進退可能に構成されているとともに、パッド630に洗浄液を供給することができるように構成されている。洗浄機構63の動作については、後に説明する。
【0019】
制御手段64は、例えばコンピュータや制御回路等により構成されるものである。制御手段64には、図1に示す塗装金属帯製造設備の全体の動作を制御する上位システムから品種情報65及び溶接点位置情報66が入力される。
【0020】
品種情報65は、塗装金属帯製造設備で製造される塗装金属帯2の品種を示す情報である。塗装金属帯2の品種は、金属帯1の種類、塗膜の種類及び保証外観品質レベルの少なくとも1つに基づいて設定され得る。
【0021】
溶接点位置情報66は、金属帯1を構成する先行帯と後続帯との溶接点の位置、すなわち溶接点が塗装金属帯製造設備のどこを搬送されているかを示す情報である。
【0022】
制御手段64は、品種情報65及び溶接点位置情報66に基づいて第1及び第2ゴミ取りロール61,62並びに洗浄機構63の動作を制御する。
【0023】
次に、図3は、図2の制御手段64が行うゴミ取り制御動作を示すフローチャートである。上位システムから制御手段64に品種情報65が入力されると、制御手段64は、品種情報65に基づいて金属帯1の表面のゴミ取りを行うか否かを判定する(ステップS1)。
【0024】
ステップS1の判定時に金属帯1の表面のゴミ取りを行わないと判定した場合、制御手段64は、第1及び第2ゴミ取りロール61,62を金属帯1の表面から引き離して(ステップS2)、ゴミ取り制御動作を終了する。このゴミ取り制御動作は、上位システムから新たな品種情報65が制御手段64に入力された際に再度行われる。新たな品種情報65は、製造される塗装金属帯2が変更された際に制御手段64に入力される。
【0025】
これに対して、ステップS1の判定時に金属帯1の表面のゴミ取りを行うと判定した場合、制御手段64は、第1又は第2ゴミ取りロール61,62を金属帯1の表面に押し当てて(ステップS3)、金属帯1の表面のゴミ取りを開始する。
【0026】
また、制御手段64は、第1又は第2ゴミ取りロール61,62を金属帯1の表面に押し当てた後に、金属帯1の表面に押し当てられている第1又は第2ゴミ取りロール61,62に溶接点が接近しているか否か(第1又は第2ゴミ取りロール61,62と溶接点との離間距離が閾値を下回るか否か)を溶接点位置情報66に基づいて判定するとともに(ステップS4)、金属帯1の表面に押し当てられている第1又は第2ゴミ取りロール61,62の使用距離が洗浄実施距離に達したか否かを判定する(ステップS5)。
【0027】
これらの判定において、第1又は第2ゴミ取りロール61,62に溶接点が接近しておらず、かつ第1又は第2ゴミ取りロール61,62の使用距離が洗浄実施距離に達していないと判定された場合、その第1又は第2ゴミ取りロール61,62が金属帯1の表面に押し当てられている状態が維持される。
【0028】
ステップS4の判定において第1又は第2ゴミ取りロール61,62に溶接点が接近していると判定した場合、制御手段64は、金属帯1の表面に押し当てている第1又は第2ゴミ取りロール61,62を金属帯1から引き離し(ステップS6)、溶接点との接触により第1又は第2ゴミ取りロール61,62が損傷することを回避する。換言すれば、制御手段64は、金属帯1の表面に押し当てている第1又は第2ゴミ取りロール61,62の位置に溶接点が到達するまでの時間が、金属帯1の表面に押し当てている第1又は第2ゴミ取りロール61,62を金属帯1から引き離すために必要とされる時間を下回る前に、その第1又は第2ゴミ取りロール61,62を金属帯1から引き離す。
【0029】
ステップS6において第1又は第2ゴミ取りロール61,62を金属帯1から引き離した後、制御手段64は、溶接点が第1又は第2ゴミ取りロール61,62の位置を通過したか否かを判定する(ステップS7)。制御手段64は、溶接点が通過したと判定されるまで第1又は第2ゴミ取りロール61,62を金属帯1から引き離した状態を維持し、溶接点が通過したと判定した場合、引き離した第1又は第2ゴミ取りロール61,62を金属帯1に改めて押し当てる。
【0030】
ステップS5の判定に用いられる洗浄実施距離は、品種情報65に対応して設定されている。例えば、保証外観品質レベルが高い品種ほど、より短い洗浄実施距離を設定することができる。
【0031】
また、ステップS5の判定に用いられる第1又は第2ゴミ取りロール61,62の使用距離とは、第1又は第2ゴミ取りロール61,62がゴミ取りに使用された距離であり、第1又は第2ゴミ取りロール61,62が金属帯1の表面に押し当てられているときに、その第1又は第2ゴミ取りロール61,62の位置を通過した金属帯1の長さに相当する。
【0032】
ステップS5において使用距離が洗浄実施距離に達したと判定した場合、制御手段64は、洗浄機構63による第1又は第2ゴミ取りロール61,62の洗浄を実施する(ステップS8)。洗浄が実施された場合、ゴミ取り制御動作がステップS4に戻る。また、洗浄が実施された場合、ステップS5の判定に用いられる使用距離がリセットされる。なお、後に図を用いて説明するが、例えば第1ゴミ取りロール61により金属帯1のゴミ取りが行われているときにその使用距離が洗浄実施距離に達したと判定された場合、洗浄機構63により第1ゴミ取りロール61の洗浄が行われる。また、第1ゴミ取りロール61の洗浄が行われるとき、第1ゴミ取りロール61が金属帯1の表面から引き離される前に第2ゴミ取りロール62が金属帯1の表面に押し当てられる。
【0033】
ステップS3からステップS8までのループは、新たな品種情報65が制御手段64に入力されるか、又は外部からの停止指令が制御手段64に入力されるまで実施される。新たな品種情報65が制御手段64に入力された場合、ステップS1からゴミ取り制御動作が改めて行われる。これに対して、停止指令が制御手段64に入力された場合、ゴミ取り制御動作が終了される。
【0034】
次に、図4は、図3のステップS8において行われる第1又は第2ゴミ取りロール61,62の洗浄動作を示す説明図である。図4の(a)は、第1ゴミ取りロール61により金属帯1のゴミ取りが行われている状態を示している。このとき、第1ゴミ取りロール61の使用距離が洗浄実施距離に達すると、図4の(b)に示すように、第1ゴミ取りロール61が金属帯1に押し当てられている状態が維持されたまま、第2ゴミ取りロール62が金属帯1に押し当てられる。
【0035】
第2ゴミ取りロール62が金属帯1に押し当てられると、図4の(c)に示すように第1ゴミ取りロール61が待機位置まで下げられるとともに、図4の(d)に示すようにパッド630がパッドヘッド633とともに第1ゴミ取りロール61に押し当てられる。このとき、パッド630にはパッドヘッド633から供給された洗浄液が滲みこまされており、パッド630が押し当てられた状態で第1ゴミ取りロール61が回転されることで、第1ゴミ取りロール61の外周面に付着していたゴミがパッド630によって拭き取られる。
【0036】
その後、図4の(e)に示すように、パッドヘッド633とともにパッド630が後退される。また、ゴミの拭き取りに使用されていないパッド630の未使用領域がパッドヘッド633に接するように、送出ロール631からパッド630が送り出されるとともに、同量のパッド630が巻取ロール632に巻き取られる。
【0037】
次に、図5は、図3のゴミ取り制御動作が終了される際の終了動作を示す説明図である。図5の(a)は、第2ゴミ取りロール62により金属帯1のゴミ取りが行われている状態を示している。このとき、新たな品種情報65に基づいて金属帯1のゴミ取りを行わないと判定されるか、又は制御手段64に停止指令が入力されて、ゴミ取り制御動作が終了される場合、図5の(b)に示すように、第2ゴミ取りロール62が待機位置まで下げられる。
【0038】
第2ゴミ取りロール62が待機位置まで下げられると、図5の(c)に示すように第1ゴミ取りロール61が金属帯1への押し当て位置と待機位置との中間位置に移動されるとともに、図5の(d)に示すようにパッド630がパッドヘッド633とともに第2ゴミ取りロール62に押し当てられる。このとき、パッド630にはパッドヘッド633から供給された洗浄液が滲みこまされており、パッド630が押し当てられた状態で第2ゴミ取りロール62が回転されることで、第2ゴミ取りロール62の外周面に付着していたゴミがパッド630によって拭き取られる。
【0039】
その後、図5の(e)に示すように、パッドヘッド633とともにパッド630が後退される。また、ゴミの拭き取りに使用されていないパッド630の未使用領域がパッドヘッド633に接するように、送出ロール631からパッド630が送り出されるとともに、同量のパッド630が巻取ロール632に巻き取られる。さらに、図5の(f)に示すように、第1ゴミ取りロール61が待機位置に戻されて、終了動作が終了される。
【0040】
このような塗装金属帯製造設備では、制御手段64が、塗装金属帯2の品種を示す品種情報65に基づいて金属帯1の表面のゴミ取りを行うか否かを判定し、ゴミ取りを行うと判定した場合に金属帯1の表面にゴミ取りロール61,62を押し当て、ゴミ取りを行わないと判定した場合に金属帯1の表面からゴミ取りロール61,62を引き離すので、ゴミ取りが必要とされる金属帯1のみにゴミ取りを実施でき、ゴミ取りロール61,62のメンテナンス頻度を下げることができる。これにより、塗装金属帯2の製造コストの増大を抑えつつ、金属帯1の表面に付着したゴミを除去することができる。
【0041】
また、制御手段64が、金属帯1の表面にゴミ取りロール61,62を押し当てた後に、金属帯1の表面に押し当てられているゴミ取りロール61,62の使用距離が、品種情報65に対応して設定された洗浄実施距離に達するか否かを判定し、使用距離が洗浄実施距離に達したと判定した場合に、洗浄機構63によるゴミ取りロール61,62の洗浄を行うので、人手によりゴミ取りロール61,62の洗浄タイミングを決定する場合と比較して、より確実にゴミ取りロール61,62の外周面をゴミ取りに適した状態とすることができるとともに、管理コストを低減できる。
【0042】
さらに、制御手段64は、金属帯1の表面にゴミ取りロール61,62を押し当てた後に、先行帯と後続帯との溶接点がゴミ取りロール61,62に接近しているか否かを判定し、溶接点がゴミ取りロール61,62に接近していると判定した場合に、ゴミ取りロール61,62を金属帯1から引き離すので、溶接点との接触によりゴミ取りロール61,62が損傷することを回避でき、ゴミ取りロール61,62のメンテナンスコストを低減できる。
【0043】
さらにまた、ゴミ取りロール61,62がコータ3の前段に配置されているので、コータ3により塗装が施される前に金属帯1の表面に付着したゴミを除去でき、より確実に塗装金属帯2の表面品質を向上できる。
【0044】
なお、実施の形態では、塗装金属帯製造設備に1のコータ3が含まれているように説明したが、コータの数は任意である。同様に、ゴミ取りロールを含むゴミ取り装置の数及びゴミ取り装置に含まれるゴミ取りロールの数も任意である。
【符号の説明】
【0045】
1 金属帯
2 塗装金属帯
3 コータ
61,62 第1及び第2ゴミ取りロール
63 洗浄機構
64 制御手段
65 品種情報
図1
図2
図3
図4
図5