(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の拠点間での取扱製品の融通に対する融通基礎データ、および前記取扱製品の販売や流通に対する経営方針および販売施策に応じた会社営業戦略を表す会社営業戦略データが記憶される記憶部と、
前記融通基礎データに基づき、前記会社営業戦略データを反映した前記取扱製品の推奨供給元および輸送手段を、前記複数の拠点の中から決定する演算部と、
前記演算部により決定された前記推奨供給元および輸送手段にしたがって前記複数の拠点間で前記取扱製品を融通した場合の前記取扱製品の在庫状況の変化を表す画面を表示する画面表示部と、を備え、
前記融通基礎データは、前記複数の拠点における前記取扱製品の在庫数を表す在庫情報と、前記複数の拠点のいずれかからの前記取扱製品の発注数を表す発注情報と、前記複数の拠点間での輸送手段ごとの前記取扱製品の輸送費を表す輸送費情報と、前記取扱製品の購入単価を表す部品情報と、前記複数の拠点における前記取扱製品の滅却に要する費用である滅却費および前記複数の拠点における前記取扱製品の倉庫費を表す費用係数情報と、を含み、
前記演算部は、
前記在庫情報、前記発注情報、前記輸送費情報、前記部品情報、および前記費用係数情報に基づき、前記複数の拠点間で前記取扱製品を融通した場合の調達費、輸送費、滅却費、および倉庫費を算出し、
前記会社営業戦略データに基づいて、前記調達費、前記輸送費、前記滅却費、および前記倉庫費をそれぞれ調整することにより、前記複数の拠点間で前記取扱製品を融通した場合の融通効果を算出し、
前記融通効果に基づき前記推奨供給元および輸送手段を決定する、供給元および輸送手段決定装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施の形態)
以下、
図1〜
図18を参照して、本発明に係る供給元および輸送手段決定装置の第1の実施の形態を説明する。以下に説明する第1の実施の形態では、建設機械やマイニング機械の保守部品事業のサプライチェーンにおいて、取扱製品である保守部品の在庫補充を行う際の供給元および輸送手段を決定する装置を例に説明する。
【0010】
図1は、本実施形態の供給元および輸送手段決定装置が対象とするサプライチェーンの一例を示す図である。このサプライチェーンは、顧客へ保守部品の販売を行う符号106〜108に示す3つの販売代理店、すなわち販売代理店Aと、販売代理店Bと、販売代理店Cとを含む。また、それぞれの販売代理店から注文を受注して、それぞれの販売代理店へ部品供給する符号103〜105に示す3つの在庫拠点、すなわち在庫拠点Aと、在庫拠点Bと、在庫拠点Cとを含む。さらに3つの在庫拠点に対して保守部品を供給する機能を持つ中央倉庫102を含む。なお、以下の説明では、在庫拠点A、B、Cおよび中央倉庫102を併せて、単に「拠点」と説明する場合もある。
【0011】
中央倉庫102は、保守部品サプライヤ101から所望の保守部品を購入することができる。中央倉庫102から3つの在庫拠点への部品の輸送、および3つの在庫拠点間の部品の輸送には、複数の輸送手段の中から任意のものを用いることができる。
【0012】
本実施形態の供給元および輸送手段決定装置は、
図1のサプライチェーンにおいて、3つの在庫拠点のそれぞれに補充する保守部品を、他の在庫拠点および中央倉庫102のいずれからどの輸送手段を用いていくつ供給するかを決定する。ただし以下では3つの在庫拠点のうち在庫拠点Aの在庫補充を行う場合を代表例として説明する。すなわち以下では、在庫拠点Aに補充する保守部品を、在庫拠点B、在庫拠点C、中央倉庫102のそれぞれの拠点から、どの輸送手段を用いて、いくつ供給するかを決定する方法について説明する。
【0013】
図2は、本実施形態の供給元および輸送手段決定装置200を含む供給元および輸送手段決定システム1の構成を示す図である。供給元および輸送手段決定システム1は、中央倉庫102に備えられる供給元および輸送手段決定装置200およびユーザ端末402と、在庫拠点Aに備えられるユーザ端末403と、販売代理店Aに備えられるユーザ端末406と、在庫拠点Bに備えられるユーザ端末404と、販売代理店Bに備えられるユーザ端末406と、在庫拠点Cに備えられるユーザ端末405と、販売代理店Cに備えられるユーザ端末408と、本社機能109に備えられるユーザ端末409とを備える。なお、本社機能109は、経営全体の観点から供給元および輸送手段決定システム1による保守部品の販売や流通に対する企業戦略を立案し、その企業戦略に応じた経営方針を決定する機関である。また、各販売代理店は、本社機能109で決定される経営方針とは別に、自らの保守部品の販売に対する営業戦略を個別に立案し、その営業戦略に応じた販売施策を決定することができる。
【0014】
供給元および輸送手段決定装置200と、それぞれのユーザ端末403〜409とは、ネットワーク300を介して接続される。ユーザ端末403〜405には、中央倉庫102および在庫拠点A、B、Cでそれぞれ決定された各拠点での保守部品ごとの発注情報が入力される。供給元および輸送手段決定装置200は、ユーザ端末403〜405に入力された発注情報に基づいて、各拠点での在庫補充費用を保守部品および供給ルートごとに算出し、その算出結果に基づいて在庫補充時の供給元および輸送手段を決定する。一方、ユーザ端末406,407,408には、販売代理店A、B、Cのそれぞれで決定された販売施策が入力される。また、ユーザ端末409には、本社機能109で決定された経営方針が入力される。供給元および輸送手段決定装置200は、ユーザ端末406〜408に入力された各販売代理店の販売施策と、ユーザ端末409に入力された経営方針とに基づいて、各拠点での在庫補充費用を算出するための調整係数を決定する。本実施の形態では、販売施策と経営方針とをあわせて会社営業戦略と呼ぶ。なお、ユーザ端末403〜409にそれぞれ入力された情報は、ネットワーク300を介して供給元および輸送手段決定装置200から読み取り可能である。
【0015】
ユーザ端末402は、ユーザからの入力を受け付ける入力部451と、ユーザ端末表示部452とを備える。入力部451はたとえばマウスである。ユーザ端末表示部452はたとえば液晶ディスプレイである。ユーザは、入力部451を用いて、発注情報をユーザ端末402に入力する。ユーザ端末表示部452には、供給元および輸送手段決定装置200から送信された算出結果が表示される。なお、他のユーザ端末403〜409もユーザ端末402と同様の構成を有している。ただし、販売代理店A、B、Cにそれぞれ備えられたユーザ端末406〜408では、ユーザから入力部451を用いて各販売代理店の販売施策が入力される。また、本社機能109に備えられたユーザ端末409では、ユーザから入力部451を用いて経営方針が入力される。
【0016】
図3は、供給元および輸送手段決定装置200のハードウェア構成を示すブロック図である。供給元および輸送手段決定装置200は、供給元および輸送手段決定装置200に入力されたデータが記憶されるデータ記憶部210と、データ記憶部210に記憶されたデータに基づいて所定の演算処理を実行する演算部220と、演算部220が実行した演算の結果を前述のデータ記憶部210に記録し、かつ画面表示部240に情報を受け渡す出力部230と、前述の出力部230が出力した情報を画面表示する画面表示部240と、を備える。演算部220の処理内容は、後に
図5のフローチャートを用いて説明する。
【0017】
データ記憶部210は、不揮発性メモリまたは磁気ディスクである。演算部220は、CPUとROMとRAMを備える。演算部220のCPUが、ROMに保存されたプログラムをRAMに展開して実行することにより後述する処理が実行される。出力部230は、映像出力回路およびデータ書き込み回路を備える。ただしこれらの回路が実現する機能はソフトウエアにより代替されてもよい。
【0018】
図4は、供給元および輸送手段決定装置200が備える機能を機能ブロックとして表すとともに、データ記憶部210に記憶される情報を可視化した図である。
【0019】
演算部220は、その機能として、データ記憶部210が保持するデータに基づき演算を行う、推奨供給元および輸送手段決定部221を備える。推奨供給元および輸送手段決定部221は、保守部品を在庫補充する際の各拠点間での保守部品の推奨供給パターンとして、推奨される保守部品の供給元および輸送手段を算出する。この算出により得られる情報は、たとえば
図6に示すものである。
図6は、在庫拠点Aにおいて保守部品A〜Mを在庫補充する場合の推奨供給パターンの一例を示すものである。この推奨供給パターンでは、
図6に示すように、保守部品ごとに推奨される供給元と輸送手段が設定される。なお、推奨供給パターンは、
図7に示すように、各保守部品を在庫補充する際に取りうる供給ルートの組み合わせごとに網羅的に列挙された複数の供給パターンのうち、在庫補充費用が最も少なくなるように算出されたものである。詳しくは
図5を用いて後述する。
【0020】
出力部230は、その機能として、推奨供給元および輸送手段出力部231を備える。推奨供給元および輸送手段出力部231は、演算部220の計算結果を、後述する推奨供給情報219と後述する供給後在庫情報2110としてデータ記憶部210に記憶させる。さらに、推奨供給元および輸送手段出力部231は、データ記憶部210に記憶させた情報を画面表示部240およびユーザ端末403〜409に出力する。なおユーザ端末403〜409への情報の出力は、ネットワーク300を介して行われる。画面表示部240に表示される画面の例は、後に
図18を用いて説明する。
【0021】
図4に示すように、データ記憶部210には、在庫情報211と、発注情報212と、経営方針情報213と、販売施策情報214と、部品情報215と、リードタイム情報であるLT情報216と、費用算出に用いる費用係数情報217と、輸送費情報218と、前述の演算部220の処理結果であって推奨供給元および輸送手段に関する情報である推奨供給情報219と、推奨記憶情報219に示されているとおりに供給を行った場合の各拠点の在庫状況である供給後在庫情報2110と、を記憶することができる。本実施の形態では、在庫情報211と、発注情報212と、部品情報215と、LT情報216と、費用係数情報217と、輸送費情報218とをあわせて融通基礎データ210Aと呼び、経営方針情報213と、販売施策情報214とをあわせて会社営業戦略データ210Bと呼ぶ。すなわち、融通基礎データ210Aは、在庫補充時の複数の拠点間での保守部品の融通に対する基礎的なデータである。また、会社営業戦略データ210Bは、保守部品の流通に対する経営方針や販売施策に応じた会社営業戦略を表すデータである。
【0022】
ここで、在庫情報211の一例を
図8に、発注情報212の一例を
図9に、経営方針情報213の一例を
図10に、販売施策情報214の一例を
図11に、部品情報215の一例を
図12に、LT情報216の一例を
図13に、費用係数情報217の一例を
図14に、輸送費情報218の一例を
図15に、推奨供給情報219の一例を
図16に、供給後在庫情報2110の一例を
図17に、それぞれ示す。
【0023】
(在庫情報211)
図8は、在庫情報211の一例を示す図である。在庫情報211は、品目211−1、拠点211−2、発注点211−3、在庫数211−4、余剰在庫211−5、および在庫単価211−6のフィールドから構成される。品目211−1のフィールドには、各保守部品の品目、すなわち各保守部品の名称が格納される。拠点211−2のフィールドには、各拠点の名称が格納される。
図8の在庫情報211では、品目211−1および拠点211−2のフィールドにそれぞれ格納されたこれらの情報によって特定される保守部品と拠点の組み合わせごとに、発注点211−3、在庫数211−4、余剰在庫211−5、在庫単価211−6の各フィールドに格納される情報が設定される。具体的には、発注点211−3のフィールドには、当該拠点においてすでに発注処理がなされている当該保守部品の点数(個数)が格納される。在庫数211−4のフィールドには、当該拠点における当該保守部品の在庫数が格納される。余剰在庫211−5のフィールドには、在庫数211−4のフィールドに格納されている在庫数のうち余剰在庫数、すなわち当面の販売予定や他の拠点への供給予定がないものの数が格納される。在庫単価211−6のフィールドには、当該拠点における当該保守部品の在庫単価が格納される。
【0024】
(発注情報212)
図9は、発注情報212の一例を示す図である。発注情報212は、発注拠点212−1、品目212−2、発注数量212−3、および指定納期212−4のフィールドから構成される。これらの各フィールドに格納される情報は、ユーザがいずれかの拠点から保守部品の発注を行うごとに、その発注内容に基づいて設定される。発注拠点212−1のフィールドには、発注を行った拠点の名称が格納される。品目212−2のフィールドには、発注対象の保守部品の品目、すなわち名称が格納される。発注数量212−3のフィールドには、発注された保守部品の数量が格納される。指定納期212−4のフィールドには、当該発注で指定された保守部品の納期が格納される。ただし納期の指定がない場合は指定納期212−4のフィールドはブランクとなる。
【0025】
(経営方針情報213)
図10は、経営方針情報213の一例を示す図である。経営方針情報213は、拠点213−1、方針213−2、滅却調整213−3、輸送調整213−4、倉庫調整213−5、調達調整213−6、および選択213−7のフィールドから構成される。拠点213−1のフィールドには、各拠点の名称が格納される。方針213−2のフィールドには、拠点213−1のフィールドに格納された拠点ごとに本社機能109において設定可能な経営方針の名称が格納される。
図10の在庫情報211では、これらの情報によって特定される拠点と経営方針の組み合わせごとに、滅却調整213−3、輸送調整213−4、倉庫調整213−5、調達調整213−6の各フィールドに格納される情報が設定される。具体的には、滅却調整213−3、輸送調整213−4、倉庫調整213−5、および調達調整213−6のフィールドには、当該拠点での在庫補充費用を算出する際の当該経営方針に応じた各費目の重み付けに応じて、0以上の実数である調整係数がそれぞれ格納される。これらの調整係数は供給元および輸送手段を決定する際の在庫補充費用の算出に用いられる。これらの調整係数は、いずれもデフォルト値は1.0である。すなわち、本社機能109で経営方針に応じて、当該費目のコストを多く見積もる必要がある場合は大きな値が、反対にコストを少なく見積もる必要がある場合は小さな値が、滅却調整213−3、輸送調整213−4、倉庫調整213−5、および調達調整213−6の各フィールドに入力される。選択213−7のフィールドには、各拠点と経営方針の組み合わせに対する選択状況を示すフラグとして、0または1の値が格納される。
【0026】
本実施の形態では、選択213−7以外のフィールドの情報は予め入力されている。ユーザ端末409から経営方針が入力されると、その入力に基づき、拠点ごとにいずれか1つの経営方針に対応する行の選択213−7のフィールドが「1」に設定される。そして、選択213−7のフィールドが「1」に設定されている行の拠点213−1、方針213−2、滅却調整213−3、輸送調整213−4、倉庫調整213−5、調達調整213−6の各フィールドに格納された値が前述の演算部220で使用される。なお、本社機能109で決定された経営方針に基づき、ユーザ端末409から経営方針情報213の各フィールドに任意の値を入力することも可能である。
【0027】
(販売施策情報214)
図11は、販売施策情報214の一例を示す図である。販売施策情報214は、販売代理店214−1、方針214−2、滅却調整214−3、輸送調整214−4、倉庫調整214−5、調達調整214−6、選択214−7、および管轄在庫拠点214−8のフィールドから構成される。販売代理店214−1のフィールドには、各販売代理店の名称が格納される。方針214−2のフィールドには、販売代理店214−1のフィールドに格納された販売代理店ごとに設定可能な販売施策の名称が格納される。
図11の販売施策情報214では、
図10の経営方針情報213と同様に、これらの情報によって特定される販売代理店と販売施策の組み合わせごとに、滅却調整214−3、輸送調整214−4、倉庫調整214−5、調達調整214−6、および選択214−7の各フィールドに格納される情報が設定される。これらの各フィールドに入力される値の範囲、およびその意義は、それぞれ
図10の滅却調整213−3、輸送調整213−4、倉庫調整213−5、調達調整213−6、および選択213−7の各フィールドに入力される値の範囲、およびその意義と同様である。すなわち、滅却調整214−3、輸送調整214−4、倉庫調整214−5、調達調整214−6、および選択214−7の各フィールドには、当該販売代理店に対応する在庫拠点での在庫補充費用を算出する際の当該販売施策に応じた各費目の重み付けに応じて、0以上の実数であってデフォルト値が1.0である調整係数がそれぞれ格納される。また、選択214−7のフィールドには、各販売代理店と販売施策の組み合わせに対する選択状況を示すフラグとして、0または1の値が格納される。さらに、管轄在庫拠点214−8のフィールドには、各販売代理店がどの在庫拠点の管轄下にあるのかを示す情報が格納される。
【0028】
本実施の形態では、データ記憶部210において、
図11に示した販売施策情報214のうち選択214−7以外のフィールドの情報は予め入力されている。ユーザ端末406〜408から各販売代理店の販売施策が入力されると、その入力に基づき、販売代理店ごとにいずれか1つの販売施策に対応する行の選択214−7のフィールドが「1」に設定される。そして、選択214−7のフィールドが「1」に設定されている行の販売代理店214−1、方針214−2、滅却調整214−3、輸送調整214−4、倉庫調整214−5、および調達調整214−6の各フィールドに格納された値が前述の演算部220で使用される。なお、各販売代理店で決定された販売施策に基づき、ユーザ端末406〜408から販売施策情報214の各フィールドに任意の値を入力することも可能である。
【0029】
(部品情報215)
図12は、部品情報215の一例を示す図である。部品情報215は、品目215−1、サプライヤ購入単価215−2のフィールドから構成される。品目215−1のフィールドには、各保守部品の品目、すなわち各保守部品の名称が格納される。サプライヤ購入単価215−2のフィールドには、品目215−1のフィールドに格納された保守部品の品目ごとにサプライヤ101からの購入単価が格納される。
【0030】
(LT情報216)
図13は、LT情報216の一例を示す図である。LT情報216は、品目216−1、輸送手段216−2、供給元216−3、供給先216−4、供給リードタイムを表すLT216−5のフィールドから構成される。品目216−1のフィールドには、各保守部品の品目、すなわち各保守部品の名称が格納される。輸送手段216−2のフィールドには、利用可能な輸送手段の名称が格納される。供給元216−3のフィールドには、保守部品の供給元となる各拠点の名称が格納される。供給先216−4のフィールドには、保守部品の供給先となる各拠点の名称が格納される。
図13のLT情報216では、品目216−1、輸送手段216−2、供給元216−3および供給先216−4のフィールドにそれぞれ格納されたこれらの情報によって特定される保守部品および供給ルートの組み合わせごとに、LT216−5のフィールドに格納される情報が設定される。具体的には、LT216−5のフィールドには、品目216−1のフィールドに格納された品目を、供給元216−3のフィールドに格納された拠点から、供給先216−4のフィールドに格納された拠点へ、輸送手段216−2のフィールドに格納された輸送手段で輸送する場合のリードタイム、すなわち日数が格納される。
【0031】
(費用係数情報217)
図14は、費用係数情報217の一例を示す図である。費用係数情報217は、拠点217−1、倉庫費を求めるために用いる倉庫費係数217−2、滅却費を求めるために用いる滅却費係数217−3のフィールドから構成される。拠点217−1のフィールドには、各拠点の名称が格納される。倉庫費係数217−2および滅却費係数217−3には、拠点217−1のフィールドに格納された拠点ごとに、各保守部品の在庫単価に対する倉庫費および滅却費の割合がそれぞれ格納される。
【0032】
(輸送費情報218)
図15は、輸送費情報218の一例を示す図である。輸送費情報218は、品目218−1、輸送手段218−2、供給元218−3、供給先218−4、輸送単価218−5のフィールドから構成される。品目218−1、輸送手段218−2、供給元218−3、供給先218−4の各フィールドに格納される情報は、それぞれ
図13のLT情報216における品目216−1、輸送手段216−2、供給元216−3、供給先216−4とそれぞれ同様である。
図15の輸送費情報218では、品目218−1、輸送手段218−2、供給元218−3および供給先218−4のフィールドにそれぞれ格納されたこれらの情報によって特定される保守部品および供給ルートの組み合わせごとに、輸送単価218−5のフィールドに格納される情報が設定される。具体的には、輸送単価218−5のフィールドには、品目218−1のフィールドに格納された品目を、輸送手段218−2のフィールドに格納された輸送手段で、供給元218−3のフィールドに格納された拠点から、供給先218−4のフィールドに格納された拠点まで輸送する場合の単価が格納される。
【0033】
(推奨供給情報219)
図16は、推奨供給情報219の一例を示す図である。推奨供給情報219は、供給パターン219−1、発注元219−2、供給元219−3、輸送手段219−4、品目219−5、指定納期219−6、リードタイムを表す供給LT219−7、供給数219−8、滅却費219−9、輸送費219−10、倉庫費219−11、調達費219−12、合計値219−13、滅却調整219−14、輸送調整219−15、倉庫調整219−16、調達調整219−17のフィールドから構成される。品目219−5のフィールドには、在庫補充を行う保守部品の品目すなわち名称が格納される。供給パターン219−1、発注元219−2、供給元219−3、輸送手段219−4の各フィールドには、品目219−5のフィールドに格納された保守部品について、推奨供給元および輸送手段決定部221により算出された推奨供給パターンと、その推奨供給パターンにおける発注元および供給元の拠点の名称と、輸送手段の名称とがそれぞれ格納される。供給LT219−7、供給数219−8の各フィールドには、品目219−5のフィールドに格納された保守部品のリードタイムと供給数がそれぞれ格納される。すなわち、推奨供給情報219は、品目219−5のフィールドに格納された保守部品の在庫補充に関して、供給パターン219−1のフィールドに格納された値で特定される推奨供給パターンが、最も在庫補充費用が安くなる供給パターンであることを示している。この推奨供給パターンでは、供給元219−3のフィールドに格納される拠点から、発注元219−2のフィールドに格納される拠点へ、輸送手段219−4のフィールドに格納される手段を用いて、品目219−5のフィールドに格納される保守部品が、供給数219−8のフィールドに格納される数だけ供給される。なお、推奨供給情報219が示す推奨供給パターンとは、
図7を用いて説明したように、網羅的に列挙された複数の供給パターンの1つである。
【0034】
(在庫補充費用の内訳)
滅却費219−9、輸送費219−10、倉庫費219−11、調達費219−12の各フィールドには、上記の推奨供給パターンにおける当該保守部品の在庫補充費用の内訳として、滅却費、輸送費、倉庫費、調達費の各費目に対する費用がそれぞれ格納される。合計値219−13のフィールドには、滅却費219−9、輸送費219−10、倉庫費219−11、調達費219−12の各フィールドに格納される費目ごとの費用の和、すなわち推奨供給パターンの在庫補充費用の合計が格納される。以下では、推奨供給情報219が表す推奨供給パターンにおける滅却費、輸送費、倉庫費、および調達費の算出方法について説明する。なお、推奨供給パターン以外の他の供給パターンについても、同様の方法により、これらの各費目に対する費用を算出することができる。
【0035】
(滅却費の算出)
滅却費は、次のようにして算出される。まず、在庫情報211において、品目211−1、拠点211−2の各フィールドの値が、当該供給パターンにおける保守部品および供給元にそれぞれ一致する行を特定し、その行の余剰在庫211−5のフィールドに格納された値に、当該供給パターンにおける保守部品の供給数、すなわち、発注情報212において対応する行の発注数量のフィールド212−3の値を反映させることで、供給元における供給後の保守部品の余剰在庫数を更新する。次に、在庫情報211においていずれかの保守部品および拠点の組み合わせに対応する行を選択し、当該行の余剰在庫211−5のフィールドの値に、在庫単価211−6のフィールドの値を乗じることで、保守部品の余剰在庫費用を求める。このとき、在庫補充を行う保守部品と供給元の拠点との組み合わせに対応する行については、上記のようにして更新された余剰在庫数を用いる。次に、費用係数情報217において、拠点217−1のフィールドの値が在庫情報211で選択した行の拠点211−2のフィールドの値と一致する行を特定し、上記で求められた保守部品の余剰在庫費用の値に、この行の滅却費係数217−3のフィールドの値を乗じることで、調整前の保守部品の滅却費を求める。さらに、経営方針情報213において、拠点213−1のフィールドの値が在庫情報211で選択した行の拠点211−2のフィールドの値と一致し、かつ、選択213−7のフィールドの値が「1」である行を特定し、この行の滅却調整213−3のフィールドの値を参照することで、経営方針による滅却費の調整係数を求める。また、販売施策情報214において、管轄在庫拠点214−8のフィールドの値が在庫情報211で選択した行の拠点211−2のフィールドの値と一致し、かつ、選択214−7のフィールドの値が「1」である行を特定し、この行の滅却調整214−3のフィールドの値を参照することで、販売施策による滅却費の調整係数を求める。そして、上記で求められた調整前の保守部品の滅却費にこれらの調整係数を乗じることで、経営方針および販売施策を考慮した調整後の保守部品の滅却費を求める。この計算を、在庫補充を行う保守部品を含む全ての保守部品、および全ての在庫拠点について行い、それらの和を求めることで、滅却費が算出される。
【0036】
図8、
図10、
図11、
図14を用いて滅却費を求める具体例を示す。
図8に示す、在庫情報211において、部品Aについて余剰在庫を有するのは在庫拠点B、および在庫拠点Cなので、その2拠点について算出する。部品B以降も同様に算出する。以下では在庫拠点Bの部品Aの滅却費を詳述する。
【0037】
部品Aの供給元である在庫拠点Bは、部品Aの余剰在庫を50個保有しており、ここから推奨供給情報219の供給数219−8のフィールドに格納された供給数の10個を在庫拠点Aに供給するので、在庫拠点Bにおける供給後の部品Aの余剰在庫数は40個となる。次に、この供給後の部品Aの余剰在庫数40個に在庫単価211−6のフィールドの値である300円を乗じることで、部品Aの余剰在庫費用が12000円と求められる。次に、求められた部品Aの余剰在庫費用12000円に、
図14に示す費用係数情報217における在庫拠点Bの滅却費係数217−3のフィールドの値である20%を乗じることで、調整前の部品Aの滅却費が2400円と求められる。そして、求められた調整前の部品Aの滅却費2400円に、
図10に示す経営方針情報213における在庫拠点Bの滅却調整213−3のフィールドの値である1.5と、
図11に示す販売施策情報214における販売代理店Bの滅却調整214−3のフィールドの値である1.2とを乗じることで、調整後の部品Aの滅却費が4320円と算出される。このような算出を他の在庫拠点、ほかの部品についても行い、算出した全ての値を総計した値が滅却費として滅却費219−9のフィールドに格納される。
【0038】
(輸送費の算出)
輸送費は、次のようにして算出される。まず、輸送費情報218において、品目218−1、輸送手段218−2、供給元218−3、供給先218−4の各フィールドの値が、当該供給パターンにおける保守部品、輸送手段、供給元および供給先とそれぞれ一致する行を特定し、この行の輸送単価218−5のフィールドの値を参照することで、当該供給パターンにおける保守部品の輸送単価を求める。次に、求められた輸送単価に、当該供給パターンにおける保守部品の供給数、すなわち、発注情報212において対応する行の発注数量のフィールド212−3の値を乗じることで、調整前の輸送費を求める。さらに、経営方針情報213において、拠点213−1のフィールドの値が当該供給パターンにおける供給元と一致し、かつ、選択213−7のフィールドの値が「1」である行を特定し、この行の輸送調整213−5のフィールドの値を参照することで、経営方針による輸送費の調整係数を求める。また、販売施策情報214において、管轄在庫拠点214−8のフィールドの値が当該供給パターンにおける供給元と一致し、かつ、選択214−7のフィールドの値が「1」である行を特定し、この行の滅却調整214−4のフィールドの値を参照することで、販売施策による輸送費の調整係数を求める。そして、上記で求められた調整前の輸送費にこれらの調整係数を乗じることで、経営方針および販売施策を考慮した調整後の輸送費を求める。このようにして、輸送費が求められる。
【0039】
図9、
図10、
図11、
図15を用いて輸送費を求める具体例を示す。
図16の推奨供給情報219では、推奨供給パターンにおける保守部品、輸送手段、供給元および供給先をそれぞれ表す情報として、品目219−5のフィールドには部品Aが格納され、輸送手段219−4のフィールドには航空便が格納され、供給元219−3のフィールドには在庫拠点Bが格納され、発注元219−2のフィールドには在庫拠点Aが格納されている。
図15に示す輸送費情報218において、これらに対応する輸送単価218−5のフィールドの値、すなわち品目218−1のフィールドが部品Aであり、かつ、輸送手段218−2のフィールドが航空便で、供給元218−3のフィールドが在庫拠点Bで、供給先218−4のフィールドが在庫拠点Aである供給ルートに対応する輸送単価218−5のフィールドの値は1000円であるため、推奨供給パターンにおける部品Aの輸送単価が1000円と求められる。次に、この輸送単価1000円に、
図16に示す推奨供給情報219における供給数219−8のフィールドの値である10個を乗じることで、調整前の輸送費が10000円と求められる。そして、求められた調整前の輸送費10000円に、
図10に示す経営方針情報213における在庫拠点Bの輸送調整213−4のフィールドの値である0.5と、
図11に示す販売施策情報214における、販売代理店Bの輸送調整214−4のフィールドの値である1とを乗じることで、調整後の輸送費が5000円と算出される。このように算出された値が輸送費として輸送費219−10のフィールドに格納される。
【0040】
(倉庫費の算出)
倉庫費は、次のようにして算出される。まず、在庫情報211において、品目211−1、拠点211−2の各フィールドの値が、当該供給パターンにおける保守部品および供給元とそれぞれ一致する行を特定し、その行の在庫数211−4のフィールドに格納された値に、当該供給パターンにおける保守部品の供給数、すなわち、発注情報212において対応する行の発注数量のフィールド212−3の値を反映させることで、供給元における供給後の保守部品の在庫数を更新する。さらに、品目211−1、拠点211−2の各フィールドの値が、当該供給パターンにおける保守部品および供給元とそれぞれ一致する行を特定し、その行の在庫数211−4のフィールドに格納された値に、当該供給パターンにおける保守部品の供給数、すなわち、発注情報212において対応する行の発注数量のフィールド212−3の値を反映させることで、発注元(供給先)における供給後の保守部品の在庫数を更新する。次に、在庫情報211においていずれかの保守部品および拠点の組み合わせに対応する行を選択し、当該行の在庫数211−4のフィールドの値に、在庫単価211−6のフィールドの値を乗じることで、保守部品の在庫費用を求める。このとき、在庫補充を行う保守部品と供給元または発注元の拠点との組み合わせに対応する行については、上記のようにして更新された在庫数を用いる。次に、費用係数情報217において、拠点217−1のフィールドの値が在庫情報211で選択した行の拠点211−2のフィールドの値と一致する行を特定し、上記で求められた保守部品の在庫費用の値に、その行の倉庫費係数217−2のフィールドの値を乗じることで、調整前の保守部品の倉庫費を求める。さらに、経営方針情報213において、拠点213−1のフィールドの値が在庫情報211で選択した行の拠点211−2のフィールドの値と一致し、かつ、選択213−7のフィールドの値が「1」である行を特定し、この行の倉庫調整213−5のフィールドの値を参照することで、経営方針による倉庫費の調整係数を求める。また、販売施策情報214において、管轄在庫拠点214−8のフィールドの値が在庫情報211で選択した行の拠点211−2のフィールドの値と一致し、かつ、選択214−7のフィールドの値が「1」である行を特定し、この行の倉庫調整214−5のフィールドの値を参照することで、販売施策による倉庫費の調整係数を求める。そして、上記で求められた調整前の保守部品の倉庫費にこれらの調整係数を乗じることで、経営方針および販売施策を考慮した調整後の保守部品の倉庫費を求める。この計算を、在庫補充を行う保守部品を含む全ての保守部品、および全ての在庫拠点について行い、それらの和を求めることで、倉庫費が算出される。
【0041】
図8、
図10、
図11、
図14を用いて倉庫費を求める具体例を示す。
図8に示す、在庫情報211において、部品Aの供給元である在庫拠点Bは、部品Aの在庫を50個保有しており、ここから推奨供給情報219の供給数219−8のフィールドに格納された供給数の10個を在庫拠点Aに供給するので、在庫拠点Bにおける供給後の部品Aの在庫数は40個となる。次に、この供給後の部品Aの在庫数40個に在庫単価211−6のフィールドの値である300円を乗じることで、部品Aの在庫費用が12000円と求められる。次に、求められた部品Aの在庫費用12000円に、
図14に示す費用係数情報217における在庫拠点Bの倉庫費係数217−2のフィールドの値である10%を乗じることで、調整前の部品Aの倉庫費が1200円と求められる。そして、求められた調整前の部品Aの倉庫費1200円に、
図10に示す経営方針情報213における在庫拠点Bの倉庫調整213−5のフィールドの値である1.2と、
図11に示す販売施策情報214における販売代理店Bの倉庫調整214−5のフィールドの値である1.8とを乗じることで、調整後の部品Aの倉庫費が2592円と算出される。このような算出を他の在庫拠点、ほかの部品についても行い、算出した全ての値を総計した値が倉庫費として倉庫費219−11のフィールドに格納される。
【0042】
(調達費の算出)
調達費は、次のようにして算出される。まず、当該供給パターンにおける供給元が中央倉庫であるか否かを確認することで、サプライヤ101から中央倉庫102への保守部品の調達の有無を判断する。次に、サプライヤ101から中央倉庫102への保守部品の調達がある場合には、在庫情報211において、品目211−1のフィールドの値が当該供給パターンにおける保守部品と一致し、かつ、拠点211−2のフィールドの値が中央倉庫である行を特定し、推奨供給情報219の供給数219−8のフィールドの値から、この行の余剰在庫211−5のフィールドの値を引くことで、在庫補充を行う保守部品のサプライヤ101からの新規調達数を求める。なお、サプライヤ101から中央倉庫102への保守部品の調達がない場合や、求められた新規調達数が負の値となった場合には、サプライヤ101からの新規調達数を0とする。次に、部品情報215において、品目215−1のフィールドの値が当該供給パターンにおける保守部品と一致する行を特定し、上記で求められた新規調達数に、この行のサプライヤ購入単価215−2のフィールドの値を乗じることで、調整前の調達費を求める。さらに、経営方針情報213において、拠点213−1のフィールドの値が中央倉庫であり、かつ、選択213−7のフィールドの値が「1」である行を特定し、この行の調達調整213−6のフィールドの値を参照することで、経営方針による調達費の調整係数を求める。そして、上記で求められた調整前の調達費にこの調整係数を乗じることで、経営方針を考慮した調整後の調達費を求める。このようにして、調達費が求められる。
【0043】
図8、
図10、
図12を用いて調達費を求める具体例を示す。
図16の推奨供給情報219では、推奨供給パターンにおける保守部品および供給数を表す情報として、品目219−5のフィールドには部品Aが格納され、供給数219−8のフィールドの値は10個である。ここで、
図16の推奨供給情報219では、供給元219−3のフィールドに格納された拠点の名称が在庫拠点Bであることから、推奨供給パターンの供給元は中央倉庫ではない。そのため、推奨供給パターンの調達費は、本来は0と算出される。しかし、以下の説明では、推奨供給パターンの供給元が中央倉庫であるものと仮定する。この場合、
図8に示す在庫情報211において、拠点211−2のフィールドに中央倉庫が格納されている行の部品Aの余剰在庫数は0個であるため、供給数と同じ数量10個の部品Aを新たにサプライヤ101から調達することとなる。この新規調達数10個に、
図12に示す部品情報215における部品Aのサプイラヤ購入単価215−2のフィールドの値である100円を乗じることで、調整前の調達費が1000円と求められる。そして、求められた調整前の調達費1000円に、
図10に示す経営方針情報213における中央倉庫102の調達調整213−6のフィールドの値である1.5を乗じることで、調整後の調達費が1500円と算出される。このように算出された値が調達費として調達費219−12のフィールドに格納される。
【0044】
(供給後在庫情報2110)
図17は、供給後在庫情報2110の一例を示す図である。供給後在庫情報2110は、品目2110−1、拠点2110−2、供給前在庫2110−3、供給前在庫金額2110−4、供給前余剰2110−5、供給前余剰金額2110−6、発注点2110−7、供給後在庫2110−8、供給後在庫金額2110−9、供給後余剰2110−10、供給後余剰金額2110−11のフィールドから構成される。品目2110−1のフィールドには、各保守部品の品目、すなわち各保守部品の名称が格納される。拠点2110−2のフィールドには、各拠点の名称が格納される。
図17の供給後在庫情報2110では、品目2110−1および拠点2110−2のフィールドにそれぞれ格納されたこれらの情報によって特定される保守部品と拠点の組み合わせごとに、供給前在庫2110−3、供給前在庫金額2110−4、供給前余剰2110−5、供給前余剰金額2110−6、発注点2110−7、供給後在庫2110−8、供給後在庫金額2110−9、供給後余剰2110−10、供給後余剰金額2110−11の各フィールドに格納される情報が設定される。なお、供給前在庫2110−3、供給前余剰2110−5、発注点2110−7の各フィールドには、
図8の在庫情報211において対応するフィールドの値がそれぞれ格納される。また、供給前在庫金額2110−4、供給前余剰金額2110−6の各フィールドには、供給前在庫2110−3、供給前余剰2110−5の各フィールドの値に、
図8の在庫情報211において対応する在庫単価211−6のフィールドの値を乗じたものがそれぞれ格納される。一方、供給後在庫2110−8、供給後余剰2110−10の各フィールドには、供給前在庫2110−3、供給前余剰2110−5の各フィールドの値に、
図16の推奨供給情報219の供給数219−8のフィールドの値を反映させた値が格納される。また、供給後在庫金額2110−9、供給後余剰金額2110−11の各フィールドには、供給後在庫2110−8、供給後余剰2110−10の各フィールドの値に、
図8の在庫情報211において対応する在庫単価211−6のフィールドの値を乗じたものがそれぞれ格納される。この供給後在庫情報2110は、推奨供給情報219にしたがって保守部品を供給した場合に、各拠点における保守部品の在庫変動状況を示している。すなわち、推奨供給パターンに従って在庫補充を行うと、在庫拠点2110−2のフィールドに格納される在庫拠点の、品目2110−1のフィールドに格納される品目の在庫数は、供給前在庫2110−3のフィールドに格納される数から、供給後在庫2110−8のフィールドに格納される数に変化する。
【0045】
(推奨供給元および輸送手段決定部221)
演算部220の機能である、推奨供給元および輸送手段決定部221の処理内容を説明する。
【0046】
図5は、推奨供給元および輸送手段決定部221が実行する処理を表すフローチャートである。以下に説明する各ステップの実行主体は、
図3に示す演算部220のCPUである。演算部220は、所定時間ごと、たとえば1秒ごとに以下の処理を実行する。
【0047】
ステップS100aでは、いずれかの在庫拠点から発注があるか否かを判断する。発注があると判断する場合はステップS101に進み、発注がないと判断する場合は
図5に示すフローチャートを終了する。以下では在庫拠点Aから部品Aの発注があった場合を例に説明する。
【0048】
ステップS101では、ユーザからの入力データに基づく情報をデータ記憶部210に記憶する。具体的には、ユーザ端末403から入力された在庫拠点Aにおける今回の発注情報を、発注情報212の対応する各フィールドに格納する。次にステップS102に進む。
【0049】
ステップS102では、ステップS101において記憶した発注情報を含む融通基礎データ210Aをデータ記憶部210から演算部220のRAMへを読み込み、ステップS103に進む。
【0050】
ステップS103では、演算部220のRAMへを読み込まれた融通基礎データ210Aに基づき、部品Aについて想定しうる全ての供給パターンを網羅的に生成する。ここで、想定しうる全ての供給パターンとは、中央倉庫102、在庫拠点B、および在庫拠点Cのそれぞれが保有する部品Aの在庫数の範囲内で、これらの拠点を供給元とし、在庫拠点Aを供給先とした場合に取りうる、全ての輸送手段と供給数の組み合わせである。すなわち、生成される各供給パターンは、在庫拠点Aが他の各拠点から、どの輸送手段で何個ずつ部品Aの供給を受けるかを規定したものである。次にステップS105に進む。
【0051】
ステップS105では、ステップS103において生成された供給パターン毎に、上述した算出方法により、滅却費、輸送費、倉庫費、および調達費を算出する。そして、滅却費、輸送費、倉庫費、および調達費の和を、当該供給パターンの在庫補充費用とする。この在庫補充費用は、当該供給パターンにしたがって複数の拠点間で部品Aを融通する際の費用面での融通効果を表している。次にステップS104bに進む。
ステップS104bでは、全ての供給パターンについて融通効果すなわち在庫補充費用の算出が完了したか否かを判断する。すべての供給パターンについて算出が完了していないと判断する場合はステップS105に戻って次の供給パターンについて在庫補充費用を算出し、すべての供給パターンについて算出が完了したと判断する場合はステップS106に進む。
【0052】
ステップS106では、ステップS105において算出した在庫補充費用が最も少ない供給パターン、換言すると融通効果が最も大きい供給パターンを推奨供給パターンとして選択する。そして、出力部230を用いて、選択した推奨供給パターンの情報、すなわち、当該供給パターンのパターン番号、発注元、供給元、輸送手段、品目、指定納期、供給リードタイム、発注数、滅却費、輸送費、倉庫費、調達費、合計値、滅却調整係数、輸送調整係数、倉庫調整係数、調達調整係数の各情報を、データ記憶部210に推奨供給情報219として記録する。なお、ステップS106において、データ記憶部210が推奨供給情報219として記録する情報は、在庫補充費用が最小の供給パターンの情報に限らない。たとえば、在庫補充費用の小さい方から順に、所定数の供給パターンを推奨供給パターンとして選択し、各推奨供給パターンの情報を推奨供給情報219として記録してもよい。次にステップS107に進む。
【0053】
ステップS107では、上述した方法により、ステップS106において選択した推奨供給パターンのとおりに供給を行った場合の、各在庫拠点および中央倉庫102における部品Aの在庫数や余剰在庫などの在庫状況を算出する。そして、算出したこれらの在庫状況に基づいて、品目、在庫拠点、供給前在庫数、供給前在庫金額、供給前余剰在庫数、供給前余剰在庫金額、発注点、供給後在庫数、供給後在庫金額、供給後余剰在庫数、供給後余剰在庫金額の各情報を、データ記憶部210に供給後在庫情報2110として記録する。次にステップS108に進む。
【0054】
ステップS108では、ステップS106、S107でデータ記憶部210にそれぞれ記録された推奨供給情報219および供給後在庫情報2110に基づいて、推奨供給パターンにおける部品Aの推奨供給元および輸送手段と、推奨供給パターンにしたがって複数の拠点間で部品Aを融通した場合の拠点ごとの在庫状況の変化とを表示する。ここでは、出力部230を介して、供給元および輸送手段決定装置200が有する画面表示部240への画面表示を行うと共に、部品Aの発注元である在庫拠点Aのユーザ端末403に、画面表示部240と同様の画面を表示させるための情報を出力する。さらに出力部230は、推奨供給パターンに応じた発注を促す表示をユーザ端末403に表示させる。なお、本ステップの発注指示は、人が確認して確定してもよいし、推奨供給パターンに応じて演算部220が自動的に発注を行ってもよい。以上で
図5のプログラムを終了する。
【0055】
なお、ステップS108の発注指示は、発注を行った在庫拠点Aのユーザ端末403のみならず、推奨供給元である在庫拠点Bのユーザ端末404や、中央倉庫102及び本社機能109のユーザ端末402、409に表示してもよい。これにより、各拠点間で情報を共有することができる。
【0056】
なお、ステップS108に基づいて人が確認して発注指示が確定すると、または演算部220により自動的に発注が行われると、演算部220は在庫情報211を当該発注に基づき更新する。
【0057】
(画面表示)
上述したステップS108における画面表示部240への表示を説明する。
図18は、上述したステップS108において画面表示部240に表示される画面の一例を示す図である。
図18に示すように、推奨供給パターンにおける保守部品の推奨供給元および輸送手段と、推奨供給パターンにしたがって複数の拠点間で保守部品を融通した場合の拠点ごとの在庫状況の変化とは、画面表示部240に、たとえば以下に説明する4段の欄に渡って画面表示される。
【0058】
1段目の欄は、発注拠点表示部240−1、品目表示部240−2、供給元表示部240−3、供給数表示部240−4、輸送手段表示部240−5、指定納期表示部240−6、および調達LT表示部240−7から構成される。このうち、発注拠点表示部240−1、および品目表示部240−2のみユーザによる選択操作が可能であり、この2つの欄の選択に基づき他の一部の表示欄の表示が変更される。
発注拠点表示部240−1には、ユーザにより選択された在庫拠点、すなわち、ユーザが推奨供給元および輸送手段の情報を確認したい供給先の在庫拠点が表示される。
図18の例では、在庫拠点Aが選択されている。
【0059】
品目表示部240−2には、ユーザにより選択された品目、すなわち、ユーザが推奨供給元および輸送手段の情報を確認したい保守部品の品目が表示される。
図18の例では、部品Aが選択されている。ユーザは、発注拠点表示部240−1で供給先の在庫拠点を選択し、品目表示部240−2で保守部品の品目を選択することで、
図18の画面において在庫状況変化の表示対象とする推奨供給パターンを選択することができる。
【0060】
供給元表示部240−3、供給数表示部240−4、輸送手段表示部240−5、および指定納期表示部240−6には、選択された推奨供給パターンにおける供給元の在庫拠点、保守部品の供給数、輸送手段、発注元からの指定納期がそれぞれ表示される。これらの内容は、選択された推奨供給パターンに対する推奨供給情報219の供給元219−3、発注数219−8、輸送手段219−4、指定納期219−6の各フィールドの値に基づいて決定される。
【0061】
調達LT表示部240−7には、供給先に保守部品が届くまでのリードタイムすなわち日数が表示される。これらの値は、選択された推奨供給パターンに対する推奨供給情報219の供給LT219−7のフィールドの値に基づいて決定される。なお
図18の調達LT表示部240−7の括弧内に示すように、発注時点の年月日に供給LT219−7のフィールドの値を加えた推定到着年月日を表示してもよい。
【0062】
2段目の欄は、在庫状況表示部240−8から構成される。在庫状況表示部240−8は、供給前在庫状況表示部240−8−1と供給後在庫状況表示部240−8−2とに細分される。
【0063】
供給前在庫状況表示部240−8−1には、選択された推奨供給パターンにしたがって保守部品を供給する前の各拠点での当該保守部品の在庫状況、すなわち現在の在庫状況が表示される。ここには、品目表示部240−2で選択された部品Aに対する供給後在庫情報2110の供給前在庫2110−3および供給前余剰在庫2110−5のフィールドの値に基づいて、各拠点での供給前の部品Aの在庫状況を表す在庫数および余剰在庫がグラフで表示される。なお、供給前の部品Aの在庫状況として、供給前在庫金額2110−4および供給前余剰金額2110−6のフィールドの値に基づいて、各拠点での部品Aの現在の在庫金額や余剰金額を表示してもよい。
【0064】
供給後在庫状況表示部240−8−2には、選択された推奨供給パターンにしたがって保守部品を供給した後の各拠点での当該保守部品の在庫状況が表示される。ここには、品目表示部240−2で選択された部品Aに対する供給後在庫情報2110の供給後在庫2110−8および供給後余剰2110−10のフィールドの値に基づいて、各拠点での供給後の部品Aの在庫状況を表す在庫数および余剰在庫がグラフで表示される。なお、供給後の部品Aの在庫状況として、供給後在庫金額2110−9および供給後余剰金額2110−11のフィールドの値に基づいて、各拠点での部品Aの供給後の在庫金額や余剰金額を表示してもよい。
【0065】
3段目の欄は、中央倉庫経営方針表示部240−9、供給元在庫拠点の経営方針表示部240−10、および販売代理店の販売施策表示部240−11から構成される。
【0066】
中央倉庫経営方針表示部240−9には、中央倉庫102に対する経営方針が表示される。この内容は、経営方針情報213の拠点213−1のフィールドが中央倉庫で、かつ選択213−7のフィールドの値が1である行の、方針213−3のフィールドの値に基づいて決定される。
【0067】
供給元在庫拠点の経営方針表示部240−10には、選択された推奨供給パターンにおいて発注拠点に供給を行う在庫拠点の経営方針が表示される。
図18に示す例では、発注拠点表示部240−1において在庫拠点Aが選択されており供給元表示部240−3では在庫拠点Bが選択されている。そのため、供給元在庫拠点の経営方針表示部240−10に表示される内容は、経営方針情報213の拠点213−1のフィールドが在庫拠点Bであり、選択213−7のフィールドが1である行の方針213−2のフィールドの値に基づいて決定される。
【0068】
販売代理店の販売施策表示部240−11には、選択された推奨供給パターンにおいて発注拠点に供給を行う在庫拠点に付随する販売代理店の施策情報が表示される。
図18に示す例では、発注拠点表示部240−1において在庫拠点Aが選択されており供給元表示部240−3では在庫拠点Bが選択されている。そのため、販売代理店の販売施策表示部240−11に表示される内容は、販売施策情報214の管轄在庫拠点214−8のフィールドが在庫拠点Bであり、拠点214−1のフィールドが販売代理店Bであり、選択214−7のフィールドが1である行の方針214−2のフィールドの値に基づいて決定される。
【0069】
4段目の欄は、推奨供給パターン表示部240−12から構成される。推奨供給パターン表示部240−12には、選択された推奨供給パターンにおける在庫補充費用およびその内訳と、各費目に対する調整係数とが表示される。この内容は、発注拠点表示部240−1で選択された発注拠点かつ、前述の品目表示部240−2で選択された品目に対応する推奨供給パターンの情報が推奨供給情報219から抽出されることにより決定される。
図18に示す例では、発注拠点表示部240−1において在庫拠点Bが選択されかつ、品目表示部240−2において部品Aが選択されている。そのため、推奨供給パターン表示部240−12に表示される内容は、推奨供給情報219の発注元219−2のフィールドが在庫拠点Aであり品目219−5のフィールドが部品Aである行の、供給パターン219−1、滅却費219−9、輸送費219−10、倉庫費219−11、調達費219−12、合計値219−13、滅却調整219−14、輸送調整219−15、倉庫調整219−16、調達調整219−17の各フィールドの値に基づいて決定される。なお、在庫補充費用の内訳として、
図18に示す例において推奨供給パターン表示部240−12の括弧内に示すように、各調整係数を乗算する前の各費目の値を表示してもよい。
【0070】
なお前述のとおり、画面表示部240に表示される情報は、ネットワーク300を介して、本社機能109、各在庫拠点、および各販売代理店のユーザ端末から閲覧できてもよい。
【0071】
上述した第1の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)供給元および輸送手段決定装置200は、融通基礎データ210A、および会社営業戦略データ210Bが記憶されるデータ記憶部210と、融通基礎データ210Aに基づき、会社営業戦略データ210Bを反映した保守部品の推奨供給元および輸送手段を表す推奨供給パターンを決定する演算部220と、演算部220が決定した推奨決定パターンにしたがって複数の拠点間で保守部品を融通した場合の当該保守部品の在庫状況の変化を表す
図18のような画面を表示する画面表示部240と、を備える。
そのため、会社の営業戦略を反映した在庫管理を実現することができる。
【0072】
(2)演算部220は、ステップS105において、融通基礎データ210Aに基づいて、複数の拠点間で保守部品を融通した場合の調整前の調達費、輸送費、滅却費、および倉庫費を算出する。そして、会社営業戦略データ210Bが表す各費目の調整係数に基づいて、算出されたこれらの費用をそれぞれ調整することにより、調達費219−12、輸送費219−10、滅却費219−9、および倉庫費219−11を算出して、複数の拠点間で保守部品を融通した場合の融通効果に相当する在庫補充費用を算出する。こうして算出された融通効果すなわち在庫補充費用に基づき、ステップS106において、推奨経路パターンを決定する。
そのため、融通効果が高い供給元および輸送手段からの在庫補充が可能となり、費用を削減しつつ余剰在庫の有効活用ができる。
【0073】
(3)融通基礎データ210Aは、複数の拠点における保守部品の在庫数を表す在庫数211−4を含む在庫情報211と、複数の拠点のいずれかからの保守部品の発注数を表す発注数量212−3を含む発注情報212と、複数の拠点間での輸送手段ごとの保守部品の輸送費を表す輸送単価218−5を含む輸送費情報218と、保守部品の購入単価を表すサプライヤ購入単価215−2を含む部品情報215と、複数の拠点における保守部品の滅却費情報217−3および倉庫費情報217−2を含む費用係数情報217と、を含む。演算部220は、調達費219−12、輸送費219−10、滅却費219−9、および倉庫費219−11を、在庫情報211、発注情報212、輸送費情報218、部品情報215、および費用係数情報217に基づき算出する。具体的には、演算部220は、在庫情報211および部品情報215に基づいて調達費219−12を算出し、輸送費情報218および発注情報212に基づいて輸送費219−10を算出し、在庫情報211、発注情報212および費用係数情報217に基づいて滅却費219−9を算出し、在庫情報211、発注情報212および費用係数情報217に基づいて倉庫費219−11を算出する。このようにしたので、在庫補充費用をその内訳ごとに正確に算出することができる。
【0074】
(4)供給元および輸送手段決定装置200は、
図18のような画面を表示するための情報を出力する情報出力部、すなわち出力部230を備える。供給元および輸送手段決定装置200は、在庫拠点A〜Bに設けられたユーザ端末403〜405や、販売代理店A〜Cに設けられたユーザ端末406〜408や、本社機能109に設けられたユーザ端末409と、ネットワーク300を介して接続されている。出力部230は、上記の情報をこれらのユーザ端末に出力する。また、会社営業戦略データ210Bは、ユーザ端末406〜409から入力される。
そのため、供給元および輸送手段決定装置220が設置された中央倉庫102とは異なる場所、すなわち在庫拠点や販売代理店、本社機能109においても供給元および輸送手段決定装置220の算出結果を参照することができる。
【0075】
(5)供給元および輸送手段決定システム1は、ネットワーク300により接続される、複数のユーザ端末403〜409と、供給元および輸送手段決定装置200とから構成される。供給元および輸送手段決定装置200は、上記のデータ記憶部210、演算部220および出力部230を備える。ユーザ端末403〜409は、出力部230から出力された情報に基づいて
図18のような画面を表示するユーザ端末表示部452を備える。そのため、会社の営業戦略を反映した在庫管理を実現することができる。
【0076】
(変形例1)
上述した第1の実施の形態では、全ての在庫拠点の全ての部品について供給パターンごとに在庫補充費用を算出する方法を説明した。しかし、いずれかの供給パターンでの在庫補充費用を基準値として、この基準値に対する供給パターンごとの在庫補充費用の差分を算出してもよい。たとえば発注された部品を中央倉庫102から全量供給する供給パターン1での在庫補充費用を基準値として、各供給パターンの在庫補充費用を、基準値である供給パターン1での在庫補充費用との差分で算出する。そして、各供給パターンについて算出された基準値に対する在庫補充費用の差分に基づいて、最も在庫補充費用が少ない供給パターンにおける取扱製品の供給元および輸送手段を、推奨供給元および輸送手段として決定する。
この変形例1によれば、第1の実施の形態における作用効果に加えて、以下の作用効果を奏する。
【0077】
(1)演算部220は、複数の拠点のいずれかを取扱製品の供給元として選択し、この供給元から他の拠点への複数の輸送手段のいずれかを選択した場合の供給パターンでの在庫補充費用を基準値として、他の供給パターンでの基準値に対する在庫補充費用の差分を算出する。そして、各供給パターンについて算出された在庫補充費用の差分に基づいて、推奨供給元および輸送手段を決定する。
そのため、それぞれの供給パターンに共通する在庫分について在庫補充費用の算出を省略できるので、計算量を削減することができる。
【0078】
(変形例2)
滅却費および倉庫費は、発注のあった部品のみについて算出してもよい。この場合は、たとえば発注が部品Aのみであれば、滅却費および倉庫費の算出も全在庫拠点の部品Aについてのみ算出する。
この変形例2によれば、発注がなく在庫が変動しない部品についての計算を省略することができる。
【0079】
(変形例3)
供給元および輸送手段決定装置200は、融通基礎データ210Aをデータ記憶部210から直接読み込んで処理を行ってもよい。すなわち、
図5におけるステップS102の処理を省略し、ステップS103において演算部220のRAMからではなく、データ記憶部210から融通基礎データ210Aを読み込んでもよい。
【0080】
(第2の実施の形態)
図19を参照して、供給元および輸送手段決定装置の第2の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、主に、指定納期に間に合わない供給パターンの融通効果の算定を行わない点で、第1の実施の形態と異なる。
【0081】
第2の実施の形態における、供給元および輸送手段決定装置200のハードウエア構成は第1の実施の形態と同様である。演算部220のROMに格納されるプログラムが第1の実施の形態と異なる。
【0082】
図19は第2の実施の形態において、推奨供給元および輸送手段決定部221が実行する処理を表すフローチャートである。第1の実施の形態における推奨供給元および輸送手段決定部221が実行する処理を表すフローチャートである
図5と
図19との差異は、
図19はさらにステップS109を実行する点である。
【0083】
ステップS103の次に実行されるステップS109では、当該供給パターンにおける保守部品の納品が、指定納期に間に合うか否かを判断する。具体的には、発注時点の年月日にLT情報216のLT216-5のフィールドの値を加えた推定到着年月日が、発注情報212の指定納期212-4のフィールドの値以下であるか否かを判断する。その結果、推定到着年月日が指定納期212-4のフィールドの値以下である場合、すなわち納期よりも早いか同日である場合には、指定納期に間に合うと判断してステップS105に進む。一方、推定到着年月日が指定納期212-4のフィールドの値より大きい場合、すなわち納期よりも遅い場合には、指定納期に間に合わないと判断してステップS104bに進み、次の供給パターンの評価に移る。この場合、演算部220は、当該供給パターンについてステップS105を実行しないことで、当該供給パターンを在庫補充費用すなわち融通効果の算出対象から除外する。
ステップS104b以降の処理は第1の実施の形態と同様なので説明を省略する。
【0084】
上述した第2の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
すなわち、指定納期に間に合わない供給パターンの融通効果の算定を行わないので、第1の実施の形態よりも計算量を削減しつつ、第1の実施の形態と同様に、調達費と輸送費と滅却費と倉庫費および、本社機能または中央倉庫の経営方針と販売代理店の施策を考慮したうえで、融通効果が高い供給元および輸送手段からの在庫補充が可能となり、費用を削減しつつ余剰在庫の有効活用ができる。
【0085】
(第3の実施の形態)
図20を参照して、供給元および輸送手段決定装置の第3の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、主に、異なる最適化手法を用いる点で、第1の実施の形態と異なる。
【0086】
第3の実施の形態における、供給元および輸送手段決定装置200のハードウエア構成は第1の実施の形態と同様である。演算部220のROMに格納されるプログラムが第1の実施の形態と異なる。
【0087】
図20は第3の実施の形態において、推奨供給元および輸送手段決定部221が実行する処理を表すフローチャートである。第1の実施の形態における推奨供給元および輸送手段決定部221が実行する処理を表すフローチャートである
図5と
図20との差異は、
図5におけるステップS103〜S104bの代わりにステップS110を実行する点である。
【0088】
ステップS102の次に実行されるステップS110では、分枝限定法などの既知の最適化手法を用いて、最も費用が少ない、すなわち融通効果が最も大きい供給パターンを算出する。次にステップS106に進む。ステップS106以降の処理は第1の実施の形態と同様なので説明を省略する。
【0089】
上述した第3の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
すなわち、既知の最適化手法を採用することにより、計算量を削減しつつ、第1の実施の形態と同様に、調達費と輸送費と滅却費と倉庫費および、本社機能または中央倉庫の経営方針と販売代理店の施策を考慮したうえで、融通効果が高い供給元および輸送手段からの在庫補充が可能となり、費用を削減しつつ余剰在庫の有効活用ができる。
【0090】
(第4の実施の形態)
供給元および輸送手段決定装置の第4の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、主に、部品ごとに会社営業戦略を決定する点で、第1の実施の形態と異なる。
【0091】
第4の実施の形態における、供給元および輸送手段決定装置200のハードウエア構成は第1の実施の形態と同様である。供給元および輸送手段決定装置200のデータ記憶部210に格納される経営方針情報213、および販売施策情報214のフィールドの構成が第1の実施の形態と異なる。
【0092】
第4の実施の形態における、経営方針情報213、および販売施策情報214のフィールドの構成は、第1の実施の形態のフィールドに加えて、それぞれ部品のフィールドを有する。すなわち第4の実施の形態では、部品ごとに経営方針および販売施策が設定される。経営方針の入力は本社機能109のユーザ端末409から入力される点、および販売施策が販売代理店A〜Cのユーザ端末406〜408から入力される点は第1の実施の形態と同様である。
【0093】
供給元および輸送手段決定装置200の推奨供給元および輸送手段決定部221は、入力情報の読み込み、すなわち
図5に示すフローチャートのステップS101において、経営方針情報213、および販売施策情報214を参照して、部品ごとに経営方針および販売施策を読み取りステップS102以下の処理を実行する。
【0094】
なお、以上説明した各実施の形態では、サプライチェーンにおける供給元および輸送手段を決定する取扱製品の例として、建設機械やマイニング機械の保守部品を説明したが、他の産業分野の取扱製品などを対象としてもよい。また、最終製品として顧客へ販売される物に限らず、最終製品の組み立てに用いられる中間部品などの取扱製品について、本発明を適用してもよい。すなわち本発明は、様々な分野や形態のサプライチェーンにおける取扱製品の供給元および輸送手段を決定する際に適用可能である。
【0095】
上述した各実施の形態および変形例は、それぞれ組み合わせてもよい。
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。