【実施例】
【0064】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、実施例中の化合物名は、ソフトウエア(商品名「ChemDraw Ultra ver.12.0」、パーキンエルマー社製)を用いて命名した。
【0065】
実施例において使用される略語は当業者に周知の慣用的な略語である。いくつかの略語を以下に示す。
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
TFA:トリフルオロ酢酸
WSC:1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩
DMAP:N,N−ジメチル−4−アミノピリジン
THF:テトラヒドロフラン
LC−MS:液体クロマトグラフィー−マススペクトルメトリー
ESI−MS:エレクトロスプレーイオン化質量分析
【0066】
プロトン核磁気共鳴スペクトルの化学シフトは、テトラメチルシランに対するδ単位(ppm)で記録されている。パターンの略語は、次の通りである。
s:シングレット、d:ダブレット、t:トリプレット、q:カルテット、dd:ダブルダブレット、ddd:ダブルダブルダブレット、dt:ダブルトリプレット、tt:トリプルトリプレット、m:マルチプレット。
【0067】
<カチオン性脂質の合成>
[実施例1]
(1−((2−ヘキシルシクロプロピル)メトキシ)−1−オキソノナデカン−10−イル−1−メチルピペリジン−4−カルボキシレート(以下、「YS−102」という場合がある。)の合成)
以下に、YS−102の合成スキームを示す。
【0068】
【化23】
【0069】
(第1工程:加水分解)
セバシン酸ジメチル(200g、868.4mmol)をエタノール(868mL)に溶かした溶液を0℃まで冷却した。その溶液に水酸化カリウム(48.73g、868.4mmol)のエタノール(300mL)溶液を滴下し、滴下後0℃で12時間撹拌した。反応終了後、酢酸エチルと水を加え、未反応物を有機層に抽出することで除去した。水層を塩酸にて酸性にし、酢酸エチルを加えて目的物を抽出した。有機層を水、食塩水で洗浄し、濃縮した。第1工程品モノエステル体(150.3g、652.6mmol、75%)は精製を行わずに次のステップへ用いた。
【0070】
(第2工程:酸クロライド化)
第1工程品モノエステル体(50.0g、231.2mmol)と触媒量のDMF(23mL)との懸濁液に、塩化チオニル(41.3g、346.8mmol)を滴下した。反応終了後、塩化チオニルを減圧下留去した後、蒸留精製し、第2工程品(25.8g、109.9mmol、48%)を得た。
【0071】
(第3工程:グリニャール試薬との反応)
塩化亜鉛(2.7g、20.1mmol)をTHF(61mL)に溶解させ、−78℃まで冷却した。この溶液に1Mのノニルマグネシウムブロミド(40.2mL、40.2mmol)を窒素雰囲気下−78℃で滴下した。滴下後0℃まで昇温し、0℃で30分撹拌した後、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0.58mg、0.5mmol)を投下し、次いで第2工程品(5.0g、20.1mmol)を滴下した。0℃で更に1時間撹拌した後に1M塩酸水溶液を加えてクエンチした。反応溶液より析出物をろ別し、ろ液を酢酸エチルで抽出し有機層を水、食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ過で除き、ろ液を減圧下濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、第3工程品(5.0g、14.7mmol、73%)を得た。
【0072】
(第4工程:エステル交換)
第3工程品(2.0g、5.9mmol)、2−ノネノール(4.2g、29.4mmol)、チタニウムテトラプロポキシド(0.2g、0.6mmol)の混合液を撹拌しながら、外浴を110℃まで昇温した。出てくる留出液を除きながら撹拌を続け、留出が見えなくなった時点を反応終点として冷却後水を加えてクエンチした。反応液を酢酸エチルで抽出し水、食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ過で除き、ろ液を減圧下濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、第4工程品(2.6g、5.8mmol、99%)を得た。
【0073】
(第5工程:シクロプロパン化)
ジエチル亜鉛(8.3mL、8.3mmol)をジクロロメタン(15mL)に溶解させ、0℃まで冷却した。そこへトリフルオロメタンスルホン酸(0.9g、8.3mmol)を滴下し、次いでジヨードメタン(2.2g、8.3mmol)を滴下後、0℃で1時間撹拌した。この溶液に第4工程品(1.2g、2.8mmol)のジクロロメタン(5mL)溶液を滴下し、室温まで昇温した。反応をTLCで確認し、原料の消失を終点として水でクエンチした。析出した固体をろ別し、ろ液を酢酸エチルで抽出、水、食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ過で除き、ろ液を減圧下濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、第4工程品(1.2g、2.7mmol、99%)を得た。
【0074】
(第6工程:還元)
第5工程品(1.0g、2.2mmol)をエタノール(22mL)に溶かした溶液中に、水素化ホウ素ナトリウム(0.08g、2.2mmol)を添加し、10分間反応させた。反応終了後1N塩酸でクエンチした。酢酸エチルで抽出し、水、食塩水で洗浄後、有機層を減圧下濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、第6工程品(0.3g、0.7mmol、30%)を得た。
【0075】
(第7工程:縮合)
第6工程品(0.8g、1.8mmol)を塩化メチレン(7mL)に溶かした溶液中に、WSC(0.7g、3.7mmol)、ジメチルアミノピリジン(0.04g、0.4mmol)、1−メチルピペリジン−4−カルボン酸(0.5g、3.7mmol)を添加した。室温で翌日まで撹拌した後、水を加え、有機層を分液した。有機層を水で5回洗浄後、1N水酸化ナトリウム水溶液で1度洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ過で除き、ろ液を減圧下濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、下記式(15)で表されるYS−102(0.12g、0.2mmol、12%)を得た。
【0076】
【化24】
【0077】
得られた化合物を以下の条件でHPLC−LC/MSにより確認した。カラム:YMC−TriartC18、150−4.6mm、5μm、溶離液:MeOH(均一溶媒)、流速:1.0mL/分、ランタイム:15分、カラム温度:45℃、検出:UV(215nm)、エレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI−MS)。
【0078】
HPLC−LC/MS、Rt 6.24分、ESI−MS (M+H) cacld 577.5、found 578.6、
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ4.87(1H,q)、2.82(2H,d)、2.27(4H,m)、2.04(1H,m)、1.91(1H,m)、1.82(2H,m)、1.61(2H,m)、1.50(4H,m)、1.36(5H,m)、1.25(24H,m)、0.88(6H,m)
【0079】
[実施例2]
((Z)−1−(ノン−2−エン−1−イルオキシ)−1−オキソノナデカン−10−イル−1−メチルピペリジン−4−カルボキシレート(以下、「YS−101」という場合がある。)の合成)
第5工程を行わなかった点以外は実施例1と同様にして、下記式(16)で表されるYS−101を合成した。
【0080】
【化25】
【0081】
HPLC−LC/MS、Rt 5.51分、ESI−MS(M+H) cacld 563.5、found 564.5、
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ5.32(2H,m)、4.87(1H,q)、4.11(1H,dd)、4.05(2H,t)、2.82(2H,d)、2.27(7H,m)、2.04(8H,m)、1.89(2H,m)、1.79(2H,m)、1.61(4H,m)、1.49(4H,m)、1.36(5H,m)、1.25(30H,m)、0.95(3H,m)、0.88(3H,m)
【0082】
[実施例3]
(1−オキソ−1−(ウンデカン−5−イルオキシ)ノナデカン−10−イル−1−メチルピペリジン−4−カルボキシレート(以下、「YS−103」という場合がある。)の合成)
第4工程において、2−ノネノールの代わりに2−ブチルオクタン−1−オールを反応させ、第5工程を行わなかった点以外は実施例1と同様にして、下記式(2)で表されるYS−103を合成した。
【0083】
【化26】
【0084】
HPLC−LC/MS、Rt 7.52分、ESI−MS(M+H) cacld 593.5、found 594.6、
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ4.86(1H,q)、4.06(2H,t)、2.82(2H,d)、2.27(7H,m)、1.99(2H,m)、1.88(2H,m)、1.79(2H,m)、1.60(4H,m)、1.49(4H,m)、1.38(7H,m)、1.25(30H,m)、0.97(3H,m)、0.88(3H,m)、0.64(2H,m)、0.59(1H,m)、−0.33(1H,dd)
【0085】
[実施例4]
(1−((2−ブチルオクチル)オキシ)−1−オキソノナデカン−10−イル−1−メチルピペリジン−4−カルボキシレート(以下、「YS−119」という場合がある。)の合成)
以下に、YS−119の合成スキームを示す。
【0086】
【化27】
【0087】
(第1工程から第3工程)
第1工程から第3工程は上述したYS−102の合成と同様に行った。
【0088】
(第4工程:エステル交換)
第3工程品(4.1g、12.0mmol)、2−ブチルオクタン−1−オール(6.73g、36.12mmol)、チタニウムテトラプロポキシド(0.34g、1.2mmol)の混合液を撹拌しながら、外浴を110℃まで昇温した。出てくる留出液を除きながら撹拌を続け、留出が見えなくなった時点を反応終点として冷却後水を加えてクエンチした。反応液を酢酸エチルで抽出し、水、食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ過で除き、ろ液を減圧下濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、第4工程品(4.5g、9.4mmol、78%)を得た。
【0089】
(第5工程:還元)
第4工程品(4.5g、9.4mmol)をTHF(18.7mL)、メタノール(18.7mL)に溶かした溶液中に、水素化ホウ素ナトリウム(1.8g、46.8mmol)を添加し、一時間反応させた。反応終了後1N塩酸でクエンチした。酢酸エチルで抽出し、水、食塩水で洗浄後、有機層を減圧下濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、第5工程品(3.1g、6.42mmol、69%)を得た。
【0090】
(第6工程:縮合)
第5工程品(2.0g、4.14mmol)を塩化メチレン(8.28mL)に溶かした溶液中に、WSC(1.59g、8.28mmol)、ジメチルアミノピリジン(0.04g、0.4mmol)、1−メチルピペリジン−4−カルボン酸(1.19g、8.28mmol)を添加した。室温で翌日まで撹拌した後、水を加え、有機層を分液した。有機層を水で5回洗浄後、1N水酸化ナトリウム水溶液で1度洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ過で除き、ろ液を減圧下濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、式(1)で表されるYS−119(1.9g、3.1mmol、74%)を得た。
【0091】
【化28】
【0092】
HPLC−LC/MS、Rt 8.01分、ESI−MS(M+H) cacld 607.6、found 608.6、
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ4.87(1H,q)、3.96(2H,d)、2.81(2H,d)、2.27(6H,m)、1.98(2H,m)、1.91(2H,m)、1.82(2H,m)、1.61(4H,m)、1.49(4H,m)、1.20(46H,m)、0.86(9H,m)
【0093】
[実施例5]
(1−オキソ−1−(ウンデカン−5−イルオキシ)ペンタデカン−6−イル−1−メチルピペリジン4−カルボキシレート(以下、「YS−111」という場合がある。)の合成)
第1工程において、セバシン酸ジメチルの代わりにアジピン酸ジメチルを反応させ、第4工程において、2−ブチルオクタン−1−オールの代わりにウンデカン−5−オールを反応させた以外は実施例4と同様にして、下記式(17)で表されるYS−111を合成した。
【0094】
【化29】
【0095】
HPLC−LC/MS、Rt 5.35分、ESI−MS(M+H) cacld 537.5、found 538.5、
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ4.87(2H,q)、2.81(2H,d)、2.27(6H,m)、1.98(2H,m)、1.91(2H,m)、1.82(2H,m)、1.62−1.50(10H,m)、1.24(28H,m)、0.87(9H,m)
【0096】
[実施例6]
(1−オキソ−1−(ウンデカン−5−イルオキシ)ヘプタデカン−8−イル−1−メチルピペリジン4−カルボキシレート(以下、「YS−112」という場合がある。)の合成)
第1工程において、セバシン酸ジメチルの代わりにスベリン酸ジメチルを反応させ、第4工程において、2−ブチルオクタン−1−オールの代わりにウンデカン−5−オールを反応させた以外は実施例4と同様にして、下記式(4)で表されるYS−112を合成した。
【0097】
【化30】
【0098】
HPLC−LC/MS、Rt 6.05分、ESI−MS(M+H) cacld 565.5、found 566.5、
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ4.87(2H,q)、2.81(2H,d)、2.27(6H,m)、1.98(2H,m)、1.91(2H,m)、1.82(2H,m)、1.62−1.50(10H,m)、1.24(32H,m)、0.87(9H,m)
【0099】
[実施例7]
(21−オキソ−21−(ウンデカン−5−イルオキシ)ヘンイコサン−10−イル−1−メチルピペリジン4−カルボキシレート(以下、「YS−113」という場合がある。)の合成)
第1工程において、セバシン酸ジメチルの代わりにドデカン二酸ジメチルを反応させ、第4工程において、2−ブチルオクタン−1−オールの代わりにウンデカン−5−オールを反応させた以外は実施例4と同様にして、下記式(5)で表されるYS−113を合成した。
【0100】
【化31】
【0101】
HPLC−LC/MS、Rt 8.95分、ESI−MS(M+H) cacld 621.6、found 622.6、
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ4.87(2H,q)、2.81(2H,d)、2.27(6H,m)、1.98(2H,m)、1.91(2H,m)、1.82(2H,m)、1.62−1.50(10H,m)、1.24(40H,m)、0.87(9H,m)
【0102】
[実施例8]
(23−オキソ−23−(ウンデカン−5−イルオキシ)トリコサン−10−イル−1−メチルピペリジン4−カルボキシレート(以下、「YS−114」という場合がある。)の合成)
第1工程において、セバシン酸ジメチルの代わりにテトラデカン二酸ジメチルを反応させ、第4工程において、2−ブチルオクタン−1−オールの代わりにウンデカン−5−オールを反応させた以外は実施例4と同様にして、下記式(18)で表されるYS−114を合成した。
【0103】
【化32】
【0104】
HPLC−LC/MS、Rt 11.1分、ESI−MS(M+H) cacld 649.6、found 650.6、
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ4.87(2H,q)、2.81(2H,d)、2.27(6H,m)、1.98(2H,m)、1.91(2H,m)、1.82(2H,m)、1.62−1.50(10H,m)、1.24(44H,m)、0.87(9H,m)
【0105】
[実施例9]
(1−((2−ブチルオクチル)オキシ)−1−オキソヘプタデカン−8−イル−1−メチルピペリジン−4−カルボキシレート(以下、「YS−115」という場合がある。)の合成)
第1工程において、セバシン酸ジメチルの代わりにスベリン酸ジメチルを反応させた以外は実施例4と同様にして、下記式(19)で表されるYS−115を合成した。
【0106】
【化33】
【0107】
HPLC−LC/MS、Rt 6.72分、ESI−MS(M+H) cacld 579.5、found 580.7、
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ4.87(2H,q)、3.96(2H,d)、2.81(2H,d)、2.27(6H,m)、1.98(2H,m)、1.91(2H,m)、1.82(2H,m)、1.62−1.50(10H,m)、1.24(32H,m)、0.87(9H,m)
【0108】
[実施例10]
(21−((2−ブチルオクチル)オキシ)−21−オキソヘンイコサン−10−イル−1−メチルピペリジン−4−カルボキシレート(以下、「YS−116」という場合がある。)の合成)
第1工程において、セバシン酸ジメチルの代わりにスベリン酸ジメチルを反応させた以外は実施例4と同様にして、下記式(20)で表されるYS−116を合成した。
【0109】
【化34】
【0110】
HPLC−LC/MS、Rt 10.0分、ESI−MS(M+H) cacld 635.6、found 636.7、
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ4.87(2H,q)、3.96(2H,d)、2.81(2H,d)、2.27(6H,m)、1.98(2H,m)、1.91(2H,m)、1.82(2H,m)、1.62−1.50(10H,m)、1.24(40H,m)、0.87(9H,m)
【0111】
[実施例11]
(1−(オクタン−3−イルオキシ)−1−オキソヘプタデカン−8−イル−1−メチルピペリジン−4−カルボキシレート(以下、「YS−117」という場合がある。)の合成)
第1工程において、セバシン酸ジメチルの代わりにスベリン酸ジメチルを反応させ、第4工程において、2−ブチルオクタン−1−オールの代わりにオクタン−3−オールを反応させた以外は実施例4と同様にして、下記式(21)で表されるYS−117を合成した。
【0112】
【化35】
【0113】
HPLC−LC/MS、Rt 4.71分、ESI−MS(M+H) cacld 523.5、found 524.6、
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ4.87(1H,q)、4.80(1H,q)、2.82(2H,d)、2.27(6H,m)、1.98(2H,m)、1.91(2H,m)、1.82(2H,m)、1.62−1.29(10H,m)、1.24(26H,m)、0.87(9H,m)
【0114】
[実施例12]
(1−((S)オクタン−3−イルオキシ)−1−オキソヘプタデカン−8−イル−1−メチルピペリジン−4−カルボキシレート(以下、「YS−117S」という場合がある。)の合成)
第1工程において、セバシン酸ジメチルの代わりにスベリン酸ジメチルを反応させ、第4工程において、2−ブチルオクタン−1−オールの代わりに(S)−オクタン−3−オールを反応させた以外は実施例4と同様にして、下記式(22)で表されるYS−117Sを合成した。
【0115】
【化36】
【0116】
HPLC−LC/MS、Rt 4.70分、ESI−MS(M+H) cacld 523.5、found 524.6、
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ4.87(1H,q)、4.80(1H,q)、2.82(2H,d)、2.27(6H,m)、1.98(2H,m)、1.91(2H,m)、1.82(2H,m)、1.62−1.29(10H,m)、1.24(26H,m)、0.86(9H,m)
【0117】
[実施例13]
(21−(オクタン−3−イルオキシ)−21−オキソヘンイコサン−10−イル−1−メチルピペリジン−4−カルボキシレート(以下、「YS−118」という場合がある。)の合成)
第1工程において、セバシン酸ジメチルの代わりにドデカン二酸ジメチルを反応させ、第4工程において、2−ブチルオクタン−1−オールの代わりにオクタン−3−オールを反応させた以外は実施例4と同様にして、下記式(3)で表されるYS−118を合成した。
【0118】
【化37】
【0119】
HPLC−LC/MS、Rt 6.55分、ESI−MS(M+H) cacld 579.5、found 580.6、
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ4.87(1H,q)、4.80(1H,q)、2.82(2H,d)、2.27(6H,m)、1.98(2H,m)、1.91(2H,m)、1.82(2H,m)、1.62−1.29(10H,m)、1.24(30H,m)、0.86(9H,m)
【0120】
[実施例14]
(21−((S)−オクタン−3−イルオキシ)−21−オキソヘンイコサン−10−イル−1−メチルピペリジン−4−カルボキシレート(以下、「YS−118S」という場合がある。)の合成)
第1工程において、セバシン酸ジメチルの代わりにドデカン二酸ジメチルを反応させ、第4工程において、2−ブチルオクタン−1−オールの代わりに(S)−オクタン−3−オールを反応させた以外は実施例4と同様にして、下記式(23)で表されるYS−118Sを合成した。
【0121】
【化38】
【0122】
HPLC−LC/MS、Rt 6.54分、ESI−MS(M+H) cacld 579.5、found 580.6、
1H NMR(400MHz、CDCl
3)δ4.87(1H,q)、4.80(1H,q)、2.82(2H,d)、2.27(6H,m)、1.98(2H,m)、1.91(2H,m)、1.82(2H,m)、1.62−1.29(10H,m)、1.24(30H,m)、0.86(9H,m)
【0123】
[実施例15]
(1−((2−ブチルオクチル)オキシ)−1−オキソイコサン−10−イル−1−メチルピペリジン−4−カルボキシレート(以下、「YS−120」という場合がある。)の合成)
第3工程において、ノニルマグネシウムブロミドの代わりにデカニルマグネシウムブロミドを反応させた以外は実施例4と同様にして、下記式(6)で表されるYS−120を合成した。
【0124】
【化39】
【0125】
HPLC−LC/MS、Rt 8.70分、ESI−MS(M+H) cacld 621.6、found 622.7、
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ4.86(1H,ddd)、3.96(2H,d)、2.81(2H,d)、2.27(6H,m)、2.03(2H,m)、1.98(1H,d)、1.90(1H,m)、1.78(4H,m)、1.61(4H,m)、1.49(4H,m)、1.27−1.21(41H,m)、0.87(9H,m)
【0126】
後述するように、上記式(6)で表される化合物で脂質複合体を形成すると、一定期間保管した場合の脂質複合体の粒子径の増大が抑制されており、安定性が高い。
【0127】
[実施例16]
(1−((2−ブチルオクチル)オキシ)−1−オキソイコサン−10−イル−1−メチルピペリジン−4−カルボキシレート(「YS−120」)の合成)
以下に、YS−120の別の合成スキームを示す。
【化40】
【0128】
(第1工程から第3工程)
第1工程から第3工程は上述したYS−102の合成と同様に行った。
【0129】
(第4工程:エステル交換)
第3工程品(150.0g、440.5mmol)、ベンジルアルコール(142.9g、1321.4mmol)、チタニウムテトラプロポキシド(12.5g、44.5mmol)の混合液を撹拌しながら、外浴を130℃まで昇温した。出てくる留出液を除きながら撹拌を続け、留出が見えなくなった時点を反応終点として冷却後水を加えてクエンチした。反応液を酢酸エチルで抽出し、水、食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ過で除き、ろ液を減圧下濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、第4工程品(146.2g、350.9mmol)を得た。
【0130】
(第5工程:還元)
第4工程品(100.0g、240.0mmol)をTHF(480.0mL)、メタノール(480.0mL)に溶かした溶液中に、水素化ホウ素ナトリウム(10.9g、288.0mmol)を添加し、10分間反応させた。反応終了後1N塩酸でクエンチした。酢酸エチルで抽出し、水、食塩水で洗浄後、有機層を減圧下濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、第5工程品(70.0g、167.2mmol)を得た。
【0131】
(第6工程:縮合)
第5工程品(50.0g、119.4mmol)をTHF(480.0mL)に溶かした溶液中に、WSC(45.8g、238.9mmol)、ジメチルアミノピリジン(2.92g、23.9mmol)、1−メチルピペリジン−4−カルボン酸(34.2g、238.9mmol)を添加した。室温で翌日まで撹拌した後、水を加え、有機層を分液した。有機層を水で5回洗浄後、1N水酸化ナトリウム水溶液で1度洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ過で除き、ろ液を減圧下濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、第6工程品(37.2g、68.4mmol)を得た。
【0132】
(第7工程:接触還元)
第6工程品(37.2g、68.4mmol)、パラジウム/炭素(4.9mL)を酢酸エチル(136.8mL)に懸濁させ、水素雰囲気下一晩攪拌した。反応液をろ別し、パラジム/炭素を除いて濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、第7工程品(26.8g、59.1mmol)を得た。
【0133】
(第8工程:縮合)
第7工程品(20.0g、44.1mmol)を塩化メチレン(220.0mL)に溶かした溶液中に、WSC(8.9g、46.3mmol)、ジメチルアミノピリジン(1.08g、0.4mmol)、2−ブチルオクタン−1−オール(16.4g、88.2mmol)を添加した。室温で翌日まで撹拌した後、水を加え、有機層を分液した。有機層を水で5回洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤をろ過で除き、ろ液を減圧下濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、式(6)で表されるYS−120(22.0g、35.4mmol)を得た。
【0134】
[実施例17]
(1−((2Z,5Z)−デカ−2,5−ジエン−1−イルオキシ)−1−オキソイコサン−10−イル−1−メチルピペリジン−4−カルボキシレート(以下、「YS−121」という場合がある。)の合成)
第8工程において、2−ブチルオクタン−1−オールの代わりに(2Z,5Z)−デカ−2,5−ジエン−1−オールを反応させた以外は実施例16と同様にして、下記式(24)で表されるYS−121を合成した。
【0135】
【化41】
【0136】
ESI−MS(M+H) cacld 589.5、found 590.7、
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ5.60(1H,m)、5.36(1H,m)、4.87(1H,tt)、4.64(1H,d)、2.86(2H,m)、2.36(3H,s)2.32(2H,t)、2.22(1H,m)、2.02(2H,m)、1.97(2H,m)、1.61(2H,m)、1.50(3H,m)、1.27(40H,m)、0.88(6H,m)
【0137】
[実施例18]
((Z)−1−((2−ブチルノン−3−エン−1−イル)オキシ)−1−オキソイコサン−10−イル−1−メチルピペリジン−4−カルボキシレート(以下、「YS−122」という場合がある。)の合成)
第8工程において、2−ブチルオクタン−1−オールの代わりに(Z)−2−ブチルノン−3−エン−1−オールを反応させた以外は実施例16と同様にして、下記式(25)で表されるYS−122を合成した。
【0138】
【化42】
【0139】
ESI−MS(M+H) cacld 633.6、found 634.7、
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ5.60(1H,m)、5.36(1H,m)、4.87(1H,tt)、4.64(1H,d)、2.86(2H,m)、2.36(3H,s)、2.32(2H,t)、2.22(1H,m)、2.02(2H,m)、1.97(2H,m)、1.61(2H,m)、1.50(3H,m)、1.27(48H,m)、0.88(6H,m)
【0140】
後述するように、上記式(25)で表される化合物で脂質複合体を形成すると、一定期間保管した場合の脂質複合体の粒子径の増大が抑制されており、安定性が高い。
【0141】
[実施例19]
((Z)−1−オキソ−1−((5−プロピルノン−2−エン−1−イル)オキシ)イコサン−10−イル−1−メチルピペリジン−4−カルボキシレート(以下、「YS−123」という場合がある。)の合成)
第8工程において、2−ブチルオクタン−1−オールの代わりに(Z)−5−プロピルノン−2−エン−1−オールを反応させた以外は実施例16と同様にして、下記式(26)で表されるYS−123を合成した。
【0142】
【化43】
【0143】
ESI−MS(M+H) cacld 619.6、found 620.7、
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ5.60(2H,m)、4.87(1H,tt)、4.61(2H,d)、2.93(2H,d)、2.42(3H,s)、2.31(2H,t)、2.29(2H,t)、2.05(4H,t)、1.93(2H,m)、1.61(2H,m)、1.50(4H,m)、1.27(43H,m)、0.88(6H,m)
【0144】
後述するように、上記式(26)で表される化合物で脂質複合体を形成すると、一定期間保管した場合の脂質複合体の粒子径の増大が抑制されており、安定性が高い。
【0145】
[実施例20]
(1−オキソ−1−((3−ペンチルオクチル)オキシ)イコサン−10−イル−1−メチルピペリジン−4−カルボキシレート(以下、「YS−124」という場合がある。)の合成)
第8工程において、2−ブチルオクタン−1−オールの代わりに3−ペンチルオクタン−1−オールを反応させた以外は実施例16と同様にして、下記式(27)で表されるYS−124を合成した。
【0146】
【化44】
【0147】
ESI−MS(M+H) cacld 635.6、found 636.7、
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ4.87(1H,tt)、4.06(2H,m)、2.81(2H,d)、2.27(6H,m)、2.02(2H,m)、1.97(2H,m)、1.77(4H,m)、1.61(2H,m)、1.50(3H,m)、1.43(1H,m)、1.27(43H,m)、0.88(9H,m)
【0148】
後述するように、上記式(27)で表される化合物で脂質複合体を形成すると、一定期間保管した場合の脂質複合体の粒子径の増大が抑制されており、安定性が高い。
【0149】
[実施例21]
(1−((2,4−ジプロピルヘプチル)オキシ)−1−オキソイコサン−10−イル−1−メチルピペリジン−4−カルボキシレート(以下、「YS−125」という場合がある。)の合成)
第8工程において、2−ブチルオクタン−1−オールの代わりに2,4−ジプロピルヘプタン−1−オールを反応させた以外は実施例16と同様にして、下記式(28)で表されるYS−125を合成した。
【0150】
【化45】
【0151】
ESI−MS(M+H) cacld 635.6、found 636.7、
1H NMR(400MHz,CDCl
3)δ4.87(1H,tt)、3.95(1H,d)、3.55(2H,t)、2.96(2H,m)、2.45(3H,s)、2.32(2H,t)、2.22(1H,m)、2.02(2H,m)、1.97(2H,m)、1.61(2H,m)、1.50(3H,m)、1.27(49H,m)、0.88(12H,m)
【0152】
後述するように、上記式(28)で表される化合物で脂質複合体を形成すると、一定期間保管した場合の脂質複合体の粒子径の増大が抑制されており、安定性が高い。
【0153】
[実施例22]
(1−((3,4−ジプロピルヘプチル)オキシ)−1−オキソイコサン−10−イル−1−メチルピペリジン−4−カルボキシレート(以下、「YS−126」という場合がある。)の合成)
第8工程において、2−ブチルオクタン−1−オールの代わりに3,4−ジプロピルヘプタン−1−オールを反応させた以外は実施例16と同様にして、下記式(29)で表されるYS−126を合成した。
【0154】
【化46】
【0155】
ESI−MS(M+H) cacld 635.6、found 636.7、1H NMR(400MHz,CDCl3)δ4.87(1H,tt)、4.06(2H,m)、3.00(2H,m)、2.45(5H,m)、2.27(2H,t)、2.02(2H,m)、1.97(2H,m)、1.61(2H,m)、1.50(3H,m)、1.43(2H,m)、1.27(42H,m)、0.88(12H,m)
【0156】
後述するように、上記式(29)で表される化合物で脂質複合体を形成すると、一定期間保管した場合の脂質複合体の粒子径の増大が抑制されており、安定性が高い。
【0157】
[実施例23]
(1−(4−(ヘキシルジスルファニル)−3−((ヘキシルジスルファニル)メチル)ブトキシ)−1−オキソイコサン−10−イル−1−メチルピペリジン−4−カルボキシレート(以下、「YS−127」という場合がある。)の合成)
第8工程において、2−ブチルオクタン−1−オールの代わりに4−(ヘキシルジスルファニル)−3−((ヘキシルジスルファニル)メチル)ブタン−1−オールを反応させた以外は実施例16と同様にして、下記式(30)で表されるYS−127を合成した。
【0158】
【化47】
【0159】
ESI−MS(M+H) cacld 819.5、found 820.6、1H NMR(400MHz,CDCl3)δ4.86(1H,tt)、4.13(2H,t)、2.81(6H,d)、2.67(2H,t)、2.29(3H,t)、2.27(3H,s)、1.99(2H,m)、1.90(2H,dd)、1.79(2H,dt)、1.68(12H,m)、1.50(6H,m)、1.42(6H,m)、1.24(29H,m)、0.88(9H,m)
【0160】
[実施例24]
(1−((6−(ブチルジスルファニル)−3−(3−(ブチルジスルファニル)プロピル)ヘキシル)オキシ)−1−オキソイコサン−10−イル−1−メチルピペリジン−4−カルボキシレート(以下、「YS−128」という場合がある。)の合成)
第8工程において、2−ブチルオクタン−1−オールの代わりに6−(ブチルジスルファニル)−3−(3−(ブチルジスルファニル)プロピル)ヘキサン−1−オールを反応させた以外は実施例16と同様にして、下記式(31)で表されるYS−128を合成した。
【0161】
【化48】
【0162】
ESI−MS(M+H) cacld 819.5、found 821.0、1H NMR(400MHz,CDCl3)δ4.86(1H,tt)、4.08(2H,t)、2.81(2H,d)、2.67(8H,dd)、2.29(3H,t)、2.27(3H,s)、1.99(2H,m)、1.90(2H,dd)、1.79(2H,dt)、1.68(12H,m)、1.50(6H,m)、1.42(6H,m)、1.24(37H,m)、0.92−0.88(9H,m)
【0163】
[実施例25]
(1−((2−ブチルオクチル)オキシ)−1−オキソイコサン−10−イル−1−メチルピロリジン−3−カルボキシレート(以下、「YS−129」という場合がある。)の合成)
第6工程において、1−メチルピぺリジン−4−カルボン酸の代わりに1−メチルピロリジン−3−カルボン酸を反応させた以外は実施例16と同様にして、下記式(32)で表されるYS−129を合成した。
【0164】
【化49】
【0165】
ESI−MS(M+H) cacld 607.6、found 608.8、1H NMR(400MHz,CDCl3)δ4.86(1H,tt)、3.98(2H,d)、3.05(1H,tt)、2.86(1H,tt)、2.67(2H,m)、2.49(1H,tt)、2.35(3H,s)、2.29(2H,t)、2.17(2H,m)、1.72(2H,s)、1.60(3H,m)、1.50(4H,m)、1.24(44H,m)、0.92−0.88(9H,m)
【0166】
[実施例26]
(1−((2−ブチルオクチル)オキシ)−1−オキソイコサン−10−イル−1−メチルアゼチジン−3−カルボキシレート(以下、「YS−131」という場合がある。)の合成)
第6工程において、1−メチルピぺリジン−4−カルボン酸の代わりに1−メチルアザチジン−3−カルボン酸を反応させた以外は実施例16と同様にして、下記式(33)で表されるYS−131を合成した。
【0167】
【化50】
【0168】
ESI−MS(M+H) cacld 593.4、found 594.7、1H NMR(400MHz,CDCl3)δ4.87(1H,tt)、3.96(2H,d)、3.57(2H,d)、3.25(2H,d)、3.23(1H,tt)、2.32(3H,s)、2.29(2H,t)、2.03(2H,m)、1.61(4H,m)、1.49(4H,m)、1.27−1.21(41H,m)、0.87(9H,m)
【0169】
[実施例27]
(1−((2−ブチルオクチル)オキシ)−1−オキソイコサン−10−イル−1−エチルピペリジン−4−カルボキシレート(以下、「YS−132」という場合がある。)の合成)
第6工程において、1−メチルピぺリジン−4−カルボン酸の代わりに1−エチルピペリジン−4−カルボン酸を反応させた以外は実施例16と同様にして、下記式(34)で表されるYS−132を合成した。
【0170】
【化51】
【0171】
ESI−MS(M+H) cacld 636.0、found 636.7、1H NMR(400MHz,CDCl3)δ4.87(1H,ddd)、3.96(2H,d)、2.91(2H,d)、2.40(2H,dd)、2.29(4H,m)、2.03−1.93(4H,m)、1.80(2H,m)、1.61(4H,m)、1.49(4H,m)、1.27−1.21(41H,m)、1.08(4H,t)、0.87(9H,m)
【0172】
[実施例28]
(2−ブチルオクチル−10−((4−(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)イコサノエート(以下、「YS−133」という場合がある。)の合成)
第6工程において、1−メチルピぺリジン−4−カルボン酸の代わりに4−(ジメチルアミノ)ブタン酸を反応させた以外は実施例16と同様にして、下記式(35)で表されるYS−133を合成した。
【0173】
【化52】
【0174】
ESI−MS(M+H) cacld 609.6、found 610.7、1H NMR(400MHz,CDCl3)δ4.86(1H,tt)、3.96(2H,d)、2.33−2.26(6H,m)、2.21(6H,s)、2.03(2H,m)、1.80(2H,m)、1.61(4H,m)、1.49(4H,m)、1.27−1.21(41H,m)、0.87(9H,m)
【0175】
<組成物の調製(1)>
[実施例29]
(YS−102)
実施例1のカチオン性脂質(YS−102)を用いて組成物を調製した。核酸としては、センス鎖5’−GGAfUfCAfUfCfUfCAAGfUfCfUfUAfCT*T−3’(配列番号1、T:DNA、fU,fC=2’−Fluoro RNA、*=Phosphorothioate linkage)、アンチセンス鎖5’−GfUAAGAfCfUfUGAGAfUGAfUfCfCT*T−3’(配列番号2、T:DNA、fU,fC=2’−Fluoro RNA、*=Phosphorothioate linkage)の塩基配列からなる、Factor VII(血液凝固第VII因子)遺伝子の発現を抑制するsiRNAであり、アニーリング済みのもの(株式会社ジーンデザイン、以下「Factor VII siRNA」という場合がある。)を使用した。
【0176】
Factor VII siRNAを25mM酢酸ナトリウム(pH4.0)で216μg/mLに溶解し、siRNA希釈液とした。また、カチオン性脂質(YS−102)、DSPC(日本精化株式会社)、Cholesterol(日本精化株式会社)、MPEG2000−DMG(日油株式会社)を60/8.5/30/1.5(モル比)の割合で総脂質濃度15mMとなるようにエタノールに溶解し、脂質溶液とした。siRNA希釈液と脂質溶液とを、それぞれ2.4mL/分、1.29mL/分の流速で混合し、更に25mM酢酸ナトリウム(pH4.0)を9.25mL/分の流速で混合することにより、脂質複合体水溶液を得た。得られた脂質複合体水溶液を、透析膜(商品名「Float−A−Lyzer G2」、SPECTRUM社、50K MWCO)を用いた透析に供し、外液をリン酸緩衝液(PBS、pH7.5)に置換した。透析後、濃縮及び濾過滅菌を行い、実施例29の組成物を得た。
【0177】
[実施例30]
(YS−101)
カチオン性脂質として、YS−102の代わりに実施例2のカチオン性脂質(YS−101)を用いた以外は実施例29と同様にして、実施例30の組成物を得た。
【0178】
[実施例31]
(YS−103)
カチオン性脂質として、YS−102の代わりに実施例3のカチオン性脂質(YS−103)を用いた以外は実施例29と同様にして、実施例31の組成物を得た。
【0179】
[参考例1]
(YS−021)
カチオン性脂質として、YS−102の代わりに下記式(36)で表される1−(2−オクチルシクロプロピル)ヘプタデカン−8−イル−1−メチルピペリジン−4−カルボキシレート(以下、「YS−021」という場合がある。)を用いた以外は実施例29と同様にして、参考例1の組成物を得た。
【0180】
【化53】
【0181】
<組成物の解析(1)>
実施例29〜31及び参考例1の組成物について、脂質複合体へのsiRNAの封入率を測定した。
【0182】
具体的には、組成物をRNase Free Waterで希釈し、Quant−iT RiboGreen RNA Reagent(Invitrogen社)を使用して測定したsiRNA濃度(A)を、脂質複合体外液に存在するsiRNAとした。また、組成物を1% Triton X−100で希釈して測定したsiRNA濃度(B)を組成物中の全siRNA濃度とした。続いて、次式(F1)により、核酸の封入率を算出した。
封入率(%)=100−(A/B)×100 (F1)
【0183】
また、粒子径測定装置(商品名「Zetasizer Nano ZS」、Malvern社製)で脂質複合体の平均粒子径を測定した。
【0184】
表1に、siRNAの封入率及び脂質複合体の平均粒子径(Z−平均)を示す。
【0185】
【表1】
【0186】
<組成物の調製(2)>
[実施例32]
(YS−111)
実施例5のカチオン性脂質(YS−111)を用いて組成物を調製した。核酸としては、実施例29の組成物で用いたものと同じFactor VII siRNAを使用した。
【0187】
Factor VII siRNAを25mM酢酸ナトリウム(pH4.0)で181μg/mLに溶解し、siRNA希釈液とした。また、カチオン性脂質(YS−111)、DSPC(日本精化株式会社)、Cholesterol(日本精化株式会社)、MPEG2000−DMG(日油株式会社)を60/8.5/30/1.5(モル比)の割合で総脂質濃度10mMとなるようにエタノールに溶解し、脂質溶液とした。siRNA希釈液と脂質溶液とを、それぞれ2.4mL/分、1.29mL/分の流速で混合し、更に25mM酢酸ナトリウム(pH4.0)を5.0mL/分の流速で混合することにより、脂質複合体水溶液を得た。得られた脂質複合体水溶液を、透析膜(商品名「Float−A−Lyzer G2」、SPECTRUM社、50K MWCO)を用いた透析に供し、外液をリン酸緩衝液(PBS、pH7.5)に置換した。透析後、濃縮及び濾過滅菌を行い、実施例32の組成物を得た。
【0188】
[実施例33]
(YS−112)
カチオン性脂質として、YS−111の代わりに実施例6のカチオン性脂質(YS−112)を用いた以外は実施例32と同様にして、実施例33の組成物を得た。
【0189】
[実施例34]
(YS−113)
カチオン性脂質として、YS−111の代わりに実施例7のカチオン性脂質(YS−113)を用いた以外は実施例32と同様にして、実施例34の組成物を得た。
【0190】
[実施例35]
(YS−114)
カチオン性脂質として、YS−111の代わりに実施例8のカチオン性脂質(YS−114)を用いた以外は実施例32と同様にして、実施例35の組成物を得た。
【0191】
[実施例36]
(YS−115)
カチオン性脂質として、YS−111の代わりに実施例9のカチオン性脂質(YS−115)を用いた以外は実施例32と同様にして、実施例36の組成物を得た。
【0192】
[実施例37]
(YS−116)
カチオン性脂質として、YS−111の代わりに実施例10のカチオン性脂質(YS−116)を用いた以外は実施例32と同様にして、実施例36の組成物を得た。
【0193】
[比較例1]
(ALN−319)
カチオン性脂質として、YS−111の代わりに、特許文献1に記載された下記式(32)で表されるジ((Z)−ノン−2−エン−1−イル)9−((4−(ジメチルアミノ)ブタノイル)オキシ)ヘプタデカンジオエート(以下、「ALN−319」という場合がある。)を、特許文献1に記載された方法にしたがって合成して用いた以外は実施例32と同様にして、比較例1の組成物を得た。
【0194】
【化54】
【0195】
<組成物の解析(2)>
実施例29の組成物と同様にして、実施例32〜37及び比較例1の組成物について、脂質複合体へのsiRNAの封入率、及び脂質複合体の平均粒子径を測定した。表2に、siRNAの封入率及び脂質複合体の平均粒子径(Z−平均)を示す。
【0196】
【表2】
【0197】
<組成物の調製(3)>
[実施例38]
(YS−117)
実施例11のカチオン性脂質(YS−117)を用いて組成物を調製した。核酸としては、実施例29の組成物で用いたものと同じFactor VII siRNAを使用した。
【0198】
Factor VII siRNAを25mM酢酸ナトリウム(pH4.0)で108μg/mLに溶解し、siRNA希釈液とした。また、カチオン性脂質(YS−111)、DSPC(日本精化株式会社)、Cholesterol(日本精化株式会社)、MPEG2000−DMG(日油株式会社)を60/8.5/30/1.5(モル比)の割合で総脂質濃度6mMとなるようにエタノールに溶解し、脂質溶液とした。siRNA希釈液と脂質溶液とを、それぞれ2.4mL/分、1.29mL/分の流速で混合し、更に25mM酢酸ナトリウム(pH4.0)を9.25mL/分の流速で混合することにより、脂質複合体水溶液を得た。得られた脂質複合体水溶液を、透析膜(商品名「Float−A−Lyzer G2」、SPECTRUM社、50K MWCO)を用いた透析に供し、外液をリン酸緩衝液(PBS、pH7.5)に置換した。透析後、濃縮及び濾過滅菌を行い、実施例38の組成物を得た。
【0199】
[実施例39]
(YS−117S)
カチオン性脂質として、YS−117の代わりに実施例12のカチオン性脂質(YS−117S)を用いた以外は実施例38と同様にして、実施例39の組成物を得た。
【0200】
[実施例40]
(YS−118)
カチオン性脂質として、YS−117の代わりに実施例13のカチオン性脂質(YS−118)を用いた以外は実施例38と同様にして、実施例40の組成物を得た。
【0201】
[実施例41]
(YS−118S)
カチオン性脂質として、YS−117の代わりに実施例14のカチオン性脂質(YS−118S)を用いた以外は実施例38と同様にして、実施例41の組成物を得た。
【0202】
[実施例42]
(YS−119)
カチオン性脂質として、YS−117の代わりに実施例4のカチオン性脂質(YS−119)を用いた以外は実施例38と同様にして、実施例42の組成物を得た。
【0203】
<組成物の解析(3)>
実施例29の組成物と同様にして、実施例38〜42の組成物について、脂質複合体へのsiRNAの封入率、及び脂質複合体の平均粒子径を測定した。表3に、siRNAの封入率及び脂質複合体の平均粒子径(Z−平均)を示す。
【0204】
【表3】
【0205】
<組成物の調製(4)>
[実施例43]
(YS−119)
実施例4のカチオン性脂質(YS−119)を用いて組成物を調製した。核酸としては、実施例29の組成物で用いたものと同じFactor VII siRNAを使用した。
【0206】
Factor VII siRNAを25mM酢酸ナトリウム(pH4.0)で108μg/mLに溶解し、siRNA希釈液とした。また、カチオン性脂質(YS−119)、DSPC(日本精化株式会社)、Cholesterol(日本精化株式会社)、MPEG2000−DMG(日油株式会社)を60/8.5/30/1.5(モル比)の割合で総脂質濃度6mMとなるようにエタノールに溶解し、脂質溶液とした。siRNA希釈液と脂質溶液とを、それぞれ1.80mL/分、0.97mL/分の流速で混合し、更に25mM酢酸ナトリウム(pH4.0)を6.94mL/分の流速で混合することにより、脂質複合体水溶液を得た。得られた脂質複合体水溶液を、透析膜(商品名「Float−A−Lyzer G2」、SPECTRUM社、50K MWCO)を用いた透析に供し、外液をリン酸緩衝液(PBS、pH7.5)に置換した。透析後、濃縮及び濾過滅菌を行い、実施例43の組成物を得た。
【0207】
[比較例2]
(ALN−319)
カチオン性脂質として、YS−119の代わりに、上述したALN−319を用いた以外は実施例43と同様にして、比較例2の組成物を得た。
【0208】
<組成物の解析(4)>
実施例29の組成物と同様にして、実施例43及び比較例2の組成物について、脂質複合体へのsiRNAの封入率、及び脂質複合体の平均粒子径(Z−平均)を測定した。表4に、siRNAの封入率及び脂質複合体の平均粒子径を示す。
【0209】
【表4】
【0210】
<組成物の調製(5)>
[実施例44]
(YS−119)
実施例4のカチオン性脂質(YS−119)を用いて組成物を調製した。核酸としては、実施例29の組成物で用いたものと同じFactor VII siRNAを使用した。
【0211】
Factor VII siRNAを25mM酢酸ナトリウム(pH4.0)で216μg/mLに溶解し、siRNA希釈液とした。また、カチオン性脂質(YS−119)、Cholesterol(日本精化株式会社)、MPEG2000−DPG(日油株式会社)を60/38.5/1.5(モル比)の割合で総脂質濃度6mMとなるようにエタノールに溶解し、脂質溶液とした。siRNA希釈液と脂質溶液とを、それぞれ3.36mL/分、1.81mL/分の流速で混合し、更に25mM酢酸ナトリウム(pH4.0)を12.95mL/分の流速で混合することにより、脂質複合体水溶液を得た。得られた脂質複合体水溶液を、透析膜(商品名「Float−A−Lyzer G2」、SPECTRUM社、50K MWCO)を用いた透析に供し、外液をリン酸緩衝液(PBS、pH7.5)に置換した。透析後、濃縮及び濾過滅菌を行い、実施例44の組成物を得た。
【0212】
[実施例45]
(YS−120)
カチオン性脂質として、YS−119の代わりに、実施例15のカチオン性脂質(YS−120)を用いた以外は実施例44と同様にして、実施例45の組成物を得た。
【0213】
<組成物の解析(5)>
実施例29の組成物と同様にして、実施例44及び45の組成物について、脂質複合体へのsiRNAの封入率、及び脂質複合体の平均粒子径(Z−平均)を測定した。表5に、siRNAの封入率及び脂質複合体の平均粒子径を示す。
【0214】
【表5】
【0215】
<組成物の調製(6)>
[実施例46]
(YS−120)
実施例16のカチオン性脂質(YS−120)を用いて組成物を調製した。核酸としては、実施例29の組成物で用いたものと同じFactor VII siRNAを使用した。
【0216】
Factor VII siRNAを25mM酢酸ナトリウム(pH4.0)で450μg/mLに溶解し、siRNA希釈液とした。また、カチオン性脂質(YS−120)、DSPC(日本精化株式会社)、Cholesterol(日本精化株式会社)、MPEG2000−DMG(日油株式会社)を60/8.5/30/1.5(モル比)の割合で総脂質濃度40mMとなるようにエタノールに溶解し、脂質溶液とした。siRNAに対する脂質の比を質量比0.06とし、siRNA希釈液と脂質溶液とを、それぞれ4.0mL/分、1.3mL/分の流速で混合することにより、脂質複合体水溶液を得た。得られた脂質複合体水溶液を、透析膜(商品名「Float−A−Lyzer G2」、SPECTRUM社、50K MWCO)を用いた透析に供し、外液をリン酸緩衝液(PBS、pH7.4)に置換した。透析後、濃縮及び濾過滅菌を行い、実施例46の組成物を得た。
【0217】
[実施例47]
(YS−121)
カチオン性脂質として、YS−120の代わりに、実施例17のカチオン性脂質(YS−121)を用いた以外は実施例46と同様にして、実施例47の組成物を得た。
【0218】
[実施例48]
(YS−122)
カチオン性脂質として、YS−120の代わりに、実施例18のカチオン性脂質(YS−122)を用いた以外は実施例46と同様にして、実施例48の組成物を得た。
【0219】
[実施例49]
(YS−123)
カチオン性脂質として、YS−120の代わりに、実施例19のカチオン性脂質(YS−123)を用いた以外は実施例46と同様にして、実施例49の組成物を得た。
【0220】
[実施例50]
(YS−124)
カチオン性脂質として、YS−120の代わりに、実施例20のカチオン性脂質(YS−124)を用いた以外は実施例46と同様にして、実施例50の組成物を得た。
【0221】
[実施例51]
(YS−125)
カチオン性脂質として、YS−120の代わりに、実施例21のカチオン性脂質(YS−125)を用いた以外は実施例46と同様にして、実施例51の組成物を得た。
【0222】
[実施例52]
(YS−126)
カチオン性脂質として、YS−120の代わりに、実施例22のカチオン性脂質(YS−126)を用いた以外は実施例46と同様にして、実施例52の組成物を得た。
【0223】
<組成物の解析(6)>
実施例29の組成物と同様にして、実施例46〜52の組成物について、脂質複合体へのsiRNAの封入率、及び脂質複合体の平均粒子径(Z−平均)を測定した。表6に、siRNAの封入率及び脂質複合体の平均粒子径を示す。
【0224】
【表6】
【0225】
<組成物の解析(7)>
実施例46〜52の組成物について、密閉したバイアルにて4℃で保管し、保管前、保管後3ヶ月目、及び6ヶ月目の粒子径(Z−平均及び多分散指数)を実施例29の組成物と同様にして測定した。
【0226】
表7に、実施例46〜52の組成物の平均粒子径の経時変化及び保管6ヶ月目と保管前の粒子径変化(d)を示す。YS−121以外のカチオン性脂質を含む組成物は、保管期間中、脂質複合体の粒子径の増大が抑制されることが示された。
【0227】
【表7】
【0228】
<組成物の調製(7)>
[実施例53]
(YS−120)
「組成物の調製(6)」と同様にして、実施例16のカチオン性脂質(YS−120)を用いて組成物を調製した。
【0229】
[実施例54]
(YS−124)
カチオン性脂質として、YS−120の代わりに、実施例23のカチオン性脂質(YS−127)を用いた以外は実施例53と同様にして、実施例54の組成物を得た。
【0230】
[比較例3]
(ALN−319)
カチオン性脂質として、YS−120の代わりに、上述したALN−319を用いた以外は実施例53と同様にして、比較例3の組成物を得た。
【0231】
<組成物の解析(8)>
実施例29の組成物と同様にして、実施例53、54、及び比較例3の組成物について、脂質複合体へのsiRNAの封入率、及び脂質複合体の平均粒子径(Z−平均)を測定した。表8に、siRNAの封入率及び脂質複合体の平均粒子径を示す。
【0232】
【表8】
【0233】
<組成物の解析(9)>
実施例53、54、及び比較例3の組成物について、各組成物の調製においてsiRNA希釈液と脂質溶液との混合により脂質複合体が生じた直後、該脂質複合体をPBSに透析した後、密閉したバイアルにて4℃で保管後2ヶ月目、及び6ヶ月目の粒子径(Z−平均及び多分散指数)を粒子径測定装置(商品名「Zetasizer Nano ZS」、Malvern社製)により測定した。
【0234】
表9に、実施例53、54、及び比較例3の組成物の平均粒子径の経時変化及び保管6ヶ月目と混合直後の粒子径変化(d)を示す。YS−120またはYS−124のカチオン性脂質を含む組成物は、比較例3の組成物に比べて、保管期間中、脂質複合体の粒子径の増大が抑制されることが示された。
【0235】
【表9】
【0236】
<組成物の調製(8)>
[実施例55]
(YS−120)
「組成物の調製(6)」と同様にして、実施例16のカチオン性脂質(YS−120)を用いて組成物を調製した。
【0237】
[実施例56]
(YS−127)
カチオン性脂質として、YS−120の代わりに、実施例23のカチオン性脂質(YS−127)を用いた以外は実施例55と同様にして、実施例56の組成物を得た。
【0238】
[実施例57]
(YS−128)
カチオン性脂質として、YS−120の代わりに、実施例24のカチオン性脂質(YS−128)を用いた以外は実施例55と同様にして、実施例57の組成物を得た。
【0239】
[実施例58]
(YS−129)
カチオン性脂質として、YS−120の代わりに、実施例25のカチオン性脂質(YS−129)を用いた以外は実施例55と同様にして、実施例58の組成物を得た。
【0240】
<組成物の解析(10)>
実施例29の組成物と同様にして、実施例55〜58の組成物について、脂質複合体へのsiRNAの封入率、及び脂質複合体の平均粒子径(Z−平均)を測定した。表10に、siRNAの封入率及び脂質複合体の平均粒子径を示す。
【0241】
【表10】
【0242】
<組成物の調製(9)>
[実施例59]
(YS−101)
「組成物の調製(6)」と同様にして、実施例2のカチオン性脂質(YS−101)を用いて組成物を調製した。
【0243】
[実施例60]
(YS−131)
カチオン性脂質として、YS−101の代わりに、実施例26のカチオン性脂質(YS−131)を用いた以外は実施例59と同様にして、実施例60の組成物を得た。
【0244】
[実施例61]
(YS−132)
カチオン性脂質として、YS−101の代わりに、実施例27のカチオン性脂質(YS−132)を用いた以外は実施例59と同様にして、実施例61の組成物を得た。
【0245】
[実施例62]
(YS−133)
カチオン性脂質として、YS−101の代わりに、実施例28のカチオン性脂質(YS−133)を用いた以外は実施例59と同様にして、実施例62の組成物を得た。
【0246】
[実施例63]
(YS−120)
カチオン性脂質として、YS−101の代わりに、実施例16のカチオン性脂質(YS−120)を用いた以外は実施例59と同様にして、実施例63の組成物を得た。
【0247】
[比較例4]
(ALN−319)
カチオン性脂質として、YS−101の代わりに、上述したALN−319を用いた以外は実施例59と同様にして、比較例4の組成物を得た。
【0248】
<組成物の解析(11)>
実施例29の組成物と同様にして、実施例59〜63、及び比較例4の組成物について、脂質複合体へのsiRNAの封入率、及び脂質複合体の平均粒子径(Z−平均)を測定した。表11に、siRNAの封入率及び脂質複合体の平均粒子径を示す。
【0249】
【表11】
【0250】
<動物実験(1)>
実施例29〜31及び参考例1の組成物を、脂質複合体に封入されたFactor VII siRNA濃度が10μg/mLとなるようにPBSで希釈した。各組成物を、C57/BL6マウス(5週齢、オス)に10mL/kgの投与容量で尾静脈内投与し、投与から24時間後に麻酔下で採血及び肝臓の採取を実施した。遠心により血液から血漿を分離し、血漿中のFactor VIIタンパク質濃度を市販のキット(商品名「BIOPHEN FVII」、HYPHEN BioMed社)により定量した。陰性対照として、PBSを投与した群に同様の処理を行った。
【0251】
PBS投与群のFactor VIIタンパク質濃度を100%とし、組成物投与群のFactor VIIタンパク質濃度を相対値として算出した。また、肝臓をホモジナイズし、メタノールで組成物構成脂質を抽出後、LC−MSによりカチオン性脂質を定量した。投与したカチオン性脂質の量を100%とし、肝臓に残存していたカチオン性脂質の量を相対値として算出した。結果を表12に示す。
【0252】
【表12】
【0253】
<動物実験(2)>
実施例32〜37及び比較例1の組成物を「動物実験(1)」と同様にしてC57/BL6マウス(5週齢、オス)に投与し、投与から24時間後の血漿中のFactor VIIタンパク質濃度の相対値及び肝臓に残存していたカチオン性脂質量の相対値を算出した。結果を表13に示す。
【0254】
【表13】
【0255】
<動物実験(3)>
実施例38〜42の組成物を「動物実験(1)」と同様にしてC57/BL6マウス(5週齢、オス)に投与し、投与から24時間後の血漿中のFactor VIIタンパク質濃度の相対値及び肝臓に残存していたカチオン性脂質量の相対値を算出した。結果を表14に示す。
【0256】
【表14】
【0257】
<動物実験(4)>
実施例43及び比較例2の組成物を、脂質複合体に封入されたFactor VII siRNA濃度が1μg/mL又は5μg/mLとなるようにPBSで希釈した。各組成物を、C57/BL6マウス(5週齢、オス)に10mL/kgの投与容量で尾静脈内投与し、投与から24時間後に麻酔下で採血及び肝臓の採取を実施した。遠心により血液から血漿を分離し、血漿中のFactor VIIタンパク質濃度を市販のキット(商品名「BIOPHEN FVII」、HYPHEN BioMed社)により定量した。陰性対照として、PBSを投与した群に同様の処理を行った。
【0258】
PBS投与群のFactor VIIタンパク質濃度を100%とし、組成物投与群のFactor VIIタンパク質濃度を相対値として算出した。結果を表15及び
図1に示す。実施例43の組成物は、比較例2の組成物よりもFactor VIIタンパク質の発現抑制効果が高いことが示された。
【0259】
【表15】
【0260】
<動物実験(5)>
実施例44及び45の組成物を、脂質複合体に封入されたFactor VII siRNA濃度が1μg/mL又は5μg/mLとなるようにPBSで希釈した。各組成物を、C57/BL6マウス(5週齢、オス)に10mL/kgの投与容量で尾静脈内投与し、投与から24時間後に麻酔下で採血及び肝臓の採取を実施した。遠心により血液から血漿を分離し、血漿中のFactor VIIタンパク質濃度を市販のキット(商品名「BIOPHEN FVII」、HYPHEN BioMed社)により定量した。陰性対照として、PBSを投与した群に同様の処理を行った。
【0261】
PBS投与群のFactor VIIタンパク質濃度を100%とし、組成物投与群のFactor VIIタンパク質濃度を相対値として算出した。結果を表16及び
図2に示す。実施例44及び45の組成物は、いずれも、Factor VIIタンパク質の高い発現抑制効果を示した。
【0262】
【表16】
【0263】
<動物実験(6)>
実施例46〜52の組成物を「動物実験(5)」と同様にしてC57/BL6マウス(5週齢、オス)に投与し、投与から24時間後の血漿中のFactor VIIタンパク質濃度の相対値を算出した。結果を表17に示す。
【0264】
【表17】
【0265】
<動物実験(7)>
実施例53、54、及び比較例3の組成物を、脂質複合体に封入されたFactor VII siRNA濃度が2μg/mL又は10μg/mLとなるようにPBSで希釈した。各組成物を、ICRマウス(6週齢、メス)に10mL/kgの投与容量で尾静脈内投与し、投与から24時間後に麻酔下で採血及び肝臓の採取を実施した。遠心により血液から血漿を分離し、血漿中のFactor VIIタンパク質濃度を市販のキット(商品名「BIOPHEN FVII」、HYPHEN BioMed社)により定量した。陰性対照として、PBSを投与した群に同様の処理を行った。
【0266】
PBS投与群のFactor VIIタンパク質濃度を100%とし、組成物投与群のFactor VIIタンパク質濃度を相対値として算出した。結果を表18に示す。実施例53及び54の組成物は、比較例3の組成物に比べて、Factor VIIタンパク質の高い発現抑制効果を示した。
【0267】
【表18】
【0268】
<動物実験(8)>
実施例55〜58の組成物を「動物実験(7)」と同様にしてICRマウス(6週齢、メス)に投与し、投与から24時間後の血漿中のFactor VIIタンパク質濃度の相対値を算出した。結果を表19に示す。
【0269】
【表19】
【0270】
<動物実験(9)>
実施例59〜63、及び比較例4の組成物を「動物実験(7)」と同様にしてICRマウス(5週齢、メス)に投与し、投与から24時間後の血漿中のFactor VIIタンパク質濃度の相対値を算出した。結果を表20に示す。
【0271】
【表20】