(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コーティングプロセス中、前記液状媒質は、イオンを有する前記第3の元素(M3)を有し、且つイオンを有する前記第4の元素(A4)を実質的に有しておらず、前記コーティングプロセス後、前記液状媒質は、イオンを有する前記第4の元素(A4)を有している、請求項1乃至4の何れか一項に記載の方法。
請求項1乃至5の何れか一項に記載の方法で得ることができる前記被覆された量子ドットは、イオンを有する前記第3の元素(M3)及びイオンを有する前記第4の元素(A4)が存在しないとした該方法で得ることができる被覆された量子ドットの発光最大波長に対してシフトされた発光最大波長を持つ、請求項1乃至5の何れか一項に記載の方法。
当該方法は更に、前記被覆された量子ドットを母材に埋め込んで波長コンバータ素子を提供するステップを有し、前記母材はシリコーンを有する、請求項1乃至6の何れか一項に記載の方法。
前記第3の元素(M3)及び前記第4の元素(A4)のうちの前記一方以上はそれぞれ、前記コーティング内で、1:100から25:100の範囲内のシリコンに対する重量比で含まれる、請求項8乃至10の何れか一項に記載のルミネセント材料。
前記量子ドットは、球、立方体、ロッド、ワイヤ、ディスク、及びマルチポッドから成る群から選択された形状を有し、前記コーティングは、1−50nmの範囲内の厚さを有し、前記量子ドットは、コア材料がシェル材料とは異なるコア−シェル型のものであり、前記コア材料は、ZnS、ZnSe、CdS、CdSe、及びInPから成る群から選択されており、前記シェル材料は、ZnS、ZnSe、CdS、及びCdSeから成る群から選択されており、M3は、Zn及びCdから成る群から選択されており、A4は、S及びSeから成る群から選択されている、請求項8乃至11の何れか一項に記載のルミネセント材料。
【発明の概要】
【0009】
QDのシリカ封入(上述も参照)は、空気中でQDを安定化させるため、及び外部との化学的相互作用からQDを保護するために使用される。小さいサイズ分散(後述を参照)を持つ小さい(〜20nm)シリカ粒子を作製するための方法として、90年代に、逆ミセル法が紹介された。この方法はまた、シリカ被覆されたQDを作製することにも使用されることができる。QDの周囲の在来(ネイティブ)有機リガンドが、シリカシェル成長中に、無機シリカ前駆体分子で置換される。従来の(例えば、オレイン酸又はヘキサデシルアミン)キャップされたQDにおいて有機リガンドは弱い鎖として見られるので、QDの周囲の無機シリカシェルは、QDを光酸化に対していっそう安定にする見込みを有する。
【0010】
従来技術は、特に有機媒体内で有機リガンドによって配位されるときの、量子ドットの量子効率に言及しているが、量子ドットが微粒子材料として提供される有用な用途では、量子効率が劇的に低下するようである。量子効率は典型的に、シリカ成長を受けて50%よりも大きく低下し、それを照明用途に適用可能でないものとする。さらに、シリカコーティングを仮定すると、逆ミセル法によって成長されたままのシリカは非常に多孔質であり、時々提案されているものよりも、酸素又は水に対する障壁として良好でないものとなる。
【0011】
従って、本発明の一観点は、量子ドットに基づく代わりのルミネセント材料を提供することであり、それは好ましくは更に、上述の欠点のうちの1つ以上を少なくとも部分的に取り除くものである。さらに、量子ドットに基づくそのようなルミネセント材料の製造のための代わりの方法を提供することも本発明の一観点である。本発明の更なる一観点は、そのような量子ドットを用いて代わりの波長コンバータ及び/又は代わりの照明デバイスを提供することであり、それは好ましくは更に、上述の欠点のうちの1つ以上を少なくとも部分的に取り除くものである。
【0012】
ここでは、以下に限られないが例えばZnCl
2又はNa
2Sなどの無機塩をシェル成長中に付加することが提案される。これは、シェル成長後のQDの最終的なQEを大いに向上させるようである。それに代えて、あるいは加えて、このような塩をシリカ(コーティング)成長の後に付加することが提案される。これもQEを向上させ、また、QDのピーク波長及びフォトブライトニング効果に影響を及ぼす。本方法を用いると、例えばバックライト照明などの商業用途に適した又は近づく効率を持つQDを得ることができる。
【0013】
第一の態様において、本発明は、被覆された量子ドット(“QD”)に基づくルミネセント材料の製造の方法を提供し、当該方法は、
(i)液状媒質中にルミネセント量子ドットを供給するステップであり、該ルミネセント量子ドットは、カチオンを有する第1の元素(M1)と、アニオンを有する第2の元素(A2)と、を有した外層を持つ、ステップと、
(ii)コーティングプロセスにて、液状媒質中で量子ドットの外層上にコーティングを設けるステップであり、該コーティングは特にシリカコーティングを有する、ステップと
を有し、
コーティングプロセス中に、若しくはコーティングプロセス後に、又はコーティングプロセス中及びコーティングプロセス後に、液状媒質は、イオンを有する第3の元素(M3)及びイオンを有する第4の元素(A4)のうちの一方以上を有し、特定の一実施形態において、第1の元素(M1)及び第3の元素(M3)は、周期律表の同じ族に属し、特定の一実施形態において、第2の元素(A2)及び第4の元素(A4)は、周期律表の同じ族に属する。特に、イオンを有する第1の元素は、例えば二価の亜鉛などの金属カチオンである。また、特に、イオンを有する第2の元素は、例えば硫化物又はセレン化物などの非金属アニオンである。なお、元素という用語は、ここでは、(例えば、Zn元素/金属又はS元素)のような元素材料が適用されることを指し示すものではない。一般に、元素は、Zn
2+、Cd
2+、又はS
2−、Se
2−、Te
2−などのような,(1つ以上の)その元素を有するイオンとして利用可能であり又は提供されることになる。
【0014】
本発明はまた、更なる一態様において、このような方法を用いて得ることができるルミネセント材料を提供する。従って、(より)更なる一態様において、本発明はまた、被覆された量子ドットに基づくルミネセント材料を提供し、当該ルミネセント材料は、カチオンを有する第1の元素(M1)と、アニオンを有する第2の元素(A2)と、を有した外層と、該外層上に配置されたコーティングであり、該コーティングは特にシリカコーティングを有する、コーティングと、を持つルミネセント量子ドットを有し、(シリカ)コーティングは更に、第3の元素(M3)及び第4の元素(A4)のうちの一方以上を有し、第1の元素(M1)及び第3の元素(M3)は、一実施形態において、周期律表の同じ族に属し、第2の元素(A2)及び第4の元素(A4)は、一実施形態において、周期律表の同じ族に属する。特に、とりわけ、コーティングはシリカ(SiO
2)コーティングを有する。これに代えて、あるいは加えて、チタニア(TiO
2)コーティング、アルミナ(Al
2O
3)コーティング、又はジルコニア(ZrO
2)コーティングを有していてもよい。特に、ここでは以下、シリカコーティングを有するコーティングに関して本発明を説明する。
【0015】
この方法を用いて、実験室にて、(空気中で)優に70%を超える量子効率を持つ量子ドットに基づくルミネセント材料が得られた。さらに、また、マトリクスに埋め込まれた量子ドットは、実際には、このような高いQEを持っていないようであった。本方法は、興味深いほど高い量子効率を持った、微粒子状の量子ドット及び/又はマトリクス内の量子ドットを初めて提供するものであると思われる。理論付けられることには、QDにおける硫化亜鉛の外層を仮定すると(例えば、ZnSe量子ドット又はCdSコア/ZnSシェル量子ドットを仮定するときなど)、亜鉛含有リガンド及び/又は硫黄含有リガンドの錯体が、シリカシェル成長中にQD表面を去って、QEを低下させるトラップ状態を生じさせ得る。シリカ成長の最中及び/又は後に例えば亜鉛又は硫化物の塩を付加することにより、これらのトラップ状態が回復され得る。従って、イオンを有する第3の元素(M3)及びイオンを有する第4の元素(A4)のうちの上記一方以上は、特に、量子効率及び/又は安定性を向上させるために適用される。さらに、驚くことに、塩の付加は、QEを高めるだけでなく、高温又は青色フラックスに対する安定性も向上する。
【0016】
量子ドットは、ベア粒子として提供されてもよいし、例えばコア−シェル粒子として提供されてもよい。用語“シェル”はまた、複数のシェルを指すこともある。また、コア−シェル粒子は、必ずしも球状であるわけではなく、それらはまた、例えば量子ロッド型又はテトラポッド型(若しくはその他のマルチポッド型)などのものであってもよい。更なる例を以下にて提供する。ベア粒子又はコアは、特に、光学的に活性な部分である。シェルは、一種の保護として使用され、しばしば、例えば、ZnSeコア及びZnSシェルなど、同様のタイプの材料を有する(後述も参照)。このような粒子は、より良好な分散のために当該粒子に有機リガンドが付着されて、有機液体にて商業的に入手可能である。ここでは、粒子の外層は、ベア粒子又はコアの中心部分から最も離れた層である。ZnSシェルの場合、この外層は、QDのZnS表面となる。本発明は、しかしながら、ZnSシェル及びZnSeコアを有する量子ドットに限定されるものではない。以下では、数多くの代わりの量子ドットが記載される。従って、用語“量子ドット”は特に、量子ドット粒子を指すものであり、故に、ベア粒子であってもよいし、コアシェル粒子であってもよく、また、ドット、ロッドなどを有し得る。技術的に知られるように、ロッドは、例えばZnSロッド内のZnSeドットなど、ロッド構造に組み込まれた量子ドットを持つ。従って、“単純な”ZnSe又はCdS量子ドットの場合、それぞれ、外層は実質的にZnSe又はCdSを有することになる。しかしながら、例えば、ZnSシェルを持つZnSe、又はZnSシェルを持つCdSなどの、コア−シェルQDが適用される場合、(双方の実施形態で)外層は実質的にZnSを有することになる。
【0017】
故に、量子ドットがコア−シェル型のものでなく、シェルのない単一材料から基本的に成る一実施形態において、コアはM1−A2型のものであり、すなわち、コアはM1及びA2を有し、M1−A2は特に、QDとして使用されることが可能な該当する半導電性材料(例えば、以下の全ての例を参照)を表す。従って、このとき、外層は実質的に、QD(コア)の残りの部分に等しい。
【0018】
QDがコア−シェル型のものである場合、コア及びシェルの双方がM1−A2を有し得るが、シェルのM1若しくはA2の何れか又はM1とA2の双方が、コアのM1及びA2とは異なる。例えば、ZnSシェルを持つZnSeコアである。このとき、シェルが外層である。従って、M1及びA2は、それぞれ、外層の(1つ以上の)カチオン及び(1つ以上の)アニオンを指す。
【0019】
このような外層上に、(シリカ)コーティングを設けることができ、それにより、(シリカ)コーティングを持つベア量子ドット、又は(シリカ)コーティングを持つコア−シェル量子ドットが提供される。量子ドットをシリカでコーティングすることは、より安定(光安定及び/又は温度安定)な無機リガンドとして作用し得るものであるシリカ前駆体分子による有機リガンドの置換をもたらす。さらに、シリカ層は、例えば光酸化種に対する保護バリアを形成し得る。特に、コーティングは外層の全体を覆う。QDの周りにシリカコーティングを設けるのに好適な方法は、とりわけ、Koole等(上記非特許文献1)及びそこで引用された参考文献に記載されている。囲まれたナノ粒子のないシリカ粒子の合成は、Stober等(J.Colloid Interface Sci.,1968,62)によって最初に開発され、それは、例えばエタノール相における、均一なサイズ及び形状のシリカ球の成長を可能にしている。シリカ球を作製する第2の方法は、非極性相においてミセルを使用するものであり、逆ミセル法(又は逆マイクロエマルション法)と呼ばれており、Osseo−Asare(J.Colloids.Surf.,1990,6739)によって最初に提案されたものである。規定された水滴内でシリカ粒子が成長され、それが、非常に容易に制御されることが可能な均一なサイズ分布をもたらす。このアプローチは、シリカ内にナノ粒子を導入することによって拡張された。Stober法と比較してのこのアプローチの主な利点は、疎水性及び親水性の双方の粒子を被覆することができ、フォアハンドのリガンド交換が必要でなく、また、粒子サイズ及びサイズ分散のいっそうの制御が存在することである。
【0020】
本発明は、これらの方法のうちの1つに限られるものではない。しかしながら、特定の一実施形態において、コーティングプロセスは、特に、ここに援用するKoole等によっても議論されている逆ミセル法を用いて、量子ドットを含有するミセル内で実行される。従って、コーティングプロセスは特に、特に酸化物コーティング、更に特にはシリカコーティングであるコーティングが、QDの外層に設けられるプロセスであり、このコーティングプロセスは特にミセル内で実行され、ミセル(例えば、連続(非極性)液状媒質内の非連続相として水及びアンモニアを含有する)の助けを借りてQDが(シリカ)前駆体に晒されることでシリカコーティングが提供される。ミセルは特に、液状媒質に分散された界面活性剤分子の凝集体として定義され得る。水溶液中の典型的なミセルは、周囲の溶媒と接触した親水性の“ヘッド”領域を有する凝集体を形成し、疎水性のシングルテイル領域をミセル中央に閉じ込めている。逆ミセルは、逆さまに、非極性溶液を用い、親水性“ヘッド”が内側を向き、疎水性テイル領域が非極性媒質と接触する。何処かで示すように、シリカの代わりに、その他のコーティングも、そのコーティング用の被膜前駆体を用いて設けられ得る。
【0021】
上述のように、シリカ/ケイ酸塩のもの以外のカチオン及び/又はアニオンを利用できることは、QDの量子効率及び/又は安定性に良い影響を有するようである。元のqドットの外側シェルに使用されているものと同様のカチオン及びアニオンの使用が非常に有益であると思われる。例えば、ZnSシェル量子ドットを用いるとき、Zn及び/又はSイオンの使用は有益であるようであったが、イオンとしてのNa(又はK)及びClの使用は良い効果を持たないようであった。
【0022】
従って、特に、第1の元素(M1)及び第3の元素(M3)は、周期律表の同じ族に属し、且つ/或いは第2の元素(A2)及び第4の元素(A4)は、周期律表の同じ族に属する。この言い回しは、各実施形態において同様のカチオン及び同様のアニオンの双方がQE向上材料として適用されなければならないということを意味するものではない。上述のように、コーティングプロセス中に、若しくはコーティングプロセス後に、又はコーティングプロセス中及びコーティングプロセス後に、液状媒質は、イオンを有する第3の元素(M3)及びイオンを有する第4の元素(A4)のうちの一方以上を有し得る。例えば、再びZnS外層を仮定すると、ZnCl
2のみがコーティングプロセス中及び/又は後に適用されてもよいし、あるいはNa
2Sのみがコーティングプロセス中及び/又は後に適用されてもよい。
【0023】
また、特に、第3の元素及び/又は第4の元素が周期3−5、更に特には周期4−5から選択され、そして特に、M3≠M1且つA4≠A2であるとき、M3及び/又はA4は、それぞれ、M1及びA2の上の周期(あれば)又は下の周期(あれば)から選択される。例えば、再びZnS外層を仮定すると、M3は特にはCdとすることができ、且つ/或いはA4は特にはSeとすることができる。第3の元素及び第4の元素という用語は、実施形態において(独立に)、それぞれ、異なる第3の元素の組み合わせ及び異なる第4の元素の組み合わせをも表し得る。
【0024】
従って、特定の一実施形態において、M3=M1及びA4=A2のうちの一方以上が当てはまる。何故なら、これは特に、良好な結果を与え得るからである。用語“第3の元素”又は“第4の元素”はまた、それぞれ、複数の異なる第3の元素又は第4の元素をも表し得る。例えば、ZnS外層を仮定すると、第3の元素は例えば亜鉛カチオン及びカドミウムカチオンのうちの1つ以上を含むことができ、第4の元素は例えば硫化物アニオン及びセレン化物若しくはテルル化物アニオンのうちの1つ以上を含むことができる。このような実施形態において、イオンを有する第4の元素(A4)は、硫化物アニオン及びセレン化物若しくはテルル化物アニオンから成る群から選択される。同様に、用語“イオンを有する第3の元素(M3)”及び“イオンを有する第4の元素(A4)”は、実施形態において(独立に)、それぞれ、イオンを有する異なる第3の元素(M3)の組み合わせ及びイオンを有する異なる第4の元素(A4)の組み合わせをも表し得る。
【0025】
更なる特定の一実施形態において、M1及びM3は各々独立に、Zn及びCdから成る群から選択され、A2及びA4は各々独立に、S、Se及びTeから成る群から選択され、特に独立に、S及びSeから成る群から選択される。これは、例えば、ZnS、ZnSe、CdS、CdSeなどから基本的に成るQDに対応し得る。これはまた、シェルがZnS、ZnS、CdS、CdSeなどから基本的に成るコア−シェル量子ドットに対応し、コアは、例えば、CdS、ZnSe、InPなどを有し得る。なお、コア−シェルQDと記載されるとき、コア及びシェルの化学組成は特に異なるものとなる。
【0026】
コーティングプロセスは、例えば、被覆された量子ドットが液状媒質(例えばシクロヘキサンなど)から沈殿又は除去されるときに停止され得る。また、コーティングプロセスは、コーティングプロセスが実質的に準備できたときに自己終了してもよい。これは時々、何日かかかることがある。その後、量子ドットは、(別の)液状媒質で洗浄され得る。原理的に、量子効率を高めるイオンを用いた処理も、洗浄液を用いて、又は洗浄後に別の液体中で、実行され得る。しかしながら、特にこれらのイオンのうちの1つ以上を用いた処理は、洗浄手順の前に実行され、すなわち、概して、コーティング又はシリカ成長のプロセスが実行されるのと同じ液状媒質中で実行される。コーティングプロセスが(ミセル内で)実行されるこの液状媒質は、特に、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタンなど(例えばシクロヘキサンなどのその異性体を含めて)の、非極性有機溶媒である。非極性液状媒質中で、非イオン性又はイオン性の界面活性剤が小さい水/アンモニア滴を包囲することによって、ミセルが形成される。これら小さい水滴の中で、特にはシリカである酸化物の成長が起こる。さらに、上述のように、(例えばミセル内での)コーティングプロセス中に、若しくはコーティングプロセス後に、又はコーティングプロセス中及びコーティングプロセス後に、液状媒質は、イオンを有する第3の元素(M3)及びイオンを有する第4の元素(A4)のうちの一方以上を有し得る。特定の一実施形態において、コーティングプロセス中に、液状媒質が、イオンを有する第3の元素を有し、且つイオンを有する第4の元素(A4)を実質的に有さず、そして、コーティングプロセス後に、液状媒質が、イオンを有する第4の元素(A4)を有するときに、良好な結果を得ることができる。
【0027】
しかしながら、塩の組み合わせ及び/又は塩の順序はまた、コーティングプロセス中に使用される化学物質及び液体の種類に依存し得る。イオンを有する第3の元素(M3)及びイオンを有する第4の元素(A4)は、典型的に水の中の溶液として成長媒質に付加され、故に、界面活性剤によって取り囲まれた小さい水滴(この中でシリカ成長が起こる)の一部であることになる。オプションで、第4の元素の導入前に、液状媒質は、(第3の元素を実質的に有しない)別の液状媒質で置き換えられ得る。コーティングプロセス中に液状媒質が第4の元素を有し且つ第3の元素を実質的に有しておらず、そしてコーティングプロセス後に液状媒質が第3の元素を有する他の実施形態においても、第3の元素の導入前に、液状媒質は、(第4の元素を実質的に有しない)別の液状媒質で置き換えられ得る。
【0028】
その中で量子ドットが利用可能である液状媒質は、故に、(例えば、この液状媒質中のミセル内などに)第3の元素及び/又は第4の元素を含有し得る。第3の元素及び/又は第4の元素の濃度は、最大で、それぞれ第3の元素及び/又は第4の元素を提供するそれぞれの塩の飽和に至るまでとし得る。また、この濃度はとりわけ、特に、コーティングプロセスの開始の後に、又は更にはコーティングプロセスの(実質的な)終了の後に、(1つ以上の)第2のイオンが適用される場合に、低すぎて効果を持たないほどであるべきでない。従って、特定の実施形態において、第3の元素(M3)及び第4の元素(A4)のうちの上記一方以上は、例えば少なくとも10mMなど、例えば少なくとも20mMなど、又は更に高く例えば少なくとも0.05Mなど、少なくとも5mMの濃度において液状媒質内で利用可能である。従って、本発明は、コーティングプロセス中及び/又は後の1つ以上の塩の計画的な付加を含む。
【0029】
驚くことに、これら量子効率を高める元素(又はイオン)の存在は、量子効率に対してだけでなく、発光波長の位置にも影響を持つようである。概して、イオンはシフトを誘起し、ここで、第3の元素は発光のレッドシフトを与える傾向にあり、第4の元素は発光のブルーシフトを与える傾向にある。未処理のシリカ被覆QDに対する発光のシフトは、ここに記載される特定のプロセスを指し示すことができる。従って、特定の一実施形態において、以上の請求項の何れか一項に従った方法で得ることができる被覆された量子ドットは、イオンを有する第3の元素(M3)及びイオンを有する第4の元素(A4)が存在しないとした該方法で得ることができる被覆された量子ドットの発光最大波長に対してシフトされた発光最大波長を持つ。また、上述のように、コーティングプロセス中又は後の塩の存在はまた、高い温度又は青色フラックスに対する安定性を向上させる。
【0030】
QDが被覆され且つアニオン及び/又はカチオンで処理された後、QDを洗浄することができる。オプションで、それらを、液体((第2の)液状媒質)中に再分散させてもよいし、又はそのまま使用してもよい(後述も参照)。
【0031】
また、驚くことに、液状媒質が、例えばS、Se、及び/又はTeなどの第4の元素(A4)を有するとき、特にはまたNaOH及びKOHのうちの一方以上を有する塩基性媒体を使用することが有利であり得ると思われる。従って、第4の元素が適用されるとき、特に、例えばNa
2S及びNaOH(これらは溶解されることになり、すなわち、Na
+、S
2−、及びOH
−になる)を有する水など、水媒体である液状媒質が適用され得る。
【0032】
塩基性液状媒質の使用pHは、特には、例えば12以上など、更には13以上のように、11以上である。特に、粒子が経験し得る液体のpHは(も)、特には、例えば少なくとも12又は更には少なくとも約13など、少なくとも約11である。
【0033】
コーティング後(且つオプションの洗浄後)、被覆された量子ドットは、第1の実施形態において、液体材料から分離され得る。これは、ろ過、蒸発などのような、技術的に知られた方法で行われ得る。ここに記載される方法で得ることができるルミネセント材料は、微粒子状の被覆量子ドットを有する。この材料が乾燥されて微粒子材料(被覆量子ドットを有する)に変換され得る。代替的に、第2の実施形態において、被覆された量子ドットは、液体((第2の)液状媒質)中に再分散され得る。どちらの材料も、被覆量子ドットをマトリクスに埋め込むために使用され得る(後述を参照)。
【0034】
しかしながら、特に、ここに規定される方法は更に、被覆された量子ドットを母材に埋め込んで波長コンバータ素子を提供することを有することができ、該母材は特にはシリコーン(ポリシロキサンポリマー)を有し得る。しかしながら、その他の母材も可能であり得る。従って、本発明はまた、ここに記載されるような、又はここに記載される方法に従って得ることが可能な、ルミネセント材料が中に埋め込まれた母材を有する波長コンバータ素子を提供する。
【0035】
特に、母材は、特にはUV及び/又は青色光である光に対して透過性である。波長コンバータ素子は特に、透過素子であり、導波路又は光ガイドとしても示されることもある。母材は、特に、透過性の母材とすることができ、また、無機特性のもの又は有機特性のものとし得る。例えば、この母材は、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)(プレキシグラス若しくはパースペクス)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、PETG(グリコール修飾ポリエチレンテレフタレート)、PDMS(ポリジメチルシロキサン)、PMPS(ポリメチルフェニルシロキサン)、及びCOC(シクロオレフィンコポリマー)からなる群から選択される1つ以上の材料を有し得る。しかしながら、他の一実施形態において、導波路は無機材料を有し得る。好適な有機(無機)材料は、ガラス、(溶融)石英、透過性のセラミック材料、及びシリコーンからなる群から選択される。無機部分及び有機部分の双方を有するハイブリッド材料も適用され得る。導波路の材料として特に好適なのは、PMMA、透明PC、シリコーン、又はガラスである。特にシリコーンが興味深いが、PDMS、PMPS、及びポリシルセスキオキサンもそうである。特に、この母材は、380−750nmの範囲から選択される波長を持つ光に関して透過性である。例えば、母材は、青色、及び/又は緑色、及び/又は赤色の光に関して透過性とし得る。特に、母材は、少なくとも420−680nmの範囲全体に関して透過性である。特に、母材は、照明ユニット(後述も参照)の光源によって生成され且つ可視波長域から選択される波長を持つ光に関して、50−100%の範囲内、特には70−100%の範囲内の光透過率を有する。斯くして、母材は、照明ユニットからの可視光に関して透過性である。透過率又は光透過性は、第1の強度を持つ特定波長の光を材料に供給し、そして、材料を透過後に測定されたその波長の光の強度を、材料に供給されたその特定波長の光の最初の強度に関係付けることによって決定され得る(CRC Handbook of Chemistry and Physics,第69版,1088−1989のE−208及びE−406も参照)。光コンバータは、透明であってもよいし半透明であってもよいが、特には透明をし得る。特に、光コンバータは、実質的に透明であり、且つ/或いは実質的に光を散乱させない。光コンバータが透明であるとき、光源の光が光コンバータによって全く吸収されないというわけではないことがある。これは、特に、青色光を用いるときに興味深い。というのは、青色光は、QD又は光コンバータナノ粒子を励起するのに使用され得るとともに、(白色光内の)青色成分を提供するために使用され得るからである。従って、特に、QD又は光コンバータナノ粒子のための実質的に透過性のマトリクス(又はホスト)を提供する硬化可能なシロキサンポリマーが適用される。
【0036】
更なる他の一実施形態において、母材は、量子ドットの存在下での前駆体塩の共沈によって得ることができる塩を有する。
【0037】
また、波長コンバータ素子は、そのようなものとして使用され得る。しかしながら、量子ドットを包囲する母材はまた、(再び)微粒子状材料へと処理されてもよい。この微粒子状のルミネセント材料は、ルミネセント用途において、粒子が層としてコーティングされて、又は例えばLEDドームなどのシリコーンマトリクス又はその他のドーム材料に埋め込まれて使用され得る。オプションで、母材は、(その他の)量子ドット、又は酸化物若しくは窒化物ベースのルミネセント材料のようなその他の種類のルミネセント材料、に基づき得る更なるルミネセント材料を含み得る。
【0038】
上述のように、ここに記載される方法で得ることができるルミネセント材料は、例えば微粒子状材料など、それ自体として使用され、又は液体(分散液又はコロイド)内若しくは波長コンバータ素子内で使用され得る。特に、斯くして得られる量子ドットは、第3の元素及び/又は第4の元素に帰することができるシリカコーティングを有すると思われる。それらは、それぞれ、カチオン又はアニオンとして埋め込まれ得る。特に、イオンを有する第3の元素(M3)及びイオンを有する第4の元素(A4)のうちの上記一方以上は、それぞれ、コーティング内で少なくとも50ppm、例えば少なくとも100ppm、特には少なくとも200ppmの量で利用可能である。例えば、ZnCl
2が適用されるとき、例えば10ppmのZnがコーティング内に見出され得る(及び場合によりClも)。同様に、Na
2Sが適用されるとき、例えば100ppmのSがコーティング内に見出され得る(及び例えば10ppmのNaも)。ここで、ppmは特に、コーティングの原子(すなわち、具体的には、シリカコーティングの場合にSi及びO)の総数に対する、指し示される(1つ以上の)種の原子数を表す。従って、用語“ppm”は特に、“原子ppm”を表す。特定の一実施形態において、第3の元素M3及び第4の元素A4のうちの上記一方以上が、コーティング内で、1:100から25:100(例えばそれぞれ2:100から25:100など)の範囲内のシリコンに対する重量比で利用可能であるルミネセント材料が提供される。従って、コーティングは、例えばZnを、1:100−25:100の範囲内のZn:Si重量比がもたらされるような重量割合で有し得る。同様に、コーティングは、例えばSを、1:100−25:100の範囲内のS:Si重量比がもたらされるような重量割合で有し得る。特定の一実施形態において、第3の元素M3が、コーティング内で、1:100−25:100の範囲内のシリコンに対する重量比で利用可能であるとともに、第4の元素A4が、コーティング内で、1:100−25:100の範囲内のシリコンに対する重量比で利用可能である。M3及び/又はA4が、例えばそれぞれ、一実施形態においてZn及びCd、及び/又は他の一実施形態においてSe及びSなど、元素の組み合わせを有するとき、この重量比の範囲は特に、元素の組み合わせの重量に適用される。コーティングは故に、シリカを有し、コーティングは更に、M3及びA4のうちの一方以上を有し、特に、M3は、M3酸化物の形態であり、A4は、ナトリウム又はその他のアルカリ土類A4種の形態である。M3及び/又はA4は、シリカに埋め込まれてもよいし、量子ドットの外層の境界面にあってもよいし、シリカ層の外層にあってもよい。組み合わせも可能である。シリカを有する層にわたるM3及び/又はA4の分布もまた、合成プロセス中に何時にどのようにM3及び/又はA4が適用されるかに依存し得る。
【0039】
コーティングプロセスが開始された後に、又は特には、コーティングプロセスが実質的に終了した後に、第3の元素及び/又は第4の元素が適用されるとき、QDから離れるほど高い濃度であり、且つQDに近いほど低い濃度であるという、第3の元素及び/又は第4の元素それぞれの濃度勾配が存在し得る。
【0040】
とりわけ、カチオン及び/又はアニオンは、TEM、EDX、又はSR−TXRF(total reflection x-ray fluorescence in conjunction with synchrotron radiation)を用いて検出され得る。また、薄層をエッチング又は分解することにより、例えばICP−MSによってなどで、エッチング又は分解された材料について元素分析を実行し得る。特に、M3≠M1及びA4≠A2のうちの一方以上が当てはまるとき、コーティングプロセス中及び/又は後に使用された元素の存在検出は容易であり得る。何故なら、この元素は、在来的に外側コーティングに属するものでもなければ、在来的に(シリカ)コーティングに属するものでもない元素であるからである。
【0041】
(最終的な)(シリカを有する)コーティングは例えば、2−20nmなど、1−50nmの範囲内の厚さを持ち得る。また、ここに記載される(シリカ)コーティングプロセス(これは、第3の元素及び/又は第4の元素の存在下で実行されるものであり、且つ/或いは第3の元素及び/又は第4の元素での処理又は含浸に続かれるものである)は、オプションで、更なるコーティングプロセス及び/又は母材への埋込(ここでの記載を更に参照)に掛けられ得る。
【0042】
ルミネセント材料は、一実施形態において、量子ドットに配位するキャッピング剤をオプションで備えた、シリカ被覆量子ドットを有する液体を有し得る。このルミネセント材料は、分散液又はコロイド又はゲルとし得る。このようなルミネセント材料の用途は、ルミネセント材料が容器又はキュベットのような筐体若しくはその他のエンベロープに包囲される照明用途を含み得る。しかしながら、ルミネセント材料は、水性液体に溶解されるとき、例えばバイオマーカーとして、医療用途を含めた生物学的用途にも使用され得る。その他の選択肢は、光電池用途又はフォトダイオード用途を含む。
【0043】
更なる他の一実施形態において、ルミネセント材料は実質的にQDを有する。例えば、QDは、液体の蒸発などを含め、技術的に知られた技術で液体から分離されることができ、それにより、QD物質が粉末又は固形物(ケーキ)として提供される。その後、斯くして得られた物質が、例えば微粒子状材料へと更に処理され得る(後述も参照)。例えば、ルミネセント材料はまた、基質上のコーティングとしても提供され得る。QDを実質的に有するルミネセント材料はまた、例えば波長コンバータ素子を提供するように、例えば無機又は有機のマトリクスなどのマトリクス内に封入されてもよい。
【0044】
ここでは波長コンバータナノ粒子として指し示される量子ドット又はルミネセントナノ粒子は、例えば、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTe、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、及びHgZnSTeからなる群から選択されるII−VI族化合物半導体量子ドットを有し得る。他の一実施形態において、ルミネセントナノ粒子は、例えば、GaN、GaP、GaAs、AlN、AlP、AlAs、InN、InP、InGaP、InAs、GaNP、GaNAs、GaPAs、AlNP、AlNAs、AlPAs、InNP、InNAs、InPAs、GaAlNP、GaAlNAs、GaAlPAs、GaInNP、GaInNAs、GaInPAs、InAlNP、InAlNAs、及びInAlPAsからなる群から選択されるIII−V族化合物半導体量子ドットとし得る。より更なる一実施形態において、ルミネセントナノ粒子は、例えば、CuInS
2、CuInSe
2、CuGaS
2、CuGaSe
2、AgInS
2、AgInSe
2、AgGaS
2、及びAgGaSe
2からなる群から選択されるI−III−VI2黄銅鉱型半導体量子ドットとし得る。より更なる一実施形態において、ルミネセントナノ粒子は、例えば、LiAsSe
2、NaAsSe
2、及びKAsSe
2からなる群から選択されるものなどの、I−V−VI2半導体量子ドットとし得る。より更なる一実施形態において、ルミネセントナノ粒子は、例えばSbTeなどのIV−VI族化合物半導体ナノ粒子とし得る。特定の一実施形態において、ルミネセントナノ粒子は、InP、CuInS
2、CuInSe
2、CdTe、CdSe、CdSeTe、AgInS
2、及びAgInSe
2からなる群から選択される。より更なる一実施形態において、ルミネセントナノ粒子は、例えば、ZnSe:Mn、ZnS:Mnなど、内部にドーパントを有する上述の材料から選択されるII−VI、III−V、I−III−V、及びIV−VI族化合物半導体ナノ結晶のうちの1つとし得る。ドーパント元素は、Mn、Ag、Zn、Eu、S、P、Cu、Ce、Tb、Au、Pb、Tb、Sb、Sn、及びTlから選択され得る。ここで、ルミネセントナノ粒子ベースのルミネセント材料はまた、例えばCdSeとZnSeなど、複数の異なるタイプのQDを有していてもよい。
【0045】
II−VI族量子ドットを使用することが特に有利であると思われる。従って、一実施形態において、半導体ベースのルミネセント量子ドットは、特に、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTe、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、及びHgZnSTeからなる群から選択されるII−VI族量子ドット、より特にはCdS、CdSe、CdSe/CdS、及びCdSe/CdS/ZnSからなる群から選択されるII−VI族量子ドットを有する。しかしながら、一実施形態において、CdフリーのQDが適用される。特定の一実施形態において、波長コンバータナノ粒子は、III−V族QDを有し、より具体的には、例えばコア−シェルInP−ZnS QDなどの、InP系量子ドットを有する。なお、用語“InP量子ドット”又は“InP系量子ドット”及び同様の用語は、“ベア”InP QDに関係し得るが、例えば、InP−ZnS QDドット・イン・ロッドのようなコア−シェルInP−ZnS QDなどの、InPコア上にシェルを有するコア−シェルInP QDにも関係し得る。
【0046】
従って、より一般的には、M1及びM3は各々独立に、Zn、Cd、及びHgから成る群から選択され、A2及びA4は各々独立に、S、Se及びTeから成る群から選択され、更に特には、S及びSeから成る群から独立に選択される。これは特に、II−VI族系量子ドット、又はこのようなII−VI族材料を有する外層を有したコア−シェル型量子ドットに関連し得る。
【0047】
これに代えて、あるいは加えて、M1及びM3は各々独立に、Ga、Al、及びInから成る群から選択され、A2及びA4は各々独立に、P、N、及びAsから成る群から選択される。これは特に、III−V族系量子ドット、又はこのようなIII−V族材料を有する外層を有したコア−シェル型量子ドットに関連し得る。
【0048】
これに代えて、あるいは加えて、M1及びM3は各々独立に、Cu、Ga、Ag、及びInから成る群から選択され、A2及びA4は各々独立に、S、Se、及びTeから成る群から選択され、更に特には、S及びSeから成る群から独立に選択される。これは特に、I−III−VI2系量子ドット、又はこのようなI−III−VI2材料を有する外層を有したコア−シェル型量子ドットに関連し得る。
【0049】
これに代えて、あるいは加えて、M1及びM3は各々独立に、Asとの組み合わせで、Li、Na、及びKから成る群から選択され、A2及びA4は各々独立に、S、Se、及びTeから成る群から選択され、更に特には、S及びSeから成る群から独立に選択され、いっそう更には特にSeである。これは特に、I−V−VI2系量子ドット、又はこのようなI−V−VI2材料を有する外層を有したコア−シェル型量子ドットに関連し得る。
【0050】
ルミネセントナノ粒子(コーティングなし)は、特には1−20nm、例えば、1−5nmのように1−15nmなど、約1−50nmの範囲内の寸法を有することができ、特に、これらのナノ粒子のうちの少なくとも90%がそれぞれ、指し示した範囲内の寸法を有する(すなわち、これらのナノ粒子のうちの少なくとも90%が、2−50nmの範囲内の寸法を有し、特には、これらのナノ粒子のうちの少なくとも90%が、5−15nmの範囲内の寸法を有する)。用語“寸法”は、特に、ナノ粒子の形状に応じて、長さ、幅、及び直径のうちの1つ以上に関係する。一実施形態において、波長コンバータナノ粒子は、約1から約1000ナノメートル(nm)の範囲内の、そして好ましくは、約1から約100nmの範囲内の平均粒子サイズを有する。一実施形態において、ナノ粒子は、約1−50nmの範囲内の、特には1から約20nmの範囲内の、より一般には、例えば少なくとも2nmなど、少なくとも1.5nmの、平均粒子サイズを有する。一実施形態において、ナノ粒子は、約1から約20nmの範囲内の平均粒子サイズを有する。
【0051】
典型的なドットは、例えばセレン化カドミウム、硫化カドミウム、インジウム砒素、及びインジウム燐などの二元合金からなる。しかしながら、ドットはまた、例えば硫化カドミウムセレンなどの三元合金からなってもよい。これらの量子ドットは、10乃至50原子の直径で、量子ドット体積の中に僅か100乃至100,000原子を含有し得る。これは、約2−10ナノメートルに相当する。例えば、約3nmの直径を持つ例えばCdSe、InP、又はCuInSe
2などの(球状)粒子が提供され得る。ルミネセントナノ粒子(コーティングなし)は、1つの次元で10nm未満のサイズで、球、立方体、ロッド、ワイヤ、ディスク、マルチポッドなどの形状を有し得る。例えば、20nmの長さと4nmの直径とを持つCdSeのナノロッドが提供され得る。従って、一実施形態において、半導体ベースのルミネセント量子ドットは、コア−シェル型量子ドットを有する。更なる他の一実施形態において、半導体ベースのルミネセント量子ドットは、ドット・イン・ロッド型ナノ粒子を有する。異なるタイプの粒子の組み合わせも適用され得る。例えば、コア−シェル粒子とドット・イン・ロッドが適用されてもよく、且つ/或いは、例えばCdSとCdSeなど、上述のナノ粒子のうちの2つ以上の組み合わせが適用されてもよい。ここで、用語“異なるタイプ”は、異なる種類の半導体ルミネセント材料だけでなく、異なる幾何学構成にも関係し得る。従って、(上述の)量子ドット又はルミネセントナノ粒子のうちの2つ以上の組み合わせも適用され得る。従って、一実施形態において、量子ドットは、球、立方体、ロッド、ワイヤ、ディスク、及びマルチポッドなどから成る群から選択された形状を有する。異なるタイプの粒子の組み合わせも適用され得る。ここで、用語“異なるタイプ”は、異なる種類の半導体ルミネセント材料だけでなく、異なる幾何学構成にも関係し得る。従って、(上述の)量子ドット又はルミネセントナノ粒子のうちの2つ以上の組み合わせも適用され得る。
【0052】
一実施形態において、ナノ粒子又はQDは、第1の半導体材料を有するコアと、コアの表面の少なくとも一部を覆って配設された、第2の半導体材料を有するシェルと、を含む半導体ナノ結晶を有し得る。コアとシェルとを含む半導体ナノ結晶又はQDはまた、“コア/シェル”半導体ナノ結晶として参照される。
【0053】
例えば、半導体ナノ結晶又はQDは、式MXを持つコアを含むことができ、ただし、Mは、カドミウム、亜鉛、マグネシウム、水銀、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、又はこれらの混合物とすることができ、Xは、酸素、硫黄、セレン、テルル、窒素、リン、砒素、アンチモン、又はこれらの混合物とすることができる。半導体ナノ結晶コアとしての使用に適した材料の例は、以下に限られないが、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、MgS、MgSe、GaAs、GaN、GaP、GaSe、GaSb、HgO、HgS、HgSe、HgTe、InAs、InN、InP、InSb、AlAs、AlN、AlP、AlSb、TlN、TlP、TlAs、TlSb、PbO、PbS、PbSe、PbTe、Ge、Si、以上のうちの何れかを含む合金、及び/又は以上のうちの何れかを含む混合物を、三元及び四元の混合物若しくは合金を含めて、含む。
【0054】
シェルは、コアの組成と同じ又は異なる組成を持つ半導体材料とし得る。シェルは、コアの表面上の半導体材料のオーバーコート(上塗り)を有し、半導体ナノ結晶は、IV族元素、II−VI族化合物、II−V族化合物、III−VI族化合物、III−V族化合物、IV−VI族化合物、I−III−VI族化合物、II−IV−VI族化合物、II−IV−V族化合物、以上のうちの何れかを含む合金、及び/又は以上のうちの何れかを含む混合物を、三元及び四元の混合物若しくは合金を含めて、含むことができる。例は、以下に限られないが、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、MgS、MgSe、GaAs、GaN、GaP、GaSe、GaSb、HgO、HgS、HgSe、HgTe、InAs、InN、InP、InSb、AlAs、AlN、AlP、AlSb、TlN、TlP、TlAs、TlSb、PbO、PbS、PbSe、PbTe、Ge、Si、以上のうちの何れかを含む合金、及び/又は以上のうちの何れかを含む混合物を含む。例えば、CdSe又はCdTeの半導体ナノ結晶上に、ZnS、ZnSe、又はCdSのオーバーコーティングを成長させることができる。オーバーコーティングプロセスは、例えば、米国特許6322901号に記載されている。オーバーコーティング中に反応混合物の温度を調節し、且つコアの吸収スペクトルをモニタリングすることにより、高い量子発光効率及び狭いサイズ分布を有するオーバーコートされた材料を得ることができる。オーバーコーティングは、1つ以上の層を有し得る。オーバーコーティングは、コアの組成と同じ又は異なる少なくとも1つの半導体材料を有する。好ましくは、オーバーコーティングは、約1モノレイヤから約10モノレイヤまでの厚さを有する。オーバーコーティングはまた、10モノレイヤよりも大きい厚さを有していてもよい。一実施形態において、2つ以上のオーバーコーティングがコア上に含められ得る。
【0055】
一実施形態において、周囲の“シェル”材料は、コア材料のバンドギャップよりも大きいバンドギャップを有し得る。他の特定の実施形態において、周囲のシェル材料は、コア材料のバンドギャップよりも小さいバンドギャップを有し得る。一実施形態において、シェルは、“コア”基材の原子間隔に近い原子間隔を有するように選択され得る。他の特定の実施形態において、シェル材料とコア材料とが同じ結晶構造を有し得る。半導体ナノ結晶(コア)シェル材料の例は、限定することなく、赤色(例えば、(CdSe)ZnS(コア)シェル)、緑色(例えば、(CdZnSe)CdZnS(コア)シェルなど)、及び青色(例えば、(CdS)CdZnS(コア)シェル)を含む(半導体に基づく具体的な波長コンバータナノ粒子の例に関して上述の更に参照)。ここでは、用語“半導体ナノ結晶”及び“QD”は、相互に入れ替え可能に使用される。
【0056】
従って、上述の外表面は、ベア量子ドット(すなわち、更なるシェル又はコーティングを有しないQD)の表面であることもあるし、あるいは例えば(コア−シェル又はドット・イン・ロッドのような)コア−シェル量子ドットの表面、すなわち、シェルの(外側)表面であることもある。故に、グラフティング(結び付く)リガンドは特に、例えばドット・イン・ロッドQDの外表面などの量子ドットの外表面に結び付く。
【0057】
故に、特定の一実施形態において、波長コンバータナノ粒子は、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、HgS、HgSe、HgTe、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTe、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、及gZnSTe、GaN、GaP、GaAs、AlN、AlP、AlAs、InN、InP、InGaP、InAs、GaNP、GaNAs、GaPAs、AlNP、AlNAs、AlPAs、InNP、InNAs、InPAs、GaAlNP、GaAlNAs、GaAlPAs、GaInNP、GaInNAs、GaInPAs、InAlNP、InAlNAs、及びInAlPAsのうちの1つ以上を有した、コア及びシェルを持つコア−シェルナノ粒子からなる群から選択される。一般に、コア及びシェルは、同じクラスの材料を有するが、例えばCdSeコアを取り囲むZnSシェルなどのように、異なる材料から基本的に成る。
【0058】
波長コンバータなる用語は、第1の波長の光を第2の波長の光に変換するように構成されたシステムを指す。特に、UV及び/又は青色光(励起波長)が(少なくとも部分的に)、励起波長よりも長い波長の(可視)光に変換され得る。これは、以下にて更に明らかにされる。
【0059】
波長コンバータ素子は、例えば、膜(フィルム)などの層、特にはポリマー層、又は例えばドームなどの塊とし得る(として構成され得る)。これに代えて、あるいは加えて、波長コンバータはまた、レンズ又はリフレクタとし得る(として構成され得る)。
【0060】
従って、特に、第1の元素(M1)及び第3の元素(M3)は(独立に)、例えば特にCd、Zn、Hg、Ga、In、Al、Tl、Pb、Cu、Ge、Sn、Vの群から選択されるものなどの金属の群から選択され、特には、Cd、Zn、Hg、Ga、In、及びAlから成る群から選択される。特に、イオンを有する第1の元素(M1)は、カチオンを有し、特に、Cd、Zn、Hg、Ga、In、Al、Tl、Pb、Cuから成る群から(特には、Cd、Zn、Hg、Ga、In、及びAlから成る群から)選択された元素のカチオンから選択される。
【0061】
また、特に、第2の元素(A2)及び第4の元素(A4)は(独立に)、例えば特にS、Se、Te、N、P、Sb、及びAsの群から選択されるものなどの非金属の群から選択され、特には、例えばS及び/又はSeなど、S、Se、Te、N、及びPから成る群から選択される。特に、イオンを有する第2の元素(A2)は、アニオンを有し、特に、S、Se、Te、N、P、Sb、及びAsから成る群から選択された元素のアニオンから選択される。
【0062】
外層は特に、例えばM1=Zn且つA2=Sである場合のZnSのような半導体の外層など、基本的にM1及びA2に基づく化合物とし得る。
【0063】
なお、例えばHgSeTeのような系において、A2は、2つの元素の組み合わせを指し得る。従って、M1、A2、M3、及びA4は独立に、これらの分類に関してここで示した元素のうちの1つ以上を含み得る。
【0064】
より更なる特定の一実施形態において、第1の元素(M1)及び第3の元素(M3)は、周期律表の同じ族には属さず、且つ/或いは第2の元素(A2)及び第4の元素(A4)は、周期律表の同じ族に属する。例えば、一実施形態において、外層がZnSを有し得るとともに、第4の元素がPを有する。
【0065】
本発明のより更なる一観点において、特にSO4
2−及び/又はPO4
3−は、実質的に外層に関係なく、QE増大及び/又は安定化効果(寿命について)を有し得るようである。従って、より更なる一実施形態において、本発明はまた、被覆された量子ドットに基づくルミネセント材料の製造の方法を提供し、当該方法は、(i)液状媒質中にルミネセント量子ドットを供給するステップであり、該ルミネセント量子ドットは外層を持つ、ステップと、(ii)コーティングプロセスにて、液状媒質中で量子ドットの外層上にコーティングを設けるステップであり、該コーティングはシリカコーティングを有する、ステップとを有し、コーティングプロセス中に、若しくはコーティングプロセス後に、又はコーティングプロセス中及びコーティングプロセス後に、液状媒質は、SO4
2−及びPO4
3−のうちの一方以上を有する。適用され得るその他のイオンは、例えば、アルミン酸イオン(Al(OH)
4−)、スズ酸イオン(SnO
3−、SnO
32−、及びSnO
44−)、バナジウム酸イオン(VO
3−、VO
43−)、モリブデン酸イオン(MoO
42−)、タングステン酸イオン(WO
42−)、及び亜鉛酸イオン(Zn(OH)
42−)のうちの1つ以上、並びにその他の複合金属イオンを含み得る。これらはまた、対応する元素(すなわち、外層内の元素と対応する元素)が使用されて、イオンの組み合わせにて使用されてもよい。さらに、本発明はまた、(1つ以上の)このような方法(ここに記載されるその他の実施形態も参照)で得ることができるルミネセント材料にも関係する。
【0066】
より更なる一態様において、本発明はまた、光源と、ここに規定されるルミネセント材料又はここに規定される方法によって得ることができるルミネセント材料と、を有する照明デバイスを提供し、光源は、ルミネセント材料を照らすように構成される。ルミネセント材料は、それ自体として、又は母材に埋め込まれて、光源光をルミネセント材料光(又はコンバータ光)へと変換するために使用され得る。例えば母材に埋め込まれたものなどのルミネセント材料は、光源に放射線的に結合される。用語“放射線的に結合される”は特に光源によって放たれた放射の少なくとも一部がルミネセント材料によって受け取られる(そして、少なくとも部分的にルミネセンス(ルミネセンス材料光)へと変換される)ように、光源とルミネセント材料とが互いに関連付けられることを意味する。
【0067】
このデバイスは特に、デバイス光を生成するように構成され、デバイス光は、少なくとも部分的にコンバータ光を有するが、場合により(残存する)光源光をも有し得る。例えば、波長コンバータは、光源光を部分的にのみ変換するように構成され得る。そのような例において、デバイス光はコンバータ光と光源光とを有し得る。しかしながら、他の一実施形態において、波長コンバータはまた、全ての光源光を変換するように構成されてもよい。
【0068】
従って、特定の一実施形態において、照明デバイスは、光源光とコンバータ光との双方を有する照明デバイス光を提供するように構成され、例えば、前者は青色光であり、後者は、黄色光、又は黄色及び赤色光、又は緑色及び赤色光、又は緑色、黄色及び赤色光を有するなどである。更なる他の特定の一実施形態において、照明デバイスは、コンバータ光のみを有する照明デバイス光のみを提供するように構成される。これは、例えば、(特に、透過モードにおいて、)波長コンバータを照射する光源光が、波長コンバータの下流側を、変換された光としてのみ立ち去る(すなわち、波長コンバータに侵入する全ての光源光が波長コンバータによって吸収される)ときに起こり得る。
【0069】
用語“波長コンバータ”はまた、複数の波長コンバータに関係し得る。これらは、互いの下流に配置され得るが、互いの隣に(場合により更には、直に隣接し合う波長コンバータとして物理的に接触して)配置されてもよい。それら複数の波長コンバータは、一実施形態において、異なる光学特性を持つ2つ以上のサブセットを有し得る。例えば、1つ以上のサブセットが、緑色光のような、第1のスペクトル光分布を持つ波長コンバータ光を生成するように構成され得るとともに、1つ以上のサブセットが、赤色光のような、第2のスペクトル光分布を持つ波長コンバータ光を生成するように構成され得る。3つ以上のサブセットが適用されてもよい。異なる光学特性を持つ異なるサブセットを適用するとき、例えば、白色光が提供され、且つ/或いは、デバイス光(すなわち、コンバータ光と、場合により残存する光源光)の色が波長コンバータの下流に残る。特に、複数の光源が適用され、それらのうちの2つ以上のサブセットが個別に制御され、それらが、異なる光学特性を持つ2つ以上の波長コンバータサブセットと放射線的に結合されるとき、デバイス光の色は調整可能とし得る。白色光を作るためのその他のオプションも可能である(後述も参照)。
【0070】
用語“上流”及び“下流”は、光生成手段(ここでは特には第1の光源)からの光の伝播に対するアイテム又は機構の配置に関係し、光生成手段からの光ビーム内の第1の位置に対して、光生成手段にいっそう近い光ビーム内の第2の位置が“上流”であり、光生成手段から更に離れた光ビーム内の第3の位置が“下流”である。
【0071】
照明デバイスは、例えば、オフィス照明システム、家庭応用システム、店舗照明システム、家庭照明システム、アクセント照明システム、スポット照明システム、劇場照明システム、光ファイバ応用システム、投影システム、自発光ディスプレイシステム、ピクセル化ディスプレイシステム、セグメント化ディスプレイシステム、警告標識システム、医療照明応用システム、インジケータ標識システム、装飾照明システム、可搬式システム、自動車応用、グリーン家庭照明システム、園芸照明、又はLCDバックライトの一部であるか、それに適用されるかし得る。
【0072】
上述のように、照明ユニットは、LCD表示装置内のバックライトユニットとして使用され得る。従って、本発明はまた、バックライトユニットとして構成されたここに規定の照明ユニットを有するLCD表示装置を提供する。本発明はまた、更なる一態様において、ここに規定される照明デバイスを1つ以上含んだバックライトユニットを有する液晶ディスプレイ装置を提供する。
【0073】
好ましくは、光源は、動作中に少なくとも、200−490nmの範囲から選択された波長の光(光源光)を放つ光源であり、特には、動作中に少なくとも、400−490nmの範囲、より特には、440−490nmの範囲、から選択された波長の光を放つ光源である。この光が部分的に波長コンバータナノ粒子によって使用され得る(更に後述も参照)。従って、具体的な一実施形態において、光源は青色光を生成するように構成される。
【0074】
特定の一実施形態において、光源は、ソリッドステートLED光源(例えば、LED又はレーザダイオードなど)を有する。
【0075】
本発明のより更なる一態様において、ランプが、少なくとも1つの、本発明に従った照明デバイスを有する。
【0076】
本発明のより更なる一態様において、照明器具が、少なくとも1つの、本発明に従った照明デバイス、又は、少なくとも1つの、本発明に従ったランプを有する。
【0077】
用語“光源”はまた、例えば2−20個の(ソリッドステート)LED光源など、複数の光源にも関係し得る。従って、用語LEDも複数のLEDを表し得る。
【0078】
例えば“実質的に全ての光”又は“実質的に構成される”などにおける、ここでの用語“実質的に”は、当業者によって理解されるものである。用語“実質的に”はまた、“全体的に”、“完全に”、“全て”などを持つ実施形態をも含み得る。従って、実施形態において、実質的にという形容詞は除去されてもよいことがある。適用可能な場合、用語“実質的に”はまた、90%以上に関係し、例えば、95%以上、特には99%以上、より特には、100%を含め、99.5%以上などに関係し得る。用語“有する”は、用語“有する”が“からなる”を意味する実施形態をも含む。用語“及び/又は”は、特に、“及び/又は”の前後に述べられるアイテムのうちの1つ以上に関係する。例えば、“アイテム1及び/又はアイテム2”なる言い回し及び同様の言い回しは、アイテム1とアイテム2との一方又は双方に関係し得る。用語“有している”は、一実施形態において、“からなっている”を表し得るが、他の一実施形態においてはまた、“規定される種を少なくとも含んでいるとともにオプションで1つ以上のその他の種を含んでいる”をも表し得る。
【0079】
さらに、本明細書中及び請求項中の第1、第2、第3などの用語は、同様の要素同士の間で区別するために使用されており、必ずしも順次的又は時間的な順番を記述するものではない。理解されるべきことには、そのように使用される用語は、適当な状況下で相互に交換可能であり、ここに記載される本発明の実施形態は、ここに記載あるいは図示されるもの以外の順序での操作が可能である。
【0080】
ここでのデバイスは、とりわけ、動作において記述されている。当業者に明らかなように、本発明は、動作の方法又は動作中のデバイスに限定されない。
【0081】
なお、上述の実施形態は、本発明を限定ではなく例示するものであり、当業者は、添付の請求項の範囲を逸脱することなく、数多くの他の実施形態を設計することができるであろう。請求項において、括弧内に置かれた何れの参照符号も、請求項を限定するものとして解されるべきでない。動詞“有する”及びその活用形の使用は、請求項中に述べられるもの以外の要素又はステップの存在を排除するものではない。要素を前置する冠詞“a”又は“an”は、複数のそれら要素の存在を排除するものではない。本発明は、幾つかの別個の要素を有するハードウェアによって実装されることができ、また、好適にプログラムされたコンピュータによって実装され得る。幾つかの手段を列挙するデバイスクレームにおいて、それらの手段のうちの幾つかが、同一のハードウェアアイテムによって具現化されてもよい。特定の複数の手段が相互に異なる従属項に記載されているという単なる事実は、それらの手段の組合せが有利に使用され得ないということを指し示すものではない。
【0082】
本発明は更に、本明細書に記載され且つ/或いは添付の図面に示された特徴的フィーチャのうちの1つ以上を有するデバイスに当てはまる。本発明は更に、本明細書に記載され且つ/或いは添付の図面に示された特徴的フィーチャのうちの1つ以上を有する方法又はプロセスに関する。
【0083】
更なる利点を提供するために、本開示にて説明される様々な態様が組み合わされ得る。また、これらのフィーチャのうちの一部は、1つ以上の分割出願の基礎を形成し得る。
【発明を実施するための形態】
【0085】
図1aは、逆ミセル法の一形態を模式的に示している。参照符号31はQDを指し示し、参照符号32は、例えばオレイン酸又はヘキサデシルアミンなどのリガンドを指し示し、参照符号33は、例えばIgepal(登録商標)CO−520などの界面活性剤を指し示し、参照符号34は、例えばアンモニアなどのシリカ形成触媒を指し示し、参照符号35は、例えばTEOSなどのシリカ前駆体を指し示し、参照符号36は、例えば加水分解TEOSなどの加水分解されたシリカ前駆体を指し示し、参照符号37はシリカを指し示し、そして、参照符号38は、特には例えばシクロヘキサンなどの有機非極性溶媒である液状媒質を指し示している。
【0086】
図1aには、逆ミセル法の段階群の大部分の模式的な概観が示されている。先ず、例えばシクロヘキサンなどの非極性溶媒と、界面活性剤Igepal(登録商標)CO−520とが混合される。次いで、リガンドとして典型的にオレイン酸を有する量子ドットが付加され、それにより、核磁気共鳴によって示されることが可能なものであるIgepal(登録商標)CO−520とのリガンド交換がもたらされる。量子ドットの付加後、シリカ形成のための触媒であるアンモニア(水中25%)が付加され(他の触媒は、例えば、ジメチルアミンとし得る)、このとき、濃度が高いほど速くシリカ成長が起こる。アンモニアの付加の瞬間にミセルが形成することになり、このとき、アンモニアはミセルの内部ボリュームであり、Igepal(登録商標)CO−520は界面活性剤である。水(例えばアンモニアからなど)もシリカの加水分解反応(反応生成物としてエタノールを有する)に必要であり得るが、それは縮合反応で再び解放される。続くステップにて(アンモニア付加及びTEOS付加はまた逆にされてもよい)、TEOSが付加される。
【0087】
このシリカ前駆体がアンモニアにより(部分的に)加水分解され、そして、量子ドット表面上のIgepal及び/又は在来(ネイティブ)リガンドとのリガンド交換が起こることになる。これはまた、量子ドットを水溶性にすることになり、ミセルの親水性のコア内にQDが存在することを可能にする。ミセルは非常に動的であり、すぐに置き換わるが、付加される量子ドットの量は、QD付加なしでの同じ合成手順で生成されることになるシリカ球の典型量と大まかに一致すべきである。斯くして、ミセル当たりまさに1つの量子ドットを得ることが可能である。QDがシリカ球の中央にあることは、QDがシリカ成長のためのシードとして作用することを指し示す。TEOSによるリガンド交換の後、アンモニア濃度に応じた速さでシリカが成長することになる。数日後、全てのTEOS分子が凝縮し、成長が止まる。
【0088】
他の一例において、水の中でのQDの分散を可能にする帯電したリガンド(例えば、MPA、メルカプトプロピオン酸)を有するQDを使用することができる。水中に分散される帯電したリガンドを持つこれらQDについて述べられたことには、量子ドットの電荷により、それが他の量子ドットをミセル外に押し出すということである。この静電的な反発力が、量子ドット及びシリカ粒子の量の正確な一致と組み合わさって、良い精度でシリカシェル当たり1つの量子ドットを生み出す。
【0089】
斯くして、シリカ被覆されたQDを得ることができる。最後の段階の後、所望であれば、シリカ被覆QDを液状媒質から取り出すことができる。1つの選択肢は、沈殿剤、すなわち、QDの凝集及びそれに続く沈殿を誘起する物質を付加することである。例えば、エタノールが使用され得る。その後、例えばエタノール又はその他の(有機)(極性)溶媒(例えば、アセトニトリル、イソプロパノール、アセトンなどのうちの1つ以上)などの第2の液状媒質で、QDを洗浄し得る。エタノール内で、QDは分散されて保存されることができる。他の例では、QDは第2の液状媒質(上述も参照)から取り出されて母材(後述も参照)に埋め込まれ得る。
【0090】
さらに、シリカ成長後に、1つ以上の後処理も適用され得る。オプションで、更なる塩処理段階が含められ得る。また、量子ドットは、より安定なQDをもたらし得るものである熱処理に掛けられ得る。
【0091】
図1bは、量子ドットに基づくルミネセント材料10を模式的に示している。例として、参照符号100で指し示される異なるタイプのQDが描かれている。左上のQDは、シェルのないベアQDである。このQDをC(コア)で指し示す。右上のQD100は、コア−シェル粒子であり、Cはここでもコアを指し示し、Sはシェルを指し示す。下に、他の一例のコア−シェルQDが模式的に示されており、ロッド内の量子ドットが例としても用いられている。参照符号105は外層を指し示しており、これは、最初の例では、外表面のコア材料であり、後の2つの実施形態では、QD100の外表面のシェル材料である。
【0092】
図1cは、ルミネセント材料10の一実施形態を模式的に示しているが、ここでは、QD100が、特には例えばシリカコーティングなどの酸化物コーティングであるコーティング120を含んでいる。コーティングの厚さは、参照符号d1で指し示されている。この厚さは、特には、1−50nmの範囲内とし得る。特に、コーティング120は、外層105の全体で利用可能である。なお、しかしながら、シリカコーティングは幾らか浸透性であり得る。なお、また、未被覆のナノ粒子(すなわち、本発明のコーティングで未だ被覆されていない)の外層105は、(一般的に)コーティングプロセスの後にはもはや外層ではない。というのは、そのときには、コーティング120の外層が外層になるからである。しかしながら、ここでは、特に参照符号105で指し示された、外層なる用語は、未被覆の(コア−シェル)ナノ粒子の外層を表す。
【0093】
以下、幾つかの例を更に詳細に述べる。
【0094】
20mlバイアル内で10mlのシクロヘキサンと1.276mlのigepal(登録商標)co−520とを激しい撹拌の下で混ぜ合わせることによって、典型的なQD−シリカシェル成長を実行する。80μlのTEOS、1mlのシクロヘキサン、及び12μlのへプタン内QD(50mg/ml、Crystalplex社から商業的に入手可能なCdSコア−ZnSシェルCrystalplexドット)を、7分間混ぜ合わせ、その後、上記シクロヘキサン/igepal混合物に付加する。15分間の撹拌後、150μlのアンモニア(25%)を付加し、それにより反応を開始させる。この混合物を1分間激しく撹拌して、形成されたミセルの全体にアンモニアを等しく分布させた。アンモニア付加の1分後、撹拌を停止し、カップを典型的に2日にわたって暗所に保管した。使用した量子ドットは、コアがCd(Se,S)であり且つシェルがZnSであるコア−シェル型のものである。これらの量子ドットは、赤色及び緑色の双方に使用されることができ、後者の方が小さい寸法を有する。これらの量子ドットは、アルキルリガンド(特に、オレイン酸)を備えており、例えばヘキサンなどの溶媒内にある。
【0095】
シリカ成長を止めるため、2.5mlのエタノールを付加し、その後、シリカコーティングを持つQDが沈殿し、遠心分離によって収集され得る。沈殿物を9mlのエタノール中に溶解させ、再び遠心分離してサンプルを洗浄するとともに不所望の試薬を除去した。これを更に2回繰り返した。最後に、サンプルをエタノール内に格納し、透明溶液が得られるまで、ソニケーションを用いて、シリカコーティングを持つQDを分散させた。
【0096】
シリカ成長は逆ミセルにおいて(塩基)水相内で起こり、QDがシェル成長のためのシードとして作用し得る。従って、QDとミセルとの適切な比において、直径で大体20−25nmの個々のシリカ粒子の中央に単一のQDを組み込むことが可能である(
図4a参照)。トルエン又はヘプタンのような非極性溶媒に良く分散するものである疎水性のオレイン酸キャップを持つQDは、逆ミセルの水相内でシードとして作用すると思われる。加水分解されたTEOS分子(すなわち、Si−O
−基)は、オレイン酸分子(在来リガンド)を置換することができるようである。TEOSキャップされたQDは、極性の水相に対して遥かに良好な親和性を有し、故に、シリカ成長のシードとして作用することができる。
【0097】
以下の例にて、標準レシピを用いるシェル成長を受けるとQDのQEが典型的に80%から20−30%に低下することを示す。しかしながら、シリカシェル成長の最中又は後に例えばZnCl
2又はNa
2Sなどの塩が付加される場合、QEは50%まで改善されることができる。露光効果(“フォトブライトニング効果”と呼ぶときもある)及びピーク波長も、その正確な付加手順及び材料に応じて影響を受ける。結果がはっきりと示すことには、付加される塩はQD性能に対して影響を有する。最終的に、改良したシリカシェル成長手順を用い、且つ露光ステップを適用して、70%を上回るQEを(空気中で)測定することができた。
【0098】
例1:基準QD−シリカサンプルのQE
基準として、上述の標準レシピを用いて、QDの周りに第1のシリカシェルを成長させた。シリカシェル成長中に一定分量を採取し、QE及びピーク波長を測定した。表1は、時間の関数としてのQEの通覧を与えるものである。この表は、QEが、在来ドットの80%から、シリカシェル成長後に20−30%に向かって低下することを示している。この低下は、主に、シリカシェル成長の最初の5分以内に起こっており、このことは、これがQD表面/リガンド効果によるものであることを確認するものである。このレシピを用いて得られるシリカ被覆QDが
図1に示されている。
【0100】
図2は、典型的な“基準”シリカ被覆QDサンプルの液体サンプルのQEが、青色光の照射を受けてどのように変化するかを示している。適度な露光を観測し、最後のQEは35%に至っている。この露光は典型的に、発光波長におけるレッドシフトによって遂行される。
【0101】
ここでは、標準露光は、中程度のフラックス(〜1W/cm
2)の(青色)光に曝すことによって実行される。斯くして、露光効果又はフォトブライトニング効果を評価することができ、露光の下で、QEが上昇するときもあるし(フォトブライトニング)、低下するときもある。
【0102】
例2:シリカ成長後且つ洗浄手順前のZnCl
2又はNa
2Sの付加
QDのQEに対する塩の影響を調べるため、シリカシェル成長が完了した後(暗所でのシェル成長の20時間後)に、ZnCl
2又はNa
2Sを付加した。これらの実験では、例1に記載したようにしてシリカシェル成長実験を実行したが、シェル成長の20時間後に、同じ基準QDシリカ混合物に対する複数の付加実験のために、混合物を幾つかのバイアルに分けた。双方の塩について、穏やかな撹拌下で、100μlの水の中の特定濃度の塩を逆ミセル混合物に付加した。これを、洗浄手順を実行する前に行った。換言すれば、ミセルがなおも完全なままで行った。塩を付加しての撹拌の1時間後、標準手順を用いて混合物を洗浄し、粒子をエタノール中に再分散させ、その後、QEを決定した。QEを、QD発光スペクトルのピーク波長とともに、表2に列挙する。基準サンプルは、33%及び35%のQEを有しており、これらは、上述の結果よりも僅かに高いが同じ範囲内にある。ZnCl
2が付加されるとき、塩の濃度を上昇させるのに伴ってQEが徐々に上昇する(47%に至る)ことが、発光ピーク波長のレッドシフト(2nmに至る)とともに観測されている。同様に、100mMのNa
2S溶液の付加を受けてのQEの49%までの上昇が観測されているが、400mMでは、たった39%までの上昇が示されている。小さい変化ではあるが、発光ピーク波長は、この場合には青色側に略0.5−1nmだけシフトする。
【0103】
上の結果は、塩の付加がQDの最終的なQE及びピーク波長に影響を持つことを示している。イオンが(多孔質)シリカ粒子を通ってQD表面に向かって拡散する機会を持つことが示唆される。
【0105】
シリカ成長後且つ洗浄手順前にZnCl
2又はNa
2Sが付加された場合のシリカ被覆QDのQEについても、青色光を照射して経時的に追跡した。どちらの場合も、400mMの塩濃度で100μlを付加した。双方のサンプルのQEは、表2に列挙した結果と一致して47%及び40%で開始している。ZnCl
2で処理されたサンプルは、〜1nmのレッドシフトを伴って、60%のQEに至る露光効果を示している。Na
2Sで処理されたサンプルは、先ず〜15%までのQEの急激な低下を示しているが、その後、このケースでは〜2nmのレッドシフトをこれまた伴って、QEが〜40%まで上昇している。これらの結果から、シリカ成長後のZnCl
2処理が良い手段であると考えられる。
【0106】
例3:シリカ成長後且つ洗浄手順前のZnCl
2及びNa
2Sの付加
やはり基準1からのシリカ被覆QDを用いて、ZnCl
2及びNa
2Sの双方を異なるシーケンス(表3参照)で付加した。比較のために、基準、ZnCl
2のみ、及びNa
2Sのみの実験の結果も与えられている。最初にZnCl
2が付加され、次いでNa
2Sが付加されるとき、52%のQEが604.5nmのピーク波長とともに測定されている。これらの塩が逆の順序で付加されるとき、41%のQEが605.2nmのピーク波長とともに測定されている。これらの結果は、QE及びピーク波長に対する塩付加の効果を確認するものであるとともに、これらの塩が付加される順序がQDの最終的な光学特性に影響を及ぼすことを示している。これらの結果は、双方の塩を付加する場合に、Na
2Sを後で付加する方が好ましいことを示している。
【0108】
例4:シリカシェル成長中のZnCl
2又はNa
2Sの付加
他の一実施形態において、シリカ成長中にZnCl
2又はNa
2Sを付加し、このとき、これらの塩の100mM溶液を予めアンモニアと混合しておいた。この実験では、150μLの35%アンモニア当たり13mg(0.93*10
−4mol)のZnCl
2を用いた。同様に、150μLの35%アンモニアに、50.76mgのNa
2Sを付加した。Na
2Sは強塩基であり、故に、より低いアンモニア濃度も有用であり得る。結果のTEM像を
図4に表示する。(A−C)はZnCl
2付加を表し、(D)はNa
2S付加を表している。
【0109】
図4のTEM結果は、シリカ合成への付加前にアンモニアにZnCl
2を付加することが、シリカ粒子のシェル内の小さいナノ粒子の形成をもたらすことを示している。これらの粒子はZnCl
2及び/又はZnOの粒子であり得るが、これについての確証はない。しかしながら、QDはなおも良好にシリカ粒子内に組み込まれている。シリカ合成への付加前にアンモニアにNa
2Sが付加される場合には、QDは、シリカ粒子の中には組み込まれずに、シリカ粒子の外側に付着しているように見える。Na
2Sはそれ自体で強塩基であるので、これはシリカ成長中の過度に高いpHに起因することが示唆される。
【0110】
ZnCl
2がアンモニアに付加されたサンプルのQEは51%のQE(606.9nmにピーク)を有し、作り直したものは、54%のQE(606.4nmにピーク)を有していた。
図5は、このサンプルのQEが、〜1.5nmのレッドシフトを伴って、青色光に曝されても露光効果を示さなかった(むしろ、低下した)ことを示している。シリカ成長後にZnCl
2が反応混合物に付加された場合のサンプル(例2)は露光効果を示していたので、これは幾分、注目に値することである。
【0111】
従って、本発明はまた、粒子及び/又は塊状の粒子を有するルミネセント材料を提供し、これらの粒子は特に、20−500nm(特には、例えば20−350nmなど)の範囲内の寸法を有し、実質的に各々の粒子が、シリカコーティングによって取り囲まれた(単一の)量子ドットを有する。上述のように、量子ドットはコア−シェル型とし得る。シェルを有するシリカはまた、量子ドットの外層と共有される1つ以上の元素を有する。特に、ルミネセント材料のうち少なくとも約70wt%が、このような粒子及び/又はその塊を有し得る。従って、個々の粒子は必ずしも相互に接続されるわけではない。個々の粒子は、集塊し得るが、単一のシリカコーティングを共有する複数の量子ドットの結合体を形成しなくてもよい。例えば30wt%以下など、ルミネセント材料の一部は、オプションで、2つ以上の量子ドットを共有する粒子に基づいてもよい。
【0112】
例5:シリカ成長中のZnCl
2及びシリカ成長後且つ洗浄手順前のNa
2Sの付加
更なる他の一実施形態において、アンモニアとともにZnCl
2を付加し、シリカ成長後且つ洗浄手順前にNa
2Sを付加して、QDをシリカシェルで被覆した。この実験では、13mgのZnCl
2をアンモニア(35%)に溶解させ、そのうち150μlをシリカ成長の開始時に付加した。シリカ合成が完了した(撹拌なしで暗所で22時間)後に、水中100μlの400mM Na
2Sを反応混合物に付加し、優しく1時間撹拌した。次に、反応混合物をエタノールで沈殿させ、3回にわたってエタノール内で洗浄した。得られたサンプルのQEは、608nmのピーク波長で54%であった。
図6は、このサンプルが、1400s以内に58%に至る露光効果を示すことを、〜0.7nmの発光ピーク波長のレッドシフトとともに示している。なお、このピーク波長は、Na
2Sの後処理なしでのZnCl
2付加が606.5nmの当初ピークをもたらした例4に記載のサンプルとは明瞭に異なっている。
【0113】
同じサンプルのQEを再び測定すると、66%のQEが、608.5nmのピーク波長とともに測定された。このサンプルを、延長された時間(2日に至る)にわたって青色光に曝すと、ピーク波長はもはや殆どシフトしない一方で、76%に至るQEという露光効果が観測された(
図7参照)。
【0114】
例6:赤色QDの異なる膜における適用
トルエン内のQD分散液とシリコーン膜(波長コンバータ素子)内との間での比較。サンプルA−Eを、40μLのZnCl
2(0.4M)及び/又は100μLのNa
2S(0.4M)を用いて処理した。サンプルFを、40μLの飽和ZnCl
2及び100μLのNa
2S(0.4M)を用いて処理した。
【0115】
露光(LE)を用いて処理した双方のサンプルが、65−70%に向かうQEの上昇を有していた。これらの結果を表4に示す。
【0117】
Na
2Sを用いて処理したサンプルは膜内で不変のQEを示すようである。また、ZnCl
2はレッドシフトを含んでおり、Na
2Sはブルーシフトを含んでいる。さらに、露光は膜内でのQEに好ましい効果を有している。サンプルFが、分散液でのQEに関して最適な処理を有し、サンプルEが、膜でのQEに関して最適な処理を有する。
【0118】
例6:緑色QDの異なる膜における適用
ここでは、サンプルG−L(表5参照)で指し示す緑色QD(NC536A)を用いて同じ実験を適用した。
【0120】
これらのサンプルも、膜内で不変のQEを示している。また、やはり、ZnCl
2はレッドシフトを含み、Na
2Sはブルーシフトを含むことが分かった。ここでも、露光が膜内でのQEに好ましい効果を有することが観測された。サンプルKが、分散液でのQEに関して最適な処理を有し、サンプルLが、膜でのQEに関して最適な処理を有する。
【0121】
以上の結果は、QDのシリカコーティングが、80%から20−30%へのQEの劇的な低下をもたらすことを例証している。シリカ成長の最中又は後でのZnCl
2及び/又はNa
2S塩の付加が、60%以上に至るまでQEを向上させ得る。露光が更に、75%よりも上までQEを上昇させ得る。塩の付加なしでは、露光効果は最大で35%に限られる。示唆されることは、シリカ成長中にZn及び/又はSのイオンがQD表面から除去されることがあり、それが表面欠陥状態をもたらしてQEを低下させ得るということである。亜鉛及び/又は硫黄の塩、(及び/)又はその他の意味ある塩を、シリカシェル成長中又はその後に付加することにより、これらのトラップ状態が回復され得る。QEにおける変化、そしてまたピーク波長におけるシフトは、亜鉛及び/又は硫黄のイオン、(及び/)又はその他の意味あるイオンが、実際にQDに向けてシリカ球の中へと移動することができ、それによりこうがくとくせいに影響を及ぼし得るという考えをサポートするものである。温度、濃度、及び塩の組み合わせ、及び/又は塩の付加手法を微調整することによって、量子効率が更に向上され得ることが期待される。
【0122】
以下の表6にて、使用した化学物質を規定する。
【表6】
【0123】
図8は、光源光161を生成するように構成された光源160を有する照明デバイス150を描いている。光源光161は、少なくとも部分的にルミネセント材料10で受けられる。ルミネセント材料10は、例えば、層又は塊(ボディ)1000の形態であり、あるいは、そのような層又は塊1000を含み得る。この層又は塊はまた、波長コンバータ素子としても指し示され得る。ルミネセント材料10は、光源160と光カップリングされる。ルミネセント材料は、光源光161の少なくとも一部を吸収し、この光源光161をルミネセント材料光へと変換する。照明デバイス150によって提供される光が、参照符号151で指し示されている。この照明デバイス光151は、少なくとも、光源光161での励起を受けてルミネセント材料10によって生成される光を含み得るが、場合により、光源光161をも含み得る。参照符号d2は、下流に配置された、波長コンバータを埋め込んで有するルミネセント材料の距離を指し示している。この距離は非ゼロとすることができ、これは例えば遠隔構成を指し示す。この距離は場合によりゼロであってもよい。
【0124】
図9aは、
図8に従った照明デバイスを有するランプ900を示している。他の一実施形態において、ランプ900は、本発明に従った照明デバイスを複数有し得る。
【0125】
図9bは、
図8に従った照明デバイスを有する照明器具950を示している。他の一実施形態において、照明器具950は、本発明に従った照明デバイスを複数、又は
図9aに従ったランプを1つ以上有し得る。
【0126】
例7:シリカ成長中のCd(NO
3)
2の付加
更なる他の一例において、Cd(NO
3)
2をアンモニアとともに付加して、QDをシリカシェルで被覆した。この実験では、シリカ成長の開始時に、水中40μlのCd(NO
3)
2を、120μlのアンモニア(35%)とともに付加した。その後、シリカ合成を完了した(撹拌なしで暗所で22時間)。次に、反応混合物をエタノールで沈殿させ、3回にわたってエタノール内で洗浄した。洗浄後、反応混合物を400μlのトルエンに分散させた。得られたサンプルのQEは、609nmのピーク波長で71%であった。なお、このピーク波長は、ZnCl
2付加が606.5nmの当初ピークをもたらした例4に記載のサンプルとは明瞭に異なっている。
【0127】
例8:シリカ成長中のCd(NO
3)
2の付加、及びシリカ成長後且つ洗浄手順前のNa
2Sの付加
更なる他の一例において、Cd(NO
3)
2をアンモニアとともに付加し、また、シリカ成長後且つ洗浄手順前のNa
2Sを付加して、QDをシリカシェルで被覆した。この実験では、0.5MのCd(NO
3)
2を120μlのアンモニア(35%)溶液とともに付加した。シリカ合成が完了した(撹拌なしで暗所で22時間)後に、水中100μlの400mM Na
2Sを反応混合物に付加し、優しく30分間撹拌し、次いで、30分間、100μlの0.8M NaOHを付加した。次に、反応混合物をエタノールで沈殿させ、3回にわたってエタノール内で洗浄し、そして、トルエン中に再分散させた。得られたサンプルのQEは、606nmのピーク波長で82%であった。この量子ドットをシリコーン膜に組み入れたとき、QEは61%まで低下した。加速劣化試験にて、LEDについての加速試験プロトコル(200mAの駆動電流及び90℃のボード温度を有する)でサンプルを測定した。熱クエンチ後、高い動作温度に関連して、
図10aに示すように、放射強度が60時間で<15%だけ低下した。
【0128】
例9:シリカ成長後且つ洗浄手順前のZnCl
2及びNa
2Sの付加
更なる他の一例において、ZnCl
2をアンモニアとともに付加し、また、シリカ成長後且つ洗浄手順前のNa
2Sを付加し、次いで、塩基の付加を行った。この実験では、シリカ成長の開始時に、50μlの0.1M ZnCl
2を150μlのアンモニア(35%)溶液とともに付加した。シリカ合成が完了した(撹拌なしで暗所で22時間)後に、水中100μlの400mM Na
2Sを反応混合物に付加し、優しく30分間撹拌し、次いで、50μlの0.8M NaOHの付加及び更なる30分間の撹拌を行った。次に、反応混合物をエタノールで沈殿させ、3回にわたってエタノール内で洗浄し、そして、トルエン中に再分散させた。得られたサンプルのQEは、605nmのピーク波長で58%であった。
図10bに示すように、200mA及び90℃で、時間の関数としての放射を追跡した。当初のフォトブライトニング及び熱クエンチ効果の後、赤色発行信号は、少なくとも150hにわたって10%以内で一定である。
【0129】
なお、例9の実施形態は、例8の実施形態よりも高い安定性を有するとともに、より小さい強度低下でることがわかった。
【0130】
例10:例1及び例9からのQDのZnCl
2、Na
2S、NaOH処理後のイオンの量の分析
例1に従って調合されたサンプルのICP−MS分析を行い、例9に従って調合されたサンプルのそれと比較した。
【0131】
関心ある元素をマトリクスから自由にするため、マイクロ波分解処置を用いてサンプルを破壊する。溶解後、サンプルを既知の体積まで希釈し、そして、誘導結合プラズマ−発光分光法(ICP−OES)によって存在元素を決定するために半定量的測定を実行した。その後、決定された元素が、ICP−OESによって更に正確に決定される。
【0132】
ICP−OES分析において、サンプル溶液が噴霧器を通して供給される。これにより、アルゴンプラズマ内に導かれるエアロゾルが生成される。このプラズマ内で、溶液が気化され、原子にされ、そして励起され、それにより元素特有の発光が生成される。発光の強度及び波長を用いて、存在するCd、K、Na、S、Si及びZnの量を決定する。マトリクスマッチングされたブランク及び少なくとも4つのマトリクスマッチングされた校正基準溶液(保証された基準溶液の希釈により得られる)によって生成される強度との比較により、校正が行われる。
【0133】
ブランク、校正基準溶液、及びサンプル溶液が各々、測定中のシステム変動を補正するための、対応する量の内部標準を含有する。各ICP−OES測定が複数回の反復で構成され、各々が幾つかの波長を用いて測定される。品質制御のため、ブランク・アンド・スパイク・リカバリー実験に従う。
【0134】
定量ICP−OES分析の結果を表7に提示する。シリコンの量に対する重量百分率(wt%)の比で濃度を表している。各サンプルを3重に分析している。Na、S及びZnの量は、例1と比較して、例9で有意に高い。Cd及びKの含有量は実験誤差の範囲内で同じであり、Na、S及びZnの量はSiの量の10−20%に至る値に達している。
【0135】
表7:シリコンの重量に対するCd、K、Na、S及びZnの重量
【表7】
【0136】
本発明は、例えばLEDランプ、スポットライト、屋外照明、自動車照明、及び/又はレーザ用途といった高い光束密度において効率的な(QD変換式)LED光源を可能にする。