【実施例1】
【0012】
本発明のスチーム脱気装置を
図1ないし
図5に示した一実施例を用いて説明する。 この実施例のスチーム脱気装置1は、
図1または
図2に示すように、スチーム供給源に接続されたスチーム供給配管2と、スチーム供給配管2に取り付けられ包装袋A内にスチームを吐出するためのスチーム吐出ノズル3と、スチーム吐出ノズル3を加熱するヒーター4とを有し、スチーム吐出ノズル3の内面には、ドレンが接触するドレン接触用凸部5(5a,5b,5c,5d,5e,5f,5g,5h,5i)が設けられていることを特徴とするスチーム脱気装置である。以下、各構成について順次詳述する。
【0013】
スチーム供給配管2は、スチーム供給源(図示しない)とスチーム吐出ノズル3との間に介在する部位であり、
図1に示すように、スチーム供給源からスチームを入力するスチーム入力部6と、異物除去を行うストレーナー7と、一次側減圧弁8と、分岐してドレンを分離するドレンセパレーター9と、ドレンセパレーター9の下流側に設けられドレンを排出するためのスチームトラップ10と、一次側圧力計11と、二次側減圧弁12と、二次側圧力計13と、電磁弁14とを有している。
【0014】
スチーム吐出ノズル3は、スチーム供給配管2の下流側に取り付けられ、被包装物を充填した包装袋A内にスチームを吐出するためのものである。具体的には、この実施例のスチーム脱気装置1では、レトルト食品を量産するに際して、被包装物である流動物を包装袋A内に充填した後、スチームをこのスチーム吐出ノズル3から包装袋A内に吐出することで、空気を追い出して滅菌釜(滅菌処理)時での袋の破袋を防止すると共に、スチームが液化して内部空間の体積を減少させるよう、スチーム吐出ノズル3が作用する。
【0015】
ヒーター4は、スチーム吐出ノズル3を加熱するためのものであり、スチーム吐出ノズル3を加熱することで、その内面に設けられたドレン接触用凸部5に接触したドレンを蒸発させるように作用させるためのものである。この実施例のヒーター4は、
図2に示すように、スチーム吐出ノズル3の周囲を被覆するように設けられた被加熱体(金属ブロック)4aと、被加熱体4a内に挿入されたカートリッジヒーター4bとを有し、カートリッジヒーター4bからの熱が被加熱体4aを介してスチーム吐出ノズル3に伝達され、スチーム吐出ノズル3が加熱されるよう構成されている。
【0016】
スチーム脱気装置1は、制御部(図示しない)を有しており、この制御部により前述した各部が制御され、スチーム供給源からスチーム供給配管2を介してスチーム吐出ノズル3よりスチームを吐出させる。
【0017】
より具体的には、この実施例の制御部はヒーター4によりスチーム吐出ノズル3を極小蒸発時間温度に加熱するように制御する。極小蒸発時間温度とは、スチーム吐出ノズル3にドレンが接触すると、水滴にならず瞬間的に蒸発する温度をいい、この実施例のスチーム吐出ノズル3は、ステンレス製であるため、極小蒸発時間温度は140〜160℃程度である。これにより、ドレン接触用凸部5に接触したドレンを瞬間的に蒸発させることができ、ドレンが包装袋A内に混入して被包装物に影響を与えることをより抑制できる。
【0018】
また、この実施例の制御部は、
図3に示すように、一周期360°のうち、200〜310°をスチーム吐出時間としてスチーム吐出ノズル3からスチームを吐出し、残りの310〜200°をドレン再気化時間としてドレン接触用凸部5に接触したドレンが蒸発するように制御する。しかし、実際には、スチーム吐出時間の間もスチーム吐出ノズル3を極小蒸発時間温度に加熱するように制御している。これにより、スチーム吐出ノズル3の加熱温度が低下することなく、ドレン接触用凸部5に接触したドレンがより確実に瞬間的に蒸発するよう構成されている。
【0019】
ドレン接触用凸部5はドレンを接触させドレンの蒸発を促進するための部位であり、スチーム吐出ノズル3の内面に設けられている。スチーム吐出ノズル3がこのようなドレン接触用凸部5を有することで、スチーム供給配管2やスチーム吐出ノズル3内で発生するドレンを、ドレン接触用凸部5に接触させ蒸発させることで、ドレンが包装袋A内に混入して被包装物に影響を与えることが抑制される。具体的には、
図5に示すように、従来のスチーム脱気装置(左図)では、スチーム吐出ノズル80からスチームSを包装袋A内に吐出する際にドレンDが混入するが、本発明のスチーム脱気装置1(右図)では、スチーム吐出ノズル3からスチームSを包装袋A内に吐出する際に、ドレンはドレン接触用凸部5に接触して蒸発するため、包装袋A内にドレンDが混入することが抑制される。
【0020】
この実施例のスチーム吐出ノズル3は、
図2に示すように、下端部に吐出口3aを有し、ドレン接触用凸部(返し板)5は斜め上方に向かって配されている。これにより、ドレンSがドレン接触用凸部5の上部に溜まるように接触するため、接触する量を増加させることができ、ドレンが包装袋A内に混入して被包装物に影響を与えることをより抑制できる。
【0021】
また、この実施例のドレン接触用凸部5は、
図2に示すように、スチーム吐出ノズル3の長手方向(垂直方向)に沿って略同一距離離間して複数(この実施例では9個:5a,5b,5c,5d,5e,5f,5g,5h,5i)設けられている。これにより、ドレンがドレン接触用凸部5に接触する量を増加させることができ、ドレンが包装袋A内に混入して被包装物に影響を与えることをより抑制できる。
【0022】
さらに、これら複数のドレン接触用凸部5は、
図4に示すように、横断面視で設置角度(設置占有角度)を変えて設置されている。具体的には、この実施例の9つのドレン接触用凸部5は、横断面円形の管内のうち略半円を被覆するドレン接触用凸部5が、上から順に、180〜360°の領域の半円を覆うドレン接触用凸部5a(A−A断面参照)、90〜270°の領域の半円を覆うドレン接触用凸部5b(B−B断面参照)、0〜180°の領域の半円を覆うドレン接触用凸部5c(C−C断面参照)、270〜90°の領域の半円を覆うドレン接触用凸部5d(D−D断面参照)、180〜360°の領域の半円を覆うドレン接触用凸部5e(A−A断面参照)、90〜270°の領域の半円を覆うドレン接触用凸部5f(B−B断面参照)、0〜180°の領域の半円を覆うドレン接触用凸部5g(C−C断面参照)、270〜90°の領域の半円を覆うドレン接触用凸部5h(D−D断面参照)、180〜360°の領域の半円を覆うドレン接触用凸部5i(A−A断面参照)にて構成されている。これにより、ドレン接触用凸部5a,5b,5c,5d,5e,5f,5g,5h,5iがスチーム吐出ノズル3内を流通するドレンのより障害となることで、ドレンがドレン接触用凸部5(5a,5b,5c,5d,5e,5f,5g,5h,5i)に接触する量を増加させることができ、ドレンが包装袋A内に混入して被包装物に影響を与えることをより抑制できる。
【0023】
つぎに、本発明のスチーム脱気装置を備えた包装機を、
図6ないし
図8に示した一実施例を用いて説明する。 この実施例の包装機30は、
図6または
図7に示すように、包装袋Aの上部両端付近を把持するグリップ対31と、グリップ対31を複数の工程毎に間欠移動させるための移動体32とを有し、スチーム脱気工程(第6工程)が行われるステーションには、前述したスチーム脱気装置1が設置されていることを特徴とする包装機である。
【0024】
この包装機30は、レトルト食品を量産するものであり、グリップ対31にそれぞれ把持された4袋の包装袋Aが同時に、
図6に示したそれぞれのステーション(第1ないし第9ステーション)を間欠移動する間にレトルト食品が量産される包装機である。
【0025】
包装機1は、
図6または
図7に示すように、垂直方向に延在する間欠回転軸33を回転自由に支持するスタンド34が機台35上に設けられ、その間欠回転軸33の上部に取り付けられた移動体(円盤状回転体)32には、包装袋Aを掴着又は釈放するためのグリップ対31が間欠回転軸33を中心として等角度間隔で放射方向に突出するように設けられている。グリップ対31は、包装袋Aの袋口の両側付近を把持して、移動体32と共に包装工程毎に間欠回転移動する。なお、この実施例は移動体(円盤状回転体)32を間欠回転駆動させるロータリー方式の包装機であるが、本発明を公知の直線移動方式の包装機に適用することも可能である。
【0026】
つぎに、包装機30における包装工程全体について説明する。 包装機30における包装工程は、
図8に示すように、包装袋Aを機内に供給する給袋工程(第1工程)、印字工程(第1−2工程)、予備加温・袋姿勢確認工程(第2工程)、捺印検査工程(第2−3工程)、袋底膨らまし・袋開口工程(第3工程)、被包装物(流動物)充填工程(第4工程)、スチーム脱気・袋加温工程(第6工程)、トップシール工程(第7工程)、飾りシール工程(第8工程)、インラインチェック・製品排出工程(第9工程)である。以下、各工程について順次説明する。
【0027】
給袋工程(第1工程)は、給袋コンベアによって順次搬送される包装袋Aを、給袋装置によって間欠移動してくるグリップ対31に順次把持させることにより行われる。具体的には、給袋工程(第1工程)は、吸盤によって垂直姿勢を保持して上昇する包装袋Aを給袋装置の把持バーが把持して袋高さを補正した後、グリップ対31に受け渡すことにより行われる。
【0028】
印字工程(第1−2工程)は、グリップ対31に垂直姿勢で支持された包装袋Aの裏面側に、捺印装置にて賞味期限等を印字することにより行われる。予備加温・袋姿勢確認工程(第2工程)は、底部を開口するために底部付近を包装袋Aの両側から加温装置にて温めると共に、センサにより包装袋Aの姿勢を確認することにより行われる。
【0029】
捺印検査工程(第2−3工程)は、カメラによって印字部分を撮影して印字の良否を検査することにより行われる。袋底膨らまし・袋開口工程(第3工程)は、グリップ対31に垂直姿勢で支持された包装袋Aの表裏面をそれぞれ吸盤にて吸着して袋口を若干開口した後、挿入してエアーを注入して袋底部を膨らますことにより行われる。
【0030】
被包装物(流動物)充填工程(第4工程)は、充填用漏斗が袋口から挿入されて包装袋A内に被包装物(流動物)が充填されることにより行われる。なお、
図6に示された第5ステーションでは、この実施例の包装機30は包装工程を行わない。
【0031】
スチーム脱気・袋加温工程(第6工程)では、スチーム脱気が行われると共に、スチーム脱気に際して袋口付近がスチームによって加温されるため、包装袋A全体を略同一温度にするために包装袋Aの下部付近を加温する。具体的には、この第6工程が行われる第6ステーションには、
図6に示すようにスチーム脱気装置1が設けられており、第4工程において被包装物である流動物を包装袋A内に充填した後、この第6工程でスチームをスチーム吐出ノズル3から包装袋A内に吐出することで、空気を追い出してレトルト食品の保存期間を長くすると共に、スチームが液化して内部空間の体積を減少させる。
【0032】
そして、この工程が行われる第6ステーションに配置されたスチーム脱気装置1は、スチーム吐出ノズル3と、スチーム吐出ノズル3を加熱するヒーター4とを有し、スチーム吐出ノズル3の内面には、ドレンが接触するドレン接触用凸部5が設けられていることで、スチーム供給配管2やスチーム吐出ノズル3内で発生するドレンを、ドレン接触用凸部5に接触させ蒸発させることができ、ドレンが包装袋内に混入して被包装物に影響を与えることを抑制できるよう構成されている。
【0033】
トップシール工程(第7工程)は、包装袋Aのトップシール部分が、包装袋Aの表裏面から対となるシールバーにより挟着されて、超音波シールされることにより行われる。
【0034】
飾りシール工程(第8工程)は、包装袋Aのトップシール部分が、包装袋Aの表裏面から対となるシールバーにより挟着されることで飾りシールが施されることにより行われる。
【0035】
インラインチェック・製品排出工程(第9工程)は、被包装物が包装された包装袋Aの重量を計量すると共に、適量の被包装物が包装された包装袋Aを振分シュートを介して機外の搬送コンベアに排出させることにより行われる。そして、包装機30では、これら一連の包装工程が移動体32の間欠回転によって間欠移動してくるグリップ対31に支持された包装袋Aに順次行われることにより被包装物の包装製品(レトルト食品)が量産されるように構成されている。
【0036】
つぎに、
図9に示した本発明のスチーム脱気装置の他の実施例について説明する。 この実施例のスチーム脱気装置と前述したスチーム脱気装置1との相違は、スチーム吐出ノズルの内面に設けられたドレン接触用凸部の形態のみであり他は同様である。スチーム脱気装置1と同一構成部分については同一符号を付し説明を省略する。
【0037】
この実施例のドレン接触用凸部50は、スチーム吐出ノズル3内の両側にそれぞれ斜め上方に向かって配された対となる返し板にて構成されると共に、スチーム吐出ノズル3の長手方向(垂直方向)に沿って略同一距離離間して複数(この実施例では9個)のドレン接触用凸部50が設けられている。また、これら複数のドレン接触用凸部50は、横断面視で設置角度を変えて設置されている。具体的には、この実施例の9つのドレン接触用凸部50は、上から順に、45〜135°と225〜315°の領域をそれぞれ半楕円状に覆うドレン接触用凸部50a(A−A断面参照)、0〜90°と180〜270°の領域をそれぞれ半楕円状に覆うドレン接触用凸部50b(B−B断面参照)、90〜180°と270〜360°の領域をそれぞれ半楕円状に覆うドレン接触用凸部50c(C−C断面参照)、45〜135°と225〜315°の領域をそれぞれ半楕円状に覆うドレン接触用凸部50d(A−A断面参照)、0〜90°と180〜270°の領域をそれぞれ半楕円状に覆うドレン接触用凸部50e(B−B断面参照)、90〜180°と270〜360°の領域をそれぞれ半楕円状に覆うドレン接触用凸部50f(C−C断面参照)、45〜135°と225〜315°の領域をそれぞれ半楕円状に覆うドレン接触用凸部50g(A−A断面参照)、0〜90°と180〜270°の領域をそれぞれ半楕円状に覆うドレン接触用凸部50h(B−B断面参照)、90〜180°と270〜360°の領域をそれぞれ半楕円状に覆うドレン接触用凸部50i(C−C断面参照)にて構成されている。これにより、ドレン接触用凸部50(50a,50b,50c,50d,50e,50f,50g,50h,50i)がスチーム吐出ノズル3内を流通するドレンのより障害となることで、ドレンがドレン接触用凸部50(50a,50b,50c,50d,50e,50f,50g,50h,50i)に接触する量を増加させることができ、ドレンが包装袋A内に混入して被包装物に影響を与えることをより抑制できる。さらに、スチーム吐出ノズル3内の中心部にはドレン接触用凸部50が存在しないため、スチーム吐出に際してドレン接触用凸部50が障害となることも防止できる。
【0038】
さらに、
図10に示した本発明のスチーム脱気装置の他の実施例について説明する。 この実施例のスチーム脱気装置と前述したスチーム脱気装置1との相違も、スチーム吐出ノズルの内面に設けられたドレン接触用凸部の形態のみであり他は同様である。スチーム脱気装置1と同一構成部分については同一符号を付し説明を省略する。
【0039】
この実施例のドレン接触用凸部60はスパイラル状に設けられている。これにより、ドレンがドレン接触用凸部に接触する量を増加させることができ、ドレンが包装袋内に混入して被包装物に影響を与えることをより抑制できる。
【0040】
なお、本発明におけるドレン接触用凸部はどのような形態でも凸部であればよく、例えば水平方向に向かって設けられた凸部や斜め下方に向かって設けられた凸部などを備えたスチーム脱気装置および包装機も、広く本発明の範疇に包含される。