特許第6592719号(P6592719)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6592719
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】上包み包装における糊噴射装置
(51)【国際特許分類】
   B05B 7/04 20060101AFI20191010BHJP
   B05B 15/55 20180101ALI20191010BHJP
   B65B 51/02 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
   B05B7/04
   B05B15/55
   B65B51/02 B
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-189061(P2015-189061)
(22)【出願日】2015年9月26日
(65)【公開番号】特開2017-60934(P2017-60934A)
(43)【公開日】2017年3月30日
【審査請求日】2018年9月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000148162
【氏名又は名称】株式会社川島製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108567
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅夫
(72)【発明者】
【氏名】山本 博久
(72)【発明者】
【氏名】土橋 大介
【審査官】 鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−307479(JP,A)
【文献】 特開2000−279857(JP,A)
【文献】 特開昭58−124564(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00−16/80
B05C 5/00−21/00
B05D 1/00− 7/26
B65B 51/00−51/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴射口に供給される液状の糊を包装紙に付着させるために当該糊を前記噴射口から噴出されるミストエアによって霧状の糊として前記包装紙に向かって噴射する噴射ノズルと、 糊タンクから液状の糊を前記噴射ノズルに供給する糊供給系統と、
エア源からミストエアを前記噴射ノズルに供給するミストエア供給系統と、
前記糊供給系統における糊の供給と、前記ミストエア供給系統におけるミストエアの供給とを制御して、前記噴射ノズルからの糊の噴射タイミングと噴射量とを制御する制御装置を備えている上包み包装における糊噴射装置であって、
前記エア源から前記噴射ノズルの前記噴射口の上流側で前記ミストエア供給系統と合流する態様で吹き飛ばしエア系統が設けられていて、
前記制御装置は、前記噴射ノズルの前記噴射口に残る糊をエアで吹き飛ばすため、前記噴射ノズルから噴射された糊が付着された前記包装紙が前記噴射ノズルの噴射先から移動した時期に、前記吹き飛ばしエア系統を作動させて前記エア源から吹き飛ばしエアを前記噴射ノズルに送ること、
を特徴とする上包み包装における糊噴射装置。
【請求項2】
前記糊供給系統は、前記糊タンクに貯蔵されている液状の糊を前記噴射ノズルに向けて圧送するポンプと、前記ポンプの出口側に設けられていて前記制御装置からのオン・オフ指令に基づいて前記噴射ノズルへの経路を開閉する圧力スイッチを備えていること、を特徴とする請求項1に記載の上包み包装における糊噴射装置。
【請求項3】
前記ポンプは前記エア源から供給されるエアによって駆動されており、前記ポンプが吐出する糊の圧力を調整するため、前記ポンプに供給されるエアを調整する糊圧レギュレータが設けられていることを特徴とする請求項2に記載の上包み包装における糊噴射装置。
【請求項4】
前記ミストエア供給系統は、前記エア源と前記噴射ノズルとの間の経路に介装されていてミストエアの流量を調節する流量調整弁と、当該流量調整弁の入り口側に設けられていて前記制御装置からのオン・オフ指令に基づいて前記流量調整弁への経路を開閉する電磁弁を備えていること、を特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の上包み包装における糊噴射装置。
【請求項5】
前記吹き飛ばしエア系統は、前記エア源と前記噴射ノズルとの間の経路に介装されていて吹き飛ばしエアの流量を調節する流量調整弁と、当該流量調整弁の入り口側に設けられていて前記制御装置からのオン・オフ指令に基づいて前記流量調整弁への経路を開閉する電磁弁を備えていること、を特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の上包み包装における糊噴射装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記包装紙に糊を付着させるべき時に合わせて、前記糊供給系統と前記ミストエア供給系統とを作動させ且つ前記吹き飛ばしエア系統を不作動とし、糊が付着された前記包装紙が前記噴射ノズルの噴射先から移動した前記時期に合わせて、前記糊供給系統と前記ミストエア供給系統とを不作動とし且つ前記吹き飛ばしエア系統を作動させること、を特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の上包み包装における糊噴射装置。
【請求項7】
前記噴射ノズルの噴射方向であって前記包装紙の移動経路を越えた先には、吹き飛ばしエアで吹き飛ばされた糊が付着される糊付着板が配設されていることを特徴とする請求項6に記載の上包み包装における糊噴射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、上包み包装、特に、菓子折り箱のような直方体状の形状を有する製品を一枚のシート状の包装材(以下、包装紙という)で包装する際に、包装紙に糊を付着させるのに用いられる糊噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、菓子折り箱のような直方体の形状を呈する製品を一枚の長方形状の包装紙で包装する包装として、包装紙を製品に胴巻きし、製品の両端より突出する包装紙の筒状張出し端部を、先ず側縁部分を製品の端面に沿って折り込み、次に上下縁部分を製品の端面に沿って折り込む上包み包装が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
上記の上包み包装においては、一般に図4に示すような包装工程を辿って、製品の周りに包装紙が折り込まれる。即ち、多数枚の包装紙Sが積み重ねられた状態で用意され(行程1)、包装すべき製品Cについても縦に積まれた状態で集積されて用意される(行程2)。集積されている製品Cは、例えばその最も下に位置しているものから1個ずつ送り出され(行程3)、包装紙Sについては、最も上の1枚がスタックから送り出す準備がされる(行程4)。
【0004】
行程3で突き上げ位置に送られた製品Cは、下からエレベータなどの昇降装置によって上方に持ち上げられる(行程5)。送り出す準備がされた包装紙Sが、製品Cの持ち上げ経路上に送り出される(行程6)。製品Cは、上方に置かれた包装紙Sに向って更に突き上げられ、製品Cの天面c1及びそれに交差する両側面c2,c2が、折り込まれる包装紙Sの天面部分s1及び側面部分s2,s2で覆われる(行程7)。
【0005】
包装紙Sの片方のフラップ部分s3を折り込むことにより製品Cの底面c3の一部が覆われ、同時に包装紙Sの一方の横側縁部分s6を製品の端面c4に沿って折り込む(行程8)。その後、包装紙Sの他方のフラップ部分s3を折り込むことにより製品Cの底面c3の残りの部分が覆われるとともに、折り込んだ先端が先に折り込まれたフラップ部分s3上に重なる。包装紙Sの他方の横側縁部分s6が製品の端面c4に沿って折り込まれ、また、包装紙Sの上側縁部分s4,s4が上方に折り返される(行程9)。
【0006】
包装紙Sの下側縁部分s5,s5が製品Cの端面c4,c4上に折り曲げられてその一部を覆うとともに、上方に折り返された上側縁部分s4,s4が水平状態に折り戻される(行程10)。そして、製品Cが包装紙S共々、上方に押し上げられることによって、水平状態にある上側縁部分s4,s4が下に向って製品Cの端面c4,c4上に折り曲げられて端面c4,c4上の残る部分を覆うとともに、折り込んだ先端が既に製品Cの端面c4,c4上に折り曲げられている下側縁部分s5,s5上に重なる。
【0007】
サイド折りの場合には、上側縁部分s4,s4及び下側縁部分s5,s5が折り重ねられて製品Cの端面c4,c4をはみ出さすことなく覆う状態になったときに包装が完了し、包装済みの製品Cが下から積み重ねられる(行程11s)。アンダーホールドの場合には、上側縁部分s4,s4及び下側縁部分s5,s5の各先端が製品Cの端面c4,c4からはみ出すので、最後の行程で上側縁部分s4,s4が製品Cの底面c3にまで折り曲げられ、既に折り込まれたフラップ部分s3,s3に重ねられる(行程11u)。重ねられた包装済みの製品Cは、後行程(例えば、段ボール箱詰め行程)に搬出される(行程12)。上包み包装においては、包装紙Sの折込みは、製品Cを包装紙Sとともに横方向(水平方向)に移動させるときに、相対的な動きを利用して、折り具によって行われる。
【0008】
包装紙の重なり部分に糊等を付着して糊付けすることで、製品Cの包装紙Sによる包装体Pが完成する(図4の(行程11)に示す状態)。この上包み包装は、菓子折り箱のみならず、書籍などの直方体状のものであれば、そうした物品の包装に適用可能である。
【0009】
こうした上包み包装には、糊ガンと称される糊噴射具を備えた糊の噴射装置が適用されている。図5及び図6は、上包み包装機において、糊噴射具が組み込まれた包装紙供給装置の側面図及び正面断面図(図5のD−D断面図)である。製品Cを包むべき包装紙Sに糊付けするために、糊を吹き付ける糊噴射具としての糊ガン61が包装紙供給装置60の一側の定位置に設けられている。糊ガン61は、製品Cの縦方向の搬送経路と交差する位置に搬送される包装紙Sに向かって接着剤としての糊を噴射し、包装紙Sの下側縁部に沿った位置にライン状等の適宜パターンで糊Gが付着される。包装物Sの底面に包装紙の一方のフラップ部分を折り込んだ後に、糊Gが付着された他方のフラップ部分を折り込むときに、包装紙Sの重なり合う部分が糊Gで接着される(図4の行程9を参照)。その後、製品Cの前後方向に突き出した側縁部分(耳部ともいう)が折り込まれ、このとき、所定位置に固定された別の糊ガンにより接着剤が噴射され、移動する包装材Sの上側縁部分の内側に糊が付着される。折り上げた下側縁部分に、糊が付着された上側縁部分を折り重ねる(図4の行程10〜11を参照)ことで、上下の両側縁部分の重なり合う部分が接着されて、包装工程が終了する。
【0010】
上述した各糊ガンは、接着剤の噴射後所定時間内に接着剤を再噴射しないと、ノズルに残留した微量の接着剤が乾燥して、ノズルが詰まってしまうことがある。そこで、従来からノズルの詰まりを防止するための各種のノズル詰まり防止装置が提案されている。一例として、接着剤を噴射するときにはノズルを液面上に露出させ、接着剤を噴射しないときにはノズルを液面下に没入させることでノズルに残留する接着剤の乾燥を防止し、それによって噴射ノズルの詰まりを防止する装置が提案されている(特許文献2参照)。乾燥防止手段は、ノズルの周囲に設けられ該ノズルとの間に液体を収容する間隙を形成するとともに、該ノズルと対向する位置に開口を有するケーシングと、間隙に収容された液体の水位を下降させて、ノズルを液面上に露出させるとともに、この液体の水位を上昇させて、ノズルを液面下に没入させる水位調節装置とが設けられる。
【0011】
コールドグルーガンは、糊噴射後、ノズル先端又は噴射した後に微量に残った糊が硬化し、ノズル詰まりを生じる。ピストン・シリンダのようなシールを必要とする摺動機構によって水位を変更することで噴射ノズルを水面に対して出没させる方式では、シールからの水の漏出を完全に防止することは難しい。したがって、水位の変更を繰り返しているうちに水量が減少するので、常に水の補充に注意を払う必要がある。また、水位の変化を大きく出すために、ノズルの先端部の周囲を覆う円筒部を設けると、ノズルを外部から点検すること、或いはメンテナンスが困難になる。
【0012】
本出願人においても、既に、糊の乾燥対策を施した糊噴射装置を提案している(特許文献3)。この提案による糊噴射装置は、噴射可能なノズルを備えた糊ガン本体、前記ノズルが水収容部内に配置された状態で前記糊ガン本体に取り付けられた水カップ、及び前記ノズルの前記噴射孔が前記水カップの前記水収容部に収容された水面上に出る第一位置と水面下に没する第二位置との間で前記水カップを傾斜させる作動機構を備えている。この糊噴射装置では、作動機構が作動して水カップを傾斜させると、水カップ内の水は水カップの形状に応じて形を変えるが水面は水平に保たれることが利用される。即ち、水カップの第一位置では、水カップ内に配置されたノズルは、水カップの傾斜姿勢に応じて水の水面上に露出する状態となり、水面上に出ているノズルの噴射孔から糊を噴射させることを可能にする。水カップの第二位置では、ノズルは、水カップの姿勢に応じて水の水面下に没する状態となるので、ノズルに残存する糊が乾燥して硬化する或いは噴射孔を詰まらせることの防止が図られている。
【0013】
特許文献3に記載されている糊噴射装置によれば、糊を噴射しない時期には、水カップを第二位置にもたらすことで、ノズル先端又は噴射した後に微量に残った糊が硬化することに起因したノズル詰まりを未然に効果的に防止できるものであるが、構成部品が多いという点や、メンテナンスが煩雑であるという点で改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開昭62−78017号公報(第2頁第4行〜同頁第11行、第3図)
【特許文献2】特開2001−70836号公報([0027]〜[0028]、図3図4
【特許文献3】特開2006−213379号公報([0026]〜[0027]、図1図4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
そこで、直方体状の製品を包装紙で包装する上包み包装において、糊を噴射するという必要最小限の構成については維持するが、それ以上に構造を変更する或いは構造を追加するというようなハード上の対応ではなく、主として糊の吹き飛ばしというソフト面を含めての改良により、糊の噴射ノズルの詰まりを防止する点で解決すべき課題がある。
【0016】
この発明の目的は、上記課題を解決することであり、噴射ノズルとその周辺構造として、糊の噴射に必要最小限な構造で足り、糊の噴射ノズルの詰まり防止のために特別の構造を備えることがなく、したがって、そうした特別の構造のために部品数を増加させないので製造コストを安価に維持するとともに、メンテナンスについても作業が増加して煩雑になるというようなことがない、上包み包装における糊噴射装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の課題を解決するため、この発明による上包み包装における糊噴射装置は、噴射口に供給される液状の糊を包装紙に付着させるために当該糊を前記噴射口から噴出されるミストエアによって霧状の糊として前記包装紙に向かって噴射する噴射ノズルと、糊タンクから液状の糊を前記噴射ノズルに供給する糊供給系統と、エア源からミストエアを前記噴射ノズルに供給するミストエア供給系統と、前記糊供給系統における糊の供給と、前記ミストエア供給系統におけるミストエアの供給とを制御して、前記噴射ノズルからの糊の噴射タイミングを制御する制御装置を備えている包装機における糊噴射装置であって、前記エア源から前記噴射ノズルの前記噴射口の上流側で前記ミストエア供給系統と合流する態様で吹き飛ばしエア系統が設けられていて、前記制御装置は、前記噴射ノズルの前記噴射口に残る糊をエアで吹き飛ばすため、前記噴射ノズルから噴射された糊が付着された前記包装紙が前記噴射ノズルの噴射先から移動した時期に、前記吹き飛ばしエア系統を作動させて前記エア源から吹き飛ばしエアを前記噴射ノズルに送ること、を特徴としている。
【0018】
この上包み包装における糊噴射装置によれば、制御装置が糊供給系統における糊の供給と、ミストエア供給系統におけるミストエアの供給とを制御しているので、噴射ノズルにおける糊の噴射タイミングが制御されて、必要な時期に糊が包装紙に向けて噴射される。噴射ノズルから噴射された糊が付着された包装紙が噴射ノズルの噴射先から移動した時期に、制御装置は吹き飛ばしエア系統を作動させるので、エア源から吹き飛ばしエアが噴射ノズルに送られて、噴射口に微量に糊が残っている場合でも、吹き飛ばしエアが噴射口から噴出されるときに残留糊が一緒に吹き飛ばされる。
【0019】
この上包み包装における糊噴射装置において、前記糊供給系統は、前記糊タンクに貯蔵されている液状の糊を前記噴射ノズルに向けて圧送するポンプと、前記ポンプの出口側に設けられていて前記制御装置からのオン・オフ指令に基づいて前記噴射ノズルへの経路を開閉する圧力スイッチを備えることができる。ポンプは、糊タンクに貯蔵されている液状の糊を吸い上げて噴射ノズルに向けて圧送する。制御装置はポンプの出口側に設けられている圧力スイッチにオン・オフ指令の信号を送り、圧力スイッチが当該オン・オフ指令に基づいて噴射ノズルへの経路を開閉することで、そのタイミングで糊が噴射される。制御装置が圧力スイッチを制御することで糊の圧送タイミングが制御され、包装紙への糊の付着領域(長さ)が制御される。
【0020】
また、この上包み包装における糊噴射装置において、前記ポンプは前記エア源から供給されるエアによって駆動されており、前記ポンプが吐出する糊の圧力を調整するため、前記ポンプに供給されるエアを調整する糊圧レギュレータを設けることができ、糊圧レギュレータによってポンプへのエアの供給を調整することでポンプから吐出される糊の圧送圧力が制御され、単位時間当たりに圧送される糊の量を制御することができる。
【0021】
この上包み包装における糊噴射装置において、前記ミストエア供給系統は、前記エア源と前記噴射ノズルとの間の経路に介装されていてミストエアの流量を調節する流量調整弁と、当該流量調整弁の入り口側に設けられていて前記制御装置からのオン・オフ指令に基づいて前記流量調整弁への経路を開閉する電磁弁を備えることができる。制御装置は電磁弁にオン・オフ指令の信号を送り、電磁弁が当該オン・オフ指令に基づいて噴射ノズルへのミストエア供給経路を開閉する。電磁弁の出口側には流量調整弁が設けられており、流量調整弁の設定によって、圧力を持ったエア源から噴射ノズルへのミストエアの流量が調整され、当該流量が調整されたミストエアが噴射ノズルに供給される。
【0022】
この上包み包装における糊噴射装置において、前記吹き飛ばしエア系統は、前記エア源と前記噴射ノズルとの間の経路に介装されていて吹き飛ばしエアの流量を調節する流量調整弁と、当該流量調整弁の入り口側に設けられていて前記制御装置からのオン・オフ指令に基づいて前記流量調整弁への経路を開閉する電磁弁を備えることができる。制御装置は電磁弁にオン・オフ指令の信号を送り、電磁弁が当該オン・オフ指令に基づいて噴射ノズルへの吹き飛ばしエア供給経路を開閉する。電磁弁の出口側には流量調整弁が設けられており、流量調整弁の設定によって、エア源から噴射ノズルへの吹き飛ばしエアの流量が調整され、当該流量が調整された吹き飛ばしエアが噴射ノズルに供給される。
【0023】
この上包み包装における糊噴射装置において、前記制御装置は、包装紙に糊を付着させるべき時に合わせて、前記糊供給系統と前記ミストエア供給系統とを作動させ且つ前記吹き飛ばしエア系統を不作動とし、糊が付着された前記包装紙が前記噴射ノズルの噴射先から移動した時期に合わせて、前記糊供給系統と前記ミストエア供給系統とを不作動とし且つ前記吹き飛ばしエア系統を作動させることができる。包装紙に糊を付着させる必要があるときには、制御装置は糊供給系統とミストエア供給系統とを作動させ、吹き飛ばしエア系統を不作動とする。糊とミストエアが噴射ノズルに供給され、噴射ノズルからは糊が霧状になって包装紙に吹きつけられ、糊が所定の領域(長さ)に付着される。制御装置は、包装紙への糊の付着が終了し、糊が付着された包装紙が噴射ノズルの噴射先から移動した時期に合わせて、糊供給系統とミストエア供給系統とを不作動とし且つ吹き飛ばしエア系統を作動させる。糊とミストエアの噴射ノズルへの供給が停止され、吹き飛ばしエアが噴射ノズルに供給される。
【0024】
この上包み包装における糊噴射装置において、前記噴射ノズルの噴射方向であって前記包装紙の移動経路を越えた先には、吹き飛ばしエアで吹き飛ばされた糊が付着される糊付着板を配設することができる。吹き飛ばしエアによって吹き飛ばされた糊は、周囲を汚す可能性がある。そこで、噴射ノズルの噴射方向であって包装紙の移動経路を越えた先に糊付着板を配設することで、包装紙が移動した後に糊を吹き飛ばすとき、吹き飛ばされた糊を糊付着板に付着させることができる。したがって、吹き飛ばされた糊で周囲が汚れることもない。
【発明の効果】
【0025】
この発明による上包み包装における糊噴射装置は、上記のように構成されているので、制御装置が糊供給系統における糊の供給とミストエア供給系統におけるミストエアの供給を制御することで、噴射ノズルにおける糊の噴射タイミングが制御されて包装紙に対して必要とされる時期に糊が噴射され、しかも制御装置は糊が付着された包装紙が噴射ノズルの噴射先から移動した時期に吹き飛ばしエア系統を作動させるので、噴射口に残る糊が吹き飛ばしエアで吹き飛ばされる。このように、本発明によれば、噴射口に糊が残らないので、乾燥する糊で噴射口が詰まることのない上包み包装における糊噴射装置を提供することができる。また、本糊噴射装置によれば、噴射ノズル及びその周辺構造として、糊の噴射に必要最小限な構造で足り、糊の噴射ノズルの詰まり防止のために構造を変更する或いは構造を追加するといった特別の構造を備えることがなく、流量調整弁や電磁弁といった入手容易な市販の調達品で吹き飛ばしエア系統を構成し且つ糊の噴射制御というソフト面での改良により糊の噴射ノズルの詰まりを防止することができる。しかも、本糊噴射装置によれば、吹き飛ばしエア系統が調達コストの安価な部品で構成できるので、製造コストの上昇を抑えることができるとともに、メンテナンスについても作業が増加する或いは煩雑になるのを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、この発明による上包み包装における糊噴射装置に用いられる糊噴射用の糊ガンの噴射ノズル部分を拡大して示す縦断面図である。
図2図2は、この発明による上包み包装における糊噴射装置の糊、ミストエア及び吹き飛ばしエアの供給系統図である。
図3図3は、この発明による上包み包装における糊噴射装置の通常の糊噴射及び残留糊の吹き飛ばしの動作を説明する説明図である。
図4図4は、この発明による上包み包装における糊噴射装置が適用可能な上包み包装における包装手順を説明する包装行程図である。
図5図5は、上包み包装機において、糊の噴射装置が組み込まれた包装紙供給装置の側面図である。
図6図6は、図5に示す包装紙供給装置の正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付した図面に基づいて、この発明による上包み包装における糊噴射装置の実施例を説明する。図1はこの発明による上包み包装における糊噴射装置に用いられる糊噴射用の糊ガンの噴射ノズル部分を拡大して示す縦断面図である。
【0028】
図1に示すように、糊ガン1の噴射ノズル2は、先端が円錐状の形状をしており、中央先端に糊噴射のための噴射口3が開口している。糊経路5は、噴射ノズル2の側面に開口する流入口4から径方向に中心に至る横経路6と、横経路6の奥端から噴射ノズル2の中心に沿って噴射口3に向って延びる縦経路7とから形成されている。
【0029】
噴射ノズル2の側面には、ミストエアの流入のための流入口8が、糊の流入口4よりも噴射口3側に寄った位置に開口している。ミストエアの経路9は、噴射ノズル2の側面の流入口8から径方向に中心に向って延びる横経路10と、横経路10の奥端から噴射ノズル2の縦方向に沿って延びて、噴射ノズル2の棚部16に開口する縦通路11と、噴射ノズル2の先端の円錐状周面13に形成されている円錐状通路12とから形成されている。噴射ノズル2の先端円錐状部分には、円錐状のキャップ14が棚部16近傍の雄ねじ部17にねじ込まれて液密に固定されており、円錐状通路12は円錐状周面13とキャップ14の円錐状の内周面15との間の空間として形成されている。
【0030】
このように構成されている糊ガン1の噴射ノズル2によれば、ミストエアの経路9を経てミストエアが噴射口3から噴射されると、ミストエアの噴出によって、噴射口3付近が負圧となる。糊経路5を経て同じく噴射口3から噴射される糊は、ポンプからの噴射圧力のみならず、かかる負圧によって吸い出される作用を受ける。糊は、噴射口3から噴射ノズル2の前方に置かれた包装紙に向って霧状となって拡散・噴射され、包装紙の必要とされる領域に付着される。
【0031】
図2は、この発明による上包み包装における糊噴射装置の糊、ミストエア及び吹き飛ばしエアの供給系統図である。図2に示すように、霧状の糊を噴射する噴射ノズル2には、液(流動)状の糊を供給する糊供給系統20と、糊を霧状にするミストエアを供給するミストエア供給系統30と、噴射ノズル2に残留する糊を吹き飛ばすためのエアを供給する吹き飛ばしエア供給系統40とが接続されている。本発明の特徴的な部分は、吹き飛ばしエア供給系統40に現れている。吹き飛ばしエア系統40は、噴射ノズル2の流入口8の直前でミストエア系統30に合流する態様で接続されている。したがって、本発明の実施において、噴射ノズル2自体には、特別な構造の変更や追加はない。
【0032】
糊供給系統20は、糊タンク21から液状の糊を噴射ノズル2に供給する系統であり、液状の糊を貯蔵する糊タンク21と、糊タンク21に貯蔵されている液状の糊を噴射ノズル2に向けて圧送するポンプ22と、ポンプ22の出口側に設けられていて制御装置50からのオン・オフ指令に基づいて噴射ノズル2への経路を開閉する圧力スイッチ23を備えている。ポンプ22は、糊タンク21に貯蔵されている液状の糊を常時吸い上げて噴射ノズル2側に向けて圧送している。圧力スイッチ23は、ポンプ22から吐出される糊の圧力(入力圧力)が設定範囲にあるときにその圧力で糊を吐出可能に定めるものであって、実際に糊を吐出する出力タイミングは制御装置50からの指令に基づいて行われる。制御装置50は圧力スイッチ23にオン・オフ指令の信号を送り、圧力スイッチ23が当該オン・オフ指令に基づいて噴射ノズル2への経路を開閉することで、必要な時期・タイミングで糊が噴射ノズル2に送られ、噴射ノズル2から包装紙に向けて糊が噴射される。
【0033】
ポンプ22は、エア源19からのエアの供給を受けて駆動されるエア駆動型のポンプである。ポンプ24へのエアの供給はレギュレータ24によって調整される。したがって、レギュレータ24を調整することで、ポンプ22による糊の圧送圧力が調整され、単位時間当たりに圧送される糊の量が変更できる。具体的には、レギュレータ24によるエア圧の圧力調整と、それに応じてなされる圧力スイッチ23の設定とで、噴射ノズル2から噴射される糊の量を調整・制御することができる。
【0034】
ミストエア供給系統30は、エア源19からミストエアを噴射ノズル2に供給する系統であり、エア源19と噴射ノズル2との間の経路に介装されていてミストエアの流量を調節する流量調整弁31と、流量調整弁31の入り口側の当該経路に設けられていて制御装置50からのオン・オフ指令に基づいて流量調整弁31への経路を開閉する電磁弁32を備えている。制御装置50が電磁弁32にオン・オフ指令の信号を送ることで、電磁弁32が当該オン・オフ指令に基づいて噴射ノズル2へのミストエア供給経路を開閉することになり、噴射ノズル2からの霧状の糊の噴射又は噴射停止が制御される。電磁弁32の出口側に設けられている流量調整弁31は、その設定によって、圧力を持ったエア源19から噴射ノズル2へのミストエアの流量を調整する。噴射ノズル2には当該流量が調整されたミストエアが供給され、糊のミスト化の程度や霧状の噴射の勢が調整される。
【0035】
吹き飛ばしエア系統40は、エア源19から噴射ノズル2の流入口8の上流側でミストエア供給系統30と合流する態様で吹き飛ばしエアを供給する系統であり、エア源19と噴射ノズル2との間の経路に介装されていて吹き飛ばしエアの流量を調節する流量調整弁41と、流量調整弁41の入り口側の当該経路に設けられていて制御装置50からのオン・オフ指令に基づいて流量調整弁41への経路を開閉する電磁弁42を備えている。制御装置50は電磁弁42にオン・オフ指令の信号を送り、電磁弁42が当該オン・オフ指令に基づいて噴射ノズル2への吹き飛ばしエア供給経路40を開閉する。電磁弁42の出口側には流量調整弁41が設けられており、流量調整弁41の設定によって、エア源19から噴射ノズル2への吹き飛ばしエアの流量が調整され、当該流量調整された吹き飛ばしエアが噴射ノズル2に供給される。このように、流量調整弁41によって、残留糊の量に応じた吹き飛ばし能力を調整することができる。
【0036】
この上包み包装における糊噴射装置の動作状態が図3に示されている。図3(a)は包装紙への糊の通常の噴射動作を説明する図であり、図3(b)は、噴射ノズルに残る残留糊の吹き飛ばし動作を説明する図である。
【0037】
図3(a)に示すように、糊の通常の噴射動作時には、制御装置50は、噴射ノズル2の噴射先に送られてきている包装紙Sに糊を付着させるべき時に合わせて、糊供給系統20とミストエア供給系統30とを作動させ且つ吹き飛ばしエア系統40を不作動とする。具体的には、包装紙Sに糊を付着させる必要があるときには、制御装置50は、糊供給系統20の圧力スイッチ23をオンとし、ミストエア供給系統30の電磁弁32をオンとし、吹き飛ばしエア系統40の電磁弁42をオフにすることで、糊供給系統20からは糊が、そしてミストエア供給系統30からはミストエアが噴射ノズル2に供給される。ミストエア供給系統30のエア圧は、吹き飛ばしエア系統40のオフとなっている電磁弁42によって遮断され、吹き飛ばしエア系統40をそれ以上遡らない。圧力スイッチ23と電磁弁32のオンの時期を制御することで、噴射ノズル2における糊の噴射タイミングが制御されて、必要とされる時期に糊が包装紙Sに向けて噴射される。噴射ノズル2からは糊が霧状になって包装紙Sに吹きつけられ、糊が所定の領域(長さ)に付着される。
【0038】
図3(a)に示すように、残留糊を吹き飛ばす動作時には、制御装置50は、糊の噴射が行われた直後の時期、即ち、糊の付着が完了した包装紙Sが噴射ノズル2の噴射先から移動した時期に合わせて、糊供給系統20とミストエア供給系統30とを不作動とし且つ吹き飛ばしエア系統40を作動させる。具体的には、制御装置50は、糊供給系統20の圧力スイッチ23をオフとし、ミストエア供給系統30の電磁弁32をオフとし、吹き飛ばしエア系統40の電磁弁42をオンにすることで、噴射ノズル2への糊とミストエアの供給が停止され、代わりにエア源から吹き飛ばしエアが噴射ノズル2に供給される。吹き飛ばしエア系統40のエア圧は、ミストエア供給系統30のオフとなっている電磁弁32によって遮断され、ミストエア供給系統30をそれ以上遡らない。噴射ノズル2の噴射口3に微量に糊(残留糊Gr)が残っている場合でも、吹き飛ばしエアが噴射口3から噴出されるときに残留糊Grが一緒に吹き飛ばされ、糊が噴射口3内で固まって詰まりを生じさせることがない。
【0039】
噴射ノズル2の噴射方向であって包装紙Sの移動経路を越えた先には、吹き飛ばしエアで吹き飛ばされた糊Grを付着することができる糊付着板55が配設されている。吹き飛ばしエアによって吹き飛ばされた糊Grは包装機の周囲を汚す可能性がある。噴射ノズル2の噴射方向であって包装紙Sの移動経路を越えた先に糊付着板55を配設することで、包装紙Sが移動した後に吹き飛ばされた糊Grを糊付着板55に付着させることができる。したがって、包装機の周囲は、吹き飛ばされた糊Grで汚されることがなく、清潔さを保つことができる。
【符号の説明】
【0040】
1 糊ガン 2 噴射ノズル 3 噴射口
4 流入口 5 糊の経路 6 横経路
7 縦経路 8 流入口
9 ミストエアの経路 10 横経路 11 縦通路
12 円錐状通路 13 円錐状周面 14 キャップ
15 内周面 16 棚部 17 雄ねじ部
19 エア源
20 糊供給系統 21 糊タンク 22 ポンプ
23 圧力スイッチ 24 レギュレータ
30 ミストエア供給系統 31 流量調整弁 32 電磁弁
40 吹き飛ばしエア系統 41 流量調整弁 42 電磁弁
50 制御装置 55 糊付着板
60 包装紙供給装置 61 糊ガン
S 包装紙 s1 天面部分 s2,s2 側面部分
s3,s3 フラップ部分 s4,s4 上側縁部分
s5,s5 下側縁部分 s6,s6 横側縁部分
C 製品 c1 天面 c2,c2 側面
c3 底面 c4,c4 端面
P 包装体 G 糊 Gr 残留糊
図1
図2
図3
図4
図5
図6