(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
矩形の短辺に対応する前側と後側の端壁と矩形の長辺に対応する左右の側壁および汚泥掻寄方向である前側の端壁側に汚泥ピットを備える底壁とを備えてなり前記前側の端壁の上部に設けた整流孔を通じて汚水が導入されるようにされた矩形沈澱池内の底壁上には、左右の側壁間中央である池幅中央ラインに同芯状をなすようにしてガイドレールが敷設され、前記ガイドレールには、汚泥ピットの方向とその逆方向に進退可能な車輪移動式の機体が設けられ、その機体は、汚泥ピットの向きに前進する際に縦向きの掻寄状態となりその逆方向に後退する際に持ち上げ状態となるように上下姿勢切換可能とされた汚泥スクレーパを備えるとともに、同機体の進退駆動はワイヤロープあるいはリンクチェーンなどの伝導条材による往復牽引手段でなされるようにされ、同往復牽引手段は、池上に設置の架台上にジャッキアップ機構を介して昇降調節可能に設置された減速機付き駆動源と、この駆動源の駆動軸に備えたロードシーブと、前記ガイドレール上における前記ロードシーブの下方に対応するように配備された一対のヘッド側シーブと、前記後側の端壁の下方に相当する位置に設けられたテール側シーブと、前記伝導条材とを備え、前記伝導条材は、ロードシーブに掛け回されたその一方側がヘッド側シーブの一方を経由して機体側に前方から連結されるとともにロードシーブに掛け回された他方側がヘッド側シーブの他方とテール側シーブとを経由して機体側に後方から連結され、前記ガイドレールの汚泥ピット側である前端には、基部ブラケットを介してアームブラケットが立設され、同アームブラケットには、前記伝導条材の他方側となるロードシーブとヘッド側シーブとの間に相当する部分に当たるテンションローラー付きテンションアームが回転自在に支持されてなるテンショナーが装備されている汚泥掻寄装置において、前記矩形沈澱池の池上には、弛み度インジケーターが設けられ、同インジケーターは、前記テンショナーの動きに連動して昇降運動をする昇降連動材と、同昇降連動材の動きに応じて池上において弛み度を表示可能な表示手段とを備えていることを特徴とする汚泥掻寄装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された汚泥掻寄装置は、池幅中央を通るように池底に固定されたガイドレールを備え、このガイドレールには、それに平行に進退する長尺状の機体を備え、この機体は前後複数枚の汚泥スクレーパを備えて車輪を介して走行案内される構造とされている。そして、汚泥スクレーパは、後退したのちに垂直な掻寄姿勢とされて再び前進されることで汚泥をピット方向に掻き寄せたのちピット内に落とし込むようにし、そののち汚泥スクレーパは持ち上げられて非掻寄姿勢とされることで垂直な姿勢から支柱請求項から例えば、ワイヤやリンクチェーンなどの伝導条材を介する駆動方式により機体を前進させて前方のピット方向に汚泥を掻き寄せることで汚泥をピット内に落とし込むようにし、その後、掻寄を終えると汚泥スクレーパは掻き戻しをしない持上姿勢にしてそのまま後退しつつ後方端の元の位置まで復帰運動をするようになっている。
【0005】
具体的には、上記機体は、溝型鋼のような一様断面形状をした長尺部材を本体としてそれをガイドレールの直ぐ上にくるように配置して左右一対で前後複数組をなす車輪をガイドレール上に介してピット方向あるいはその逆の方向に進退するようにされ、この機体の前後複数個所には左右一対の取付台を突設するとともに、その取付台上に左右一対をなすように軸受を固定してこれら軸受を通してスクレーパ軸を挿通して回転自在に装備し、さらに、前後の各スクレーパ軸には、掻寄羽根であるスクレーパ本体を左右一対ずつ備えたものとしてある。
【0006】
ところで、スクレーパ付き機体を進退駆動させるには、駆動源と複数のシーブおよびワイヤロープ・リンクチェーンなどの伝導条材が構成されるとともに、機体の溝内を進退する連動ロッドも構成してある。そして、池上に設置した駆動源にロードシーブを装備し、その下方に対応するガイドレール上にも一対の前アイドルシーブを配備する一方、ガイドレールの後端上には後アイドルシーブを配置して構成し、これらシーブ組と連動ロッドとを介して、1本の伝導条材を掛け回してある。即ち、ロードシーブ回りに掛けられた伝導条材の一方は前アイドルシーブの一方を通って連動ロッドの前端に結合され、連動ロッドの後端に結ばれた伝導条材他端は後アイドルシーブを経由して下回りに掛けられ前方へ向けて前アイドルシーブの他方を経由してロードシーブに掛け回されるようになっている。これは特許公報1において図説されている。
【0007】
しかし、リンクチェーン等の伝導条材は、牽引作用を繰り返す関係から連鎖間部分に摩耗が発生してそれがチェーンの伸びとなり、そのままではスプロケットであるシーブからチェーンが外れてしまうおそれがある。
【0008】
そのチェーンの伸びに対処する一つの方法として、テンショナーによる方法がある。例えば、前アイドルシーブの上側位置に配置したアーム軸回りにテンションアームを回転自在に備えるとともにそのアーム先端に備えたテンションローラーを前進時に弛むリンクチェーン側に掛けて自重付加による張り状態維持によりチェーンの弛みをなくすようにしたものがある。
しかし、前記テンショナーによるものは、回転範囲が一定に限られるので、弛みが大きくなるのに対応し切れない不利がある。
【0009】
そうしたことから回転範囲が一定に限られるテンショナーを1回のみ働かせるのでなく何度も繰り返し働かせるようにして大きな弛みに対して常時張り状態を維持させるように工夫した。即ち、モーターと減速機を本体としその一端にロードシーブを備えてリンクチェーンの一端を掛け回すようにしてなる駆動源をそのまま池上に固定設置するのでなく、底側に設置した架台の上にこの駆動源を配置するとともに架台から垂直にボルトを伸ばして上下のナットで駆動源を昇降調節可能に構成するものである。ボルトとナットは駆動源を持ち上げることもできるしその高さで固定ロックも可能なジャッキアップ機構であり、伝導条材を初期設定した状態でチェーンがかなり伸びたであろう経験的一定期間を経た時点でジャッキアップ機構により駆動源を持ち上げてロードシーブを少し高く調節すればロードシーブ回りの伝導条材が持ち上がることによりチェーンに発生した弛みがなくなるようにしたものである。
【0010】
しかし、前記した所謂駆動源持ち上げ方式によれば、ジャッキアップする作業は池上において便利にかつ確実に行えるのであるが、それによる弛み取りを受ける肝心なテンショナーの部分は池水中の全く視えないところにある関係で、ジャッキアップを行ってもそれが水中においてどの程度弛み取りとして反映されているのか明確に分からないという問題があった。一方、池上でのジャッキアップ作業にのみに頼ることなく、伸びが大きくなったと想定される一定期間後に、一旦池水を抜き去り、チェーンの伸びた分に対応する個数分をカットし、それにより、弛み取りをより確実に行うようにもすることができる訳であるが、水を抜く方式を採ると、その後に水を張って元の状態に戻したとしても沈澱池の次の処理設備での処理機能が不安定なものになるため処理場を管理する人はそうした対処方法が嫌われていた。
【0011】
この発明は上記問題を解決するためになされたもので、沈澱池の水面より上位においてチェーン等の伝導条材の弛み度が分かるだけでなくそれに基づく弛み取りの作業が池上において水抜きなどなく容易かつ確実にしかも迅速に行えるとともに弛み取りが永い期間に亘って行えるようにした汚泥掻寄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、
矩形の短辺に対応する前側と後側の端壁と矩形の長辺に対応する左右の側壁および汚泥掻寄方向である前側の端壁側に汚泥ピットを備える底壁とを備えてなり
前記前側の端壁の上部に設けた整流孔を通じて汚水が導入されるようにされた矩形沈澱池内の底壁上には、
左右の側壁間中央である池幅中央ラインに同芯状をなすようにしてガイドレールが敷設され、前記ガイドレールには、汚泥ピットの方向とその逆方向に進退可能な車輪移動式の機体が設けられ、その機体は、汚泥ピットの向きに前進する際に縦向きの掻寄状態となりその逆方向に後退する際に持ち上げ状態となるように上下姿勢切換可能とされた汚泥スクレーパ
を備えるとともに、
同機体の進退駆動はワイヤロープあるいはリンクチェーンなどの伝導条材による往復牽引手段でなされるようにされ、同往復牽引手段は、池上に設置の架台上にジャッキアップ機構を介して昇降調節可能に設置された減速機付き駆動源と、
この駆動源の駆動軸に備えたロードシーブと、
前記ガイドレール上における前記ロードシーブの下方に対応するように配備された一対のヘッド側シーブと、前記後側の端壁の下方に相当する位置に設けられたテール側シーブと、前記伝導条材とを備え、
前記伝導条材は、ロードシーブに掛け回されたその一方側がヘッド側シーブの一方を経由して機体側に前方から連結されるとともにロードシーブに掛け回された他方側がヘッド側シーブの他方とテール側シーブとを経由して機体側に後方から連結され、
前記ガイドレールの汚泥ピット側である前端には、基部ブラケットを介してアームブラケットが立設され、同アームブラケットには、前記伝導条材の他方側となるロードシーブとヘッド側シーブとの間に相当する部分に当たるテンションローラー付きテンションアームが回転自在に支持されてなるテンショナーが装備されている汚泥掻寄装置において、
前記矩形沈澱池の池上には、弛み度インジケーターが設けられ、同インジケーターは、
前記テンショナーの動きに連動して昇降運動をする昇降連動材と、
同昇降連動材の動きに応じて池上において弛み度を表示可能な表示手段とを備えていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のものにおいて、昇降連動材は、池上に対応位置する上端部に上下複数の異なる表示部分をもち、池上に設定された固定的な相手基準部材に対する前記表示部分の高さ位置関係をもって弛み度が表示され得るようになっている。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のものにおいて、表示手段は、昇降連動材の池上に対応位置する上端部の特定部位に対して反応する近接センサー等のセンサーと、このセンサーからの反応を受けて一定の弛み度や弛み取り状態を光でもって表示する発光手段とを備えている。
【発明の効果】
【0013】
上述したように、請求項1に記載の発明は、
矩形の短辺に対応する前側と後側の端壁と矩形の長辺に対応する左右の側壁および汚泥掻寄方向である前側の端壁側に汚泥ピットを備える底壁とを備えてなり
前記前側の端壁の上部に設けた整流孔を通じて汚水が導入されるようにされた矩形沈澱池内の底壁上には、
左右の側壁間中央である池幅中央ラインに同芯状をなすようにしてガイドレールが敷設され、前記ガイドレールには、汚泥ピットの方向とその逆方向に進退可能な車輪移動式の機体が設けられ、その機体は、汚泥ピットの向きに前進する際に縦向きの掻寄状態となりその逆方向に後退する際に持ち上げ状態となるように上下姿勢切換可能とされた汚泥スクレーパ
を備えるとともに、
同機体の進退駆動はワイヤロープあるいはリンクチェーンなどの伝導条材による往復牽引手段でなされるようにされ、同往復牽引手段は、池上に設置の架台上にジャッキアップ機構を介して昇降調節可能に設置された減速機付き駆動源と、
この駆動源の駆動軸に備えたロードシーブと、
前記ガイドレール上における前記ロードシーブの下方に対応するように配備された一対のヘッド側シーブと、前記後側の端壁の下方に相当する位置に設けられたテール側シーブと、前記伝導条材とを備え、
前記伝導条材は、ロードシーブに掛け回されたその一方側がヘッド側シーブの一方を経由して機体側に前方から連結されるとともにロードシーブに掛け回された他方側がヘッド側シーブの他方とテール側シーブとを経由して機体側に後方から連結され、
前記ガイドレールの汚泥ピット側である前端には、基部ブラケットを介してアームブラケットが立設され、同アームブラケットには、前記伝導条材の他方側となるロードシーブとヘッド側シーブとの間に相当する部分に当たるテンションローラー付きテンションアームが回転自在に支持されてなるテンショナーが装備されている汚泥掻寄装置において、
前記矩形沈澱池の池上には、弛み度インジケーターが設けられ、同インジケーターは、
前記テンショナーの動きに連動して昇降運動をする昇降連動材と、
同昇降連動材の動きに応じて池上において弛み度を表示可能な表示手段とを備えていることを特徴とするので、沈澱池の水面より上位においてチェーン等の伝導条材の弛み度が分かるだけでなくそれに基づく弛み取りの作業が池上において水抜きなどなく容易かつ確実にしかも迅速に行えるとともに弛み取りが永い期間に亘って行えるようにした汚泥掻寄装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の一実施形態を図示して説明する。
図1ないし
図8はその一実施形態で1水路1駆動方式の汚泥掻寄装置を示しており、そのうち
図1ないし
図6は汚泥の掻き寄せがあと数m先で終わる時点での装置の状態を示し、
図7は一定の運転期間を経たのち伝導条材に中程度の弛みが発生した状態を示し、
図8はさらに一定の運転期間を経たのち伝導条材に最大程度の弛みが発生した状態を示すものである。この発明は、2水路1駆動方式(平行配置した2つの水路(沈澱池)のそれぞれに進退可能な汚泥スクレーパ付き機体を配備してこれら機体を互いに逆方向に進退する関係に1本の伝導条材で連結するとともにこの1本の伝導条材を池上の1つの駆動源をもって進退駆動させるタイプのもの)にも適用がある。
これらの図において1は矩形をした沈澱池で
図1ないし
図3における左が上流側で右が下流側であり、2が前側端壁、3が後側端壁で、これら端壁2,3は、上からみて矩形の短辺に対応し、矩形の長辺は池幅方向に対面する左右の側壁4,4が対応する。前側端壁2の上部には図示しない整流孔付きの整流板(壁)が設けられてそれより左側の流入渠(図示省略)に導入される汚水を多数の整流孔を通じて沈澱池1内に極く緩徐に導入するようになっている。
5は底壁(池底)で、その前側端壁2側である汚泥掻寄方向側には汚泥ピット6が凹設されている。このピット6には回収した汚泥の吸揚ポンプが設けられる。
【0016】
沈澱池1内の底壁5上には、池幅間中央ラインに同芯状をなすようにしてガイドレール7が敷設されている。ガイドレール7が設けられず底壁5がそのまま軌道となることもある。このガイドレール7は、垂直辺と上端の水平辺からなるアングル鋼の長いものをレール本体として有し、このレール本体の左右一対が400mm前後の間隔を置いて平行状に設けられているとともに、左右のレール本体はレール長手方向に複数個所設けられた底つなぎ材8で互いに連結されている。左右各レール本体の上面には別途保護レール(フラットバー)が一体化されることもある。尚、レール本体と底つなぎ材8の形成するコの字形部分内にはリブが設けられている。
【0017】
10は機体で、長尺な丸パイプでなり、その前端には丸板型の前蓋11が密閉状に溶接される一方後端にはアングル型をした後蓋でもある取付基台12が幅広状をなして密閉溶接されている。機体10は角パイプやH形鋼などにしてもよい。この機体10は、ガイドレール7の左右一対の本体間のやや上側に位置するようになっている。
【0018】
機体10の前部両側には前車軸14が左右一対張り出し、これら前車軸14の端部には、ガイドレール7上を転動する前車輪15が回転自在に設けられている。機体10の前端には、下向きに溝を向けた溝型鋼でなる前取付台16が左右張り出し状をなして水平面状に一体溶接されている。
前取付台16の前垂直壁には半円形の凹欠が設けられ、後垂直壁には丸孔が形成されており、これらを介して機体10の前端部が差し込まれてのち溶接一体化されている。前取付台16の後端には水平な舌片が設けられ、そこにはガイドレール7に接触するサイドローラー18が取り付けられている。
【0019】
また、前取付台16の上面には、左右一対をなして合わせ型の軸受19が設けられて上下に向く複数本の止着具により丸パイプ状スクレーパ軸22が回転自在に挿通されることで前汚泥スクレーパ21が構成されている。スクレーパ軸22は、左右の軸受19よりも更に各外側方に伸びており、その各外側方にはスクレーパ本体23が一体に設けられている。スクレーパ本体23の内側には仕切板24が設けられているとともに、スクレーパ本体23の下部前面にはゴム掻き板25が設けられて押さえ板と止着具により固定されている。
【0020】
前記スクレーパ軸22の幅方向中央には、前レバー30が突設され、その先端に斜め向きのリンク型タイロッド31の前端がピン連結されている。このタイロッド31の後端には、下端が連結ロッド33に連結され2枚の板間に案内ローラー34を備えて機体10上を進退するようになった案内ブラケット35の上部にピン結合されている。36は前ストッパで、案内ブラケット35が前進時に当たり前進力を伝えるようになっている。
【0022】
こうした機体10の前部の構成において、40は機体10上に固定したコの字形台座で、この台座40には、
図4に示すように、左右一対の支柱41,41がその両者を連結する底受板42を介して止め付けることで立設されている。支柱41,41間には、下部横架材44と上部横架材45とが連結一体化されるとともに、下部横架材44にはブラケット46を介してチェーンホイール47が取り付けられる一方、上部横架材44からは垂直上方に2本のガイドロッド48が伸びて固定されている。
【0023】
ガイドロッド48には浮上可能質のスカムスクレーパ49が昇降自在に設けられている。スカムスクレーパ49の下部にはアンカーパイプ51が垂下され、その中にプレートチェーンでなる連鎖材52の上端が挿通固定される一方、他端はタイロッド31の連結受材53に繋がれるとともに、中間は前記チェーンホイール47を経由して設けられている。54はサイドシール板で、スカムスクレーパ49と側壁4との間からスカムが掻き洩れしないようにするものである。
【0024】
汚泥掻寄装置がX方向に前進して掻き寄せを行う際には、連結ロッド33が前向きに牽かれてタイロッド31がそれに連動して前向きに押し上がることで連鎖材52が前方へ牽かれ、これにより、スカムスクレーパ49が水面下に引き下げられた姿勢のまま前進することになって水面上のスカムがスカム除去装置56のある側と反対の方向に掻き戻すことはなく、そのまま水中に没したまま汚泥の掻き寄せが終わるまで前進する。
汚泥掻寄装置による汚泥の掻き寄せが終わると後述する往復牽引手段63が逆方向に作動することにより連結ロッド33がそれに連動して逆方向に作動することにより連鎖材52は緩み、これにより、スカムスクレーパ49は引き下げ姿勢から浮上することになって水面上のスカムをスカム除去装置56の方向に掻き寄せることになる。この掻き寄せ運動は、汚泥掻寄装置の復帰運動に連動してなされる。尚、姿勢切換手段は、連結ロッド33、タイロッド31、前・後レバー30,97などにより構成されている。
【0025】
一方、スカム除去装置56は、
図2および
図3に示すように、側壁4,4間に横架固定されたトラフ57とその前側に回転により水面を境に上下するようにした堰58とを備え、この堰58は、スクレーパ軸22回りに取り付けた持ち上げローラー59が持ち上げられて復帰する途中で前側が持ち上げられ後側が下げられる倣いアーム60により連動ロッド61を介して下げられてスカムを呑み込む状態になる一方、持ち上げローラー59が倣いアーム60を通り過ぎることにより浮上復帰して堰き止め状態となるように構成されている。
【0026】
持ち上げローラー59は、掻寄時にはスクレーパ軸22が前向きに回転して低くなっているので、倣いアーム60の下方を低く干渉せずに通過してゆくことになる。スカムスクレーパ49は、汚泥掻寄装置が復帰状態のときに浮上してスカム除去装置56の方向にスカムをかき寄せるようにするが、その集めたスカムは、スカムスクレーパ49がスカム除去装置56に接近した時点で堰58を水面より下げスカムを誘引させるようにする。
【0027】
機体10を前後に進退させるための往復牽引手段63は、池上の減速機付きモーターである駆動源64と、駆動源64の駆動軸に備えたロードシーブ65と、ピット上のヘッド側シーブ66と、復帰側の縦軸回りに回転するテール側シーブ67、およびこれらを介して往復切換運動するリンクチェーンである伝導条材68とを備える。伝導条材68の一端は連結ロッド33の前端に繋がれる一方、他端は一方のヘッド側シーブ66からロードシーブ65および他方のヘッド側シーブ66からテール側シーブ67を経由して連結ロッド33の後端に繋がれており、図示しない位置検出切換制御装置により前端駆動限と後端駆動限を検知することでストロークSのもとでの進退駆動と汚泥スクレーパ切換駆動を自在としている。
【0028】
機体10の中間と後寄りには、連結ロッド33上に突設された案内ブラケット35の案内ローラー34が転動自在とされることで連結ロッド33が前後に進退自在に支持されている。機体10の後端には、前記取付基台12が左右張り出し状に固定されており、この基台12にはサイドローラー18が設けられるとともに、その後側面を介して左右一対の後取付台100が止着具により脱着可能に取り付けられている。
【0029】
後取付台100には後車輪101がそれぞれ取り付けられてガイドレール7上で転動可能とされるとともに、同取付台100上には左右一対の軸受102が止着具を介して上下割り型として取り付けられ、これら軸受102を介して後汚泥スクレーパ104のスクレーパ軸105が回転切換自在に支持されている。スクレーパ軸105にはスクレーパ本体106が一体化されているとともにゴム掻き板25や押さえ板などが上記と同様に装着されている。スクレーパ軸105の軸受間に相当する外周には、連結ロッド33に連動して前後に揺動する後レバー107が長孔型遊びを介して連結されるように突設されている。後汚泥スクレーパ104は、後斜め下がりの板面と垂直な板面とをくの字形にして有する曲がり板状をしており、
図3に実線で示すように垂直な板面が垂直になるようにして掻寄状態とされ、前進端では前側の前汚泥スクレーパ21とは逆向きとなる破線のように後向きに持ち上げられて復帰状態とされる。108はカウンタバランスである。
【0030】
図1ないし
図4は、前・後汚泥スクレーパ21,104が縦向き(垂直)な掻寄状態にあって汚泥ピット6の方向に前進し汚泥を掻き寄せながらあと数mでピット6上に達し汚泥をピット6内に落とし込むようにするその直前状態を示すものである。この掻寄状態では、前後の車輪15,101をガイドレール7上に載せた状態で機体10がガイドレール7間の上寄り中央に位置させた状態とされ、駆動源64により連結ロッド33が前向きに牽かれて案内ブラケット35が前ストッパ36に当たるところで止められており、タイロッド31は前向きに起き上がるとともに前レバー30も垂直より少し前回りまで立ち上がって汚泥スクレーパ21は垂直な掻寄姿勢になって微速で前進する状態となっている。そのとき、連鎖材52を通して引き下げられて水面に没した状態にあるスカムスクレーパ49は汚泥掻寄装置が前進する間はスカムの掻き寄せは行わないものとされる。
【0031】
汚泥掻寄装置の後部は、
図2のように、後レバー107が前回りに引かれることで後汚泥スクレーパ104は前側と同じく縦向きの垂直な状態になっている。前汚泥スクレーパ21は、
図3のA1まで、後汚泥スクレーパ104はA2まで前進する。次に、A1まで前進した汚泥掻寄装置は、駆動源64が逆回転されることで連結ロッド33は後ろ向きに引かれ、これにより、タイロッド31を介して前レバー30が後回りに、また後レバー107が後向きに回転されることで前汚泥スクレーパ21は前上がりに、また後汚泥スクレーパ104は後上がりにそれぞれ切換制御される。そのとき、持ち上げローラー59は高く上げられるので、後退運動途中で倣いアーム60を持ち上げて堰58を引き下げ、また連鎖材52は緩められるので、スカムスクレーパ49は後退運動とともに水面に浮上して水面のスカムをスカム除去装置56の方向に掻き寄せる。B1は前汚泥スクレーパ21が復帰し掻寄状態に切り換えられる後退端位置を示す。
【0032】
尚、
図2の110は制御用ケーブルであり、このケーブル110は、前進端受レバー111により位置検出の可能な池上の前進端位置検出器112と後進端受レバー113により位置検出の可能な池上の後進端位置検出器114との間に池上を通して設けられたものである。
【0033】
ところで、
図1ないし
図6に示す汚泥掻寄装置は、掻き寄せが進みあと数mで掻寄行程を終える段階にあるが、同装置にはこの発明の一つの構成要素であるテンショナー70が自重作用型として往復牽引手段63に対し構成されている。
往復牽引手段63において、
図5のロードシーブ65が右回りで正転の時には左側が掻寄x時引張側aで右側が掻寄時弛み側bとされ、また一方ロードシーブ65が左回りで逆転の時には右側が復帰時引張側bで左側が復帰弛み側aとされる。
【0034】
テンショナー70は、ガイドレール7の前端に立設固定された基部ブラケット71の一方から突設されたアームブラケット72を介して設けられ、同アームブラケット72の上端に水平に備えたアーム軸73を介してテンションアーム74を回転自在に支持し、同アーム74の先端のテンションローラー75を掻寄弛み側bに前から後向きに当接させて伝導条材68にできる弛みを掻寄弛み側bにおいて張り調整状態にするようにしてある。アーム軸73には短い同期レバー77がテンションアーム74と同時に回転するように設けられる一方、前記同期レバー77は、上ガイドローラー78と下ガイドローラー79とによって垂直に昇降し得るように設けた長尺状のSUS製あるいはアルミ合金製の昇降連動材80の中途に連動リンク81を介して連結してある。昇降連動材80・連動リンク81・テンションアーム74等は自重をもつものであるからそれによる回転モーメントがテンションアーム74に作用することによりテンションローラー75を通じて伝導条材68が張状態とされるようになっている。
【0035】
83は架台で、例えば、溝型鋼を四方に配置し中央に上下貫通穴を開けた形で矩形一体枠型にしたもので池上に開けた上穴84回りに対応するようにボルト固定したもので、この架台83の上には、駆動源64の矩形座板84が配置され、この座板84はボルトナットでなるジャッキアップ機構85によって昇降調節可能とされている。このジャッキアップ機構85は、
図1ないし
図6に示す初期設定時においては、座板84が
図5の左欄のように最も低い高さにあるように設定される。また、テンショナー70の方は、
図6のように弛みが0かあるいは少ない状態に設定される。
【0036】
87は弛み度インジケーターで、前記同期リンク76・連動リンク81・昇降連動材80・上下ガイドローラー78,79を連動系として含むとともに、池上の架台83上には、めねじ付きの受筒88がフランジを介して止め付けられるとともに、この受筒88には該筒88におねじを介して螺合して高さ調節可能とした上蓋付きインジケーターパイプ(相手基準部材)89を備えてある。インジケーターパイプ89は、長孔型をした通覧口90をその下部寄りに備えている。
一方、通覧口90を通じて視える内部の昇降連動材80の上端には、赤色表示である弛み最大表示部分Rがまたその下方に数十cm離れた個所には青色表示である弛み最小表示部分Bが付されている。
【0037】
図1ないし
図6は、ロードシーブ65が正転時であって伝導条材68の弛み(伸び)が最小で初期状態の状態を示し、
図6のように、赤色表示Rがインジケーターパイプ89の上方に内に隠れる一方青色表示B高い位置である通覧口90の中間高さ前後に対応位置した状態にある。
図7は伝導条材68が例えば、1年続連続駆動されて伝導条材68が摩耗により伸び中程度弛んだ状態にあることをテンショナー70からの連動により池上で表示確認できることを示し、この場合、昇降連動材80が
図6の状態よりもかなり下がり、赤Rと青B間の表示のない部分が通覧口90から見えている様子を示している。この状態ではまだ大きな弛みをみせていないので弛み調節は不要である。
【0038】
一方、
図8は伝導条材68が例えば、1年半から2年前後連続駆動されることにより昇降連動材80が大きく下がり弛み最大表示部分である赤色表示Rが通覧口90内に位置して伝導条材68の弛み(伸び)が最大になり、逆転させるとチェーンガイド91端内で咬み込みを発生するおそれがあることを伝えている。
このように危険度の高い弛み状態になったならば、掻寄を一旦停止し、それまで(初期状態時)h1(
図8)であった座板84と架台83間の高さ間隔をジャッキアップ機構85を使ってh2(
図8)まで持ち上げることによりロードシーブ65と伝導条材68が持ち上がり、次第に青色Bが通覧口90内に戻されてくることを確かめることによりその高さでロックしておく。これにより、テンショナー70は、
図8の状態から
図5および
図6の初期の好ましい張り状態に戻される。こうしたことの繰り返しにより赤色表示Rの表示があった場合青色表示Bに戻るまで調節することで何度でも初期伸び状態を得ることができる。この調節が池上の表示を見て確実に行えるものである。一定期間(2年)の稼働により例えば、h1(15mm)からh2(30mm)まで持ち上げれば弛みが初期状態になることが経験で分かっている場合、その上昇量(h2−h1)を目安でなく数値的に分かるようにするため架台83と座板84間の近くにゲージを立設しておいてh2が容易かつ確実に得られるようにする。
【0039】
図9に示す実施形態は他の弛み度インジケーターの例を示している。
この弛み度インジケーター93は、昇降連動材80の上端(樹脂など)に赤色表示(金属)Rを付し、架台83上には、透明円筒材である外装体94を下部フランジを介して水封状態で止め付け、この外装体94の下寄りには近接センサー95を備え付けるとともに、外装体94の上部内には、センサー95が赤色表示Rを捉えてONしたときに発光する弛み最大表示ランプ(あるいは警報音発生手段)96を備えてある。
図9は弛みが最大の状態となった状況で昇降連動材80が下方に大きく下がり、その状態をセンサー95が検知することにより弛みが危険な程に大きくなっていることをランプ96で表示するようにしてある。近接センサー95は、例えば、高周波発振型を使うことができるし、近接センサーに代えて光電センサーや接触式変位センサー、レーザセンサー(反射型・透過型など)、超音波距離センサー等を使用することもできる。また、昇降連動材80の動きに連動するスライドボリュームによりフルカラーLEDを多色表示するように構成し、例えば、弛み度が低い段階は青(あるいは緑)色とし、弛み度が中程度では黄色とし、弛み度が最大の場合は赤色に表示が連続変動するように構成すれば、色表示により一目瞭然で弛み度、弛み取り度が分かるようになる。
ジャッキアップ機構85を使ってジャッキアップし弛みを少なくすれば昇降連動材80が破線のように上昇して戻り、そのことからランプ96は消えた弛み取り状態となる。赤色表示Rは右欄のように移動式とすれば該表示Rを下寄りに変更調節することで早目に弛みを知らせることができるようにもなる。
さらに右欄に示すように近接センサーをa・b・cのように複数段階に配備しておいてそれらが赤色表示Rに対し矢印のように段階的に近接してゆくことでランプ96…がそれも段階的に点灯して3つの点灯があった場合に最も弛んだ状態であることを表示できるようにしてもよい。弛み度をより細かく表示することができるようになる。
【0040】
図10は他の実施形態を示す。この弛みインジケーターは、昇降連動材80の上端に赤色表示Rをその下側の裏面に青色表示Bを付しておき、さらに赤ランプ96と青ランプ97を内装して、初期設定時〜弛みMAX未満までは青色表示Bを青色近接センサー95aが感知して青ランプ97が点灯することでまだ弛みがMAXでないことを知らせ、赤色表示Rが赤色近接センサー95bに近づくことによって弛みがMAXであることを赤ランプ96の点灯によって知らせるようにしてある。弛み度の少ない状態を明確に表示することができるようになる。
尚、前記実施形態では、昇降連動材80の上端に赤色表示(金属)Rを付しておき、それが一杯に下がった時点で近接センサー95が作用してランプ96を発光させるようにしてあったが、それとは逆に、昇降連動材80の上端に青色表示(金属)Bを付す一方それがジャッキアップにより上位に復帰した時点で青色ランプ97がONするようにして弛み戻りを表示させるようにすることもできる。
【0041】
汚泥掻寄装置は、車輪14,101が底壁5に直接(
図12参照)あるいは薄層材(
図11参照)である軌道を介して間接に走行するタイプのものであってもよい。
【0042】
図11は付加的な提案例を示す。この例は、前記実施形態のようなアングルや溝型材などのやや高さのある部材をガイドレールとして使用するのでなく、薄板状のガイド板部120aを車輪15のガイド部材として使用したもので、このガイド板部120aは、その内側となる一端に外開き状に傾斜突出する第1部分レール部120bをプレス成形で一体に備えたものとされて誘導レール本体120とされ、これに対し、第1部分レール部120bに対称配置をなすように別体の第2部分レール121を溶接固着して1つの長尺な誘導レールを形成したものである。この誘導レールの例えば、
図11の左側のものには伝導条材68の掻寄時引張側aが通され、
図11の右側のものには掻寄時弛み側bが通されるようになっている。前記実施形態では、ガイドレール7と誘導レール124とが別体物で構造が複雑化していたが、
図11のようにすると車輪と伝導条材の両ガイド部材が簡略化する。
誘導レールの外側端には、
図11の左下欄に示すように、振れ止め板125を付加してサイドローラー18が接触し得るようにすれば構造簡単にしてサイドローラー18のガイドが可能になる。
前記ガイド板部120aの車輪15が通る部分に形成されてアンカーaがセットされることがある凹部120cは車輪15の幅よりも十分小さい凹部寸法とし幅内に収まるようにすれば振動なく車輪15を通過させることができる。
車輪15は、
図11のように、芯材を金属あるいは樹脂としその外周を合成ゴム質のものとすることができる。連結ロッド33の一側に設けられたチェーンアンカー123には伝導条材68の後端が連結される。
【0043】
図12および
図13は他の付加的な例を示している。この例は、2水路1駆動式の汚泥掻寄装置における誘導レール構造を示す。2水路1駆動式であるので1水路当たり誘導レール128は1本であるが、この誘導レール128は取付座129とウエッブ130およびV字のガイド本体131とでなり、ウエッブ130の複数個所には切欠132…が形成されてその切欠132を利用してアンカー133のナット134を取り付けるスペースとしたものである。ガイド本体131の両端にはサイドローラー135を対応させて振れ止めとする。この例の場合、車輪15が底壁5上を直接転動するようになっている。
尚、
図2の右部に示すように、テール側シーブ67を少なくとも覆う形でカバー137を設けてテール側シーブ67の前後や両側部に溜まり除去できなかった汚泥を除去できるようにすることができる。このカバー137は、
図1の左右のガイドレール7,7の幅と同じ幅をなすもので、このカバー137の存在によりその上に汚泥が溜まりその内部空間には汚泥が溜まらないようにするもので、上に溜まった汚泥は後汚泥スクレーパ104,104間に設けたゴム板などによる中央スクレーパ138により前向きに掻き出し例えば、山形スクレーパによりガイドレール7,7の外側へ左右斜め向きに排除し後汚泥スクレーパ104,104でそれらを前向きに排除できる構成とする。