(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基板は、厚みが0.2mm以下である第1の金属層、樹脂材料で構成された芯材層、厚みが0.2mm以下である第2の金属層がこの順で積層された構造を有する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の化粧板。
前記化粧シートは、メラミン樹脂を含有する材料で構成された表面層と、フェノール樹脂を含有する材料で構成された基材とが積層された構造を有する請求項1ないし7のいずれか1項に記載の化粧板。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の化粧板および化粧板セットについて、添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0021】
<第1実施形態>
図1は、化粧板の好適な実施形態を示す平面図、
図2は、
図1中のA−A線断面図、
図3は、
図1中のB−B線断面図、
図4は、
図2中の一点鎖線で囲まれた領域[A]の拡大詳細図である。なお、以下の説明では、
図1中の上側を「上」、下側を「下」と言い、左側を「左」、右側を「右」という。
【0022】
これらの図に示す化粧板100は、例えば、鉄道車両、建築物の内壁材、カウンター、天板や家具等の構造材に取り付け、その構造材の審美性や耐摩耗性等の耐久性を向上させる目的で用いられる。
【0023】
図1〜
図3に示すように、化粧板100は、板状をなし、その平面視形状が四角形状をなしている。
【0024】
化粧板100は、基板10と、基板10の一方の面側に設置された化粧シート20と、基板10と化粧シート20とを囲むように設けられた枠体30とを有している。
【0025】
このような化粧板100は、前述したような構造材に設置される場合、化粧板100の
図1中の下側が構造材の下側になるように配置される。また、構造材に化粧板100を設置する際には、化粧板100の裏面(基板10の化粧シート20と反対側の面)側に、取付け部材を取付け、この取付け部材を介して化粧板100を構造材に固定する。なお、構造材に化粧板100を設置する場合には、このような取付け部材を用いずに化粧板100を構造材に固定してもよい。
【0027】
[基板10]
図1〜
図3に示すように、基板10は、その平面視形状が四角形状をなし、化粧シート20の下面側に位置している。この基板10は、化粧シート20を支持する機能を有するとともに、化粧板100全体の剛性を高めるのに寄与する部材である。
【0028】
基板10は、本実施形態では
図4に示すように、第1の金属層11、芯材層13および第2の金属層12がこの順で積層された積層体で構成されている。
【0029】
第1の金属層11は、化粧シート20側に位置している。第2の金属層12は、例えば化粧板100が前記構造材等に設置される場合に、前記構造材の表面側に位置する。
【0030】
なお、第1の金属層11、芯材層13および第2の金属層12の、それぞれの構成材料等については、後に詳述する。
【0031】
[化粧シート20]
図1〜
図3に示すように、化粧シート20は、基板10の一方の面側(
図2中上側)に設置されており、化粧板100の意匠性や審美性を高めるのに寄与する部材である。なお、化粧シート20と基板10とは、接合(接着)されていない。
【0032】
また、化粧シート20は、その平面視形状が四角形状をなしている。化粧シート20の平面視での大きさは、基板10の平面視での大きさよりも小さい。すなわち、化粧板100を組み立てた状態で、化粧シート20は、平面視で、基板10に包含されている。
【0033】
化粧シート20は、本実施形態では
図4に示すように、表面層21と基材22とを接合することにより構成されている。
【0034】
基材22は、基板10側に位置している。表面層21は、例えば化粧板100が前記構造材等に設置される場合に、視認され得る側に位置する。表面層21の表面(
図2中上面)には、例えば、文字、記号、模様等を施すことができる。
【0035】
なお、表面層21および基材22の、それぞれの構成材料等については、後に詳述する。
【0036】
[枠体30]
図1〜
図3に示すように、枠体30は、基板10および化粧シート20の、それぞれの縁部(外縁部)に沿って設置されており、平面視で四角形の枠状、すなわちロ字状をなしている。この枠体30は、化粧シート20を基板10の一方の面側に保持する保持部として機能する部材である。
【0037】
図1に示すように、枠体(保持部)30は、第1の部材(第1の保持部材)30a、第2の部材(第2の保持部材)30b、第3の部材(第3の保持部材)30cおよび第4の部材(第4の保持部材)30dで構成されている。
【0038】
以下、第1の部材30a、第2の部材30b、第3の部材30cおよび第4の部材30dについて説明する。なお、以下では、第1の部材30aについて代表的に説明し、第2の部材30b、第3の部材30cおよび第4の部材30dについては、第1の部材30aとの相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0039】
(第1の部材)
図1に示すように、第1の部材30aは、基板10および化粧シート20の、それぞれの右側の縁部に設置されている。
【0040】
また、
図1〜
図4に示すように、第1の部材30aは、長尺状をなし、その側面に、基板10および化粧シート20側に向かって開口した溝35aを有している。この溝35aは、第1の部材30aの長手方向に沿って設けられている。本実施形態において、溝35aを規定する第1の部材30aの内面の形状、すなわち第1の部材30aの横断面形状は、コ字状である。
【0041】
図4に示すように、第1の部材30aは、底部31aと、底部31aの両端部から立設された一対の壁部32a、33aとで構成され、これらが一体的に形成されている。壁部32aは、基板10側(基板10の化粧シート20と反対側)に位置し、壁部33aは、化粧シート20側(化粧シート20の基板10と反対側)に位置している。また、底部31aは、基板10および化粧シート20の
図2中右側に位置している。また、壁部32a、33aは、互いにほぼ平行に設けられており、底部31aは、壁部32a、33aに対してほぼ垂直に設けられている。そして、底部31aと壁部32a、33aとで囲まれる部分(空間)により、溝35aが構成されている。
【0042】
底部31aの内面および壁部32aの内面には、基板10の右側の縁部が接合されている。すなわち、第1の部材30aと基板10とは、接合されている。
【0043】
一方、底部31aの内面および壁部33aの内面には、化粧シート20が接合されていない。すなわち、第1の部材30aと化粧シート20とは、接合されていない。
【0044】
また、第1の部材30aと基板10と化粧シート20とで囲まれる部分(空間)により、隙間34aが形成されている。
【0045】
このように、第1の部材30aは、溝35aの内部に、基板10および化粧シート20の、それぞれの右側の縁部が挿入されるように構成されている。第1の部材30aの溝35aの内部に、基板10および化粧シート20の、それぞれの右側の縁部を挿入した状態(挿入状態)で、化粧シート20側から見たときに、壁部32a、33aが化粧シート20の右側の縁部と重なっている。また、この挿入状態で、第1の部材30aは、壁部32aおよび壁部33aで、化粧シート20の基板10から離間する方向への移動を規制することにより、基板10および化粧シート20を保持するように構成されている。
【0046】
また、第1の部材30aの構成材料としては、金属、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等の樹脂等が挙げられ、これらの中でも、金属および熱硬化性樹脂のうちの少なくとも一方を含む材料で構成されていることが好ましい。これにより、基板10および化粧シート20をより確実に保持することができる。
【0047】
金属としては、例えば、鉄、ニッケル、ステンレス鋼、銅、真鍮、アルミニウム、チタン等が挙げられる。一方、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
【0048】
(第2の部材)
図1に示すように、第2の部材30bは、化粧シート20を介して第1の部材30aに対向して設けられている。また、第2の部材30bは、基板10および化粧シート20の、それぞれの
図1中左側の縁部に設置されている。
【0049】
図2に示すように、第2の部材30bは、その側面に、基板10および化粧シート20側に向かって開口した溝35bを有している。また、底部31bは、基板10および化粧シート20の
図2中左側に位置している。
【0050】
第2の部材30bは、溝35bの内部に、基板10および化粧シート20の、それぞれの左側の縁部が挿入されるように構成されている。第2の部材30bの溝35bの内部に、基板10および化粧シート20の、それぞれの左側の縁部を挿入した状態(挿入状態)で、化粧シート20側から見たときに、壁部32b、33bが化粧シート20の左側の縁部と重なっている。また、この挿入状態で、第2の部材30bは、壁部32bおよび壁部33bで、化粧シート20の基板10から離間する方向への移動を規制することにより、基板10および化粧シート20を保持するように構成されている。
【0051】
(第3の部材)
図1に示すように、第3の部材30cは、第1の部材30aの端部と第2の部材30bの端部との間に位置し、基板10および化粧シート20の、それぞれの上側の縁部に設置されている。
【0052】
図3に示すように、第3の部材30cは、その側面に、基板10および化粧シート20側に向かって開口した溝35cを有している。また、底部31cは、基板10および化粧シート20の
図3中上側に位置している。
【0053】
第3の部材30cは、前述した第1の部材30aとは異なり、基板10および化粧シート20の双方と接合されていない。また、第3の部材30cは、第1の部材30aおよび第2の部材30bに対して、例えばネジ止め等により取り外し可能とされている。これにより、第3の部材30cは、基板10、化粧シート20、第1の部材30aおよび第2の部材30bに対して着脱自在に設置されている。
【0054】
第3の部材30cは、溝35cの内部に、基板10および化粧シート20の、それぞれの上側の縁部が挿入されるように構成されている。第3の部材30cの溝35cの内部に、基板10および化粧シート20の、それぞれの上側の縁部を挿入した状態(挿入状態)で、化粧シート20側から見たときに、壁部32c、33cが化粧シート20の上側の縁部と重なっている。また、この挿入状態で、第3の部材30cは、壁部32cおよび壁部33cで、化粧シート20の基板10から離間する方向への移動を規制することにより、基板10および化粧シート20を保持するように構成されている。
【0055】
(第4の部材)
図1に示すように、第4の部材30dは、化粧シート20を介して第3の部材30cに対向して設けられている。また、第4の部材30dは、第1の部材30aおよび第2の部材30bの、それぞれの第3の部材30cが設けられている端部とは反対の端部の間に位置している。また、第4の部材30dは、基板10および化粧シート20の、それぞれの下側の縁部に設置されている。
【0056】
図3に示すように、第4の部材30dは、その側面に、基板10および化粧シート20側に向かって開口した溝35dを有している。また、底部31dは、基板10および化粧シート20の
図3中下側に位置している。
【0057】
第4の部材30dは、前述した第1の部材30aとは異なり、底部31dの内面が化粧シート20の下側の縁部と当接している。なお、化粧シート20は、底部31dの内面に接着されていない。また、前述した第1の部材30aと同様に、壁部33dの内面と化粧シート20とは、当接していない。
【0058】
また、第4の部材30dと化粧シート20とで囲まれる部分(空間)により、隙間34dが形成されている。
【0059】
第4の部材30dは、溝35dの内部に、基板10および化粧シート20の、それぞれの下側の縁部が挿入されるように構成されている。第4の部材30dの溝35dの内部に、基板10および化粧シート20の、それぞれの下側の縁部を挿入した状態(挿入状態)で、化粧シート20側から見たときに、壁部32d、33dが化粧シート20の下側の縁部と重なっている。また、この挿入状態で、第2の部材30bは、壁部32bおよび壁部33bで、化粧シート20の基板10から離間する方向への移動を規制することにより、基板10および化粧シート20を保持するように構成されている。
【0060】
なお、第1の部材30a、第2の部材30b、第3の部材30cおよび第4の部材30dは、それぞれ、同一または同種の材料で構成されたものであってもよいし、異なる材料で構成されたものであってもよい。
【0061】
以上のような構成の化粧板100は、枠体30を構成する各部材が、基板10および化粧シート20のそれぞれの縁部に沿って設けられ、化粧シート20の基板10から離間する方向への移動を規制するように構成されている。すなわち、化粧板100は、枠体30の内側に基板10および化粧シート20が収納(挿入)されるように構成されている。そして、化粧板100では、化粧シート20が基板10に接着されることなく、枠体30によって、化粧シート20を基板10の一方の面側に保持するように構成されている。これにより、例えば、化粧シート20が吸湿や乾燥することによって寸法が変化した場合であっても、化粧シート20に歪みやひび割れ等が発生するのを防止することができる。このため、化粧板100は、長期にわたって、優れた審美性や意匠性を維持することができる。
【0062】
また、枠体30は、第1の部材30aおよび第2の部材30bが、化粧シート20を介して左右方向で対向する位置に設けられており、第3の部材30cおよび第4の部材30dが、化粧シート20を介して上下方向で対向する位置に設けられている。このように、各部材が前記化粧シートの向かい合う縁部に、互いに対向して設けられていることにより、化粧シート20の上下方向および左右方向への移動が規制されるとともに、化粧シート20を基板10の一方の面側に安定的に保持することができる。
【0063】
さらに、化粧シート20の平面積が基板10の平面積よりも小さく設定されており、化粧シート20と枠体30との間に隙間を有している。このため、化粧シート20が吸湿して膨張した場合であっても、化粧シート20が、枠体30に当たって歪みやひび割れ等が発生することを防止することができる。
【0064】
また、本実施形態の化粧板100では、第3の部材30cが、基板10、化粧シート20、第1の部材30aおよび第2の部材30bに対して着脱自在に設けられている。このため、例えば、化粧シート20に損傷等が生じた場合には、第3の部材30cを取り外すことで、
図4に示すように、化粧シート20を化粧板100から抜き取って、新たな化粧シート20’と交換することができる。すなわち、化粧シート20は、枠体30に対して着脱自在(交換可能)に設けられている。本実施形態では、化粧板100と、化粧シート20と交換可能な化粧シート20’とにより、本発明の化粧板セットが構成される。なお、本発明の化粧板セットは、2つ以上の交換可能な化粧シートを備えてもよい。また、交換される複数の化粧シート(本実施形態では、化粧シート20、20’)は、それらの表面層21の表面(基板10と反対側の面)に施されたデザインや色が同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0065】
また、化粧板100を構造材に設置する場合には、化粧シート20を抜き取った状態で、取付け部材を基板10の裏面(
図2中下面)に基板10の表面(
図2中上面)側からネジ止めすることができる。このため、ネジ頭が、化粧板100の表面(化粧シート20の基板10と反対側の面)側に露出することを防ぐことができ、化粧板100の審美性を損なわない。
【0066】
また、従来の化粧板では、化粧シートと基板とが接着されていたため、取付け部材を基板の裏面にネジ止めしようとすると、ネジ頭が化粧シート(化粧板)の表面に露出していた。これを避けるために、ネジを用いることなく、化粧板の裏面に接着剤等により取付け部材を取り付けることが行われていた。しかし、接着剤では固定強度が低く、化粧板に取付け部材を安定的に固定することが困難であった。これに対して、化粧板100は、前記のように審美性を損なうことなく取付け部材をネジ止めすることができる。このため、化粧板100に取り付け部材を安定的に固定することができるとともに、構造材に化粧板100を安定的に設置することができる。
【0067】
以下、本実施形態に係る基板10と化粧シート20のそれぞれの構成材料等について順次説明する。
【0068】
[基板10]
基板10は、前述したように、第1の金属層11、芯材層13、第2の金属層12がこの順で積層された積層体で構成されている。
【0070】
(第1の金属層11および第2の金属層12)
まず、第1の金属層11および第2の金属層12について説明する。
【0071】
第1の金属層11および第2の金属層12は、金属材料で構成されており、化粧板100の吸湿を抑える機能を有している。これにより、吸湿による化粧板10の膨潤を抑制または防止し、化粧板100表面のフクレ発生を防ぐことができる。
【0072】
第1の金属層11および第2の金属層12を構成する金属材料としては、例えば、アルミニウム、銅、ステンレスなどが挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。第1の金属層11および第2の金属層12を構成する金属材料としては、これらの中でも特に、汎用性、経時安定性、価格などの点から、アルミニウムが好ましい。
【0073】
第1の金属層11および第2の金属層12には、例えば、金属材料で構成された金属箔または金属板を用いることができる。これにより、基板10に耐熱性、不燃性、剛性などを付与することができる。
【0074】
この第1の金属層11、第2の金属層12の厚みとしては、0.2mm以上であることが好ましい。これにより、化粧板100に十分な耐熱性、不燃性を付与することができる。これに対して、第1の金属層11、第2の金属層12の厚みが薄すぎると、第1の金属層11、第2の金属層12を構成する構成材料等によっては、熱放散性が十分ではなく、また燃焼時の熱により貫通してしまい、基板10に十分な不燃性を付与できない場合がある。
【0075】
また、第1の金属層11、第2の金属層12は、必要に応じて加熱時の放熱を促す処理、あるいは吸熱により芯材層13への熱伝播を防ぐ処理を施してもよい。
【0076】
第1の金属層および第2の金属層12と、芯材層13との密着方法(固定方法)については、特に制限はないが、第1の金属層11および第2の金属層12の、芯材層13と接する面に、これらの密着性を向上させる処理(密着性向上処理)を施す方法や、密着性を向上させる材料(密着性向上材料)を介在させる方法等が挙げられる。
【0077】
密着性向上処理としては、プライマー処理、金属層腐食処理、サンディング処理等が挙げられる。また、密着性向上材料としては、エポキシ系、アクリル系、ポリウレタン系、合成ゴム系、エチレン酢酸ビニル共重合体系、ポリオレフィン系、ポリアミド系などのホットメルト接着剤で構成される接着剤層あるいは接着フィルム(粘着フィルム)、ガラスクロスプリプレグなどが挙げられる。
【0078】
さらに、前記接着剤層や接着フィルム(粘着フィルム)に替えて、ポリエステル等の熱可塑性シートを用いることもできる。この場合、熱可塑性シートを介して、第1の金属層および第2の金属層12と、芯材層13とを熱圧着により溶着することができる。また、前記接着剤層や接着フィルム(粘着フィルム)は、別体として芯材層13の表面に貼着するのに替えて、芯材層13を形成する際に、芯材層13の表面に共押出によって形成することもできる。
【0079】
また、芯材層13の構成材料によっては、樹脂の融点以上の温度をかけて芯材層13を溶融させることにより、第1の金属層および第2の金属層12と、芯材層13とを直接溶着することもできる。
【0080】
また、接着効果は無くとも、被着体(第1の金属層、第2の金属層12、芯材層13)同士よりも、被着体との密着性に優れる材料(部材)を被着体同士の間に介在させることで、第1の金属層および第2の金属層12と、芯材層13との密着性を向上させることができる。かかる材料として、例えばガラスクロスを用いることができる。ガラスクロスは、第1の金属層、第2の金属層12および芯材層13との密着性に特に優れている。
【0081】
上記ガラスクロスあるいはプリプレグ基材で用いるガラスクロスとしては、特に限定されないが、例えば、ガラス織布、ガラス不織布等が挙げられ、中でも不燃性、機械的強度に優れる点からガラス織布が好ましい。
【0082】
また、ガラスクロスを構成するガラスとしては、例えばEガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラス、Tガラス、Hガラス等が挙げられる。これらの中でもTガラスが好ましい。これにより、ガラスクロスの熱膨張係数を小さくすることができる。
【0083】
また、被着体との密着性に優れる材料(部材)として、ガラスクロス以外にも、不織布、コア紙、チタン紙、カーボンファイバークロス、アラミド繊維クロスなどを用いてもよい。
【0084】
前記プリプレグの構成としては、特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等を含有する樹脂組成物を上述のガラスクロスに含浸してなるプリプレグを用いることができる。前記樹脂組成物としては、第1の金属層11および第2の金属層12と、芯材層13との層間接着強度が、化粧板100(化粧パネル)を形成するために十分であれば、特に限定されない。かかる特性を有する樹脂組成物を調製するために、次のような熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂が好適に用いられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、スチレンブタジェンゴム(SBR)等が挙げられ、これらを単独あるいは混合して用いることができる。一方、熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられ、これらを単独あるいは混合して用いることができる。
【0085】
前記プリプレグは、従来公知の方法により製造することができ、例えば、上述したガラスクロスと同様のガラスクロスに、前記樹脂組成物を溶剤に溶解させたワニスを含浸、乾燥させることにより得ることができる。
【0086】
[芯材層13]
次に、芯材層13について説明する。
【0087】
図4に示すように、芯材層13は、第1の金属層11と第2の金属層12との間に位置している。
【0088】
この芯材層13は、樹脂成分を含有する樹脂材料で構成されており、基板10の軽量化に寄与している。
【0089】
芯材層13を構成する樹脂成分としては、熱硬化性樹脂等の硬化性樹脂や、熱可塑性樹脂等の可塑性樹脂を用いることができる。
【0090】
熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、熱硬化性ポリイミド等を用いることができる。
【0091】
一方、熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではないが、好ましくは環境に悪影響を及ぼすハロゲンを含まない、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル等を用いることができる。
【0092】
また、樹脂材料には、前記樹脂成分の他に、必要に応じて加熱時の発熱、着火、樹脂流動を抑える難燃剤や、硬化剤、硬化助剤、充填剤、離型剤、顔料、増感剤、酸増殖剤、可塑剤、難燃剤、安定剤、酸化防止剤および帯電防止剤等が含まれていてもよい。
【0093】
芯材層13は、樹脂材料の性状に適した形態として、例えば、シート状、発泡体、中空体、ハニカム構造等の形態を取ることができる。
【0094】
芯材層13の厚みとしては、0.5mm以上6.5mm以下であるのが好ましく、2.0mm以上4.0mm以下であるのがより好ましい。芯材層13の厚みが前記下限値未満であると、基板10の機械的強度等を維持するために、相対的に第1の金属層11および第2の金属層12の厚みを増大させる必要がある。その結果、第1の金属層11および第2の金属層12の構成材料等によっては、基板10の軽量化が困難となるおそれがある。また、芯材層13の厚みが前記上限値を超えると、小さい曲率半径(R)で芯材層13を湾曲させることが困難になる。この場合、化粧板100を設置すべき構造材の設置面の曲率半径によっては、化粧板100を構造材に設置することができないおそれがある。
【0095】
[化粧シート20]
次に、化粧シート20について詳細に説明する。
【0096】
化粧シート20は、前述したように、表面層21と、基材22とを接合してなる。
【0098】
(基材22)
基材22は、表面層21を支持する機能を有し、クラフト紙などの通常使用される紙に熱硬化性樹脂を含浸、乾燥することにより形成されている。
【0099】
熱硬化性樹脂としては、紙への含浸性に優れているフェノール樹脂またはエポキシ樹脂が好ましい。通常は化粧板100の不燃化のためにフェノール樹脂またはフェノール樹脂とエポキシ樹脂との混合物が使用される。水溶性のフェノール樹脂は、紙への含浸性が特に優れているので好ましく使用される。
【0100】
紙は、このような熱硬化性樹脂を含有する液体(ワニス)がよく含浸するものであれば、如何なる種類の紙でもよい。通常坪量30〜150g/m
2の紙が好適に使用される。化粧板100の不燃性をより向上させるためには、坪量30〜40g/m
2の薄手の紙を使用することが好ましい。
【0101】
(表面層21)
表面層21は、化粧板100の意匠性や審美性を高めるのに寄与する層であり、化粧紙にメラミン樹脂を含浸、乾燥することにより形成されている。
【0102】
化粧紙は、酸化チタンおよび必要により着色顔料を含有し、その表面に文字、記号、模様等が、適宜、例えば印刷により形成されている。化粧紙の坪量は、80〜150g/m
2が適当であるが、不燃性向上のためには小さい方がよい。酸化チタンの含有量は、通常5〜50重量%である。ただし、着色顔料を使用する場合は、酸化チタンの含有量は、比較的少量でよいし、化粧紙の下に遮蔽層を設けない場合は、酸化チタンの含有量を多くした方がよい。
【0103】
化粧紙に含浸するメラミン樹脂は、通常のメラミン樹脂化粧板に使用されるメラミン樹脂を用いればよい。なお、化粧紙を成形した後、ポストフォーミングする場合には、可撓性タイプのメラミン樹脂を用いるのが好ましい。メラミン樹脂ワニス中には、アルミナを配合するのが表面層21の耐摩耗性を向上させる点から好ましい。アルミナの配合量は、メラミン樹脂ワニス中の樹脂固形分に対して2〜5重量%が適当である。
【0104】
上記の化粧紙等に含浸されるメラミン樹脂または熱硬化性樹脂の含有率は、表面層21に対して40〜65%程度であるのが好ましい。
【0105】
このような構成の化粧シート20は、例えば、表面層21と基材22とを重ね合わせ、これらを加熱加圧成型して一体化することにより得られる。
【0106】
また、化粧シート20の厚みは、0.2mm以上1.2mm以下であるのが好ましい。化粧シート20の厚みを前記範囲に設定することにより、化粧シート20の厚みと重量とを低減することができるとともに、化粧シート20に十分な耐熱性、不燃性を付与することができる。
【0107】
なお、上述したように、本実施形態では、第1の部材30a、第2の部材30bおよび第4の部材30dが、基板10に対して接合されているが、これらは、基板10に対して接合されていなくてもよい。
【0108】
また、本実施形態では、第3の部材30cが、基板10に接合しておらず、基板10に対して着脱自在であるが、第3の部材30cは、基板10に接合されていてもよく、壁部32cの底部31cと反対側の端部を回動中心として、基板10に対して回動可能に設けられていてもよい。
【0109】
また、本実施形態では、第1の部材30a、第2の部材30b、第3の部材30cおよび第4の部材30dと、化粧シート20との間には、それぞれ隙間があるが、第1の部材30a、第2の部材30b、第3の部材30cおよび第4の部材30dのうちの少なくとも1つと、化粧シート20との間に隙間が設けられていればよい。
【0110】
また、本実施形態では、第1の部材30aは、溝35aの内部に、基板10および化粧シート20の、それぞれの右側の縁部が挿入されるように構成されているが、第1の部材30aの構成は、これに限定されない。
【0111】
例えば、
図5(a)に示すように、第1の部材30aは、壁部32aを有さず、底部31aと壁部33aとで構成されてもよい。すなわち、第1の部材30aの横断面形状がL字状であってもよい。また、
図5(b)に示すように、第1の部材30aは、壁部32aが、基板10(例えば、芯材層13)に埋没された構成であってもよい。また、
図5(c)に示すように、第1の部材30aは、壁部32aが、基板10と化粧シート20との間に位置するよう構成されてもよい。すなわち、第1の部材30aは、化粧シート20のみが、溝35aの内部に挿入されるように構成されていてもよい。また、
図5(d)に示すように、第1の部材30aは、底部31aが基板10(例えば、第1の金属層11)と一体的に成形されていてもよい。なお、第2の部材30b、第3の部材30cおよび第4の部材30dについても同様である。
【0112】
<第2実施形態>
図6は、第2実施形態の化粧板の部分拡大図である。なお、
図6は、
図4に対応する図である。
【0113】
以下、
図6を参照しつつ本発明の化粧板の第2実施形態について説明するが、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0114】
第2実施形態では、化粧板100が有する枠体30の構成が異なること以外は、前記第1実施形態と同様である。
【0115】
第2実施形態の枠体30は、第1実施形態の枠体30と同様に、第1の部材30a、第2の部材30b、第3の部材30cおよび第4の部材30dで構成されている。
【0116】
以下では、第1の部材30aについて代表的に説明する。
【0117】
第2実施形態では、
図6に示すように、第1の部材30aの壁部33aが、壁部32a側に向かって傾斜するように構成されている点で、前述した第1実施形態と異なっている。そして、壁部33aは、その端部331aが、溝35a内に配された化粧シート20の上面(
図6中上側)と当接し、化粧シート20を基板10側に付勢するように構成されている。すなわち、底部31aと壁部33aとの接合部およびその近傍は、壁部33の端部331aによって化粧シート20を基板10に向かって付勢する付勢手段を構成していると言うこともできる。これにより、第1の部材30aは、壁部32aと壁部33aとによって、化粧シート20および基板10を挟持して、これらを、より確実かつ安定的に保持することができる。また、化粧シート20が基板10に対して位置ズレするのを確実に防止することもできる。
【0118】
また、底部31aと壁部33aとのなす角度θは、端部331aが化粧シート20に確実に当接するような角度に設定されていればよい。かかる角度θとしては、化粧シート20の厚さや基板10の厚さ等に応じて適宜設定されるが、例えば、85〜45°程度であるのが好ましく、80〜60°程度であるのがより好ましい。
【0119】
なお、本実施形態では、壁部33aは、その全体が壁部32a側に向かって傾斜するように構成されているが、これに限定されない。例えば、壁部33aは、その端部331aおよびその近傍が壁部32aと平行となるように形成された当接部と、この当接部と底部31aの端部とを連結し、底部31aに近づくにつれて傾斜(化粧シート20から離間)する傾斜部とで構成されていてもよい。
【0120】
また、枠体30は、第1の部材30a、第2の部材30b、第3の部材30cおよび第4の部材30dのそれぞれの壁部が、前記と同様の構成であってもよく、第1の部材30a、第2の部材30b、第3の部材30cおよび第4の部材30dのうちの少なくとも1つの壁部が、前記と同様の構成であってもよい。
【0121】
<第3実施形態>
図7は、第3実施形態の化粧板の部分拡大図である。なお、
図7は、
図4に対応する図である。
【0122】
以下、
図7を参照しつつ本発明の化粧板の第3実施形態について説明するが、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0123】
第3実施形態では、化粧板100が有する枠体30の構成が異なること以外は、前記第1実施形態と同様である。
【0124】
第3実施形態の枠体30は、第1実施形態の枠体30と同様に、第1の部材30a、第2の部材30b、第3の部材30cおよび第4の部材30dで構成されている。
【0125】
以下では、第1の部材30aについて代表的に説明する。
【0126】
第3実施形態では、
図7に示すように、第1の部材30aは、壁部33aの内面側に、化粧シート20を基板10に向かって付勢する機能を有する付勢部材(付勢手段)36aを備えている点で、前述した第1実施形態と異なっている。
【0127】
付勢部材36aは、長尺の平板状をなしており、壁部33aの内面全体にわたって設けられている。
【0128】
また、付勢部材36aは、弾性体で構成されており、その下面(
図7中下側)が、溝35a内に配された化粧シート20の上面(
図7中上側)と当接している。そして、付勢部材36aは、その厚さが壁部33aの内面と化粧シート20の上面との離間距離よりも若干大きく設定されており、化粧シート20を基板10に向かって付勢している。これにより、第1の部材30aは、付勢部材36aを介して壁部32aと壁部33aとによって、化粧シート20および基板10を挟持して、これらをより確実かつ安定的に保持することができる。また、化粧シート20が基板10に対して位置ズレするのを確実に防止することもできる。
【0129】
また、付勢部材36aを構成する弾性体としては、具体的には、例えば、天然ゴム、合成ゴム、板バネ、スポンジ等が挙げられる。このような弾性体で構成された付勢部材36aを用いれば、付勢部材36aが化粧シート20に当接した際に、化粧シート20に傷等が発生することが防止される。
【0130】
なお、本実施形態では、付勢部材36aは、壁部33aの内面全体にわたって固着されているが、例えば、付勢部材36aは、壁部33aの内面の一部のみに設けられていてもよい。また、付勢部材36aは、その厚さが壁部33aの内面と化粧シート20の上面との離間距離よりも若干大きく設定されていれば、弾性を有しない剛性体で構成することもできる。ただし、付勢部材36aを弾性体で構成することにより、溝35aの内部に化粧シート20を挿入した際に、化粧シート20の上面(付勢部材36aに接触する面)に傷付きや剥離が生じるのを好適に防止することができる。
【0131】
また、枠体30は、第1の部材30a、第2の部材30b、第3の部材30cおよび第4の部材30dが、それぞれ、前記と同様の付勢部材を有する構成であってもよいが、第1の部材30a、第2の部材30b、第3の部材30cおよび第4の部材30dのうちの少なくとも1つが前記と同様の付勢部材を有する構成であってもよい。
【0132】
以上、本発明の化粧板および化粧板セットを図示の実施形態について説明したが、例えば、本発明の化粧板は、これに限定されるものではなく、化粧板および化粧板セットを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。
【0133】
また、前記実施形態では、基板は、
図4〜7に示すように、第1の金属層、芯材層および第2の金属層の各界面が明確に示されているが、これらの界面は、明確でなくてもよい。また、本実施形態では、化粧シートは、
図4〜7に示すように、表面層および基材の界面が明確に示されているが、表面層と基材との界面は、明確でなくてもよい。
【0134】
また、化粧シートは、前記実施形態では表面層および基材で構成された2層構造の積層体であるが、これに限定されず、例えば、基材を有さない1層構造や、最外面を保護するための保護層等をさらに積層した3層構造の積層体であってもよい。
【0135】
また、基板は、前記実施形態では、第1の金属層、芯材層、第2の金属層で構成された3層構造の積層体であるが、これに限定されず、例えば、第2の金属層を有さない2層構造の積層体や、機械的強度等を付与すための層をさらに積層した4層構造の積層体であってもよい。
【0136】
また、基板は、前記実施形態では、第1の金属層、芯材層、第2の金属層で構成されているが、これに限定されない。例えば、基板は、杉、檜、樫、ラワン、チーク等からなる木材単板、合板、集成材、単板積層材(LVL)、配向性ボード(OSB)、パーチクルボード、中密度繊維板(MDF)、硬質繊維板(HDF)等の木質材料系基板、アルミニウム、鋼鉄、真鍮、ステンレス鋼等の金属材料系基板、大理石、花崗岩等の天然石材板、石膏板、珪酸カルシウム板、セメント板、コンクリート板等の無機材料系基板、繊維強化プラスチック(FRP)等の合成樹脂材料等で構成された基板であってもよい。
【0137】
また、基板および化粧シートの平面視形状は、前記実施形態では、それぞれ、四角形状をなしているが、これに限定されない。例えば、これらの平面視形状は、ほぼ円形状、多角形状等をなしていてもよい。また、基板および化粧シートの平面視形状は、それぞれ、異なる形状をなしていてもよく、これらの平面形状は、化粧板の用途に合わせて適宜設定すればよい。
【0138】
また、枠体は、前記実施形態では、第1の部材、第2の部材、第3の部材および第4の部材の、4つの部材で構成されていたが、枠体は、一体的に形成されたものであってもよい。
【0139】
また、枠体は、前記実施形態では、基板および化粧シートの、それぞれの縁部(外縁部)の全周にわたって設置されているが、例えば、基板および化粧シートの縁部の一部のみに設置されてもよい。また、例えば、枠体は、第3の部材および第4の部材を有さず、第1の部材と第2の部材とで構成されていてもよい。
【0140】
また、第1の部材の横断面形状は、前記実施形態では、コ字状であったが、これに限定されず、例えば、U字状、V状等であってもよい。