(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、下記の順序に従って本発明の実施形態を説明する。
1.第1の実施形態:
(1)複合機の構成
(2)紙マニュアルの構成
(3)機能設定方法
(4)発明の作用・効果
2.第2の実施形態:
3.第3の実施形態:
4.その他の実施形態:
【0014】
1.第1の実施形態:
(1)複合機の構成
【0015】
以下、電子機器の一例として、複合機100を例に説明を行う。複合機100は、用紙に色材を記録する印刷機能、原稿を読み取るスキャナー機能、原稿を送信するFAX機能を備えている。
【0016】
図1は、一例としての複合機100の外観を示す外観図である。複合機100は、筐体90により外装されている。筐体90は、
図1では図示しない、プリンターユニット、スキャナーユニット、FAXユニット等を収容している。筐体90の前部には、撮像部として機能するカメラモジュール10と表示部40とが取り付けられた前部パネル91が開閉可能に取り付けられている。前部パネル91におけるカメラモジュール10の下方には、後述する紙マニュアルを位置合わせするための位置合わせマーク93が形成されている。この前部パネル91は、色材が記録された用紙が排出される経路を覆うカバーとしても機能する。筐体90の上部には、原稿をセットする原稿台を覆う上部カバー92が開閉可能に取り付けられている。
【0017】
図2は、プリンターのハードウェア構成を示すブロック構成図である。複合機100は、カメラモジュール10、USBIF20、外部メモリコントローラー25、制御部30、表示部40、プリンターユニット50、スキャナーユニット60、FAXユニット70、を備えている。また、制御部30は、指示位置特定部301、対象検出部302、指示受付部303、処理部304、を機能的に備えている。カメラモジュール10、USBIF20、外部メモリコントローラー25、表示部40、プリンターユニット50、スキャナーユニット60、FAXユニット70は、制御部30に電気的に接続されている。
【0018】
カメラモジュール10は、光を集めるレンズブロック11と、レンズブロック11により集められた光を電気信号に変換するイメージセンサー12と、を備えている。レンズブロック11は一つまたは複数のレンズを備え、前方からの光を集める。イメージセンサーIC12は、周知のCMOSイメージセンサーやCCDイメージセンサーといった撮像素子、レジスターを備えている。イメージセンサー12は、レンズブロック11により集められた光を、撮像素子により電気信号に変換する。変換された電気信号は撮像画像Imとしてレジスターに記録された後、一定の周期で制御部30に出力される。
【0019】
USBIF20は、図示しないPC等の外部装置とUSB規格に準じたプロトコルにより通信する。そのため、複合機100は、USBIF20を通じてPCから印刷用データーの供給を受けることができる。
【0020】
外部メモリコントローラー25は、外部メモリと接続し、この外部メモリと通信することができる。外部メモリには、印刷処理により処理される印刷用データーや、スキャナー処理により読み取られた原稿データーを記録することができる。外部メモリは例えば、フラッシュメモリ、SDメモリ等の不揮発性メモリである。
【0021】
制御部30は、例えば周知のSoC(System On Chip)により構成され、CPU31、RAM32、およびROM33、を備えている。RAM32には、CPU31のワークエリアとして機能する。また、RAM32には、カメラモジュール10から出力された撮像データーImDが一時的に記録される。CPU31は、ROM32に記録されたプログラムにより、印刷用データーを解析して、プリンターユニット50を駆動するための情報を生成する。また、CPU31は、ROMに記録されたプログラムにより、スキャナーユニット60による原稿の読み取りや、FAXユニット70による原稿データーの送受信を制御する。
【0022】
さらに、ROM33は、CPU31に、指示位置特定部301、対象検出部302、指示受付部303、処理部304、の各機能を実現させるプログラム330を記録している。すなわち、このプログラム330により、制御部30は、指示位置特定機能、対象検出機能、指示受付機能、処理機能の各機能を実現する。各部の詳細な説明については後述する。
【0023】
表示部40は、LCDコントローラー41、LCD42、を備えている。LCDコントローラー41は、制御部30から表示画像データーを受信すると、この表示画像データーをもとに、LCD42を駆動するための駆動データーを生成する。LCD42は、解像度に応じた数の液晶画素を配列しており、駆動データーをもとに各画素を駆動させて画像を表示する。また、表示部40は、ユーザーによる画面の操作を検出する機能を実現するために、タッチスクリーンモジュール43を備えている。
【0024】
プリンターユニット50は、色材を用紙に対して記録していくプリンター機構51や、制御部30から出力される駆動用データーをもとにプリンター機構51を駆動するための電気信号を生成するメカコントローラー52と、を備えている。プリンターユニット50を構成する各部は周知技術であるため、詳細な説明を省略する。
【0025】
スキャナーユニット60は、原稿台にセットされた原稿を読み取るスキャナー機構61と、このスキャナー機構を駆動するためのスキャナーコントローラー62と、を備えている。スキャナーユニット60を構成する各部は周知技術であるため、詳細な説明を省略する。
【0026】
FAXユニット70は、スキャナーユニット60が読み取ることで生成された原稿データーを、不図示の電話回線またはインターネット回線を通じて外部装置に送信する。
【0027】
(2)紙マニュアルの構成
図3は、複合機100の設定に用いられる紙マニュアル200を説明する図である。紙マニュアル200は、ユーザーがこの紙マニュアル200に記載された媒体を指差しすることで、複合機100の各種設定を入力する際に用いられる。
図3は、紙マニュアル200のうち、スキャナーユニット60とプリンターユニット50とを用いて行う「コピーモード」の設定を入力するページを表示している。紙マニュアルは複数のページをもち、複合機100に対して行う全ての設定についていずれかのページを用いて設定することができるようになっている。なお、同じ設定を複数のページを用いて設定できるようにしてもよい。
【0028】
紙マニュアル200には、指差しの対象となる媒体として機能する指差し用
図201a〜201nと、この第1の実施形態においてマークとして機能するバーコード202a〜202nと、紙マニュアル200をセットする際の目印となる位置合わせマーク203と、が記録されている。以下では、指差し用
図201と記載した場合は、紙マニュアル200に記録されている全ての指差し用図の総称を示している。また、バーコード202と記載した場合は、紙マニュアル200に記録されている全てのバーコードの総称を示している。
【0029】
紙マニュアル200には、各指差し用
図201a〜201mがノードにより関連付けられることで樹形図を構成しており、ユーザーの各指差し図の関係の把握を容易にしている。この樹形図は、「コピーモード」201aを根として、「用紙サイズ」201b、「倍率」201c、「コピー面」201d、「割付」201eのそれぞれの機能がノードにより関連づけられている。また、「用紙サイズ」201bには、「自動」201fおよび「選択」201gが、「倍率」201には「100%」201hおよび「任意」201iが、「コピー面」201dには「片面」210jおよび「両面」201kが、「割付」201eには「2面」201lおよび「4面」201mがノードにより関連づけられている。さらに、紙マニュアル200には、コピーの開始を入力するための「スタート」を示す指差し用
図201nが形成されている。紙マニュアル200の他のページも指差し用図にそのページで設定する設定内容を記載しており、各指差し用図のそばに設定ごとにユニークなバーコードを記載している。
【0030】
各指差し用
図201a〜201nの上方にはバーコード202a〜202nがそれぞれ形成されている。各バーコード201a〜201nは、それぞれ対応する各指差し用
図201a〜201nが示す機能の内容を情報として含んでいる。
【0031】
(3)機能設定方法
次に、複合機100および紙マニュアル200を用いた機能設定方法を説明する。
図4は、紙マニュアル200の使用方法を説明する図である。まず、ユーザーによる紙マニュアル200の指差しに先立ち、複合機100の前方に紙マニュアル200を配置する(
図4(a))。このとき、紙マニュアル200の位置合わせマーク203を前部パネル91に形成された位置合わせマーク93に合わせる。次に、
図4(b)に示すように、前部パネル91を上方に開き、カメラモジュール10の撮像方向を紙マニュアル200に向けて回転させる。カメラモジュール10が指示受付位置に変化したことを制御部30が検出すると、機能設定処理の開始を判断する。
【0032】
図5は、制御部30により実施される機能設定処理を説明するフローチャートである。
図5に示す機能設定処理は、制御部30がROM33に記録されたプログラム330を実行することで実行される。
【0033】
まず、ステップS1では、制御部30は、初期設定を行う。
初期設定では、例えば、撮像画像Imの傾きを修整する傾き補正や、撮像画像Imの形状のゆがみを修正する歪み補正が行われる。
【0034】
次に、ステップS2では、制御部30は、ユーザーが紙マニュアル200を指した位置を特定する指示位置特定処理を行う。指示位置特定処理では、指示位置特定部301が、撮像結果から指示体の位置(座標)を特定する。以下では、指示体としてユーザーの指先を用いるものとする。指示位置特定部301が位置を特定する指示体は指以外であってもよく、例えば、制御部30に事前に設定しておくことで指示棒等を指示体として認識させることができる。
【0035】
次に、ステップS3では、制御部30は、ステップS2で特定した位置をもとにバーコード検出処理(対象検出処理)を行う。バーコード検出処理では、対象検出部302が、特定された指先の座標からこの指先が指している紙マニュアル200上のバーコード203を検出する。
【0036】
次に、ステップS4では、制御部30は、検出したバーコードをもとに指示受付処理を行う。指示体受付処理では、指示受付部303が、検出されたマークに基づいて、ユーザーが指先で指した指示を受け付ける。
【0037】
そして、ステップS5では、制御部30は、ステップS4で受け付けた指示を実行する指示実行処理を行う。指示実行処理では、処理部304は、バーコード202により取得された指示に応じた処理を行う。
【0038】
終了条件が成立していない場合(ステップS6:NO)、制御部30は、ステップS2に戻る。終了条件は、例えば、ユーザーがカメラモジュール10の向きを変化させた場合等、様々なものを想定することができる。終了条件が成立した場合(ステップS6:YES)、制御部30は、処理を終了する。
【0039】
次に、
図5のステップS2で行われる指示位置特定処理を説明する。
図6は、指示位置特定処理を説明するフローチャートである。
図7は、指示位置特定処理を説明する図である。なお、以下の図では、撮像画像Imには説明に必要な部分のみを図示して示している。実際には、撮像画像Imには、紙マニュアル200のページに記載された全ての指差し用
図201やバーコード202が含まれている。
【0040】
図6のステップS21では、指示位置特定部301は撮像画像Imに含まれている指先に対応する画像(指先画像FG)を認識する。例えば、ユーザーが、紙マニュアル200の上方に手を伸ばすと、
図7(a)に示すように、指示位置特定部301はカメラモジュール10の検出領域に含まれる撮像画像Imから特定の指(例えば、人差し指)を指先画像FGとして認識する。指先画像FGの認識は、カメラモジュール10のピントを指先画像FGに合わせることで行われる。被写界深度に入っているかどうかで第3の次元である奥行き方向の情報として紙マニュアル200をタッチしたかどうかを判断することが可能となる。また、撮像画像Imから指先画像を特定する方法は、パターンマッチング法等周知の方法を用いることができる。
【0041】
ステップS22では、指先画像FGの認識により、指示位置特定部301は、撮像画像Im内の位置を2次元座標(X、Y)より示す、指先画像FGの位置Pr(Xr、Xr)を取得する。
【0042】
ステップS23では、指示位置特定部301は指先画像を追従する追従処理を行う。追従処理では、ステップS21で認識された指先画像FGが移動した場合でも、指先にピントを追従させて、移動後の指先画像FGを認識し続ける。
【0043】
ステップS24では、指示位置特定部301は、指先画像FGの動きの有無を検出する動き検出処理を行う。動き検出処理では、所定期間、指先画像FGの動きに変化があるか否かを検出する。
図7(b)では、所定期間において、指先画像FGが位置Pr1から位置Pr2に変化している。
【0044】
指先が停止していない場合(ステップS25:NO)、指示位置特定部301は、ステップS22に戻り、指示位置Prを特定し、ステップS23で追従処理を行う。すなわち、指示位置特定部301は、指先画像FGの追従を継続する。
【0045】
指先が停止している場合(ステップS25:YES)、ステップS26では、指示位置特定部301は、現在の指先の位置を指示位置として取得する。例えば、
図7(b)示す指先画像FGの変化の後、指先画像FGが、所定期間、位置Pr2から変化しなければ、この位置Pr2を指示位置Pp(Xp、Yp)として取得する。
【0046】
次に、
図5のステップS3で行われるバーコード検出処理(対象検出処理)を説明する。
図8は、バーコード検出処理を説明するフローチャートである。
図9は、バーコード検出処理を説明する図である。
【0047】
ステップS31では、対象検出部302は、指示位置Ppから探索領域QAを設定する。探索領域QAは、撮像画像Imに含まれるバーコードを探索する対象となる領域(画素)であり、指示位置Ppを基準に設定される。
図9(a)では一例として、指示位置Ppを含む近傍の矩形の領域が探索領域QAに設定されている。
【0048】
ステップS32では、対象検出部302は、探索領域QAに含まれるバーコードを探索する。例えば、対象検出部302は、探索領域QAにおいてカメラモジュール10の被写界深度内にバーコードに対応する画像が存在するか否かを探索する。なお、被写界深度は、指先が空中で止まった場合に、被写界深度内にバーコードが入らず、指先が紙マニュアル200のページ上にタッチして止まった場合に、被写界深度内にバーコードが入るようにしておく。
【0049】
バーコード202が検出されない場合(ステップS33:NO)、
図5に戻り、制御部30は、再度、指示位置Ppの特定を行う。
一方、バーコード202が検出された場合(ステップS33:YES)、ステップS34では、対象検出部302は、検出音を出力させる。検出音は、バーコード202が検出されたことをユーザーに通知できるものであればどのようなものであってもよい。
図9(b)では、探索領域QAにおいてバーコード202が検出されている。
【0050】
ステップS36では、対象検出部302は、検出されたバーコード202を撮像画像Imから抽出する。抽出されたバーコード画像は、指示受付部303が行う処理で用いられる。
【0051】
次に、
図5のステップS4で実行される指示受付処理を説明する。
図10は、指示受付処理のフローチャートである。
【0052】
ステップS41では、指示受付部303は、対象検出部302によって抽出されたバーコード202を解析する。バーコード202には、紙マニュアル200に記載された指差し用
図201を一意に特定できる情報が含まれている。例えば、ユーザーが指差ししたのが指差し用
図201hであれば(「倍率」に属する「100%」)、指示受付部303はバーコード202hの解析により、ユーザーの指示がコピーモードのコピー倍率を「100%」に設定する処理であると判断する。
【0053】
ステップS42では、指示受付部303は、ステップS41での解析結果からコマンドを生成する。バーコード202hを解析した例では、指示受付部303は、コピーモードのコピー倍率を「100%」に設定するコマンドを生成する。
【0054】
以下、処理部304は、指示受付部303が解析したコマンドを実行する(
図5の指示実行処理:ステップS5)。すなわち、複合機100において、ユーザーが紙マニュアル200を指差しして指示した設定が実行されることとなる。これによって、ユーザーは、紙マニュアル200の「自動」201f、「100%」201h、「両面」201k、を順番にタッチした場合には、自動の紙サイズ、100%の倍率、両面コピーのコピー条件を順に設定し、その後ユーザーが「スタート」201nをタッチした場合に設定された条件でコピーをスタートするというように動作を行う。
【0055】
(4)発明の作用・効果
以上説明したように、第1の実施形態にかかる複合機100は、ユーザーが指(指示体)で指示した位置に応じたバーコード(マーク)によりユーザーの指示を受け付けるため、ユーザーは紙マニュアル200上の媒体の指示という直感的な操作により、指示を行うことが可能となる。また、紙マニュアル200さえあれば、ユーザーは指で指示するだけで操作が終了するため、ユーザーにマークシートの準備といった負担がかからない。
【0056】
指を認識する被写界深度内にバーコード(マーク)が位置している場合に、バーコードを特定したと判断するため、バーコードの検出をより適切に行うことができる。
【0057】
バーコードは、指示の内容をユニークに特定するものであるため、複合機100がユーザーからの指示を誤認識してしまうのを抑制することができる。
【0058】
複合機100は、ユーザーに紙マニュアル200をセットさせる位置を示す位置合わせ部を有することで、カメラモジュール10が紙マニュアル200内のバーコードを正しく検出することが可能となる。
【0059】
複合機100は、カメラモジュール10が指示受付位置に移動したことに応じて検出対象を通じてユーザーの指示を受け付ける受付モードを備えているため、複合機100の誤操作を防止することができる。
【0060】
2.第2の実施形態:
図11は、第2の実施形態で使用される紙マニュアル210を説明する図である。第2の実施形態においても、紙マニュアル210は、ユーザーがこの紙マニュアル210に記載された指差し用
図201(
図11では、201b〜201n)を指差して操作するのに用いられる。一方、この第2の実施形態の紙マニュアル210には、基準点として機能する基準
図204にのみバーコード202aが形成され、それ以外の指差し用
図201b〜201nには、バーコードが形成されていない。
【0061】
図12は、第2の実施形態で、制御部30により実施される設定処理を説明するフローチャートである。以下に、この機能設定処理の概要を説明する。
まず、ステップS110では、第1の実施形態と同様、制御部30は、初期設定を行う。次に、ステップS120では、制御部30は、第1の実施形態同様、ユーザーが紙マニュアル210を指した位置を特定する指示位置特定処理を行う。この指示位置特定処理では、ユーザーが紙マニュアル210の指差し用
図201b〜201nを指差しすることで複合機100に対する指示を行う。
【0062】
ステップS130では、制御部30は、ステップS120で特定した指示位置から紙マニュアル210上のマークを検出する基準マーク検出処理(対象検出処理)を行う。すなわち、この第2の実施形態では、対象検出部302は紙マニュアル210上に記録されたバーコード202aをマークとして検出する。
【0063】
次に、ステップS140では、制御部30は、ステップS120において特定されたユーザーの指差し位置からステップS130において特定された基準マークの位置までの相対的な距離をもとに、ユーザーが指差しした指示を受け付ける指示受付処理を行う。相対的な距離の算出と、この相対的な距離をもとに指示を受け付ける具体的な手法は後述する。
【0064】
そして、ステップS150では、制御部30は、ステップS4で受け付けた指示を実行する。終了条件が成立していれば(ステップS160:YES)処理を終了し、成立していなければ(ステップS160:NO)ステップS120に戻り処理を繰り返す。
【0065】
図13は、基準マーク検出処理(対象検出処理)を説明するフローチャートである。
図14は、基準マーク検出処理を説明する図である。
【0066】
図13のステップS131では、対象検出部302は、基準となるマーク(バーコード202a)に対する探索領域(以下、基準マーク探索領域SQAとも記載する。)を設定する。基準マーク探索領域SQAは、撮像画像Im内で基準となるマークとして機能するバーコード202aを探索するための領域である。基準マーク探索領域SQAの位置は、例えば、紙マニュアル210を、その位置合わせマーク203が複合機100の位置合わせマーク93に合わせてセットした場合に、バーコード202aが位置する領域を基準に、その位置(座標)が制御部30に設定されている。
図14(a)では、基準マーク探索領域SQAは、紙マニュアル210の複合機100に対するセットのズレを許容できるよう、少なくともバーコード202aと比べて広い範囲の領域として設定されている。
【0067】
ステップS132では、対象検出部302は、探索領域QAに含まれるバーコード202aを探索する。バーコード202aが検出されない場合(ステップS133:NO)、ステップS135では、対象検出部302は、エラー通知を行う。例えば、紙マニュアル210が複合機100に対して正しくセットされていない場合、基準マーク探索領域SQA内にバーコード202aが位置していないため、エラーが通知される。ユーザーによる紙マニュアル210のセットの修正等の後、制御部30は、再度、基準マーク検出処理を行う(
図12)。一方、バーコード202aが検出された場合(ステップS133:YES)、ステップS134では、対象検出部302は、検出音を出力させる。
【0068】
ステップS136では、対象検出部302は、バーコード画像を抽出する。ステップS137では、対象検出部302は、検出されたバーコードを解析する。この第2の実施形態では、バーコード202aには、紙マニュアル210内の基準となる基準位置Ps(xs、ys)と、紙マニュアル210のページを一意に識別する識別情報とを含んでいる。識別情報は、ユーザーが指差しするページが複合機100のどの設定に対応しているかを情報として含んでいる。
【0069】
ステップS138では、対象検出部302は、ステップS137で解析された識別情報から紙マニュアル210のページを特定する。例えば、
図12に示す紙マニュアル210では、バーコード202aは、ユーザーが指差しするページがコピー機能の設定であることを情報として含んでいる。
【0070】
ステップS139では、対象検出部302は、ステップS137で解析された基準位置Ps(Xs、Ys)を取得する。基準位置Psは、以下に実行される指示受付処理において、ユーザーの指示を判断するための基準となる情報である。
図14(b)では、バーコード202aの中心を基準位置Psとして設定している。なお、基準位置Psの座標(Xs、Ys)はバーコード202aに含まれる情報により取得されるものであり、
図14(b)は基準位置Psの概念を表したものである。
【0071】
次に、
図12のステップS140で実行される指示受付処理を説明する。
図15は、第2の実施形態での指示受付処理を説明するフローチャートである。
図16は、第2の実施形態での指示受付処理を説明する図である。
【0072】
図15のステップS141では指示受付部303は、基準マーク検出処理(ステップS130)により取得された基準位置Psから指示位置特定処理(ステップS120)により取得された指示位置Ppまでの相対的な距離(以下、相対距離RDとも記載する。)を算出する。例えば、
図16(a)に示すように、指示位置特定処理(ステップS120)において、指示受付部303が取得した現在の指先の位置を指示位置Ppとする。
図16(b)に示すように、指示受付部303は、この指示位置Ppと基準位置Psとの差分を相対距離RDとして算出することになる。なお
図16(b)は、相対距離RDは、撮像画像Imを規定する平面(X軸、Y軸)において、指示位置Pp(Xp、Yp)と基準位置Ps(Xs、Ys)との距離として算出されている。
【0073】
ステップS142では、指示受付部303は、ステップS142で取得した相対距離RDからユーザーの指示を特定する。例えば、ROMには、相対距離RDと、各指示に応じたコマンドを一意に特定するためのテーブルが記録されている。指示受付部303は、取得された相対距離RDの値からテーブルに記録された指示を特定し、特定した指示をユーザーの指示として判断する。
【0074】
ステップS143では、指示受付部303は、相対距離RDに対応するコマンドを生成する。そのため、処理部304は、指示受付部303が解析したコマンドを実行する(
図12のステップS150)。なお、相対距離RDに対応するコマンドが取得されない場合に、指示受付部303はエラー通知を行うものであってもよい。
【0075】
以上説明したようにこの第2の実施形態では、複合機100は、ユーザーが指差しした位置から基準位置までの相対的な距離をもとにユーザーの指示を判断するため、紙マニュアル210内に形成するマーク(バーコード)を第1の実施形態と比べて少なくすることができる。その結果、紙マニュアルの用紙サイズが小さい場合でも、本発明を適用することが可能となる。
【0076】
3.第3の実施形態:
図17は、媒体としてサムネイル画像が形成されているオーダーシート250を説明する図である。このオーダーシート250には、指差し用図の代わりに複合機100が印刷することができる画像を特定するためのサムネイル画像251a〜251iと、サムネイル画像251a〜251iを一意にそれぞれ特定するバーコード252a〜252iが形成されている。
【0077】
この第3の実施形態においても、複合機100は、カメラモジュール10の撮像結果からユーザーがオーダーシート250内で指差すサムネイル画像251を指示位置特定部301、対象検出部302の各機能により特定する。次に、指示受付部303は、特定されたサムネイル画像251に対応する元画像を特定する。そして、処理部304は、特定された元画像をプリンターユニット50により印刷する。
【0078】
図18は、オーダーシート250を用いた印刷を説明するフローチャートである。
ステップS200では、制御部30は、オーダーシート250を印刷するためのオーダーシート画像を生成する。例えば、制御部30は、外部メモリに記録されている複数の元画像からサムネイル画像を生成し、各サムネイル画像を組み合わせてオーダーシート画像を生成する。これ以外にも、スキャナーユニット60で読み込んだ原稿を元画像とし、この元画像からサムネイル画像を生成するものであってもよい。
【0079】
ステップS210では、制御部30は、プリンターユニット50にオーダーシート250を印刷させる。そのため、プリンターユニット50は、色材を用いてオーダーシート画像を用紙に記録していく。このステップS210で印刷されたオーダーシート250を複合機100の前方にセットして、カメラモジュール10により読み取りを開始させることで、ステップS220以下の処理が開始される。
【0080】
ステップS220では、制御部30は、初期設定を行う。次に、ステップS230では、制御部30は、ユーザーがオーダーシート250を指した位置を特定する指示位置特定処理を行う。この実施形態では、指示位置特定部301は、ユーザーがオーダーシート250内のサムネイル画像を指差した位置を特定する。
【0081】
次に、ステップS240では、制御部30は、ステップS220で特定した位置をもとにバーコード検出処理(対象検出処理)を行う。バーコード検出処理では、対象検出部302が、特定された指先の座標からこの指先が指しているオーダーシート250上のバーコード252を検出する。
【0082】
次に、ステップS250では、制御部30は、検出したバーコード252をもとに印刷受付処理(指示受付処理)を行う。印刷受付処理では、指示受付部303が、ステップS240で検出されたバーコード252に基づいて、ユーザーが選択したサムネイル画像251に対応する元画像を印刷対象の元画像として受け付ける。
【0083】
そして、ステップS260では、制御部30は、ステップS250で受け付けた元画像を印刷する印刷処理(指示実行処理)を行う。印刷処理では、処理部304は、ステップS250で指示を受けた元画像を読み出し、この元画像をプリンターユニット50に印刷させる。
【0084】
終了条件が成立していない場合(ステップS270:NO)、制御部30は、ステップS230に戻る。一方、終了条件が成立した場合(ステップS270:YES)、制御部30は、処理を終了する。
【0085】
上記構成とした第3の実施形態により、ユーザーは、オーダーシート250に形成されたサムネイル画像251の指差しにより印刷を行いたい画像を選択することができる。そのため、ユーザーは指等によりサムネイル画像を指すだけで、意図した画像を複合機100に印刷させることができるため、サムネイル画像の選択から複合機100に印刷を指示するまでに要する操作を、非常に簡単なものとすることができる。
【0086】
4.その他の実施形態:
電子機器として複合機100を例に説明したことは一例に過ぎない。電子器機器は、撮像部を備える製品であれば、プリンター、スキャナー装置、パーソナルコンピューター(PC)等どのようなものであってもよい。
【0087】
マークとしてバーコードを用いたことは一例に過ぎない。これ以外にも、QRコード(登録商標)や、画像等、ユーザーが指差しする対象を一意に特定できるものであればどのようなものであってもよい。
【0088】
撮像部として複合機に取り付けられたカメラモジュールを用いたことは一例に過ぎない。例えば、複合機と電気的に接続されてはいるが、複合機は別の位置に取り付けられているビデオカメラ等の撮像部を用いるものであってもよい。
上述の実施形態では、指先の位置を2次元で取得するカメラであるので、被写界深度に入っているかどうかで第3の次元である奥行き方向の情報としてマニュアルをタッチしたかどうかを判断したが、他の方法で第3の次元の情報を取得してもよい。例えば、2つのカメラを用いたり、1つのカメラと距離センサーとを用いたり、することで第3の次元の情報を取得して、マニュアルをタッチしたかどうかを判断してもよい。
【0089】
なお、本発明は上記実施例に限られるものでないことは言うまでもない。当業者であれば言うまでもないことであるが、
・上記実施例の中で開示した相互に置換可能な部材および構成等を適宜その組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術であって上記実施例の中で開示した部材および構成等と相互に置換可能な部材および構成等を適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術等に基づいて当業者が上記実施例の中で開示した部材および構成等の代用として想定し得る部材および構成等と適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
は本発明の一実施例として開示されるものである。