(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記タッチパネル制御部は、前記穀物調製設備に供給される原料の流通履歴の確認ができるようトレーサビリティ履歴書き込み機能を備えてなる請求項1記載の穀物調製設備の制御装置。
前記揺動選別部は、前記籾摺部及び前記風選部により籾摺・風選された混合米を籾領域、混合米領域及び玄米領域に偏析分離させるものであって、該揺動選別部の穀粒排出端には、前記各領域を仕切る選別仕切板が移動可能に設けられていて、前記タッチパネル制御部に設けた自動運転モードを選択した場合には、前記選別仕切板の移動を前記各領域の境界位置付近に正確に位置させるよう移動制御してなる請求項1又は2記載の穀物調製設備の制御装置。
【背景技術】
【0002】
籾摺部、風選部、揺動選別部及び粒選別部を組み合わせた穀物調製設備として、例えば、特許文献1に記載したものがある。
【0003】
このものは、原料昇降機、脱ぷ風選装置、選別機投入昇降機及び揺動選別装置などの調製機器を備えた米麦調製設備をタッチパネルを介して制御する制御機構であって、前記タッチパネルの表示面上に異常要因スイッチを表示させる機能と、前記表示面上に前記調製機器の異常の発生及びその位置を発光表示させる機能と、前記発光の状態下で前記異常要因スイッチに作業者が触れたとき前記異常の内容や対処方法についての文字情報を前記表示面上に表示させる機能とを具備させたものである。
【0004】
これにより、タッチパネルで米麦調製設備の原料昇降機、脱ぷ風選装置、選別機投入昇降機及び揺動選別装置などの調製機器を制御するようにしたため、監視操作部を小型化することができ、調製機器近傍の現場などであっても的確な監視と、充実した制御及び入力操作を行えるようになすことができる。
【0005】
そして、異常発生がパネル上での発光により認識できるに留まらず、簡易な操作により、異常な詳細な内容や対処方法を文字情報で得ることができ、作業者は熟練者に聞くなどしなくても迅速に異常を解消させることができ、効率的な調製処理を行わせることができるといった利点もある。
【0006】
しかしながら、上記の制御機構は、故障したときの直前の故障情報や、部品交換したときのメンテナンス情報などの履歴情報が記録されていないため、過去の異常発生の状況やメンテナンス状況を知ることができず、故障原因の究明に時間がかかってしまい、ひいては、故障の復旧時間や修理時間が長期化してしまうという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記問題点にかんがみ、タッチパネルで調製機器を制御するようにしたものであって、運転状況を一目で把握することができるとともに、故障が生じた場合に故障原因を速やかに把握することができ、故障の復旧時間や修理時間を短縮することのできる穀物調製設備の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため本発明は、籾摺部と風選部と揺動選別部と粒選別部と前記各部の駆動・停止を操作できるタッチパネル制御部とを備えた穀物調製設備の制御装置であって、前記タッチパネル制御部は、
前記穀物調製設備の運転開始時に前記各部を後工程の粒選別部から順次起動させる一方、前記穀物調製設備の運転停止時に前記各部を前工程の籾摺部から順次停止させる自動運転モードを備え、前記自動運転モード選択時に前記穀物調製設備が正常に駆動しているとき
は運転状況が正常であることを点灯表示するラインフロー表示
画面と
なり、
前記自動運転モード選択時に前記穀物調製設備に異常が発生したときは異常箇所がどこであるかを点灯表示するとともに、異常の復旧手順を表示するエラー表示
画面と
なり、
前記タッチパネル制御部は、前記エラー表示画面の異常の復旧手順を、過去の異常発生の
警報履歴を
参照して確認するため複数の発報内容、発報時刻及び復旧時刻を一覧表示する警報履歴表示機能
を設け、
さらに、前記穀物調製設備の各部で使用される消耗部品の耐久時間をあらかじめ設定するとともに、該消耗部品の使用時間が設定した耐久時間に到達するとポップアップ画面で警報を報知する部品交換報知機能を設ける、という技術的手段を講じた。
【0010】
【0011】
前記タッチパネル制御部は、前記穀物調製設備に供給される原料の流通履歴の確認ができるようトレーサビリティ履歴書き込み機能を備えていることを特徴とする。
【0012】
さらに、前記揺動選別部は、前記籾摺部及び前記風選部により籾摺・風選された混合米を籾領域、混合米領域及び玄米領域に偏析分離させるものであり、該揺動選別部の穀粒排出端には、前記各領域を仕切る選別仕切板が移動可能に設けられていて、前記タッチパネル制御部に設けられた自動運転モードを選択した場合には、前記選別仕切板の移動を前記各領域の境界位置付近に正確に位置させるよう移動制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、前記穀物調製設備が正常に駆動しているとき
は運転状況が正常であることを点灯表示するラインフロー表示
画面と
なり、
前記自動運転モード選択時に前記穀物調製設備に異常が発生したときは異常箇所がどこであるかを点灯表示するとともに、異常の復旧手順を表示するエラー表示
画面と
なり、
前記タッチパネル制御部は、前記エラー表示画面の異常の復旧手順を、過去の異常発生の
警報履歴を
参照して確認するため複数の発報内容、発報時刻及び復旧時刻を一覧表示する警報履歴表示機能
を設け、
さらに、前記穀物調製設備の各部で使用される消耗部品の耐久時間をあらかじめ設定するとともに、該消耗部品の使用時間が設定した耐久時間に到達すると警報を報知する部品交換報知機能を設けているから、ラインフロー表示
画面により、運転状況を一目で把握することができるとともに、エラー表示
画面により、異常等が生じた場合に異常箇所、異常原因を速やかに把握することができ、さらに、異常履歴表示機能により、過去の異常発生内容等が把握できるので、復旧時間や修理時間を短縮することができる。
【0014】
例えば、
警報履歴表示機能を参照し、過去に同じような
警報履歴が報知されているかどうかを確認すれば、サービスマンは、どの部品が原因となって正常運転や異常運転を繰り返すのかの見当がつく。そして、見当をつけた部品を、直ちに新品の部品に交換すれば、復旧時間や修理時間を短縮することができる。
【0015】
そして、前記タッチパネル制御部が、前記穀物調製設備の各部で使用される消耗部品の耐久時間をあらかじめ設定するとともに、該消耗部品の使用時間が前記設定した耐久時間に到達すると
ポップアップ画面で警報を報知する部品交換報知機能を備えているから、消耗部品の交換時期を事前に報知してくれるので、作業者は安心して作業が行える。また、サービスマンは、消耗部品のメンテナンス状況を容易に把握することができ、異常の発生原因の究明や、復旧時間及び修理時間を短縮することができる。
【0016】
さらに、請求項
2記載の発明によれば、前記穀物調製設備に供給される原料の流通履歴の確認ができるようトレーサビリティ履歴書き込み機能を備えているから、異常の発生原因が原料に起因するものであるか否かの確認ができる。例えば、トレーサビリティ履歴により穀物調製設備に供給された原料穀物の水分を把握すれば、サービスマンは、原料穀物の水分が過多のために、穀物の流動抵抗が大きく、搬送経路に詰まりを生じやすくなっていると推測でき、異常の発生原因の究明につながる。
【0017】
そして、請求項
3記載の発明によれば、前記揺動選別部は、前記籾摺部及び前記風選部により籾摺・風選された混合米を籾領域、混合米領域及び玄米領域に偏析分離させるものであり、該揺動選別部の穀粒排出端には、前記各領域を仕切る選別仕切板が移動可能に設けられていて、前記タッチパネル制御部に設けられた自動運転モードを選択した場合には、前記選別仕切板の移動を前記各領域の境界位置付近に正確に位置させるよう移動制御するものであるから、選別仕切板の移動が基準位置から大きく外れた場合や、選別仕切板の移動が基準位置に収束するのに長時間かかる場合は、運転に異常が発生しているということであり、作業者は選別仕切板の動きを見て異常であるか否かを容易に推測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の穀物調製設備の穀物の流れ示すフロー図である。
【
図2】穀物調製設備全体の外観を示す斜視図である。
【
図4】タッチパネル表示部に表示されたメインメニューの画面である。
【
図5】タッチパネル表示部に表示された保守設定画面である。
【
図6】タッチパネル表示部に表示されたトレサ設定画面である。
【
図7】タッチパネル表示部に表示された運転メニュー画面である。
【
図8】タッチパネル表示部に表示された揺動選別機設定画面である。
【
図9】タッチパネル表示部に表示された自動運転画面である。
【
図10】タッチパネル表示部に表示された籾摺部タンクセンサ設定画面である。
【
図11】タッチパネル表示部に表示された籾摺部設定画面である。
【
図12】タッチパネル表示部に表示された混合米タンクセンサ設定画面である。
【
図13】揺動選別部の選別仕切板の自動運転を説明する模式図である。
【
図14】タッチパネル表示部に表示された粒選別部設定画面である。
【
図15】タッチパネル表示部に表示された単動運転画面である。
【
図16】自動運転画面上に表れる異常箇所と警報表示を示す図である。
【
図17】タッチパネル表示部に表示された警報履歴表示画面である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は本発明に係る穀物調製設備の処理工程を示すフロー図であり、
図2は穀物調製設備全体の外観を示す斜視図であり、
図3は同正面図である。
【0020】
図1乃至
図3に示すように、本発明の穀物調製設備1は、一対のゴムロールからなる籾摺部2と、摺米から籾殻やしいなや軽い夾雑物を風選別する風選部3と、風選された混合米を揺動選別作用によって籾、玄米及び混合米のそれぞれに選別する揺動選別部4と、選別された玄米のうち、粒が充実した整粒と未熟粒との篩分けを行う粒選別部5とを主要部としている。
前記籾摺部2と風選部3とはそれぞれを重設して一体構造となす一方、風選部3と揺動選別部4との間は、風選部3からの混合米を揚穀して揺動選別部4に供給するように混合米揚穀機6と混合米タンク7とを設けている。また、前記揺動選別部4と粒選別部5との間は、揺動選別部3からの玄米を揚穀して粒選別部5に供給するように玄米揚穀機8を設けている。符号9は揺動選別部4での選別籾や籾摺部2で籾摺処理できなかったオーバーフロー籾などを揚穀して前記籾摺部2へ再供給するための籾返還用揚穀機であり、符号10は各部を制御するための制御盤であり、符号11は風選部3で分離された籾殻や夾雑物を機外に排出するための吸引ファンであり、符号12は籾摺部2の供給タンクであり、符号13(
図1参照)は籾摺部2への籾の戻りタンクであり、符号84は前記粒選別部5を比較的高所に配置するための架台であり、符号9aは揚穀機9で揚穀された籾を供給タンク12に供給するか機外排出とするかを切り換える切り換え弁であり、符号8aは揚穀機8で揚穀された玄米を粒選別機5に供給するか機外排出とするかを切り換える切り換え弁である。
【0021】
前記制御盤10は、基本的な各種スイッチを具備した機械式入力部10aと、液晶板によるタッチ操作を可能としたタッチパネル表示部10bとから構成される。
図4に示すように、タッチパネル表示部10bには、大きく4つの「運転ボタン14」「設定ボタン15」「トレサボタン16」「警報ボタン17」に設定されている。
【0022】
図4の運転ボタン14では、運転ボタン14を押すことで
図7の運転メニューに遷移し、自動運転、単独運転、遠隔運転の3つの運転方法を選択できるようになっている。すなわち、「自動運転」14aを選択すると(
図7参照)、自動運転ができ、「単独運転」14bを選択すると、籾摺部2,風選部3,揺動選別部4,混合米揚穀機6,玄米揚穀機8及び籾返還用揚穀機9を単独で運転することができ、「遠隔運転」14cを選択すると、機械から離れた作業室から遠隔の指令で運転することができるようになっている。
【0023】
図4の設定ボタン15では、設定ボタン15を押すことで
図5の保守画面18に遷移し、各種消耗部品の耐久時間を設定することができる。そして、穀物調製設備1を稼働している間に、使用時間が耐久時間に達するとポップアップ画面で警報し、使用者に対して消耗部品の交換を促すことができる構成となっている。
図5を参照すれば、保守画面18には、各消耗部品の耐久時間設定枠19が設けられ、この設定枠19を押すことでテンキーが表示され、耐久時間を任意の値の数値を入力することができる。また、保守画面18に設けられた表示のみボタン20を押すことで、設定時間がくればポップアップ表示するか否かの確認を行うことができる。保守画面18の下部に設けられた初期化ボタン21は、あらかじめ設定された標準の耐久時間に戻すことができるものである。標準の耐久時間としては、ゴムロールの消耗時間が100時間であり、グリス注油の消耗時間が200時間であり、籾摺機投入シュートの消耗時間が1000時間であり、粒選別機・金網交換の消耗時間が1500時間であり、コンプレッサエア抜きの消耗時間が50時間で設定されている。以上のように耐久時間を設定して穀物調製設備1を稼働すれば、使用時間が耐久時間に達すれば、警報にて使用者に知らせることができる。
【0024】
次に、
図4のトレサボタン16では、このボタンを押すことで
図6のトレサ設定画面22に遷移し、各種トレサ情報の入力・記録をすることができる。トレサ情報としては、データベース上の1件のデータファイルとして年月日、開始/終了時間が自動的に振られるので、品種、品位、区分、栽培区分、色選、金網目幅、排出元、投入先、取出量、出来高量、販売先、エンドユーザ、水分等の各種条件・データ等を順次入力して書込ボタン23を押してデータを登録することになる。このデータファイルとしては、1000件までを保存することができ、1000件を超えると古いデータファイルから上書き保存されることになる。また、トレサ履歴タブ24を押すことで、過去の情報を検索することができる。符号25はページアップボタンであり、符号26はページダウンボタンであり、ページめくりをすることができる機能を持っている。
【0025】
次に、本実施形態の穀物調製設備の自動運転について説明する。
図7の「自動運転」14aを選択すると、揺動選別機設定画面27(
図8参照)を起動させ、揺動選別機の選別板上の穀粒を全て排出させる動作を行い、その後、自動運転画面28(
図9参照)に遷移させる。自動運転画面28では、運転の準備が整ったときに「準備完了」ボタン29が点灯するので、「運転」ボタン30を押すと、後工程の粒選別部5から起動し、玄米揚穀機8、揺動選別部4、混合米揚穀機6、籾返還用揚穀機9、風選部3及籾摺部2の順で起動することになる。一方、「停止」ボタン31は、前工程の籾摺部2から停止し、風選部3、籾返還用揚穀機9、混合米揚穀機6、揺動選別部4、玄米揚穀機8及び粒選別部5の順で停止することになる。符号32は、設備1全体が待機状態となる「一時停止」ボタンである。
【0026】
「運転」ボタン30を押し、自動運転を開始すると、次に、各部の調整を行うことになる。
図9において、供給タンクセンサボタン33を押すと、タンクセンサ設定画面34(
図10)に遷移する。籾摺部2の供給タンク12には、穀粒の下限値を検知する下限センサ12aが設けられており(
図1参照)、この下限センサ12aが作動した場合の条件設定が、
図10のセンサ設定画面34で設定できるのである。すなわち、
図10の左欄に、下限センサ12aがオンした場合(つまり、原料が溜まっている状態)に、すぐに、籾摺部2を起動するか否かの時間を設定する籾摺部起動時間設定部35(標準値としては20秒)と、下限センサ12aがオフした場合(つまり、原料がなくなった状態)に、すぐに、籾摺部2を停止するか否かの時間を設定する籾摺部停止時間設定部36(標準値としては0.7秒)とが設けられる。
【0027】
一方、籾摺部2の戻りタンク13には、穀粒の上限値を検知する上限センサ13aが設けられており(
図1参照)、この上限センサ13aが作動した場合の条件設定が、
図10のセンサ設定画面34で設定できる。すなわち、
図10の右欄に、上限センサ13aがオンした場合(つまり、戻り籾が多くなり、戻りタンクから溢れ出る直前の状態)に、すぐに、揺動選別部4を停止するか否かの時間を設定する揺動選別部停止時間設定部37(標準値としては2秒)と、上限センサ13aがオフした場合(つまり、戻り籾が少なくなった状態)に、すぐに、揺動選別部4を起動するか否かの時間を設定する揺動選別部起動時間設定部38(標準値としては0.7秒)と、上限センサ13aがオンした場合(つまり、戻り籾が多くなり、戻りタンクから溢れ出る状態)に、すぐに、警報を発するか否かの時間を設定する警報発生時間設定部39(標準値としては3秒)と、が設けられる。センサ設定画面34では、以上のような時間設定が行われる。
【0028】
上記時間設定を終了させると、
図9において、籾摺部ボタン40を押し、籾摺部調整画面41(
図11)に遷移させる。ここでは、籾摺部電流設定部42と流量設定部43とが設けられ、それぞれのアップダウンキー44,45を押すことで、籾摺部電流設定部42では任意の脱ぷ率を設定するとともに、流量設定部43では任意の流量を設定することになる。
【0029】
さらに、
図9において、混合米タンクセンサボタン46を押すと、混合米タンクセンサ設定画面47(
図12)に遷移する。揺動選別部4の混合米タンク7には、穀粒の上限値を検知する上限センサ7aと穀粒の下限値を検知する下限センサ7bとが設けられており(
図1参照)、上限センサ7aが作動した場合の条件設定が、
図12の混合米タンクセンサ設定画面47で設定できる。すなわち、
図12の左上欄には、上限センサ7aがオンした場合(つまり、混合米が溜まってきて溢れそうな満量状態)に、すぐに、籾摺部2を停止するか否かの時間を設定する籾摺部停止時間設定部48(標準値としては3秒)と、上限センサ7aがオフした場合(つまり、満量状態から混合米が少なくなった状態)に、流量をわずかに減少して籾摺部2を再起動するまでの時間を設定する籾摺部再起動時間設定部49(標準値としては15秒)とを設ける。また、
図12の右上欄には、下限センサ7bがオフした場合(つまり、混合米が減ってきて選別ムラが生じる状態)に、すぐに、揺動選別部4を停止するか否かの時間を設定する揺動選別部停止時間設定部50(標準値としては3.5秒)と、下限センサ7bがオンした場合(つまり、混合米が再び溜まってきて選別ムラが解消される状態)に、流量をわずかに増加して揺動選別部4を再起動するまでの時間を設定する揺動選別部再起動時間設定部51(標準値としては15秒)とを設ける。
【0030】
また、
図1に示すように、供給タンク12から籾摺部2に原料を供給する際は、流量の増減制御を行うことのできる振動フィーダ52が設けられる。該フィーダは例えば、電磁フィーダ等を用いると、電流制御により振動の大きさが調節でき、供給タンク12から籾摺部2に原料を供給するときに流量の多寡を調節できるものである。
図12の左下欄には、前記振動フィーダ52の制御パネルが設けられており、前記下限センサ7bがオンしたときに、流量をわずかに増量するフィーダ流量増量部53(現在よりも0.2%増量)と前記上限センサ7aがオフしたときに(満量状態から混合米が少なくなった状態)に、流量をわずかに減量するフィーダ流量減量部54とが設けられている。
【0031】
上記設定が終了すれば、
図9において、揺動選別部ボタン55を押し、揺動選別機設定画面27(
図8)に遷移させる。
図1に示すように、揺動選別部4には、揺動選別板の穀粒排出端に、籾領域、混合米領域及び玄米領域の各領域を仕切る選別仕切板4aが設けられており、該選別仕切板4aは、左右方向に移動可能となるよう、ギヤモータ付のねじ軸が取り付けられていて、該選別仕切板を電気的に制御可能な構成となっている(
図8の符号4aは玄米領域と混合米領域とを仕切る仕切板であり、符号4cは籾領域と混合米領域とを仕切る仕切板であり、仕切板4aを移動することで仕切板4cも移動される仕組みとなっている。)。特に、選別仕切板4a(玄米領域と混合米領域とを仕切る仕切板)には、籾と玄米とを色で判別することができる光学センサ4bが取り付けられており、該光学センサ4bは、境界位置付近に籾が流れているか玄米が流れているかを判別し、選別仕切板4aを、混合米領域と玄米領域との境界位置付近に正確に位置させる役目を果たすことができる。
図8の調整画面27では選別仕切板4aの自動運転の際の調整ができる。
【0032】
図8の設定画面27を参照すれば、画面27の下部には、仕切板位置設定部55が示されていて、作業者は選別仕切板4aの位置が基準位置56でよいか否かを確認し、玄米領域を広げたい場合は、右ボタン57を押して基準位置56の表示を右方向に移動させることができ、玄米領域を縮小したい場合は、左ボタン58を押して基準位置56の表示を左方向に移動させることができる。符号59は選別仕切板4aの基準位置56を確定する確定ボタンであり、符号60は現時点の選別仕切板4aの位置を示すインジケータであり、符号61は揺動選別板4上の混合米量を調整する流量調整部であり、符号62は揺動選別板4の角度を調整する角度調整部である。
【0033】
次に、
図13を参照して、前記選別仕切板4aの自動運転について説明する。いま、
図13(a)のように、光学センサ4bの取り付け位置を示すインジケータ60が「5」の位置を示すとき、選別仕切板4aは、基準位置「3」から籾寄りに「2」多い位置にある。この場合、揺動選別部4の循環・排出バルブ63(
図9参照)は機外排出側に切り替わり、玄米排出状態となる。このとき、選別仕切板4aのギヤモータは、選別仕切板4aを籾方向へ移動するよう制御する。
【0034】
次に、
図13(b)のように、選別仕切板4aを籾方向に移動制御し、ついに、光学センサ4bが「籾」を感知するようになると、インジケータ60は「6」の位置付近を示し、この状態になると、循環・排出バルブ63(
図9参照)は機内循環側に切り替わり、選別仕切板4aを玄米方向へ移動するよう制御する。
【0035】
そして、
図13(c)のように、選別仕切板4aを玄米方向に移動させ、光学センサ4bが「籾」を感知しなくなると、インジケータ60は「5」以下を示すようになり、この状態になると、循環・排出バルブ63(
図9参照)は機外排出側に切り替わり、玄米排出状態となる。そして、再度、
図13(a)のように選別仕切板4aを籾寄りに制御することになる。以上のような選別仕切板4aの位置の制御は、選別仕切板4aを基準位置「3」付近に制御しつつ、かつ、玄米の機外への排出量をできるだけ多くしようとする制御である。このとき、選別仕切板4aの移動が基準位置56から大きく外れた場合や、選別仕切板4aの移動が基準位置「3」に収束するのに長時間かかる場合は、運転に異常が発生しているということであり、作業者は選別仕切板4aの動きを見て異常であるか否かを容易に推測することができる。
【0036】
上記設定が終了すれば、
図9において、粒選別部ボタン64を押し、粒選別部設定画面65(
図14)に遷移させる。粒選別部設定画面65では、粒選別部5の選別金網5a(
図1参照)への米粒の目詰まり防止のために、選別金網5aの正回転、逆回転の時間設定が可能となっている。符号66は、正回転時間設定部であり、選別金網5aの正回転時間の設定をすることができ、標準値としては、2時間を設定することができる。符号67 は、逆回転時間設定部であり、逆回転時間の設定をすることができ、標準値としては3 0秒を設定することができる。符号68は、停止時間設定部であり、選別金網5aの正回転の停止、次いで、循環排出バルブ8a(
図1)を機外排出の状態(米粒が供給されない状態)として、逆回転を開始する時間を設定することができ、標準値としては60秒を設定することができる。
【0037】
次に、本実施形態の穀物調製設備の単動運転について説明する。
図7の「単動運転」14bを選択すると、単動画面69に遷移し(
図15参照)、各モータを駆動することになる。起動する際には、下流側からモータを起動することになる。まず、粒選別部5を駆動させるため、粒選別機モータ70を正回転に、残留排出バルブ8aのモータ71を通常に切り換え、粒選別機用揚穀機8のモータ72を駆動しておく。各モータの駆動は、単動画面69上のタッチボタンを押すことで起動が可能となる。次に、籾摺部2、風選部3及び揺動選別部4を駆動させることになる。混合米揚穀機6のモータ73を起動し、揺動選別部4は、揺動選別部4の循環排出バルブ63のバルブモータ74を循環位置に切り換えておき、選別板上での選別状態が安定した後に排出位置に切り換える。また、揺動選別部4の流量及び選別板の角度を適宜調整した後、揺動選別機4の本機モータ75を駆動させるとよい。籾摺部2及び風選部3は、籾殻輸送ファンモータ76、籾返還用揚穀機9のモータ77、混合米排出スクリュ用のモータ78及び風選機用のモータ79を順次起動し、次いで、籾摺部2の本機モータ80を起動することになる。前記各モータは、単動画面65上の各起動ボタンを押すことで、オン・オフの操作をすることが可能となる。
【0038】
以上のようにオペレータの選択により自動運転又は単動運転により、本実施形態の穀物調整設備の運転操作がなされるが、次に、前記モータ等の異常が発生した場合の対処方法について説明する。
【0039】
自動運転の場合、運転中は、
図9のような自動運転モニタが表示され、設備全体の流れがラインフロー表示となり、運転状況を一目で把握することができる。このような正常運転中に、例えば、モータ等の異常が発生すると、
図16のように異常箇所と警報表示が表れる。このような画面表示となった場合、オペレータは原因を究明するとともに、復旧対策を講じることになる。例えば、
図16の場合、混合米揚穀機6に、単に、穀粒の詰まりが発生しただけであれば、穀粒を除去して詰まりを解消し、動力盤81(
図2参照)内のサーマルリレーを復旧し、警報解除ボタン82を押して警報を解除することになる。これに対し、混合米揚穀機6のモータ73が焼損しているなどしてモータが故障している場合は、モータ73を新品モータと交換後に動力盤81のサーマルリレーを復旧することになる。このとき、混合米揚穀機6の単なる詰まりか、あるいは、モータ73が焼損しているかの確認は、
図17の警報画面を確認することである程度の判断がつくと思われる。
【0040】
図16の警報解除ボタン82を押すと、
図4のメインメニューに遷移し、ここで、警報ボタン17を押すことで、
図17のような過去の警報履歴一覧が表示されるようになる。
図17を参照すれば、過去に何度も混合米揚穀機6の詰まり現象が生じていることが分かる。この履歴に基づき、サービスマンはモータ73が一部焼損し、一時停止を繰り返す動作をしていると判断できれば、モータ73を新品に交換することで根本的な解決手段となり得る。
サービスマンにより混合米揚穀機6のモータ72を新品のモータと交換した後は、作業者が
図17の警報解除ボタン83を押すことで、
図4のメインメニューに遷移し、運転を再開することができる。