(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記選択部は、前記検査履歴に基づいて、前記新規な画像形成条件と同一の条件により画像形成を行ったことのある画像形成装置のうち、直近の検査結果に不良のない画像形成装置を、最も良い検査結果が得られる画像形成装置として選択する請求項8または9に記載の画像形成システム。
前記選択部は、前記検査履歴に基づいて、前記新規な画像形成条件と同一の条件により画像形成を行ったことがあり、かつ、検査結果に不良のない画像形成装置のうち、最新の履歴を有する画像形成装置を、最も良い検査結果が得られる画像形成装置として選択する請求項8〜10のいずれか一項に記載の画像形成システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の技術では、原画像のPDLデータから判別できる画像の種類、すなわち、印刷前から確定される情報に基づいて、画像の品質の判定に用いる検査項目を決定する。印刷前から確定される情報のみを用いるため、たとえば、原画像のPDLデータからカラーの情報を含むデータが判別されれば、実際の印刷時にカラー印刷が設定されようがモノクロ印刷が設定されようが、検査項目の一つとして「カラーの色再現」が決定されてしまう。
【0006】
モノクロ印刷に対して、「カラーの色再現」を検査するのでは、印刷後の画像の品質を正しく判定できない。このように、上記の技術では、印刷前から確定される情報のみに基づいて検査項目を決定するため、画像品質の判定の信頼性が低いという問題がある。
【0007】
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、画像品質の判定の信頼性が高い検査装置、画像形成装置、画像形成システム、検査プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)記録材上に形成された画像を読み取って読取画像データを生成する読取部と、前記記録材に画像を形成する際に確定される画像形成条件を取得する取得部と、前記取得部により取得した前記画像形成条件に基づいて、全検査項目から不必要な検査項目を除去することにより、前記読取画像データを検査するための検査項目を決定する決定部と、前記決定部により決定した前記検査項目に基づいて、前記読取画像データを検査する検査部と、を有
し、前記画像形成条件は、画像形成に色彩を用いるか否かを示すカラーモードである、検査装置。
【0010】
(
2)
記録材上に形成された画像を読み取って読取画像データを生成する読取部と、前記記録材に画像を形成する際に確定される画像形成条件を取得する取得部と、前記取得部により取得した前記画像形成条件に基づいて、全検査項目から不必要な検査項目を除去することにより、前記読取画像データを検査するための検査項目を決定する決定部と、前記決定部により決定した前記検査項目に基づいて、前記読取画像データを検査する検査部と、を有し、前記画像形成条件は、前記記録材表面における色材の占める割合を示す印字率である上記(1)に記載の検査装置。
【0011】
(
3)前記画像形成条件は、前記画像を形成するための原画像データをラスタライズ処理することによって確定される上記(1)
または(2)に記載の検査装置。
(
4)前記画像形成条件は、印刷設定情報に基づいて確定される上記(1)
または(2)に記載の検査装置。
【0012】
(
5)記録材上に画像を形成する画像形成部と、前記記録材上に形成された前記画像を読み取って読取画像データを生成する読取部と、前記記録材に画像を形成する際に確定される画像形成条件を取得する取得部と、前記取得部により取得した前記画像形成条件に基づいて、全検査項目から不必要な検査項目を除去することにより、前記読取画像データを検査するための検査項目を決定する決定部と、前記決定部により決定した前記検査項目に基づいて、前記読取画像データを検査する検査部と、を有
し、前記画像形成条件は、画像形成に色彩を用いるか否かを示すカラーモードである、画像形成装置。
【0014】
(
6)
記録材上に画像を形成する画像形成部と、前記記録材上に形成された前記画像を読み取って読取画像データを生成する読取部と、前記記録材に画像を形成する際に確定される画像形成条件を取得する取得部と、前記取得部により取得した前記画像形成条件に基づいて、全検査項目から不必要な検査項目を除去することにより、前記読取画像データを検査するための検査項目を決定する決定部と、前記決定部により決定した前記検査項目に基づいて、前記読取画像データを検査する検査部と、を有し、前記画像形成条件は、前記記録材表面における色材の占める割合を示す印字率である上記(
5)に記載の画像形成装置。
【0015】
(
7)前記画像形成条件は、前記画像を形成するための原画像データをラスタライズ処理することによって確定される上記
(5)または(6)に記載の画像形成装置。
【0016】
(
8)上記(
5)〜(
7)のいずれか一つに記載の画像形成装置を複数台含む画像形成装置群と、前記画像形成装置群を管理するサーバーと、を有し、前記サーバーは、各前記画像形成装置の前記検査部による前記読取画像データの検査結果、および、当該検査結果に係る画像の前記画像形成条件を対応づけて、検査履歴を作成する履歴作成部と、新規な画像形成に係る新規な画像形成条件を取得し、前記新規な画像形成条件により画像形成を行った場合に最も良い検査結果が得られる画像形成装置を、前記検査履歴に基づいて、選択する選択部と、前記選択部により選択された画像形成装置に、前記新規な画像形成条件による画像形成を指示する制御部と、を有する画像形成システム。
【0017】
(
9)記録材上に画像を形成する画像形成部と、前記記録材上に形成された前記画像を読み取って読取画像データを生成する読取部と、前記記録材に画像を形成する際に確定される画像形成条件を取得する取得部と、前記取得部により取得した前記画像形成条件に基づいて、前記読取画像データを検査するための検査項目を決定する決定部と、前記決定部により決定した前記検査項目に基づいて、前記読取画像データを検査する検査部と、を有する画像形成装置を複数台含む画像形成装置群と、前記画像形成装置群を管理するサーバーと、を有し、前記サーバーは、各前記画像形成装置の前記検査部による前記読取画像データの検査結果、および、当該検査結果に係る画像の前記画像形成条件を対応づけて、検査履歴を作成する履歴作成部と、新規な画像形成に係る新規な画像形成条件を取得し、前記新規な画像形成条件により画像形成を行った場合に最も良い検査結果が得られる画像形成装置を、前記検査履歴に基づいて、選択する選択部と、前記選択部により選択された画像形成装置に、前記新規な画像形成条件による画像形成を指示する制御部と、を有し、前記選択部は、前記検査履歴に基づいて、前記新規な画像形成条件と同一の条件により画像形成を行ったことのある画像形成装置のうち、不良の検査結果の頻度が最も低い画像形成装置を、最も良い検査結果が得られる画像形成装置として選択する、画像形成システム。
【0018】
(
10)前記選択部は、前記検査履歴に基づいて、前記新規な画像形成条件と同一の条件により画像形成を行ったことのある画像形成装置のうち、直近の検査結果に不良のない画像形成装置を、最も良い検査結果が得られる画像形成装置として選択する上記(
8)または(
9)に記載の画像形成システム。
【0019】
(
11)前記選択部は、前記検査履歴に基づいて、前記新規な画像形成条件と同一の条件により画像形成を行ったことがあり、かつ、検査結果に不良のない画像形成装置のうち、最新の履歴を有する画像形成装置を、最も良い検査結果が得られる画像形成装置として選択する上記(
8)〜(
10)のいずれか一つに記載の画像形成システム。
【0020】
(
12)記録材上に形成された画像を読み取って読取画像データを生成する手順(a)と、前記記録材に画像を形成する際に確定される
、画像形成に色彩を用いるか否かを示すカラーモードである画像形成条件を取得する手順(b)と、前記手順(b)により取得した前記画像形成条件に基づいて、全検査項目から不必要な検査項目を除去することにより、前記読取画像データを検査するための検査項目を決定する手順(c)と、前記手順(c)により決定した前記検査項目に基づいて、前記読取画像データを検査する手順(d)と、をコンピュータに実行させるための検査プログラム。
(13)記録材上に形成された画像を読み取って読取画像データを生成する手順(a)と、前記記録材に画像を形成する際に確定される、前記記録材表面における色材の占める割合を示す印字率である画像形成条件を取得する手順(b)と、前記手順(b)により取得した前記画像形成条件に基づいて、全検査項目から不必要な検査項目を除去することにより、前記読取画像データを検査するための検査項目を決定する手順(c)と、前記手順(c)により決定した前記検査項目に基づいて、前記読取画像データを検査する手順(d)と、をコンピュータに実行させるための検査プログラム。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る検査装置、画像形成装置、画像形成システム、検査プログラムによれば、画像形成時に確定される画像形成条件に基づいて検査項目を決定するため、用紙などの記録材に形成された画像の品質の判定の信頼性を向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0024】
〔第1実施形態〕
(画像形成装置の構成)
図1は、画像形成装置の概略構成の一例を示す図である。画像形成装置10は、給紙装置100、画像形成本体200および検査装置300を有する。
【0025】
給紙装置100は、用紙を画像形成本体200に供給する。給紙装置100は、複数の給紙カセットを有し、各カセットには、それぞれ異なる特性(種類、サイズ等)を有する用紙が格納されうる。
【0026】
画像形成本体200は、給紙装置100から供給される用紙上に画像を形成する。ただし、これに限らず、画像形成本体200は、たとえば、画像形成本体200内に組み込まれた給紙トレイから供給される用紙上に画像を形成してもよい。
【0027】
検査装置300は、画像形成本体200により用紙上に形成された画像を読み取って読取画像データを生成し、読取画像データを検査して検査結果を生成する。
【0028】
画像形成本体200および検査装置300の構成について、以下により詳細に説明する。
【0029】
(画像形成本体200)
図2は、画像形成本体200のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。画像形成本体200は、制御部210、記憶部220、通信部230および画像形成部240を有し、これらは信号をやり取りするためのバスを介して相互に接続されている。
【0030】
制御部210は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)であり、プログラムに従って上記各構成要素の制御や各種の演算処理を実行する。画像形成本体200の各機能は、それに対応するプログラムを制御部210が実行することにより発揮される。
【0031】
記憶部220は、予め各種プログラムや各種データを格納しておくROM(Read Only Memory)、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶するRAM(Random Access Memory)、各種プログラムや各種データを格納するハードディスク等からなる。
【0032】
通信部230は、ネットワークを介し他の装置(たとえば、クライアント端末装置や検査装置など)と通信するためのインターフェースである。通信には、イーサネット(登録商標)、Wi−Fi、FDDI、トークンリング等の規格が用いられる。
【0033】
画像形成部240は、
図1に示すように、像担持体として、感光体ドラム(Y、M、C、K)および中間転写ベルトBが用いられる。中間転写ベルトBは、無端ベルトであり、複数のローラーにより走行可能に支持される。感光体ドラムに形成された各色のトナー像は、中間転写ベルトB上に逐次転写され、各色の層が重畳したトナー像(カラー画像)が中間転写ベルトB上に形成される。そして、トナーと逆極性のバイアスを転写ローラーに印加することにより、中間転写ベルトB上に形成されたトナー像は用紙上に転写され、その後、定着部Tにより定着される。
【0034】
画像形成本体200は、また、各種情報の表示や各種指示の入力に使用できるタッチパネル、テンキー、スタート/ストップボタンなどを備える操作パネル等その他の構成を有してもよい。画像形成本体200は、画像形成機能に加え、コピー機能、スキャン機能、ファクシミリ機能等を有するMFP(Multi−Function Peripheral)を構成できる。
【0035】
上記画像形成本体200において、制御部210は、たとえば、クライアント端末装置から原画像データ及びユーザーにより設定される各種の印刷設定情報を受付ける。制御部210は、また、各種の印刷設定情報および画像形成装置10の実現できる機能に応じて、原画像データをラスタライズ(RIP)処理する。制御部210は、さらに、各種の印刷設定情報やRIP処理後のラスタライズデータに基づいて画像形成条件を確定し、確定した画像形成条件で用紙上に画像を形成するように画像形成部240を制御する。確定した画像形成条件は、記憶部220に記憶される。確定した画像形成条件は、また、通信部230を介して検査装置300に送信される。画像形成条件の詳細については、後述する。
【0036】
(検査装置300)
図3は、検査装置300のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。検査装置300は、制御部310、記憶部320、通信部330および撮像部340を有し、これらは信号をやり取りするためのバスを介して相互に接続されている。なお、記憶部320および通信部330は、画像形成本体200の記憶部220および通信部230と同様の機能を有するので、説明の重複を避けるため、これらの説明を省略する。
【0037】
制御部310は、プログラムに従って上記各構成要素の制御や各種の演算処理等を実行する。制御部310は、読取部として、撮像部340を制御して用紙上に形成された画像を読み取って読取画像データを生成する。読取画像データは、記憶部320に記憶される。
【0038】
撮像部340は、制御部310の指示に従い、用紙上に形成された画像を撮像する。撮像部340は、たとえば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの素子を使用したラインセンサーやエリアセンサーを用いる。
【0039】
上記検査装置300において、制御部310は、取得部として、画像形成本体200により用紙上に画像を形成する際に確定される画像形成条件を取得する。
【0040】
制御部310は、また、決定部として、画像形成本体200から取得した画像形成条件に基づいて、読取画像データを検査するための検査項目を決定する。検査項目および検査項目を決定する方法の詳細については、後述する。
【0041】
制御部310は、さらに、検査部として、決定した検査項目に基づいて、読取画像データを検査し、検査結果を生成する。検査結果は、通信部330を介して画像形成本体200またはその他の装置に送信され、画像品質の判定に用いられる。
【0042】
以上のように構成される画像形成装置10は、画像形成本体200により用紙上に画像を形成し、検査装置300により用紙上に形成された画像を読み取って読取画像データを生成し、読取画像データを検査して検査結果を生成する。また、読取画像データの検査に用いる検査項目は、画像形成時に確定される画像形成条件に基づいて決定される。
【0043】
次に、画像形成条件および検査項目について詳細に説明する。
【0044】
(画像形成条件)
図4は、画像を形成する際に確定される画像形成条件を分類して表示した例を示す図である。画像形成条件は、ユーザーにより設定される各種の印刷設定情報および画像形成装置10の実現できる機能などにより確定される。画像形成条件は、たとえば、「カラーモード」、「印字率」、「用紙情報」、「スクリーン情報」などに分類できる。
【0045】
「カラーモード」とは、「カラー印刷」、「モノクロ印刷」、「モノカラー(2色)印刷」などといった印刷時において使用するカラーの情報のことを指す。すなわち、「カラーモード」は、画像形成時に色彩を用いるか否かを示す画像形成条件である。たとえば、ユーザーはクライアント端末装置から原画像データの印刷を指示する際に、印刷設定情報として「カラー印刷」を設定できる。画像形成本体200は、当該印刷設定情報から画像形成条件の一つとして「カラー印刷」を確定できる。ただし、これに限らず、画像形成本体200は、原画像のPDLデータをRIP処理した後のラスタライズデータの種類の数から「カラーモード」を確定してもよい。たとえば、RIP処理後のラスタライズデータが1種類(Kのみ)である場合、画像形成本体200は、画像形成条件の一つとして「モノクロ印刷」を確定できる。また、RIP処理後のラスタライズデータが4種類(Y、M、C、K)である場合、画像形成本体200は、画像形成条件の一つとして「カラー印刷」を確定できる。
【0046】
「印字率」とは、「低印字率」、「高印字率」といった印字される用紙全体の面積に対して印字部分(トナー、インキ等の色材が印字されるドット)の積算面積が占める比率のことを指す。すなわち、「印字率」は、用紙表面における色材の占める割合を示す画像形成条件である。たとえば、用紙全体の面積の10%以下に印字される場合、画像形成本体200は、画像形成条件の一つとして「低印字率」を確定できる。画像形成本体200は、原画像のPDLデータをRIP処理した後のラスタライズデータから「印字率」を算出できる。ただし、これに限らず、画像形成本体200は、専用のソフトウェアを利用して「印字率」を算出できる。
【0047】
また、「用紙情報」とは、紙種、坪量、厚さ、白色度などの印刷する用紙の持つ特性のことを指し、「スクリーン情報」とは、印刷時に使用されるスクリーン(網点)の特徴のことを指す。特に、AMスクリーン(振幅変調)の場合は、角度や線数、網点形状を指し、FMスクリーン(周波数変調)の場合は、周波数特性などを指す。これらの画像形成条件も、実際の画像形成時にユーザーにより設定される各種の印刷設定情報や原画像のPDLデータのRIP処理後のラスタライズデータから求められる。
【0048】
画像形成条件が確定されれば、制御部210は、確定した画像形成条件に基づいて画像を形成するように画像形成部240を制御する。
【0049】
(検査項目)
図5は、読取画像データの検査に用いられる検査項目の一覧を示す図である。検査項目は、たとえば、「色再現」、「ノイズ」、「位置」、「欠損」などに分類できる。これらの検査項目は、たとえば、記憶部320に予め記憶されている。
【0050】
「色再現」には、「カラーの色再現」、「モノクロの色再現」を含む。「カラーの色再現」とは、原画像データの各画素の色の読取画像データの各画素での各色のトナーによる再現性をいう。たとえば、カラー印刷された写真などの原画像に対しては「カラーの色再現」は重要な検査項目となる。一方、もっぱら情報伝達を目的とする文字のみからなる原画像に対しては、「カラーの色再現」は検査する必要がない場合が多い。「モノクロの色再現」とは、原画像データの各画素のブラック色の濃度の読取画像データの各画素でのトナーによる再現性をいう。たとえば、モノクロ印刷された写真などの原画像に対しては「モノクロの色再現」は重要な検査項目となる。同様に、もっぱら情報伝達を目的とする文字のみからなる原画像に対しては、「モノクロの色再現」は検査する必要がない場合が多い。
【0051】
「ノイズ」には、「スジ」、「スポット」、「汚れ」などを含む。また、「位置」には、「印字位置精度」を含み、「欠損」には、「文字欠損」、「画像欠損」などを含む。
【0052】
第1実施形態に係る画像形成装置10は、用紙上に画像を形成する際に確定される画像形成条件に基づいて、
図5に示す検査項目から不必要な検査項目を除去して、読取画像データを検査する。
【0053】
(画像形成装置の動作)
図6は、画像形成装置10の動作フローチャートである。
図7は、画像形成装置10により画像の品質を判定するイメージを示す図である。以下、
図7を参照しながら、
図6の動作フローチャートに基づいて、画像形成装置10の動作を詳細に説明する。
【0054】
まず、制御部210は、原画像データ及び印刷設定情報を受付ける(ステップS101)。制御部210は、たとえば、
図7に示すように、クライアント端末装置から原画像のPDLデータ及びユーザーにより設定される各種の印刷設定情報を受付ける。ただし、これに限らず、制御部210は、画像形成装置10の有するスキャン機能により原画像データを受付け、操作パネルを介してユーザーから各種の印刷設定情報を受付けることもできる。
【0055】
続いて、制御部210は、ステップS101で受付けた原画像データに対してラスタライズ(RIP)処理を行う(ステップS102)。具体的には、制御部210は、受付けた印刷設定情報および画像形成装置10の実現可能な機能に応じて、原画像データに対してRIP処理を行う。制御部210は、たとえば、印刷設定情報として「カラー印刷」を受付け、かつ、画像形成装置10が多色(たとえば、Y、M、C、K)のカラー印刷を実現できる場合、各色に対応するラスタライズデータを生成する。また、制御部210は、印刷設定情報として「モノクロ印刷」を受付けるか、または画像形成装置10が単色(K)のモノクロ印刷のみ実現できる場合、単色に対応するラスタライズデータを生成する。
【0056】
続いて、制御部210は、画像形成部240により用紙上に原画像データに基づく画像を形成するための画像形成条件を確定する(ステップS103)。具体的には、制御部210は、受付けた印刷設定情報やステップS102で生成したラスタライズデータに基づいて、画像形成条件を確定する。制御部210は、たとえば、ラスタライズデータが単色の1種類のみである場合、画像形成条件として「モノクロ印刷」を確定する。また、制御部210は、ラスタライズデータが多色の多種類である場合、画像形成条件として「カラー印刷」を確定する。なお、制御部210は、受付けた印刷設定情報から「カラーモード」を確定することもできる。制御部210は、また、ラスタライズデータを解析して、「低印字率」または「高印字率」を確定する。たとえば、ラスタライズデータにおける各画素の値から当該画素に印字が有るか否かを判断し、印字がある画素の数を積算し、積算値を全画素の数で除算することにより「印字率」を確定できる。なお、制御部210は、専用のソフトフェアによっても「印字率」を確定できる。このほか、制御部210は、受付けた印刷設定情報などから「用紙情報」や「スクリーン情報」などに関する画像形成条件を確定する。確定される画像形成条件は、記憶部220に記憶される。
【0057】
続いて、制御部210は、画像形成部240を制御して、給紙装置100から供給された用紙上に画像を形成する(ステップS104)。具体的には、制御部210は、画像形成部240を制御して、ステップS103で確定された画像形成条件により用紙上に原画像に基づく画像を形成させる。画像形成された用紙は、検査装置300に搬送される。
【0058】
続いて、検査装置300の制御部310は、読取画像データを生成する(ステップS105)。具体的には、制御部310は、読取部として、撮像部340を制御して用紙上に形成された画像を読み取って読取画像データを生成する。制御部310は、また、読取画像データに対して、シェーディング補正やフィルタリング(たとえば、雑音除去)などの画像処理を施すことができる。
【0059】
続いて、制御部310は、読取画像データを検査するための検査項目を決定する(ステップS106)。具体的には、制御部310は、
図7に示すように、用紙上に画像を形成する際に確定される画像形成条件を取得し、取得した画像形成条件に基づいて、
図5に示すような検査項目から不必要な検査項目を除去する。検査項目決定処理の詳細については、後述する。
【0060】
続いて、制御部310は、ステップS106で決定した検査項目に基づいて、読取画像データを検査する(ステップS107)。制御部310は、たとえば、原画像データと読取画像データとを比較処理し、各検査項目の品質を判定した検査結果を生成する。
【0061】
続いて、制御部310は、ステップS107で生成した検査結果を出力する(ステップS108)。制御部310は、たとえば、
図7に示すように、検査結果を画像形成本体200にフィードバックする。画像形成本体200では、たとえば、操作パネルに検査装置300による検査結果を表示する。ただし、これに限らず、制御部310は、通信部330を介して検査結果をその他の装置に送信することもできる。
【0062】
(検査項目決定処理)
次に、検査項目決定処理(ステップS106)について詳細に説明する。
【0063】
図8は、検査項目決定処理の手順を示すフローチャートである。
図9は、「低印字率」の画像形成条件が含まれる場合、読取画像データを検査した検査結果の例を示す図である。
図10は、「モノクロ印刷」の画像形成条件が含まれる場合、読取画像データを検査した検査結果の例を示す図である。
【0064】
まず、制御部310は、全検査項目を取得する(ステップS201)。制御部310は、たとえば、予め記憶部320に記憶されている検査項目の全てを読み出す。ただし、これに限らず、制御部310は、その他の外部装置から検査項目を取得することもできる。
【0065】
続いて、制御部310は、ステップS103で確定した画像形成条件を取得する(ステップS202)。具体的には、制御部310は、通信部330を介して画像形成本体200と通信することにより、画像形成本体200の記憶部220に記憶された画像形成条件を取得する。なお、画像形成条件は、ステップS103で画像形成条件を確定した後、制御部310が通信部330を介して画像形成本体200から画像形成条件を受信することにより取得することもできる。
【0066】
続いて、制御部310は、ステップS202で取得した画像形成条件に「低印字率」が含まれているか否かを判断する(ステップS203)。画像形成条件に「低印字率」が含まれる場合(ステップS203:YES)、制御部310は、「カラーの色再現」及び「モノクロの色再現」を全検査項目から除去して(ステップS204)、
図6のステップS107の処理に進む。画像形成条件に「低印字率」が含まれると、「カラーの色再現」等を検査項目から除去するのは次の理由からである。たとえば、
図9(a)に示すように、原画像データは、赤色に編集されたデータを含む文字のみから構成され、画像形成本体200によりカラー印刷されている。上述したように、もっぱら情報伝達を目的とする文字のみからなる原画像に対して、「カラーの色再現」や「モノクロの色再現」を検査する必要がない。したがって、
図9(b)に示すように、たとえば、
図5に示す検査項目の一覧から「色再現」の分類に含まれる検査項目を除去して検査を行い、検査結果を生成する。
【0067】
一方、ステップS202で取得した画像形成条件に「低印字率」が含まれない場合(ステップS203:NO)、制御部310は、画像形成条件に「モノクロ印刷」が含まれているか否かを判断する(ステップS205)。
【0068】
画像形成条件に「モノクロ印刷」が含まれる場合(ステップS205:YES)、制御部310は、「カラーの色再現」を全検査項目から除去して(ステップS206)、
図6のステップS107の処理に進む。画像形成条件に「モノクロ印刷」を含まれると、「カラーの色再現」を検査項目から除去するのは次の理由からである。たとえば、
図10(a)に示すように、原画像データは、赤色に編集されたデータ(図において、括弧により囲んだ部分)を含むが、画像形成本体200により原画像データの全体がモノクロ印刷されている。上述したように、画像形成条件に「モノクロ印刷」が含まれる場合、そもそもカラーがないので、「カラーの色再現」を検査する必要はない。したがって、
図10(b)に示すように、たとえば、
図5に示す検査項目の一覧から「カラーの色再現」の検査項目を除去して検査を行い、検査結果を生成する。
【0069】
一方、画像形成条件に「モノクロ印刷」が含まれない場合(ステップS205:NO)、制御部310は、特段の処理を行わず、
図6のステップS107の処理に進む。
【0070】
以上のように、第1実施形態に係る画像形成装置10によれば、画像形成時に確定される画像形成条件に基づいて検査項目を決定するため、より適切に検査項目を決定することができる。したがって、用紙に形成された画像の品質の判定の信頼性を向上できる。
【0071】
上記の第1実施形態において、撮像部340は検査装置300に設置され、検査装置300は、画像形成本体200との通信により画像形成条件を取得し、読取画像データの検査結果を画像形成本体200にフィードバックする。ただし、第1実施形態はこれに限らず、撮像部340が画像形成本体200内に設置され、制御部210により制御部310の機能を達成してもよい。あるいは、検査装置300は、撮像部340のみを含み、撮像部340は、画像形成本体200の制御部210により制御されてもよい。この場合、
図3の制御部310は省略できる。
【0072】
〔第2実施形態〕
上記第1実施形態では、用紙に画像を形成する際に確定される画像形成条件に基づいて、読取画像データを検査するための検査項目を決定し、決定した検査項目に基づいて、読取画像データを検査する画像形成装置を提供している。第2実施形態では、第1実施形態に係る画像形成装置を複数台含む画像形成装置群および該画像形成装置群を管理するサーバーを有する画像形成システムを提供する。
【0073】
(画像形成システムの構成)
図11は、画像形成システムの概略構成の一例を示す図である。画像形成システム1は、複数台の画像形成装置10a〜10nを含む画像形成装置群およびサーバー20を有し、これらはネットワーク30を介して相互通信可能に接続されている。サーバー20は、各画像形成装置の情報(たとえば、各画像形成装置の実現可能な機能情報等)を一元管理(群管理)する。各画像形成装置は、サーバー20の選択を受けて用紙上に画像を形成し、読取画像データを生成して検査を行い、検査結果をサーバー20に送信する。各画像形成装置は、第1実施形態に係る画像形成装置10と同様のものを使用でき、同様の機能を達成できる。このため、以下では、サーバー20の構成および動作のみについて説明する。
【0074】
(サーバー20の構成)
図12は、サーバー20のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。サーバー20は、制御部21、記憶部22および通信部23を有する。なお、記憶部22および通信部23は、第1実施形態に係る画像形成装置の画像形成本体200の記憶部220および通信部230と同様の機能を有するので、説明の重複を避けるため、これらの説明を省略する。
【0075】
制御部21は、たとえば、CPUであり、プログラムに従って上記各構成要素の制御や各種の演算処理等を実行する。サーバー20の各機能は、それに対応するプログラムを制御部21が実行することにより発揮される。
【0076】
制御部21は、履歴作成部として、各画像形成装置の検査部による読取画像データの検査結果、および、当該検査結果に係る画像の画像形成条件を対応づけて、検査履歴を作成する。作成された検査履歴は、記憶部22に記憶される。
【0077】
図13は、検査履歴のイメージを示す図である。検査履歴では、検査を実行した際の検査日時、画像形成装置、画像形成条件および検査結果などが対応づけられている。制御部21は、各画像形成装置からの検査結果を受付けて、検査履歴を生成、更新し、最新の検査履歴を記憶部22に記憶させる。なお、
図13では、画像形成条件の順に検査履歴を表している。a1〜a3は、画像形成装置10aの画像形成条件Aにおける検査履歴であり、b1〜b3は、画像形成装置10bの画像形成条件Aにおける検査履歴である。また、c1〜c3は、画像形成装置10cの画像形成条件Aにおける検査履歴であり、d1〜d3は、画像形成装置10dの画像形成条件Aにおける検査履歴である。
【0078】
制御部21は、また、選択部として、新規な画像形成に係る新規な画像形成条件を取得し、新規な画像形成条件により画像形成を行った場合に最も良い検査結果が得られる画像形成装置を、検査履歴に基づいて選択する。
【0079】
制御部21は、さらに、選択された画像形成装置に、新規な画像形成条件による画像形成を指示する。
【0080】
(サーバー20の動作)
サーバー20の動作について説明する。
【0081】
図14は、サーバー20の動作フローチャートである。
図15は、サーバー20により画像形成装置群から新規な画像形成条件により画像形成を行った場合に最も良い結果が得られる画像形成装置を選択するイメージを示す図である。以下、
図13、
図15を参照しながら、
図14の動作フローチャートに基づいて、サーバー20の動作を詳細に説明する。
【0082】
まず、制御部21は、原画像データ及び印刷設定情報を受付ける(ステップS301)。制御部21は、たとえば、
図15に示すように、クライアント端末装置から原画像のPDLデータ及びユーザーにより設定される各種の印刷設定情報を受付ける。制御部21は、また、ユーザーにより設定される各種の印刷設定情報および群管理している各画像形成装置の情報に基づいて、新規な画像形成に係る新規な画像形成条件を取得する。
【0083】
続いて、制御部21は、検査履歴を参照して(ステップS302)、画像形成装置を選択する(ステップS303)。具体的には、制御部21は、ステップS301で取得した新規な画像形成条件により画像形成を行った場合に最も良い検査結果が得られる画像形成装置を選択する。制御部21は、たとえば、新規な画像形成条件(以下、画像形成条件Aという)を取得すると、
図13の検査履歴を参照して、画像形成条件Aにより画像形成を行ったことのある画像形成装置10a〜10dから一つを選択する。
【0084】
画像形成装置を選択する方法の一例について説明する。制御部21は、たとえば、検査履歴に基づいて、新規な画像形成条件と同一の条件により画像形成を行ったことのある画像形成装置のうち、不良の検査結果の頻度が最も低い画像形成装置を選択する。たとえば、
図13の検査履歴において、画像形成条件Aにおける画像形成装置10aの検査履歴(a1〜a3)では、良好な検査結果が2回(a1、a2)で、不良の検査結果が1回(a3)である。一方、同様の画像形成条件Aにおける画像形成装置10bの検査履歴(b1〜b3)では、良好な検査結果が1回(b2)で、不良の検査結果が2回(b1、b3)である。画像形成条件Aにおける画像形成装置10aと画像形成装置10bとの検査履歴を比較すれば、画像形成装置10aの不良の検査結果の頻度が低い。このため、制御部21は、新規な画像形成条件が画像形成条件Aである場合には、画像形成装置10aを選択する。
【0085】
画像形成装置を選択する方法の他の一例について説明する。制御部21は、たとえば、検査履歴に基づいて、新規な画像形成条件と同一の条件により画像形成を行ったことのある画像形成装置のうち、直近の検査結果に不良のない画像形成装置を選択する。たとえば、
図13の検査履歴において、画像形成条件Aにおける画像形成装置10aおよび画像形成装置10cの検査履歴(a1〜a3、c1〜c3)では、いずれも良好な検査結果が2回で、不良の検査結果が1回である。しかし、不良の検査結果が得られたタイミングは、画像形成装置10aでは、直近の検査の際(検査履歴a3)であり、画像形成装置10cでは、直近から2回前の検査の際(検査履歴c1)である。画像形成条件Aにおける画像形成装置10aと画像形成装置10cとの検査履歴を比較すれば、画像形成装置10cの直近の検査結果に不良がない。このため、制御部21は、新規な画像形成条件が画像形成条件Aである場合には、画像形成装置10cを選択する。
【0086】
画像形成装置を選択する方法のさらに他の一例について説明する。制御部21は、たとえば、検査履歴に基づいて、新規な画像形成条件と同一の条件により画像形成を行ったことがあり、かつ、検査結果に不良のない画像形成装置のうち、最新の履歴を有する画像形成装置を選択する。たとえば、
図13の検査履歴において、画像形成条件Aにおける画像形成装置10cおよび画像形成装置10dの検査履歴(c1〜c3、d1〜d3)では、いずれも良好な検査結果が2回で、不良の検査結果が1回である。また、画像形成装置10cおよび画像形成装置10dの直近の検査履歴(c3、d3)は、いずれも良好な検査結果である。しかし、画像形成装置10dの直近の検査履歴d3は、画像形成装置10cの検査履歴c3よりも新しい検査履歴(検査日時がより近い)である。画像形成条件Aにおける画像形成装置10cと画像形成装置10dとの検査履歴を比較すれば、画像形成装置10dの良好な検査結果を有する検査履歴d3がより最新の履歴である。このため、制御部21は、新規な画像形成条件が画像形成条件Aである場合には、画像形成装置10dを選択する。
【0087】
制御部21は、また、上述した各種の画像形成装置の選択方法を組合せることによって画像形成装置を選択できる。
【0088】
図14のフローチャートの説明に戻って、制御部21は、ステップS303で選択された画像形成装置に、ステップS301で取得した新規な画像形成条件による画像形成を指示する(ステップS304)。具体的には、制御部21は、ステップS303で選択された画像形成装置に、原画像データ及び印刷設定情報を送信し、新規な画像形成条件による画像形成を指示する。
図15に示すように、制御部21は、画像形成条件に応じて画像形成装置を選択する。選択された画像形成装置は、
図6の動作フローチャートに従って処理を進み、検査結果を生成する。各画像形成装置により生成した検査結果は、制御部21に送信される。
【0089】
続いて、制御部21は、各画像形成装置からの検査結果を受信し(ステップS305)、検査履歴を更新する(ステップS306)。制御部21は、たとえば、
図15に示すように、各画像形成装置からの検査結果を受信し、画像形成条件と検査結果を対応づけながら当該検査を実行した画像形成装置および検査日時などの情報を付加して、
図13の検査履歴を更新する。
【0090】
以上のように、第2実施形態に係る画像形成システム1によれば、サーバー20は各画像形成装置を群管理し、画像形成条件および検査結果が対応づけられる検査履歴に基づいて、新規な画像形成条件により画像形成する画像形成装置を選択する。このため、各画像形成装置の稼働率を最大限に高めることができ、生産性と品質を両立した効率的な画像形成装置の管理を可能にする。
【0091】
上記各実施形態においては、画像形成装置やサーバーの動作をソフトウェアにより実行する場合について説明した。しかし、全ての処理をソフトウェアにより実現せずに、一部を専用のハードウェア回路によって実現してもよし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
【0092】
また、画像形成装置およびサーバーを動作させるプログラムは、USBメモリー、フレキシブルディスク、CD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。また、このプログラムは、たとえば、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、画像形成装置およびサーバーの一機能としてソフトウェアに組み込んでもよい。
【0093】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、これらは本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態とは異なる種々の態様で実施できる。