特許第6592954号(P6592954)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6592954機能実行装置、端末装置のためのコンピュータプログラム、及び、機能実行システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6592954
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】機能実行装置、端末装置のためのコンピュータプログラム、及び、機能実行システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20191010BHJP
【FI】
   G06F3/12 331
   G06F3/12 392
   G06F3/12 388
   G06F3/12 312
【請求項の数】8
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2015-97397(P2015-97397)
(22)【出願日】2015年5月12日
(65)【公開番号】特開2016-212733(P2016-212733A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2018年5月8日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】任 勇勇
【審査官】 三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−205982(JP,A)
【文献】 特開2012−155575(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00−29/70
G06F 3/09−3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能実行装置であって、
第1の機能を実行するための第1の機能実行エンジンと、
表示部と、
前記機能実行装置とは別体に構成されているアクセスポイントによって形成される第1の無線ネットワークに関係するアクセスポイント関係情報を仲介サーバに供給するのか否かを問い合わせるための問合画面を前記表示部に表示させる表示制御部と、
前記機能実行装置に関係する装置関係情報を前記仲介サーバに供給して、前記装置関係情報を前記仲介サーバに登録する登録部であって、
前記装置関係情報は、前記機能実行装置が現在所属している又は所属すべきネットワークに関係するネットワーク関係情報を含み、
前記問合画面において、前記アクセスポイント関係情報を前記仲介サーバに供給することがユーザによって選択される場合に、前記アクセスポイント関係情報を前記ネットワーク関係情報として含む前記装置関係情報を前記仲介サーバに供給し、
前記問合画面において、前記アクセスポイント関係情報を前記仲介サーバに供給しないことが前記ユーザによって選択される場合に、前記アクセスポイント関係情報を前記ネットワーク関係情報として含まない前記装置関係情報を前記仲介サーバに供給する、前記登録部と、
端末装置が、前記仲介サーバに登録された前記装置関係情報内の前記ネットワーク関係情報を利用して、前記ネットワークに参加した結果として、前記端末装置から、前記仲介サーバを介さずに、前記ネットワークを介して、第1の機能の第1の実行指示を取得する第1の指示取得部と、
前記端末装置が、前記仲介サーバに登録された前記装置関係情報内の前記ネットワーク関係情報を利用して、前記ネットワークに参加せず、前記機能実行装置への前記第1の機能の第2の実行指示の供給を前記仲介サーバに実行させるための第1の供給指示を前記仲介サーバに供給した結果として、前記仲介サーバから前記第2の実行指示を取得する第2の指示取得部と、
前記第1の実行指示又は前記第2の実行指示が取得される場合に、前記第1の機能を前記第1の機能実行エンジンに実行させる第1のエンジン制御部と、
を備える、機能実行装置。
【請求項2】
前記登録部は、前記問合画面において、前記アクセスポイント関係情報を前記仲介サーバに供給しないことが前記ユーザによって選択される場合に、前記機能実行装置が親局として動作することによって形成される第2の無線ネットワークに関係する親局関係情報を、前記ネットワーク関係情報として含む前記装置関係情報を前記仲介サーバに供給する、
請求項1に記載の機能実行装置。
【請求項3】
前記装置関係情報は、前記機能実行装置が現在所属している又は所属すべき複数個のネットワークに関係する複数個の前記ネットワーク関係情報を含み、
前記第1の指示取得部は、前記端末装置が、前記仲介サーバに登録された前記装置関係情報内の前記複数個のネットワーク関係情報のうちの少なくとも1個のネットワーク関係情報を利用して、前記複数個のネットワークのうちの特定のネットワークに参加した結果として、前記端末装置から、前記仲介サーバを介さずに、前記特定のネットワークを介して、前記第1の実行指示を取得し、
前記第2の指示取得部は、前記端末装置が、前記仲介サーバに登録された前記装置関係情報内の前記複数個のネットワーク関係情報のうちの少なくとも1個のネットワーク関係情報を利用して、前記複数個のネットワークのいずれにも参加せず、前記第1の供給指示を前記仲介サーバに供給した結果として、前記仲介サーバから前記第2の実行指示を取得する、請求項1または2に記載の機能実行装置。
【請求項4】
前記複数個のネットワーク関係情報は、前記機能実行装置が親局として動作することによって形成される第2の無線ネットワークに関係する親局関係情報を含む、請求項に記載の機能実行装置。
【請求項5】
前記装置関係情報は、さらに、前記第1の機能に関する第1の条件情報を含み、
前記第1の実行指示又は前記第2の実行指示は、さらに、前記第1の条件情報の中から前記端末装置のユーザによって選択される第1の機能実行条件を含み、
前記第1のエンジン制御部は、前記第1の実行指示又は前記第2の実行指示に含まれる前記第1の機能実行条件に従って、前記第1の機能を前記第1の機能実行エンジンに実行させる、請求項1からのいずれか一項に記載の機能実行装置。
【請求項6】
前記機能実行装置は、さらに、
第2の機能を実行するための第2の機能実行エンジンと、
前記端末装置が、前記仲介サーバに登録された前記装置関係情報を利用して、前記ネットワークに参加した結果として、前記端末装置から、前記仲介サーバを介さずに、前記ネットワークを介して、第2の機能の第3の実行指示を取得する第3の指示取得部と、
前記端末装置が、前記仲介サーバに登録された前記装置関係情報を利用して、前記ネットワークに参加せず、前記機能実行装置への前記第2の機能の第4の実行指示の供給を前記仲介サーバに実行させるための第2の供給指示を前記仲介サーバに供給した結果として、前記仲介サーバから前記第4の実行指示を取得する第4の指示取得部と、
前記第3の実行指示又は前記第4の実行指示が取得される場合に、前記第2の機能を前記第2の機能実行エンジンに実行させる第2のエンジン制御部と、を備える、請求項1からのいずれか一項に記載の機能実行装置。
【請求項7】
前記装置関係情報は、さらに、前記第1の機能に関する第1の条件情報と、前記第2の機能に関する第2の条件情報と、を含み、
前記第1の実行指示又は前記第2の実行指示は、さらに、前記第1の条件情報の中から前記端末装置のユーザによって選択される第1の機能実行条件を含み、
前記第3の実行指示又は前記第4の実行指示は、さらに、前記第2の条件情報の中から前記ユーザによって選択される第2の機能実行条件を含み、
前記第1のエンジン制御部は、前記第1の実行指示又は前記第2の実行指示に含まれる前記第1の機能実行条件に従って、前記第1の機能を前記第1の機能実行エンジンに実行させ、
前記第2のエンジン制御部は、前記第3の実行指示又は前記第4の実行指示に含まれる前記第2の機能実行条件に従って、前記第2の機能を前記第2の機能実行エンジンに実行させる、請求項に記載の機能実行装置。
【請求項8】
前記第1の機能は、印刷機能又はスキャン機能である、請求項1からのいずれか一項に記載の機能実行装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、端末装置が機能実行装置に機能を実行させるための技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の通信システムでは、ユーザがPCを利用してプリンタに印刷を実行させるための操作を実行すると、PCは、印刷データをサーバに送信する。サーバは、印刷データを格納すると、所定の通知をプリンタに送信する。プリンタは、所定の通知を受信すると、サーバから印刷データを取得して、印刷データによって表わされる画像を印刷する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−187867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、プリンタが所定の通知を受信するまでに、PCからサーバへの印刷データの通信と、サーバからプリンタへの所定の通知の通信と、が実行される必要がある。このように、印刷の実行に関する指示(即ち所定の通知)がサーバからプリンタに供給される構成では、プリンタが当該指示を取得するまでに長時間を要し得るので、プリンタが印刷を実行するまでに長時間を要し得る。また、印刷に限らず、スキャンの実行に関する指示がサーバからスキャナに供給される構成でも、同様の問題が起こり得る。本明細書では、機能実行装置が機能実行指示を迅速に取得し得る技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書によって開示される機能実行装置は、第1の機能を実行するための第1の機能実行エンジンと、前記機能実行装置に関係する装置関係情報を仲介サーバに供給して、前記装置関係情報を前記仲介サーバに登録する登録部であって、前記装置関係情報は、前記機能実行装置が現在所属している又は所属すべき無線ネットワークに関係するネットワーク関係情報を含む、前記登録部と、端末装置が、前記仲介サーバに登録された前記装置関係情報内の前記ネットワーク関係情報を利用して、前記無線ネットワークに参加した結果として、前記端末装置から、前記仲介サーバを介さずに、前記無線ネットワークを介して、第1の機能の第1の実行指示を取得する第1の指示取得部と、前記端末装置が、前記仲介サーバに登録された前記装置関係情報内の前記ネットワーク関係情報を利用して、前記無線ネットワークに参加せず、前記機能実行装置への前記第1の機能の第2の実行指示の供給を前記仲介サーバに実行させるための第1の供給指示を前記仲介サーバに供給した結果として、前記仲介サーバから前記第2の実行指示を取得する第2の指示取得部と、前記第1の実行指示又は前記第2の実行指示が取得される場合に、前記第1の機能を前記第1の機能実行エンジンに実行させる第1のエンジン制御部と、を備える。
【0006】
上記の構成によると、機能実行装置は、ネットワーク関係情報を含む装置関係情報を仲介サーバに登録する。このために、端末装置は、仲介サーバに登録された装置関係情報内のネットワーク関係情報を利用して、無線ネットワークに参加し得る。この場合、機能実行装置と端末装置とが同じ無線ネットワークに所属するので、機能実行装置は、端末装置から、仲介サーバを介さずに、無線ネットワークを介して、第1の実行指示を取得することができる。機能実行装置は、端末装置から仲介サーバを介さずに第1の実行指示を取得するので、第1の実行指示を迅速に取得し得る。この結果、機能実行装置は、端末装置から取得される第1の実行指示に応じて、第1の機能を迅速に実行し得る。また、機能実行装置は、端末装置が無線ネットワークに参加しない状況でも、仲介サーバから第2の実行指示を取得することができるので、仲介サーバから取得される第2の実行指示に応じて、第1の機能を適切に実行することができる。
【0007】
本明細書では、さらに、端末装置のためのコンピュータプログラムを開示する。当該コンピュータプログラムは、前記端末装置のコンピュータに、以下の各処理、即ち、機能実行装置が現在所属している又は所属すべき無線ネットワークに関係するネットワーク関係情報を含む装置関係情報が、前記機能実行装置によって仲介サーバに登録された後に、前記仲介サーバから前記装置関係情報を取得する関係情報取得処理と、取得済みの前記装置関係情報に含まれる前記ネットワーク関係情報を利用して、前記無線ネットワークに参加することを試行する試行処理と、前記試行処理の結果として前記無線ネットワークに参加することができた場合に、前記仲介サーバを介さずに、前記無線ネットワークを介して、機能実行指示を前記機能実行装置に供給する第1の指示供給処理と、前記試行処理の結果として前記無線ネットワークに参加することができなかった場合に、前記機能実行装置への機能実行指示の供給を前記仲介サーバに実行させるための供給指示を前記仲介サーバに供給する第2の指示供給処理と、を実行させる。
【0008】
上記の構成によると、以下の端末装置が実現される。即ち、端末装置は、仲介サーバから取得される装置関係情報に含まれるネットワーク関係情報を利用して、無線ネットワークに参加し得る。この場合、機能実行装置と端末装置とが同じ無線ネットワークに所属するので、端末装置は、仲介サーバを介さずに、無線ネットワークを介して、機能実行指示を機能実行装置に供給することができる。端末装置は、仲介サーバを介さずに機能実行指示を機能実行装置に供給するので、機能実行指示を機能実行装置に迅速に供給し得る。また、端末装置は、無線ネットワークに参加することができない状況でも、供給指示を仲介サーバに供給して、機能実行装置への機能実行指示の供給を仲介サーバに適切に実行させることができる。
【0009】
上記の機能実行装置を実現するための制御方法、コンピュータプログラム、及び、当該コンピュータプログラムを格納するコンピュータ可読記録媒体も、新規で有用である。また、上記の端末装置のためのコンピュータプログラムを格納するコンピュータ可読記録媒体、及び、上記の端末装置そのものも、新規で有用である。また、上記の機能実行装置と上記の端末装置とを備える機能実行システムも、新規で有用である。
また、例えば、本明細書によって開示される別の機能実行装置は、第1の機能を実行するための第1の機能実行エンジンと、前記機能実行装置に関係する装置関係情報を仲介サーバに供給して、前記装置関係情報を前記仲介サーバに登録する登録部であって、前記装置関係情報は、前記機能実行装置が現在所属している又は所属すべきネットワークに関係するネットワーク関係情報を含む、前記登録部と、端末装置が、前記仲介サーバに登録された前記装置関係情報内の前記ネットワーク関係情報を利用して、前記ネットワークに参加した結果として、前記端末装置から、前記仲介サーバを介さずに、前記ネットワークを介して、第1の機能の第1の実行指示を取得する第1の指示取得部と、前記端末装置が、前記仲介サーバに登録された前記装置関係情報内の前記ネットワーク関係情報を利用して、前記ネットワークに参加せず、前記機能実行装置への前記第1の機能の第2の実行指示の供給を前記仲介サーバに実行させるための第1の供給指示を前記仲介サーバに供給した結果として、前記仲介サーバから前記第2の実行指示を取得する第2の指示取得部と、前記第1の実行指示又は前記第2の実行指示が取得される場合に、前記第1の機能を前記第1の機能実行エンジンに実行させる第1のエンジン制御部と、を備える。
また、本明細書によって開示される別の端末装置のためのコンピュータプログラムは、前記端末装置のコンピュータに、以下の各処理、即ち、機能実行装置が現在所属している又は所属すべきネットワークに関係するネットワーク関係情報を含む装置関係情報が、前記機能実行装置によって仲介サーバに登録された後に、前記仲介サーバから前記装置関係情報を取得する関係情報取得処理と、取得済みの前記装置関係情報に含まれる前記ネットワーク関係情報を利用して、前記ネットワークに参加することを試行する試行処理と、前記試行処理の結果として前記ネットワークに参加することができた場合に、前記仲介サーバを介さずに、前記ネットワークを介して、機能実行指示を前記機能実行装置に供給する第1の指示供給処理と、前記試行処理の結果として前記ネットワークに参加することができなかった場合に、前記機能実行装置への機能実行指示の供給を前記仲介サーバに実行させるための供給指示を前記仲介サーバに供給する第2の指示供給処理と、を実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】通信システムの構成を示す。
図2】登録プロセスのシーケンス図を示す。
図3】印刷プロセス及びスキャンプロセスのシーケンス図を示す。
図4図3の続きの印刷プロセスのシーケンス図を示す。
図5図3の続きの印刷プロセスのシーケンス図を示す。
図6図3の続きのスキャンプロセスのシーケンス図を示す。
図7図3の続きのスキャンプロセスのシーケンス図を示す。
図8】第2実施例のシーケンス図を示す。
図9】第3実施例のシーケンス図を示す。
図10図9の続きの印刷プロセスのシーケンス図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施例)
(通信システム2の構成;図1
図1に示されるように、通信システム2は、多機能機10と携帯端末50とを備える。多機能機10は、有線ネットワーク又は無線ネットワークを介してインターネット6に接続され、インターネット6上の仲介サーバ100と通信可能である。携帯端末50は、無線ネットワークを介してインターネット6に接続され、インターネット6上の仲介サーバ100と通信可能である。また、多機能機10と携帯端末50とは、同じ無線ネットワークに所属している場合に、当該無線ネットワークを介して、相互に通信可能である。なお、以下では、多機能機10のことを「MFP(Multi-Function Peripheralの略)10」と記載し、ネットワークのことを「NW」と記載する。
【0012】
(MFP10の構成)
MFP10は、印刷機能及びスキャン機能を少なくとも含む複数個の機能を実行可能な周辺装置(即ち携帯端末50等の周辺装置)である。MFP10は、操作部12と、表示部14と、印刷エンジン16と、スキャンエンジン18と、Wi−Fiインターフェース20と、有線インターフェース22と、制御部30と、を備える。各部12〜30は、バス線(符号省略)に接続されている。なお、以下では、インターフェースのことを「I/F」と記載する。
【0013】
操作部12は、複数のキーを備える。ユーザは、操作部12を操作することによって、様々な指示をMFP10に入力することができる。表示部14は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。表示部14は、いわゆるタッチパネルとして機能する。即ち、表示部14は、ユーザによって操作される操作部としても機能する。印刷エンジン16は、インクジェット方式、レーザー方式等の印刷機構を備える。スキャンエンジン18は、CCD(Charge Coupled Deviceの略)、CIS(Contact Image Sensorの略)等のスキャン機構を備える。有線I/F22は、有線通信を実行するためのI/Fであり、有線ケーブルを受け入れるためのソケットを備える。
【0014】
Wi−FiI/F20は、Wi−Fi方式に従った無線通信を実行するためのI/Fである。Wi−Fi方式は、Wi−Fi Allianceによって策定された規格に準拠した無線通信方式であり、例えば、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.の略)の802.11の規格、及び、それに準ずる規格(例えば、802.11a,11b,11g,11n等)に基づく無線通信方式である。より具体的には、Wi−FiI/F20は、Wi−Fi Allianceによって策定されたWFD(Wi-Fi Direct(登録商標)の略)方式をサポートしている。WFD方式は、Wi−Fi Allianceによって作成された規格書「Wi-Fi Peer-to-Peer (P2P) Technical Specification Version1.1」に記述されている無線通信方式である。
【0015】
Wi−FiI/F20には、異なる2個のMACアドレスであるMACx及びMACyが予め割り当てられている。MACxは、MFP10がAP(Access Pointの略)4によって形成される無線NW(以下では「APNW」と呼ぶ)に参加するためのMACアドレス、即ち、APNWにおいてMFP10を識別するためのMACアドレスである。MACyは、MFP10がWFD方式に従った無線NW(以下では「WFDNW」と呼ぶ)を形成するために利用されるMACアドレス、即ち、WFDNWにおいてMFP10を識別するためのMACアドレスである。
【0016】
制御部30は、CPU32と、メモリ34と、を備える。CPU32は、メモリ34に格納されているプログラム36に従って、様々な処理を実行する。メモリ34は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ等によって構成される。メモリ34は、上記のプログラム36の他に、MFPデバイス名DNと印刷能力情報PIとスキャン能力情報SIとを記憶する。
【0017】
MFPデバイス名DNは、MFP10の名称である。印刷能力情報PIは、MFP10が利用可能な印刷機能の能力を示す情報であり、印刷エンジン16が解釈可能な印刷データ形式(例えばJPEG(Joint Photographic Experts Groupの略)等)、1個以上の印刷色数(例えばカラー印刷、モノクロ印刷)、1個以上の印刷用紙サイズ(例えばA3、A4、B4等)、及び、1個以上の印刷解像度(例えば600dpi、300dpi)を示す。スキャン能力情報SIは、MFP10が利用可能なスキャン機能の能力を示す情報であり、1個以上の出力データ形式(例えばJPEG、PDF(Portable Document Formatの略)等)、1個以上のスキャン色数(例えばカラースキャン、モノクロスキャン)、1個以上の読取原稿サイズ(例えばA3、A4、B4等)、及び、1個以上のスキャン解像度(例えば600dpi、300dpi)を示す。
【0018】
メモリ34は、さらに、無線情報記憶領域40を備える。MFP10がAPNWに参加している状態では、無線情報記憶領域40において、APNWに関係するAP情報AI、即ち、AP4に関係するAP情報AIが記憶される。AP情報AIは、SSID(Service Set Identifierの略)「aaa」と、MACapと、パスワードPSaと、を含む。SSID「aaa」は、APNWを識別するための識別子である。MACapは、AP4のMACアドレスである。パスワードPSaは、APNWにおいて、認証及び暗号化のために利用される情報である。
【0019】
MFP10がWFDNWに所属している状態では、無線情報記憶領域40において、WFDNWに関係するG/O情報GIが記憶される。本実施例では、MFP10は、MFP10の電源がONされている間、常に、WFD方式のGroup Owner(以下では「G/O」と記載する)として動作して、WFDNWを形成する。従って、MFP10の電源がONされている間、常に、G/O情報GIが記憶される。G/O情報GIは、SSID「bbb」と、MACyと、パスワードPSbと、を含む。SSID「bbb」は、WFDNWを識別するための識別子である。パスワードPSbは、WFDNWにおいて、認証及び暗号化のために利用される情報である。
【0020】
(携帯端末50の構成)
携帯端末50は、例えば、携帯電話、スマートフォン、ノートPC、タブレットPC等の可搬型の端末である。携帯端末50は、操作部52と、表示部54と、Wi−FiI/F60と、セルラーI/F62と、制御部70と、を備える。各部52〜70は、バス線(符号省略)に接続されている。
【0021】
操作部52は、複数のキーによって構成される。ユーザは、操作部52を操作することによって、様々な指示を携帯端末50に入力することができる。表示部54は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。表示部54は、いわゆるタッチパネルとして機能する。即ち、表示部54は、ユーザによって操作される操作部としても機能する。Wi−FiI/F60は、Wi−Fi方式に従った無線通信を実行するためのI/Fである。セルラーI/F62は、セルラー方式に従った無線通信を実行するためのI/Fである。セルラー方式は、国際電気通信連合(International Telecommunication Union)によって策定された規格に準拠した無線通信方式(例えば、3G(3rd Generation)、4G(4th Generation)等)である。
【0022】
制御部70は、CPU72と、メモリ74と、を備える。CPU72は、メモリ74に格納されているプログラム76,78,80に従って、様々な処理を実行する。メモリ74は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ等によって構成される。メモリ74は、基本的な処理を実現するためのOS(Operating Systemの略)プログラム76に加えて、サーバアプリケーション78とMFPアプリケーション80とを記憶する。また、メモリ74は、携帯端末50がAPNWに参加している状態では、AP情報AIを記憶し、携帯端末50がWFDNWに参加している状態では、G/O情報GIを記憶する。
【0023】
サーバアプリケーション78は、仲介サーバ100を利用するためのアプリケーションであり、例えば、仲介サーバ100を管理する事業者によってインターネット6上に設置されるサーバ(図示省略)から携帯端末50にインストールされる。MFPアプリケーション80は、MFP10を利用するためのアプリケーションであり、例えば、MFP10のベンダによって提供されるインターネット6上のサーバ(図示省略)から携帯端末50にインストールされてもよいし、MFP10と共に出荷されるメディアから携帯端末50にインストールされてもよい。
【0024】
(AP4の構成)
AP4は、無線AP、無線LANルータ等と呼ばれる公知のAPである。AP4は、AP4との無線接続が確立されている一対の機器、即ち、AP4によって形成されているAPNWに所属している一対の機器(例えば、MFP10、携帯端末50)の間の通信を中継する。また、AP4は、ルータとして機能して、インターネット6上の機器(例えば仲介サーバ100)との通信を実行し得る。この場合、AP4は、APNWに所属している機器(例えばMFP10)と、インターネット6上の機器(例えば仲介サーバ100)と、の間の通信を中継する。
【0025】
(仲介サーバ100の構成)
仲介サーバ100は、Google(登録商標)によってインターネット6上に設置されるサーバであり、携帯端末50が印刷機能又はスキャン機能をMFP10に実行させるための通信を仲介する。
【0026】
(登録プロセス;図2
続いて、図2図7を参照して、各デバイス10,50,100で実行される処理の内容を説明する。まず、図2を参照して、登録プロセスの内容を説明する。図示省略しているが、MFP10のCPU32は、電源がONされる際に、WFD方式のG/Oとして動作を開始し、G/O情報GIを準備して、G/O情報GIをメモリ34に記憶させる。具体的には、CPU32は、例えば、文字列をランダムに生成することによってSSID「bbb」を準備し、さらに、文字列をランダムに生成することによってパスワードPSbを準備する。CPU32は、予め決められているMACyを準備する。
【0027】
S10では、携帯端末50のCPU72は、ユーザから登録指示を受け付ける。S10の登録指示は、サーバアプリケーション78を起動するための操作と、仲介サーバ100を利用するためのアカウント情報ACを入力するための操作と、を含む。CPU72は、入力済みのアカウント情報ACをメモリ74に記憶させる。S10以降のS12及びS18は、サーバアプリケーション78に従って実行される。
【0028】
携帯端末50のCPU72は、S10の登録指示を受け付ける場合に、S12において、入力済みのアカウント情報ACを含む登録要求を仲介サーバ100に供給する。S12の登録要求は、アカウント情報ACの登録を仲介サーバ100に要求するためのコマンドである。例えば、携帯端末50がAPNWに参加しており、かつ、AP4がルータとして機能している場合には、CPU72は、Wi−FiI/F60を介して、APNWを利用して(即ちAP4を介して)、登録要求を仲介サーバ100に供給する。また、例えば、携帯端末50がセルラー方式の基地局との無線接続を確立している場合、即ち、携帯端末50がセルラーNWに参加している場合には、CPU72は、セルラーI/F62を介して、セルラーNWを利用して、登録要求を仲介サーバ100に供給する。
【0029】
仲介サーバ100は、携帯端末50からS12の登録要求を取得する場合に、S14において、PINコードCDを生成し、登録要求内のアカウント情報ACと生成済みのPINコードCDとを対応付けて記憶する(即ち登録する)。なお、図中の破線の四角内の各情報は、仲介サーバ100で対応付けられている各情報を示す。次いで、S16では、仲介サーバ100は、生成済みのPINコードCDを携帯端末50に供給する。
【0030】
携帯端末50のCPU72は、仲介サーバ100から、Wi−FiI/F60又はセルラーI/F62を介して(即ちAPNW又はセルラーNWを利用して)、PINコードCDを取得する場合に、S18において、取得済みのPINコードCDを表示部54に表示させる。これにより、ユーザは、PINコードCDを知ることができ、PINコードCDをMFP10に入力することができる。
【0031】
S20では、MFP10のCPU32は、ユーザから登録指示を受け付ける。S20の登録指示は、仲介サーバ100へのMFP情報の登録を示すボタンを選択するための操作と、PINコードCDを入力するための操作と、を含む。
【0032】
MFP10のCPU32は、S20の登録指示を受け付ける場合に、S22において、MFP10とAP4との間の無線接続が現在確立されているのか否か、即ち、MFP10がAPNWに現在参加しているのか否かを判断する。具体的には、CPU32は、メモリ34内の無線情報記憶領域40において、AP情報AIが記憶されている場合には、MFP10とAP4との間の無線接続が現在確立されていると判断し(S22でYES)、S24に進み、AP情報AIが記憶されていない場合には、MFP10とAP4との間の無線接続が現在確立されていないと判断し(S22でNO)、S40に進む。
【0033】
S24では、MFP10のCPU32は、AP情報AIを仲介サーバ100に供給するのか否かをユーザに問い合わせるための問合画面を表示部14に表示させる。次いで、S26では、CPU32は、問合画面において、AP情報AIを仲介サーバ100に供給することがユーザによって選択されたのか否かを判断する。CPU32は、問合画面内のOKボタンがユーザによって選択される場合に、AP情報AIを仲介サーバ100に供給することが選択されたと判断して(S26でYES)、S30に進み、問合画面内のNGボタンがユーザによって選択される場合に、AP情報AIを仲介サーバ100に供給しないことが選択されたと判断して(S26でNO)、S40に進む。
【0034】
S30では、MFP10のCPU32は、メモリ34からMFPデバイス名DNとAP情報AIと印刷能力情報PIとスキャン能力情報SIとを取得し、次いで、登録要求を仲介サーバ100に供給する。S30の登録要求は、S20で入力されたPINコードCDと、メモリ34から取得された各情報DN,AI,PI,SIを含むMFP情報MI1と、を含み、MFP情報MI1の登録を仲介サーバ100に要求するためのコマンドである。例えば、MFP10がAPNWに参加しており、かつ、AP4がルータとして機能している場合には、CPU32は、Wi−FiI/F20を介して、APNWを利用して(即ちAP4を介して)、登録要求を仲介サーバ100に供給する。また、例えば、MFP10が有線NWに参加しており、かつ、有線NWにルータが設けられている場合には、CPU32は、有線I/F22を介して、有線NWを利用して、登録要求を仲介サーバ100に供給する。
【0035】
仲介サーバ100は、MFP10からS30の登録要求を取得する場合に、S32において、登録要求内のPINコードCDが登録済みであるのか否かを判断し、PINコードCDが登録済みであると判断する場合に、登録要求内のMFP情報MI1をPINコードCDに対応付けて記憶する(即ち登録する)。これにより、仲介サーバ100では、アカウント情報ACとPINコードCDとMFP情報MI1とが対応付けられる。
【0036】
次いで、S34では、MFP10と仲介サーバ100との間にいわゆる常時接続であるXMPP(eXtensible Messaging and Presence Protocol)接続が確立される。例えば、MFP10がAPNWを利用してS30の登録要求を仲介サーバ100に供給した場合には、MFP10のCPU32は、APNWを利用して(即ちAP4を介して)、仲介サーバ100とのXMPP接続を確立する。また、例えば、MFP10が有線NWを利用してS30の登録要求を仲介サーバ100に供給した場合には、CPU32は、有線NWを利用して、仲介サーバ100とのXMPP接続を確立する。XMPP接続が確立されている状況では、インターネット6上の仲介サーバ100からローカルエリアネットワーク内のMFP10にコマンド(例えば図4のS142の印刷実行指示等)を供給することができる。S34が終了すると、図2の登録プロセスが終了する。
【0037】
一方、S40では、MFP10のCPU32は、メモリ34からMFPデバイス名DNとG/O情報GIと印刷能力情報PIとスキャン能力情報SIとを取得し、次いで、登録要求を仲介サーバ100に供給する。S40の登録要求は、S20で入力されたPINコードCDと、メモリ34から取得された各情報DN,GI,PI,SIを含むMFP情報MI2と、を含み、MFP情報MI2の登録を仲介サーバ100に要求するためのコマンドである。S30と同様に、CPU32は、Wi−FiI/F20又は有線I/F22を介して、登録要求を仲介サーバ100に供給する。S24の問合画面において、AP情報AIを仲介サーバ100に供給しないことがユーザによって選択される場合(S26でNO)には、S40において、AP情報AIが仲介サーバ100に供給されない。これにより、APNWのセキュリティが低下するのを抑制することができる。
【0038】
仲介サーバ100は、MFP10からS40の登録要求を取得する場合に、S42において、S32と同様に、登録要求内のMFP情報MI2をPINコードCDに対応付けて記憶する(即ち登録する)。これにより、仲介サーバ100では、アカウント情報ACとPINコードCDとMFP情報MI2とが対応付けられる。次いで、S44では、S34と同様に、MFP10と仲介サーバ100との間にXMPP接続が確立される。S44が終了すると、図2の登録プロセスが終了する。
【0039】
上述したように、登録プロセスでは、印刷能力情報PIとスキャン能力情報SIとNW情報(即ちAP情報AI又はG/O情報GI)との全てがまとめて仲介サーバ100に登録される。従って、MFP10は、各情報を別々に仲介サーバ100に登録する構成と比べると、仲介サーバ100への各情報の登録を容易に実行することができる。また、仲介サーバ100は、各情報を別々に管理する構成と比べると、各情報の管理(即ちMFP10の管理)を容易に実行することができる。
【0040】
なお、MFP10が所属するAPNWが変更される場合(即ちAP情報AIが変更される場合)、又は、MFP10のG/O情報GIが変更される場合には、MFP10は、仲介サーバ100内のMFP情報に代えて、変更後の情報を含む新たなMFP情報を仲介サーバ100に登録してもよい。
【0041】
(印刷プロセス及びスキャンプロセス;図3
続いて、図3を参照して、印刷プロセス及びスキャンプロセスの内容を説明する。図3の状態では、MFP10は、AP4との無線接続を確立している(即ちAPNWに参加している)。仲介サーバ100は、アカウント情報ACと、MFP情報MI1又はMI2と、を対応付けて記憶している(図2のS32又はS42参照)。なお、図2では、仲介サーバ100は、さらに、PINコードCDを記憶しているが、図3以降では、PINコードCDが利用されないので、PINコードCDを図示省略している。また、MFP10と仲介サーバ100との間には、APNW又は有線NWを介してXMPP接続が確立されている(図2のS34又はS44参照)。
【0042】
S50では、携帯端末50のCPU72は、ユーザからログイン指示を受け付ける。ログイン指示は、サーバアプリケーション78を起動するための操作と、仲介サーバ100へのログインを示すボタンを選択するための操作と、を含む。S50以降のS52、S56、S60、S64、S66、及び、S72は、サーバアプリケーション78に従って実行される。
【0043】
携帯端末50のCPU72は、ログイン指示を受け付ける場合に、メモリ74からアカウント情報ACを取得し、S52において、取得済みのアカウント情報ACを含むログイン要求を仲介サーバ100に供給する。ログイン要求は、アカウント情報ACに基づくログインを仲介サーバ100に要求するためのコマンドである。S52では、図2のS12と同様に、CPU72は、Wi−FiI/F60又はセルラーI/F62を介して(即ちAPNW又はセルラーNWを利用して)、ログイン要求を仲介サーバ100に供給する。
【0044】
仲介サーバ100は、携帯端末50からログイン要求を取得する場合に、ログイン要求内のアカウント情報ACの認証を実行して、認証が成功する場合に、携帯端末50とのログイン状態を確立する。そして、S54では、仲介サーバ100は、アカウント情報ACに対応付けられているMFPデバイス名DNを取得し、取得済みのMFPデバイス名DNを携帯端末50に供給する。
【0045】
携帯端末50のCPU72は、仲介サーバ100から、Wi−FiI/F60又はセルラーI/F62を介して、MFPデバイス名DNを取得する場合に、S56において、取得済みのMFPデバイス名DNを含むMFP選択画面を表示部54に表示させる。これにより、ユーザは、携帯端末50が印刷機能又はスキャン機能を実行させることが可能なMFP10の名称を知ることができる。なお、MFP10とは異なるMFPの情報が、仲介サーバ100において、アカウント情報ACにさらに対応付けられている場合には、当該異なるMFPのデバイス名も仲介サーバ100から携帯端末50に供給される。この場合、S56のMFP選択画面は、MFP10のデバイス名DNのみならず、当該異なるMFPのデバイス名も含む。
【0046】
次いで、S60では、携帯端末50のCPU72は、MFP選択画面において、ユーザからMFPデバイス名DNの選択を受け付ける。そして、S62では、CPU72は、Wi−FiI/F60又はセルラーI/F62を介して、選択済みのMFPデバイス名DNを含む情報要求を仲介サーバ100に供給する。情報要求は、MFP情報の供給を仲介サーバ100に要求するためのコマンドである。
【0047】
仲介サーバ100は、携帯端末50から情報要求を取得する場合に、情報要求内のMFPデバイス名DNに対応付けられているMFP情報MI1又はMI2を取得し、S64において、取得済みのMFP情報MI1又はMI2を携帯端末50に供給する。
【0048】
携帯端末50のCPU72は、仲介サーバ100から、Wi−FiI/F60又はセルラーI/F62を介して、MFP情報MI1又はMI2を取得する場合に、S66において、設定画面を表示部54に表示させる。設定画面は、印刷機能又はスキャン機能を選択するためのボタンと、印刷条件又はスキャン条件を設定するための設定領域と、を含む。設定領域は、印刷機能が選択される場合に、メモリ74内の複数個のデータの中から印刷対象の画像を表わす対象データを選択すると共に、MFP情報MI1又はMI2に含まれる印刷能力情報PIの中から印刷条件(例えば、印刷色数「カラー印刷」、印刷用紙サイズ「A4」、印刷解像度「600dpi」)を選択するための領域である。また、設定領域は、スキャン機能が選択される場合に、MFP情報MI1又はMI2に含まれるスキャン能力情報SIの中からスキャン条件(例えば、出力データ形式「PDF」、スキャン色数「カラースキャン」、読取原稿サイズ「A4」、スキャン解像度「600dpi」)を選択するための領域である。
【0049】
S70では、携帯端末50のCPU72は、設定画面において、ユーザから、印刷機能又はスキャン機能の選択と、印刷条件又はスキャン条件の選択と、を受け付ける。これにより、CPU72は、印刷指示又はスキャン指示の操作がユーザによって実行されたと判断する。次いで、S72では、CPU72は、携帯端末50がMFP10と同じNWに現在参加しているのか否かを判断する。具体的には、CPU72は、S64でMFP情報MI1が取得される場合には、MFP情報MI1内のAP情報AIに一致するAP情報AIがメモリ74に記憶されているのか否かを判断する。CPU72は、AP情報AIがメモリ74に記憶されている場合には、携帯端末50がMFP10と同じNW(即ちAPNW)に現在参加していると判断し(S72でYES)、図4又は図6の「A」に進む。一方、CPU72は、AP情報AIがメモリ74に記憶されていない場合には、携帯端末50がMFP10と同じNWに現在参加していないと判断し(S72でNO)、図4又は図6の「B」に進む。また、CPU72は、S64でMFP情報MI2が取得される場合には、MFP情報MI2内のG/O情報GIに一致するG/O情報GIがメモリ74に記憶されているのか否かを判断する。CPU72は、G/O情報GIがメモリ74に記憶されている場合には、携帯端末50がMFP10と同じNW(即ちWFDNW)に現在参加していると判断し(S72でYES)、図5又は図7の「A」に進む。一方、CPU72は、G/O情報GIがメモリ74に記憶されていない場合には、携帯端末50がMFP10と同じNWに現在参加していないと判断し(S72でNO)、図5又は図7の「B」に進む。
【0050】
(印刷プロセス;図4
続いて、図4を参照して、図3のS70で印刷機能及び印刷条件が選択される場合に実行される印刷プロセスの内容を説明する。特に、図4の印刷プロセスは、図3のS64でAP情報AIを含むMFP情報MI1が仲介サーバ100から携帯端末50に供給されるケースを示す。携帯端末50のS100,S102,S120,S122の処理は、MFPアプリケーション80に従って実行され、携帯端末50のその他の処理は、サーバアプリケーション78に従って実行される。
【0051】
AP情報AIが携帯端末50のメモリ74に記憶されている場合(図3のS72でYES)、即ち、携帯端末50がAP4との無線接続を現在確立していてMFP10と同じAPNWに参加している場合には、「A」に示されるように、携帯端末50において、S100が実行される。S100では、携帯端末50のCPU72は、図3のS70で選択された対象データを変換して、印刷データPD1を生成する。印刷データPD1は、図3のS64で取得されたMFP情報MI1内の印刷能力情報PIに含まれる印刷データ形式、即ち、MFP10の印刷エンジン16が解釈可能な印刷データ形式を有する。また、印刷データPD1は、図3のS70で選択された印刷条件PC(即ち、選択済みの印刷色数、選択済みの印刷用紙サイズ、選択済みの印刷解像度)に適合するデータである。
【0052】
次いで、S102では、携帯端末50のCPU72は、Wi−FiI/F60を介して、APNWを利用して(即ちAP4を介して)、印刷実行指示をMFP10に供給する。S102の印刷実行指示は、生成済みの印刷データPD1と印刷条件PCとを含み、印刷データPD1によって表わされる画像(即ち対象データによって表わされる画像)を印刷するための印刷機能をMFP10に実行させるためのコマンドである。
【0053】
MFP10のCPU32は、Wi−FiI/F20を介して、APNWを利用して(即ちAP4を介して)、携帯端末50からS102の印刷実行指示を取得する場合に、S104において、印刷機能を印刷エンジン16に実行させる。具体的には、CPU32は、印刷実行指示内の印刷条件に含まれる印刷用紙サイズ(例えば「A4」)を印刷エンジン16に通知し、さらに、印刷実行指示内の印刷データPD1を印刷エンジン16に供給する。これにより、印刷エンジン16は、CPU32から通知された印刷用紙サイズを有する印刷用紙に、印刷データPD1によって表わされる画像を印刷する。
【0054】
一方、AP情報AIが携帯端末50のメモリ74に記憶されていない場合(図3のS72でNO)、即ち、携帯端末50がAP4との無線接続を現在確立しておらずMFP10と同じAPNWに参加していない場合には、「B」に示されるように、ケースA1又はケースA2が実現される。
【0055】
ケースA1のS110では、携帯端末50のCPU72は、Wi−FiI/F60を介して、AP情報AI内のMACapを含むProbe Request信号を送信する。Probe Request信号は、Probe Request信号内のMACアドレスを有する機器(即ち本ケースではAP4)を検索するための信号である。ケースA1では、AP4は、携帯端末50の周囲(例えば100m以内)に存在するので、携帯端末50からProbe Request信号を受信し、S112において、Probe Request信号に対する応答信号であるProbe Response信号を携帯端末50に送信する。以下では、Request、Responseのことを、それぞれ、「Req.」、「Res.」と記載する。
【0056】
携帯端末50のCPU72は、Wi−FiI/F60を介して、AP4からProbe Res.信号を受信する場合、即ち、AP4を検索した結果としてAP4が見つかった場合には、S114において、Wi−FiI/F60を介して、AP4との無線接続を確立する。これにより、MFP10と携帯端末50とが同じAPNWに参加している状態になる。具体的には、CPU72は、Authentication Req.信号の送信、Authentication Res.信号の受信、Association Req.信号の送信、Association Res.信号の受信、4-Way Handshakeの通信等をAP4と実行する。これらの通信は、AP情報AI内のSSID「aaa」を含む信号の通信と、AP情報AI内のパスワードPSaを含む信号の通信と、を含む。即ち、CPU72は、AP情報AIを利用して、AP4との無線接続を確立する。その後に実行されるS120〜S124は、S100〜S104と同様である。
【0057】
ケースA2では、MACapを含むProbe Req.信号が携帯端末50から送信されるが(S130)、AP4は、携帯端末50の周囲に存在しないので、携帯端末50からProbe Req.信号を受信することができない。従って、携帯端末50のCPU72は、AP4からProbe Res.信号を受信せず(即ちAP4を見つけることができず)、AP4との無線接続を確立することができない(即ちAPNWに参加することができない)。この場合、S140では、CPU72は、セルラーI/F62を介して(即ちセルラーNWを利用して)、供給指示を仲介サーバ100に供給する。S140の供給指示は、図3のS70で選択された対象データTDと、図3のS64で取得されたMFP情報MI1内の印刷能力情報PIに含まれる印刷データ形式DFと、図3のS70で選択された印刷条件PCと、を含む。S140の供給指示は、対象データTDの変換と、変換によって生成される印刷データを含む印刷実行指示のMFP10への供給と、を仲介サーバ100に実行させるためのコマンドである。
【0058】
仲介サーバ100は、携帯端末50から供給指示を取得する場合に、S141において、供給指示内の対象データTDを変換して、印刷データPD2を生成する。印刷データPD2は、供給指示内の印刷データ形式DF、即ち、MFP10の印刷エンジン16が解釈可能な印刷データ形式DFを有する。また、印刷データPD2は、供給指示内の印刷条件PC(即ち、選択済みの印刷色数、選択済みの印刷用紙サイズ、選択済みの印刷解像度)に適合するデータである。
【0059】
次いで、S142では、仲介サーバ100は、XMPP接続を利用して、印刷実行指示をMFP10に供給する。XMPP接続が利用されるので、インターネット6上の仲介サーバ100からローカルエリアネットワーク内のMFP10に印刷実行指示が適切に供給される。S142の印刷実行指示は、生成済みの印刷データPD2と、供給指示内の印刷条件PCと、を含み、印刷データPD2によって表わされる画像(即ち対象データTDによって表わされる画像)を印刷するための印刷機能をMFP10に実行させるためのコマンドである。
【0060】
MFP10のCPU32は、XMPP接続を利用して、仲介サーバ100からS142の印刷実行指示を取得する場合に、S144において、印刷機能を印刷エンジン16に実行させる。S144は、S104と同様である。
【0061】
(印刷プロセス;図5
続いて、図5を参照して、図3のS70で印刷機能及び印刷条件が選択される場合に実行される印刷プロセスの内容を説明する。特に、図5の印刷プロセスは、図3のS64でG/O情報GIを含むMFP情報MI2が仲介サーバ100から携帯端末50に供給されるケースを示す。携帯端末50のS200,S202,S220,S222の処理は、MFPアプリケーション80に従って実行され、携帯端末50のその他の処理は、サーバアプリケーション78に従って実行される。
【0062】
G/O情報GIが携帯端末50のメモリ74に記憶されている場合(図3のS72でYES)、即ち、携帯端末50がMFP10との無線接続を現在確立していてMFP10と同じWFDNWに参加している場合には、「A」に示されるように、携帯端末50において、S200が実行される。S200は、図4のS100と同様である。
【0063】
次いで、S202では、携帯端末50のCPU72は、Wi−FiI/F60を介して、WFDNWを利用して(即ちAP4を介さずに)、印刷実行指示をMFP10に供給する。S202の印刷実行指示は、図4のS102の印刷実行指示と同様である。
【0064】
MFP10のCPU32は、Wi−FiI/F20を介して、WFDNWを利用して(即ちAP4を介さずに)、携帯端末50から印刷実行指示を取得する場合に、S204において、印刷機能を印刷エンジン16に実行させる。S204は、図4のS104と同様である。
【0065】
一方、G/O情報GIが携帯端末50のメモリ74に記憶されていない場合(図3のS72でNO)、即ち、携帯端末50がMFP10との無線接続を現在確立しておらずMFP10と同じWFDNWに参加していない場合には、「B」に示されるように、ケースB1又はケースB2が実現される。
【0066】
ケースB1のS210では、携帯端末50のCPU72は、Wi−FiI/F60を介して、G/O情報GI内のMACyを含むProbe Req.信号を送信する。ケースB1では、MFP10は、携帯端末50の周囲に存在するので、携帯端末50からProbe Req.信号を受信し、S212において、Probe Res.信号を携帯端末50に送信する。
【0067】
携帯端末50のCPU72は、Wi−FiI/F60を介して、MFP10からProbe Res.信号を受信する場合、即ち、G/Oとして動作するMFP10を検索した結果としてMFP10が見つかった場合には、S214において、Wi−FiI/F60を介して、MFP10との無線接続を確立する。これにより、MFP10と携帯端末50とが同じWFDNWに参加している状態になる。具体的には、CPU72は、図3のS114と同様に、各信号の通信をMFP10と実行する。これらの通信は、G/O情報GI内のSSID「bbb」を含む信号の通信と、G/O情報GI内のパスワードPSbを含む信号の通信と、を含む。即ち、CPU72は、G/O情報GIを利用して、MFP10との無線接続を確立する。この後に実行されるS220〜S224は、S200〜S204と同様である。
【0068】
ケースB2は、MACyを含むProbe Req.信号が携帯端末50から送信されるが(S230)、MFP10は、携帯端末50の周囲に存在しないので、携帯端末50からProbe Req.信号を受信することができない。従って、携帯端末50のCPU72は、MFP10からProbe Res.信号を受信せず(即ちMFP10を見つけることができず)、MFP10との無線接続を確立することができない(即ちWFDNWに参加することができない)。この後に実行されるS240〜S244は、図4のS140〜S144と同様である。
【0069】
(印刷プロセスの効果)
上述したように、MFP10は、AP情報AI又はG/O情報GIを含むMFP情報MI1又はMI2を仲介サーバ100に登録する(図2のS30、S32、S40、S42)。このために、携帯端末50は、仲介サーバ100に登録されたAP情報AI又はG/O情報GIを利用して、APNW又はWFDPNWに参加することができる(図4のケースA1、図5のケースB1)。この場合、MFP10と携帯端末50とが同じNWに所属するので、携帯端末50は、仲介サーバ100を介さずに、APNW又はWFDNWを介して、印刷実行指示をMFP10に供給することができる(図4のS122、図5のS222)。換言すると、MFP10は、携帯端末50から、仲介サーバ100を介さずに、APNW又はWFDNWを介して、印刷実行指示を取得することができる。携帯端末50は、仲介サーバ100を介さずに印刷実行指示をMFP10に供給するので、印刷実行指示をMFP10に迅速に供給することができる。換言すると、MFP10は、携帯端末50から仲介サーバ100を介さずに印刷実行指示を取得するので、印刷実行指示を迅速に取得することができる。この結果、MFP10は、携帯端末50から取得される印刷実行指示に応じて、印刷機能を迅速に実行することができる。また、MFP10は、携帯端末50がAPNW又はWFDNWに参加しない状況(図4のケースA2、図5のケースB2)でも、仲介サーバ100から印刷実行指示を取得することができるので(図4のS142、図5のS242)、仲介サーバ100から取得される印刷実行指示に応じて、印刷機能を適切に実行することができる。
【0070】
また、携帯端末50は、MFP10と同じNWに現在参加している場合(図3のS72でYES)には、図4及び図5の「A」に示されるように、AP4又はMFP10との無線接続を確立するための処理(即ち図4のS110〜S114、図5のS210〜S214)を実行することなく、印刷実行指示をMFP10に供給する(図4のS102、図5のS202)。携帯端末50がAP4又はMFP10との無線接続を確立するための処理を実行せずに済むので、携帯端末50の処理負荷を低減させることができる。
【0071】
(スキャンプロセス;図6
続いて、図6を参照して、図3のS70でスキャン機能及びスキャン条件が選択される場合に実行されるスキャンプロセスの内容を説明する。特に、図6のスキャンプロセスは、図3のS64でAP情報AIを含むMFP情報MI1が仲介サーバ100から携帯端末50に供給されるケースを示す。なお、スキャンプロセスでは、携帯端末50の全ての処理は、サーバアプリケーション78に従って実行される。ただし、変形例では、携帯端末50のS300及びS320(さらには図7のS400及びS420)の処理は、MFPアプリケーション80に従って実行されてもよい。
【0072】
AP情報AIが携帯端末50のメモリ74に記憶されている場合(図3のS72でYES)、即ち、携帯端末50がAP4との無線接続を現在確立していてMFP10と同じAPNWに参加している場合には、「A」に示されるように、携帯端末50において、S300が実行される。S300では、携帯端末50のCPU72は、Wi−FiI/F60を介して、APNWを利用して(即ちAP4を介して)、スキャン実行指示をMFP10に供給する。S300のスキャン実行指示は、図3のS70で選択されたスキャン条件SC(即ち、選択済みの出力データ形式、選択済みのスキャン色数、選択済みの読取原稿サイズ、選択済みのスキャン解像度)を含み、スキャン機能をMFP10に実行させるためのコマンドである。
【0073】
MFP10のCPU32は、Wi−FiI/F20を介して、APNWを利用して(即ちAP4を介して)、携帯端末50からS300のスキャン実行指示を取得する場合に、S302において、スキャン機能をスキャンエンジン18に実行させる。具体的には、CPU32は、スキャン実行指示内のスキャン条件SCに含まれるスキャン色数、読取原稿サイズ、及び、スキャン解像度をスキャンエンジン18に通知する。これにより、スキャンエンジン18は、CPU32から通知されたスキャン色数等に従って、原稿のスキャンを実行して、スキャン結果を制御部30に供給する。CPU32は、スキャン結果を利用して、スキャン実行指示内のスキャン条件SCに含まれる出力データ形式を有するスキャンデータSDを生成する。
【0074】
次いで、S304において、MFP10のCPU32は、Wi−FiI/F20を介して、APNWを利用して(即ちAP4を介して)、生成済みのスキャンデータSDを携帯端末50に供給する。これにより、スキャンデータSDを携帯端末50に記憶させることができる。
【0075】
一方、AP情報AIが携帯端末50のメモリ74に記憶されていない場合(図3のS72でNO)、即ち、携帯端末50がAP4との無線接続を現在確立しておらずMFP10と同じAPNWに参加していない場合には、「B」に示されるように、ケースC1又はケースC2が実現される。
【0076】
ケースC1のS310〜S314は、図4のケースA1のS110〜S114と同様である。また、その後に実行されるS320〜S324は、S300〜S304と同様である。
【0077】
ケースC2のS330は、図4のケースA2のS130と同様である。S340では、CPU72は、セルラーI/F62を介して(即ちセルラーNWを利用して)、供給指示を仲介サーバ100に供給する。S340の供給指示は、図3のS70で選択されたスキャン条件SCと、を含む。S340の供給指示は、MFP10へのスキャン実行指示の供給を仲介サーバ100に実行させるためのコマンドである。
【0078】
仲介サーバ100は、携帯端末50から供給指示を取得する場合に、S341において、XMPP接続を利用して、スキャン実行指示をMFP10に供給する。XMPP接続が利用されるので、インターネット6上の仲介サーバ100からローカルエリアネットワーク内のMFP10にスキャン実行指示が適切に供給される。S342のスキャン実行指示は、供給指示内のスキャン条件SCを含み、スキャン機能をMFP10に実行させるためのコマンドである。
【0079】
MFP10のCPU32は、XMPP接続を利用して、仲介サーバ100からS341のスキャン実行指示を取得する場合に、S342において、スキャン機能を印刷エンジン16に実行させる。S342は、S302と同様である。そして、CPU32は、XMPP接続を利用して、スキャンデータSDを仲介サーバ100に供給する。
【0080】
仲介サーバ100は、MFP10からスキャンデータSDを取得する場合に、セルラーNWを利用して、スキャンデータSDを携帯端末50に供給する。これにより、スキャンデータSDを携帯端末50に記憶させることができる。
【0081】
(スキャンプロセス;図7
続いて、図7を参照して、図3のS70でスキャン機能及びスキャン条件が選択される場合に実行されるスキャンプロセスの内容を説明する。特に、図7のスキャンプロセスは、図3のS64でG/O情報GIを含むMFP情報MI2が仲介サーバ100から携帯端末50に供給されるケースを示す。
【0082】
G/O情報GIが携帯端末50のメモリ74に記憶されている場合(図3のS72でYES)、即ち、携帯端末50がMFP10との無線接続を現在確立していてMFP10と同じWFDNWに参加している場合には、「A」に示されるように、携帯端末50において、S400が実行される。S400では、携帯端末50のCPU72は、Wi−FiI/F60を介して、WFDNWを利用して(即ちAP4を介さずに)、スキャン実行指示をMFP10に供給する。S400のスキャン実行指示は、図6のS300のスキャン実行指示と同様である。
【0083】
MFP10のCPU32は、Wi−FiI/F20を介して、WFDNWを利用して(即ちAP4を介さずに)、携帯端末50からスキャン実行指示を取得する場合に、S402において、スキャン機能をスキャンエンジン18に実行させ、S404において、スキャンデータSDを携帯端末50に供給する。S402及びS404は、図6のS302及びS304と同様である。
【0084】
一方、G/O情報GIが携帯端末50のメモリ74に記憶されていない場合(図3のS72でNO)、即ち、携帯端末50がMFP10との無線接続を現在確立しておらずMFP10と同じWFDNWに参加していない場合には、「B」に示されるように、ケースD1又はケースD2が実現される。
【0085】
ケースD1のS410〜S414は、図5のケースB1のS210〜S214と同様である。また、この後に実行されるS420〜S424は、S400〜S404と同様である。
【0086】
ケースD2のS430は、図5のケースB2のS230と同様である。この後に実行されるS440〜S444は、図6のS340〜S344と同様である。
【0087】
(スキャンプロセスの効果)
上述したように、MFP10は、AP情報AI又はG/O情報GIを含むMFP情報MI1又はMI2を仲介サーバ100に登録する(図2のS30、S32、S40、S42)。このために、携帯端末50は、仲介サーバ100に登録されたAP情報AI又はG/O情報GIを利用して、APNW又はWFDPNWに参加することができる(図6のケースC1、図7のケースD1)。この場合、MFP10と携帯端末50とが同じNWに所属するので、携帯端末50は、仲介サーバ100を介さずに、APNW又はWFDNWを介して、スキャン実行指示をMFP10に供給することができる(図6のS320、図7のS420)。携帯端末50は、仲介サーバ100を介さずにスキャン実行指示をMFP10に供給するので、スキャン実行指示をMFP10に迅速に供給することができる。この結果、MFP10は、携帯端末50から取得されるスキャン実行指示に応じて、スキャン機能を迅速に実行することができ、スキャンデータSDを携帯端末50に迅速に供給することができる。特に、ユーザが、MFP10に原稿をセットし、MFP10の近傍でスキャンに関する操作を携帯端末50に実行する状況を想定する。このような状況では、MFP10と携帯端末50との間の距離が短いので、携帯端末50がMFP10又はAP4と通信可能である可能性が高い。従って、携帯端末50は、仲介サーバ100を介さずに、スキャン実行指示をMFP10に迅速に供給することができる。また、MFP10は、携帯端末50がAPNW又はWFDNWに参加しない状況(図6のケースC2、図7のケースD2)でも、仲介サーバ100からスキャン実行指示を取得することができるので(図6のS341、図7のS441)、仲介サーバ100から取得されるスキャン実行指示に応じて、スキャン機能を適切に実行することができる。
【0088】
(対応関係)
MFP10、携帯端末50が、それぞれ、「機能実行装置」、「端末装置」の一例である。APNW、WFDNWが、それぞれ、「第1の無線ネットワーク」、「第2の無線ネットワーク」の一例である。図4又は図6のケースでは、APNWが、「無線ネットワーク」の一例である。図5又は図7のケースでは、WFDNWが、「無線ネットワーク」の一例である。G/Oが、「親局」の一例である。MACapが、「アクセスポイント識別情報」の一例である。
【0089】
印刷エンジン16が、「第1の機能実行エンジン」及び「機能実行エンジンン」の一例である。この場合、以下の対応関係が得られる。印刷機能が、「第1の機能」及び「特定機能」の一例である。印刷能力情報PI、スキャンエンジン18、スキャン能力情報SIが、それぞれ、「第1の条件情報」、「第2の機能実行エンジン」、「第2の条件情報」の一例である。印刷実行指示が、「第1の実行指示」、「第2の実行指示」、及び、「機能実行指示」の一例である。スキャン実行指示が、「第3の実行指示」及び「第4の実行指示」の一例である。図4又は図5のS140又はS240の供給指示が、「第1の供給指示」及び「供給指示」の一例である。図6又は図7のS340又はS440の供給指示が、「第2の供給指示」の一例である。図4又は図5の印刷データPD1、印刷データPD2が、それぞれ、「第1の印刷データ」、「第2の印刷データ」の一例である。
【0090】
また、スキャンエンジン18が、「第1の機能実行エンジン」及び「機能実行エンジンン」の一例である。この場合、以下の対応関係が得られる。スキャン機能が、「第1の機能」及び「特定機能」の一例である。スキャン能力情報SI、印刷エンジン16、印刷能力情報PIが、それぞれ、「第1の条件情報」、「第2の機能実行エンジン」、「第2の条件情報」の一例である。スキャン実行指示が、「第1の実行指示」、「第2の実行指示」、及び、「機能実行指示」の一例である。印刷実行指示が、「第3の実行指示」及び「第4の実行指示」の一例である。図6又は図7のS340又はS440の供給指示が、「第1の供給指示」及び「供給指示」の一例である。図4又は図5のS140又はS240の供給指示が、「第2の供給指示」の一例である。
【0091】
(第2実施例)
上記の第1実施例では、図2に示されるように、MFP10は、APNWに参加している場合(図2のS22でYES)には、AP情報AIを含むMFP情報MI1を仲介サーバ100に登録し得る(S30、S32)。これに対し、本実施例では、MFP10は、APNWに参加しているのか否かに関わらず、G/O情報GIを含むMFP情報MI2を仲介サーバ100に登録する。
【0092】
(登録プロセス;図8
本実施例では、図2の登録プロセスに代えて、図8の登録プロセスが実行される。図8の登録プロセスでも、図2と同様に、S10〜S18が実行される。MFP10のCPU32は、ユーザからS20の登録指示を受け付ける場合に、S500において、MFP10がAP4との無線接続を確立しているのか否かに関わらず、即ち、MFP10がAPNWに参加しているのか否かに関わらず、G/O情報GIを含むMFP情報MI2を仲介サーバ100に供給して、MFP情報MI2を仲介サーバ100に登録する。S502及びS504は、図2のS42及びS44と同様である。以降の処理は、図3図5、及び、図7と同様である。
【0093】
本実施例では、MFP10は、AP情報AIを仲介サーバ100に供給しないので、APNWのセキュリティが低下するのを抑制することができる。また、例えば、オフィスのように、ネットワークの管理者がAPNWに所属する各端末装置を管理する環境を想定する。このような環境では、管理者は、管理対象ではない外部の端末装置に対して、WFDNWに一時的に参加することを許容することが考えられる。本実施例では、このような状況において、外部の端末装置がMFP10に迅速に機能を実行させることを実現することができる。
【0094】
(第3実施例)
本実施例では、図1に示されるように、MFP10は、さらに、BlueTooth(登録商標;以下では「BT」と記載する)方式に従った無線通信を実行するためのBTI/F24を備える。BT方式は、IEEE802.15.1の規格、及び、それに準ずる規格に基づく無線通信方式である。また、携帯端末50は、さらに、BTI/F64を備える。
【0095】
また、MFP10の無線情報記憶領域40は、MFP10とのBT接続を確立するためのBT情報BIを予め記憶している。BT情報BIは、パスキーを含む。また、携帯端末50のメモリ74は、携帯端末50がMFP10とのBT接続を確立している状態、即ち、携帯端末50がBTNWに参加している状態では、BT情報BIを記憶する。
【0096】
(登録プロセス、印刷プロセス、及び、スキャンプロセス;図9
本実施例では、図2の登録プロセスに代えて、図9の登録プロセスが実行される。図9の登録プロセスでも、図2と同様に、S10〜S18が実行される。MFP10のCPU32は、ユーザからS20の登録指示を受け付ける場合に、S600において、無線情報記憶領域40に記憶されている全ての情報を含むMFP情報MI3を仲介サーバ100に供給して、MFP情報MI3を仲介サーバ100に登録する。MFP10がAPNWに参加している状況では、MFP情報MI3は、AP情報AIとG/O情報GIとBT情報BIとを含む。また、MFP10がAPNWに参加していない状況では、MFP情報MI3は、AP情報AIを含まず、G/O情報GIとBT情報BIとを含む。S602及びS604は、図2のS32及びS34(又はS42及びS44)と同様である。
【0097】
その後、図3と同様に、S52〜S66が実行される。ただし、S66の設定画面は、さらに、複数個の通信方式の中から、印刷機能又はスキャン機能をMFP10に実行させるための1個の通信方式を選択するためのボタンを含む。MFP情報MI3がAP情報AIを含む状況では、設定画面における複数個の通信方式の選択肢は、AP方式とWFD方式とBT方式とを含む。MFP情報MI3がAP情報AIを含まない状況では、設定画面における複数個の通信方式の選択肢は、AP方式を含まず、WFD方式とBT方式とを含む。
【0098】
S610では、携帯端末50のCPU72は、設定画面において、印刷機能又はスキャン機能の選択と、印刷条件又はスキャン条件の選択と、通信方式の選択と、を受け付ける。次いで、S612では、CPU72は、選択済みの通信方式がBT方式であるのか否かを判断し、選択済みの通信方式がBT方式であると判断する場合(S612でYES)にはS614に進み、選択済みの通信方式がBT方式でないと判断する場合(S612でNO)にはS620に進む。
【0099】
S614では、携帯端末50のCPU72は、携帯端末50がMFP10と同じBTNWに現在参加しているのか否かを判断する。具体的には、CPU72は、S64(図3参照)で取得されるMFP情報MI3内のBT情報BIに一致するBT情報BIがメモリ74に記憶されているのか否かを判断する。CPU72は、BT情報BIがメモリ74に記憶されている場合(S614でYES)、図10の「C」に進み、BT情報BIがメモリ74に記憶されていない場合(S614でNO)には、図10の「D」に進む。
【0100】
S620では、携帯端末50のCPU72は、携帯端末50がMFP10と同じAPNW又はWFDNWに現在参加しているのか否かを判断する。具体的には、CPU72は、選択済みの通信方式がAP方式である場合には、MFP情報MI3内のAP情報AIに一致するAP情報AIがメモリ74に記憶されているのか否かを判断する。CPU72は、AP情報AIがメモリ74に記憶されている場合(S620でYES)には、図4又は図6の「A」に進み、AP情報AIがメモリ74に記憶されていない場合(S620でNO)には、図4又は図6の「B」に進む。また、CPU72は、選択済みの通信方式がWFD方式である場合には、MFP情報MI3内のG/O情報GIに一致するG/O情報GIがメモリ74に記憶されているのか否かを判断する。CPU72は、G/O情報GIがメモリ74に記憶されている場合(S620でYES)には、図5又は図7の「A」に進み、G/O情報GIがメモリ74に記憶されていない場合(S620でNO)には、図5又は図7の「B」に進む。
【0101】
(印刷プロセス;図10
続いて、図10を参照して、選択済みの通信方式がBT方式である場合に実行される印刷プロセスの内容を説明する。携帯端末50の700,S702,S720,S722の処理は、MFPアプリケーション80に従って実行され、携帯端末50のその他の処理は、サーバアプリケーション78に従って実行される。
【0102】
携帯端末50がMFP10とのBT接続を現在確立していてMFP10と同じBTNWに参加している場合(図9のS614でYES)には、「C」に示されるように、携帯端末50において、S700が実行される。S700は、図4のS100と同様である。次いで、S702では、携帯端末50のCPU72は、BTI/F64を介して、BTNWを利用して、印刷実行指示をMFP10に供給する。S702の印刷実行指示は、図4のS102の印刷実行指示と同様である。
【0103】
MFP10のCPU32は、BTI/F24を介して、BTNWを利用して、携帯端末50からS702の印刷実行指示を取得する場合に、S704において、印刷機能を印刷エンジン16に実行させる。S704は、図4のS104と同様である。
【0104】
一方、携帯端末50がMFP10とのBT接続を現在確立しておらずMFP10と同じBTNWに参加していない場合には、「D」に示されるように、ケースE1又はケースE2が実現される。
【0105】
ケースE1のS710では、携帯端末50のCPU72は、BTI/F64を介して、BT情報BI内のパスキーを含むBT接続要求信号を送信する。BT接続要求信号は、
BT接続の確立をMFP10に要求するためのコマンドである。ケースE1では、MFP10が携帯端末50の周囲(例えば20m以内)に存在するので、S712において、MFP10と携帯端末50との間にBT接続が確立され、MFP10がBTNWに参加すると共に携帯端末50がBTNWに参加する。この後に実行されるS720〜S724は、それぞれ、S700〜S704と同様である。
【0106】
ケースE2では、携帯端末50からBT接続要求信号が送信されるが(S730)。MFP10が携帯端末50の周囲に存在しないので、MFP10と携帯端末50との間にBT接続が確立されない。この後に実行されるS740〜S744は、図4のS140〜S144と同様である。
【0107】
なお、選択済みの通信方式がBT方式である場合に実行されるスキャンプロセスを図示省略している。当該スキャンプロセスは、以下のように実行される。携帯端末50がMFP10とのBT接続を現在確立している場合には、携帯端末50のCPU72は、BTI/F64を介して、スキャン実行指示をMFP10に供給し、MFP10のCPU32は、BTI/F24を介して、スキャンデータを携帯端末50に供給する。また、携帯端末50がMFP10とのBT接続を現在確立していない場合には、携帯端末50のCPU72は、BTI/F64を介して、BT接続要求信号を送信する。そして、MFP10と携帯端末50との間にBT接続が確立される場合には、携帯端末50のCPU72は、BTI/F64を介して、スキャン実行指示をMFP10に供給し、MFP10のCPU32は、BTI/F24を介して、スキャンデータを携帯端末50に供給する。一方、MFP10と携帯端末50との間にBT接続が確立される場合には、図6のS340〜S344と同様の処理が実行される。
【0108】
本実施例でも、上記の各実施例と同様の効果が得られる。また、本実施例によると、ユーザによって選択される通信方式に応じて、印刷機能又はスキャン機能をMFP10に実行させ得る。本実施例では、MFP情報MI3に含まれるAP情報AI、G/O情報GI、及び、BT情報BIが、「複数個のネットワーク関係情報」の一例である。図4及び図6のケースでは、APNWが、「特定の無線ネットワーク」の一例である。図5及び図7のケースでは、WFDNWが、「特定の無線ネットワーク」の一例である。図10のケースでは、BTNEが、「特定の無線ネットワーク」の一例である。
【0109】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、以下の変形例が含まれる。
【0110】
(変形例1)「機能実行装置」は、印刷機能及びスキャン機能を含む複数個の機能を実行可能なMFP10でなくてもよく、印刷機能のみを実行可能なプリンタであってもよいし、スキャン機能のみを実行可能なスキャナであってもよい。
【0111】
(変形例2)MFP10のWi−FiI/F20は、WFD方式をサポートしていなくてもよい。この場合、MFP10は、いわゆるSoftAPを起動して、MFP10が親局として動作する無線NWを形成し、当該無線NWに関係する情報(SSID、MFP10のMACアドレス、パスワード等)を含むMFP情報を仲介サーバ100に登録してもよい。また、MFP10は、MFP10が親局として動作する無線NWを形成しなくてもよく、AP情報AI及びBT情報BIのうちの少なくとも一方の情報を含むMFP情報を仲介サーバ100に登録してもよい。
【0112】
(変形例3)MFP10は、印刷能力情報PIを含まないMFP情報を仲介サーバ100に登録してもよい。この場合、図4の印刷プロセスにおいて、携帯端末50は、対象データの変換(即ちS100、S120)を実行せずに、S102又はS122において、対象データを含むと共に印刷条件を含まない印刷実行指示をMFP10に供給する。また、S140では、携帯端末50は、対象データを含むと共に印刷条件を含まない供給指示を仲介サーバ100に供給する。仲介サーバ100は、対象データの変換(即ちS141)を実行せずに、S142において、対象データを含むと共に印刷条件を含まない印刷実行指示をMFP10に供給する。そして、MFP10は、携帯端末50又は仲介サーバ100から印刷実行指示を取得する場合に、対象データの変換を実行して印刷データを生成し、デフォルトの印刷条件に従って印刷機能を実行してもよい。
【0113】
また、MFP10は、スキャン能力情報SIを含まないMFP情報を仲介サーバ100に登録してもよい。この場合、図6のスキャンプロセスにおいて、スキャン実行指示及び供給指示は、スキャン条件を含まなくてもよい。そして、MFP10は、デフォルトのスキャン条件に従ってスキャン機能を実行する。一般的に言うと、「装置関係情報」は、「第1の能力情報」及び「第2の能力情報」を含んでいなくてもよく、「第1(又は第2)の機能実行指示」は、第1(又は第2)の機能実行条件を含んでいなくてもよい。
【0114】
(変形例4)仲介サーバ100は、Google(登録商標)によって提供されるサーバでなくてもよく、例えば、MFP10のベンダによって提供されるサーバであってもよい。この場合、携帯端末50は、サーバアプリケーション78を備えていなくてもよく、MFP10のベンダによって提供されるMFPアプリケーション80に従って、図2図10の各処理を実行すればよい。
【0115】
(変形例5)第1実施例において、図2のS24及びS26を省略してもよい。この場合、S22でYESの場合にS30が実行され、S22でNOの場合にS40が実行される。即ち、「表示制御部」は省略可能である。
【0116】
(変形例6)第3実施例において、携帯端末50は、ユーザに通信方式を選択させることなく、複数個の通信方式(即ち、AP方式、WFD方式、BT方式)のそれぞれを順次利用することを試行してもよい。例えば、MFP情報MI3がAP情報AIとG/O情報GIとBT情報BIとを含む場合には、携帯端末50は、まず、AP情報AIを利用して、携帯端末50がAPNWに現在参加しているのか否かを判断する。携帯端末50は、APNWに現在参加している場合には、図4又は図6の「A」に進み、APNWに現在参加していない場合には、図4又は図6の「B」に進む。そして、図4又は図6の「B」において、携帯端末50がAPNWに参加することができない場合には、携帯端末50は、G/O情報GIを利用して、携帯端末50がWFDNWに現在参加しているのか否かを判断する。携帯端末50は、WFDNWに現在参加している場合には、図5又は図7の「A」に進み、WFDNWに現在参加していない場合には、図5又は図7の「B」に進む。そして、図5又は図7の「B」において、携帯端末50がWFDNWに参加することができない場合には、携帯端末50は、BT情報BIを利用して、携帯端末50がBTNWに現在参加しているのか否かを判断する。携帯端末50は、BTNWに現在参加している場合には、図10の「C」に進み、BTNWに現在参加していない場合には、図10の「D」に進む。なお、各情報AI,GI,BIを利用する順序は、上記の順序とは異なる順序であってもよい。本変形例によると、携帯端末50が仲介サーバ100を介さずに印刷実行指示又はスキャン実行指示をMFP10に供給する可能性を高めることができる。
【0117】
(変形例7)上記の各実施例では、印刷対象の対象データが携帯端末50に記憶されている。これに代えて、対象データは、携帯端末50とは異なるデバイスに記憶されていてもよい。例えば、対象データが仲介サーバ100に記憶されている場合には、携帯端末50は、AP情報AI等を利用してMFP10と同じNWに参加せずに、供給指示を仲介サーバ100に供給してもよい。この結果、仲介サーバ100は、仲介サーバ100内の対象データによって表わされる画像の印刷を実行させるための印刷実行指示をMFP10に供給することができる。即ち、携帯端末50とは異なるデバイスが対象データを記憶している場合には、携帯端末50がMFP10と同じNWに参加できるのか否かに関わらず、仲介サーバ100を介して印刷実行指示がMFP10に供給されてもよい。一般的に言うと、端末装置は、印刷対象の対象データを記憶している場合に、試行処理を実行し、試行処理の結果に応じて、機能実行指示を機能実行装置に供給するか、供給指示を仲介サーバに供給するか、を選択してもよく、印刷対象の対象データを記憶していない場合に、試行処理を実行せずに、供給指示を仲介サーバに供給してもよい。
【0118】
(変形例8)携帯端末50は、例えば、図3のS54において、各MFPの各デバイス名を取得する際に、さらに、各MFPの各NW情報(即ちAP情報AI又はG/O情報GI)を取得してもよい。そして、携帯端末50は、各MFPの各NW情報を用いて、各MFPについて、当該MFPと同じNWに参加可能であるのか否かを判断してもよい(例えば、Probe Req.信号を送信してProbe Res.信号を受信するのか否かを判断してもよい)。次いで、携帯端末50は、S56においてMFP選択画面を表示する際に、同じNWに参加可能であると判断されたMFPと、同じNWに参加不可能であると判断されたMFPと、を区別して表示してもよい(例えば表示色を変える等)。この構成によると、ユーザは、MFP選択画面からMFPを選択する際に、仲介サーバ100を介する経路と、仲介サーバ100を介さない経路と、のどちらの経路で機能実行指示が供給されるのかを意識しながら、MFPを選択することができる。本変形例では、携帯端末50によって実行される上記の判断が、「試行処理」の一例である。
【0119】
(変形例9)上記の実施例では、MFP10のCPU32及び携帯端末50のCPU72がソフトウェアに従って各処理を実行することによって、図2図10の各処理が実現される。これに代えて、図2図10の各処理のうちの少なくとも1つの処理は、論理回路等のハードウェアによって実現されてもよい。
【0120】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
以下は、出願時の特許請求の範囲に記載の事項である。
(項目1)
機能実行装置であって、
第1の機能を実行するための第1の機能実行エンジンと、
前記機能実行装置に関係する装置関係情報を仲介サーバに供給して、前記装置関係情報を前記仲介サーバに登録する登録部であって、前記装置関係情報は、前記機能実行装置が現在所属している又は所属すべき無線ネットワークに関係するネットワーク関係情報を含む、前記登録部と、
端末装置が、前記仲介サーバに登録された前記装置関係情報内の前記ネットワーク関係情報を利用して、前記無線ネットワークに参加した結果として、前記端末装置から、前記仲介サーバを介さずに、前記無線ネットワークを介して、第1の機能の第1の実行指示を取得する第1の指示取得部と、
前記端末装置が、前記仲介サーバに登録された前記装置関係情報内の前記ネットワーク関係情報を利用して、前記無線ネットワークに参加せず、前記機能実行装置への前記第1の機能の第2の実行指示の供給を前記仲介サーバに実行させるための第1の供給指示を前記仲介サーバに供給した結果として、前記仲介サーバから前記第2の実行指示を取得する第2の指示取得部と、
前記第1の実行指示又は前記第2の実行指示が取得される場合に、前記第1の機能を前記第1の機能実行エンジンに実行させる第1のエンジン制御部と、
を備える、機能実行装置。
(項目2)
前記登録部は、前記機能実行装置とは別体に構成されているアクセスポイントによって形成される第1の無線ネットワークに関係するアクセスポイント関係情報を、前記ネットワーク関係情報として含む前記装置関係情報を前記仲介サーバに供給する、項目1に記載の機能実行装置。
(項目3)
前記機能実行装置は、さらに、
表示部と、
前記アクセスポイント関係情報を前記仲介サーバに供給するのか否かを問い合わせるための問合画面を前記表示部に表示させる表示制御部と、を備え、
前記登録部は、
前記問合画面において、前記アクセスポイント関係情報を前記仲介サーバに供給することがユーザによって選択される場合に、前記アクセスポイント関係情報を含む前記装置関係情報を前記仲介サーバに供給し、
前記問合画面において、前記アクセスポイント関係情報を前記仲介サーバに供給しないことが前記ユーザによって選択される場合に、前記アクセスポイント関係情報を含まない前記装置関係情報を前記仲介サーバに供給する、項目2に記載の機能実行装置。
(項目4)
前記登録部は、前記問合画面において、前記アクセスポイント関係情報を前記仲介サーバに供給しないことが前記ユーザによって選択される場合に、前記機能実行装置が親局として動作することによって形成される第2の無線ネットワークに関係する親局関係情報を、前記ネットワーク関係情報として含む前記装置関係情報を前記仲介サーバに供給する、項目3に記載の機能実行装置。
(項目5)
前記登録部は、前記機能実行装置が親局として動作することによって形成される第2の無線ネットワークに関係する親局関係情報を、前記ネットワーク関係情報として含む前記装置関係情報を前記仲介サーバに供給する、項目1に記載の機能実行装置。
(項目6)
前記装置関係情報は、前記機能実行装置が現在所属している又は所属すべき複数個の無線ネットワークに関係する複数個の前記ネットワーク関係情報を含み、
前記第1の指示取得部は、前記端末装置が、前記仲介サーバに登録された前記装置関係情報内の前記複数個のネットワーク関係情報のうちの少なくとも1個のネットワーク関係情報を利用して、前記複数個の無線ネットワークのうちの特定の無線ネットワークに参加した結果として、前記端末装置から、前記仲介サーバを介さずに、前記特定の無線ネットワークを介して、前記第1の実行指示を取得し、
前記第2の指示取得部は、前記端末装置が、前記仲介サーバに登録された前記装置関係情報内の前記複数個のネットワーク関係情報のうちの少なくとも1個のネットワーク関係情報を利用して、前記複数個の無線ネットワークのいずれにも参加せず、前記第1の供給指示を前記仲介サーバに供給した結果として、前記仲介サーバから前記第2の実行指示を取得する、項目1に記載の機能実行装置。
(項目7)
前記装置関係情報は、さらに、前記第1の機能に関する第1の条件情報を含み、
前記第1の実行指示又は前記第2の実行指示は、さらに、前記第1の条件情報の中から前記端末装置のユーザによって選択される第1の機能実行条件を含み、
前記第1のエンジン制御部は、前記第1の実行指示又は前記第2の実行指示に含まれる前記第1の機能実行条件に従って、前記第1の機能を前記第1の機能実行エンジンに実行させる、項目1から6のいずれか一項に記載の機能実行装置。
(項目8)
前記機能実行装置は、さらに、
第2の機能を実行するための第2の機能実行エンジンと、
前記端末装置が、前記仲介サーバに登録された前記装置関係情報を利用して、前記無線ネットワークに参加した結果として、前記端末装置から、前記仲介サーバを介さずに、前記無線ネットワークを介して、第2の機能の第3の実行指示を取得する第3の指示取得部と、
前記端末装置が、前記仲介サーバに登録された前記装置関係情報を利用して、前記無線ネットワークに参加せず、前記機能実行装置への前記第2の機能の第4の実行指示の供給を前記仲介サーバに実行させるための第2の供給指示を前記仲介サーバに供給した結果として、前記仲介サーバから前記第4の実行指示を取得する第4の指示取得部と、
前記第3の実行指示又は前記第4の実行指示が取得される場合に、前記第2の機能を前記第2の機能実行エンジンに実行させる第2のエンジン制御部と、を備える、項目1から7のいずれか一項に記載の機能実行装置。
(項目9)
前記装置関係情報は、さらに、前記第1の機能に関する第1の条件情報と、前記第2の機能に関する第2の条件情報と、を含み、
前記第1の実行指示又は前記第2の実行指示は、さらに、前記第1の条件情報の中から前記端末装置のユーザによって選択される第1の機能実行条件を含み、
前記第3の実行指示又は前記第4の実行指示は、さらに、前記第2の条件情報の中から前記ユーザによって選択される第2の機能実行条件を含み、
前記第1のエンジン制御部は、前記第1の実行指示又は前記第2の実行指示に含まれる前記第1の機能実行条件に従って、前記第1の機能を前記第1の機能実行エンジンに実行させ、
前記第2のエンジン制御部は、前記第3の実行指示又は前記第4の実行指示に含まれる前記第2の機能実行条件に従って、前記第2の機能を前記第2の機能実行エンジンに実行させる、項目8に記載の機能実行装置。
(項目10)
前記第1の機能は、印刷機能又はスキャン機能である、項目1から9のいずれか一項に記載の機能実行装置。
(項目11)
端末装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記端末装置のコンピュータに、以下の各処理、即ち、
機能実行装置が現在所属している又は所属すべき無線ネットワークに関係するネットワーク関係情報を含む装置関係情報が、前記機能実行装置によって仲介サーバに登録された後に、前記仲介サーバから前記装置関係情報を取得する関係情報取得処理と、
取得済みの前記装置関係情報に含まれる前記ネットワーク関係情報を利用して、前記無線ネットワークに参加することを試行する試行処理と、
前記試行処理の結果として前記無線ネットワークに参加することができた場合に、前記仲介サーバを介さずに、前記無線ネットワークを介して、機能実行指示を前記機能実行装置に供給する第1の指示供給処理と、
前記試行処理の結果として前記無線ネットワークに参加することができなかった場合に、前記機能実行装置への機能実行指示の供給を前記仲介サーバに実行させるための供給指示を前記仲介サーバに供給する第2の指示供給処理と、
を実行させるコンピュータプログラム。
(項目12)
前記ネットワーク関係情報は、前記機能実行装置とは別体に構成されているアクセスポイントを識別するためのアクセスポイント識別情報を含み、
前記試行処理は、
前記アクセスポイント識別情報を利用して、前記アクセスポイントを検索すること、
前記アクセスポイントが見つかった場合に、前記アクセスポイントとの無線接続を確立して、前記無線ネットワークに参加すること、及び、
前記アクセスポイントが見つからなかった場合に、前記無線ネットワークに参加しないこと、を含む、項目11に記載のコンピュータプログラム。
(項目13)
前記機能実行指示は、前記端末装置に記憶されている対象データによって表わされる画像を印刷するための印刷機能を前記機能実行装置に実行させるための指示であり、
前記コンピュータプログラムは、前記コンピュータに、さらに、
前記対象データを変換して、前記機能実行装置が解釈可能なデータ形式を有する第1の印刷データを生成する生成処理を実行させ、
前記第1の指示供給処理は、前記第1の印刷データを含む前記機能実行指示を前記機能実行装置に供給することを含み、
前記第2の指示供給処理は、前記対象データを含む前記供給指示を前記仲介サーバに供給することを含み、
前記供給指示は、前記供給指示に含まれる前記対象データの変換と、前記変換によって生成される第2の印刷データであって、前記機能実行装置が解釈可能なデータ形式を有する前記第2の印刷データを含む前記機能実行指示の前記機能実行装置への供給と、を前記仲介サーバに実行させるための指示である、項目11又は12に記載のコンピュータプログラム。
(項目14)
前記コンピュータプログラムは、前記コンピュータに、さらに、
取得済みの前記装置関係情報内の前記ネットワーク関係情報を利用して、前記端末装置が前記無線ネットワークに現在参加しているのか否かを判断する判断処理を実行させ、
前記コンピュータプログラムは、前記コンピュータに、
前記端末装置が前記無線ネットワークに現在参加していないと判断される場合に、前記試行処理を実行させ、
前記端末装置が前記無線ネットワークに現在参加していると判断される場合に、前記試行処理を実行させず、
前記第1の指示供給処理は、さらに、前記端末装置が前記無線ネットワークに現在参加していると判断される場合に、前記仲介サーバを介さずに、前記無線ネットワークを介して、前記機能実行指示を前記機能実行装置に供給することを含む、項目11から13のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
(項目15)
機能実行システムであって、
機能実行装置と、
端末装置と、を備え、
前記機能実行装置は、
特定機能を実行するための機能実行エンジンと、
前記機能実行装置に関係する装置関係情報を仲介サーバに供給して、前記装置関係情報を前記仲介サーバに登録する登録部であって、前記装置関係情報は、前記機能実行装置が現在所属している又は所属すべき無線ネットワークに関係するネットワーク関係情報を含む、前記登録部と、
前記端末装置から、前記仲介サーバを介さずに、前記無線ネットワークを介して、機能実行指示を取得する第1の指示取得部と、
前記仲介サーバから機能実行指示を取得する第2の指示取得部と、
前記端末装置又は前記仲介サーバから前記機能実行指示が取得される場合に、前記特定機能を前記機能実行エンジンに実行させるエンジン制御部と、を備え、
前記端末装置は、
前記装置関係情報が前記仲介サーバに登録された後に、前記仲介サーバから前記装置関係情報を取得する関係情報取得部と、
取得済みの前記装置関係情報に含まれる前記ネットワーク関係情報を利用して、前記無線ネットワークに参加することを試行する試行処理を実行する試行処理実行部と、
前記試行処理の結果として前記無線ネットワークに参加することができた場合に、前記仲介サーバを介さずに、前記無線ネットワークを介して、前記機能実行指示を前記機能実行装置に供給する第1の指示供給部と、
前記試行処理の結果として前記無線ネットワークに参加することができなかった場合に、前記機能実行装置への前記機能実行指示の供給を前記仲介サーバに実行させるための供給指示を前記仲介サーバに供給する第2の指示供給部と、を備える、
機能実行システム。
(項目16)
前記登録部は、前記機能実行装置とは別体に構成されているアクセスポイントによって形成される第1の無線ネットワークに関係するアクセスポイント関係情報を、前記ネットワーク関係情報として含む前記装置関係情報を前記仲介サーバに供給する、項目15に記載の機能実行システム。
(項目17)
前記登録部は、前記機能実行装置が親局として動作することによって形成される第2の無線ネットワークに関係する親局関係情報を、前記ネットワーク関係情報として含む前記装置関係情報を前記仲介サーバに供給する、項目15又は16に記載の機能実行システム。
【符号の説明】
【0121】
2:通信システム、4:アクセスポイント(AP)、6:インターネット、10:多機能機(MFP)、12:操作部、14:表示部、16:印刷エンジン、18:スキャンエンジン、20:Wi−Fiインターフェース、22:有線インターフェース、24:BTインターフェース、30:制御部、32:CPU、34:メモリ、36:プログラム、DN:MFPデバイス名、PI:印刷能力情報、SI:スキャン能力情報、40:無線情報記憶領域、AI:AP情報、GI:G/O情報、BI:BT情報、50:携帯端末、52:操作部、54:表示部、60:Wi−Fiインターフェース、62:セルラーインターフェース、64:BTインターフェース、70:制御部、72:CPU、74:メモリ、76:OSプログラム、78:サーバアプリケーション、80:MFPアプリケーションCD:PINコード、100:仲介サーバ、MI1,MI2,MI3:MFP情報、TD:対象データ、PD1,PD2:印刷データ、SD:スキャンデータ、PC:印刷条件、SC:スキャン条件
図1
図2
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図10