特許第6592979号(P6592979)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6592979
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】バッグインボックス
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/06 20060101AFI20191010BHJP
   B65D 5/42 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
   B65D77/06 A
   B65D5/42 B
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-120049(P2015-120049)
(22)【出願日】2015年6月15日
(65)【公開番号】特開2017-1728(P2017-1728A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2018年5月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】宮嶋 集平
【審査官】 矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】 仏国特許出願公開第02979330(FR,A1)
【文献】 登録実用新案第3059989(JP,U)
【文献】 特表2008−531425(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0036749(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 67/00−79/02
B65D 81/18−81/30
B65D 81/38
B65D 85/88
B65D 5/00− 5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を充填した口栓付き内袋と、該内袋を収納する外装箱とからなるバッグインボックスであって、
前記外装箱は、底部、蓋部、及び側板からなるブランクを折り曲げて構成されており、
前記蓋部は口栓取出部を有し、前記側板は胴部を形成していて、
前記外装箱はさらに、該バッグインボックス全体を水平面上に前記口栓取出部が横になるように載置した時に前記水平面と前記胴部との間に位置して、前記蓋部側に傾斜させる傾斜部材が、前記外装箱の前記底部に形成されており、
前記底部が一対の外フラップと一対の内フラップとからなり、
前記外フラップには切断線または易切断線により前記傾斜部材が形成され、
前記傾斜部材の底面側の一方の端部には係止孔をそなえ、他方の端部を係止部とし、
前記傾斜部材は、背面側から正面側に向かって2回以上折り返して、前記係止孔に係止部を差し込んだ状態で使用することを特徴とするバッグインボックス。
【請求項2】
請求項1に記載のバッグインボックスであって、
前記傾斜部材は、背面側から正面側に向かって横幅が広がるように形成したことを特徴とするバッグインボックス。
【請求項3】
請求項1または2に記載のバッグインボックスであって、
前記外装箱の側板と前記内袋との間に、枠体を有することを特徴とするバッグインボックス。
【請求項4】
請求項に記載のバッグインボックスであって、
前記側板は、対向する正面側板と背面側板と、対向する左側面側板と右側面側板とを有し、
蓋部の前記口栓取出部が前記正面側板寄りに設けられ、
前記枠体は、前記左側面側板及び前記右側面側板から、前記正面側板に向かって、斜面を形成する少なくとも2枚の枠板を有することを特徴とするバッグインボックス。
【請求項5】
請求項1または2に記載のバッグインボックスであって、
前記内フラップと前記内袋との間に底板を有することを特徴とするバッグインボックス。
【請求項6】
請求項1または2に記載のバッグインボックスであって、
前記側板は、対向する正面側板と背面側板と、対向する左側面側板と右側面側板とを有し、
前記傾斜部材は、前記外フラップの前記正面側板寄りで、左右方向の略中央に形成されていることを特徴とするバッグインボックス。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか1に記載のバッグインボックスであって、
前記側板は、対向する正面側板と背面側板と、対向する左側面側板と右側面側板とを有し、
前記傾斜部材が、前記外装箱の前記左側面側板及び右側面側板の少なくとも一方に形成されていることを特徴とするバッグインボックス。
【請求項8】
請求項7に記載のバッグインボックスであって、
前記傾斜部材は、前記左側面側板及び右側面側板の少なくとも一方の底部寄りで、角部ではない位置に形成されていることを特徴とするバッグインボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッグインボックスに関するものであり、特には内袋内の内容物の注ぎ残しを低減させる機能を備えたものである。
【背景技術】
【0002】
段ボール箱、厚紙製の箱などの外装箱に、樹脂フィルムなどで形成された内袋が内蔵されたバッグインボックスタイプが、酒、ジュース、ワイン、牛乳、ミネラルウォータなどの飲料を充填する容器として広く使用されており、最近では液体洗剤や粉体を充填する容器としても注目されている。
【0003】
これは、容器が軽いにも拘らず、業務用として使えるような比較的多量の液体あるいは粉体を充填することが出来るためであり、また、容器自体は折り畳んだ状態で保管・搬送などが可能なため、ガラス瓶、金属製の缶などに比べて嵩張らないことから使用性の面でのメリットも大きいと云った理由によるものである。
【0004】
このようなバッグインボックスは、使用時には内袋に取り付けられた口栓が横になるように載置するが、水平に載置したままで使用すると、内袋に充填された内容物全てを注ぎ出すことはできず、大量の注ぎ残しが発生してしまうという問題があった。
【0005】
この注ぎ残しを低減させる1つの方法として、外装箱の底部内面と内袋との間にバッグ受板及び弾性体を設け、内容物の減少に伴って、該弾性体の弾性復元力によりバッグ受板の後方を押し上げて内袋が前傾姿勢となるようにする技術が開示されている(特許文献1)。
【0006】
しかしながら、特許文献1のバッグインボックスでは、予め外装箱内にバッグ受板及び弾性体を設ける必要があるため、製造工程が煩雑になる上、容器自体を折りたたんだ状態で保管・搬送可能というバッグインボックスのメリットを損なうことになってしまう。
【0007】
そこで、注ぎ残しを低減させる別の方法として、容器全体を正面側に傾斜させる方法が検討されてきた(特許文献2)。
【0008】
特許文献2におけるバッグインボックスでは、底蓋用外フラップの三角形状の角部を折り曲げて凸状態の折り曲げラインを形成することにより、容器全体を正面側に傾斜させることが可能となる。
【0009】
しかしながら、特許文献2のようなバッグインボックスでは、底蓋用外フラップの角部は、折り曲げ可能にするために、接着されない状態若しくは易接着で容易に剥がせる状態にしておく必要があるが、その結果、該角部が浮いた状態になりやすくなるため、輸送中に該角部が別の容器等に引っかかり、該外フラップが外装箱から剥がれてしまう可能性があった。
【0010】
公知文献を以下に示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2000−281133号公報
【特許文献2】特開2009−298450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたもので、傾斜部材を備えることにより内容物の注ぎ残しを容易に低減させることができるバッグインボックスを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は係る課題に鑑みなされたものであり、本発明のバッグインボックスは、内容物を充填した口栓付き内袋と、該内袋を収納する外装箱とからなるバッグインボックスであって、前記外装箱は、底部、蓋部、及び側板からなるブランクを折り曲げて構成されており、前記蓋部は口栓取出部を有し、前記側板は胴部を形成していて、前記外装箱はさらに、該バッグインボックス全体を水平面上に前記口栓取出部が横になるように載置した時に前記水平面と前記胴部との間に位置して、前記蓋部側に傾斜させる傾斜部材が、前記外装箱の前記底部に形成されており、前記底部が一対の外フラップと一対の内フラップとからなり、前記外フラップには切断線または易切断線により前記傾斜部材が形成され、前記傾斜部材の底面側の一方の端部には係止孔をそなえ、他方の端部を係止部とし、前記傾斜部材は、背面側から正面側に向かって2回以上折り返して、前記係止孔に係止部を差し込んだ状態で使用することを特徴とする。
【0014】
また、本発明のバッグインボックスは、前記外装箱の側板と前記内袋との間に、枠体を有することを特徴としても良い。当該枠体は、前記側板のうちの左右の側板から、前記側板のうちの正面の側板に向かって、斜面を形成する少なくとも2枚の枠板を有すると、なお良い。
【0015】
また、本発明のバッグインボックスの傾斜部材は、前記外装箱の前記底部若しくは前記外装箱の前記側板に形成することができる。当該傾斜部材を前記底部に形成する場合には、背面側の外フラップの左右方向の略中央に当該傾斜部材を形成すると、なお良い。なお、このとき、前記底部の一対の内フラップを突き合わせとするか、前記底部内フラップと前記内袋との間に底板を有すると、より良い。
【0016】
一方、当該傾斜部材を前記側板に形成する場合には、前記側板の上下方向が中央より底部寄りの角部ではない位置に形成すると、なお良い。
【発明の効果】
【0018】
本発明のバッグインボックスでは、バッグインボックス全体を水平面上に載置した時に蓋部側に傾斜させる傾斜部材を外装箱が有していることにより、前記蓋部から突出している口栓を、水平方向よりも下方に傾けることが可能となり、内容物の注ぎ残しを低減させることが可能となる。
【0019】
また、前記外装箱の側板と前記内袋との間に枠体を有することにより、バッグインボックス全体の強度を補強すると共に、内容物減少時の内袋の型崩れを防止することが可能となる。内袋の型崩れを防止することにより、最後まで内容物を前記口栓の近傍に保つことができるため、内容物の注ぎ残しをより低減させることが可能となる。
【0020】
さらに、当該枠体が、前記側板のうちの左右の側板から、前記側板のうちの正面側板に向かって、斜面を形成する少なくとも2枚の枠板を有している場合には、左右の側板付近の内容物を前記正面側板に集めることができるため、内容物を前記口栓の近傍により効果的に保つことができ、内容物の注ぎ残しをさらに低減させることが可能となる。
【0021】
また、当該傾斜部材が、前記外装箱の前記底部に形成されていることにより、前記口栓
取出部を有する前記蓋部の対面にあたる前記底部側を上方に持ち上げた状態で水平面上に載置することができるため、内容物を前記口栓側に集めることができ、内容物の注ぎ残しをより低減させることが可能となる。
【0022】
当該傾斜部材を前記底部に形成する場合には、前記底部の一対の内フラップが突き合わせになっているか、前記底部内フラップと前記内袋との間に底板を有することにより、前記底部外フラップの傾斜部材を組み立てた場合であっても、内袋が型崩れして外装箱の外に飛び出す恐れが無くなるため、より確実に内容物を前記口栓側に集めることが可能となる。
【0023】
さらに、当該傾斜部材を、前記底部のうち、背面側の外フラップの左右方向の略中央に形成することにより、輸送時の引っ掛かりや損傷を防止すると共に、バッグインボックスの左右の傾きを防止できるため、蓋部の左右方向の略中央にある口栓取出部の近傍に内容物を集めることが可能となる。
【0024】
当該傾斜部材を、前記外装箱の前記側板に形成する場合には、前記枠体が内袋の型崩れを防止するため、内フラップを突き合わせにする等の工夫をする必要がなく、簡便に内容物の注ぎ残しを低減させることが可能となる。また、バッグインボックスを背面板のある棚等に載置して、前記底部付近に作業スペースが無い場合でも、当該傾斜部材を組み立てることが可能となる。
【0025】
なお、当該傾斜部材を、前記側板の上下方向の中央より底部寄りの角部ではない位置に形成することにより、前記口栓取出部を有する前記蓋部の対面にあたる前記底部側を上方に持ち上げた状態で水平面上に載置することができ、内容物の注ぎ残しを低減させることが可能となると共に、角部に形成されていないことにより、輸送時の引っ掛かりや損傷を防止することも可能となる。
【0026】
当該傾斜部材は、易切断線で外装箱に形成されることにより、必要な時に容易に組み立ててバッグインボックスを傾斜させることが可能となる。また、2回以上折り返した状態で使用することにより、傾斜角度を大きくすることができるため、より内容物の注ぎ残しを低減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明のバッグインボックスの第1の実施形態の傾斜部材を組み立てた状態の断面を模式的に示した説明図である。
図2図1のバッグインボックスを模式的に底部側から示した説明図である。
図3】本発明のバッグインボックスの第1の実施形態の外装箱の展開図である。
図4】本発明のバッグインボックスの枠体を有する第1の実施形態における図1のA−A断面を模式的に示した説明図である。
図5図4のB−B断面を模式的に示した説明図である。
図6】本発明のバッグインボックスの枠体を有する第1の実施形態の枠体及び外装箱の断面を模式的に示した説明図である。それぞれ(a)枠体が八角柱状の場合(b)枠体が十二角柱状の場合を示す。
図7】本発明のバッグインボックスの枠体を有する第1の実施形態の当該枠体を外装箱に挿入する組み立て途中の模式的な説明図である。
図8】本発明のバッグインボックスの枠体を有する第1の実施形態の外装箱に内袋を挿入する組み立て途中の模式的な説明図である。
図9】本発明のバッグインボックスの第2の実施形態の外装箱の展開図である。
図10】本発明のバッグインボックスの第2の実施形態の傾斜部材を組み立てた状態を模式的に示した側面の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<第1の実施形態>
以下、本発明を実施するための第1の実施形態につき説明する。
図1は、本発明のバッグインボックスの第1の実施形態の傾斜部材を組み立てた状態の断面を模式的に示した説明図、図2は、図1のバッグインボックスを模式的に底部側から示した説明図である。
【0029】
第1の実施形態のバッグインボックス1は、外装箱10と口栓201付き内袋20とを有していて、外装箱10は、口栓取出部110を有する蓋部と、当該蓋部と対向する底部と、胴部を形成する4枚の側板101、102、103、104とからなる。
なお、当該蓋部は、蓋部正面側外フラップ105a、蓋部背面側外フラップ105b、蓋部内フラップ106、106からなり、当該底部は、底部正面側外フラップ107a、底部背面側外フラップ107b、底部内フラップ108、108からなる。
【0030】
口栓取出部110は、蓋部正面側外フラップ105aの正面側に出来る限り寄った位置に形成される。これにより、バッグインボックス1を正面側板101が底面となるように水平面上に載置した時に、口栓取出部110から外に突出する口栓201を、水平面近くにまで低い位置にすることができ、内袋20内の内容物210の注ぎ残しを出来る限り少なくすることが可能となる。
【0031】
なお、蓋部内フラップ106、106は、口栓201を容易に引き出すことができるようにするため、フラップを閉じた時に、蓋部正面側外フラップ105aの口栓取出部110と重なる位置の正面側の一部が切り欠けた形状になっている。
【0032】
また、底部正面側外フラップ107aには傾斜部材30が形成されていて、傾斜部材30を水平面と正面側板101との間に挟みこむようにして組み立てて使用する。図1は、傾斜部材30を組み立てた状態を示している。
【0033】
傾斜部材30を組み立てることにより、図1に示すように、バッグインボックス全体を蓋部側に傾斜させることができ、内袋20内の内容物210の残りが少なくなった場合であっても、口栓201の近傍に内容物210を集めることが可能となる。
【0034】
傾斜部材30は、本発明の目的を達成できれば、底部正面側外フラップ107a内での形成する位置や大きさは特に限定されない。
ただし、形成位置については、バッグインボックスが左右方向に傾いたりグラついたりすることの無いよう、左右方向の略中央であることが好ましい。なお、これは、内容物210を集めるべき口栓取出部110の位置が左右方向の略中央である場合に当てはまることであり、口栓取出部110の位置が左右に偏った場合には、この限りではない。
【0035】
また、大きさについては、1枚のフラップよりも大きくなると外装箱10のブランク11の作製が煩雑になってしまい、小さすぎると傾斜部材30の組み立てが困難になってしまうため、1枚のフラップに収まる範囲で組み立てしやすい大きさであることが好ましい。
図2では、底部正面側外フラップ107aの短辺の長さ全てを使って形成した例を示している。
【0036】
また、傾斜部材30は、2回以上折り返した状態で使用すると、傾斜角度をより大きくすることができるため、より好ましい。図1及び図2では、2回折り返す例を示している。
傾斜部材30を2回折り返すことにより、第1の面302と第2の面303とが重なるため、第1の面302だけの時よりも傾斜角度を大きくすることが可能となる。
【0037】
また、傾斜部材30は、本発明の目的を達成できれば、その形状は特に限定されないが、図2に示すように、背面側から正面側に向かって横幅が広がるように形成することが好ましい。
横幅が広がるように形成すると、傾斜部材30の端部304は、傾斜部材30の下端312よりも横幅が狭くなる。このことにより、横幅の狭い端部304を係止部として、外装箱10の一部に設けられた係止孔305に差し込むことができるようになり、傾斜部材30を組み立てた状態を、より安定して維持することが可能となる。
【0038】
傾斜部材30の係止孔305は、傾斜部材30の端部304を差し込むことにより、傾斜部材30を組み立てた状態を安定して維持することができれば、形成する位置や形成手段は特に限定されないが、外装箱10と別の部材等を用いずに、容易に形成されることが好ましい。
例えば、図2に示すように底部正面側外フラップ107aにおける傾斜部材30の下端312を一部残すことにより傾斜高さ部301に係止孔305を形成するのでも良いし、傾斜部材30の第1の面302の内部に孔(図示せず)を形成するのでも良い。
【0039】
なお、外装箱10の一対の底部内フラップ108、108は、突き合わせとなっているため、底部正面側外フラップ107aの傾斜部材30を組み立てた場合であっても内袋20が型崩れして外装箱10の外に飛び出すことがなく、確実に内容物210を口栓201近傍に集めることが可能となる。
また、本実施形態では示さないが、底部内フラップ108、108を突き合わせにしなくても、底部内フラップ108、108と内袋20との間に、外装箱10の底部内面と同等若しくは一対の底部内フラップ108、108を内方に倒すように折ったときの隙間を埋められるだけの大きさの底板を有しておけば、底部内フラップ108、108を突き合わせにしたときと同等の効果が得られる。
【0040】
さらに、底部背面側外フラップ107bの、傾斜部材30と相対する位置に切り欠き部310を形成しておくと、傾斜部材30を組み立てる時に手をかけやすくなるため、切断線または易切断線からなる切り取り部311を切り取りやすくなる。
【0041】
図3は、本発明のバッグインボックスの第1の実施形態の外装箱の展開図である。
【0042】
外装箱10の材質は、段ボール紙や厚紙からなっている。そのおもて面や裏面に樹脂層などが設けられていても良い。また、紙以外の剛性のある材料で造られていても良い。そして、図3の展開図のようなブランク11を一点鎖線で示す折罫で折って、必要に応じてホットメルトなどの接着剤で接着し組み立てることができる。
【0043】
ブランク11では、上下中央には、右から右側面側板104、正面側板101、左側面側板102、背面側板103が連設され、左端には接着片111が設けられている。
【0044】
正面側板101の上部には蓋部正面側外フラップ105aが連接されており、蓋部正面側外フラップ105aには、収納された内袋20の口栓201を、外装箱10を解体することなく、外に引き出せるような口栓取出部110及び開口予定部Xが、破線状の切れ目で設けられている。
【0045】
正面側板101の下部には底部正面側外フラップ107aが連接されており、底部正面側外フラップ107aには傾斜部材30が形成されている。
【0046】
左側面側板102及び右側面側板104の上部には蓋部内フラップ106が、左側面側板102及び右側面側板104の下部には底部内フラップ108が、それぞれ連接されており、一対の蓋部内フラップ106、106は、内袋20の口栓201を蓋部正面側外フラップ105aの口栓取出部110から取り出すことができるよう、一部をくり抜いた形状になっている。
【0047】
背面側板103の上部には、蓋部背面側外フラップ105bが、背面側板103の下部には、底部背面側外フラップ107bが、それぞれ連接されており、底部背面側外フラップ107bには、必要に応じて、傾斜部材30を組み立てる時に手をかけるための切り欠け部310を形成しても良い。
【0048】
このブランク11から外装箱10を製函するには、右側面側板104、正面側板101、左側面側板102、背面側板103を角筒状に折って、接着片111のおもて面を右側面側板104の裏面に接着剤などを用いて貼着する。
【0049】
次に、底部内フラップ108、108を内方に倒すように折って、更に、底部外フラップ107a、107bを内方に倒すように折る。このとき、底部外フラップ107a、107bと底部内フラップ108の重なり部を、接着剤などを用いて貼着するが、107aに形成する傾斜部材30と底部内フラップ108が重なる部分は貼着しない。傾斜部材30と底部内フラップ108とを貼着しないことにより、傾斜部材30を切り取り部311で容易に切り出して組み立てることが可能となる。
【0050】
これにより、上部が開放された状態の外装箱10が製函される。この外装箱10に、公知の梱包装置にて、内容物の充填された内袋20を、開放された上部より落とし込むように入れて収納させる。
【0051】
なお、内袋20の材質は、一般的に使用されているバッグインボックス用内装袋の、例えば、低密度ポリエチレンフィルム(LDPE)、高密度ポリエチレンフィルム(HDPE)、エチレン/酢酸ビニール共重合体フィルム(EVA)、LDPE/HDPE/LDPE、LDPE/EVA、LDPE/延伸ナイロンフィルム(ONy)、LDPE/ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)、LDPE/PET上に酸化アルミニウムや酸化ケイ素などの無機化合物の薄膜を物理蒸着あるいは化学蒸着などの蒸着法により20〜100nm程度の厚さに設けた無機化合物蒸着PET(VM−PET)、LDPE/VM−PET/LDPE、LDPE/エチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)/LDPE、線状低密度ポリエチレン(L−LDPE)/ONy上に酸化アルミニウムや酸化ケイ素などの無機化合物の薄膜を物理蒸着あるいは化学蒸着などの蒸着法により20〜100nm程度の厚さに設けた無機化合物蒸着ONy、7〜20μm厚のアルミニウム箔を積層した複合プラスチックフィルム等の単層フィルムまたは複合フィルムを、収納する内容物により適宜選択して使用することができる。
【0052】
また、内袋20には内容物210を抽出するための口栓201が装着されている。この口栓201は、一般的には、内袋20の開口孔に熱融着法により取り付けられる環状スパウトと、この環状スパウトの開口部に嵌着ないし螺合されるキャップ部とから形成されている。環状スパウトはポリエチレン等の半硬質プラスチック樹脂から構成され、キャップ部はポリエステル、ポリプロピレン、合成ゴム等の可撓性材料から構成されている。
【0053】
口栓201付き内袋20の収納後、一対の蓋部内フラップ106、106を内方に倒すように折る。その後、蓋部正面側外フラップ105a及び蓋部背面側外フラップ105bを内方に倒すように折る。このとき、蓋部外フラップ105a、105bと蓋部内フラッ
プ106、106の重なり部を、接着剤などを用いて貼着し、梱包する。これにより、内袋20を収納したバッグインボックス1が製函される。
【0054】
第1の実施形態のバッグインボックス1は、外装箱10の側板101、102、103、104と内袋20との間に枠体40を有していても良い。
図4は、枠体40を有する第1の実施形態における断面を模式的に示した説明図、図5は、図4のB−B断面を模式的に示した説明図、図6は、枠体40の例を模式的に示した説明図である。
【0055】
本実施形態では、枠体40は、図5に示すように、複数の枠板からなる1枚のシートを折り曲げて丸めるようにして角筒状の胴部を形成している。
なお、枠体40の枠板は、その枚数や形状、大きさは特に限定されないが、内容物210の重みにより外装箱10の側板101、102、103、104が押圧されて外装箱10の胴部が外側へ膨らむ胴膨れ現象の防止と共に、内容物210を口栓201近傍に集める効果を高める機能も有することが好ましい。本実施形態においては、図6(a)に示す八角筒の胴部を形成する枠体40を例として挙げて説明しているが、例えば、図6(b)に示すように、十二角筒の胴部を形成するようにしても良い。
内容物210を口栓201近傍に集める効果を高める機能を有する例として、図5に示す枠体40では、外装箱10の左右の側面側板102、104から、正面側板101に向かって、斜面を形成する少なくとも2枚の斜面板401、401を有することにより、内袋20内の内容物210をより効率的に口栓201近傍に集めることが可能となる。
また、製造工程が煩雑にならないようにするため、枠体40は一連の枠板からなることが好ましいが、製造工程が煩雑とならない範囲で複数の部材に分かれていても良い。
【0056】
枠体40は、図7に示すように、上部が開放された状態の外装箱10に投入して装着する。このとき、枠体40の各枠板のうち、外装箱10の側板と平行な平行板402と対向する各側板101、102、103、104とは、接着剤などで貼着する。その後、図8に示すように、内袋20を収納する。
【0057】
次に、本実施形態に係るバッグインボックスの使用方法を説明する。
【0058】
口栓201付き内袋20が外装箱10内に収納されたバッグインボックス1は、口栓201を外装箱10の口栓取出部110及び開口予定部Xから外に引き出して口栓201が外装箱10の外側に突出するようにした後、正面側板101が底面となるようにして水平面上に載置して使用する。
【0059】
水平面上に載置して口栓201から内容物210を抽出するが、内容物210の残りが少なくなってくると、口栓201からの抽出量が減り、大量の注ぎ残しを内袋20内に残したまま口栓201から抽出されなくなってしまう。
【0060】
そこで、口栓201からの抽出量が減ってきた段階で、使用者は、底部正面側外フラップ107aに形成された切り取り部311を切り取ることにより、傾斜部材30を底部正面側外フラップ107aから切り出し、傾斜部材30を正面側板101と水平面との間に挟みこむようにして、バッグインボックス1全体を蓋部側に傾斜させる。
【0061】
バッグインボックス1全体を蓋部側に傾斜させることにより、蓋部正面側外フラップ105aの口栓取出部110から突出している口栓201が、傾斜させずに水平面上に載置していた時よりも斜め下方を向くようになる。一方で、傾斜部材30が挟み込まれた底部側は、水平面から傾斜部材30の厚さ分だけ高い状態で維持されるようになる。
これにより、傾斜させずに水平面上に載置していた時には抽出できなかった内容物210
が、口栓201近傍に集められる結果、口栓201からの抽出が可能となり、内容物210の注ぎ残しを著しく低減させることが可能となる。
【0062】
ここで、傾斜部材30を、2回以上折り返して使用することにより、折り返さない場合と比べて、底部側をより上に持ち上げることができるため、バッグインボックス1の傾斜角度を大きくすることができ、より多くの内容物210を口栓201より抽出することが可能となる。
【0063】
<第2の実施形態>
以下、本発明を実施するための第2の実施形態につき説明する。
図9は、本発明のバッグインボックスの第2の実施形態の外装箱の展開図、図10は、本発明のバッグインボックスの第2の実施形態の傾斜部材を組み立てた状態を模式的に示した側面の説明図である。
【0064】
第2の実施形態のバッグインボックスは、外装箱50と内袋60とを有している。
外装箱50は、口栓取出部510を有する蓋部と、当該蓋部と対向する底部と、胴部を形成する4枚の側板501、502、503、504とからなる。
なお、当該蓋部は、蓋部正面側外フラップ505a、蓋部背面側外フラップ505b、蓋部内フラップ506、506からなり、当該底部は、底部外フラップ507、507、底部内フラップ508、508からなる。
【0065】
外装箱50の4枚の側板501、502、503、504のうち、蓋部内フラップ506及び底部内フラップ508に挟まれて連接している左側面側板502及び右側面側板504の2枚の側板には、傾斜部材71、72がそれぞれ形成されている。
【0066】
傾斜部材71、72は、図9に示す例では、バッグインボックスの左右方向への傾きやグラつきをなくすため、左右対称に2箇所形成されているが、例えば、傾斜部材71の高さをもっと高くする等して、傾斜部材71を組み立てた時に、傾斜部材が片方だけでもバッグインボックス全体の左右方向への傾きやグラつきを無くすことができるのであれば、傾斜部材71は1つでも構わない。
【0067】
傾斜部材71、72を組み立てることにより、図10に示すように、バッグインボックス全体を蓋部側に傾斜させることができ、内袋60内の内容物610の残りが少なくなった場合であっても、口栓601の近傍に内容物610を集めることが可能となる。
【0068】
傾斜部材71、72は、本発明の目的を達成できれば、左右の側面側板502、504内での形成する位置や大きさは特に限定されない。
ただし、形成位置については、バッグインボックスが左右に傾いたりグラついたりすることなく確実に蓋部側へ傾くよう、上下方向の中央より底部側で、2つの傾斜部材の上下方向の位置が揃っていることが好ましい。なお、これは、内容物610を集めるべき口栓取出部510の位置が左右方向の略中央である場合に当てはまることであり、口栓取出部510の位置が左右に偏った場合には、この限りではない。
さらに、傾斜部材71、72は底部側の角部とは接しない位置に形成されることが好ましい。これは、傾斜部材71、72が角部に形成された場合に、外装箱50を製函した時に切り取り部711、721が箱の角に位置するため、輸送時に傾斜部材71、72及び外装箱50を損傷してしまう可能性が生じてしまうのを避けるためである。
【0069】
また、傾斜部材71、72の大きさについては、1枚の側板よりも大きくなると外装箱50の強度が弱くなる上に外装箱50のブランク51の作製が煩雑になってしまい、小さすぎると傾斜部材71、72の組み立てが困難になってしまうため、1枚の側板に収まる
範囲で組み立てしやすい大きさであることが好ましい。その中でも、内袋60が型崩れして外装箱50の外に出てこない程度の大きさであると、なお良い。
【0070】
また、外装箱50の強度を高めることと、内袋60の型崩れを防止する観点から、傾斜部材71、72を左右の側面側板502、504に形成する場合には、外装箱50と内袋60との間に枠体を有することが好ましい。
【0071】
外装箱50と内袋60との間に枠体を有する場合には、傾斜部材71、72の大きさは特に限定されないが、枠体の枠板と側面側板502、504とが平行になっている部分に重ならないようにすることが好ましい。これは、外装箱50の強度を高い状態で維持するためである。
【0072】
本実施形態のバッグインボックス2は、傾斜部材71、72が左右の側面側板502、504に形成されている以外は、第1の実施形態と同様である。
【0073】
本実施形態のバッグインボックス2においても、第1の実施形態のバッグインボックス1と同様、傾斜部材71、72を組み立てることにより、底部側を水平面より高く維持して口栓601が突出している蓋部側に傾斜させることができる。
これにより、傾斜させずに水平面上に載置していた時に比べて、内容物610の注ぎ残しを著しく低減させることが可能となる。
【符号の説明】
【0074】
1、2・・・バッグインボックス
10、50・・・外装箱
11、51・・・外装箱のブランク
20、60・・・内袋
30、71、72・・・傾斜部材
40・・・枠体
101、501・・・正面側板
102、502・・・左側面側板
103、503・・・背面側板
104、504・・・右側面側板
105a、505a・・・蓋部正面側外フラップ
106、506・・・蓋部内フラップ
107a・・・底部正面側外フラップ
107b・・・底部背面側外フラップ
507a、507b・・・底部外フラップ
108、508・・・底部内フラップ
110、510・・・口栓取出部
111、511・・・接着片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10