(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6592990
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】液体吐出装置、および、液体吐出装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20191010BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20191010BHJP
B41J 2/015 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
B41J2/175 201
B41J2/01 451
B41J2/01 401
B41J2/015 101
B41J2/01 403
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-133269(P2015-133269)
(22)【出願日】2015年7月2日
(65)【公開番号】特開2017-13389(P2017-13389A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2018年4月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098073
【弁理士】
【氏名又は名称】津久井 照保
(72)【発明者】
【氏名】牧田 秀史
(72)【発明者】
【氏名】山下 範晃
【審査官】
高松 大治
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2016/150939(WO,A1)
【文献】
特開2015−166142(JP,A)
【文献】
特開2012−183730(JP,A)
【文献】
特開2014−176993(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0167807(US,A1)
【文献】
特開2004−034698(JP,A)
【文献】
特開2011−167873(JP,A)
【文献】
特開平11−320913(JP,A)
【文献】
特開2015−016648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J2/01−2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する複数のノズル、各ノズルに個別に連通する液体流路、および液体流路内の液体に圧力振動を生じさせるアクチュエーターを有し、前記アクチュエーターの駆動により対応するノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
前記液体を濾過するフィルターと、
前記アクチュエーターの駆動によって生じる前記液体流路内の液体の振動を検出する振動検出機構と、
前記振動検出機構による検出値を取得して演算する演算回路と、
を備え、
前記振動検出機構は、前記液体吐出ヘッドが備えるm個のノズルのうち、n個(但し、1<n≦m)のノズルについて振動の検出を行い、
前記演算回路は、前記振動検出機構による検出値についての演算結果と予め定められた閾値との比較により、前記フィルターの状態を判定し、前記演算結果が前記閾値を超えた場合に、前記アクチュエーターを駆動する駆動パルスの補正を行うことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記演算回路は、前記演算結果が第1の閾値を超え、当該第1の閾値よりも大きい第2の閾値以下である場合に、前記駆動パルスの補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記演算回路は、前記演算結果が第2の閾値を超えた場合に、前記フィルターがメンテナンスを要する状態になっていると判定することを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記演算回路は、検査対象のn個のノズルのうちの一部のノズルの前記検出値が、残りのノズルの検出値よりも大きい場合、該当するノズルにおいてフィルターの異常以外の要因による吐出不良が生じていると判定することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
液体を吐出する複数のノズル、各ノズルに個別に連通する液体流路、および液体流路内の液体に圧力振動を生じさせるアクチュエーターを有し、前記アクチュエーターの駆動により対応するノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドと、前記液体を濾過するフィルターと、前記アクチュエーターの駆動によって生じる前記液体流路内の液体の振動を検出する振動検出機構と、前記振動検出機構による検出値を取得して演算する演算回路と、を備えた液体吐出装置の制御方法であって、
前記振動検出機構により前記液体吐出ヘッドが備えるm個のノズルのうち、n個(但し、1<n≦m)のノズルについて振動の検出が行われる振動検出工程と、
前記振動検出機構による検出値についての演算結果と予め定められた閾値との比較により、前記フィルターの状態が判定される判定工程と、
前記演算結果が前記閾値を超えた場合に、前記アクチュエーターを駆動する駆動パルスの補正を行う補正工程と、
を含むことを特徴とする液体吐出装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット式記録装置などの液体吐出装置、および、液体吐出装置の制御方法に関し、特に、液体吐出ヘッドのノズルから吐出させる液体を濾過するフィルターを備える液体吐出装置、および、液体吐出装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体吐出装置は液体吐出ヘッドを備え、この液体吐出ヘッドから各種の液体を吐出(噴射)する装置である。この液体吐出装置としては、例えば、インクジェット式プリンターやインクジェット式プロッター等の画像記録装置があるが、最近ではごく少量の液体を所定位置に正確に着弾させることができるという特長を活かして各種の製造装置にも応用されている。例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルタを製造するディスプレイ製造装置,有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイやFED(面発光ディスプレイ)等の電極を形成する電極形成装置,バイオチップ(生物化学素子)を製造するチップ製造装置に応用されている。そして、画像記録装置用の記録ヘッドでは液状のインクを吐出し、ディスプレイ製造装置用の色材吐出ヘッドではR(Red)・G(Green)・B(Blue)の各色材の溶液を吐出する。また、電極形成装置用の電極材吐出ヘッドでは液状の電極材料を吐出し、チップ製造装置用の生体有機物吐出ヘッドでは生体有機物の溶液を吐出する。
【0003】
ここで、上記液体吐出装置において、液体を貯留した液体貯留部材から液体吐出ヘッドのノズルに至るまでの流路の途中に、液体を濾過するフィルターが設けられているのが一般的である。このフィルターによって液体中の気泡等の異物が濾別され、これにより、液体吐出ヘッドの流路が異物等により塞がれて液体の吐出に支障が生じることが抑制される。しかしながら、このフィルターが異物の堆積等により目詰まりした場合、ノズル側に液体が円滑に供給されず、ノズルにおける吐出に悪影響を及ぼす虞があった。このため、フィルターの目詰まりを検出する構成が種々提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。特許文献1に開示されている構成では、液体の供給経路におけるフィルターの上流側と下流側にそれぞれ圧力センサーの圧力差に基づいてフィルターの目詰まりを検出する。また、特許文献2に開示されている構成では、液体の循環系路におけるポンプの駆動状態に基づいてフィルターの目詰まりを検出する。そして、特許文献3には、フィルターが配置された流路に、当該フィルターをバイパスする流路が設けられ、フィルターが目詰まりすることでバイパス流路に液体が流れたことが検出されることで、フィルターの目詰まりが検出される構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平05−116337号公報
【特許文献2】特開2011−167873号公報
【特許文献3】特開2006−076136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらの従来の構成では、フィルターの目詰まりを検出するために、専用の部品を別途要したり、特殊な構造を採用したりする必要があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、専用の部品や構造等を要することなくフィルターの状態を判定することが可能な液体吐出装置、および、液体吐出装置の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔手段1〕
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、液体を吐出する複数のノズル、各ノズルに個別に連通する液体流路、および液体流路内の液体に圧力振動を生じさせるアクチュエーターを有し、前記アクチュエーターの駆動により対応するノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
前記液体を濾過するフィルターと、
前記アクチュエーターの駆動によって生じる前記液体流路内の液体の振動を検出する振動検出機構と、
前記振動検出機構による検出値を取得して演算する演算回路と、
を備え、
前記振動検出機構は、前記液体吐出ヘッドが備えるm個のノズルのうち、n個(但し、1<n≦m)のノズルについて振動の検出を行い、
前記演算回路は、前記振動検出機構による検出値についての演算結果に基づき、前記フィルターの状態を判定することを特徴とする。
【0008】
手段1の構成によれば、フィルターの状態を判定するための専用の部品や構造等を別途要することなく、振動検出機構による検出値を利用してフィルターの状態(目詰まりの度合)を判定することができる。
【0009】
〔手段2〕
上記手段1の構成において、前記演算回路は、前記演算結果と予め定められた閾値との比較により前記フィルターの状態を判定する構成を採用することが望ましい。
【0010】
手段2の構成によれば、演算結果と予め定められた閾値との比較によりフィルターの状態を判定するので、迅速にフィルターの状態を判定することができる。
【0011】
〔手段3〕
上記手段2の構成において、前記演算回路は、前記演算結果が前記閾値を超えた場合に、前記アクチュエーターを駆動する駆動パルスの補正を行う構成を採用することが望ましい。
【0012】
上記手段3の構成によれば、演算結果が閾値を超えた場合に、駆動パルスが補正されるので、フィルターの目詰まりによるインクの吐出特性に影響が生じている場合であってもノズルから吐出される液滴の量や飛翔速度を、設計上目標とする値に近づけることが可能となる。
【0013】
〔手段4〕
上記手段3の構成において、前記制御回路は、前記演算結果が第1の閾値を超え、当該第1の閾値よりも大きい第2の閾値以下である場合に、前記駆動パルスの補正を行う。
【0014】
手段4の方法によれば、演算結果が第1の閾値を超えて第2の閾値以下である場合に駆動パルスが補正されることで、フィルターが交換を要するほどの状態に至るまでは、吐出特性への影響を抑制しつつフィルターを交換等することなく継続して使用することができる。
【0015】
〔手段5〕
上記手段4の構成において、前記制御回路は、前記演算結果が第2の閾値を超えた場合に、前記フィルターがメンテナンスを要する状態になっていると判定する構成を採用することが望ましい。
【0016】
手段5の構成によれば、演算結果が第2の閾値を超えた場合に、フィルターがメンテナンスを要するほどの状態になっていると判定されることで、フィルターの交換あるいは洗浄等のメンテナンスをユーザーに促す等の適切な対処が可能となる。
【0017】
〔手段6〕
上記手段1から手段5の何れか一の構成において、前記制御回路は、検査対象のn個のノズルのうちの一部のノズルの前記検出値が、残りのノズルの検出値よりも大きい場合、該当するノズルにおいてフィルターの異常以外の要因による吐出不良が生じていると判定する構成を採用することが望ましい。
【0018】
手段6の方法によれば、フィルターの目詰まり以外の要因により吐出不良が生じている場合であっても、これに応じて該当ノズルに対して所謂フラッシング処理等の回復処理を実行する等、適切な処理を行うことができる。
【0019】
〔手段7〕
そして、本発明は、液体を吐出する複数のノズル、各ノズルに個別に連通する液体流路、および液体流路内の液体に圧力振動を生じさせるアクチュエーターを有し、前記アクチュエーターの駆動により対応するノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドと、前記液体を濾過するフィルターと、前記アクチュエーターの駆動によって生じる前記液体流路内の液体の振動を検出する振動検出機構と、前記振動検出機構による検出値を取得して演算する演算回路と、を備えた液体吐出装置の制御方法であって、
前記振動検出機構により前記液体吐出ヘッドが備えるm個のノズルのうち、n個(但し、1<n≦m)のノズルについて振動の検出が行われる振動検出工程と、
前記振動検出機構による検出値についての演算結果に基づき、前記フィルターの状態が判定される判定工程と、
を含むことを特徴とする。
また、上記目的を達成するために提案される本発明の液体吐出装置は、以下の構成を備えたものであってもよい。
すなわち、液体を吐出する複数のノズル、各ノズルに個別に連通する液体流路、および液体流路内の液体に圧力振動を生じさせるアクチュエーターを有し、前記アクチュエーターの駆動により対応するノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
前記液体を濾過するフィルターと、
前記アクチュエーターの駆動によって生じる前記液体流路内の液体の振動を検出する振動検出機構と、
前記振動検出機構による検出値を取得して演算する演算回路と、
を備え、
前記振動検出機構は、前記液体吐出ヘッドが備えるm個のノズルのうち、n個(但し、1<n≦m)のノズルについて振動の検出を行い、
前記演算回路は、前記振動検出機構による検出値についての演算結果と予め定められた閾値との比較により、前記フィルターの状態を判定し、前記演算結果が前記閾値を超えた場合に、前記アクチュエーターを駆動する駆動パルスの補正を行うことを特徴とする(手段1)。
手段1の構成によれば、フィルターの状態を判定するための専用の部品や構造等を別途要することなく、振動検出機構による検出値を利用してフィルターの状態(目詰まりの度合)を判定することができる。
また、演算結果と予め定められた閾値との比較によりフィルターの状態を判定するので、迅速にフィルターの状態を判定することができる。
さらに、演算結果が閾値を超えた場合に、駆動パルスが補正されるので、フィルターの目詰まりによるインクの吐出特性に影響が生じている場合であってもノズルから吐出される液滴の量や飛翔速度を、設計上目標とする値に近づけることが可能となる。
上記手段1の構成において、前記演算回路は、前記演算結果が第1の閾値を超え、当該第1の閾値よりも大きい第2の閾値以下である場合に、前記駆動パルスの補正を行う構成を採用することが望ましい(手段2)。
手段2の構成によれば、演算結果が第1の閾値を超えて第2の閾値以下である場合に駆動パルスが補正されることで、フィルターが交換を要するほどの状態に至るまでは、吐出特性への影響を抑制しつつフィルターを交換等することなく継続して使用することができる。
上記手段2の構成において、前記制御回路は、前記演算結果が第2の閾値を超えた場合に、前記フィルターがメンテナンスを要する状態になっていると判定する構成を採用することが望ましい(手段3)。
手段3の構成によれば、演算結果が第2の閾値を超えた場合に、フィルターがメンテナンスを要するほどの状態になっていると判定されることで、フィルターの交換あるいは洗浄等のメンテナンスをユーザーに促す等の適切な対処が可能となる。
上記手段1から手段3の何れか一の構成において、前記制御回路は、検査対象のn個のノズルのうちの一部のノズルの前記検出値が、残りのノズルの検出値よりも大きい場合、該当するノズルにおいてフィルターの異常以外の要因による吐出不良が生じていると判定する構成を採用することが望ましい(手段4)。
手段4の構成によれば、フィルターの目詰まり以外の要因により吐出不良が生じている場合であっても、これに応じて該当ノズルに対して所謂フラッシング処理等の回復処理を実行する等、適切な処理を行うことができる。
そして、本発明の液体吐出装置の制御方法は、液体を吐出する複数のノズル、各ノズルに個別に連通する液体流路、および液体流路内の液体に圧力振動を生じさせるアクチュエーターを有し、前記アクチュエーターの駆動により対応するノズルから液体を吐出する液体吐出ヘッドと、前記液体を濾過するフィルターと、前記アクチュエーターの駆動によって生じる前記液体流路内の液体の振動を検出する振動検出機構と、前記振動検出機構による検出値を取得して演算する演算回路と、を備えた液体吐出装置の制御方法であって、
前記振動検出機構により前記液体吐出ヘッドが備えるm個のノズルのうち、n個(但し、1<n≦m)のノズルについて振動の検出が行われる振動検出工程と、
前記振動検出機構による検出値についての演算結果と予め定められた閾値との比較により、前記フィルターの状態が判定される判定工程と、
前記演算結果が前記閾値を超えた場合に、前記アクチュエーターを駆動する駆動パルスの補正を行う補正工程と、
を含むことを特徴とする(手段5)。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】プリンターの電気的な構成を説明するブロック図である。
【
図2】プリンターの内部構成を説明する斜視図である。
【
図3】記録ヘッドの構成を説明する模式的な断面図である。
【
図5】フィルターの状態を判定する処理について説明するフローチャートである。
【
図6】駆動パルスの補正について説明する波形図である
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0022】
図1は、本発明に係るプリンター1の電気的な構成について説明するブロック図である。本実施形態におけるプリンター1は、CPU2(本発明における演算回路に相当)、メモリー3、入出力インターフェース4、駆動信号生成回路5、紙送り機構7、キャリッジ移動機構8、振動検出回路6、表示装置12、および記録ヘッド9等を有する。振動検出回路6は、駆動パルスPd(
図4参照)によって圧電素子11が駆動されたときの圧力室内のインクに生じる圧力振動(残留振動)に基づく圧電素子11の逆起電力信号を検出信号としてCPU2に出力するように構成されている。CPU2は、圧電素子11を振動センサーとして用いて圧力室内のインクの振動を検出する。すなわち、圧電素子11および振動検出回路6は、本発明における振動検出機構として機能する。なお、振動検出回路6による振動検出工程の詳細については後述する。
【0023】
入出力インターフェース4は、ホスト装置の一種であるホストコンピューター1側からの記録処理等の要求や印刷に係るデータを受けたり、プリンター1の状態情報をホストコンピューター1側に出力したり、等の各種データの送受信を行う。CPU2は、プリンター全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー3は、CPU2のプログラムや各種制御に用いられるデータを記憶する素子であり、ROM、RAM、NVRAM(不揮発性記憶素子)を含む。CPU2は、メモリー3に記憶されているプログラムに従って、各部を制御する。また、本実施形態におけるCPU2は、ホスト装置側からの印刷データを記録ヘッド9のヘッドコントローラー10に送信する。駆動信号生成回路5(駆動パルス生成回路)は、駆動信号の波形に関する波形データに基づいて、アナログの信号を生成し、当該信号を増幅して
図4に示す駆動パルスPdを含む駆動信号を生成する。ヘッドコントローラー10は、駆動信号生成回路5により生成された駆動信号中の駆動パルスPdを各圧電素子11に対して選択的に印加する制御を行う。表示装置12は、プリンター1の筐体に組み込まれた液晶表示装置からなり、例えば、印刷に関する各種設定情報や、後述するようにフィルター22の交換を促す警告等を表示する。
【0024】
本実施形態におけるプリンター1において、記録ヘッド9は、インクカートリッジ13を搭載したキャリッジ14の底面側に取り付けられている。そして、当該キャリッジ14は、キャリッジ移動機構8によってガイドロッド15に沿って往復移動可能に構成されている。すなわち、プリンター1は、紙送り機構7によって記録紙等の記録媒体Sを順次搬送すると共に、記録ヘッド9を記録媒体Sの幅方向(主走査方向)に相対移動させながら当該記録ヘッド9のノズル17(
図3参照)からインクを吐出させて、記録媒体S上に当該インクを着弾させることにより画像等を記録する。なお、インクカートリッジ13がプリンターの本体側に配置され、当該インクカートリッジ13のインクが供給チューブを通じて記録ヘッド9側に送られる構成を採用することもできる。
【0025】
図3は、記録ヘッド9の模式的な断面図である。本実施形態における記録ヘッド9は、インク導入ユニット18と、ヘッド本体19と、を備えている。インク導入ユニット18の上面には、フィルター22を介在させた状態でインク導入針21が取り付けられている。このインク導入針21は、キャリッジ14に装着されたインクカートリッジ13の内部に挿入されるように構成されている。また、このインク導入ユニット18の内部には、インク導入路20が形成されている。このインク導入路20の上流側はフィルター22を介してインク導入針21と連通し、同じく下端側はヘッド本体19の内部に形成されたヘッド流路25(後述)と連通している。インク導入路20の上流側の内径は、下流側から上流側に向けて次第に拡大している。この拡径した部分の開口を塞ぐ状態でフィルター22が取り付けられる。フィルター22は、インクカートリッジ13側からヘッド本体19のノズル17側に供給されるインクを濾過する部材であり、例えば、金属を網目状に編み込んだものや、薄手の金属板に多数の穴を開けたもの等が用いられる。このフィルター22によって、インク内の異物や気泡が捕捉される。なお、本実施形態において、インクカートリッジ13からインク導入針21、インク導入路20、ヘッド流路25を通ってノズル17に至るまでのインク流路が、本発明における液体流路に相当する。
【0026】
インク導入針21は、内部空間を針流路23とした中空針状の部材であり、例えば、合成樹脂などによって作製されている。このインク導入針21の先端部分には、針流路23と連通するインク導入孔26が開設されている。インク導入針21がインクカートリッジ13の内部に挿入されると、当該カートリッジ13内のインクが、インク導入孔26を通じて針流路23内に導入される。針流路23のインク流下方向における略中央部から下流側(インク導入ユニット18側)の内径は、上流側(インク導入孔26側)から下流側に向けて拡大している。この拡径した部分は、フィルター室としても機能する。
【0027】
ヘッド本体19は、ヘッド流路25と、このヘッド流路25の内のインクに圧力変動を生じさせるアクチュエーターとしての圧電素子11等を備えている。ヘッド本体19の底面(記録処理中の記録媒体Sと対向する側)には、ノズル17が開設されている。本実施形態においては、ドット形成密度に対応したピッチで複数のノズル17が、記録媒体Sの搬送方向(
図3における垂直方向)に列設されてノズル列が構成されている。ヘッド流路25は、各ノズル17とそれぞれ個別に連通する圧力室28と、各圧力室28に共通な共通液室27と、共通液室27と圧力室28とを連通する供給口29と、を有している。共通液室27には、インク導入針21から導入されてインク導入路20を流下してきたインクが導入される。圧力室28を区画する壁面のうち一部、具体的には、ノズル17とは反対側の面は可撓面30となっており、この可撓面30上に圧電素子11が形成されている。圧電素子11は、金属製の下電極と、例えばチタン酸ジルコン酸鉛等からなる圧電体と、金属からなる上電極とを順次積層することで形成された所謂撓み振動型の圧電素子である。駆動信号生成回路5側から図示しない信号配線を通じて圧電素子11に駆動信号が選択的に印加されると、駆動信号の電位変化に応じて変形し、この変形によって圧力室28の内部のインクに圧力変動が生じ、このインクの圧力変動が制御されることによりノズル17からインクが吐出される。
【0028】
図4は、駆動信号生成回路5により発生される駆動パルスPdの一例を説明する波形図であり、補正が行われる前の基本波形を示している。なお、駆動パルスPdの補正については後述する。本実施形態における駆動パルスPdは、膨張要素p11と、膨張ホールド要素p12と、収縮要素p13と、収縮ホールド要素p14と、復帰要素p15と、からなる。膨張要素p11は、基準電位VBから膨張電位VLまで電位が接地電位GND側に変化する波形要素である。膨張ホールド要素p12は、膨張要素p11の終端電位である膨張電位VLを一定時間維持する波形要素である。収縮要素p13は、膨張電位VLから基準電位VBを超えて収縮電位VHまで電位がプラス側に比較的急峻な勾配で変化する波形要素である。収縮ホールド要素p14は、収縮電位VHを所定時間維持する波形要素である。復帰要素p15は、収縮電位VHから基準電位VBまで電位が復帰する波形要素である。
【0029】
上記のように構成された駆動パルスPdが圧電素子11に印加されると、まず、膨張要素p11によって圧電素子11および可撓面30は、圧力室28の外側(ノズル17から離隔する側)に撓み、これに伴って圧力室28が基準電位VBに対応する基準容積から膨張電位VLに対応する膨張容積まで膨張する。この膨張により、ノズル17におけるインクのメニスカスが、待機位置(圧力室28が基準容積に維持されているときのメニスカスの位置)から圧力室28側にノズル17の軸方向に沿って引き込まれる。そして、この圧力室28の膨張状態は、膨張ホールド要素p12によって一定時間維持される。膨張ホールド要素p12によるホールドの後、収縮要素p13により圧電素子11および可撓面30が、圧力室28の内側(ノズル17に近接する側)に撓む。これに伴い、圧力室28は膨張容積から収縮電位VHに対応する収縮容積まで急激に収縮される。これにより、圧力室28内のインクが加圧されて、圧力室28側に引き込まれていたメニスカスが、当該圧力室28側とは反対側の吐出側にノズル17の軸方向に沿って待機位置を越えて押し出される。これにより、ノズル17からインク滴が吐出される。圧力室28の収縮状態は、収縮ホールド要素p14の供給期間に亘って維持され、この間に、インクの吐出によって減少した圧力室28内のインクの圧力は、その圧力振動によって再び上昇する。この上昇タイミングにあわせて復帰要素p15が圧電素子11に印加されるように収縮ホールド要素p14の時間が調整されている。この復帰要素p15が印加されることにより、圧電素子11が基準電位VBに対応する定常位置まで戻る。これに伴い、圧力室28が定常容積まで膨張復帰し、圧力室28内のインクの圧力振動(残留振動)が吸収される。
【0030】
この駆動パルスPd(基本パルス)に関し、ノズル17から吐出されるインクの量が一定の値、すなわち、設計上目標とする値となるように、その駆動電圧Vd(膨張電位VLと収縮電位VHとの電位差)が設定されている。また、膨張要素p11の終端から収縮要素p13の始端までの時間(膨張ホールド要素p12の時間)Pw1、および、収縮要素p13の終端から復帰要素p15の始端までの時間(収縮ホールド要素p14の時間)Pw2は、圧力室28内のインクに生じる圧力振動のヘルムホルツ周期(インクの固有振動周期)Tcに基づいて定められている。この固有振動周期Tcは、一般的には次式(1)で表すことができる。
Tc=2π√{Cc/〔(1/Mn)+(1/Ms)〕}・・・(1)
式(1)において、Mnはノズル17のイナータンス(単位断面積あたりのインクの質量:〔インク密度ρ×流路長さL〕/流路断面積S)、Msは供給口29のイナータンス、Ccは圧力室28のコンプライアンス(単位圧力あたりの容積変化、柔らかさの度合いを示す。)である。これにより、圧力室28内のインクに生じる圧力振動に合わせてインクの吐出、あるいは、吐出後の残留振動の制振を適切に行うことができる。
【0031】
ところで、本実施形態におけるプリンター1では、インクカートリッジ13からインク導入ユニット18を経てヘッド本体19の各ノズル17に供給されるインクは、途中、フィルター22によって濾過される構成となっている。このため、フィルター22には、インクから濾別された異物や気泡等が次第に堆積する。この堆積した異物によりフィルター22の目が詰まると、インクの供給に支障が生じ、ノズル17におけるインクの吐出特性にも影響が生じる虞がある。具体的には、フィルター22の目詰まりが生じると、上記の固有振動周期Tcが長くなる傾向となる。すなわち、フィルター22の目詰まりが生じると、フィルター22における流路面積が小さくなり、これにより上記供給口29のイナータンスMsが大きくなるのと同じ効果が生じる。その結果Tcが長くなる。そこで、本発明に係るプリンター1では、振動検出回路6による検出値を利用して、フィルター22の状態(目詰まりの程度)を判定する。
【0032】
図5は、本発明に係るプリンター1におけるフィルターの状態を判定する処理の流れを説明するフローチャートである。本実施形態においては、一定の間隔毎、あるいはプリンタードライバー等を介してユーザーからの指示があった場合に、フィルター状態判定処理が実行される。まず、振動検出工程が実行される(ステップS1)。この振動検出工程では、検査対象のノズル17に対応する圧電素子11に検査用の駆動パルスが印加されて当該圧電素子11が駆動される。圧電素子11が駆動されると、当該圧電素子11に対応する圧力室28内部(インク流路の一部)のインクには圧力振動が生じる。この圧力振動の減衰振動(残留振動)に伴って、当該圧力室28の可撓面30および圧電素子11も振動し、この振動により圧電素子11には逆起電力が生じる。振動検出回路6は、これを検出して逆起電力信号をCPU2に出力する。なお、圧電素子の逆起電力信号を利用してインクの圧力振動を検出する方法は周知であるため、その詳細な説明は省略する。そして、CPU2は、振動検出回路6からの逆起電力信号に基づき、検査対象のノズル17に対応する圧力室28におけるインクの振動周期を検出値として取得する(ステップS2)。本実施形態においては、記録ヘッド9における全てのノズル17(m個)のうち、n個(1<n≦m)のノズル17について振動検出工程が順次実行され、各ノズル17の振動周期が取得される。なお、フィルターの状態の判定精度を上げる上では、記録ヘッド9における全てのノズル17(m個)のノズル17について振動周期が取得されることがより望ましい。
【0033】
ここで、振動検出工程の検出値(振動周期)に関し、予め閾値が設定されている。本実施形態においては、第1の閾値と、これよりも大きい値の第2の閾値の2種類の閾値が定められている。第1の閾値は、例えばフィルター22の目詰まりによる吐出への影響が生じ始めると考えられる振動周期に相当する値に設定されている。また、第2の閾値は、例えばフィルター22の交換を要するほどに目詰まりが進行したと考えられる振動周期に相当する値に設定されている。
【0034】
各ノズル17の検出値が取得されたならば、n個のノズル17のうち一部のノズル17の結果のみ異常であるか否かが判定される(ステップS3)。例えば、CPU2は、取得されたn個の検出値を演算し、具体的には平均値を算出し、当該平均値と各ノズル17の検出値とを比較して平均値に対して検出値の値が著しく異なっている(大きくなっている)ノズル17については異常であると判定する。なお、判定の基準となる平均値と検出値の差については任意に設定することができる。また、判定の方法としては、例えば上記の平均値が第1の閾値以下である場合において、検出値が第1の閾値を超えているノズル17を異常とする方法を採用することもできる。同様に、上記の平均値が第1の閾値よりも大きく第2の閾値以下である場合において、検出値が第2の閾値を超えているノズル17を異常とすることもできる。
【0035】
そして、一部のノズル17の検出値のみ異常であると判定された場合(ステップS3でYes)、当該ノズル17についてフィルター22の目詰まり以外の要因により吐出不良が生じている状態であると判定され、ノズル回復処理が実行される(ステップS4)。具体的には、当該ノズル17からインクを強制的に吐出させる所謂フラッシング処理等の周知の回復処理が実行される。このように、フィルター22の目詰まり以外の要因により吐出不良が生じている場合であっても、これに応じた適切な処理を行うことができる。
【0036】
このノズル回復処理において、該当するノズル17の検出値が、第1の閾値と第2の閾値との間の値である場合と、第2の閾値以上の値である場合とで、ノズル回復処理における強さ等を変えることができる。すなわち、ノズル回復処理としてフラッシング処理を実行する場合、検出値が第1の閾値と第2の閾値との間の値である場合におけるフラッシング処理の強さ(例えば、1回の吐出量や総吐出回数等)よりも、検出値が第2の閾値以上の値である場合におけるフラッシング処理の強さをより強くすることにより、該当するノズル17の状態により適した回復処理を行うことができる。このように、フィルターの目詰まり以外の要因により吐出不良が生じている場合であっても、これに応じて該当ノズル17に対して所謂フラッシング処理等のメンテナンス処理を実行する等、適切な処理を行うことができる。
【0037】
上記ステップS3において、一部のノズル17の検出値のみの異常では無い、すなわち、検査対象のn個のノズル17の各検出値が概ね揃っていると判定された場合(ステップS3でNo)、続いて、n個のノズル17の各検出値についての演算結果が、第1の閾値以上であるか否かが判定される(ステップS5)。具体的には、CPU2は、検査対象のn個のノズル17の各検出値の平均値を算出し、当該演算結果と第1の閾値とを比較する。また、演算結果としては、各検出値の平均値には限られず、各検出値の総和とすることも可能である。この場合、総和に応じた閾値が設定されることになる。そして、演算結果が第1の閾値未満であると判定された場合(ステップS5でNo)、現状ではフィルター22の異常は無いと判定されて、処理が終了される。なお、この場合、プリンター1に設けられている表示装置12や、当該プリンター1と接続されている外部機器で実行されるプリンタードライバー等を通じて、フィルター22の異常が無い旨の報知をしてもよい。
【0038】
一方、演算結果が第1の閾値以上であると判定された場合(ステップS5でYes)、続いて、演算結果が、第2の閾値以上であるか否かが判定される(ステップS6)。そして、演算結果が、第1の閾値を超えて、第2の閾値以下であると判定された場合(ステップS6でNo)、比較的軽微ではあるもののフィルター22の目詰まりによるインクの吐出特性に影響が生じているものと判定され、続いて駆動パルスの補正処理が行われる(ステップS7)。
【0039】
図6は、駆動パルスの補正について説明する波形図である。なお、同図において、破線で示される波形が補正前の駆動パルスPd(基本パルス)、実線で示される波形が補正後の駆動パルスPd′である。上述したように、フィルター22が目詰まりすると固有振動周期Tcが長くなる。固有振動周期Tcが長くなった場合、駆動パルスPdにおいて収縮要素p13による吐出のタイミングや復帰要素p15による制振タイミングがずれてしまう。本実施形態における補正処理では、固有振動周期Tcの変化分だけ、駆動パルスPdにおける膨張ホールド要素p12の時間Pw1、および、収縮ホールド要素p14の時間Pw2を変化させる補正が行われる。つまり、固有振動周期Tcが、基準値(フィルターの目詰まりが生じていない場合におけるTcの初期値)よりも長くなった場合には、その分、Pw1およびPw2が、基準パルスの場合よりも長くなるように補正される。これにより、収縮要素p13による吐出のタイミングや復帰要素p15による制振タイミングが適切に調整される。これにより、固有振動周期Tcの変化に起因してノズル17から吐出されるインク滴の量や飛翔速度が不安定となることを抑制することができる。また、目詰まりによりフィルター22における圧力損失が増加するため、これに伴ってノズル17から吐出されるインク滴の量が減少する。このため、さらに駆動電圧が高められる補正が行われる。すなわち、基準パルスの駆動電圧Vdよりも高い駆動電圧Vd′に設定される。これにより、ノズル17から吐出されるインクの量が設計上目標とする値に揃えられる。
【0040】
このように、検出値が第1の閾値を超えて第2の閾値以下となった場合に駆動パルスPdを補正することで、フィルター22が交換を要するほどの状態に至るまでは、フィルター22の目詰まりによる吐出特性への悪影響を抑制しつつフィルター22を継続して使用することができる。したがって、フィルター22の交換に至るまでは、記録画像の画質(記録品質)を維持することができる。
【0041】
一方、ステップS6において、演算結果が第2の閾値以上であると判定された場合(ステップS6でYes)、フィルター22の交換が必要なほどに目詰まりしていると認識される。この場合、ステップS8において、CPU2は、例えば表示装置12にフィルター22の目詰まりに関する表示を行わせる等して、ユーザーに対してフィルター22の異常を報知し、フィルター22の交換あるいは洗浄等のメンテナンスを促す。また、フィルター22の目詰まりによる吐出不良を防止するため、フィルター22のメンテナンスが完了するまでプリンター1の印刷処理(記録処理)ができないように処理を規制することもできる。これにより、フィルター22の目詰まりによる記録画像の画質(記録品質)の低下を未然に防ぐことが可能となる。
【0042】
以上のように、圧力室28内のインクの振動をセンサーとしての圧電素子11の逆起電力により検出し、検出結果(振動周期)を利用してフィルターの状態、すなわち目詰まりの程度を判定することができるので、フィルターの異常を検出するための専用の部品や構造を別途要することがなく、より簡単な構成でフィルターの状態を判定することができる。このため、従来よりも汎用性が高い。また、演算結果と予め定められた閾値との比較によりフィルター22の状態が判定されるので、迅速な判定が可能である。さらに、検出値が閾値を超えた場合に駆動パルスPdを補正することで、ノズル17から吐出されるインク滴の量や飛翔速度を、設計上目標とする値に近づけることが可能となり、フィルター22の目詰まりによる記録画像の画質の低下を抑制することができる。
そして、演算結果が、第2の閾値を超えた場合に、フィルターがメンテナンスを要する状態になっていると判定されることで、フィルター22の交換あるいは洗浄等のメンテナンスのタイミングをユーザーに報知する等の適切な対処が可能となる。
【0043】
なお、検出値が第1の閾値以上第2の閾値未満となった場合における駆動パルスの補正については、例示したものに限られず、フィルターの目詰まりによって生じる吐出特性の変化を回復させることが可能であれば、周知の種々の方法を採用することができる。
また、駆動パルスPdに関し、
図4で例示したものには限られず、周知の種々の駆動パルスを採用することができる。
【0044】
また、上記実施形態では、記録ヘッド9の内部、具体的にはインク導入針21の下流側にフィルター22が配設された構成を例示したが、フィルターの位置は例示した位置には限られない。例えば、インクカートリッジからインク供給チューブを通じて記録ヘッドにインクが供給される構成では、記録ヘッドの外部にフィルターが設けられる場合もある。このような構成においても、本発明を適用することができる。同様に、例えば、ヘッド本体29内の流路にフィルターが設けられている構成においても本発明を適用することができる。
【0045】
さらに、上記実施形態では、アクチュエーターとして、所謂撓み振動型の圧電素子11を例示したが、これには限られず、例えば、所謂縦振動型の圧電素子等、液体流路内の液体の振動を検出可能なアクチュエーターを用いる場合にも本発明を適用することができる。
【0046】
そして、本発明は、液体吐出ヘッドのノズルから吐出させる液体の供給経路(液体流路)の途中にフィルターを備える構成であれば、上記のプリンター1に限られず、プロッター、ファクシミリ装置、コピー機等、各種のインクジェット式記録装置、あるいは、着弾対象の一種である布帛(被捺染材)に対して液体吐出ヘッドからインクを着弾させて捺染を行う捺染装置等の液滴吐出装置等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1…プリンター,2…CPU,5…駆動信号生成回路,6…振動検出回路,9…記録ヘッド,11…圧電素子,13…インクカートリッジ,17…ノズル,18…インク導入ユニット,19…ヘッド本体,22…フィルター,28…圧力室,30…可撓面