(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光ファイバの伝送損失の増加の許容値を設定し、前記許容値を満たすように前記光ファイバの巻取り張力を算出し、前記巻取り張力に基づき前記巻取り部分の体積Sと前記光ファイバの実体積Vとの前記割合V/Sが最大となるように前記光ファイバの巻取りピッチを算出し、算出された前記巻取り張力と前記巻取りピッチとに基づいて巻取り条件を設定する、請求項1に記載の光ファイバの巻取り方法。
前記光ファイバの前記巻き半径と前記胴部の前記半径との差から求められる前記光ファイバの巻き厚さが15mm以上である、請求項1または請求項2に記載の光ファイバの巻取り方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<本発明の実施形態の概要>
最初に本発明の実施形態の概要を説明する。
本発明の実施形態にかかる光ファイバの巻取り方法は、
(1)石英ガラスを主成分とする光ファイバをボビンに巻取る巻取り方法であって、
前記光ファイバの巻取り張力が一定であって、30g以上70g以下の範囲であり、
前記ボビンの胴部に巻取られる前記光ファイバの巻き半径と前記胴部の半径および幅とから求められる前記光ファイバの巻取り部分の体積Sに対する、巻取られた前記光ファイバの断面積と長さから求められる前記光ファイバの実体積Vの割合V/Sが58%以上79%以下となるように、巻取り条件を設定して巻取る。
この構成によれば、張力制御が容易であるとともに、光ファイバ輸送中の巻崩れが発生しにくく、伝送損失の増加も抑制可能な光ファイバの巻取り方法を提供することができる。
【0011】
(2)前記光ファイバの伝送損失の増加の許容値を設定し、前記許容値を満たすように前記光ファイバの巻取り張力を算出し、前記巻取り張力に基づき前記巻取り部分の体積Sと前記光ファイバの実体積Vとの前記割合V/Sが最大となるように前記光ファイバの巻取りピッチを算出し、算出された前記巻取り張力と前記巻取りピッチとに基づいて巻取り条件を設定することが好ましい。
この構成によれば、光ファイバの巻取り張力や巻取りピッチに基づいて、巻崩れやロス増のない巻取り条件を容易に設定することができる。
【0012】
前記光ファイバの巻取り方法においては、
(3)前記光ファイバの前記巻き半径と前記胴部の前記半径との差から求められる前記光ファイバの巻き厚さが15mm以上であることが好ましい。
光ファイバの巻き厚さが上記範囲以上であると巻崩れが発生しやすいため、本発明に係る巻取り方法を適用するのが好適である。
【0013】
前記光ファイバの巻取り方法においては、
(4)前記光ファイバの有効断面積Aeffが70μm
2以上であることが好ましい。
Aeffが大きい光ファイバは側圧によって伝送損失が増加しやすいため、本発明に係る巻取り方法を適用するのが好適である。
【0014】
本発明の実施形態にかかる光ファイバは、
(5)ボビンに巻取られた石英ガラスを主成分とする光ファイバであって、
前記ボビンの胴部に巻取られた前記光ファイバの巻き半径と前記胴部の半径および幅とから求められた前記光ファイバの巻取り部分の体積Sに対する、巻取られた前記光ファイバの断面積と長さから求められた前記光ファイバの実体積Vの割合V/Sが58%以上79%以下であり、
前記光ファイバの前記巻き半径と前記胴部の前記半径との差から求められた前記光ファイバの巻き厚さが15mm以上であり、
巻取られたことによる前記光ファイバの伝送損失の増加が0.01dB/km以下である。
この構成によれば、輸送中の巻崩れが発生しにくく、伝送損失の増加も抑制可能な光ファイバを提供することができる。
【0015】
前記光ファイバは、
(6)有効断面積Aeffが70μm
2以上であることが好ましい。
Aeffが大きい光ファイバについては、上記(5)のように巻取られることが好適である。
【0016】
<本発明の実施形態の詳細>
以下、本発明に係る実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
【0017】
図1に示すように、光ファイバ10は、例えば、石英ガラスを主成分とし、コアとクラッドとからなる例えば外径125μmのガラスファイバの外周を樹脂で被覆したものである。光ファイバ10の外径は例えば250μmである。この光ファイバ10は、例えば、光通信等に用いるために、束ねられて光ケーブルとされる。光ファイバ10としては、例えば、有効断面積Aeffが70μm
2以上であるものが用いられる。Aeffが大きい光ファイバは、側圧に弱く、曲げが生じたときに内部を導光される光が外部に逃げやすくなり伝送損失が増加してしまうため、巻取り張力は比較的低い値に抑える必要がある。
【0018】
この光ファイバ10を巻取るボビン20は、例えば、プラスチック等の合成樹脂から形成されたもので、光ファイバ10が巻き付けられる円筒状の胴部(巻取り部)20aと、この胴部20aの両端に設けられた円板状の一対の鍔部20b,20cとを有している。本実施形態においては、胴部20aの半径rは、例えば50mm〜100mmであり、一対の鍔部20b,20cの各半径Rは、例えば100mm〜200mmである。また、胴部20aの幅wは、例えば100mm〜300mmである。
【0019】
光ファイバ10がボビン20に巻取られる際には、光ファイバ10がボビン20の胴部20a上において均一に巻取られるようにする必要がある。そのため、
図1に示すような巻取り装置21が用いられる。巻取り装置21は、回転駆動される駆動軸(駆動部)22を備え、駆動軸22には、ボビン20が装着される。ボビン20は駆動軸22に固定され、例えば
図1の右側から見て時計方向に回転される。
【0020】
駆動軸22によって回転されるボビン20に対して、光ファイバ10を案内するローラ19は、ボビン20の回転軸方向(
図1の矢印A)へ往復移動される。これにより、光ファイバ10が、ボビン20の軸方向へ往復移動されながらボビン20の胴部20aに巻取られる。つまり、この巻取り装置21は、ボビン20の回転軸方向の位置を固定し、光ファイバ10を往復移動させる方式(ローラトラバース方式)で光ファイバ10をボビン20の胴部20aに巻取らせる。
【0021】
本実施形態においては、光ファイバ10の巻取り張力が一定のまま、光ファイバ10はボビン20に巻取られる。巻取り張力が一定であると、巻取り条件の設定が容易であり、巻取り途中で光ファイバ10が断線してしまったような場合であっても、巻取り条件を再設定することなく別のボビンへの巻き付けを再開することができる。
【0022】
光ファイバ10の巻取り張力は、具体的には、30g以上70g以下、好ましくは40g以上50g以下の範囲である。巻取り張力が30gより小さいと、巻取り張力が低すぎて巻取り張力が安定せず、所望の巻取りピッチで光ファイバ10をボビン20に巻き付けることができない。一方、巻取り張力が70gを超えると、光ファイバ10に側圧がかかり、光ファイバ10の伝送損失が高くなってしまう。
【0023】
また、本実施形態においては、光ファイバ10を巻取ることで増加する光ファイバ10の巻取り部11の体積と巻き取られた光ファイバ10の実際の体積との割合を「巻密度」と定義し、巻密度の好適な範囲を以下の通り設定している。
【0024】
具体的には、光ファイバ10の巻き半径(巻取り部11の半径)tと胴部20aの半径rおよび幅wとから求められる光ファイバ10の巻取り部11の体積Sに対する、巻取られた光ファイバ10の断面積と長さから求められる光ファイバ19の実体積Vの割合V/Sが58%以上79%以下となるように、巻取り条件を設定している。すなわち、光ファイバ10の巻取り部11の体積Sは、次式(1)から求められる。
S=(πt
2w)−(πr
2w) …(1)
【0025】
光ファイバ10がボビン20の鍔部20b,20cの外径ぎりぎりまで巻取られるとすると、光ファイバ10の巻き半径tは、ボビン20の鍔部20b,20cの半径Rにより算出することができる。また、光ファイバ10の巻取り部11の巻き厚さをTとすると、当該巻き厚さTは、光ファイバ10の巻き半径tと胴部20aの半径rとの差t−rにより決定され、光ファイバ10がボビン20の鍔部20b,20cの外径ぎりぎりまで巻取られる場合には、巻き厚さTは、鍔部20b,20cの半径Rと胴部20aの半径rとの差R−rにより算出することができる。
また、巻取られた光ファイバ10の実体積Vは、巻取られた光ファイバ10の断面積と長さとの積により算出される。
【0026】
巻密度が高いと、ボビン20に巻き取られた光ファイバ10間に生じる隙間が小さいことに対応し、光ファイバ10が輸送中に動く空間が小さくなるため、輸送中の振動・衝撃・温度変化による巻崩れが発生しにくくなる。したがって、巻密度は高い方が好ましく、光ファイバ10が最も隙間が小さく緻密に巻き取られたとすると、理論上は79%に相当する。巻密度は、この上限値に近いほど好ましいが、実際には巻取り装置の位置精度、巻取り中の光ファイバ10の振動等が原因で光ファイバ10間の隙間が増加するため、70%程度が実際の上限となる。
【0027】
本実施形態においては、以下の手順にしたがって、光ファイバ10の巻取り条件を設定する。
一般に、光ファイバの巻取り張力を上げていくと伝送損失が増加する。そのため、最初に、光ファイバ10の伝送損失の増加が許容値以下となるように巻取り張力を設定する。次に、設定された巻取り張力に基づき、巻密度である光ファイバ10の巻取り部11の体積Sに対する巻き取られた光ファイバ10の実体積Vの割合V/Sが最大となるように、光ファイバ10の巻取りピッチを算出する。巻取りピッチによりボビン20に巻取られた光ファイバ10同士の隙間が変化するため、巻取りピッチの変化に応じて巻密度も変化する。最後に、算出された巻取り張力と巻取りピッチとに基づいて巻取り条件を設定する。
【0028】
すなわち、光ファイバ10の巻取りピッチおよび巻取り張力と巻密度との関係を調べておき、好適な範囲内での巻取り張力および巻取りピッチに基づいて巻取り条件を設定し、ボビン20に巻き付けられる光ファイバ10の巻密度が最適な範囲となるように調整する。上記の巻取り条件によりボビン20に巻取られた光ファイバ10は、巻取られたことによる伝送損失の増加が0.01dB/km以下となる。ボビン20に巻取られた後の光ファイバ10の伝送損失の増加が0.01dB/km以下であれば、十分に許容できる範囲である。
【0029】
なお、上記のようにボビン20に巻取られる光ファイバ10については、ボビン20に巻取られた光ファイバ10の巻取り部11の巻き厚さT(
図1参照)が大きくなるほど巻崩れが発生しやすい。光ファイバ10の巻き厚さTが15mm以上であると巻崩れ発生率が上がる。
【0030】
一般に、光ファイバ10は、ボビン20に巻かれた状態で梱包箱(図示省略)等に収容されて出荷され、トラック、船もしくは飛行機などで搬送される。
ボビン20に巻かれた光ファイバ10を搬送する際に、光ファイバ10をボビン20へ巻取る際の巻取り張力が低いと、光ファイバ10を搬送する際の振動などにより光ファイバ10の巻き崩れが生じる場合がある。このような光ファイバ10の巻き崩れは、光ファイバ10をボビン20から引き出して光ケーブルを製造する際の断線の要因となるため、光ファイバ10を巻き直す作業が必要となり、作業性が悪くなってしまう。
また、光ファイバ10の巻き崩れを防止すべく巻取り張力を大きくすると、隣り合う光ファイバ10が接触し、この光ファイバ10同士の接触による側圧の影響で光ファイバ10の伝送損失が高くなってしまう。
また、特許文献3に記載のように、光ファイバの巻取り張力をTとし、トラバースピッチをPとしたときにT/P
2を所定の範囲に設定しても、巻崩れが発生する場合がある。
【0031】
このような課題を鑑み、本実施形態においては、発明者が光ファイバの巻崩れの原因について調査したところ、同じ巻取り張力やトラバースピッチで巻き取っても、緻密に巻かれている場合とそうでない場合があることに気づき、巻取り張力やトラバースピッチではなく、光ファイバ10が緻密に巻き取られているかを示す「巻密度」を指標とすることが光ファイバ10の輸送中の巻崩れを発生しにくくすることに有効であることを見出した。巻密度を指標とすることで巻取り張力を必要以上に増加させることなく巻崩れが起きない巻取り条件を設定することができる。巻密度が有効であることの理由としては、同じ巻取り張力やトラバースピッチであっても、設備の違いにより張力制御の精度やトラバース位置の精度に違いがあることや、ボビンに巻き取られる光ファイバの振動の影響が挙げられる。特に、光ファイバの振動が大きい場合は、光ファイバが直前に巻き取られた隣接ファイバの上に乗り上げることがあり、緻密に巻かれない場合があった。
【0032】
本実施形態に係る光ファイバ10の巻取り方法によれば、光ファイバ10の巻取り張力が一定であって、30g以上70g以下の範囲であり、ボビン20の胴部20aに巻き付けられる光ファイバ10の厚みを示す光ファイバ10の巻き半径tと胴部20aの半径rおよび幅wとから求められる光ファイバ10の巻取り部11の体積Sに対する、巻取られた光ファイバ10の断面積と長さから求められる光ファイバ10の実体積Vの割合V/Sが58%以上79%以下となるように、巻取り条件を設定して巻取る。すなわち、光ファイバ10の巻取り部11の体積Sに対する巻取られた光ファイバ10の実体積Vの割合V/Sが適切な値となるように条件設定して、光ファイバ10をボビン20に巻取っている。この条件によれば、光ファイバ10の巻取り張力を、一定で且つ好適な範囲内に設定しているため、巻取り張力の調整が容易であり、伝送損失の増加も防止することができる。また、光ファイバ10の巻取り部11の体積Sに対する巻取られた光ファイバ10の実体積Vの割合V/Sから求められる「巻密度」という指標を採用することで、光ファイバ10の巻取り条件の設定が容易となる。
【0033】
さらに、「巻密度」に基づく条件設定を行うことで、光ファイバ10の伝送損失の増加を極力抑えつつ、光ファイバ10が巻かれたボビン20を輸送する際に光ファイバ10が巻き崩れることを防止できる。これにより、搬送後の光ファイバ10の巻き崩れに伴う光ファイバ10の断線を抑制することができるとともに、光ファイバ10の巻き直しが不要となり、作業性を向上させることができる。
【0034】
また、本実施形態においては、光ファイバ10の伝送損失の増加の許容値を設定し、許容値を満たすように光ファイバ10の巻取り張力を算出し、巻取り張力に基づき光ファイバ10の巻取り部11の体積Sと光ファイバ10の実体積Vとの割合V/Sが最大となるように光ファイバ10の巻取りピッチを算出し、算出された巻取り張力と巻取りピッチとに基づいて巻取り条件を設定することが好ましい。これにより、巻崩れやロス増のない巻取り条件を容易に設定することができる。
【0035】
また、本実施形態においては、光ファイバ10の巻き半径tとボビン20の胴部20aの半径rとの差から求められる光ファイバの巻き厚さTが15mm以上であることが好ましい。巻取られた光ファイバ10の巻き厚さTが15mm以上であると巻崩れが発生しやすいため、このような光ファイバ10には巻崩れの防止を実現できる本実施形態に係る巻取り方法を適用するのが好適であるためである。
【0036】
さらに本実施形態においては、光ファイバ10の有効断面積Aeffが70μm
2以上であることが好ましい。Aeffが70μm
2以上である光ファイバ10は側圧の影響により伝送損失が増加しやすいため、巻取り張力を増加させることなく巻崩れの防止を実現できる本実施形態に係る巻取り方法を適用するのが特に好適である。
【実施例】
【0037】
(巻崩れ発生率の評価)
光ファイバ10の巻崩れ発生率を評価するため、最初に、光ファイバ10の巻取りピッチおよび巻き張力と巻密度との関係について評価を行った。
図2は、巻取りピッチと巻密度との関係を示したグラフである。巻取りピッチと巻密度との関係を確認するため、光ファイバ10の伝送損失の増加の許容値に対する好適な巻取り張力として巻取り張力を例えば45gと設定し、巻取りピッチを0.40mm〜0.60mmの範囲で変化させて、それぞれの巻密度を測定した。その結果、
図2に示すように、巻取りピッチ0.45mmで巻密度が最大となることが確認された。すなわち、このような巻取りピッチと巻密度との関係をあらかじめ調べておくことで、巻密度(割合V/S)が最大となるように光ファイバ10の巻取りピッチの好適な範囲を算出することができる。
【0038】
なお、光ファイバ10の外径は0.25mmであるため、巻取りピッチが0.25mmに近づくにつれて巻密度が増加するはずであるが、巻取りピッチが0.45mmより小さくなったところで巻密度は減少する。これは、巻取り設備の精度や光ファイバの振動が影響するためである。巻取りピッチが小さくなると、直前に巻かれた光ファイバに乗り上げる頻度が増加し巻密度が低下する。よって、巻密度がピークとなる巻取りピッチは、設備、巻取り条件、ファイバの違い等により異なるが、本実施形態では巻密度を指標とすることで、最適な巻取り条件を得ることができる。
【0039】
図3は、巻取り張力と巻密度との関係について示したグラフである。巻取り張力と巻密度との関係を確認するため、巻密度が最大となる巻取りピッチ0.45mmで、巻取り張力を45g〜75gの範囲で変化させ、各巻取り張力での巻密度を測定した。その結果、いずれの巻取り張力の場合でも巻密度は58以上であり、さらに巻取り張力が高くなるほど巻密度が上がることが確認された。このような巻取り張力と巻密度との関係をあらかじめ調べておくことで、伝送損失が増加しない範囲で巻密度(割合V/S)が最大となるように光ファイバ10の巻取り張力の好適な範囲を算出することができる。
【0040】
次に、光ファイバ10の巻崩れ発生率を評価するため、光ファイバ10の巻取り部11の体積Sに対する巻取られた光ファイバ10の実体積Vの割合V/S(巻密度)を56〜62%の範囲で変化させて、そのときの光ファイバ10の巻崩れ発生率を確認した。その結果を
図4に示す。
図4に示すように、巻密度が58%以上であると巻崩れ発生率は0%に抑えられるが、巻密度が58%よりも小さいと光ファイバ10の巻崩れが発生する確率が高くなることが確認された。
【0041】
以上から、巻密度が58%以上であれば、光ファイバ10の巻き崩れが発生しないことが確認できた。
【0042】
(繰り出し性およびロス増の評価)
光ファイバ10の繰り出し性やロス増についても以下の通り評価を行った。
有効断面積Aeffが70μm
2、ファイバ外径250μmのシングルモードファイバ(長さ50km)を、胴部の半径rが75mm、鍔部の半径Rが150mm、胴部の幅wが150mmのボビンに、巻取り張力を45gとし、巻取りピッチを0.45mmとして巻き取った。その結果、巻き半径は120.4mmとなった。巻取り部分の体積Sに対する巻き取られた光ファイバの実体積Vの割合V/Sは58.7%と計算された。このボビンに振動試験器で振動を与えた後、光ファイバを繰り出せるか確認したところ、問題なく繰り出すことができた。また、この状態で光ファイバのロスを測定したところ、ロス増は0.003dB/kmと良好であった。なお、ロス増は、ボビンの上口から5km繰り出して束(たば)状態にすることで側圧がかからないようして測定したロスと比較することで求めた。
【0043】
以上、本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。また、上記説明した構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等に変更することができる。