特許第6593043号(P6593043)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6593043
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】レーザ治療装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/008 20060101AFI20191010BHJP
【FI】
   A61F9/008 130
   A61F9/008 120C
【請求項の数】3
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-176884(P2015-176884)
(22)【出願日】2015年9月8日
(65)【公開番号】特開2016-55177(P2016-55177A)
(43)【公開日】2016年4月21日
【審査請求日】2018年8月29日
(31)【優先権主張番号】特願2014-182178(P2014-182178)
(32)【優先日】2014年9月8日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
(72)【発明者】
【氏名】村上 なほ
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 丈裕
(72)【発明者】
【氏名】冨田 誠喜
【審査官】 石田 智樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−095816(JP,A)
【文献】 特開平04−244151(JP,A)
【文献】 特開2000−033098(JP,A)
【文献】 特開2003−339758(JP,A)
【文献】 特開2001−070337(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 9/008
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を患部へ集光して治療を行うレーザ治療装置であって、
光ファイバの出射端から射出された前記レーザ光を、レンズを介して前記患部へ照射する照射光学系と、
少なくとも前記照射光学系の光軸に沿う方向における前記患部に対する前記レーザ光の集光位置のアライメントを手動にて調整するためのアライメント調整手段と、
前記アライメント調整手段によって調整された前記レーザ光の集光位置と前記患部とのアライメント状態を検出するアライメント検出手段であって、前記患部と前記レーザ光の輪郭が最も明瞭となる前記レーザ光の集光位置との、前記照射光学系の光軸に沿う方向のアライメント状態を検出するアライメント検出手段と、
視度調節手段を有する接眼部であって、術者が前記患部を観察するための前記接眼部を持つ観察手段と、
前記観察手段に設けられる報知手段であって、前記アライメント検出手段の検出結果を用いて、前記接眼部を覗いた術者の視野内に前記アライメント検出手段の検出結果を呈示するための報知手段と、
を備えることを特徴とするレーザ治療装置。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザ治療装置であって、
前記アライメント検出手段は、前記患部からの光を受光する受光素子を持つアライメント検出光学系を有し、前記受光素子の出力信号を用いて前記アライメント状態を検出することを特徴とするレーザ治療装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のレーザ治療装置であって、
前記観察手段は、患者の患部と共役となる位置にレチクルを呈示し、前記接眼部を覗いた術者の視野内に前記レチクルを呈示するレチクル呈示手段を備えることを特徴とするレーザ治療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、患部を術者に観察させながら、治療レーザ光を患部に導光照射して治療を行うレーザ治療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、患部を術者に観察させながら、治療レーザ光を患部に照射して治療を行うレーザ治療装置が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1のレーザ治療装置は、患部を含む患者眼を術者が観察するための双眼の顕微鏡部を有している。術者は顕微鏡部を用いてスリットデリバリの照明部と患者眼との位置合わせを行うと共に、マイクロマニピュレータを用いて患部へ照準光を合わせてから、治療用のレーザ光を患部へ照射している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−136539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、顕微鏡部を用いて患者眼を観察するためには、例えば、予め、術者の視度に応じた接眼レンズの視度調整が必要である。接眼レンズの視度調整が好適に行われないと、患部をピントが合った状態で観察できていても、照射したレーザ光は、患部から光軸に沿う方向に外れた位置に結像(つまり、レーザ光がボケた状態で患部へ照射される)されてしまう可能性があった。
【0005】
本開示は、レーザ光を好適な位置に照射するレーザ治療装置を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示は以下のような構成を備えることを特徴とする。
(1) レーザ光を患部へ集光して治療を行うレーザ治療装置であって、光ファイバの出射端から射出された前記レーザ光を、レンズを介して前記患部へ照射する照射光学系と、少なくとも前記照射光学系の光軸に沿う方向における前記患部に対する前記レーザ光の集光位置のアライメントを手動にて調整するためのアライメント調整手段と、前記アライメント調整手段によって調整された前記レーザ光の集光位置と前記患部とのアライメント状態を検出するアライメント検出手段であって、前記患部と前記レーザ光の輪郭が最も明瞭となる前記レーザ光の集光位置との、前記照射光学系の光軸に沿う方向のアライメント状態を検出するアライメント検出手段と、視度調節手段を有する接眼部であって、術者が前記患部を観察するための前記接眼部を持つ観察手段と、前記観察手段に設けられる報知手段であって、前記アライメント検出手段の検出結果を用いて、前記接眼部を覗いた術者の視野内に前記アライメント検出手段の検出結果を呈示するための報知手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、レーザ光を好適な位置に照射するレーザ治療装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】レーザ治療装置の外観略図である。
図2】デリバリーユニットの光学系の側方視図である。
図3】デリバリーユニットの光学系の上方視図である。
図4】レーザ治療装置の制御系の説明図である。
図5】視度調節を説明する説明図である。
図6】患部を観察してレーザ光を照射する説明図である。
図7】共役関係を説明する説明図である。
図8】共役関係を説明する説明図である。
図9】視度調節が好適に行われない場合を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下図面を参照して、本開示における典型的な実施形態を説明する。図1〜4は本実施例のレーザ治療装置1を説明するための図である。なお、図1〜3において、患者の左右方向をX軸方向、患者の上下方向をY軸方向、患者の前後方向をZ軸方向として説明する。
【0010】
本実施例のレーザ治療装置1は、治療レーザ光を照射して患者眼Epの治療を行う装置である。レーザ治療装置1は、例えば、観察光学系30、および照射光学系40を主に備える。観察光学系30は、例えば、患者眼Epを術者に観察させる。照射光学系40は、例えば、治療レーザ光を患者眼Epに照射する。
【0011】
まず、図1に基づいて、レーザ治療装置1の外観を説明する。レーザ治療装置1は、例えば、本体部2、コントロール部3、デリバリーユニット4等を備えてもよい。本体部2は、例えば、治療用レーザ光源2aと、エイミング光源2bと、制御部70等を収容してもよい。治療レーザ光としては、例えば、アルゴンレーザ、クリプトンレーザ、ダイレーザ、固体レーザ、半導体レーザ等が使用されてもよい。コントロール部3は、例えば、レーザ出力、照射時間等のレーザ照射条件を設定できてもよい。デリバリーユニット4は、例えば、後述する照明光学系10、アライメント検出光学系20、観察光学系30、照射光学系40、表示光学系50(図2,3参照)等を備えてもよい。
【0012】
例えば、本体部2で発振される治療レーザ光及びエイミング光は、光ファイバケーブル5を介してデリバリーユニット4の照射光学系40まで導光される。
【0013】
なお、レーザ治療装置1は、フットスイッチ6と、架台7と、マニピュレータ8、駆動ユニット9等を備えてもよい。フットスイッチ6は、例えば、レーザ照射のためのトリガ信号を発信してもよい。架台7は、例えば、デリバリーユニット4を上下動させてもよい。マニピュレータ8は、例えば、後述する可動ミラー44(図2,3参照)を駆動させてもよい。駆動ユニット9は、例えば、デリバリーユニット4をXYZ軸方向に駆動させ、患者眼Epに対するデリバリーユニット4のアライメントを行ってもよい。駆動ユニット9は、例えば、ジョイスティック9aと、駆動部9bを備えてもよい。駆動ユニット9は、例えば、術者によるジョイスティック9aの操作に基づいて、駆動部9bを駆動させ、デリバリーユニット4を駆動させてもよい。
【0014】
<照明光学系>
図2に基づいて照明光学系10を説明する。照明光学系10は、例えば、患者眼Epの眼底Erを照明する。照明光学系10は、光源の光を用いて患者の患部を照明するための照明手段の一例として用いられる。照明光学系10は光軸L2を有する。照明光学系10は、例えば、照明用光源11、コンデンサレンズ12、可変円形アパーチャ13、可変スリット板14、フィルタ15、投影レンズ16a,16b、補正レンズ17、分割ミラー18a,18b等を備えてもよい。照明用光源11は、例えば、可視光を出射してもよい。照明用光源11には、例えば、ハロゲンランプ等を用いてもよい。可変円形アパーチャ13は、例えば、開口径を変更できてもよい。可変スリット板14は、例えば、スリット幅を変更できてもよい。
【0015】
例えば、照明用光源11から出射した可視光束はコンデンサレンズ12を透過した後、可変円形アパーチャ13によって、患者眼Epに照明される照明光の高さ(Y方向の長さ)を決定される。可視光束は、さらに可変スリット板14によって幅(X方向の長さ)を決定され、スリット状の光束に形成される。その後、フィルタ15、投影レンズ16a,16bを介し、光軸L2に対して術者眼Eo側の光束は分割ミラー18aに向かう。光軸L2に対して患者眼Ep側の光束は、さらに補正レンズ17により光路長が補正されて分割ミラー18bに向かう。分割ミラー18a,18bで反射したスリット光束は、コンタクトレンズ19を介して患者眼Epの眼底Erを照明する。
【0016】
<観察光学系>
次いで、図2,3に基づいて観察光学系30について説明する。観察光学系30は、例えば、患者眼Epの眼底Erを観察するために用いられる。観察光学系30は、術者が患者の患部を観察するための観察手段の一例として用いられる。観察光学系30は光軸L3(光軸L3L,L3R)を有する。図3に示すように、観察光学系30は、例えば、対物レンズ31、左右一対の変倍レンズ32L,32R、結像レンズ33L,33R、正立プリズム34L,34R、視野絞り35L,35R、接眼レンズ36L,36R等を備えてもよい。術者は、視野絞り35L,35Rに形成された中間像を接眼レンズ36L,36Rによって観察してもよい。
【0017】
接眼レンズ36L,36Rは、術者が患部を観察するための接眼部37の一部である。本実施形態のレーザ治療装置1は、観察光学系30の光軸方向に接眼レンズ36L,36Rを移動可能とされている。接眼レンズ36L,36Rは、レーザ光による治療スポットの位置と術者の眼底とが共役の関係となるように、検者の視度に応じて調整する視度調節手段の一例として用いられる。つまり、接眼部37は、視度調節手段の一例として用いられる。なお、図2,3においては、術者の右眼で観察する光軸L3を光軸L3R、術者の左眼で観察する光軸L3を光軸L3Lと記している。本実施形態の観察光学系30は、上方(図3だと紙面上方)から見た際に、光軸L1に対して左右対称となる光路とされている。
【0018】
本実施形態のレーザ治療装置1は、観察光学系30の変倍レンズ32L(同32R)と結像レンズ33L(同33R)との間にビームスプリッター21L(同21R)を配置させている。ビームスプリッター21L(同21R)と結像レンズ33L(同33R)との間にビームスプリッター52L(同52R)を配置させている。ビームスプリッター21L,21Rは光路分岐手段の一例として用いられ、観察光学系30の光路からアライメント検出光学系20の光路を分岐させる。ビームスプリッター52L,52Rは光路合成手段の一例として用いられ、観察光学系30の光路へ表示光学系50の光路を合成させる。なお、アライメント検出光学系20と表示光学系50の詳細な説明は後述する。
【0019】
なお、ビームスプリッター21L,21Rまたはビームスプリッター52L,52Rの替わりに、例えば、ダイクロイックミラー、ハーフミラーを用いてもよい。本実施形態のレーザ治療装置1は、光路合成部材(光路分岐部材)となるビームスプリッター21L,21Rまたはビームスプリッター52L,52Rを平板状の光学部材としているが、例えば、光路合成手段(光路分岐部材)をプリズムとしてもよい。
【0020】
本実施形態のレーザ治療装置1のビームスプリッター21L,21Rは、光軸L3に沿って対物レンズ31から接眼レンズ36L,36Rの方向へ進む光の75%の光を透過(直進)させ、25%の光を光軸L3に直交する方向へ反射させる。ビームスプリッター21Lで反射した光は、アライメント検出光学系20の受光素子(撮像素子23)で受光される。本実施形態のレーザ治療装置1のビームスプリッター52L,52Rは、光軸L3に沿って対物レンズ31から接眼レンズ36L,36Rの方向へ進む光の75%の光を透過させ、LCD53L,53Rからビームスプリッター52L,52Rの方向へ進む光の25%を光軸L3に沿う方向へ反射させる。なお、ビームスプリッター21L,21Rまたはビームスプリッター52L,52Rの透過率及び反射率はこれに限るものでなく、分光透過特性(分光反射特性)を含めて適宜決定しておけばよい。
【0021】
<制御部>
次いで、図4を用いて制御部70を説明する。制御部70は、レーザ治療装置1の各種動作を制御する。制御部70は、レーザ治療装置1の各種信号を入力し、各種部材を制御するための制御手段の一例として用いられる。例えば、制御部70には、治療用レーザ光源2a、エイミング光源2b、コントロール部3、フットスイッチ6、マニピュレータ8、照明用光源11、撮像素子23、LCD53、可動ミラー44、ジョイスティック9a、駆動部9b、ブザー90が接続されてもよい。
【0022】
制御部70にモニタを接続し、モニタへ、制御部70に入力される撮像素子23の出力信号を用いて患部の観察像(又は撮影画像)を動画(又は静止画)で表示させてもよい。つまり、モニタを、患者の患部を観察するための観察手段の一例として用いてもよい。この場合、制御部70は、モニタへ観察像を表示させるための観察像表示制御手段の一例として用いられる。また、発音手段となるブザー90を用いて、音を発生させてもよい。この場合、制御部70は、発音手段で発音させるための発音制御手段の一例として用いられる。また、制御部70は、アライメント検出手段で検出したアライメント状態を、表示手段となるLCD53の表示によって術者へ報知する。表示として、例えば、アライメント状態を示す文字又は図柄としてもよい。この場合、制御部70は、表示制御手段の一例として用いられる。つまり、本実施形態のレーザ治療装置1は、術者へアライメント状態を報知する報知手段を備え、制御部70は、報知手段を制御する報知制御手段となる。
【0023】
<照射光学系>
次いで、照射光学系40について説明する。照射光学系40は、治療レーザ光を患者眼Epに照射する。照射光学系40は、患者の患部へレーザ光を集光させる照射手段の一例として用いられる。照射光学系40は光軸L1を有する。照射光学系40は、例えば、コリメータレンズ41、変倍レンズ42、対物レンズ43、可動ミラー44等を備えてもよい。変倍レンズ42は、例えば、照射光学系40の光軸L1の光軸方向に移動することで、治療レーザ光のスポットサイズを変化させてもよい。可動ミラー44は、例えば、術者がマニピュレータ8を操作することによって駆動してもよい。
【0024】
本体部2で発振された治療レーザ光は光ファイバケーブル5を介して、光ファイバケーブル5の出射端5aから照射光学系40に入射する。照射光学系40に入射したレーザ光束は、コリメータレンズ41、変倍レンズ42、対物レンズ43を透過した後、可動ミラー44によって反射され患者眼Epへと導かれる。
【0025】
治療レーザ光は、照射光学系40によって、光軸L1に沿う所定の位置で治療に適したビームプロファイルとなるように集光される。つまり、治療レーザ光は、光軸L1に沿う所定位置に治療スポット光を形成する。なお、治療スポットが形成される光軸L1上の位置は、スポットサイズが最小となる光軸L1上の位置と一致しない場合もある。
【0026】
図3にあるように、本実施例の観察光学系30は双眼観察系のため、可動ミラー44は2つの左右眼観察光軸を妨げることなく配置されている。また、治療レーザ光及びエイミング光を反射させ、観察照明光を透過させるような特性を備えるダイクロイックミラーを可動ミラー44の代わりに使用してもよい。
【0027】
なお、照射光学系40は、エイミング光を患者眼Epに照射してもよい。エイミング光は、例えば、術者が治療レーザ光のスポット位置を確認するために照射される。エイミング光は、例えば、治療レーザ光のスポット位置にエイミング指標像Sを形成してもよい(図6参照)。治療レーザ光とエイミング光が共通の光路を通って患者眼Epに照射された場合、治療レーザ光とエイミング光の照射位置、スポットサイズ等が合致する。なお、治療レーザ光を照射した場合も、図6のエイミング指標像Sと同様な形状で照射される。
【0028】
なお、上記のように、照射光学系40は、治療レーザ光とエイミング光を共通の光路で照射しなくてもよい。例えば、レーザ治療装置1は、照射光学系40とは別の光路から患者眼Epにエイミング光を照射してもよいし、エイミング光源2bを備えなくともよい。例えば、エイミング光の替わりに、治療レーザ光を減光して、低光量で照射してもよい。
【0029】
<アライメント検出光学系>
次いで、図2に基づいてアライメント検出光学系20を説明する。アライメント検出光学系20は、例えば、患部へ集光される治療レーザ光の、照射光学系40の光軸L1に沿う方向のアライメント状態を検出するために用いられる。つまり、レーザ治療装置1は、アライメント検出光学系20をアライメント検出手段の一例として用いている。アライメント検出光学系20は、例えば、対物レンズ31からビームスプリッター21までの光路を、観察光学系30とアライメント検出光学系20とで共用すると共に、結像レンズ22、撮像素子23等を備えてもよい。本実施形態のレーザ治療装置1は、受光素子として撮像素子23を用いている。撮像素子23に、例えば、CCDイメージセンサー、CMOSイメージセンサーを用いてもよい。撮像素子23が可視光及び赤外光に感度を有してもよい。撮像素子23が受光する波長は可視光に限るものではない。アライメント検出光学系20に可視カット特性を設けて、撮像素子23で赤外光のみを受光してもよい。また、本実施形態のレーザ治療装置1のアライメント検出光学系20は、観察光学系30の光軸L3(光軸L3L,L3R)から分岐するが、これに限るものではない。観察光学系30とは重ならない光路でアライメント検出を行ってもよい。
【0030】
照射光学系40から照射されたエイミング光及び治療レーザ光は、患部に向けて集光されてゆき、スポット光となる。例えば、エイミング光及び治療レーザ光のスポット光が形成される光軸L1上の位置(治療スポットが形成される位置、すなわち、本実施形態ではスポット光の輪郭が最も明瞭となる位置)に患者眼Epの眼底Erが位置されている場合、患者眼Epの眼底Erを発した光は、対物レンズ31、左右一対の変倍レンズ32L,32R、ビームスプリッター21、結像レンズ22を介して撮像素子23に結像する。つまり、スポット光が形成される位置と撮像素子23とが共役の関係になる。本実施形態では、眼底Erでスポット光の輪郭が最も明瞭となるアライメント状態において、撮像素子23に結像される眼底像はコントラスト(鮮鋭さ)の高い像となる。一方、眼底Erでスポット光の輪郭がボケるアライメント状態では、撮像素子23に結像される眼底像はコントラスト(鮮鋭さ)の低いボケた像となる。
【0031】
撮像素子23の出力信号は制御部70に入力される。本実施形態のレーザ治療装置1の制御部70は、撮像素子23が撮像した眼底像を、周知のコントラスト検出法を用いて解析することで、照射光学系40から照射されるレーザ光のアライメント状態を検出する。制御部70は、撮像素子23が撮像した患部の像が、所定のコントラスト値の範囲内(又は閾値以上)であればアライメントが合った状態(合焦状態)として検出する。一方、撮像素子23が撮像した患部の像が、所定のコントラスト値の範囲内に達しないのであるならアライメントが合っていない状態(非合焦状態)として検出する。つまり、本実施形態のレーザ治療装置1の制御部70は、撮像素子23が撮像した患部の像のコントラスト度合いを解析することで、デリバリーユニット4が所定の位置にアライメントされているか否かを検出する。合焦状態または非合焦状態に許容幅を設けてもよい。許容幅を設けることで、アライメント中に患者眼Epが微動しても術者へ好適にアライメント状態を報知できることが考えられる。
【0032】
なお、所定の位置とは、一例として、治療レーザ光を患部へ照射した場合に、集光される治療レーザ光の輪郭が最も明瞭となる位置である。制御部70は、前述した合焦状態及び非合焦状態に応じた表示を、表示手段を用いて術者へ報知する(表示手段は後述する)。つまり、本実施形態のレーザ治療装置1は、治療レーザ光の、照射光学系40の光軸L1に沿う方向のアライメント状態を検出するためのアライメント検出手段を備える。また、アライメント検出光学系20と制御部70とを、アライメント検出手段の一例として備える。
【0033】
なお、アライメント検出方法は、前述したコントラスト検出法に限るものではない。他の周知技術を用いてもよい。一例として、セパレータレンズとラインセンサを用いた位相差検出法、または撮像素子23の替わりに位相差AFを組み込んだ撮像素子を使用して、像面位相差AF法を用いてもよい。また、患者へ指標を投光し、投光した指標の反射光を用いてアライメント検出を行ってもよい。位相差検出法として、図2の撮像素子23の替わりにセパレータレンズとラインセンサを用いることが考えられる。この場合、セパレータレンズとラインセンサは、光軸L4上の、撮像素子23が配置される位置よりも結像レンズ22から離れた位置に配置することが考えられる。像面位相差AF法については、位相差AFを組み込んだ撮像素子を、撮像素子23の位置に配置することが考えられる。アライメント状態の報知は、合焦状態と非合焦状態の表現に限るものではない。アライメント検出手段が検出するアライメント度合い(合焦位置からの離間量)に応じて、アライメント度合いを術者が把握できる表示態様としてもよい。例えば、アライメント度合いを示す表示態様として、インジケータとしてもよい。
【0034】
<表示光学系>
次いで、図2に基づいて表示光学系50を説明する。表示光学系50は、アライメント状態を報知する報知手段の一例として用いられる。また、表示光学系50は、視度調節手段(接眼レンズ36L,36R)を用いた術者の視度調節を行うための表示手段の一例でもある。表示光学系50は、例えば、図6に示すピント指標M(Ma,Mb,Mc)と、レチクルRT(RTa,RTb)を、接眼部37を覗いた術者の視野内へ呈示してもよい。表示光学系50は、例えば、ビームスプリッター52L,52Rと、投影レンズ51L,51Rと、LCD53L,53R等を備えてもよい。本実施形態のレーザ治療装置1のデリバリーユニット4は、ビームスプリッター21L(同21R)から接眼レンズ36L(同36R)までの光路を、観察光学系30と表示光学系50とで共用する。LCD53を発した光は、視野絞り35L,35Rの位置で視野絞り35L,35Rの絞り径よりも大きい空中像を形成した後、術者の眼底Eorへ投影される。なお、視野絞り35L,35Rの位置に形成するLCD53の空中像の大きさは、視野絞り35L,35Rの絞り径よりも小さくてもよい。接眼部37を覗いた術者が、ピント指標M(Ma,Mb,Mc)またはレチクルRT(RTa,RTb)を確認できればよい。
【0035】
術者には、観察光学系30によって得られる患部の観察像に、表示光学系50による表示内容が合成された状態で視認される。本実施形態のレーザ治療装置1のLCD53は、発光素子が格子状に配列されており、各素子が可視光を発光することが可能である。LCD53の替わりに、例えば、有機ELディスプレイを用いてもよい。また投影レンズ51L,51RとLCD53L,53Rを用いずに、光軸L1上において治療スポットが形成される位置と共役となる位置(例えば視野絞り35L,35Rの位置)に任意形状で透過率の可変が可能な液晶シャッターを配置してもよい。表示手段はこれに限るものでなく、レーザ治療装置1を操作する術者の視野に、制御部70が術者へ報知する表示が含まれればよい。本実施形態では、投影レンズ51とLCD53を右眼用と左眼用とで各々設けているが、例えば、1つの投影レンズ51とLCD53で構成してもよい。
【0036】
<操作方法>
次に、以上のような構成を備える装置において、光凝固の動作を説明する。まず、術者は、接眼部37を手で回転し、接眼レンズ36Lおよび36Rを遠方側(正立プリズム34L,34Rから離れる方側)の可動端まで移動させる。術者は、接眼部37を片眼(例えば右眼)で覗き込み、観察像に重畳表示されているレチクルRTa,RTbを観察する(図5参照)。図5(a)において点線で示すように、レチクルRTa,RTbの輪郭がボケて見えた場合、術者は、覗いた眼に対応した接眼部37を手で回転し、接眼レンズ36R(または同36L)を近方側(正立プリズム34に近づく方側)へ移動させてゆく。図5(b)において実線で示すように、レチクルRTa,RTbの輪郭が鮮明に見えたら、術者は接眼部37の回転を止める。術者は、同様にして他眼(左眼)の視度調節も行う。なお、遠方側から調節を始めるのは、術者の眼の調節機能を働かせないためである。術者の眼の調節機能が働いた場合の不都合については後述する。
【0037】
次いで、術者は、コントロール部3を操作してレーザ出力や照射時間等の凝固条件を設定する。レーザ治療装置1の本体部2側のレーザ照射準備ができたら、照明光学系10をはじめとする各光源を点灯した後、ジョイスティック9aを操作してデリバリーユニット4を移動し、患者眼Epの眼底Erを照明してこれを観察する。術者は、観察像に重畳表示されるピント指標M(Ma〜Mc)が、図6(a)で示すピント指標Maの形状(アライメントが合った状態を報知する表示)となるように、ジョイスティック9aを操作して、患者眼Epに対するデリバリーユニット4のZ方向の位置を調整する。患者眼Epに対してデリバリーユニット4が所定の位置にアライメントされた状態では、ピント指標Maが表示される。なお、ピント指標Maが表示されている状態では、術者には、眼底Erの観察像もピントが合って見える。一方、デリバリーユニット4が所定の位置にアライメントされていない状態では、図6(b)のように、ピント指標Maとは異なる形状(アライメントが合っていない状態を報知する表示態様)のピント指標Mb,Mcが表示される。この場合、術者には、眼底Erの観察像は、ピントが合っていない状態で見える(図6(b)において点線で示す)。術者は、ピント指標Maが表示されるように、患者眼Epに対するデリバリーユニット4のZ方向の位置を調整する。
【0038】
術者は治療部位を確認した後、マニピュレータ8を操作して照射光学系40によるエイミング光の照準を治療患部(例えば、傍中心窩新生血管)に合わせ、スポットサイズ等の調整を行う。なお、術者は、治療部位を誘導するために、固視灯等を用いてもよい。また、例えば、マニピュレータ8を操作性してエイミング光の照準を治療患部に合わせる代わりに、術者がジョイスティック9aを操作し、デリバリーユニット4をXY方向に移動させることで、エイミング光の照準を治療患部に合わせてもよい。照準が完了したら、術者がフットスイッチ6を踏み込むことにより光凝固が開始される。
【0039】
フットスイッチ6からのトリガ信号は制御部70に送信される。制御部70は、予めコントロール部3に入力された設定条件に基づいて治療用レーザ光源2aから射出する治療レーザ光を発振させる。治療レーザ光は、エイミング光と同様の光路を辿って患部に照射され、光凝固治療が行われる。
【0040】
続いて、図7,8の光路図を用いて、術者が観察する患部の像のピント感と、治療レーザ光の集光状態の関係を説明する。先ず、図7を用いて、本実施形態のアライメント検出手段、報知手段、レチクル呈示手段を用いない場合について説明する。なお、図7,8は、主に、本実施形態の観察光学系30を簡略化した光路図である。レンズU1は、対物レンズ31と変倍レンズ32L,32Rを簡略化したレンズである。レンズU2は、結像レンズ33に相当する。レンズU3は、接眼レンズ36L,36Rを簡略化したレンズである。レンズUoは、術者眼Eoの角膜および水晶体の屈折を簡略化したレンズである。なお、図7(a),(b)の術者(術者眼Eo)と、図7(c)の術者(術者眼Eo’)とは視度が異なるため、図7(c)において術者眼Eo’の角膜および水晶体の屈折を簡略化したレンズをレンズUo’として示している。地点Tは、光軸L3上で治療レーザ光が集光される地点である。丸印で記した箇所は、術者眼Eoの眼底Eorと共役関係となる光軸L3上の地点である。地点Aは、光軸L3上の術者が観察する地点である。バツ印で記した箇所は、治療レーザ光が集光される地点(地点T)と共役関係となる光軸L3上の地点である。
【0041】
図7,8においてT’,T’’,A’と記した箇所は、地点T及び地点Aの中間像(空中像)が形成される位置である。距離DWDは、地点TとレンズU1との距離である。距離DWDは、レーザ治療装置1の光学系のワーキングディスタンスとなる所定の距離である。距離DAPは、地点T’(地点Tの第1空中像位置)とレンズU3との距離である。レンズU3は視度調節のために光軸L3上を移動可能であるため、距離DAPを記している。図7,8では、説明を簡略化するため、患者眼Epおよびコンタクトレンズ19による屈折を省略している。図7,8とで同一の符号は、同一の意味となる。図7,8で、地点T’の位置に視野絞り35が位置される。
【0042】
図7(a)を説明する。術者は、患部へアライメントを行う前に、レンズU1から距離DWDだけ離間した位置に、視度調節を行うための校正棒Bの校正面を配置させる(図7(a)参照)。校正棒Bを挿入する孔は、デリバリーユニット4の筐体に予め設けられている。孔に校正棒Bが挿入されると、光軸L3上の所定位置に校正面が配置され、校正棒Bの校正面とデリバリーユニット4の光学系との位置関係が固定される。術者は、接眼レンズ36L,36R(レンズU3)を覗いて、校正棒Bの校正面が明瞭に(コントラストよく)見える位置に、視度調節手段であるレンズU3を移動する。なお、図7(a)においては、距離DAPとなるレンズU3の位置が、術者眼Eoが最も校正面を明瞭に見える位置としている。なお、照明光学系10からスリット光を投影し、スリットの輪郭を観察してレンズU3の位置を調節してもよい。レンズU3の位置が調節される(つまり、視度調節される)と、治療レーザ光が集光される地点(地点T)と、光軸L3上の校正面(地点A)と、術者眼Eoの眼底Eorとが共役の関係となる(図7(a)参照)。なお、接眼レンズ36L,36Rの各々が片眼ずつ調節される。
【0043】
続けて術者は、デリバリーユニット4の筐体から校正棒Bを取り外し、患部へデリバリーユニット4のアライメントを行う(図7(b)参照)。術者は、観察像のピント感(コントラスト感)が最も好適となる位置へと、デリバリーユニット4のZ方向のアライメントを行う。前述した校正棒Bを用いて、レンズU3が好適な位置(前述した距離DAP)へ調節されているため、光軸L3上で治療レーザ光が集光する地点(地点T)と、患部(地点A)と、術者眼Eoの眼底Eorとが共役の関係となる(図7(b)参照)。したがって、この状態で治療レーザ光を照射すれば、治療レーザ光が患部へ好適に集光される。即ち、患部へスポット光が好適に照射される。ここで、レンズU3が好適に調節されていれていない場合を説明する。レンズU3が好適に調節されていれていない場合として、例えば、術者がレンズU3の調整を忘れてしまった場合が考えられる。また、複数の術者がレーザ治療装置1を共用しており、レンズU3の調整を行った術者とは異なる術者が、レンズU3のレーザ治療装置1を使用する場合等が考えられる。
【0044】
図7(c)は、図7(a)で調節したレンズU3の位置(距離DAP)のまま、図7(a),(b)で操作した術者(術者P1と称す)とは異なる視度の術者(術者P2と称す)がレーザ治療装置1を使用した場合である。術者P1の術者眼Eoと術者P2の術者眼Eo’とは視度が異なるため、図7(b)と図7(c)とは異なる結像関係になる。なお、図7(c)においては、術者眼Eo’の調節力(水晶体の屈折調節力)が働いている。調節力が働いているため、術者眼Eo’は、本来であればボケて見えるはずの地点Aを、図9(a)のようにコントラストよく観察することができる。しかし、調節力が働いているため、好適に観察できる地点(地点A)と治療レーザ光が集光される地点(地点T)との離間が生じる。図7(c)においては、距離DWDより手前に患部を好適に観察できる地点(地点A)が位置されている。したがって、患部がコントラストよく観察される位置にデリバリーユニット4を位置合わせして治療レーザ光を照射すると、照射された治療レーザ光が好適に集光される前に、治療レーザ光は患部へ到達する可能性がある。
【0045】
続けて、図8図9(a)を用いて、本実施形態のアライメント検出手段、報知手段、レチクル呈示手段を用いる場合について説明する。デリバリーユニット4の光学部材の位置関係は、図7(c)と同様である。図8において53’で示す箇所は、投影レンズ51を介して形成されるLCD53の中間像(空中像)である。図7(c)と同様に、術者眼Eo’は、レンズU3が好適に調節されていない状態で地点Aを観察する。撮像素子23は、距離DWDとなる地点Tと共役となるアライメント検出光学系20の光軸L4上の位置に配置されている。したがって、地点Aを発した光は、撮像素子23上へ好適に結像されず、制御部70は、治療レーザ光が集光される位置とは異なる位置にデリバリーユニット4がアライメントされていることを検出する。制御部70は、アライメント検出結果を、ピント指標Ma,Mb,Mcを表示することで術者へ報知する(図9(b)参照)。術者は、肉眼で観察される患部の像のコントラスト感に関わらず、デリバリーユニット4が患部へ好適にアライメントされているかどうかを判断できる。また、レチクルRTa,RTbが表示されることで、術者は、患部像のコントラスト感が無いにも関わらずピント指標Maが表示された際に、レチクルRTa,RTbの輪郭のコントラストを確認することで、視度調節手段が好適に調節されているか否かを直ちに把握することができる。
【0046】
なお、本実施形態のレーザ治療装置1の制御部70は、LCD53の表示内容を変更することで術者へアライメント状態を報知するが、これに限るものではない。例えば、報知手段として、アライメント状態に応じてブザー90の発音を変更してもよい。つまり、発音手段を報知手段として用いてもよい。一例として、アライメントが合っていない状態では、ブザー90を断続発音し、アライメントが合っている状態では連続発音させてもよい。術者は、患部から視線を動かすことなく、アライメント状態を把握することができる。なお、報知手段として、表示手段と発音手段を共に用いてもよい。なお、レーザ治療装置1がブザー制御手段を備えるだけでもよい。
【0047】
なお、本実施形態のレーザ治療装置1の観察手段は、患者の患部と共役となる位置にレチクルRT(RTa,RTb)を表示するレチクル呈示手段を備える。レチクル呈示手段が呈示するレチクルの形状は、図5で示したレチクルRTa,RTbの形状に限るものではない。術者が視度調節手段の調節を行えればよい。また、右眼用のLCD53Rと左眼用のLCD53Lとで異なるレチクルの形状を呈示してもよい。一例として、右眼用のLCD53RにはレチクルRTaのみを表示させ。左眼用のLCD53LにはレチクルRTbのみを表示させてもよい。右眼用と左眼用とで異なるレチクルRTを呈示することで、術者は、視度調節手段の調節後に、左右に視認されるレチクルRTa及びレチクルRTbの各々の輪郭の鮮鋭さを観察することで、視度調節手段を好適に調節したかどうかを容易に判断することができる。例えば、レチクルRTaとレチクルRTbとで輪郭の鮮鋭さが大きく異なるようであれば、術者は、視度調節を再度行えばよい。
【0048】
なお、本実施形態の眼科装置は、アライメント検出手段とレチクル呈示手段を共に備えるが、一方の手段を備えるだけでもよい。例えば、レチクル呈示手段だけ備えてもよい。また、アライメント検出手段がズレていると検出しているときに治療レーザ光の照射が行われた際は、レチクルRTの表示態様を変化(例えば、所定時間点滅)させてもよい。かかる制御を行うことで、術者がアライメントを意図的にズラして治療レーザ光の照射を行う場合であっても、治療レーザ光の照射を妨げず、かつ、術者へ視度調節状態を意識させることができる。
【0049】
また、観察光学系30を利用した変容例として、術者眼Eoの眼底Eorへ指標光を投影する投光手段と、術者眼Eoの眼底Eorで反射した指標光を受光素子で受光する受光手段と、受光素子の受光信号を用いて視度調節手段が好適に調節されているか否かを判定する判定する調節判定手段とを備えてもよい。かかる構成を用いれば、術者が視度調節手段を好適に調節しているか否かを、レーザ治療装置1が判定できる。調節判定手段の判定結果を用いて、術者へ視度調節状態を報知してもよい。レーザ治療装置1が接眼レンズ36を駆動する駆動手段を備え、調節判定手段の判定結果を用いて、接眼レンズ36を好適な位置へと移動してもよい。
【0050】
なお、本実施形態のレーザ治療装置1は、アライメント検出手段の検出結果を用いて、術者へアライメント状態を報知するが、アライメント検出手段の検出結果を用いて、デリバリーユニット4のアライメント駆動を行ってもよい。例えば、アライメント検出手段の検出結果を用いて、駆動部9bでデリバリーユニット4をXYZ軸方向に駆動させてもよい。
【0051】
なお、本実施形態のレーザ治療装置1は、患部を観察する観察手段として接眼部37を有するが、アライメント検出光学系20を観察手段としてもよい。一例として、結像レンズ33L,33Rから接眼レンズ36L,36Rまでの部材を無くし、撮像素子23の出力信号を用いて、制御部70に接続されるモニタへ患者の観察像を表示してもよい。かかる構成とすることで、簡素な構成であっても、観察手段とアライメント検出手段を備えたレーザ治療装置1を提供することができる。レーザ治療装置1がモニタへ観察像を表示させるための、観察像表示制御手段だけを備えてもよい。デリバリーユニット4をZ方向に移動させることでZ方向のアライメントが行われるが、内部の光学部材(例えばレンズ)を光軸方向に移動させることでZ方向のアライメントを行ってもよい。
【0052】
<作用及び効果>
本実施形態のレーザ治療装置1は、レーザ光を患部へ集光して治療を行うレーザ治療装置1であり、レーザ光源から射出されたレーザ光を、患部へ照射する照射光学系40と、患部に対するレーザ光の、照射光学系40の光軸L1に沿う方向のアライメント状態を検出するアライメント検出手段と、アライメント検出手段の検出結果を用いて、術者へアライメント状態を報知する報知手段と、視度調節手段を有する接眼部37であって、術者が患部を観察するための接眼部37を持つ観察手段と、を備える。かかる態様によって、例えば、接眼部37の視度調節手段の調節状態に依存することなく、患部へレーザ光を好適に照射することができる。装置の操作の熟練を要することなく、レーザ治療装置1を容易に取り扱うことができる。
【0053】
また、本実施形態のレーザ治療装置1のアライメント検出手段は、患部からの光を受光する受光素子を持つアライメント検出光学系20を有しており、受光素子の出力信号を用いてアライメント状態を検出する。かかる態様によって、照射光学系40の特性に依存することなくアライメント状態を検出できる。一例として、アライメント状態を検出するために照射光学系40が複雑な構成になることを抑制できる。
【0054】
また、本実施形態のレーザ治療装置1の受光素子は撮像素子23であり、レーザ光による治療スポットの位置と共役な位置に撮像素子23が置かれるかかる態様によって、一例として、簡素な構成でアライメント状態の検出が行える。また、撮像素子23の出力信号を観察手段として用いることもでき、安価なレーザ治療装置1を提供できる。
【0055】
また、本実施形態のレーザ治療装置1の前記報知手段は、術者に報知するための発音手段を備えており、アライメント検出手段の検出結果に応じて発音制御を変更する。かかる態様によって、術者は、視線を動かすことなくアライメント状態を判断できる。したがって、例えば、速やかに患部へ治療レーザ光を照射することができる。
【0056】
また、本実施形態のレーザ治療装置1の報知手段は、術者に報知するための表示手段を備え、アライメント検出手段の検出結果に応じて表示制御を変更する。かかる態様によって、術者は、視線を大きく動かすことなくアライメント状態を判断できる。したがって、例えば、速やかに患部へ治療レーザ光を照射することができる。
【0057】
また、本実施形態のレーザ治療装置1の観察手段は、術者の眼底Eorと共役となる位置にレチクルRTを呈示するレチクル呈示手段を備える。かかる態様によって、術者の視度調節が容易となると共に、患部へ好適に治療レーザ光を照射できる。また、アライメント状態を報知する表示手段とレチクル呈示手段とを同じ部材を用いることができ、簡素な構成であっても、表示手段とレチクル呈示手段を提供できる。
【0058】
また、本実施形態のレーザ治療装置1の報知手段は、アライメント検出手段の検出結果に応じてレチクルRTの形状を変更する。かかる態様によって、術者が視度調節手段の調節状態を容易に判断することができる。装置の操作の熟練を要することなく、レーザ治療装置1を容易に取り扱うことができる。
【0059】
また、本実施形態のレーザ治療装置1は、レーザ光を患部へ集光して治療を行うレーザ治療装置1であって,レーザ光源から射出されたレーザ光を患部へ照射する照射光学系40と、視度調節手段を有する接眼部37であって,術者が患部を観察するため接眼部37を持つ観察手段と、レーザ光による治療スポットの位置と共役な位置にレチクルRTを呈示するレチクル呈示手段を備える。かかる態様によって、術者が行う視度調節が容易となり、治療レーザ光を患部へ好適に照射できる。
【0060】
なお、デリバリーユニット4を実施例として説明してきたが、手術顕微鏡等の各種顕微鏡に利用することができる。また、眼底カメラと合体させて利用することもできる。
【0061】
本実施形態では、スポット光(エイミング光または治療レーザ光)の輪郭の鮮鋭さを解析して、患部へ集光される治療レーザ光の、照射光学系40の光軸L1に沿う方向のアライメント状態を検出する手法を例示した。しかし、アライメント検出手法(光軸L1に沿う方向)は、スポット光の輪郭の鮮鋭さに限るものではない。例えば、スポット光のサイズを解析して、アライメント状態を検出してもよい。一例として、制御部70は、観察光学系の焦点位置に配置されている撮像素子23の出力信号により、エイミング光のスポットサイズ(値)を取得する。そして、制御部70は、図示なき記憶手段に予め記憶されている所定値と、取得したスポットサイズ(値)とを比較する。制御部70は、比較結果(大小関係)により、アライメント状態(光軸L1に沿う方向)を検出する。
【0062】
ここで、術者がコントロール部3を操作することで、患部に形成されるスポットサイズを変更可能(設定可能)であってもよい。このような場合、制御部70は、コントロール部3で設定されたスポットサイズに対応する所定値を記憶手段から呼び出して、前述した比較を行えばよい。つまり、制御部70は、アライメント状態(光軸L1に沿う方向)を検出する際に、患部に照射するレーザ光の照射条件設定を考慮してもよい。これにより、例えば、レーザ光の照射条件設定の変更に伴い、患部に形成されるスポットサイズが変化しても、制御部70は、アライメント状態(光軸L1に沿う方向)を好適に検出できる。
【0063】
また、制御部70が、取得したスポットサイズと所定値とを比較する際に、患者眼のパラメータ(ディオプター、眼軸長など)を考慮してもよい。つまり、制御部70は、アライメント状態(光軸L1に沿う方向)を検出する際に、患者眼の眼特性を考慮してもよい。例えば、術者がコントロール部3を操作して、患者眼のパラメータを入力することで、制御部70が被検眼のパラメータを取得してもよい。これにより、例えば、患者眼の眼特性(スポット形成に関わる光学特性)により、撮像素子23を用いて検出されるスポットサイズが変化しても、制御部70は、アライメント状態(光軸L1に沿う方向)を好適に検出できる。
【0064】
また、制御部70が、取得したスポットサイズと所定値とを比較する際に、治療を行う際に使用されるコンタクトレンズ19の光学特性を考慮してもよい。つまり、制御部70は、アライメント状態(光軸L1に沿う方向)を検出する際に、コンタクトレンズの光学特性に関する情報を考慮してもよい。例えば、術者がコントロール部3を操作して、コンタクトレンズ19の種類情報を入力することで、制御部70がコンタクトレンズ19の光学特性に関する情報を取得してもよい。これにより、例えば、使用するコンタクトレンズの種類により、撮像素子23を用いて検出されるスポットサイズが変化しても、制御部70は、アライメント状態(光軸L1に沿う方向)を好適に検出できる。
【0065】
なお、制御部70は、焦点位置のずれ(例えばエイミング光のスポットの輪郭がぼけている)を検出した場合には、ブザー90を制御して、警告を発してもよい。これにより、例えば、術者は、エイミング光のスポットと患部とが、照射光学系40の光軸L1に沿う方向においてずれていることを認識できる。よって、術者は、患部に対して好適なアライメントを行うことができる。
【0066】
一例として、術者による視度調節が不十分である場合、もしくは、術者が視度調節を怠った場合を考える。この場合、患部にピントを合わせたとしても、患部におけるエイミング光のスポットは、輪郭がボケた状態となる。このとき、制御部70は、撮像素子23により取得されるスポットの輪郭のボケを検出して、警告音を発する。これにより、意図せぬアライメント状態で治療レーザ光が照射される事象が抑制される。
【0067】
なお、レーザ治療装置1が故障した場合においても、撮像素子23の出力信号を用いて、意図せぬアライメント状態での治療レーザ光の照射を抑制できる。詳細には、撮像素子23で撮像される患部(像)のピント状態とエイミング光のスポット(像)のピント状態とを比較する。例えば、レーザ治療装置1の故障状態では、患部はピントが合っているが、スポットはピントが合っていない状態が発生しうる。このような場合、制御部70は、患部のピント状態とスポットのピント状態とを比較して、レーザ治療装置1が故障状態であることを検出できる。制御部70は、レーザ治療装置1が故障状態であることを検出すると、警告音を発する。このようにして、意図せぬアライメント状態での、治療レーザ光の照射を抑制できる。
【0068】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲及びこれと均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0069】
1 レーザ治療装置
2 本体部
3 コントロール部
4 デリバリーユニット
10 照明光学系
20 アライメント検出光学系
30 観察光学系
40 照射光学系
50 表示光学系
70 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9