(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
水素及び酸素を反応させて発電する発電部を第1循環ポンプにより第1熱媒体を循環させて冷却する発電部冷却路と、前記発電部により生じた熱をラジエータに伝導する第2熱媒体を第2循環ポンプにより循環させるラジエータ通流路と、前記第1熱媒体と前記第2熱媒体との間で熱交換を行う熱交換器とを備える燃料電池の前記熱交換を制御する制御方法であって、
前記発電部の流出側における前記第1熱媒体の温度を取得し、
前記流出側における第1熱媒体の温度が所定値以下である場合に、前記第2循環ポンプの出力を減少させることを特徴とする制御方法。
水素及び酸素を反応させて発電する発電部を第1循環ポンプにより第1熱媒体を循環させて冷却する発電部冷却路と、前記発電部により生じた熱をラジエータに伝導する第2熱媒体を第2循環ポンプにより循環させるラジエータ通流路と、前記第1熱媒体と前記第2熱媒体との間で熱交換を行う熱交換器とを備える燃料電池の前記熱交換を制御するコンピュータに、
前記発電部の流出側における前記第1熱媒体の温度を取得し、
前記流出側における第1熱媒体の温度が所定値以下である場合に、前記第2循環ポンプの出力を減少させる
処理を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係る燃料電池300を示すブロック図である。
燃料電池300は例えば固体高分子形燃料電池(polymer electrolyte fuel cell)等の燃料電池である。
燃料電池300は、電池本体100と水素供給部200とを備える。
電池本体100は、スタック1、水素通流路2(水素供給路2a及び水素循環路2b)、空気流路3、スタック冷却路4、ラジエータ通流路5、ボンベ加熱路6、第1熱交換部7、第2熱交換部8、制御部9、水素検知センサ10、気液分離器27、水素循環ポンプ26、エアポンプ30、冷却ポンプ40、放熱ポンプ50、ラジエータ51、ファン52、及び加熱ポンプ60を備える。
【0015】
水素供給路200は、複数のMH(Metal Hydride)ボンベ20と、開閉弁21と、レギュレータ22とを備える。MHボンベ20は水素吸蔵合金を充填してなる。開閉弁21には全てのMHボンベ20が接続されており、開閉弁21はレギュレータ22に接続されている。レギュレータ22により水素の供給圧力が調整される。MHボンベ20内の水素吸蔵合金が水素を放出する際の反応は吸熱反応である。
【0016】
スタック1は、固体高分子電解質膜を負極と陽極とで両側から挟んで膜電極接合体を形成し、この膜電極接合体の両側に一対のセパレータを配置して平板状の単位セルを構成し、この単位セルを複数積層してパッケージ化したものである。
負極に、水素供給部200から流入した水素を含む燃料ガスが接触し、正極に空気等の酸素を含む酸化ガスが空気流路3から流入して接触することにより両電極で電気化学反応が生じ、起電力が発生する。この電気化学反応においては、負極側から固体高分子電解質膜を透過してきた水素イオンと酸化ガス中の酸素との反応により水が生じる。
【0017】
水素供給路2aの一端部はレギュレータ22に、他端部は水素循環路2bのスタック1のアノード寄りの部分に接続されている。水素供給路2aには、水素供給部200側から順に、開閉弁23、開閉弁24、逆止弁25が設けられている。
水素循環路2bには水素循環ポンプ26が設けられている。開閉弁23、開閉弁24を開いたとき、水素はレギュレータ22から開閉弁23、開閉弁24、及び逆止弁25を通って水素供給路2aを通流し、水素循環ポンプ26により、水素循環路2bを通流して、スタック1のアノード側部分へ送出され、該部分内の通流路を通流されるように構成されている。該通流路内を通流し、スタック1から排出された水素は水素循環路2bを通流し、気液分離器27へ送られる。気液分離器27において、水素及び不純物を含むガスと水とに分離され、分離された水素は気液分離器27から水素循環ポンプ26へ送られて、循環する。気液分離器27で分離された水は、排水弁(不図示)を開いて外部へ排出され、不純物を含むガスは適宜のタイミングで、排水弁(不図示)を開いて外部へ排出される。
【0018】
空気流路3にはエアポンプ30が設けられている。そして、空気流路3のスタック1への流入側部分には開閉弁31が、スタック1からの流出側部分には開閉弁32が設けられている。開閉弁31、開閉弁32を開いたとき、エアポンプ30から送出された空気は空気流路3を通流して開閉弁31を通り、スタック1のカソード側部分へ導入され、該部分の通流路を通流されるように構成されている。該通流路内を通流した空気は、スタック1から排出され、開閉弁32を通って外部へ排出される。
【0019】
スタック冷却路4には、冷却ポンプ40、イオン交換樹脂43、及び導電率計44が設けられている。冷却ポンプ40から送出され、スタック冷却路4を通流する冷却水はイオン交換樹脂43内を通流し、導電率計44により導電率を測定された後、スタック1へ導入され、スタック1内の通流路を通流した後、排出されて、第1熱交換部7及び第2熱交換部8を通流し、冷却ポンプ40へ戻るように構成されている。スタック冷却路4の、冷却水のスタック1からの流出側、及びスタック1への流入側には、温度センサ41,42
が夫々設けられている。温度センサ41,42は夫々温度T
1 ℃、T
2 ℃を検出する。イオン交換樹脂43はスタック冷却路4を通流する冷却水に含まれるイオンを吸着する。イオン量が多くなった場合、冷却水の導電率が高くなり、スタック1の発電効率が低下するので、イオン交換樹脂43により金属イオン等を吸着する必要がある。
冷媒として純水のみ用いることができるスタック1を使用する場合は、スタック冷却路4の熱媒体(第1熱媒体)として純水(冷却水)を使用する。スタック1の冷媒として例えばエチングリコールを主成分とする不凍液を用いることができる場合、第1熱媒体は該不凍液となる。
第1熱交換部7は熱交換器70を備え、第2熱交換部8は、熱交換器80及びヒータ81を備える。
【0020】
ラジエータ通流路5には、放熱ポンプ50が設けられている。放熱ポンプ50から送出された放熱液は、ラジエータ51を通流し、さらに第1熱交換部7の熱交換器70を通流した後、放熱ポンプ50へ戻るように構成されている。ここで、放熱液(第2熱媒体)として、例えばエチングリコールを主成分とする不凍液が挙げられる。放熱液として水を用いることにしてもよい。不凍液は防錆剤等の薬剤を種々含むため、ラジエータ通流路5のラジエータ51等の部品が錆びにくい。また、アルミニウム製のラジエータ51を用いた場合においても穴が開き難い。そして、外気温が氷点下であってもラジエータ通流路5内で凍結が生じない。
ラジエータ51に近接してファン52が設けられている。
【0021】
ボンベ加熱路6には、加熱ポンプ60が設けられている。加熱ポンプ60から送出された加熱液は、水素供給部200内の通流路を通流して各MHボンベ20を加熱した後、水素供給部200から排出され、第2熱交換部8を通流して、加熱ポンプ60へ戻るように構成されている。加熱により、MHボンベ20内の水素吸蔵合金から水素が放出される。加熱液として、前記不凍液が挙げられる。
【0022】
スタック冷却路4、ラジエータ通流路5、ボンベ加熱路6、第1熱交換部7、及び第2熱交換部8は断熱材により覆われている。
従って、外部との熱移動を制限でき、熱量を制御しやすい。
【0023】
制御部9は、制御部9の各構成部の動作を制御するCPU(Central Processing Unit)90を備え、CPU90には、バスを介して、ROM91、及びRAM92が接続されている。
【0024】
ROM91は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等の不揮発性メモリであり、燃料電池300の運転プログラム91aと、本実施の形態に係る熱交換制御プログラム91bを記憶している。
また、熱交換プログラム91bは、コンピュータ読み取り可能に記録された可搬式メディアであるCD(Compact Disc)−ROM、DVD(Digital Versatile Disc)−ROM、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、ハードディスクドライブ又はソリッドステートドライブ等の記録媒体に記録されており、CPU91が記録媒体から、熱交換プログラム91bを読み出し、ROM91に記憶させてもよい。
さらに、通信網に接続されている図示しない外部コンピュータから本発明に係る熱交換プログラム91bを取得し、ROM91に記憶させることにしてもよい。
【0025】
RAM92は、DRAM(Dynamic RAM)、SRAM(Static RAM)等のメモリであり、CPU91の演算処理を実行する際にROM90から読み出された運転プログラム91a、熱交換プログラム91b、及びCPU90の演算処理によって生ずる各種データを一時記憶する。
制御部9は電池本体100の各構成部、及び水素供給部200の開閉弁21に接続されており、制御部9は各構成部及び開閉弁21の動作を制御する。
水素検知センサ10は、水素漏れを検知した場合に、検知信号を制御部9へ出力する。
【0026】
スタック1で生じる反応は発熱反応であり、スタック1はスタック冷却路4内を通流する冷却水により冷却される。スタック1から排出された冷却水の熱は、熱交換器70において放熱液に伝導され、放熱液はラジエータ51において熱を放出し、熱はファン52により電池本体100の外部へ放出される。ラジエータ51において冷却された放熱液は第1熱交換部7へ送られる。
【0027】
スタック冷却路4において、第1熱交換部7を通流し、第2熱交換部8へ導入された冷却水の熱は、第2熱交換部8において加熱液へ伝導され、加熱液は水素供給部200の各MHボンベ20を加熱し、水素吸蔵合金から水素を放出させる。
第2熱交換部8で冷却された冷却水は冷却ポンプ40へ戻り、スタック1へ送られる。
そして、発電を行っていない場合、スタック冷却路4の冷却水の温度は環境温度となるが、第2熱交換部8のヒータ81により加熱液を加温することにより、MHボンベ20を所定温度に保持することができる。
なお、ボンベ加熱路6を有さずに、スタック1で生じた熱を有する空気を水素供給部200へ送風して、MHボンベ20を加温することにしてもよい。
【0028】
本実施の形態においては、以上のように構成された実施の形態1に係る燃料電池300を用い、スタック1の流出側の温度センサ41が検出した冷却水の温度T
1 、又はスタック1の流入側の温度センサ42が検出した冷却水の温度T
2 を取得し、これらの温度に基づき、冷却ポンプ40、又は放熱ポンプ50の出力を制御して熱交換を制御し、スタック1の冷却及び外部への放熱を制御する。
【0029】
制御部9のCPU90はROM91から熱交換制御プログラムを読み出して、熱交換の制御処理を実行する。
以下、熱交換の制御処理について説明する。
【0030】
図2は、CPU90によるスタック冷却路4の制御処理を示すフローチャートである。
まず、CPU90は、冷却ポンプ40をオンにする(S1)。
CPU90は、水素検知センサ10により水素漏れを検知したか否かを判定する(S2)。
CPU90は、水素漏れを検知したと判定した場合(S2:YES)、冷却ポンプ40をオフにし(S3)、水素供給部200からの水素の供給を停止して、スタック冷却路4の制御処理を終了する。
【0031】
CPU90は水素漏れを検知しなかったと判定した場合(S2:NO)、温度センサ41,42から取得した温度T
1 ℃、T
2 ℃の差(T
1 −T
2 )が15℃以下であるか否かを判定する(S4)。
CPU90は前記差が15℃以下でないと判定した場合(S4:NO)、冷却ポンプ40への指示電圧を上げ、冷却ポンプ40から送出される冷却水の流量を増加させ(S5)、処理をステップS7へ進める。冷却水の流量の増加により、スタック1の温度低下が図られる。
【0032】
CPU90は前記差が15℃以下であると判定した場合(S4:YES)、冷却ポンプ40への指示電圧を下げ、冷却ポンプ40から送出される冷却水の流量を減少させる(S6)。これにより冷却水を冷やし過ぎないようにすることができる。
CPU90は、冷却ポンプ40をオフにするか否かを判定する(S7)。冷却ポンプ4
0をオフにすると判定する場合の一例として、作業者から発電の停止の指示を受け付けた場合等が該当する。
【0033】
CPU90は冷却ポンプ40をオフにすると判定した場合(S7:YES)、冷却路4の制御処理を終了する。
CPU90は冷却ポンプ40をオフにしないと判定した場合(S7:NO)、処理をステップS2へ戻す。
【0034】
図3は、CPU90によるラジエータ通流路5の制御処理を示すフローチャートである。
まず、CPU90は、ファン52をオンにする(S11)。ここで、ファン52の回転数は、換気のために必要な最低回転数である。
CPU90は、温度センサ41から取得した温度T
1 ℃がT
1 ≧50℃であるか否かを判定する(S12)。
【0035】
CPU90はT
1 ≧50℃でないと判定した場合(S12:NO)、判定の処理を繰り返す。
CPU90はT
1 ≧50℃であると判定した場合(S12:YES)、放熱ポンプ50をオンにする(S13)。
【0036】
CPU90は、水素検知センサ10により水素漏れを検知したか否かを判定する(S14)。
CPU90は、水素漏れを検知したと判定した場合(S14:YES)、放熱ポンプ50をオフにし(S15)、水素供給部200からの水素の供給を停止して、ラジエータ通流路5の制御処理を終了する。このとき、ファン52の回転は続行する。
【0037】
CPU90は水素漏れを検知しなかったと判定した場合(S14:NO)、温度センサ41から取得した温度T
1 ℃が、T
1 ≦65℃であるか否かを判定する(S16)。
CPU90はT
1 ≦65℃でないと判定した場合(S16:NO)、放熱ポンプ50への指示電圧を上げ、放熱ポンプ50から送出される放熱液の流量を増加させる(S17)。これにより、放熱量が増加し、冷却水がより冷却されて、スタック1の冷却がより図られる。
【0038】
CPU90は、10秒間に温度センサ41から取得した温度T
1 の変化量ΔT
1 が、ΔT
1 ≧0であるか否かを判定する(S18)。なお、T
1 の変化量ΔT
1 は20秒毎に求めることにしてもよい。
CPU90はΔT
1 ≧0でないと判定した場合(S18:NO)、ファン52の回転数を下げて風量を減少させ(S20)、処理をステップS14へ戻す。T
1 が下がっているので、ファン52の風量を減少させることにより放熱量を下げる。
【0039】
CPU90はΔT
1 ≧0であると判定した場合(S18:YES)、ファン52の回転数を上げて風量を増加させ(S19)、処理をステップS18へ戻す。T
1 が上がっているので、ファン52の風量を増加させることにより放熱量を上げる。
【0040】
CPU90はステップS16においてT
1 ≦65℃であると判定した場合(S16:YES)、放熱ポンプ50への指示電圧を下げ、放熱ポンプ50から送出される放熱液の流量を減少させる(S21)。
【0041】
CPU90は、放熱ポンプ50への指示電圧が最小であるか否かを判定する(S22)。
CPU90は放熱ポンプ50への指示電圧が最小でないと判定した場合(S22:NO)、処理をステップS14へ戻す。
CPU90は放熱ポンプ50への指示電圧が最小であると判定した場合(S22:YES)、放熱ポンプ50をオフにする(S23)。放熱量を下げることを繰り返すことにより、指示電圧は最小値に収束するので、放熱ポンプ50の駆動を停止する。
【0042】
CPU90は燃料電池300のシステム全体をオフにするか否かを判定する(S24)。システム全体をオフにすると判定する場合の一例として、作業者から発電の停止の指示を受け付けた場合等が該当する。
CPU90は燃料電池300のシステム全体をオフにすると判定しなかった場合(S24:NO)、ラジエータ通流路5の処理をステップS12へ戻す。
CPU90は燃料電池300のシステム全体をオフにすると判定した場合(S24:YES)、処理を終了する。
なお、
図2及び
図3のフローチャートにおいて、温度の閾値は上述の値に限定されるものではない。
【0043】
本実施の形態においては、冷却路を発電部側とラジエータ側とで分けており、スタック冷却路4及びラジエータ通流路5夫々の構成がシンプルであり、長さが短い。従って、配管等の汚染源の面積が小さくなり、第1熱媒体及び第2熱媒体の汚染量が少なくなり、金属イオン等により導電率が上がってスタック1の発電効率の低下が抑制し、スタック1の寿命が短くなることが抑制されている。
そして、冷却路が2経路に分かれることで、スタック1側の第1熱媒体として不凍液が使用できない場合には純水を用い、ラジエータ側の第2熱媒体としては不凍液を用いることができる。不凍液は防錆剤等の薬剤を種々含むため、ラジエータ通流路5の部品が錆びにくくなり、金属イオンの発生が抑制される。従って、ラジエータ通流路5のラジエータ51等の経路部品の材料として、金属イオンの溶出が少ないSUS等ではなく、アルミニウムを用いることができ、コストダウンが図られる。
【0044】
特許文献1等の従来の燃料電池においてはスタックとラジエータとを冷却水が循環するので、冷却のために必要な冷却水の流量とラジエータを冷却するファンの風量との両方を同時に制御する必要があった。そして、筐体の換気のためにファンの風量を所定値以上確保する必要があり、この筐体換気用のファンと、風量が少ないラジエータファンとを共用化することが困難であった。
本実施の形態においては、スタック冷却路4(発熱部側)の流量に依存せず、ラジエータ通流路5(放熱部側)の流量を制御するのみで放熱量を制御することができる。従って、燃料電池300の電池本体100の筐体の必要最小限の換気量を確保しつつ、ラジエータ通流路5の流量を制御して放熱量を制御することができる。よって、ファン52に、ラジエータ51からの熱の放出と電池本体100の筐体の換気との両方の機能を持たせることができる。そして、水素が漏れた場合に、燃料電池300のシステム全体を停止し、水素を希釈して放出することも可能である。
【0045】
本実施の形態においては、冷却ポンプ40及び放熱ポンプ50の出力、即ち循環量を制御することにより、第1熱交換部7で移動する熱量を制御することができる。ラジエータ通流路5の循環量が多いほど、第1熱交換部7で奪う熱量が増えるので、2つのポンプの出力を適宜に組み合わせることできめ細かく熱量を制御することができる。
そして、スタック1の入側と出側の冷却水の温度差を管理することができるので、低温環境下でも、放熱量を減少させる等して、スタック1の温度を安定化させることができる。
そして、本実施の形態においては、放熱ポンプ50の出力を減少させることにより、第1熱交換部7で奪う熱量を制限し、冷却水を冷やし過ぎることが防止される。
【0046】
実施の形態2.
図4は、実施の形態2に係る燃料電池を示すブロック図である。実施の形態2に係る燃料電池301は、電池本体100に、イオン交換樹脂43を備えないこと以外は、実施の形態1に係る燃料電池300と同様の構成を有する。
【0047】
本実施の形態においては、冷却路がスタック冷却路4とラジエータ通流路5とに分かれており、ラジエータ51から発生する金属イオン等の不純物が、スタック冷却路4内を通流することがない。
従って、スタック冷却路4において、イオン交換樹脂を省略することができる。
これにより、燃料電池301自体のコストダウンが図られる。
【0048】
以上のように、本発明に係る燃料電池は、水素及び酸素を反応させて発電する発電部を第1熱媒体の循環により冷却する発電部冷却路と、第2熱媒体がラジエータを通流して循環するラジエータ通流路と、前記発電部冷却路に設けられた第1循環ポンプと、前記ラジエータ通流路に設けられた第2循環ポンプと、前記第1熱媒体と前記第2熱媒体との間で熱交換を行う熱交換器と
、前記発電部の流出側における前記第1熱媒体の温度を検出する第2温度検出器とを備え
、前記第2温度検出器により検出される前記第1熱媒体の温度が所定値以下である場合に、前記第2循環ポンプの出力を減少させるように構成されていることを特徴とする。
【0049】
本発明においては、冷却路を発電部側とラジエータ側とで分けており、発電部冷却路及びラジエータ通流路夫々の構成がシンプルであり、長さが短い。従って、配管等の汚染源の面積が小さくなり、第1熱媒体及び第2熱媒体の汚染量が少なくなり、金属イオン等により導電率が上がって発電部の発電効率の低下が抑制し、発電部の寿命が短くなることが抑制されている。
そして、冷却路が2経路に分かれることで、発電部側の第1熱媒体として不凍液が使用できない場合には純水を用い、ラジエータ側の第2熱媒体としては不凍液を用いることができ、ラジエータ通流路のラジエータ等の経路部品の材料として、金属イオンの溶出が少ないSUS等ではなく、アルミニウムを用いることができる。
また、本発明においては、発電部冷却路側の流量に依存せず、ラジエータ通流路の流量を制御するのみで放熱量を制御することができる。従って、燃料電池の(筐体の)必要最小限の換気量を確保しつつ、ラジエータ通流路の流量を制御して放熱量を制御することができる。よって、筐体のファンとラジエータファンとを共通化することができる。
本発明においては、第2循環ポンプの出力を減少させることにより、熱交換器で奪う熱量を制限し、冷却水を冷やし過ぎることを防止する。
【0050】
本発明に係る燃料電池は、前記第2熱媒体は不凍液であることを特徴とする。
【0051】
本発明においては第2熱媒体は不凍液であり、不凍液は防錆剤等の薬剤を種々含むため、ラジエータ通流路の部品が錆びにくい。また、アルミニウム製のラジエータを用いた場合に穴が開き難い。そして、外気温が氷点下であってもラジエータ通流路内で凍結しない。
【0052】
本発明に係る燃料電池は、前記ラジエータを冷却し、換気を行い、水素が漏れた場合に水素を希釈して放出するファンを備えることを特徴とする。
【0053】
本発明においては、1つのファンが3つの機能を有することができ、コストダウンが図られる。
【0054】
本発明に係る燃料電池は、前記発電部により発電を行っている場合に、前記ファンは回転することを特徴とする。
【0055】
本発明においては、水素が漏れた場合に、すぐに希釈して排気することができる。
【0056】
本発明に係る燃料電池は、水素の漏れを検知する水素センサを備え、前記水素センサにより水素の漏れを検知した場合に、前記ファンは回転を続行し、前記第1循環ポンプ及び前記第2循環ポンプは停止することを特徴とする。
【0057】
本発明においては、水素が漏れた場合に、燃料電池のシステム全体を停止して水素の供給を停止するとともに、漏れた水素は希釈して外部に排気することができる。
【0058】
本発明に係る燃料電池は、前記発電部の流入側における前記第1熱媒体の温度を検出する第1温度検出
器を備え、前記第1温度検出
器により検出された温度に基づき、前記第1循環ポン
プの出力を制御するように構成されていることを特徴とする。
【0059】
本発明においては、温度に基づいて、2つの循環ポンプの出力、即ち循環量を制御することにより、熱交換器で移動する熱量を制御することができる。ラジエータ通流路の循環量が多いほど、熱交換器で奪う熱量が増えるので、2つのポンプの出力を適宜に組み合わせることできめ細かく熱量を制御することができる。
特許文献1の燃料電池においては、冷却水の温度が所定値未満である場合、冷却水がラジエータへの流路をバイパスするように構成されているが、この場合、閉ループとラジエータ流路との三方切換弁によるタイムラグが生じていたが、本発明の場合、タイムラグがない。
そして、発電部の入側と出側の冷却水の温度差を管理することができるので、低温環境下でも、発電部の温度を安定させることができる。
【0062】
本発明に係る燃料電池は、前記発電部冷却路、前記熱交換器、及び前記ラジエータ通流路は断熱材により覆われていることを特徴とする。
【0063】
本発明においては、外部との熱移動を制限できるので、熱量を制御しやすい。
【0064】
本発明に係る制御方法は、水素及び酸素を反応させて発電する発電部を第1循環ポンプにより第1熱媒体を循環させて冷却する発電部冷却路と、前記発電部により生じた熱をラジエータに伝導する第2熱媒体を第2循環ポンプにより循環させるラジエータ通流路と、前記第1熱媒体と前記第2熱媒体との間で熱交換を行う熱交換器とを備える燃料電池の前記熱交換を制御する制御方法であって
、前記発電部の流出側における前記第1熱媒体の温度を取得し、前
記流出側における第1熱媒体の温度
が所定値以下である場合に、前記第2循環ポンプの出力を
減少させることを特徴とする。
【0065】
本発明においては、第2循環ポンプの出力を減少させることにより、熱交換器で奪う熱量を制限し、冷却水を冷やし過ぎることを防止する。
【0066】
本発明に係るコンピュータプログラムは、水素及び酸素を反応させて発電する発電部を第1循環ポンプにより第1熱媒体を循環させて冷却する発電部冷却路と、前記発電部により生じた熱をラジエータに伝導する第2熱媒体を第2循環ポンプにより循環させるラジエータ通流路と、前記第1熱媒体と前記第2熱媒体との間で熱交換を行う熱交換器とを備える燃料電池の前記熱交換を制御するコンピュータに、前記発電部
の流出側における前記第1熱媒体の温度を取得し、前
記流出側における第1熱媒体の温度
が所定値以下である場合に、前記第2循環ポンプの出力を
減少させる処理を実行させることを特徴とする。
【0067】
本発明においては、第2循環ポンプの出力を減少させることにより、熱交換器で奪う熱量を制限し、冷却水を冷やし過ぎることを防止する。
【0068】
本発明は上述した実施の形態1及び2の内容に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。即ち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。