(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記特定処理は、前記第2の所定情報が受信され、かつ、前記第1の所定情報と前記第2の所定情報とが一致しないと判断される場合に、前記第1の所定情報を利用した前記第1の所定処理を取り消す取消処理を含む、請求項7に記載のコンピュータプログラム。
前記不可能状態は、前記第1の無線インターフェースが、前記第1の無線接続の確立の要求に対する応答である前記特定信号を送信不可能な状態を含む、請求項9から11のいずれか一項に記載の通信装置。
前記第1の無線インターフェースは、NFC(Near Field Communicationの略)方式に従ったIC(Integrated Circuitの略)タグとして機能するインターフェースである、請求項9から12のいずれか一項に記載の通信装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施例)
(通信システム2の構成;
図1)
図1に示されるように、通信システム2は、プリンタ100と、携帯端末300と、を備える。各デバイス100,300は、NFC(Near Field Communication)方式に従ったNFC通信(即ちいわゆる近距離無線通信の一種)と、Wi−Fi方式に従った無線通信と、を相互に実行可能である。なお、プリンタ200は後述の第2実施例で利用される。
【0015】
(プリンタ100の構成)
プリンタ100は、印刷機能を実行可能な周辺装置(即ち携帯端末300の周辺装置)である。プリンタ100は、操作部102と、表示部104と、印刷実行部106と、無線LANインターフェース110と、NFCインターフェース112と、制御部120と、を備える。各部102〜120は、バス線(符号省略)に接続されている。以下では、インターフェースのことを「I/F」と記載する場合がある。
【0016】
操作部102は、複数のキーを備える。ユーザは、操作部102を操作することによって、様々な指示をプリンタ100に入力することができる。表示部104は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。表示部104は、いわゆるタッチパネルとして機能する。即ち、表示部104は、ユーザによって操作される操作部としても機能する。印刷実行部106は、インクジェット方式、レーザー方式等の印刷機構を備える。
【0017】
無線LANI/F110は、Wi−Fi方式に従った無線通信を実行するためのI/Fである。Wi−Fi方式は、例えば、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.の略)の802.11の規格、及び、それに準ずる規格(例えば、802.11a,11b,11g,11n等)に従って、無線通信を実行するための無線通信方式である。無線LANI/F110は、特に、Wi−Fi Allianceによって策定されたWFD(Wi-Fi Direct(登録商標)の略)方式をサポートしている。WFD方式は、Wi−Fi Allianceによって作成された規格書「Wi-Fi Peer-to-Peer (P2P) Technical Specification Version1.1」に記述されている無線通信方式である。
【0018】
NFCI/F112は、NFC方式に従ったNFC通信を実行するための無線I/Fである。NFC方式は、例えば、ISO/IEC21481又は18092の国際標準規格に基づく無線通信方式である。NFCI/F112は、NFCフォーラムタグと呼ばれるI/Fである。NFCフォーラムタグは、NFC方式に従ったIC(Integrated Circuitの略)タグとして機能するインターフェースである。NFCI/F112は、例えば携帯端末300からPolling信号を受信する場合に、Polling信号に対する応答信号を携帯端末300に送信して、携帯端末300とのNFC接続を確立する。
【0019】
NFCI/F112は、応答設定114を格納する。応答設定114は、Polling信号に対する応答信号を送信することを意味する「ON」と、当該応答信号を送信しないことを意味する「OFF」と、のどちらかに設定される。応答設定114は、CPU122からの指示に応じて切り替えられる。
【0020】
ここで、無線LANI/FとNFCI/Fとの間の相違点を説明しておく。無線LANI/Fを介した無線通信の通信速度(例えば最大の通信速度が11〜600Mbps)は、NFCI/Fを介した無線通信の通信速度(例えば最大の通信速度が100〜424Kbps)よりも速い。また、無線LANI/Fを介した無線通信に利用される周波数(例えば2.4GHz帯又は5.0GHz帯)は、NFCI/Fを介した無線通信に利用される周波数(例えば13.56MHz帯)とは異なる。また、無線LANI/Fを介した無線通信を実行可能な最大の距離(例えば最大で約100m)は、NFCI/Fを介した無線通信を実行可能な最大の距離(例えば最大で約10cm)よりも大きい。
【0021】
制御部120は、CPU122と、メモリ124と、を備える。CPU122は、メモリ124に格納されているプログラム126に従って、様々な処理を実行する。メモリ124は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ等によって構成される。メモリ124は、上記のプログラム126の他に、無線プロファイルWP1を格納する。
【0022】
無線プロファイルWP1は、無線LANI/F110を介して、WFD方式に従った無線LAN接続を確立するために利用される情報である。より具体的には、当該接続は、プリンタ100がWFD方式のGroup Owner(以下では「G/O」と呼ぶ)として動作する無線LANを形成するための接続である。無線プロファイルWP1は、SSID(Service Set Identifierの略)と、パスワードと、を含む。SSIDは、上記の無線LANを識別するための識別子である。パスワードは、上記の無線LANにおいて、認証及び暗号化のために利用される情報である。無線プロファイルWP1は、プリンタ100の電源がONされる際に、CPU122によって準備される情報である。例えば、CPU122は、ランダムな文字列を生成することによって、無線プロファイルWP1を準備してもよい。また、CPU122は、プリンタ100の出荷段階からメモリ124に予め格納されている文字列を取得することによって、無線プロファイルWP1を準備してもよい。
【0023】
(携帯端末300の構成)
携帯端末300は、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレットPC等の可搬型の端末である。携帯端末300は、操作部302と、表示部304と、通知実行部308と、無線LANI/F310と、NFCI/F312と、制御部320と、を備える。各部302〜320は、バス線(符号省略)に接続されている。
【0024】
操作部302は、複数のキーによって構成される。ユーザは、操作部302を操作することによって、様々な指示を携帯端末300に入力することができる。表示部304は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。表示部304は、いわゆるタッチパネルとして機能する。即ち、表示部304は、ユーザによって操作される操作部としても機能する。無線LANI/F310は、Wi−Fi方式に従った無線通信を実行するためのI/Fであり、WFD方式をサポートしている。NFCI/F312は、NFC方式に従った無線通信を実行するためのI/Fであり、NFCフォーラムデバイスである。NFCフォーラムデバイスは、P2P(Peer to Peerの略)モードと、R/W(Reader/Writerの略)モードと、CE(Card Emulationの略)モードと、のいずれかのモードで選択的に動作可能なI/Fである。NFCI/F312は、少なくともR/Wモードで動作可能である。例えば、NFCI/F312は、Readerモードで動作する場合に、プリンタ100のNFCI/F112からのデータを読み出し、即ち、NFCI/F112からのデータの受信を実行することができる。また、NFCI/F312は、Writerモードで動作する場合に、NFCI/F112へのデータの書き込み、即ち、NFCI/F112へのデータの送信を実行することができる。
【0025】
通知実行部308は、回転力に起因する振動を発生させる振動モータによって構成され、振動動作を実行する。通知実行部308は、後述の通知設定330が「ON」である状態で、NFCI/F312がNFC接続の確立を要求するPolling信号を送信して応答信号を受信する場合に、応答信号が受信されたこと、即ち、NFC接続の確立のための処理が実行されていることをユーザに通知するための振動動作を実行する。なお、変形例では、通知実行部308は、LED(Light Emitting Diodeの略)等の発光デバイスによって構成されてもよい。この場合、通知実行部308は、NFCI/F312が応答信号を受信する場合に、発光デバイスを発光させる。また、別の変形例では、通知実行部308は、スピーカによって構成されてもよい。この場合、通知実行部308は、NFCI/F312が応答信号を受信する場合に、音を出力させる。さらに、別の変形例では、表示部304が通知実行部として機能してもよい。この場合、表示部304(即ち通知実行部)は、NFCI/F312が応答信号を受信する場合に、画像、メッセージ等を表示する。即ち、通知実行部は応答信号が受信されたことをユーザに通知するための動作を実行可能であればよい。
【0026】
制御部320は、CPU322と、メモリ324と、を備える。CPU322は、メモリ324に格納されているプログラム326、328に従って、様々な処理を実行する。メモリ324は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ等によって構成される。メモリ324は、基本的な処理を実現するためのOSプログラム(Operating Systemの略)326に加えて、アプリケーションプログラム(以下では「アプリ」と呼ぶ)328を格納する。
【0027】
アプリ328は、プリンタ100のベンダによって提供されるプログラムであり、プリンタ100との無線LAN接続を確立するためのプログラムである。アプリ328は、例えば、ベンダによって提供されるインターネット上のサーバ(図示省略)から携帯端末300にインストールされてもよいし、プリンタ100と共に出荷されるメディアから携帯端末300にインストールされてもよい。
【0028】
メモリ324は、さらに、通知設定330を格納する。通知設定330は、通知実行部308による振動動作の実行が許容される状態を意味する「ON」と、通知実行部308による振動動作の実行が禁止される状態を意味する「OFF」と、のどちらかに設定される。即ち、通知設定330が「ON」である状態は、いわゆるバイブレーション設定であり、通知設定330が「OFF」であることは、いわゆるサイレント設定である。
【0029】
(各デバイス100,300の処理:
図2)
図2を参照して、プリンタ100と携帯端末300との間に無線LAN接続を確立するための処理を説明する。
図2の初期状態では、プリンタ100の応答設定114が「ON」に設定され、携帯端末300の通知設定330が「ON」に設定されている。
【0030】
T110では、携帯端末300のユーザは、アプリ328を起動させた後に、携帯端末300をプリンタ100に近づける。これにより、T112では、プリンタ100のNFCI/F112と携帯端末300のNFCI/F312との間の距離が所定の距離(例えば10cm)以下となり、NFCI/F312は、Polling信号をNFCI/F112に送信する。NFCI/F112は、NFCI/F312からPolling信号を受信すると、T114において、Polling信号に対する応答信号をNFCI/F312に送信する。この結果、T116では、NFC接続が確立される。
【0031】
T120では、NFCI/F312は、T114の応答信号を受信する場合に、応答信号が受信されたことを示すイベント情報をCPU322に供給する。CPU322は、当該イベント情報を取得する場合に、OSプログラム326に従って、通知設定330が「ON」であるのか否かを判断する。本ケースでは通知設定330が「ON」であるので、T122において、CPU322は、OSプログラム326に従って、振動動作の実行を指示するための通知指示を通知実行部308に供給する。これにより、通知実行部308は、通知指示に従って、振動動作を実行する。この結果、ユーザは、NFC接続を確立するための処理が実行されていること、即ち、NFC接続が確立されること、を知ることができる。なお、T120及びT122の処理は、T116の処理の前に実行されてもよいし、T116の処理の後に実行されてもよい。
【0032】
また、T130では、NFCI/F312は、Readerモードで動作して、T116のNFC接続を利用して、Read要求をプリンタ100のNFCI/F112に送信する。Read要求は、プリンタ100から無線プロファイルWP1を読み出すための要求(即ち受信するための要求)である。
【0033】
T132では、NFCI/F112は、Read要求を受信する場合に、Read要求を受信したことを示すイベント情報をCPU122に供給する。T134では、CPU122は、当該イベント情報を取得する場合に、メモリ124内の無線プロファイルWP1をNFCI/F112に供給する。そして、T136では、NFCI/F112は、T116で確立されたNFC接続を利用して、取得済みの無線プロファイルWP1をNFCI/F312に送信する。
【0034】
ここで、T130〜S136の処理の内容を詳しく説明する。T134では、CPU122は、無線プロファイルWP1を複数個の部分データに分割して、1個の部分データをNFCI/F112に供給する。そして、T136では、NFCI/F112は、取得済みの1個の部分データをNFCI/F312に送信する。その後、残りの各部分データの通信を実行するために、T130〜T136が繰り返し実行される。
【0035】
T140では、CPU122は、複数個の部分データの全てをNFCI/F112に供給すると、即ち、NFCI/F112への無線プロファイルWP1の供給が完了すると、OFF指示をNFCI/F112に供給する。OFF指示は、応答設定114を「ON」から「OFF」に切り替えるための指示である。T142では、NFCI/F112は、OFF指示に従って、応答設定114を「ON」から「OFF」に切り替える。これにより、NFCI/F112は、仮に、NFCI/F312からPolling信号を受信しても、応答信号を送信しなくなる。
【0036】
CPU122は、T140でOFF指示をNFCI/F112に供給することに応じて、タイマのカウントを「0」から開始する。CPU122は、タイマの値が所定値(例えば「2」秒)に到達すると、即ち、応答設定114が「OFF」に切り替えられてから所定時間PTが経過すると、T144において、ON指示をNFCI/F112に供給する。ON指示は、応答設定114を「OFF」から「ON」に切り替えるための指示である。T146では、NFCI/F112は、ON指示に従って、応答設定114を「OFF」から「ON」に切り替える。このように、応答設定114は、「OFF」に切り替えられてから所定時間PTが経過するまで「OFF」に維持される。
【0037】
一方、NFCI/F312は、無線プロファイルWP1を構成する複数個の部分データを順次受信する場合(T136)に、T150において、複数個の部分データをCPU322に順次供給する。T152では、CPU322は、複数個の部分データの全てを取得する場合、即ち、NFCI/F312を介した無線プロファイルWP1の受信が完了する場合に、アプリ328に従って、通知設定330を「ON」から「OFF」に切り替える。これにより、仮に、プリンタ100から応答信号を受信しても、通知実行部308が振動動作を実行しなくなる。
【0038】
T160では、CPU322は、受信済みの無線プロファイルWP1を利用して、無線LANI/F310を介して、プリンタ100との無線LAN接続を確立する。具体的には、CPU322は、アプリ328に従って、無線プロファイルWP1内のSSIDを含むプローブ要求の送信、及び、プローブ応答の受信を実行し、さらに、様々な信号(例えば、Authentication信号、Association信号、4-way handshake等)の通信をプリンタ100と実行する。上記の様々な信号の通信の過程で、無線プロファイルWP1内のパスワードがプリンタ100に送信され、パスワードの認証がプリンタ100によって実行される。これにより、携帯端末300は、プリンタ100がG/O(即ち親局)として動作する無線LANに子局(例えばWFD方式のClient又はいわゆるレガシー)として参加することができる。換言すると、T160では、CPU122は、無線プロファイルWP1を利用して、無線LANI/F110を介して、携帯端末300との無線LAN接続を確立する。なお、CPU122は、T132のイベント情報を取得する場合に、G/Oとしての動作を開始してもよいし、T134で無線プロファイルWP1の供給が完了する場合に、G/Oとしての動作を開始してもよい。
【0039】
CPU322は、T160の無線LAN接続が確立される場合に、T162において、アプリ328に従って、通知設定330を「OFF」から「ON」に切り替える。このように、通知設定330は、「OFF」に切り替えられてから無線LAN接続が確立されるまで「OFF」に維持される。なお、図示省略しているが、CPU322は、T152で通知設定330を「OFF」に切り替えることに応じて、アプリ328に従って、タイマのカウントを「0」から開始する。CPU322は、無線LAN接続が確立されずに、タイマの値が規定値に到達すると、即ち、通知設定330が「OFF」に切り替えられてから、無線LAN接続が確立されずに、規定時間(例えば1分)が経過すると、アプリ328に従って、通知設定330を「ON」に切り替える。これにより、何らかの原因(例えば無線LANI/F310の不具合等)に起因して無線LAN接続が確立されない場合でも、通知設定330を「ON」に戻すことができる。
【0040】
また、T164では、CPU322は、T160の無線LAN接続を利用して、確立情報をプリンタ100に送信する。確立情報は、携帯端末300とプリンタ100との間に無線LAN接続が確立されたことを示す情報である。換言すると、T164では、CPU122は、無線LAN接続を利用して、携帯端末300から確立情報を受信する。これにより、CPU122は、携帯端末300との無線LAN接続が確立されたことを知ることができる。
【0041】
T160の無線LAN接続が確立されるので、プリンタ100と携帯端末300とは、無線LANを利用して、様々なデータの通信を実行することができる。以下では、携帯端末300からプリンタ100に印刷データが送信される例を説明する。T180では、CPU322は、アプリ328に従って、操作部302を介して、印刷指示の入力操作を受け付ける。この場合、T182では、CPU322は、アプリ328に従って、無線LAN接続を利用して、印刷対象の画像を表わす印刷データをプリンタ100に送信する。
【0042】
CPU122は、携帯端末300から印刷データを受信すると、T184において、印刷データを印刷実行部106に供給して、印刷データによって表される画像の印刷を印刷実行部106に実行させる。
【0043】
上述したように、携帯端末300は、NFC通信よりも早い通信速度を有する無線LAN通信を利用して、印刷データをプリンタ100に送信することができる。このために、携帯端末300のユーザは、プリンタ100に印刷を迅速に実行させることができる。
【0044】
(比較例のケース:
図3)
図2の処理によって実現される具体的なケースを説明する前に、
図3を参照して、比較例のケースを説明する。比較例のプリンタ100Aは、T140からT146の処理を実行しない。また、比較例の携帯端末300Aは、T152及びT162の処理を実行しない。T10では、携帯端末300Aのユーザは、携帯端末300Aをプリンタ100Aに近づける。携帯端末300Aは、
図2のT112、T114と同様に、Polling信号及び応答信号の通信をプリンタ100Aと実行する。この結果、T12では、携帯端末300Aとプリンタ100Aとの間にNFC接続が確立され、T14では、携帯端末300Aは、振動動作(即ちユーザへの通知)を実行する。T16では、携帯端末300Aは、NFC接続を利用して、プリンタ100Aから無線プロファイルを受信し、当該無線プロファイルを利用して無線LAN接続を確立するための処理を開始する。T50では、携帯端末300Aは、無線プロファイルを利用して無線LAN接続を確立する。
【0045】
ところで、無線プロファイルが通信されてから無線LAN接続が確立されるまでの間に、ユーザが携帯端末300Aを動かす可能性がある。例えば、T30でユーザが携帯端末300Aをプリンタ100Aから離すことに起因して、プリンタ100A(即ちNFCI/F)と携帯端末300A(即ちNFCI/F)との間の距離が所定の距離(例えば10cm)より大きくなり、この結果、T32において、T12のNFC接続が切断される。その後、T40でユーザが携帯端末300Aをプリンタ100Aに近づけることに起因して、プリンタ100Aと携帯端末300Aとの間の距離が所定の距離以下になり、この結果、T42において、Polling信号及び応答信号の通信が再び実行され、NFC接続が確立される。この結果、T44では、携帯端末300Aは、振動動作を再び実行する。このように、無線プロファイルの通信後にユーザが携帯端末300Aを動かすことに起因して、携帯端末300Aが短期間の間に振動動作を繰り返し実行する可能性がある。なお、T42でNFC接続が確立される場合、携帯端末300Aは、T16と同様に、プリンタ100Aから無線プロファイルを受信する(T46)。T46の無線プロファイルは、利用されることなく破棄される。
【0046】
例えば、ユーザが、携帯端末300Aをプリンタ100Aから所定の距離(約10cm)だけ離れた位置まで近づける場合に、その位置で携帯端末300Aとプリンタ100Aとの間にNFC接続が確立されることが想定される。所定の距離は、NFCI/Fを介した無線通信を実行可能な最大の距離である。この場合、携帯端末300Aを持つユーザの手の微小な動作によって、携帯端末300Aとプリンタ100Aとの間の距離が、所定の距離より大きくなること及び小さくなることを繰り返す可能性がある。即ち、携帯端末300Aが、短期間の間に、プリンタ100AとのNFC接続の確立と切断を繰り返し、振動動作を繰り返し実行する可能性がある。
【0047】
ユーザが、繰り返される振動動作による通知が何を意味しているかわからない可能性があり、例えば、携帯端末300Aが故障した等の不快感をユーザに与えてしまう可能性がある。なお、このような振動動作の繰り返しは、携帯端末300Aのチャタリング(chattering)と呼ばれることがある。
【0048】
(本実施例の具体的なケース:
図4)
続いて、
図4を参照して、
図2の処理によって実現される具体的なケースを説明する。
図4では、
図2のT110〜T184の各処理が実行されるが、そのうちの主要ではない各処理(例えばT110、T112等)を図示せず、主要な各処理(例えばT114、T116等)と、
図2では図示されていない各処理(例えばT210等)と、を図示している。T152Aでは、CPU322は、通知設定330を「OFF」に切り替えるための動作を開始する。具体的には、CPU322は、アプリ328に従って、通知設定330を「OFF」に切り替えるための指示をOSプログラム326に供給する。この結果、OSプログラム326が通知設定330を「OFF」に切り替えるが、このような動作を完了するまでに、例えば約1秒の時間がかかり得る。
【0049】
上述したように、CPU122は、T140でOFF指示をNFCI/F112に供給し、T142で応答設定114を「ON」から「OFF」に切り替える。そして、応答設定114は、所定時間PTが経過するまで「OFF」に維持される。ここで、所定時間は、携帯端末300において、通知設定330を「OFF」に切り替えるための動作が開始されてから(T152A)、当該動作が完了するまで(T152B)の時間(例えば約1秒)よりも長い時間(例えば2秒)に設定されている。従って、携帯端末300において、通知設定330を「OFF」に切り替えるための動作が完了するまで、プリンタ100の応答設定114が「OFF」に維持される。
【0050】
T210では、携帯端末300がプリンタ100から離れる。この結果、T212では、T116のNFC接続が切断される。その後、T220では、携帯端末300がプリンタ100に近づく。この結果、T222では、NFCI/F112は、NFCI/F312からPolling信号を受信する。ただし、応答設定114が「OFF」であるので、NFCI/F112は、T222のPolling信号に対する応答信号をNFCI/F312に送信しない。
【0051】
T222のPolling信号の送信時では、携帯端末300において、通知設定330を「OFF」に切り替えるための動作が完了していない。従って、携帯端末300は、仮に、T222のPolling信号に対する応答信号を受信すると、振動動作を実行してしまうことになり、不快感をユーザに与え得る。ただし、本実施例によると、携帯端末300の通知設定330が「OFF」に切り替えられるまでの間は、プリンタ100の応答設定114が「OFF」に設定される。この結果、携帯端末300は、T222のPolling信号に対する応答信号を受信せず、振動動作を実行しない。このように、本実施例によると、携帯端末300Aにおいて、短期間の間に振動動作が繰り返し実行されるのを抑制することができる。また、プリンタ100では、応答設定114が「OFF」に切り替えられてから所定時間が経過する場合に、T146で応答設定114が「ON」に切り替えられる。これにより、プリンタ100は、応答設定114が「ON」に切り替えられた後に、携帯端末300とは異なる他の携帯端末とのNFC接続を適切に確立することができる。
【0052】
T152Bでは、CPU322は、通知設定330を「OFF」に切り替えるための動作を完了する。その後、T146では、NFCI/F112の応答設定が「ON」に切り替えられる。例えば、T210〜T222が実行されずに、T230において、携帯端末300がプリンタ100から離れる状況を想定する。この場合、T232では、T116のNFC接続が切断される。その後、T240では、携帯端末300がプリンタ100に近づく。この結果、T242では、NFCI/F112は、NFCI/F312からPolling信号を受信する。ここでは応答設定114が「ON」であるので、T244において、NFCI/F112は、T242のPolling信号に対する応答信号をNFCI/F312に送信する。そして、T246では、NFC接続が確立される。T244の応答信号の受信時では、通知設定330が「OFF」である。この結果、CPU322は、NFCI/F112が応答信号を受信しても、通知指示を通知実行部308に供給しない。この結果、通知実行部308は、振動動作を実行しない。
【0053】
なお、CPU322は、T246でNFC接続が確立される場合に、T136と同様に、プリンタ100から無線プロファイルWP1を再び受信する。ただし、CPU322は、再び受信された無線プロファイルWP1を利用することなく、破棄する(即ち消去する)。なお、仮に、T246において、プリンタ100とは異なるプリンタとのNFC接続が確立され、CPU322は、当該異なるプリンタから無線プロファイルWP1とは異なる無線プロファイルを受信しても、当該異なる無線プロファイルを利用することなく破棄する。
【0054】
上述したように、携帯端末300は、通知設定330を「OFF」に切り替えるための動作が完了した後(T152B)に、プリンタ100からPolling信号に対する応答信号を受信し得る(T244)。ただし、携帯端末300は、当該応答信号を受信しても、振動動作を実行しない。このように、本実施例によると、携帯端末300において、短期間の間に振動動作が繰り返し実行されるのを抑制することができる。また、仮に、携帯端末300の通知設定330が「OFF」に切り替えられずに、T160の無線LAN接続が確立されるまで、プリンタ100の応答設定114が「OFF」に維持される構成を採用すると、プリンタ100は、長時間に亘ってPolling信号に対する応答信号を送信しなくなる。この場合、プリンタ100は、例えば、携帯端末300とは異なる携帯端末とのNFC接続を長時間に亘って確立することができない。これに対し、本実施例によると、携帯端末300の通知設定330が「OFF」に切り替えられるので、プリンタ100は、通知設定330を「OFF」に切り替えるための動作が開始してから完了するまでの短時間だけ応答設定114を「OFF」にすればよい。このために、プリンタ100は、例えば、携帯端末300とは異なる携帯端末とのNFC接続を適切に確立することができる。
【0055】
(対応関係)
プリンタ100、携帯端末300、アプリケーションプログラム328が、それぞれ、「通信装置」、「端末装置」、「コンピュータプログラム」の一例である。NFCI/F112が、「通信装置側無線インターフェース」の一例である。NFCI/F312が、「端末装置側無線インターフェース」、及び、「端末装置」の「第1の無線インターフェース」の一例であり、無線LANI/F310が、「端末装置」の「第2の無線インターフェース」の一例である。
図2のT114の応答信号、無線プロファイルWP1、T160の無線LAN接続の確立が、それぞれ、「特定信号」、「所定情報」、「所定処理(又は第1の所定処理)」の一例である。通知実行部308が実行する振動動作が、「所定動作」の一例である。応答設定114が「ON」であること、「OFF」であることが、それぞれ、「可能状態」、「不可能状態」の一例である。通知設定330が「ON」であること、「OFF」であることが、それぞれ、「許容状態」、「禁止状態」の一例である。
【0056】
(第2実施例;
図5)
本実施例では、CPU322がアプリ328に従って実行する処理の内容が第1実施例とは異なる。
図5を参照して、本実施例の処理の内容を説明する。CPU322はNFC接続を利用して無線プロファイルを受信すること(
図2のT150参照)をトリガとして、アプリ328に従って、
図5に示す接続処理を実行する。
【0057】
S10では、CPU322は、
図2のT152と同様に、通知設定330を「ON」から「OFF」に切り替える。S20では、CPU322は、プリンタ(例えば100又は200)との無線LAN接続が確立されることを監視する。CPU322は、無線LAN接続が確立された場合(S20でYES)に、S22において、
図2のT162と同様に、通知設定330を「OFF」から「ON」に切り替える。S22が終了すると、
図5の処理が終了する。
【0058】
CPU322は、S20の監視と同時的に、S30において、プリンタ(例えば100又は200)とのNFC接続が確立されることを監視する。具体的には、CPU322は、NFCI/F312から
図2のT120と同様のイベント情報を取得する場合に、NFC接続が確立されたと判断し(S30でYES)、S32に進む。
【0059】
S32では、CPU322は、確立済みのNFC接続を利用して、NFCI/F312を介して、プリンタから無線プロファイルを受信する。S40では、CPU322は、
図5の処理のトリガとして受信された無線プロファイル(
図2のT150参照;以下では「先の無線プロファイル」と呼ぶ)と、S32で受信された無線プロファイルと、が一致するのか否かを判断する。CPU322は、2つの無線プロファイルが一致すると判断する場合(S40でYES)に、S32で受信された無線プロファイルを破棄し、S42からS48の処理をスキップして、S20及びS30の監視処理に戻る。
【0060】
一方、CPU322は、2つの無線プロファイルが一致しないと判断する場合(S40でNO)に、S42において、先の無線プロファイルを破棄する。即ち、CPU322は、先の無線プロファイルを利用して現在実行している無線LAN接続の確立処理を取り消す。そして、CPU322は、先の無線プロファイルを利用せずに、S32で受信された無線プロファイルを利用して無線LAN接続の確立処理を開始する。CPU322は、S44において、通知設定330を「OFF」から「ON」に切り替えて、S46において、振動動作を実行させるための通知指示を通知実行部308に供給する。この結果、通知実行部308は、振動動作を実行する。その後、S48では、CPU322は、通知設定330を「ON」から「OFF」に切り替えて、S20及びS30の監視処理に戻る。
【0061】
(本実施例の具体的なケース:
図6)
図6を参照して、
図5の処理によって実現される具体的なケースを説明する。例えば、ユーザが、目的のプリンタ200とは異なるプリンタ100に誤って携帯端末300を近づけることが想定される。この場合、ユーザは、携帯端末300をプリンタ100から離し、携帯端末300をプリンタ200に近づけることが想定される。
図6のケースは、このような状況を示す。
【0062】
T310では、ユーザは、アプリ328を起動させた後に、携帯端末300をプリンタ100に誤って近づける。T316からT352は、
図2のT116からT152と同様である。CPU322は、T350で無線プロファイルWP1を取得することをトリガとして、アプリ328に従って、
図5の接続処理を実行する。T430では、ユーザは、プリンタ100から携帯端末300を離す。この結果、T432では、T316のNFC接続が切断される。
【0063】
T440では、ユーザは、携帯端末300を目的のプリンタ200(
図1参照)に近づける。携帯端末300のNFCI/F312とプリンタ200のNFCI/Fの間で、
図1のT112、T114と同様に、Polling信号及び応答信号の通信が実行されることにより、T446では、プリンタ200とのNFC接続が確立される。
【0064】
T450では、NFCI/F312は、T446のNFC接続を利用して、無線プロファイルWP2(
図1参照)をプリンタ200から受信し、T452において、無線プロファイルWP2をCPU322に供給する。T454では、CPU322は、先の無線プロファイルWP1と、T452で取得した無線プロファイルWP2と、が一致しないと判断する(
図3のS40でNO)。これにより、先の無線プロファイルWP1は、破棄される(S42)。T456では、CPU322は、通知設定330を「OFF」から「ON」に切り替える(S44)。T458では、CPU322は、通知指示を通知実行部308に供給する(S46)。この結果、通知実行部308は、通知指示に従って、振動動作を実行する。その後、T460では、CPU322は、通知設定330を「ON」から「OFF」に切り替える(S48)。
【0065】
T360では、CPU322は、T452の無線プロファイルWP2を利用して、無線LANI/F310を介して、プリンタ200との無線LAN接続を確立する。T362は、
図2のT162と同様である。T364では、
図2のT164と同様に、T360の無線LAN接続を利用して、確立情報をプリンタ200に送信する。
【0066】
(本実施例の効果)
本実施例では、携帯端末300は、プリンタ100とのNFC接続を確立した後に、目的のプリンタ200とのNFC接続を確立する場合(T446)、即ち、先の無線プロファイルWP1とは異なる無線プロファイルWP2を取得する場合(T452)に、通知設定330を「ON」に一時的に切り替えて(T456)、通知実行部308に振動動作を実行させる(T458)。これにより、携帯端末300のユーザは、目的のプリンタ200とのNFC接続が確立されることを知ることができる。また、携帯端末300は、通知実行部308に振動動作を実行させた後に、通知設定330を「OFF」に切り替える(T460)。これにより、T360で無線LAN接続が確立されるまでに、ユーザが携帯端末300を動かすことに起因して、振動動作が繰り返し実行されるのを抑制することができる。
【0067】
(対応関係)
プリンタ100、プリンタ200が、それぞれ、「第1の通信装置」、「第2の通信装置」の一例であり、無線プロファイルWP1、WP2が、それぞれ、「第1の所定情報」、「第2の所定情報」の一例である。T360の無線LAN接続の確立が、「第2の所定処理」の一例である。T454からT460までの処理が、「特定処理」の一例である。
【0068】
(第3実施例;
図7)
本実施例では、プリンタ100において、応答設定114が「OFF」に切り替えられてから所定時間(例えば2秒)が経過する前に、無線LAN接続が確立される場合に、所定時間が経過しなくても応答設定114が「ON」に切り替えられる。
図7を参照して、本実施例の具体的なケースを説明する。
【0069】
T510からT532は、
図2のT110からT132と同じである。T534では、CPU122は、
図2のT134と同様に、NFCI/F112に無線プロファイルWP1を供給する。T534では、さらに、CPU122は、プリンタ100を識別するためのプリンタID(Identification Dataの略)をNFCI/F112に供給する。T536では、NFCI/F112は、T516のNFC接続を利用して、無線プロファイルWP1とプリンタIDとを携帯端末300に送信する。
【0070】
T540,T542は、
図2のT140,T142と同様である。CPU122は、T540でOFF指示をNFCI/F112に供給することに応じて、タイマのカウントを「0」から開始する。CPU122は、T540の後に、監視処理を実行する。CPU122は、監視処理において、タイマの値が所定値に到達すること、及び、確立情報を受信すること、を監視する。
【0071】
例えば、ケースAに示されるように、タイマの値が所定値に到達する場合、即ち、応答設定114が「OFF」に切り替えられてから所定時間が経過する場合には、
図1のT144,T146と同様に、CPU122は、T544で、ON指示をNFCI/F112に供給し、NFCI/F112は、T546で、ON指示に従って、応答設定114を「OFF」から「ON」に切り替える(T546)。
【0072】
例えば、ケースBに示されるように、応答設定114が「OFF」に切り替えられてから所定時間が経過する前に、T560で携帯端末300との無線LAN接続が確立される場合には、CPU122は、T560の無線LAN接続を利用して、携帯端末300から確立情報を受信する(T566)。確立情報は、T536のプリンタIDを含む。CPU122は、自身のプリンタIDを含む確立情報を受信することによって、無線プロファイルWP1の送信先の携帯端末300(T536参照)との無線LAN接続が確立されたことを知ることができる。この場合、T644では、CPU122は、ON指示をNFCI/F112に供給する。T646は、T546と同様である。なお、図示省略しているが、CPU122は、仮に、自身のプリンタIDを含まない確立情報を受信しても、ON指示をNFCI/F112に供給しない。
【0073】
(本実施例の効果)
本実施例では、プリンタ100は、応答設定114が「OFF」に切り替えられてから所定時間が経過する前に、携帯端末300から確立情報を受信する場合(T566)に、応答設定114を「OFF」から「ON」に切り替える(T644,T646)。これにより、プリンタ100は、応答設定114を早期に「ON」に復帰することができ、この結果、例えば、携帯端末300とは異なる携帯端末とのNFC接続を早期に確立することができる。
【0074】
(対応関係)
NFCI/F112、無線LANI/F110が、それぞれ、「通信装置」の「第1の無線インターフェース」、「通信装置」の「第2の無線インターフェース」の一例である。プリンタIDが、「識別情報」の一例である。
【0075】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、以下の変形例が含まれる。
【0076】
(変形例1)プリンタ100は、応答設定114を備えていなくてもよく、Polling信号を受信する場合に、応答信号を必ず送信する構成であってもよい。本変形例では、プリンタ100の応答設定114が利用されないが、携帯端末300の通知設定330が利用されるので、携帯端末300において振動動作が繰り返し実行されることを抑制することができる。
【0077】
(変形例2)携帯端末300は、通知設定330を「ON」から「OFF」に切り替えなくてもよい。本変形例では、携帯端末300の通知設定330が「OFF」に切り替えられないが、プリンタ100の応答設定114が利用され、携帯端末300において振動動作が繰り返し実行されることを抑制することができる。
【0078】
(変形例3)CPU122は、
図2のT134の処理を実行せずに、例えば、プリンタ100の電源がONされる際に、無線プロファイルWP1をNFCI/F112に格納させておいてもよい。この場合、NFCI/F112は、NFCI/F312からのRead要求に応じて、予め格納されている無線プロファイルWP1を複数個の部分データに分割して、1個の部分データをNFCI/F112に送信する。そして、NFCI/F112は、NFCI/F312からのRead要求に応じて、イベント情報をCPU122に供給する。その後、残りの各部分データの通信を実行するために、これらの処理が繰り返し実行される。CPU122は、NFCI/F112からイベント情報を繰り返し取得し、イベント情報を取得しなくなってから規定時間(例えば1秒)が経過する場合に、T140の処理を実行してもよい。
【0079】
(変形例4)NFCI/F112は、NFCフォーラムデバイスであってもよい。例えば、CPU122は、NFCI/F112がCEモードで動作する場合に、上記の各実施例と同様に、NFCI/F112への無線プロファイルWP1の供給が完了することをトリガとして、
図2のT140の処理を実行してもよい。また、例えば、CPU122は、NFCI/F112がP2Pモードで動作する場合及びR/WモードのうちWriterモードで動作する場合に、NFCI/F312からAcknowledge信号を受信ことに応じて、T140の処理を実行してもよい。Acknowledge信号は、無線プロファイルWP1の受信を完了したことを示す信号である。
【0080】
(変形例5)NFCI/F112は、NFCフォーラムデバイスであり、応答設定114を備えていなくてもよい。本変形例では、CPU122は、
図2のT140において、OFF指示の供給に代えて、NFCI/F112への電力供給を停止し、T144において、ON指示の供給に代えて、NFCI/F112への電力供給を再開してもよい。NFCI/F112への電力供給が停止されると、Polling信号に対する応答信号を送信不可能な状態になる。本変形例では、NFCI/F112への電力供給が実行されている状態、NFCI/F112への電力供給が停止されている状態が、それぞれ、「可能状態」、「不可能状態」の一例である。
【0081】
(変形例6)上記の実施例では、プリンタ100は、
図2のT112でPolling信号を携帯端末300から受信し、T114で応答信号を携帯端末300に送信することによって、携帯端末300とのNFC接続を確立する。これに代えて、プリンタ100は、Polling信号を携帯端末300に送信し、当該Polling信号に対する応答信号を携帯端末300から受信することによって、携帯端末300とのNFC接続を確立してもよい。本変形例では、Polling信号が、「特定信号」の一例である。
【0082】
(変形例7)上記の実施例では、携帯端末300は、プリンタ100から無線プロファイルWP1を受信し、無線プロファイルWP1を利用して、プリンタ100との無線LAN接続の確立を実行する。これに代えて、携帯端末300は、携帯端末300がG/Oとして動作する無線LANで利用される無線プロファイルをプリンタ100に送信し、当該無線プロファイルを利用して、プリンタ100との無線LAN接続を確立してもよい。即ち、携帯端末300は、携帯端末300がG/Oとして動作する無線LANに子局としてプリンタ100を参加させてもよい。即ち、「所定情報(又は第1の所定情報)の通信」は、所定情報の送信及び受信のどちらであってもよい。
【0083】
(変形例8)プリンタ100は、
図2のT136において、無線プロファイルWP1に代えて、別の情報を携帯端末300に送信してもよい。例えば、プリンタ100は、プリンタ100に関係するウェブページ(例えば、プリンタ100のマニュアルページ)のURL(Uniform Resource Locatorの略)を送信してもよい。この場合、携帯端末300は、取得済みのURLを利用して、ウェブページを表示することができる。本変形例では、URL、ウェブページの表示が、それぞれ、「所定情報(又は第1の所定情報)」、「所定処理」の一例である。なお、「所定情報(又は第1の所定情報)」は、通信装置及び端末装置のうちの少なくとも端末装置によって利用されるべき情報であればよい。
【0084】
(変形例9)
図5のS42の処理は、実行されなくてもよい。例えば、
図6において、携帯端末300が、プリンタ100との無線LAN接続と、プリンタ200との無線LAN接続と、の2つの無線LAN接続を確立してもよい。この場合、2つの無線LAN接続は、携帯端末300がG/Oとして動作する無線LANで利用される無線プロファイルを利用して、実行される。即ち、「取消処理」は、実行されなくてもよい。
【0085】
(変形例10)
図2のT164の処理は、実行されなくてもよい。即ち、「送信処理」は、実行されなくてもよい。また、
図7のT566の処理は、実行されなくてもよい。この場合、例えば、CPU122は、T560の無線LAN接続が確立されたことを示すイベント情報を無線LANI/F110から取得する場合に、T644の処理を実行してもよい。即ち、「通信装置」は、「受信部」を備えなくてもよい。
【0086】
(変形例11)
図7のT536で、プリンタ100は、プリンタIDを携帯端末300に送信しなくてもよく、T566でプリンタIDを含む確立情報を受信しなくてもよい。即ち、「確立情報」は、「識別情報」を含まなくてもよい。
【0087】
(変形例12)「通信装置」は、プリンタ100に限られず、スキャナ、FAX装置、多機能機等の周辺装置であってもよいし、PC、サーバ、スマートフォン等のデバイスであってもよい。
【0088】
(変形例13)上記の実施例では、プリンタ100のCPU122がプログラム126に従って処理を実行することによって、
図2、
図4、及び、
図7の各処理が実現される。これに代えて、これらの各処理のうちの少なくとも1つの処理は、論理回路等のハードウェアによって実現されてもよい。
以下に、本明細書に記載の技術の特徴を列挙する。
(項目1)
通信システムであって、
通信装置と、端末装置と、を備え、
前記通信装置は、
特定信号を前記端末装置に送信し、前記特定信号の送信後に、前記端末装置との特定の無線接続を確立し、前記特定の無線接続を利用して所定情報の通信を前記端末装置と実行する、通信装置側無線インターフェースと、
前記通信装置の状態を、前記通信装置側無線インターフェースが前記特定信号を送信可能な可能状態と、前記通信装置側無線インターフェースが前記特定信号を送信不可能な不可能状態と、の間で切り替える第1の切替部と、を備え、
前記第1の切替部は、
前記通信装置の状態が前記可能状態である間に、前記所定情報の通信が実行される場合に、前記通信装置の状態を前記可能状態から前記不可能状態に切り替え、
前記通信装置の状態が前記可能状態から前記不可能状態に切り替えられてから所定時間が経過する場合に、前記通信装置の状態を前記不可能状態から前記可能状態に切り替え、
前記端末装置は、
前記通信装置から前記特定信号を受信し、前記特定信号の受信後に、前記通信装置との前記特定の無線接続を確立する、端末装置側無線インターフェースと、
前記通信装置から、前記端末装置側無線インターフェースを介して、前記特定信号が受信される場合に、ユーザに通知するための所定動作を実行する通知実行部と、
前記特定信号の受信後に、前記端末装置側無線インターフェースを介して、前記通信装置との前記特定の無線接続が確立される場合に、前記特定の無線接続を利用して、前記所定情報の通信を前記通信装置と実行する通信実行部と、
前記所定情報の通信が実行される場合に、前記所定情報を利用した所定処理を実行する処理実行部と、
前記端末装置の状態を、前記通知実行部による前記所定動作の実行が許容される許容状態と、前記通知実行部による前記所定動作の実行が禁止される禁止状態と、の間で切り替える第2の切替部と、を備え、
前記第2の切替部は、
前記端末装置の状態が前記許容状態である間に、前記所定情報の通信が実行される場合に、前記端末装置の状態を前記許容状態から前記禁止状態に切り替え、
前記所定処理が完了する場合に、前記端末装置の状態を前記禁止状態から前記許容状態に切り替える、通信システム。
(項目2)
端末装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記端末装置は、
通信装置から特定信号を受信し、前記特定信号の受信後に、前記通信装置との無線接続を確立する、第1の無線インターフェースと、
前記通信装置から、前記第1の無線インターフェースを介して、前記特定信号が受信される場合に、ユーザに通知するための所定動作を実行する通知実行部と、
コンピュータと、を備え、
前記コンピュータプログラムは、前記コンピュータに、以下の各処理、即ち、
前記特定信号の受信後に、前記第1の無線インターフェースを介して、第1の通信装置との第1の無線接続が確立される場合に、前記第1の無線接続を利用して、第1の所定情報の通信を前記第1の通信装置と実行する第1の通信実行処理と、
前記第1の所定情報の通信が実行される場合に、前記第1の所定情報を利用した第1の所定処理と、
前記端末装置の状態を、前記通知実行部による前記所定動作の実行が許容される許容状態と、前記通知実行部による前記所定動作の実行が禁止される禁止状態と、の間で切り替える切替処理と、を実行させ、
前記切替処理は、
前記端末装置の状態が前記許容状態である間に、前記第1の所定情報の通信が実行される場合に、前記端末装置の状態を前記許容状態から前記禁止状態に切り替える処理と、
前記第1の所定処理が完了する場合に、前記端末装置の状態を前記禁止状態から前記許容状態に切り替える処理と、を含む、コンピュータプログラム。
(項目3)
前記端末装置は、さらに、前記第1の無線インターフェースとは異なる第2の無線インターフェースを備え、
前記第1の所定処理は、前記第1の所定情報を利用して、前記第2の無線インターフェースを介して、前記第1の通信装置との第2の無線接続を確立する処理を含む、項目2に記載のコンピュータプログラム。
(項目4)
前記コンピュータプログラムは、さらに、前記コンピュータに、
前記第1の通信装置との前記第2の無線接続が確立される場合に、前記第2の無線接続を利用して、前記第2の無線インターフェースを介して、前記第2の無線接続が確立されたことを示す確立情報を前記第1の通信装置に送信する送信処理を実行させる、項目3に記載のコンピュータプログラム。
(項目5)
前記第1の通信実行処理は、さらに、前記第1の無線接続を利用して、前記第1の通信装置を識別するための識別情報を受信する処理を含み、
前記確立情報は、受信済みの前記識別情報を含む、項目4に記載のコンピュータプログラム。
(項目6)
前記第1の通信実行処理は、前記第1の無線接続を利用して、前記第1の通信装置から前記第1の所定情報を受信する処理を含み、
前記第1の所定処理は、受信済みの前記第1の所定情報を利用して実行される、項目2から5のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
(項目7)
前記コンピュータプログラムは、さらに、前記コンピュータに、以下の各処理、即ち、
前記第1の所定情報が受信されてから前記第1の所定処理が完了するまでの間に、前記第1の無線インターフェースを介して、第2の通信装置との第3の無線接続が確立される場合に、前記第3の無線接続を利用して、前記第2の通信装置から第2の所定情報を受信する第2の通信実行処理と、
前記第2の所定情報が受信される場合に、前記第1の所定情報と前記第2の所定情報とが一致するのか否かを判断する判断処理と、
前記第2の所定情報が受信され、前記第1の所定情報と前記第2の所定情報とが一致しないと判断される場合に、前記第1の所定情報を利用せずに、前記第2の所定情報を利用した第2の所定処理と、を実行させ、
前記切替処理は、さらに、
前記第2の所定情報が受信され、かつ、前記第1の所定情報と前記第2の所定情報とが一致しないと判断される場合に、前記端末装置の状態を前記禁止状態から前記許容状態に切り替えて、前記通知実行部に前記所定動作を実行させた後に、前記端末装置の状態を前記許容状態から前記禁止状態に切り替える特定処理を含み、
前記特定処理は、前記第2の所定情報が受信され、かつ、前記第1の所定情報と前記第2の所定情報とが一致すると判断される場合に、実行されない、項目6に記載のコンピュータプログラム。
(項目8)
前記特定処理は、前記第2の所定情報が受信され、かつ、前記第1の所定情報と前記第2の所定情報とが一致しないと判断される場合に、前記第1の所定情報を利用した前記第1の所定処理を取り消す取消処理を含む、項目7に記載のコンピュータプログラム。
(項目9)
通信装置であって、
特定信号を端末装置に送信し、前記特定信号の送信後に、前記端末装置との第1の無線接続を確立し、前記第1の無線接続を利用して無線プロファイルの通信を前記端末装置と実行する、第1の無線インターフェースと、
前記第1の無線インターフェースとは異なる第2の無線インターフェースであって、前記無線プロファイルは、前記第2の無線インターフェースを介して、前記端末装置との第2の無線接続を確立するための情報である、前記第2の無線インターフェースと、
前記無線プロファイルの通信が実行される場合に、前記第2の無線インターフェースを介して、前記端末装置との前記第2の無線接続を確立する確立部と、
前記通信装置の状態を、前記第1の無線インターフェースが前記特定信号を送信可能な可能状態と、前記第1の無線インターフェースが前記特定信号を送信不可能な不可能状態と、の間で切り替える切替部と、を備え、
前記切替部は、
前記通信装置の状態が前記可能状態である間に、前記無線プロファイルの通信が実行される場合に、前記通信装置の状態を前記可能状態から前記不可能状態に切り替え、
前記通信装置の状態が前記可能状態から前記不可能状態に切り替えられてから所定時間が経過する前に、前記第2の無線接続が確立される場合に、前記通信装置の状態を前記不可能状態から前記可能状態に切り替え、
前記第2の無線接続が確立される前に、前記通信装置の状態が前記可能状態から前記不可能状態に切り替えられてから前記所定時間が経過する場合に、前記通信装置の状態を前記不可能状態から前記可能状態に切り替える、通信装置。
(項目10)
前記通信装置は、さらに、
前記第2の無線接続を利用して、前記端末装置から、前記第2の無線インターフェースを介して、前記第2の無線接続が確立されたことを示す確立情報を受信する受信部を備え、
前記切替部は、前記通信装置の状態が前記可能状態から前記不可能状態に切り替えられてから前記所定時間が経過する前に、前記端末装置から前記確立情報が受信される場合に、前記通信装置の状態を前記不可能状態から前記可能状態に切り替える、項目9に記載の通信装置。
(項目11)
前記第1の無線インターフェースは、前記第1の無線接続を利用して、前記通信装置を識別するための識別情報を前記端末装置に送信し、
前記確立情報は、前記識別情報を含む、項目10に記載の通信装置。
(項目12)
前記不可能状態は、前記第1の無線インターフェースが、前記第1の無線接続の確立の要求に対する応答である前記特定信号を送信不可能な状態を含む、項目9から11のいずれか一項に記載の通信装置。
(項目13)
前記第1の無線インターフェースは、NFC(Near Field Communicationの略)方式に従ったIC(Integrated Circuitの略)タグとして機能するインターフェースである、項目9から12のいずれか一項に記載の通信装置。