特許第6593099号(P6593099)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6593099シミュレーションシステム、および、シミュレーションプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6593099
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】シミュレーションシステム、および、シミュレーションプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20120101AFI20191010BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
   G06Q10/08
   B65G1/137 A
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-211324(P2015-211324)
(22)【出願日】2015年10月27日
(65)【公開番号】特開2017-84080(P2017-84080A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2018年8月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】東 俊光
(72)【発明者】
【氏名】小林 豊和
【審査官】 塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−297226(JP,A)
【文献】 特開2007−264890(JP,A)
【文献】 特開2002−068416(JP,A)
【文献】 特開2009−110435(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0022212(US,A1)
【文献】 特開2009−157673(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の搬送装置を備える搬送システムについて、荷物の搬送シミュレーションを実行するシミュレーションシステムであって、
前記搬送装置のそれぞれに対応し、荷物の搬入であるインプットから荷物の搬出であるアウトプットまでの処理を個別にシミュレートする複数種類の搬送モジュールを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された一の前記搬送モジュールのアウトプットと他の前記搬送モジュールのインプットとの接続を受け付ける入力部と、
接続された前記搬送モジュールの間における荷物の受け渡しのシミュレーションと各搬送モジュールにおける個別のシミュレーションにより、荷物の全体搬送シミュレーションを実行する実行部と、
前記全体搬送シミュレーションの実行により得られる搬送システムの処理能力を提示する提示部と
を備えるシミュレーションシステム。
【請求項2】
前記入力部は、前記搬送モジュールに対応する第一アイコンを表示させ、前記第一アイコンをグラフィカルに接続することにより前記搬送モジュールの接続を受け付ける
請求項1に記載のシミュレーションシステム。
【請求項3】
前記搬送モジュールによるシミュレーションの結果に対応した長さの第二アイコンを用い、前記搬送モジュールに対応する搬送装置の接続状態を表示させる状態表示部を備える
請求項1または2に記載のシミュレーションシステム。
【請求項4】
前記状態表示部は、前記搬送モジュールの接続状態を三次元的に表示する
請求項3に記載のシミュレーションシステム。
【請求項5】
前記搬送モジュールについてのパラメーターの入力を受け付けるパラメーター入力部を備え、
前記実行部は、入力されたパラメーターに基づき全体搬送シミュレーションを行う
請求項1〜4のいずれか一項に記載のシミュレーションシステム。
【請求項6】
二つの前記搬送モジュールの接続マッチングを判定し、マッチングが不良の場合にその旨を報知するマッチング判定部を備える
請求項1〜5のいずれか一項に記載のシミュレーションシステム。
【請求項7】
複数種類の搬送装置を備える搬送システムについて、荷物の搬送シミュレーションを実行するシミュレーションプログラムであって、
前記搬送装置のそれぞれに対応し、荷物の搬入であるインプットから荷物の搬出であるアウトプットまでの処理を個別にシミュレートする複数種類の搬送モジュールと、
前記記憶部に記憶された一の前記搬送モジュールのアウトプットと他の前記搬送モジュールのインプットとの接続を受け付ける入力部と、
接続された前記搬送モジュールの間における荷物の受け渡しのシミュレーションと各搬送モジュールにおける個別のシミュレーションにより、荷物の全体搬送シミュレーションを実行する実行部と、
前記全体搬送シミュレーションの実行により得られる搬送システムの処理能力を提示する提示部と
機能させるためのシミュレーションプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、複数種類の搬送装置を備える搬送システムの処理能力をシミュレーションにより導出するシミュレーションシステム、および、シミュレーションプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
配送センターなどに備えられる搬送システムは、荷物を搬送する搬送装置として、スタッカクレーンと棚とを備えた自動倉庫、コンベア、有軌道や無軌道の無人搬送車などを組み合わせた状態で備えている。従来、搬送システムの最適制御を達成するために、搬送システムに対応した荷物の搬送シミュレーションを随時実行し、搬送システムの管理を行っていた。
【0003】
特許文献1には、搬送システムの荷物の搬送シミュレーションにおいて、搬送装置に関する各種情報やノウハウに基づきエキスパートシステムが最適の運行指示情報を決定し、当該決定事項に基づいて搬送シミュレーションを実行することで、実際の稼働状態に近い結果を得ることができる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−252364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようなシミュレーションは、既存の搬送装置のレイアウトにおける荷物の搬送状態のシミュレーションである。従って、最適な搬送システムを構築するための設計段階においては、仮想的な搬送装置の組み合わせからなる搬送システムに対し、それぞれの搬送装置の組み合わせに対してシミュレーションを行うことで、各種類の搬送システムの処理能力を導き出し、比較することにより最適な搬送システムを設計している。
【0006】
ところが、昨今の搬送システムは、搬送システムに備える搬送装置の数が多くなり、そのレイアウトも複雑になってきており、従来のシミュレーションツールでは、一つの搬送装置のレイアウトの搬送システムの処理能力を導出するまでに時間がかかるため、最適なレイアウトの搬送システムを選定するまでの時間が膨大になる。
【0007】
一方、数学的な手法によりシミュレーションする場合は、短い時間で最適な搬送システムを導出することが可能ではあるが、数学的な手法に基づくシミュレーションは専門的知識が必要であり、誰もが容易にシミュレーションすることは困難である。
【0008】
本願発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、搬送装置のレイアウトを容易に変更することができ、複雑なレイアウトでも短時間でシミュレーションを実行することができるシミュレーションシステム、および、シミュレーションプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本願発明にかかるシミュレーションシステムは、複数種類の搬送装置を備える搬送システムについて、荷物の搬送シミュレーションを実行するシミュレーションシステムであって、前記搬送装置のそれぞれに対応し、荷物の搬入であるインプットから荷物の搬出であるアウトプットまでの処理を個別にシミュレートする複数種類の搬送モジュールを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された一の前記搬送モジュールのアウトプットと他の前記搬送モジュールのインプットとの接続を受け付ける入力部と、接続された前記搬送モジュールの間における荷物の受け渡しのシミュレーションと各搬送モジュールにおける個別のシミュレーションにより、荷物の全体搬送シミュレーションを実行する実行部と、前記全体搬送シミュレーションの実行により得られる搬送システムの処理能力を提示する提示部とを備えることを特徴としている。
【0010】
これによれば、複数の搬送モジュールを並列に演算することが可能となり、短時間でシミュレーションを実行することが可能となる。また、搬送モジュールを接続するだけで、搬送装置のレイアウトを構築することができるため、レイアウトの設計や変更を容易に行うことが可能となる。
【0011】
また、前記入力部は、前記搬送モジュールに対応する第一アイコンを表示させ、前記第一アイコンをグラフィカルに接続することにより前記搬送モジュールの接続を受け付けてもよい。
【0012】
これにより、搬送装置の接続を画面上で行うことができ、搬送システムのレイアウトの設計をより簡単に行うことが可能となる。
【0013】
また、前記搬送モジュールによるシミュレーションの結果に対応した長さの第二アイコンを用い、前記搬送モジュールに対応する搬送装置の接続状態を表示させる状態表示部を備えてもかまわない。
【0014】
また、前記状態表示部は、前記搬送モジュールの接続状態を三次元的に表示してもかまわない。
【0015】
これらにより、搬送装置の接続状態が実際のレイアウトに対応してグラフィカルに表示されるため、搬送システムのレイアウトが簡単に看取することができ、搬送システムのレイアウトの設計を直感的に行うことが可能となる。
【0016】
また、前記搬送モジュールについてのパラメーターの入力を受け付けるパラメーター入力部を備え、前記実行部は、入力されたパラメーターに基づき全体搬送シミュレーションを行うものでもよい。
【0017】
これによれば、搬送装置の仕様変更や、オプションによって搬送装置の処理能力が代わる場合などに柔軟に対応することが可能となる。
【0018】
また、二つの前記搬送モジュールの接続マッチングを判定し、マッチングが不良の場合にその旨を報知するマッチング判定部を備えてもかまわない。
【0019】
これによれば、シミュレーションに習熟した作業者でなくとも実際には接続が困難なレイアウトや、荷物の滞留が起こる(ボトルネックとなる)箇所を見つけ出すことができるため、シミュレーションの実行をさらに容易化することが可能となる。
【0020】
また上記目的を達成するために、本願発明にかかるシミュレーションプログラムは、複数種類の搬送装置を備える搬送システムについて、荷物の搬送シミュレーションを実行するシミュレーションプログラムであって、前記搬送装置のそれぞれに対応し、荷物の搬入であるインプットから荷物の搬出であるアウトプットまでの処理を個別にシミュレートする複数種類の搬送モジュールと、前記記憶部に記憶された一の前記搬送モジュールのアウトプットと他の前記搬送モジュールのインプットとの接続を受け付ける入力部と、接続された前記搬送モジュールの間における荷物の受け渡しのシミュレーションと各搬送モジュールにおける個別のシミュレーションにより、荷物の全体搬送シミュレーションを実行する実行部と、前記全体搬送シミュレーションの実行により得られる搬送システムの処理能力を提示する提示部とを備えることを特徴とする。
【0021】
これによれば、複数の搬送モジュールを並列に演算することが可能となり、短時間でシミュレーションを実行することが可能となる。また、搬送モジュールを接続するだけで、搬送装置のレイアウトを構築することができるため、レイアウトの設計や変更を容易に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
搬送システムを設計する段階において、搬送装置の最適なレイアウトを簡単、かつ、迅速に決定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、シミュレーションシステムの機能構成を示すブロック図である。
図2図2は、入力部に基づくグラフィカルな接続状態が表示された画面を示す図である。
図3図3は、提示部により搬送システムの処理能力が提示された状態を示す図である。
図4図4は、第二の実施の形態に係るシミュレーションシステムの機能構成を示すブロック図である。
図5図5は、状態表示部により搬送装置の仮想的な接続状態が二次元的に提示された画面を示す図である。
図6図6は、状態表示部により搬送装置の仮想的な接続状態が三次元的に提示された画面を示す図である。
図7図7は、パラメーターを受け付ける画面を示した図である。
図8図8は、マッチング判定部がマッチング不良を報知した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本願発明に係るシミュレーションシステム、および、シミュレーションプログラムの実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態は、本願発明に係るシミュレーションシステム、および、シミュレーションプログラムの一例を示したものに過ぎない。従って本願発明は、以下の実施の形態を参考に請求の範囲の文言によって範囲が画定されるものであり、以下の実施の形態のみに限定されるものではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、本発明の課題を達成するのに必ずしも必要ではないが、より好ましい形態を構成するものとして説明される。
【0025】
また、図面は、本願発明を示すために適宜強調や省略、比率の調整を行った模式的な図となっており、実際の形状や位置関係、比率とは異なる場合がある。
【0026】
(実施の形態1)
図1は、シミュレーションシステムの機能構成を示すブロック図である。
【0027】
同図に示す様に、シミュレーションシステム100は、複数種類の搬送装置を備える搬送システムについて、荷物の搬送シミュレーションを実行するシステムであり、記憶部101と、入力部102と、実行部103と、提示部104とを備えている。また、本実施の形態の場合、シミュレーションシステム100は、状態表示部105と、パラメーター入力部106と、マッチング判定部107とを備えている。
【0028】
また本実施の形態の場合シミュレーションシステムは、CPU(Central Processing Unit)を備え、CPUが記憶部101に記憶されたプログラムを実行することにより各機能部を実現するものとして説明する。
【0029】
ここで、搬送装置としては、ケースなどの荷物を主として水平方向に搬送するケースコンベア、複数の荷物を一体に保持するパレットを主として水平方向に搬送するパレットコンベア、スタッカクレーンと荷物を保持する棚とが組み合わされた自動倉庫、荷物を振り分けるソーター、軌条に沿って荷物を搬送する有軌道無人搬送車、床面などを無軌条で走行し荷物を搬送する無軌道無人搬送車等を例示できる。さらに、パレットから荷物を取り出すバラし装置なども搬送装置に含まれる。
【0030】
記憶部101は、複数種類の搬送装置のそれぞれに対応し、荷物の搬入であるインプットから荷物の搬出であるアウトプットまでの搬送装置の処理を搬送装置の種類に応じて個別にシミュレートする複数種類の搬送モジュールを記憶する記憶装置である。具体的に記憶部101は、CPUに実行されるプログラムの一つである搬送モジュールの他、全体搬送シミュレーション用のプログラム、その他各処理部を実行するためのプログラム等が格納されており、ROM(Read Only Memory)、サービスの録画に用いられるハードディスク等の記憶素子により構成されている。
【0031】
また、記憶部101に記憶されている搬送モジュールは、特に限定されるものではなく、既存のシミュレーションプログラムに基づき構築されたものでもよい。さらに、搬送モジュールは、使用者が制限されるような数学的手法(数理モデル解法)を組み込んだものであってもよい。
【0032】
入力部102は、記憶部101に記憶された一の搬送モジュールのアウトプットと他の搬送モジュールのインプットとの接続を受け付ける処理部である。
【0033】
図2は、入力部に基づくグラフィカルな接続状態が表示された画面を示す図である。
【0034】
同図に示す様に、本実施の形態の場合、入力部102は、搬送モジュールの種類に対応する第一アイコン121を表示させ、第一アイコン121を表示装置120の画面においてグラフィカルに接続することにより前記搬送モジュールの接続を受け付けている。
【0035】
具体的には、グラフィカルユーザーインターフェースにより、画面の右端に並べて配置されている複数の第一アイコン121を左に設けられた接続画面129にドラッグし、接続画面129に先に配置されている第一アイコン121のOUTにドラックしている第一アイコン121のINが接続されるように配置することで、入力部102は、第一アイコン121に対応する搬送モジュールのアウトプットとインプットとの接続を受け付ける。
【0036】
ここで、第一アイコン121の中に記載されているアルファベットは、本実施の形態の場合、以下のようになっている。つまり、CCV:ケースコンベア、PCV:パレットコンベア、AW:自動倉庫、S:ソーター、OAGV:有軌道無人搬送車、NOAGV:床無軌道無人搬送車等、DM:バラし装置である。
【0037】
実行部103は、入力部102に基づいて接続された搬送モジュールの間における荷物の受け渡しのシミュレーションと各搬送モジュールにおける個別のシミュレーションにより、荷物の全体搬送シミュレーションを実行する処理部である。実行部103が全体搬送シミュレーションを実行するにおいては、複数の搬送モジュールを並列に演算することで全体搬送シミュレーションを実行する速度を速めることが可能となる。
【0038】
図3は、提示部により搬送システムの処理能力が提示された状態を示す図である。
【0039】
提示部104は、全体搬送シミュレーションの実行により得られる搬送システムの処理能力を提示する処理部である。
【0040】
上記実施の形態1に示すシミュレーションシステムによれば、熟練していない作業車であっても視覚的に搬送装置を示す第一アイコン121をつなぎ合わせることで、搬送システムを仮想的に構築することができる。また、構築された搬送システム全体に対して全体搬送シミュレーションを実行する際に複数の搬送モジュールを並列に処理することができ、早期にシミュレーション結果を得ることができる。
【0041】
さらに、得られた結果に基づき、作業車が搬送システムのレイアウトを変更することで、新たな結果を簡単かつ早期に得ることができる。従って、搬送システムの最適なレイアウトを簡便に探索することが可能となる。
【0042】
なお、入力部102、実行部103、提示部104などを実現するための、記憶部101に記憶されているプログラムであるシミュレーションプログラムも本願発明の実施の形態の一つである。搬送シミュレーションプログラムが記録された記録媒体を実施することは本願発明の実施に該当する。
【0043】
(実施の形態2)
続いて、シミュレーションシステム、および、シミュレーションプログラムの他の実施の形態について説明する。なお、前記実施の形態1と同様の作用や機能、同様の形状や機構や構造を有するもの(部分)には同じ符号を付して説明を省略する場合がある。また、以下では実施の形態1と異なる点を中心に説明し、同じ内容については説明を省略する場合がある。
【0044】
図4は、第二の実施の形態に係るシミュレーションシステムの機能構成を示すブロック図である。
【0045】
図5は、状態表示部により搬送装置の接続状態が提示された画面を示す図である。
【0046】
これらの図に示すように、状態表示部105は、搬送モジュールによるシミュレーションの結果に対応した長さの第二アイコン122を用い、搬送モジュールに対応する搬送装置の接続状態をできる限り実際の設置状態に近づくように表示させる。
【0047】
ここで、搬送モジュールによるシミュレーションの結果とは、例えば、搬送装置が保持する荷物の数であるバッファ数や、搬送装置がシミュレーションの結果を実際に実現するために必要な実際の搬送装置の長さなどである。例えばバッファ数に比例して第二アイコン122の長さが長くなる。
【0048】
また、状態表示部105は、図6に示す様に、搬送装置の接続状態を三次元的に表示してもかまわない。また、二次元的表示と三次元的表示を切り替えて表示するものでもかまわない。これにより、水平方向に荷物を搬送する搬送装置ばかりでなく、垂直方向に荷物を搬送することのできるバーチカルコンベア(VC)との組み合わせなどを直感的に看取することができ、設計段階において搬送システムのレイアウトを容易に調整することが可能となる。
【0049】
また、状態表示部105は、搬送装置の接続状態を二次元的に表示した画面にスクロールバー128(図5参照)を付加したり、三次元的に表示した画面をスワイプ、ストレッチ、ピンチなどすることによる移動、拡大、縮小を受け付けることで、大きな搬送システムの全体を作業者に看取させることができる。
【0050】
図7は、パラメーターを受け付ける画面を示した図である。
【0051】
パラメーター入力部106は、搬送モジュールについてのパラメーターの入力を受け付ける処理部である。また、パラメーター入力部106により入力されたパラメーターに基づき実行部103は搬送システム全体の全体搬送シミュレーションを行う。具体的に例えば、接続画面129に表示された第二アイコン122をクリックすることにより、パラメーター入力部106は、クリックされた第二アイコン122に対応する搬送モジュールが受け付けることのできるパラメーターを入力するための画面を表示する。
【0052】
ここで、例えば搬送モジュールに対応する搬送装置がパレットコンベアである場合、パラメーターとしては、コンベアの速度、コンベアの全長、パレットを搬送する際の最小間隔、特殊な制御によりパレットを搬送するか否かなどを例示することができる。また、搬送モジュールに対応する搬送装置が無人搬送台車である場合、パラメーターとしては、台車間距離、台車の速度、台車が移動可能な領域の広さなどである。
【0053】
図8は、マッチング判定部がマッチング不良を報知した状態を示す図である。
【0054】
同図に示す様に、マッチング判定部107は、入力部102により受け付けられた二つの搬送モジュールのアウトプットとインプットとの接続マッチングを判定し、マッチングが不良の場合にその旨を報知する処理部である。具体的に例えば、マッチング判定部107は、搬送モジュールの最大搬入可能数、スループット、最大搬出可能数などの情報を搬送モジュール毎に事前に取得しておき、入力部102が搬送モジュールの接続を受け付けた際に、最大搬出可能数と最大搬入可能数とを比較し、これらの差が第一閾値以上ならマッチング不良と判定して画面上の対応箇所にその旨を報知し、その根拠を数値などで示しても良い。また、処理能力の大きい搬送モジュールと処理能力の小さい搬送モジュールの境界において荷物の滞留が起こる(ボトルネックとなる)箇所をマッチング不良と判定して画面上の対応箇所にその旨を報知し、その根拠を数値などで示しても良い。
【0055】
また、マッチング判定部107は、実行部103が全体搬送シミュレーションを実行した結果を用い、各接続部分において接続マッチングを判定し、マッチング不良の接続箇所を画面上で報知してもかまわない。
【0056】
以上の実施の形態2に係るシミュレーションシステム、および、シミュレーションプログラムによれば、状態表示部105により、搬送装置の仮想的な接続状態がグラフィカルに表示されるため、搬送システムのレイアウトを直感的に看取することができ、レイアウトの設計や変更を容易に行うことが可能となる。
【0057】
また、パラメーター入力部106により、搬送モジュールを実際の搬送装置に近づけるなど微調整することができるため、より簡単に正確なシミュレーション結果を得ることが可能となる。
【0058】
また、入力部102による搬送モジュールの接続の受付の際にマッチング判定部107が接続マッチングを判定する場合は、実現不可能なレイアウトが事前にわかるため、無駄なシミュレーションの実行を回避することが可能となる。また、全体搬送シミュレーションの実行後にマッチング判定部107が接続マッチングを判定する場合は、マッチング不良の箇所を容易に見つけ出すことができ、マッチング不良が発生している搬送モジュールのパラメーター値を変更して再度全体搬送シミュレーションを行うなど、フィードバックを容易に行うことが可能となる。
【0059】
なお、本願発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて、また、構成要素のいくつかを除外して実現される別の実施の形態を本願発明の実施の形態としてもよい。また、上記実施の形態に対して本願発明の主旨、すなわち、請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本願発明に含まれる。
【0060】
例えば、搬送モジュールには、誤差因子などを含めておいてもかまわない。
【0061】
また、マッチング判定部107の報知方法は、マッチング不良の箇所を赤くするなど色により報知してもかまわない。
【0062】
また、パラメーター入力部106は、任意の値のパラメーターを受け付けるばかりでなく、いくつかのパラメータのパターンからなるパラメーターセットを予め準備しておき、当該パラメーターセットの一つを指定することにより複数のパラメーターを一度に受け付けてもかまわない。
【0063】
また、パラメーター入力部106は、搬送モジュールについてのパラメーターの入力を受け付けるばかりでなく、搬送モジュールを構成するプログラム(シミュレーションプログラム)の修正を受け付けてもかまわない。具体的に例えばは、受け付けたプログラムを、シミュレーションプログラムの一部(例えばサブルーチン)と置き換えるなどである。
【符号の説明】
【0064】
100 シミュレーションシステム
101 記憶部
102 入力部
103 実行部
104 提示部
105 状態表示部
106 パラメーター入力部
107 マッチング判定部
120 表示装置
121 第一アイコン
122 第二アイコン
128 スクロールバー
129 接続画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8