特許第6593102号(P6593102)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6593102
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】電磁弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20191010BHJP
【FI】
   F16K31/06 305L
   F16K31/06 385A
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-212088(P2015-212088)
(22)【出願日】2015年10月28日
(65)【公開番号】特開2017-82917(P2017-82917A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2018年1月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】592056908
【氏名又は名称】浜名湖電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】藁科 智昭
(72)【発明者】
【氏名】石田 高生
(72)【発明者】
【氏名】菅野 正
【審査官】 小岩 智明
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−250651(JP,A)
【文献】 米国特許第4915134(US,A)
【文献】 実開昭50−028923(JP,U)
【文献】 特開2002−295709(JP,A)
【文献】 特開2013−019527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流体が電磁弁に向けて流れる上流側通路(51)と前記作動流体が流出する下流側通路(53)とが形成される通路形成部材(5)の装着穴(52)に装着される先端側筒部(2a)を有し、弁室(22)を前記先端側筒部の内側に有するハウジング(2)と、
前記先端側筒部の内側に位置するようにまたは前記先端側筒部に設けられて、前記上流側通路と前記弁室とを連通させる入口通路(11)と、
前記弁室に設けられ、前記弁室から前記下流側通路への前記作動流体の流通を許可する開状態と前記作動流体の流通を阻止する閉状態とにわたって弁口(25)を開閉する弁体(7,107,207)と、
前記弁体を軸方向に摺動可能に支持する支持部(61)を前記弁室に位置するように有するガイド部材(6)と、
前記開状態にするために前記弁体を軸方向に変位させるように押すシャフト(4)と、
前記シャフトを前記軸方向に駆動する駆動力を発生する電磁ソレノイド部(3)と、
を備え、
前記弁体は、筒状体であり、前記閉状態において前記筒状体の内側室(23)と前記弁口とを連通する圧力解放通路(13)を備え
ドレン口をなす外部排出通路(15)と前記下流側通路とは、前記圧力解放通路を介さないで、かつ前記圧力解放通路よりも下流に設けられた内部排出通路(14)および流出口(12)を介して連通しており、
前記圧力解放通路は、前記下流側通路および前記外部排出通路よりも上流に設けられた前記弁口よりも上流側に設けられている通路である電磁弁。
【請求項2】
前記弁体は、前記閉状態で前記弁口の周囲に接触する下流側端部(73,273)が前記筒状体の上流側における外表面よりも径外方向に突出するように構成されている請求項1に記載の電磁弁。
【請求項3】
前記下流側端部(273)は、前記弁口の周囲に接触する下流端面の直径寸法(R61)が前記筒状体の上流側における外表面の直径寸法(R5)よりも大きくなるように構成されている請求項2に記載の電磁弁。
【請求項4】
前記下流側端部(73)は、前記弁口の周囲に接触する下流端面の直径寸法(R21)が前記筒状体の上流側における外表面の直径寸法(R1)と同等になるように構成されている請求項2に記載の電磁弁。
【請求項5】
前記筒状体は、前記シャフトに押圧される底部(71)を備え、
前記圧力解放通路は、前記底部において前記シャフトと接触しない部位を貫通する通路である請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電磁弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書における開示は、作動流体の通路において流路を切り換える装置として使用される電磁弁に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された電磁弁は、作動流体が流れる流路を切り換えることができる装置である。特許文献1の電磁弁は、非通電の場合では流入通路からの作動流体の印加圧によりボール弁が弁座を押圧して閉弁し、シャフトのドレン弁部がドレン口シートを開弁状態に保持する。通電時では、ソレノイド部による電磁力によってシャフトがボール弁側に移動してボール弁を押すことでボール弁が弁座から離れて開弁し、シャフトのドレン弁部がドレン口シートを閉弁する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−331881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の電磁弁では、作動流体の供給圧力が大きくなるにつれてボール弁に作用する圧力が大きくなるため、シャフトを駆動させて連通路を閉じて流入通路から吐出通路へ流体を流すために必要な力が大きくなるという課題がある。シャフトを駆動させる力を大きくするために、ソレノイド部を大型にして磁力を増加させる手段があるが、電磁弁全体が大型になるという課題がある。また、連通路の通路断面積を小さくすると、電磁弁の流量特性が低下するという課題がある。
【0005】
このような課題に鑑み、この明細書における開示の目的は、流量特性の低下を抑制でき、さらに必要な弁体駆動力を抑制して装置の小型化を図ることができる電磁弁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この明細書に開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。また、特許請求の範囲及びこの項に記載した括弧内の符号は、ひとつの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例であって、技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
開示された電磁弁のひとつは、作動流体が電磁弁に向けて流れる上流側通路(51)と作動流体が流出する下流側通路(53)とが形成される通路形成部材(5)の装着穴(52)に装着される先端側筒部(2a)を有し、弁室(22)を先端側筒部の内側に有するハウジング(2)と、
先端側筒部の内側に位置するようにまたは先端側筒部に設けられて、上流側通路と弁室とを連通させる入口通路(11)と、
弁室に設けられ、弁室から下流側通路への作動流体の流通を許可する開状態と作動流体の流通を阻止する閉状態とにわたって弁口(25)を開閉する弁体(7,107,207)と、
弁体を軸方向に摺動可能に支持する支持部(61)を弁室に位置するように有するガイド部材(6)と、
開状態にするために弁体を軸方向に変位させるように押すシャフト(4)と、
シャフトを軸方向に駆動する駆動力を発生する電磁ソレノイド部(3)と、を備え、
弁体は、筒状体であり、閉状態において筒状体の内側室(23)と弁口とを連通する圧力解放通路(13)を備え
ドレン口をなす外部排出通路(15)と下流側通路とは、圧力解放通路を介さないで、かつ圧力解放通路よりも下流に設けられた内部排出通路(14)および流出口(12)を介して連通しており、
圧力解放通路は、下流側通路および外部排出通路よりも上流に設けられた弁口よりも上流側に設けられている通路である。
【0008】
この開示によれば、弁体が弁口を閉じる閉状態であっても、弁体に設けられた圧力解放通路によって弁体の内側室と弁口とが連通する。これにより、閉状態でも、弁体の内側室の圧力を圧力解放通路及び弁口を通じて下流側通路へ逃がすことができる。したがって、作動流体の高い供給圧力が入口通路を通じて弁室に作用した場合に、弁体の内側室の圧力もガイド部材との摺動部分を介して高まることになるが、圧力解放通路を通じて圧力を逃がすことができるので、弁体を弁口側へ押す圧力を抑制することができる。弁体を弁口側へ押す力を抑制できるので、電磁ソレノイド部によってシャフトを駆動する力を抑制することができる。電磁ソレノイド部による弁体駆動力を抑制できるので、入口通路や弁室等の作動流体が流通する通路の通路断面積を小さくすることを回避できるとともに、電磁弁を大きくすることなく流量特性を確保することができる。以上より、この電磁弁によれば、流量特性の低下を抑制でき、さらに必要な弁体駆動力を抑制して装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る電磁弁の断面図である。
図2】第1実施形態の電磁弁について、圧力室、弁体等を拡大して示す部分断面図である。
図3】第1実施形態の電磁弁について、弁体における弁座側端部の形状を示す部分拡大図である。
図4】第2実施形態の電磁弁について、弁体における弁座側端部の形状を示す部分拡大図である。
図5】第3実施形態の電磁弁について、弁体における弁座側端部の形状を示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0011】
(第1実施形態)
第1実施形態の電磁弁1について、図1図3を参照しながら説明する。図1は、例えば自動車のオートマチックトランスミッションシステムに搭載され、変速制御のために油路切換えを行う電磁弁1全体の概要構成を示す。電磁弁1は、ハウジング2に収容される流路制御部と、流路制御部と一体に連結される電磁ソレノイド部3と、を備えて構成される。
【0012】
流路制御部は、自動変速装置または自動変速装置側の通路形成部材5の内部に円柱状の通路を形成する装着穴52に先端側筒部2aが嵌合され、装着穴52の軸方向に延びる筒状のハウジング2を備える。通路形成部材5には、作動流体の一例として、調圧されたオイルが流れるオイル流入通路である上流側通路51が形成され、上流側通路51は入口通路11に通じている。入口通路11は、上流側通路51と弁室22とを連通させる通路である。
【0013】
ハウジング2は、装着穴52に嵌合される先端側筒部2aとは軸方向の反対側に位置するシャフト保持部26を有する。シャフト保持部26は、軸方向に変位可能なようにシャフト4を保持するとともに、外嵌めされる電磁ソレノイド部3に組み付けられる。
【0014】
ハウジング2の内部には、先端に近い位置にフィルタ室21が設けられている。フィルタ室21は、自動変速装置側からのオイルが電磁弁1に最初に流入する室であり、フィルタ室21には、通路の横断面全体を覆って作動流体であるオイルを濾過するフィルタ部材8が搭載されている。
【0015】
ハウジング2には、入口通路11に対して下流側に連通する弁室22が設けられ、さらに弁室22の下流側端部には弁口25が開口している。ハウジング2には、弁口25よりも下流側に、外部排出通路15に通じる内部排出通路14が設けられている。さらにハウジング2には、弁口25と内部排出通路14との間で軸方向に交差するように側方に延びる流出口12が設けられている。流出口12は、通路形成部材5に形成されて変速機のバルブに通じるオイル流出通路としての下流側通路53に接続されている。
【0016】
フィルタ部材8は、先端側筒部2aの内部において、オイル流れの最も上流に位置する円盤状の部材である。フィルタ部材8は、入口通路11に対して上流に対向する位置に設置される網部を有する。フィルタ部材8は、網部の周囲を囲むように全周にわたって設けられる枠部を有する。網部は、例えば、円盤状の板材について中央部をエッチング加工することによって形成される。そして、エッチング加工されていない残りの板材の部分が、網部の周囲に形成された枠部を構成する。また、フィルタ部材8は、別個の部材である網部と枠部を接着、溶接等することによって製造することもできる。
【0017】
ハウジング2には、弁体7の下流側端部73が接触しうる弁座24が設けられている。弁座24は、弁室22の中央部を軸方向に貫通する貫通穴としての弁口25の周縁部をなす。弁室22は、入口通路11と弁口25の間に位置する空間を含み、ガイド部材6の支持部61と弁体7とを収容している。弁体7は、電磁弁1の作動により、弁口25を開状態と閉状態とにわたって移動する。弁体7は、下流側端部73が弁座24から離間すると弁室22から下流側通路53へ作動流体が流通することを許可する開状態に制御され、下流側端部73が弁座24に接触すると作動流体が流通することを阻止する閉状態に制御される。
【0018】
弁体7は、弁口25に接触する底部71を有する筒状体であり、底部71とは反対側に位置する端部は開口している。底部71の周縁部は下流側端部73である。底部71には、シャフト4と接触する中央部位を除く部位を貫通する圧力解放通路13が設けられている。圧力解放通路13は、弁口25の閉状態において、筒状体、すなわち弁体7の内側室であるスプリング室23と弁口25とを連通する通路を構成する。
【0019】
先端側筒部2aの内側には、ガイド部材6が収容されている。ガイド部材6は、弁体7を軸方向に摺動可能に支持する支持部61と、支持部61の上流側の端部において径外方向に放射状に突出する形状の装着部60と、を一体に備える。装着部60は、その周縁が先端側筒部2aに内接し、先端側筒部2aの内壁が部分的に加締められることで先端側筒部2aに固定されている。したがって、先端側筒部2aの内壁には、装着部60をハウジング2に固定するための複数の加締め部が設けられている。装着部60には、複数の加締め部よりも中心寄りに単数または複数の入口通路11が軸方向に貫通している。
【0020】
また、フィルタ部材8は、例えば、複数の加締め部によってガイド部材6の装着部60に一体に固定されている。複数の加締め部は、網部の周囲に周方向に均等間隔に並ぶように設けられている。複数の加締め部は、枠部と接触する装着部60の端面から突出して周方向に並ぶ複数の突起部が加締め加工により変形したものである。すなわち、フィルタ部材8と装着部60は、複数の突起部が枠部に形成された穴部を貫通した状態で一体になり、先端側筒部2aの内側に設置される。装着部60は、ガイド部材6の軸心周りに間隔をあけて並ぶ複数の加締め部を有する。
【0021】
ガイド部材6の支持部61は、装着部60と同軸に装着部60から弁口25側に軸方向に沿って延びる筒部である。支持部61は同軸に内接する弁体7の筒壁部72を支持する。筒状の弁体7は、支持部61の内壁面と筒壁部72の外壁面とが接触しながら支持部61に対して軸方向に摺動可能である。さらに弁体7は付勢部材の一例であるスプリング70によって軸方向にばね力を受けて弁口25側に押されている。スプリング70は、装着部60と筒壁部72に形成された段差部との間に介装されている。
【0022】
弁体7が弁座24から離れる開状態では、上流側通路51を通ってきた作動流体は入口通路11を通過して弁室22に流入する。このとき弁室22は作動流体の流入により圧力が高められる。したがって、弁体7には弁室22の流体圧力が作用するため、弁体7の内側のスプリング室23にも流体圧力が働くようになる。スプリング室23に作用する圧力は、弁室22において弁体の筒壁部72の側面に作用し、さらに支持部61との摺動部分を介してスプリング室23にも作用する。したがって、ガイド部材6は、スプリング70のばね力、シャフト4からの作用力及び流体圧を受ける弁体7について軸方向往復移動を案内する。そこで弁体7は、底部71を貫通する圧力解放通路13を有するので、スプリング室23、すなわち筒状体の内側室に作用する圧力は圧力解放通路13を通じて下流側通路53へ解放され、筒状体の内側室における内圧を抑制できる。これにより、弁室22に高い流体圧力が作用しても、軸方向に弁体7が受ける圧力を抑えることができる。
【0023】
図3に図示するように、弁体7の下流側端部73は、その直径が上流側の筒壁部72の直径よりも大きくなるように、筒壁部72の外表面よりも径外方向に突出している。すなわち、下流側端部73の直径寸法R2は上流側の筒壁部72の直径寸法R1よりも大きい寸法である。このように下流側端部73と筒壁部72との直径寸法の差により、弁体7の側面には弁口25を閉じる端部側において、下流側が上流側よりも突出する段差が形成される。直径寸法R2が直径寸法R1よりも大きくなるような段差を備えることにより、閉状態のときに弁室22に高い圧力がかかった場合に、下流側端部73が弁座24から浮かないように弁体7を制御することに寄与する。
【0024】
下流側端部73は、最も直径の大きい部分の両側に、上流側において上流に進むほど徐々に直径寸法が小さくなる形状である受圧部73aと、下流側において下流に進むほど徐々に直径寸法が小さくなる形状である受圧部73bと、を備える。したがって、上流側の受圧部73aは上流に進むほど径外側への突出量が小さくなる断面形状を呈し、下流側の受圧部73bは下流に進むほど径外側への突出量が小さくなる断面形状を呈する。受圧部73a、受圧部73bは、断面形状が斜面または湾曲面の表面を有する。
【0025】
電磁弁1には、燃料蒸気に比べて圧力が高いオイルが作動流体として流通する。この流体洩れを抑制するために、電磁弁1は、流出口12よりも先端側で先端側筒部2aの外周に装着されるOリングシール27を備える。さらに、電磁弁1は、流出口12よりも後端側で先端側筒部2aの外周に装着されるOリングシール28を備える。Oリングシール27、Oリングシール28は、それぞれ、先端側筒部2aの全周に形成された溝に嵌め込まれた環状のシール部材である。
【0026】
弁体7は、電磁ソレノイド部3によって軸方向に動作するシャフト4の押圧力により軸方向に変位し、弁口25周囲の弁座24に着座する閉状態と弁座24から離れる開状態とに切り換わる。閉状態では、流出口12と上流側通路51との連通が遮断され、シャフト4のテーパ状の弁部42が排出弁口16の周囲から離れて内部排出通路14を開くので下流側通路53と外部排出通路15との連通が許容される。開状態では、流出口12と上流側通路51との連通が許容され、弁部42が排出弁口16の周囲に着座して内部排出通路14を閉じるので下流側通路53と外部排出通路15との連通が遮断される。
【0027】
ハウジング2の後端側に配設された電磁ソレノイド部3は、ヨーク31、ボビン34、コイル32、可動子33、シャフト4、スプリング45、コネクタ35等を備えて構成される。ボビン34は、樹脂材により略円筒形状に形成され、ヨーク31の内側に設けられている。コイル32は、ボビン34の外周面に巻回されている。ヨーク31は磁性材料により形成されている。ヨーク31は、ボビン34の内周側を支持し、コイル32の外周側を覆うようにして、ボビン34と同軸状に設けられている。ボビン34は、シャフト4を摺動可能に支持するハウジング2の部分を内側に収容した状態でハウジング2と同軸状に設けられている。ヨーク31、可動子33、シャフト4等は、ボビン34と同様にハウジング2と同軸状に設けられている。
【0028】
可動子33は、磁性材料で円筒状に形成されている。可動子33は、ヨーク31に軸方向に往復移動可能に支持されている。電磁ソレノイド部3においては、可動子33及びヨーク31により磁気回路が形成される。
【0029】
可動子33の底部側の端面には、シャフト4の径大部44が可動子33と同軸状に固定されている。シャフト4と可動子33は一体になって軸心方向に往復移動可能である。シャフト4は、弁口25に同心状に位置する径小の先端部41と、内部排出通路14に位置する弁部42と、段差部43を介してシャフト保持部26に摺動自在に嵌め込まれた径大部44と、を一体に備えて構成される。内部排出通路14は、ハウジング2の後端側に形成される外部排出通路15に接続されている。外部排出通路15は、内部排出通路14に対して直交する方向に延びるようにシャフト保持部26よりも先端側でハウジング2に設けられる、ドレン口をなす通路である。
【0030】
段差部43と排出弁口16の周縁との間には、付勢部材の一例であるスプリング45が介装されている。スプリング45は、シャフト4を可動子33側に押す付勢力を常時作用させている。さらに弁室22に配設された弁体7は、スプリング70によって弁口25側に常時押されている。これにより、電磁ソレノイド部3の非通電時には、シャフト4がスプリング45のばね力で付勢されるとともに弁体7がスプリング70のばね力で弁口25側に押されることにより、弁部42が排出弁口16を開き、弁体7の下流側端部73が弁口25を閉じる。
【0031】
コネクタ35は、コイル32の外皮とともに成形されて、ヨーク31の側方に位置するように設けられる。コネクタ35は、コイル32を通電するために設けられており、内部のターミナル端子35aは、コイル32と電気的に接続されている。電磁ソレノイド部3は、コネクタ35によってターミナル端子35aを電流制御装置等に電気的に接続することにより、コイル32に通電する電流を制御できる。
【0032】
電磁弁1は、図1に示すように、ハウジング2の先端側筒部2aが通路形成部材5の装着穴52に嵌合され、かつ流出口12と下流側通路53とを接続した状態で固定することによって自動変速装置側に取り付けられる。電磁ソレノイド部3のコイル32が非通電時の状態では、スプリング45のばね力でシャフト4が弁体7から離れる方向に付勢され、スプリング70によって弁体7が弁口25側に押されるため、弁体7は弁口25を閉弁する。さらにシャフト4の弁部42は排出弁口16を開く。この状態では、上流側通路51と下流側通路53との連通が遮断されて、下流側通路53からのオイルは、流出口12、内部排出通路14を通過して外部排出通路15から外部へ排出される。
【0033】
この状態でコイル32に通電すると、ヨーク31、可動子33により形成された磁気回路に磁束が発生し、可動子33はハウジング2の先端側に向かって軸方向に吸引され、スプリング45の付勢力に抗して先端側に移動しシャフト4を移動させる。このとき、弁部42は排出弁口16を閉じ、弁体7はシャフト4によって上流側に押されるため、先端側に移動して弁口25を開弁する。この状態では、上流側通路51と下流側通路53との連通が許容されて、上流側通路51からのオイルは、入口通路11、弁室22、弁口25、流出口12を通過して下流側通路53に流れる。このように、コイル32に通電する電流をON/OFFすることにより、オイル流出通路の制御液圧力をON/OFF制御することができる。これにより、制御対象の制御に使用される制御液の圧力、流量等を制御することができる。
【0034】
次に、第1実施形態の電磁弁1がもたらす作用効果について説明する。電磁弁1は、上流側通路51と弁室22とを連通させる入口通路11と、弁室22に設けられ開状態と閉状態とにわたって弁口25を開閉する弁体7と、弁体7を軸方向に摺動可能に支持する支持部61を弁室22に位置するように有するガイド部材6とを備える。弁体7は、シャフト4に押圧される底部71を備える筒状体であり、底部71においてシャフト4に接触しない部位を貫通し閉状態において筒状体の内側室と弁口25とを連通する圧力解放通路13を備える。
【0035】
この構成によれば、弁体7が弁口25を閉じる閉状態であっても、圧力解放通路13によって弁体7の内側室と弁口25とが連通する。これにより、閉状態でも、弁体7の内側室の圧力を圧力解放通路13及び弁口25を通じて下流側通路53へ逃がすことができる。作動流体の高い供給圧力が入口通路11を通じて弁室22に作用した場合に、ガイド部材6との摺動部分を介して弁体7の内外において圧力の分離がなされ、弁体7の内側室の圧力を高い状態に保つことができる。これにより、弁体7は弁口25の開閉によって出力圧を切り換え可能弁として適正に機能する。
【0036】
このとき弁体7の内側室の圧力を、圧力解放通路13を通じて外部に逃がすことができるので、弁体7の底部71を軸方向に押す力を低減できる。したがって、弁体7を弁口25側へ押す圧力を抑制することができる。弁体7を弁口25側へ押す力を抑制できるので、電磁ソレノイド部3によってシャフト4を駆動するのに必要な力を抑制することができる。電磁ソレノイド部3による弁体駆動力を抑制できるので、入口通路11や弁室22等の作動流体が流通する通路の通路断面積を小さく設計することを回避できるとともに、電磁弁1を大きくすることなく流量特性を確保できる。このように、電磁弁1によれば、流量特性の低下を抑制でき、さらに必要な弁体駆動力を抑制して装置の小型化を図ることができる。また、電磁弁1によれば、装置の大型化を回避できるばかりでなく、弁駆動に必要な電流値を抑制できるので、消費エネルギの省力化が図れる。電磁弁1によれば、スプール弁を採用する場合に比較して簡便な弁構成によって所望の弁機能を獲得することができる。
【0037】
また、弁体7は、閉状態で弁口25の周囲に接触する下流側端部73が筒状体の上流側における外表面よりも径外方向に突出するように構成されている。これによれば、下流側に向けて作用する流体圧力を、径外方向に突出する下流側端部73で受圧することができる。これにより、弁体7を弁座24に接地させる力を確保でき、シャット機能の確保が図れる。
【0038】
また、下流側端部73は、弁口25の周囲に接触する下流端面の直径寸法R21が筒状体の上流側における外表面の直径寸法R1と同等になるように形成されている。これによれば、弁体7の加工時に、弁座24に面する側の受圧部73bに作用する力を上流側の受圧部73aを形成することで軽減することができる。
【0039】
(第2実施形態)
第2実施形態について図4を参照して説明する。第2実施形態において、第1実施形態に係る図面と同一符号を付した構成部品及び説明しない構成は、第1実施形態と同様であり、同様の作用効果を奏するものである。第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分のみ説明する。
【0040】
図4に図示するように、第2実施形態の弁体107において、下流側端部173は、弁座24に着座する下流端において下流に進むほど徐々に直径寸法が小さくなる形状である受圧部を有する。弁座24に接触する部分の直径寸法R4は、上流側の筒壁部72の直径寸法R3よりも小さい寸法である。弁座24に面する受圧部は下流に進むほど径外側への突出量が小さくなる断面形状を呈し、断面形状は斜面または湾曲面の表面によって形成される。
【0041】
(第3実施形態)
第3実施形態について図5を参照して説明する。第3実施形態において、第1実施形態に係る図面と同一符号を付した構成部品及び説明しない構成は、第1実施形態と同様であり、同様の作用効果を奏するものである。第3実施形態では、第1実施形態と異なる部分のみ説明する。
【0042】
図5に図示するように、第3実施形態の弁体207の下流側端部273は、その直径が上流側の筒壁部72の直径よりも大きくなるように、筒壁部72の外表面よりも径外方向に突出している。つまり、下流側端部273の直径寸法R6は上流側の筒壁部72の直径寸法R5よりも大きい寸法である。このように下流側端部273と筒壁部72との直径寸法の差により、弁体207の側面には弁口25を閉じる端部側において、下流側が上流側よりも突出する段差が形成される。直径寸法R6が直径寸法R5よりも大きくなるような段差を備えることにより、閉状態のときに弁室22に高い圧力がかかった場合に、下流側端部273が弁座24から浮かないように弁体7を制御することに寄与する。
【0043】
下流側端部273は、最も直径の大きい部分の両側に、上流側において上流に進むほど徐々に直径寸法が小さくなる形状である受圧部273aと、下流側において下流に進むほど徐々に直径寸法が小さくなる形状である受圧部273bと、を備える。したがって、上流側の受圧部273aは上流に進むほど径外側への突出量が小さくなる断面形状を呈し、下流側の受圧部273bは下流に進むほど径外側への突出量が小さくなる断面形状を呈する。受圧部273a、受圧部273bは、断面形状が斜面または湾曲面の表面を有する。さらに、弁体207において弁座24に接触する下流端面の直径寸法R61は、上流側の筒壁部72の直径寸法R5よりも大きい寸法である。
【0044】
第3実施形態の電磁弁によれば、弁体207の下流側端部273は、弁口25の周囲に接触する下流端面の直径寸法R61が筒状体の上流側における外表面の直径寸法R5よりも大きくなるように構成される。これによれば、弁体207において上流側に位置する筒壁部72に直径寸法よりも弁座24に接触する部分の直径寸法の方が大きいので、受圧部273aで流体圧力をより大きく受けることができ、弁体207の下流端面を弁座24に押し付けることができる。したがって、前述の圧力解放通路13を通じた圧力解放に伴う弁体駆動力の抑制効果に加え、閉状態時で弁体207を弁座24に接触させる圧力を流体圧力を十分に利用してシャット力を強化でき弁機能を確保することができる。
【0045】
(他の実施形態)
この明細書の開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品、要素の組み合わせに限定されず、種々変形して実施することが可能である。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品、要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品、要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示される技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
【0046】
前述の実施形態において、入口通路11は、ガイド部材6の装着部60を軸方向に貫通する通路であり、先端側筒部2aの内側に設けられている。入口通路11は、このような形態に限定されず、例えば、先端側筒部2aを径方向に貫通して、外部と弁室22とを繋ぐ通路によって構成してもよい。
【0047】
前述の実施形態において弁体7は、ガイド部材6の支持部61に内接しながらガイド部材6に対して軸方向に摺動可能であるが、弁体7はガイド部材6の支持部61に外接しながらガイド部材6に対して摺動する構成であってもよい。
【0048】
前述の実施形態における電磁弁1は、Oリングシール27やOリングシール28を備えない構成であっても、一定のシール性が保たれるものであればよい。
【0049】
前述の実施形態における電磁弁1を流通する作動流体には、オイルの他、粘性が高いその他の液体を用いることができる。
【0050】
前述の実施形態におけるOリングシール27やOリングシール28は、シール部材の一例であり、電磁弁1に提供可能なシール部材は、断面円形状のゴム製部材に限定されるものではない。例えば、シール部材の素材は、ゴム以外の弾性変形可能な材料からなるものでもよく、その断面形状は、矩形状であってもよい。
【0051】
前述の実施形態において、圧力解放通路13は、底部71においてシャフト4が接触する部分を除く位置に設けられていれば、その個数、形状は限定するものではない。圧力解放通路13の通路横断面形状は、矩形状、円形状、弧状、スリット状を採用することができる。
【符号の説明】
【0052】
2…ハウジング、 2a…先端側筒部、
3…電磁ソレノイド部、 4…シャフト、 5…通路形成部材
6…ガイド部材、 7,107,207…弁体
11…入口通路、 13…圧力解放通路
22…弁室、 23…スプリング室(筒状体の内側室)
25…弁口、 51…上流側通路
52…装着穴、 53…下流側通路
61…支持部
図1
図2
図3
図4
図5