(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態の例について、添付図面を参照しながら説明する。なお、各図において実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0015】
<1.本発明の概要>
まず、本発明の概要について
図2及び
図3を参照して説明する。
【0016】
図2は、本発明におけるプリント動作及び補正パッチ形成動作の概要を示す図である。
図2は、目標とする濃度レベルが異なるページが混在するジョブの例であり、作像条件と形成される画像の濃度レベルの関係例を表している。ページP1,P2の目標とする濃度レベルは、A,Bである。ここでは、濃度レベルAは濃度レベルBよりも濃度が高いことを想定しているが、濃度レベルBが濃度レベルAよりも濃度が高い場合でも同様である。
【0017】
ページP1の目標濃度レベルAの画像は作像条件a1で形成され、ページP2の目標濃度レベルBの画像は作像条件b1で形成される。ページP1,P2間において、目標濃度レベルAの作像条件a1で補正パッチC1が形成される。補正パッチC1の濃度は濃度検出部19で検出される。その検出結果は目標濃度レベルAの作像条件の補正に反映(フィードバック:FB)され、目標濃度レベルAの画像に対する作像条件がa1からa2に補正される。
【0018】
本発明は、ページ間において複数のプロセスパラメータの作像条件(出力値)を変化させつつ補正パッチC1を形成する。プロセスパラメータ毎の所望の出力値への変化に要する時間に差があるとき、変化の速いプロセスパラメータの出力値変化と競合しない(時間的に重ならない)タイミングで、補正パッチC1を形成する。変化の速いプロセスパラメータは、補正パッチC1が形成された後で切り替える。一方、補正パッチC1の形成と、変化の遅いプロセスパラメータの出力値変化は競合する。このような構成により、生産性を低下させることなく、濃度の安定性の良いシステムを提供することができる。
【0019】
ここで「作像条件」とは、プロセスパラメータの実際の出力値を表す。本明細書において、画像間の通紙時間から補正パッチ形成時間を引いた時間内にプロセスパラメータの出力値変化が完了するものを「変化が速い」、変化が完了しないものを「変化が遅い」と定義する。また、補正パッチの形成タイミング及びプロセスパラメータの出力値変化タイミングは、画像位置基準で規定する。実際に露光や現像等にかかる出力値が変化するタイミングは、プロセス(画像形成工程)の上流に位置する部品、機能ほど、早い時刻である必要がある。本明細書では、理解を助けるために、プロセスパラメータの出力値変化において「制御側の出力値変化指令」と「実際のプロセスパラメータへの反映」には時間差は無く、双方が
図3のパラメータ切替タイミングとして表されると仮定している。
【0020】
図3は、プロセスパラメータの出力値変化と補正パッチの形成との関係を示す図である。プロセスパラメータ(1),(2)は、補正パッチ形成時間とプロセスパラメータの出力値変化時間を合計した時間が、画像間領域(前画像後端と後画像前端の間)に相当する時間よりも短い。一方、プロセスパラメータ(3),(4)は、補正パッチ形成時間とプロセスパラメータの出力値変化時間を合計した時間が、画像間領域に相当する時間よりも長い。即ち、プロセスパラメータ(1),(2)は「変化が速い」、プロセスパラメータ(3),(4)は「変化が遅い」と分類される。本発明が有効になるのは、変化の速いプロセスパラメータが存在するときである。
【0021】
<2.第1の実施形態>
次に、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置について、
図4〜
図12を参照して説明する。
【0022】
[画像形成装置の全体構成]
まず、第1の実施形態に係る画像形成装置の全体構成を説明する。
【0023】
図4は、本発明が適用される画像形成装置の一例を示す全体構成図である。
図4には、本発明の説明に必要と考える要素又はその関連要素を記載しており、画像形成装置はこの例に限られない。
【0024】
画像形成装置10は、例えば複写機といった電子写真方式の画像形成装置である。この画像形成装置10は、複数の感光体を一本の中間転写ベルト16(像担持体の一例)に対面させて縦方向に配列することによりフルカラーの画像を形成する、いわゆるタンデム型カラー画像形成装置である。画像形成装置10は、受信したジョブのページごとに異なる濃度レベルで画像を形成することができるとともに、ページ間(画像間)を利用して濃度レベルの補正を行うことができる。
【0025】
画像形成装置10は、画像形成部11と、用紙搬送部20と、定着器30と、原稿読取部40と、操作表示部50(操作部の一例)を備える。
【0026】
画像形成部11は画像形成部の一例で、イエロー(Y)の画像を形成する画像形成部11Yと、マゼンダ(M)の画像を形成する画像形成部11Mと、シアン(C)の画像を形成する画像形成部11Cと、ブラック(BK)の画像を形成する画像形成部11BKを備える。
【0027】
画像形成部11Yは、感光体ドラムY及びその周辺に配置された帯電部12Y、レーザダイオード130Yを有する光書込部13Y、現像装置14Y及びドラムクリーナ15Yを備える。同様に、画像形成部11M,11C,11BKは、感光体ドラムM,C,BK及びその周辺に配置された帯電部12M,12C,12BK、レーザダイオード130M,130C,130BKを有する光書込部13M,13C,13BK、現像装置14M,14C,14BK及びドラムクリーナ15M,15C,15BKを備える。
【0028】
感光体ドラムYは、帯電部12Yにより表面が一様に帯電させられており、光書込部13Yのレーザダイオード130Yによる走査露光により、感光体ドラムYには潜像が形成される。さらに、現像装置14Yは、トナーを用いて現像を行うことによって感光体ドラムY上の潜像を顕像化する。これにより、感光体ドラムY上には、イエローに対応する所定色の画像(トナー画像)が形成される。
【0029】
同様に、感光体ドラムMは、帯電部12Mにより表面が一様に帯電させられており、光書込部13Mのレーザダイオード130Mによる走査露光により、感光体ドラムMには潜像が形成される。さらに、現像装置14Mは、トナーを用いて現像を行うことによって感光体ドラムM上の潜像を顕像化する。これにより、感光体ドラムM上には、マゼンダに対応する所定色のトナー画像が形成される。
【0030】
感光体ドラムCは、帯電部12Cにより表面が一様に帯電させられており、光書込部13Cのレーザダイオード130Cによる走査露光により、感光体ドラムCには潜像が形成される。さらに、現像装置14Cは、トナーを用いて現像を行うことによって感光体ドラムC上の潜像を顕像化する。これにより、感光体ドラムC上には、シアンに対応する所定色のトナー画像が形成される。
【0031】
感光体ドラムBKは、帯電部12BKにより表面が一様に帯電させられており、光書込部13BKのレーザダイオード130BKによる走査露光により、感光体ドラムBKには潜像が形成される。さらに、現像装置14BKは、トナーを用いて現像を行うことによって感光体ドラムBK上の潜像を顕像化する。これにより、感光体ドラムBK上には、ブラックに対応する所定色のトナー画像が形成される。
【0032】
[感光体ドラムと現像装置の周辺の要部]
図5は、画像形成部11Yを構成する感光体ドラムYと現像装置14Yの周辺の要部(作像条件の測定手段)を示す。画像形成部11Yは、現像装置14Yの現像スリーブ141に、現像DC電圧(現像バイアス電圧、例えば−600V前後)を印加する現像DC電圧印加部143と、現像DC電圧印加部143により印加される現像DC電圧を測定する現像DC電圧計144を備える。現像スリーブ141には、現像スリーブ141の回転数を検出するエンコーダー142が設けられている。
【0033】
また、画像形成部11Yは、帯電部12Yに、帯電グリッド電圧(例えば−600V〜−1000V)を印加する帯電グリッド電圧印加部122を備える。帯電部12Yに印加された帯電グリッド電圧により、帯電グリッド121を介して感光体ドラムYの表面が帯電される。感光体ドラムYの表面電位は、帯電グリッド121よりも感光体ドラムYの回転方向の下流側に配置された表面電位計123で測定される。
【0034】
他の画像形成部11M,11C,11BKにおける感光体ドラムM,C,BK、現像装置14M,14C,14BKの周辺も同様の構成である。
【0035】
図4の説明に戻る。感光体ドラムY,M,C,BK上に形成されたトナー画像は、1次転写ローラ17Y,17M,17C,17BKにより、無端状の中間転写体である中間転写ベルト16上の所定位置へと逐次転写される。中間転写ベルト16上に転写された各色よりなるトナー画像は、用紙搬送部20により所定のタイミングで搬送される用紙Pに対して、2次転写部18で転写される。
【0036】
4つの感光体ドラムのうち用紙搬送方向の最下流側にある感光体ドラムBKの近くに、濃度検出部19が配置される。具体的には、濃度検出部19は、感光体ドラムBKの用紙搬送方向の下流側、かつ、2次転写部18の用紙搬送方向の上流側に配置される。濃度検出部19は、中間転写ベルト16上に転写されたトナー画像(補正パッチ)のトナー濃度(トナー付着量)を検出し、検出信号を出力する。
【0037】
濃度検出部19には、トナー画像の反射率情報を検出する光学式センサが用いられる。濃度検出部19は、一例として2つの濃度検出器19a,19b(
図2)から構成される。本実施形態では、濃度検出器19a,19bに反射型の光学式センサが用いられる。あるいは、濃度検出部19として、画像形成部11で形成されたトナー画像の反射率情報及び色情報を検出するラインイメージセンサが用いられてもよい。濃度検出器19a,19bは、
図2に示すように、中間転写ベルト16の幅方向(主走査方向)における中央部付近に配置されることが望ましい。また、2つの濃度検出器19a,19bが中間転写ベルト16の幅方向の中央部付近に配置されて同一の対象を検出する場合には、2つの濃度検出器19a,19bの検出結果の平均値からトナー画像のトナー濃度を計算してもよい。
【0038】
2次転写部18における用紙の排出側には、定着器30(定着部の一例)が設けられている。この定着器30は、用紙Pを搬送しながら用紙Pを加圧及び加熱して、転写されたトナー画像を用紙Pに定着させる。定着器30は、一対の加熱ローラ31(加熱部材)と加圧ローラ32(加圧部材)から構成される。加熱ローラ31は、該加熱ローラ31を加熱する熱源としてのヒータ33を内蔵している。加熱ローラ31及び加圧ローラ32は、互いに接離可能に構成されており、加熱ローラ31と加圧ローラ32とが接する位置には、圧接部として定着ニップ部が形成される。
【0039】
原稿読取部40は、走査露光装置の光学系により原稿の画像を走査露光し、その反射光をラインイメージセンサにより読み取って画像信号を得る。なお、画像形成装置10は、原稿を給紙する図示しない自動原稿搬送装置が上部に備えられる構成でもよい。
【0040】
操作表示部50は、LCD(Liquid Crystal Display)51、LCD51を覆うように設けられたタッチパネル、各種スイッチやボタン、テンキー、操作キー群等から構成される。操作表示部50は、ユーザの操作を受け付けて操作内容に応じた操作信号を生成する。また操作表示部50は、制御装置100(
図6参照)から入力される表示信号に応じた操作画面をLCD51上に表示する。
【0041】
用紙搬送部20は、用紙Pが収納される複数の給紙トレイ21と、給紙トレイ21に収納された用紙Pを繰り出す給紙部21aを備える。また、用紙搬送部20は、給紙トレイ21から繰り出された用紙Pが搬送される主搬送路23と、用紙Pの表裏を反転させる反転搬送路24と、用紙Pが排紙される排紙トレイ25を備える。
【0042】
用紙搬送部20は、定着器30の下流側で主搬送路23から反転搬送路24が分岐し、主搬送路23と反転搬送路24の分岐箇所に切換ゲート23aを備える。画像形成装置10では、主搬送路23を搬送され、2次転写部18及び定着器30を通過した用紙Pは、上側を向いた面に画像が形成される。用紙Pの両面に画像を形成する場合、上側を向いた一の面に画像が形成された用紙Pが主搬送路23から反転搬送路24に搬送され、反転搬送路24から主搬送路23へ搬送されることで、画像形成面が下側を向く。これにより、用紙Pが表裏反転され、上側を向いた他の面に画像を形成することが可能となる。
【0043】
各給紙トレイ21の給紙部21aの付近(用紙搬送方向の下流側)には、光検出器22が配置されている。光検出器22は、給紙部21aによって給紙トレイ21から送経路に送り出される用紙の有無及び該用紙の状態に応じた検出信号を出力する。光検出器22には、反射型又は透過型の光学式センサが用いられる。
【0044】
[画像形成装置の制御系]
次に、画像形成装置10の制御系について説明する。
図6は、画像形成装置10の制御系の一例を示すブロック図である。
図6には、本発明の説明に必要と考える要素又はその関連要素を記載しており、画像形成装置の制御系はこの例に限られない。
【0045】
画像形成装置10は、用紙Pを給紙し、画像を形成して排紙する一連の制御を行う制御装置100(制御部の一例)、及び記憶装置101を備える。制御装置100は、不図示のCPU(Central Processing Unit)からなる演算処理装置と、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリを備える。ROMには、制御装置100のCPUが実行するプログラム又はプログラムの実行時に使用するデータ等が記憶されている。CPUに代えてMPU(Micro−Processing Unit)を用いてもよい。
【0046】
記憶装置101は記憶部の一例であり、制御装置100のCPUがプログラムを実行する際に使用するパラメータ、又はプログラムを実行して得られたデータなどが記憶される。例えば、記憶装置101には、各濃度レベルの作像条件(プロセス条件)等の情報が記憶される。記憶装置101に、制御装置100のCPUが実行するプログラムを記憶してもよい。
【0047】
制御装置100は、操作表示部50から操作信号を受信し、該操作信号に応じた制御を行う。また、制御装置100は、操作表示部50に表示信号を出力し、操作表示部50が、各種操作指示や設定情報を入力するための各種設定画面や各種処理結果等を表示する操作画面をLCD51上に表示する。
【0048】
また制御装置100は、光検出器22から入力される検出信号に基づいて、給紙トレイ21から搬送路に送り出された用紙の種類を判定する。
【0049】
通信I/F102は、ネットワーク又は専用線を介して操作端末であるパーソナルコンピュータ(PC)120との間でデータを送受信するインターフェースである。通信I/F102として、例えばNIC(Network Interface Card)が用いられる。
【0050】
画像形成装置10が用紙Pに画像を形成する通常の動作(プリント動作)について説明すると、制御装置100は、用紙搬送部20を制御して用紙Pを搬送する。制御装置100は、原稿読取部40で原稿から取得した画像データ、あるいは、外部から取得した画像データに基づき画像形成部11を制御して、用紙Pに画像を形成する。また、制御装置100は、定着器30を制御して画像を用紙Pに定着させ、画像が形成された用紙Pを排紙する。また、制御装置100は、画像間において補正パッチを形成し、濃度検出部19による補正パッチの検出結果に基づいて作像条件を補正し、画像の濃度を調整する。
【0051】
[制御装置の機能構成]
次に、制御装置100により実行される機能について説明する。
図7は、制御装置100の機能構成の一例を示すブロック図である。制御装置100は、濃度レベル識別部111、パラメータ選択部112、補正パッチ位置決定部113、パラメータ出力値切替タイミング決定部114、パラメータ保持部115、補正量算出部116、テーブル117(メモリ)を備える。また、制御装置100は、用紙判定部118、及び濃度レベル設定部119を備える。制御装置100の各部の機能は、一例としてCPUがROMに記憶されたプログラムを実行することにより実現される。
【0052】
濃度レベル識別部111(識別部の一例)は、ジョブに含まれるページ情報(ここではページごとに保有する濃度レベル情報が利用される)を解析して、ページごとの目標とする濃度レベルを識別する。識別結果は、パラメータ選択部112へ出力される。2つのページの目標濃度レベルが異なる場合に、本実施形態における画像間補正が適用される。また、濃度レベル識別部111は、ジョブのプロセスが画像間補正タイミングに到達したことを検知する。例えば、プロセス速度と用紙設定(ジョブ設定)を元に、中間転写ベルト16上における前画像後端と後画像前端に挟まれた画像間領域(ページ間)が、感光体ドラムと対向する位置に到達したことを検知する。
【0053】
パラメータ選択部112は、テーブル117(後述する
図8Aの速度変化テーブル)を参照し、変化の速いプロセスパラメータが存在するか否かを判断する。そして、パラメータ選択部112は、変化の速いプロセスパラメータが複数存在する場合には、テーブル117(
図8B,
図8Cの寄与度テーブル)を参照し、補正項目(補正内容)に対し寄与度の高いプロセスパラメータを、補正パッチ形成時に出力値を安定させる(変化させない)プロセスパラメータとして決定する。決定したプロセスパラメータの情報は、補正パッチ位置決定部113に出力される。補正項目は、例えば補正パッチの種類(例えば階調)である。
【0054】
例えば本実施形態では、変化の速いプロセスパラメータとして、現像DC電圧(Vdc)、露光光量(レーザダイオード(LD)パワー)、変化の遅いプロセスパラメータとして、帯電グリッド電圧(Vg)を想定している。
【0055】
図8は、パラメータ選択部112により参照される各種テーブルの例を示す。
図8Aは、プロセスパラメータと変化速度の対応関係を示す変化速度テーブル、
図8AB及び
図8Cは、補正項目別のプロセスパラメータと寄与度の対応関係を示す寄与度テーブルである。これらの各種テーブルは、制御装置100が備えるROM又は記憶装置101等に保存される。
【0056】
図8Aの変化速度テーブルでは、現像DC電圧(Vdc)、露光光量(LDパワー)、帯電グリッド電圧(Vg)の変化速度がそれぞれ、速い、遅い、速いと登録されている。画像間領域で各プロセスパラメータの出力値を変化させる際に、出力値の変化開始から変化完了までにかかる距離(必要距離)はそれぞれ、例えば15mm、30mm、5mmとしている。必要距離の数値は一例である。以降の説明において、露光光量を、LDパワーと記すことがある。
【0057】
図8Bの寄与度テーブルでは、現像DC電圧(Vdc)、露光光量(LDパワー)、帯電グリッド電圧(Vg)の中間調パッチに対する寄与度がそれぞれ、低い、低い、高いと登録されている。また
図8Cの寄与度テーブルでは、現像DC電圧(Vdc)、露光光量(LDパワー)、帯電グリッド電圧(Vg)の高階調パッチ(所謂ベタパッチ)に対する寄与度がそれぞれ、高い、低い、低いと登録されている。
【0058】
補正パッチ位置決定部113(補正用トナー画像位置決定部の一例)は、パラメータ選択部112で選択されたプロセスパラメータの情報を元に、画像間領域において補正パッチを形成する位置(タイミング)を決定する。補正パッチ形成位置は、画像間領域における補正パッチの形成が、変化の速いプロセスパラメータの所望の出力値への変化に要する時間と重ならないタイミングに相当する位置である。補正パッチ形成位置は、変化の速いプロセスパラメータの切替タイミングの変化前又は/及び変化後である。例えば、プロセスパラメータと補正パッチ形成位置との組み合わせが定義された補正パッチ形成位置テーブル(図示略)を予め用意しておき、補正パッチ位置決定部113は、選択されたプロセスパラメータに基づいて補正パッチ形成位置テーブルから補正パッチ形成位置を読み出すようにしてもよい。あるいは、保守員等のユーザが操作表示部50を操作して、補正パッチ形成位置を設定できるようにしてもよい。
【0059】
パラメータ出力値切替タイミング決定部114(切替タイミング決定部の一例)は、選択されたプロセスパラメータと、補正パッチ形成位置と、当該プロセスパラメータの出力値変化に要する時間とに基づいて、どのタイミングでプロセスパラメータの出力値(作像条件)を切り替えるかを決定する。このプロセスパラメータの出力値切替タイミングは、補正パッチが形成されているときに、少なくとも一つのプロセスパラメータが安定している(変化しない)状態となるように決定される。即ち、パラメータ出力値切替タイミング決定部114は、ページ間において補正パッチの形成が行われていないときに、変化の速いプロセスパラメータの出力値が変化するよう、当該プロセスパラメータの値の切替タイミングを決定する。決定されたプロセスパラメータの出力値切替タイミングは、パラメータ保持部115へ出力される。
【0060】
プロセスパラメータの出力値切替タイミングを計算する方法として、例えば予めプロセスパラメータ、補正パッチ形成位置、及びパラメータ出力値切替タイミングとの組み合わせが定義されたテーブルを用意しておくことが考えられる。パラメータ出力値切替タイミング決定部114は、補正パッチ位置決定部113から取得した情報を元に、当該テーブルからパラメータ出力値切替タイミングを読み出すようにしてもよい。あるいは、パラメータ出力値切替タイミングは、ジョブの画像間が到来する都度計算してもよい。
【0061】
パラメータ保持部115は、一例として目標濃度レベルごとのプロセスパラメータの出力値(作像条件)を保持するメモリと、該メモリにデータの読み書きを行うメモリコントローラから構成される。パラメータ保持部115は、パラメータ出力値切替タイミング決定部114からプロセスパラメータ切り替えの指示を受けると、画像形成部11へ出力するプロセスパラメータの値を目標濃度レベルに応じて切り替える。画像形成部11において各ページの画像又は補正パッチを形成する場合には、パラメータ保持部115は、画像形成部11に画像形成指示又は補正パッチ形成指示と、目標濃度レベルに応じたプロセスパラメータを出力する。
【0062】
画像形成部11は、パラメータ保持部115から出力されたプロセスパラメータの出力値に基づいて、各ページの画像又は補正パッチを形成する。
図2に示したように、本実施の形態では、少なくとも一つのプロセスパラメータが安定している状態で、画像間に補正パッチを形成する。なお、補正パッチを用いたプロセスパラメータの出力値(作像条件)の補正(画像間補正)が行われるまでは、パラメータ保持部115に予め設定されたプロセスパラメータの初期設定値が保持される。
【0063】
なお、例えば記憶装置101にプロセスパラメータが記憶されており、制御装置100にジョブが入力されると記憶装置101からパラメータ保持部115にプロセスパラメータが読み出され、ジョブを実行中の間はパラメータ保持部115が該パラメータを保持する構成としてもよい。プロセスパラメータには、一例として各色の現像装置の現像スリーブに印加される現像DC電圧、帯電部から帯電グリッドに印加される帯電グリッド電圧、レーザダイオードの露光量、及び感光体ドラムの線速(プロセス速度)に対する現像スリーブの線速比である現像θなどがある。プロセスパラメータとして、少なくとも現像バイアス電圧、露光光量、現像θ、帯電グリッド電圧、又は帯電電流のいずれかの値が切り替えられることで、ページに形成される画像の濃度が変更される。
【0064】
補正量算出部116は、濃度検出部19による補正パッチの検出結果(補正パッチの濃度)を取得し、各目標濃度レベルのプロセスパラメータの出力値(作像条件)の補正量を算出する。例えば、補正量算出部116は、ページ間に目標濃度レベル(例えば濃度レベルA又はB)の作像条件で形成された補正パッチの検出値と目標値との差分を算出し、その差分に基づいて該目標濃度レベルの作像条件の補正量を算出する。即ち、
図2より理解されるように本発明では、変化の速い(補正項目に対する寄与度の高い)プロセスパラメータが安定状態にあるという条件で、画像間補正が行われる。
【0065】
そして、補正量算出部116は、算出した補正量を用いて、パラメータ保持部115に保持された該目標濃度レベルのプロセスパラメータの出力値を補正する。補正後のプロセスパラメータの出力値はパラメータ保持部115へ出力されて、パラメータ保持部115のプロセスパラメータの出力値が更新される。プロセスパラメータの出力値の補正量は、周知慣用技術を用いて算出することができ、ここでは詳細な説明は割愛する。
【0066】
画像形成部11は、制御装置100の制御の下、パラメータ出力値切替タイミング決定部114により決定されたパラメータ出力値切替タイミングで、プロセスパラメータの出力値を切り替えて各ページの画像を形成する。また、画像形成部11は、補正パッチ位置決定部113で決定された補正パッチ形成位置に、補正パッチを形成する。
【0067】
用紙判定部118は、光検出器22の検出結果を元に給紙トレイ21から給紙された用紙の種類を判定する。例えば、予め制御装置100が備えるROM又は記憶装置101に光検出器22の検出値と用紙の種類とが対応づけられた不図示のテーブルが格納されている。用紙判定部118は、光検出器22の検出値を元にテーブルを参照することで用紙の種類を判定する。判定された用紙の種類の情報は、濃度レベル設定部119に出力される。
【0068】
濃度レベル設定部119は、用紙判定部118から入力される用紙の種類の情報に基づき、その用紙に形成される画像の目標濃度レベルを設定する。例えば、予め制御装置100が備えるROM又は記憶装置101に用紙の種類と目標濃度レベルとが対応づけられた不図示のテーブルが格納されている。濃度レベル設定部119は、用紙の種類を元にテーブルを参照することで目標濃度レベルを設定する。この濃度レベル設定部119による目標濃度レベルの設定は、ジョブのページに対応して給紙される用紙ごとに行われる。設定された用紙ごとの目標濃度レベルの情報は、濃度レベル識別部111へ出力される。濃度レベル識別部111は、ジョブのページごとの目標濃度レベルを、濃度レベル設定部119から入力された用紙ごとの目標濃度レベルで置き換える。
【0069】
上述した用紙判定部118と濃度レベル設定部119は、ページごとの目標濃度レベルの自動設定に用いられる。
【0070】
[画像間補正制御]
図9は、第1の実施形態に係る画像形成方法としての画像間補正制御のフローチャートである。制御装置100が備えるCPUは、ROM又は記憶装置101に記録されたプログラムを実行することで、
図9に示す処理を実現する。制御装置100は、ジョブが入力されたことを検知すると、本フローチャートの処理を開始する。
【0071】
まず制御装置100が、PC120及び通信I/F102を介して、又は操作表示部50からジョブを受信すると、濃度レベル識別部111は、ジョブ内のページ情報を解析してページごとの目標とする濃度レベルを識別する(S1)。識別結果は、パラメータ選択部112へ出力される。連続する2つのページの目標濃度レベル(例えば濃度レベルA,B)が異なる場合に、本実施形態の画像間補正が適用される。
【0072】
次に、濃度レベル識別部111は、ジョブのプロセスが画像間補正タイミングに到達したことを検知する(S2)。検知結果は、パラメータ選択部112へ出力される。例えばプロセス速度と用紙設定からレーザダイオードの露光開始タイミングが決定される。濃度レベル識別部111(制御装置100)は、この露光開始タイミングをもって補正タイミングに到達したか否かを判断することができる。
【0073】
次に、パラメータ選択部112は、ページごとの目標濃度レベルのプロセスパラメータに、変化の速いプロセスパラメータがあるか否かを判定する(S3)。ここで、変化の速いプロセスパラメータがない場合(S3のNO)、画像形成部11は、パラメータ保持部115から指示されるプロセスパラメータの出力値に基づき、従来の補正パッチ形成処理を実行し(S8)、ステップS9へ進む。判定結果は、補正パッチ位置決定部113へ出力される。
【0074】
次に、ステップS3において変化の速いプロセスパラメータがある場合(S3のYES)、補正パッチ位置決定部113は、補正項目(補正内容)に応じて、補正パッチ形成時に出力値を安定させるプロセスパラメータを選択する(S4)。選択されたプロセスパラメータの情報は、補正パッチ位置決定部113へ出力される。
【0075】
次に、補正パッチ位置決定部113は、パラメータ選択部112で選択されたプロセスパラメータを元に、画像間領域において補正パッチを形成する位置(タイミング)を決定する(S5)。決定された補正パッチ形成位置は、パラメータ出力値切替タイミング決定部114へ出力される。
【0076】
次に、パラメータ出力値切替タイミング決定部114は、選択されたプロセスパラメータと、補正パッチ形成位置と、当該プロセスパラメータの出力値変化に要する時間に基づいて、プロセスパラメータの出力値(作像条件)を切り替えるタイミングを決定する(S6)。このプロセスパラメータの出力値切替タイミングを適切に決定することで、補正パッチが形成されているときに、少なくとも一つのプロセスパラメータが安定している状態となる。決定されたプロセスパラメータの出力値切替タイミングは、パラメータ保持部115へ出力される。
【0077】
画像形成部11は、上記の各決定内容に応じて、補正パッチ形成処理を実行する(S7)。即ち、画像形成部11は、画像間補正タイミングに到達すると、画像間領域においてプロセスパラメータの出力値を決定された切替タイミングで切り替えるとともに、補正パッチを決定された位置(タイミング)に形成する。これにより、画像形成部11は、少なくとも一つのプロセスパラメータが安定している状態で、補正パッチを形成する。
【0078】
補正パッチは、
図2に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の4色のそれぞれの濃度を補正するパッチ画像から構成される。濃度検出部19は、一例として濃度検出器19aと濃度検出器19bから構成される。例えばイエロー(Y)とマゼンタ(M)のパッチ画像を濃度検出器19bが読み取る。補正パッチC1〜C4では、各色のパッチ画像が2×2のマトリクス状に配置されているが、濃度検出部19で各色のパッチ画像を検出できればこの例に限らない。
【0079】
次に、ステップS7又はステップS8における補正パッチの形成が完了すると、濃度検出部19は、補正パッチの濃度を検出し、検出結果を補正量算出部116へ出力する。
【0080】
そして、補正量算出部116は、濃度検出部19による補正パッチの検出結果(補正パッチの濃度)を取得し、補正パッチ形成に用いられた各プロセスパラメータの出力値(作像条件)の補正量を算出する(S9)。そして、この補正量が反映された補正後の各プロセスパラメータの出力値は、パラメータ保持部115に保持され、補正後のプロセスパラメータの出力値を用いて該当濃度レベルの画像形成が行われる。
【0081】
上述したS1〜S8の処理をジョブが終了するまで実行する。ジョブが終了していない即ち最後のページまで到達していない場合には、制御装置100は、さらに次のページ間における画像間補正を実行し、作像条件の補正を行う。ジョブが終了した場合には、本フローチャートを終了する。
【0082】
制御装置100は、Y,M,C,BKの各色について
図9のフローチャートの処理を実行し、各色で各目標濃度レベルの作像条件に対する補正を行う。
【0083】
[第1の実施形態に係る補正パッチ形成動作の例]
次に、第1の実施形態に係る補正パッチ形成動作の例を
図10〜
図12を参照して説明する。
【0084】
図10は、第1の実施形態に係る画像間における補正パッチ形成動作の説明図(1)である。
図10は、補正パッチ形成が変化の速いプロセスパラメータの変化前に実施される例である。前提として、画像を形成する際には、現像DC電圧Vdcと帯電グリッド電圧Vgの差分の絶対値は、|Vdc−Vg|=150Vとなるように設定する。また、画像と補正パッチとの間の距離は、説明をわかりやすくするため、0mmとする。数値例は一例であり、この例に限らない。
【0085】
ページP1の目標濃度レベルAの画像を、目標濃度レベルA用の作像条件a1で形成した後、補正パッチC1を通紙方向に5mmの大きさで形成する。ここで、変化の遅い(30mm相当)帯電グリッド電圧Vgは、ページP1の目標濃度レベルAの画像を形成した直後からページP2の目標濃度レベルBの画像を形成する直前まで変化する。ページP2の目標濃度レベルBの作像条件の初期値はb1である。変化の速い(15mm相当)現像DC電圧の値を、補正パッチC1を形成後、通紙方向に10mm分遅れたタイミングで切り替えることで、ちょうどページP2の目標濃度レベルBの画像を形成する直前に変化が完了する。
【0086】
図10の例では、帯電グリッド電圧Vgが変化しているため、補正パッチC1は作像条件a1とわずかに異なる作像条件a1´相当の条件で形成されることになる。この補正パッチC1の検出濃度を用いて算出した目標濃度レベルAの作像条件a2は、ページP2以降に到来する目標濃度レベルAの画像形成にフィードバックされる。
【0087】
図10の例では、変化の遅い帯電グリッドVgが変化中に、補正パッチC1を形成している。そのため、余分なページ間延長を抑制できるので、生産性の低下を防止できる。
【0088】
また、補正パッチC1を形成後に変化の速い現像DC電圧Vdcが変化しており、補正パッチC1を形成時の現像DC電圧Vdcは安定した状態である。少なくとも1つのプロセスパラメータが安定している状態で補正パッチを作成するので、全てのプロセスパラメータの出力値が変更している過渡時に作成する場合よりも、画像間補正の精度が上がる。
【0089】
なお、
図10の例は、現像DC電圧Vdcと帯電グリッド電圧Vgの差分である|Vdc−Vg|の値が、後述する
図11及び
図12の場合と比較して最も小さい。
【0090】
図11は、第1の実施形態に係る画像間における補正パッチ形成動作の説明図(2)である。
図10は、補正パッチ形成が変化の速いプロセスパラメータの変化後に実施される例である。
【0091】
変化の速い現像DC電圧の値は、ページP1の画像を形成した直後に切り替えられ、画像後端から通紙方向に15mm分遅れたタイミングで変化が完了する。そして、現像DC電圧の変化が完了後の通紙方向に10mm分遅れたタイミングで、補正パッチC1の形成が開始され、ページP2の画像を形成する直前で完了する。
【0092】
図11の例でも同様に、帯電グリッド電圧Vgが変化しているため、補正パッチC1は作像条件b1とわずかに異なる作像条件b1´相当の条件で形成されることになる。この補正パッチC1の検出濃度を用いて算出した目標濃度レベルAの作像条件b2は、ページP2以降に到来する目標濃度レベルBの画像形成にフィードバックされる。
図11においても、
図10の場合と同様の効果が得られる。
【0093】
図12は、第1の実施形態に係る画像間における補正パッチ形成動作の説明図(3)である。
図12は、補正パッチ形成が変化の速いプロセスパラメータの変化前と変化後に実施される例である。
【0094】
変化の速い現像DC電圧Vdcの値は、ページP1の画像形成の完了時から通紙方向に7.5mm分離れたタイミングで切り替えられ、ページP2の画像形成の開始時から通紙方向に7.5mm分速いタイミングで終了が完了する。この間は、現像DC電圧が変化せずに安定した状態である。そのため、ページP1の画像形成の完了後及びページP2の画像形成の開始前において、通紙方向に2.5mm分の時間的な余裕を残して、補正パッチC1,C2を形成することが可能となる。即ち、現像DC電圧Vdcの変化前と変化後のタイミングで、補正パッチC1,C2を形成することが可能である。
【0095】
現像DC電圧Vdcの変化前には作像条件a1に近い作像条件a1´で補正パッチC1を形成し、現像DC電圧Vdcの変化後には作像条件b1に近い作像条件b1´で補正パッチC2を形成する。それにより、一つのページ間において、目標濃度レベルA,Bの両方に対して、作像条件を補正することが可能となる。
図12の例は、それ以外は、
図10の例と同様の効果が得られる。
【0096】
<3.第2の実施形態>
次に、第2の実施形態に係る補正パッチ形成動作の例を
図13〜
図15を参照して説明する。以降で説明する中間調、高階調(ベタ)は、目標濃度レベルで形成する画像の補正項目の例であり、これら補正項目は、ぺージ間に形成される補正パッチの種類と対応している。
図13〜
図15では、補正に用いる補正パッチの種類により、補正パッチ形成時に安定させるプロセスパラメータを変更する。
【0097】
図13は、第2の実施形態に係る画像間における補正パッチ形成動作の説明図(1)である。
図13は、中間調の補正パッチ(以下「中間調パッチ」と記す)を形成する場合の例である。
【0098】
変化の速いプロセスパラメータが複数ある場合には、パラメータ選択部112は、補正パッチを形成時に変化させないプロセスパラメータとして、目標濃度レベルで形成する画像の補正項目に対する寄与度が大きいプロセスパラメータを選択する。
【0099】
例えば、
図13のように、プロセスパラメータとして、帯電グリッド電圧Vg、現像DC電圧Vdc、LDパワーを規定したとき、中間調パッチを作成するときは、LDパワーが安定している状況で補正パッチC1を作成する。中間調パッチに対する寄与度が高いプロセスパラメータは、LDパワーである(
図8B)。LDパワーは変化が速いため(5mm相当)、ページ間の中央付近のタイミングでLDパワーを変化させることにより、LDパワーの変化前と変化後に補正パッチC1,C2を形成することができる。それにより、一つのページ間において、目標濃度レベルA,Bの両方に対して、作像条件を補正することが可能となる。
【0100】
なお、
図13では、画像間領域に時間的な余裕があるため、補正パッチの描画にかかる時間を10mmと仮定する。画像形成部11は、ページ間において補正項目に対する寄与度が大きいプロセスパラメータの値の変化と時間的に重ならない範囲内で、補正パッチを通紙方向に大きくする。このように補正パッチを大きくすることで、読み取り精度が向上する。
【0101】
このとき、LDパワーに次いで変化の速い現像DC電圧Vdcもページ間の中央付近のタイミングで変化させることにより、変化前と変化後の一部の時間においてLDパワーだけでなく、現像DC電圧Vdcも安定している状態を作ることができる。これにより、より精度の高い補正が可能となる。また、画像間の一部の時間(LDパワーの変化開始直前と変化終了直後)において、現像DC電圧Vdを変化させつつ補正パッチC1,C2を描画するが、現像DC電圧は中間調パッチの寄与度が小さいため補正に与える影響は少ない。
図13の例は、その以外は、第1の実施形態と同様の効果を有する。
【0102】
図14は、第2の実施形態に係る画像間における補正パッチ形成動作の説明図(2−1)である。
図14は、高階調の補正パッチ(所謂ベタパッチ)をプロセスパラメータの切替前に形成する場合の例である。
図15は、第2の実施形態に係る画像間における補正パッチ形成動作の説明図(2−2)である。
図15は、高階調の補正パッチ(所謂ベタパッチ)をプロセスパラメータの切替後に形成する場合の例である。
【0103】
ベタパッチに対する寄与度が大きいプロセスパラメータは、現像DC電圧Vdcである(
図8C)。現像DC電圧Vdcの変化と時間的に重ならずに補正パッチC1を作成する場合は、現像DC電圧Vdcの出力値の変化前と変化後のいずれか一方にのみ補正パッチC1を形成することが可能である。それゆえ、現像DC電圧Vdcの出力値の変化前と変化後のいずれか一方の目標濃度レベルに対して補正を行う。
図14,
図15の例は、それ以外は、
図13と同様の効果を有する。
【0104】
<4.第3の実施形態>
図16は、本発明の第3の実施形態に係る画像間における補正パッチ形成動作の説明図である。
図16は、補正パッチを大きくする場合の例である。
【0105】
画像形成部11は、ページ間において補正項目に対する寄与度が大きいプロセスパラメータの値の変化と時間的に重ならない範囲内で、補正パッチC1´を通紙方向に大きくする。
【0106】
図16では、説明の都合により、簡易的に補正パッチC1´をブラック(Bk)のみとして示す。任意の補正項目の補正への寄与度の高いパラメータは、現像DC電圧Vdcとしている。また、補正パッチの読み取り精度の向上のため、補正パッチC1´を大きくし、読み取り点数を増やす。
図16の例では、変化の速いプロセスパラメータである現像DC電圧Vdcの出力値の変化と時間的に重ならない範囲で、15mm分まで補正パッチC1´を通紙方向に大きくすることができる。補正前の補正パッチC1は通紙方向に5mm分の大きさであった。補正項目に対する寄与度が大きい現像DC電圧Vdcが安定している状態であるため、補正パッチC1,C1´を形成時の作像条件b1´、b1´´は非常に近い条件であると言える。本実施形態は、それ以外は、第1の実施形態と同様の効果を有する。
【0107】
<5.第4の実施形態>
図17は、本発明の第4の実施形態に係る画像間における補正パッチ形成動作の説明図である。
図17は、補正パッチの一部を補正量算出の演算対象外とする場合の例である。
【0108】
補正量算出部116は、ページ間の任意の位置に形成された補正パッチに対して、補正項目に対する寄与度が大きいプロセスパラメータの変化と時間的に重ならない範囲内のみを、補正量の算出の対象とする。
【0109】
図17では、説明の都合により、簡易的に補正パッチC1をブラック(Bk)のみとして示す。任意の補正項目の補正への寄与度の高いパラメータは、現像DC電圧Vdcとしている。補正パッチC1のうち、現像DC電圧Vdcの出力値が変化している領域をA1(作像条件a1´´)、現像DC電圧Vdcの出力値が変化していない領域をA2(作像条件b1´)として表している。いずれの領域A1,A2も、通紙方向の長さは15mm分としている。
【0110】
現像DC電圧Vdcの出力値が変化している領域A1では、帯電グリッドVgの出力値も変化しており、この領域A1における作像条件は、作像条件a1から比較的ずれた作像条件a1´´であると言える。一方、現像DC電圧Vdcの出力値が変化していない領域A2では、現像DC電圧Vdcの出力値が安定しており、この領域A2における作像条件は、作像条件b1と近い作像条件b1´であると言える。したがって、補正項目に対する寄与度が大きい現像DC電圧Vdcの出力値の変化中、補正パッチ形成開始から15mm分の補正パッチC1(領域A1)の検知結果を補正量算出の演算対象外とする。他方、補正パッチC1の領域A1の後端から15mm分に相当する当該補正パッチC1の領域A2の検知結果を補正量算出の演算対象とする。本実施形態は、それ以外は、第1の実施形態と同様の効果を有する。
【0111】
<6.第5の実施形態>
図18は、本発明の第5の実施形態に係る画像間における補正パッチ形成動作の説明図である。
図18は、現像DC電圧Vdcと帯電グリッド電圧Vgの差分を所定値以下にする場合の例である
【0112】
パラメータ出力値切替タイミング決定部114は、ページ間でプロセスパラメータが変化しているときの現像DC電圧Vdcと帯電グリッド電圧Vgとの差分の絶対値が、ジョブ内の任意のページの目標濃度レベルの画像を形成する場合の絶対値以下となるよう、プロセスパラメータの値の切替タイミングを決定する。
【0113】
図18において、現像DC電圧Vdc及び帯電グリッド電圧Vgを画像間で変更させる際、キャリア付着を防止するため、|Vg−Vdc|の値が、ページの画像を形成時の値以下(|Vg−Vdc|≦150[V])になるように、プロセスパラメータの出力値変化のタイミングを決定する。
図18の補正パッチ形成動作例は、
図10の補正パッチ形成動作と同じであるが、上記条件を満たせばこの例に限らない。本実施形態は、それ以外は、第1の実施形態と同様の効果を有する。
【0114】
<7.その他>
[目標濃度レベルの設定方法]
次に、目標濃度レベルの設定方法について説明する。目標濃度レベルの設定方法は、手動設定と自動設定に分けられる。あるいは、手動設定と自動設定の両方により目標濃度レベルが設定されてもよい。
【0115】
(手動設定)
手動設定では、ユーザがPC120や操作表示部50を操作してジョブを生成し、ページごとに目標濃度レベルを自由に設定する。
【0116】
(自動設定の一例)
自動設定の一例では、制御装置100がジョブ内のページ情報を解析し、ページ毎の紙種設定に応じて目標濃度レベル(トナー付着量)を変更する。例えば用紙の種類に応じて以下のように目標濃度レベルを設定することができる。ラフ紙や普通紙などの非コート紙では、目標濃度レベルを下げる(トナー付着量を初期設定値よりも減少させる)。制御装置100又は記憶装置101に、用紙の種類と目標とする濃度レベルとの対応関係が登録されたテーブルが格納されているものとする。
・目標濃度レベルA(トナー付着量初期設定値):コート紙
・目標濃度レベルB(トナー付着量減少) :非コート紙(ラフ紙、普通紙など)
【0117】
パラメータは、設定された目標濃度レベルに応じて切り替えられる。例えば、目標濃度レベルに応じて以下のように現像DC電圧を変更する。下記の初期設定値に入る値は、プロセス条件の補正が行われる都度、補正後のプロセス条件の値で更新される。制御装置100又は記憶装置101に、目標とする目標濃度レベルと作像条件との対応関係が登録されたテーブルが格納されているものとする。
・目標濃度レベルA(トナー付着量初期設定値):現像DC電圧=初期設定値
・目標濃度レベルB(トナー付着量減少) :現像DC電圧=初期設定値−100[V]
【0118】
(自動設定の他の例)
また、自動設定の他の例は、光検出器22、用紙判定部118、及び濃度レベル設定部119(
図7)により実現される。
図7を用いて説明したように、用紙判定部118が、給紙トレイ21から給紙された用紙の種類を判定し、濃度レベル設定部119は、用紙判定部118から入力される用紙の種類の情報に基づき、その用紙に形成される画像の目標濃度レベルを設定する。この場合、給紙トレイ21から給紙された用紙の種類に応じて目標濃度レベルが設定されるため、実際に画像が形成される用紙の種類に応じて適切な目標濃度レベルが設定される。
【0119】
上述した各実施形態においては、一回の画像間補正制御で1つのプロセス条件を補正する例を説明したが、帯電グリッド電圧、現像DC電圧、現像θ、露光光量、帯電電流、トナー補給量などの複数のパラメータのうち2以上のパラメータを補正してもよい。また、例示したこれら以外のパラメータを補正してもよい。
【0120】
また、上述した実施形態において、ジョブに異なる2つの目標濃度レベルのページ(目標濃度レベルA,Bに対応するプロセス条件)が混在した場合を説明したが、本発明はジョブに3以上の目標濃度レベルが混在している場合にも適用可能である。
【0121】
また、上述した実施形態において、カラー画像を形成する画像形成装置がC,M,Y,BKの4色からなる補正パッチを形成する例を説明したが、4色から1色以上を選択して補正パッチを形成してもよい。また、画像形成装置が形成するカラー画像は4色に限られない。
【0122】
また、上述した実施形態において、カラー画像を形成する画像形成装置を例示したが、モノクロ画像を形成する画像形成装置に適用することもできる。
【0123】
さらに、本発明は上述した各実施形態例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、その他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
【0124】
例えば、上述した実施形態例は本発明を分かりやすく説明するために装置及びシステムの構成を詳細且つ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態例の構成の一部を他の実施形態例の構成に置き換えることは可能である。また、ある実施形態例の構成に他の実施形態例の構成を加えることも可能である。また、各実施形態例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
【0125】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリやハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又はI
Cカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0126】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0127】
また、本明細書において、時系列的な処理を記述する処理ステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)をも含むものである。