特許第6593115号(P6593115)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6593115カラオケシステム、カラオケ装置、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6593115
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】カラオケシステム、カラオケ装置、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G10K 15/04 20060101AFI20191010BHJP
【FI】
   G10K15/04 302D
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-222169(P2015-222169)
(22)【出願日】2015年11月12日
(65)【公開番号】特開2017-90737(P2017-90737A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2018年10月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】郡司 英知
【審査官】 堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−066740(JP,A)
【文献】 特開2009−175605(JP,A)
【文献】 特開2010−128403(JP,A)
【文献】 特開2006−208963(JP,A)
【文献】 特開2008−292855(JP,A)
【文献】 特開2008−152169(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラオケの利用者のログインを受付けるログイン手段と、ログインした利用者ごとに対応付けて楽曲の演奏予約を受付ける予約受付手段と、前記利用者から受付けた演奏予約に従って楽曲の演奏を行う演奏手段とを備えるカラオケシステムであって、
前記利用者によって過去に行われた歌唱に関する履歴を表す情報である歌唱履歴情報を利用者ごとに記憶する記憶手段と、
前記演奏手段によって演奏された楽曲を複数の期間に区分けした個々の期間ごとに、前記利用者の歌唱の巧拙をメロディに関する評価基準に基づいて評価して算出した点数である評価得点を算出する採点手段と、
1つの楽曲の演奏において前記採点手段により算出された各期間の評価得点の変動に基づいて、当該楽曲の演奏における歌唱全体の安定性を評価した値である安定度を特定する安定性評価手段と、
歌唱をした利用者の識別情報と、当該歌唱において演奏された楽曲の曲目と、当該歌唱について前記安定性評価手段によって特定された安定度とを対応付けた情報を、前記利用者の歌唱に関する歌唱履歴情報として前記記憶手段に保存する歌唱履歴保存手段と、
前記記憶手段に記憶されている歌唱履歴情報に基づいて、利用者ごとの個々の歌唱履歴情報に係る履歴を安定度の高低順に順位付けする順位付手段と、
前記予約受付手段において楽曲の演奏予約を受付けるときに、前記記憶手段に記憶されている歌唱履歴情報の中から、前記演奏予約をする利用者に対応する歌唱履歴情報で表される過去に歌唱された楽曲の曲目と、その利用者の歌唱履歴情報について前記順位付手段によって順位付けされた順位と対応付けて表す推薦情報を、前記演奏予約をする利用者に対して提示する歌唱履歴提示手段と、
を備えるカラオケシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のカラオケシステムにおいて、
前記記憶手段には、前記歌唱履歴情報に係る楽曲が演奏された時を表す情報を更に含む前記歌唱履歴情報が記憶されており、
前記順位付手段は、演奏された時が新しい方から所定の範囲に含まれる前記歌唱履歴情報について、安定度の高低順に順位付けすること、
を特徴とするカラオケシステム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のカラオケシステムにおいて、
前記歌唱履歴提示手段は、前記予約受付手段において利用者がログインしてからの最初の演奏予約を受付けるときに、前記演奏予約をする利用者に対応する前記推薦情報を提示すること、
を特徴とするカラオケシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のカラオケシステムにおいて、
前記記憶手段には、前記歌唱履歴情報に係る楽曲が演奏されたときに前記採点手段によって算出された評価得点に関する情報を更に含む前記歌唱履歴情報が記憶されており、
前記歌唱履歴提示手段は、利用者がログインしてからの最初の演奏予約に係る楽曲が演奏された後でその利用者の以後の演奏予約を受付けるときに、前の演奏予約に係る楽曲の演奏において前記採点手段によって算出された評価得点に係る良否に応じて、当該利用者の歌唱履歴情報を安定度の高低順に順位付けした推薦情報、又は当該利用者の歌唱履歴情報を1曲分の評価得点の高低順に順位付けした推薦情報を提示すること、
を特徴とするカラオケシステム。
【請求項5】
カラオケの利用者のログインを受付けるログイン手段と、ログインした利用者ごとに対応付けて楽曲の演奏予約を受付ける予約受付手段と、前記利用者から受付けた演奏予約に従って楽曲の演奏を行う演奏手段とを備えるカラオケ装置であって、
前記演奏手段によって演奏された楽曲を複数の期間に区分けした個々の期間ごとに、前記利用者の歌唱の巧拙をメロディに関する評価基準に基づいて評価して算出した点数である評価得点を算出する採点手段と、
1つの楽曲の演奏において前記採点手段により算出された各期間の評価得点の変動に基づいて、当該楽曲の演奏における歌唱全体の安定性を評価した値である安定度を特定する安定性評価手段と、
歌唱をした利用者の識別情報と、当該歌唱において演奏された楽曲の曲目と、当該歌唱について前記安定性評価手段によって特定された安定度とを対応付けた情報を、前記利用者の歌唱に関する歌唱履歴情報として所定の記憶手段に保存する歌唱履歴保存手段と、
前記記憶手段に記憶されている歌唱履歴情報に基づいて、利用者ごとの個々の歌唱履歴情報に係る履歴を安定度の高低順に順位付けする順位付手段と、
前記予約受付手段において楽曲の演奏予約を受付けるときに、前記記憶手段に記憶されている歌唱履歴情報の中から、前記演奏予約をする利用者に対応する歌唱履歴情報で表される過去に歌唱された楽曲の曲目と、その利用者の歌唱履歴情報について前記順位付手段によって順位付けされた順位と対応付けて表す推薦情報を、前記演奏予約をする利用者に対して提示する歌唱履歴提示手段と、
を備えるカラオケ装置。
【請求項6】
カラオケの利用者のログインを受付けるログイン手順と、
ログインした利用者ごとに対応付けて楽曲の演奏予約を受付ける予約受付手順と、
前記利用者から受付けた演奏予約に従って楽曲の演奏を行う演奏手順と、
前記演奏手順において演奏された楽曲を複数の期間に区分けした個々の期間ごとに、前記利用者の歌唱の巧拙をメロディに関する評価基準に基づいて評価して算出した点数である評価得点を算出する採点手順と、
1つの楽曲の演奏において前記採点手順において算出された各期間の評価得点の変動に基づいて、当該楽曲の演奏における歌唱全体の安定性を評価した値である安定度を特定する安定性評価手順と、
歌唱をした利用者の識別情報と、当該歌唱において演奏された楽曲の曲目と、当該歌唱について前記安定性評価手順において特定された安定度とを対応付けた情報を、前記利用者の歌唱に関する歌唱履歴情報として所定の記憶手段に保存する歌唱履歴保存手順と、
前記記憶手段に記憶されている歌唱履歴情報に基づいて、利用者ごとの個々の歌唱履歴情報に係る履歴を安定度の高低順に順位付けする順位付手順と、
前記予約受付手順において楽曲の演奏予約を受付けるときに、前記記憶手段に記憶されている歌唱履歴情報の中から、前記演奏予約をする利用者に対応する歌唱履歴情報で表される過去に歌唱された楽曲の曲目と、その利用者の歌唱履歴情報について前記順位付手順によって順位付けされた順位と対応付けて表す推薦情報を、前記演奏予約をする利用者に対して提示する歌唱履歴提示手順と、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラオケの選曲を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カラオケ装置の利用者に対して楽曲を推薦することで利用者による選曲を支援する技術が知られている。例えば、特許文献1には、利用者が過去に歌唱した楽曲の原曲キーの音域に基づいて歌唱者音域を算出し、その歌唱者音域内に含まれる音域を有するカラオケ楽曲を選定して利用者に提示する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−152169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、利用者がカラオケ店舗に訪れて、最初に何の楽曲を歌唱するかを決めるのに悩むケースがある。特に、複数人のグループでカラオケを楽しむ場面では、最初に選んだ楽曲を安定して上手く歌えるか否かが、その後の場の雰囲気に大きく影響する。このような事情から、カラオケ店舗に訪れて最初に歌唱する楽曲について、利用者は、なるべく安定して上手く歌える楽曲を選ぼうと慎重になり、選曲に時間がかかる場合が多い。
【0005】
このような問題に対して、利用者が過去に歌唱した楽曲や採点結果等が記録された歌唱履歴を参照して、過去に上手く歌唱できた楽曲を選べるようにすることが考えられる。しかしながら、歌唱履歴に記録された採点結果の点数が単純に高いからといって、それが楽曲全般を通して安定して歌唱できたことを表しているものとは限らない。例えば、メロディの評価基準に基づく総合評価が単純に高くても、その内訳が高得点の期間と低得点の期間とが混在する不安定な歌唱になっている場合がある。このような場合、過去の採点結果が高得点であることを根拠に利用者が上手に歌える楽曲を選んだつもりであっても、上手く歌唱できる箇所とそうでない箇所が入り乱れる不安定な歌唱になって場の雰囲気をかえって悪くしてしまう可能性も考えられる。このように、単純な採点結果の点数等の歌唱履歴に基づいて、自身の持ち歌の中からどの楽曲を選べば場の雰囲気を適切に保てるかどうかを判断するのは難しい。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものである。その目的は、利用者が安定して歌唱できる楽曲を選曲するための支援を行う技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態に係るカラオケシステムは、カラオケの利用者のログインを受付けるログイン手段と、ログインした利用者ごとに対応付けて楽曲の演奏予約を受付ける予約受付手段と、利用者から受付けた演奏予約に従って楽曲の演奏を行う演奏手段とを備える。さらに、このカラオケシステムは、記憶手段と、採点手段と、安定性評価手段と、歌唱履歴保存手段と、順位付手段と、歌唱履歴提示手段とを備える。
【0008】
記憶手段は、歌唱履歴情報を利用者ごとに記憶する。歌唱履歴情報は、利用者によって過去に行われた歌唱に関する履歴を表す情報である。採点手段は、演奏手段によって演奏された楽曲を複数の期間に区分けした個々の期間ごとに評価得点を算出する。評価得点は、利用者の歌唱の巧拙をメロディに関する評価基準に基づいて評価して算出した点数である。安定性評価手段は、1つの楽曲の演奏において採点手段により算出された各期間の評価得点の変動に基づいて、歌唱の安定度を特定する。安定度は、楽曲の演奏における歌唱全体の安定性を評価した値である。歌唱の安定性は、評価得点の変動が少ないほど高く評価され、変動が多いほど低く評価される。
【0009】
歌唱履歴保存手段は、歌唱をした利用者の識別情報と、当該歌唱において演奏された楽曲の曲目と、当該歌唱について安定性評価手段によって特定された安定度とを対応付けた情報を、利用者の歌唱に関する歌唱履歴情報として記憶手段に保存する。順位付手段は、記憶手段に記憶されている歌唱履歴情報に基づいて、利用者ごとの個々の歌唱履歴情報に係る履歴を安定度の高低順に順位付けする。
【0010】
歌唱履歴提示手段は、予約受付手段において楽曲の演奏予約を受付けるときに、記憶手段に記憶されている歌唱履歴情報の中から、演奏予約をする利用者に対応する歌唱履歴情報に基づく推薦情報を、演奏予約をする利用者に対して提示する。この推薦情報は、演奏予約をする利用者に対応する歌唱履歴情報で表される過去に歌唱された楽曲の曲目と、その利用者の歌唱履歴情報について順位付手段によって順位付けされた順位と対応付けて表す情報とを含むものである。
【0011】
本発明によれば、メロディに関する評価得点だけで利用者に推薦する楽曲を決めるのではなく、評価得点の変動の度合いに基づく歌唱の安定性の観点で過去の歌唱を順位付けした推薦情報を利用者に提示することができる。利用者は、提示された推薦情報を参考にすることで、安定して歌唱をすることができる楽曲を知ることができ、歌唱する楽曲を選ぶための有力な手がかりとすることができる。
【0012】
また、本発明に係るカラオケシステムの別形態として、次のように構成するとよい。すなわち、記憶手段には、歌唱履歴情報に係る楽曲が演奏された時を表す情報を更に含む歌唱履歴情報が記憶される。そして、順位付手段は、演奏された時が新しい方から所定の範囲に含まれる歌唱履歴情報について、安定度の高低順に順位付けする。このようにすることで、利用者の近況に即した内容の推薦情報を提示することができる。
【0013】
また、本発明に係るカラオケシステムの別形態として、歌唱履歴提示手段は、予約受付手段において利用者がログインしてからの最初の演奏予約を受付けるときに、演奏予約をする利用者に対応する推薦情報を提示するように構成するとよい。このようにすることで、利用者がカラオケ店舗に訪れて最初に何の楽曲を歌唱するかを決める際に、安定して歌唱をすることができる楽曲を選ぶための有力な手がかりを提示できる。
【0014】
さらに、利用者が最初の歌唱をしてから次の演奏予約を行うときには、次のようにするとよい。すなわち、歌唱履歴提示手段は、最初の演奏予約に係る楽曲が演奏された後でその利用者の以後の演奏予約を受付けるときに、前の演奏予約に係る楽曲の演奏において算出された評価得点に係る良否に応じて、当該利用者の歌唱履歴情報を安定度の高低順に順位付けした推薦情報、又は当該利用者の歌唱履歴情報を1曲分の評価得点の高低順に順位付けした推薦情報を提示する。このようにすることで、例えば、前の歌唱において高得点を獲得できなかった場合、今度は高得点を狙うための参考となるように、評価得点に基づく順位を提示するといった具合に、前の歌唱の結果に応じて柔軟な態様で歌唱する楽曲を推薦できる。
【0015】
つぎに、本発明の一形態に係るカラオケ装置は、カラオケの利用者のログインを受付けるログイン手段と、ログインした利用者ごとに対応付けて楽曲の演奏予約を受付ける予約受付手段と、利用者から受付けた演奏予約に従って楽曲の演奏を行う演奏手段とを備える。さらに、このカラオケ装置は、採点手段と、安定性評価手段と、歌唱履歴保存手段と、順位付手段と、歌唱履歴提示手段とを備える。
【0016】
採点手段は、記演奏手段によって演奏された楽曲を複数の期間に区分けした個々の期間ごとに、前記利用者の歌唱の巧拙をメロディに関する評価基準に基づいて評価して算出した点数である評価得点を算出する。安定性評価手段は、1つの楽曲の演奏において前記採点手段により算出された各期間の評価得点の変動に基づいて、当該楽曲の演奏における歌唱全体の安定性を評価した値である安定度を特定する。
【0017】
歌唱履歴保存手段は、歌唱をした利用者の識別情報と、当該歌唱において演奏された楽曲の曲目と、当該歌唱について安定性評価手段によって特定された安定度とを対応付けた情報を、利用者の歌唱に関する歌唱履歴情報として所定の記憶手段に保存する。順位付手段は、記憶手段に記憶されている歌唱履歴情報に基づいて、利用者ごとの個々の歌唱履歴情報に係る履歴を安定度の高低順に順位付けする。
【0018】
歌唱履歴提示手段は、予約受付手段において楽曲の演奏予約を受付けるときに、記憶手段に記憶されている歌唱履歴情報の中から、演奏予約をする利用者に対応する歌唱履歴情報に基づく推薦情報を、演奏予約をする利用者に対して提示する。この推薦情報は、演奏予約をする利用者に対応する歌唱履歴情報で表される過去に歌唱された楽曲の曲目と、その利用者の歌唱履歴情報について順位付手段によって順位付けされた順位と対応付けて表す情報とを含むものである。
【0019】
本発明に係るカラオケ装置と、利用者ごとの歌唱履歴情報を記憶するための記憶手段を備える装置(例えば、サーバ)を用いることで、本発明に係る上述のカラオケシステムを構築することができ、上述のカラオケシステムと同様の効果が得られる。
【0020】
なお、本発明は、コンピュータにおいて実行されるプログラム、あるいはプログラムを記憶する記憶媒体の形態で実現することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】カラオケシステムの構成を表すブロック図。
図2】演奏期間ごとの得点の推移を表すグラフ。
図3】歌唱得点及び安定度の算出例を表す表。
図4】履歴情報送信処理及び履歴情報保存処理の手順を表すフローチャート。
図5】期間安定度判定処理の手順を表すフローチャート。
図6】推薦情報表示処理及び履歴情報提供処理の手順を表すフローチャート。
図7】推薦情報の表示例を表す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は下記の実施形態に限定されるものではなく様々な態様にて実施することが可能である。
[カラオケシステムの構成の説明]
図1に例示されるとおり、カラオケシステム1は、カラオケ装置10とリモコン端末20と管理サーバ30とを有する。カラオケ装置10は、カラオケ店舗内のLAN50に接続されている。また、リモコン端末20は、無線LANアクセスポイント40を介してLAN50に通信接続するように構成されている。また、管理サーバ30は、インターネット100を介してカラオケ店舗内のLAN50と通信接続する。なお、図1では、カラオケ装置10、リモコン端末20を1つずつ図示しているが、それより多くのカラオケ装置10やリモコン端末20が用いられてもよい。
【0023】
カラオケ装置10は、例えば、カラオケ店舗に設置される業務用のカラオケ装置であり、利用者からリクエストされたカラオケ楽曲(以下、単に楽曲という)を演奏する機能や、利用者の歌唱を評価する機能等を有する。カラオケ装置10は、制御部11、通信インタフェース部12、記憶部13、操作部14、音声入出力部15を備える。また、カラオケ装置10には、ディスプレイ16、マイク17、スピーカ18等の周辺機器が接続されている。
【0024】
制御部11は、CPU、RAM、ROM等(何れも不図示)を中心に構成された情報処理装置であり、装置全体の制御を司る。制御部11は、記憶媒体に格納されたプログラムに従って演算処理を実行することにより、各種機能を実現する。制御部11は、リモコン端末20に備えられた電子早見本の機能を介して利用者から楽曲の演奏予約を受付けると、その楽曲の曲目に対応する曲番号を予約リストに登録する。制御部11は、予約リストに登録されている演奏順に従って、カラオケデータベースから予約曲に対応する楽曲データを読出して演奏処理を行う。
【0025】
また、制御部11は、楽曲の演奏中にマイク17から入力された歌唱音声と、歌唱の評価基準を表すデータである評価基準データとを比較し、歌唱の音高や発音時間等のメロディに関する巧拙度合を表す歌唱得点を算出する、公知の歌唱採点機能を実行する。本実施形態では、この歌唱採点機能によって、楽曲を複数の期間に区分けした個々の演奏期間ごとに、演奏途中の段階での期間得点を算出することを想定している。ここでいう演奏期間は、例えば、楽曲の演奏期間を一定時間ごとに区切ったものであってもよいし、楽譜上の区間(例えば、数小節単位の楽句)ごとに区切ったものであってもよい。なお、本実施形態では、1曲分の全ての期間得点を平均することによって得られる値を、その歌唱全体を評価した歌唱得点として扱うものとする。
【0026】
さらに、制御部11は、1つの楽曲の演奏において算出された期間得点の変動度合に基づいて、歌唱の安定度を特定する機能を有する。安定度は、1つの楽曲の演奏における歌唱得点の安定性を評価した値である。この安定度の算出方法については後述する。
【0027】
通信インタフェース部12は、カラオケ装置10をLAN50に接続し、LAN50及びインターネット100を介した通信を制御する通信装置である。カラオケ装置10は、通信インタフェース部12を介して、リモコン端末20や管理サーバ30との間で通信を行う。
【0028】
記憶部13は、例えばハードディスクドライブや半導体メモリ等の記憶装置で構成される。記憶部13には、制御部11により実行されるプログラムや、その実行時に用いられるデータが記憶されている。また、記憶部13は、個々の楽曲に対応する楽曲データ、楽曲の歌詞を表すテロップを表示するための歌詞データ、歌唱の評価基準を表す評価基準データ、楽曲の演奏時に表示する背景画像データ等を多数収録したカラオケデータベースを有している。各楽曲データは、MIDI(Music Instrument Digital Interface)規格に対応したMIDIデータで構成されている。このMIDIデータには、楽曲の伴奏パートのメロディを演奏するための演奏データが含まれる。また、評価基準データは、歌唱の手本となる基準の歌唱メロディ(歌唱の音高と発音時間)を表す情報によって構成されている。
【0029】
操作部14は、利用者からの操作を入力するための入力装置であり、カラオケ装置10本体に備えられたタッチパネルやキースイッチ等からなる。音声入出力部15は、音声の入出力を制御するデバイスである。音声入出力部15の入力側にはマイク17が接続される。これにより音声入出力部15は、利用者の歌唱音を取得する。音声入出力部15の出力側にはスピーカ18が接続される。これにより音声入出力部15は、楽曲の再生音及び利用者の歌唱音の音源信号をスピーカ18に出力する。スピーカ18は、音声入出力部15から出力される音源信号を音に換えて出力する。ディスプレイ16は、制御部11から送られてくる映像データに基づいて映像の表示を行う表示装置である。
【0030】
また、カラオケ装置10は、利用者がログインをしてカラオケの各種サービスを利用可能な機能を有する。所定のアカウント(例えば、ユーザID)を有する利用者がログインすることで、カラオケ装置10が、カラオケの演奏予約や歌唱の採点、歌唱履歴の保存等のカラオケに関するサービスを個々の利用者に対応付けて実行する。なお、カラオケ装置10のその他の機能や構成については公知技術に従っているので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0031】
リモコン端末20は、カラオケ装置10を遠隔操作するための可搬形の無線通信機器である。リモコン端末20は、カラオケ装置10に演奏させる楽曲の予約を行うための操作等の各種操作を利用者から受付け、その操作情報を操作対象として対応付けられたカラオケ装置10に送信する機能を備える。
【0032】
リモコン端末20は、制御部21、記憶部22、操作部23、表示部24、通信部25を備える。制御部21は、CPU,ROM,RAM等(何れも不図示)を備える情報処理デバイスであり、装置全体の制御を司る。制御部21は、記憶媒体に格納されたプログラムに従って演算処理を実行することにより、各種機能を実現する。記憶部22は、各種情報を記憶する記憶装置である。記憶部22には、制御部21に実行させるプログラムや、その実行時に用いられるデータが記憶されている。
【0033】
操作部23は、利用者からの各種指示を入力するための入力装置であり、表示部24の表示領域に沿って設置されるタッチパネル及び複数のキースイッチ等によって構成される。表示部24は、画像を表示するための表示装置であり、例えば液晶ディスプレイ等によって構成される。通信部25は、無線LANアクセスポイント40との無線LAN通信を介してLAN50に通信接続し、カラオケ装置10との間で通信を行う通信インタフェースである。
【0034】
リモコン端末20は、カラオケ装置10に演奏させる楽曲を利用者が予約する際、演奏可能な楽曲の一覧から所望の楽曲を検索できる電子早見本機能や、利用者の過去の歌唱履歴の中から推薦する楽曲を順位付けして提示する機能を有する。なお、リモコン端末20のその他の構成や機能については公知技術に従っているので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0035】
管理サーバ30は、カラオケ装置10において取得される利用者の歌唱履歴情報を蓄積し、蓄積した歌唱履歴情報に基づく情報提供を行うサーバ装置である。この管理サーバ30は、歌唱履歴データベース31を有する。この歌唱履歴データベース31には、カラオケ装置10からアップロードされた利用者ごとの過去の歌唱の履歴に関する歌唱履歴情報が蓄積されている。歌唱履歴情報には、利用者が歌唱した楽曲の曲目と、その歌唱に対して歌唱採点機能によって算出された歌唱得点と、その歌唱の安定性が評価された値である安定度と、歌唱が行われた日付とを表す情報が含まれる。歌唱履歴情報は、利用者の識別情報(例えば、ユーザID)に対応付けて記憶されている。
【0036】
カラオケ装置10は、楽曲の演奏時に入力された歌唱音声を評価基準データに基づいて採点した歌唱得点と、その歌唱の安定性を評価した安定度と、楽曲の曲目と、ユーザIDと、日付とを対応付けて、歌唱履歴情報として管理サーバ30にアップロードする。管理サーバ30は、カラオケ装置10から受信した歌唱履歴情報を、対応する利用者のユーザ
IDに対応付けて保存する。これにより、多くの利用者に関する歌唱履歴情報が管理サーバ30に蓄積される。
【0037】
管理サーバ30は、リモコン端末20から歌唱履歴情報の取得要求を受付けると、その取得要求において指定された利用者の歌唱履歴情報を歌唱履歴データベース31から読出し、要求元のリモコン端末20に送信する。
【0038】
[歌唱得点及び安定度の説明]
カラオケ装置10が楽曲の演奏時に導出する歌唱得点と安定度の具体例について、図2及び図3の事例を参照しながら説明する。図2の符号(a)〜(e)のグラフは、ある1人の利用者が5つの楽曲A,B,C,D,Eを歌唱したときに各楽曲の評価基準データに基づいて算出された期間得点の推移を表したものである。各グラフ(a)〜(e)において、縦軸は期間得点の点数を表し、横軸は演奏期間を表している。なお、図2の事例では、各楽曲をそれぞれ8つの演奏期間に分割したものを想定しているが、これに限られるものではない。
【0039】
図2に例示されるとおり、例えば、グラフ(c),(d)で表されるように演奏全体を通して期間得点がほぼ一定に安定している場合もあれば、グラフ(a),(e)で表されるように演奏期間ごとに期間得点が激しく上下に変動する場合もある。期間得点を平均して1曲全体の歌唱得点を算出する場合、複数の歌唱について歌唱得点が同じ水準であったとしても、期間得点の変動が大きい場合と小さい場合とでは、歌唱の安定性という観点において歌唱を聴取した参加者の印象は大いに異なると考えられる。
【0040】
図2の各グラフ(a)〜(e)で表される歌唱事例について、1曲全体の歌唱得点及び安定度を導出したものを図3に示す。図3の符号(a)〜(e)の表は、図2の各グラフ(a)〜(e)に対応する各歌唱事例について、演奏期間ごとの期間得点及び期間安定度と、1曲全体の歌唱得点及び安定度とを表したものである。期間安定度は、演奏期間ごとの歌唱の安定性を表す値である。歌唱の安定性は、評価得点の変動が少ないほど高く評価され、変動が多いほど低く評価される。具体的には、ある演奏期間の期間得点について、その1つ前の演奏期間の期間得点との差に応じて、評価が高い順に「○」、「△」、「×」の何れかの値がその演奏期間における期間安定度として付与されるものとする。
【0041】
例えば、図3の事例では、1つ前の演奏期間の期間得点との差が10点より大きい場合、その演奏期間における期間安定度として、最低の評価である「×」が付与される。また、1つ前の演奏期間の期間得点との差が10点以内であり、かつその演奏期間の期間得点が70点以上80点未満である場合、その演奏期間における期間安定度として、中程度の評価である「△」が付与される。また、1つ前の演奏期間の期間得点との差が10点以内であり、かつその演奏期間の期間得点が80点以上である場合、その演奏期間における期間安定度として、最高の評価である「○」が付与される。ただし、ある演奏期間の期間得点が所定の第1閾値(例えば、図3の事例では70点)未満である場合、前の演奏期間との得点差に関わらず、期間安定度として最低の評価である「×」が付与される。
【0042】
また、歌唱得点は、1曲分全ての期間得点の平均値である。安定度は、1曲全体の歌唱の安定性を表す値であり、1曲分の全ての期間安定度を統合解析することにより算出される。図3の事例では、期間安定度における「○」、「△」、「×」の評価にそれぞれ3:2:1の重みを設定し、かつ1曲分全ての演奏期間において「○」の評価を得た場合に100点満点となるように、1曲分全ての期間安定度を加重合計した値を表している。なお、期間安定度を統合解析して1曲全体の安定度を算出する方法については、前述の方法に限られるものではなく、様々な方法を適用できる。
【0043】
図3の事例において注目すべきは、評価基準データに基づく歌唱得点の良否が、必ずしも歌唱の安定度の良否と一致するとは限らない点である。例えば、符号(e)の表で表される歌唱事例においては、符号(a)〜(e)の歌唱事例中で最も高い歌唱得点を得ているにも関わらず、安定度は最低となっている。また、符号(a),(b),(c)の歌唱事例においては歌唱得点が同一であるが、安定度については100〜42.8ポイントと大きな差があることが分かる。このため、利用者が歌唱する楽曲を選ぶ際には、歌唱得点又は安定度の何れを重視するかによって、過去の歌唱履歴の中から推薦すべき楽曲の内容が変わる。
【0044】
[履歴情報送信処理及び履歴情報保存処理の説明]
カラオケ装置10が実行する履歴情報送信処理、及び管理サーバ30が実行する履歴情報保存処理の手順について、図4のフローチャートを参照しながら説明する。履歴情報送信処理は、カラオケ装置10において予約リストに登録された楽曲に対する演奏処理と並行して実行される処理である。また、履歴情報送信処理は、管理サーバ30においてカラオケ装置10から歌唱履歴情報を受信する都度実行される処理である。
【0045】
S100では、カラオケ装置10の制御部11は、予約リストにおいて演奏順が到来した楽曲に対応する楽曲データに基づいて、カラオケの演奏処理を開始する。S102では、制御部11は、楽曲の演奏に合わせてマイク17から入力される利用者の歌唱音声を表す音声情報を取得する。この音声情報は、例えば、歌唱音声の波形をサンプリングすることによって得られるデジタル音声データによって構成される。
【0046】
S104では、制御部11は、S102において取得された音声情報について、現時点で演奏された演奏期間に対応する歌唱の評価を表す期間得点を算出する。期間得点は、楽曲を複数に区分けした個々の演奏期間ごとに歌唱の巧拙度合を採点した点数である。制御部11は、採点対象の演奏期間に対応する音声情報で表される歌唱の音高や発音時間と、当該演奏期間に対応する評価基準データで表される基準の音高や発音時間とを比較し、その一致度合に基づいて期間得点を算出する。
【0047】
S106では、制御部11は、S104において算出された期間得点に基づいて、期間安定度を特定する期間安定度判定処理を実行する。期間安定度は、演奏期間ごとに歌唱の安定性を評価した値である。ここで、S106の期間安定度判定処理の詳細について、図5のフローチャートを参照しながら説明する。
【0048】
S200では、制御部11は、現時点の演奏期間(以下、現期間という)の1つ前の演奏期間(以下、前期間という)について算出された期間得点が記憶されているか否かを判定する。前期間の期間得点が記憶されていない場合(S200:NO)、制御部11はS202に進む。S202では、制御部11は、現期間の期間安定度を「なし」と判定し、本処理を終了する。
【0049】
一方、前期間の期間得点が記憶されている場合(S200:YES)、制御部11はS204に進む。S204では、制御部11は、現期間について算出された期間得点が所定の第1閾値以上であるか否かを判定する。ちなみに、図3の事例においては、第1閾値が70点と設定されているものとする。現期間の期間得点が第1閾値未満である場合(S204:NO)、制御部11はS206に進む。S206では、制御部11は、現期間の期間安定度を最低の評価である「×」と判定し、本処理を終了する。
【0050】
一方、現期間の期間得点が第1閾値以上である場合(S204:YES)、制御部11はS208に進む。S208では、制御部11は、前期間の期間得点と現期間の期間得点との差の絶対値が所定の第2閾値以内であるかを判定する。ちなみに、図3の事例においては、第2閾値が10点と設定されているものとする。前期間と現期間との得点差の絶対値が第2閾値より大きい場合(S208:NO)、制御部11はS206に進む。S206では、制御部11は、現期間の期間安定度を最低の評価である「×」と判定し、本処理を終了する。
【0051】
一方、前期間と現期間との得点差の絶対値が第2閾値以内である場合(S208:YES)、制御部11はS210に進む。S210では、制御部11は、現期間の期間得点が所定の第3閾値以上であるか否かを判定する。ちなみに、図3の事例においては、第3閾値が80点と設定されているものとする。現期間の期間得点が第3閾値未満である場合(S210:NO)、制御部11はS212に進む。S212では、制御部11は、現期間の期間安定度を中程度の評価である「△」と判定し、本処理を終了する。
【0052】
一方、現期間の期間得点が第3閾値以上である場合(S210:YES)、制御部11はS214に進む。S214では、制御部11は、現期間の期間安定度を最高の評価である「○」と判定し、本処理を終了する。
【0053】
図4のフローチャートの説明に戻る。S108では、制御部11は、S104において算出された現期間の期間得点と、S106において特定された現期間の期間安定度とを所定の記憶領域に保存する。S110では、制御部11は、楽曲の演奏が終了したか否かを判定する。楽曲の演奏が終了していない場合(S110:NO)、制御部11はS102に戻り、次の演奏期間についてS102〜S108の処理を繰返す。一方、楽曲の演奏が終了した場合(S110:YES)、制御部11はS112に進む。
【0054】
S112では、制御部11は、今回演奏された楽曲全体の歌唱得点を算出する。具体的には、所定の記憶領域に保存されている1曲全体の期間得点の平均値を算出し、その平均値を歌唱得点として扱う。S114では、制御部11は、今回演奏された楽曲全体の安定度を判定する。具体的には、所定の記憶領域に保存されている1曲分の全ての期間安定度を統合解析して安定度を算出する。例えば、図3の事例のように、期間安定度における「○」、「△」、「×」の評価にそれぞれ重みを設定して、1曲分全ての期間安定度を加重合計した値を安定度として扱うことが考えられる。
【0055】
S116では、制御部11は、今回演奏された楽曲に関する歌唱履歴情報を管理サーバ30に送信する。この歌唱履歴情報には、今回演奏された楽曲の曲目と、当該楽曲を演奏予約した利用者のユーザIDと、S112において算出された歌唱得点と、S114において判定された安定度と、現在の日付とが含まれる。
【0056】
一方、S300では、管理サーバ30は、カラオケ装置10から歌唱履歴情報を受信する。そして、S302では、管理サーバ30は、S300で受信した歌唱履歴情報を、その歌唱履歴情報に含まれるユーザIDに対応付けて保存する。上述した歌唱履歴情報の送信と保存についての処理は、演奏1曲ごとに行われる。あるいは、カラオケ装置10は、アカウントを持つ利用者がログインしてからログアウトするまでの期間に、その利用者が行った歌唱に関する歌唱履歴情報を記憶部13等に一時的に記憶しておき、ログアウト時に一括して管理サーバ30に送信してもよい。そして、管理サーバ30は、利用者にログアウト時に一括して送信された歌唱履歴情報を、歌唱履歴データベース31に保存する。
【0057】
[推薦情報表示処理及び履歴情報提供処理の説明]
リモコン端末20が実行する推薦情報表示処理、及び管理サーバ30が実行する履歴情報提供処理の手順について、図6のフローチャートを参照しながら説明する。推薦情報表示処理は、リモコン端末20において利用者から楽曲の演奏予約を受付ける際に、推薦情報の表示を要求する操作がなされることで実行される処理である。また、履歴情報送信処理は、管理サーバ30においてリモコン端末20から歌唱履歴情報の取得要求を受信する都度実行される処理である。
【0058】
S400では、リモコン端末20の制御部21は、楽曲の演奏予約をする利用者が現在ログイン中であるか否かを判定する。利用者がログインをしていない場合(S400:NO)、制御部21は本処理を終了する。一方、利用者がログインをしている場合(S400:YES)、制御部21はS402に進む。S402では、制御部21は、S400において判定されたログイン中の利用者(以下、当該利用者と表記する)に関する歌唱履歴情報を管理サーバ30から取得する。具体的には、制御部21は、当該利用者のユーザIDを伴う歌唱履歴取得要求を管理サーバ30に送信し、それに対する応答として管理サーバ30から送信される歌唱履歴情報を受信する。
【0059】
一方、S500では、管理サーバ30は、リモコン端末20から歌唱履歴取得要求を受信する。そして、S502では、管理サーバ30は、受信した歌唱履歴取得要求に含まれるユーザIDに該当する歌唱履歴情報を歌唱履歴データベース31から読出し、これを要求元のリモコン端末20に送信する。
【0060】
S404では、制御部21は、カラオケ装置10から当該利用者が前回歌唱した楽曲に関する情報を取得する。この情報には、前回の歌唱時に採点された歌唱得点を表す情報が含まれるものとする。S406では、制御部21は、S402において取得された歌唱履歴情報の一覧をメモリに展開する。S408では、制御部21は、メモリに展開された歌唱履歴情報について表示順序を選定する。具体的には、次のとおりにする。
【0061】
まず、S410において、制御部21は、現時点で受付ける演奏予約が当該利用者によるログイン後の1曲目の演奏予約であるか否かを判定する。当該利用者による1曲目の演奏予約である場合(S410:YES)、制御部21はS412に進む。S412では、制御部21は、歌唱履歴情報を安定度の順にソートした推薦情報を表示する。具体的には、制御部21は、メモリに展開された歌唱履歴情報の一覧を安定度が高い順にソートし、各歌唱履歴情報に安定度優先の順位を付ける。このとき、歌唱履歴情報に含まれる日付が一定期間より古いものについてはソートの対象から除外し、それよりも日付が新しい歌唱履歴情報に限定してソートするように構成してもよい。また、同一の曲目について複数の歌唱履歴情報が存在する場合、日付が新しい方の歌唱履歴情報のみをソートの対象にし、古い方の歌唱履歴情報は除外するように構成してもよい。そして、制御部21は、安定度に基づいて順位付けされた歌唱履歴情報の内容を、安定度優先の推薦情報として表示部24に表示する。
【0062】
一方、現時点で受付ける演奏予約が当該利用者による2曲目以降の演奏予約である場合(S410:NO)、制御部21はS414に進む。S414では、制御部21は、当該利用者の前回の歌唱時に採点された歌唱得点が所定の基準値未満であるか否かを判定する。当該利用者の前回の歌唱得点が基準値を超えている場合(S414:NO)、制御部21はS412に進む。S412では、制御部21は、歌唱履歴情報を安定度の順にソートした推薦情報を表示する。
【0063】
一方、当該利用者の前回の歌唱得点が基準値以下である場合(S414:YES)、制御部21はS416に進む。S416では、制御部21は、歌唱履歴情報を歌唱得点の順にソートした推薦情報を表示する。具体的には、制御部21は、メモリに展開された歌唱履歴情報の一覧を歌唱得点が高い順にソートし、各歌唱履歴情報に歌唱得点優先の順位を付ける。このとき、歌唱履歴情報に含まれる日付が一定期間より古いものについてはソートの対象から除外し、それよりも日付が新しい歌唱履歴情報に限定してソートするように構成してもよい。また、同一の曲目について複数の歌唱履歴情報が存在する場合、日付が新しい方の歌唱履歴情報のみをソートの対象にし、古い方の歌唱履歴情報は除外するように構成してもよい。制御部21は、歌唱得点に基づいて順位付けされた歌唱履歴情報の内容を、歌唱得点優先の推薦情報として表示部24に表示する。
【0064】
S412及びS416において表示される推薦情報の具体例について、図7を参照しながら説明する。図7の符号(a)は、当該利用者に関する歌唱履歴情報が安定度の高い順にソートされた、安定度優先の推薦情報が表示部24に表示された画面の一例である。また、図7の符号(b)は、当該利用者に関する歌唱履歴情報が歌唱得点の高い順にソートされた、歌唱得点優先の推薦情報が表示部24に表示された画面の一例である。これらの推薦情報の画像には、曲目ごとに、順位、楽曲の名称、歌唱された日付、歌唱得点、及び安定度を表す情報が表示されている。なお、図7の符号(a),(b)の推薦情報は、同じ利用者の歌唱履歴情報から作成されたものとする。
【0065】
図7に例示されるとおり、安定度優先の推薦情報と歌唱得点優先の推薦情報とでは、同じ楽曲でも推薦される順位が異なることが分かる。したがって、例えば利用者が1番初めに歌唱する楽曲を選ぶときのように、歌唱の安定性を重視する場面では、安定度優先の推薦情報が有用となる。一方、歌唱の安定性よりも歌唱採点機能で高得点を取得することを重心する場面では、歌唱得点優先の推薦情報が有用となる。
【0066】
[効果]
実施形態のカラオケシステム1によれば、次の効果を奏する。
利用者の歌唱履歴情報の中から、歌唱の安定性の観点に基づいて推薦する楽曲を決めることができる。これにより、利用者は、提示された推薦情報を参考にすることで、安定して歌唱をすることができる楽曲を知ることができ、歌唱する楽曲を選ぶための有力な手がかりとすることができる。
【0067】
特に、利用者が初めに歌唱する楽曲を選ぶときに安定度優先の推薦情報を表示することで、利用者がカラオケ店舗に訪れて最初に何の楽曲を歌唱するかを決める際に、場の雰囲気を悪くしないように安定して歌唱できる楽曲を選ぶ手がかりとすることができる。
【0068】
さらに、利用者が2曲目以降の演奏予約を行うときには、前回の歌唱に関する歌唱得点の良否に応じて、安定度優先の推薦情報を表示したり、歌唱得点優先の推薦情報を表示することができる。このようにすることで、前の歌唱の結果に応じた柔軟な態様で歌唱する楽曲を推薦できる。
【0069】
[特許請求の範囲に記載の構成との対応]
実施形態の各構成と、特許請求の範囲に記載の構成との対応は次のとおりである。
管理サーバ30が備える歌唱履歴データベース31が、記憶手段に相当する。カラオケ装置10の制御部11が実行するS104が、採点手段としての処理に相当する。カラオケ装置10の制御部11が実行するS106,S114が、安定性評価手段としての処理に相当する。カラオケ装置10の制御部11が実行するS116が、歌唱履歴保存手段としての処理に相当する。リモコン端末20の制御部21が実行するS412が、順位付手段としての処理に相当する。リモコン端末20の制御部21が実行するS412,S416が、歌唱履歴提示手段としての処理に相当する。
【0070】
[変形例]
上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。例えば、リモコン端末20の制御部21が実行する順位付手段としての処理を、管理サーバ30が実行し、その結果をリモコン端末20に通知する構成であってもよい。また、リモコン端末20の制御部21が実行する図6の推薦情報表示処理の一部又は全部を、カラオケ装置10の制御部11が実行する構成であってもよい。
【0071】
また、上記実施形態の構成の一部を、課題を解決できる限りにおいて省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本発明の実施形態である。
【0072】
上述した制御部11及び制御部21としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した半導体メモリ等の非遷移的実態的記録媒体等、種々の形態で本発明を実現することもできる。
【符号の説明】
【0073】
1…カラオケシステム、10…カラオケ装置、11…制御部、12…通信インタフェース部、13…記憶部、14…操作部、15…音声入出力部、16…ディスプレイ、17…マイク、18…スピーカ、20…リモコン端末、21…制御部、22…記憶部、23…操作部、24…表示部、25…通信部、30…管理サーバ、31…歌唱履歴データベース、40…無線LANアクセスポイント、50…LAN。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7