(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の配線パターンまたは前記第2の配線パターンと前記半導体チップとは、はんだを含む前記第1の接続端子または前記第2の接続端子を介して互いに接続されている、請求項6に記載の半導体装置。
前記第1の配線パターンまたは前記第2の配線パターンと前記半導体チップとは、金を含む前記第1の接続端子または前記第2の接続端子を介して互いに接続されている、請求項6又は7に記載の半導体装置。
前記第1の配線パターン及び前記第2の配線パターンに接合された前記半導体チップを封止樹脂で覆う工程を更に備える、請求項9又は10に記載の半導体装置の製造方法。
前記支持体を前記配線基板から剥離する工程の後において、前記配線基板から前記接着剤層を除去する工程を更に備える、請求項9〜11のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、半導体チップを実装する前に導通検査を行うことが可能な配線基板積層体、これを用いた半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る配線基板積層体は、透明性を有する支持体と、支持体の主面上に設けられ、光の照射により分解可能な樹脂を含む接着剤層と、接着剤層の上層に設けられる高抵抗導電層と、パターニングされた導電層の上層に設けられる配線基板とを備え、配線基板は、高抵抗導電層の上層の一部に設けられる導電層と、パターニングされた導電層の上層に設けられる2層以上の樹脂層と、2層以上の樹脂層の層間に設けられ、互いに分離された第1の配線パターン及び第2の配線パターンと、第1の配線パターンと接続する第1の接続端子と、第2の配線パターンと接続する第2の接続端子と、導電層の上層に設けられ、第1の配線パターンと接続する第1の接続パッド及び第2の配線パターンと接続する第2の接続パッドとを有し、第1の接続端子と第1の接続パッドとの間の抵抗値r1と、第2の接続端子と第2の接続パッドとの間の抵抗値r2と、第1の接続パッドと第2の接続パッドとの間の抵抗値Rとが、r1<R、かつr2<R、かつR<10000Ωを満たす。
【0007】
また、支持体はガラス基板であってもよい。
【0008】
また、支持体の主面の最大高さ粗さは、0.01μm以上5μm以下であってもよい。
【0009】
また、接着剤層は、支持体の主面上に設けられ、光の照射により分解可能な樹脂を含む剥離層と、剥離層の上層に設けられる保護層とを有してもよい。
【0010】
また、配線基板の厚さは、0.001mm以上1mm以下であってもよい。
【0011】
また、支持体の主面の最大高さ粗さは、0.01μm以上5μm以下であってもよい。
【0012】
また、配線基板の厚さは、0.001mm以上1mm以下であってもよい。
【0013】
また、本発明に係る半導体装置は、上述の配線基板積層体から支持体を除去した配線基板と、表面に突起電極が設けられており、当該突起電極を介して配線基板の第1の配線パターンまたは第2の配線パターンに接続される半導体チップと、を備える。
【0014】
また、第1の配線パターンまたは第2の配線パターンと半導体チップとは、はんだを含む第1の接続端子または第2の接続端子を介して互いに接続されていてもよい。
【0015】
また、第1の配線パターンまたは第2の配線パターンと半導体チップとは、金を含む第1の接続端子または第2の接続端子を介して互いに接続されていてもよい。
【0016】
また、本発明に係る半導体装置の製造方法は、本発明に係る配線基板積層体を準備する工程と、配線基板積層体の配線基板に半導体チップを搭載すると共に、第1の配線パターン及び第2の配線パターンに当該半導体チップを接合する工程と、支持体を介して接着剤層に光を照射することによって、支持体を配線基板から剥離する工程と、を備える。
【0017】
また、光はレーザー光であってもよい。
【0018】
また、本発明に係る半導体装置の製造方法は、上述の配線基板積層体を準備する工程と、配線基板積層体の配線基板に半導体チップを搭載すると共に、第1の配線パターン及び第2の配線パターンに当該半導体チップを接合する工程と、支持体を配線基板から剥離する工程と、を備える。
【0019】
また、第1の配線パターン及び第2の配線パターンに接合された半導体チップを封止樹脂で覆う工程を更に備えてもよい。
【0020】
また、支持体を配線基板から剥離する工程の後において、配線基板から接着剤層を除去する工程を更に備えてもよい。
【0021】
また、支持体を配線基板から剥離する工程の後において、配線基板に外部接続端子を設ける工程と、配線基板を切断して個片化する工程と、を更に備えてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、半導体チップを実装する前に導通検査を行うことが可能な配線基板積層体を実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0025】
図1は、実施形態に係る配線基板積層体を用いて製造された半導体装置1を説明する図である。
図1に示されるように、半導体装置1は、配線基板21と、半導体チップ22と、アンダーフィル24と、モールド樹脂25と、複数の外部接続端子31とを備えている。なお、配線基板21の詳細については後述する。
【0026】
半導体チップ22は、例えば半導体基板表面に形成されるトランジスタ又はダイオード等を有する集積回路(IC又はLSI)であり、略直方体形状を有している。半導体チップ22に用いられる半導体基板としては、例えばシリコン基板(Si基板)、窒化ガリウム基板(GaN基板)、又は炭化ケイ素基板(SiC基板)等の無機物を主成分とした基板が用いられる。本実施形態では、半導体基板としてシリコン基板が用いられる。シリコン基板を用いて形成される半導体チップ22の線膨張係数(CTE:Coefficient of Thermal Expansion)は、約2ppm/℃〜4ppm/℃(例えば3ppm/℃)である。本実施形態における線膨張係数は、例えば20℃〜260℃の温度範囲内における温度の上昇に対応して変化する長さの変化率とする。
【0027】
半導体チップ22の表面22aには、突起電極(バンプとも言う)23が設けられている。半導体チップ22は、この突起電極23を介して配線基板21の主面21aに露出する配線パターン(図示せず)と電気的に接続している。突起電極23は、例えばAu、Ag、Cu、Al等の金属もしくはこれらの合金、CuにAuめっき等を施した金属複合体、又は、Sn、Sn−Pb、Sn−Ag、Sn−Cu、Sn−Ag−Cu、Sn−BiもしくはAu系等のはんだによって形成される。突起電極23は、半導体チップ22の領域内全体に配置されていてもよいし、半導体チップ22の周辺領域に配置されていてもよい。半導体チップ22と配線基板積層体21とを互いに接続する方式としては、例えばワイヤボンディング方式又はフリップチップ方式が挙げられる。本実施形態では、実装面積の縮小化及び作業の効率化の観点から、フリップチップ方式によって半導体チップ22及び配線基板21が互いに接続されている。
【0028】
アンダーフィル24は、半導体チップ22を配線基板21上に固定及び封止するために用いられる接着剤である。アンダーフィル24としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、オキセタン樹脂、及びマレイミド樹脂の内の1種又はこれらの樹脂の2種類以上が混合された樹脂に、フィラーとしてシリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、又は酸化亜鉛等を加えた材料が用いられる。アンダーフィル24は、液状であってもよいし、フィルム状であってもよい。
【0029】
モールド樹脂25は、半導体チップ22を覆って封止及び保護するために用いられる封止樹脂である。モールド樹脂25としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、オキセタン樹脂、及びマレイミド樹脂の内の1種又はこれらの樹脂の2種類以上が混合された樹脂に、フィラーとしてシリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、又は酸化亜鉛等を加えた材料が用いられる。
【0030】
外部接続端子31は、配線基板21の裏面21b上に設けられている。外部接続端子31は、配線基板21内に設けられている配線パターンを介して半導体チップ22と電気的に接続している。外部接続端子31は、例えばSn、Sn−Pb、Sn−Ag、Sn−Cu、Sn−Ag−Cu、又はSn−Bi等のはんだによって形成される。外部接続端子31がはんだによって形成される場合、外部接続端子31の形成箇所となる部分、すなわち配線基板21の裏面21b上の配線パターンが露出した部分に、例えばNiめっき、Auめっき、又はSnめっきが施されてもよく、プレソルダー処理が施されてもよく、OSP(Organic Solderability Preservative)等の有機被膜処理が施されてもよい。
【0031】
図2は、実施形態に係る配線基板積層体11を示す図であって、半導体チップ22の実装前の状態を示す図である。
図2に示す配線基板積層体11は、支持体12と、接着剤層13と、配線基板21とを備えている。配線基板21は、第1樹脂層14と、接続パッド15と、パターニングされた導電層51と、配線パターン18と、第2樹脂層19と、接続端子20とを有している。配線パターン18と、樹脂層はさらに積層されていてもよい。例えば、第2樹脂層19の上に別の配線パターン18が積層され、さらに第3樹脂層を積層してもよい。配線基板21の厚さの下限値は、例えば0.001mm以上であってもよく、0.01mm以上であればよりよく、0.03mm以上であればさらによい。また、配線基板21の厚さの上限値は、例えば1mm以下であってもよく、0.8mm以下であればよりよく、0.5mm以下であればさらによい。配線基板21の厚さが0.001mm以上であることによって、配線基板21に設けられる配線パターン18を第1樹脂層14及び第2樹脂層19によって保護することができる。配線基板21の厚さが1mm以下であることによって、支持体12と配線基板21との線膨張率等の差に起因した配線基板積層体11の反りを抑制できる。なお、本明細書における配線基板21の厚さとは、パターニングされた導電層51との界面から第2樹脂層19又は配線パターン18の最上面に至るまでの厚み方向の寸法である。ここで、「厚み方向」とは、配線基板積層体11の主面に対して垂直な方向をいう。
【0032】
支持体12の主面12aは、例えば略矩形状、略円形状、又は略楕円形状等である。支持体12は、光を透過する性質(透明性)を有する材料から構成される基板とし、例えばレーザー光のような特定の波長を透過する性質を有するものでもよい。支持体12が透過する光の波長の範囲は、例えば300nm以上2000nm以下でもよく、300nm以上1100nm以下でもよい。支持体12は、例えばガラス基板が用いられる。支持体12にガラス基板を用いることで、安価で、かつ、強度を高くすることができると共に、支持体12の大型化が容易にできる。また、支持体12の表面の粗さを容易に調整することができる。ガラスとしては、例えば石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス、ソーダガラス、又はサファイアガラス等が用いられる。ガラスの線膨張係数は、上述した半導体チップ22の線膨張係数と近い値であることが好ましい。半導体チップ22の線膨張係数と近い値であれば、配線基板積層体11に半導体チップ22を搭載する際に発生する位置ずれを抑制することができ、その結果、半導体チップ22と配線基板積層体11との接合部分が破壊されることを抑制することができる。よって、ガラスの線膨張係数は、例えば−1ppm/℃以上10.0ppm/℃以下でもよく、特に0.5ppm/℃以上5.0ppm/℃以下が好適である。また、JIS B 0601:2013に基づいた支持体12の主面12aにおける最大高さ粗さRzは、例えば0.01μm以上5μm以下でもよく、0.1μm以上3μm以下でもよい。支持体12の主面12aの最大高さ粗さRzが0.01μm以上であることによって、支持体12を準備するコストの増加を抑制することができる。支持体12の主面12aの最大高さ粗さRzが5μm以下であることによって、主面12aの凹凸に起因した配線パターン18の断線及び短絡等を抑制できる。
【0033】
接着剤層13は、支持体12とパターニングされた導電層51とを互いに接着するための層である。
接着剤層13は、支持体12の主面12a上に設けられており、光の照射により分解可能な樹脂を含んでいる。本実施形態において、接着剤層13を分解させるための光としてレーザー光を使用するので、接着剤層13に含まれる、光の照射により分解可能な樹脂として、レーザー光が照射されることによって熱分解可能な樹脂が用いられる。接着剤層13に含まれる樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、オキセタン樹脂、及びマレイミド樹脂の内の1種又はこれらの樹脂の2種類以上が混合された樹脂等が用いられる。接着剤層13の厚さは、例えば20μm〜100μmである。
【0034】
パターニングされた導電層51は、接着剤層13上に設けられる層であり、例えば配線基板の配線に用いられるCu、またはAg、Al、Au、Cr、Ti、Pt、Ni、W、Mo、Ir、Hf、Pd、Rh、Ru、Ta、Bi、Nb、Snのいずれか、または上記のいずれかを含む合金、または上記のいずれかを含む酸化物、酸化インジウムスズ(ITO)、アルミドープ酸化亜鉛(AZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)、インジウムドープ酸化亜鉛(IZO)、フッ素ドープ酸化亜鉛(FZO)、酸化亜鉛(ZNO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、フッ素ドープ酸化スズFTO等が用いられる。パターニングされた導電層51の厚さは、例えば5nm〜20nmであり、パターニングされた導電層51の開口面積率は導電層51の材質がCuの場合80.0%〜99.6%である。導電層51は、めっき処理の際の給電層としての機能を持たせても良い。パターニングされた導電層51の開口率を上げることで、半導体チップ22の実装前に、配線間の短絡検査及び接続パッドと接続端子との間の断線検査を行うことが可能となる。これにより、半導体チップ22の実装前に配線基板積層体11が良品であるか否かを判断することができるため、半導体装置1の歩留まりを向上させることが可能となる。尚、半導体チップ22の実装前における配線基板積層体11の導電検査方法の詳細については後述する。
【0035】
第1樹脂層14は、パターニングされた導電層51上に設けられる樹脂層であり、開口部14aを有している。第1樹脂層14は、例えばエポキシ樹脂、ポリイミド、マレイミド樹脂、ポリエチレンテレフタラート、ポリフェニレンオキシド、液晶ポリマー、又はシリコーン等の樹脂材料及びこれらの複合材料を含む。また、第1樹脂層14は、無機フィラー又は有機フィラーが含まれていてもよい。第1樹脂層14は、例えばエポキシ樹脂及びガラス繊維が組み合わせた材料を含んでもよい。第1樹脂層14として、例えばエポキシ系の絶縁性樹脂等からなるソルダーレジストが用いられてもよい。第1樹脂層14の厚さは、例えば0.5μm〜100μmである。
【0036】
接続パッド15は、例えばAu等の金属から構成される導電層であり、第1樹脂層14の開口部14a内に設けられている。接続パッド15は、開口部14a内においてパターニングされた導電層51と接している。接続パッド15の厚さは、例えば0.003μm〜30μmである。
【0037】
配線パターン18は、例えばAu、Cu、Ni等の金属から構成される導電層であり、第1樹脂層14及び接続パッド15上に設けられている。配線パターン18は、第1樹脂層14の開口部14aを介して接続パッド15に電気的に接続されている。配線パターン18の厚さは、例えば1μm〜20μmである。
【0038】
第2樹脂層19は、第1樹脂層14及び配線パターン18上に設けられる樹脂層であり、開口部19aを有している。第2樹脂層19は、例えばエポキシ樹脂、ポリイミド、マレイミド樹脂、ポリエチレンテレフタラート、ポリフェニレンオキシド、液晶ポリマー、又はシリコーン等の樹脂材料又はこれらの複合材料が用いられる。また、第2樹脂層19は、無機フィラー又は有機フィラーが含まれていてもよい。第2樹脂層19は、例えばエポキシ樹脂及びガラス繊維が組み合わせた材料を含んでもよい。第2樹脂層19として、例えばエポキシ系の絶縁性樹脂等からなるソルダーレジストが用いられてもよい。第2樹脂層19に設けられている開口部19aは、第1樹脂層14の開口部14aと重なっておらず、配線パターン18の一部を露出するように設けられている。第2樹脂層19の厚さは、例えば0.5μm〜30μmである。
【0039】
接続端子20は、第2樹脂層19の開口部19a内に設けられる端子であり、配線パターン18が半導体チップ22の突起電極23(
図1参照)と電気的接続しやすいように設けられている。接続端子20は、例えば共晶はんだ又は鉛フリーはんだ(Sn−Ag、Sn−Cu、Sn−Ag−Cu、又はSn−Bi等)によって形成される。接続端子20は、種々の金属からなる導電層上に共晶はんだ又は鉛フリーはんだが設けられた端子でもよい。はんだを含む接続端子20を介して配線パターン18と半導体チップ22の突起電極23とが接続されることにより、配線パターン18と半導体チップ22との間に位置ずれが発生した場合であっても、接続端子20に含まれるはんだによってずれを埋めることができ、半導体チップ22と配線基板積層体11との間に発生する接続不良を抑制することができる。また、開口部19aに、Ni、Au、Sn等のめっき処理を施す、又はOSP等の有機被膜処理を施すことにより、接続端子20を形成してもよい。また、接続端子20は、配線パターン18に金めっきを行うことにより形成してもよい。この場合、接続端子20の導電性が向上すると共に、接続端子20の腐食が抑制される。半導体チップ22の突起電極23が金ボールバンプ(例えば、Au、Auを含む合金、表面にAuめっきを施した金属複合体による金バンプ、又はAu系のはんだによって形成されたバンプ)である場合、当該突起電極23と金めっきが施された接続端子20との接合性が向上する。
【0040】
次に、
図3の(a)〜(i)を参照しながら、実施形態に係る配線基板積層体11の製造方法を説明する。
図3の(a)〜(i)は、配線基板積層体11の製造方法の一例を説明する図である。
【0041】
まず、
図3の(a)に示されるように、支持体12の主面12a上に接着剤層13を形成する。接着剤層13は、例えば印刷法、真空プレス法、真空ラミネート法、ロールラミネート法、スピンコート法、ダイコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、又はフォトリソグラフィー法等の公知の方法にて形成される。
【0042】
次に、
図3の(b)に示されるように、接着剤層13上に導電層51aを形成する。導電層51aは、例えば真空プレス法、真空ラミネート法、ロールラミネート法、無電解めっき法、電解めっき法、スパッタ法等の公知の方法にて形成される。
【0043】
次に、
図3の(c)に示されるように、
図3の(b)において形成した導電層51a上に接続パッド15を形成する。接続パッド15は、例えばめっき処理によって設けられる。導電層51aは、めっき処理の際の給電層としての機能を果たす。
【0044】
次に、
図3の(d)に示されるように、導電層51aを、隣接する接続パッド15同士が導電層51aを介して接続されるようにパターニングし、パターニングされた導電層51を形成する。パターニングされた導電層51はフォトリソグラフィー法等の公知の方法によって形成される。
【0045】
次に、
図3の(e)に示されるように、パターニングされた導電層51上に第1樹脂層14を設けた後、当該第1樹脂層14に開口部14aを形成する。第1樹脂層14は、例えば印刷法、真空プレス法、真空ラミネート法、ロールラミネート法、スピンコート法、ダイコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、又はフォトリソグラフィー法等の公知の方法にて形成される。開口部14aは、例えば第1樹脂層14に対してレーザーの照射、又はフォトリソグラフィーを行い、第1樹脂層14の一部を除去することによって形成される。
【0046】
次に、
図3の(f)に示されるように、第1樹脂層14及び接続パッド15上にシード層16を設ける。シード層16は、第1樹脂層14の開口部14aを介して接続パッド15に接続されている。シード層16は、例えば無電解めっき法、スパッタ法、又はCVD法等によって形成される。また、第1樹脂層14にCu等から構成される導体箔を貼り付けることによって、シード層16を形成してもよい。シード層16は、例えばCu層、NiめっきがなされたCu層、AuめっきがなされたCu層、はんだめっきがなされたCu層、Al層、又はAg/Pd合金層等によって形成される。本実施形態では、コスト、電気特性、及び製造容易性の観点からCu層が用いられる。
【0047】
次に、
図3の(g)に示されるように、シード層16上に開口部17aを有するレジスト17を設ける。そして、開口部17aによって露出されたシード層16の一部に、例えばめっき処理を施すことによって当該一部を厚くする。ここで、シード層16のうち、めっき処理等が施されていない相対的に薄い領域を第1領域16aとし、めっき処理等が施されて相対的に厚い領域を第2領域16bとする。第1領域16aは、第1樹脂層14及びレジスト17の間に存在する領域である。第2領域16bは、例えばCu層、NiめっきがなされたCu層、AuめっきがなされたCu層、はんだめっきがなされたCu層、Al層、又はAg/Pd合金層等によって形成される。本実施形態では、コスト、電気特性、及び製造容易性の観点からCu層が用いられる。また、レジスト17としては、例えばネガ型又はポジ型のフォトレジストが用いられる。
【0048】
次に、
図3の(h)に示されるように、レジスト17及びシード層16における第1領域16aを除去することによって配線パターン18を形成する。レジスト17は、例えばリフトオフによって第1樹脂層14上から除去されてもよいし、エッチングによって除去されてもよい。第1領域16aは、例えばウェットエッチング又はドライエッチングによって除去される。第1領域16aが除去されることによって、第2領域16bが配線パターン18となる。第2領域16bの一部は、第1領域16aと同時にエッチングされてもよい。すなわち、本実施形態における配線パターン18は、セミアディティブ法によって形成される。セミアディティブ法とは、Cu層等のシード層16を形成し、レジストをシード層16上に形成し、シード層16における露出した部分を電解めっき法等により厚膜化し、レジストを除去した後、薄いシード層をエッチングして配線パターンを得る方法である。
【0049】
次に、
図3の(h)に示されるように、配線パターン18の形成後、第2樹脂層19を第1樹脂層14及び配線パターン18上に形成し、第2樹脂層19の一部に開口部19aを形成する。第2樹脂層19は、例えば印刷法、真空プレス法、真空ラミネート法、ロールラミネート法、スピンコート法、ダイコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、又はフォトリソグラフィー法等の公知の方法にて形成される。開口部19aは、例えば第2樹脂層19に対してレーザーの照射、又はフォトリソグラフィーを行い、第2樹脂層19の一部を除去することによって形成される。開口部19aの形成によって、配線パターン18の一部が露出される。
【0050】
最後に、
図3の(i)に示されるように、開口部19a内に接続端子20を形成する。接続端子20は、例えば共晶はんだ又は鉛フリーはんだを開口部19a内に供給することによって設けられる。以上によって、支持体12と、接着剤層13と、パターニングされた導電層51と、第1樹脂層14、接続パッド15、配線パターン18、第2樹脂層19及び接続端子20を含む配線基板21とを有する配線基板積層体11を形成する。
【0051】
次に、
図4の(a)〜(e)及び
図5の(a)〜(d)を参照しながら、本実施形態に係る配線基板積層体11を用いて半導体装置1を製造する方法を説明する。
図4の(a)〜(e)及び
図5の(a)〜(d)は、半導体装置1の製造方法を説明する図である。
【0052】
まず、
図4の(a)に示されるように、支持体12、接着剤層13、パターニングされた導電層51及び配線基板21を有する配線基板積層体11を準備する。尚、
図4及び
図5において、配線基板21の層構成については記載を省略しているが、配線基板積層体11は、
図2及び
図3の(i)で説明したものである。
【0053】
次に、
図4の(b)に示されるように、配線基板積層体11に複数の半導体チップ22を搭載する。具体的には、配線基板積層体11における配線基板21の主面21a上に、半導体チップ22をフリップチップ方式にて搭載する。半導体チップ22を配線基板積層体11に搭載する際、半導体チップ22の突起電極23と配線基板積層体11の接続端子20(
図2を参照)とが、互いに接続される。また、半導体チップ22及び配線基板積層体11の間にアンダーフィル24を設けておくことによって、半導体チップ22及び配線基板積層体11を固定すると共に、半導体チップ22と配線基板積層体11との隙間を封止する。アンダーフィル24は、半導体チップ22を配線基板積層体11に搭載した後に、半導体チップ22及び配線基板積層体11の間に供給してもよい。また、半導体チップ22又は配線基板積層体11に予めアンダーフィル24を付着しておき、半導体チップ22を配線基板積層体11に搭載すると同時にアンダーフィル24による封止を完了させてもよい。例えば、加熱又は光照射による硬化処理をアンダーフィル24に施すことによって、アンダーフィル24による半導体チップ22及び配線基板積層体11の固定及び封止を行う。アンダーフィル24は、必ずしも設けなくてもよい。
【0054】
次に、
図4の(c)に示されるように、配線基板21の主面21a上にモールド樹脂25を形成する。この際、モールド樹脂25によって半導体チップ22を埋設する。モールド樹脂25は、例えばトランスファーモールド法又はポッティング法等の公知の方法にて形成される。半導体チップ22は、モールド樹脂25によって封止されるように覆われていてもよい。
【0055】
次に、
図4の(d)に示されるように、支持体12を介して接着剤層13にレーザー光Lを照射する。支持体12全体に渡ってレーザー光Lを照射してもよいし、支持体12の所望の位置にレーザー光Lを照射してもよい。本実施形態では、接着剤層13内の樹脂を確実に分解する観点から、直線的に往復させながら支持体12全体にレーザー光Lを照射する。レーザー光Lは、例えば300nm以上2000nm以下の波長を有してもよく、300nm以上1500nm以下の波長を有していてもよく、300nm以上1100nm以下の波長を有していてもよい。レーザー光Lを出射する装置の一例として1064nmの波長の光を出射するYAGレーザー装置、532nmの波長の2倍の高調波の光を出射するYAGレーザー装置、又は780nm〜1300nmの波長の光を出射する半導体レーザー装置等が挙げられる。支持体12は透明性を有しており、レーザー光Lを透過する。よって、支持体12を透過したレーザー光Lのエネルギーは、接着剤層13に吸収される。吸収されたレーザー光Lのエネルギーは、接着剤層13内にて熱エネルギーに変換される。この熱エネルギーによって、接着剤層13の樹脂は熱分解温度に達し、熱分解する。これによって、接着剤層13が支持体12と配線基板21とを接着する力が弱まる。レーザー光Lを用いることで、接着剤層13内の樹脂が分解するために必要な熱エネルギーを十分に加えることができ、接着剤層13の接着力を効果的に弱めることができる。また、レーザー光Lは支持体12を介して接着剤層13に照射されるため、半導体チップ22にレーザー光Lによるダメージを与えずに接着剤層13の接着力を効果的に弱めることができる。
【0056】
次に、
図4の(e)に示されるように、配線基板21から支持体12を剥離する。支持体12を配線基板21から剥離する方法は、手動でもよいし機械を用いて行ってもよい。導電層51に接着剤層13が付着している場合、パターニングされた導電層51から接着剤層13を除去する。例えば、パターニングされた導電層51の裏面51bに粘着テープを貼り付けた後ピールすることにより、裏面51b上に残存していた接着剤層13をパターニングされた導電層51から除去する。また、裏面51bを過マンガン酸カリウム水溶液及び水酸化ナトリウム水溶液の混合溶液等に浸漬して接着剤層13を除去してもよいし、当該混合溶液を裏面51bにスプレーすることによって接着剤層13を除去してもよい。また、裏面51bをアセトン又はメチルエチルケトン等の有機溶剤に浸漬して接着剤層13を除去してもよいし、当該有機溶剤を裏面51bにスプレーすることによって接着剤層13を除去してもよい。次に、配線基板21からパターニングされた導電層51を剥離する。パターニングされた導電層51は、例えばエッチングによって除去される。
【0057】
以上により、
図5の(a)に示されるように、支持体12から剥離され、半導体チップ22が実装された配線基板21を得る。
【0058】
次に、
図5の(b)に示されるように、配線基板21の裏面21b上に複数の外部接続端子31を形成する。具体的には、配線基板21の接続パッド15(
図2を参照)が形成された部分に、外部接続端子31を形成する。例えばはんだボール搭載法等によって外部接続端子31を形成する。
【0059】
次に、
図5の(c)に示されるように、モールド樹脂25にダイシングテープ33を貼り付けた後、各半導体チップ22の間の領域に位置する配線基板21及びモールド樹脂25を切断し、個片化する。例えばダイシングソー又はレーザー等を用いて配線基板21及びモールド樹脂25を切断する。以上により、
図5の(d)に示されるように、配線基板積層体11を用いて形成された半導体装置1が製造される。
【0060】
以上に説明した本実施形態に係る配線基板積層体11は、半導体チップ22と外部装置とを接続するための外部接続部材として機能する配線基板21を備えている。これにより、半導体チップ22と外部接続部材を有する配線基板積層体11とを別々に製造することができるため、半導体装置1の製造効率の改善に供される。また、この配線基板積層体11の支持体12は透明性を有している。これにより、支持体12を介して接着剤層13に光が照射されることによって樹脂が分解し、接着剤層13の接着力を弱めることができる。したがって、半導体チップ22と配線基板積層体11の配線基板21とを接合した後に、容易に支持体12を配線基板21から剥離することができ、当該配線基板積層体11を用いて製造される半導体装置1の薄型化が可能になる。さらに支持体12を有する配線基板積層体11を用いて半導体装置1を製造することによって、配線基板積層体11のハンドリングを容易にすることができる。
【0061】
(変形例1)
図6は、変形例に係る配線基板積層体11を示す図である。第1変形例として、
図6に示されるように、支持体12の主面12a上に設けられる接着剤層13Aは、支持体12の主面12a上に設けられる剥離層41と、剥離層41上に設けられる保護層42とを有していてもよい。剥離層41は、光の照射により分解可能な樹脂を含んでいる。当該樹脂は、上記実施形態の接着剤層13に含まれる光の照射により分解可能な樹脂と同一の樹脂である。また、剥離層41は、銅、ニッケル、金、銀、チタン、クロム、アルミニウム等の金属およびこれらの金属酸化物を含んでいてもよい。剥離層41の厚さは、例えば1μm〜10μmである。保護層42は、支持体12方向から照射される光から配線基板21を保護するように構成されている。保護層42としては、例えばエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、オキセタン樹脂、及びマレイミド樹脂の内の1種又はこれらの樹脂の2種類以上が混合された樹脂等が用いられる。保護層42は、印刷法、真空プレス法、真空ラミネート法、ロールラミネート法、スピンコート法、ダイコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、又はフォトリソグラフィー法等およびこれらを組み合わせた方法によって形成される。保護層42の厚さは、配線基板21を光から保護する観点から、剥離層41よりも十分に大きく、例えば20μm〜100μmである。このように接着剤層13Aが剥離層41及び保護層42を有することによって、上記実施形態と同等の効果を奏することに加えて、配線基板21に光のエネルギーが伝達することを抑制できる。したがって、配線基板21の第1樹脂層14及び第2樹脂層19に含まれる樹脂が光によって分解されることを抑制でき、半導体装置1の歩留まりが向上する。
【0062】
尚、配線基板積層体11、半導体装置1及び半導体装置の製造方法は、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態及び変形例を適宜組み合わせてもよい。また、配線基板積層体11に積層される半導体チップ22は、個片化される配線基板21の領域に複数搭載されてもよい。また、配線基板積層体11には、半導体チップ22以外の部材(例えばコンデンサ等の受動部品)が搭載されていてもよい。
【0063】
また、例えば第1樹脂層14における開口部14aと第2樹脂層19における開口部19aとは、互いに重なっていてもよい。さらに、例えば配線基板21における接続端子20は、必ずしも設けられていなくてもよい。
【0064】
また、配線基板積層体11における配線パターン18は、セミアディティブ法に限らず、例えばサブトラクティブ法又はフルアディティブ法等の公知の方法にて形成されてもよい。ここで、サブトラクティブ法とは、Cu層等の導体層上にレジストを形成して不要な導体層をエッチングした後、レジストを剥離して配線パターンを得る方法である。また、フルアディティブ法は、樹脂層上に無電解めっき触媒を吸着させ、レジストを樹脂層上に形成し、このレジストを絶縁膜として残したまま触媒を活性化させ、無電解めっき法によりレジスト開口部内にCu等の導体を析出させた後、レジストを除去して所望の配線パターンを得る方法である。
【0065】
また、第2樹脂層19上に、新たな配線パターンと第3樹脂層とを形成してもよい。つまり、配線基板21は、樹脂層を3層有してもよい。さらに、上述した配線パターン及び樹脂層の形成を繰り返すことによって、配線パターン及び樹脂層が多数積層された配線基板21を形成することもできる。
【0066】
(半導体チップの実装前における配線基板積層体の導電検査方法)
次に、上述した配線基板積層体11の導電検査方法について説明する。この導電検査方法の理解を容易にするため、
図7を参照しながら説明する。
【0067】
図7は、配線基板積層体11の導電検査の方法の一例を示す図である。尚、
図7に示す配線基板積層体11は、
図2で説明したものである。
【0068】
接続端子20aと接続パッド15aとの間の配線抵抗の設計値をr1、接続端子20bと接続パッド15bとの間の配線抵抗の設計値をr2、接続パッド15aと接続パッド15bとの間の配線抵抗の設計値をRとする。尚、説明の便宜上、各接続端子及び各接続パッドをa、bの添え字で識別している。なお、r1、r2、Rを実測する方法は、2端子電気測定法、4端子電気測定法等が用いられる。実測値は設計値からずれていても、設計値±30%の範囲に入っていれば導通検査で正常な判定は十分行える。
【0069】
パターニングされた導電層51は、配線パターン18、接続パッド15及び導電層52よりも抵抗値が大きい材料であって、r1<R、r2<R、かつR<10000Ωを満たす材料により形成される。
【0070】
次に、
図7に示されるように、接続パッド15aに接続される接続端子20aと、接続パッド15bに接続される接続端子20bとに、それぞれプローブ60a及びプローブ60bを接触させ、プローブ60aとプローブ60bとの間の抵抗値Zを測定する。
【0071】
このとき、配線抵抗r1、r2、R及び測定した抵抗値Zと、導電検査結果との関係性は、以下のようになる。
Z≒r1+r2+R:設計値通り、導通状態は良好
Z≪r1+r2+R:接続端子20aと接続端子20bとの間において短絡を生じている可能性があるため、この配線基板積層体は不良品
Z≫r1+r2+R:接続端子20aと接続パッド15aとの間、または、接続端子20bと接続パッド15bとの間において断線を生じている可能性があるため、この配線基板積層体は不良品
【0072】
本実施形態に係る配線基板積層体の導電検査方法では、パターニングされた導電層51は、接続端子20aと接続パッド15aとの間の配線抵抗の設計値r1及び接続端子20bと接続パッド15bとの間の配線抵抗の設計値r2よりも、接続パッド15aと接続パッド15bとの間の配線抵抗の設計値Rのほうが大きくなるような材料により形成されている。そのため、設計値r1、設計値r2及び設計値Rと、導通検査により測定された抵抗値Zとに基づいて、配線基板積層体11の導通状態を判断することが可能となる。このため、半導体チップ22の実装前に配線基板積層体11が良品であるか否かを判断することができる。その結果、良品のみが半導体チップ22を実装する工程に移されるため、半導体装置1の歩留まりを向上させることが可能となる。
【実施例】
【0073】
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0074】
(実施例1)
(配線基板積層体)
支持体12の主面12a上に、接着剤層13として、剥離層41及び保護層42を順に形成した。支持体12として、ガラス(OA−10G(日本電気硝子株式会社製)、1.1mm厚)を使用した。支持体12の線膨張係数は、約4ppm/℃であった。支持体12の主面12a上の剥離層41は、3M Light−To−Heat−Conversion(LTHC)Release Coating(住友スリーエム株式会社製)を用いて形成した。保護層42は、3M UV−Curable Adhesive LC−5200(住友スリーエム株式会社製)を用いて形成した。剥離層41及び保護層42は、いずれもスピンコート法により形成した。
【0075】
次に、接着剤層13上に、導電層51aを形成した。導電層51aは、Cuをスパッタリング蒸着で厚み10nmに形成した。次に、導電層51a上に接続パッド15をめっき処理によって形成した。接続パッド15は、導電層51a上に、厚み1μmの電解Auめっきと、厚み3μmの電解Niめっきと、厚み7μmの電解Cuめっきとを、この順に形成した。接続パッド15は、直径100μmであり、500μmピッチで配置した。導電層51aをフォトリソグラフィーにより開口率98.4%でパターニングした。
【0076】
次に、パターニングされた導電層51上に第1樹脂層14を設けた後、当該第1樹脂層14に直径30μmの開口部14aを形成した。第1樹脂層14は、真空ラミネート法によって高抵抗導電層51上に形成した。第1樹脂層14として、ABF−GX−T31(味の素ファインテクノ株式会社製)を使用した。開口部14aは、レーザー照射により設けた。そして、当該開口部14a内に接続パッド15を露出させた。
【0077】
次に、第1樹脂層14及び接続パッド15上に無電解Cuめっきでシード層16を形成した。次に、シード層16上にドライフィルムレジストで配線幅15μmのパターンを形成した後、さらにセミアディティブ法によって厚み10μmの配線パターン18を形成した。配線パターン18の材料はCuとした。また、配線パターン18を形成した後、第1樹脂層14及び配線パターン18上に厚み20μmの第2樹脂層19を形成し、開口部19aを第2樹脂層19に設けた。第2樹脂層19は、真空ラミネート法によって第1樹脂層14及び配線パターン18上に形成した。第2樹脂層19として、PFR−800 AUS SR1(太陽インキ製造株式会社製)を使用した。開口部19aは、フォトリソグラフィーにより設けた。
【0078】
最後に、開口部19a内の配線パターン18上にOSP処理を施すことにより接続端子20を形成し、配線基板21を有する配線基板積層体11を作製した。第1樹脂層14、第2樹脂層19及び配線パターン18からなる配線基板21の厚さは、約約50μmだった。
【0079】
作製した配線基板積層体11に対し、半導体チップ22の実装前に、配線基板積層体11の各接続端子にプローブ60を順次接触させ、導通検査を行い、電気検査法で接続端子間の検査抵抗値Zを測定した。その結果、任意の隣接する接続端子間の検査抵抗値Zは実測値で32.0Ωとなった。同一の基板で支持体12、接着剤層13、シード層16を除去し、同一箇所の接続端子20aと接続パッド15aとの間の配線抵抗の値r1は実測値で1.2Ω、接続端子20bと接続パッド15aと隣り合う任意の接続パッド15bとの間の配線抵抗の値r2は実測値で1.3Ω、任意の接続パッド15aと接続パッド15bとの間の配線抵抗の値Rは実測値で362Ωとなっていた。検査は5つの基板に対し、それぞれ同一基板内で各5箇所の実測値の平均値で評価を行った。以上から、配線基板積層体11が導通しているか否か、つまり良品か否かを判断することができ、良品のみが半導体チップを実装する工程に移されたことにより、半導体装置1の歩留まりを向上させることができた。
【0080】
(半導体装置)
次に、実施例1で得られた配線基板積層体11に半導体チップ22を搭載した。半導体チップ22は、Cuポストの先端にSn−3.5はんだ層を形成した突起電極23を有しているものを用いた。また、半導体チップ22の線膨張係数は、約3ppm/℃であった。配線基板積層体11には予めアンダーフィル24を供給しておいた。半導体チップ22の突起電極23と配線基板積層体11の接続端子20との位置合わせを行った後、半導体チップ22を配線基板積層体11に圧着させ、加熱した。この後、半導体チップ22を含む配線基板積層体11の上面を、トランスファーモールド法により、モールド樹脂25を用いて封止した。そして、配線基板積層体11の支持体12側より、直線的に往復させながら支持体全体に波長1064nmのYAGレーザーを照射し、支持体12を配線基板21から剥離した。さらに、配線基板21及び接着剤層13に粘着テープを貼り付けた後に当該粘着テープをピールすることにより、接着剤層13を配線基板21より除去した。次に、パターニングされた導電層51をエッチングによって配線基板積層体11より除去した。次に、配線基板21にSn−3Ag−0.5Cuはんだボールを搭載し、外部接続端子31を形成した。この構成体をダイシングテープに貼り付け、ダイシングすることによって、半導体装置1を得た。
【0081】
(X線透視装置による観察)
上記のようにして作成された半導体装置1について、X線透視装置(株式会社ユニハイトシステム製、XVA−160α)にて観察を行った。半導体装置1を観察した結果、半導体チップ22の突起電極23と配線基板21の接続端子20との間には、トータルピッチ7mmに対して、設計値から約2μmの位置ずれが生じていた。ここで、半導体装置1の形成に用いられる配線基板積層体11の支持体12として、樹脂の中で線膨張係数が比較的低いポリイミド製の支持体12を用いた場合、半導体チップ22の突起電極23と当該配線基板積層体11の接続端子20との間には、通常、設計値から約15μmの位置ずれが生じる。このような支持体12の材質による位置ずれの違いは、ポリイミド製の支持体12の線膨張係数は約12ppm/℃〜50ppm/℃であり、半導体チップ22の線膨張係数(約2ppm/℃〜4ppm/℃)と大きく異なるからだと考えられる。したがって、配線基板積層体11にガラス製の支持体12を用いた方が、樹脂製の支持体12を用いるよりも、半導体チップ22と配線基板積層体11との間に発生する位置ずれが小さくなっていることが確認できた。