特許第6593142号(P6593142)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6593142
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】パーツフィーダ
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/14 20060101AFI20191010BHJP
【FI】
   B65G47/14 101A
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-241457(P2015-241457)
(22)【出願日】2015年12月10日
(65)【公開番号】特開2017-105606(P2017-105606A)
(43)【公開日】2017年6月15日
【審査請求日】2018年11月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】迎 邦暁
(72)【発明者】
【氏名】菅原 正憲
(72)【発明者】
【氏名】清水 陽裕
【審査官】 福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開平2−175511(JP,A)
【文献】 実開平1−83719(JP,U)
【文献】 特開2012−66894(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視概略円形をなす未加工領域からワークを周回させながら上方へ搬送しワークを何れかの箇所で下方へ落下させるべく幅寸法を漸次狭く形成した第一底壁を有する第一走路と、
この第一走路から落下したワークの底面が供給先へ搬送すべき正常姿勢にあるときに接する第二側壁及び前記底面が何れの面にも接していない不正姿勢にある前記ワークが前記第一走路から落下するときに姿勢変更されて前記底面が接する第二底壁を有し、前記正常姿勢にある前記ワークを前記供給先へ搬送する第二走路と、
前記第二底壁に前記底面が接している前記ワークを前記第二走路から前記未加工領域へ案内する第三走路と
を具備することを特徴とするパーツフィーダ。
【請求項2】
前記第一走路が、前記未加工領域の外縁の外側を周回している請求項1記載のパーツフィーダ。
【請求項3】
前記未加工領域へ前記ワークを投入するためのホッパを有するものであり、前記第一走路を前記不正姿勢で搬送されている前記ワークを姿勢変更させる箇所が、前記ホッパから投入された前記ワークが360°周回するまでの位置に設けられている請求項1又は2記載のパーツフィーダ。
【請求項4】
前記第二底壁が、前記第一底壁に底面を接しさせた姿勢にある前記ワークの落下時に前記正常姿勢へと姿勢変更させ得る落差を隔てて形成されたものであり、
前記第一走路が、前記正常姿勢にある前記ワークの姿勢を維持しながら前記第二走路へと前記ワークを落下させるための姿勢維持部を有している請求項1〜3の何れかに記載のパーツフィーダ。
【請求項5】
前記第一底壁と前記第二底壁との間に形成される前記落差の寸法が、前記ワークの前記底面の外形寸法よりも大きい請求項4記載のパーツフィーダ。
【請求項6】
前記ワークが、前記底面の反対側に形状を膨出させて形成した膨出面を有するものであり、
前記底面が略正方形状をなす請求項1〜5の何れかに記載のパーツフィーダ。
【請求項7】
前記膨出面が、部分球面状に膨出した光学機械部品を構成するためのレンズである請求項6記載のパーツフィーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定形態の複数のワークを搬送路上で所定の姿勢で搬送するためのパーツフィーダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品等の供給対象物であるワークを貯留する貯留部と、この貯留部より供給先までを連絡する搬送路とを備えており、上流側の貯留部に投入されるワークを振動等の手段を用いて搬送路上で一列に整列させつつ搬送し、下流側の供給先に対して供給するパーツフィーダが知られている(例えば、特許文献1参照)。当該特許文献1にも記されている通り、搬送路は一般に、搬送方向に連続する平面状の搬送面と、この搬送面に対し略直交するように交差しており側方への位置決めを行う側壁とによって断面略V字形に形成されることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−173611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうしたパーツフィーダを用いて種々多様なワークを供給することができるが、ワークによっては、汚れを付着させたくない要保護面を有したワークも存在する。この要保護面が保護されるべき理由は、ワークにより様々である。例えばワークにおける特定の面や部分の素材や形状或いは表面の性質により汚れといった異物が付着し易いものであったり、要保護面に求められる性能を有効に発揮する上で汚れの付着により性能の発揮に支障を来してしまうものであったり、或いは強度が低く損傷し易いものであったりと、様々な理由が考えられる。またワークにおける要保護面は一般に、ワークが最も安定した状態で接地し得る面を底面とすると、この底面の裏面側、すなわち平面側に設定されることが多い。
【0005】
そしてこのような要保護面を有するようなワークであっても勿論他のワーク同様、ワークの形状や下流側の供給先における工程によっては、ワークの向きを正確に同一の或いは同一と認識され得る方向に揃えることが必要となる。また、斯かる要保護面を有効に保護するためには、要保護面がパーツフィーダ側に接しているような不正姿勢を確実かつ速やかに解消する必要がある。
【0006】
本発明は、このような課題を有効に解決することを目的としており、具体的には安定してワークを整列させて供給効率を高くしながら搬送中のワークの品質の低下を有効に回避することができるパーツフィーダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以上のような問題点を鑑み、次のような手段を講じたものである。
【0008】
すなわち、本発明のパーツフィーダは、平面視概略円形をなす未加工領域からワークを周回させながら上方へ搬送しワークを何れかの箇所で下方へ落下させるべく幅寸法を漸次狭く形成した第一底壁を有する第一走路と、この第一走路から落下したワークの底面が供給先へ搬送すべき正常姿勢にあるときに接する第二側壁及び前記底面が何れの面にも接していない不正姿勢にある前記ワークが前記第一走路から落下するときに姿勢変更されて前記底面が接する第二底壁を有し、前記正常姿勢にある前記ワークを前記供給先へ搬送する第二走路と、前記第二底壁に前記底面が接している前記ワークを前記第二走路から前記未加工領域へ案内する第三走路とを具備することを特徴とする。
【0009】
ここで、「底面」とは、パーツフィーダ内での搬送中にワークが最も安定して接地し得る面、換言すれば、ワークが有する面のなかで最も面積が大きい平面を指すものである。そしてこの「底面」とは、必ずしも下方に面しているという狭義の意味に限定されることは無く、パーツフィーダによって搬送されたワーク自体が組み付けられたり設置されたりする向きを指すものではないことは勿論である。
【0010】
このようなものであれば、第二走路にワークが到達するときには適宜姿勢変更がなされることにより、底面が第二側壁又は第二底壁の何れかに接した状態とすることができる。これにより、従来であれば不正姿勢にあるワークをエア等で除外するなどしてワークに対し大きな動作を強要することなく、単に落下させるという態様のみによって、第二底壁にワークが到達するときには不正姿勢にあるワークの割合を大きく減じることが可能となる。その結果、安定してワークを整列させて供給効率を高くしながら搬送中のワークの品質の低下を有効に回避することができるパーツフィーダを提供することができる。
【0011】
そして、ワークを搬送先までより速やかに到達させるためには、第一走路を、未加工領域の外縁の外側を周回するように設けることが望ましい。
【0012】
ここで、ワークの底面の反対側にある要保護面を有効に保護するためには、当該要保護面がなるべくパーツフィーダに接する機会を少なくよう搬送することが必要である。換言すれば、搬送中にワークの底面がパーツフィーダ側に接している時間をなるべく多くするためには、未加工領域へワークを投入するためのホッパを有するものである場合、第一走路を不正姿勢で搬送されているワークを姿勢変更させる箇所が、ホッパから投入されたワークが360°周回するまでの位置に設けられていることが望ましい。
【0013】
そして、第一走路から第二走路に至るワークがより多い割合で正常姿勢となるようにするためには、第二底壁を、第一底壁に底面を接しさせた姿勢にあるワークの落下時に正常姿勢へと姿勢変更させ得る落差を隔てて形成されたものとし、第一走路を、正常姿勢にあるワークの姿勢を維持しながら第二走路へとワークを落下させるための姿勢維持部を有したものとすることが望ましい。
【0014】
特に、不正姿勢にあるワークをより確実に不正姿勢以外の姿勢へ姿勢変更させ得るようにするためには、第一底壁と第二底壁との間に形成される落差の寸法を、ワークの底面の外形寸法よりも大きいようにすることが望ましい。
【0015】
そして本発明に斯かるパーツフィーダは、ワークが、底面の反対側に形状を膨出させて形成した膨出面を有するものであり、底面が略正方形状をなすものに対し、より有効に効果を発揮し得る。より具体的には、膨出面が、部分球面状に膨出した光学機械部品を構成するためのレンズであるワークに対し、より有効に上述した効果を奏し得る。
【発明の効果】
【0016】
以上、説明した本発明によれば、安定してワークを整列させて供給効率を高くしながら搬送中のワークの品質の低下を有効に回避することができるパーツフィーダを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係るパーツフィーダを示す外観図。
図2】同実施形態に係るワークの構成説明図。
図3】同実施形態に係る要部の平面図。
図4図3に係るI−I線端面図及びIV部拡大説明図。
図5】同II−II線端面図及びV部拡大説明図。
図6】同III−III線端面図及びVI部拡大説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0019】
この実施形態のパーツフィーダは、図1に示すように、主体をなすボウル1に対して、ワークWを搬送するための搬送路3を形成するとともに、この搬送路3の終端側に、ワークWの平面視の姿勢を変換するための対をなす姿勢変換装置5および、ワークWの姿勢を検査するとともに所望の姿勢でないものは搬送路3上から排除する排除部Eを設けている。なお同図及び図3ではワークWが搬送される方向を太字の矢印によって模式的に示している。
【0020】
ボウル1は、平面視略円形のすり鉢状に形成されてなるものである。このボウル1は、図示しない加振部で支持されつつ加振されるようになっている。加振部は、ボウル1に上下方向成分とねじり方向成分を含む振動を生じさせることができるように構成されている。この振動を制御することによってワークWが搬送される。
【0021】
またボウル1は、内側には供給対象となるワークWが同図に想像線にて示すホッパHより投入される未加工領域たる貯留部2と、この貯留部2から外周方向に向かって螺旋状にワークWを搬送するための搬送路3とを有している。そしてこの搬送路3の下流側は想像線にて示す供給先Rに接続される。本実施形態では、貯留部2の表面を、ワークWに対して向きの変更等の加工は何ら行わない未加工面20としている。
【0022】
搬送路3は、水平面より所定の角度分傾斜して設けられた概略V字形断面を形成してなるもので、斯かる断面形状により、ワークWは搬送路3に支持されながら平面視螺旋状に且つ漸次上方へ搬送される。
【0023】
ここで、本実施形態におけるパーツフィーダが供給対象とするワークWを図2に示す。図2(a)、(b)、(c)は、それぞれワークWの外観図、平面図、底面W3図を示している。このワークWは、例えば照明設備といった光学機械部品を構成するためのLEDユニットの一部品として取り扱われるものであり、平面視略正方形の板状をなす基板W1と、この基板W1の平面視中央部分から分球面状をなすように膨出させたレンズ部W2とを有している。基板W1は、設置させたときに最も安定する底面W3と、この底面W3に連続する4つの端面のうち供給先Rに供給するときに上下方向に向くよう調整される上下面W4と、前後方向に向くように調整される前後面W5とを有している。底面W3には、概略矩形状をなす電極W7が対をなして設けられ露出しており、これら電極W7間には隙間W8が形成されている。このようにワークWは電極W7並びに隙間W8の位置により、供給先Rへ搬送する際に上下方向に面する上下面W4と搬送方向に沿った前後方向に面した前後面W5とが各々区別可能に形成されている。そしてレンズ部W2は平面視側の表面を、本実施形態において搬送中に最も保護を要する要保護面W6としている。この要保護面W6中央に形成されているレンズW9は、その素材の摩擦係数が基板W1のそれよりも高く、且つ高い透光性が維持されなければならないため、ホッパHより投入されてから供給先Rに至るまで、極力他の物に触れずに移動させることが要求される。
【0024】
また同図に示すように、本実施形態では当該ワークWの形状により、概略板状をなすワークW等に比べると、ワークW同士の重なりや並列が起き難いものとなっている。それ故に本実施形態に係るパーツフィーダでは、重なりや並列を低減する機構が省かれたものとなっているが、勿論これらの各種機構を別途設けることを妨げない。
【0025】
そして本実施形態では、姿勢変換装置5までワークWが搬送されたときには、当該姿勢変換装置5が正常に機能し得るよう、少なくとも搬送路3における内方に面している壁にワークWの底面W3が接した正常姿勢(N)となっていること必須である。なお姿勢変換装置5は、ワークWを搬送させる際に搬送方向に対する前後方向や上下方向に正しく上下面W4、前後面W5を対応させるためのものであるが、当該姿勢変換装置5の具体的な構成については詳細な説明を省略する。
【0026】
本実施形態に係るパーツフィーダは、ワークWの姿勢を上記正常姿勢(N)に規制して整列させるように、搬送路3が、未加工面20からまずワークWが搬送される第一走路31と、この第一走路31に連続し供給先Rまで正常姿勢(N)にあるワークWを搬送するための第二走路32と、第二走路32及び未加工面20に介在し一部のワークWを再度未加工面20に戻すための第三走路33とを有している。
【0027】
すなわち本実施形態に係るパーツフィーダは、図3図6に示すように、平面視概略円形をなす貯留部2からワークWを周回させながら上方へ搬送しワークWを何れかの箇所で下方へ落下させるべく幅寸法を漸次狭く形成した第一底壁31aを有する第一走路31と、この第一走路31から落下したワークWの底面W3が供給先Rへ搬送すべき正常姿勢(N)にあるときに接する第二側壁32b及び底面W3が何れの面にも接していない不正姿勢(図4(c))にあるワークWが第一走路31から落下するときに姿勢変更されて底面W3が接する第二底壁32aを有し、正常姿勢(N)にあるワークWを供給先Rへ搬送する第二走路32と、第二底壁32aに底面W3が接しているワークWを第二走路32から貯留部2へ案内する第三走路33とを具備していることを特徴とする。
【0028】
以下、図3図6を参照しつつ、パーツフィーダの搬送路3を構成する第一走路31、第二走路32及び第三走路33の各構成並びに相互の作用について順に説明していく。
【0029】
第一走路31は、貯留部2の未加工面20から直接ワークWを搬送しつつ、当該ワークWを漸次上方へと案内すべく、貯留部2の外縁の外側を周回するように設けられている。そしてこの第一走路31は概略V字形状をなし、当該V字形状のうちボウル1の中心すなわち内方を向いた面を形成する第一側壁31bと、外方を向いた面を形成する第一底壁31aとを有している。そして上述したとおり第一底壁31aは、第二走路32に併走する箇所では第二走路32よりも、ワークWの基板W1の寸法分よりも高い位置でワークWを支持しうるように構成されている。そして第一底壁31aは、ワークWを支持し得る幅寸法が漸次小さくなるように設定し、第一底壁31aが無くなるか、或いは何れの姿勢にあるワークWも支持し得なくなる箇所が終端である。また本実施形態では第一走路31の終端は、ホッパHから未加工面20に投入されたワークWが360°周回して搬送されるまでの位置に設定されるようにしている。そして本実施形態では、この第一走路31における第二走路32と併走し始めた位置近傍でワークWの姿勢を変更させながらワークWを落下させる姿勢変更部34を設けている。そして上述した第一走路31の終端或いはその近傍に、正常姿勢(N)にあるワークWの姿勢を維持しながら第二走路32へとワークWを落下させるための姿勢維持部35を設けている。これら姿勢変更部34並びに姿勢維持部35については後に説明する。
【0030】
第二走路32は、図4及び図5に示すように、第一走路31から落下したワークWの底面W3が供給先Rへ搬送すべき正常姿勢(N)にあるときに接する第二側壁32bと、底面W3が何れの面にも接していない不正姿勢(X)にあるワークWが第一走路31から落下するときに姿勢変更されて底面W3が接する第二底壁32aとを有したものである。第二底壁32aは、第一底壁31aに底面W3を接しさせた姿勢にあるワークWの落下時に正常姿勢(N)へと姿勢変更させ得る落差36を隔てて形成されたものであり、この落差36の寸法が、ワークWの底面W3の外形寸法よりも大きく設定されているため、ワークWの姿勢変更を円滑に行わせることができる。
【0031】
第三走路33は、第二底壁32aに底面W3が接しているような底面W3が接地しているものの正常姿勢(N)には無いワークWを第二走路32から貯留部2へ案内する案内面33aを有するものである。なお本実施形態では図1及び図3に示すように当該第三走路33を設けている平面視位置にハッチを付して示している。
【0032】
そして、本実施形態では図4に示すように、第一走路31と第二走路32とが併走を始めた一近傍で、正常姿勢(N)には無いワークWを第一走路31から第二走路32へ落とすことによってワークWを姿勢変更させるための姿勢変更部34を設けている。この姿勢変更部34は、第一走路31の終端がホッパHを設けた位置からワークWが360°周回するまでの位置に位置づけられていることから、自ずとワークWが360周回するまでの位置に位置づけられていることになる。具体的には、ワークWがホッパHより投入される位置から220〜230°ホッパHが周回する位置に位置づけられている。以下、姿勢変更部34をワークWが通過するときのワークWの挙動を端面図である図4(a)のIV部拡大説明図である図4(b)、図4(c)及び図4(d)に示して説明する。ここで本実施形態に係る姿勢変更部34とは図3及び図4で具体的に図示した位置のみならず、正常姿勢(N)以外の姿勢をとっているワークWが落下し得る領域全般を指すものであることはいうまでもない。
【0033】
図4(b)では、正常姿勢(N)ではなく底面W3が第一底壁31aに接地しているワークWの挙動を示している。このように第一底壁31aに底面W3を接地させたワークWは滑り落ちるように第二側壁32bに接地するよう第二走路32へ向けて落下する。このとき同図に示す状態で第一走路31にあるワークWの殆どは第二走路32へ落下するとき正常姿勢(N)へと姿勢変更する。これは、落差36の寸法が少なくともワークWの外形寸法の二分の一以上の寸法が確保され、且つ第一底壁31aと第二側壁32bとが鈍角をなして断面視連続していることに起因する。
【0034】
図4(c)では、底面W3がどこにも接地しておらず、レンズW9を有する要保護面W6が第一側壁31bに接してしまっている不正姿勢(X)をとっているワークWの挙動を示している。このように第一側壁31bに要保護面W6が接した不正姿勢(X)にあるワークWは第一走路31から転がり落ちるように動作しながら第二走路32へ落下する。当該不正姿勢(X)をとっているワークWの殆どは同図に示すように第二底壁32aに底面W3を接しさせた状態となる。これは、第二側壁32bの寸法設定すなわち第一側壁31bから第二側壁32bまでの間に形成された落差36の寸法が、平面視正方形状をなすワークWの一辺の寸法すなわち外形寸法よりも若干大きい所定の寸法に設定されているためである。
【0035】
図4(d)では、底面W3が第一側壁31bに接地した正常姿勢(N)に既に位置づけられた状態で搬送されてきたワークWを示している。斯かる正常姿勢(N)にあるワークWは、そのままこの姿勢変更部34により姿勢変更されることなくそのまま姿勢維持部35まで搬送される。
【0036】
そして図3、そして図5に特に示すように、姿勢変更部34からさらに角度位相において30°から40°経過した位置には姿勢維持部35が設けられている。なお姿勢維持部35は同図に具体的に図示している位置のみならず、第一底壁31aがワークWの基板W1の厚みと同じくらいか小さい寸法となることにより、正常姿勢(N)にあるワークWが落下し得る領域全般を示している。
【0037】
図5に示すように第一走路31終端或いはその近傍では、第一底壁31aの寸法が何れの姿勢にあるワークWをも支持し得ないまでに小さくなっているとともに、第一側壁31bがなす角度が図4に示したそれよりも傾倒して上向きに形成されている。これによりV部拡大図である同図(b)に示されるようなワークWの殆どは正常姿勢(N)が保持されたまま同図(c)に示されるように、第二側壁32bに底面W3が接地するよう下方向にスライドするように落下することができる。
【0038】
そして図6に示すように、上述した図4(c)に示されたワークWはその後第二走路32から第三走路33へと案内され、斯かる第三走路33上の案内面33aを経て再び未加工面20へ戻ることになる。同図に示すように、第三走路33が設けられた位置では第二底壁32aの寸法も正常姿勢(N)にあるワークW以外は支持できない姿勢となっている。これにより、図4(c)の状態にあるワークWは未加工面20へ戻されるものの、底面W3が接地した状態が維持されながら再び周回し、上述した図4(b)に示す挙動を採りながら正常姿勢(N)へと姿勢変更し、第二走路32によって供給先Rまで搬送される。
【0039】
そして、第一走路31、第三走路33を通過したワークWは第二走路32によって、上述した姿勢変換装置5及び排除部Eを経て、所定の正方向の姿勢であることを確認されたワークWのみが供給先Rに向けて供給される。
【0040】
以上のように本実施形態のパーツフィーダは、幅寸法を漸次狭く形成した第一底壁31aを有する第一走路31と、第一走路31から落下したワークWの底面W3が供給先Rへ搬送すべき正常姿勢(N)にあるときに接する第二側壁32b不正姿勢(X)にあるワークWが第一走路31から落下するときに姿勢変更されて底面W3が接する第二底壁32aを有し、正常姿勢(N)にあるワークWを供給先Rへ搬送する第二走路32と、第二底壁32aに底面W3が接しているワークWを第二走路32から貯留部2へ案内する第三走路33とを具備するように構成されたものである。
【0041】
このような構成であると、第二走路32にワークWが到達するときには適宜姿勢変更がなされることにより、底面W3が第二側壁32b又は第二底壁32aの何れかに接した状態とすることができる。その結果、第二底壁32aにワークWが到達するときには不正姿勢(X)にあるワークWの割合を大きく減じることが可能となる。特に、従来であれば不正姿勢(X)にあるようなワークWはエア等により搬送路3から除外するというように、ワークWに対して大きな動作や衝撃を強要していたところ、本実施形態では斯かる動作や衝撃を回避しながら、ワークWを平行する走路へ落下させるという小さい動作のみによりワークWの姿勢変更を実現している。これにより、搬送路3が短く設定されているにもかかわらず、安定してワークWを整列させて供給効率を高くしながら搬送中のワークWの品質の低下を有効に回避することができるパーツフィーダが実現されている。
【0042】
そして本実施形態では第一走路31を、未加工領域たる貯留部2の外縁の外側を周回するように設けているので、既存の搬送路3の構成から大きな仕様変更を要することなく、ワークWを供給先Rまでより速やかに到達させ得るものとなっている。
【0043】
特に本実施形態では、ホッパHから投入されたワークWが360°周回するまでの位置に姿勢変更部34を設けることにより、要保護面W6が接地してしまった不正姿勢(X)にあるワークWの姿勢を速やかに変更させることができ、要保護面W6の一層の保護に寄与せしめている。
【0044】
そして本実施形態では、第二底壁32aを、第一底壁31aに底面W3を接しさせた姿勢にあるワークWの落下時に正常姿勢(N)へと姿勢変更させ得る落差36を隔てて形成されたものとし、正常姿勢(N)にあるワークWの姿勢を維持しながら第一走路31から第二走路32へとワークWを落下させるための姿勢維持部35を設けることで、第一走路31から第二走路32に至るワークWがより多い割合で確実に正常姿勢(N)となる。
【0045】
特に本実施形態では、第一底壁31aと第二底壁32aとの間に形成される落差36の寸法を、ワークWの底面W3の外形寸法よりも大きいようにすることで、不正姿勢(X)にあるワークWをより確実に不正姿勢(X)以外の姿勢へ姿勢変更させ得るようにワークWを落下させている。
【0046】
そして本発明に斯かるパーツフィーダは、ワークWが、底面W3の反対側に形状を膨出させて形成した膨出面たる要保護面W6を有するものであり、底面W3が略正方形状をなすものに対してワークWの落下による姿勢変更を行うことにより、要保護面W6の保護を簡素な構成にて促しつつ、より有効に効果を発揮し得る。これにより本実施形態によれば、要保護面W6にあるレンズW9を有効に保護しながらワークWを安定して搬送せしめている。
【0047】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態の構成に限られるものではない。例えば上記実施形態では貯留部をワークに対し何ら姿勢変更を行わない未加工領域に設定し、供給先に至るまでに位置づけられた搬送路に第一走路、第二走路及び第三走路を構成したが勿論、貯留部の一部にこれら第一走路、第二走路及び第三走路を構成しても良い。換言すれば、搬送路に至るまでに全てのワークの底面が接地しているような態様であっても良い。但し斯かる態様を適用するためには、貯留部において全てのワークを洩れなく第一走路に到達させるための格別の構成が必要となる。
【0048】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0049】
2・・・未加工領域(貯留部)
31・・・第一走路
31a・・・第一底壁
31b・・・第一側壁
32・・・第二走路
32a・・・第二底壁
32b・・・第二側壁
33・・・第三走路
33a・・・案内面
34・・・姿勢変更部
35・・・姿勢維持部
36・・・落差
W・・・ワーク
W3・・・底面
W6・・・膨出面(要保護面)
W9・・・レンズ
N・・・正常姿勢
X・・・不正姿勢
H・・・ホッパ
R・・・供給先
図1
図2
図3
図4
図5
図6