特許第6593150号(P6593150)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6593150
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】媒体鑑別装置及び自動取引装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 7/00 20160101AFI20191010BHJP
   G07D 7/04 20160101ALI20191010BHJP
   G07D 7/12 20160101ALI20191010BHJP
【FI】
   G07D7/00 A
   G07D7/04
   G07D7/12
【請求項の数】10
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-247115(P2015-247115)
(22)【出願日】2015年12月18日
(65)【公開番号】特開2017-111714(P2017-111714A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2018年8月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082740
【弁理士】
【氏名又は名称】田辺 恵基
(72)【発明者】
【氏名】樋口 弘明
(72)【発明者】
【氏名】西濃 信晴
【審査官】 須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05988345(US,A)
【文献】 特開2011−024785(JP,A)
【文献】 特開2015−069424(JP,A)
【文献】 特開2008−052368(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D1/00−11/60
B65H5/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体の搬送面を形成する搬送ガイドと、
前記搬送ガイドに形成された開口部に配置され、前記媒体を搬送する搬送ローラと、
前記媒体に関する情報を検出するセンサと、
前記搬送ガイドとともに前記搬送面を形成し、当該搬送面とは反対側に前記センサが取り付けられるセンサ取付部と
を備え、
前記搬送ガイドには、突出部が形成され、当該突出部に前記開口部から前記媒体の搬送方向に向かって傾斜するスロープが形成され、
前記センサ取付部には、前記搬送ガイドの前記スロープが形成されている前記突出部と対向する箇所に、当該突出部と嵌合する切欠部が形成され、
前記センサ取付部と前記搬送ガイドとが一体に形成された構造でなる
ことを特徴とする媒体鑑別装置。
【請求項2】
前記搬送ガイドには、
前記開口部が、前記センサ取付部を挟んで前記搬送方向に複数配置され、当該複数の開口部のそれぞれに、前記搬送ローラが配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の媒体鑑別装置。
【請求項3】
前記搬送ガイドには、
前記開口部の前記搬送方向の一端側と他端側とに、それぞれ前記スロープが形成されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の媒体鑑別装置。
【請求項4】
前記センサは、
前記媒体に関する画像情報を取得する光学センサであり、
前記センサ取付部は、
光を透過する透過部分を有し、当該透過部分の前記搬送面とは反対側に前記光学センサが取り付けられている
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の媒体鑑別装置。
【請求項5】
前記センサ取付部は、
光を透過する第1部材と、当該第1部材と前記搬送ガイドとの間に介在する第2部材とが一体成型された構造でなる
ことを特徴とする請求項4に記載の媒体鑑別装置。
【請求項6】
前記第1部材は、ガラス部材であり、
前記第2部材は、前記搬送ガイドとは異なる樹脂材料で成型される樹脂部材である
ことを特徴とする請求項5に記載の媒体鑑別装置。
【請求項7】
前記センサは、
前記媒体に関する磁気情報を取得する磁気センサであり、
前記センサ取付部は、
前記搬送ガイドより薄い薄肉部分を有し、当該薄肉部分の前記搬送面とは反対側に前記磁気センサが取り付けられている
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の媒体鑑別装置。
【請求項8】
取引の為に搬送される媒体を鑑別する鑑別部と、
前記媒体を前記鑑別部へと搬送する搬送部と
を有し、
前記鑑別部は、
前記媒体の搬送面を形成する搬送ガイドと、
前記搬送ガイドに形成された開口部に配置され、前記媒体を搬送する搬送ローラと、
前記媒体に関する情報を検出するセンサと、
前記搬送ガイドとともに前記搬送面を形成し、当該搬送面とは反対側に前記センサが取り付けられるセンサ取付部と
を備え、
前記搬送ガイドには、突出部が形成され、当該突出部に前記開口部から前記媒体の搬送方向に向かって傾斜するスロープが形成され、
前記センサ取付部には、前記搬送ガイドの前記スロープが形成されている前記突出部と対向する箇所に、当該突出部と嵌合する切欠部が形成され、
前記センサ取付部と前記搬送ガイドとが一体に形成された構造でなる
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項9】
媒体の搬送面を形成する搬送ガイドと、
前記媒体に関する情報を検出するセンサと、
前記搬送ガイドとともに前記搬送面を形成し、当該搬送面とは反対側に前記センサが取り付けられ、さらに前記センサが取り付けられる位置から前記媒体の搬送方向に離れた位置に開口部が形成されたセンサ取付部と、
前記センサ取付部に形成された前記開口部に配置され、前記媒体を搬送する搬送ローラと
を備え、
前記センサ取付部には、前記開口部から前記搬送方向に向かって傾斜するスロープが形成され、
前記搬送ガイドには、前記センサ取付部の前記スロープが形成されている箇所と対向する箇所に、当該センサ取付部の前記スロープが形成されている箇所と嵌合する切欠部が形成され、
前記センサ取付部と前記搬送ガイドとが一体に形成された構造でなる
ことを特徴とする媒体鑑別装置。
【請求項10】
取引の為に搬送される媒体を鑑別する鑑別部と、
前記媒体を前記鑑別部へと搬送する搬送部と
を有し、
前記鑑別部は、
前記媒体の搬送面を形成する搬送ガイドと、
前記媒体に関する情報を検出するセンサと、
前記搬送ガイドとともに前記搬送面を形成し、当該搬送面とは反対側に前記センサが取り付けられ、さらに前記センサが取り付けられる位置から前記媒体の搬送方向に離れた位置に開口部が形成されたセンサ取付部と、
前記センサ取付部に形成された前記開口部に配置され、前記媒体を搬送する搬送ローラと
を備え、
前記センサ取付部には、前記開口部から前記搬送方向に向かって傾斜するスロープが形成され、
前記搬送ガイドには、前記センサ取付部の前記スロープが形成されている箇所と対向する箇所に、当該センサ取付部の前記スロープが形成されている箇所と嵌合する切欠部が形成され、
前記センサ取付部と前記搬送ガイドとが一体に形成された構造でなる
ことを特徴とする自動取引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体鑑別装置及び自動取引装置に関するものであり、例えば、利用者との間で媒体としての紙幣を介して所望の取引を行う現金自動預払機(ATM:Automatic Teller Machine)に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金融機関などで使用される現金自動預払機には、媒体としての紙幣を鑑別する媒体鑑別装置として紙幣の金種や真偽を鑑別する鑑別部が設けられている。鑑別部は、紙幣の金種や真偽を鑑別する為のセンサとして、例えば、紙幣からの反射光を反射画像として検出する反射型の光学センサや、紙幣を透過した透過光を透過画像として検出する透過型の光学センサを有している。このような光学センサは、紙幣の搬送をガイドする搬送ガイドとともに搬送面を形成するガラス部の搬送面とは反対側(裏面側)に取り付けられている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
ここで、図11及び図12に、従来の鑑別部の部分的な構成を示す。尚、鑑別部は鑑別部内を通る搬送路(図示せず)を挟んで上下方向に対向配置された上部ユニット(図示せず)と下部ユニットとで構成され、図11は下部ユニットに設けられた下側搬送ガイド200を上側から見た上面図である。また、図12(A)は、図11の一部を拡大した図であり、図12(B)は、図12(A)に示す下側搬送ガイド200をA−A´線で切断した場合のA−A´線断面図である。
【0004】
図11に示すように、下側搬送ガイド200には、下側搬送ガイド200とともに搬送面を形成するガラス部201が設けられていて、このガラス部201の裏面側に、光学センサ202が取り付けられている。ガラス部201は、図11に矢印Arで示す搬送方向と直交する方向に延びている。またこのガラス部201は、ガラス部201の周囲を覆うとともにガラス部201とともに搬送面を形成する樹脂部材203と一体成型されて、ガラス一体樹脂成型部204となっている。さらに、このガラス一体樹脂成型部204は、ガラス一体樹脂成型部204の周囲(つまり樹脂部材203の周囲)を覆うとともにガラス一体樹脂成型部204とともに搬送面を形成する下側搬送ガイド200と一体成型されている。
【0005】
さらに、下側搬送ガイド200には、ガラス一体樹脂成型部204を挟んで搬送方向に対向する複数の開口部205が形成されている。さらに下側搬送ガイド200の裏面側には、各開口部205と対応する位置に、それぞれ紙幣を搬送する為の搬送ローラ206が配置されていて、各搬送ローラ206は、図12(B)に示すように、外周の一部が開口部205から搬送路側に突出するようになっている。
【0006】
図12(A)に示すように、下側搬送ガイド200に形成された各開口部205は、下側搬送ガイド200と樹脂部材203との接合部分から搬送方向に延びる長方形状の孔である。さらに、下側搬送ガイド200には、各開口部205の搬送方向の一端(樹脂部材203から遠い方の端)から搬送方向に延びるスロープ207が形成されている。一方、樹脂部材203には、各開口部205の搬送方向の他端(樹脂部材203に近い方の端)から搬送方向に延びるスロープ208が形成されている。つまり、各開口部205の搬送方向の一端側と他端側には、それぞれ搬送方向に延びるスロープ207、208が形成されている。
【0007】
図12(B)に示すように、各スロープ207、208は、開口部205に向かって搬送面から下っていく傾斜面となっていて、紙幣が開口部205の搬送方向の両端に引っ掛かることを防止する為のものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2015−69424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、従来技術では、ガラス一体樹脂成型部204と下側搬送ガイド200とを金型を用いて一体成型する際に、位置やサイズなどのばらつきによって、下側搬送ガイド200と樹脂部材203との接合部分のうち、樹脂部材203側に形成されたスロープ208と下側搬送ガイド200側に形成された開口部205との境界部分に、搬送方向と直交する方向の段差209(図12(A))が発生することがあった。搬送面にこのような段差209が存在していると、紙幣がこの段差209に引っ掛かってしまうことがあり、この場合、紙幣を正常に搬送できなくなってしまう。
【0010】
このような段差の発生は、スロープ208と開口部205とが、ガラス一体樹脂成型部204と下側搬送ガイド200とに分かれて形成されていることが原因である。ゆえに、例えば、搬送ローラ206の搬送方向の間隔(ローラピッチ)とともに、開口部205の搬送方向の間隔を広げて、スロープ208と開口部205を両方とも下側搬送ガイド200側に形成できれば、段差209の発生を防ぐことができると考えられる。また一方で、光学センサ202を小型化して、ガラス部201の搬送方向の長さを小さくできれば、搬送ローラ206の搬送方向の間隔(ローラピッチ)と、開口部205の搬送方向の間隔を広げることなく、スロープ208と開口部205を両方とも下側搬送ガイド200側に形成して、段差209の発生を防ぐことができると考えられる。
【0011】
しかしながら、実際、搬送ローラ206のローラピッチは、紙幣のサイズによる制約を受ける為、広げることはできない。また、現状、より小型の光学センサ202についても実現できていない。したがって、結局のところ、従来技術では、搬送方向と直交する方向の段差209の発生を防ぐことができず、段差209への紙幣の引っ掛かりを防止することもできなかった。
【0012】
本発明は以上の点を考慮したもので、従来と比して媒体の搬送性能を向上させた媒体鑑別装置及び自動取引装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かかる課題を解決するため本発明においては、媒体の搬送面を形成する搬送ガイドと、前記搬送ガイドに形成された開口部に配置され、前記媒体を搬送する搬送ローラと、前記媒体に関する情報を検出するセンサと、前記搬送ガイドとともに前記搬送面を形成し、当該搬送面とは反対側に前記センサが取り付けられるセンサ取付部とを備え、前記搬送ガイドには、突出部が形成され、当該突出部に前記開口部から前記媒体の搬送方向に向かって傾斜するスロープが形成され、前記センサ取付部には、前記搬送ガイドの前記スロープが形成されている前記突出部と対向する箇所に、当該突出部と嵌合する切欠部が形成され、前記センサ取付部と前記搬送ガイドとが一体に形成された構造とした。
【0014】
このように、センサ取付部における搬送ガイドのスロープが形成されている突出部と対向する箇所に切欠部を形成し、この切欠部に搬送ガイドの突出部を嵌合させて、センサ取付部と搬送ガイドとを一体に形成ることで、センサ取付部において切欠部の形成部分については幅を短くし、それ以外の部分については十分な幅を保って、搬送ローラのローラピッチを広げることなく、開口部とスロープの両方を搬送ガイド側に形成することができる。これにより、センサ取付部と搬送ガイドとを十分に接合でき、且つ搬送方向と直交する方向の段差の発生を防いで、媒体を滑らかに搬送することができる。
【0015】
また、本発明においては、媒体の搬送面を形成する搬送ガイドと、前記媒体に関する情報を検出するセンサと、前記搬送ガイドとともに前記搬送面を形成し、当該搬送面とは反対側に前記センサが取り付けられ、さらに前記センサが取り付けられる位置から前記媒体の搬送方向に離れた位置に開口部が形成されたセンサ取付部と、前記センサ取付部に形成された前記開口部に配置され、前記媒体を搬送する搬送ローラとを備え、前記センサ取付部には、前記開口部から前記搬送方向に向かって傾斜するスロープが形成され、前記搬送ガイドには、前記センサ取付部の前記スロープが形成されている箇所と対向する箇所に、当該センサ取付部の前記スロープが形成されている箇所と嵌合する切欠部が形成され、前記センサ取付部と前記搬送ガイドとが一体に形成された構造とした。
【0016】
このように、搬送ガイドに切欠部を形成し、この切欠部にセンサ取付部のスロープが形成されている箇所が嵌合するようにして、センサ取付部と搬送ガイドとを一体成型するようにしたことで、搬送ローラのローラピッチを広げることなく、開口部とスロープの両方をセンサ取付部側に形成することができる。これにより、搬送方向と直交する方向の段差の発生を防いで、媒体を滑らかに搬送することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、従来と比して媒体の搬送性能を向上させた媒体鑑別装置及び自動取引装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】現金自動預払機の外観構成を示す斜視図である。
図2】紙幣入出金機の内部構成を示す側面図である。
図3】鑑別部の内部構成を示す側面図である。
図4】第1の実施の形態における鑑別部の鑑別下側搬送ガイドの構成を示す上面図である。
図5】第1の実施の形態における鑑別下側搬送ガイドの一部を拡大した拡大図と、その断面を示す断面図である。
図6】第2の実施の形態における鑑別部の鑑別下側搬送ガイドの構成を示す上面図である。
図7】第2の実施の形態における鑑別下側搬送ガイドの一部を拡大した拡大図と、その断面を示す断面図である。
図8】他の実施の形態における鑑別下側搬送ガイドの一部を拡大した拡大図である。
図9】他の実施の形態における鑑別下側搬送ガイドの一部を拡大した拡大図である。
図10】他の実施の形態における鑑別下側搬送ガイドと樹脂部材との接合部分の断面を示す断面図である。
図11】従来の鑑別部の下側搬送ガイドの構成を示す上面図である。
図12】従来の下側搬送ガイドの一部を拡大した拡大図と、その断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、発明を実施するための形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0020】
[1.第1の実施の形態]
[1−1.現金自動預払機の構成]
図1に外観を示すように、現金自動預払機1は、箱状の筐体2を中心に構成されており、例えば金融機関等に設置され、顧客との間で入金取引や出金取引等の現金に関する取引を行う。尚、ここでは、現金自動預払機1の筐体2における、利用者が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、前側に対峙した顧客から見て上下左右をそれぞれ上側、下側、左側及び右側と定義する。
【0021】
この現金自動預払機1は、筐体2の前面上部に、顧客応対部3が設けられている。顧客応対部3は、カード入出口4、入出金口5、操作表示部6、テンキー7及びレシート発行口8等からなり、顧客との間で現金や通帳等を直接やり取りすると共に、取引に関する情報の通知や操作指示の受付を行う部分である。
【0022】
カード入出口4は、キャッシュカード等の各種カードが挿入又は排出される部分であり、カード入出口4の奥側には、各種カードに磁気記録された口座番号等の読み取りを行うカード処理部(図示せず)が設けられている。入出金口5は、顧客が入金する紙幣が投入されると共に、顧客へ出金する紙幣が排出される部分である。操作表示部6は、取引に際して操作画面を表示するLCD(Liquid Crystal Display)と、取引の種類の選択、暗証番号や取引金額等を入力するタッチパネルとが一体化されている。テンキー7は、数字等の入力を受け付ける物理的なキーであり、暗証番号や取引金額等の入力操作時に用いられる。レシート発行口8は、取引処理の終了時に取引内容等を印字したレシートを発行する部分である。
【0023】
筐体2内には、現金自動預払機1全体を統轄制御する主制御部9や、紙幣に関する種々の処理を行う紙幣入出金機10等が設けられている。主制御部9は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部から所定のプログラムを読み出して実行することにより、各部を制御して入金取引や出金取引等の種々の処理を行う。
【0024】
[1−2.紙幣入出金機の構成]
紙幣入出金機10は、図2に示すように、箱状の入出金機筐体20を中心に構成されており、制御部21が紙幣入出金機10を統轄制御する。制御部21は、図示しないCPUを中心に構成されており、ROM、RAM、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部22から所定のプログラムを読み出して実行することにより、各部を制御して入金取引や出金取引等の種々の処理を行う。
【0025】
紙幣入出金機10の内部の上側には、入出金部23、紙幣の金種や真偽を判定する鑑別部24、入金紙幣等を一時的に保留する一時保留部25、及び偽造紙幣(以下、偽券と呼ぶ)と判断された紙幣を収納する偽券庫26等が設けられている。
【0026】
入出金部23は、入出金機筐体20内の前側上部に配され、顧客から投入された紙幣を1枚ずつ分離して搬送部27へ繰り出す。搬送部27は、図示しないローラやベルト等により、図中実線で示す搬送路に沿って長方形の紙幣を短手方向に搬送する。搬送部27は、鑑別部24を前後方向に挿通させるように紙幣を搬送し、鑑別部24の後側と一時保留部25、紙幣収納庫28、及び偽券庫26とをそれぞれ接続している。また搬送部27は、鑑別部24の前側と入出金部23及びリジェクト庫29とを接続している。搬送部27の分岐点には、セレクタ(図中三角形で示す)が設けられており、制御部21の制御に基づき回動することにより、紙幣の搬送先を切り替えるようになっている。
【0027】
鑑別部24は、その内部で紙幣を搬送しながら、光学センサや磁気センサ等を用いて紙幣の金種及び真偽、並びに損傷の程度等(正損)を鑑別し、その鑑別結果を制御部21へ通知する。また鑑別部24は、撮像した紙幣の画像情報から記番号を読み取り識別し、その識別結果を制御部21へ通知する。これに応じて制御部21は、取得した鑑別結果及び識別結果に基づいて紙幣の搬送先を決定する。
【0028】
一時保留部25は、入出金機筐体20内の前後方向の中央部であって搬送部27の上に隣接する位置に配され、いわゆるテープエスクロ方式を採用しており、円筒形状のドラムの周側面に紙幣をテープと共に巻き付けることで紙幣を収納し、またこの周側面からテープを引き剥がすことで紙幣を繰り出す。
【0029】
偽券庫26は、入出金機筐体20内の後側上部であって搬送部27の上に隣接する位置に配され、内部に紙幣を収納する空間を有している。この偽券庫26は、鑑別部24及び制御部21により偽券と判断された紙幣が搬送部27により搬送されてくると、これを内部に収納するようになっている。
【0030】
紙幣入出金機10の内部の下側には、再利用すべきでない紙幣を収納するリジェクト庫29と、再利用可能な紙幣を収納する5個の紙幣収納庫28とが設けられている。リジェクト庫29は、入出金機筐体20内の前側下部に配され、内部に紙幣を集積して収納する空間を有している。このリジェクト庫29は、鑑別部24及び制御部21により損傷の程度が大きく再利用すべきで無いと判断された紙幣が搬送部27により搬送されて来ると、この紙幣を内部に収納するようになっている。
【0031】
入出金機筐体20内のリジェクト庫29の後方には、前側から後側へ向けて順に5個の紙幣収納庫28(28A〜28E)が設けられている。各紙幣収納庫28は、内部に紙幣を集積して収納する空間を有している。各紙幣収納庫28は、それぞれ収納すべき紙幣の金種が予め設定されている。この紙幣収納庫28は、鑑別部24及び制御部21により損傷の程度が小さく再利用が可能であると判断された紙幣が、その金種に応じて搬送部27により搬送されてくると、この紙幣を内部に集積して収納するようになっている。また紙幣収納庫28は、制御部21から紙幣を繰り出す指示を受け付けると、集積している紙幣を1枚ずつに分離して繰り出し、搬送部27に受け渡すようになっている。
【0032】
現金自動預払機1は、このような構成でなり、鑑別部24による紙幣の鑑別結果及び識別結果等をもとに主制御部9及び制御部21が各部を制御して、紙幣の入金処理及び出金処理等を行うようになっている。
【0033】
すなわち、現金自動預払機1は、入金取引時、顧客により操作表示部6を介して入金取引が選択され入出金部23に紙幣が投入されると、投入された紙幣を入出金部23から1枚ずつ鑑別部24に搬送する。ここで現金自動預払機1は、鑑別部24の鑑別結果及び識別結果に基づき入金可能と判定された入金可能紙幣については一時保留部25に搬送して一時的に収納する。一方で現金自動預払機1は、入金に適さないと判定された入金リジェクト紙幣については入出金部23へ戻して顧客に返却する。その後顧客により入金金額が確定されると、現金自動預払機1は、一時保留部25に収納している紙幣のうち収納可能と判定された紙幣については、その金種に応じて各紙幣収納庫28へ搬送して保管する。一方で現金自動預払機1は、偽券と判定された紙幣については、偽券庫26へ搬送する。また現金自動預払機1は、収納に適さないと判定された紙幣については、リジェクト庫29へ搬送する。
【0034】
一方、出金取引時、現金自動預払機1は、顧客により操作表示部6を介して出金取引が選択され出金金額が入力されると、要求金額に応じて必要な金種毎の紙幣枚数を認識し、この金種毎の紙幣枚数に応じて各紙幣収納庫28から紙幣を繰り出して鑑別部24に搬送し、鑑別結果及び識別結果を得る。ここで現金自動預払機1は、鑑別部24の鑑別結果及び識別結果に基づき出金可能と判定された出金可能紙幣については入出金部23に搬送する。一方で現金自動預払機1は、出金に適さないと判定された出金リジェクト紙幣についてはリジェクト庫29へ搬送して収納する。そして要求金額分の紙幣が入出金部23へ集積されると、現金自動預払機1は、シャッタを開ける。これにより入出金部23内に集積されている紙幣の受け取りが可能な状態となり、顧客がこの紙幣を受け取る。
【0035】
[1−3.鑑別部の構成]
ここで、鑑別部24の構成についてさらに詳しく説明する。図3に示すように、鑑別部24は、鑑別接続搬送部40と、鑑別接続搬送部40の後方上側に配され鑑別接続搬送部40に着脱可能な鑑別センサ部41とにより構成されている。
【0036】
鑑別センサ部41は、前後方向に延びる箱型の鑑別上フレーム43Aと、鑑別上フレーム43Aの下方に配され前後方向に延びる箱型の鑑別下フレーム43Bとを有している。鑑別上フレーム43A及び鑑別下フレーム43Bは、鑑別部24内の各構成部品を支持するフレーム部材である。
【0037】
また、鑑別上フレーム43Aと鑑別下フレーム43Bの間には、紙幣BLを搬送する搬送路44が形成されている。
【0038】
鑑別上フレーム43Aは、前端部分に設けられた左右方向に延びる回動軸45を中心に後端が上方へ移動するよう回動可能となっている。鑑別上フレーム43Aは、例えば、搬送路44に詰まった紙幣BLを取り除く為の保守作業が行われる際、保守作業者により回動させられると、搬送路44を外部に露出させてアクセスし易い状態となる。
【0039】
搬送路44は、鑑別センサ搬送路44A、分岐部44B、入出金部側搬送路44C、及びリジェクト庫側搬送路44Dにより構成されている。鑑別センサ搬送路44Aは、鑑別上フレーム43Aと鑑別下フレーム43Bとの間に設けられ、鑑別センサ部41の後端に位置し鑑別部24の後方と紙幣BLを受け渡す箇所である搬送路受渡部45Aから、鑑別センサ部41の前端に位置する分岐部44Bまで(すなわち鑑別センサ部41の後端から前端まで)延び、搬送路受渡部45Aと分岐部44Bとの間で紙幣BLを前後方向に走行させる。
【0040】
分岐部44Bは、鑑別センサ搬送路44Aの前端と入出金部側搬送路44Cの下端とリジェクト庫側搬送路44Dの上端との間に位置していて、鑑別センサ搬送路44Aの前端から鑑別センサ部41の上方と下方とに分岐する。
【0041】
入出金部側搬送路44Cは、分岐部44Bから、鑑別センサ部41の上端に位置し入出金部23と紙幣BLを受け渡す箇所である入出金部側受渡部45Bまで延び、分岐部44Bと入出金部側受渡部45Bとの間で紙幣BLを上下方向に走行させる。
【0042】
リジェクト庫側搬送路44Dは、分岐部44Bから、鑑別センサ部41の下端に位置しリジェクト庫29と紙幣BLを受け渡す箇所であるリジェクト庫側受渡部45Cまで延び、分岐部44Bとリジェクト庫側受渡部45Cとの間で紙幣BLを上下方向に走行させる。
【0043】
紙幣入出金機10は、制御部21の制御に基づいて、紙幣BLを搬送路44に沿って入出金部側受渡部45Bから搬送路受渡部45Aへ、又は搬送路受渡部45Aから入出金部側受渡部45Bへ、又は搬送路受渡部45Aからリジェクト庫側受渡部45Cへ走行させながら、紙幣BLの鑑別処理を行う。
【0044】
また、鑑別部24は、搬送路44の周囲に、紙幣BLの搬送をガイドする搬送下側搬送ガイド50、搬送前側搬送ガイド51、鑑別上側搬送ガイド52、及び鑑別下側搬送ガイド53と、紙幣BLを搬送する駆動ローラ54A、54B、54C、55A、55B、55Cと、従動ローラ56A、56B、56C、57A、57B、57Cと、紙幣BLの搬送方向を切り替える振分機構58と、紙幣BLの厚さ情報を取得する厚さ情報取得部60と、紙幣BLの画像情報を取得する画像情報取得部61と、紙幣BLの磁気情報を取得する磁気情報取得部62とを有している。
【0045】
鑑別上側搬送ガイド52と鑑別下側搬送ガイド53は対向配置されていて、これらが鑑別センサ搬送路44Aを搬送される紙幣BLをガイドする。
【0046】
また、鑑別上側搬送ガイド52の湾曲している部分と、鑑別下側搬送ガイド53の湾曲している部分と、搬送前側搬送ガイド51とが対向配置されていて、これらが分岐部44B及び入出金部側搬送路44Cを通る紙幣BLをガイドする。さらに、搬送下側搬送ガイド50と搬送前側搬送ガイド51とが対向配置されていて、これらがリジェクト庫側搬送路44Dを通る紙幣BLをガイドする。
【0047】
さらに、搬送前側搬送ガイド51の搬送面の反対側(前側)には、搬送前側搬送ガイド51に沿って上から順に、駆動ローラ54A、54B、54Cが左右方向に延びる軸を中心に回転可能に取り付けられている。駆動ローラ54A、54B、54Cは、それぞれ左右方向に複数個設けられていて、それぞれ外周の一部が搬送前側搬送ガイド51に形成された開口部(図示せず)から搬送路44側に突出するようになっている。さらに、駆動ローラ54Aと駆動ローラ54Bとの間には、紙幣BLの搬送経路を切り替える為の振分機構58が設けられている。
【0048】
搬送下側搬送ガイド50の搬送面の反対側(後側)には、駆動ローラ54Cと対向する位置に、従動ローラ56Cが左右方向に延びる軸を中心に回転可能で且つ前後方向に移動可能に取り付けられている。従動ローラ56Cは、左右方向に複数個設けられていて、それぞれ外周の一部が搬送下側搬送ガイド50に形成された開口部(図示せず)から搬送路44側に突出するようになっている。
【0049】
鑑別下側搬送ガイド53の前後方向に延びている部分の搬送面の反対側(下側)には、鑑別下側搬送ガイド53に沿って後側から順に、厚さ情報取得部60の厚さ基準ローラ70、駆動ローラ55A、55B、55Cが、左右方向に延びる軸を中心に回転可能に取り付けられている。さらに、鑑別下側搬送ガイド53の前側の上下方向に延びている部分の搬送面の反対側(後側)には、駆動ローラ54Bと対向する位置に、左右方向に延びる軸を中心に回転可能で、且つ前後方向に移動可能な従動ローラ56Bが取り付けられている。これら、厚さ基準ローラ70、駆動ローラ55A、55B、55C、及び従動ローラ56Bは、それぞれ左右方向に複数個設けられていて、それぞれ外周の一部が鑑別下側搬送ガイド53に形成された開口部(図示せず)から搬送路44側に突出するようになっている。
【0050】
さらに、鑑別下側搬送ガイド53の搬送面の反対側(下側)には、駆動ローラ55Aと駆動ローラ55Bとの間に、画像情報取得部61の反射センサユニット71Dが配置されているとともに、駆動ローラ55Bと駆動ローラ55Cとの間に、磁気情報取得部62の磁気ギャップローラ72が配置されている。磁気ギャップローラ72は、左右方向に延びる軸を中心に回転可能で且つ上下方向に移動可能に取り付けらている。また、磁気ギャップローラ72は、左右方向に複数個設けられていて、それぞれ外周の一部が鑑別下側搬送ガイド53に形成された開口部(図示せず)から搬送路44側に突出するようになっている。
【0051】
鑑別上側搬送ガイド52の前後方向に延びている部分の搬送面の反対側(上側)には、駆動ローラ55A、55B、55Cのそれぞれと対向する位置に、従動ローラ57A、57B、57Cが、左右方向に延びる軸を中心に回転可能で且つ上下方向に移動可能に取り付けられている。さらに、鑑別上側搬送ガイド52の前側の上下方向に延びている部分の搬送面の反対側(後側)には、駆動ローラ54Aと対向する位置に、左右方向に延びる軸を中心に回転可能で且つ前後方向に移動可能な従動ローラ56Aが取り付けられている。これら、従動ローラ57A、57B、57C、及び従動ローラ56Aは、それぞれ左右方向に複数個設けられていて、それぞれ外周の一部が鑑別上側搬送ガイド52に形成された開口部(図示せず)から搬送路44側に突出するようになっている。
【0052】
さらに、鑑別上側搬送ガイド52の搬送面の反対側(上側)には、厚さ基準ローラ70と対向する位置に、厚さ情報取得部60の厚さ検知ローラ部73が配置され、反射センサユニット71Dと対向する位置に、画像情報取得部61の反射透過センサユニット71Uが配置され、磁気ギャップローラ72と対向する位置に、磁気情報取得部62の磁気センサ74が配置されている。
【0053】
従動ローラ56A、56B、56C、57A、57B、57Cは、図示しない圧縮ばねなどの付勢部材によって、それぞれ駆動ローラ54A、54B、54C、55A、55B、55Cに押し付けられている。
【0054】
厚さ情報取得部60は、厚さ基準ローラ70と、厚さ検知ローラ部73と、ギャップセンサ75とを有している。厚さ検知ローラ部73は、ブラケット部分とローラ部分とでなり、ブラケット部分が、左右方向に延びる支点軸73Aを中心に回動可能に鑑別上フレーム43Aに取り付けられている。また、厚さ検知ローラ部73のローラ部分は、左右方向に延びる軸を中心に回転可能にブラケット部分に取り付けられていて、外周の一部が鑑別上側搬送ガイド52に形成された開口部(図示せず)から搬送路44側に突出するようになっている。
【0055】
厚さ検知ローラ部73は、図示しない圧縮ばねなどの付勢部材によって、厚さ基準ローラ70に押し付けられている。ギャップセンサ75は、厚さ検知ローラ部73の上方に設けられ、厚さ検知ローラ部73が厚さ基準ローラ70へ当接するときの位置を基準として、厚さ検知ローラ部73の相対的な変位量を検出し、その検出結果を厚さ情報として制御部21へ送出する。制御部21は、この検出結果と予め記憶している厚さの基準値とを比較することにより、変位量が紙幣1枚分又は複数枚分の何れに相当するかを判定し、折れ曲がりや異物の貼り付け等の有無を判断するようになっている。
【0056】
画像情報取得部61は、反射透過センサユニット71Uと反射センサユニット71Dとにより構成されている。反射透過センサユニット71Uと反射センサユニット71Dは、鑑別センサ搬送路44Aを挟んで上下方向に対向配置されている。
【0057】
反射透過センサユニット71Uは、下端が開放された左右方向に長い箱型形状のケース内に、反射光及び透過光を検出する為の光学センサ76Uを備えた構成であり、下端部が鑑別上側搬送ガイド52に固定されている。また、反射透過センサユニット71Uの下端の開放された部分には、光を透過させるガラス部77Uが嵌合されている。ガラス部77Uは、鑑別上側搬送ガイド52の一部となっていて、鑑別上側搬送ガイド52とともに搬送面を形成している。
【0058】
一方、反射センサユニット71Dは、上端が開放された左右方向に長い箱型形状のケース内に、反射光を検出する為の光学センサ76Dを備えた構成であり、上端部が鑑別下側搬送ガイド53に固定されている。この反射センサユニット71Dの上端の開放された部分にも、光を透過させるガラス部77Dが嵌合されている。ガラス部77Dは、鑑別下側搬送ガイド53の一部となっていて、鑑別下側搬送ガイド53とともに搬送面を形成している。
【0059】
画像情報取得部61は、紙幣BLからの反射光、及び紙幣BLを透過した透過光を検出し、その検出結果をそれぞれ反射画像及び透過画像として制御部21へ送出する。制御部21は、画像情報取得部61から取得した反射画像及び透過画像を用いて紙幣BLの真偽や金種、或いは損傷の程度(正損)等を判定する。
【0060】
磁気情報取得部62は、磁気センサ74と磁気ギャップローラ72とを有している。磁気センサ74は、下端が検出面となる左右方向に長い箱型形状となっている。磁気ギャップローラ72は、図示しない圧縮ばねなどの付勢部材によって、上方に付勢されている。尚、磁気ギャップローラ72は、図示しないリミッタ部材により、その外周面と磁気センサ74の検出面との間に紙幣1枚分程度の間隙が空くようにして付勢されている。また、鑑別上側搬送ガイド52は、磁気センサ74を取り付ける部分が、他の部分より薄い薄肉部分を有する薄肉樹脂成型部78となっていて、この薄肉樹脂成型部78の薄肉部分の搬送面とは反対側に磁気センサ74が取り付けられている。薄肉樹脂成型部78は、鑑別上側搬送ガイド52とともに搬送面を形成していて、磁気センサ74の検出面を搬送面にできるだけ近づける為に、鑑別上側搬送ガイド52の他の部分より薄い薄肉部分を有している。
【0061】
磁気情報取得部62は、磁気センサ74により、鑑別センサ搬送路44Aを搬送される紙幣BLの磁気を検出し、その検出結果を磁気情報として制御部21へ送出する。制御部21は、磁気情報取得部62から取得した磁気情報を用いて紙幣BLの真偽や金種等を判定する。
【0062】
駆動ローラ54A、54B、54C、55A、55B、55C、厚さ基準ローラ70、及び磁気ギャップローラ72は、それぞれ図示しないアクチュエータから駆動力が伝達されることにより回転する。このとき、従動ローラ56A、56B、56C、57A、57B、57C、及び厚さ検知ローラ部73は、それぞれ対向するローラに紙幣BLを押し付けながら、対向するローラの回転に従動して回転する。これにより、紙幣BLが搬送路44に沿って搬送される。
【0063】
振分機構58は、先端が後方を向くブレードであり、図示しないアクチュエータによって回動することによりブレードの傾斜方向を変化させて紙幣BLの搬送経路を切り替えるようになっている。すなわち、振分機構58は、紙幣BLの搬送経路を、鑑別センサ搬送路44Aと入出金部側搬送路44Cとを結ぶ搬送経路、又は鑑別センサ搬送路44Aとリジェクト庫側搬送路44Dとを結ぶ搬送経路に切り替える。これにより、振分機構58は、入出金部側搬送路44C内を上方から下方へ向けて搬送されてくる紙幣BLを鑑別センサ搬送路44Aへ、又は鑑別センサ搬送路44A内を後方から前方へ向けて搬送されてくる紙幣BLを入出金部側搬送路44Cへ振り分ける一方、鑑別センサ搬送路44A内を後方から前方へ向けて搬送されてくる紙幣BLをリジェクト庫側搬送路44Dへ振り分ける。
【0064】
ここで、鑑別センサ部41の鑑別下側搬送ガイド53について、さらに詳しく説明する。図4に、鑑別下側搬送ガイド53を上側から見た上面図を示す。尚、図4では、鑑別下側搬送ガイド53全体のうち、厚さ基準ローラ70と対応する位置に形成された開口部80から、駆動ローラ55Cと対応する位置に形成された開口部84までの部分のみを示している。
【0065】
この図4に示すように、鑑別下側搬送ガイド53には、後側から順に、開口部80、81、82、83、84が、それぞれ厚さ基準ローラ70、駆動ローラ55A、55B、磁気ギャップローラ72、駆動ローラ55Cと対応する位置に形成されている。各開口部80、81、82、83、84は、それぞれ対応するローラに応じた大きさの搬送方向に長い長方形状の孔であり、対応するローラの数に応じて、左右方向に複数個形成されている。尚、搬送方向に隣り合うローラ間の搬送方向の間隔(これをローラピッチと呼ぶ)は、紙幣BLの搬送方向と平行な辺(すなわち短辺)の長さに合わせて設定されていて、例えば、扱う紙幣BLのうち、最も短辺が短い紙幣BLの短辺より短くなるように設定されている。
【0066】
さらに、鑑別下側搬送ガイド53には、開口部80、81、82、83、84のそれぞれの搬送方向の両端から搬送方向に延びるスロープ85、86が形成されている。つまり、開口部80、81、82、83、84のそれぞれの搬送方向の一端側(後側)と他端側(前側)には、それぞれ搬送方向に延びるスロープ85、86が形成されている。スロープ85、86は、開口部80、81、82、83、84のそれぞれに向かって搬送面から下っていく傾斜面となっていて、紙幣BLが開口部80、81、82、83、84の搬送方向の両端に引っ掛かることを防止する為のものである。
【0067】
また、鑑別下側搬送ガイド53の反射センサユニット71Dと対応する位置、すなわち開口部81と開口部82との間には、ガラス部77Dとその周囲を覆う樹脂部材90とが一体成型されたガラス一体樹脂成型部91が設けられている。鑑別下側搬送ガイド53は、このガラス一体樹脂成型部91の周囲を覆うようにしてガラス一体樹脂成型部91と一体に成型されていて、ガラス一体樹脂成型部91とともに平らな搬送面を形成している。尚、樹脂部材90と、鑑別下側搬送ガイド53とは、異なる樹脂材料で形成されていて、例えば、樹脂部材90は、鑑別下側搬送ガイド53よりガラスとの接合力が高い樹脂材料で形成されている。また、これらガラス部77D、樹脂部材90、及び鑑別下側搬送ガイド53は、例えば、まずガラス部77Dと樹脂部材90とを一体成型してガラス一体樹脂成型部91を成型してから、ガラス一体樹脂成型部91と鑑別下側搬送ガイド53とを一体成型するようになっている。尚、ここでは、ガラス一体樹脂成型部91と鑑別下側搬送ガイド53とを一体成型するようにしたが、一体成型に限らず、例えばガラス一体樹脂成型部91と鑑別下側搬送ガイド53とを接着するなど、種々の手法でガラス一体樹脂成型部91と鑑別下側搬送ガイド53とが一体に形成されていれば良い。
【0068】
ガラス部77Dは、反射センサユニット71Dに応じた大きさで搬送方向と直交する左右方向に長い板状のガラス部材であり、このガラス部77Dの搬送面とは反対側(裏面側)に、反射センサユニット71Dが取り付けられている。
【0069】
ここで、図4から、ガラス一体樹脂成型部91とガラス一体樹脂成型部91を挟んで搬送方向に対向配置された開口部81、82とが含まれる部分を抽出して拡大した拡大図と、その断面を示す断面図を、図5(A)、(B)に示す。尚、図5(B)は、図5(A)に示す鑑別下側搬送ガイド53をB−B´線で切断した場合のB−B´線断面図である。
【0070】
この図5に示すように、ガラス一体樹脂成型部91の樹脂部材90は、開口部81の樹脂部材90側のスロープ86と対向する箇所に、このスロープ86を避けるようにガラス部77D側に向かって切り欠かれた凹形状の切欠部90Aが形成されている。
【0071】
同様に、樹脂部材90は、ガラス一体樹脂成型部91を挟んで開口部81とは反対側の開口部82の樹脂部材90側のスロープ85と対向する箇所にも、このスロープ85を避けるようにガラス部77D側に向かって切り欠かれた凹形状の切欠部90Bが形成されている。尚、切欠部90A、90Bは、例えば、左右方向に対向する搬送方向と平行な2つの面と、これら2つの面とを繋ぐ搬送方向と直交する1つの面とで形成されている。
【0072】
一方、鑑別下側搬送ガイド53には、樹脂部材90の切欠部90Aと噛み合う凸形状の突出部53Aが形成され、この突出部53Aに、開口部81の樹脂部材90側のスロープ86が形成されている。また、鑑別下側搬送ガイド53には、切欠部90Aとは反対側の切欠部90Bと噛み合う凸形状の突出部53Bが形成され、この突出部53Bに、開口部81とは反対側の開口部82の樹脂部材90側のスロープ85が形成されている。
【0073】
このように、鑑別センサ部41では、鑑別下側搬送ガイド53と樹脂部材90の搬送方向の両端との接合部分が、互いに噛み合う櫛歯形状となっていて、樹脂部材90の切欠部90Aと噛み合う鑑別下側搬送ガイド53の突出部53Aに、開口部81の樹脂部材90側のスロープ86が形成されている。つまり、開口部81とその両側のスロープ85、86とが、全て鑑別下側搬送ガイド53側に形成されている。また、樹脂部材90の切欠部90Bと噛み合う鑑別下側搬送ガイド53の突出部53Bには、開口部82の樹脂部材90側のスロープ85が形成されている。つまり、開口部82とその両側のスロープ85、86も、全て鑑別下側搬送ガイド53側に形成されている。
【0074】
尚、図は省略するが、鑑別上側搬送ガイド52にも、反射透過センサユニット71Uを取り付ける部分にガラス樹脂一体成型部が設けられていて、鑑別下側搬送ガイド53と同様、鑑別上側搬送ガイド52とガラス樹脂一体成型部の樹脂部材の搬送方向の両端との接合部分が、互いに噛み合う櫛歯形状となっていて、樹脂部材の切欠部と噛み合う鑑別上側搬送ガイド52の突出部に、開口部の樹脂部材側のスロープが形成されている。
【0075】
[1−4.まとめと効果]
ここまで説明したように、第1の実施の形態では、鑑別下側搬送ガイド53と一体成型されるガラス一体樹脂成型部91の樹脂部材90における、鑑別下側搬送ガイド53に形成された開口部81の樹脂部材90側のスロープ86と対向する箇所に、このスロープ86を避けるように切り欠かれた切欠部90Aを形成するようにした。同様に、樹脂部材90における、ガラス一体樹脂成型部91を挟んで開口部81とは反対側の開口部82の樹脂部材90側のスロープ85と対向する箇所にも、このスロープ85を避けるように切り欠かれた切欠部90Bを形成するようにした。
【0076】
一方、鑑別下側搬送ガイド53における、樹脂部材90の切欠部90A、90Bと噛み合う突出部53A、53Bには、それぞれ開口部81、82の樹脂部材90側のスロープ86、85を形成するようにした。
【0077】
このように、鑑別センサ部41では、鑑別下側搬送ガイド53と樹脂部材90の搬送方向の両端との接合部分が、互いに噛み合う櫛歯形状となっていて、樹脂部材90の切欠部90A、90Bと噛み合う鑑別下側搬送ガイド53の突出部53A、53Bに、開口部81、82の樹脂部材90側のスロープ86、85を形成するようにした。
【0078】
こうすることで、鑑別センサ部41では、ガラス一体樹脂成型部91を挟んで搬送方向に対向する開口部81と開口部82との間隔を広げることなく、つまり、ローラピッチを広げることなく、開口部81とその両側のスロープ85、86とを鑑別下側搬送ガイド53側に形成することができ、さらに開口部82とその両側のスロープ85、86も鑑別下側搬送ガイド53側に形成することができる。
【0079】
これにより、鑑別センサ部41では、鑑別下側搬送ガイド53と樹脂部材90の搬送方向の両端との接合部分に、搬送方向と直交する方向の段差が発生してしまうことを防ぐことができる。同様にして、鑑別上側搬送ガイド52と樹脂部材の搬送方向の両端との接合部分に、搬送方向と直交する方向の段差が発生してしまうことも防ぐことができる。かくして、鑑別センサ部41では、従来と比してより搬送性能を向上させることができる。
【0080】
ところで、単に、樹脂部材90における、ガラス部77Dの搬送方向の両端と鑑別下側搬送ガイド53との間に挟まれる部分の搬送方向の長さ(これを幅とする)を全体的に短くすることでも、ローラピッチを広げることなく、開口部81、82とこれらの両側のスロープ85、86とを鑑別下側搬送ガイド53側に形成することができると考えられる。しかしながら、この場合、樹脂部材90における、ガラス部77Dの搬送方向の両端と鑑別下側搬送ガイド53との間に挟まれる部分の幅が全体的に短くなりすぎて、樹脂部材90とガラス部77D、及び鑑別下側搬送ガイド53とを十分に接合できなくなってしまう。
【0081】
そこで、鑑別センサ部41では、樹脂部材90における、鑑別下側搬送ガイド53に形成された開口部81、82と対向する箇所のみ、切り欠いて幅を短くし、それ以外の部分については十分な幅を保つようにした。こうすることで、鑑別センサ部41では、樹脂部材90とガラス部77D、及び鑑別下側搬送ガイド53とを十分に接合でき、且つ従来と比してより搬送性能を向上させることができるようになっている。
【0082】
尚、鑑別センサ部41では、樹脂部材90と鑑別下側搬送ガイド53との接合箇所が、互いに噛み合う櫛歯形状となっていることにより、単純な面と面とで接合される場合と比べて、接合面積が増えてより強固に接合できるようにもなっている。
【0083】
[2.第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態は、鑑別センサ部41の構成が第1の実施の形態とは異なる実施の形態である。鑑別センサ部41以外の構成については、第1の実施の形態と同様である為、詳しい説明については第1の実施の形態を参照とする。
【0084】
[2−1.鑑別下側搬送ガイドの構成]
図6に、鑑別センサ部41に設けられた鑑別下側搬送ガイド100を上側から見た上面図を示す。この鑑別下側搬送ガイド100は、第1の実施の形態の鑑別下側搬送ガイド53と対応するものであり、鑑別下側搬送ガイド53と同一の部分には同一の符号を付してある。
【0085】
尚、第2の実施の形態では、図示しないが、鑑別センサ部41に設けられた磁気情報取得部62の磁気センサ74と磁気ギャップローラ72とを上下逆に配置するようになっている。この為、鑑別下側搬送ガイド100には、磁気センサ74と対応する位置、つまり開口部82と開口部84との間に、薄肉樹脂成型部78が設けられている。
【0086】
鑑別下側搬送ガイド100は、薄肉樹脂成型部78の周囲を覆うようにして薄肉樹脂成型部78と一体に成型されていて、薄肉樹脂成型部78とともに平らな搬送面を形成している。尚、薄肉樹脂成型部78と、鑑別下側搬送ガイド100とは、異なる樹脂材料で形成されていて、例えば、薄肉樹脂成型部78は、鑑別下側搬送ガイド100より流動性が高い高流動性樹脂材料で形成されている。
【0087】
薄肉樹脂成型部78は、磁気センサ74に応じた大きさで搬送方向と直交する左右方向に長い板状の樹脂部材であり、この薄肉樹脂成型部78の搬送面とは反対側(裏面側)に、磁気センサ74が取り付けられている。
【0088】
ここで、図6から、薄肉樹脂成型部78と薄肉樹脂成型部78を挟んで搬送方向に対向配置された開口部82、84とが含まれる部分を抽出して拡大した拡大図と、その断面を示す断面図を、図7(A)、(B)に示す。尚、図7(B)は、図7(A)に示す鑑別下側搬送ガイド100をC−C´線で切断した場合のC−C´線断面図である。
【0089】
この図7に示すように、薄肉樹脂成型部78は、開口部82の薄肉樹脂成型部78側のスロープ86と対向する箇所に、このスロープ86を避けるように薄肉樹脂成型部78の搬送方向の中心側に向かって切り欠かれた凹形状の切欠部78Aが形成されている。
【0090】
同様に、薄肉樹脂成型部78は、薄肉樹脂成型部78を挟んで開口部82とは反対側の開口部84の薄肉樹脂成型部78側のスロープ85と対向する箇所にも、このスロープ85を避けるように薄肉樹脂成型部78の搬送方向の中心側に向かって切り欠かれた凹形状の切欠部78Bが形成されている。尚、切欠部78A、78Bは、例えば、左右方向に対向する搬送方向と平行な2つの面と、これら2つの面とを繋ぐ搬送方向と直交する1つの面とで形成されている。
【0091】
一方、鑑別下側搬送ガイド100には、薄肉樹脂成型部78の切欠部78Aと噛み合う凸形状の突出部100Aが形成され、この突出部100Aに、開口部82の薄肉樹脂成型部78側のスロープ86が形成されている。また、鑑別下側搬送ガイド100には、切欠部78Aとは反対側の切欠部78Bと噛み合う凸形状の突出部100Bが形成され、この突出部100Bに、開口部82とは反対側の開口部84の薄肉樹脂成型部78側のスロープ85が形成されている。
【0092】
このように、第2の実施の形態では、鑑別下側搬送ガイド100と薄肉樹脂成型部78の搬送方向の両端との接合部分が、互いに噛み合う櫛歯形状となっていて、薄肉樹脂成型部78の切欠部78Aと噛み合う鑑別下側搬送ガイド100の突出部100Aに、開口部82の薄肉樹脂成型部78側のスロープ86が形成されている。つまり、開口部82とその両側のスロープ85、86とが、全て鑑別下側搬送ガイド100側に形成されている。また、薄肉樹脂成型部78の切欠部78Bと噛み合う鑑別下側搬送ガイド100の突出部100Bには、開口部84の薄肉樹脂成型部78側のスロープ85が形成されている。つまり、開口部84とその両側のスロープ85、86も、全て鑑別下側搬送ガイド100側に形成されている。
【0093】
[2−2.まとめと効果]
ここまで説明したように、第2の実施の形態では、鑑別下側搬送ガイド100と一体成型された薄肉樹脂成型部78における、鑑別下側搬送ガイド100に形成された開口部82の薄肉樹脂成型部78側のスロープ86と対向する箇所に、このスロープ86を避けるように切り欠かれた切欠部78Aを形成するようにした。同様に、薄肉樹脂成型部78における、薄肉樹脂成型部78を挟んで開口部82とは反対側の開口部84の薄肉樹脂成型部78側のスロープ85と対向する箇所にも、このスロープ85を避けるように切り欠かれた切欠部78Bを形成するようにした。
【0094】
一方、鑑別下側搬送ガイド100における、薄肉樹脂成型部78の切欠部78A、78Bと噛み合う突出部100A、100Bには、それぞれ開口部82、84の薄肉樹脂成型部78側のスロープ86、85を形成するようにした。
【0095】
このように、第2の実施の形態では、鑑別下側搬送ガイド100と薄肉樹脂成型部78の搬送方向の両端との接合部分が、互いに噛み合う櫛歯形状となっていて、薄肉樹脂成型部78の切欠部78A、78Bと噛み合う鑑別下側搬送ガイド100の突出部100A、100Bに、開口部82、84の薄肉樹脂成型部78側のスロープ86、85を形成するようにした。
【0096】
こうすることで、第2の実施の形態では、薄肉樹脂成型部78を挟んで搬送方向に対向する開口部82と開口部84との間隔を広げることなく、つまり、ローラピッチを広げることなく、開口部82とその両側のスロープ85、86とを鑑別下側搬送ガイド100側に形成することができ、さらに開口部84とその両側のスロープ85、86も鑑別下側搬送ガイド100側に形成することができる。
【0097】
これにより、第2の実施の形態では、鑑別下側搬送ガイド100と薄肉樹脂成型部78の搬送方向の両端との接合部分に、搬送方向と直交する方向の段差が発生してしまうことを防ぐことができる。このように、この第2の実施の形態では、鑑別下側搬送ガイド100と、反射センサユニット71Dの取り付け箇所となるガラス一体樹脂成型部91との接合部分にくわえて、鑑別下側搬送ガイド100と、磁気センサ74の取り付け箇所となる薄肉樹脂成型部78との接合部分についても、搬送方向と直交する方向の段差が発生してしまうことを防ぐことができるので、第1の実施の形態と比してより搬送性能を向上させることができる。
【0098】
また、薄肉樹脂成型部78では、鑑別下側搬送ガイド100に形成された開口部82、84と対向する箇所のみ、切り欠いて幅を短くし、それ以外の部分については十分な幅を保つようにしたことで、薄肉樹脂成型部78と鑑別下側搬送ガイド100とを十分に接合できる。
【0099】
尚、薄肉樹脂成型部78と鑑別下側搬送ガイド100との接合箇所が、互いに噛み合う櫛歯形状となっていることにより、単純な面と面とで接合される場合と比べて、より強固に接合できるようにもなっている。
【0100】
[3.他の実施の形態]
[3−1.他の実施の形態1]
尚、上述した第1の実施の形態では、開口部81とその両側のスロープ85、86とを鑑別下側搬送ガイド53側に形成するようにした。これに限らず、開口部81とその両側のスロープ85、86とを鑑別下側搬送ガイド53側ではなく、樹脂部材90側に形成するようにしてもよい。
【0101】
この場合、例えば、図8に示すように、樹脂部材90に、切欠部90Aの代わりに、ガラス部77Dから遠ざかるように搬送方向に延びる延伸部90Cを形成する。この延伸部90Cは、ガラス部77Dから遠い方のスロープ85の形成位置よりさらに遠くまで延びている。開口部81と、その両側のスロープ85、86の形成位置は、それぞれ第1の実施の形態と変えていない。
【0102】
つまり、樹脂部材90の延伸部90Cは、開口部81とその両側のスロープ85、86の形成位置が、全てこの延伸部90Cの内側に入るように延びている。そして、この延伸部90Cに、開口部81とその両側のスロープ85、86とを形成する。一方、鑑別下側搬送ガイド53には、突出部53Aの代わりに、開口部81及びスロープ85と対向する箇所に、樹脂部材90の延伸部90Cと噛み合う凹形状の切欠部53Cを形成するようにする。
【0103】
このようにして、開口部81とその両側のスロープ85、86とを鑑別下側搬送ガイド53側ではなく、樹脂部材90側に形成するようにしてもよい。同様にして、開口部82とその両側のスロープ85、86も、鑑別下側搬送ガイド53側ではなく、樹脂部材90側に形成するようにしてもよい。この場合も、第1の実施の形態と同様、鑑別下側搬送ガイド53と樹脂部材90の搬送方向の両端との接合部分に、搬送方向と直交する方向の段差が発生してしまうことを防ぐことができる。
【0104】
第2の実施の形態についても同様にして、開口部82とその両側のスロープ85、86とを鑑別下側搬送ガイド100側ではなく、薄肉樹脂成型部78側に形成するようにしてもよい。同様にして、開口部84とその両側のスロープ85、86も、鑑別下側搬送ガイド100側ではなく、薄肉樹脂成型部78側に形成するようにしてもよい。
【0105】
[3−2.他の実施の形態2]
さらに、上述した第1の実施の形態では、樹脂部材90の切欠部90Aを、左右方向に対向する搬送方向と平行な2つの面と、これら2つの面とを繋ぐ搬送方向と直交する1つの面とで形成される凹形状とした。これに限らず、切欠部90Aの形状については、種々の形状とすることができる。
【0106】
例えば、図9に示すように、切欠部90Aの左右方向に対向する2つの面を、ガラス部77Dから遠ざかるにつれて末広がりとなるように、搬送方向に対して平行ではなく傾けるようにしてもよい。切欠部90Bについても同様の形状としてもよい。また、第2の実施の形態についても同様にして、薄肉樹脂成型部78の切欠部78Aの左右方向に対向する2つの面を、薄肉樹脂成型部78の中心から遠ざかるにつれて末広がりとなるように、搬送方向に対して平行ではなく傾けるようにしてもよい。切欠部78Bについても同様の形状としてもよい。
【0107】
[3−3.他の実施の形態3]
さらに、上述した第1の実施の形態では、ガラス一体樹脂成型部91と、鑑別下側搬送ガイド53とを一体成型するようにしたが、例えば、図10(A)に、樹脂部材90と鑑別下側搬送ガイド53との接合部分の断面を示すように、樹脂部材90側の接合面に、鑑別下側搬送ガイド53側に突出する断面T字型のアンカー110を形成し、これに合わせて鑑別下側搬送ガイド53側の接合面にT字型の孔111を形成し、この孔111にアンカー110が嵌入されるように、ガラス一体樹脂成型部91と鑑別下側搬送ガイド53とを一体成型するにしてもよい。このようにすれば、ガラス一体樹脂成型部91の樹脂部材90と鑑別下側搬送ガイド53とをより強固に接合するができる。
【0108】
また、これに限らず、例えば、図10(B)に示すように、樹脂部材90側の接合面を上下方向に平行な垂直面ではなく傾斜面とし、これに合わせて鑑別下側搬送ガイド53側の接合面も傾斜面となるようにガラス一体樹脂成型部91と鑑別下側搬送ガイド53とを一体成型するにしてもよい。さらに、これに限らず、例えば、樹脂部材90側の接合面を、平坦ではなく凹凸のある粗い面にして、これに合わせて鑑別下側搬送ガイド53側の接合面も粗い面となるようにガラス一体樹脂成型部91と鑑別下側搬送ガイド53とを一体成型するようにしてもよい。
【0109】
このように、樹脂部材90と鑑別下側搬送ガイド53との接合部分の形状については、種々の形状とすることができる。第2の実施の形態についても同様に、薄肉樹脂成型部78と鑑別下側搬送ガイド100との接合部分の形状については、種々の形状とすることができる。
【0110】
[3−4.他の実施の形態4]
さらに、上述した第1及び第2の実施の形態では、鑑別上側搬送ガイド52の反射透過センサユニット71Uを取り付ける位置にガラス部77Uを設けた。これに限らず、光を透過することができるものであれば、ガラス部77Uの代わりに、透明の樹脂材料でなる樹脂部材などを設けてもよい。また、鑑別下側搬送ガイド53の反射センサユニット71Dを取り付ける位置についても同様に、ガラス部77Dの代わりに、透明の樹脂材料でなる樹脂部材などを設けてもよい。
【0111】
[3−5.他の実施の形態5]
さらに、上述した各実施の形態では、本発明を、媒体鑑別装置としての鑑別部24に適用したが、本発明は、これに限らず、媒体に関する情報を検出するセンサを有する媒体鑑別装置であれば、鑑別部24とは異なる構成の媒体鑑別装置にも適用できる。
【0112】
さらに、上述した各実施の形態では、本発明を、自動取引装置としての現金自動預払機1に適用したが、これに限らず、媒体に関する情報を検出して、この情報をもとに鑑別を行う鑑別部を有する自動取引装置であれば、現金自動預払機1とは異なる構成の自動取引装置にも適用できる。例えば、紙、切符など、紙幣以外の媒体を扱う自動取引装置であっても、媒体に関する情報を検出して、この情報をもとに鑑別を行う鑑別部を有する自動取引装置であれば適用できる。
【0113】
さらに、上述した各実施の形態では、媒体の搬送面を形成し、開口部が形成された搬送ガイドの具体例として、鑑別下側搬送ガイド53、100を用いたが、これに限らず、媒体の搬送面を形成し、開口部が形成されたものであれば、鑑別下側搬送ガイド53、100とは異なる搬送ガイドを用いてもよい。さらに、上述した各実施の形態では、開口部に配置され媒体を搬送する搬送ローラの具体例として、駆動ローラ55A〜55C、厚さ基準ローラ70、従動ローラ57A〜57Cを用いたが、これに限らず、開口部に配置され媒体を搬送するものであれば、駆動ローラ55A〜55C、厚さ基準ローラ70、従動ローラ57A〜57Cとは異なる搬送ローラを用いてもよい。
【0114】
さらに、上述した各実施の形態では、媒体に関する情報を検出するセンサとして、光学センサ76D、77U、磁気センサ74を用いたが、これに限らず、媒体に関する情報を検出するものであれば、光学センサ76D、77U、磁気センサ74とは異なるセンサを用いてもよい。さらに、上述した各実施の形態では、搬送ガイドとともに搬送面を形成し、搬送面とは反対側にセンサが取り付けられるセンサ取付部の具体例として、ガラス一体樹脂成型部91、薄肉樹脂成型部78を用いたが、これに限らず、搬送ガイドとともに搬送面を形成し、搬送面とは反対側にセンサが取り付けられるものであれば、ガラス一体樹脂成型部91、薄肉樹脂成型部78とは異なるセンサ取付部を用いてもよい。
【0115】
さらに、上述した各実施の形態では、光学センサのセンサ取付部の具体例として、第1部材としてのガラス部77Dと、第2部材としての樹脂部材90とで構成されるガラス一体樹脂成型部91を用いたが、これに限らず、光学センサが取り付けられるとともに光を透過する部分を有するものであれば、ガラス一体樹脂成型部91とは異なるセンサ取付部を用いてもよい。例えば、上述したようにガラス部77Dの代わりに透明な樹脂部材を用いて、この透明な樹脂部材と樹脂部材90とを一体成型してなるセンサ取付部や、ガラス部77Dと樹脂部材90の代わりに透明な樹脂部材を用いて、この透明な樹脂部材でなるセンサ取付部などを用いてもよい。
【0116】
[3−6.他の実施の形態6]
さらに、本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した第1及び第2の実施の形態と他の実施の形態の一部または全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明は、媒体を鑑別する媒体鑑別装置や、媒体鑑別装置としての鑑別部を有する自動取引装置で広く利用することができる。
【符号の説明】
【0118】
1……現金自動預払機、24……鑑別部、27……搬送部、41……鑑別センサ部、44……搬送路、44A……鑑別センサ搬送路、52……鑑別上側搬送ガイド、53、100……鑑別下側搬送ガイド、53A、53B、100A、100B……突出部、54A〜54C、55A〜55C……駆動ローラ、56A〜56C、57A〜57C……従動ローラ、61……画像情報取得部、62……磁気情報取得部、71D……反射センサユニット、71U……反射透過センサユニット、74……磁気センサ、76D、76U、202……光学センサ、77D、77U、201……ガラス部、78……薄肉樹脂成型部、80〜84、205……開口部、85、86、207、208……スロープ、90、203……樹脂部材、78A、78B、90A、90B……切欠部、90C……延伸部、91、204……ガラス一体樹脂成型部、200……下側搬送ガイド、206……搬送ローラ、209……段差。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12