特許第6593187号(P6593187)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6593187ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6593187
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品
(51)【国際特許分類】
   C08L 69/00 20060101AFI20191010BHJP
   C08K 3/00 20180101ALI20191010BHJP
   C08K 5/521 20060101ALI20191010BHJP
   C08K 5/5419 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
   C08L69/00
   C08K3/00
   C08K5/521
   C08K5/5419
【請求項の数】9
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2016-8906(P2016-8906)
(22)【出願日】2016年1月20日
(65)【公開番号】特開2017-128659(P2017-128659A)
(43)【公開日】2017年7月27日
【審査請求日】2018年10月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】594137579
【氏名又は名称】三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】西林 豊
(72)【発明者】
【氏名】丸山 博義
【審査官】 小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−251083(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 69/00
C08K 3/00
C08K 5/521
C08K 5/5419
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、金属酸化物被覆板状フィラー(B)0.1〜5質量部と、アルキルアシッドホスフェート、アルケニルアシッドホスフェート及びこれらの金属塩より選ばれる1種又は2種以上のホスフェート系安定剤(C)0.01〜1質量部と、ハイドロジェンシロキサン(D)0.003〜0.15質量部とを含有するポリカーボネート樹脂組成物であって、前記金属酸化物被覆板状フィラー(B)が、基材に、酸化チタンと酸化スズとを含む被覆層が形成されたものであることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項2】
請求項1において、前記金属酸化物被覆板状フィラー(B)は、基材45〜89.5質量%と、酸化チタン10〜50質量%と、酸化スズ0.5〜5質量%とを含むことを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記基材がマイカ、シリカ、アルミナ、又はガラスよりなることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記アルキルアシッドホスフェート又はアルケニルアシッドホスフェートが、下記式(I)で表されることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
O=P(OH)(OR)3−n …(I)
(式(I)中、Rはアルキル基又はアルケニル基であり、nは1又は2の整数を表す。nが1の場合、2つのRは同一であってもよく異なるものであってもよい。)
【請求項5】
請求項4において、前記式(I)におけるRが、炭素数9〜30のアルキル基又はアルケニル基であることを特徴とする蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項6】
請求項5において、前記式(I)におけるRが炭素数13,18,24のいずれかのアルキル基又はアルケニル基であることを特徴とする蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物。
【請求項7】
請求項において、前記ホスフェート系安定剤(C)が、下記式(II)で表され、式(II)におけるn=1のジステアリルアシッドホスフェートとn=2のモノステアリルアシッドホスフェートとの混合物であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
O=P(OH)(OC18373−n …(II)
【請求項8】
請求項1ないし3のいずれか1項において、前記ホスフェート系安定剤(C)が、下記式(IIIa)で表されるジステアリルアシッドホスフェート亜鉛塩と、下記式(IIIb)で表されるモノステアリルアシッドホスフェート亜鉛塩との混合物であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
【化1】
【請求項9】
請求項1ないしのいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品に係り、詳しくは、ポリカーボネート樹脂に光輝顔料又は偏光顔料として金属酸化物被覆板状フィラーを配合した高意匠性ポリカーボネート樹脂組成物における、金属酸化物被覆板状フィラーによるポリカーボネート樹脂の劣化の問題を改善したポリカーボネート樹脂組成物と、このポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネート樹脂、特に芳香族ポリカーボネート樹脂は、透明性、耐衝撃性、耐熱性などに優れ、しかも、得られる成形品は寸法安定性などにも優れることから、電気・電子機器のハウジング類、自動車用部品類や、光ディスク関連の部品などの精密成形品類の製造用原料樹脂として広く使用されている。
【0003】
近年、特に、家電機器、電子機器、画像表示機器の筐体や自動車内装品などにおいては、多様な意匠性が求められており、ポリカーボネート樹脂に、金属被覆フレーク状ガラス等の光輝顔料や偏光顔料を配合して、光輝感(キラキラ感)、光干渉による色変化、更には着色を付与したものが提案されている(例えば、特許文献1,2)。
特許文献3には、光輝顔料として酸化チタン被覆ガラスフレーク、酸化チタン被覆マイカなどの金属酸化物被覆板状フィラーが例示されている。また、熱安定剤として亜リン酸エステル、リン酸エステル等のリン系熱安定剤を配合することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−6862号公報
【特許文献2】特開平4−359937号公報
【特許文献3】特開2015−96566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
金属酸化物被覆板状フィラーは、基材となる板状フィラーを金属酸化物で被覆することで、その金属酸化物の種類や被覆層の厚さにより、光輝感や彩度、色調などを変化させることができ、多種多様な意匠性を付与できるものであるが、金属酸化物被覆板状フィラーは一般的にpHが高いため、成形加工時のポリカーボネート樹脂の劣化を生じ、物性低下やシルバー等の外観不良を発生させる。
特に、酸化チタン被覆板状フィラーでは劣化が生じやすく、且つ、顔料ロットによりポリカーボネート樹脂の劣化度合いが異なり、製品品質のばらつきが市場でクレームを発生する要因となっていた。
【0006】
本発明は、光輝顔料又は偏光顔料として金属酸化物被覆板状フィラーを配合した高意匠性ポリカーボネート樹脂組成物であって、成形加工時のポリカーボネート樹脂の劣化を抑制し、外観や物性に優れた高品質の成形品を安定的に与えるポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の金属酸化物被覆板状フィラーを用いると共に、この金属酸化物被覆板状フィラーに最適な安定剤を組み合わせて配合することにより、成形加工時のポリカーボネート樹脂の劣化を効果的に抑制することができることを見出した。
【0008】
本発明はこのような知見に基づいて達成されたものであり、以下を要旨とする。
【0009】
[1] ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、金属酸化物被覆板状フィラー(B)0.1〜5質量部と、アルキルアシッドホスフェート、アルケニルアシッドホスフェート及びこれらの金属塩より選ばれる1種又は2種以上のホスフェート系安定剤(C)0.01〜1質量部とを含有するポリカーボネート樹脂組成物であって、前記金属酸化物被覆板状フィラー(B)が、基材に、酸化チタンと酸化スズとを含む被覆層が形成されたものであることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
【0010】
[2] [1]において、前記金属酸化物被覆板状フィラー(B)は、基材45〜89.5質量%と、酸化チタン10〜50質量%と、酸化スズ0.5〜5質量%とを含むことを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
【0011】
[3] [1]又は[2]において、前記基材がマイカ、シリカ、アルミナ、又はガラスよりなることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
【0012】
[4] [1]ないし[3]のいずれかにおいて、前記アルキルアシッドホスフェート又はアルケニルアシッドホスフェートが、下記式(I)で表されることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
O=P(OH)(OR)3−n …(I)
(式(I)中、Rはアルキル基又はアルケニル基であり、nは1又は2の整数を表す。nが1の場合、2つのRは同一であってもよく異なるものであってもよい。)
【0013】
[5] [4]において、前記式(I)におけるRが、炭素数9〜30のアルキル基又はアルケニル基であることを特徴とする蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物。
【0014】
[6] [5]において、前記式(I)におけるRが炭素数13,18,24のいずれかのアルキル基又はアルケニル基であることを特徴とする蓄光性ポリカーボネート樹脂組成物。
【0015】
[7] [1]ないし[3]のいずれかにおいて、前記ホスフェート系安定剤(C)が、下記式(II)で表され、式(II)におけるn=1のジステアリルアシッドホスフェートとn=2のモノステアリルアシッドホスフェートとの混合物であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
O=P(OH)(OC18373−n …(II)
【0016】
[8] [1]ないし[3]のいずれかにおいて、前記ホスフェート系安定剤(C)が、下記式(IIIa)で表されるジステアリルアシッドホスフェート亜鉛塩と、下記式(IIIb)で表されるモノステアリルアシッドホスフェート亜鉛塩との混合物であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
【0017】
【化1】
【0018】
[9] [1]ないし[8]のいずれかにおいて、更に、ハイドロジェンシロキサン(D)を、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して0.003〜0.15質量部含有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
【0019】
[10] [1]ないし[9]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる成形品。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、金属酸化物被覆板状フィラーを配合した高意匠性ポリカーボネート樹脂組成物において、成形加工時のポリカーボネート樹脂の劣化を抑制し、外観や物性に優れた、高品質の成形品を安定に製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施形態及び例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施することができる。
【0022】
〔ポリカーボネート樹脂組成物〕
本発明のポリカーボネート樹脂組成物(以下、「本発明の樹脂組成物」と称す場合がある。)は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、金属酸化物被覆板状フィラー(B)0.1〜5質量部と、アルキルアシッドホスフェート、アルケニルアシッドホスフェート及びこれらの金属塩より選ばれる1種又は2種以上のホスフェート系安定剤(C)0.01〜1質量部とを含有するポリカーボネート樹脂組成物であって、前記金属酸化物被覆板状フィラー(B)が、基材に、酸化チタンと酸化スズとを含む被覆層が形成されたものであることを特徴とする。
【0023】
[作用機構]
本発明者らは、ポリカーボネート樹脂に金属酸化物被覆板状フィラーを配合した樹脂組成物における成形加工時のポリカーボネート樹脂の劣化について検証を重ねた結果、金属酸化物被覆板状フィラーの被覆層が酸化チタンと少量の酸化スズを含み、かつこのような金属酸化物被覆板状フィラー(B)に対して特定のホスフェート系安定剤(C)を組み合わせて用いることにより、更には、ハイドロジェンシロキサン(D)を配合することにより、ポリカーボネート樹脂の劣化を効果的に抑制することができることを見出した。
【0024】
即ち、酸化チタン被覆層に酸化スズを含むと共に、特定のホスフェート系安定剤(C)を共存させることにより、金属酸化物被覆板状フィラー(B)によるポリカーボネート樹脂の分解を抑制し、更にはハイドロジェンシロキサン(D)を配合することで、このポリカーボネート樹脂の分解抑制効果を更に向上させて、ポリカーボネート樹脂の分解による分子量低下を殆ど生じさせることなく、成形加工することが可能となる。
【0025】
従来において、ポリカーボネート樹脂組成物に配合するリン系熱安定剤として、亜リン酸エステルやリン酸エステルが用いられているが(特許文献3)、亜リン酸エステルやリン酸エステルでは、金属酸化物被覆板状フィラー(B)によるポリカーボネート樹脂の分解を十分に抑制し得ない。
これに対して、本発明で用いるホスフェート系安定剤(C)であれば、特定の金属酸化物被覆板状フィラー(B)との組み合わせにおいて、ポリカーボネート樹脂の分解を十分に抑制することができる。
【0026】
[ポリカーボネート樹脂(A)]
本発明で用いるポリカーボネート樹脂(A)としては、透明性、耐衝撃性、耐熱性等の面から、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。
芳香族ポリカーボネート樹脂は、芳香族ジヒドロキシ化合物又はこれと少量のポリヒドロキシ化合物を、ホスゲン又は炭酸ジエステルと反応させることによって得られる、分岐していてもよい熱可塑性重合体又は共重合体である。芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来公知のホスゲン法(界面重合法)や溶融法(エステル交換法)により製造したものを使用することができる。また、溶融法を用いた場合には、末端基のOH基量を調整した芳香族ポリカーボネート樹脂を使用することができる。
【0027】
原料の芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられ、好ましくはビスフェノールAが挙げられる。また、上記の芳香族ジヒドロキシ化合物にスルホン酸テトラアルキルホスホニウムが1個以上結合した化合物を使用することもできる。
【0028】
分岐した芳香族ポリカーボネート樹脂を得るには、上述した芳香族ジヒドロキシ化合物の一部を、以下の分岐剤、即ち、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリ(4−ヒドロキシフェニルヘプテン−3、1,3,5−トリ(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のポリヒドロキシ化合物や、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロルイサチン、5,7−ジクロルイサチン、5−ブロムイサチン等の化合物で置換すればよい。これら置換する化合物の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して、通常0.01〜10モル%であり、好ましくは0.1〜2モル%である。
【0029】
芳香族ポリカーボネート樹脂としては、上述した中でも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されるポリカーボネート樹脂、又は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと他の芳香族ジヒドロキシ化合物とから誘導されるポリカーボネート共重合体が好ましい。また、シロキサン構造を有するポリマー又はオリゴマーとの共重合体等の、ポリカーボネート樹脂を主体とする共重合体であってもよい。
【0030】
上述した芳香族ポリカーボネート樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0031】
芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量を調節するには、一価の芳香族ヒドロキシ化合物を用いればよく、この一価の芳香族ヒドロキシ化合物としては、例えば、m−及びp−メチルフェノール、m−及びp−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−長鎖アルキル置換フェノール等が挙げられる。
【0032】
本発明で用いる芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は用途により任意であり、適宜選択して決定すればよいが、粘度平均分子量(Mv)で、好ましくは20,000〜50,000である。粘度平均分子量が20,000より小さいと、得られる成形品の耐衝撃性等の機械的強度が低下し、50,000より大きいと、流動性が悪くなり、成形性に問題が生じる。芳香族ポリカーボネート樹脂のより好ましい粘度平均分子量は20,000〜40,000であり、さらに好ましくは21,000〜30,000である。なお、粘度平均分子量の異なる2種類以上の芳香族ポリカーボネート樹脂を混合して用いてもよく、この場合には、粘度平均分子量が上記の好適な範囲外である芳香族ポリカーボネート樹脂を混合してもよい。
【0033】
なお、粘度平均分子量(Mv)とは、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を用いて温度20℃での極限粘度(η)(単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式、すなわち、η=1.23×10−4Mv0.83、から算出される値を意味する。また極限粘度(η)とは、各溶液濃度(C)(g/dl)での比粘度(ηsp)を測定し、下記式により算出した値である。
【0034】
【数1】
【0035】
[金属酸化物被覆板状フィラー(B)]
本発明で用いる金属酸化物被覆板状フィラー(B)は、基材に酸化チタンと酸化スズとを含む被覆層が形成されたものである。
【0036】
金属酸化物被覆板状フィラー(B)の基材となるフレーク状粒子の材質としては、マイカ(雲母)、シリカ、アルミナ、ガラスなどが挙げられる。以下、それぞれ、フレーク状マイカ、フレーク状シリカ、フレーク状アルミナ、フレーク状ガラスと称す場合がある。基材はフレーク状金属粒子であってもよい。
【0037】
本発明で用いる金属酸化物被覆板状フィラー(B)は、このような基材となるフレーク状粒子に、酸化チタンと酸化スズを含む被覆層が形成されたものであり、基材を45〜89.5質量%、酸化チタンを10〜50質量%、酸化スズを0.5〜5質量%含むものであることが好ましい。基材、酸化チタン及び酸化スズの含有量が上記範囲内であると、光輝顔料又は偏光顔料としての意匠性を確保した上で、ポリカーボネート樹脂の分解抑制効果を確実に得ることができる。
【0038】
なお、金属酸化物被覆板状フィラー(B)の基材や金属酸化物の含有量は、蛍光X線分析法やエネルギー分散型X線分光法による金属含有量から酸化物量として換算する方法により求めることができるが、市販品についてはカタログ値を採用することができる。
【0039】
金属酸化物被覆板状フィラー(B)としては、特に、平均厚み0.1〜10μm程度のフレーク状粒子に、酸化チタン及び酸化スズを含む金属酸化物を化学蒸着又は物理蒸着することにより0.01〜1μm程度の厚さの被覆層を形成したものが好ましい。
【0040】
具体的には、金属酸化物被覆フレーク状ガラスとしては、酸化チタン、シリカ、酸化スズで被覆されたアルミノホウ珪酸ガラス顔料であるMERCK社製の商品「Colorstream T10−07 Luxury Twinkle」(粒径20〜200μm)、「Colorstream T10−08 Royal Twinkle」(粒径20〜200μm)、「Colorstream T10−09 Pacific Twinkle」(粒径20〜200μm)等が挙げられる。
【0041】
金属酸化物被覆フレーク状シリカとしては、酸化チタン、酸化スズで被覆されたシリカ顔料であるBASF社製の商品名「Firemist Colormotion Blue Topaz 9G680D」(粒径:13〜180μm)、「Firemist Colormotion Ruby 9G480D」(粒径:13〜180μm)等が挙げられる。また、MERCK社製の商品名「Colorstream F10−00 Autumn Mystery」(粒径5〜50μm)、「Colorstream T10−01 Viola Fantasy」(粒径5〜50μm)、「Colorstream T10−02 Arctic Fire」(粒径5〜50μm)、「Colorstream T10−03 Tropic Sunrise」(粒径5〜50μm)、「Colorstream T10−04 Lapis Sunlight」(粒径5〜50μm)等が挙げられる。
【0042】
金属酸化物被覆フレーク状マイカとしては、酸化チタン、酸化スズ、酸化鉄で被覆されたマイカ顔料であるMERCK社製の商品名「Iriodin 305 Solor Gold」(粒径10〜60μm)、酸化チタン、酸化スズで被覆された「Iriodin 6103 Icy White」(粒径5〜40μm)、「Iriodin 103 Rutile Sterling Silver」(粒径:10〜60μm)、「Colorstream T10−06 Royal Damask」(粒径:10〜60μm)、「Colorstream T10−05 Pacific Lagoon」(粒径:10〜60μm)や、日本光研社製「TWINKLEPEAL SXC−SO」(粒径10〜40μm)、「ULTIMICA SB−100」(粒径5〜30μm)等が挙げられる。
【0043】
また、金属酸化物被覆フレーク状アルミナとしては、酸化チタン、酸化スズ等で被覆されたMERCK社製「Xirallic T50−10 Crustal Silver」(粒径5〜40μm)、「Xirallic NXT M260−30SW Leonis Gold」(粒径5〜30μm)、「Xirallic NXT M260−60WNT Panthera Silver」(粒径5〜30μm)等が挙げられる。
【0044】
これらの金属酸化物被覆板状フィラー(B)は、製品毎にばらつきはあるものの、通常pH8〜12程度の比較的高いpHを示し、ポリカーボネート樹脂を分解させる恐れがあるが、被覆層が酸化チタンと共に酸化スズを含有することで、ある程度の分解抑制効果が得られる。
ここで、金属酸化物被覆板状フィラー(B)のpHとは、フィラーを蒸留水にて煮沸後に、ろ液もしくは上澄み液についてpH試験紙やpH測定器により測定された値であるが、市販品についてはカタログ値が該当する。
【0045】
本発明において、金属酸化物被覆板状フィラー(B)の平均粒径D50は1〜500μmであることが好ましい。金属酸化物被覆板状フィラー(B)の平均粒径D50が1μm未満では、金属酸化物被覆板状フィラー(B)を配合することによる光輝性や偏光性の付与効果を十分に得ることができない場合がある。金属酸化物被覆板状フィラー(B)の平均粒径D50が500μmを超えると、得られる成形品の耐衝撃性が低下する傾向にある。金属酸化物被覆板状フィラー(B)の平均粒径D50は特に3〜300μm、とりわけ5〜100μm程度であることが好ましい。
【0046】
なお、ここで、金属酸化物被覆板状フィラー(B)の粒径とは、金属酸化物被覆板状フィラー(B)を2枚の平行な板で挟んだときに、この板の間隔が最も大きくなる部分の長さをさす。
本発明における平均粒径D50は、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定されるメジアン径D50をいい、例えば、島津製作所製「レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−2100」を用いて測定されるが、市販品についてはカタログ値を採用することができる。
【0047】
上記の金属酸化物被覆板状フィラー(B)は1種を単独で用いてもよく、基材や被覆層の構成材料或いは粒径の異なるものの2種以上を組み合わせて用いてもよい。
2種以上の金属酸化物被覆板状フィラー(B)を併用する場合、用いたすべての金属酸化物被覆板状フィラー(B)の平均粒径D50が上記の範囲内であることが好ましい。
【0048】
なお、金属酸化物被覆板状フィラー(B)は、ポリカーボネート樹脂(A)との密着性を良好なものとするために、シランカップリング剤等の表面処理剤で表面処理されたものであってもよい。
【0049】
本発明の樹脂組成物において、上記金属酸化物被覆板状フィラー(B)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して0.1〜5質量部、好ましくは0.2〜3質量部、より好ましくは0.3〜2質量部である。金属酸化物被覆板状フィラー(B)の配合量が上記下限よりも少ないと、金属酸化物被覆板状フィラー(B)を配合したことによる光輝性や偏光性の付与効果を十分に得ることができず、多過ぎると得られる成形品の耐衝撃性が劣るものとなる。
【0050】
[ホスフェート系安定剤(C)]
本発明で用いるホスフェート系安定剤(C)のアルキルアシッドホスフェート又はアルケニルアシッドホスフェートは、下記式(I)で表されるものであることが好ましい。即ち、アルキルアシッドホスフェート又はアルケニルアシッドホスフェートは、下記式(I)で表され、アルキルアシッドホスフェート金属塩又はアルケニルアシッドホスフェート金属塩は下記式(I)で表されるアルキルアシッドホスフェート又はアルケニルアシッドホスフェートの亜鉛塩、アルミニウム塩等の金属塩であることが好ましい。
O=P(OH)(OR)3−n …(I)
(式(I)中、Rはアルキル基又はアルケニル基であり、nは1又は2の整数を表す。nが1の場合、2つのRは同一であってもよく異なるものであってもよい。)
【0051】
上記式(I)中のRで示されるアルキル基は直鎖アルキル基であってもよく、分岐を有していてもよいが、炭素数9以上、30以下が好ましく、具体的には、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ドデシル、トリデシル、イソトリデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル(ステアリル)、エイコシル、テトラコシル基等が挙げられる。また、Rで示されるアルケニル基についても直鎖アルケニル基であってもよく、分岐を有していてもよいが、炭素数9以上、30以下が好ましく、具体的には、オレイル基等が挙げられる。nは、1又は2であり、その混合物であっても良い。
【0052】
上記式(I)中のRで示されるアルキル基又はアルケニル基の炭素数は、13,18,24のいずれかであることがより好ましく、アルキルアシッドホスフェートとしては、特に、下記式(II)で表され、式(II)におけるn=1のジステアリルアシッドホスフェートとn=2のモノステアリルアシッドホスフェートとの混合物であるものが好ましい。
O=P(OH)(OC18373−n …(II)
【0053】
また、アルキルアシッドホスフェートの金属塩としては、下記式(IIIa)で表されるジステアリルアシッドホスフェート亜鉛塩と、下記式(IIIb)で表されるモノステアリルアシッドホスフェート亜鉛塩との混合物が好ましい。
【0054】
【化2】
【0055】
これらのホスフェート系安定剤(C)は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0056】
ホスフェート系安定剤(C)の配合量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して0.01〜1質量部、好ましくは0.02〜0.5質量部、より好ましくは0.03〜0.1質量部である。ホスフェート系安定剤(C)の配合量が上記下限よりも少ないと、ホスフェート系安定剤(C)を配合したことによるポリカーボネート樹脂(A)の分解抑制効果を十分に得ることができず、ホスフェート系安定剤(C)の配合量が上記上限よりも多いと、耐衝撃性が低下し、また、成形品の外観が損なわれるおそれがある。
【0057】
[ハイドロジェンシロキサン(D)]
本発明の樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)の分解をより一層確実に防止するために、更にハイドロジェンシロキサン(D)を含むことが好ましい。
【0058】
本発明に用いるハイドロジェンシロキサン(D)の分子量については特に制限されず、オリゴマー及びポリマーのいずれの群に属するものであっても良い。より具体的には、特公昭63−26140号公報に記載されている式(イ)〜式(ハ)で表されるポリオルガノハイドロジェンシロキサン類などが好ましい。ハイドロジェンシロキサン(D)は、例えば、下記式(d−1)を繰り返し単位とするポリシロキサン、ならびに下記式(d−2)又は(d−3)で表される化合物を用いるのが好ましい。
【0059】
(Rα(H)βSiO …(d−1)
(上記式中、Rは炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、α及びβの合計は2である。)
【0060】
【化3】
【0061】
(上記式中、A及びBは各々以下の群から選ばれる基であり、rは1〜500の整数である。)
【0062】
【化4】
【0063】
【化5】
【0064】
(上記式中、A及びBは前記式(d−2)中におけるそれぞれと同義であり、tは1〜50の整数である。)
【0065】
ハイドロジェンシロキサン(D)としては市販品のシリコーンオイル、例えば、SH1107(東レ・ダウコーニング(株)製品)を用いることができる。
【0066】
これらのハイドロジェンシロキサン(D)は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
【0067】
本発明の樹脂組成物にハイドロジェンシロキサン(D)を配合する場合、その配合量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して0.003〜0.15質量部、より好ましくは0.005〜0.12質量部、さらに好ましくは0.01〜0.1質量部である。ハイドロジェンシロキサン(D)の配合量が上記下限よりも少ないと、ハイドロジェンシロキサン(D)を配合したことによるポリカーボネート樹脂(A)の分解抑制効果を十分に得ることができず、ハイドロジェンシロキサン(D)の配合量が上記上限よりも多いと、溶融混練時にガスが発生し、モールドデポジットの原因となりやすい。
【0068】
[その他の配合成分]
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、種々の添加剤から選ばれる1種又は2種以上を含有していてもよい。このような添加剤としては、着色剤、離型剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。また、本発明の樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)以外の他の樹脂を含有していてもよい。
【0069】
<着色剤>
本発明の樹脂組成物は、所望によって着色剤として各種の染顔料を含有していてもよい。染顔料を含有することで、本発明の樹脂組成物の隠蔽性、耐候性を向上できるほか、本発明の樹脂組成物を成形して得られる成形品のデザイン性を向上させることができる。
【0070】
染顔料としては、例えば、無機顔料、有機顔料、有機染料などが挙げられる。
【0071】
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、カドミウムレッド、カドミウムイエロー等の硫化物系顔料;群青などの珪酸塩系顔料;酸化チタン、亜鉛華、弁柄、酸化クロム、鉄黒、チタンイエロー、亜鉛−鉄系ブラウン、チタンコバルト系グリーン、コバルトグリーン、コバルトブルー、銅−クロム系ブラック、銅−鉄系ブラック等の酸化物系顔料;黄鉛、モリブデートオレンジ等のクロム酸系顔料;紺青などのフェロシアン系顔料などが挙げられる。
【0072】
有機顔料及び有機染料としては、例えば、銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系染顔料;ニッケルアゾイエロー等のアゾ系染顔料;チオインジゴ系、ペリノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系などの縮合多環染顔料;アンスラキノン系、複素環系、メチル系の染顔料などが挙げられる。
【0073】
これらの中では、熱安定性の点から、酸化チタン、カーボンブラック、シアニン系、キノリン系、アンスラキノン系、フタロシアニン系化合物などが好ましい。
【0074】
上記の着色剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
また、着色剤は、押出時のハンドリング性改良、樹脂組成物中への分散性改良の目的のために、ポリカーボネート樹脂(A)や他の樹脂とマスターバッチ化されたものも用いてもよい。
【0075】
本発明の樹脂組成物が着色剤を含有する場合、その含有量は、必要な意匠性に応じて適宜選択すればよいが、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.005質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、また、通常3質量部以下、好ましくは2質量部以下、より好ましくは1質量部以下、さらに好ましくは0.5質量部以下である。着色剤の含有量が前記範囲の下限値未満の場合は、着色効果が十分に得られない可能性があり、着色剤の含有量が前記範囲の上限値を超える場合は、モールドデボジット等が生じ、金型汚染を引き起こす可能性がある。
【0076】
<離型剤>
本発明の樹脂組成物は、離型性を高め、成形品の表面平滑性を高めるために、離型剤を含有していてもよい。
好ましい離型剤は、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸エステル、及び数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素化合物から選ばれる化合物である。中でも、脂肪族カルボン酸、及び脂肪族カルボン酸エステルから選ばれる化合物が好ましく用いられる。
【0077】
脂肪族カルボン酸としては、飽和又は不飽和の脂肪族モノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸を挙げることができる。本明細書では、脂肪族カルボン酸の用語は、脂環式カルボン酸も包含する意味で用いる。脂肪族カルボン酸の中でも、炭素数6〜36のモノ又はジカルボン酸が好ましく、炭素数6〜36の脂肪族飽和モノカルボン酸がより好ましい。このような脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、吉草酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラリアコンタン酸、モンタン酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸等を挙げることができる。
【0078】
脂肪族カルボン酸エステルを構成する脂肪族カルボン酸成分としては、前記脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、脂肪族カルボン酸エステルを構成するアルコール成分としては、飽和又は不飽和の1価アルコール、飽和又は不飽和の多価アルコール等を挙げることができる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基等の置換基を有していても良い。これらのアルコールのうち、炭素数30以下の1価又は多価の飽和アルコールが好ましく、さらに炭素数30以下の脂肪族飽和1価アルコール又は多価アルコールが好ましい。ここで脂肪族アルコールは、脂環式アルコールも包含する。これらのアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等を挙げることができる。これらの脂肪族カルボン酸エステルは、不純物として脂肪族カルボン酸及び/又はアルコールを含有していても良く、複数の化合物の混合物であっても良い。脂肪族カルボン酸エステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸オクチルドデシル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレートを挙げることができる。
【0079】
これらの離型剤は1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
【0080】
本発明の樹脂組成物が離型剤を含有する場合、その含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.01〜1質量部であることが好ましい。離型剤の含有量が上記範囲であると、耐加水分解性の低下がなく、離型効果が得られるので好ましい。
【0081】
<難燃剤>
本発明の樹脂組成物は、難燃性を得るために難燃剤を含有していてもよい。難燃剤としては、ポリカーボネート樹脂(A)の透明性を維持して組成物の難燃性を向上させるものであれば特に限定されないが、有機スルホン酸金属塩、シリコーン化合物が好適である。
【0082】
難燃剤用の有機スルホン酸金属塩としては、好ましくは脂肪族スルホン酸金属塩及び芳香族スルホン酸金属塩等が挙げられ、これらは、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。有機スルホン酸金属塩を構成する金属としては、好ましくは、アルカリ金属、アルカリ土類金属などが挙げられ、アルカリ金属及びアルカリ土類金属としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム及びバリウム等が挙げられる。
【0083】
脂肪族スルホン酸塩としては、好ましくは、フルオロアルカン−スルホン酸金属塩、より好ましくは、パーフルオロアルカン−スルホン酸金属塩が挙げられる。フルオロアルカン−スルホン酸金属塩としては、好ましくは、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などが挙げられ、より好ましくは、炭素数4〜8のフルオロアルカンスルホン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などが挙げられる。フルオロアルカン−スルホン酸金属塩の具体例としては、パーフルオロブタン−スルホン酸ナトリウム、パーフルオロブタン−スルホン酸カリウム、パーフルオロメチルブタン−スルホン酸ナトリウム、パーフルオロメチルブタン−スルホン酸カリウム、パーフルオロオクタン−スルホン酸ナトリウム、パーフルオロオクタン−スルホン酸カリウムなどが挙げられる。
【0084】
また、芳香族スルホン酸金属塩としては、好ましくは、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などが挙げられる。芳香族スルホンスルホン酸アルカリ金属塩、芳香族スルホン酸金属塩の具体例としては、3,4−ジクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、2,4,5−トリクロロベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸のナトリウム塩、ジフェニルスルホン−3−スルホン酸のカリウム塩、4,4’−ジブロモジフェニル−スルホン−3−スルホン酸のナトリウム塩、4,4’−ジブロモフェニル−スルホン−3−スルホン酸のカリウム塩、4−クロロ−4’−ニトロジフェニルスルホン−3−スルホン酸のカルシウム塩、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸のジナトリウム塩、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホン酸のジカリウム塩などが挙げられる。
【0085】
本発明の樹脂組成物がこれらの有機スルホン酸金属塩を含有する場合、その含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.01〜3質量部であることが好ましく、0.02〜2質量部であることがより好ましく、0.03〜1質量部であることがさらに好ましい。難燃剤としての有機スルホン酸金属塩の含有量が上記範囲であると、難燃性があり、且つ熱安定性が良好な樹脂組成物となるので好ましい。有機スルホン酸金属塩の含有量が上記範囲より多いと、樹脂組成物の透明性を損なうことがあり、少ないと十分な難燃性を得ることができない。
【0086】
難燃剤用のシリコーン化合物としては、特開2006−169451公報に記載の、直鎖状もしくは分岐状の構造を有するポリオルガノシロキサンが好ましい。該ポリオルガノシロキサンが有する有機基は、炭素数が1〜20のアルキル基及び置換アルキル基のような炭化水素又はビニル及びアルケニル基、シクロアルキル基、ならびにフェニル、ベンジルのような芳香族炭化水素基などの中から選ばれる。
該ポリジオルガノシロキサンは、官能基を含有していなくても、官能基を含有していても良い。官能基を含有しているポリジオルガノシロキサンの場合、官能基はメタクリル基、アルコキシ基又はエポキシ基であることが好ましい。
【0087】
本発明の樹脂組成物がこれらの難燃剤用シリコーン化合物を含有する場合、その含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.5〜10質量部であることが好ましい。難燃剤としてのシリコーン化合物の含有量が上記範囲であると、透明性、外観及び弾性率等を損なうことなく、難燃性が良好となるので好ましい。
【0088】
なお、上記有機スルホン酸金属塩とシリコーン化合物を併用しても良い。
【0089】
<酸化防止剤>
本発明の樹脂組成物は、酸化防止剤を含有していてもよい。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤が好ましく、より具体的には、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェニル)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、及び3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,6]ウンデカン等が挙げられる。中でも、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンが好ましい。
これらの酸化防止剤は1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0090】
本発明の樹脂組成物が酸化防止剤を含有する場合、その含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、0.02〜0.5質量部であることが好ましい。この範囲であると、本発明の効果を阻害せずに、酸化防止性を改善できるので好ましい。
【0091】
<紫外線吸収剤>
本発明の樹脂組成物は、紫外線吸収剤を含有していてもよい。樹脂成形体は、太陽光や蛍光灯のような光線下に長期間曝されると、紫外線によって黄色味を帯びる傾向があるが、紫外線吸収剤を添加することで、このような黄変を防止又は遅延させることができる。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニル系、ヒンダードアミン系などが挙げられる。
【0092】
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の具体例としては、2,4−ジヒドロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシ−ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−ベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシ−ベンゾフェノン等が挙げられる。
【0093】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例としては、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルメチル)フェノール、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール、2,4−ジ−tert−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラブチル)フェノール、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラブチル)フェノール]等が挙げられる。
【0094】
サリチル酸フェニル系紫外線吸収剤の具体例としては、フェニルサルチレート、2,4−ジターシャリ−ブチルフェニル−3,5−ジターシャリ−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
ヒンダードアミン系紫外線吸収剤の具体例としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート等が挙げられる。
【0095】
これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
【0096】
本発明の樹脂組成物が紫外線吸収剤を含有する場合、その含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、0.001〜1質量部であることが好ましく、0.005〜0.8質量部であることがより好ましく、0.01〜0.5質量部であることがさらに好ましい。紫外線吸収剤の含有量が上記範囲であると、光吸収による光輝性や偏光性の低下が生じず、且つ成形品表面にブリードアウト等を発生させずに、耐候性を改善できるので好ましい。
【0097】
<他の樹脂成分>
本発明の樹脂組成物には、ポリカーボネート樹脂(A)以外の樹脂成分が含まれていてもよく、その場合、他の樹脂成分としては、例えば、ポリスチレン樹脂、ハイインパクトポリスチレン樹脂、水添ポリスチレン樹脂、ポリアクリルスチレン樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ABS樹脂、AS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、SMA樹脂、ポリアルキルメタクリレート樹脂、(メタ)アクリレート共重合体、ポリメタクリルメタクリレート樹脂、ポリフェニルエーテル樹脂、非晶性ポリアルキレンテレフタレート樹脂、ポリエステル樹脂、非晶性ポリアミド樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1、環状ポリオレフィン樹脂、非晶性ポリアリレート樹脂、ポリエーテルサルフォン、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマーが挙られる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0098】
ただし、ポリカーボネート樹脂(A)本来の優れた特性を発揮させると共に、ポリカーボネート樹脂(A)に金属酸化物被覆板状フィラー(B)を配合した場合のポリカーボネート樹脂(A)の劣化の問題を解決するという本発明の効果が顕著に得られる点において、これらの他の樹脂成分を配合する場合、その含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して50質量部以下であることが好ましい。
【0099】
<その他>
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて本発明の目的を損なわない範囲で、上記成分のほかに、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、防菌剤などを配合することができる。
これらは、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
【0100】
[製造方法]
本発明の樹脂組成物は、従来から知られている方法で各成分を混合し、溶融混練することにより製造することができる。具体的な混合方法としては、ポリカーボネート樹脂(A)、金属酸化物被覆板状フィラー(B)、ホスフェート系安定剤(C)及び必要に応じて配合されるハイドロジェンシロキサン(D)やその他の添加成分を所定量秤量し、タンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用いて混合した後、バンバリーミキサー、ロール、プラペンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどを用いて溶融混練する方法が挙げられる。
【0101】
〔成形品〕
本発明の成形品は、上述のような本発明のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなるものである。
【0102】
本発明のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる本発明の成形品を製造する場合の成形方法としては、熱可塑性樹脂材料から成形品を成形する従来から知られている方法が、制限なく適用できる。具体的には、一般的な射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシストなどの中空成形法、断熱金型を用いた成形法、急速加熱金型を用いた成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、インモールドコーティング(IMC)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法などが挙げられる。
【0103】
[分子量低下]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、特定の金属酸化物被覆板状フィラー(B)及びホスフェート系安定剤(C)、更にはハイドロジェンシロキサン(D)を併用することによるポリカーボネート樹脂(A)の分解抑制効果で、成形加工時のポリカーボネート樹脂(A)の分子量の低下を小さく抑えることができる。その分子量低下の程度は、樹脂組成物中の金属酸化物被覆板状フィラー(B)の配合量によっても異なるが、後掲の実施例の項に記載される方法で測定される通常成形時のポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量と滞留成形時のポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量との差を500以下、更には300以下に抑えることができ、特にハイドロジェンシロキサン(D)の併用により分子量を低下させることなく成形することもでき、分子量低下の抑制で、外観に優れると共に、優れた機械物性を得ることができる。
【0104】
[用途]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる本発明の成形品は、金属酸化物被覆板状フィラー(B)による良好な光輝性や偏光性で美麗な外観を呈する意匠性に優れたものであり、塗装を施すことなく製品化することができ、電気・電子機器、OA機器、情報端末機器、機械部品、家電製品、車輌部品、建築部材、各種容器、遊具、玩具やレジャー用品・スポーツ用品、化粧品、アクセサリー類、文具類等の雑貨類等の各種用途に適用することができる。
【実施例】
【0105】
以下に実施例、参考例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、これらの実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例、参考例及び比較例において使用した樹脂組成物の構成成分は、以下の通りである。
【0106】
<ポリカーボネート樹脂(A)>
三菱エンジニアリングプラスチックス社製 芳香族ポリカーボネート樹脂「ユーピロンS−3000F」(粘度平均分子量=21500)
【0107】
<金属酸化物被覆板状フィラー(B)>
金属酸化物被覆板状フィラー(B)としては、下記表1に示すものを用いた。後掲の表2,3において、金属酸化物被覆板状フィラー(B)は、品番で記載する。
【0108】
【表1】
【0109】
<安定剤>
AX−71:ADEKA社製「アデカスタブAX−71」(前記式(II)で表されるモノステアリルアシッドホスフェートとジステアリルアシッドホスフェートとの混合物)
JP−513:城北化学社製「JP−513」(下記式(IV)で表されるイソトリデシルアシッドホスフェート)
【化6】
【0110】
JP−518−O:城北化学社製「JP−518−O」(下記式(V)で表されるオレイルアシッドホスフェート)
【化7】
【0111】
JP−524R:城北化学社製「JP−524R」(下記式(VI)で表されるテトラコシルアシッドホスフェート)
【化8】
【0112】
JP−518Zn:城北化学社製「JP−518Zn」(前記式(IIIa)と(IIIb)で表されるジステアリルアシッドホスフェート亜鉛塩とモノステアリルアシッドホスフェート亜鉛塩の混合物)
【0113】
ADK2112:ADEKA社製「アデカスタブ2112」(トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト)
SH1107:東レ・ダウコーニング社製「DOW CORNING TORAY SH1107 FLUID」(メチルハイドロジエンシロキサン)
【0114】
<離型剤>
VPG861:エメリーオレオケミカルズジャパン社製「ロキシオールVPG861」(ペンタエリスリトールテトラステアリレート)
【0115】
<着色剤>
カーボンブラック#1000:三菱化学社製「#1000」
【0116】
参考例1〜21、実施例22〜24及び比較例1〜6]
ポリカーボネート樹脂及び各種添加剤を表2,3に示す割合で配合し、タンブラーで20分混合後、スクリュー径40mmのベント付き単軸押出機(田辺プラスチック社製「VS−40」)により、シリンダー温度280℃、スクリュー回転数54rpmで混練し、押出されたストランドを切断してペレットを作製した。
得られたペレットを、120℃で5時間乾燥後、射出成形機(ファナック社製「S−2000i150B」)にて、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、成形サイクル30秒の条件で射出成形を行って、各種の試験片を作製した。
得られたペレット又は試験片について、以下の評価を行い、結果を表2,3に示した。
【0117】
(1) 流れ値(Q値)
JIS K7210付属書Cに記載の方法にてペレットの流れ値(Q値)を評価した。測定は島津製作所社製「フローテスターCFD500D」を用いて、穴径1.0mmφ、長さ10mmのダイを用い、試験温度278℃、試験力160kg/cm、余熱時間420secの条件で排出された溶融樹脂量(単位:cc/sec)を測定した。
【0118】
(2) 320℃滞留流れ値(320℃滞留Q値)
得られたペレットを、120℃で5時間乾燥後、射出成形機(ファナック社製「S−2000i150B」)にて、シリンダー温度320℃、金型温度80℃、成形サイクル600秒の条件で射出成形を行った。3ショット目の成形品を粉砕して、Q値の測定を行った。Q値は(1)と同様の方法を用いて求めた。
【0119】
(3) Izod衝撃強度
ASTM D256に準拠して、ノッチ付きIzod衝撃試験片(厚さ3.2mm)について、23℃の温度でIzod衝撃強度(単位:J/m)を測定した。
【0120】
(4) 引張破壊強度
ASTM多目的試験片(厚さ3.2mm)を用い、ASTM D638規格に準拠して引張破壊強度(単位:MPa)を測定した。
【0121】
(5) 引張破壊点歪
ASTM多目的試験片(厚さ3.2mm)を用い、ASTM D638規格に準拠して引張破壊点歪(単位:%)を測定した。
【0122】
(6) 分子量測定
上記シリンダー温度280℃、金型温度80℃、成形サイクル30秒の条件(通常成形時)と、シリンダー温度320℃、金型温度80℃、成形サイクル600秒の条件(滞留成形時)で成形を行った。各々の成形条件において、3ショット目の成形品を用いて、通常成形時のポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量と滞留成形時のポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量をそれぞれ測定した。
また、分子量の低下量を通常成形時の粘度平均分子量と滞留成形時の粘度平均分子量の差で算出した。この値が小さいほど、成形時の分子量低下が少なく、滞留熱安定性が良好である。
【0123】
(7) 外観不良(シルバー、濁り)
ASTM多目的試験片について、目視にてシルバーや濁りの有無を確認した。
【0124】
【表2】
【0125】
【表3】
【0126】
表2,3の結果から次のことが分かる。
本発明の金属酸化物被覆板状フィラー(B)の必須要件を満たさない光輝顔料を用いた比較例5,6では、ポリカーボネート樹脂の劣化に起因する分子量の低下(320℃滞留Q値の増加)、外観不良の問題がある。
本発明の金属酸化物被覆板状フィラー(B)の必須要件を満たす光輝顔料を用いた比較例1〜4でも、安定剤としてホスフェート系安定剤(C)を用いていない比較例1〜3やホスフェート系安定剤(C)とは異なる亜リン酸エステル系安定剤を用いた比較例4では、ポリカーボネート樹脂の劣化に起因する分子量の低下、320℃滞留Q値の増加を抑制し得ない。
【0127】
これに対して、本発明の金属酸化物被覆板状フィラー(B)の必須要件を満たす光輝顔料を用いると共に、安定剤としてホスフェート系安定剤(C)を用いた参考例1〜21、実施例22〜24では、いずれも分子量の低下、320℃滞留Q値の増加が抑えられ、ポリカーボネート樹脂(A)の劣化が抑制され、外観及び各種物性に優れた成形品が得られる。
特に、ハイドロジェンシロキサン(D)を併用した実施例22〜24では、ポリカーボネート樹脂(A)の劣化による分子量の低下、320℃滞留Q値の増加はより一層抑制され、分子量低下の問題を解消することもできる。