(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アタッチメントには、前記スリット孔の延長線上に基準孔が形成され、前記光センサが前記基準孔を検出する第一の搬送位置と、前記スリット孔を塞ぐ前記印体の端部を検出する第二の搬送位置との距離に基づいて当該印体のサイズを判定する、請求項2に記載の印面加工装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の一実施形態による印面加工装置10を示す外観図である。また、
図2は、印面加工装置10の概略構成を示すブロック図である。印面加工装置10は、印判の購入者等、一般のユーザが簡単な操作で印面の加工ができるため、例えば文房具店など、従来印判が販売されてきた店頭の他、コンビニエンスストアやアミューズメント施設など様々な場所に設置することができる。また、印面が加工された印体にホルダを装着することで、印判を容易に組み立てることができ、購入者は印判をその場で受け取ることもできる。
【0013】
具体的には後述するが、印面加工装置10は、サーマルヘッド12と多孔質印体101とを当接させた状態で、これらを相対移動させながらサーマルヘッド12の各発熱素子12aを選択的に発熱駆動して多孔質材を溶融固化することで、多孔質印体101の表面に1ラインずつ印面を熱加工する。ここで「当接」とは、サーマルヘッド12の高さ位置と多孔質印体101の表面の高さ位置とが一致していることを意味する。サーマルヘッド12からの輻射熱で多孔質材が加熱溶融するのであれば、ミクロの間隙を有してサーマルヘッド12と多孔質材とが対向する状態も「当接」に含まれる。また、樹脂フィルム等を介在させてサーマルヘッド12からの熱が多孔質材に伝導する状態も、概念上「当接」に含まれる。また「相対移動」とは、サーマルヘッド12の位置を固定して多孔質印体101を移動させてもよいし、多孔質印体101の位置を固定してサーマルヘッド12を移動させてもよい。本明細書では、サーマルヘッド12の位置を固定して多孔質印体101を移動させる前者の態様の印面加工装置10について説明する。
【0014】
図1に示すように、印面加工装置10の前面部には、ユーザが印面加工装置10を操作するためのタッチパネル21やテンキー22などの操作部が設けられている。タッチパネル21には、例えば印面加工装置10への操作入力画面や、装置の動作状態(準備完了、アタッチメント装填、データ読取、印字加工、アタッチメント排出、エラーその他)又は現在設置されている多孔質印体101の種類及びサイズなどの情報を示す文字などが表示される。また、図示はしていないが、印面加工装置10の背面部には、インターネットなどのネットワークに接続するための通信用コネクタや電源用コネクタなどが設けられている。
【0015】
なお、印面加工装置10は、図示しない外部のパーソナルコンピュータ(PC)や専用の端末装置などに、操作入力や表示などのヒューマンインタフェース機能や、内部の制御装置11の一部の処理機能を持たせて動作するものでもよい。
【0016】
図2に示すように、制御装置11には、上述のタッチパネル21やテンキー22の他に、サーマルヘッド12を熱駆動する熱駆動手段13と、サーマルヘッド12を昇降させる昇降機構14と、トレイ15及びアタッチメント50を搬入・搬出させる搬送機構16と、アタッチメント50に設置される多孔質印体101及び光センサ18S、18Dなどが接続されている。
【0017】
印面を加工しようとする多孔質印体101は、専用のアタッチメント50(例えば
図7参照)に設置される。印面加工装置10は、アタッチメント50を載置して搬送する手段であるトレイ15を備え、印面加工装置10内部に設けた搬送機構16が、多孔質印体101及びアタッチメント50を着脱可能な排出位置と、内部の収容位置との間で往復搬送するように構成されている。
【0018】
ここで、
図3は、サーマルヘッド12のヘッド面及びその側面を示す二面図である。同図に示されるように、サーマルヘッド12のヘッド面(多孔質印体101に当接して印面加工する面)には、ライン状に等間隔に複数の発熱素子12a、12a、・・・が配列されている。発熱素子12a、12aの配列間隔、言い換えると1つの発熱素子12aのサイズは、印面加工の理論上の最小加工画素サイズに相当する。サーマルヘッド12における発熱素子12aのドット密度を、例えば300dpi(dot/inch)程度とすることができる。サーマルヘッド12は、制御装置11の制御の下で、1ラインの加工周期時間内に熱駆動手段13が各発熱素子12a、12a、・・・に対し選択的に電流を流すことで、多孔質印体101に1ラインの印面を形成する。また、サーマルヘッド12は、制御装置11の制御の下で、昇降機構14により多孔質印体101に接近及び離間する位置に移動制御される。
【0019】
次に、印体の一例である多孔質印体101を説明する。ここで、
図4A(a)は、印体の一例である角型の多孔質印体101の上面図であり、
図4A(b)はその多孔質印体101の底面図である。また、
図5は、多孔質印体101の断面図である。
なお、印体に関して「上面」は印面が形成される側の面(「表面」ともいう。)を指し、「底面」とは印面が形成される面の反対側の面(「裏面」又は「背面」ともいう。)を指す。つまり、本明細書においてそれらの語は、絶対的な意味でなく、あくまでも相対的な位置関係を示すに過ぎない。
【0020】
多孔質印体101は、特に
図5に示すように、上開口部に多孔性膜102が張られた四角囲状の枠体103と、枠体103の底部に取り付けられる受部材104とを備えている。そして、インクを含浸するインク含浸体(「吸蔵体」ともいう。)110が、受部材104上部の所定の収容部104bに収容される。また、枠体103の内壁には、弾性変形可能な爪部103a、103bが形成されている。
【0021】
より詳細には、多孔質印体101は、枠体103の爪部103a、103bが、受部材104の上部外壁の2箇所の何れかに係合する。これにより、多孔性膜102がインク含浸体110に接触しない第一位置(初期位置;
図6(a))、及び、多孔性膜102がインク含浸体110に接触する第二位置(使用位置;
図6(b))に、枠体103が受部材104に保持されるように形成されている。
【0022】
また、特に
図4A(b)に示すように、受部材104の底部には、次に説明するアタッチメント50の印体設置部51に嵌合可能な嵌合凹部104aが形成されている。更に、
図4B、
図4Cには、
図4Aの印体101とはサイズが異なる他の印体の嵌合凹部104aが例示される。このように、嵌合凹部104aは、印体101がアタッチメント50に一定の向きに設置されるようにするために、前後において対称形に形成されている。
【0023】
かかる形状の枠体103は、熱変形が小さい例えば熱可塑性樹脂によりモールド成形される。また、受部材104を枠体103と同一の樹脂で成形してもよい。
【0024】
多孔性膜102の材料は、サーマルヘッド12により表面が加熱溶融し固化できる多孔質材であれば特に限定されない。この多孔質材の原材料として、例えばスチレン系、塩化ビニル系、オレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ウレタン系の熱可塑性エストラマーを用いることができる。多孔性を得るためには、加熱加圧ニーダー、加熱ロール等により、デンプン、食塩、硝酸ナトリウム、炭酸カルシウム等の充填材と原材料樹脂とを混練し、シート状にして冷却後、水又は希酸水にて前記充填材を溶出する。この方法により作製される多孔質材の溶融温度は原材料樹脂と同じである。また、顔料、染料、無機質等の副成分を樹脂に添加することで、多孔質材の溶融温度の調整が可能である。本実施形態による多孔質材の溶融温度は70℃〜120℃である。
【0025】
多孔性膜102の気孔率及び気孔径は、混練される溶解物質の粒径やそれらの含有量により調整することができる。本実施形態による多孔性膜102の気孔率は50%〜80%であり、気孔径は1μm〜20μmである。多孔性膜102を2層構造にし、下層(背面側)の気孔率を50μm〜100μmとしてもよい。多孔性膜102は、枠体103の上開口の周縁部(上端面)に熱融着されることが好ましい。
【0026】
なお、サーマルヘッド12を直接、多孔質印体101の表面に接して発熱素子12aを駆動させると、加熱溶融した多孔質材がサーマルヘッド12に溶着し、摩擦力の増大や製版不良を引き起こすという不都合がある。これらの問題を解決するために、多孔質印体101とサーマルヘッド12との間に樹脂フィルム(不図示)を介在させてもよい。このような樹脂フィルムは、多孔質印体101に用いられている多孔質材よりも融点が高い耐熱性や、印面にしわなどを生じさせない低摩擦性及び平滑性を有していることが要求される。この樹脂フィルムとして、例えば、セロハン、アセテート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリ四フッ化エチレン、ポリイミドなどのポリフィルムを用いることができる。このような樹脂フィルムを介在させることにより、多孔質材に発生するしわの防止の他にサーマルヘッド12に残留する余熱の影響も少なくすることができる。
【0027】
多孔性膜102にインクを浸透させるインク含浸体110は、
図6に示したように2層構造であることが好ましい。本実施形態の加工対象である印体101は、インク含浸体110にインクを含浸させた状態で印判の購入者に提供されるが、市場流通時には多孔性膜102にインクが浸透しないように、多孔性膜102とインク含浸体110とが接触しない初期位置(
図6(a))にある。後述するように本実施形態では、印面加工時に押圧手段であるサーマルヘッド12が枠体103を押圧して使用位置(
図6(b))にするが、多孔性膜102がインク含浸体110に接触した後は、可及的に早く多孔性膜102にインクが浸透して使用可能をなることが望ましい。
【0028】
ところが、インクを含浸するインク含浸体110は、時間が経つと例えばインクの粘性が高まる等の理由により、多孔性膜102へのインク浸透時間が延びる傾向にある。そのため、本実施形態では、ポリオレフィン系繊維(PP+PE)のインク含浸体110を、目付量の異なる2層(TOP(上面側);0.2〜0.3g/cm
2、BASE(裏面側);0.1〜0.15g/cm
2)で形成した。つまり、BASE(裏面)よりもTOP(上面)側の密度を高くすることにより、毛細管力の差によるBASEからTOPへのインクの流れを作ることができる。これにより、多孔性膜102へのインクの浸透時間を安定的に短くできること確認している。
【0029】
インク含浸体110の材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、アクリルニトリルブタジエンゴム等の弾力性のある発泡体又は不織布が採用することができる。また、インク含浸体が2層の場合、TOPとBASEを熱融着加工により接着することができる。また、接着剤により2層を部分的に接着してもよい。また、接着をせず、各層の接合面に凹凸を設ける等の加工を施し、位置ずれを防止するようにしてもよい。
【0030】
表1に、2層の含浸体と1層の含浸体を、想定される各保管条件で所定時間保管した後、多孔性膜(PEシート)に接触させたときのインク浸透時間を計測した結果を示す。インクが完全に浸透するまでの判定基準として10分以内を良好、それ以上を規定外とした。
表1に示すように、含浸体が2層の場合は、ヒートサイクルによる加速度的な悪条件下で1箇月保管した場合でも浸透時間が最大で6分(No.16)と良好な結果が得られている。
【表1】
【0031】
次に、多孔質印体101が設置されるアタッチメント50を説明する。アタッチメント50には、様々なサイズの加工対象物である多孔質印体101の設置が可能である。ここで、
図7は、本発明の一実施形態によるアタッチメント50の平面図である。
図7に示す実施形態では、アタッチメント50の本体に、その上面50aよりも低く窪む平坦な印体設置面51aを有する印体設置部51が形成されている。印体設置部51の搬入方向側左右には、比較的大きいサイズの印体を取り外す際の指掛け用に半円形部55、55が形成されている。また、比較的小さいサイズの印体が前後逆転して設置できないようにするために、搬出方向側に突出する突部56が形成されている。
【0032】
ここで、本実施形態のアタッチメント50の搬送方向は、
図7における上下方向である。特に
図7の上方向が、アタッチメント50が印面加工装置10の内部に向かう「搬入方向」に相当し、下方向が印面加工装置10の外部に向かう「搬出方向」に相当する。また、本明細書において「幅方向」とは、搬送方向に直交する方向をいう。
【0033】
印体設置部51の幅方向中央には、搬送方向に長く延びるスリット孔52が、印体設置面51aを貫通して形成されている。また、アタッチメント50の搬入方向の先頭に近い位置には、基準孔54が本体を貫通して形成されている。
【0034】
また、アタッチメント50の印体設置面51aには、その幅方向中央であって、比較的前方の所定位置に嵌合凸部53が形成されている。嵌合凸部53は、印体101の受部材104の嵌合凹部104aに嵌合するように、前後(搬送方向)において対称形に形成されている。ただし、印体を印体設置面51aから取外し易くするために、嵌合凸部53を半円形にし、嵌合凹部104aを方形にすることが好ましい。
【0035】
したがって、本実施形態の印面加工装置10によれば、1種類のアタッチメント50だけで、異なる複数サイズの多孔質印体101’、101’’を設置することができる(例えば
図8A、8B参照)。また、同じく
図8A、8Bに示すように、多孔質印体101がアタッチメント50の印体設置部51に設置されたとき、その印体101の一端部により、必ずスリット孔52の一部が塞がれる。
【0036】
本実施形態では、多孔質印体101がスリット孔52を塞ぐ位置を検出することにより、当該多孔質印体101のサイズを判定するように構成されている。すなわち、
図9に例示するように、アタッチメント50の搬送工程中、光センサ18Dが基準孔54を透過した光を検出することで、搬送基準位置P1、P2(第一の搬送位置)が検出される。ここでP1は、基準孔54の前端位置、P2は、基準孔54の後端位置を示す。アタッチメント50が更に搬送されると、スリット孔52を塞ぐ(又は横切る)多孔質印体101の一方の端部の位置P3(第二の搬送位置)が、光センサ18DがOFFからONに切り換わることにより検出される。印体101の他方の端部と基準孔54との間の距離Doffsetが一定である前提に立てば、搬送基準位置P2と印体101の端部位置P3との相対距離Dpに基づいて、印体101のサイズDs(Ds=Dp−Doffset)が測定できる。
【0037】
次に、印面加工装置10による印面加工動作を説明する。ここで、
図10は、印面加工処理を例示するフローチャートである。また、
図11A、11Bは、印面加工動作を説明するための図である。なお、以下説明する各種制御手段は、制御装置11がプログラムデータに従って演算処理を実行することで実現される。
ここでは、印判の購入者が、印面加工装置10を操作する例について説明するが、印判を販売した店員や加工を依頼された作業員などが印面加工装置10を操作してもよい。なお、印判の購入者が発注する印面イメージデータ(「版下データ」ともいう。)は、予め印面加工装置10の記憶手段に記憶されているものとする。印面加工開始時に、印判の購入者が印面加工装置10のタッチパネル21に表示される案内指示に従って、加工したい印字や図形を入力したり、インターネットやUSBメモリなどを介して外部から版下データをロードしてもよい。
【0038】
まず、ユーザ(本例の場合、印判の購入者)は、購入した印判のキットに含まれる未加工の多孔質印体101をアタッチメント50に設置する。そして、タッチパネル21などを介してトレイ15の排出操作が行われると(ステップS11:YES)、搬送制御手段が搬送機構16を制御して、
図11A(I)に示す排出位置にトレイ15を搬送する(ステップS12)。そして、ユーザは、排出されたトレイ15に、多孔質印体101が設置されたアタッチメント50を装填する。なお、ユーザは、トレイ15に既に装填されているアタッチメント50に多孔質印体101を設置してもよい。
【0039】
そして、タッチパネル21などを介して搬入操作が行われると(ステップS13:YES)、搬送制御手段が搬送機構16を制御して、アタッチメント50の搬入動作を開始させる(ステップS14)。搬入動作中、光センサ18S、18Dは、アタッチメント50の基準孔54の前端位置P1及び後端位置P2を検出する(
図11A(II))(ステップS15)。制御装置11は、例えば基準孔54の後端位置を搬送基準位置P2(第一の搬送位置)として認識する。
【0040】
更にアタッチメント50が奥に搬入されると、
図11A(III)で示されるように、光センサ18S、18Dが、スリット孔52を塞ぐ多孔質印体101の端部位置P3を検出する(ステップS16)。印体サイズ判定手段は、上述したように、搬送基準位置P2(第一の搬送位置)と、印体端部位置P3(第二の搬送位置)との距離に基づいて、アタッチメント50に設置されている多孔質印体101のサイズを判定する(ステップS17)。
【0041】
印体サイズ判定手段は、光センサ18S、18Dにより印体101の端部を検出できなかった場合、又は指定されたサイズと異なるサイズの印体を検出した場合には(ステップS18:NO)、タッチパネル21などにエラーが表示され(ステップS19)、トレイ15が排出位置に戻される。これにより、ユーザに、正しい多孔質印体の設置を促すことができる。このように、加工を開始する前に、多孔質印体101と印面イメージデータのミスマッチなどを発見でき、間違った印体の設置や加工操作ミスなどを事前に防止することができる。
【0042】
サイズに整合性があり、正しい多孔質印体101がセットされていると判断された場合には(ステップS18:YES)、加工制御手段は、アタッチメント50に設置されている多孔質印体101のサイズに基づいて、印体101の押圧位置、印面の加工開始位置、加工終了位置、加熱高さ位置を決定する(ステップS21)。印体101の押圧位置は、枠体103の両端部分であることが望ましい。
【0043】
搬送制御手段は、搬送機構16を制御して、先ず枠体101の一方の端部(例えば後端部)を、サーマルヘッド12の直下に搬送する(ステップS22)。そして、
図11B(IV)に示されるように、押圧制御手段は、昇降機構14を制御して、サーマルヘッド12で枠体103の端部を押圧する(
図12(I))(ステップS23)。次に枠体101の他方の端部(例えば前端部)をサーマルヘッド12の直下に移動させ押圧する(
図12(II))。これにより、枠体103に反り変形を生じさせずに、多孔性膜102がインク含浸体110に接触する状態、つまり使用位置(
図6(b)参照)に枠体103をセットすることができる。
【0044】
多孔質印体101は、インク含浸体110を多孔性膜102に接触させた状態で使用される。しかし、未加工の多孔性膜102にインク含浸体110が長時間接触すると、多孔性膜102の全体にインクが染み込んでしまい、多孔性膜102の熱加工に不都合が生じてしまう。そのため、多孔性膜102にインク含浸体110のインクが接触しないよう初期位置(第一位置;
図6(a)参照)に枠体103を保持した状態で工場出荷され、市場に流通される。
本実施形態では、印面加工装置10内でサーマルヘッド12が枠体103を押圧して、多孔性膜102がインク含浸体110に接触する使用位置(第二位置;
図6(b)参照)に枠体103をセットするので、ユーザが印面加工時又は印判組立の際にインクを多孔性膜102に浸透させる手間を省くことができる。
【0045】
サーマルヘッド12が所定高さに戻された後、搬送制御手段は、多孔質印体101を加工開始位置に搬送する(ステップS24)。多孔質印体101が加工開始位置に至ると、昇降制御手段が昇降機構14を制御して、サーマルヘッド12を加熱高さ位置に下降させる(ステップS25)。
図11B(V)に示されるように、この段階で、サーマルヘッド12が多孔質印体101の加工開始位置表面に当接する。
【0046】
次のステップS26では、発熱駆動制御手段が1ラインの駆動量データに従って熱駆動手段13をPWM制御し、サーマルヘッド12の発熱素子12a、12a、・・・を選択的に発熱駆動する。これにより多孔質印体101が1ラインだけ熱加工される。そして、ステップS27において、搬送制御手段が搬送機構16を制御して、多孔質印体101を搬出方向(
図11B(V)の矢印方向)へ1ライン幅だけ移動させる。ステップS26とステップS27の処理が繰り返されることにより、多孔質印体101が1ラインずつ印面加工される。そして、ステップS28の判断で最終ラインの加工が終了したとき(
図11B(VI))、昇降制御手段は、昇降機構14を制御して、サーマルヘッド12を待機位置まで上昇させる。搬送制御手段は、搬送機構16を制御して、トレイ15を
図11B(VII)に示す排出位置に搬送する(ステップS29)。
【0047】
ユーザは、排出されたトレイ15からアタッチメント50を取り出し、印面が加工形成された多孔質印体101を得ることができる。なお、ユーザは、アタッチメント50をトレイ15に装填したまま、加工済みの多孔質印体101を得てもよい。
【0048】
図13は、最終的に組み立てられる印判100の側面図及び縦断面図である。同図に示されるように、ユーザは、印面を加工した多孔質印体101の裏面側にホルダ112を取り付けるだけで、所望の印判100を容易に組み立てることができる。