(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、電源が投入されてから所定時間が経過するまでの初期期間において、前記電圧の1周期ごとに前記ゼロクロス検出部がゼロクロス点を検出するように前記ゼロクロス検出部をオンとすることを特徴とする請求項1記載のゼロクロス検出回路。
前記制御部は、前記初期期間において、最初にゼロクロス点が検出された後の前記電圧のk周期目(kは2以上の整数)に、ゼロクロス点を見誤ると予測すると、前記k周期目に前記ゼロクロス検出部をオンとするタイミングを補正する補正処理を実施し、
前記k周期目における前記補正処理は、
前記初期期間において最初に前記ゼロクロス検出部をオンとしてから、ゼロクロス点が検出されるまでの検出時間と、
前記初期期間において最初にゼロクロス点が検出された後の前記電圧のk−1周期目に、前記ゼロクロス検出部をオンとしてから、ゼロクロス点が検出されるまでの検出時間と、
の差に基づくことを特徴とする請求項2記載のゼロクロス検出回路。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、ゼロクロス検出部に電流が流れていないときは、CPUに内蔵されたタイマによってゼロクロス点を予測している。しかし、経年劣化、温度、部品のばらつき等によって、CPUに内蔵されたタイマの精度が低下することがある。このため、電流を間欠としたゼロクロス検出部において電流が流れない時間が長時間になると、ゼロクロス点を見誤る可能性がある。すなわち、ゼロクロス点が検出されると予測された時間と、実際のゼロクロス点とが一致しない可能性がある。このため、待機時における更なる低消費電力化が難しい場合があった。
【0007】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、消費電力を低減しつつゼロクロス点の検出の正確性を向上させたゼロクロス検出回路及び衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、交流の電圧を出力する電源と電気的に接続され、前記電圧のゼロクロス点を検出するゼロクロス検出部と、前記ゼロクロス検出部がオンとなった後、ゼロクロス点が検出されると前記ゼロクロス検出部がオフとなるように、前記ゼロクロス検出部のオンとオフとを切り替える制御部と、を備え、前記制御部は、前記電圧のn周期(nは2以上の整数)ごとにゼロクロス点が検出されるように、前記ゼロクロス検出部をオンとする間欠制御を実施し、前記ゼロクロス検出部をオンとしてからゼロクロス点が検出されるまでの検出時間と、その後の前記n周期目に前記ゼロクロス検出部をオンとしてからゼロクロス点が検出されるまでの検出時間と、の差に基づいて、前記ゼロクロス検出部をオンとするタイミングを補正することを特徴とするゼロクロス検出回路である。
【0009】
このゼロクロス検出回路によれば、間欠制御によって、ゼロクロス検出部に電流が流れる時間を短くすることで消費電力を低減することができる。また、ゼロクロス検出部をオンとするタイミングを補正することにより、ゼロクロス点の検出の正確性を向上させることができる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、前記制御部は、電源が投入されてから所定時間が経過するまでの初期期間において、前記電圧の1周期ごとに前記ゼロクロス検出部がゼロクロス点を検出するように前記ゼロクロス検出部をオンとすることを特徴とするゼロクロス検出回路である。
【0011】
このゼロクロス検出回路によれば、電源投入後の初期期間にゼロクロス検出部をオンとするタイミングと実際のゼロクロス点とのずれを検出することができる。これにより、初期期間でのゼロクロス点の取りこぼしを防ぐことができる。
【0012】
第3の発明は、第2の発明において、前記制御部は、前記初期期間において、最初にゼロクロス点が検出された後の前記電圧のk周期目(kは2以上の整数)に、ゼロクロス点を見誤ると予測すると、前記k周期目に前記ゼロクロス検出部をオンとするタイミングを補正する補正処理を実施し、前記k周期目における前記補正処理は、前記初期期間において最初に前記ゼロクロス検出部をオンとしてから、ゼロクロス点が検出されるまでの検出時間と、前記初期期間において最初にゼロクロス点が検出された後の前記電圧のk−1周期目に、前記ゼロクロス検出部をオンとしてから、ゼロクロス点が検出されるまでの検出時間と、の差に基づくことを特徴とするゼロクロス検出回路である。
【0013】
このゼロクロス検出回路によれば、初期期間においてゼロクロス検出部をオンとするタイミングを補正することにより、ゼロクロス点の検出の正確性を向上させることができる。
【0014】
第4の発明は、第3の発明において、前記制御部は、前記初期期間において最初に前記ゼロクロス検出部をオンとしてから、ゼロクロス点が検出されるまでの検出時間と、前記初期期間において最初にゼロクロス点が検出された後の前記n周期目に、前記ゼロクロス検出部をオンとしてから、ゼロクロス点が検出されるまでの検出時間と、の差に基づいて、前記間欠制御において前記ゼロクロス検出部をオンとするタイミングを補正することを特徴とするゼロクロス検出回路である。
【0015】
このゼロクロス検出回路によれば、初期期間におけるゼロクロス検出部をオンとするタイミングと実際のゼロクロス点とのずれを補正することにより、その後の間欠制御において、ゼロクロス点の検出の正確性を向上させることができる。
【0016】
第5の発明は、第3の発明において、前記制御部は、前記nを前記kに設定して前記間欠制御を行うことを特徴とするゼロクロス検出回路である。
【0017】
このゼロクロス検出回路によれば、制御部がゼロクロス点を見誤らない範囲で間欠制御を行うことができ、ゼロクロス点の検出の正確性を向上させることができる。
【0018】
第6の発明は、第2の発明において、前記初期期間は、最初にゼロクロス点が検出された後、前記電圧のm周期(mは2以上の整数)が経過するまでの期間であり、前記制御部は、前記初期期間において、ゼロクロス点を見誤ることがないと予測すると、前記nを前記mに設定して前記間欠制御を行うことを特徴とするゼロクロス検出回路である。
【0019】
このゼロクロス検出回路によれば、制御部のゼロクロス点の予測の誤差が小さい場合には、初期期間を長くすることで、その後の間欠動作のnを大きくすることができ、消費電力をさらに低減することができる。
【0020】
第7の発明は、第1〜第6のいずれか1つの発明に係るゼロクロス検出回路と、ヒータと、前記ヒータと接続されたスイッチング素子と、を備え、前記スイッチング素子をオンとすることにより、前記電源から前記ヒータへ電力が供給され、前記制御部は、前記ゼロクロス検出部によって検出されるゼロクロス点に基づいて前記スイッチをオン/オフさせることを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0021】
この衛生洗浄装置によれば、ゼロクロス検出回路の消費電力を低減できるため、衛生洗浄装置の待機時の消費電力を低減することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の態様によれば、消費電力を低減しつつゼロクロス点の検出の正確性を向上させたゼロクロス検出回路及び衛生洗浄装置が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係るゼロクロス検出回路を表す回路図である。
図1に表したように、ゼロクロス検出回路100は、ゼロクロス検出部10と、制御部20と、を備える。また、ゼロクロス検出回路100には、コンデンサ32が設けられている。
【0025】
電源30は、交流電源であり、周期T1で振動する交流の電圧を出力する。電源30は、例えば、100V(ボルト)、50Hz(ヘルツ)の電圧を出力する。コンデンサ32の一端は電源30の一端と接続され、コンデンサ32の他端は電源30の他端と接続されている。
【0026】
ゼロクロス検出部10は、フォトカプラ11と、抵抗14と、抵抗15と、スイッチング素子16(トランジスタ)と、を有する。フォトカプラ11は、発光ダイオード12と、スイッチング素子13(フォトトランジスタ)と、を有する。
【0027】
発光ダイオード12のアノードは、抵抗14の一端と接続されている。抵抗14の他端は、電源30の一端と接続されている。
発光ダイオード12のカソードは、スイッチング素子16の一端(コレクタ)に接続されている。スイッチング素子16の他端(エミッタ)は、電源30の他端と接続されている。
【0028】
フォトカプラ11を構成するスイッチング素子13の一端(エミッタ)は接地されており、他端(コレクタ)は、抵抗15を介して、電源電位Vccに接続されている。
【0029】
制御部20には、マイコンなどの集積回路が用いられる。例えば、制御部20は、CPU(Central Processing Unit)である。
制御部20は、ゼロクロス検出部10と接続されている。具体的には、制御部20の入力端子は、スイッチング素子13のコレクタと抵抗15との間に接続されている。これにより、後述するゼロクロス信号がゼロクロス検出部10から入力される。
【0030】
また、制御部20の出力端子は、スイッチング素子16のベースに接続されている。制御部20は、スイッチング素子16に制御信号を出力することで、スイッチング素子16をオン・オフさせることができる。
つまり、制御部20は、ゼロクロス検出部10のオンとオフとを切り替えることができる。ゼロクロス検出部10がオンである状態とは、スイッチング素子16がオンとされた状態をいい、ゼロクロス検出部10には電源30からの電流が流れ得る。ゼロクロス検出部10がオフである状態とは、スイッチング素子16がオフとされた状態をいい、ゼロクロス検出部10には電源30からの電流が流れない。
【0031】
ゼロクロス検出部10は、電源30の電圧のゼロクロス点を検出する。ゼロクロス点とは、電源30の電圧が負から正へ変化する際に、ゼロとなるタイミングをいう。ゼロクロス検出部10は、ゼロクロス点を検出すると制御部20へゼロクロス信号を出力する。この動作について
図2(a)〜
図2(c)を参照して説明する。
【0032】
図2(a)〜
図2(c)は、実施形態に係るゼロクロス検出部の動作を例示するグラフ図である。
図2(a)〜
図2(c)において、横軸は時間を表す。
図2(a)は、電源30の電圧波形を表す。
図2(b)は、ゼロクロス検出部10のオン/オフを表す。
図2(c)は、ゼロクロス検出部10から制御部20へのゼロクロス信号の入力の有無を表す。
【0033】
制御部20は、内部のタイマでゼロクロス点を予測して、ゼロクロス点の手前でゼロクロス検出部10をオンとする。例えば、
図2(b)に表したように、ゼロクロス点よりも早い時刻p1にゼロクロス検出部10がオンとなる。時刻p1は、例えば、予測されたゼロクロス点よりもT1/4(周期T1の1/4倍)だけ早い時刻である。
【0034】
ゼロクロス検出部10がオンとされても、
図2(a)のように電圧が負の場合には、発光ダイオード12には実質的に電流が流れない。ゼロクロス検出部10がオンの状態で、電圧が負から正に変化すると、発光ダイオード12に電流が流れる。これにより、フォトカプラ11が動作し、
図2(c)のように時刻p2にゼロクロス検出部10は、ゼロクロス点を検出する。すなわち、制御部20は、時刻p2にゼロクロス信号を受信する。
【0035】
制御部20は、
図2(b)に示すように、一定の期間T2だけゼロクロス検出部10をオンとした後、時刻p3においてゼロクロス検出部10をオフとする。期間T2は、例えば、電圧の周期T1に応じて予め定められ、この例では、T1/4よりも長い。このように、制御部20は、ゼロクロス検出部10がオンとなった後、ゼロクロス点が検出されるとゼロクロス検出部10がオフとなるように、ゼロクロス検出部10をオン/オフさせる。ゼロクロス検出部10がオフとなるとフォトカプラ11に電流が流れないため、ゼロクロス信号の入力もオフとなる。なお、制御部20は、ゼロクロス信号の入力に応じてゼロクロス検出部10をオフとしてもよい。
【0036】
ゼロクロス検出部10がオフのときは、ゼロクロス検出部10に電流が流れないため、ゼロクロス検出部10が常にオンである場合に比べて、消費電力を低減することができる。
図2(a)の斜線を付した領域が、ゼロクロス信号を検出するために抵抗14等で消費される電力に対応する。
【0037】
さらに、制御部20は、電圧のn周期(nは2以上の整数)ごとに、上記のようにゼロクロス点が検出されるようゼロクロス検出部10をオンとする間欠制御を実施する。nは、例えば100〜10000程度である。
【0038】
例えば、nが100の場合には、電圧の100周期ごとに、ゼロクロス検出部10がオンとされる。時刻p2にゼロクロス点を検出したとすると、その後の1〜99周期目のゼロクロス点は、検出されず、100周期目のゼロクロス点が検出される。すなわち、時刻p3から99周期目までは、ゼロクロス検出部10はオフのままである。そして、制御部20は、100周期目のゼロクロス点を内部のタイマで予測して、その手前でゼロクロス検出部10をオンとする。例えば、制御部20は、内部のタイマで、時刻p2から、(100×T1−T1/4)後の時刻p4を計算し、時刻p4にゼロクロス検出部10をオンとする。その後、時刻p5に100周期目のゼロクロス点が検出され、時刻p6にゼロクロス検出部10はオフとされる。
【0039】
その後、時刻p2の後の101周期目から199周期目のゼロクロス点は検出せず、200周期目のゼロクロス点を検出するように、制御部20は、ゼロクロス検出部10をオン/オフをさせる。すなわち、時刻p6においてゼロクロス検出部10がオフとなった後、時刻p2から数えて199周期目まではゼロクロス検出部10はオフのままである。そして、制御部20は、200周期目のゼロクロス点を検出できるようにゼロクロス検出部10をオンにする。
【0040】
このように、制御部20は、1周期ごとにゼロクロス点を検出するのではなく、n周期ごとにゼロクロス点を検出する間欠制御を行い、ゼロクロス点の検出を間引く。これにより、ゼロクロス検出部10に電流が流れる時間をさらに短くすることで、さらに消費電力を低減させることができる。
【0041】
ところで、前述した通り、制御部20は、ゼロクロス検出部10をオンにするタイミングを内部のタイマによって予測している。しかし、経年劣化、温度、部品のばらつき等によって、制御部に内蔵されたタイマの精度が低下することがある。このため、ゼロクロス検出部10に電流が流れない時間が長時間になると、ゼロクロス点を見誤る可能性がある。すなわち、ゼロクロス点が検出されると予測された時間と、実際のゼロクロス点と、のずれが大きくなる可能性がある。
【0042】
これに対して、実施形態において制御部20は、以下のようにしてゼロクロス検出部10をオンとするタイミングを補正する。
【0043】
まず、ある時刻にゼロクロス検出部10をオンとしてからゼロクロス点が検出されるまでの検出時間を測定する。この検出時間は、例えば、時刻p1から時刻p2までの時間であり、
図2(b)に示すaである。そして、そのゼロクロス点が検出された後のn周期目において、ゼロクロス検出部10をオンとしてからゼロクロス点が検出されるまでの検出時間を測定する。この検出時間は、例えば、時刻p4から時刻p5までの時間であり、
図2(b)に示すbである。そして、これら2つの検出時間の差に基づいて、時刻p2から2n周期目以降にゼロクロス検出部10をオンとするタイミングを補正する。
【0044】
この例では、bは、T1/4に設定されている。しかし、
図2(b)に表した(n×T1−T1/4)の時間が、制御部20のタイマの誤差によってずれると、bもT1/4からずれることとなる。そこで、例えば、2n周期目にゼロクロス検出部10をオンにするタイミングを、時刻p5からn×T1−T1/4−2×(a−b)後の時刻に補正する。(a−b)を2倍するのは、最初のn周期における誤差と、次のn周期における誤差を補正するためである。
【0045】
以上のように、ゼロクロス点が検出されると予測された時間と、実際のゼロクロス点とのずれを補正することができ、ゼロクロス点の検出の正確性を向上させることができる。
【0046】
図3(a)〜
図3(c)は、実施形態に係るゼロクロス検出部の動作を例示するグラフ図である。
図3(a)〜
図3(c)において、横軸は時間を表す。
図3(a)は、電源30の電圧波形を表す。
図3(b)は、ゼロクロス検出部10のオン/オフを表す。
図3(c)は、ゼロクロス検出部10から制御部20へのゼロクロス信号の入力の有無を表す。
【0047】
これらは、電源が投入された直後の動作を表す。すなわち、制御部20に電力が供給されて制御部20が起動し始めた初期期間S1における動作を表す。この初期期間S1は、予め定められた所定期間であり、この期間において制御部20は、前述のn周期毎の間欠制御でなく、1周期ごとにゼロクロス検出部10がゼロクロス点を検出するようにゼロクロス検出部10をオンとする。
【0048】
初期期間S1は、例えば、最初にゼロクロス点が検出されてからm周期(mは2以上の整数)が経過するまでの期間とされる。m周期は、例えば、100周期〜10000周期程度である。
図3(a)〜
図3(c)の例では、m=nとする。
【0049】
電源投入直後においては、制御部20が予測したゼロクロス点は、実際のゼロクロス点に対してずれる場合がある。そこで、初期期間S1において、1周期ごとにゼロクロス点を検出して、タイミングのずれを検出する。すなわち、毎周期、ゼロクロス検出部10をオンとする。また、ゼロクロス点が検出されると、ゼロクロス検出部10を、毎周期、オフとする。
【0050】
例えば、ゼロクロス検出部10をオンとしてから、ゼロクロス信号が出力されるまでの時間を毎周期、測定する。測定された時間と、設定値(例えばT1/4)とを比較することで、タイミングのずれが検出される。ずれの大きさに応じて、ゼロクロス検出部10をオンとするタイミングを補正することにより、初期期間S1におけるゼロクロス点のとりこぼしを防ぐことができる。
【0051】
例えば、
図3(a)〜
図3(c)に表したように、初期期間S1の時刻p7において最初にゼロクロス検出部10がオンとされる。そして、時刻p8において、ゼロクロス点が検出されゼロクロス信号が出力される。時刻p7と時刻p8との間の検出時間は、aである。
【0052】
そして、初期期間S1において最初にゼロクロス点が検出された後のk−1周期目(kは2以上m未満の整数)では、時刻p9にゼロクロス検出部10がオンとされる。そして、時刻p10においてゼロクロス点が検出されてゼロクロス信号が出力される。時刻p9と時刻p10との間の検出時間は、bである。
【0053】
制御部20は、上記の検出時間に基づいて、時刻p8から数えてk周期目にゼロクロス点を見誤ると予測することができる。すなわち、
図3(b)に示すbが短すぎる場合には、k周期目に電圧がゼロクロス点を迎えるときにゼロクロス検出部10がオフのままとなってしまうことを予測できる。
【0054】
このとき、制御部20は、上記の検出時間の差(
図3(b)に示すaとbとの差)に基づいて、k周期目にゼロクロス検出部10をオンとするタイミングを補正する補正処理を実施する。具体的には、k周期目にゼロクロス検出部10をオンとする時刻p11を、時刻p8から、k×T1−T1/4−(a−b)後の時刻とする。これにより、k周期目にゼロクロス検出部10をオンとしてから、ゼロクロス点が検出されるまでの検出時間が、aとなる。つまり、
図3(b)に示す時刻p11と時刻p12との間の検出時間は、aである。以上により、k周期目においても、ゼロクロス点を確実に検出することができる。
【0055】
初期期間S1の最後の周期(この例では、最初のゼロクロス検出から数えてn周期目)では、時刻p13にゼロクロス検出部10がオンとされる。そして、時刻p14においてゼロクロス点が検出されてゼロクロス信号が出力される。時刻p13と時刻p14との間の検出時間は、cである。
【0056】
初期期間S1が終了すると、制御部20は、n周期毎の間欠制御を実施する。この間欠制御においても、
図2(a)〜
図2(c)に関する説明と同様に、検出時間の差に基づいて、ゼロクロス検出部10をオンとするタイミングを補正する。
【0057】
例えば、時刻p7と時刻p8との間の検出時間と、時刻p13と時刻p14との間の検出時間と、の差(すなわち、a−c)に基づいて、制御部20は、間欠制御においてゼロクロス検出部10をオンとするタイミングを補正する。
【0058】
具体的には、2n周期目にゼロクロス検出部10をオンとする時刻p15と、時刻p14との間の時間を、n×T1−T1/4−(a−c)−(a−c)×n/(n−k)とする。ここで、−(a−c)は、k周期目からn周期目までに生じるタイミングのずれを補正する項であり、−(a−c)×n/(n−k)は、n+1周期目から2n周期目までに生じるタイミングのずれを補正する項である。
【0059】
以上により、初期期間S1の後の間欠制御においても、制御部20内部のタイマで予測されたゼロクロス点と、実際のゼロクロス点と、のずれを補正することができ、ゼロクロス点の検出の正確性を向上させることができる。
【0060】
以上の説明では、初期期間S1は、予め定められたm周期によって定められる長さであった。また、間欠制御におけるnも、予め定められた値であり、例えば100であった。但し、実施形態において、nの値を、初期期間S1中のゼロクロス点のタイミングのずれに基づいて設定してもよい。
【0061】
例えば、
図3(a)〜
図3(c)に関して説明した通り、k周期目にゼロクロス点のタイミングを見誤る可能性があると予測された場合には、間欠制御におけるnをkに設定する。つまり、m=10000、k=1000であった場合には、
図3(a)〜
図3(c)に関して説明したように、1000周期目でゼロクロス検出部10をオンとするタイミングを補正し、その後、1000周期程度でゼロクロス点の予測に不具合が生じる可能性があると判断し、1000周期毎の間欠制御を行う。この間欠制御においても、
図2(a)〜
図2(c)または
図3(a)〜
図3(c)に関する説明と同様に、ゼロクロス検出部10をオンとするタイミングの補正が行われる。これにより、制御部20がゼロクロス点を見誤らない範囲で間欠制御を行うことができる。
【0062】
m=10000のときに、初期期間S1中にゼロクロス点を見誤ることがないと制御部20が予測した場合は、制御部20は、nをm=10000に設定して、初期期間S1の後に10000周期毎の間欠制御を行う。この間欠制御においても、
図2(a)〜
図2(c)または
図3(a)〜
図3(c)に関する説明と同様に、ゼロクロス検出部10をオンとするタイミングの補正が行われる。これにより、制御部20のゼロクロス点の予測の誤差が小さい場合には、初期期間を長くすることで、その後の間欠動作のnを大きくすることができ、消費電力を低減することができる。
【0063】
図4は、実施形態に係る衛生洗浄装置を例示する斜視図である。
衛生洗浄装置101は、便器800の上に設けられ、便座200と、便蓋300と、これらを軸支する本体部400と、を備えている。本体部400には、洗浄ノズル420が進退自在に設けられている。
図4は、洗浄ノズル420が本体部400から進出した状態を表す。洗浄ノズル420は、進出した状態において、便座200に座った使用者のおしりなどに向けて洗浄水を吐水する。
【0064】
本体部400の中には、洗浄水を加熱するヒータと、ゼロクロス検出回路100と、が設けられている。ゼロクロス検出回路100の制御部20は、局部を洗浄する洗浄水を被加熱物2として加熱するヒータへの通電制御を行う。
【0065】
図5は、実施形態に係る衛生洗浄装置の電気的構成を例示する回路図である。
図5では、本体部400の内部の回路のうち、ヒータ駆動に関する要部構成のみを示す。
図5に表したように、衛生洗浄装置101は、ゼロクロス検出回路100と、整流回路60と、コンデンサ51と、ヒータ52、53、54と、スイッチング素子55、56、57と、を有する。
【0066】
整流回路60は、電源30と接続されている。整流回路60は、例えば、全波整流回路である。
【0067】
ヒータ52の一端は電源30の一端と接続され、他端はスイッチング素子55を介して電源30の他端と接続されている。同様に、ヒータ53の一端は電源30の一端と接続され、他端はスイッチング素子56を介して電源30の他端と接続されている。ヒータ54の一端は電源30の一端と接続され、他端はスイッチング素子57を介して電源30の他端と接続されている。
【0068】
スイッチング素子55〜57のそれぞれは、例えばトライアックである。制御部20は、スイッチング素子55〜57のそれぞれと接続されている。制御部20は、ゼロクロス検出部10によって検出されるゼロクロス点に基づいてスイッチング素子55〜57のそれぞれをオン/オフさせる。
【0069】
スイッチング素子55をオンとすることにより、電源30からヒータ52へ電力が供給され、ヒータ52は被加熱物を加熱することができる。同様に、スイッチング素子56、57をオンとすることにより、ヒータ53、54へ電源30から電力が供給される。
【0070】
このようにゼロクロス点を検出することによって、ヒータ53〜54のパターン制御を行うことができる。パターン制御とは、電源の半波を1単位とし、この半波単位でヒータへの通電と非通電とを制御する制御手段である。これにより、加熱された洗浄水の温度を一定に保つことができる。
【0071】
実施形態に係るゼロクロス検出回路100を用いることによって、衛生洗浄装置101の待機時における消費電力を低減することができる。また、消費電力を低減しつつゼロクロス点の検出の正確性を向上させることができるため、正確なパターン制御を行うことができる。
【0072】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、ゼロクロス検出部、制御部、衛生洗浄装置などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。