特許第6593264号(P6593264)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6593264
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】物品収納棚
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/14 20060101AFI20191010BHJP
   F16F 15/04 20060101ALI20191010BHJP
   F16F 7/00 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
   B65G1/14 F
   F16F15/04 A
   F16F7/00 B
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-137761(P2016-137761)
(22)【出願日】2016年7月12日
(65)【公開番号】特開2018-8776(P2018-8776A)
(43)【公開日】2018年1月18日
【審査請求日】2018年11月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 豊
(72)【発明者】
【氏名】杉村 泰司
【審査官】 土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−159450(JP,A)
【文献】 特開2002−037426(JP,A)
【文献】 特開昭62−025679(JP,A)
【文献】 特開2004−010189(JP,A)
【文献】 特許第5610231(JP,B2)
【文献】 欧州特許出願公開第00154704(EP,A2)
【文献】 特開昭60−197503(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−1334141(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/14
F16F 7/00
F16F 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棚前後方向に間隔を隔てて対向するように配置された第1棚構成体及び第2棚構成体と、
前記第1棚構成体及び前記第2棚構成体の振動を減衰する減衰部材と、を備え、
前記第1棚構成体及び前記第2棚構成体のそれぞれが、前記棚前後方向に並ぶ状態で配置された前後一対の支柱からなる支柱対を前記棚前後方向と直交する左右方向に分散して複数備えた物品収納棚であって、
前記第1棚構成体から前記第2棚構成体側に向かって前記棚前後方向に沿って延出する第1支持部材と、
前記第2棚構成体から前記第1棚構成体側に向かって前記棚前後方向に沿って延出する第2支持部材と、
前記第1棚構成体の上端部と前記第2棚構成体の上端部とを接続する棚間接続部材と、を備え、
前記第1支持部材の前記第2棚構成体側の端部である第1端部は、前記第2支持部材の前記第1棚構成体側の端部である第2端部よりも前記第1棚構成体側に位置し、かつ、前記第1端部と前記第2端部との上下方向の存在領域が重複するように配置され、
前記減衰部材は、前記第1端部と前記第2端部との前記上下方向の相対変位を許容する状態で前記第1端部と前記第2端部とを接続し、且つ、当該相対変位の振動を減衰させるように構成されている物品収納棚。
【請求項2】
前記減衰部材に接続されている前記第1支持部材及び前記第2支持部材が、前記第1棚構成体及び前記第2棚構成体のそれぞれにおける前記左右方向の両端部に位置する前記支柱対の上端部に接続されている請求項1に記載の物品収納棚。
【請求項3】
前記第1支持部材及び前記第2支持部材と前記棚間接続部材とが、前記上下方向における異なる高さで且つ前記左右方向における同じ位置に設けられている請求項1又は2に記載の物品収納棚。
【請求項4】
前記第1支持部材及び前記第2支持部材が、前記左右方向に分散して複数設けられ、
前記第1支持部材及び前記第2支持部材は、前記第1棚構成体及び前記第2棚構成体の前記左右方向での少なくとも一部の範囲において、前記左右方向で等間隔に配置されている請求項1〜3の何れか1項に記載の物品収納棚。
【請求項5】
前記第1支持部材又は前記第2支持部材が上端に接続されている前記支柱対を第1種支柱対とし、前記第1支持部材又は前記第2支持部材が上端に接続されていない前記支柱対を第2種支柱対として、
前記左右方向で隣接する前記第1種支柱対の間に少なくとも1つの前記第2種支柱対が配置されている請求項1〜4の何れか1項に記載の物品収納棚。
【請求項6】
前記第1棚構成体と前記第2棚構成体との間に、搬送装置を案内する案内レールが配置され、
前記案内レールが、前記棚間接続部材に支持されている請求項1〜5の何れか1項に記載の物品収納棚。
【請求項7】
前記第1支持部材及び前記第2支持部材は、前記棚前後方向及び前記上下方向に沿う板状部分を有して構成され、
前記第1支持部材の前記板状部分と前記第2支持部材の前記板状部分とは、前記棚前後方向に見て重複する部分を有し、
前記減衰部材は、前記棚前後方向及び前記上下方向に沿う面をそれぞれ有する第1板状体及び第2板状体と、前記第1板状体と前記第2板状体との間に挟まれた粘弾性体とを備え、
前記第1板状体の前記第1支持部材側の端部が前記第2板状体の前記第1支持部材側の端部よりも前記第1支持部材側となり、且つ、前記第2板状体の前記第2支持部材側の端部が前記第1板状体の前記第2支持部材側の端部よりも前記第2支持部材側となるように前記第1板状体と前記第2板状体とが配置されている請求項1〜6の何れか1項に記載の物品収納棚。
【請求項8】
前記左右方向における前記粘弾性体の厚さが、前記第1支持部材及び前記第2支持部材における前記板状部分の前記左右方向の厚さに対応する厚さである請求項7に記載の物品収納棚。
【請求項9】
前記第1支持部材及び前記第2支持部材は、前記上下方向の寸法が等しく、かつ、前記上下方向の存在領域が一致するように配置されており、
前記減衰部材は、前記上下方向で前記第1支持部材及び前記第2支持部材の存在範囲内に位置している請求項7又は8に記載の物品収納棚。
【請求項10】
前記第1支持部材は、前記第1棚構成体における前記支柱対の上端部同士を接続し、
前記第2支持部材は、前記第2棚構成体における前記支柱対の上端部同士を接続し、
前記第1支持部材における前記第1棚構成体から前記第2棚構成体側への突出量が、前記第2支持部材における前記第2棚構成体から前記第1棚構成体側への突出量よりも小さく、且つ、前記第1支持部材の前記上下方向の寸法が前記第2支持部材の前記上下方向の寸法よりも小さく形成されている請求項1〜9の何れか1項に記載の物品収納棚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棚前後方向に間隔を隔てて対向するように配置された第1棚構成体及び第2棚構成体と、前記第1棚構成体及び前記第2棚構成体の振動を減衰する減衰部材と、を備え、前記第1棚構成体及び前記第2棚構成体のそれぞれが、前記棚前後方向に並ぶ状態で配置された前後一対の支柱からなる支柱対を前記棚前後方向と直交する左右方向に分散して複数備えた物品収納棚に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような物品収納棚として、特許第5610231号(特許文献1)には、第1棚構成体の上端と第2棚構成体の上端とを、棚前後方向に沿って延在する単一の支持部材で接続したものが記載されている。特許文献1の物品収納棚では、第1棚構成体及び第2棚構成体それぞれの棚前方側の支柱(前方側支柱)の上端部において、支持部材と第1棚構成体及び第2棚構成体とが揺動可能に接続されており、かつ、第1棚構成体及び第2棚構成体それぞれにおける棚後方側の支柱(後方側支柱)の上端部において、支持部材と第1棚構成体及び第2棚構成体とが上下方向に沿う変位を減衰する減衰部材を介して接続されている。このような構成により、地震等により振動が発生した場合に、第1棚構成体と第2棚構成体とが、棚前後方向での間隔を維持した状態で振動することで、両者の相対的な振動が減衰部材によって減衰されることになる。
【0003】
特許文献1の物品収納棚は、上記のように、棚前後方向において第1棚構成体の後方側支柱の存在位置から第2棚構成体の後方側支柱の存在位置に亘る長さの長尺状の支持部材が必要となる。しかしながら、このような長い支持部材は、撓みによる変形を抑制するために特に上下方向の寸法が大型化する傾向があり、物品収納棚の上下方向の寸法が大型化してしまう。さらに、1つの支持部材に対して減衰部材が2つ必要になるため、設備への設置コストが高くなる。
【0004】
上記のうち、1つの支持部材に対して減衰部材が2つ必要になるという問題を解決するために、特開昭62−25679号公報(特許文献2)に示されるように、第1棚構成体の上端から棚前後方向に沿って第2棚構成体に向けて延出する第1の支持部材と、第2棚構成体の上端から棚前後方向に沿って第1棚構成体に向けて延出する第2の支持部材とを設け、第1の支持部材の先端と第2の支持部材の先端との間に1つの減衰部材を設けるという構成が考えられる。特許文献2においては、第1の支持部材と第2の支持部材とを異なる高さに配置して、上下方向の振動を吸収する減衰部材を、当該第1の支持部材と第2の支持部材との間に接続する構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5610231号
【特許文献2】特開昭62−25679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2の物品収納棚では、第1の支持部材と第2の支持部材との高さを異ならせるために、第1棚構成体と第2棚構成体との一方の高さを他方より高くしなければならない。第1棚構成体と第2棚構成体との間に、第1棚構成体の収納部及び第2棚構成体の収納部の双方とに対して物品を出し入れする搬送装置を備えた自動倉庫においては、第1棚構成体と第2棚構成体との間に搬送装置の上部側の案内レールを設置するため、当該搬送装置において物品を昇降させる昇降体の昇降上限位置は第1棚構成体と第2棚構成体との双方に対して共通の高さとなる。このため、第1棚構成体と第2棚構成体とのうち、低い方に対応する高さまでしか収納部を形成できない。したがって、特許文献2のような物品収納棚では、減衰部材の数を削減することはできるものの、最上段の収納部の上下方向の位置に対して、物品収納棚の上下方向の寸法が大型化してしまう。
【0007】
そこで、減衰部材の設置数を削減できながらも物品収納棚の上下方向の寸法の大型化を抑制可能な物品収納棚が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明にかかる物品収納棚は、棚前後方向に間隔を隔てて対向するように配置された第1棚構成体及び第2棚構成体と、前記第1棚構成体及び前記第2棚構成体の振動を減衰する減衰部材と、を備え、前記第1棚構成体及び前記第2棚構成体のそれぞれが、前記棚前後方向に並ぶ状態で配置された前後一対の支柱からなる支柱対を前記棚前後方向と直交する左右方向に分散して複数備えたものであって、
前記第1棚構成体から前記第2棚構成体側に向かって前記棚前後方向に沿って延出する第1支持部材と、前記第2棚構成体から前記第1棚構成体側に向かって前記棚前後方向に沿って延出する第2支持部材と、前記第1棚構成体の上端部と前記第2棚構成体の上端部とを接続する棚間接続部材と、を備え、前記第1支持部材の前記第2棚構成体側の端部である第1端部は、前記第2支持部材の前記第1棚構成体側の端部である第2端部よりも前記第1棚構成体側に位置し、かつ、前記第1端部と前記第2端部との上下方向の存在領域が重複するように配置され、前記減衰部材は、前記第1端部と前記第2端部との前記上下方向の相対変位を許容する状態で前記第1端部と前記第2端部とを接続し、且つ、当該相対変位の振動を減衰させるように構成されている点に特徴を有する。
【0009】
すなわち、減衰部材は、一組の第1支持部材及び第2棚構成体に対して1つ設けられる。このため、第1棚構成体と第2棚構成体とに亘る支持体の両端それぞれに各別に減衰部材を設ける構成に比べて、減衰部材の数を削減することができる。
【0010】
また、第1支持部材における第1棚構成体からの棚前後方向に沿う突出量、及び、第2支持部材における第2棚構成体からの棚前後方向に沿う突出量は、棚前後方向に沿う第1棚構成体と第2棚構成体との間隔よりも小さい。一般に、長尺状の部材は長さが長いほど撓み易いから、撓みを抑制するために、上下方向の寸法を大きくして上下方向の力に対する強度を強固にする必要がある。このため、例えば、特許文献1のように、第1棚構成体の上端部と第2棚構成体の上端部とを単一の支持部材で接続する構成に比べて、第1支持部材の第1棚構成体からの延出寸法及び第2支持部材の第2棚構成体からの延出寸法を小さくでき、第1支持部材及び第2支持部材の上下方向の寸法を小さくすることができる。
【0011】
さらに、第1端部と第2端部との上下方向の存在領域が重複するように配置されているから、例えば、特許文献2のように、第1端部と第2端部との上下方向の存在領域を異ならせてその間に減衰部材を接続する構成に比べて、物品収納棚の上下方向の寸法の大型化を抑制することができる。
【0012】
このように、本特徴構成によれば、減衰部材の設置数を削減できながらも物品収納棚の上下方向の寸法の大型化を抑制可能な物品収納棚を提供できる。
【0013】
本発明にかかる物品収納棚においては、前記減衰部材に接続されている前記第1支持部材及び前記第2支持部材が、前記第1棚構成体及び前記第2棚構成体のそれぞれにおける前記左右方向の両端部に位置する前記支柱対の上端部に接続されていることが好ましい。
【0014】
例えば、減衰部材に接続されている第1支持部材及び第2支持部材を左右方向に等間隔に設ける場合、第1棚構成体及び第2棚構成体のそれぞれにおける左右方向の両端部に設けた方が、第1支持部材及び第2支持部材を第1棚構成体及び第2棚構成体のそれぞれにおける左右方向の両端部よりも内方に設けるよりも、第1支持部材及び第2支持部材の設置数を多くすることができる。したがって、物品収納棚における減衰部材の設置数を多くすることができ、第1棚構成体及び第2棚構成体の振動を減衰させ易い。
【0015】
本発明にかかる物品収納棚においては、前記第1支持部材及び前記第2支持部材と前記棚間接続部材とが、前記上下方向における異なる高さで且つ前記左右方向における同じ位置に設けられていることが好ましい。
【0016】
すなわち、第1棚構成体の上端部と第2棚構成体の上端部とが棚間接続部材によって接続されることにより、左右方向に見て、第1棚構成体、第2棚構成体、及び、棚間接続部材によるラーメン構造が形成される。このため、第1棚構成体と第2棚構成体との距離は、左右方向において棚間接続部材の存在する部分において一定に保たれる。そして、棚前後方向視において上記のようなラーメン構造が形成されている位置に第1支持体及び第2支持体が設けられているから、物品収納棚に振動が発生した場合には、第1端部と第2端部とは、棚前後方向の間隔が維持された状態で上下方向の相対変位が生じ易い。したがって、減衰部材による振動の減衰作用を生じさせ易い物品収納棚を実現できる。
【0017】
本発明にかかる物品収納棚においては、前記第1支持部材及び前記第2支持部材が、前記左右方向に分散して複数設けられ、前記第1支持部材及び前記第2支持部材は、前記第1棚構成体及び前記第2棚構成体の前記左右方向での少なくとも一部の範囲において、前記左右方向で等間隔に配置されていることが好ましい。
【0018】
すなわち、減衰部材が左右方向に分散して複数設けられるから、左右方向の複数の箇所において第1棚構成体及び第2棚構成体の振動を減衰部材にて減衰させることができる。また、物品収納棚は、左右方向に分散して複数設けられる減衰部材が左右方向で等間隔に配置される部分を有するから、減衰部材が左右方向で異なる間隔で配置される場合に比べて、第1棚構成体及び第2棚構成体の振動がバランスよく減衰される。
【0019】
本発明にかかる物品収納棚においては、前記第1支持部材又は前記第2支持部材が上端に接続されている前記支柱対を第1種支柱対とし、前記第1支持部材又は前記第2支持部材が上端に接続されていない前記支柱対を第2種支柱対として、前記左右方向で隣接する前記第1種支柱対の間に少なくとも1つの前記第2種支柱対が配置されていることが好ましい。
【0020】
すなわち、減衰部材の減衰性能に鑑みて、左右方向に並ぶ全ての支柱対に減衰部材を設置する必要がない場合がある。このような場合においては、左右方向における一部の支柱対のみを第1種支柱対とすることが考えられる。本特徴構成においては、第1支持部材及び第2支持部材が接続されないことにより減衰部材が設置されていない第2種支柱対が、減衰部材が設置される第1種支柱対の間に設けられるから、減衰部材の設置数を左右方向でバランスよく削減することができる。
【0021】
本発明にかかる物品収納棚においては、前記第1棚構成体と前記第2棚構成体との間に、搬送装置を案内する案内レールが配置され、前記案内レールが、前記棚間接続部材に支持されていることが好ましい。
【0022】
すなわち、例えばスタッカークレーン等の搬送装置の上部を案内する案内レールを設ける場合に、その案内レールを支持する部材を棚間接続部材と兼用することにより、物品収納棚の構成を簡素化することができる。
【0023】
本発明にかかる物品収納棚においては、前記第1支持部材及び前記第2支持部材は、前記棚前後方向及び前記上下方向に沿う板状部分を有して構成され、前記第1支持部材の前記板状部分と前記第2支持部材の前記板状部分とは、前記棚前後方向に見て重複する部分を有し、前記減衰部材は、前記棚前後方向及び前記上下方向に沿う面をそれぞれ有する第1板状体及び第2板状体と、前記第1板状体と前記第2板状体との間に挟まれた粘弾性体とを備え、前記第1板状体の前記第1支持部材側の端部が前記第2板状体の前記第1支持部材側の端部よりも前記第1支持部材側となり、且つ、前記第2板状体の前記第2支持部材側の端部が前記第1板状体の前記第2支持部材側の端部よりも前記第2支持部材側となるように前記第1板状体と前記第2板状体とが配置されていることが好ましい。
【0024】
すなわち、第1板状体を第1支持部材の板状部分に接続し、第2板状体を第2支持部材の板状部分に接続するという簡易な作業で、減衰部材を第1支持部材及び第2支持部材に接続することができる。また、減衰部材は、棚前後方向及び上下方向に沿う面を有する第1板状体と第2板状体との間に粘弾性体を挟み込んだ構成であるから、上下方向と棚前後方向とを含む面内での相対変位を許容できる。したがって、第1支持部材及び第2支持部材の変形を極力抑制することができるため、粘弾性体によって相対変位の振動を適切に減衰することができる。
【0025】
本発明にかかる物品収納棚においては、前記左右方向における前記粘弾性体の厚さが、前記第1支持部材及び前記第2支持部材における前記板状部分の前記左右方向の厚さに対応する厚さであることが好ましい。
【0026】
すなわち、第1支持部材の板状部分に第1板状体を接続し、第2支持部材の板状部分に第2板状体を接続した状態において、粘弾性体に厚さ方向の応力がかかり難い状態とすることができる。このため、粘弾性体に常時応力がかかることによる粘弾性体の劣化や損傷を抑制できる。
【0027】
本発明にかかる物品収納棚においては、前記第1支持部材及び前記第2支持部材は、前記上下方向の寸法が等しく、かつ、前記上下方向の存在領域が一致するように配置されており、前記減衰部材は、前記上下方向で前記第1支持部材及び前記第2支持部材の存在範囲内に位置していることが好ましい。
【0028】
すなわち、減衰部材が、上下方向の存在領域が一致する第1支持部材及び第2支持部材の上下方向の存在範囲内に位置しているから、減衰部材が第1支持部材及び第2支持部材の上方に突出することによって物品収納棚が大型化する事態や、減衰部材が第1支持部材及び第2支持部材の下方に突出することによって第1支持部材及び第2支持部材の下方に他の構造物を位置させ難くなる事態を回避できる。
【0029】
本発明にかかる物品収納棚においては、前記第1支持部材は、前記第1棚構成体における前記支柱対の上端部同士を接続し、前記第2支持部材は、前記第2棚構成体における前記支柱対の上端部同士を接続し、前記第1支持部材における前記第1棚構成体から前記第2棚構成体側への突出量が、前記第2支持部材における前記第2棚構成体から前記第1棚構成体側への突出量よりも小さく、且つ、前記第1支持部材の前記上下方向の寸法が前記第2支持部材の前記上下方向の寸法よりも小さく形成されていることが好ましい。
【0030】
すなわち、第1棚構成体における支柱対の上端部同士を接続する第1支持体の第2棚構成体側への突出量は、第2棚構成体における支柱対の上端部同士を接続する第2支持体の第1棚構成体側への突出量よりも小さいから、上下方向への撓みを考慮した場合に、第1支持体の上下方向の寸法を第2支持体の上下方向の寸法よりも小さくすることができる。このため、例えば、棚構成体の上方にダクト等の構造物が存在する場合には、その構造物が存在する箇所の下方に第1棚構成体を位置させ、構造物が存在しない箇所の下方に第2棚構成体を位置させることで、設置空間を有効に利用して第1棚構成体及び第2棚構成体を設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】物品収納棚の要部斜視図
図2】物品収納棚の上部拡大正面図
図3】物品収納棚における第1支持部材及び第2支持部材の設置箇所と棚間接続部材の設置箇所との関係を示す平面図
図4】第1支持部材及び第2支持部材への減衰部材の取り付け方法を示す斜視図
図5】第1支持部材及び第2支持部材に減衰部材を取り付けた状態を示す平面図
図6】第1端部と第2端部とに上下方向の相対変異が生じた状態を示す作用図
図7】別実施形態の第1支持部材及び第2支持部材を示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明にかかる物品収納棚の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、物品収納棚1は、物品Bを収納する収納部Sを左右方向(図1、3、4及び5にてXで示す方向。以降、左右方向Xと称する。)及び上下方向(図1、2、及び4にてZで示す方向。以降、上下方向Zと称する。)とに複数並べて備える第1棚構成体10と第2棚構成体20とが、棚前後方向(図1〜5にてYで示す方向。以降、棚前後方向Yと称する。)に間隔を隔てて対向する状態で設けられている。第1棚構成体10と第2棚構成体20とは、収納部Sに対して物品Bを出し入れする側を棚前方側として、その棚前方側が互いに対向する姿勢で配置されており、第1棚構成体10と第2棚構成体20との間には搬送装置としてのスタッカークレーン9の移動経路3が形成されている。
【0033】
図1に示すように、スタッカークレーン9は移動経路3の床面に左右方向Xに沿って敷設された下部レールRdを走行自在な走行台車91と、走行台車91の走行方向である左右方向Xの両端部に立設された一対の昇降マスト92と、一対の昇降マスト92の間に形成された昇降経路を昇降自在な昇降台93と、一対の昇降マスト92の上端同士を接続する上部枠94と、を備えている。上部枠94には、案内レールRuに案内される案内ローラ(図示省略)が支持されている。昇降台93には、第1棚構成体10及び第2棚構成体20に上下方向Z及び左右方向Xに複数並ぶ状態で設けられた収納部Sとの間で物品Bを移載自在な出退式の移載装置95が装備されている。そして、スタッカークレーン9は、走行台車91の走行作動、昇降台93の昇降作動、移載装置95の移載作動により、収納部Sに対する物品Bの出し入れを行う。
【0034】
図1及び2に示すように、第1棚構成体10、第2棚構成体20のそれぞれは、棚前後方向Yに並ぶ状態で棚前面側の支柱(以下、前面側支柱T1aという。)と棚背面側の支柱(以下、背面側支柱T1bという。)を備えている。本実施形態においては、前面側支柱T1aと背面側支柱T1bとが前後一対の支柱に相当する。以降、棚前後方向Yに並ぶ前面側支柱T1aと背面側支柱T1bとの対を支柱対Tgと称する。第1棚構成体10、第2棚構成体20のそれぞれにおいて、支柱対Tgは、左右方向Xに分散して等間隔に並ぶ状態で設けられている。
【0035】
図2に示すように、支柱対Tgにおける前面側支柱T1aと背面側支柱T1bとは、ラチス材T2及び水平材T3により接続されている。また、図1に示すように、支柱対Tgにおける隣接する背面側支柱T1bの間にも、異なる高さ同士を接続するブレースT4が接続されている。さらに、隣接する背面側支柱T1bの上端部同士が、左右方向接続体T5で接続されている。
【0036】
図2に示すように、前面側支柱T1aと背面側支柱T1bの上端には、後述する第1支持部材J1としての第1支持梁11又は第2支持部材J2としての第2支持梁21を固定するブラケットTbが取り付けられている。また、図1に示すように、各支柱対Tgに対して、前面側支柱T1aと背面側支柱T1bとに亘って棚前後方向Yに沿う腕木Tuが上下方向Zに分散して設けられている。物品Bは、左右方向Xの両端部の下面を腕木Tuに支持される状態で、収納部Sに収納される。
【0037】
図3は、左右方向X及び棚前後方向Yで同じ位置において物品収納棚1を上下方向Zに沿って見た図であり、一点鎖線で囲った(I)の図と(II)の図とは、上下方向Zで異なる位置を示している。なお、(I)の図の上下方向Zでの位置は、(II)の図の上下方向Zでの位置よりも上方である。
【0038】
図3の(I)の図に示すように、第1棚構成体10は、支柱対Tgとして、第1種支柱対Tg1と第2種支柱対Tg2とを備えている。第1種支柱対Tg1は、前面側支柱T1aと背面側支柱T1bとの上端を接続しかつ第2棚構成体20側に向かって棚前後方向Yに沿って延出する第1支持梁11が上端に接続されている支柱対Tgである。また、第2種支柱対Tg2は、第1支持梁11又が上端に接続されていない支柱対Tgである。第1種支柱対Tg1と第2種支柱対Tg2とは、左右方向Xで隣接する第1種支柱対Tg1の間に1つの第2種支柱対Tg2が位置する形態で配置されている。
【0039】
同様に、第2棚構成体20は、支柱対Tgとして、第1種支柱対Tg1と第2種支柱対Tg2とを備えている。第1種支柱対Tg1は、前面側支柱T1aと背面側支柱T1bとの上端を接続しかつ第1棚構成体10側に向かって棚前後方向Yに沿って延出する第2支持梁21が上端に接続されている支柱対Tgである。また、第2種支柱対Tg2は、第2支持梁21又が上端に接続されていない支柱対Tgである。第2棚構成体20においても、第1種支柱対Tg1と第2種支柱対Tg2とは、左右方向Xで隣接する第1種支柱対Tg1の間に1つの第2種支柱対Tg2が位置する形態で配置されている。
【0040】
すなわち、物品収納棚1は、第1棚構成体10及び第2棚構成体20のそれぞれが、棚前後方向Yに並ぶ状態で配置された前後一対の支柱(前面側支柱T1a・背面側支柱T1b)からなる支柱対Tgを棚前後方向Yと直交する左右方向Xに分散して複数備えている。また、第1支持梁11又は第2支持梁21が上端に接続されている支柱対Tgを第1種支柱対Tg1とし、第1支持梁11又は第2支持梁21が上端に接続されていない支柱対Tgを第2種支柱対Tg2として、左右方向Xで隣接する第1種支柱対Tg1の間に1つの第2種支柱対Tg2が配置されている。第1支持梁11は、第1棚構成体10における支柱対Tg(第1種支柱対Tg1)の上端部同士を接続し、第2支持梁21は、第2棚構成体20における支柱対Tg(第1種支柱対Tg1)の上端部同士を接続している。
【0041】
さらに、第1支持梁11及び第2支持梁21が、左右方向Xに分散して複数設けられ、第1支持梁11及び第2支持梁21は、第1棚構成体10及び第2棚構成体20の左右方向Xでの全体に亘って、左右方向Xで等間隔に配置されている。
【0042】
図3の(II)の図に示すように、第1棚構成体10の第1種支柱対Tg1における前面側支柱T1aの上端部分であって第1支持梁11よりも下方の箇所と、第2棚構成体20の第1種支柱対Tg1における前面側支柱T1aの上端部分であって第2支持梁21よりも下方の箇所とが、棚前後方向Yに沿う長尺状の棚間接続部材Cによって接続されている。したがって、第1棚構成体10と第2棚構成体20とは、棚前後方向Yでの距離を棚間接続部材Cによって維持される状態で相互に接続されている。
【0043】
すなわち、物品収納棚1は、第1棚構成体10から第2棚構成体20側に向かって棚前後方向Yに沿って延出する第1支持梁11と、第2棚構成体20から第1棚構成体10側に向かって棚前後方向Yに沿って延出する第2支持梁21と、第1棚構成体10の上端部と第2棚構成体20の上端部とを接続する棚間接続部材Cと、を備え、ている。
また、第1支持梁11及び第2支持梁21と棚間接続部材Cとが、上下方向Zにおける異なる高さで且つ左右方向Xにおける同じ位置に設けられている。
【0044】
図2に示すように、棚間接続部材Cの下端には、上記した案内レールRuが支持されている。すなわち、第1棚構成体10と第2棚構成体20との間に、スタッカークレーン9を案内する案内レールRuが配置され、案内レールRuが棚間接続部材Cに支持されている。また、棚間接続部材Cの上端には、左右方向Xで隣接する棚間接続部材Cとの間を斜交状に接続するブレースCbが取り付けられている。
【0045】
なお、本実施形態において、第1棚構成体10の上端部、第2棚構成体20の上端部、又は支柱対Tgの上端部という場合における「上端部」とは、第1棚構成体10及び第2棚構成体20において上下方向Zに並ぶ収納部Sのうち最上段の収納部Sに収納された物品Bの上端の高さよりも上方であって前面側支柱T1a及び背面側支柱T1bの上端よりも下方の範囲に存在する部分を表している。
【0046】
本実施形態において、図2及び3に示すように、第1棚構成体10における前面側支柱T1aからの第1支持梁11の棚前後方向Yに沿う突出量と、第2棚構成体20における前面側支柱T1aからの第2支持梁21の棚前後方向Yに沿う突出量とは等しく設定されている。
【0047】
第1支持梁11の第2棚構成体20側の端部である第1端部11eは、図2に示すように、第2支持梁21の第1棚構成体10側の端部である第2端部21eよりも第1棚構成体10側に位置しており、第1端部11eと第2端部21eとの上下方向Zの存在領域が重複するように配置されている。
【0048】
第1端部11eと第2端部21eとの間には、図2に示すように、第1端部11eと第2端部21eとの上下方向Zの相対変位を許容する状態で第1端部11eと第2端部21eとを接続し、且つ、第1端部11eと第2端部21eとの当該相対変位の振動を減衰させる粘弾性ダンパDが接続されている。本実施形態では、粘弾性ダンパDが減衰部材に相当する。
【0049】
粘弾性ダンパDは、図4に示すように、棚前後方向Y及び上下方向Zに沿う面をそれぞれ有する第1板状体Da1及び第2板状体Da2と、第1板状体Da1と第2板状体Da2との間に挟まれた粘弾性体Dbとを備えている。
また、粘弾性ダンパDは、当該粘弾性ダンパDを第1端部11e及び第2端部21eに取付けた状態において、第1板状体Da1の第1支持梁11側の端部が第2板状体Da2の第1支持梁11側の端部より第1支持梁11側となり、且つ、第2板状体Da2の第2支持梁21側の端部が第2板状体の第2支持梁21側の端部よりも第2支持梁21側となるように第1板状体Da1と第2板状体Da2とが配置されている。
【0050】
このような粘弾性ダンパDは、第1板状体Da1と第2板状体Da2との間に上下方向Zの相対変位が生じた場合に、粘弾性体Dbが弾性変形し、その弾性変形を熱エネルギーに変換することで第1板状体Da1と第2板状体Da2との相対変位を減衰させるようになっている。
そして、上記したような粘弾性ダンパDが、第1支持梁11と第2支持梁21との間を接続する形態で第1棚構成体10と第2棚構成体20との間に複数設けられることで、第1棚構成体10と第2棚構成体20との振動が減衰される。
【0051】
粘弾性ダンパDが接続される第1支持梁11又は第2支持梁21を備える支柱対Tgである第1種支柱対Tg1は、図3に示すように、少なくとも第1棚構成体10及び第2棚構成体20のそれぞれにおける左右方向Xの両端部に配置される。このため、例えば左右方向で等間隔となるように複数の第1種支柱対Tg1を配置する場合において、第1棚構成体10及び第2棚構成体20のそれぞれにおける左右方向Xの両端部よりも内方に第1種支柱対Tg1を配置する場合に比べて、第1種支柱対Tg1の設置数を多くすることができる。したがって、粘弾性ダンパDの設置数を増やすことができ、第1棚構成体10と第2棚構成体20との振動を減衰させ易い。
【0052】
次に、本実施形態の粘弾性ダンパDの第1支持梁11又は第2支持梁21への取付構造を説明する。図4に示すように、第1板状体Da1の第1支持梁11側の端部近傍には、第1支持梁11と第1板状体Da1とを接続するためのボルトN1が挿通されるボルト孔が形成され、第2板状体Da2の第2支持梁21側の端部近傍には、第2支持梁21と第2板状体Da2とを接続するためのボルトN1が挿通されるボルト孔が形成されている。
【0053】
第1支持梁11は、棚前後方向Y及び上下方向Zに沿う板状部分11bと、板状部分11bの上端から左右方向Xに沿って左右に延出して棚前後方向Y及び左右方向Xに沿う第1水平部11aと、板状部分11bの下端から左右方向Xに沿って左右に延出して棚前後方向Y及び左右方向Xに沿う第2水平部11cと、を備え、棚前後方向Yに見てH形に形成された長尺状の鋼材(H形鋼)で形成されている。
【0054】
また、第2支持梁21は、棚前後方向Y及び上下方向Zに沿う板状部分21bと、板状部分21bの上端から左右方向Xに沿って左右に延出して棚前後方向Y及び左右方向Xに沿う第1水平部21aと、板状部分21bの下端から左右方向Xに沿って左右に延出して棚前後方向Y及び左右方向Xに沿う第2水平部21cと、を備え、棚前後方向Yに見てH形に形成された長尺状の鋼材(H形鋼)で形成されている。
【0055】
すなわち、第1支持梁11及び第2支持梁21は、棚前後方向Y及び上下方向Zに沿う板状部分11bを有して構成されている。
【0056】
本実施形態において、第1支持梁11と第2支持梁21とは、同一の寸法に形成されている。すなわち、第1支持梁11の板状部分11bの左右方向Xの寸法と第2支持梁21の板状部分21bの左右方向Xの寸法とは等しく、第1支持梁11の第1水平部11aの上端から第2水平部11cの下端までの上下方向Zの寸法と、第2支持梁21の第1水平部21aの上端から第2水平部21cの下端までの上下方向Zの寸法とは等しく形成されており、さらに、第1支持梁11の棚前後方向Yでの寸法と第2支持梁21の棚前後方向Yでの寸法とも等しく形成されている。
【0057】
また、左右方向Xで同一の位置に位置する第1支持梁11の板状部分11bと第2支持梁21の板状部分21bとは、棚前後方向Yに見て重複する位置に配置されている。
さらに、第1支持梁11及び第2支持梁21は、上下方向Zの寸法が等しく、かつ、上下方向Zの存在領域が一致するように配置されており、粘弾性ダンパDは、上下方向Zで第1支持梁11及び第2支持梁21の存在範囲内に位置している。したがって、物品収納棚1が上下方向Zで第1支持梁11及び第2支持梁21の上端よりも大型化する事態を抑制できる。
【0058】
図4に示すように、第1支持梁11における板状部分11bの第1端部11e近傍には、第1板状体Da1と第1支持梁11とを接続するためのボルトN1が挿通されるボルト孔が形成され、第2支持梁21における板状部分21bの第2端部21e近傍には、第2板状体Da2と第2支持梁21とを接続するためのボルトN1が挿通されるボルト孔が形成されている。
【0059】
粘弾性ダンパDは、第1板状体Da1を板状部分11bにおける左右方向Xでの一方側から当接させ、第2板状体Da2を板状部分21bにおける左右方向Xでの他方側から当接させる形態で、ボルト孔に挿通したボルトN1と、当該ボルトN1に螺合するナットN2とで締め付けることで、第1支持梁11と第2支持梁21との間に接続される。
【0060】
図5に示すように左右方向Xにおける粘弾性体Dbの厚さL3は、第1支持梁11における板状部分11bの左右方向Xの厚さL1、及び、第2支持梁21における板状部分21bの左右方向Xの厚さL2に対応する厚さに形成されている。ここで、厚さL1と厚さL2とは同じ寸法であることが好ましい。このような構成により、粘弾性ダンパDを第1支持梁11及と第2支持梁21との間に取付けた状態において、粘弾性体Dbには左右方向Xの応力が掛からない状態となる。
【0061】
また、粘弾性ダンパDは、粘弾性体Dbに棚前後方向Y及び上下方向Zの応力も極力かからない状態で第1支持梁11及と第2支持梁21との間に取付けられている。このため、第1棚構成体10及び第2棚構成体20に振動の発生していない状態においては、粘弾性体Dbには何れの方向にも応力が殆どかからず、粘弾性体Dbの劣化を抑制できる。
【0062】
このような物品収納棚1において、地震の揺れ等に起因して第1棚構成体10と第2棚構成体20とに振動が発生した場合、図6に示すように、棚間接続部材Cによって第1棚構成体10の支柱対Tgにおける前面側支柱T1aと第2棚構成体20の支柱対Tgにおける前面側支柱T1aとの間隔が維持されているために、第1端部11eと第2端部21eとの間に上下方向Zで相対変位が生じる。このため、第1端部11eに接続されている粘弾性ダンパDの第1板状体Da1と第2端部21eに接続されている粘弾性ダンパDの第2板状体Da2との間にも、第1端部11eと第2端部21eとの相対変位に伴う相対変位が生じる。
【0063】
本実施形態では、粘弾性ダンパDの粘弾性体Dbが第1板状体Da1と第2板状体Da2との相対変位に伴って弾性変形する。この弾性変形が熱エネルギーに変換されて放出される。このため、第1板状体Da1と第2板状体Da2とが平常時の位置から相対変位した場合に、第1棚構成体10及び第2棚構成体20の相対変位の振動が減衰される。
【0064】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、第1支持梁11と第2支持梁21とを、支柱対Tgにおける前面側支柱T1aと背面側支柱T1bとの間を接続する部材としたが、このような構成に限定されるものではなく、例えば、第1支持梁11と第2支持梁21とを、第1棚構成体10の前面側支柱T1aの上端部、及び、第2棚構成体20の前面側支柱T1aの上端部から互いに接近する状態の片持ち状の部材としてもよい。また、上記実施形態では、前面側支柱T1aと背面側支柱T1bとから成る支柱対Tgの上端を第1支持梁11又は第2支持梁21で接続する構成としたが、棚前後方向Yに3本以上の支柱を並べて備え、その上端を第1支持梁11又は第2支持梁21で接続する構成としてもよい。
【0065】
(2)上記実施形態では、第1支持梁11と第2支持梁21とを、長尺状のH形鋼とする構成を説明したが、このような構成に限定されるものではなく、例えば、棚前後方向Yで見た断面形状が、上方が開口した角ばったC字状のチャネル部材や、矩形状の筒状部材であるような部材としてもよい。なお、この場合、粘弾性ダンパDにおける第1板状体Da1及び第2板状体Da2は、上記チャネル部材や筒状部材における上下方向に沿う板状部分に取付けるようにしてもよい。
【0066】
(3)上記実施形態では、第1支持梁11と第2支持梁21とを、単一の支柱対Tgにおける前面側支柱T1aと背面側支柱T1bとの間を接続する長尺状の部材としたが、第1支持梁11と第2支持梁21とを、左右方向Xで隣接する複数の支柱対Tg同士の間をも接続する部材としてもよい。このような構成として、例えば、第1支持梁11及び第2支持梁21を左右方向X及び棚前後方向Yに沿う板状部材とする構成や、各支柱の上端を左右方向X及び棚前後方向Yに沿って接続する枠状の部材とする構成が考えられる。この場合、第1支持梁11及び第2支持梁21は、左右方向Xで支柱対Tgの存在する位置から突出するように設けてもよいし、左右方向Xで支柱対Tgの存在する位置とは異なる位置から突出するように設けてもよい。
【0067】
(4)上記実施形態では、第1支持梁11及び第2支持梁21を棚間接続部材Cよりも上方に設ける構成としたが、第1支持梁11及び第2支持梁21を棚間接続部材Cよりも下方に設けてもよい。この場合、第1支持梁11又は第2支持梁21の存在領域を迂回して第1支持梁11又は第2支持梁21よりも下方で案内レールRuを支持する支持部材を棚間接続部材Cに支持させてもよい。
また、物品収納棚1を、案内用の案内レールRuを要しない形態の搬送装置が備えられるようにとしてもよい。また、第1棚構成体10と第2棚構成体20との間に走行レールや案内レールを備えない物品収納棚としてもよい。この場合、例えばフォークリフト等にて物品を出し入れするように構成してもよい。
【0068】
(5)上記実施形態では、収納部Sにおける物品Bの出し入れ方向を対向させる形態で棚前後方向Yに間隔を隔てて第1棚構成体10と第2棚構成体20とを配置する構成を説明したが、第1棚構成体10と第2棚構成体20とを、収納部Sにおける物品Bの出し入れ方向が互いに離間する方向を向く形態で配置してもよい。この場合、第1棚構成体10と第2棚構成体20との間に搬送装置や作業者等が通過可能な通路を形成してもよいし、そのような通路を形成せず、第1棚構成体10と第2棚構成体20とを近接させて配置してもよい。
【0069】
(6)上記実施形態では、粘弾性ダンパDに接続されている第1支持梁11及び第2支持梁21が、第1棚構成体10及び第2棚構成体20のそれぞれにおける左右方向Xの両端部に位置する構成としたが、粘弾性ダンパDに接続されている第1支持梁11及び第2支持梁21が第1棚構成体10及び第2棚構成体20のそれぞれにおける左右方向Xの両端部に位置しない構成としてもよい。
【0070】
(7)上記実施形態では、第1支持梁11及び第2支持梁21と棚間接続部材Cとを、上下方向Zにおける異なる高さで且つ左右方向Xにおける同じ位置に設ける構成としたが、第1支持梁11及び第2支持梁21が接続される支柱対Tgと棚間接続部材Cが接続される支柱対Tgとが左右方向Xにおける異なる位置の支柱対Tgとなるように構成してもよい。この場合、第1支持梁11及び第2支持梁21と棚間接続部材Cとを上下方向Zにおいて同じ高さに設けてもよい。
【0071】
(8)上記実施形態では、左右方向Xに隣接する第1種支柱対Tg1の間に1つの第2種支柱対Tg2を配置する形態としたが、左右方向Xに隣接する第1種支柱対Tg1の間に2つ以上の第2種支柱対Tg2を配置してもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、第1種支柱対Tg1を、第1棚構成体10及び第2棚構成体20の左右方向Xでの全体に亘って、左右方向Xで等間隔に配置する構成としたが、第1種支柱対Tg1が、第1棚構成体10及び第2棚構成体20の左右方向Xでの少なくとも一部の範囲において等間隔に配置される構成でもよい。
また、第1種支柱対Tg1を、第1棚構成体10及び第2棚構成体20の左右方向Xでの全体に亘ってランダムな間隔で配置してもよい。なお、この場合、粘弾性ダンパDの減衰性能を、隣接する粘弾性ダンパDとの間隔に基づいて調整することが好ましい。
また左右方向Xに並ぶ全ての支柱対Tgを第1種支柱対Tg1としてもよい。
【0073】
(9)上記実施形態では、減衰部材を粘弾性ダンパDとする例を示したが、このような構成に限定されるものではなく、第1支持梁11における第1端部11eに接続される支持部分と第2支持梁21における第2端部21eに接続される支持部分との間に、少なくとも上下方向に沿う変位が可能な弦巻バネやゴム等の弾性部材、又はオイルダンパ等を介装したものを減衰部材として用いてもよい。
【0074】
(10)上記実施形態では、左右方向Xにおける粘弾性ダンパDの粘弾性体Dbの厚さL3を、第1支持梁11における板状部分11bの左右方向Xの厚さL1及び第2支持梁21における板状部分21bの左右方向Xの厚さL2と同一の厚さとする例を示したが、粘弾性体Dbの厚さL3を上記厚さL1及び厚さL2よりも厚くしてもよい。この場合、第1支持梁11における板状部分11bと第2支持梁21における板状部分21bとの左右方向Xでの位置のずれ(誤差)を粘弾性体Dbの厚さL3で吸収するようにしてもよい。また、粘弾性体Dbの厚さL3によって板状部分11bと第1板状体Da1、又は、板状部分21bと第2板状体Da2とが離間してしまう場合は、板状部分11bと第1板状体Da1との間、及び、板状部分21bと第2板状体Da2との間の一方又は双方にスペーサを介装することが考えられる。また、板状部分11bの厚さL1と板状部分21bの厚さL2とを異ならせてもよい。
【0075】
(11)上記実施形態では、第1支持梁11及び第2支持梁21を、上下方向Zの寸法が等しく、かつ、上下方向Zの存在領域が一致するように配置し、粘弾性ダンパDを、上下方向Zで第1支持梁11及び第2支持梁21の存在範囲内に位置させる構成としたが、粘弾性ダンパDの上下方向Zの存在領域の一部が、第1支持梁11及び第2支持梁21の存在範囲よりも上方又は下方となるように粘弾性ダンパDを構成してもよい。
【0076】
(12)上記実施形態では、第1支持梁11における第1棚構成体10から第2棚構成体20側への突出量と、第2支持梁21における第2棚構成体20から第1棚構成体10側への突出量とを等しく設定したが、図7に示すように、第1棚構成体10の上端に設けられる第1支持部材J1を第2棚構成体20の上端に設けられる第2支持部材J2よりも突出量L4の小さな第3支持梁31とし、第2棚構成体20の上端に設けられる第2支持部材J2を第1棚構成体10の上端に設けられる第1支持部材J1よりも突出量L5の大きな第4支持梁41とするように構成してもよい。なお、この場合において、第1支持部材J1及び第2支持部材J2以外の構成については主たる実施形態と共通なので、図7においては共通の符号を用い、説明を省略する。図7のような構成では、突出量L4の小さな第3支持梁31は突出量L5の大きな第4支持梁41よりも上下方向Zの寸法が小さくて済む。このため、例えば第1棚構成体10の上方に天井Eから吊り下げられたダクト等の構造物Gが存在する場合においては、当該構造物Gの下方に第1棚構成体10を配置し、上下方向Zに見て構造物Gの存在しない箇所に第2棚構成体20を配置して、物品収納棚1が設けられる空間の利用効率を向上することができる。
【0077】
(13)上記実施形態における第1棚構成体10と第2棚構成体20と位置関係は、図1図7に示した配置に限定されるものではなく、入れ替えることも可能である。また、第1棚構成体10及び第2棚構成体20における上下方向Z及び左右方向Xに並ぶ収納部Sの数量、左右方向Xに並ぶ支柱対Tgの数量、並びに、ラチス材T2、水平材T3、ブレースT4、又は左右方向接続体T5等の配置形態は、上記実施形態における説明及び図面にて示した構成に限定されるものではなく、任意に変更可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 物品収納棚
9 スタッカークレーン(搬送装置)
10 第1棚構成体
20 第2棚構成体
11(J1) 第1支持梁(第1支持部材)
11b 板状部分
11e 第1端部
21(J2) 第2支持梁(第2支持部材)
21b 板状部分
21e 第2端部
31(J1) 第3支持梁(第1支持部材)
41(J2) 第4支持梁(第2支持部材)
B 物品
C 棚間接続部材
D 粘弾性ダンパ(減衰部材)
Da1 第1板状体
Da2 第2板状体
Db 粘弾性体
Ru 案内レール
T1a、T1b 前後一対の支柱
Tg 支柱対
Tg1 第1種支柱対
Tg2 第2種支柱対
X 左右方向
Y 棚前後方向
Z 上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7