特許第6593270号(P6593270)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6593270
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】物品搬送設備
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20191010BHJP
【FI】
   B65G1/04 515A
   B65G1/04 511
   B65G1/04 513
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-146527(P2016-146527)
(22)【出願日】2016年7月26日
(65)【公開番号】特開2018-16433(P2018-16433A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2018年11月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】木村 和誠
【審査官】 土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−218928(JP,A)
【文献】 特開2008−63033(JP,A)
【文献】 特公昭53−20757(JP,B2)
【文献】 国際公開第2016/152276(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の底部を下方から支持する第1支持部を有する載置部と、
前記物品の底部を下方から支持する第2支持部を備えるとともに、前記第1支持部に対して前記第2支持部が水平方向で対向する位置関係となる移載用位置に位置した状態で前記第1支持部と前記第2支持部とに亘って前記物品を移載方向に沿って移動させる移載装置と、
前記移載装置を前記移載用位置に移動させる移動部と、を備え、
前記移載装置は、前記物品に係合自在でかつ前記移載方向に移動自在な係合部を有し、
前記物品は、前記移載方向のうち前記第1支持部から前記第2支持部へ向かう第1方向の端部に、前記係合部が係合する被係合部を有している物品搬送設備であって、
前記係合部と前記被係合部とは、前記移載方向の相対移動が規制された状態でかつ前記係合部に対して前記被係合部が上方に離脱可能な状態で係合するように構成され、
前記移載装置は、前記物品が前記第2支持部に支持された状態において当該物品の上端部に近接する高さに配置された規制部を有し、
前記規制部は、前記第1支持部と前記第2支持部とに亘って移動する前記物品が水平方向に対して許容範囲を超えて傾斜した場合に当該物品の上端部に当接することで、当該物品の姿勢変化を規制するように構成され、
水平方向に沿い前記移載方向に直交する方向を左右方向として、
前記物品は、第1物品と、前記左右方向の長さが前記第1物品の前記左右方向の長さ以下でかつ上下方向の長さが前記第1物品の前記上下方向の長さよりも短い第2物品とがあり、
前記規制部として、第1規制部と、第1規制部よりも下方に位置する第2規制部と、が設けられ、
前記第1規制部は、前記第2支持部に支持されている前記第1物品の上端部に近接する高さでかつ当該第1物品と平面視で重なる位置に配置され、
前記第2規制部は、前記第2支持部に支持されている前記第2物品の上端部に近接する高さに設けられるとともに、前記第2支持部に支持されている前記第2物品と平面視で重なる規制位置と、前記第2支持部に支持されている前記第1物品と平面視で重ならない退避位置とに位置切換自在に構成されている物品搬送設備。
【請求項2】
前記第2規制部は、弾性部材の弾性力により前記規制位置に復帰付勢された状態で設けられ、
前記第2規制部には、水平面に沿う規制面を有する第2物品規制部材と、前記第2物品規制部材より上方に設けられ前記規制位置と前記退避位置との間で前記第2物品規制部材と一体的に移動する被操作部と、が設けられ、
前記被操作部は、前記第1物品が前記第1支持部から前記第2支持部に移動する場合に当該第1物品により押圧された状態で移動することで前記第2物品規制部材を前記規制位置から前記退避位置まで位置変更させる請求項1に記載の物品搬送設備。
【請求項3】
前記被操作部は、前記第1物品により押圧された場合に前記第1物品の前記第1方向への移動に伴って回転縦軸心周りに回転する回転ローラを備えている請求項2に記載の物品搬送設備。
【請求項4】
前記第2物品規制部材及び前記被操作部は、前記第2支持部に支持されている場合の前記第1物品と平面視で重ならない位置に設定された揺動縦軸心周りで揺動する揺動支持部材に支持されている請求項2又は3に記載の物品搬送設備。
【請求項5】
前記第2物品と前記第1物品とは、前記左右方向の長さが同じであり、
前記第2支持部は、前記第1物品及び前記第2物品の前記左右方向の長さに対応した距離だけ前記左右方向で離間した一対の案内部を有し、
前記一対の案内部は、前記第1物品及び前記第2物品の前記左右方向における位置を規制する請求項1〜4の何れか1項に記載の物品搬送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の底部を下方から支持する第1支持部を有する載置部と、前記物品の底部を下方から支持する第2支持部を備えるとともに、前記第1支持部に対して前記第2支持部が水平方向で対向する位置関係となる移載用位置に位置した状態で前記第1支持部と前記第2支持部とに亘って前記物品を移載方向に沿って移動させる移載装置と、前記移載装置を前記移載用位置に移動させる移動部と、を備え、前記移載装置は、前記物品に係合自在でかつ前記移載方向に移動自在な係合部を有し、前記物品は、前記移載方向のうち前記第1支持部から前記第2支持部へ向かう第1方向の端部に、前記係合部が係合する被係合部を有している物品搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
このような、物品搬送設備に関する従来技術として、特許文献1(特公昭53‐20757号公報)に、移載装置としての荷台(3)を、対向するように配置された一対の棚1及び棚2の間に形成された通路を移動するスタッカークレーンに備えたものが開示されている。特許文献1の物品搬送設備では、荷台(3)は、載置部としての棚(1)における第1支持部としての棚板(1a)に対して第2支持部としての受板(20・20a)が水平方向で対向する位置関係となる移載用位置に位置した状態で、棚板(1a)と受板(20・20a)とに亘って物品としてのコンテナ(16)を移載方向に沿って移動させるようになっている。荷台(3)は、スタッカークレーンが備える走行台車及び昇降台の走行及び昇降により移載用位置に移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭53‐20757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の物品搬送設備では、荷台(3)は、水平面に沿う巻回経路に沿って配設されたチェーン(10・10a)と、このチェーン(10・10a)に取り付けられた係合部としてのフック(13・22)を備えており、コンテナ(16)における被係合部としての取手(25)にチェーンの回動によりフック(13・22)を係合させ、さらに回動を進行させることでコンテナ(16)を移載方向に移動させるようになっている。
荷台(3)が移載用位置に位置する状態では、棚(1)における棚板(1a)と、荷台(3)における受板(20・20a)との間に隙間が形成されており、コンテナ(16)に収容されている収容物の収容位置によっては、コンテナ(16)の重心が移載方向で極端に偏っている場合がある。このような場合、コンテナ(16)の移載動作中に、コンテナ(16)の第1方向側の端部が棚板(1a)と受板(20・20a)との隙間に落下して、コンテナ(16)が水平方向に対して大きく傾斜し、取手(25)とフック(13・22)の係合が外れてしまう恐れがある。
このように、移載対象の物品の重心が移載方向の2つ方向のうち第1方向と反対の第2方向側の端部に位置している場合、載置部の第1支持部と移載装置の第2支持部との間に形成される隙間に、物品の第2方向側の端部が落下して、物品が水平方向に対して大きく傾斜し、係合部と被係合部の係合が外れてしまう恐れがある。
このような問題に対して、第2支持部に支持されている状態の物品の上端に近接する高さに規制部を設けた移載装置が提案されている。この移載装置では、物品が移載中に傾斜した場合に物品の上端が規制部に下方から当接することで物品の傾斜を規制することができる。
しかしながら、規制部により物品の傾斜を規制するためには、規制部は、物品の高さに応じた高さに位置していなければならない。そのため、高さが異なる複数種の物品を扱う物品搬送設備においては、低い高さの物品についての規制部を設けると、高い高さの物品と干渉するため、高い高さの物品を適切に移載できないという問題が発生する。
【0005】
上記実状に鑑みて、高さの異なる複数種の物品を移載する夫々の場合において物品の姿勢変化を規制した状態で適切に移載することができる物品搬送設備が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る物品搬送設備の特徴構成は、
物品の底部を下方から支持する第1支持部を有する載置部と、
前記物品の底部を下方から支持する第2支持部を備えるとともに、前記第1支持部に対して前記第2支持部が水平方向で対向する位置関係となる移載用位置に位置した状態で前記第1支持部と前記第2支持部とに亘って前記物品を移載方向に沿って移動させる移載装置と、
前記移載装置を前記移載用位置に移動させる移動部と、を備え、
前記移載装置は、前記物品に係合自在でかつ前記移載方向に移動自在な係合部を有し、
前記物品は、前記移載方向のうち前記第1支持部から前記第2支持部へ向かう第1方向の端部に、前記係合部が係合する被係合部を有している物品搬送設備において、
前記係合部と前記被係合部とは、前記移載方向の相対移動が規制された状態でかつ前記係合部に対して前記被係合部が上方に離脱可能な状態で係合するように構成され、
前記移載装置は、前記物品が前記第2支持部に支持された状態において当該物品の上端部に近接する高さに配置された規制部を有し、
前記規制部は、前記第1支持部と前記第2支持部とに亘って移動する前記物品が水平方向に対して許容範囲を超えて傾斜した場合に当該物品の上端部に当接することで、当該物品の姿勢変化を規制するように構成され、
水平方向に沿い前記移載方向に直交する方向を左右方向として、
前記物品は、第1物品と、前記左右方向の長さが前記第1物品の前記左右方向の長さ以下でかつ上下方向の長さが前記第1物品の前記上下方向の長さよりも短い第2物品とがあり、
前記規制部として、第1規制部と、第1規制部よりも下方に位置する第2規制部と、が設けられ、
前記第1規制部は、前記第2支持部に支持されている前記第1物品の上端部に近接する高さでかつ当該第1物品と平面視で重なる位置に配置され、
前記第2規制部は、前記第2支持部に支持されている前記第2物品の上端部に近接する高さに設けられるとともに、前記第2支持部に支持されている前記第2物品と平面視で重なる規制位置と、前記第2支持部に支持されている前記第1物品と平面視で重ならない退避位置とに位置切換自在に構成されている点にある。
【0007】
本特徴構成によれば、移載装置が、移載用位置において、第1物品や第2物品をそれらが備える被係合部に係合部を係合させた状態で、当該係合部を移載方向に移動させることで、載置部における第1支持部と移載装置における第2支持部との間で物品を移動させて、載置部に物品を供給したり、載置部から物品を取り出したりする移載動作を行うことができる。
移載装置が移載対象の物品の移動を開始してから完了するまでの間に移動部が移載装置を上下方向に移動させてもよい。例えば、物品を載置部から移載装置に移載する取出動作の場合には、係合部を第1方向に移動させるとともに移載装置を上昇させ、物品を移載装置から載置部に移載する供給動作の場合には、係合部を第1方向と反対方向(第2方向)に移動させるとともに移載装置を下降させることで、第1支持部及び第2支持部のうち移載方向での物品の位置に応じた適切な方に物品を支持させることができる。このように移載装置の移載動作の途中で移載装置を上昇又は下降させる場合、移載方向に沿う移動が一時的に停止してもよいし、連続していてもよい。
物品の重心が移載方向で第2方向側に偏っていると、移載装置による取出動作や供給動作において、物品の第2方向側の端部が、第1支持部と第2支持部との間に形成される隙間に落下し、第1支持部と第2支持部とに亘って移動する物品が水平方向に対して許容範囲を超えて傾斜するおそれがある。このような傾斜が発生すると場合によっては、係合部と被係合部との係合が外れてしまい物品の移載が行えないことも考えられる。この点、本特徴構成によれば、物品の上端部に規制部が当接することで、当該物品の姿勢変化が規制され、物品に姿勢を水平方向対して適正な姿勢に維持した状態で物品を移載方向に移動させることができる。
また、上述のように取出動作において移載装置の上昇を伴う場合には、第1支持部と第2支持部との高低差が大きくなる傾向にあるため、物品の重心が移載方向で第2方向側に偏っていると、物品の第2方向側の端部が1支持部と第2支持部との間に形成される隙間に落下するおそれが大きくなる。この点、規制部による物品の姿勢変化が適切に規制されるため、移載装置の上昇を伴う取出動作を適切に行うことができる。
さらに、本特徴構成では、規制部として、第1物品を移載する場合の当該第1物品の姿勢変化を規制する第1規制部と、第2物品を移載する場合の当該第2物品の姿勢変化を規制する第2規制部と、を備えているので、上下方向の長さの異なる複数種の物品を移載する夫々の場合において、移載対象の物品の姿勢変化を規制した状態で適切に移載することができる。
第2規制部は、第2支持部に支持されている第2物品の上端部に近接する高さに設けられるため、上下方向の長さが第2物品よりも大きい第1物品を移載装置が移載する場合には、第2規制部が上下方向で第1物品の存在範囲に位置し、第1物品の移載の邪魔になることが考えられる。この点、本特徴構成では、第2規制部は、第2支持部に支持されている第1物品と平面視で重ならない退避位置に切り換わることができるので、第2規制部を退避位置に位置させることで、左右方向の長さが第2物品と同じ又は第2物品より大きい第1物品を、第2支持部に適切に支持させることができる。そのため、第1物品を移載する場合でも、第2規制部が邪魔になることがなく、第1物品を適切に移載できる。
このように、本特徴構成によると、大きさの異なる複数種の物品を載置部に対して移載する夫々の場合において物品の姿勢変化を規制した状態で適切に移載することができる物品搬送設備を得ることができる。
【0008】
ここで、前記第2規制部は、弾性部材の弾性力により前記規制位置に復帰付勢された状態で設けられ、前記第2規制部には、水平面に沿う規制面を有する第2物品規制部材と、前記第2物品規制部材より上方に設けられ前記規制位置と前記退避位置との間で前記第2物品規制部材と一体的に移動する被操作部と、が設けられ、前記被操作部は、前記第1物品が前記第1支持部から前記第2支持部に移動する場合に当該第1物品により押圧された状態で移動することで前記第2物品規制部材を前記規制位置から前記退避位置まで位置変更させると好適である。
【0009】
この構成によれば、第1物品を第1支持部から第2支持部に移載する場合に、被操作部が第1物品により押圧された状態で移動することで第2物品規制部材が被操作部と一体的に規制位置から退避位置に位置変更され、第2規制部は規制位置から退避位置に切り換えられる。つまり、第1物品が第1支持部から第2支持部に移動するに伴って第2規制部が規制位置から退避位置に切り換わる。
そして、第2規制部は弾性部材の弾性力により規制位置に復帰付勢されているので、第2支持部に支持されて第1物品により押圧されている第2規制部が退避位置に位置している状態から第1物品が第1支持部に向かって移動すると、被操作部が弾性部材の弾性力により第1物品により押圧された状態が維持されつつ、第2規制部が規制位置に向かって移動する。したがって、第1物品が第2支持部から第1支持部に移動するに伴って第2規制部が退避位置から規制位置に切り換わる。
このように、物品の移動を利用して第2規制部を規制位置や退避位置に切り換えることができるので、第2規制部を規制位置や退避位置に切り換えるための駆動部やそれを制御する制御部を別途設けることなく第2規制部を規制位置と退避位置とに位置変更させることができる。
また、被操作部を第2物品規制部材より上方に設けることで、第2物品を移載する場合に被操作部と第2物品とが干渉しないので、第2物品を移載する場合には第2物品の姿勢変化を第2物品規制部材により適切に規制できる。
【0010】
また、前記被操作部は、前記第1物品により押圧された場合に前記第1物品の前記第1方向への移動に伴って回転縦軸心周りに回転する回転ローラを備えていると好適である。
【0011】
この構成によれば、回転ローラが第1物品により押圧された状態で第1物品が移載方向に移動するので、第1物品が移動すると回転ローラが回転縦軸心周りに回転することで、第1物品が移載方向に円滑に移動できるとともに、第2規制部が規制位置と退避位置との間で円滑に位置が切り換わる。
【0012】
また、前記第2物品規制部材及び前記被操作部は、前記第2支持部に支持されている場合の前記第1物品と平面視で重ならない位置に設定された揺動縦軸心周りで揺動する揺動支持部材に支持されていると好適である。
【0013】
この構成によれば、揺動支持部が揺動縦軸心周りで揺動することで被操作部及び第2物品規制部材は移載方向の移動を伴いながら左右方向に移動できるので、例えば、左右方向だけの直線的な移動方向にしか被操作部及び第2物品規制部材が移動しない構成に比べてこじれ等が生じ難く、第1物品の移載方向の移動に伴う第2規制部の位置切換が円滑に行われる。
【0014】
また、前記第2物品と前記第1物品とは、前記左右方向の長さが同じであり、前記第2支持部は、前記第1物品及び前記第2物品の前記左右方向の長さに対応した距離だけ前記左右方向で離間した一対の案内部を有し、前記一対の案内部は、前記第1物品及び前記第2物品の前記左右方向における位置を規制すると好適である。
【0015】
この構成によれば、第1物品の移載時及び第2物品の移載時のいずれの場合も、物品は、一対の案内部により左右方向の位置が同じ位置に規制された状態で移載方向に沿って移動する。したがって、被係合部に係合部が係合した状態で物品を移載方向に沿って適切に移動させることができる。
第2物品は、左右方向の長さが第1物品の前記左右方向の長さと同じであるから、第2規制部の退避位置と規制位置との左右方向の位置の違いが少なくて済む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】物品収納棚の一部正面図
図2】収納部の斜視図
図3】スタッカークレーンの正面図
図4】昇降台に搭載された移載装置の正面図
図5】昇降台に搭載された移載装置の平面図
図6】物品の取出動作を説明するための平面図
図7】大物品の取出動作を説明するための平面図
図8】移載装置が移載用位置で小物品を取り出す場合の動作説明図
図9】移載装置が移載用位置で大物品を取り出す場合の動作説明図
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る物品搬送設備を物品収納設備に適用した実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態に係る物品収納設備は、載置部としての収納部2を複数備えた物品収納棚1と収納部2に対する物品Wの供給動作及び取出動作を行う移載装置11と、移載装置11を移載用位置に移動させる移動部としてのスタッカークレーン5とを備えている。以下、これらの構成について詳細に説明する。
【0018】
〔物品収納棚〕
図1及び図2に示すように、物品収納棚1は、一組の支柱3a・3bからなる支柱組3を、左右方向Xに等間隔で複数組並べ、これらの支柱組3を上下方向Yの複数個所において横行部材で相互に接続して構成されている。左右方向Xで隣り合う支柱組3の間の空間には、収納部2が上下に並ぶ状態で複数形成されている。物品収納棚1は、異なる大きさの物品として、大小2種の物品Wを収納自在となっている。すなわち、収納部2として、大物品W1(第1物品)を収納する大収納部2aと、小物品W2(第2物品)を収納する小収納部2bとがある。
【0019】
収納部2は、大物品W1や小物品W2の底部における左右方向Xの両端部を下方から支持する第1支持部としての一対の物品支持体4・4を有している。各物品支持体4は支柱組3の前支柱3aと後支柱3bに接続され、移載方向Zに延在する水平部分4h及び垂直部分4vを備えている。垂直部分4vの移載方向Zの手前側の端部には左右方向Xで外方向に傾斜する案内部分4gが形成されており、垂直部分4vの移載方向Zの奥側の端部には上方に突出するストッパー部4sが形成されている。
【0020】
図2に示すように、本実施形態の大物品W1及び小物品W2はいずれも直方体形状の容器であり、図示は省略するが内部に装置の部品等の荷が収納されている。なお、本実施形態の大物品W1及び小物品W2は荷が収容されていない空の容器を含んでいる。小物品W2は、上下方向Yの長さが大物品W1の上下方向Yの長さよりも短い長さ(本実施形形態では、半分以下の長さ)となっており、左右方向Xの長さが大物品W1の左右方向Xの長さと同じに構成されている。
【0021】
大物品W1及び小物品W2は、移載方向Zの手前側端面に左右一対の被係合部23を有している。なお、移載方向Zの両方向のうち収納部2の奥から手前に向かう方向が第1方向である。被係合部23は左右両端と下端が開放された下向き開口の溝部が形成されており、移載装置11が有する後述の第1係合部34aや第2係合部34b(図4図9参照)が被係合部23に係合した状態で、第1係合部34aや第2係合部34bが移載方向Zに移動することで、大物品W1及び小物品W2が移載方向Zに沿って移動する。
【0022】
小物品W2は、大物品W1よりも上下方向Yの長さが小さい点で異なる以外は大物品W1と同じ構成である。つまり、小物品W2における被係合部23は、小物品W2の下端からの高さ及び形状が大物品W1における被係合部23と同じである。
【0023】
〔スタッカークレーン〕
本実施形態では、図6及び図7に示すように、一対の物品収納棚1が収納部2の間口が対向する姿勢で移載方向Zに間隔を隔てて設けられており、一対の物品収納棚1の間にスタッカークレーン5が走行する直線状の走行経路が設定されている。以下の説明では、移載方向Zのうち、収納部2から大物品W1や小物品W2を取り出す場合の物品Wの移動方向を第1方向Z1とし、その反対の方向を第2方向Z2として説明する。
【0024】
図3に示すように、スタッカークレーン5は、上部レール6a及び下部レール6bに案内されて左右方向Xに沿って走行自在である。下部レール6bに走行案内される走行台車7には左右方向Xの両端部に昇降マスト8が立設されており、これらの昇降マスト8の上端部は上部レール6aに走行案内される上部フレーム9に接続されている。
【0025】
走行台車7には、下部レール6bを転動する走行車輪18として、駆動輪18dと従動輪18sが設けられるとともに、走行経路の幅方向(移載方向Z)の移動を規制する複数の走行ガイドローラ19aが設けられている。なお、上部フレーム9には、同様に、走行経路の幅方向(移載方向Z)の移動を規制する複数の上部ガイドローラ19bが設けられている。そして、走行モータ17が駆動輪18dを回転駆動することで、走行台車7が左右方向Xに走行し、もってスタッカークレーン5が左右方向Xに沿って走行経路を走行するように構成されている。
【0026】
移載装置11を搭載した昇降台10が、複数の昇降チェーン12に吊り下げ支持されている。複数の昇降チェーン12は、上部フレーム9に回転自在に設けられた複数の上部案内スプロケット13や走行台車7に回転自在に設けられた複数の下部案内スプロケット14に巻き掛けられて、昇降モータ16の駆動力により昇降チェーン12が巻回経路に沿って移動することで、複数の昇降ガイドローラ15が昇降マスト8における案内面を転動しながら昇降台10が一対の昇降マスト8の間に形成された昇降経路を昇降するように構成されている。
【0027】
スタッカークレーン5における走行台車7の走行作動、昇降台10の昇降作動、移載装置11の移載作動は、制御部20により制御される。制御部20と昇降台10とは図示しない電力ケーブル及び信号ケーブルにより昇降台10の昇降を許容する状態で接続されている。そして、制御部20は、収納部2との間で物品Wを移載する場合には、移載装置11を移載対象の収納部2について予め設定されている移載用位置に位置させるべく、走行モータ17による走行台車7の走行作動、昇降モータ16による昇降台10の昇降作動、後述の出退用モータ24による移動枠22の突出作動といった作動を制御する。このように、本実施形態では、スタッカークレーン5(より詳しくは、走行台車7、昇降台10、移動枠22)が、載置部としての収納部2についての移載用位置に移載装置11を移動させる移動部に相当する。
【0028】
〔移載装置〕
次に、図4及び図5を参照して、スタッカークレーン5の昇降台10に搭載された移載装置11について説明する。
図4に示すように、昇降台10のフレームにベース21が固定されており、このベース21に対して移動枠22が移載方向Zに移動自在に取り付けられている。移載装置11はこの移動枠22に取り付けられており、移載装置11は移動枠22と一体的に移載方向Zに沿って移動するようになっている。移動枠22及び移載装置11は、ベース21に対する移動用位置と、この移動用位置から移載方向Zで第2方向Z2に変移した移載用位置とに亘って出退機構D1により出退操作される。出退機構D1による移動用位置から移載用位置への突出操作は、スタッカークレーン5の走行作動及び昇降作動が完了してから開始される。
【0029】
なお、移動用位置は、昇降台10の昇降作動及び走行台車7の走行作動が行われる場合の移載方向Zについての移載装置11の位置であり、移載用位置は、移載装置11が物品Wの供給動作や取出動作を行う場合の左右方向X、上下方向Y、及び、移載方向Zについての移載装置11の位置である。移載用位置は、収納部2における一対の物品支持体4に対して移載装置11における後述の一対の移載装置側支持体45が水平方向で対向する位置関係、換言すると、一対の物品支持体4と一対の移載装置側支持体45が略同じ高さに位置し移載方向Zで並ぶ位置関係である。
【0030】
本実施形態では、後述するように取出動作の途中で昇降台10を上昇させる途中上昇処理や、供給動作の途中で昇降台10を下降させる途中下降処理を実行するが、この場合は、移載動作の開始時から終了時に亘って移載装置11が存在する領域が移載用位置となる。すなわち、移載用位置は、途中上昇処理や途中下降処理で昇降する移載装置11の移動軌跡と一致しており、移載開始位置から移載終了位置に亘る上下方向Yに所定の範囲を有する領域となっている。
【0031】
図5に示すように、出退機構D1は、第1縦軸心P1周りに回転自在な長尺の回転体25と、この回転体25における第1縦軸心P1を挟んで互いに反対側に位置する両端部に上向きに突設された第1操作部28a及び第2操作部29bと、第1操作部28a及び第2操作部29bが係脱自在な一対のスリット27が形成された被操作板26と、回転体25を回転駆動する出退用モータ24とを備えている。
【0032】
出退用モータ24により回転体25を一方向に所定角度だけ回転駆動させると、第1操作部28a及び第2操作部29bのうち、当該回転方向に対応する一方の操作部が被操作板26における対応するスリット27に係合しながら被操作板26を移載方向Zに沿って移動させる。被操作板26は移動枠22に固定されているため、被操作板26が移載方向Zに沿って移動することで、移動枠22及びこれに取り付けられている移載装置11が移載方向Zに沿って一体的に移動する。移動用位置及び移載用位置についての移載方向Zの変位量に対応して出退用モータ24の作動量を予め設定しておき、出退用モータ24をサーボ制御してもよいし、移動枠22又は移載装置11が移動用位置及び移載用位置に位置することを検出するセンサを設けて、このセンサの検出情報に基づいて、出退用モータ24を停止させるように制御してもよい。
【0033】
図4及び図5に示すように、移載装置11は、物品Wの底部を下方から支持する第2支持部としての一対の移載装置側支持体45を備えるとともに、移載装置11が移載用位置に位置した状態で物品Wを移載方向Zに移動させる押し引き操作機構D2を備えている。一対の移載装置側支持体45は、大物品W1及び小物品W2の左右方向Xの長さに対応した距離だけ左右方向Xで離間した一対の左右ガイド44を有し、一対の左右ガイド44は、大物品W1及び小物品W2の左右方向Xにおける位置を規制する。押し引き操作機構D2により大物品W1及び小物品W2が移載方向Zに移動される場合に、物品Wの左右方向Xにおける位置が規制されるので、物品Wの移載時における物品Wの移動経路が安定する。
【0034】
押し引き操作機構D2は、移載装置11が移載用位置に位置した状態で一対の物品支持体4と一対の移載装置側支持体45とに亘って物品を移載方向Zに沿って移動させる。
押し引き操作機構D2は、左右一対の押し引き操作部(第1押し引き操作部C1及び第2押し引き操作部C2)と、第1押し引き操作部C1及び第2押し引き操作部C2のそれぞれの駆動軸30を連結する自在継手31と、駆動軸30を回転駆動するフック用モータ29とを備えている。
【0035】
第1押し引き操作部C1及び第2押し引き操作部C2は、同様の構成であるので、代表して第1押し引き操作部C1について説明する。第1押し引き操作部C1は、水平方向に沿う巻回経路に沿って環状に配設されたチェーン33と、チェーン33の巻回経路を規定する3つのスプロケット(駆動スプロケット32a、従動スプロケット32b、テンションスプロケット32c)と、チェーン33の環状の巻回経路を約2等分する2箇所においてチェーン33の巻回面から上方に突出する姿勢で設けられた第1係合部34a及び第2係合部34bと、を備えている。
【0036】
第1係合部34aは、一対の物品収納棚1のうち一方の物品収納棚1に属する収納部2に対して物品Wを移載する場合に移載対象の物品Wの被係合部23に係合して移載方向Zに沿って移動する係合部であり、第2係合部34bは、一対の物品収納棚1のうち他方の物品収納棚1に属する収納部2に対して物品Wを供給及び取り出す場合に移載対象の物品Wの被係合部23に係合して移載方向Zに沿って移動する係合部である。このように、移載装置11は、物品Wに係合自在でかつ移載方向Zに移動自在な係合部を有している。
【0037】
供給動作及び取出動作においては、第1押し引き操作部C1及び第2押し引き操作部C2におけるそれぞれの第1係合部34a及び第2係合部34bは、第1押し引き操作部C1及び第2押し引き操作部C2の2つのチェーン33の巻回経路のうち互いに対向する経路部分を移載方向Zに沿って移動することで、物品Wを移載方向Zに沿って移動させる。第1係合部34aによる物品Wの移載と、第2係合部34bによる物品Wの移載とは、移載方向Zについての第1方向Z1及び第2方向Z2が反対になる以外は同様であるから、以下の説明では、第1係合部34a及び第2係合部34bのうち、第1係合部34aを物品Wの被係合部23に係合させて移載装置11が収納部2に対する供給動作及び取出動作を行う場合について説明する。
【0038】
第1押し引き操作部C1及び第2押し引き操作部C2における第1係合部34aと、物品Wにおける被係合部23とは、移載方向Zの相対移動が規制された状態でかつ第1係合部34aに対して被係合部23が上方に離脱可能な状態で係合するように構成されている。すなわち、前述の通り、被係合部23は、図2に示すように、左右両端と下端が開放された下向き開口の溝部が形成されており、第1係合部34aが被係合部23の溝部に係合した状態で第1係合部34aが移載方向Zに移動する。
【0039】
物品Wの取出動作を行うに当たり、スタッカークレーン5は、移載装置11を昇降台10において移動用位置に位置させたまま、取出対象の物品Wが収納されている収納部2についての目標停止位置に走行台車7を位置させ、当該収納部2についての目標昇降位置に昇降台10を位置させて、図6(a)に示す状態となる。この状態から移動枠22が設定量だけ第2方向Z2に突出操作されることで、図6(a)(b)及び図7(a)(b)に示すように、移載装置11が移動用位置から移載用位置に切り換わる。
【0040】
移載装置11が移載用位置に位置する状態で、環状のチェーン33の回動により駆動スプロケット32aの外周部に沿う経路部分を第1係合部34aが移動することで、収納部2の一対の物品支持体4に支持されている物品Wの被係合部23に対して左右方向Xで外方側の開口から第1係合部34aが入り込んで、図6図8及び図9に示すように、第1係合部34a及び被係合部23とが、移載方向Zの相対移動が規制された状態でかつ第1係合部34aに対して被係合部23が上方に離脱可能な状態で係合する。このような状態で、第1係合部34aが、第1押し引き操作部C1及び第2押し引き操作部C2の2つのチェーン33の巻回経路のうち互いに対向する経路部分を移載方向Zの第1方向Z1に沿って移動することで、図6(b)(c)及び図7(b)(c)並びに図8及び図9に示すように、物品Wが移載方向Zに沿って移動する。
【0041】
第1係合部34aが移載方向Zで第1方向Z1側の端部まで移動すると、チェーン33の回動が停止し、第1係合部34a及び被係合部23との係合状態が維持された状態で、移動枠22が設定量だけ第1方向Z1に引退操作されることで、図6(c)(d)及び図7(c)(d)に示すように、移載装置11が移載用位置から移動用位置に切り換わる。
【0042】
本実施形態では、スタッカークレーン5は、移載装置11の取出動作の途中で、昇降台10を設定量だけ上昇させる途中上昇処理を実行する。すなわち、図8及び図9に示すように、物品Wを第1方向Z1に移動させている途中であって取出動作で予定される第1方向Z1の移動量すなわち移載開始位置から移載終了位置までの移動量のうち設定量の移動が完了した時点で、昇降台10を設定昇降量だけ上昇させる。本実施形態では、取出動作で予定される第1方向Z1の移動量の80%の移動が完了した時点で昇降台10を上昇させることにしている。取出動作の途中における昇降台10の上昇タイミングは、チェーン33の回動量を検出する回動量検出部により検出される。回動量検出部は、例えば、駆動スプロケット32aの回転量を検出するロータリエンコーダや、チェーン33の巻回経路方向で第1係合部34aと設定距離だけ離れた位置に設けられたストライカーを検出するリミットスイッチ等で構成すればよい。
【0043】
移載装置11が供給動作を行う場合は、上述の取出動作の逆の動作が行われるので説明は省略する。なお、スタッカークレーン5は、移載装置11の供給動作の途中で、昇降台10を設定量だけ下降させる途中下降処理を実行する点も同様である。
【0044】
取出動作において、収納部2の一対の物品支持体4と移載装置11の一対の移載装置側支持体45との双方により物品Wの荷重を分担して支持いている状態で、途中上昇処理が実行されると、物品Wの第2方向Z2側の端部が収納部2の物品支持体4から離間し、移載装置11の一対の移載装置側支持体45により物品Wの全荷重が支持された状態となる。この場合、物品Wの第2方向Z2側の端部に重心が極端に偏っていると、一対の物品支持体4と一対の移載装置側支持体45とに亘って移動する物品Wが水平方向に対して許容範囲を超えて傾斜するおそれがある。
【0045】
途中上昇処理が実行されると、一対の物品支持体4と一対の移載装置側支持体45との高低差が大きくなる傾向にあるため、物品Wの重心が移載方向Zで第2方向Z2側に偏っていると、物品Wの第2方向Z2側の端部が一対の物品支持体4と一対の移載装置側支持体45との間に形成される隙間に落下するおそれが大きくなる。途中上昇処理を伴わずに取出動作を行う場合でも、移載用位置に位置する移載装置11の一対の移載装置側支持体45と収納部2における一対の物品支持体4との間に移載方向Zで隙間が形成されているため、物品Wの第2方向Z2側の端部が当該隙間に落下するおそれがある。
【0046】
そこで、本実施形態の物品搬送設備の移載装置11は、図4図8及び図9に示すように、物品Wが一対の移載装置側支持体45に支持された状態において当該物品Wの上端部に近接する高さに配置された規制部Eを有している。規制部Eは、一対の物品支持体4と一対の移載装置側支持体45とに亘って移動する物品Wが水平方向に対して許容範囲を超えて傾斜した場合に当該物品Wの上端部に当接することで、当該物品Wの姿勢変化を規制する。
【0047】
規制部Eとして、大物品W1用の規制部Eである第1規制部E1と、小物品W2用の規制部Eである第2規制部E2とが設けられている。第2規制部E2は、第1規制部E1よりも下方に位置している。
【0048】
図4及び図9に示すように、第1規制部E1は、一対の移載装置側支持体45に支持されている大物品W1の上端部に近接する高さ(上下方向Yに設定長さ(例えば、5mm)の隙間が形成される高さ)でかつ当該大物品W1と平面視で重なる位置に固定状態で配置されている。
【0049】
図4図7及び図8に示すように、第2規制部E2は、一対の移載装置側支持体45に支持されている小物品W2の上端部に近接する高さ(上下方向Yに設定長さ(例えば、5mm)の隙間が形成される高さ)に設けられるとともに、一対の移載装置側支持体45に支持されている小物品W2と平面視で重なる規制位置と、一対の移載装置側支持体45に支持されている大物品W1と平面視で重ならない退避位置とに位置切換自在に構成されている。
【0050】
第1規制部E1及び第2規制部E2は、第1押し引き操作部C1及び第2押し引き操作部C2の上方に配設された規制部支持体35により支持されている。規制部支持体35は、第1規制部E1及び第2規制部E2が取り付けられた支持枠37と、この支持枠37を移動枠22に固定する複数のブラケット36と、支持枠37に対して第1規制部E1を取り付けるための大物品規制部支持体38と、支持枠37に対して第2規制部E2を取り付けるための小物品規制部支持体39と、を備えている。なお、図5では図の煩雑化を避けるため、第1規制部E1を記載していない。
【0051】
第1規制部E1は、左右方向Xに分散して一対設けられており、各第1規制部E1は、大物品規制部支持体38に支持された大物品規制部材40を備えている。大物品規制部材40は、移載方向Zに延在する樹脂製の長尺状の部材にて構成されている。本実施形態では、物品Wの移載方向Zの長さの半分より長い長さに形成されている。
【0052】
第2規制部E2は、左右方向X及び移載方向Zに分散して、4個設けられており、各第2規制部E2は、小物品規制部支持体39により第2縦軸心P2周りに揺動自在に支持された支持アーム42と、支持アーム42の揺動端部に設定された第3縦軸心P3周りに支持アーム42の上方において回転自在な回転ローラ46と、水平方向に沿う規制面が下方に向く姿勢で支持アーム42の揺動端部の下方に取り付けられた小物品規制部材41と、第2規制部E2が規制位置に位置するように支持アーム42の姿勢を規制位置用姿勢に弾性力により付勢するコイルスプリング43と、を備えている。
【0053】
第2規制部E2は、弾性部材としてのコイルスプリング43の弾性力により規制位置に復帰付勢された状態で設けられている。そして、第2規制部E2より上方に設けられ規制位置と退避位置との間で第2規制部E2と一体的に移動する被操作部として回転ローラ46が設けられている。図7に示すように、回転ローラ46は、大物品W1が収納部2の一対の物品支持体4から移載装置11の一対の移載装置側支持体45に移動する場合に当該大物品W1により押圧された状態で移動することで、第2規制部E2を規制位置から退避位置まで位置変更させる。
【0054】
支持アーム42が揺動する中心である第2縦軸心P2は、図4及び図7に示されているように、移載装置11の一対の移載装置側支持体45に支持されている場合の大物品W1と平面視で重ならない位置に設定されている。なお、本実施形態では、大物品W1と小物品W2とは左右方向Xの長さが同じでいずれも一対の左右ガイド44により左右方向Xで同じ位置に規制されるため、第2縦軸心P2は、一対の移載装置側支持体45に支持されている場合の小物品W2と平面視で重ならない位置になっている。
【0055】
このように、本実施形態では、被操作部は、大物品W1により押圧された場合に大物品W1の第1方向Z1への移動に伴って回転縦軸心(第3縦軸心P3)周りに回転する回転ローラ46を備えている。さらに、第2規制部E2及び被操作部としての回転ローラ46は、移載装置11の一対の移載装置側支持体45に支持されている場合の大物品W1と平面視で重ならない位置に設定された揺動縦軸心(第2縦軸心P2)周りで揺動する揺動支持部材としての支持アーム42に支持されている。
【0056】
上記のような構成により、大物品W1を移載する場合には、図9に示すように、当該大物品W1の姿勢変化が第1規制部E1により規制され、小物品W2を移載する場合には、図8に示すように、当該小物品W2の姿勢変化が、規制位置に位置する第2規制部E2により規制される。これにより、移載対象の物品Wの移載方向Zでの重心が、第2方向Z2側に極端に偏っていたとしても、取出動作の終盤や供給動作の序盤において、物品Wの第2方向Z2側の端部が、移載装置11の一対の移載装置側支持体45と収納部2における一対の物品支持体4との間に形成されている隙間に落下して、移載装置11の第1係合部34aが物品Wの被係合部23から外れてしまう事態を防止できる。さらに、大物品W1を移載する場合には、図7に示すように、大物品W1の移載方向Zの移動に伴って、第2規制部E2が規制位置と退避位置とに移動するので、取出動作において第2規制部E2が大物品W1の移載に邪魔にならず、大物品W1を収納部2から適切に取り出せる。したがって、上下方向Yの長さの異なる2種の物品W(大物品W1及び小物品W2)を移載する夫々の場合において、移載対象の物品Wの姿勢変化を規制した状態で適切に移載することができる。
【0057】
〔別の実施形態〕
以上、発明者によってなされた発明を発明の実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。以下、本発明の別実施形態を例示する。上記実施形態及び下記実施形態は、矛盾の生じない範囲で組み合わすことができる。
【0058】
(1)上記実施形態では、第2物品として、左右方向の長さが第1物品の左右方向の長さと同じものを例示したが、第2物品として、左右方向の長さが第1物品の左右方向の長さより短いものであってもよい。
【0059】
(2)上記実施形態では、物品として、第1物品及び第2物品だけを取り扱う設備を例示したが、物品として、左右方向の長さが第1物品の左右方向の長さ以下でかつ上下方向の長さが第2物品の上下方向の長さよりも短い第3物品をも取り扱う設備であってよい。
この場合、規制部として、第2規制部よりも下方に位置する第3規制部を、一対の移載装置側支持体45に支持されている第3物品の上端部に近接する高さに設けるとともに、一対の移載装置側支持体45に支持されている第3物品と平面視で重なる規制位置と、一対の移載装置側支持体45に支持されている第1物品及び第2物品と平面視で重ならない退避位置とに位置切換自在に構成すればよい。
なお、第3物品における被係合部は、物品の下端からの高さ及び形状が第1物品における被係合部及び第2物品における被係合部と同じであることが好ましい。
【0060】
(3)上記実施形態では、移動部として、移載装置を左右方向、上下方向、移載方向に移動させるスタッカークレーンを例示したが、移動部としては、これに限らず、例えば、移載装置を左右方向及び上下方向の一方又は双方にだけ移動させるものや、床面に設定された曲線状の移動経路に沿って移動させるものであってもよい。
【0061】
(4)上記実施形態では、載置部が、物品収納棚における収納部にて構成されたものを例示したが、載置部としては、これに限らず、例えば、ローラコンベヤの搬送経路の端部や、昇降搬送装置の昇降台等、移載装置が物品を供給及び取出対象としては、種々の構成が考えられる。
【0062】
(5)上記実施形態では、規制位置にある第2規制部が、移載方向に移動する第1物品により退避位置に操作されるものを例示したが、これに限らず、例えば、第2規制部を規制位置と退避位置との間で切換駆動する切換モータを設けて、この切換モータの作動を制御することで、移載対象の物品の種別に応じて第2規制部を規制位置と退避位置とに切り換える構成としてもよい。
【0063】
(6)上記実施形態では、係合部が水平方向に移動して被係合部と係合する構成を開示したが、係合部が移載方向に沿う水平軸心周りに揺動することで被係合部と係合する構成や、係合部を移載方向で被係合部に重複する位置まで突出させた状態で移載方向に沿う水平軸心周りで回転させることで被係合部と係合する構成でもよい。
【0064】
(7)上記実施形態では、第2規制部が、揺動縦軸心周りに揺動して規制位置と退避位置とに位置が切り換わるものを例示したが、第2規制部が、移載方向又は左右方向に沿って平行移動することで規制位置と退避位置とに位置が切り換わるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0065】
2 :収納部(載置部)
4 :物品支持部(第1支持部)
5 :スタッカークレーン(移動部)
11 :移載装置
22 :移動枠(移動部)
23 :被係合部
34a :第1係合部(係合部)
34b :第2係合部(係合部)
41 :小物品規制部材(第2物品規制部材)
42 :支持アーム(揺動支持部材)
43 :コイルスプリング(弾性部材)
44 :左右ガイド(一対の案内部)
45 :移載装置側支持体(第2支持部)
46 :回転ローラ
E :規制部
E1 :第1規制部
E2 :第2規制部
P2 :第2縦軸心(揺動縦軸心)
P3 :第3縦軸心(回転縦軸心)
W :物品
W1 :大物品(第1物品)
W2 :小物品(第2物品)
X :左右方向
Y :上下方向
Z :移載方向
Z1 :第1方向
Z2 :第2方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9