特許第6593289号(P6593289)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6593289
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】物品搬送設備
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20191010BHJP
   H01L 21/673 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
   B65G1/04 541
   H01L21/68 T
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-177160(P2016-177160)
(22)【出願日】2016年9月9日
(65)【公開番号】特開2018-39665(P2018-39665A)
(43)【公開日】2018年3月15日
【審査請求日】2018年11月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】上田 俊人
(72)【発明者】
【氏名】田中 淳
(72)【発明者】
【氏名】一力 達也
【審査官】 土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】 韓国公開特許第10−2016−0015493(KR,A)
【文献】 特開2010−228885(JP,A)
【文献】 特開2003−054707(JP,A)
【文献】 特開2015−009911(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00 − 1/20
H01L 21/673
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を保持可能な複数の保持部と、前記保持部に物品を移載する第1移載装置及び第2移載装置と、前記第1移載装置と前記第2移載装置とを一体的に移動させる移動部と、前記第1移載装置、前記第2移載装置及び前記移動部を制御する制御部と、を備えている物品搬送設備であって、
前記移動部は、前記第1移載装置と前記第2移載装置とを一定間隔で連結する連結部を備え、
前記制御部は、選択制御と移動制御と同時移載制御とを実行し、
前記選択制御は、前記複数の保持部のうち前記第1移載装置と前記第2移載装置とで同時に移載可能な2つの前記保持部の組み合わせを選択保持部対として選択する制御であり、
前記移動制御は、前記第1移載装置及び前記第2移載装置を前記選択保持部対に対応する設定位置に位置させるように前記移動部を移動させる制御であり、
前記同時移載制御は、前記第1移載装置及び前記第2移載装置が前記設定位置に位置する状態で、前記第1移載装置による前記選択保持部対のうちの一方である第1選択保持部への物品の移載と、前記第2移載装置による前記選択保持部対のうちの他方である第2選択保持部への物品の移載と、を同時に行わせる制御であり、
前記第1移載装置と前記第2移載装置とで同時に移載可能な2つの前記保持部の組み合わせのうち、同時移載を禁止する2つの前記保持部の組み合わせを禁止保持部対として設定する設定部を、更に備え、
前記制御部は、前記選択制御において、前記複数の保持部のうち前記第1移載装置と前記第2移載装置とで同時に移載可能な2つの前記保持部の組み合わせのうち、前記禁止保持部対を除く組み合わせの中から前記選択保持部対を選択する物品搬送設備。
【請求項2】
エラーを検出するエラー検出部を、更に備え、
前記エラー検出部は、前記制御部が前記移動制御を実行した後で、前記第1移載装置が前記第1選択保持部に対して適切な位置に位置していないこと、及び、前記第2移載装置が前記第2選択保持部に対して適切な位置に位置していないことの少なくとも一方である位置エラーを検出する請求項1記載の物品搬送設備。
【請求項3】
エラーを検出するエラー検出部を更に備え、
前記エラー検出部は、前記制御部が前記同時移載制御を実行した後で、前記第1移載装置による前記第1選択保持部への物品の移載の失敗、及び、前記第2移載装置による前記第2選択保持部への物品の移載の失敗の少なくとも一方である移載エラーを検出する請求項1又は2記載の物品搬送設備。
【請求項4】
前記設定部は、前記エラー検出部がエラーを検出したことを条件に、前記選択保持部対として設定していた2つの前記保持部を前記禁止保持部対として設定する請求項3記載の物品搬送設備。
【請求項5】
前記エラー検出部がエラーを検出したことを条件に、前記選択保持部対として選択されていた2つの前記保持部を、前記禁止保持部対の候補として報知する報知部を、更に備えている請求項3記載の物品搬送設備。
【請求項6】
前記設定部は、表示部と人為操作可能な入力部とを備え、
前記表示部は、前記複数の保持部のうちの全部又は一部についてのシンボルを一括表示する第1表示状態と、前記第1表示状態において前記入力部の操作により選択された1つの前記シンボルである第1シンボルを他の前記シンボルと異なる表示とする共に前記第1シンボルに対応する前記保持部と同時移載可能な前記保持部についてのシンボルである1つ又は複数の第2シンボルを他の前記シンボルと異なる表示とする第2表示状態と、を表示可能に構成され、
前記設定部は、前記第2表示状態において前記入力部の操作により前記第2シンボルの一つが選択されるに伴って、前記第1シンボルに対応する保持部と選択された前記第2シンボルに対応する保持部とを前記禁止保持部対として設定する請求項1から5のいずれか一項に記載の物品搬送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を保持可能な複数の保持部と、前記保持部に物品を移載する第1移載装置及び第2移載装置と、前記第1移載装置と前記第2移載装置とを一体的に移動させる移動部と、前記第1移載装置、前記第2移載装置及び前記移動部を制御する制御部と、を備えている物品搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる物品搬送設備の一例が、特開2012−136310号公報(特許文献1)に記載されている。特許文献1の物品搬送設備では、2つの保持部の一方に対して第1移載装置が物品を移載することと、2つの保持部の他方に対して第2移載装置が物品を移載することとを同時に行っている。このような物品搬送設備では、保持部には物品を支持するための支持体が備えられており、第1移載装置や第2移載装置は物品を支持体に支持させるように物品を保持部に移載する。しかし、支持体の据え付け誤差等により、第1移載装置や第2移載装置が保持部に物品を適切に移載できない場合があり、このような保持部は禁止保持部として、当該禁止保持部に対しては物品を移載しないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−136310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述のような物品搬送設備では、禁止保持部として設定した保持部には第1移載装置や第2移載装置により物品が移載されなくなる。そのため、例えば、保持部が物品を収納する収納部の場合では、禁止保持部として設定された収納部に物品が収納されなくなるため収納効率が悪くなり、また、保持部がコンベヤの場合では、禁止保持部として設定されたコンベヤにより物品を搬送できなくなるため搬送効率が悪くなる。
【0005】
そこで、移載エラーの発生を抑制しながら保持部を効率よく利用できる物品搬送設備の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記に鑑みた、物品搬送設備の特徴構成は、物品を保持可能な複数の保持部と、前記保持部に物品を移載する第1移載装置及び第2移載装置と、前記第1移載装置と前記第2移載装置とを一体的に移動させる移動部と、前記第1移載装置、前記第2移載装置及び前記移動部を制御する制御部と、を備えている物品搬送設備において、
前記移動部は、前記第1移載装置と前記第2移載装置とを一定間隔で連結する連結部を備え、前記制御部は、選択制御と移動制御と同時移載制御とを実行し、前記選択制御は、前記複数の保持部のうち前記第1移載装置と前記第2移載装置とで同時に移載可能な2つの前記保持部の組み合わせを選択保持部対として選択する制御であり、前記移動制御は、前記第1移載装置及び前記第2移載装置を前記選択保持部対に対応する設定位置に位置させるように前記移動部を移動させる制御であり、前記同時移載制御は、前記第1移載装置及び前記第2移載装置が前記設定位置に位置する状態で、前記第1移載装置による前記選択保持部対のうちの一方である第1選択保持部への物品の移載と、前記第2移載装置による前記選択保持部対のうちの他方である第2選択保持部への物品の移載と、を同時に行わせる制御であり、前記第1移載装置と前記第2移載装置とで同時に移載可能な2つの前記保持部の組み合わせのうち、同時移載を禁止する2つの前記保持部の組み合わせを禁止保持部対として設定する設定部を、更に備え、前記制御部は、前記選択制御において、前記複数の保持部のうち前記第1移載装置と前記第2移載装置とで同時に移載可能な2つの前記保持部の組み合わせのうち、前記禁止保持部対を除く組み合わせの中から前記選択保持部対を選択する点にある。
【0007】
この特徴構成によれば、第1移載装置と第2移載装置とにより物品を2つの保持部に移載する場合にエラーが起きる虞がある又はエラーが起きたことがある2つの保持部について、設定部により禁止保持部対として設定できる。このように禁止保持部対として設定された2つの保持部の対は、選択制御により選択保持部対として選択されない。そのため、禁止保持部対には同時移載制御により物品が移載されないため、エラーを未然に防止できる。
【0008】
そして、保持部の相対的な位置関係によって、ある2つの保持部(第1の保持部と第2の保持部)の組み合わせでは、第1移載装置と第2移載装置とで同時に保持部に移載しようとするとエラーが生じるが、当該2つの保持部の一方の保持部(第1の保持部又は第2の保持部)と、当該2つの保持部以外の保持部(第3の保持部)との組み合わせでは、第1移載装置と第2移載装置とで同時に移載しようとしてもエラーが生じない場合がある。移載を禁止する保持部を対として設定するため、前者の2つの保持部(第1の保持部と第2の保持部)については禁止保持部対として設定し、後者の2つの保持部(第1の保持部と第3の保持部、又は、第2の保持部と第3の保持部)については禁止保持部対として設定しないようにできる。この場合では、選択制御において、後者の2つの保持部が選択保持部対として選択される場合があり、禁止保持部対として設定されている保持部であったとしても、同時移載制御を実行することで物品を移載できるため、保持部を効率よく利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】物品搬送設備の斜視図
図2】物品搬送設備の横断面図
図3】物品搬送設備の横断面図
図4】第1移載装置と第2移載装置とを示す側面図
図5】支持部を突出位置に位置させた状態を示す物品搬送設備の横断面図
図6】支持体を第1設定高さに位置させた状態を示す側面図
図7】支持体を第2設定高さに位置させた状態を示す側面図
図8】制御ブロック図
図9】フローチャート
図10】第1表示状態を示す図
図11】第2表示状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.実施形態
物品搬送設備の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、物品搬送設備には、複数階(本実施形態では3階構成であり、上側の階から順に上階U、中階M、下階Dと称する)の間で物品としての容器1を搬送する物品搬送装置2(図2〜4参照)と、天井近くを走行して容器1を搬送する天井搬送車3と、床面上を走行して容器1を搬送する床面搬送車7と、固定状態に設置されて容器1を搬送する入出搬送装置4と、が設けられている。尚、半導体基板を収容するFOUP(Front Opening Unified Pod)を容器1(物品)としている。
【0011】
物品搬送装置2は、筒体5の内側に上階Uから下階Dに亘って配設されている。図1に示すように、天井搬送車3及び床面搬送車7は、筒体5の外側に配設されている。図2に示すように、入出搬送装置4は、筒体5の内側から外側に亘って配設されており、筒体5の外側に位置する外部箇所8と筒体5の内側に位置する内部箇所9との間で容器1を搬送する。図2及び図3に示すように、筒体5の内部には、容器1を収納する収納部6が複数備えられている。収納部6は、上下方向Z及び物品搬送装置2を中心とした周方向Rに並設されている。尚、収納部6や入出搬送装置4の内部箇所9(以下、入出部9と称する場合がある)に相当する部分が、物品を保持可能な保持部Aであり、物品搬送設備には、複数の保持部Aが備えられている。
【0012】
物品搬送設備では、天井搬送車3や床面搬送車7や作業者により入出搬送装置4の外部箇所8に容器1が載せられると、当該容器1は、入出搬送装置4にて外部箇所8から内部箇所9に搬送された後、物品搬送装置2にて内部箇所9から収納部6に搬送されて、容器1が収納部6に収納される。また、収納部6に収納されている容器1は、物品搬送装置2により収納部6から入出搬送装置4の内部箇所9に搬送された後、入出搬送装置4にて内部箇所9から外部箇所8に載置搬送される。外部箇所8の容器1は、天井搬送車3、床面搬送車7又は作業者にて外部箇所8から降ろされる。尚、物品搬送装置2により、内部箇所9から別の内部箇所9に容器1を搬送する場合や、収納部6から別の収納部6に容器1を搬送する場合もある。
【0013】
〔保持部〕
保持部Aの夫々に、容器1の底部を下方から支持する支持体11が備えられている。この支持体11には、容器1の底部に下方から係合する係合部(図示せず)が備えられている。保持部Aは、支持体11により容器1の底面を下方から支持した状態で容器1を保持するように構成されており、保持部Aに保持されている容器1は、複数の係合部が下方から係合することで水平方向に位置決めされている。保持部Aには、容器1の存在を検出する在荷センサ12(図8参照)が備えられている。この在荷センサ12は、容器1が保持部Aに適正姿勢で存在している場合のみON操作されるように設けられており、容器1が保持部Aに存在していたとしても当該容器1が適正姿勢でない場合は、在荷センサ12はON操作されない。適正姿勢とは、容器1の底部に複数の係合部の全てが係合している姿勢であり、容器1の底部における凹部以外の部分が係合部に乗り上げる等により、容器1の底部に複数の係合部の全て又は一部が容器1の底部に係合していない姿勢は適正姿勢ではない。
【0014】
〔物品搬送装置〕
次に、物品搬送装置2について説明する。図4に示すように、物品搬送装置2は、収納部6に容器1を移載する第1移載装置14及び第2移載装置15と、第1移載装置14及び第2移載装置15を一体的に移動させる昇降体16と、昇降体16を上下方向Zに案内する案内レール17と、を備えている。
【0015】
図5に示すように、昇降体16は、本体部20と、第1移載装置14を支持する第1支持部21と、第1支持部21より上方に位置して第2移載装置15を支持する第2支持部22と、案内レール17により上下方向Zに案内される被案内部23と、を備えている。本体部20は、上下方向Zに沿って延びる長尺状に形成されている。本体部20の下端部に、第1支持部21が連結されており、本体部20の上下方向Zの中間部に、第2支持部22が連結されている。尚、本体部20と第1支持部21と第2支持部22とにより、第1移載装置14と第2移載装置15とを一定間隔で連結する連結部24が構成されている。
【0016】
第1移載装置14及び第2移載装置15の夫々は、容器1を支持する支持部26と、第1駆動部27と、第2駆動部28と、第3駆動部29と、投受光装置30と、を備えている。支持部26は、板状に形成されており、容器1の底面を下方から支持するように構成されている。
【0017】
図4に示すように、第1駆動部27は、支持部26を上下方向Zに移動自在に支持する基部31と、支持部26を基部31に対して上下方向Zに移動させる第1モータ32と、を備えている。第1駆動部27は、第1モータ32により支持部26を基部31に対して上下方向Zに移動させることで、図6及び図7に示すように、昇降体16を上下方向Zに移動させることなく支持部26を上下方向Zに移動させる。
【0018】
図4に示すように、第2駆動部28は、先端部に基部31が連結され且つ基端部に旋回台34が連結されたリンク機構35と、リンク機構35を水平方向に伸縮させる第2モータ36と、を備えている。第2駆動部28は、第2モータ36にてリンク機構35を伸縮させることで、支持部26を昇降体16に対して水平方向に移動させて、支持部26を昇降体16から突出させた突出位置(図5図7に示す位置)と、突出位置より昇降体16側に引退させた引退位置(図2図4に示す位置)と、に移動させる。
【0019】
図4に示すように、第3駆動部29は、上下方向Zに沿う軸心周りに旋回自在な旋回台34と、旋回台34を上下方向Zに沿う軸心周りに旋回させる第3モータ37と、を備えている。第3駆動部29は、第3モータ37にて旋回台34を旋回させることで、旋回台34及びこれに支持されているリンク機構35、基部31及び支持部26が一体的に上下方向Zに沿う軸心周りに回転させて、図2図3及び図5に示すように、第2駆動部28による支持部26が移動する方向を上下方向Zに沿う軸心周りに変更する。
【0020】
投受光装置30は、当該投受光装置30が備えられている移載装置(第1移載装置14又は第2移載装置15)が保持部Aに対して適正な位置に位置しているか否かを検出する。説明を加えると、保持部Aの支持体11には、反射板(図示せず)が備えられており、移載装置が保持部Aに対して適正な位置に位置している場合は、投受光装置30から投光された検出光が反射板に投射され、その反射光が投受光装置30に入光することで、移載装置が保持部Aに対して適正な位置に位置していることを検出する。
【0021】
また、図4に示すように、物品搬送装置2は、昇降体16を上下方向Zに移動させる第4駆動部39が備えられている。第4駆動部39は、バランスウェイト40(図2及び図3参照)と第1ベルト41と第2ベルト42と第4モータ43(図8参照)と備えている。第1ベルト41は、一端部に昇降体16が連結され且つ他端部にバランスウェイト40が連結されており、中間部が昇降体16の昇降経路の上方に設けられた上側回転体(図示せず)に巻き掛けられている。第2ベルト42は、一端部に昇降体16が連結され且つ他端部にバランスウェイト40が連結されており、中間部が昇降体16の昇降経路の下方に設けられた下側回転体(図示せず)に巻き掛けられている。第4駆動部39は、第4モータ43により下側回転体を回転させることで、昇降体16を上下方向Zに移動させる。尚、昇降体16と第4駆動部39とで移動部44が構成されている。
【0022】
〔制御部〕
物品搬送設備には、物品搬送装置2を制御する制御部Hが備えられている。制御部Hは、第1駆動部27、第2駆動部28、第3駆動部29、第4駆動部39、第1移載装置14及び第2移載装置15を制御することで、物品搬送装置2を制御する。また、物品搬送設備には、第1移載装置14と第2移載装置15とで同時に移載可能な2つの保持部Aの組み合わせのうち、同時移載を禁止する2つの組み合わせを禁止保持部対として設定する設定部45を備えている。
【0023】
制御部Hには、保持部Aの夫々に対して設定された第1設定位置及び第2設定位置の情報が記憶されている。第1設定位置は、図6に示すように、保持部Aの支持体11から支持部26に容器1を移載する場合(以下、掬いの場合と称する)に第1移載装置14の支持部26や第2移載装置15の支持部26を位置させる位置である。第2設定位置は、図7に示すように、支持部26から保持部Aの支持体11に容器1を移載する場合(以下、降しの場合と称する)に第1移載装置14の支持部26や第2移載装置15の支持部26を位置させる位置である。この第2設定位置は、第1設定位置より高い位置に設定されている。第1設定位置及び第2設定位置の夫々は、上下方向Zの位置と周方向Rの位置とにより定められている。
【0024】
また、制御部Hは、同時に移載可能な2つの保持部Aの組み合わせ(候補保持部対)の夫々に対して設定された設定高さの情報が記憶されている。設定高さは、図6及び図7に示すように、掬いの場合や卸しの場合に、第1移載装置14を位置させる高さである。そして、選択保持部対の一方である第1選択保持部A1の設定高さに第1移載装置14を位置させた状態では、第2移載装置15は、選択保持部対の他方である第2選択保持部A2の設定高さ又はその近くに位置している。そのため、本実施形態では、第1移載装置14を第1選択保持部A1に対応する設定高さに位置させることを、「第1移載装置14及び第2移載装置15を選択保持部対に対応する設定位置に位置させる」こととしている。
【0025】
制御部Hは、選択制御と移動制御と同時移載制御とを実行する。制御部Hは、選択制御、移動制御、同時移載制御の順に実行する。尚、制御部Hは、第1移載装置14又は第2移載装置15のいずれか一方のみにより、保持部Aの支持体11から支持部26への容器1の移載、又は、支持部26から保持部Aの支持体11への容器1の移載をする片側移載制御を実施するが、本明細書では説明は省略する。
【0026】
選択制御は、複数の保持部Aのうち第1移載装置14と第2移載装置15とで同時に移載可能な2つの保持部Aの組み合わせを選択保持部対として選択する制御である。説明を加えると、上下方向Zに隣接する2段の保持部Aにおける下段の保持部Aの1つと上段の保持部Aの1つとを、第1移載装置14と第2移載装置15とで同時に移載可能な2つの保持部Aの組み合わせ(候補保持部対)としている。そして、選択制御では、複数ある候補保持部対から候補条件に基づいて候補保持部対を絞り、複数ある候補保持部対の中から選択した1組の選択保持部対を設定する。
【0027】
1つ目の候補条件では、保持部Aの容器1の有無に基づいて保持部対を絞る。つまり、1つ目の候補条件について、掬いの場合は、候補保持部対における2つの保持部Aの双方に容器1が収納されていることを条件とし、降しの場合は、候補保持部対における2つの保持部Aの双方に容器1が収納されていないことを条件としている。また、2つ目の候補条件は、禁止保持部対として選択されていないことを条件としている。つまり、選択制御では、複数ある候補保持部対から、1つ目の候補条件及び2つ目の候補条件を満たす候補保持部対に絞る。このように、制御部Hは、選択制御において、同時に移載可能な2つの保持部Aの組み合わせのうち、禁止保持部対を除く組み合わせの中から選択保持部対を選択する。
【0028】
選択制御では、候補条件に基づいて候補保持部対を絞った場合に、候補保持部対が1つ残った場合は、その候補保持部対が選択保持部対として選択される。また、選択制御では、候補条件に基づいて候補保持部対を絞った場合に、候補保持部対が複数残った場合は、位置条件(例えば、移動制御における第1移載装置14や第2移載装置15の移動距離等)に基づいて、複数の候補保持部対から1つの選択保持部対が選択される。尚、候補保持部対が1つも残らなかった場合は、選択保持部対は選択されず、同時に移載不可能な2つの保持部Aの組み合わせが選択される。
【0029】
移動制御は、第1移載装置14及び第2移載装置15を選択保持対に対応する設定位置に位置させるように昇降体16を移動させる制御である。本実施形態には、移動制御は、第1移載装置14を選択保持部対の第1選択保持部A1に対応する設定高さに位置するように、第4駆動部39を制御する。
そして、掬いの場合の移動制御では、第1移載装置14を第1選択保持部A1に対応する設定高さに位置させた状態で、第1移載装置14の支持部26が第1選択保持部A1の第1設定位置に位置するように、第1移載装置14の第1駆動部27及び第3駆動部29を制御すると共に、第2移載装置15の支持部26が第2選択保持部A2の第1設定位置に位置するように、第2移載装置15の第1駆動部27及び第3駆動部29を制御する。
また、降しの場合の移動制御では、第1移載装置14を第1選択保持部A1に対応する設定高さに位置させた状態で、第1移載装置14の支持部26が第1選択保持部A1の第2設定位置に位置するように、第1移載装置14の第1駆動部27及び第3駆動部29を制御すると共に、第2移載装置15の支持部26が第2選択保持部A2の第2設定位置に位置するように、第2移載装置15の第1駆動部27及び第3駆動部29を制御する。
【0030】
同時移載制御は、第1移載装置14及び第2移載装置15が設定位置に位置する状態で、第1移載装置14による選択保持部対のうちの一方である第1選択保持部A1への容器1の移載と、第2移載装置15による選択保持部対のうちの他方である第2選択保持部A2への容器1の移載と、を同時に行わせる制御である。
掬いの場合の同時移載制御では、第1移載装置14の支持部26引退位置から突出位置に突出させた後、第1設定位置から第2設定位置に上昇させ、その後、突出位置から引退位置に引退させるように、第1移載装置14の第1駆動部27と第2駆動部28を制御すると共に、第2移載装置15の支持部26引退位置から突出位置に突出させた後、第1設定位置から第2設定位置に上昇させ、その後、突出位置から引退位置に引退させるように、第2移載装置15の第1駆動部27と第2駆動部28を制御する。
降しの場合同時移載制御では、第1移載装置14の支持部26引退位置から突出位置に突出させた後、第2設定位置から第1設定位置に下降させ、その後、突出位置から引退位置に引退させるように、第1移載装置14の第1駆動部27と第2駆動部28を制御すると共に、第2移載装置15の支持部26引退位置から突出位置に突出させた後、第2設定位置から第1設定位置に下降させ、その後、突出位置から引退位置に引退させるように、第2移載装置15の第1駆動部27と第2駆動部28を制御する。
【0031】
そして、同時移載制御では、第1移載装置14の支持部26の移動と第2移載装置15の支持部26の移動とを同期させて、第1移載装置14による保持部Aの支持体11から支持部26への容器1の移載と、第2移載装置15による保持部Aの支持体11から支持部26への容器1の移載と、を同時に行うと共に、第1移載装置14による支持部26から保持部Aの支持体11への容器1の移載と、第2移載装置15による支持部26から保持部Aの支持体11への容器1の移載と、を同時に行う。
【0032】
物品搬送設備は、制御部Hが移動制御を実行した後で、第1移載装置14が第1選択保持部A1に対して適切な位置に位置していないこと、及び、第2移載装置15が第2選択保持部A2に対して適切な位置に位置していないことの少なくとも一方である位置エラーを検出する位置エラー検出部46を備えている。位置エラー検出部46は、第1移載装置14に備えられた投受光装置30と第2移載装置15に備えられた投受光装置30とにより構成されている。つまり、位置エラー検出部46は、制御部Hが移動制御を実行した後で、第1移載装置14に備えられている投受光装置30が検出板を検出していない場合を、第1移載装置14が第1選択保持部A1に対して適切な位置に位置していないことの検出としている。また、位置エラー検出部46は、制御部Hが移動制御を実行した後で、第2移載装置15に備えられている投受光装置30が検出板を検出していない場合を、第2移載装置15が第2選択保持部A2に対して適切な位置に位置していないことの検出としている。
【0033】
物品搬送設備は、制御部Hが同時移載制御を実行した後で、第1移載装置14による第1選択保持部A1への容器1の移載の失敗、及び、第2移載装置15による第2選択保持部A2への容器1の移載の失敗の少なくとも一方である移載エラーを検出する移載エラー検出部47を備えている。移載エラー検出部47は、保持部Aの夫々に備えられている在荷センサ12により構成されている。つまり、移載エラー検出部47は、制御部Hが同時移載制御を実行した後で、第1選択保持部A1に備えられている在荷センサ12がON操作されない場合を、第1移載装置14による第1選択保持部A1への容器1の移載の失敗の検出としている。また、移載エラー検出部47は、制御部Hが同時移載制御を実行した後で、第2選択保持部A2に備えられている在荷センサ12がON操作されない場合を、第2移載装置15による第2選択保持部A2への容器1の移載の失敗の検出としている。
【0034】
移載エラー検出部47や位置エラー検出部46が、エラーを検出するエラー検出部に相当する。そして、エラーとしては、第1移載装置14や第2移載装置15が選択保持部に対して適切に位置していない位置エラーや、第1移載装置14や第2移載装置15が選択保持部への容器1の移載を失敗した移載エラーが考えられる。
【0035】
図9のフローチャートに基づいて、掬いの場合についての制御部Hの制御について説明する。制御部Hは、設定制御を実行して、1組の選択保持部対を設定する(♯1)。次に、制御部Hは、移動制御を実行して、第1移載装置14の支持部26を第1選択保持部A1に対して設定された第1設定位置に位置させると共に、第2移載装置15の支持部26を第2選択保持部A2に対して設定された第1設定位置に位置させる(♯2)。その後、制御部Hは、同時移載制御を実行して、第1移載装置14の支持部26に支持されている容器1を第1選択保持部A1の支持体11に移載すると共に、第2移載装置15の支持部26に支持されている容器1を第2選択保持部A2の支持体11に移載する(♯4)。
【0036】
次に、図9のフローチャートに基づいて、降しの場合についての制御部Hの制御について説明する。制御部Hは、設定制御を実行して、1組の選択保持部対を設定する(♯1)。次に、制御部Hは、移動制御を実行して、第1移載装置14の支持部26を第1選択保持部A1に対して設定された第2設定位置に位置させると共に、第2移載装置15の支持部26を第2選択保持部A2に対して設定された第2設定位置に位置させる(♯2)。その後、制御部Hは、同時移載制御を実行して、第1選択保持部A1の支持体11に支持されている容器1を第1移載装置14の支持部26に移載すると共に、第2選択保持部A2の支持体11に支持されている容器1を第2移載装置15の支持部26に移載する(♯4)。
【0037】
そして、制御部Hは、移動制御を実行した後に、位置エラー検出部46による位置エラーを検出した場合は、設定制御を実行する(♯3,♯6)。また、制御部Hは、同時移載制御を実行した後に、移載エラー検出部47による移載エラーを検出した場合は、設定制御を実行する(♯5、♯6)。設定制御は、同じ選択保持部対に対して位置エラー及び移載エラーが発生した回数を積算し、その発生回数が連続する一定回数であるM回内でN回以上発生した場合は、選択保持部対として設定していた2つの保持部Aを禁止保持部対として設定する制御である。尚、N及びMは、1以上の整数であり、Mは、Nと同数又は大きい数である。本実施形態では、Mを5とし、Nを3としており、連続する5回のうち3回以上エラーが発生した場合に、選択保持部対として設定していた2つの保持部Aが禁止保持部対として設定される。
このように制御部Hは、位置エラー検出部46による位置エラー、及び、移載エラー検出部47による移載エラーの少なくとも一方を検出したことを条件に、選択保持部対として設定していた2つの保持部Aを禁止保持部対として設定しており、設定部45としての機能を有している。
【0038】
〔設定部〕
また、設定部45は、人為的に禁止保持部対を設定可能なように端末50が備えられている。端末50は、制御部Hとの間で各種情報を無線通信可能に構成されている。端末50には、タッチパネル51が備えられている。このタッチパネル51は、表示部52としての機能と人為操作可能な入力部53としての機能とが備えられている。
タッチパネル51は、図10に示す第1表示状態と図11に示す第2表示状態とを表示可能に構成されている。第1表示状態は、複数の保持部Aのうちの一部についてのシンボルSを一括表示する。そして、第1表示状態及び第2表示状態では、保持部Aについて、収納部6を示すシンボルS(SA)と入出搬送装置4の入出部9を示すシンボルS(SB)とは異なる表示となっている。そのため、端末50を操作する操作者は、タッチパネル51に表示されているシンボルSが、保持部Aを示しているシンボルS(SA)か入出部9を示しているシンボルS(SB)かを判別できるようになっている。
【0039】
図10に示すように、第1表示状態では、上下方向Zに並ぶ4段分の保持部AについてのシンボルSが一括表示されている。尚、当該4段分の保持部Aについては、周方向Rに並ぶ複数ベイの保持部Aの全て(本実施形態では5ベイの保持部Aの全て)が一括表示されている。タッチパネル51が第1表示状態を表示している状態において、タッチパネル51により、表示されている複数のシンボルSのうちの1つを選択する操作を行うことで、タッチパネル51の表示状態が第1表示状態から第2表示状態に切り換わる。図11では、レベル8、ベイ4の収納部6に対応するシンボルSを選択している。
【0040】
第2表示状態では、第1シンボルS1を他のシンボルSと異なる表示とすると共に複数の第2シンボルS2を他のシンボルSと異なる表示としている。第1シンボルS1は、第1表示状態においてタッチパネル51の操作により選択された1つのシンボルSである。第2シンボルS2は、第1シンボルS1に対応する保持部Aと同時移載可能な保持部AについてのシンボルSである。本実施形態では、第1シンボルS1は、シンボルSから色や模様等を変更することで、他のシンボルSと異なる表示としている。また、第2シンボルS2は、シンボルSから「OK」又は「NG」を示す文字を付加するようにして、他のシンボルSと異なる表示としている。そして、第1表示状態から第2表示状態に切り換わったときに「NG」が示されている第2シンボルS2は、その第2シンボルS2に対応する保持部Aと第1シンボルS1に対応する保持部Aとの2つの保持部Aが、禁止保持部対として設定されていることを示している。第1表示状態から第2表示状態に切り換わったときに「OK」が示されている第2シンボルS2は、その第2シンボルS2に対応する保持部Aと第1シンボルS1に対応する保持部Aとの2つの保持部Aが、禁止保持部対として設定されていないことを示している。
【0041】
そして、第2表示状態では、「OK」が示されている第2シンボルS2を選択する操作をタッチパネル51により行うことで、第2シンボルS2に示されている文字が「不可」が変わる。また、第2表示状態では、「NG」が示されている第2シンボルS2を選択する操作をタッチパネル51により行うことで、第2シンボルS2に示されている文字が「OK」に切り換わる。そして、確定シンボルKSを選択する操作をタッチパネル51により行うことで、端末50における操作情報が制御部Hに送信されて、制御部Hにより、第2シンボルS2に示されている文字に応じて禁止保持部対としての設定と設定解除とが行われる。
【0042】
つまり。第2表示状態では、「OK」が示されている第2シンボルS2を選択する操作をタッチパネル51により行うことで、第2シンボルS2に示されている文字が「NG」が変わる。その後、確定シンボルKSを選択する操作をタッチパネル51により行うことで、設定部45は、第1シンボルS1に対応する保持部Aと、選択されて示されている文字が「NG」に切り換わった第2シンボルS2に対応する保持部Aと、を禁止保持部対として設定する。このように、設定部45は、第2表示状態においてタッチパネル51の操作により第2シンボルS2の一つが選択されるに伴って、第1シンボルS1に対応する保持部Aと選択された第2シンボルS2に対応する保持部Aとを禁止保持部対として設定する。
【0043】
2.その他の実施形態
次に、物品搬送設備のその他の実施形態について説明する。
【0044】
(1)上記実施形態では、位置エラー検出部46により位置エラーが検出されること、又は、移載エラー検出部47により移載エラーが検出されることを条件に、設定部45が、選択保持部対として選択されていた2つの保持部Aを禁止保持部対として設定したが、位置エラー検出部46により位置エラーが検出されること、又は、移載エラー検出部47により移載エラーが検出されることを条件に、報知部が、選択保持部対として選択されていた2つの保持部Aを禁止保持部対の候補として報知するようにしてもよい。具体的には、端末50を報知部として、位置エラー検出部46により位置エラーが検出された場合や移載エラー検出部47により移載エラーが検出された場合に、端末50のタッチパネル51に選択保持部対として選択されていた2つの保持部Aの情報を表示するようにしてもよい。
【0045】
(2)上記実施形態では、同じ選択保持部対に対して位置エラー及び移載エラーが発生した回数を積算し、その発生回数が連続する一定回数であるM回内でN回以上発生した場合に、選択保持部対として設定していた2つの保持部Aを禁止保持部対として設定するときに、M=5、N=3としたが、M=10、N=3のように、N及びMが1以上の整数であり、MがNと同数又は大きい数であれば、M及びNは適宜変更してもよい。つまり、MとNとを同数にして、連続してM回エラーが発生した場合に、選択保持部対として設定していた2つの保持部Aを禁止保持部対として設定するようにしてもよい。
【0046】
(3)上記実施形態では、表示部52に表示したシンボルSを選択する操作を行って、設定部45により禁止保持部対を設定するように構成したが、設定部45の人為操作により設定する構成は適宜変更してもよい。具体的には、例えば、入力部53によりベイ位置とレベル位置を示す文字を2つずつ入力するに伴って、当該入力したベイ位置とレベル位置に応じた2つの保持部Aを禁止保持部対として設定するようにしてもよい。
【0047】
(4)上記実施形態では、位置エラー検出部46と移載エラー検出部47との双方を備えたが、位置エラー検出部46と移載エラー検出部47との一方又は双方を設けなくてもよい。つまり、設定部45は、位置エラー検出部46が位置エラーを検出したことのみを条件に、選択保持部対として設定していた2つの保持部Aを禁止保持部対として設定してもよく、移載エラー検出部47が移載エラーを検出したことのみを条件に、選択保持部対として設定していた2つの保持部Aを禁止保持部対として設定してもよい。また、このように、エラーが生じたときに制御部Hが自動的に禁止保持部対を設定することはせずに、人為的に入力部53を操作することのみで禁止保持部対を設定するようにしてもよい。
【0048】
(5)上記実施形態では、第1移載装置14と第2移載装置15とを上下方向Zに並べた状態で設けたが、第1移載装置14と第2移載装置15とを水平方向に並べた状態で設けてもよい。具体的には、スタッカークレーンに第1移載装置14と第2移載装置15とを備え、これら第1移載装置14と第2移載装置15とをスタッカークレーンの走行方向に並べた状態で設けてもよい。
【0049】
(6)上記実施形態では、第1移載装置14と第2移載装置15との2つの移載装置を備えたが、第1移載装置14と第2移載装置15とに第3移載装置を加えた3つの移載装置を備える等、3つ以上の移載装置を備えてもよい。
【0050】
(7)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0051】
3.上記実施形態の概要
以下、上記において説明した物品搬送設備の概要について説明する。
【0052】
物品搬送設備は、物品を保持可能な複数の保持部と、前記保持部に物品を移載する第1移載装置及び第2移載装置と、前記第1移載装置と前記第2移載装置とを一体的に移動させる移動部と、前記第1移載装置、前記第2移載装置及び前記移動部を制御する制御部と、を備えている物品搬送設備であって、
前記移動部は、前記第1移載装置と前記第2移載装置とを一定間隔で連結する連結部を備え、前記制御部は、選択制御と移動制御と同時移載制御とを実行し、前記選択制御は、前記複数の保持部のうち前記第1移載装置と前記第2移載装置とで同時に移載可能な2つの前記保持部の組み合わせを選択保持部対として選択する制御であり、前記移動制御は、前記第1移載装置及び前記第2移載装置を前記選択保持部対に対応する設定位置に位置させるように前記移動部を移動させる制御であり、前記同時移載制御は、前記第1移載装置及び前記第2移載装置が前記設定位置に位置する状態で、前記第1移載装置による前記選択保持部対のうちの一方である第1選択保持部への物品の移載と、前記第2移載装置による前記選択保持部対のうちの他方である第2選択保持部への物品の移載と、を同時に行わせる制御であり、前記第1移載装置と前記第2移載装置とで同時に移載可能な2つの前記保持部の組み合わせのうち、同時移載を禁止する2つの前記保持部の組み合わせを禁止保持部対として設定する設定部を、更に備え、前記制御部は、前記選択制御において、前記複数の保持部のうち前記第1移載装置と前記第2移載装置とで同時に移載可能な2つの前記保持部の組み合わせのうち、前記禁止保持部対を除く組み合わせの中から前記選択保持部対を選択する。
【0053】
このような構成により、第1移載装置と第2移載装置とにより物品を2つの保持部に移載する場合にエラーが起きる虞がある又はエラーが起きたことがある2つの保持部について、設定部により禁止保持部対として設定できる。このように禁止保持部対として設定された2つの保持部の対は、選択制御により選択保持部対として選択されない。そのため、禁止保持部対には同時移載制御により物品が移載されないため、エラーを未然に防止できる。尚、エラーとしては、第1移載装置や第2移載装置が選択保持部に対して適切な位置に位置していない位置エラーや、第1移載装置や第2移載装置が保持部への物品の移載を失敗した移載エラーが考えられる。
【0054】
そして、保持部の相対的な位置関係によって、ある2つの保持部(第1の保持部と第2の保持部)を組み合わせでは、第1移載装置と第2移載装置とで同時に保持部に移載しようとするとエラーが生じるが、当該2つの保持部の一方の保持部(第1の保持部又は第2の保持部)と、当該2つの保持部以外の保持部(第3の保持部)との組み合わせでは、第1移載装置と第2移載装置とで同時に移載しようとしてもエラーが生じない場合がある。禁止保持部は禁止保持部対として対で設定するため、前者の2つの保持部(第1の保持部と第2の保持部)については禁止保持部対として設定し、後者の2つの保持部(第1の保持部と第3の保持部、又は、第2の保持部と第3の保持部)については禁止保持部対として設定しないようにできる。この場合では、選択制御において、後者の2つの保持部が選択保持部対として選択される場合があり、禁止保持部対として設定されている保持部であったとしても、同時移載制御を実行することで物品を移載できるため、保持部を効率よく利用できる。
【0055】
ここで、エラーを検出するエラー検出部を、更に備え、前記エラー検出部は、前記制御部が前記移動制御を実行した後で、前記第1移載装置が前記第1選択保持部に対して適切な位置に位置していないこと、及び、前記第2移載装置が前記第2選択保持部に対して適切な位置に位置していないことの少なくとも一方である位置エラーを検出すると好適である。
【0056】
この構成によれば、第1移載装置が第1選択保持部に対して適切な位置に位置していない、又は、第2移載装置が第2選択保持部に対して適切な位置に位置していないような位置エラーが生じている場合は、第1移載装置と第2移載装置とにより選択保持部対に物品を移載するときに物品の移載を失敗する虞がある。エラー検出部は、このように第1移載装置と第2移載装置とにより選択保持部対に物品を移載するときに物品の移載を失敗する虞がある位置エラーを検出できる。そのため、このエラー検出部の検出情報に基づいて、設定部により禁止保持部対を設定できる。
【0057】
ここで、エラーを検出するエラー検出部を更に備え、前記エラー検出部は、前記制御部が前記同時移載制御を実行した後で、前記第1移載装置による前記第1選択保持部への物品の移載の失敗、及び、前記第2移載装置による前記第2選択保持部への物品の移載の失敗の少なくとも一方である移載エラーを検出すると好適である。
【0058】
この構成によれば、エラー検出部は、第1移載装置による第1選択保持部への物品の移載が失敗している、又は、第2移載装置による第2選択保持部への物品の移載が失敗している移載エラーを検出できる。そのため、このエラー検出部の検出情報に基づいて、設定部により禁止保持部対を設定できる。
【0059】
ここで、前記設定部は、前記エラー検出部がエラーを検出したことを条件に、前記選択保持部対として設定していた2つの前記保持部を前記禁止保持部対として設定すると好適である。
【0060】
この構成によれば、エラー検出部によりエラーが検出された場合は、選択保持部対として設定されていた2つの保持部を禁止保持部対として設定部により設定される。そのため、例えば、位置エラーや移載エラーが生じた場合に作業者が手動操作により禁止保持部対を設定する必要がないため、禁止保持部対の設定を容易に行える。
【0061】
ここで、前記エラー検出部がエラーを検出したことを条件に、前記選択保持部対として選択されていた2つの前記保持部を、前記禁止保持部対の候補として報知する報知部を、更に備えていると好適である。
【0062】
この構成によれば、エラー検出部によりエラーが検出された場合は、選択保持部対として選択されていた2つの保持部を、禁止保持部対の候補として報知部が報知する。そのため、作業者は、報知部が報知した禁止保持部対の候補として報知された2つの保持部を禁止保持部対として設定する操作を行い易い。
【0063】
また、前記設定部は、表示部と人為操作可能な入力部とを備え、前記表示部は、前記複数の保持部のうちの全部又は一部についてのシンボルを一括表示する第1表示状態と、前記第1表示状態において前記入力部の操作により選択された1つの前記シンボルである第1シンボルを他の前記シンボルと異なる表示とする共に前記第1シンボルに対応する前記保持部と同時移載可能な前記保持部についてのシンボルである1つ又は複数の第2シンボルを他の前記シンボルと異なる表示とする第2表示状態と、を表示可能に構成され、前記設定部は、前記第2表示状態において前記入力部の操作により前記第2シンボルの一つが選択されるに伴って、前記第1シンボルに対応する保持部と選択された前記第2シンボルに対応する保持部とを前記禁止保持部対として設定すると好適である。
【0064】
この構成によれば、第1表示状態において、入力部の操作により1つのシンボルを選択する操作を行うことで、表示部の表示状態は、第1表示状態から第2表示状態に切り替わる。この第2表示状態では、入力部の操作により選択した1つのシンボルである第1シンボルが他のシンボルと異なる表示となる。そのため、入力部を操作する操作者は、選択したシンボルを正しく認識し易い。また、第2表示状態では、第1シンボルに対応する保持部と同時移載可能な保持部についてのシンボルである1つ又は複数の第2シンボルが他のシンボルと異なる表示となる。そのため、入力部を操作する操作者は、選択した第1シンボルと禁止保持部対となり得るシンボルを正しく認識し易い。
そして、第2表示状態において入力部の操作により第2シンボルの一つが選択されるに伴って、第1シンボルに対応する保持部と選択された第2シンボルに対応する保持部とが禁止保持部対として設定される。このように、表示部に表示された保持部のシンボルを選択する操作を行うことで禁止保持部対を設定できるため、禁止保持部対の設定を容易に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本開示に係る技術は、第1移載装置と第2移載装置とを一体的に移動させる移動部を備えた物品搬送設備に利用することができる。
【符号の説明】
【0066】
1:容器(物品)
14:第1移載装置
15:第2移載装置
24:連結部
44:移動部
45:設定部
46:位置エラー検出部(エラー検出部)
47:移載エラー検出部(エラー検出部)
52:表示部
53:入力部
A:保持部
A1:第1選択保持部
A2:第2選択保持部
H:制御部
S:シンボル
S1:第1シンボル
S2:第2シンボル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11