特許第6593317号(P6593317)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6593317
(24)【登録日】2019年10月4日
(45)【発行日】2019年10月23日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20191010BHJP
   B41J 29/13 20060101ALI20191010BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20191010BHJP
【FI】
   G03G21/16 133
   B41J29/13
   H05K5/03 A
   H05K5/03 C
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-244296(P2016-244296)
(22)【出願日】2016年12月16日
(65)【公開番号】特開2018-97300(P2018-97300A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2018年10月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】小▲柳▼ 剛
【審査官】 佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−038536(JP,A)
【文献】 特開2012−118170(JP,A)
【文献】 特開2008−145785(JP,A)
【文献】 特開平11−024353(JP,A)
【文献】 特開2015−036728(JP,A)
【文献】 特開2006−003825(JP,A)
【文献】 特開2016−039159(JP,A)
【文献】 特開2014−048461(JP,A)
【文献】 特開2016−078271(JP,A)
【文献】 実開平04−113666(JP,U)
【文献】 特開2001−207717(JP,A)
【文献】 特開平02−275696(JP,A)
【文献】 実開平04−127685(JP,U)
【文献】 欧州特許出願公開第2009755(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
B41J 29/13
H05K 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に形成された開口を閉塞するカバーと、
前記装置本体に対して前記カバーを開閉可能に連結するヒンジ部と、を備え、
前記ヒンジ部は、
前記装置本体において前記開口の内側に設けられた円弧形状の内部レール部材と、
前記内部レール部材にスライド可能に支持され、前記開口よりも内側に配置される第1位置と前記開口よりも外側に突出する第2位置との間で前記内部レール部材に沿って円弧を描くように変位可能な円弧形状の中間レール部材と、
前記カバーに連結される連結部と、前記中間レール部材にスライド可能に支持される円弧形状の被支持部とを有し、前記中間レール部材側に前記連結部が配置される第3位置と前記第3位置よりも前記開口の外側であって前記開口の下縁よりも下側に前記連結部が配置される第4位置との間で変位可能な可動レール部材と、を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記内部レール部材は、前記中間レール部材を前記第1位置で制止する第1制止部を有する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記内部レール部材は、前記中間レール部材の一方の第1側部をガイドする円弧形状の第1レールガイドを有し、
前記第1制止部は、前記第1レールガイドに設けられている請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記内部レール部材は、前記中間レール部材を前記第2位置で制止する第2制止部を有する請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記内部レール部材は、前記中間レール部材の他方の第2側部をガイドする円弧形状の第2レールガイドを有し、
前記第2制止部は、前記第2レールガイドに設けられている請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記中間レール部材は、前記可動レール部材の前記被支持部の上面をガイドする円弧形状の第1ガイド面を有し、
前記被支持部の上面に、前記第1ガイド面へ向けて突出する突部が設けられている請求項1から5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記中間レール部材は、前記被支持部の上面をガイドする円弧形状の第1ガイド面を有し、
前記第1ガイド面に、前記被支持部の上面へ向けて突出する突部が設けられている請求項1から5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記中間レール部材は、前記被支持部の下面に面接触してガイドする第2ガイド面を有する請求項6又は7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記中間レール部材は、前記被支持部の一方の第3側部をガイドする第3ガイド面と、前記第3ガイド面に垂直な方向に突出して設けられたガイドピンと、を有し、
前記被支持部は、前記ガイドピンが挿通されて、前記第3位置と前記第4位置との間で前記被支持部をガイドする円弧形状の第3レールガイドを有する請求項1から8のいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置本体の開口を閉塞するカバーを備える画像形成装置に関し、特に、装置本体にカバーを開閉可能に連結するヒンジ部の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式に基づいて印刷用紙に画像を形成するコピー機やプリンターなどの画像形成装置が知られている。この種の画像形成装置には、内部の構成要素を着脱したり、内部で詰まった印刷用紙を取り除いたりするための開口が設けられている。前記開口は、普段はカバーで閉塞されているが、必要に応じて前記開口を開放させる必要がある。そのため、前記カバーは、前記開口を開閉可能なように、ヒンジ部によって装置本体に回動可能に連結されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−21135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の画像形成装置では、カバーの回動中心に支軸が設けられている。前記支軸が、装置本体の開口の下縁に設けられている場合は、カバーが開けられた状態でも前記開口が完全に開放されず、前記開口の下縁がカバーによって覆われる。このため、メンテナンス時に作業者が前記開口から装置の内部にアクセスし難い場合がある。また、前記支軸が前記開口の下縁よりも下側に設けられている場合は、カバーが開けられた状態で前記開口が完全に開放される。しかしながら、前記開口の下縁の下側に前記支軸を設けるためのスペースを要するため、装置のコンパクト化を阻害する。
【0005】
本発明の目的は、装置本体の開口よりも内側にヒンジ部が設けられた構成であっても、装置本体の省スペース化を実現するとともに、カバーが開けられた状態で前記開口を完全に開放することが可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の局面に係る画像形成装置は、カバーと、ヒンジ部と、を備える。前記カバーは、装置本体に形成された開口を閉塞する。前記ヒンジ部は、前記装置本体に対して前記カバーを開閉可能に連結する。前記ヒンジ部は、内部レール部材と、中間レール部材と、可動レール部材と、を備える。前記内部レール部材は、前記装置本体において前記開口の内側に設けられており、円弧形状に形成されている。前記中間レール部材は、前記内部レール部材にスライド可能に支持されている。前記中間レール部材は、前記開口よりも内側に配置される第1位置と前記開口よりも外側に突出する第2位置との間で前記内部レール部材に沿って円弧を描くように変位可能に構成されており、円弧形状に形成されている。前記可動レール部材は、連結部と、被支持部と、を有する。前記連結部は、前記カバーに連結される部分である。前記被支持部は、前記中間レール部材にスライド可能に支持される部分であり、円弧形状に形成されている。前記可動レール部材は、前記中間レール部材側に前記連結部が配置される第3位置と前記第3位置よりも前記開口の外側であって前記開口の下縁よりも下側に前記連結部が配置される第4位置との間で変位可能に構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、装置本体の開口よりも内側にヒンジ部が設けられた構成であっても、装置本体の省スペース化を実現するとともに、カバーが開けられた状態で前記開口を完全に開放することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置を示す斜視図である。
図2図2は、図1の画像形成装置の前面開口とカバーとを示す部分拡大図である。
図3図3は、カバーのヒンジ部の構成を示す部分拡大図である。
図4図4は、カバーのヒンジ部の構成を示す部分拡大図である。
図5図5は、カバーのヒンジ部の構成を示す部分拡大図である。
図6図6は、カバーが閉じられた状態のヒンジ部の断面構造を示す断面図である。
図7図7は、図6における矢視VII−VIIの断面図であり、ヒンジ部を構成する右側の第1固定レール部材の構成が示されている。
図8図8は、ヒンジ部を構成する左側の第2固定レール部材の構成を示す斜視図である。
図9図9は、ヒンジ部を構成する左側の第2固定レール部材の構成を示す斜視図である。
図10図10は、ヒンジ部を構成する中間レール部材の構成を示す斜視図である。
図11図11は、ヒンジ部を構成する中間レール部材の構成を示す斜視図である。
図12図12は、ヒンジ部を構成する可動レール部材の構成を示す斜視図である。
図13図13は、ヒンジ部を構成する可動レール部材の構成を示す斜視図である。
図14図14は、図6における矢視XIV−XIVの断面図であり、カバーが閉じられたときのヒンジ部を示す図である。
図15図15は、ヒンジ部の動作を説明するための図であり、カバーが約45度開かれた状態が示されている。
図16図16は、ヒンジ部の動作を説明するための図であり、カバーが約90度開かれた状態が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置10の構成を示す図である。なお、説明の便宜上、画像形成装置10が使用可能な設置状態(図1に示す状態)において上下方向6及び前後方向7を定義する。また、前記設置状態の画像形成装置10の正面を基準にして左右方向8を定義する。
【0011】
図1に示すように、画像形成装置10は、いわゆる複合機であり、プリント機能、コピー機能、ファクシミリ機能、及びスキャン機能などの各機能を備える。なお、画像形成装置10は複合機に限られず、プリント機能を有する装置であればよく、例えば、プリンターや複写機、FAX装置などの専用機であってもよい。
【0012】
画像形成装置10は、画像読取部12と、画像形成部14と、シート給送装置16と、シート中継装置18(図2参照)と、を備える。画像読取部12は、原稿の画像を読み取る処理(画像読取処理)を行うものであり、画像形成装置10の上部に設けられている。画像形成部14は、電子写真方式に基づいて画像を形成する処理(画像形成処理)を行うものであり、画像読取部12の下側に設けられている。シート給送装置16は、内部に収容されている印刷用紙を1枚ずつピックアップして画像形成部14に給送するものであり、画像形成装置10の下部に設けられている。
【0013】
画像読取部12は、ADF(不図示)によって搬送された原稿やコンタクトガラス13上に載置された原稿から画像データを読み取る画像読取処理を実行する。なお、図1には、原稿押さえの図示が省略されている。画像読取部12は従来周知であるため、その詳細な説明を省略する。
【0014】
画像形成部14は、画像読取部12で読み取られた画像データ、又は外部のパーソナルコンピューター等の情報処理装置から入力された印刷ジョブに基づいて画像形成処理(印刷処理)を実行する。
【0015】
画像形成装置10は、装置本体としての筐体21を備える。筐体21は、画像形成部14の外装パネルやシート給送装置16の外装パネルを含む外装フレームと、画像形成装置10の各構成要素などを支持するための内部フレームとにより構成されている。前記外装フレームは、画像形成装置10の全体を覆う。筐体21は、全体として略直方体形状である。筐体21の内部には、画像形成部14を構成する各構成要素の他に、シート中継装置18(図2参照)、トナーコンテナ19(図2参照)、シート給送装置16などが設けられている。
【0016】
画像形成部14は、画像転写部と、定着装置とにより構成されている。前記画像転写部及び前記定着装置は、筐体21の内部に設けられている。前記画像転写部は、感光体ドラム、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置、除電装置などを備えている。画像形成部14では、シート給送装置16から給送される印刷用紙に対して、画像データに基づく画像形成処理が行われる。例えば、外部の装置から印刷指示を含む印刷ジョブが入力されると、前記帯電装置により前記感光体ドラムが所定の電位に一様に帯電される。次に、前記露光装置により前記感光体ドラムの表面に印刷ジョブに含まれる画像データに基づく光が照射される。これにより、前記感光体ドラムの表面に静電潜像が形成される。そして、前記感光体ドラム上の静電潜像は前記現像装置によりトナー像として現像(可視像化)される。続いて、前記感光体ドラムに形成されたトナー像は前記転写装置によって印刷用紙に転写される。転写後、前記感光体ドラムの電位は前記除電装置によって除電される。その後、印刷用紙に転写されたトナー像は、その印刷用紙が前記定着装置を通過して排出される際に前記定着装置によって加熱されて、前記印刷用紙に定着される。
【0017】
図2に示すように、筐体21の左側面には、上下に並んで、上側排紙トレイ17A及び下側排紙トレイ17Bが設けられている。前記定着装置を通過した印刷用紙は、筐体21の右側から、筐体21の上部に配置されたシート中継装置18を左側へ搬送されて、上側排紙トレイ17A又は下側排紙トレイ17Bのいずれかに排出される。
【0018】
本実施形態では、筐体21の前面21Aに矩形状の開口25が形成されている。また、筐体21の前面21Aには、開口25を閉塞するためのカバー30が設けられている。この開口25は、筐体21の内部をメンテナンスする場合に開けられる。付帯的には、シート中継装置18やトナーコンテナ19などを取り外したり、装着したりする場合に、カバー30が閉位置から開位置に開けられて、開口25が開放される。
【0019】
開口25よりも内部側に、シート中継装置18を装着するための中継装置装着部23が設けられている。中継装置装着部23は、開口25よりも内部側の内部空間において上部に設けられている。具体的には、図2に示すように、開口25の内側にインナーカバー27が設けられており、そのインナーカバー27の上部に中継装置装着部23が設けられている。インナーカバー27は、筐体21にビスなどによって固定されている。中継装置装着部23は、シート中継装置18を前後方向7へスライド移動可能に支持する。したがって、作業者は、メンテナンスする場合、或いはシート中継装置18で詰まった印刷用紙を除去する場合に、カバー30を開けると、シート中継装置18を図2に示す装着位置から手前へ引き出して開口25よりも外側へ引っ張り出すことが可能である。
【0020】
トナーコンテナ19は、前記現像装置に補給されるトナーを収容するものである。図2に示すように、トナーコンテナ19は、筐体21に装着されている。トナーコンテナ19ら前記現像装置にトナーが補給されて、トナーコンテナ19が空になると、トナーコンテナ19は、トナーが満載された新たなトナーコンテナ19と交換される。
【0021】
開口25よりも内部側に、トナーコンテナ19を装着するためのコンテナ装着部26が設けられている。コンテナ装着部26は、開口25よりも内部側の内部空間において右側下部に設けられている。具体的には、図2に示すように、インナーカバー27の右側下部にコンテナ装着部26が設けられている。コンテナ装着部26は、トナーコンテナ19を前後方向7へスライド移動可能に支持する。したがって、作業者は、メンテナンスする場合、或いはトナーコンテナ19を交換する場合に、カバー30を開けると、トナーコンテナ19を図2に示す装着位置から手前へ引き出して開口25よりも外側へ引っ張り出して取り外すことができる。また、作業者は、カバー30を開けた状態で、新たなトナーコンテナ19を開口25からコンテナ装着部26に挿入して装着することが可能である。
【0022】
上述したように、筐体21には、開口25を開閉するためのカバー30が設けられている。カバー30は、開口25の下縁25A付近を回動支点として、開口25を閉塞する閉位置(図1に示す位置)と、開口25を開放する開位置(図2に示す位置)との間で回動可能に支持されている。本実施形態では、カバー30は、開口25の幅方向の両端それぞれに設けられたヒンジ部40によって、回動可能に支持されている。
【0023】
ところで、従来のカバーは、その回動中心に設けられた支軸によって回動可能に支持されている。本実施形態の画像形成装置10において、前記支軸が、開口25の下縁25Aに設けられている場合は、カバー30が開けられた状態でも開口25が完全に開放されず、開口25の下縁25Aがカバー30によって覆われてしまう。この場合、メンテナンス時に作業者が開口25から筐体21の内部にアクセスし難い。また、前記支軸が開口25の下縁25Aよりも下側に設けられている場合は、カバー30が開けられた状態で開口25が完全に開放される。しかしながら、開口25の下縁25Aよりも更に下側に前記支軸を設けるためのスペースを要するため、画像形成装置10が大型化し、コンパクト化を阻害する。このため、本実施形態の画像形成装置10においては、従来の支持構造とは異なるヒンジ部40を適用することによって、筐体21の開口25よりも内側にヒンジ部40が設けられた場合であっても、筐体21の省スペース化を実現するとともに、カバー30が開けられた状態で開口25を完全に開放することを可能にしている。
【0024】
[ヒンジ部40]
以下、図3乃至図16を参照して、ヒンジ部40の構成について説明する。
【0025】
本実施形態に係るヒンジ部40は、開口25の幅方向の両端それぞれに設けられている。2つのヒンジ部40は、いずれも同じ構成であるため、以下においては、開口25の幅方向の右端部に設けられたヒンジ部40の構成について説明する。ここで、図3乃至図5は、右側のヒンジ部40の部分拡大図である。図3及び図4は、カバー30が開位置に配置されたときのヒンジ部40を示す。図5は、カバー30が閉位置に配置されたときのヒンジ部40を示す。なお、図5では、カバー30の図示が省略されている。
【0026】
ヒンジ部40は、筐体21に対してカバー30を開閉可能なように、筐体21とカバー30とを連結する。本実施形態では、カバー30は、ヒンジ部40によって、開口25を閉塞する閉位置(図1参照)と、開口25を開放する開位置(図3及び図4参照)との間で回動可能である。ここで、前記開位置は、筐体21の前面21Aとカバー30との角度が概ね90度となる位置である。
【0027】
図3に示すように、ヒンジ部40は、インナーカバー27に設けられた内部レール部材42と、内部レール部材42に装着された中間レール部材45と、中間レール部材45に装着された可動レール部材47と、により構成されている。
【0028】
[内部レール部材42]
内部レール部材42は、樹脂成形品であり、筐体21において開口25の内側に設けられた円弧形状の部材である。内部レール部材42は、インナーカバー27と一体に形成された第1固定レール部材421と、インナーカバー27に2つのビス613,614によって固定された第2固定レール部材422と、を含む。内部レール部材42は、各固定レール部材421,422によって中間レール部材45をスライド可能に支持する。
【0029】
第1固定レール部材421は、インナーカバー27の右下隅部に設けられている。インナーカバー27は、開口25の形状に対応して幅方向に長い長方形状の樹脂板部材であり、その右下隅部には、インナーカバー27の前面から後方へ延びる右側壁27A(図5参照)が形成されている。第1固定レール部材421は、右側壁27Aの表面に一体に形成されている。
【0030】
図6は、カバー30が閉位置に配置されたときのヒンジ部40の縦断面図である。図6には、後述のガイドピン71(図10参照)を通る鉛直面でヒンジ部40を切断したときの断面が示されている。図7は、図6における矢視VII−VIIの断面図であり、ヒンジ部40を構成する右側の第1固定レール部材421が示されている。なお、図7では、中間レール部材45及び可動レール部材47の図示が省略されている。
【0031】
図7に示すように、第1固定レール部材421は、中間レール部材45の右側(一方側)の右側部453(図10参照、本発明の第1側部の一例)をガイドする円弧形状の中央レールガイド51(本発明の第1レールガイドの一例)を有している。中央レールガイド51は、前方から後方へ延びる円弧溝形状に形成されている。図7では、中央レールガイド51の前方側の開放口が符号D11で示されており、中央レールガイド51の後方側の開放口が符号D12で示されている。中央レールガイド51は、開放口D11から開放口D12に至るまで同幅の溝状に形成されており、また、開口25の下縁25A(図2参照)よりも下方に中心点(不図示)を有する円弧形状に形成されている。本実施形態では、開放口D11は、開放口D12よりも上側に位置しており、開放口D11を円弧形状の頂部とし、開放口D11から開放口D12へ向けて緩やかに下方へ円弧に沿って傾斜している。
【0032】
中央レールガイド51の底面511には、前後方向7に延びる円弧形状の規制ガイドレール52が形成されている。規制ガイドレール52は、底面511において、中央レールガイド51の上下方向6(縦幅の方向)の中央に形成されている。規制ガイドレール52は、前方から後方へ延びる円弧形状のリブ521と、リブ521の後端部から円弧形状に屈曲した終端部522と、終端部522から前方へ延びる円弧形状のリブ523とが連続して形成されたものである。規制ガイドレール52の幅(リブ521とリブ523の間隔)は一定である。
【0033】
規制ガイドレール52は、中央レールガイド51と同じ中心点を有する円弧形状に形成されている。規制ガイドレール52の前方側は、開放口D11と概ね同じ位置まで延出されており、その前方端部は開放口D11と同様に前方側に開放されている。規制ガイドレール52の後方側は、開放口D12と概ね同じ位置まで延出されており、その後方端部は、円弧形状の終端部522によって閉塞されている。
【0034】
終端部522は、中間レール部材45を後述する第1位置(図14に示す位置)で制止するものであり、本発明の第1制止部の一例である。後述するように、中間レール部材45が内部レール部材42に装着された状態で、中間レール部材45の右側部453の突部73(図11参照)が規制ガイドレール52に挿入されて、突部73が規制ガイドレール52に沿って相対移動可能となる。終端部522が規制ガイドレール52に形成されているため、中間レール部材45が前記第1位置から更に後方へスライドすることが制止される。具体的には、前記第1位置で突部73が終端部522に当接することによって、中間レール部材45が前記第1位置から後方へスライドすることが制止される。つまり、終端部522は、前記第1位置から後方へ中間レール部材45をスライドさせないように規制するストッパーの役割を担っている。
【0035】
また、底面511には、円弧形状の2本のリブ531,532が形成されている。リブ531は、底面511において、規制ガイドレール52よりも上側の領域に形成されており、リブ532は、底面511において、規制ガイドレール52よりも下側の領域に形成されている。図6に示すように、リブ531,532は、規制ガイドレール52と同じ高さ寸法に形成されており、中間レール部材45が内部レール部材42に装着された状態で、リブ531,532及び規制ガイドレール52の各先端は、内部レール部材42の右側部453に接触する。
【0036】
図6に示すように、第2固定レール部材422は、第1固定レール部材421に対向する位置に設けられており、第1固定レール部材421よりも左側に所定間隔を隔てて設けられている。第2固定レール部材422は、樹脂成形品であり、2つのビス孔611,612を有するベース部61を有する。本実施形態では、第2固定レール部材422は、ビス孔611,612に挿通されたビス613,614(図3参照)によって、インナーカバー27に固定されている。
【0037】
図8及び図9は、第2固定レール部材422の単体を示す斜視図である。第2固定レール部材422は、第1固定レール部材421の中央レールガイド51に対向する支持面62を有する。
【0038】
図9に示すように、第2固定レール部材422は、中間レール部材45の左側(他方側)の左側部454(図6参照、本発明の第2側部の一例)をガイドする円弧溝形状の上側レールガイド621及び下側レールガイド622(いずれも本発明の第2レールガイドの一例)を有している。各レールガイド621,622は、支持面62に形成されており、上下方向6に一定の間隔を隔てて並んで配置されている。各レールガイド621,622は、前方側の端部が前方に開放されており、後方側の端部も後方へ開放されている。図6に示すように、上側レールガイド621には、中間レール部材45の左側部454を構成する上側突出端4541が挿入され、下側レールガイド622には、左側部454を構成する下側突出端4542が挿入される。
【0039】
上側レールガイド621は、支持面62において、上下方向6の中央よりも上側に形成されており、具体的には、支持面62の上端部に形成されている。また、下側レールガイド622は、支持面62において、上下方向6の中央よりも下側に形成されており、具体的には、支持面62の下端部に形成されている。各レールガイド621,622は、いずれも、開口25の下縁25A(図2参照)よりも下方に中心点(不図示)を有する円弧形状に形成されている。本実施形態では、中央レールガイド51の円弧形状の基準となる中心点、及び各レールガイド621,622の円弧形状の基準となる中心点は、上下方向6及び前後方向7において同じ位置にある。
【0040】
支持面62には、円弧溝形状の規制ガイドレール65が形成されている。規制ガイドレール65は、支持面62において、上下方向6の概ね中央に形成されている。規制ガイドレール65は、前方から後方へ延びる円弧形状の溝であり、その上下方向の幅は一定である。
【0041】
規制ガイドレール65は、各レールガイド621,622と同じ中心点を有する円弧形状に形成されている。図9に示すように、規制ガイドレール65の前方側は終端部651によって閉塞されている。規制ガイドレール65の後方端は、後方側に開放されている。
【0042】
終端部651は、中間レール部材45を後述する第2位置(図15及び図16に示す位置)で制止するものであり、本発明の第2制止部の一例である。後述するように、中間レール部材45が内部レール部材42に装着された状態で、中間レール部材45のガイドピン71の先端部711(図10参照)が規制ガイドレール65に挿入されて、先端部711が規制ガイドレール65に沿って相対移動可能となる。終端部651が規制ガイドレール65に形成されているため、中間レール部材45が前記第2位置から更に前方へスライドすることが制止される。具体的には、前記第2位置で先端部711が終端部651に当接することによって、中間レール部材45が前記第2位置から前方へスライドすることが制止される。つまり、終端部651は、前記第2位置から前方へ中間レール部材45をスライドさせないように規制するストッパーの役割を担っている。
【0043】
また、図8に示すように、第2固定レール部材422には、インナーカバー27に取り付けられる取り付け面に、3つの位置決め突部67が設けられている。各位置決め突部67は、前記取り付け面に垂直に立設している。ビス孔611の近傍に2つの位置決め突部67が形成されており、ビス孔612の近傍に1つの位置決め突部67が形成されている。インナーカバー27には、各位置決め突部67に対応する位置に、係合孔(不図示)が形成されている。上述したように、2つのビス613,614によって第2固定レール部材422がインナーカバー27に固定されるため、インナーカバー27における第2固定レール部材422の取り付け位置が定まらず、内部レール部材42が中間レール部材45を円滑にスライド可能に支持できない場合がある。そのため、本実施形態では、ビス孔611,612の近傍に複数の位置決め突部67を設け、これらが前記係合孔に挿入された係合されることによって、インナーカバー27において第2固定レール部材422が所定の位置に正確に取り付けられる。その後、ビス613,614によってインナーカバー27に固定される。このため、ビス613,614の螺着時の回転力が加えられても、インナーカバー27に対して第2固定レール部材422が位置ずれすることが防止される。
【0044】
[中間レール部材45]
中間レール部材45は、樹脂成形品であり、上述した内部レール部材42にスライド可能に支持される部材である。本実施形態では、中間レール部材45は、内部レール部材42の中央レールガイド51及び各レールガイド621,622と同じ中心点を基準とする円弧形状に形成されている。中間レール部材45は、内部レール部材42によって支持されることにより、開口25(図2参照)よりも内側に配置される第1位置(図14に示す位置)と、開口25よりも外側に突出する第2位置(図15及び図16に示す位置)との間で、中央レールガイド51及び各レールガイド621,622の円弧形状に沿って円弧を描くように変位する。以下、中間レール部材45の構成について詳説する。
【0045】
図10及び図11は、中間レール部材45の単体の斜視図である。中間レール部材45は、第1固定レール部材421の中央レールガイド51に当接される円弧形状の板状部材である右側部453を有する。右側部453の上端の円弧縁から上側ガイド部451が垂直に突出しており、右側部453の下端の円弧縁から下側ガイド部452が垂直に突出している。図14に示すように、中間レール部材45は、右側部453が第1固定レール部材421の中央レールガイド51に挿入可能なサイズに形成されている。ここで、図14は、カバー30が閉じられたときのヒンジ部40を示している。中間レール部材45の右側部453が中央レールガイド51に挿入された状態で、中間レール部材45の内部に可動レール部材47が装着され、この状態で第2固定レール部材422がインナーカバー27に取り付けられる。第2固定レール部材422がインナーカバー27に取り付けられる際に、中間レール部材45の上側ガイド部451の上側突出端4541(本発明の第2側部の一例)が上側レールガイド621に挿入され、中間レール部材45の下側ガイド部452の下側突出端4542(本発明の第2側部の一例)が下側レールガイド622に挿入される。これにより、中間レール部材45が、内部レール部材42によって前記第1位置と前記第2位置との間でスライド可能に支持される。
【0046】
図10に示すように、中間レール部材45は、ガイドピン71と、ストッパーピン72と、を有する。ガイドピン71及びストッパーピン72は、いずれも、右側部453の内側面453A(本発明の第3ガイド面の一例)に垂直に立設した円柱状のピン部材であり、例えば、樹脂よりも剛性及び硬度の大きい金属で構成されている。ガイドピン71及びストッパーピン72は、右側部453の内側面453Aにカシメ加工によって固定されている。
【0047】
本実施形態では、中間レール部材45の内部、つまり、上側ガイド部451と下側ガイド部452と右側部453とにより囲まれた内部空間に、可動レール部材47がスライド可能に支持される。つまり、中間レール部材45は、可動レール部材47を後述する第3位置と第4位置との間でスライド可能に支持する。また、中間レール部材45の内部に可動レール部材47が支持されることによって、上側ガイド部451の円弧形状の内面451A(本発明の第1ガイド面の一例)が可動レール部材47の後述の被支持部82の上面82Aを、円弧形状に沿うスライド方向へ案内し、下側ガイド部452の円弧形状の内面452A(本発明の第2ガイド面)が、被支持部82の下面82Bに面接触しつつ円弧形状に沿うスライド方向へ案内する。また、中間レール部材45の内部に可動レール部材47が支持された状態で、被支持部82の右側のガイドリブ821(本発明の第3側部の一例)が内側面453Aに接触しつつ前記スライド方向へ案内される。
【0048】
ガイドピン71は、可動レール部材47が中間レール部材45に装着されるときに、可動レール部材47に形成された円弧形状のガイド孔84(図12参照、本発明の第3レールガイドの一例)に挿通される。ガイド孔84にガイドピン71が挿通された状態で、ガイドピン71の先端部711側に設けられた係合溝にC型リングなどの連結具79(図14参照)が取り付けられる。これにより、ガイドピン71がガイド孔84から抜けることが防止される。
【0049】
図14に示すように、ガイドピン71は、右側部453において前方側に設けられている。ガイドピン71がガイド孔84に挿通されることによって、可動レール部材47のスライドが案内されるとともに、スライド位置が規制される。具体的には、可動レール部材47が中間レール部材45から最も引き出された第4位置(図16に示す位置)に配置されると、ガイドピン71がガイド孔84の後端部841(図12参照)に当接して、それ以上のスライドが規制される。
【0050】
ストッパーピン72は、可動レール部材47が中間レール部材45に装着されたときに、可動レール部材47の後端部85(図12参照)に当接可能な位置に設けられている。図14に示すように、ストッパーピン72は、ガイドピン71よりも後方側に設けられており、具体的には、右側部453において後端部に設けられている。ストッパーピン72が設けられているため、可動レール部材47のスライド位置が規制される。具体的には、可動レール部材47が中間レール部材45の内部に収容された第3位置(図14及び図15に示す位置)に配置されると、ストッパーピン72が可動レール部材47の後端部85に当接して、それ以上のスライドが規制される。
【0051】
図11に示すように、中間レール部材45の右側部453には、規制ガイドレール52に挿入される突部73が形成されている。突部73は、右側部453の右側の面、つまり、規制ガイドレール52に対向される面に設けられている。中間レール部材45が内部レール部材42に装着された状態で、突部73は規制ガイドレール52に挿入される。本実施形態では、中間レール部材45が前記第1位置に配置された状態で、突部73が規制ガイドレール52の終端部522に当接する。これにより、中間レール部材45が前記第1位置から更に後方へスライドすることが制止される。つまり、終端部522は、前記第1位置から後方へ中間レール部材45をスライドさせないように規制する。
【0052】
[可動レール部材47]
可動レール部材47は、樹脂成形品であり、上述した中間レール部材45にスライド可能に支持される部材である。可動レール部材47は、カバー30に連結される連結部81と、中間レール部材45によってスライド可能に支持される被支持部82とを有する。本実施形態では、可動レール部材47の被支持部82は、中間レール部材45によって支持されることにより、中間レール部材45側に連結部81が配置される前記第3位置(図14及び図15に示す位置)と、前記第3位置よりも開口25(図2参照)の外側であって開口25の下縁25A(図2参照)よりも下側に連結部81が配置される前記第4位置との間で、円弧を描くように変位する。以下、可動レール部材47について詳説する。
【0053】
図12及び図13は、可動レール部材47の単体の斜視図である。可動レール部材の連結部81には、カバー30に固定するためのビス孔811が形成されている。図4に示すように、このビス孔811にビス83が挿通されて、カバー30の内側面に螺着される。本実施形態では、2つのヒンジ部40の連結部81は、カバー30において下部の幅方向両端部それぞれに固定される。
【0054】
図12及び図13に示すように、被支持部82は、連結部81から延出された円弧形状のアーム部材である。被支持部82は、内部レール部材42の中央レールガイド51及び各レールガイド621,622と同じ中心点を基準とする円弧形状に形成されている。また、図14に示すように、被支持部82は、中間レール部材45の内部に挿入可能なサイズに形成されている。これにより、可動レール部材47が中間レール部材45に装着された状態で、前記第3位置と前記第4位置との間でスライド可能となる。
【0055】
また、被支持部82には、可動レール部材47が中間レール部材45に装着されるときに、ガイドピン71が挿通されるガイド孔84が形成されている。このガイド孔84は、中央レールガイド51及び各レールガイド621,622と同じ中心点を基準とする円弧形状に形成されている。ガイド孔84は、可動レール部材47が中間レール部材45に装着されるときに、ガイドピンが挿通されることによって、前記第3位置と前記第4位置との間で被支持部82を案内する。また、被支持部82の右側の上下端部には、可動レール部材47が中間レール部材45に装着されたときに中間レール部材45の内側面453Aに当接するガイドリブ821(本発明の第3側部の一例)が設けられている。ガイドリブ821は、右側へ突出した形状である。
【0056】
被支持部82が中間レール部材45の内部に装着された状態で、被支持部82の上面82Aが、上側ガイド部451の内面451A(本発明の第1ガイド面の一例)によって円弧形状に沿ったスライド方向へ案内される。また、被支持部82の下面82Bが、下側ガイド部452の内面452A(本発明の第2ガイド面の一例)と面接触しつつ、前記スライド方向へ案内される。また、中間レール部材45の内部に可動レール部材47が支持された状態でガイドリブ821が内側面453A(本発明の第3ガイド面の一例)に接触しつつ前記スライド方向へ案内される。
【0057】
本実施形態では、被支持部82の上面82Aに、上側ガイド部451の内面451Aへ向けて突出する突状リブ86(本発明の突部の一例)が形成されている。突状リブ86は、上面82Aにおいて、被支持部82の長手方向に連続する長尺状に形成されており、また、上面82Aの幅よりも小さい幅に形成されている。この突状リブ86が設けられているため、被支持部82が中間レール部材45に装着された状態で、突状リブ86だけが内面451Aに当接する。これにより、被支持部82の上面82A全体が内面451Aに接触する場合に比べて、被支持部82のスライド移動時の摺動抵抗が小さくなり、被支持部82が円滑にスライドすることが可能となる。一方、被支持部82の下面82Bは、中間レール部材45の下側ガイド部452の内面452Aに面接触しつつ支持されるため、中間レール部材45の内部において被支持部82が安定して支持される。
【0058】
[ヒンジ部40の動作]
以下、図14乃至図16を参照して、ヒンジ部40の動作について説明する。
【0059】
カバー30が前記閉位置に配置された状態では、図14に示されるように、中間レール部材45が前記第1位置に配置されており、また、可動レール部材47が前記第3位置に配置されている。このとき、内部レール部材42に中間レール部材45と可動レール部材47とが収容された状態であり、ヒンジ部40が最もコンパクトな状態である。また、前記第1位置では、中間レール部材45の突部73が終端部522に当接しているため、中間レール部材45が内部レール部材42の更に奥側へ入り込むことが防止される。
【0060】
次に、カバー30が前記閉位置から開方向へ約45度回動されると、ヒンジ部40は、図15に示されるように、中間レール部材45が前記第1位置から前記第2位置にスライドされる。このとき、中間レール部材45の前方端は、開口25よりも前方側に配置され、また、開口25の下縁25A(図2参照)よりも下方に配置される。また、前記第2位置では、中間レール部材45のガイドピン71の先端部711が終端部651に当接しているため、中間レール部材45が前記第2位置から前方へスライドすることが制止される。これにより、中間レール部材45が内部レール部材42から抜け外れることが防止される。
【0061】
カバー30が更に開方向へ回動されて、約90度まで開かれると、ヒンジ部40は、図16に示されるように、中間レール部材45が前記第2位置のままであり、可動レール部材47が前記第3位置から前記第4位置にスライドされる。このとき、中間レール部材45のガイドピン71がガイド孔84の後端部841(図12参照)に当接しているため、可動レール部材47が前記第4位置から前方へスライドすることが制止される。これにより、可動レール部材47が中間レール部材45から抜け外れることが防止され、また、カバー30が約90度まで開かれた位置に保持される。更に、前記第4位置に可動レール部材47が配置された状態では、連結部81が開口25の下縁25A(図2参照)よりも下方の位置に配置される。
【0062】
このようにヒンジ部40が動作するため、カバー30が前記開位置に配置された状態では、開口25の下縁25Aがカバー30によって覆われることがなく、開口25が完全に開放される。その結果、作業者は、シート中継装置18やトナーコンテナ19をカバー30によって邪魔されることなく、容易に取り外したり装着したりすることができる。また、ヒンジ部40が開口25の内部に設けられているが、カバー30が前記閉位置に配置されたときは、図14に示されるように、内部レール部材42と中間レール部材45と可動レール部材47とが重なってコンパクトになるため、従来の支軸によってカバー30を支持する構成に比べて、筐体21の内部の省スペース化を実現することができる。
【0063】
また、カバー30が前記開位置に配置された状態で、ガイドピン71が前面21Aよりも前方側に配置されるので、作業者は、ガイドピン71の連結具79にアクセスし易くなり、これにより、カバー30を容易に取り外すことができる。
【0064】
なお、上述の実施形態では、被支持部82の上面82Aに突状リブ86が設けられた構成を例示したが、例えば、被支持部82の上面82Aを平坦面とし、上側ガイド部451の内面451Aに上面82Aへ向けて突出する突状リブ86を設けてもよい。また、本発明の突部の一例として突状リブ86を例示したが、本発明の突部は、リブ形状のものに限られず、例えば、上面82Aに所定間隔を隔てて設けられた複数の突起であってもよい。
【符号の説明】
【0065】
10:画像形成装置
14:画像形成部
21:筐体
25:開口
30:カバー
40:ヒンジ部
42:内部レール部材
45:中間レール部材
47:可動レール部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16